以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明をする。尚、図中で類似の部分または類似の機能を果たす部分については、同一または類似の参照符号を付与して重複した説明を省略する。
以下で開示される実施形態は、計測器によって計測されたダムや河川の水位や雨量などの河川情報に関連する計測値に基づいて、ダムおよび/または河川での災害に対する警報に関する情報を表示する表示装置および方法に関するものである。特に、正負両方向の変動が考えられる計測値が存在し、季節や天候で警報を発する警報レベルの値や警報レベルの数が変化し、各計測値に対して警報レベルを指定するために複数の判別値が設定され、警報レベルによって対応体制が異なるような、河川での災害に対する警報表示装置に関する。
以下で開示される実施形態は、たとえば、防災管理装置やシステム、国や地方自治体、公的機関、民間機関等が定めた防災に関する規則等に必ずしも精通していない者が利用者となることがあるダムコントロールシステムの警報表示装置として用いられる。しかしながら以下で開示される実施形態は、ダムコントロールシステムの警報表示装置、または河川での災害に対する警報表示装置としてのみならず、正負両方向の変動が考えられる計測値が存在し、条件によって警報を発する警報レベルの値や警報レベルの数が変化し、各計測値に対して警報レベルを指定するために複数の判別値が設定されるような警報表示装置として用いることが可能である。
以下では、河川の沿岸地域の天気や天気が雨であったときの雨量、河川の水位などの計測値を含む、ある時刻の気象、水分状況に関する情報をまとめて河川情報と呼ぶ。
また、計測値に対して警報レベルを対応させるために用いられる判別値(警報定数)を警報情報と呼ぶ。警報情報は、天気や時期(四季や、洪水期(雨季)か非洪水期(雨季でない)など)によって変化しても良い。
<システムの構成>
図1を参照して、本実施形態の警報表示装置が実装されるダムコントロールシステム10について説明する。図1は、警報表示装置が実装されるダムコントロールシステムの例の構成示す図である。
ダムコントロールシステム10では、ダムおよびダムに繋がる河川にまたはそれらの周囲に配置された複数の計測器によって計測された計測値または季節や天候等の気象状況を監視する。計測値および気象状況に基づいて、ダムからの放水量を調整する弁や、河川に配置されたゲートなどの河川設備を制御する。また、ダムコントロールシステム10は、公的機関またはその他の機関(民間機関など)が警報を発令する基準となる各計測値に対する判別値(警報定数)と計測値を比較して、システム10の利用者に対して、河川の沿岸住民等に災害警報を発することを促す表示をする。表示としては、ランプの点灯など光による表示のほか、ブザーを鳴らすなど音による表示が含まれる。
ダムコントロールシステム10は、複数の計測器で計測された複数の計測値を収集したり、各計測値に対する判別値(警報定数)を入力するなどのための処理を行うための端末A104a、端末B104b(以下、代表的な端末を104で参照することもある)を含んでいる。一つの端末で一つの測定器によって計測された測定値を処理してもよいし、一つの端末で複数の計測器からの計測値を処理することもできる。また、複数の端末104a、104bのそれぞれには、ディスプレイ106a、106bおよび入力装置108a、108bが接続されている。入力装置108a、108bはマウス、キーボード、テンキーなどで構成される。
警報表示装置100は、端末A104aおよび端末B104bに接続されている。表示装置は、複数の計測器で計測された計測値を同時に表示する。つまり、複数の計測値を一つの警報表示装置100でコンパクトに表示することができる。複数の計測値は、異なる場所に配置された計測器で計測された値であっても良い。さらに、河川に関する情報データの現在の測定値と、近い過去における測定値に関する情報を同時に表示することによって、警報を発するために必要な警報情報を得ることができる。このような構成によって、装置の利用者は多くの情報を一度に視覚的に認識することができ、警報を発するべき地域と警報レベルを素早く正確に判断することができる。このことから、迅速な防災体制を敷くことができ、災害を最小限に抑えることができる。
表示装置100は、計測値を数値で表示する数字表示器110(110a、110b、110c、110d)、および計測値に関する情報をグラフで表示する円形表示部112(112a、112b、112c、112d)を含んでいる。円形表示部112では、円形のLEDランプを用いて計測値に関する情報のグラフ表示を行う。このような構成によって、計測値及び表示項目によって表示形態を変えることで、監視に最適な運用を実現することができる。
以下で詳細に説明するように、表示装置100の円形表示部112では、計測値に対する警報レベルの状態を表示する円図形は複数に分割される。円の分割数は設定された各警報定数の総数に対応しているため、警報定数を増やす場合は円図形の分割数が増えることになる。また、表示する円図形も省スペースであるため、警報の対象となる項目数を増やす場合でも、新たに設置スペースを考慮する必要もないので、装置の拡張性に優れている。
<警報表示装置の構成>
図2〜15を参照して、警報表示装置100の構成について説明する。
図2は、警報表示装置100の機能ブロック図である。
警報表示装置100は、数字表示部110、円形表示部112、表示制御部114、および装置の利用者の入力を受け付ける操作部116を含んでいる。表示制御部114は、入力処理部122、データ格納部124、判定部126、操作入力部128、表示出力部130、およびブザー132を含んでいる。表示出力部130は、数字表示部110、円形表示部112、およびブザー132に接続されている。操作入力部128は操作部116に接続されている。
入力処理部122は、ダムコントロールシステム10の端末A104aおよび端末B104bに接続され、端末A104aおよび端末B104bからデータを受ける。これらの端末104から受けるデータには、計測器で計測された計測値や河川の沿岸地域の天気や時期等の気象条件などの河川情報、端末から入力された各計測値に対する判別値(警報定数)が含まれる。
入力処理部122で受けた計測値は、そのまま表示出力部130を介して、数字表示部110に送られる。
数字表示部110では、表示出力部130から送られる河川情報に関わる数値および/または警報定数(判別値)を数字で表示する。
データ格納部124には、端末A104aおよび端末B104bから受けた河川情報、およびデータ格納部124にシステム10の利用者によって入力された判別値(警報定数)が格納される。データ格納部124には、河川情報の時系列データが格納される。すなわち、所定の時間だけ過去の時刻から現在までの河川情報に関する数値または記号データが格納される。たとえば、計測値は数値データとして、天候や時期(季節)は記号として格納される。
判定部126では、計測器で計測された計測値を判別値と比較して、表示部112での表示の仕方を判定する。以下で詳しく説明するが、図4に例が示されているように、表示部112は、円部300(300a、300b、300c、300d)、放射部310(310a、310b、310c、310d)、外周部320(320a、320b、320c、320d)を含んでいる。判定部126では、計測値に基づいて、円部300a、300b、300c、300d、放射部310a、310b、310c、310d、外周部320a、320b、320c、320dのうち、どこを点灯させるのか、または点滅させるのか、を判定する。判定部126によって判定された円形表示部112での表示の仕方は、表示出力部130に送られる。判別値は天気や季節(洪水期であるか、非洪水期であるかなど)によって自動的に変化させても良い。
また。判定部126では、データ格納部124に格納された河川情報に基づいて、ブザー132を鳴らすかどうかの判定を行う。判定部126は、ある計測値が複数の判別値の一つを超えるまたは下回ったときに、ブザー132を鳴らすと判定しても良い。判別値は、時期(季節)や天候によって変化しても良い。
操作部116の一例は、ボタンによって構成される。操作部116は、たとえば、ブザー132が警報音を発しているときに、ブザー132が鳴るのを止めるために警報表示装置100の利用者によって操作される。
また、操作部116は、円形表示部112が無点灯状態、点滅状態および点灯状態の間の移行のために用いられる。たとえば、操作部116を操作することによって、円形表示部112は点滅状態から点灯状態へ移行する。計測値がある判別値を超えてある警報レベルになったときに、円形表示部112はまず点滅状態となり、装置100の利用者に警報レベルになったことを知らせる。操作部116は、装置100の利用者が、計測値が警報レベルになったことを確認するために用いられる。円形表示部112が点滅状態にある場合に、操作部116が操作されると、円形表示部112は点灯状態に移行する。
また操作部116には、警報表示装置100の利用者が、後に説明する円形表示部112の表示を選択するための入力を行う。このために、操作部116は、ボタンやキーボードやテンキーを備えている。
操作部116に入力された警報表示装置100の利用者の指示は操作入力部128に送られる。操作入力部128では、利用者の指示を表示出力部130に転送する。
表示出力部130は、数字表示部110、円形表示部112、およびブザー132と接続されている。表示出力部130は、端末104から受けた河川情報に関する数値や判別値(警報定数)などの警報情報や、データ格納部124に格納されている数値データを数字表示部110に出力する。
また、表示出力部130は、判定部126または操作入力部128から送られる情報に基づいて、ブザー132の動作に関する命令をブザー132に出力する。たとえば、判定部126でブザーを鳴らすという判定が行われたときには、ブザー132が鳴るような指命令をブザー132に出力する。また、操作入力部128から、ブザー132が鳴るのを止めるという命令を受けたときは、ブザー132が鳴るのを止めるような命令をブザー132に出力する。
