JP2013217386A - 差動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の衝突時にドライブシャフトが軸線方向の車輪側に変位してサイドギヤとの間のスプライン嵌合が外れた場合であっても、モータの回転停止が遅れることを防止し、平滑コンデンサの電荷を速やかに放電することができる差動装置を提供すること。
【解決手段】デフケース70と一体的に回転する第1摩擦板81と、ドライブシャフト61の軸線方向において第1摩擦板81に対向し、サイドギヤ48と一体的に回転するとともに、軸線方向に移動可能な第2摩擦板82と、を備え、ドライブシャフト61が軸線方向の車輪50L側へと移動した場合に、第2摩擦板82がウェーブスプリング83に押圧されながらドライブシャフト61の端面61cとともに車輪50L側に移動し、第1摩擦板81と第2摩擦板82とが係合するよう構成されている。
【選択図】図2
【解決手段】デフケース70と一体的に回転する第1摩擦板81と、ドライブシャフト61の軸線方向において第1摩擦板81に対向し、サイドギヤ48と一体的に回転するとともに、軸線方向に移動可能な第2摩擦板82と、を備え、ドライブシャフト61が軸線方向の車輪50L側へと移動した場合に、第2摩擦板82がウェーブスプリング83に押圧されながらドライブシャフト61の端面61cとともに車輪50L側に移動し、第1摩擦板81と第2摩擦板82とが係合するよう構成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、差動装置に関し、特にバッテリに蓄電した電気を用いてモータで走行するハイブリッド自動車または電気自動車に搭載される差動装置に関する。
近年、エンジン(例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等)とモータとを組合せたハイブリッドシステムと呼ばれるパワートレインを搭載した車両が開発され、実用化されている。
このようなハイブリッドシステムを搭載した車両においては、エンジンとモータとをそれぞれ単独、または協同して動作させることにより、燃料消費向上や排気ガスを大幅に抑制することが可能になっている。
例えば、エンジンが、定常状態で運転されてバッテリ(二次電池)を充電する発電機を回すために運転される場合、あるいはバッテリの充電量などに応じて走行中に間欠的に運転される場合等では、運転者によるアクセルの操作量とは無関係にエンジンの運転および停止が繰り返されるようになっている。
このようなハイブリッド車両や電気自動車、さらに燃料電池車においては、バッテリの直流電力をインバータにより交流電力に変換してモータ(3相交流のモータジェネレータ)に電力が供給される。また、発電時には、このような電力の流れとは逆に、モータで発電された交流電力がインバータにより直流電力に変換されてバッテリを充電する。さらには、このような電力変換の過程において、電圧を昇圧することもあり、そのような昇圧(変圧)のために昇圧コンバータ(DC/DCコンバータ)を備えている。
また、このような電気回路(電力ライン)においては、ノイズを低減するための平滑コンデンサが設けられる。平滑コンデンサは、高電圧電力がプリチャージされて、インバータへの突入電流を小さくする作用を発生する。
このような高電圧の蓄電機構を有する電気回路を搭載したハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車等の車両において、衝突などの事故が発生した場合には、この高電圧による悪影響を排除するために、平滑コンデンサの電荷を速やかに放電する必要がある。
従来、平滑コンデンサの電荷を放電させる技術としては、昇圧コンバータのチョッパ回路の上アーム(トランジスタ)をオフにするとともに下アーム(トランジスタ)をスイッチング状態にすることにより、電荷を負荷側、すなわちインバータの側に放電するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の技術を利用することにより、車両の衝突時に、駆動系の全ての要素が結合した状態でタイヤが接地している場合は、平滑コンデンサの電荷を速やかに放電することができる。
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、車両の衝突時に、一方のドライブシャフトが軸線方向の車輪側に変位して差動装置のサイドギヤとの間のスプライン嵌合が外れた場合には、デフケースが空転してモータが差動装置からの反力を受けなくなるため、モータの回転停止が遅れてしまい、平滑コンデンサの電荷の放電に時間がかかってしまうという問題があった。
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、車両の衝突時にドライブシャフトが軸線方向の車輪側に変位してサイドギヤとの間のスプライン嵌合が外れた場合であっても、モータの回転停止が遅れることを防止し、平滑コンデンサの電荷を速やかに放電することができる差動装置を提供することを目的とする。
本発明に係る差動装置は、上記目的達成のため、(1)車両の動力源からの回転動力を一対のドライブシャフトに伝達する一対のサイドギヤと、前記一対のサイドギヤに歯合するピニオンギヤと、前記サイドギヤおよびピニオンギヤを収納するデフケースとを有し、前記一対のドライブシャフトにそれぞれ設けられた車輪の間の差動を許容する差動装置であって、前記デフケースと一体的に回転する第1の係合部材と、前記ドライブシャフトの軸線方向において前記第1の係合部材に対向し、前記ドライブシャフトまたは前記サイドギヤと一体的に回転するとともに、前記軸線方向に移動可能な第2の係合部材と、を備え、前記ドライブシャフトが前記軸線方向の前記車輪側へと移動した場合に、前記第1の係合部材と前記第2の係合部材とが係合するものから構成されている。
この構成により、車両の衝突時に、ドライブシャフトとサイドギヤとのスプライン嵌合が外れた場合は、第1の係合部材と第2の係合部材が係合することで、ドライブシャフトまたはサイドギヤがデフケースと一体的に回転することができるので、デフケースの空転を防止することができる。
また、第1の係合部材と第2の係合部材とが係合することにより、動力源としてのモータと車輪との間の駆動系の全ての要素が結合した状態を維持できるため、モータに通電することによる平滑コンデンサからの電荷の放電を速やかに行うことができる。
したがって、車両の衝突時にドライブシャフトが軸線方向の車輪側に変位してサイドギヤとの間のスプライン嵌合が外れた場合であっても、モータの回転停止が遅れることを防止し、平滑コンデンサの電荷を速やかに放電することができる。
本発明によれば、ドライブシャフトとサイドギヤとのスプライン嵌合が外れた場合は、第1の係合部材と第2の係合部材が係合することでデフケースの空転を防止し、動力源としてのモータと車輪との間の駆動系の全ての要素が結合した状態を維持するようにしているので、車両の衝突時にドライブシャフトが軸線方向の車輪側に変位してサイドギヤとの間のスプライン嵌合が外れた場合であっても、モータの回転停止が遅れることを防止し、平滑コンデンサの電荷を速やかに放電することができる差動装置を提供することができる。
以下、本発明に係る差動装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1、図2は、本発明に係る差動装置の第1の実施の形態を示す図である。なお、本実施の形態では、差動装置をハイブリッド車両に適用した例を示している。
図1、図2は、本発明に係る差動装置の第1の実施の形態を示す図である。なお、本実施の形態では、差動装置をハイブリッド車両に適用した例を示している。
まず、構成を説明する。図1において、FF(フロントエンジンフロントドライブ;エンジン前置き車輪駆動)形式のハイブリッド車両の動力伝達装置としてのトランスアクスル1であり、このトランスアクスル1は、エンジン2に接続されている。
エンジン2は、内燃機関としてガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジン、メタノールエンジン、または水素エンジン等を用いることができる。本実施の形態では、便宜上、エンジン2としてガソリンエンジンを用いた場合について説明する。
