JP2013221772A - 熱損失係数推定装置、熱損失係数推定方法、およびプログラム - Google Patents

熱損失係数推定装置、熱損失係数推定方法、およびプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP2013221772A
JP2013221772A JP2012091672A JP2012091672A JP2013221772A JP 2013221772 A JP2013221772 A JP 2013221772A JP 2012091672 A JP2012091672 A JP 2012091672A JP 2012091672 A JP2012091672 A JP 2012091672A JP 2013221772 A JP2013221772 A JP 2013221772A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
room
building
measurement
temperature
measurement data
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012091672A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5841485B2 (ja
Inventor
Hiroshi Sawai
博 澤井
Yasuo Yanagisawa
泰男 柳澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
INTEGRAL KK
Original Assignee
INTEGRAL KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by INTEGRAL KK filed Critical INTEGRAL KK
Priority to JP2012091672A priority Critical patent/JP5841485B2/ja
Publication of JP2013221772A publication Critical patent/JP2013221772A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5841485B2 publication Critical patent/JP5841485B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01KMEASURING TEMPERATURE; MEASURING QUANTITY OF HEAT; THERMALLY-SENSITIVE ELEMENTS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G01K17/00Measuring quantity of heat
    • G01K17/06Measuring quantity of heat conveyed by flowing media, e.g. in heating systems e.g. the quantity of heat in a transporting medium, delivered to or consumed in an expenditure device
    • G01K17/08Measuring quantity of heat conveyed by flowing media, e.g. in heating systems e.g. the quantity of heat in a transporting medium, delivered to or consumed in an expenditure device based upon measurement of temperature difference or of a temperature
    • G01K17/20Measuring quantity of heat conveyed by flowing media, e.g. in heating systems e.g. the quantity of heat in a transporting medium, delivered to or consumed in an expenditure device based upon measurement of temperature difference or of a temperature across a radiating surface, combined with ascertainment of the heat transmission coefficient

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)
  • Building Environments (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)

Abstract

【課題】 煩雑なデータ入力をできる限り少なくし、高い精度でQ値を推定することができる熱損失係数推定装置を提供することにある。
【解決手段】 熱損失係数推定部33は、複数の部屋の温度を測定して得られた測定室測定データ24、建物外部の温度を測定して得られた建物外部測定データ26、部屋に関する情報を含む部屋情報25、および所定の熱移動モデルを用いてQ値の推定を行う。熱損失係数推定部33は、各データに基づいて建物全体の平均温度を求めるとともに外部に接する部屋の平均温度を求め、これら2つの平均温度が一定の関係となる熱移動モデルに従ってQ値を算出する。建物全体の温度は、各部屋の面積に応じた重み付けで平均化され、外部に接する部屋の温度は、各部屋の断熱性能に応じた重み付けで平均化される。
【選択図】 図1