また、表示出力部130は、判定部126で判定された円形表示部112の表示の仕方が実現するように、円形表示部112に命令を出力する。具体的には、円部300a、300b、300c、300d、放射部310a、310b、310c、310d、外周部320a、320b、320c、320dのそれぞれに対して、点灯/消灯または点滅を指示する情報を含む命令を出力する。以下では、円部300a、300b、300c、300dの点灯/消灯または点滅を指示する情報は円部表示情報、放射部310a、310b、310c、310dの点灯/消灯または点滅を指示する情報は放射部表示情報、外周部320a、320b、320c、320dの点灯/消灯または点滅を指示する情報は外周部表示情報と呼ぶことがある。
円形表示部112は、LED等のランプを集め、それらを円の形になるように配置することによって構成される。ランプのそれぞれは、表示出力部130からの命令によって点灯または消灯する。ランプが短い時間間隔で点灯と消灯を繰り返すとき、ランプは点滅すると呼ばれる。また、円形表示部112のランプは、複数のランプが同期して動作することによって、所定の情報に関する表示をする。円形表示部112の表示は、データ格納部124に格納されたデータを参照して判定部126でなされた判定に従って、または操作入力部128からの命令に従って、表示出力部130が円形表示部112の各ランプの動作を制御することによって得られる。
円形表示部112の表示は、警報表示装置100の操作部116を介して利用者からの入力に基づいてレイアウトされる。利用者からの入力に関する情報を操作部116から受けた操作入力部128は、その情報を表示出力部130に送る。表示出力部130では、判定部126がデータ格納部124に格納されたデータおよび/または入力処理部122が外部の端末104から受けたデータに基づいて判定した、河川情報に関連する計測値に関する情報を警報情報と共に表示する。
<円形表示部の表示>
図3〜図14を参照して、警報表示装置100の円形表示部112の表示について説明する。
図3では、円周360度が6等分されているが、これは一例に過ぎない。円周360度の分割数は、その円形表示部116で表示される計測値に対する判別値の数、すなわち警報定数の数に依存する。計測値に対する判別値は、データ格納部124に格納されている。計測値は複数の判別値によって、複数の警報レベルのうちどの警報レベルに属するかを判別される。したがって、警報定数の数が増えれば、円周360度の分割数は増える。表示制御部114の判定部126は、データ格納部124に格納されている計測値に対する判別値の数をカウントし、数字表示部110の表示の仕方を判定する。そして、表示出力部130を介して、円形表示部112の表示が判定された仕方となるように円形表示部112を制御する。
図3は、警報表示装置100の円形表示部112の円部200を用いた表示の例を示す図である。
以下での円形表示部112の円部200の表示の説明は、そのような表示となるように表示出力部130から円形表示部112に出された円部表示情報、放射部表示情報、および外周部表示情報を含む命令を円形表示部112が実行する結果として得られる。
図3で示されているように、円部200は、6つの円部セグメント200a〜200fに等分割される。これは、円形表示部112で表示される計測値に対応する、データ格納部124に格納されている判別値の数が6つの場合に相当する。計測値が第1の判別値を超えるとセグメント200aが点滅する。このとき同時にブザー132が鳴るように警報表示装置100を構成しても良い。セグメント200aが点滅し、警報表示装置100の構成によってはブザー132が鳴っている状態で、警報表示装置100の利用者が操作部116に状況を確認した旨の入力をすると、ブザー132が鳴り止み、セグメント200aは点滅する状態から点灯する状態に遷移する。
さらに、計測値が第2の判別値を超えると、セグメント200bが点滅する。この状態で警報表示装置100の利用者が操作部116に状況を確認した旨の入力をすると、セグメント200bは点滅する状態から点灯する状態に遷移する。以下、セグメント200c〜200fについても、同様の表示がなされる。
また、円部200の6つの円部セグメント200a〜200fは、200aと200fの境界をゼロとして、セグメント200a、200b、200cは正の値の領域を、セグメント200f、200e、200dは負の値の領域を表すようにしても良い。
図4は円部300と外周部310と放射部320を含む円形表示部112の構成を示す図である。
図4では、円周360度が4等分されている。よって、円形表示部112の円部300は4つの円部セグメント300a、300b、300c、300d、放射部310は4つの放射部セグメント310a、310b、310c、310d、外周部320は4つの外周部セグメント320a、320b、320c、320dを含む。
円形表示部112は、表示制御部114の判定部126からの命令によって変化する。
放射部310の各セグメント310a、310b、310c、310dは、円の中心から放射状に伸びている。放射部310のセグメント310aは、円部300の2つのセグメント300dと300aに挟まれるように配置される。同様に、放射部310のセグメント310bは円部300の2つのセグメント300aと300bに挟まれるように、放射部310のセグメント310cは円部300の2つのセグメント300bと300cに挟まれるように、放射部310のセグメント310cは円部300の2つのセグメント300cと300dに挟まれるように配置される。
外周部320の外周部セグメント320a、320b、320c、320dのそれぞれは、対応する円部300のセグメント300a、300b、300c、300dの円弧部分または円弧部分の外側に配置される。
以下での円形表示部112の各部、すなわち円部300と放射部310と外周部320の表示の説明は、そのような表示となるように表示出力部130から円形表示部112に出された命令を円形表示部112が実行する結果として得られる。
円部の各セグメント300a、300b、300c、300d、放射部310の各セグメント310a、310b、310c、310d、外周部320の各セグメント320a、320b、320c、320dはそれぞれ、所定の色で点灯、点滅をする。一つのセグメントは複数の色が選択的に点灯、点滅するように構成されていても良い。
円部300は、計測値の値を視覚的に表示する。円部の各セグメント300a、300b、300c、300dは複数の判別値(警報定数)によって区分けされる各領域に対応する。そして、計測値がどの領域に属するのかを、対応するセグメント300a、300b、300c、300dの点灯/点滅によって表示する。たとえば、円部300のセグメント300aは、計測値が第1の警報レベルにある領域に相当するものとする。セグメント300aは、計測値が増加傾向にあるとき、計測値が判別値を超えて第1の警報レベルに達すると無点灯状態から点滅状態に移行する。そして、計測値が第1の警報レベルに達したことを、警報表示装置100の利用者が操作部116を操作することによって確認すると、点灯状態に移行する。
円部の各セグメント300a、300b、300c、300dが点滅するか点灯するかはブザー132の動作と連動していても良い。たとえば、ブザー132が鳴っているときは、円部のセグメント300a、300b、300c、300dは点滅し、ブザー132が鳴り止むと点灯するように構成されても良い。
後に説明するように、円周360度が同一のスケールである必要はない。
また円部300では、天気に関する情報を表示することができる。
たとえば円部300が、計測値に関する情報と天気に関する情報を所定の時間間隔で交互に表示をするように構成されていても良い。このとき、天気に関する情報は、円部300の円周360度を全て用いて、天気記号を表示しても良い。また天気のみならず、風向、風力、気圧、温度を含む天気図を表示しても良い。
円部300のセグメント300a、300b、300c、300dのそれぞれは、判別値(警報定数)によって区切られる領域に対応するので、計測値がその領域の上限に近いのか、下限に近いのか、といった情報を表示することができない。そこで、放射部310の各セグメント310a、310b、310c、310dが点灯することによって、計測値が、それぞれ隣接する円部300のセグメント300a、300b、300c、300dに対応する領域の上限または下限に近いことを表示する。放射部320を用いることによって、計測値が円部300のセグメント300a、300b、300c、300dに対応する領域の上限に近いのか、下限に近いのかを視覚的に認識することができ、装置100の利用者は、迅速に然るべき対応をとることができる。
外周部320は、たとえば、計測値が減少傾向にあるとき、近い過去においては第2の警報レベルにあったが、現在は第2の警報レベルより低い第1の警報レベルにあるような場合に利用される。この場合、第2の警報レベルに相当する外周部310のセグメントが点灯することによって、警報レベルが低くなる傾向にあることを示すことができる。
この外周部320の各セグメント320a、320b、320c、320dは、警報表示装置100の利用者が操作部116を操作することによって消灯させることができる。
このように、円部300は、それぞれ複数の表示モード(点灯、点滅、消灯)を有し、全てが組み合わさって略円形を形成する複数の円部セグメント300a、300b、300c、300dを含み、円部表示情報に基づいて、警報レベルに対応する複数の円部セグメント300a、300b、300c、300dの表示モード(点灯、消灯)が変化するように構成される。
放射部310は、それぞれ複数の表示モード(点灯、消灯)を有し、複数の判別値に対応するように複数の円部セグメント300a、300b、300c、300dのうち、隣接する2つのセグメントに挟まれて配置される複数の放射部セグメント310a、310b、310c、310dを含み、表示制御部114から送られる放射部表示情報に基づいて、前記複数の判別値の一つに対応する前記複数の放射部セグメント310a、310b、310c、310dの一つの前記表示モード(点灯、消灯)が変化するように構成される。