エンジン2は、燃料の燃焼によりクランクシャフト3から動力を出力する装置であって、吸気装置、排気装置、燃料噴射装置、点火装置、冷却装置等を備えた公知のものである。
クランクシャフト3は車両の幅方向に、かつ、水平に配置され、クランクシャフト3の後端部にはフライホイール14が形成されている。
エンジン2の外壁には、中空のトランスアクスルケース4が取付けられている。トランスアクスルケース4は、エンジン側ハウジング5と、エクステンションハウジング6と、エンドカバー7とを有している。これらエンジン側ハウジング5、エクステンションハウジング6およびエンドカバー7は、アルミニウム等の金属材料を成形加工したものである。
また、エンジン側ハウジング5の一方の開口端5aとエンジン2とが接触した状態で、エンジン2とエンジン側ハウジング5とが相互に固定されている。
また、エンジン側ハウジング5とエンドカバー7との間に、エクステンションハウジング6が配置されており、エンジン側ハウジング5の他方の開口端5bと、エクステンションハウジング6の一方の開口端6aとが接触した状態で、エンジン側ハウジング5とエクステンションハウジング6とが相互に固定されている。
また、エクステンションハウジング6の他方の開口端6bを塞ぐようにエンドカバー7の開口端7aが取付けられて、エンドカバー7とエクステンションハウジング6とが相互に固定されている。
トランスアクスルケース4の内部空間8には、インプットシャフト9、モータジェネレータMG1、動力分配機構10、遊星歯車装置からなる変速機構11およびモータジェネレータMG2が設けられている。
インプットシャフト9は、クランクシャフト3と同心状に配置されており、インプットシャフト9におけるクランクシャフト3側の端部には、クラッチハブ13がスプライン嵌合されている。
トランスアクスルケース4内にはフライホイール14とインプットシャフト9との動力伝達状態を制御するクラッチ15が設けられており、このクラッチ15は、フライホイール14とインプットシャフト9との間におけるトルク変動を抑制・吸収するダンパ機構16を有している。
モータジェネレータMG1は、インプットシャフト9の外側に配置されており、モータジェネレータMG2は、モータジェネレータMG1よりもエンジン2から遠い位置に配置されている。
すなわち、エンジン2とモータジェネレータMG2との間にモータジェネレータMG1が配置されている。モータジェネレータMG1およびモータジェネレータMG2は、電力の供給により駆動する電動機としての機能(力行機能)と、機械エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機としての機能(回生機能)とを兼ね備えている。
モータジェネレータMG1およびモータジェネレータMG2としては、例えば、交流同期型のモータジェネレータを用いることができる。モータジェネレータMG1およびモータジェネレータMG2に電力を供給する電力供給装置としては、バッテリ、キャパシタ等の蓄電装置、あるいは公知の燃料電池等を用いることができる。
エンジン側ハウジング5の内面には、エンジン2側に延在した後に、インプットシャフト9側に向けて延在する隔壁17が形成されており、隔壁17に対してケースカバー18が固定されている。
このケースカバー18は、エンジン2から離れる方向に延在した後、インプットシャフト9側に延在する形状を有している。そして、隔壁17とケースカバー18とにより取り囲まれたモータ収容室19に、モータジェネレータMG1が配置されている。モータジェネレータMG1は、トランスアクスルケース4側に固定されたステータ20と、回転自在なロータ21とを備えており、ステータ20は、隔壁17に固定された鉄心22と、鉄心22に巻かれたコイル23とを有している。
ステータ20およびロータ21は、所定肉厚の電磁鋼板を、その厚さ方向に複数枚を積層して構成したものである。なお、複数の電磁鋼板は、インプットシャフト9の軸線方向に積層されている。
また、インプットシャフト9の外周には、中空シャフト24が取付けられており、インプットシャフト9と中空シャフト24とが相対回転可能に構成されている。ロータ21は、中空シャフト24の外周側に連結されている。
また、動力分配機構10は、モータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2との間に設けられている。動力分配機構10は、所謂、シングルピニオン形式の遊星歯車機構10Aを有している。すなわち、遊星歯車機構10Aは、サンギヤ25と、サンギヤ25と同心状に配置されたリングギヤ26と、サンギヤ25およびリングギヤ26に係合するピニオンギヤ27を保持したキャリア28とを含んで構成されている。
そして、サンギヤ25と中空シャフト24とが連結され、キャリア28とインプットシャフト9とが連結されている。なお、リングギヤ26は、インプットシャフト9と同心状に配置された円筒部材29の内周側に形成されており、この円筒部材29の外周側にはカウンタドライブギヤ30が形成されている。
モータジェネレータMG2は、カウンタドライブギヤ30よりもエンジン2から遠い位置に設けられており、モータジェネレータMG2のロータ36がMGシャフト32の外周に連結されており、MGシャフト32は、車両の幅方向にほぼ水平に配置されている。
また、MGシャフト32とインプットシャフト9および中空シャフト24とは、同心状に配置されている。
また、エクステンションハウジング6の内面には、MGシャフト32側に延在する隔壁33が形成されており、エクステンションハウジング6と隔壁33とエンドカバー7とにより取り囲まれた収容室としてのモータ収容室34aに、モータジェネレータMG2が配置されている。
モータジェネレータMG2は、トランスアクスルケース4に固定されたステータ35と、回転自在なロータ36とを有している。ステータ35は、鉄心37と、鉄心37に巻かれたコイル38とを有している。
ステータ35およびロータ36は、所定肉厚の電磁鋼板を、その厚さ方向に複数枚を積層して構成したものである。なお、複数の電磁鋼板は、MGシャフト32の軸線方向に積層されている。
MGシャフト32の軸線方向一端部は、リングギヤ26に接続されており、モータジェネレータMG2の動力がMGシャフト32を介してリングギヤ26に伝達されると、リングギヤ26の回転速度が減速されて円筒部材29に伝達される。すなわち、モータジェネレータMG2のトルクが増幅されて動力分配機構10に伝達される。
また、動力分配機構10は、上述したようにキャリア28にエンジン2のクランクシャフト3が、サンギヤ25にモータジェネレータMG1が、リングギヤ26にMGシャフト32を介してモータジェネレータMG2がそれぞれ連結されており、モータジェネレータMG1が発電機として機能するときには、キャリア28から入力されるエンジン2からの動力をサンギヤ25側とリングギヤ26側にそのギヤ比に応じて分配し、モータジェネレータMG1が電動機として機能するときにはキャリア28から入力されるエンジン2からの動力とサンギヤ25から入力されるモータジェネレータMG1からの動力を統合してリングギヤ26側に出力される。
一方、トランスアクスルケース4の内部には、インプットシャフト9と平行なカウンタシャフト40が設けられている。カウンタシャフト40には、カウンタドリブンギヤ41およびファイナルドライブギヤ42が形成されており、カウンタドリブンギヤ41とカウンタドライブギヤ30とが噛合されている。
また、トランスアクスルケース4の内部にはディファレンシャル装置43が設けられており、ディファレンシャル装置43は、デフケース70と、デフケース70の外周側に形成されたファイナルリングギヤ45と、ピニオンシャフト46と、ピニオンシャフト46に回転自在に支持された一対のピニオンギヤ47と、ピニオンギヤ47に噛合する一対のサイドギヤ48、49と、このサイドギヤ48、49にそれぞれ連結された左右のドライブシャフト61、62とを有している。
また、各ドライブシャフト61、62には車輪50L、50Rがそれぞれ連結されている。このように、トランスアクスルケース4の内部に、変速機構11およびディファレンシャル装置43を一括して組み込んだ動力伝達装置であるトランスアクスル1を構成している。