Description

この発明は、建物の熱損失係数を効果的に推定する熱損失係数推定装置に関する。
平成12年4月1日に、住宅の品質確保と消費者の保護を目的として「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施行され、そこで、様々な住宅の性能をわかりやすく表示する「住宅性能表示制度」が制定された。この「住宅性能表示制度」における性能表示事項の一つが温熱環境に関する事項であり、より具体的には、省エネルギー対策等級というものである。
省エネルギー対策等級が高ければ、それだけ建物の断熱性が上がり、暖冷房費を節約することができる。消費者は、こうした省エネルギーの指標を参考にして、より好ましい住宅の購入を検討することができる。また、近年、省エネルギーや環境問題に対する意識の高まりを背景に、省エネルギー対策等級が高い住宅に対しては、さまざまな補助・助成制度が設けられている。たとえば、平成22年には、国土交通省、経済産業省、環境省の三省合同事業として、住宅のエコリフォームやエコ住宅の建築に着工した場合に、様々な商品等と交換可能な住宅エコポイントが与えられる制度が開始されている。
省エネルギー対策等級は、熱損失係数(Q値)や夏期日射取得係数(μ値)といった、省エネルギーに関する性能情報を利用した一定の基準によって判定される。ここで、熱損失係数は、建物の断熱性能を表す数値であり、建物の内部と外気の温度差を1℃としたときに、建物内部から建物外部へ逃げる時間あたりの熱量を床面積で除した数値のことを指す。したがって、このQ値が小さいほど住宅の断熱性能が高いことになり、省エネルギー対策等級等の省エネ基準の判断においては有利なものとなる。
こうした、省エネルギーに関する性能情報を求めるために各種ソフトウエアが用意されている。代表的なタイプは、建物全体の情報や各部屋についての詳細な仕様など(たとえば、間取り、床・天井・壁の仕様、使用している断熱材の種類等)を用い、定義にしたがって上記性能情報を理論的に計算するソフトウエアである。また、建物の仕様に関するデータを入力するとともに、建物の様々な場所で温度を測定し、これらのデータから省エネルギーに関する性能情報を計算するソフトウエアもある。
しかしながら、これらの既存のソフトウエアで上記性能情報を求めようとする場合、建物の仕様に関する詳細なデータを大量に入力する必要があり、このようなデータ入力は極めて煩雑であるとともに長時間を要するものである。こうした問題に対応するために、特許文献1では、データ入力を簡略化した個別建物の性能情報提示装置が提案されている。特許文献1の性能情報提示装置は、基本的な仕様を有する建物についてあらかじめ取得したシミュレーション結果から導き出した熱損失係数−暖房負荷近似線情報に基づいて暖房負荷を予測する。
また、特許文献2では、建物を1つの部屋とみなし、外乱の温度と外乱に対する室温の応答係数との合成積に、発熱量と発熱量に対する室温の応答係数との合成積を加算することによりQ値を算出するQ値解析システムが開示されている。
特開2002−4403号公報 特開2010−78447号公報
しかしながら、特許文献1のような性能情報提示装置では、Q値の計算を従来の方法で行う必要があり、依然として多くのデータ入力が要求される。たとえば、Q値を求めるために、少なくとも個別建物の開口部データおよび建物寸法データなどの詳細なデータ入力が必要であり、ユーザのデータ入力の負担が大きい。ここで、開口部データとは窓等の大きさ、配置、向き等であり、建物寸法データとは外壁の面積や向き等である。
また、特許文献2のようなQ値解析システムでは、建物を1つの部屋とみなし、建物を熱抵抗および熱容量で表現し、建物の内部と外部との熱交換の関係を示す熱回路モデルに基づくものであるが、複数の部屋で測定された温度データが総合的に考慮される構成にはなっていない。
したがって、本発明の目的は、建物の仕様に関するデータ入力を最小限にとどめて煩雑さを減少させるとともに、建物内の複数の部屋で計測した温度データを総合的に考慮することによって、高い精度でQ値を推定することができる熱損失係数推定装置、熱損失係数推定方法、およびプログラムを提供することである。
本発明の第1の実施態様は、診断対象の建物に関し、暖房装置または冷房装置を停止した以降の複数の測定タイミングで建物内の複数の部屋の温度を測定して得られた測定室測定データと、測定タイミングに対応するタイミングで建物外部の温度を測定して得られた建物外部測定データを入力し、測定データ記憶手段に記憶する測定データ入力手段と、複数の部屋のそれぞれに関する情報である部屋情報を入力する部屋情報入力手段と、測定室測定データ、建物外部測定データ、部屋情報、および所定の熱移動モデルに基づく方程式を用いて、診断対象の建物に関する熱損失係数を推定する熱損失係数推定手段とを有する熱損失係数推定装置である。ここで、当該熱移動モデルは、所定期間における建物全体の温度の変化と、当該所定期間における複数の部屋のうち外部に接する部屋の温度と建物外部の温度との差に基づいて求められる温度の積算値が一定の関係にあるというものである。また、熱損失係数推定手段は、同じ測定タイミングの複数の部屋の測定室測定データを、対応する部屋の面積または気積に応じた重み付けで平均化することによって建物全体の温度を求め、同じ測定タイミングの外部に接する部屋の測定室測定データを、対応する部屋の断熱性能に応じた重み付けで平均化することによって、各測定タイミングにおける外部に接する部屋の温度を求める。また、暖房装置または冷房装置は、建物内のすくなくとも1つの部屋に配置され、部屋の面積または気積は、当該部屋に対応する部屋情報に基づいて取得される。
こうした本発明の第1の実施態様によって、建物の仕様に関する詳細なデータ入力をすることなく、複数の部屋で測定された温度データを使用して、高精度なQ値推定を実現することができる。
本発明の第2の実施態様は、第1の実施態様において、熱損失係数推定手段が、建物の部位について設定された係数を、複数の部屋に対し、当該部屋の部屋情報に基づく値に応じてそれぞれ割り振り、これらを部屋ごとに合計することによって断熱性能に応じた重み付けを求めるように構成される。ここで、部屋情報に基づく値は、部屋に対応する部屋情報であって当該部位に関連する項目の値である。
本発明の第3の実施態様は、第1の実施態様において、熱移動モデルにおける一定の関係が、所定期間における建物全体の温度の変化が、当該所定期間における外部に接する部屋の温度と建物外部の温度との差に基づいて求められる温度の積算値と、当該所定期間における建物の内部発熱による温度上昇とを加算したものに等しいという関係であるように構成される。
本発明の第4の実施態様は、診断対象の建物に関し、暖房装置または冷房装置を停止した以降の複数の測定タイミングで建物内の複数の部屋の温度を測定して得られた測定室測定データと、測定タイミングに対応するタイミングで建物外部の温度を測定して得られた建物外部測定データを入力し、測定データ記憶手段に記憶する測定データ入力手段と、複数の部屋のそれぞれに関する情報である部屋情報を入力する部屋情報入力手段と、測定室測定データ、建物外部測定データ、部屋情報、および所定の熱移動モデルに基づく方程式を用いて、診断対象の建物に関する熱損失係数を推定する熱損失係数推定手段とを有する熱損失係数推定装置である。ここで、当該熱移動モデルは、所定期間における建物全体の温度の変化と、当該所定期間における複数の部屋のうち外部に接する部屋の温度と建物外部の温度との差に基づいて求められる温度の積算値が一定の関係にある熱移動モデルであるというものである。また、熱損失係数推定手段は、建物全体の温度と外部に接する部屋の温度を、測定室測定データおよび部屋情報を用いて求めるように構成される。
本発明の第5の実施態様は、診断対象の建物に関し、暖房装置または冷房装置を停止した以降の複数の測定タイミングで建物内の複数の部屋の温度を測定して得られた測定室測定データと、測定タイミングに対応するタイミングで建物外部の温度を測定して得られた建物外部測定データを入力し、測定データ記憶手段に記憶する測定データ入力ステップと、複数の部屋のそれぞれに関する情報である部屋情報を入力する部屋情報入力ステップと、測定室測定データ、建物外部測定データ、部屋情報、および所定の熱移動モデルに基づく方程式を用いて、診断対象の建物に関する熱損失係数を推定する熱損失係数推定ステップとを有する熱損失係数推定方法である。ここで、当該熱移動モデルは、所定期間における建物全体の温度の変化と、当該所定期間における複数の部屋のうち外部に接する部屋の温度と建物外部の温度との差に基づいて求められる温度の積算値が一定の関係にあるというものである。また、熱損失係数推定ステップは、同じ測定タイミングの複数の部屋の測定室測定データを、対応する部屋の面積または気積に応じた重み付けで平均化することによって建物全体の温度を求め、同じ測定タイミングの外部に接する部屋の測定室測定データを、対応する部屋の断熱性能に応じた重み付けで平均化することによって、各測定タイミングにおける外部に接する部屋の温度を求める。また、暖房装置または冷房装置が、建物内のすくなくとも1つの部屋に配置され、部屋の面積または気積は、当該部屋に対応する部屋情報に基づいて取得される。
なお、第5の実施態様の熱損失係数推定方法に、第2の実施態様および第3の実施態様の構成を組み込むことができる。
本発明の第6の実施態様は、コンピュータに、診断対象の建物に関し、暖房装置または冷房装置を停止した以降の複数の測定タイミングで建物内の複数の部屋の温度を測定して得られた測定室測定データと、測定タイミングに対応するタイミングで建物外部の温度を測定して得られた建物外部測定データを入力し、測定データ記憶手段に記憶する測定データ入力手段、複数の部屋のそれぞれに関する情報である部屋情報を入力する部屋情報入力手段および、測定室測定データ、建物外部測定データ、部屋情報、および所定の熱移動モデルに基づく方程式を用いて、診断対象の建物に関する熱損失係数を推定する熱損失係数推定手段として機能させるプログラムである。ここで、熱移動モデルは、所定期間における建物全体の温度の変化と、当該所定期間における複数の部屋のうち外部に接する部屋の温度と建物外部の温度との差に基づいて求められる温度の積算値が一定の関係にあるというものである。また、熱損失係数推定手段は、同じ測定タイミングの複数の部屋の測定室測定データを、対応する部屋の面積または気積に応じた重み付けで平均化することによって建物全体の温度を求め、同じ測定タイミングの外部に接する部屋の測定室測定データを、対応する部屋の断熱性能に応じた重み付けで平均化することによって、各測定タイミングにおける外部に接する部屋の温度を求める。また、暖房装置または冷房装置が、建物内のすくなくとも1つの部屋に配置され、部屋の面積または気積は、当該部屋に対応する部屋情報に基づいて取得される。