外周部320は、円部300の複数の円部セグメント300a、300b、300c、300dのそれぞれ対応し、それぞれ複数の表示モード(点灯、消灯)を有し、全てが組み合わさって略円を形成する複数の外周部セグメント320a、320b、320c、320dを含み、複数の外周部セグメント320a、320b、320c、320dのそれぞれは、表示制御部114から送られる外周部表示情報に基づいて、表示モード(点灯、消灯)が変化し、外部から入力される確認を示す命令に対応して、表示モード(点灯、消灯)が元に戻るように構成される。
上記円部表示情報、放射部表示情報、および外周部表示情報は、表示制御部114から送られる。表示制御部114は、計測値が複数の判別値で区分けされる計測値の領域のどの領域に属するか、および計測値が複数の判別値の一つに近いかどうかを判定し、計測値が属する領域を円部表示情報として、計測値が前記複数の判別値の一つに近い場合には前記複数の判別値の一つに関する情報を放射部表示情報として、計測値が対応する複数の円部セグメントの一つがカバーする領域にある状態からそうでない状態への変化が生じたかどうかを判定し、さらに、もし前記変化が生じたときには前記変化に関する情報を外周部表示情報として送る機能を有する。
このように警報表示装置100の円形表示部112は、円形状の円部300と、円の中心から放射状に伸びる線で形成される放射部310と、円部を囲むように配置された外周部320とを含んでいる。本実施形態では、円部300は円形状であるが、個々の計測値の判別値に対する相対的なレベルが認識しやすければ、楕円であってもよいし、他の形状でも良い。
また、円部300の色や表示モード(消灯、点滅、点灯)の種類を増やすことも可能であるが、本実施形態では、色や表示モード(消灯、点滅、点灯)の種類を増やすことなく、放射部310や外周部320の点灯/消灯によって多くの情報を表示することができる。よって、装置100の利用者は色や表示モードの表示と意味を対応付ける作業から開放され、点灯の有無といった直接的な表示によって、状況を把握することができる。
また、本実施形態では、警報表示装置100の円形表示部112は、円部300の他に、放射部310、外周部320を備えており、視覚的に多くの情報を表示することができる。このような構成を採用することによって、ブザー音などの音を頻繁に発する必要がない。ブザー音が鳴る頻度を小さくすることによって、装置100の利用者同士の会話が遮られることもなく、ヒューマンエラーを減らすことができる。
図5〜図7を参照して、警報表示装置100の円形表示部112の円部で用いられるスケールについて説明する。ここで、「スケール」とは、円部において単位角度あたりの弧がカバーする計測値の大きさを意味する。
図5は、警報表示装置100の円形表示部112の円部400を用いた表示における円部の不均一な領域分割の例を示す図である。
図5に示されている円部400の例では、円周360度が6等分されている。即ち、円部400の各セグメント400a〜400fの中心角θ1〜θ6は全て等しい。しかしながら、各中心角θ1〜θ6がカバーする値の大きさが異なる。
図5に示されている例では、円部400は、「定常」で示されている定常状態を示すセグメント400a、「警報1」で示されている第1の警報レベルの状態を示すセグメント400bから「警報5」で示されている第5の警報レベルの状態を示すセグメント400fまでの5つの警報レベルの状態を示すセグメント400b〜400fの6つの領域を含んでいる。定常状態とは、計測値の値が200〜300の間にある状態である。つまり、定常状態の最小値である定常最小値200であり、最大値である定常最大値は300である。定常最大値は第1の判別値の値(警報最小値)である。第2の警報レベルの状態とは、計測値の値が警報最小値である300から第1の警報値(警報値1)310の間にある状態である。第3の警報レベルの状態とは、計測値の値が第1の警報値(警報値1)310から第2の警報値(警報値2)320の間にある状態である。以下、計測値の値が10増える毎に警報レベルが上がって行き、第5の警報レベルの状態とは、計測値の値が第4の警報値(警報値4)340から第5の警報値(警報値5)350の間にある状態である。定常最小値、定常最大値、警報値1〜5は判別値である。
このようにセグメント400aの中心角θ1は計測値にして100の大きさの範囲をカバーするが、他のセグメント400b〜400fの中心角θ2〜θ6はそれぞれ、計測値にして10の大きさの範囲をカバーする。中心角θ1と中心角θ2〜θ6はそれぞれがカバーする計測値の大きさは1:10である。したがって、計測値がどの警報レベルにあるのかを細かく見ることができる。
図6は、警報表示装置100の円形表示部112の円部500を用いた表示における円部の不均一な領域分割の別の例を示す図である。
図6に示されている例では、円部500は、定常状態を示すセグメント500a、「警報1」で示されている第1の警報レベルの状態を示すセグメント500bから「警報3」で示されている第3の警報レベルの状態を示すセグメント500dまでの3つの警報レベルの状態500b〜500dの4つの領域を含んでいる。各セグメントは、定常最小値、定常最大値、警報値1、警報値2、警報最大値で分割される。
また、円部500の各セグメント500a〜500dの中心角φ1〜φ5は等しくない。詳細には、定常状態を示すセグメント500aの中心角φ1は90度、第1の警報レベルの状態を示すセグメント500bの中心角φ2は45度、第2および第3の警報レベルの状態を示すセグメント500cおよび500dの中心角φ3およびφ4は22.5度である。このようにセグメント500aでは単位角度あたり計測値にして約0.11の大きさをカバーし、セグメント500bでは単位角度あたり計測値にして約0.22の大きさをカバーし、セグメント500cおよび500dでは単位角度あたり計測値にして約0.44の大きさをカバーする。
ダムが管理しているダム貯水位や河川水位は、場所や計測地点によって取り得る計測値のスケールが異なる。定常状態の範囲が極端に広く、警報状態の数が多いのにも関わらず一つ一つの警報定数の値の差分が小さいときに、図6のような表示は有効である。
図7は警報表示装置100の円形表示部112の円部600を用いた表示における円部の均一な領域分割の例を示す図である。
図7に示されている円部600は、円周360度が6等分されて得られるセグメント600a〜600fを含んでいる。
図7に示されている円部600は、全周にわたり、単位角度がカバーする計測値の大きさが等しい。円の中心から垂直方向は、計測値の最小値200および最大値350を示すとすると、単位角度あたり計測値にして約0.42の大きさをカバーする。
このように、図7に示されている円部600では、全周にわたりスケールが同一なので、計測値の大きさを直感的に把握することができる。
図7に示されている表示を用いて、図5に示されているものと同一の判別値を有する計測値の表示を行うことを考える。
この場合、定常状態はセグメント600a〜600dの4つのセグメントを含む。つまり、「定常」で示されている定常状態を示すセグメント600aの中心角ψ1は240度であり、円周360度の2/3を占める。警報値1と警報値2はセグメント600eに含まれている。さらに、警報値3および警報値4はセグメント600fに含まれている。よって、図7に示されている円部600の表示では、第1と第2の警報レベルの状態を区別することができない。さらに、第4と第5の警報レベルの状態を区別することができない。しかしながら、上述のように、図7に示されている表示は計測値の大きさを直感的に把握したい場合には好適である。
図8を参照して、警報表示装置100の円形表示部112の円部で正負の値を持ち得る計測値の表示について説明する。
図8は警報表示装置100の円形表示部112の円部700を用いた正負の値を持つ計測値の表示の例を示す図である。
図8に示されている円部700は、円周360度が8等分されて得られるセグメント700a〜700hを含んでいる。円の中心から垂直方向は計測値の基準値200を示すものとする。この計測値は、基準値から増加する方向には、すなわち右回りの方向には、上限定常最大値、上限警報値1、上限警報値2、および上限警報最大値なる判別値を有している。ここで、上限定常最大値は300、上限警報値1は320、上限警報値2は340、上限警報最大値は360である。そして、円部700の右半円を4等分し、基準値に近い順にセグメント700a〜700dを配置する。また、この計測値は、基準値より減少する方向には、すなわち左回りの方向には、下限定常最小値、下限警報値1、下限警報値2、および下限警報最小値なる判別値を有している。ここで、下限定常最小値は100、下限警報値1は80、下限警報値2は60、下限警報最小値は40である。そして、円部700の左半円を4等分し、基準値に近い順にセグメント700e〜700hを配置する。
一般に、ダムの貯水位や河川の水位は上下限ともに警報定数が設定される。一つの表示で正負両方向の定数を識別できることで、過剰にスペースを確保することなく二つの定数を監視することができ、計測値の現在値と基準値を比較したときの大小を容易に識別することができる。
次に図9A〜図9Bを参照して、警報表示装置100の円形表示部112の放射部の表示について説明する。
図9Aおよび図9Bはそれぞれ、警報表示装置100の円形表示部112の円部800と放射部810を用いた計測値がある警報レベルの領域の上限および下限付近にある場合の表示の例を示す図である。