また、MGシャフト32にはリングギヤ26と同軸上に回転部材としてのパーキングギヤ51が取付けられており、このパーキングギヤ51は、パーキングロック機構52のパーキングポール(不図示)に係合自在となっている。
次に、図2を参照してディファレンシャル装置43の詳細な構成を説明する。
図2(a)において、ディファレンシャル装置43のデフケース70は、高い剛性を有する金属材料からなり、ボス部71と、このボス部71と対向しボス部71の軸線と一致する軸線を有するボス部72と、ボス部71、72と一体的に形成された本体部73と、本体部73の外周に形成されたフランジ部74とを含んで構成されている。
ボス部71には、その軸線方向に貫通する貫通孔75が形成されるとともに、ボス部72には、貫通孔75と軸線が一致するよう形成された貫通孔76が形成されている。
本体部73の内面には、ボス部71、72の軸線と直交して支持穴77、78がそれぞれ形成されている。支持穴77と支持穴78は、本体部73の内面で互いに対向するとともに双方の軸線が一致するよう形成されている。
ドライブシャフト61の先端部は、デフケース70の貫通孔75に挿通されるとともに、サイドギヤ48にスプライン嵌合されている。また、ドライブシャフト62の先端部は、デフケース70の貫通孔76に挿通されるとともに、サイドギヤ49にスプライン嵌合されている。
ピニオンシャフト46の各端部は、支持穴77、78に挿通されて支持されており、このピニオンシャフト46は、一対のピニオンギヤ47を回転可能に支持している。
このディファレンシャル装置43は、ファイナルリングギヤ45とともにデフケース70が回転すると、ピニオンシャフト46がデフケース70とともに回転し、一対のピニオンギヤ47がデフケース70の軸線を中心として公転する。
そして、一対のピニオンギヤ47と噛み合う左右のサイドギヤ48、49がそれぞれ回転し、ドライブシャフト61を介して車輪50Lが回転し、ドライブシャフト62を介して車輪50Rが回転する。
この構成により、ディファレンシャル装置43は、ドライブシャフト61に連結された車輪50Lと、ドライブシャフト62に連結された車輪50Rとが異なった回転速度でそれぞれ回転することを許容している。
例えば、車両が進行方向の右に旋回するとき、車輪50Lの回転半径が車輪50Rの回転半径より大きいため、車輪50Lが車輪50Rよりも早い速度で回転することになる。すなわち、左のドライブシャフト61側のサイドギヤ48が右のドライブシャフト62側のサイドギヤ49よりも早い速度で回転し、双方の間で回転差が生ずる。このとき、一対のピニオンギヤ47の回転により、車輪50Lと車輪50Rとの間で回転差が許容され、それぞれ異なった回転速度で回転することができる。
また、車両は、図示しないエアバッグECUおよびパワーマネージメントECUを備えている。エアバッグECUは、不図示の加速度センサー等が車両の衝突を検知した場合に衝突検知信号を出力するようになっている。パワーマネージメントECUは、エアバッグECUからの衝突検知信号が入力されると、図示しない平滑コンデンサの電荷を負荷側、すなわちインバータの側に放電してモータジェネレータMG2に通電することによって平滑コンデンサからの電荷の放電を行うようになっている。
平滑コンデンサの電荷を放電させる具体例としては、公知の技術を利用することができ、例えば、特開2010−004668号公報に記載されているように、昇圧コンバータのチョッパ回路の上アーム(トランジスタ)をオフにするとともに下アーム(トランジスタ)をスイッチング状態にすることにより、平滑コンデンサの電荷をインバータの側に放電してモータジェネレータMG2に通電することができる。
また、図2(a)、図2(b)において、デフケース70の本体部73の内部のサイドギヤ48、49に対向する面には、円環状の第1摩擦板81がデフケース70と一体的に回転可能にそれぞれ固定されている。
また、第1摩擦板81とサイドギヤ48の間、および第1摩擦板81とサイドギヤ49の間には、円環状の第2摩擦板82がそれぞれ設けられている。この第2摩擦板82は、サイドギヤ48、49の筒状部48a、49aに対して軸線方向にスライド可能にスプライン嵌合され、サイドギヤ48、49と一体的に回転可能に構成されている。
具体的には、第2摩擦板82の内周側には、中心側に向って突出する複数(本実施の形態では4つ)の凸部82aが設けられるとともに、サイドギヤ48、49の筒状部48a、49aには、この凸部82aがスライド可能にスプライン嵌合するスプライン溝48b、49bがそれぞれ形成されている。
これにより、第2摩擦板82の内周面は、サイドギヤ48、49の筒状部48a、49aの外周面に支持されるとともに、第2摩擦板82がサイドギヤ48、49の筒状部48a、49aの外周面上を凸部82aとスプライン溝48b、49bとがスプライン嵌合した状態で、軸線方向にスライド可能となっている。
スプライン溝48b、49bは、サイドギヤ48、49の筒状部48a、49aの外周面と内周面とを連通して形成されており、第2摩擦板82の凸部82aの先端は、ドライブシャフト61、62のスプラインにもスプライン嵌合している。
また、第2摩擦板82とサイドギヤ48の間、および第2摩擦板82とサイドギヤ49の間には、反力発生要素としてのウェーブスプリング83がそれぞれ介装されている。このウェーブスプリング83は、第2摩擦板82を第1摩擦板81に当接させる方向、すなわち車輪50L、50Rの方向にそれぞれ押圧する圧縮バネとして機能している。
このウェーブスプリング83による押圧力により、第2摩擦板82の凸部82aの先端は、ドライブシャフト61、62のスプライン形成部61a、62aと非スプライン形成部61b、62bとの境界面である端面61c、62cにそれぞれ当接されている。
ドライブシャフト61、62の端面61c、62cは、ドライブシャフト61、62がサイドギヤ48、49にそれぞれスプライン嵌合した状態で、第1摩擦板81よりも内側となる位置に設定されている。
このため、ドライブシャフト61、62がサイドギヤ48、49にそれぞれスプライン嵌合した状態では、第2摩擦板82が、ウェーブスプリング83に押圧されて凸部82aがドライブシャフト61、62の端面61c、62cに当接することにより、このドライブシャフト61、62の端面61c、62cの位置に配置される。この状態では、第1摩擦板81と第2摩擦板82との間に隙間が形成され、第1摩擦板81と第2摩擦板82とが非摩擦係合状態となっている。
また、車両の衝突によりドライブシャフト61またはドライブシャフト62が車輪50Lまたは車輪50Rの方向に変位して、ドライブシャフト61またはドライブシャフト62とサイドギヤ48、49の間のスプライン嵌合が外れた場合には、第2摩擦板82は、ウェーブスプリング83により押圧されて第1摩擦板81に当接する位置に移動する。この状態では、第1摩擦板81と第2摩擦板82とが摩擦係合状態となる。なお、第1摩擦板81と第2摩擦板82との摩擦係合力は、ウェーブスプリング83の押圧力や、第1摩擦板81および第2摩擦板82の材質、摩擦係数に応じたものとなるが、不図示の平滑コンデンサの容量等に応じて設定することが好ましい。
次に、作用を説明する。ドライブシャフト61、62がサイドギヤ48、49にそれぞれスプライン嵌合した状態では、第1摩擦板81と第2摩擦板82との間に隙間が形成され、第1摩擦板81と第2摩擦板82とが非摩擦係合状態であるため、ドライブシャフト61とドライブシャフト62との間の差動回転が許容される。
車両の衝突により、例えば左のドライブシャフト61が車輪50L側に変位し、ドライブシャフト61とサイドギヤ48との間のスプライン嵌合が外れた場合には、ドライブシャフト61の変位に伴って第2摩擦板82が第1摩擦板81に当接する位置に移動し、第1摩擦板81と第2摩擦板82とが摩擦係合状態となる。
第1摩擦板81と第2摩擦板82とが摩擦係合している状態では、第2摩擦板82がスプライン嵌合しているサイドギヤ48と、第1摩擦板81が固定されているデフケース70とが摩擦係合して一体的に回転することになり、サイドギヤ48とサイドギヤ49との間の差動回転が制限される。
これにより、サイドギヤ48やデフケース70の空転が防止されるとともに、ディファレンシャル装置43と右のドライブシャフト62および車輪50Rとの間の駆動連結が維持される。
