JP2013217199A - プロペラファンおよび空気調和機 - Google Patents

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Abstract

【課題】プロペラファンにおいて、ほこり等の異物が駆動モーターを冷却するための通風孔へ侵入することを防止でき、長期にわたり駆動モーターの冷却効果を持続できるプロペラファンを提供する。
【解決手段】ボス3の外周に複数の羽根1が設けられた羽根車2と、ボス3に連結されたモーター軸4を介して羽根車2を回転駆動する駆動モーター5と、を備え、ボス3は、駆動モーター5を覆うカバー6を有するとともに、ボス3の先端面にカバー6内の空間7に連通する通風孔8を有し、通風孔8に近接して、羽根車2の回転方向側にリブ9を設ける。
【選択図】図5

Description

本発明は、プロペラファンおよびそのプロペラファンを備えた空気調和機に関するものである。
従来のプロペラファンは、省スペース化のため、駆動モーターをプロペラファンのボスの中に収める構造をしているものがある。
しかし、このような構造にすると、駆動モーター周りの空気の循環が行われないので、駆動モーターが回転する際に発生する熱を熱交換することができず、駆動モーターの温度が上昇することになる。そのため、駆動モーターの軸受のベアリングの寿命が短期化し、信頼性の高いプロペラファンが得られないという問題がある。
そこで、従来より、駆動モーターを冷却する技術が提案されている。
例えば、特許文献1では、駆動モーターを覆うボスに複数の通風孔を設けている。
特許文献2では、駆動モーターを覆うカバーを有するボスを二重壁構造とし、内側のボス部分に傾斜状の突起と通風孔を設け、外側のボス部分に傾斜状の突起によりガイドされる斜め外側に向けた通風孔を設けている。
特許文献3では、ターボファンの電動機を覆う壁に通風孔を設け、通風孔を覆うような壁部を設け、開放部から主板側へ空気が流れるように構成している。
特開昭58−214699号公報 特開2006−161784号公報 特開2005−127177号公報
しかし、特許文献1では、プロペラファンが回転することで流れが形成された際、通風孔の異物侵入防止効果が十分とはいえないので、通風孔にほこり等の異物が堆積していき、通風孔を塞いでしまい、駆動モーターの冷却効果を得られなくなってしまう。また、異物が駆動モーターに内蔵の基板(インバーター基板)に付着することで過度の電圧がかかってしまい、短絡の原因となる。
特許文献2では、ボスのカバーを二重構造にすることで異物の侵入を防止しているが、構造が複雑になるため製造面で不利である。
特許文献3では、通風孔の開口部を覆ってしまうため、通風抵抗が大きくなり、冷却効果が小さくなる等の問題点があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的はボスに設けられた通風孔への異物の侵入を防ぐことができるプロペラファンを得ることである。
本発明の第2の目的は、上記プロペラファンを用いた空気調和機を得ることである。
本発明に係るプロペラファンは、ボスの外周に複数の羽根が設けられた羽根車と、前記ボスに連結されたモーター軸を介して前記羽根車を回転駆動する駆動モーターと、を備え、
前記ボスは、前記駆動モーターを覆うカバーを有するとともに、該ボスの先端面に前記カバー内の空間に連通する通風孔を有し、
前記通風孔に近接して、前記羽根車の回転方向側にリブが設けられているものである。
本発明に係るプロペラファンは、ボスの先端面に通風孔を設けるとともに、通風孔に近接して、羽根車の回転方向側にリブを設けたので、通風孔にほこり等の異物が侵入するのを防止することができ、カバー内の空間の空気が通風孔から流れ出ていくので、長期にわたり駆動モーターの冷却効果を持続できる効果を有する。