図9Aおよび図9Bに示されている円形表示部112は円部800と放射部810を含んでいる。円部800は、円周360度が6等分されて得られるセグメント800a〜800hを含んでいる。また、円の中心から垂直方向に伸びる放射部810のセグメント810aに加え、円部800のセグメント800aと800bの間に放射部810のセグメント810b、セグメント800bと800cの間に放射部810のセグメント810c、セグメント800cと800dの間に放射部810のセグメント810d、セグメント800dと800eの間に放射部810のセグメント810e、セグメント800eと800fの間に放射部810のセグメント810fを含んでいる。放射部810のセグメント810aは計測値の基準値を示すものとする。円部800のセグメント800cは2つの判別値に挟まれた領域を示すが、それらの2つの判別値をそれぞれ上限値と下限値と呼ぶことにする。下限値は300、上限値は320とする。
図9Aは、計測値が315であるときの円形表示部112の円部800と放射部810の表示の例である。計測値の315という値は、上限値は320に近い値である。その事実を示すために、この場合は、計測値が含まれる警報レベルの状態に対応する円部800のセグメント800a〜800cが点灯すると同時に、セグメント800cに隣接する上限値に対応する放射部810のセグメント810dが点滅する。
図9Bは、計測値が305であるときの円形表示部112の円部800と放射部810の表示の例である。計測値の305という値は、下限値は300に近い値である。その事実を示すために、この場合は、計測値が含まれる警報レベルの状態に対応する円部800のセグメント800a〜800cが点灯すると同時に、セグメント800cに隣接する下限値に対応する放射部810のセグメント810cが点滅する。
たとえば、雨天時、ダム湖に流入する水量(以下、流入量とする)が増加することにより、ダム湖から放流する水量である放流量を増やす必要がある。放流量はダム側の操作により一定量にすることが可能であるが、流入量は雨量によって変動する。この場合、装置100の利用者は、流入量が増加しているか減少しているかを判定し、増加する方向の場合には放流量を更に増やし、減方向の場合には放流量を減らすための操作を行うことができる。
次に、図10〜12を参照して、警報表示装置100の円形表示部112の外周部の表示について説明する。
図10は、警報表示装置100の円形表示部112の外周部920の表示の例を示す図である。
図10に示す円形表示部112は、円部900および外周部920を含んでいる。円部900は、円周360度が6等分されて得られるセグメント900a〜900fを含んでいる。外周部920はセグメント920a〜920fを含み、それらのセグメント920a〜920fのそれぞれは、円部900のセグメント900a〜900fのそれぞれの弧の部分に対応して、円部900の輪郭の外側に配置されている。
外周部920が用いられる状況の例について、図11〜12を用いて説明する。
図11は、水位の計測値の時間変化を示すグラフである。横軸が時間で、縦軸が水位の計測値を示す。
図11に示されている水位の計測値は、定常状態から徐々に上昇し時刻T1で第1の判別値(警報レベル1)を超える。そして、第2の判別値(警報レベル2)を超えることなく、時刻T2で第1の判別値(警報レベル1)を下回り、定常状態に達する。
水位の計測値が図11に示されているような時間変化を示すときの円形表示部112の表示の時間変化を図12A〜12Eに示す。
図12の表示で用いられる円形表示部112は、円部1000および外周部1020を含んでいる。円部1000は、円周360度が4等分されて得られるセグメント1000a〜1000dを含んでいる。外周部1020はセグメント1020a〜1020dを含み、それらのセグメント1020a〜1020dのそれぞれは、円部1000のセグメント1000a〜1000dのそれぞれの弧の部分に対応して、円部1000の輪郭の外側に配置されている。
円部1000のセグメント1000aがカバーする計測値の下限は第1の判別値(警報レベル1)であり、上限が第2の判別値(警報レベル2)である。セグメント1000bがカバーする計測値の下限は第2の判別値(警報レベル2)であり、上限が第3の判別値(警報レベル3)である。
図12Aは水位の計測値が定常状態にある場合での、つまり時刻T1以前の時間帯における円形表示部112の表示の例である。この状態では、円部のセグメント1000a〜1000dは点灯も点滅もせず、外周部1020はセグメント1020a〜1020dも点灯しない。
図12Bは、水位の計測値が正常値から第1の警報レベルに達するとき、つまり時刻T1における表示の例である。このとき、円部1000のセグメント1000aが点滅する。また、セグメント1000aの点滅と同時に、ブザー132が警報音を発し、測定値が第1の判別値(警報レベル1)を超えたことを装置100の利用者に伝える。
セグメント1000aの点滅やブザー132からの警報音によって測定値が第1の判別値(警報レベル1)を超えたことを知った装置100の利用者が、操作部116を操作すると、図12Cのように、円部1000のセグメント1000aは点滅状態から点灯状態に移行する。セグメント1000aの点滅状態から点灯状態への移行と同時に、ブザー132は鳴り止む。このときの円形表示部112の表示は、計測値は、第1の判別値(警報レベル1)と第2の判別値(警報レベル2)の間にあり、利用者がこの事実を認識していることを示している。
図12Dは、計測値が減少して、時刻T2で再び第1の判別値(警報レベル1)を横切って定常状態に達したときの円形表示部112の表示の例である。図12Dに示されている表示では、円部1000のセグメント1000aが点灯すると共に、外周部1020のセグメント1020aが点灯する。このときの円形表示部112の表示は、計測値が、第1の判別値(警報レベル1)より大きな値から減少して第1の判別値(警報レベル1)を下回り、利用者はまだこの事実を認識していないことを示している。この場合、外周部1020は、計測値が直前には、第1の判別値(警報レベル1)より大きな値にあったことを示している。つまり、外周部1020を用いることによって、計測値の近い過去に関する情報を示すことができる。すなわち、外周部1020を用いることによって、計測値がある判別値を下回り警報レベルが下がったことを表示することができる。
円部1000のセグメント1000aと外周部1020のセグメント1020aの点灯によって、計測値が第1の判別値(警報レベル1)より大きな値から減少して定常状態に達したことを知った装置100の利用者が、操作部116を操作すると、図12Eのように、円部1000のセグメント1000aと外周部1020のセグメント1020aは点灯状態から無点灯状態に移行する。
このように、外周部1020を用いることによって、計測値がある判別値を下回り警報レベルが下がったことを示すことができる。つまり、河川に関する情報データの現在の測定値のみならず、計測値の動きに関する情報を用いて河川の状況を判断することができる。
また、外周部1020を用いることによって、天気に関する情報を表示することができる。たとえば、外周部1020の色によって天気を表示することができる。ダムのような計測値を監視する分野では、天気は非常に注意すべき要因であるため、外周部1020を用いて天気を表示することで、測定値が判別値を超えた原因の推測を助けることができる。また、計測値が増加傾向にあれば青、減少傾向にあれば赤というように、計測値の動きに関する情報を表示することもできる。
図13は、円形表示部112の円部の分割数は判別値の数のみならず、時期および天気などの気象条件に依存する領域分割の例を示す図である。
図13に示されている例では、時期が非洪水期で天気が晴れの場合は、「定常」で示されている定常状態を示すセグメントの面積は、「警報」で示されている警報レベルの状態を示すセグメントの面積より大きい。時期が非洪水期で天気が曇りの場合は、「定常」で示されている定常状態と「警報」で示されている警報レベルの状態を示すセグメントの面積はほぼ同じである。時期が非洪水期で天気が雨の場合は、「警報」で示されている警報レベルの状態を示すセグメントの面積は、「定常」で示されている定常状態を示すセグメントの面積より大きい。洪水期では、非洪水期と比べて、「警報」で示されている警報レベルの状態を示すセグメントの面積は大きい。
例えば、洪水期と非洪水期、昼と夜、天気などで貯水位の取り得る値は変動し、監視員が必要とする詳細は異なる。円形表示部112の円部は、天気や季節によって、自動的に表示スケールを変動するように構成される。たとえば、定常状態が長く続くと予想される晴れの日には定常スケールを大きくし、警報状態になると予想される雨の日には警報スケールを大きくする。このような構成を採用することで、必要な情報を細かく監視することができる。
表1は、非洪水期における天気と季節の違いによる判定値の設定例である。
表1に示されているように、ダムの水位の計測値に対する判別値および判別値の数、さらに円部のスケールを変化させる。表1に示されている例では、晴れの場合は第1〜第4の判別値の計4つの判別値が設定される。また、曇りの場合は、第1〜第5の判別値の計5つの判別値が設定される。雨の場合は、第1〜第6の判別値の計6つの判別値が設定される。また、第1の判別値は天気によって変わらないが、円部で第2の判別値を示す位置は、晴れ、くもり、雨と天気が悪化するに従い、垂直方向からの角度が小さくなる。
表2は、洪水期における天気と季節の違いによる判定値の設定例である。
表2に示されているように、ダムの水位の計測値に対する判別値および判別値の数、さらに円部のスケールを変化させる。表2に示されている例では、晴れの場合は第1〜第5の判別値の計5つの判別値が設定される。また、曇りの場合は、第1〜第6の判別値の計6つの判別値が設定される。雨の場合は、第1〜第7の判別値の計7つの判別値が設定される。また、第1の判別値は天気によって変わらないが、円部で第2の判別値を示す位置は、晴れ、くもり、雨と天気が悪化するに従い、垂直方向からの角度が小さくなる。
表3は天気と季節の違いによる判別値の数である。
表1〜表3に示されている情報は、警報表示装置100のデータ格納部124にテーブルとして格納され、天気、季節に対応して、円形表示部112の円部の分割やスケールを変化させる。
図14および15を参照して、警報表示装置100の円形表示部112の円部で天気を表示する例について説明する。