なお、第6の実施態様の熱損失係数推定方法に、第2の実施態様および第3の実施態様の構成を組み込むことができる。
本発明に係る熱損失係数推定装置によって、建物の仕様に関するデータ入力を最小限に抑えることによってユーザの負担を軽減することができる。また、複数の部屋で測定された温度データを使用することによって、より高い精度でQ値の推定を行うことが可能となる。
本発明に係る熱損失係数推定装置を含む熱損失係数推定システムの概要を示す略線図である。 本発明に係る熱損失係数推定装置で使用する熱移動モデルを説明するための略線図である。 本発明に係る熱損失係数推定装置の機能ブロック図である。 本発明に係る熱損失係数推定装置でQ値の推定を行う、診断対象の建物の例を示す略線図である。 本発明に係る熱損失係数推定装置で使用されるロガーデータおよび保存データの例を示す略線図である。 本発明に係る熱損失係数推定装置で使用される部屋情報の例、および建物の部位ごとの係数の例を示す略線図である。 本発明に係る熱損失係数推定装置におけるQ値の推定処理の過程を説明するための略線図である。 本発明に係る熱損失係数推定装置におけるQ値の推定処理の過程を説明するための略線図である。 本発明に係る熱損失係数推定装置における熱損失係数推定処理の手順の例を示すフローチャートである。 本発明に係る熱損失係数推定装置に関し、表示装置に表示される診断メニュー画面の例を示す略線図である。 本発明に係る熱損失係数推定装置に関し、表示装置に表示される部屋情報入力画面の例を示す略線図である。 本発明に係る熱損失係数推定装置を構成するコンピュータのハードウエア構成の例を示す略線図である。
本発明の熱損失係数推定装置は、冬期に実際の建物において暖房装置の稼働を停止した以降の(または、夏期に冷房装置の稼働を停止した以降の)、建物内部と建物外部の温度を測定し、それらの測定データ、部屋情報、および熱移動モデルを用いて、熱損失係数、すなわちQ値の推定を行う。また、建物内部については、複数の部屋において温度の測定が行われる。
最初に、本発明の一実施形態に係る熱損失係数推定装置を含む熱損失係数推定システム1の概要を、図1を参照して説明する。熱損失係数推定システム1は、建物10、建物内部用の温度計20(20A、20B、・・・)、建物外部用の温度計22、および熱損失係数推定装置30を含むよう構成される。建物10は、居住のための住宅のほか、事務所や集合住宅など、様々な目的の建造物を含む。建物10には、冷暖房装置12が配置または配設される。複数の測定室14(14A、14B、14C、14D、・・・)は建物10の内部にある、温度測定の対象となる部屋であり、少なくともそのうちの1部屋には冷暖房装置12(12A、12B、・・・)が配置等され、暖房により室内の空気が温められる(または、冷房により室内の空気が冷やされる)。また、冷暖房装置12が複数ある場合、その冷暖房装置12は基本的に同時に稼働が停止され、それ以降で測定された部屋の温度が、本発明の熱損失係数推定装置で使用される。
なお、本発明の熱損失係数推定装置30は、冷房または暖房のどちらかにより実現可能であり、したがって、冷房機能のみを備えた冷房装置や暖房機能のみを備えた暖房装置を用いることもできる。ここでは、冬期に、冷暖房装置12の暖房機能を利用した例について説明する。
温度計20Aは、測定室14Aに(通常または一時的に)設置され、温度計20Bは、測定室14Bに設置され、以下同様に、温度計がそれぞれの測定室に設置される。また、それぞれの温度計20は、測定期間内に、少なくとも暖房停止時以降の室温を所定時間、所定のインターバルで部屋の温度を測定して、測定結果をメモリ等に記憶する温度データロガーである。上記所定時間は、たとえば6時間であり、インターバルは1分である。温度計20は、測定室14の床から約120cmの高さに配置され、冷暖房装置12の温風が直接あたらないなど、冷暖房装置12による局所的な影響を受けない場所であることが好ましい。温度計20のメモリ等に記憶された測定結果(測定室測定データ24)は、測定期間の終了後、ユーティリティ等を利用することにより、たとえばUSBケーブルを介して熱損失係数推定装置30に提供される。
温度計22は、温度計20と同様の温度データロガーであり、建物10の外部に(通常は一時的に)配置され、特に、建物10に近接した場所、たとえば玄関先など、建物10の外部の温度を適切に代表する場所に配置されることが望ましい。また、温度計22は、測定期間内に、建物10の外気温を温度計20と同じ時間、同じインターバルで測定する。このとき、温度計22の測定タイミングは温度計20のそれぞれの測定タイミングに対応し、対応する両方の測定タイミングが完全に一致していることが望ましい。メモリ等に記憶された測定結果(建物外部測定データ26)は、測定期間の終了後、ユーティリティ等を利用することにより、たとえばUSBケーブルを介して熱損失係数推定装置30に提供される。
さらに、それぞれの測定室に関する情報が部屋情報として熱損失係数推定装置30に提供される。部屋情報は、ユーザが熱損失係数推定装置30に直接または間接的に入力することもできるし、予め用意されたデータが提供されるようにしてもよい。
熱損失係数推定装置30は、たとえば、パーソナルコンピュータや携帯端末のようなコンピュータ機器である。熱損失係数推定装置30は、それぞれの温度計20から取得した測定室測定データ24、温度計22から取得した建物外部測定データ26、入力された部屋情報25、および所定の熱移動モデルに基づいて、その建物10の熱損失係数、すなわちQ値を推定し、必要に応じて熱損失係数推定装置30の表示装置にQ値の表示を行う。この実施形態では、熱損失係数推定装置30がスタンドアロンで測定データを取得し、Q値の推定を行う。
図1に示す熱損失係数推定装置37は、本発明の別の実施形態に係る熱損失推定装置である。PC38は、たとえば、ASPサービスとして提供される熱損失係数推定サービスを利用してQ値を取得し、必要に応じてPC38の表示装置に、そのQ値を表示する。この場合、PC38は、熱損失係数推定装置30と同様に、それぞれの温度計20および温度計22からそれぞれ測定データを取得し、さらに部屋情報25を取得する。その後、これらのデータを、ユーザ等の指示により、インターネットのようなネットワーク39を介して、ASPサーバである熱損失係数推定装置37に送信する。熱損失係数推定装置37は、入力したこれらのデータと所定の熱移動モデルに基づいて、その建物10の熱損失係数、すなわちQ値を推定し、これをPC38にネットワーク39経由で送信する。
ここでは、本発明の熱損失係数推定装置が、スタンドアロンで実施されるケースとASPサービスとして実施されるケースを例示したが、これ以外にも、複数の様々なタイプのコンピュータとネットワークを用いて様々な形態で本発明の熱損失係数推定装置を実現することができる。
また、図1の例では、温度データロガーによって測定室と建物外部の温度を測定期間の間、測定・記憶し、測定が終了した後にUSBケーブルを介して熱損失係数推定装置30やPC38に測定データをコピーするようにしているが、これも一例に過ぎず、様々なデータ提供方法が考えられる。たとえば、温度計が、ほぼリアルタイムに測定データを送信することができれば、熱損失係数推定装置30やPC38は、その都度当該測定データを受信することも可能であり、また、遠方で測定された測定データについては、これを外部記録媒体に記録し、メールや郵便によって熱損失係数推定装置30等の操作部門に送付するようにもできる。
本発明の熱損失係数推定装置では、上述のように建物内の複数の部屋について室温が測定され、測定室測定データ24が熱損失係数推定装置30に提供されるが、測定室測定データ24は、後述するように、建物全体の温度を把握するための重要な要素であるため、建物内の部屋を可能な限り網羅的に計測することが望ましい。また、いくつかの部屋について温度の測定を省略する場合は、できるだけ面積が大きい部屋、周囲の部屋と温度の差が大きくなる部屋を優先的に計測することが望ましい。なお、室温を計測しない部屋については、周囲の部屋の測定室測定データ24で代用することも可能である。
図2は、本発明の熱損失係数推定装置で用いられる熱移動モデルの概念を示す図であり、建物全体が失った熱量により所定期間に変化した温度Txが、外部に逃げた熱量により所定期間に変化した温度Tyと、内部発熱により所定期間に変化した温度(Tz×n)が等しくなることを示している。
図2Aは、建物全体が失った熱量により所定期間(n分)に変化した温度Txを表わしている。本発明の熱移動モデルでは、たとえば、部屋1ないし部屋5からなる測定室51の建物全体の温度が、各部屋の温度を平均化することにより求められ、そこから所定期間における建物全体の温度変化が把握される。
上記Txの計算を測定室51の部屋1ないし部屋5についてあてはめると、測定タイミングiにおける室温(T1i〜T5i)が測定され、部屋情報から面積(A1〜A5)が把握されている状況において、測定タイミングi(iは、暖房停止後i分後)における建物全体の平均温度Taiが、以下の式のように、各部屋の面積に応じた重み付けによって求められる。
Ta=T1×A1+T2×A2+T3×A3+T4×A4+T5×A5/(A1+A2+A3+A4+A5) ・・・式1
同様に、iからn分後における建物全体の平均温度Tanは、次式により求められる。
Ta=T1×A1+T2×A2+T3×A3+T4×A4+T5×A5/(A1+A2+A3+A4+A5) ・・・式2
そして、TaとTaから、n分後の温度変化Txが求められる。
Tx=Ta−Ta ・・・式3
図2Bは、外部に逃げた熱量により所定期間に変化した温度Tyと内部発熱により所定期間に変化した温度(Tz×n)を表わしている。図2Aと同じ測定室51において、外部に接する部屋の(各測定タイミングでの)温度が、各部屋の温度を平均化することにより求められる。ここで、各部屋の温度を平均化するため、その部屋の断熱性能に応じた重み付けが用いられる。また、外部に接する部屋とは、少なくとも一部において、その部屋の壁、窓、床、天井等が、建物外部または地面と接している(すなわち、建物外部または地面との間に他の部屋がない)部屋を指す。ここで、外部に接する部屋の温度と、同じ測定タイミングの建物外部53の温度との差に基づいて得られる温度を所定期間積算した値が求められ、これがTyとなる。内部発熱(熱供給体54からの発熱)による各測定タイミングでの温度上昇を所定期間積算した値はTz×nで表される。
上記Tyの計算を測定室51の部屋1ないし部屋5についてあてはめると、測定タイミングiにおける室温(T1i〜T5i)が測定され、部屋情報に基づいて各部屋の断熱性能に応じた割合(すなわち、部屋の熱損失の程度を相対的に表す値)P(P1〜P5)が把握されている状況において、測定タイミングi(iは、暖房停止後i分後)における外部に接する部屋の平均温度Tqが、以下の式のように、各部屋の割合Pによる重み付けによって求められる。