本発明の実施の形態1に係るプロペラファンの正面図である。 実施の形態1のプロペラファンの概略断面図である。 実施の形態1のプロペラファンにおける異物侵入防止機構の動作を説明するための模式図である。 従来のプロペラファンと実施の形態1のプロペラファンの加速試験における年数と通風孔の開口率との関係を示した図である。 本発明の実施の形態2に係るプロペラファンの正面図である。 実施の形態2のプロペラファンの概略断面図である。 実施の形態1と実施の形態2のプロペラファンの通風抵抗差を示した図である。 本発明の実施の形態3に係るプロペラファンの正面図である。 実施の形態2と実施の形態3のプロペラファンの通風抵抗差を示した図である。 本発明の実施の形態4に係るプロペラファンの正面図である。 実施の形態4のプロペラファンの概略断面図である。 通風孔の直径Dとリブの臨界高さL3との関係を示すグラフである。 実施の形態1と実施の形態4のプロペラファンの加速試験における年数と通風孔の開口率との関係を示した図である。 本発明の実施の形態5に係るプロペラファンの正面図である。 実施の形態5のプロペラファンのリブの角度θと駆動モーターの入力との関係を示した図である。 実施の形態3と実施の形態5のプロペラファンの通風抵抗差を示した図である。 リブの高さL3とリブの幅Wとの関係を示すグラフである。 リブの幅Wと駆動モーターの入力との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態6に係るプロペラファンを備えた空気調和機の構成図である。
以下、本発明に係るプロペラファンの実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、各実施の形態を通して同一符号は、特に断らない限り同一又は相当部品(部分)を表すものとする。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係るプロペラファン10の正面図、図2はこのプロペラファン10の概略断面図である。
この実施の形態1に係るプロペラファン10は、図1および図2に示すように、ボス3の外周に複数の羽根1が設けられた羽根車2と、ボス3に連結されたモーター軸4を介して回転駆動する駆動モーター5とを備えている。さらに、ボス3は、駆動モーター5を覆うカバー6を有し、ボス3の先端面にはカバー6の空間7に連通する通風孔8と、通風孔8に近接して、羽根車2の回転方向(図1中、矢印A方向)側にリブ9が設けられている。
すなわち、リブ9は、ボス3の先端面において、通風孔8に近接する位置で、かつ、通風孔8より回転方向前方の位置に設けられている。この通風孔8とリブ9とにより、通風孔8の異物侵入防止機構を構成している。
次に、図3を参照して、上記異物侵入防止機構の動作を説明する。
図3はプロペラファン10における異物侵入防止機構の動作を説明するための模式図である。なお、図3中の矢印は空気の流れを示す。
プロペラファン10を回すために駆動モーター5が回転すると、駆動モーター5の磁力とインバーター基板の電気エネルギーが熱エネルギーに変化するため、ボス3内の空間7の空気は駆動モーター5が発生する熱と熱交換を行い、空間7の空気の温度は上昇する。温度上昇した空気はプロペラファン10とボス3の内壁面11の回転により移動し、さらに回転運動による遠心力が発生するため、空間7の空気の圧力が上昇する。また、温度上昇した空気は強制対流を発生するため、空間7の空気は通風孔8から流れ出ることで駆動モーター5を冷却することができる。
この際、空気中のほこり等の異物がプロペラファン10全体に付着し堆積するが、図3の矢印のように空気の流れがリブ9と衝突することによって、空気中の異物がリブ9でせき止められるので、通風孔8に異物が入らない。そのため、通風孔8に異物が堆積することなく、通風孔8への異物の侵入を防ぐことができる。
上記の効果を示すために、耐用年数20年間に相当する加速試験を実施した。図4はその加速試験の結果を表したものであり、従来のプロペラファンと実施の形態1のプロペラファンの加速試験における年数と通風孔の開口率との関係を示した図である。ここで、通風孔8の開口率は、通風孔8の初期の面積に対する異物体積後の面積の百分率である。
図4から明らかなように、従来のプロペラファンに比べて実施の形態1のプロペラファン10では、通風孔8の開口率が、20年間に相当する期間で90%以上を維持することが確認できた。
したがって、実施の形態1のプロペラファン10は、通風孔8への異物の侵入を防ぐことができるので、通風孔8に異物が堆積することがなく、空間7の空気の流れを妨げないので、長期にわたり駆動モーター5の冷却効果を持続できる効果が得られる。
実施の形態2.