図14は、警報表示装置100の円形表示部112の円部による天気の表示の例を示す図である。図15は、天気の表示の記号の例を示す図である。
図14に示されている円形表示部112の円部では、時間Tn以前では計測値に関する情報が、時間Tn〜Tn+1では天気に関する情報が、時間Tn+1以後では、再び計測値に関する情報が表示される。時間Tn以前および時間Tn+1以後での計測値に関する情報の表示の例は、図5〜10、12に示されているような表示である。時間Tn〜Tn+1では天気に関する情報は、図15に示されているような天気図によって表示される。
表示器が設置される宿直室や監視室では窓など外が見えない部屋であることがある。計測値に異常や警報が発生した際や通常時でも、天気情報が定期的に見ることができれば、移動してから天気を確認する手間が省くことができる。切り替えるタイミングは1回/秒や1回/分など任意に変更することができ、通常時と警報発生時とで分けることも可能である。
次に、図16A〜Dを参照して、円形表示部112の円部1100と放射部1110と外周部1120を用いて天気とダムの水位の計測値の増減を同時に示す表示の例について説明する。
図16A〜Dに示されている警報表示装置100の円形表示部112は、円部1100と放射部1110と外周部1120を含む。円部1100は、円周360度が4等分され、このことに対応して4つのセグメント1100a、1100b、1100c、1100dを含む。放射部1120のセグメント1120aは、円部1100の2つのセグメント1100dと1100aに挟まれるように配置される。同様に、放射部1120のセグメント1120bは円部1100の2つのセグメント1100aと1100bに挟まれるように、セグメント1120cはセグメント1100bと1100c、セグメント320cはセグメント300cと300dに挟まれるように配置される。
また放射部1110の4つのセグメント1120a、1120b、1120c、1120dは円部1100で示される計測値の大きさとしては、それぞれ、第1から第4の判別値に相当する。よって、円部1100の4つのセグメント1100a〜1100dはそれぞれ、計測値が第1〜第4の警報レベルにある状態に対応する。
本例では、放射部1110のセグメントは、隣接する円部のセグメントがカバーする領域内にある計測値が増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのかを表示する。たとえば、図16Aに示されているように、円部1100のセグメント1100bの上限に隣接する放射部1110のセグメント1110cが点灯している場合には、計測値は第2と第3の判別値の間にあり、増加傾向にあることを示す。
外周部1120は本例では分割されないが、天気によって異なる色を発する。外周部1120は、晴れであれば点灯しないが、雨であれば青色で、曇りであれば緑色で、台風であれば赤色で、雪であれば白色で点灯する。
図16Aは、警報表示装置100の円形表示部112の円部の円部1100と外周部1110と放射部1120を用いて天気とダムの水位の計測値の増減を同時に示す表示の例を示す図である。
図16Aでは、円部1100の2つのセグメント1100aと1100bが点灯し、さらに、円部1100のセグメント1100bの上限に隣接する放射部1110cが点灯している。また外周部1120は点灯していない。この表示は、まず、天気が晴れであること示している。また、ダムの水位の計測値が第2の警報レベルにあることを示している。さらに、計測値は第2と第3の判別値の間にあり、増加傾向にあることを示している。
この表示からによれば、天気が雨ではないにも関わらず水位の計測値が増加しており、計測値の増加の原因が明らかではない。よって、装置100の利用者は、計測値の増加の原因究明が必要であることが分かる。
図16Bでは、円部1100の2つのセグメント1100aと1100bが点灯し、さらに、円部1100のセグメント1100bの下限に隣接する放射部1110bが点灯している。この表示は、まず、天気が晴れであること示している。また、計測値が第2の警報レベルにあることを示している。さらに、計測値は第2と第3の判別値の間にあり、減少傾向にあることを示している。
この表示からは、計測値が第2の警報レベルにあるが、天気が晴れで、水位の計測値も減少傾向にあることがわかる。よって、時間が経過すればダムの水位の計測値は正常状態に戻ると予想される。またこの表示は、ダムの水位を保つために放流量を控える等の対策を講じる判断材料を提供する。
図16Cでは、円部1100の2つのセグメント1100aと1100bと、円部1100のセグメント1100bの上限に隣接する放射部1110cが点灯し、さらに外周部1120が点灯している。
この表示からによれば、ダムの水位の増加は雨によるものであると判断することができる。また、計測値が第2の警報レベルにあるので、それに対応する通常の防災体制を敷くことができる。
図16Dでは、円部1100の2つのセグメント1100aと1100bと、円部1100のセグメント1100bの下限に隣接する放射部1110bが点灯し、さらに外周部1120が点灯している。
この表示からによれば、ダムの水位は雨による増加より放流による減少の方が大きいことを推測することができる。放流量が過多の場合は、放流量を減少させ、ダムにつながる河川での災害の可能性を減らす等の対策をとることができる。
次に、図17〜18を参照して、正負の値を持つ計測値を、円形表示部112の円部1100を用いて表示する例について説明する。円形表示部112は、図16と同様に、円部1100と放射部1110と外周部1120を含んでいる
図17は、河川の水位の計測値の変化の例を示す図である。横軸は時間である。しかしながら、図17は、ある時刻における河川に沿った水位の変化であると読んでも良い。
本例では、水位には下限値が存在する。下限値は計測値が0の場合であり、計測値が下限値より小さい場合は、負の値となる。また正方向には、上限1と上限2の2つの判別値が設定されている。円部1100のセグメント1100aは、下限値と上限1の間を、セグメント1100bは上限1と上限2の間を、セグメント1100cは上限2より大きい値をカバーする。また、セグメント1100dは、計測値が下限値より小さい負の値をカバーする。
図17に示されているように、領域1では、計測値は下限値と上限1の間にある。領域2では、計測値は上限値1と上限値2の間にある。領域3では、計測値は下限値より小さい領域にある。領域3では、計測値は上限2より大きい。
図18Aは、計測値が下限値と上限1の間にある場合の円形表示部112の表示の例である。この場合、円部1100のセグメント1100aが点灯している。
図18Bは、計測値が上限1と上限2の間にある場合の円形表示部112の表示の例である。この場合、円部1100のセグメント1100aと1100bが点灯している。
図18Cは、計測値が下限値より小さい場合の表示の例である。このとき、円部1100のセグメント1100dは点灯している。
図18Dは、計測値が上限2より大きい場合の円形表示部112の表示の例である。この場合、円部1100のセグメント1100aと1100bと1100cが点灯している。
このように、円形表示部112は、計測値が負を取る場合にも対応できる。
次に図19を用いて、図2の警報表示装置100に使用可能なコンピュータ1200の構成の例について説明する。
コンピュータ1200は、MPU1202、ROM1204、RAM1206、ハードディスク装置1208、入力装置1210、表示装置1212、インタフェース装置1214、及び記録媒体駆動装置1216を備えている。なお、これらの構成要素はバス1220を介して接続されており、MPU1202の管理の下で各種のデータを相互に授受することができる。
MPU(Micro Processing Unit)1202は、このコンピュータ1200全体の動作を制御する演算処理装置であり、コンピュータ1200の制御処理部として機能する。
ROM(Read Only Memory)1204は、所定の基本制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリである。MPU1202は、この基本制御プログラムをコンピュータ1200の起動時に読み出して実行することにより、このコンピュータ1200の各構成要素の動作制御が可能になる。
RAM(Random Access Memory)1206は、MPU1202が各種の制御プログラムを実行する際に、必要に応じて作業用記憶領域として使用する、随時書き込み読み出し可能な半導体メモリである。
ハードディスク装置1208は、MPU1202によって実行される各種の制御プログラムや各種のデータを記憶しておく記憶装置である。MPU1202は、ハードディスク装置1208に記憶されている所定の制御プログラムを読み出して実行することにより、後述する各種の制御処理を行えるようになる。このコンピュータ1200を図2の警報表示装置100として使用する場合には、このハードディスク装置1208が、データ格納部124として利用され得る。
入力装置1210は、図2の操作部116に相当する。図2の装置の利用者により操作されると、その操作内容に対応付けられている各種情報の入力を取得し、取得した入力情報をMPU1202に送付する。
表示装置1212は、図2の数字表示部110、円形表示部112、ブザー132に相当し、MPU1202から送付されるデータに応じて数字、図面、音声等の表示を行う。
インタフェース装置1214は、このコンピュータ1200に接続される各種機器との間での各種情報の授受の管理を行う。より具体的には、インタフェース装置1214は、例えば、図2の端末A104a、端末B104bから通信ネットワークを介して行われる、河川データ等のデータの受け取りを管理する。
記録媒体駆動装置1216は、可搬型記録媒体1218に記録されている各種の制御プログラムやデータの読み出しを行う装置である。MPU1202は、可搬型記録媒体1218に記録されている所定の制御プログラムを、記録媒体駆動装置1216を介して読み出して実行することによって、後述する各種の制御処理を行うようにすることもできる。なお、可搬型記録媒体1218としては、例えばUSB(Universal Serial Bus)規格のコネクタが備えられているフラッシュメモリ、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)などがある。