Tq=T1×P1+T2×P2+T3×P3+T4×P4+T5×P5/(P1+P2+P3+P4+P5) ・・・式4
同様に、測定タイミングi+1からn−1分後までの平均温度(Tqi+1、Tqi+2、・・・Tqn−1)が求められる。さらに、同じ測定タイミングの建物外部の温度To(To〜Ton−1)が建物外部測定データ26から取得され、各測定タイミングでの温度差Tdが、以下の式によって求められる。
Td=Tq−To ・・・式5
そして、外部に逃げた熱量によりn分間に変化した温度Tyは、次式で表される。
Ty=−Σ(i〜i+n−1)(Q×Td×60/C) ・・・式6
ここで、Qは、推定Q値を表し、Cは、建物全体の床面積当たりの熱容量を表す。なお、Cは、この例では固定値とする。
さらに、建物内の家電や人体といった熱供給体54からの発熱による1分あたりの温度上昇をTzとすると、内部発熱によりn分間に変化した温度は、Tz×nとなる。なお、Tzは、この例では固定値とする。
ここで、TxとTy+Tz×nが等しくなることから、式3および式6より、以下の式に示す関係が成り立つ。
−Σ(i〜i+n−1)(Q×Td×60/C)+Tz×n=Ta−Ta ・・・式7
推定Q値を求める式に展開すると、以下の式のようになる。
Q=(Ta−Ta+Tz×n)×C/(Σ(i〜i+n−1)(Td)×60) ・・・式8
なお、部屋の断熱性能に応じた割合Pは、建物全体のQ値に対する各部屋の割合(概算値)、すなわち、各部屋における熱の逃げやすさを示すものであり、たとえば、図6Bに示す部位ごとの配分割合(係数)を用いて決定することができる。図6Bの配分割合は、どの部位からどの程度熱が逃げるか(熱損失の程度)を表したもので、Q値全体に対する各部位の割合と見ることができる。この配分割合は、図示するように全体で100%となり、通常は、予め固定的に定められている。これは一例に過ぎないが、たとえば、建物の構造や形状、断熱性等の条件に応じていくつかのパターンを用意することもできる。
配分割合はさらに、図6Bで部位ごとに対応付けられた「配分方法」に示すように、各部屋の部屋情報に基づく値に応じて各部屋に割り振られ、この結果、各部屋の割合Pが決定される。この例では、各部屋について、その部屋に対応する部屋情報であって当該部位に関連する項目の値に応じて割り振りが行われる。たとえば、外壁・ドアの部位については、全体で30%の配分割合が各部屋に割り振られる。配分方法は、外壁・ドアの部位に関して(その部位の熱損失について)関連が大きい外周壁の長さの全体比率に応じて、その30%が割り振られる。すなわち、すべての部屋の外周壁長のトータルに対する、その部屋の外周壁長の比率に応じて30%の一部が配分される。ある部屋が、全体の1/3の外周壁長を有していれば、その部屋に10%が割り振られ、割合Pは10%ということになる。このように、部位に関連する項目は、その部位の大きさまたは大きさの比率を直接的または間接的に表す項目であり、たとえば、部位が外壁・ドアである場合は、その面積について他の部屋との比率を概ね表している値である、外周壁長がその項目に相当する。
同様に、窓、屋根・天井といった他の部位についても、対応する配分方法により各部屋に割り振りが行われる。ただし、図6Bで部位ごとに対応付けられた「部屋の条件」がある場合は、その条件を満たす部屋だけが割り振りの対象となり、全体比率は、条件を満たす部屋のなかでの比率となる。たとえば、床・土間床の部位については(振り分けされる配分割合は10%)、床・土間床から熱が逃げる可能性を有する、1階の部屋だけが振り分けの対象となる。
この例では、外壁・ドアや、屋根・天井など、実質的に2つの部位を1つの部位として扱い、割合Pの割り当てを行っているが、このようにまとめられた部位を分離して実質的に1つの部位ごとに割り当てを行ってもよい。また、割合P、すなわち各部屋の断熱性能を表す割合は、この例で示した方法以外の方法で計算されてもよいし、予め計算したものを記憶しておいてもよい。
図3は、本発明の熱損失係数推定装置の機能ブロック図である。図3の熱損失係数推定装置30は、図1に関して説明したとおり、スタンドアロンタイプの熱損失係数推定装置の例である。熱損失係数推定装置30は、測定データ入力部31、部屋情報入力部32、熱損失係数推定部33、表示部34、および入力部35を含む。また、熱損失係数推定装置30が備える記憶装置40には、ロガーデータ41、部屋情報データ42、および保存データ43が記憶されている。
測定データ入力部31は、記憶装置40のロガーデータ41から、温度計20(20A、20B・・・)により測定された測定室測定データ24と温度計22により測定された建物外部測定データ26を入力する。ロガーデータ41には、測定室測定データ24および建物外部測定データ26が含まれており、これらの測定データは通常、ユーティリティなどによりUSBケーブル等を介して事前に温度計20および温度計22から熱損失係数推定装置30にコピーされ、連結されているものである。
ロガーデータ41は、たとえば、図4Aに示すようなデータであり、データ種別、日付、時間、測定温度といった項目を含む。この例では、データ種別が「ch1」、「ch8」、「ch9」等になっているが、「ch1」は、床から約120cmの位置で第1の測定室の温度を測定したデータ(測定室測定データ24)であり、「ch8」は、床から約120cmの位置で第8の測定室の温度を測定したデータ(測定室測定データ24)であり、「ch9」は、外気を測定したデータ(建物外部測定データ26)である。これらの測定データは、いずれも、2012年4月1日12時10分0秒から、暖房停止時の22時55分0秒を含み、暖房停止6時間後の2012年2月2日4時55分0秒まで、1分おきに取った測定データであり、暖房停止以降については、それぞれ合計で361の測定データが記録されている。ロガーデータ41は、テキスト形式やCSV形式のほか、様々なタイプのファイルとして構成することができる。
上記のような時間に暖房停止を行い、かつ暖房停止6時間後まで温度測定を行うことは、暖房停止時の測定室の温度と外気の温度との差が大きい時間帯での温度を取得することになり、このことは結果的に、Q値推定の精度向上に貢献する。また、建物に居住する者がいる場合は、上記時間帯のために、その者の生活に大きな影響を与えることなく有効な測定データを取得することができる。
なお、測定室測定データ24の測定タイミングと、これに対応する建物外部測定データ26の計測タイミングは、Q値の推定精度を考慮すると、秒単位あるいはミリ秒単位といった精度で同期付けられていることが好ましいが、このような厳密な同期レベルが常に要求されるわけではない。通常は、温度計20および温度計22に対する設定により、計測タイミングの同期が図られる。
部屋情報入力部32は、測定室である複数の部屋に関する情報を入力し、記憶装置40に部屋情報データ42として記憶する。部屋情報は、入力部35を経由してユーザが手入力することもできるし、他のコンピュータから、入力したものあるいは予め用意したものをネットワーク経由で入力してもよい。部屋情報データ42は、たとえば、図6Aに示すような内容を含む。この例では、部屋ごとに、面積、窓面積、外周壁長、下屋区分、最上階区分、および1階区分が含まれており、これらは、上述した割合Pを決定するために利用される。より具体的な例については後述する。
熱損失係数推定部33は、測定室測定データ24、建物外部測定データ26、および部屋情報25を用い、上述の熱移動モデルに基づく方程式を利用してQ値の推定を行い、算出されたQ値の表示を行う。
表示部34は、たとえば、LCDなどのディスプレイ装置を含み、ユーザの操作等に応じて、部屋情報を入力するための部屋情報入力画面130(図11参照)や、熱損失係数推定部33で推定されたQ値を表示するよう制御する。入力部35は、ユーザの指示やデータを入力するためのデバイスであり、キーボードやマウス等がこれに相当する。
ここでは、ASPサーバとして構成される熱損失係数推定装置37についての詳細な説明を省略するが、図3の熱損失係数推定装置30と同様に、測定データ入力部31、部屋情報入力部32、および熱損失係数推定部33を有し、さらに、PC38で稼働するWEBブラウザ等のリクエストに応答する形で、推定結果のQ値をPC38に送信する推定結果送信部(不図示)を有する。
図4Bに示す保存データ43は、図10の診断メニュー画面100のデータ保存ボタン126を押下したときに記憶装置40に記憶される。この例では、図10に関して説明する建物情報入力画面で入力する建物情報と、診断対象の測定室測定データ24と建物外部測定データ26を含むロガーデータ41のファイル名、部屋情報データ42のファイル名を含むように構成されている。もちろん、ロガーデータ41や部屋情報データ42の内容そのものを含むように構成することもできる。保存データ43は、ロガーデータ41と同様テキスト形式やCSV形式のほか、様々なタイプのファイルとして構成することができる。
ここで、図5ないし図8を参照して、本発明に係る熱損失係数推定装置で実行されるQ値の推定処理を、簡単な例を用いて具体的に説明する。図8Aに示すように、測定室測定データ24は、各部屋について暖房停止時(0分後)から1分ごとに6分後までが取得されており、同様に、建物外部測定データ26も、図8Aに示すように、暖房停止時(0分)から1分ごとに6分後までが取得されている。高精度なQ値の推定では、数時間におよぶ多くの測定データを取得することが望ましいが、ここでは、説明を簡略にするため、上記のような短時間の測定データとした。
図5Aは、診断対象の建物50を示しており、1階、2階、および小屋裏を有する構造となっている。図5Bは、建物全体が失った熱量によりn分間に変化した温度Txを求めるためのイメージを表示した各階の平面図である。部屋は1階に部屋1〜部屋5、2階に部屋6と部屋7、小屋裏として部屋8がある。各部屋には、測定タイミングiにおける温度、および面積Aが示されている。図5Cは、外部に逃げた熱量によりn分間に変化した温度Tyを求めるためのイメージを表示した各階の平面図である。間取りは、図5Bと同じであるが、各部屋には、測定タイミングiにおける温度、および部屋の断熱性能に応じた割合Pが示されている。
ここで、図6Aと図8Aを参照して、上記建物50に関しTxを求める。図6Aの部屋情報データ42から、各部屋の面積が把握でき、図8Aの測定室測定データ24から、各部屋の温度が把握できる。したがって、測定タイミングi=0におけるTaは、各部屋の測定タイミングi=0における温度を、それぞれの部屋の面積で重み付けした平均化を行い、以下のように求めることができる(図8B参照)。
Ta=(20.000×26+20.000×26+20.120×26+20.000×26+20.230×24+20.400×64+20.600×64+20.800×43)/299=20.358 ・・・式9
また、測定タイミングi=6におけるTaは、以下のように求めることができる(図8B参照)。