したがって、車両の左のドライブシャフト61が車輪50L側に変位してドライブシャフト61とサイドギヤ48との間のスプライン嵌合が外れた場合であっても、デフケース70とサイドギヤ48の間において、第1摩擦板81と第2摩擦板82とがウェーブスプリング83の押圧力に応じた摩擦係合力で摩擦係合することにより、デフケース70の空転が防止される。
また、第1摩擦板81と第2摩擦板82とが摩擦係合することにより、モータジェネレータMG2と車輪50Rとの間の駆動系の全ての要素が結合した状態となるため、モータジェネレータMG2に通電することによる不図示の平滑コンデンサからの電荷の放電が速やかに行われる。例えば、平滑コンデンサを5秒以内に60V以下にすることが可能となる。
また、平滑コンデンサからの電荷の放電の際に、モータジェネレータMG2と車輪50Rとの間の駆動系の全ての要素が結合した状態であるため、モータジェネレータMG2が無負荷状態で過回転して破損することが防止される。
なお、車両の衝突により、右のドライブシャフト62が車輪50R側に変位し、ドライブシャフト62とサイドギヤ49との間のスプライン嵌合が外れた場合も上記と同様であり、デフケース70とサイドギヤ49の間において、第1摩擦板81と第2摩擦板82とが摩擦係合することにより、デフケース70の空転が防止される。
また、本実施の形態では、第1摩擦板81、第2摩擦板82およびウェーブスプリング83は、左のサイドギヤ48とデフケース70の間、および右のサイドギヤ49とデフケース70の間にそれぞれ設けられ、左のドライブシャフト61と右のドライブシャフト62の何れが外れた場合にもデフケース70の空転が防止されるように構成されているが、この構成に限定されるものではなく、第1摩擦板81、第2摩擦板82およびウェーブスプリング83は、左のサイドギヤ48または右のサイドギヤ49のうちの構造上ドライブシャフトが外れやすい側の何れか一方とデフケース70の間に設けてもよい。
なお、本実施の形態は、摩擦係合要素である第1摩擦板81と第2摩擦板82との摩擦係合によりサイドギヤ48とサイドギヤ49との間の差動回転を制限する構成であるため、通常走行中に何らかの不具合により第1摩擦板81と第2摩擦板82とが接触した場合であっても、大きな支障なく走行を継続することができる。
このように本実施の形態のディファレンシャル装置43は、デフケース70と一体的に回転する第1摩擦板81と、ドライブシャフト61の軸線方向において第1摩擦板81に対向し、サイドギヤ48と一体的に回転するとともに、軸線方向に移動可能な第2摩擦板82と、を備え、ドライブシャフト61が軸線方向の車輪50L側へと移動した場合に、第2摩擦板82がウェーブスプリング83に押圧されながらドライブシャフト61の端面61cとともに車輪50L側に移動し、第1摩擦板81と第2摩擦板82とが係合するよう構成されている。
この構成により、車両の衝突時に、ドライブシャフト61とサイドギヤ48とのスプライン嵌合が外れた場合は、第1摩擦板81と第2摩擦板82が係合することで、サイドギヤ48がデフケース70と一体的に回転することができるので、デフケース70の空転を防止することができる。
また、第1摩擦板81と第2摩擦板82とが摩擦係合することにより、動力源としてのモータジェネレータMG2と車輪50Rとの間の駆動系の全ての要素が結合した状態を維持できるため、モータジェネレータMG2に通電することによる不図示の平滑コンデンサからの電荷の放電を速やかに行うことができる。
したがって、車両の衝突時にドライブシャフト61が軸線方向の車輪50L側に変位してサイドギヤ48との間のスプライン嵌合が外れた場合であっても、モータジェネレータMG2の回転停止が遅れることを防止し、平滑コンデンサの電荷を速やかに放電することができる。
(第2の実施の形態)
図3、図4は、本発明に係る差動装置の第2の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同一の構成には同一番号を付して説明を省略する。
図3、図4は、本発明に係る差動装置の第2の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同一の構成には同一番号を付して説明を省略する。
ここで、本実施の形態では、ディファレンシャル装置43は、第1の実施の形態の第1摩擦板81と第2摩擦板82による摩擦係合に代えて、噛み合い溝にドッグクラッチキーが係合することによりサイドギヤ48とサイドギヤ49との間の差動回転を制限するようになっている。
図3(a)、図3(b)において、デフケース70のサイドギヤ48、49に対向する面には、ドッグクラッチ機構の一方を構成する噛み合い溝73aがそれぞれ形成されている。
この噛み合い溝73aは、デフケース70のサイドギヤ48、49に対向する面において、サイドギヤ48、49の軸線を中心とした同心円状に複数設けられている。このため、噛み合い溝73aは、デフケース70と一体的に回転する。
また、噛み合い溝73aとサイドギヤ48の間、および噛み合い溝73aとサイドギヤ49の間には、ドッグクラッチ機構の他方を構成するドッグクラッチキー86がそれぞれ配置されている。
このドッグクラッチキー86は、サイドギヤ48、49の筒状部48a、49aの内周面に形成された収納溝48c、49cに収められるとともに、収納溝48c、49c内をスライド可能となっている。
また、ドッグクラッチキー86は、その内周面側において、ドライブシャフト61、62との間でスプライン嵌合されている。このため、ドッグクラッチキー86は、サイドギヤ48、49と一体的に回転する。
ドッグクラッチキー86は、ドライブシャフト61、62に対して締り嵌めによる固定状態、または隙間嵌めと接着を併用した固定状態とすることにより、少なくとも噛み合い溝73aに噛み合う位置に移動するまでドライブシャフト61、62と一体的に軸線方向にそれぞれ移動できるように、ドライブシャフト61、62にそれぞれスプライン嵌合されている。
なお、ドライブシャフト61、62に対するドッグクラッチキー86の固定力は、ドッグクラッチキー86がドライブシャフト61、62とともに噛み合い溝73aに噛み合う位置に移動した後に更にドライブシャフト61、62が車輪50L、50R側に変位したときに、ドライブシャフト61、62とドッグクラッチキー86との固定が解除される程度の固定力に設定してもよい。
図4(a)、図4(b)に示すように、ドッグクラッチキー86は、ドライブシャフト61、62とスプライン嵌合する溝状のスプライン嵌合部86aと、噛み合い溝73aと噛み合って係合する係合爪部86bと、を有している。
図4(b)において、紙面上側がドライブシャフト61、62の回転に伴うドッグクラッチキー86の移動方向となっており、係合爪部86bがテーパー状に突出する形状に形成されるとともに、噛み合い溝73aがテーパー状に窪んだ形状に形成されている。これにより、ドッグクラッチキー86は、係合爪部86bにおいて噛み合い溝73aに良好に噛み合うことができる。
ドッグクラッチキー86は、ドライブシャフト61、62とともに車輪50L、50R側に変位したときに、その係合爪部86bが噛み合い溝73aに噛み合うことにより、噛み合い溝73aと係合するようになっている。
なお、ドッグクラッチキー86の設置個数は、1つであっても、または複数個であっても構わない。ドッグクラッチキー86の設置個数は、不図示の平滑コンデンサの容量やドッグクラッチ機構に要求される係合力または強度等に応じて設定することが好ましい。
例えば、平滑コンデンサの容量が大きいため放電すべき電荷が多く、モータジェネレータMG2への通電電流が大きい場合には、ドッグクラッチキー86の設置個数が多く要求されることがある。
ドッグクラッチキー86は、ドライブシャフト61、62がサイドギヤ48、49にそれぞれスプライン嵌合した状態では、係合爪部86bが噛み合い溝73aに噛み合わない位置、すなわち、係合爪部86bが噛み合い溝73aよりもサイドギヤ48、49側に位置するように配置されている。
このため、ドライブシャフト61、62がサイドギヤ48、49にそれぞれスプライン嵌合した状態では、ドッグクラッチキー86が噛み合い溝73aから離隔しており、ドッグクラッチキー86と噛み合い溝73aとが非係合状態となっている。