このようなコンピュータ1200を用いて図2の警報表示装置100を構成するには、例えば、後述する各種の制御処理をMPU1202に行わせるための制御プログラムを作成する。作成された制御プログラムはハードディスク装置1208若しくは可搬型記録媒体1218に予め格納しておく。そして、MPU1202に所定の指示を与えてこの制御プログラムを読み出させて実行させる。こうすることで、警報表示装置100が備えている機能がMPU1202により提供される。従って、このコンピュータ1200が警報表示装置100として機能するようになる。
以上のような構成を採用することによって、防災管理装置やシステム、国や地方自治体、または公的機が定めた防災に関する規則等に必ずしも精通していない者でも、計測器で計測された情報から、素早く正しい警報を発することができる。
また、上記実施形態を河川での災害に対する警報表示装置として用いれば、複数の計測値に対する警報レベルを容易に認識することができる。また、ダムの管理所のように、ダム湖及び河川の水位を監視するために、上限ならびに下限の警報定数が設けられている場合、正方向(上限)の警報定数のみならず、負方向(下限)の状況を監視することもできる。さらに、表示スケールにおいても、表示する計測値は定常値でも警報値でも、全ての領域で同一の尺度とは限らないため、警報レベルに達した際に、計測値の詳細を視覚的に確認することができる。
さらに、上記実施形態を河川での災害に対する警報表示装置として用いると、水位や雨量等の計測値の現在の値の大きさのみならず、測定値が増加傾向にあるのか減少傾向にあるのかなど計測値の動きに関する情報も表示することができる。計測値がある判別値を下回り警報レベルが下がったという情報を視覚的に認識することができる。特に、計測値が複数の判別値の一つを超えるとブザーが鳴ったり、警報ランプが点滅することで警報に関する情報を表示する装置で、計測値が判別値を下回るとブザーが鳴り終えたり、警報ランプが消灯してしまっても、災害の可能性を見失わずにすませることができる。
さらに、上記実施形態を河川での災害に対する警報表示装置として用いると、機能の拡張、または表示項目の変更や増加が容易であり、表示器の構成、つまり表示器の部品を変更する必要がなく、開発費や時間によるコストを抑えることができる。また、表示器に対する警報の設定が可変であり、ヒューマンエラーによる入力ミスを低減することができる。
よって、以上のような構成を採用することによって、防災管理装置やシステム、国や地方自治体、または公的機が定めた防災に関する規則等に必ずしも精通していない者でも、計測器によって得られた河川に関する情報データから、素早く正確に状況を判断することが可能な表示装置を得ることができる。特に、河川に関する情報データの現在の測定値のみならず、計測値の動きに関する情報を用いて、防災の非専門家であっても、河川の状況を判断することが可能な表示装置を得ることができる。
<警報表示装置の処理>
図20〜23を参照して、警報表示装置100の処理について説明する。
図20は、警報表示装置の円形表示部の円部および外周部の表示に伴って警報表示装置で行われる処理の流れの例を表すフローチャートである。以下の処理は定期的に、または連続的に繰り返し処理される。
本例では、円部のセグメントを計測値が大きくなる方向にA1、A2、・・・、円部のセグメントAiに対応する外周部のセグメントをRiとする。また、円部のセグメントAkとAk+1(kは正整数)を仕切る判別値をWkとする。ただし、円部のセグメントA1の下限に隣接する判別値はW0とする。また、以下では、計測値Mが円部のセグメントAiがカバーする領域にあるとき、警報レベルiの状態であるとする。
以下の処理では、たとえば、図12に示されているように、円形表示部112の円部の各セグメントAiは、点滅または点灯状態を取り得る。
また、本例では、警報表示装置100の操作部116はボタンであり、以下では確認ボタンと呼ばれる。
本処理では、警報レベルに関するダミー変数i、j(整数)を使用する。これらの値のデフォルト値はi=0、j=0である。
S100では、現在、円形表示部112で表示されている警報レベルnを取得する。
次に、S102では、計測値Mを取得する。
S102の次のS104では、計測値Mが判別値Wnより小さいかどうかを判定する。S104の判定の結果がNo、すなわち計測値Mが判別値Wnより小さくない場合には、S106に進む。また、S104の判定の結果がYes、すなわち計測値Mが判別値Wnより小さい場合にはS120に進む。
S106では、計測値Mが判別値Wn+1より大きいかどうかを判定する。S106の判定の結果がYes、すなわち計測値Mが判別値Wn+1より大きい場合にはS108に進む。S106の判定の結果がNo、すなわち計測値Mが判別値Wn+1より大きくない場合にはS118に進む。このとき、計測値Mは、判別値Wnと判別値Wn+1の間にある。したがって、現状と同様に、円部のセグメントA1〜Anを点灯したままにして、処理を終了する。
S108では、ダミー変数iの値をインクリメントする。
S108の次のS110では、計測値Mが判別値Wn+i+1より小さいかどうかを判定する。S110の判定でNo、すなわち計測値Mが判別値Wn+i+1より小さくない場合には、S108に戻る。また、S110の判定でYes、すなわち計測値Mが判別値Wn+i+1より小さい場合には、S112に進む。このとき、計測値Mは判別値Wn+iとWn+i+1の間にあり、警報レベル(n+i)の状態にあることが分かる。
S112では、円部のセグメントA1〜Anを点灯したままにする。
次のS114では、現在表示されている警報レベルとの差である警報レベル(n+1)から警報レベル(n+i)の状態を示す円部のセグメントを点滅する。具体的には、セグメントAn+1〜An+iを点滅する。S112およびS114の処理の順序は入れ替わっても良い。
S116では、確認ボタン116が装置100の利用者によって押下されたかどうかを判定する。S116の判定の結果がYes、すなわち利用者が表示を確認した場合には、S118に進む。またS116の判定の結果がNo、すなわちすなわち利用者が表示を確認していない場合には、確認ボタン116が装置100の利用者によって押下されるまでS116の処理を繰り返す。
S118では、それまで点滅状態にあった円部のセグメントAn+1〜An+iを点灯して、処理を終了する。
S120では、減少傾向計測値処理を行う。
S120における処理の詳細は図21に示されている。
図21に示されている処理では、たとえば、図12に示されているように、円形表示部112の外周部は、計測値が増加傾向にあるのか減少傾向にあるのかという情報を表示することができる。
本処理では、警報レベルに関するダミー変数i(整数)と計測値の変化の傾向に関連する変数Flg(Flg=0または1)を使用する。
S202では、警報レベルに関するダミー変数i(整数)と計測値の変化の傾向に関連する変数Flg(Flg=0または1)をリセットする。すなわちダミー変数iと計測値の変化の傾向に関連する変数Flgを、それぞれデフォルト値i=0、Flg=0とする。
次のS204でダミー変数iの値をインクリメントする。
S204の次のS206では、計測値Mが判別値Wn−iより小さいかどうかを判定する。S206の判定の結果がYes、すなわち計測値Mが判別値Wn−iより小さい場合には、S208に進む。また、S206の判定の結果がNo、すなわち計測値Mが判別値Wn−iより小さくない場合にはS210に進む。S206の判定の結果がNoのとき、計測値Mは、判別値Wn−iとWn−i+1の間、すなわち警報レベル(n−i)にある。
S208では、変数Flgの値を1にする。すなわち、計測値は、現在表示されている警報レベルより低いレベルにある場合に、Flg=1となる。S208の処理が終了するとS204に戻る。
S210では、外周部のセグメントRn−i+1からRnが点灯しているか否かを判定する。このステップに到達するのは、現在の表示は計測値が警報レベルnにあることを示しているが、現在の計測値が警報レベル(n−i)にある場合である。そこで、警報レベル(n−i+1)から警報レベルnの値をカバーする円部のセグメントAn−i+1からセグメントAnに対応する外周部が点灯しているかどうかを判定する。もし、S210の判定の結果がYes、すなわち外周部のセグメントRn−i+1からRnが点灯している場合には、S216に進む。また、S210の判定の結果がNo、すなわち周部のセグメントRn−i+1からRnが点灯していない場合には、S212に進む。
S212では、変数Flgの値が1であることを確認する。もしこのステップの判定の結果がNoであれば、処理を終了する。また、このステップの判定の結果がYesであれば、S214に進む。本ステップは省略しても良い。
S214では、外周部のセグメントRn−i+1からRnを点灯する。そして、S216に進む。
S216では、確認ボタン116が装置100の利用者によって押下されたかどうかを判定する。S216の判定の結果がYes、すなわち利用者が表示を確認した場合には、S218に進む。またS216の判定の結果がNo、すなわちすなわち利用者が表示を確認していない場合には、減少傾向計測値処理を終了する。
S218では、円部のセグメントAn−i+1からセグメントAnおよび外周部のセグメントRn−i+1からRnを消灯する。
以上のような減少傾向計測値処理が終了すると、図20の処理も終了する。
図22〜23を参照して、上記の処理によって実現する円形表示部116の表示の例について説明する。
図22〜23では図20〜21と同様に、円部のセグメントを計測値が大きくなる方向にA1、A2、A3、A4、円部のセグメントA1、A2、A3、A4のそれぞれに対応する外周部のセグメントをR1、R2、R3、R4とする。また、円部のセグメントAkとAk+1(kは1〜4の整数)を仕切る判別値をWkとする。ただし、円部のセグメントA1の下限に隣接する判別値はW0とする。また、以下では、計測値Mが円部のセグメントAkがカバーする領域にあるとき、警報レベルkの状態であるとする。