図5は本発明の実施の形態2に係るプロペラファン10の正面図で、図6はこのプロペラファン10の概略断面図である。
この実施の形態2は、複数(例えば、6個)の通風孔8と複数(例えば、6個)のリブ9を等間隔に設けた場合を示すものである。すなわち、ボス3の先端面に複数の通風孔8を等間隔に設け、各通風孔8に近接して、羽根車2の回転方向(図5中、矢印A方向)側にリブ9を設けたものである。リブ9を複数設けることによって、ボス3の強度を向上させることができる。その他の構成は実施の形態1と同様である。
次に、実施の形態2の異物侵入防止機構の動作を説明する。
プロペラファン10を回すため駆動モーター5が回転すると、駆動モーター5の磁力とインバーター基板の電気エネルギーが熱エネルギーに変化するため、ボス3内の空間7の空気は駆動モーター5が発生する熱と熱交換を行い、空間7の空気の温度は上昇する。温度上昇した空気はプロペラファン10とボス3の内壁面11の回転により移動し、さらに回転運動による遠心力が発生するため、空間7の空気の圧力が上昇する。また、温度上昇した空気は強制対流を発生するため、空間7の空気は通風孔8から流れ出ることで駆動モーター5を冷却することができる。
この際、空気中のほこり等の異物がプロペラファン10全体に付着し堆積するが、空気の流れがリブ9と衝突することによって、空気中の異物がリブ9でせき止められるので、通風孔8に異物が入らない。そのため、通風孔8に異物が堆積することなく、通風孔8への異物の侵入を防ぐことができる。
また、実施の形態1と比較して、複数の通風孔8を等間隔に設けているので、通風孔8の直径を小さくすることができ、それに伴い各リブ9の高さも低くすることができるため、通風抵抗を減らすことができる。なお、通風孔8の直径とリブ9の高さとの関係については後で説明する。
図7は実施の形態1と実施の形態2のプロペラファン10の通風抵抗差を示した図で、各実施の形態1、2のプロペラファン10の駆動モーター5を同等程度に冷却するのに要するモーター入力(供給電力量)を調べたものである。この場合、実施の形態2の通風孔8とリブの数はそれぞれ6個とし、通風孔8の直径とリブ9の高さは実施の形態1のそれらに対してそれぞれ半分の直径、高さとした。
図7から明らかなように、実施の形態2によれば、実施の形態1と比較して、駆動モーター5の入力を0.2W低減することができた。
以上のように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に駆動モーター5の冷却効果およびリブ9による通風孔8への異物侵入防止効果が得られることに加えて、複数の通風孔8を等間隔に設け、さらに各通風孔8に近接して、リブ9を羽根車2の回転方向側に設けたので、ボス3の強度が向上し、空気がリブ9と衝突する際の通風抵抗を低減することができ、その結果、省エネルギー化が可能となる。
実施の形態3.
図8は本発明の実施の形態3に係るプロペラファン10の正面図である。
この実施の形態3は、実施の形態2の全体構造と機能を同様にし、さらに通風抵抗を低減し、駆動モーター5の入力(供給電力量)を低減できるようにしたものである。
図8に示すように、この実施の形態3では、通風孔8に近接して羽根車2の回転方向(図8中、矢印A方向)側に設けられたリブ9を例えば湾曲状に形成し、リブ9の外周端部9aが羽根車2の回転方向と反対側へ後退する形状に形成した点が実施の形態2と相違する。
次に、実施の形態3の異物侵入防止機構の動作を説明する。
プロペラファン10を回すために駆動モーター5が回転すると、駆動モーター5の磁力とインバーター基板の電気エネルギーが熱エネルギーに変化するため、ボス3内の空間7の空気は駆動モーター5が発生する熱と熱交換を行い、空間7の空気の温度は上昇する。温度上昇した空気はプロペラファン10とボス3の内壁面11の回転により移動し、さらに回転運動による遠心力が発生するため、空間7の空気の圧力が上昇する。また、温度上昇した空気は強制対流を発生するため、空間7の空気は通風孔8から流れ出ることで駆動モーター5を冷却することができる。
この際、空気中のほこり等の異物がプロペラファン10全体に付着し堆積するが、空気の流れが回転方向と反対側に外周端部9aを後退させた形状のリブ9と衝突することによって、空気中の異物がリブ9でせき止められるので、通風孔8に異物が入らない。そのため、通風孔8に異物が堆積することなく、通風孔8への異物の侵入を防ぐことができる。
また、空気がリブ9と衝突する際、リブ9の湾曲面に沿ってスムーズに流れるため、通風抵抗を低減させることができる。
図9は実施の形態2と実施の形態3のプロペラファン10の通風抵抗差を示した図で、各実施の形態2、3のプロペラファン10の駆動モーター5を同等程度に冷却するのに要するモーター入力(供給電力量)を調べたものである。
図9から明らかなように、実施の形態3によれば、リブ9を羽根車2の回転方向と反対側へ後退する形状とすることで、実施の形態2と比較して、駆動モーター5の入力を0.2W低減することができた。
以上のように、実施の形態3によれば、実施の形態2と同様に駆動モーター5の冷却効果およびリブ9による通風孔8への異物侵入防止効果が得られることに加えて、リブ9の外周端部9aを羽根車2の回転方向と反対側に後退させた形状としたので、空気がリブ9と衝突する際の通風抵抗を実施の形態2よりもさらに低減させることができ、その結果、省エネルギー化が可能となる。
実施の形態4.