Ta=(16.000×26+16.000×26+19.960×26+16.000×26+19.050×24+18.600×64+19.970×64+19.700×43)/299=18.528 ・・・式10
よって、Txは以下のようになる。
Tx=Ta−Ta=20.358−18.528=1.83
なお、この例では、部屋8(小屋裏)の高さを考慮して、図7Bに示すように、本来は128である面積を約1/3である43として計算し、影響を調整している。
この例では、上述のように各部屋の面積に応じてそれぞれの部屋の温度を重み付けし、建物全体の平均温度を求めているが、各部屋の気積(容積)を用いて平均化してもよい。部屋の面積や気積は概算値でもよく、部屋情報25としては、そのような概算値としての面積や気積の値、または、これらを求めるための、その部屋の代表的な幅、奥行き、高さを記憶するように設計してもよい。
次に、上記建物50に関しTyを求める。そのために、図6および図7を参照して、各部屋の割合Pの算出について説明する。図6Bには、建物の部位ごとの配分割合(係数)が示されている。この配分割合は、前述のように、どの部位からどの程度熱が逃げるか(熱損失の程度)を表した一般的な数値であり、外壁とドアから30%、窓から35%、屋根と天井から10%、床と土間床から10%、換気から15%となっている(トータルで100%)。
最初に、外壁とドアおよび換気の部位に関する配合割合(係数)について、各部屋への割り振りを行う。これらの部位は、合計で45%であり、すべての部屋の外周壁長合計に対する各部屋の外周壁長の比率(全体比率)により割り振られる。図6Aを参照すると、外周壁長は、すべての部屋のトータルが100(m)であり、全体比率に応じて45%を各部屋に割り振る。その結果、部屋1〜部屋4の外周壁長が12で、5.4%(45×12/100)、部屋6の外周壁長が24で、10.8%(45×24/100)、部屋7の外周壁長が28で12.6%(45×28/100)となる(図7A参照)。
なお、部屋5は、1階にあって周囲を部屋1〜部屋4に囲まれているため、外周壁長は0であり、外壁とドアおよび換気の部位についての配分はない。小屋裏である部屋8も外周壁長が0であり、配分はない。なお、この例にように、小屋裏がある建物において、その小屋裏の温度を計測するモデルを考える場合、上記のように、小屋裏に外壁はなく、代わりに上部の屋根から熱が逃げることになる。そのため、小屋裏は「最上階」扱いとなり、その下の2階の部屋は、最上階ではないことになる。
また、「屋根」と「天井」の区別は、建物の断熱仕様が「屋根断熱」なのか「天井断熱」なのかによって決まる。「屋根断熱」の場合は断熱の境界は屋根となり、小屋裏の部分は断熱の内側となるため、図5に示すような、小屋裏の部屋8まで計測するモデルは実情に近いモデルと言える。それに対して、「天井断熱」の場合は断熱の境界が天井となり、小屋裏の部分は断熱の外側となるため、そのような場合、小屋裏については除いたほうが、より実情に近いモデルとなる。
上記の処理をすべての部位、すべての部屋について行うと、図7Aに示すように、それぞれの部位について各部屋に配分が行われ、TOTALとして得られた値が割合Pとなる。この割合Pは、各部屋の断熱性能に応じた割合であって、建物全体のQ値に対して各部屋の占める割合を概算で表すものとなる。割合Pの値が小さい部屋は、熱損失の程度が小さい(熱が逃げにくい)部屋であることを示しており、たとえば、周囲を部屋で囲まれた部屋5が、割合Pの最も小さい部屋である。一方、割合Pの値が大きい部屋は、熱損失の程度が大きい(熱が逃げやすい)部屋であることを示しており、たとえば、外周壁長がもっとも長く、窓面積が大きい部屋7が、割合Pの最も大きい部屋である。
次に、算出された割合P(図7B)と図8Aを参照して、上記建物50に関しTqを求める。割合Pは上述のように求め、図8Aの測定室測定データから、各部屋の温度が把握できる。したがって、測定タイミングi=0におけるTqは、各部屋の温度をその部屋の割合Pで重み付けした平均化を行い、以下のように求めることができる(図8B参照)。
Tq=(20.000×10.93+20.000×10.93+20.120×17.93+20.000×14.43+20.230×1.88+20.400×14.3+20.600×19.6+20.800×10)/100=20.280 ・・・式11
また、測定タイミングi=1におけるTqは、以下のように求めることができる(図8B参照)。
Tq=(20.000×10.93+20.000×10.93+20.100×17.93+20.000×14.43+20.120×1.88+20.330×14.3+20.500×19.6+20.780×10)/100=20.243 ・・・式12
以降同様に、Tq6まで求めると、図8Bに示すようになる。
次に、各測定タイミングのTqから、対応する測定タイミングのToを減算して、建物外部と外部に接する部屋の温度差Tdを求める。建物外部測定データToは、図8Aに示されている。
Td=Tq−To=20.280−17.560=2.721 ・・・式13
以下同様に計算すると、
Td=2.683、Td=2.237、Td=1.774、Td=1.599、Td=1.140となる。
以上のように、各測定タイミングのTqは、各部屋の温度を、各部屋の断熱性能に応じた割合Pで重み付けすることによって求められるが、割合Pについては、本明細書で例示したものには限られない。他の方法によって求められた、各部屋の断熱性能に応じた割合を用いて平均化を行ってもよい。また、外壁とドアおよび換気の部位に関する配合割合(係数)を割り振る際の基準として外周壁長を用いたが、この外周壁長の代わりに、外周壁長×高さ−窓面積といった値を用いることもできる。これは、窓部分と窓以外の部分を明確に区別することによって、Q値の推定精度を高めようとするものである。この他にも、具体的な窓や断熱材の仕様をある程度まで詳細に考慮するような調整を行うことができる。
最後に、式8を用いて以下のように推定値Qを求める。
Q=(Ta−Ta+Tz×6)×C/(Σ(i=0〜5)(Td)×60)
=(1.83+Tz×6)×C/(11.014×60) ・・・式14
ただし、この例では、TzおよびCは固定値。
図9は、本発明に係る熱損失係数推定装置でQ値を推定する手順を示すフローチャートであり、図3に示す熱損失係数推定部33によって実施される。このフローを開始するまでに、複数の部屋(測定室)と建物外部の温度が測定され、測定結果が測定データ(測定室測定データ24、建物外部測定データ26)として取得されており、さらに、温度が測定された部屋に関する情報が部屋情報データ42として提供されていることが前提である。この例では、推定に用いられる測定データは、暖房停止時からその6時間後までに測定されたデータであり(i=0〜359)、測定のインターバルは1分である。
また、この6時間を6つの期間とし、各1時間の期間をQ値を推定する計算期間とする。すなわち、測定タイミングがi=0(暖房停止時)〜59、i=60〜119、i=120〜179、i=180〜239、i=240〜299、i=300〜359の6つの計算期間についてQ値の推定処理を繰り返す。その後、これらの結果を平均して最終的な推定Q値を求める。ただし、このような処理手順は一例であって、本発明の権利範囲は、こうした一実施形態に制限されるものではない。他の測定インターバルおよび他の期間で測定室および建物外部の温度を測定するようにしてもよいし、他の計算期間や他の推定回数によって推定Q値を求めるようにしてもよい。
最初に、熱損失係数推定装置30の記憶装置40に記憶されているロガーデータ41にアクセスし、そこに記憶されている測定室測定データ24と建物外部測定データ26を取得する(ステップS10)。次に、熱損失係数推定装置30の記憶装置40に記憶されている部屋情報データ42から、温度が測定された部屋に関する情報である部屋情報25を取得し、さらに、この部屋情報25を参照して、前述のように各部屋の割合Pを算出する(ステップS12)。
ステップS12の処理が終わると、最初の計算期間についてQ値を推定する処理が開始される。この例では、最初の計算期間は、測定タイミングi=0〜59の1時間であり、この期間でのQ値が求められる。
まず、ステップS14において、この計算期間における部屋の測定温度(測定室測定データ24)を、各部屋の面積による重み付けによって平均化し、建物全体としての平均温度Taを求める。具体的には、i=0のときの平均温度Taと、i=59のときの平均温度Ta59を求める。
次に、ステップS16において、当該計算期間における部屋(外部に接する部屋)の温度を、各部屋の割合Pによる重み付けによって平均化し、平均温度Tqを求める。具体的には、i=0〜59の平均温度Tq〜Tq59を求める。
次に、ステップS18において、当該計算期間における建物外部の測定温度To(建物外部測定データ26)と、ステップS16で求めたTqとの温度差Tdを求める。この温度差は、同じ測定タイミングにおける温度差である。すなわち、Td(=Tq−To)からTd59(=Tq59−To59)までの値が求められる。
その後、ステップS20において、当該計算期間におけるQ値を上述の式8を用いて以下のように求める。
Q=(Ta−Ta59+Tz×6)×C/60×(Σ(i=0〜59)Td) ・・・式15
このようにして、1つの計算期間についてのQ値の推定処理が行われる。
次に、ステップS22において、すべての計算期間について処理が終了したかどうかを判定する。終了していない場合(ステップS22のNO)、次の計算期間、たとえば、測定タイミングi=60〜119の期間について、ステップS14〜ステップS20の処理を繰り返し、同様に、次の計算期間のQ値を推定する。
終了と判定された場合(ステップS22のYES)、すなわち、この例では、第1の計算期間(i=0〜59)から第6の計算期間(i=300〜359)について、Q値の推定処理が終了した場合、ステップS24に進み、そこで、最終的なQ値が求められる。ここでは、ステップS14からステップS20までの処理の繰り返しで算出された6つのQ値を平均することによって、最終的なQ値とする。
この他にも、6つのQ値の最大値と最小値を除いてから平均値をとったり、中央値をとったりするなど、様々な方法により、算出された複数のQ値から1つの代表値を選出または算出することができる。
次に、図10および図11を参照して、熱損失係数推定装置30で実行されるプログラムによって表示されるメニュー画面、および入力画面の例について説明する。当該プログラムは、スタンドアロンの場合は、ユーザの起動指示によって熱損失係数推定装置30で実行されるプログラムであり、ASPサービスとして実現される場合は、たとえば、PC38で実行されるWEBブラウザである。このWEBブラウザを介して、ASPサーバである熱損失係数推定装置37に測定データ等が送信され、熱損失係数推定装置37から送信されてきたQ値の推定結果が表示される。