図22は河川の水位の計測値の時間変化を示す図である。横軸が時間で、縦軸が水位の計測値を示す。図22には、装置100の利用者によって操作部116が操作される(確認ボタンが押下される)タイミングも同時に示されている。
図22に示されている水位の計測値は、定常状態から徐々に上昇し時刻T1で第1の判別値(警報レベル1)を超える。その後、計測値は上昇を続け、T3で第3の判別値(警報レベル3)を超える。そして、計測値は第4の判別値を超えることなく、時刻T5で第3の判別値(警報レベル2)を下回り、時刻T7で第1の判別値を下回り、定常状態に達する。
図22に示されているように、装置100の利用者は、時刻T1とT3の間の時刻T2、時刻T3とT5の間の時刻T4、時刻T5とT7の間の時刻T6、そして時刻T7以降の時刻T8で操作部116を操作する。
また、時刻T1以前を期間1、時刻T1とT2の間の期間を期間2などとし、時刻T8以降を期間9とする。
図23Aは水位の計測値が定常状態にある場合の、つまり期間1における円形表示部112の表示の例である。この状態では、円部のセグメントA1、A2、A3、A4は点灯も点滅もせず、外周部のセグメントをR1、R2、R3、R4も点灯しない。
図23Bは、水位の計測値が第1の警報レベルを超えて増加し、装置100の利用者によって操作部116が操作される(確認ボタンが押下される)時刻T2まで、つまり期間2における表示の例である。このとき、円部のセグメントA1が点滅する。
図23Cは、時刻T2で装置100の利用者によって操作部116が操作されたときの表示の例である。このとき、円部のセグメントA1が点灯する。
図23Dは、水位の計測値がさらに増加して、第3の警報レベルに達した時刻T4における円形表示部112の表示の例である。このとき、円部のセグメントA1が点灯し、セグメントA2、A3が点滅している。
図23Eは、時刻T2で装置100の利用者によって操作部116が操作されたときの表示の例である。このとき、円部のセグメントA1、A2、A3が点灯する。
図23Fは、時刻T5で第3の判別値(警報レベル3)を下回ったときの円形表示部112の表示の例である。このとき、円部のセグメントA1、A2、A3が点灯し、さらに円部のセグメントA3に対応する外周部のセグメントR3が点灯する。
図23Gは、時刻T6で装置100の利用者によって操作部116が操作されたときの表示の例である。時刻T6では、計測値は警報レベル2の状態にあるので、円部のセグメントA1、A2が点灯し、外周部のセグメントR3は消灯する。
図23Hは、時刻T7で第1の判別値を下回り、定常状態に達したときの円形表示部112の表示の例である。このとき、円部のセグメントA1、A2が点灯し、さらに円部のセグメントA1、A2に対応する外周部のセグメントR1、R2が点灯する。
図23Iは、時刻T8で装置100の利用者によって操作部116が操作されたときの表示の例である。円部のセグメントA1、A2、A3、A4は点灯も点滅もせず、外周部のセグメントをR1、R2、R3、R4も点灯しない。
次に図24を参照して、警報表示装置の円形表示部の放射部の表示に伴って警報表示装置で行われる処理の流れの例を表すフローチャートである。以下の処理は定期的に、または連続的に繰り返し処理される。また、図24に示されている処理は、図20〜21に示した円形表示部が円部および外周部の表示に伴って警報表示装置で行われる処理と並行して処理され得る。
本例では、円部のセグメントを計測値が大きくなる方向にA1、A2、・・・が配置され、円部のセグメントAkとAk+1(kは正整数)の間に放射部のセグメントDkが配置されているとする。円部のセグメントAkとAk+1(kは正整数)を仕切る判別値をWkとすると、放射部のセグメントDkは、円部では計測値Wkを指す位置に配置される。円部のセグメントAkの上限、すなわちセグメントAkがカバーする計測値の範囲の最小値はWk−1、最大値はWkである。円部のセグメントA1の下限に隣接する判別値はW0とする。また、以下では、計測値Mが円部のセグメントAkがカバーする領域にあるとき、警報レベルkの状態であるとする。
また、Δはパラメータとし、本例では、計測値が判別値Wkを中心に2Δの範囲にあるときに、放射部のセグメントDkが点滅するものとする。
S302では計測値Mを取得する。
S304では、S302で取得した計測値Mに対応する警報レベルの値nを決定する。
次のS306では、(M−Wn−1)がΔより小さいかどうかを判定する。S306の判定の結果がYes、すなわち(M−Wn−1)がΔより小さい場合にはS308に進む。S306の判定の結果がNo、すなわち(M−Wn−1)がΔより小さくない場合にはS310に進む。
S308では、放射部のセグメントDn−1を点滅させる。このことによって、計測値Mは、警報レベルnの状態の下限に近い値であることを表示することができる。
S310では、(Wn−M)がΔより小さいかどうかを判定する。S310の判定の結果がYes、すなわち(Wn−M)がΔより小さい場合にはS312に進む。S306の判定の結果がNo、すなわち(Wn−M)がΔより小さくない場合には処理を終了する。
S312では、放射部のセグメントDnを点滅させる。このことによって、計測値Mは、警報レベルnの状態の上限に近い値であることを表示することができる。
以上のような処理によって、河川に関する情報データの現在の測定値のみならず、計測値の動きに関する情報を用いて河川の状況を判断することが可能であり、河川に関する防災に精通していない者でも、計測器によって得られた河川に関する情報データから、素早く正確に状況を判断することができる。
<比較例>
図25は、警報表示装置の比較例2000である。
図25の警報表示装置2000は、計測値が取得された地点名を表示する計測地点名表示部2002と、計測値が増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのかを表示する増減表示部2004、警報ランプ2006、および計測値を数字で表示する数字表示部2008を含む。
増減表示部2004は、例えば、t分前と(t−1)分前の計測値を比較して、その差分の値により増減方向のどちらかのランプが点灯する。tの値としては、0.5、1、5などを例示することができる。
図4に示されているような円形表示部112を有する警報表示装置100と図23の警報表示装置2000を比較すると、警報表示装置100について次のような特徴を見出すことができる。
警報表示装置100は円形表示部112を有している。円形のグラフで計測値を表示することによって、装置の利用者は、計測値の相対的なレベルを視覚的に素早く読み取ることができる。警報表示装置100は円形表示部112と数字表示部110を有しており、最初に円形表示部112で計測値に関する直感的な理解をしてから、数字表示部110で数値を読むことによって、適切なタイミングで状況について詳細な認識を得ることができる。
特に、円形表示部112の表示では、計測値が正常な値を示す定常状態と、計測値が警報を発すべき値を示す警報状態の割合を調整することによって、複数の警報状態があっても、装置の利用者は、警報レベルを容易に確認することができる。計測値に対して複数の判別値が存在しさらに判別値の数が時期や天候によって変化する場合でも、円部の領域分割の仕方を変えることによって、装置100の利用者は、その状況に最適な表示を選択することができる。また、たとえば放射部の表示を利用するなどによって、判別値付近の計測値の変動を容易に確認することができる。また、円形表示部の円部は、正負の両方向の値を有する計測値についても、表示が容易である。
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
それぞれ複数の表示モードを有し、全てが組み合わさって略円形を形成する複数の円部セグメントを含む円部であって、円部表示情報に基づいて、警報レベルに対応する前記複数の円部セグメントの前記表示モードが変化する円部と、
前記円部の前記複数の円部セグメントのそれぞれ対応し、それぞれ複数の表示モードを有し、全てが組み合わさって略円を形成する複数の外周部セグメントを含む外周部であって、前記複数の外周部セグメントのそれぞれは、外周部表示情報に基づいて、前記表示モードが変化し、外部からの入力に関する入力操作情報に応答して、前記表示モードが元に戻る外周部と、
外部から入力を受け、前記入力に関する情報を前記入力操作情報として送る操作部と、
計測値が複数の判別値で区分けされる計測値の領域のどの領域に属するか、および計測値が対応する前記複数の円部セグメントの一つがカバーする領域にある状態からそうでない状態への変化が生じたかどうかを判定し、前記計測値が属する領域を前記円部表示情報として、さらに、もし前記変化が生じたときには前記変化に関する情報を前記外周部表示情報として送る表示制御部と、
を含む警報表示装置。
(付記2)
さらに、それぞれ複数の表示モードを有し、前記複数の判別値に対応するように前記複数の円部セグメントの前記円部の隣接する2つのセグメントに挟まれて配置される複数の放射部セグメントを含み、放射部表示情報に基づいて、前記複数の判別値の一つに対応する前記複数の放射部セグメントの一つの前記表示モードが変化する放射部と、
を含み、
前記表示制御部はさらに、前記計測値が前記複数の判別値の一つに近いかどうかを判定し、前記計測値が前記複数の判別値の一つに近い場合には前記複数の判別値の一つに関する情報を前記放射部表示情報として送る、付記1に記載の警報表示装置。
(付記3)
それぞれ複数の表示モードを有し、全てが組み合わさって略円形を形成する複数の円部セグメントを含む円部であって、円部表示情報に基づいて、警報レベルに対応する前記複数の円部セグメントの前記表示モードが変化する円部と、
前記複数の円部セグメントの前記円部の隣接する2つのセグメントに挟まれて配置される複数の放射部セグメントを含み、放射部表示情報に基づいて、前記複数の判別値の一つに対応する前記複数の放射部セグメントの一つの前記表示モードが変化する放射部と、