また、車両の衝突によりドライブシャフト61またはドライブシャフト62が車輪50Lまたは車輪50Rの方向に変位して、ドライブシャフト61またはドライブシャフト62とサイドギヤ48、49の間のスプライン嵌合が外れた場合には、ドッグクラッチキー86は、ドライブシャフト61、62の変位とともに噛み合い溝73aに噛み合う位置に移動する。この状態では、ドッグクラッチキー86と噛み合い溝73aとが係合状態となる。
次に、作用を説明する。ドライブシャフト61、62がサイドギヤ48、49にそれぞれスプライン嵌合した状態では、ドッグクラッチキー86の係合爪部86bが噛み合い溝73aに噛み合っておらず、ドッグクラッチキー86と噛み合い溝73aとが非係合状態であるため、ドライブシャフト61とドライブシャフト62との間の差動回転が許容される。
車両の衝突により、例えば左のドライブシャフト61が車輪50L側に変位し、ドライブシャフト61とサイドギヤ48との間のスプライン嵌合が外れた場合には、ドライブシャフト61の変位に伴ってドッグクラッチキー86が噛み合い溝73aに噛み合う位置に移動し、ドッグクラッチキー86と噛み合い溝73aとが係合状態となる。
ドッグクラッチキー86と噛み合い溝73aとが係合している状態では、ドッグクラッチキー86が収納溝48cに配置されているサイドギヤ48と、噛み合い溝73aが形成されているデフケース70とが係合していることになり、サイドギヤ48とサイドギヤ49との間の差動回転が制限される。
具体的には、サイドギヤ48とサイドギヤ49とがロック状態となる。これにより、サイドギヤ48やデフケース70の空転が防止されるとともに、ディファレンシャル装置43と右のドライブシャフト62および車輪50Rとの間の駆動連結が確保される。
したがって、車両の左のドライブシャフト61が車輪50L側に変位してドライブシャフト61とサイドギヤ48との間のスプライン嵌合が外れた場合であっても、デフケース70とサイドギヤ48の間において、ドッグクラッチキー86と噛み合い溝73aとが係合することにより、デフケース70の空転が防止される。
また、ドッグクラッチキー86と噛み合い溝73aとが係合することにより、モータジェネレータMG2と車輪50Rとの間の駆動系の全ての要素が結合した状態となるため、モータジェネレータMG2に通電することによる不図示の平滑コンデンサからの電荷の放電が速やかに行われる。例えば、平滑コンデンサを5秒以内に60V以下にすることが可能となる。
また、平滑コンデンサからの電荷の放電の際に、モータジェネレータMG2と車輪50Rとの間の駆動系の全ての要素が結合した状態であるため、モータジェネレータMG2が無負荷状態で過回転して破損することが防止される。
なお、車両の衝突により、右のドライブシャフト62が車輪50R側に変位し、ドライブシャフト62とサイドギヤ49との間のスプライン嵌合が外れた場合も同様に、デフケース70とサイドギヤ49の間において、ドッグクラッチキー86と噛み合い溝73aとが係合することにより、デフケース70の空転が防止される。
また、本実施の形態では、噛み合い溝73aとドッグクラッチキー86からなる係合要素は、左のサイドギヤ48とデフケース70の間、および右のサイドギヤ49とデフケース70の間にそれぞれ設けられ、左のドライブシャフト61と右のドライブシャフト62の何れが外れた場合にもデフケース70の空転が防止されるように構成されているが、この構成に限定されるものではなく、噛み合い溝73aとドッグクラッチキー86からなる係合要素は、左のサイドギヤ48または右のサイドギヤ49のうちの構造上ドライブシャフトが外れやすい側の何れか一方とデフケース70の間に設けてもよい。
なお、本実施の形態は、第1の実施の形態とは異なり、噛み合い溝73aとドッグクラッチキー86とが噛み合って係合する構成であるため、第1の実施の形態のように第1摩擦板81と第2摩擦板82とを摩擦係合させる構成と比較して、サイドギヤ48とサイドギヤ49との間の差動回転を強く制限することができる。
このように本実施の形態のディファレンシャル装置43は、デフケース70と一体的に回転する噛み合い溝73aと、ドライブシャフト61の軸線方向において噛み合い溝73aに対向し、サイドギヤ48と一体的に回転するとともに、軸線方向に移動可能なドッグクラッチキー86と、を備え、ドライブシャフト61が軸線方向の車輪50L側へと移動した場合に、ドライブシャフト61とスプライン嵌合したドッグクラッチキー86がサイドギヤ48の収納溝48c内で車輪50L側に移動し、噛み合い溝73aとドッグクラッチキー86とが係合するよう構成されている。
この構成により、車両の衝突時に、ドライブシャフト61とサイドギヤ48とのスプライン嵌合が外れた場合は、噛み合い溝73aとドッグクラッチキー86が係合することで、サイドギヤ48がデフケース70と一体的に回転することができるので、デフケース70の空転を防止することができる。
また、噛み合い溝73aとドッグクラッチキー86とが係合することにより、動力源としてのモータジェネレータMG2と車輪50Rとの間の駆動系の全ての要素が結合した状態を維持できるため、モータジェネレータMG2に通電することによる不図示の平滑コンデンサからの電荷の放電を速やかに行うことができる。
したがって、車両の衝突時にドライブシャフト61が軸線方向の車輪50L側に変位してサイドギヤ48との間のスプライン嵌合が外れた場合であっても、モータジェネレータMG2の回転停止が遅れることを防止し、平滑コンデンサの電荷を速やかに放電することができる。
(第3の実施の形態)
図5は、本発明に係る差動装置の第3の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同一の構成には同一番号を付して説明を省略する。
図5は、本発明に係る差動装置の第3の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同一の構成には同一番号を付して説明を省略する。
ここで、本実施の形態では、ディファレンシャル装置43は、電気的信号に基づいて駆動されるドッグクラッチ機構を用いた差動制限機構により差動制限を行うようになっている。
図5において、右のドライブシャフト62とデフケース70との間にはドッグクラッチ機構90が設けられている。なお、図5では、図示省略しているが、左のドライブシャフト61とデフケース70との間にもドッグクラッチ機構90を設けてもよい。
ドッグクラッチ機構90は、油圧アクチュエータ91、可動フォーク92、スプリング93、可動爪94、回転部材95、ドッグクラッチ96および噛み合い溝形成部材97を備えており、パワーマネージメントECU102からの駆動信号によって作動するようになっている。
噛み合い溝形成部材97は、不図示の噛み合い溝が形成された円環状の部材からなり、デフケース70の外側の側面に設けられるとともに、デフケース70と一体的に回転するようになっている。噛み合い溝形成部材97の噛み合い溝は、図4(b)と同様の形状に形成されている。
回転部材95は、内周面でドライブシャフト62にスプライン嵌合する略円筒形状の部材であり、ドライブシャフト62の軸線方向に移動可能で、且つ、ドライブシャフト62と一体的に回転するようになっている。
噛み合い溝形成部材97に対向する側の回転部材95の表面には、ドッグクラッチ96が形成されており、このドッグクラッチ96は、回転部材95が噛み合い溝形成部材97の側に移動したときに、噛み合い溝形成部材97と係合するようになっている。
可動爪94は、スプリング93を介して弾性的に可動フォーク92の一端に接続されるとともに回転部材95の凹部と摺動し、この回転部材95を軸線方向に移動させるようになっている。可動フォーク92は、油圧アクチュエータ91により直線的に往復移動されるようになっている。
油圧アクチュエータ91は、パワーマネージメントECU102に電気的に接続されており、パワーマネージメントECU102からの信号に応じて可動フォーク92を移動するようになっている。
油圧アクチュエータ91には、エアバッグECU101からの衝突検知信号に基づいて、パワーマネージメントECU102からの駆動信号が入力されるようになっている。なお、油圧アクチュエータ91に代えて、電磁ソレノイド等のアクチュエータを用いてもよい。