図10は本発明の実施の形態4に係るプロペラファン10の正面図で、図11はこのプロペラファン10の概略断面図である。
この実施の形態4は、全体構造及び機能は実施の形態1〜3と同様であるが、さらに通風孔8の開口率が大きくなるように構成したものである。すなわち、複数の通風孔8がボス3の先端面に等間隔に設けられ、さらに各通風孔8に近接して、羽根車2の回転方向(図10中、矢印A方向)側にリブ9が設けられている。ここで、図10に示すように、一つのリブ9を間にして回転方向の前後となる二つの通風孔8a、8bにおいて、当該リブ9に対して前方位置の通風孔8aと当該リブ9との中心間距離をL1、当該リブ9に対して後方位置の通風孔8bと当該リブ9との中心間距離をL2としたとき、
2≦1/2・L1 ・・・(1)
を満たし、さらに当該リブ9の高さL3が通風孔8の直径Dに対し、
2/3・D≦L3≦D ・・・(2)
となるようにリブ9を設けている。
なお、上記の中心間距離L1は、通風孔8aと当該リブ9との中心間円弧距離または中心間弦距離をいう。また、中心間距離L2は、通風孔8bと当該リブ9との中心間円弧距離または中心間弦距離をいう。なお、式(1)、式(2)は実験結果により定めたものである。
ここで、図10に示すように、プロペラファン10の中心をO、通風孔8の中心とOとの距離をR、通風孔8の数をXとすると、隣り合う通風孔8の中心間円弧距離は、2πR/Xとなり、L1+L2=2πR/Xとなる。いま仮に、L2<L1とすると、
0<L2<πR/Xとなる。なお、図10はX=6のときの図である。
また、図12は、L2≦1/2・L1のときの通風孔8の直径Dとリブ9の臨界高さL3との関係を示すグラフである。図12から、1/2・D=L3の比例関係にある。また、通風孔8に異物が侵入するのを確実に防ぐために、リブ9の高さL3の下限値をL3=2/3・Dとしている。また、リブ9の高さL3が通風孔8の直径Dよりも大きくなると、通風抵抗が急激に大きくなり、駆動モーター5の入力が増大するので、L3の上限値はD以下としている。
よって、リブ9の高さL3は、式(2)を満たすことが好ましい。
次に、実施の形態4の異物侵入防止機構の動作を説明する。
プロペラファン10を回すために駆動モーター5が回転すると、駆動モーター5の磁力とインバーター基板の電気エネルギーが熱エネルギーに変化するため、ボス3内の空間7の空気は駆動モーター5が発生する熱と熱交換を行い、空間7の空気の温度は上昇する。温度上昇した空気はプロペラファン10とボス3の内壁面11の回転により移動し、さらに回転運動による遠心力が発生するため、空間7の空気の圧力が上昇する。また、温度上昇した空気は強制対流を発生するため、空間7の空気は通風孔8から流れ出ることで駆動モーター5を冷却することができる。
この際、空気中のほこり等の異物がプロペラファン10全体に付着し堆積するが、空気の流れがリブ9と衝突することによって、空気中の異物がリブ9でせき止められるので、通風孔8に異物が入らない。そのため、通風孔8に異物が堆積することなく、通風孔8への異物の侵入を防ぐことができる。
リブ9は、通風孔8に近接しているほど通風孔8の開口率を大きく維持できるため、通風孔8との中心間距離L2を、式(1)のように当該リブ9と回転方向前方位置の通風孔8aとの中心間距離L1の1/2以下になるように設定することが好ましい。
さらに、リブ9の高さL3についても、同様に通風孔8の開口率を大きく維持するため、式(2)のようにリブ9の高さL3を、通風孔8の直径Dに対し、2/3〜1倍の範囲となるように設定することが好ましい。
図13は耐用年数20年間に相当する加速試験の結果を表したものであり、実施の形態1と実施の形態4のプロペラファンの加速試験における年数と通風孔の開口率との関係を示した図である。
図13から明らかなように、実施の形態4のプロペラファン10では、通風孔8の開口率が、20年間に相当する期間で95%以上を維持することが確認できた。
したがって、実施の形態4のプロペラファン10は、実施の形態1よりも通風孔8への異物の侵入を防ぐことができるので、通風孔8に異物が堆積することがなく、空間7の空気の流れを妨げないので、長期にわたり駆動モーター5の冷却効果を持続できる効果が得られる。
実施の形態5.