図10の診断メニュー画面100は、対象表示エリア110とボタン表示エリア120を備え、対象表示エリア110には、建物情報入力画面(不図示)で入力された診断対象の建物についての建物名および建物の仕様が表示される。建物名と建物の仕様は、ユーザ等がデータを識別するためのものである。
ボタン表示エリア120には、新規作成ボタン121、既存データ読込ボタン122、建物情報入力ボタン123、部屋情報入力ボタン124、Q値推定ボタン125、データ保存ボタン126、および終了ボタン127がある。
新規作成ボタン121を押下すると、ロガーデータ41の一覧が表示されたロガーデータ選択画面(不図示)が表示され、ユーザがそのなかから、Q値の推定に用いるロガーデータをマウス等でクリックし指定する。その後、ふたたび診断メニュー画面100に戻る。ロガーデータ41には、複数の部屋について温度の測定をした測定室測定データ24と建物外部測定データ26が含まれており、これらのデータは、あらかじめユーティリティなどにより、温度計20および温度計22のメモリから(たとえばUSBケーブル経由で)熱損失係数推定装置30の記憶装置40にコピーされている。
既存データ読込ボタン122を押下すると、データ保存ボタン126の押下によってすでに保存されている保存データ43の一覧が表示された保存データ選択画面(不図示)が表示され、ユーザがそのなかから、Q値の推定に用いる保存データ43をマウス等でクリックすると当該保存データ43の変更、選択が行われ、ふたたび診断メニュー画面100に戻る。
建物情報入力ボタン123を押下すると、建物情報入力画面(不図示)が表示され、そこで、建物名と建物の仕様を入力する。さらに、ここで、地域区分と測定情報が入力される。また、測定情報には、測定期間、暖房停止時刻、および使用時間(Q値の推定に使用する測定データの時間)等が含まれる。建物情報入力画面においてOKボタンを押下すると、ふたたび診断メニュー画面100に戻る。
部屋情報入力ボタン124を押下すると、部屋情報を入力するための部屋情報入力画面130が表示される。部屋情報入力画面130については、後で図11を参照して説明する。Q値推定ボタン125を押下すると、図9のフローチャートで示すようなQ値の推定処理が行われ、推定されたQ値が推定Q値表示画面(不図示)に表示される。この推定処理は、熱損失係数推定部33によって実行され、この処理に用いられるのは、新規作成ボタン121または既存データ読込ボタン122を押下して指定されたロガーデータ41、および部屋情報入力ボタン124を押下して指定した部屋情報データ42である。推定処理で得られたQ値は、たとえば熱損失係数推定装置30の記憶装置40に記憶するようにもできる。
データ保存ボタン126を押下すると、測定室測定データ24と建物外部測定データ26を含むロガーデータ41のファイル名、部屋情報データ42のファイル名、および建物情報が、保存データ43として熱損失係数推定装置30の記憶装置40に記憶される。終了ボタン127を押下すると、このプログラムが終了する。
図11は、部屋情報入力画面130を示している。ユーザ等は、部屋情報入力画面130を介して部屋情報を入力する。入力された部屋情報は、部屋情報データ42として熱損失係数推定装置30の記憶装置40に記憶される。こうした処理は、部屋情報入力部32によって実行される。また、部屋情報は、こうしたユーザ等からの入力を経ることなく、たとえば、予め設定されているデータをネットワーク経由で受信等することによって取得することもできる。
図11の部屋情報入力画面130は、対象表示エリア140、部屋情報入力エリア150、およびボタン表示エリア160を備え、対象表示エリア140には、建物情報入力画面(不図示)で入力された診断対象の建物名が表示される。
部屋情報入力エリア150には、測定対象の部屋ごとに、データ種別、面積、窓面積、および外周壁長について入力する領域が設けられる。さらに、下屋かどうか、最上階かどうか、および1階かどうかを指定するチェックボックスが設けられる。また、各部屋には部屋NOが表示されるが、これはユーザが入力できるようにしてもよいし、新規に追加した場合に自動的に採番、表示され、ユーザによる入力や更新ができないようにしてもよい。部屋情報入力エリア150の最左端には、部屋の選択を行う部屋選択チェックボックスが配置される。
ボタン表示エリア160には、新しい測定対象の部屋を追加するための追加ボタン161、および既に設定されている部屋を削除するための削除ボタン162が表示される。追加ボタン161が押下されると、部屋情報入力エリア150の最下行に、新たな部屋の情報を入力するための入力行が表示される。削除ボタン162が押下されると、部屋選択チェックボックスにチェックがされている部屋の画面上の表示を削除するとともに、部屋情報データ42に記憶されている当該部屋の情報を消去する。終了ボタン163を押下すると、このプログラムが終了する。
次に、図12を参照して、本発明に係る熱損失係数推定装置30または熱損失係数推定装置37として用いられるコンピュータのハードウエア構成の例について説明する。ただし、図12のコンピュータ300は、本発明の機能を実現するコンピュータの代表的な構成を例示したに過ぎない。また、WEBブラウザ等が実行されるPC38についても同様の構成要素により構成されうる。
コンピュータ300は、CPU(Central
Processing Unit)301、メモリ302、音声出力装置303、音声入力装置312、ネットワークインタフェース304、ディスプレイコントローラ305、ディスプレイ306、データインタフェース313、入力機器インタフェース307、キーボード308、マウス309、外部記憶装置310、外部記録媒体駆動装置311、およびこれらの構成要素を互いに接続するバス314を含んでいる。
CPU301は、コンピュータ300の各構成要素の動作を制御し、OSの制御下で、本発明に係る熱損失係数推定装置の各機能(たとえば、測定データ入力部31、部屋情報入力部32、および熱損失係数推定部33の機能)を実行する。
メモリ302は通常、不揮発性メモリであるROM(Read Only Memory)、および揮発性メモリであるRAM(Random Access Memory)から構成される。ROMには、コンピュータ300の起動時に実行されるプログラム等が格納される。RAMには、CPU301で実行されるプログラムや、それらのプログラムが実行中に使用する測定データ(測定室測定データ24や建物外部測定データ26)等が一時的に格納される。
音声出力装置303は、たとえば、スピーカ等の機器であり、動画プレイヤー等から音声データを受け取り、音声を出力する。音声入力装置312は、たとえば、マイクロフォン等の機器であり、音声を入力する。
ネットワークインタフェース304は、ネットワーク320に接続するためのインタフェースである。ネットワーク320は、たとえば、図1に示したネットワーク39に対応する。ネットワークインタフェース304は、ASPサーバである熱損失係数推定装置37では必須であるが、スタンドアロンとして稼働する熱損失係数推定装置30では不要である。
ディスプレイコントローラ305は、CPU301が発行する描画命令を実際に処理するための専用コントローラである。ディスプレイコントローラ305で処理された描画データは、一旦グラフィックメモリに書き込まれ、その後、ディスプレイ306に出力される。ディスプレイ306は、たとえば、LCD(Liquid Crystal
Display)やCRT(Cathode Ray
Tube)で構成される表示装置である。
データインタフェース313は、たとえば、USB端子を備えたデータインタフェースで、たとえば、USBケーブルで接続された機器のメモリやハードディスクに記憶されたデータを、外部記憶装置310やメモリ302に転送する。本発明で利用する測定データ(測定室測定データ24や建物外部測定データ26)も、代表的には、こうした経路で温度計からコンピュータ300に取り込まれる。
入力機器インタフェース307は、キーボード308やマウス309から入力された信号を受信して、その信号パターンに応じて所定の指令をCPU301に送信する。キーボード308やマウス309は、たとえば、熱損失係数推定装置30のユーザが、コンピュータに対して入力や指示を行ったり、図11に示す部屋情報入力画面130において部屋情報を入力する場合などに用いられる。
外部記憶装置310は、たとえば、ハードディスクドライブ(HDD)のような記憶装置であり、この装置内には上述したプログラムやデータが記録され、実行時に、必要に応じてそこからメモリ302のRAMにロードされる。図3に示す記憶装置40は、こうした装置で構成される。
外部記録媒体駆動装置311は、CD(Compact Disc)、MO(Magneto-Optical Disc)、DVD(Digital
Versatile Disc)、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc)などの可搬型の外部記録媒体330の記録面にアクセスして、そこに記録されているデータを読み取る装置である。外部記録媒体330には、本発明に係る熱損失係数推定装置や熱損失係数推定方法を実現するためのプログラムも記録することが可能である。外部記録媒体330に記録されているデータは、外部記録媒体駆動装置311を介して外部記憶装置310に格納され、プログラムであれば、実行時にメモリ302のRAMにロードされる。
また、本発明に係る熱損失係数推定装置や熱損失係数推定方法を実現するためのプログラムの他の流通形態としては、ネットワーク上の所定のサーバから、ネットワーク320およびネットワークインタフェース304を介して外部記憶装置310に格納されるというルートも考えられる。こうして格納されたプログラムは、上記と同様に、実行時にメモリ302のRAMにロードされ、実行される。
ここまで、本発明に係る熱損失係数推定装置を、冬期において冷暖房装置12の暖房機能を停止させた後の温度遷移(実質的には温度降下の状況)の測定データを用いてQ値の推定を行う装置として説明してきたが、上述のように、夏期において冷暖房装置12の冷房機能を停止させた後についても同じ論理で本発明の熱損失係数推定装置によるQ値の推定を行うことができる。すなわち、本発明に係る熱損失係数推定装置では、冷房機能を停止させた後の温度遷移(実質的には温度上昇の状況)の測定データを用いてQ値の推定を行うことができる。
1・・・熱損失係数推定システム、10・・・建物、12・・・冷暖房装置、14・・・測定室、20,22・・・温度計、24・・・測定室測定データ、26・・・建物外部測定データ、30,37・・・熱損失係数推定装置、38・・・PC、39・・・ネットワーク、50・・・建物、51・・・測定室、53・・・建物外部、54・・・熱供給体