エアバッグECU101は、不図示の加速度センサー等が車両の衝突を検知した場合に衝突検知信号を出力するようになっている。パワーマネージメントECU102は、エアバッグECU101からの衝突検知信号が入力されると、油圧アクチュエータ91に駆動信号を出力するとともに、モータジェネレータMG2に通電することによって不図示の平滑コンデンサからの電荷の放電を行うようになっている。
上記のように構成されたドッグクラッチ機構90において、油圧アクチュエータ91に駆動信号が入力されていないときは、ドッグクラッチ96が噛み合い溝形成部材97から離隔しており、ドッグクラッチ96と噛み合い溝形成部材97とが非係合状態となる。このため、デフケース70とドライブシャフト62との間でトルクの伝達は行われない。
一方、油圧アクチュエータ91に駆動信号が入力されたときは、ドッグクラッチ96が噛み合い溝形成部材97に噛み合って、ドッグクラッチ96と噛み合い溝形成部材97とが係合状態となる。この結果、デフケース70とドライブシャフト62との間でトルクの伝達が行われる。
次に、作用を説明する。車両の衝突が発生しておらずエアバッグECU101が衝突検知信号を出力していない状態では、パワーマネージメントECU102からドッグクラッチ機構90の油圧アクチュエータ91に駆動信号が出力されておらず、ドッグクラッチ96と噛み合い溝形成部材97とが非係合状態となる。
この場合、デフケース70とドライブシャフト62との間でトルクの伝達は行われないので、ドライブシャフト61とドライブシャフト62との間の差動回転が許容される。
車両の衝突により、エアバッグECU101が衝突検知信号を出力し、この衝突検知信号に基づいてドッグクラッチ機構90の油圧アクチュエータ91にパワーマネージメントECU102からの駆動信号が入力されると、ドッグクラッチ96と噛み合い溝形成部材97が係合状態となる。この結果、デフケース70とドライブシャフト62との間でトルクの伝達が行われる。
また、デフケース70とドライブシャフト62とが一体的に回転し、ピニオンギヤ47が回転することがないので、サイドギヤ48とサイドギヤ49との間の差動回転が制限される。具体的には、サイドギヤ48とサイドギヤ49とがロック状態となる。
これにより、車両の衝突によって左のドライブシャフト61が車輪50L側に変位し、ドライブシャフト61とサイドギヤ48との間のスプライン嵌合が外れた場合であっても、サイドギヤ48やデフケース70の空転が防止されるとともに、ディファレンシャル装置43と右のドライブシャフト62および車輪50Rとの間の駆動連結が確保される。
したがって、車両の左のドライブシャフト61が車輪50L側に変位してドライブシャフト61とサイドギヤ48との間のスプライン嵌合が外れた場合であっても、ドッグクラッチ機構90のドッグクラッチ96と噛み合い溝形成部材97が係合することにより、デフケース70とドライブシャフト62の間でトルクの伝達が行われるため、デフケース70の空転が防止される。
また、ドッグクラッチ96と噛み合い溝形成部材97が係合することにより、モータジェネレータMG2と車輪50Rとの間の駆動系の全ての要素が結合した状態となるため、モータジェネレータMG2に通電することによる不図示の平滑コンデンサからの電荷の放電が速やかに行われる。例えば、平滑コンデンサを5秒以内に60V以下にすることが可能となる。
また、平滑コンデンサからの電荷の放電の際に、モータジェネレータMG2と車輪50Rとの間の駆動系の全ての要素が結合した状態であるため、モータジェネレータMG2が無負荷状態で過回転して破損することが防止される。
なお、左のドライブシャフト61とデフケース70との間にもドッグクラッチ機構90を設けた場合には、車両の衝突により、右のドライブシャフト62が車輪50R側に変位し、ドライブシャフト62とサイドギヤ49との間のスプライン嵌合が外れたときに、ドッグクラッチ機構90の係合により、デフケース70とドライブシャフト61の間でトルクの伝達が行われるため、デフケース70の空転が防止される。
すなわち、ドッグクラッチ機構90は、右のドライブシャフト62とデフケース70との間、または左のドライブシャフト61とデフケース70との間の何れか一方、または両方に設けることができる。
このように本実施の形態のディファレンシャル装置43は、デフケース70と一体的に回転する噛み合い溝形成部材97と、ドライブシャフト62の軸線方向において噛み合い溝形成部材97に対向し、ドライブシャフト62と一体的に回転するとともに、軸線方向に移動可能なドッグクラッチ96と、を備え、車両が衝突してドライブシャフト61が軸線方向の車輪50L側へと移動した場合に、エアバッグECU101が衝突検知信号を出力し、この衝突検知信号に基づいてドッグクラッチ機構90の油圧アクチュエータ91にパワーマネージメントECU102からの駆動信号が入力されると、噛み合い溝形成部材97とドッグクラッチ96とが係合するよう構成されている。
この構成により、車両の衝突時に、ドライブシャフト61とサイドギヤ48とのスプライン嵌合が外れた場合は、噛み合い溝形成部材97とドッグクラッチ96とが係合することで、ドライブシャフト61がデフケース70と一体的に回転することができるので、デフケース70の空転を防止することができる。
また、噛み合い溝形成部材97とドッグクラッチ96とが係合することにより、動力源としてのモータジェネレータMG2と車輪50Rとの間の駆動系の全ての要素が結合した状態を維持できるため、モータジェネレータMG2に通電することによる平滑コンデンサからの電荷の放電を速やかに行うことができる。
したがって、車両の衝突時にドライブシャフト61が軸線方向の車輪50L側に変位してサイドギヤ48との間のスプライン嵌合が外れた場合であっても、モータジェネレータMG2の回転停止が遅れることを防止し、平滑コンデンサの電荷を速やかに放電することができる。
(第4の実施の形態)
図6は、本発明に係る差動装置の第4の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同一の構成には同一番号を付して説明を省略する。
図6は、本発明に係る差動装置の第4の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同一の構成には同一番号を付して説明を省略する。
ここで、本実施の形態では、ディファレンシャル装置43は、電気的信号に基づいて駆動される電子制御カップリング機構を用いた差動制限機構により差動制限を行うようになっている。
図6において、右のドライブシャフト62とデフケース70との間には電子制御カップリング機構120が設けられている。なお、図6では、図示省略しているが、左のドライブシャフト61とデフケース70との間にも電子制御カップリング機構120を設けてもよい。
電子制御カップリング機構120は、ドライブシャフト62と同軸で、且つ、デフケース70と一体的に回転するアウタケース121と、ドライブシャフト62が貫通するリヤカバー123と、を備えている。
リヤカバー123は、軸線方向一端部に開口した凹部を有し、この凹部には、同心円状のコイル126およびコイル126を覆うヨーク127が配置される。リヤカバー123は、ヨーク127に回転可能に結合されている。
コイル126には、エアバッグECU101からの衝突検知信号に基づいて、パワーマネージメントECU102からの駆動電力が供給されるようになっている。
エアバッグECU101は、不図示の加速度センサー等が車両の衝突を検知した場合に衝突検知信号を出力するようになっている。パワーマネージメントECU102は、エアバッグECU101からの衝突検知信号が入力されると、コイル126に駆動電力を供給するとともに、モータジェネレータMG2に通電することによって不図示の平滑コンデンサからの電荷の放電を行うようになっている。
ドライブシャフト62は、パイロットクラッチ側カム部材131を回転可能に支持している。アーマチュア132およびパイロットインナクラッチ板133は、パイロットクラッチ側カム部材131の外周部にスプライン嵌合して、パイロットクラッチ側カム部材131に対して軸方向に移動可能で、且つ、パイロットクラッチ側カム部材131と一緒に回転可能になっている。