図14は本発明の実施の形態5に係るプロペラファンの正面図である。
この実施の形態5は、実施の形態3よりさらに通風抵抗を低減し、駆動モーター5の入力(消費電力量)を低減できるようにしたものである。
図14に示すように、リブ9の内周端Aと外周端Bとを結ぶ直線N1と、リブ9の内周端Aにおけるボス3中心と同心円C1の接線N2とのなす角度をθとするとき、リブ9の角度θは羽根車2の回転方向と反対側(反回転方向側)の角度として、
30゜≦θ≦60゜ ・・・(3)
を満たすように、リブ9を反回転方向側へ後退した形状としたものである。その他の構成は実施の形態3と同様である。
次に、実施の形態5の異物侵入防止機構の動作を説明する。
プロペラファン10を回すために駆動モーター5が回転すると、駆動モーター5の磁力とインバーター基板の電気エネルギーが熱エネルギーに変化するため、ボス3内の空間7の空気は駆動モーター5が発生する熱と熱交換を行い、空間7の空気の温度は上昇する。温度上昇した空気はプロペラファン10とボス3の内壁面11の回転により移動し、さらに回転運動による遠心力が発生するため、空間7の空気の圧力が上昇する。また、温度上昇した空気は強制対流を発生するため、空間7の空気は通風孔8から流れ出ることで駆動モーター5を冷却することができる。
この際、空気中のほこり等の異物がプロペラファン10全体に付着し堆積するが、空気の流れが反回転方向側へ外周端部9aを後退させた形状のリブ9と衝突することによって、空気中の異物がリブ9でせき止められるので、通風孔8に異物が入らない。そのため、通風孔8に異物が堆積することなく、通風孔8への異物の侵入を防ぐことができる。
また、空気がリブ9と衝突する際、リブ9の湾曲面に沿ってスムーズに流れるため、通風抵抗を低減させることができる。
図15は実施の形態5のプロペラファン10のリブ9の角度θと駆動モーター5の入力(供給電力量)との関係を示した図である。
図15から分かるように、リブ9の角度θが30゜〜60゜の範囲であれば、駆動モーター5の入力は最小およびその近傍の値となるため、リブ9の角度θが式(3)を満たすように、リブ9を反回転方向側へ後退した形状に形成することが好ましい。
図16は実施の形態3と実施の形態5のプロペラファン10の通風抵抗差を示した図で、各実施の形態3、5のプロペラファン10の駆動モーター5を同等程度に冷却するのに要するモーター入力(供給電力量)を調べたものである。
図16から明らかなように、実施の形態5によれば、リブ9の角度θが式(3)を満たすように、リブ9が湾曲形状をなし、リブ9の外周端部9aを羽根車2の反回転方向側へ後退した形状とすることで、実施の形態3と比較して、駆動モーター5の入力を0.2W低減することができた。
また、図17は、リブ9の高さL3とリブ9の幅Wとの関係を示すグラフである。図17に示すように、リブ9の高さL3に対し、リブ9に衝撃が加わった際に破損しないリブ9の幅Wは、L3≦Wであった。
一方、図18は、リブ9の幅Wと駆動モーター5の入力との関係を示すグラフである。リブ9の幅Wが例えば4.0mm以上になると、図18に示すように、リブ9の翼面上の流れが乱されるため、駆動モーター5の入力が悪化する。
したがって、リブ9の幅Wは、L3≦W≦2・L3(mm)とすることが好ましい。
以上のように、実施の形態5によれば、実施の形態3と同様に駆動モーター5の冷却効果およびリブ9による通風孔8への異物侵入防止効果が得られることに加えて、リブ9の角度θが式(3)を満たすように、リブ9の外周端部9aを羽根車2の反回転方向側へ後退した形状としたので、空気がリブ9と衝突する際の通風抵抗を実施の形態3よりもさらに低減させることができ、その結果、省エネルギー化が可能となる。
実施の形態6.