Claims (6)

  1. 診断対象の建物に関し、暖房装置または冷房装置を停止した以降の複数の測定タイミングで前記建物内の複数の部屋の温度を測定して得られた測定室測定データと、前記測定タイミングに対応するタイミングで建物外部の温度を測定して得られた建物外部測定データを入力し、測定データ記憶手段に記憶する測定データ入力手段と、
    前記複数の部屋のそれぞれに関する情報である部屋情報を入力する部屋情報入力手段と、
    前記測定室測定データ、前記建物外部測定データ、前記部屋情報、および所定の熱移動モデルに基づく方程式を用いて、前記診断対象の建物に関する熱損失係数を推定する熱損失係数推定手段とを有し、
    前記熱移動モデルは、
    所定期間における建物全体の温度の変化と、当該所定期間における前記複数の部屋のうち外部に接する部屋の温度と前記建物外部の温度との差に基づいて求められる温度の積算値が一定の関係にある熱移動モデルであり、
    前記熱損失係数推定手段は、
    同じ測定タイミングの前記複数の部屋の測定室測定データを、対応する部屋の面積または気積に応じた重み付けで平均化することによって前記建物全体の温度を求め、同じ測定タイミングの前記外部に接する部屋の測定室測定データを、対応する部屋の断熱性能に応じた重み付けで平均化することによって、各測定タイミングにおける前記外部に接する部屋の温度を求め、
    前記暖房装置または前記冷房装置が、前記建物内のすくなくとも1つの部屋に配置されており、
    前記部屋の面積または気積は、当該部屋に対応する前記部屋情報に基づいて取得することを特徴とする熱損失係数推定装置。
  2. 前記熱損失係数推定手段は、
    建物の部位について設定された係数を、前記複数の部屋に対し、当該部屋の部屋情報に基づく値に応じてそれぞれ割り振り、これらを部屋ごとに合計することによって前記断熱性能に応じた重み付けを求め、
    前記部屋情報に基づく値は、前記部屋に対応する部屋情報であって当該部位に関連する項目の値であることを特徴とする請求項1記載の熱損失係数推定装置。
  3. 前記熱移動モデルにおける前記一定の関係は、
    前記所定期間における前記建物全体の温度の変化が、当該所定期間における前記外部に接する部屋の温度と前記建物外部の温度との差に基づいて求められる温度の積算値と、当該所定期間における前記建物の内部発熱による温度上昇とを加算したものに等しいという関係であることを特徴とする請求項1記載の熱損失係数推定装置。
  4. 診断対象の建物に関し、暖房装置または冷房装置を停止した以降の複数の測定タイミングで前記建物内の複数の部屋の温度を測定して得られた測定室測定データと、前記測定タイミングに対応するタイミングで建物外部の温度を測定して得られた建物外部測定データを入力し、測定データ記憶手段に記憶する測定データ入力手段と、
    前記複数の部屋のそれぞれに関する情報である部屋情報を入力する部屋情報入力手段と、
    前記測定室測定データ、前記建物外部測定データ、前記部屋情報、および所定の熱移動モデルに基づく方程式を用いて、前記診断対象の建物に関する熱損失係数を推定する熱損失係数推定手段とを有し、
    前記熱移動モデルは、
    所定期間における建物全体の温度の変化と、当該所定期間における前記複数の部屋のうち外部に接する部屋の温度と前記建物外部の温度との差に基づいて求められる温度の積算値が一定の関係にある熱移動モデルであり、
    前記熱損失係数推定手段は、
    前記建物全体の温度と前記外部に接する部屋の温度を、前記測定室測定データおよび前記部屋情報を用いて求めることを特徴とする熱損失係数推定装置。
  5. 診断対象の建物に関し、暖房装置または冷房装置を停止した以降の複数の測定タイミングで前記建物内の複数の部屋の温度を測定して得られた測定室測定データと、前記測定タイミングに対応するタイミングで建物外部の温度を測定して得られた建物外部測定データを入力し、測定データ記憶手段に記憶する測定データ入力ステップと、
    前記複数の部屋のそれぞれに関する情報である部屋情報を入力する部屋情報入力ステップと、
    前記測定室測定データ、前記建物外部測定データ、前記部屋情報、および所定の熱移動モデルに基づく方程式を用いて、前記診断対象の建物に関する熱損失係数を推定する熱損失係数推定ステップとを有し、
    前記熱移動モデルは、
    所定期間における建物全体の温度の変化と、当該所定期間における前記複数の部屋のうち外部に接する部屋の温度と前記建物外部の温度との差に基づいて求められる温度の積算値が一定の関係にある熱移動モデルであり、
    前記熱損失係数推定ステップは、
    同じ測定タイミングの前記複数の部屋の測定室測定データを、対応する部屋の面積または気積に応じた重み付けで平均化することによって前記建物全体の温度を求め、同じ測定タイミングの前記外部に接する部屋の測定室測定データを、対応する部屋の断熱性能に応じた重み付けで平均化することによって、各測定タイミングにおける前記外部に接する部屋の温度を求め、
    前記暖房装置または前記冷房装置が、前記建物内のすくなくとも1つの部屋に配置されており、
    前記部屋の面積または気積は、当該部屋に対応する前記部屋情報に基づいて取得することを特徴とする熱損失係数推定方法。
  6. コンピュータに、
    診断対象の建物に関し、暖房装置または冷房装置を停止した以降の複数の測定タイミングで前記建物内の複数の部屋の温度を測定して得られた測定室測定データと、前記測定タイミングに対応するタイミングで建物外部の温度を測定して得られた建物外部測定データを入力し、測定データ記憶手段に記憶する測定データ入力手段、
    前記複数の部屋のそれぞれに関する情報である部屋情報を入力する部屋情報入力手段、および、
    前記測定室測定データ、前記建物外部測定データ、前記部屋情報、および所定の熱移動モデルに基づく方程式を用いて、前記診断対象の建物に関する熱損失係数を推定する熱損失係数推定手段として機能させるプログラムであって、
    前記熱移動モデルは、
    所定期間における建物全体の温度の変化と、当該所定期間における前記複数の部屋のうち外部に接する部屋の温度と前記建物外部の温度との差に基づいて求められる温度の積算値が一定の関係にある熱移動モデルであり、
    前記熱損失係数推定手段は、
    同じ測定タイミングの前記複数の部屋の測定室測定データを、対応する部屋の面積または気積に応じた重み付けで平均化することによって前記建物全体の温度を求め、同じ測定タイミングの前記外部に接する部屋の測定室測定データを、対応する部屋の断熱性能に応じた重み付けで平均化することによって、各測定タイミングにおける前記外部に接する部屋の温度を求め、
    前記暖房装置または前記冷房装置が、前記建物内のすくなくとも1つの部屋に配置されており、
    前記部屋の面積または気積は、当該部屋に対応する前記部屋情報に基づいて取得することを特徴とするプログラム。
JP2012091672A 2012-04-13 2012-04-13 熱損失係数推定装置、熱損失係数推定方法、およびプログラム Active JP5841485B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012091672A JP5841485B2 (ja) 2012-04-13 2012-04-13 熱損失係数推定装置、熱損失係数推定方法、およびプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012091672A JP5841485B2 (ja) 2012-04-13 2012-04-13 熱損失係数推定装置、熱損失係数推定方法、およびプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013221772A true JP2013221772A (ja) 2013-10-28
JP5841485B2 JP5841485B2 (ja) 2016-01-13