アウタケース121の内周部には、パイロットアウタクラッチ板128がスプライン嵌合により取り付けられ、パイロットアウタクラッチ板128とパイロットインナクラッチ板133は、軸線方向に交互に配置され、パイロットクラッチPCを構成している。
このように、パイロットクラッチPCは、パイロットアウタクラッチ板128とパイロットインナクラッチ板133を摩擦係合および非摩擦係合(解放)するよう作動し、アウタケース121とドライブシャフト62の間のトルクの伝達と非伝達を行うようになっている。
アーマチュア132は、パイロットクラッチPCと後述するメインクラッチMCの間に配置されている。コイル126が通電状態にあるときには、ヨーク127、リヤカバー123、アーマチュア132に磁束回路が形成され、アーマチュア132がコイル126に磁気吸引されるようになっている。
メインクラッチ側カム部材134は、その内周側端部でドライブシャフト62にスプライン嵌合することにより、軸方向に移動可能で、且つ、ドライブシャフト62と一緒に回転可能に構成されている。
メインクラッチ側カム部材134とパイロットクラッチ側カム部材131には、それぞれ円弧状の不図示の凹部が互いに対向するように形成されており、これらの凹部にボール136が配置されている。
すなわち、パイロットクラッチ側カム部材131とメインクラッチ側カム部材134は、このボール136を介してボール・カム結合されており、パイロットクラッチ側カム部材131、メインクラッチ側カム部材134およびボール136は、ボール・カム機構56を構成している。
メインインナクラッチ板135は、ドライブシャフト62にスプライン嵌合して、ドライブシャフト62に対して軸方向に移動可能で、且つ、ドライブシャフト62と一緒に回転可能に構成されている。
アウタケース121の内周部には、メインアウタクラッチ板129がスプライン嵌合により取り付けられており、メインアウタクラッチ板129とメインインナクラッチ板135は、軸線方向に交互に配置され、メインクラッチMCを構成している。
メインクラッチMCにおいては、メインアウタクラッチ板129がアウタケース121と一体的に回転し、メインインナクラッチ板135がドライブシャフト62と一体的に回転する。
このように、メインクラッチMCは、メインアウタクラッチ板129とメインインナクラッチ板135が摩擦係合および非摩擦係合することにより、ドライブシャフト62とアウタケース121を摩擦係合および非摩擦係合するよう作動し、アウタケース121とドライブシャフト62の間のトルクの伝達と非伝達を行うように構成されている。
また、メインクラッチMCを構成するメインアウタクラッチ板129とメインインナクラッチ板135は、ボール・カム機構56により増幅された係合力で係合するようになっている。
上記のように構成された電子制御カップリング機構120において、コイル126が非通電状態であるときは、アーマチュア132は、コイル126により磁気吸引されないので、パイロットアウタクラッチ板128とパイロットインナクラッチ板133が非摩擦係合している状態、すなわち、パイロットクラッチPCは開放状態となる。
このため、メインアウタクラッチ板129とメインインナクラッチ板135からなるメインクラッチMCも非摩擦係合の開放状態となる。したがって、アウタケース121とドライブシャフト62との間でトルクの伝達は行われない。
一方、コイル126が通電されたときは、コイル126が発生する磁力は、ヨーク127、リヤカバー123を介してアーマチュア132に伝播される。
このため、アーマチュア132は、コイル126の方向(図6の左方向)に磁気吸引されて、パイロットアウタクラッチ板128とパイロットインナクラッチ板133が互いに摩擦係合して、パイロットクラッチPCが摩擦係合状態になる。
パイロットクラッチPCが摩擦係合状態になると、アウタケース121のトルクがパイロットクラッチ側カム部材131に伝達され、パイロットクラッチ側カム部材131が回転する。このとき、まだメインクラッチ側カム部材134が回転していないので、パイロットクラッチ側カム部材131とメインクラッチ側カム部材134の間で回転速度差が発生する。
このため、パイロットクラッチ側カム部材131とメインクラッチ側カム部材134の間に挟持されているボール136は、メインクラッチ側カム部材134の凹部のカム面に沿って移動し、パイロットクラッチ側カム部材131とメインクラッチ側カム部材134の間の間隔を押し広げる。
このため、メインクラッチ側カム部材134がパイロットクラッチ側カム部材131から離反する方向(図6の左方向)に移動して、メインアウタクラッチ板129とメインインナクラッチ板135が互いに摩擦係合して、メインクラッチMCは、摩擦係合状態となる。この結果、アウタケース121とドライブシャフト62との間でトルクの伝達が行われる。
次に、作用を説明する。車両の衝突が発生しておらずエアバッグECU101が衝突検知信号を出力していない状態では、パワーマネージメントECU102から電子制御カップリング機構120のコイル126に駆動電力が供給されておらず、メインアウタクラッチ板129とメインインナクラッチ板135からなるメインクラッチMCが非摩擦係合の開放状態となる。
この場合、アウタケース121とドライブシャフト62との間でトルクの伝達は行われないので、ドライブシャフト61とドライブシャフト62との間の差動回転が許容される。
車両の衝突により、エアバッグECU101が衝突検知信号を出力し、この衝突検知信号に基づいて電子制御カップリング機構120のコイル126にパワーマネージメントECU102からの駆動電力が供給されると、メインアウタクラッチ板129とメインインナクラッチ板135が互いに摩擦係合して、メインクラッチMCは、摩擦係合状態となる。この結果、アウタケース121とドライブシャフト62との間でトルクの伝達が行われる。
また、アウタケース121とドライブシャフト62とが一体的に回転し、ピニオンギヤ47が回転することがないので、サイドギヤ48とサイドギヤ49との間の差動回転が制限される。具体的には、サイドギヤ48とサイドギヤ49とがロック状態となる。
これにより、車両の衝突によって左のドライブシャフト61が車輪50L側に変位し、ドライブシャフト61とサイドギヤ48との間のスプライン嵌合が外れた場合であっても、サイドギヤ48やデフケース70の空転が防止されるとともに、ディファレンシャル装置43と右のドライブシャフト62および車輪50Rとの間の駆動連結が確保される。
したがって、車両の左のドライブシャフト61が車輪50L側に変位してドライブシャフト61とサイドギヤ48との間のスプライン嵌合が外れた場合であっても、電子制御カップリング機構120のメインアウタクラッチ板129とメインインナクラッチ板135が摩擦係合することにより、デフケース70とドライブシャフト62の間でトルクの伝達が行われるため、デフケース70の空転が防止される。
また、メインアウタクラッチ板129とメインインナクラッチ板135が摩擦係合することにより、モータジェネレータMG2と車輪50Rとの間の駆動系の全ての要素が結合した状態となるため、モータジェネレータMG2に通電することによる不図示の平滑コンデンサからの電荷の放電が速やかに行われる。例えば、平滑コンデンサを5秒以内に60V以下にすることが可能となる。
また、平滑コンデンサからの電荷の放電の際に、モータジェネレータMG2と車輪50Rとの間の駆動系の全ての要素が結合した状態であるため、モータジェネレータMG2が無負荷状態で過回転して破損することが防止される。
なお、左のドライブシャフト61とデフケース70との間にも電子制御カップリング機構120を設けた場合には、車両の衝突により、右のドライブシャフト62が車輪50R側に変位し、ドライブシャフト62とサイドギヤ49との間のスプライン嵌合が外れたときに、電子制御カップリング機構120の係合により、デフケース70とドライブシャフト61の間でトルクの伝達が行われるため、デフケース70の空転が防止される。
すなわち、電子制御カップリング機構120は、右のドライブシャフト62とデフケース70との間、または左のドライブシャフト61とデフケース70との間の何れか一方、または両方に設けることができる。