計測値が複数の判別値で区分けされる計測値の領域のどの領域に属するか、および前記計測値が前記複数の判別値の一つに近いかどうかを判定し、前記計測値が属する領域を前記円部表示情報として、前記計測値が前記複数の判別値の一つに近い場合には前記複数の判別値の一つに関する情報を前記放射部表示情報として送る表示制御部と、
を含む警報表示装置。
(付記4)
さらに、前記円部の前記複数の円部セグメントのそれぞれ対応し、それぞれ複数の表示モードを有し、全てが組み合わさって略円を形成する複数の外周部セグメントを含む外周部であって、前記複数の外周部セグメントのそれぞれは、外周部表示情報に基づいて、前記表示モードが変化し、外部からの入力に関する入力操作情報に応答して、前記表示モードが元に戻る外周部と、
外部から入力を受け、前記入力に関する情報を前記入力操作情報として送る操作部と、
を含み、
前記表示制御部はさらに、計測値が対応する前記複数の円部セグメントの一つがカバーする領域にある状態からそうでない状態への変化が生じたかどうかを判定し、さらに、もし前記変化が生じたときには前記変化に関する情報を前記外周部表示情報として送る、付記3に記載の警報表示装置。
(付記5)
前記判別値の数が3以上である付記1乃至4のいずれか一項に記載の警報表示装置。
(付記6)
前記計測値は河川の水位および流水量を含む水文情報と、季節、河川沿岸地域の天候を含む気象情報を含む河川情報である、付記1乃至5のいずれか一項に記載の警報表示装置。
(付記7)
前記判別値および/または前記判別値の数は前記気象情報に依存する付記6に記載の警報表示装置。
(付記8)
前記気象情報は、前記円部または外周部を用いて表示される付記2乃至7に記載の警報表示装置。
(付記9)
前記円部の前記複数の円部セグメントがカバーする計測値の領域の大きさが、前記複数の円部セグメントによって異なる、付記1乃至5のいずれか一項に記載の警報表示装置。
(付記10)
前記計測値が前記判別値の最小値より小さい場合を定常状態、前記計測値が前記判別値の最小値より大きい場合を警報状態と呼ぶとき、前記複数の円部セグメントのそれぞれカバーする計測値の領域の大きさが、その円部セグメントが定常状態に対応する計測値の領域をカバーするのか、警報状態に対応する計測値の領域をカバーするのかに依存する、付記9に記載の警報表示装置。
(付記11)
それぞれ複数の表示モードを有し、全てが組み合わさって略円形を形成する円部の複数の円部セグメントのそれぞれは、複数の判別値で区分けされる計測値の領域をカバーし、計測値が、複数の円部セグメントがカバーする領域に含まれるとき、対応する前記複数の円部セグメントの一つの前記表示モードを変化させることと、
前記円部の前記複数の円部セグメントのそれぞれ対応し、それぞれ複数の表示モードを有し、全てが組み合わさって略円を形成する複数の外周部セグメントを含む外周部であって、前記複数の外周部セグメントのそれぞれは、計測値が対応する前記複数の円部セグメントの一つがカバーする領域にある状態からそうでない状態に変化したときに、前記表示モードが変化し、外部から入力される確認を示す命令に対応して、前記表示モードを元に戻すこと、
を含む警報表示方法。
(付記12)
さらに、それぞれ複数の表示モードを有し、前記複数の判別値に対応するように前記複数の円部セグメントの前記円部の隣接する2つのセグメントに挟まれて配置される放射部の複数の放射部セグメントにおいて、計測値が、前記複数の判別値の一つに近いときに前記複数の判別値の一つに対応する前記複数の放射部セグメントの一つの前記表示モードを変化させること、
を含む付記11に記載の警報表示方法。
(付記13)
それぞれ複数の表示モードを有し、全てが組み合わさって略円形を形成する円部の複数の円部セグメントのそれぞれは、複数の判別値で区分けされる計測値の領域をカバーし、計測値が、複数の円部セグメントがカバーする領域に含まれるとき、対応する前記複数の円部セグメントの一つまたは複数の前記表示モードを変化させることと、
それぞれ複数の表示モードを有し、前記複数の判別値に対応するように前記複数の円部セグメントの前記円部の隣接する2つのセグメントに挟まれて配置される放射部の複数の放射部セグメントにおいて、計測値が、前記複数の判別値の一つに近いときに前記複数の判別値の一つに対応する前記複数の放射部セグメントの一つの前記表示モードを変化させること、
を含む警報表示方法。
(付記14)
さらに、前記円部の前記複数の円部セグメントのそれぞれ対応し、それぞれ複数の表示モードを有し、全てが組み合わさって略円を形成する複数の外周部セグメントを含む外周部であって、前記複数の外周部セグメントのそれぞれは、計測値が対応する前記複数の円部セグメントの一つがカバーする領域にある状態からそうでない状態に変化したときに、前記表示モードが変化し、外部から入力される確認を示す命令に対応して、前記表示モードを元に戻すこと、
を含む付記13に記載の警報表示方法
(付記15)
前記判別値の数が3以上である付記11乃至14のいずれか一項に記載の警報表示方法。
(付記16)
前記計測値は河川の水位および流水量を含む水文情報と、季節、河川沿岸地域の天候を含む気象情報を含む河川情報である、付記11乃至15のいずれか一項に記載の警報表示方法。
(付記17)
前記判別値および/または前記判別値の数は前記気象情報に依存する付記16に記載の警報表示方法。
(付記18)
さらに、前記気象情報は、前記円部または外周部を用いて表示すること、
を含む付記12乃至17に記載の警報表示方法。
(付記19)
前記円部の前記複数の円部セグメントがカバーする計測値の領域の大きさが、前記複数の円部セグメントによって異なる、付記12乃至16のいずれか一項に記載の警報表示方法。
(付記20)
前記計測値が前記判別値の最小値より小さい場合を定常状態、前記計測値が前記判別値の最小値より大きい場合を警報状態と呼ぶとき、前記複数の円部セグメントのそれぞれカバーする計測値の領域の大きさが、その円部セグメントが定常状態に対応する計測値の領域をカバーするのか、警報状態に対応する計測値の領域をカバーするのかに依存する、付記19に記載の警報表示方法。
(付記21)
それぞれ複数の表示モードを有し、全てが組み合わさって略円形を形成する複数の円部セグメントを含む円部であって、前記複数の円部セグメントのそれぞれは、複数の判別値で区分けされる計測値の領域をカバーし、計測値が、複数の円部セグメントがカバーする領域に含まれるとき、対応する前記複数の円部セグメントの一つまたは複数の前記表示モードが変化する円部と、
前記円部の前記複数の円部セグメントのそれぞれ対応し、それぞれ複数の表示モードを有し、全てが組み合わさって略円を形成する複数の外周部セグメントを含む外周部であって、前記複数の外周部セグメントのそれぞれは、計測値が対応する前記複数の円部セグメントの一つがカバーする領域にある状態からそうでない状態に変化したときに、前記表示モードが変化し、外部から入力される確認を示す命令に対応して、前記表示モードが元に戻る外周部と、
を含む警報表示装置。
(付記22)
さらに、それぞれ複数の表示モードを有し、前記複数の判別値に対応するように前記複数の円部セグメントの前記円部の隣接する2つのセグメントに挟まれて配置される複数の放射部セグメントを含む放射部であって、計測値が、前記複数の判別値の一つに近いときに前記複数の判別値の一つに対応する前記複数の放射部セグメントの一つの前記表示モードが変化する放射部と、
を含む付記21に記載の警報表示装置。
(付記23)
それぞれ複数の表示モードを有し、全てが組み合わさって略円形を形成する複数の円部セグメントを含む円部であって、前記複数の円部セグメントのそれぞれは、複数の判別値で区分けされる計測値の領域をカバーし、計測値が、複数の円部セグメントがカバーする領域に含まれるとき、対応する前記複数の円部セグメントの一つまたは複数の前記表示モードが変化する円部と、
それぞれ複数の表示モードを有し、前記複数の判別値に対応するように前記複数の円部セグメントの前記円部の隣接する2つのセグメントに挟まれて配置される複数の放射部セグメントを含む放射部であって、計測値が、前記複数の判別値の一つに近いときに前記複数の判別値の一つに対応する前記複数の放射部セグメントの一つの前記表示モードが変化する放射部と、
を含む警報表示装置。
(付記24)
さらに、前記円部の前記複数の円部セグメントのそれぞれ対応し、それぞれ複数の表示モードを有し、全てが組み合わさって略円を形成する複数の外周部セグメントを含む外周部であって、前記複数の外周部セグメントのそれぞれは、計測値が対応する前記複数の円部セグメントの一つがカバーする領域にある状態からそうでない状態に変化したときに、前記表示モードが変化し、外部から入力される確認を示す命令に対応して、前記表示モードが元に戻る外周部と、
を含む付記23に記載の警報表示装置。
(付記25)
前記判別値の数が3以上である付記21乃至24のいずれか一項に記載の警報表示装置。
(付記26)
前記計測値は河川の水位および流水量を含む水文情報と、季節、河川沿岸地域の天候を含む気象情報を含む河川情報である、付記21乃至25のいずれか一項に記載の警報表示装置。
(付記27)
前記判別値および/または前記判別値の数は前記気象情報に依存する付記26に記載の警報表示装置。
(付記28)
前記気象情報は、前記円部または外周部を用いて表示される付記22乃至27に記載の警報表示装置。
(付記29)
前記円部の前記複数の円部セグメントがカバーする計測値の領域の大きさが、前記複数の円部セグメントによって異なる、付記21乃至25のいずれか一項に記載の警報表示装置。
(付記30)
前記計測値が前記判別値の最小値より小さい場合を定常状態、前記計測値が前記判別値の最小値より大きい場合を警報状態と呼ぶとき、前記複数の円部セグメントのそれぞれカバーする計測値の領域の大きさが、その円部セグメントが定常状態に対応する計測値の領域をカバーするのか、警報状態に対応する計測値の領域をカバーするのかに依存する、付記29に記載の警報表示装置。