Family

ID=49592848

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012091672A Active JP5841485B2 (ja) 2012-04-13 2012-04-13 熱損失係数推定装置、熱損失係数推定方法、およびプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5841485B2 (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104090608A (zh) * 2014-06-16 2014-10-08 华中科技大学 一种人工气候室控制方法
WO2015118738A1 (ja) * 2014-02-07 2015-08-13 株式会社東芝 保温性能算出装置、エネルギーマネジメントシステム、算出方法、及びプログラム
JP2016048208A (ja) * 2014-08-28 2016-04-07 株式会社インテグラル 情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
JP2017053668A (ja) * 2015-09-08 2017-03-16 大和ハウス工業株式会社 熱貫流率推定システム、熱貫流率推定装置、および熱貫流率推定プログラム
JP2018509613A (ja) * 2015-02-06 2018-04-05 サン−ゴバン イゾベール 壁の熱抵抗の決定
CN109163375A (zh) * 2018-09-11 2019-01-08 哈尔滨顺易天翔热力技术开发有限公司 供热全网平衡自寻优控制系统及方法
JP2019114169A (ja) * 2017-12-26 2019-07-11 パナソニックホームズ株式会社 健康リスクの診断方法
JP2019175348A (ja) * 2018-03-29 2019-10-10 株式会社動研 判定装置、判定方法及びコンピュータプログラム
JP2021043074A (ja) * 2019-09-11 2021-03-18 株式会社大林組 熱負荷計算装置、熱負荷計算方法及びプログラム
JP7264359B1 (ja) 2022-03-29 2023-04-25 株式会社インテグラル 熱損失係数推定システム、熱損失係数推定方法、及びプログラム

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007333557A (ja) * 2006-06-15 2007-12-27 Takahiro Yamashita 建物の環境性能シミュレーション計測方法及び建物の環境性能シミュレーション計測システム
JP2010079580A (ja) * 2008-09-25 2010-04-08 Tokyo Electric Power Co Inc:The Q値測定システム及びq値測定方法
JP2011237124A (ja) * 2010-05-11 2011-11-24 Integral:Kk 熱損失係数推定装置、熱損失係数推定方法、およびプログラム

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007333557A (ja) * 2006-06-15 2007-12-27 Takahiro Yamashita 建物の環境性能シミュレーション計測方法及び建物の環境性能シミュレーション計測システム
JP2010079580A (ja) * 2008-09-25 2010-04-08 Tokyo Electric Power Co Inc:The Q値測定システム及びq値測定方法
JP2011237124A (ja) * 2010-05-11 2011-11-24 Integral:Kk 熱損失係数推定装置、熱損失係数推定方法、およびプログラム

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015118738A1 (ja) * 2014-02-07 2015-08-13 株式会社東芝 保温性能算出装置、エネルギーマネジメントシステム、算出方法、及びプログラム
JP2015148416A (ja) * 2014-02-07 2015-08-20 株式会社東芝 保温性能算出装置、エネルギーマネジメントシステム、算出方法、及びプログラム
CN104090608A (zh) * 2014-06-16 2014-10-08 华中科技大学 一种人工气候室控制方法
CN104090608B (zh) * 2014-06-16 2016-04-13 华中科技大学 一种人工气候室控制方法
JP2016048208A (ja) * 2014-08-28 2016-04-07 株式会社インテグラル 情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
JP2018509613A (ja) * 2015-02-06 2018-04-05 サン−ゴバン イゾベール 壁の熱抵抗の決定
JP2017053668A (ja) * 2015-09-08 2017-03-16 大和ハウス工業株式会社 熱貫流率推定システム、熱貫流率推定装置、および熱貫流率推定プログラム
JP2019114169A (ja) * 2017-12-26 2019-07-11 パナソニックホームズ株式会社 健康リスクの診断方法
JP2019175348A (ja) * 2018-03-29 2019-10-10 株式会社動研 判定装置、判定方法及びコンピュータプログラム
CN109163375A (zh) * 2018-09-11 2019-01-08 哈尔滨顺易天翔热力技术开发有限公司 供热全网平衡自寻优控制系统及方法
CN109163375B (zh) * 2018-09-11 2023-09-26 哈尔滨顺易天翔热力技术开发有限公司 供热全网平衡自寻优控制系统及方法
JP2021043074A (ja) * 2019-09-11 2021-03-18 株式会社大林組 熱負荷計算装置、熱負荷計算方法及びプログラム
JP7314731B2 (ja) 2019-09-11 2023-07-26 株式会社大林組 熱負荷計算装置、熱負荷計算方法及びプログラム
JP7264359B1 (ja) 2022-03-29 2023-04-25 株式会社インテグラル 熱損失係数推定システム、熱損失係数推定方法、及びプログラム
JP2023146004A (ja) * 2022-03-29 2023-10-12 株式会社インテグラル 熱損失係数推定システム、熱損失係数推定方法、及びプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP5841485B2 (ja) 2016-01-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5841485B2 (ja) 熱損失係数推定装置、熱損失係数推定方法、およびプログラム
JP5509402B2 (ja) 熱損失係数推定装置、熱損失係数推定方法、およびプログラム
Vivian et al. An evaluation of the suitability of lumped-capacitance models in calculating energy needs and thermal behaviour of buildings
Yin et al. Quantifying flexibility of commercial and residential loads for demand response using setpoint changes
JP6147494B2 (ja) 情報処理装置および部屋温度推定方法
Belazi et al. Uncertainty analysis of occupant behavior and building envelope materials in office building performance simulation
US10731890B2 (en) Air conditioning operation analysis device and non-transitory computer-readable recording medium storing program
Barbason et al. Coupling building energy simulation and computational fluid dynamics: Application to a two-storey house in a temperate climate
US20120078593A1 (en) Consumption energy calculating device
JP2010078447A (ja) Q値解析システム、q値解析方法及びq値解析プログラム
JP2015200639A (ja) 温度分布データ生成システム
JP2015092124A (ja) シミュレーション装置、及びシミュレーション方法
Seeam et al. Evaluating the potential of simulation assisted energy management systems: A case for electrical heating optimisation
JP6440413B2 (ja) 情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
JP6679672B2 (ja) 指標算出システム
Edtmayer et al. Modelling virtual sensors for real-time indoor comfort control
JP2010079580A (ja) Q値測定システム及びq値測定方法
Liu et al. Estimating and visualizing thermal comfort level via a predicted mean vote in a BIM system
JP7460886B2 (ja) 機械学習装置
Saadatifar et al. Balancing thermal comfort with energy consumption in buildings using digital twins, IoT sensors, and real-time dashboards to inform occupant decision making
JP7264359B1 (ja) 熱損失係数推定システム、熱損失係数推定方法、及びプログラム
Chen et al. Characterizing spatial variability in the temperature field to support thermal model validation in a naturally ventilated building
JP6769946B2 (ja) 健康リスクの診断方法
JP7381654B2 (ja) 情報処理装置、方法およびプログラム
CN112923532B (zh) 调节室内温度的方法、装置、电子设备及存储介质

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150413

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150602

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20150602

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20150708

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150715

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151027

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151113

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5841485

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250