このように本実施の形態のディファレンシャル装置43は、デフケース70と一体的に回転するメインアウタクラッチ板129と、ドライブシャフト61の軸線方向においてメインアウタクラッチ板129に対向し、ドライブシャフト61と一体的に回転するとともに、軸線方向に移動可能なメインインナクラッチ板135と、を備え、ドライブシャフト61が軸線方向の車輪50L側へと移動した場合に、メインアウタクラッチ板129とメインインナクラッチ板135とが係合するよう構成されている。
この構成により、車両の衝突時に、ドライブシャフト61とサイドギヤ48とのスプライン嵌合が外れた場合は、メインアウタクラッチ板129とメインインナクラッチ板135とが係合することで、ドライブシャフト62がデフケース70と一体的に回転することができるので、デフケース70の空転を防止することができる。
また、メインアウタクラッチ板129とメインインナクラッチ板135とが係合することにより、動力源としてのモータジェネレータMG2と車輪50Rとの間の駆動系の全ての要素が結合した状態を維持できるため、モータジェネレータMG2に通電することによる平滑コンデンサからの電荷の放電を速やかに行うことができる。
したがって、車両の衝突時にドライブシャフト61が軸線方向の車輪50L側に変位してサイドギヤ48との間のスプライン嵌合が外れた場合であっても、モータジェネレータMG2の回転停止が遅れることを防止し、平滑コンデンサの電荷を速やかに放電することができる。
また、上記各実施の形態では、ディファレンシャル装置43がFF(フロントエンジンフロントドライブ)形式のハイブリッド車両の動力伝達装置としてのトランスアクスル1に搭載されているが、ディファレンシャル装置43を、FR(フロントエンジンリヤドライブ)形式のハイブリッド車両の動力伝達装置に搭載してもよい。
以上のように、本発明に係る差動装置は、ドライブシャフトとサイドギヤとのスプライン嵌合が外れた場合は、デフケースと一体的に回転する第1の係合部材とドライブシャフトまたはサイドギヤと一体的に回転する第2の係合部材が係合することでデフケースの空転を防止し、動力源としてのモータと車輪との間の駆動系の全ての要素が結合した状態を維持することにより、車両の衝突時にドライブシャフトが軸線方向の車輪側に変位してサイドギヤとの間のスプライン嵌合が外れた場合であっても、モータの回転停止が遅れることを防止し、平滑コンデンサの電荷を速やかに放電することができるという効果を有し、バッテリに蓄電した電気を用いてモータで走行するハイブリッド自動車または電気自動車に搭載される差動装置等として有用である。
1 トランスアクスル
43 ディファレンシャル装置(差動装置)
47 ピニオンギヤ
48、49 サイドギヤ
48a、49a 筒状部
48b、49b スプライン溝
48c、49c 収納溝
50L、50R 車輪
61、62 ドライブシャフト
61a、62a スプライン形成部
61b、62b 非スプライン形成部
61c、62c 端面
70 デフケース
73a 噛み合い溝(第1の係合部材)
81 第1摩擦板(第1の係合部材)
82 第2摩擦板(第2の係合部材)
82a 凸部
83 ウェーブスプリング
86 ドッグクラッチキー(第2の係合部材)
86a スプライン嵌合部
86b 係合爪部
90 ドッグクラッチ機構
91 油圧アクチュエータ
95 回転部材
96 ドッグクラッチ(第2の係合部材)
97 噛み合い溝形成部材(第1の係合部材)
101 エアバッグECU
102 パワーマネージメントECU
120 電子制御カップリング機構
121 アウタケース
129 メインアウタクラッチ板(第1の係合部材)
135 メインインナクラッチ板(第2の係合部材)
MG2モータジェネレータ(動力源)
43 ディファレンシャル装置(差動装置)
47 ピニオンギヤ
48、49 サイドギヤ
48a、49a 筒状部
48b、49b スプライン溝
48c、49c 収納溝
50L、50R 車輪
61、62 ドライブシャフト
61a、62a スプライン形成部
61b、62b 非スプライン形成部
61c、62c 端面
70 デフケース
73a 噛み合い溝(第1の係合部材)
81 第1摩擦板(第1の係合部材)
82 第2摩擦板(第2の係合部材)
82a 凸部
83 ウェーブスプリング
86 ドッグクラッチキー(第2の係合部材)
86a スプライン嵌合部
86b 係合爪部
90 ドッグクラッチ機構
91 油圧アクチュエータ
95 回転部材
96 ドッグクラッチ(第2の係合部材)
97 噛み合い溝形成部材(第1の係合部材)
101 エアバッグECU
102 パワーマネージメントECU
120 電子制御カップリング機構
121 アウタケース
129 メインアウタクラッチ板(第1の係合部材)
135 メインインナクラッチ板(第2の係合部材)
MG2モータジェネレータ(動力源)
Claims (1)
- 車両の動力源からの回転動力を一対のドライブシャフトに伝達する一対のサイドギヤと、前記一対のサイドギヤに歯合するピニオンギヤと、前記サイドギヤおよびピニオンギヤを収納するデフケースとを有し、前記一対のドライブシャフトにそれぞれ設けられた車輪の間の差動を許容する差動装置であって、
前記デフケースと一体的に回転する第1の係合部材と、
前記ドライブシャフトの軸線方向において前記第1の係合部材に対向し、前記ドライブシャフトまたは前記サイドギヤと一体的に回転するとともに、前記軸線方向に移動可能な第2の係合部材と、を備え、
前記ドライブシャフトが前記軸線方向の前記車輪側へと移動した場合に、前記第1の係合部材と前記第2の係合部材とが係合することを特徴とする差動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012085618A JP2013217386A (ja) | 2012-04-04 | 2012-04-04 | 差動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012085618A JP2013217386A (ja) | 2012-04-04 | 2012-04-04 | 差動装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013217386A true JP2013217386A (ja) | 2013-10-24 |
Family
ID=49589732
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012085618A Pending JP2013217386A (ja) | 2012-04-04 | 2012-04-04 | 差動装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013217386A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104760509A (zh) * | 2014-01-07 | 2015-07-08 | 株式会社捷太格特 | 车辆用控制装置 |
-
2012
- 2012-04-04 JP JP2012085618A patent/JP2013217386A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104760509A (zh) * | 2014-01-07 | 2015-07-08 | 株式会社捷太格特 | 车辆用控制装置 |
US20150191087A1 (en) * | 2014-01-07 | 2015-07-09 | Jtekt Corporation | Vehicle control device |
JP2015130740A (ja) * | 2014-01-07 | 2015-07-16 | 株式会社ジェイテクト | 車両用制御装置 |
EP2892144A3 (en) * | 2014-01-07 | 2015-11-18 | Jtekt Corporation | Vehicle control device |
US9452680B2 (en) | 2014-01-07 | 2016-09-27 | Jtekt Corporation | Vehicle control device |
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