図19は本発明の実施の形態6を示すもので、本発明に係るプロペラファン10を備えた空気調和機100の構成図である。
この実施の形態に係る空気調和機100は、主に実施の形態3〜5の構造と機能を備えたプロペラファン10を、熱交換器20の上流側に配置したものである。
図19に示すように、空気調和機100は、室内の空気を吸い込む上部吸込み口21と、吸込み口21から吸い込まれた空気をろ過するフィルター22と、ろ過された空気と冷凍サイクルの冷媒と熱交換することにより、調和空気を生成する熱交換器20と、調和空気を室内へ吹き出す吹出し口23と、熱交換器20で結露した水を受けるドレンパン24とで構成されており、プロペラファン10がフィルター22および熱交換器20の上流側に配置されている。
次に動作について説明する。
室内空気は上部吸込み口21から空気調和機100に流入し、上部吸込み口21から吸い込まれた空気がフィルター10でろ過されて、ろ過された空気が冷凍サイクルの冷媒と熱交換を行うことによって調和空気が生成され、前記調和空気は吹出し口23から室内へ流出する。その過程で、吸込み口21から流入した室内空気は、プロペラファン10がフィルター22および熱交換器20の上流側に配置されているため、ろ過されずにプロペラファン10に流入する。そのため、ほこり等の異物を多く含んだ室内空気がプロペラファン10を通過する。従来のプロペラファンは、リブ9が設けられていないため、通風孔8に異物が侵入してしまうが、本発明に係るプロペラファン10は、通風孔8に近接して、羽根車2の回転方向側にリブ9を設けているため、通風孔8への異物の侵入を防ぐことができ、また、回転方向と反対側に後退した形状のリブ9を設けることによって通風抵抗を低減することができる。
以上のように、本発明に係るプロペラファン10を、空気調和機100のフィルター22および熱交換器20の上流側に配置した場合、通風孔8の開口率を維持できるため、長期に渡り駆動モーター5の冷却効果を持続でき、かつ駆動モーター5の入力を低減できる。そのため、長期にわたり信頼性の高い空気調和機を提供することができる。
1 羽根、2 羽根車、3 ボス、4 モーター軸、5 駆動モーター、6 カバー、7 空間、8 通風孔、8a 前方位置の通風孔、8b 後方位置の通風孔、9 リブ、9a 外周端部、10 プロペラファン、11 内壁面、20 熱交換器、21 上部吸込み口、22 フィルター、23 吹出し口、24 ドレンパン、100 空気調和機。

Claims (7)

  1. ボスの外周に複数の羽根が設けられた羽根車と、
    前記ボスに連結されたモーター軸を介して前記羽根車を回転駆動する駆動モーターと、
    を備え、
    前記ボスは、前記駆動モーターを覆うカバーを有するとともに、該ボスの先端面に前記カバー内の空間に連通する通風孔を有し、
    前記通風孔に近接して、前記羽根車の回転方向側にリブが設けられている
    ことを特徴とするプロペラファン。
  2. 通風孔は等間隔に設けられ、各通風孔に近接して、前記羽根車の回転方向側にリブが設けられていることを特徴とする請求項1記載のプロペラファン。
  3. リブが湾曲形状をなしており、リブの外周端部が、前記羽根の回転方向と反対側へ後退する形状となっていることを特徴とする請求項1または2記載のプロペラファン。
  4. 一つのリブを間にして、前記羽根車の回転方向の前後となる二つの通風孔において、当該リブに対して前方位置の通風孔と当該リブとの中心間距離をL1、当該リブに対して後方位置の通風孔と当該リブとの中心間距離をL2としたとき、
    2≦1/2・L1
    を満たし、さらに当該リブの高さL3が通風孔の直径Dに対し、
    2/3・D≦L3≦D
    となるように当該リブを設けたことを特徴とする請求項2または3記載のプロペラファン。
  5. リブの内周端と外周端とを結ぶ直線N1と、リブの内周端におけるボス中心と同心円の接線N2とのなす角度をθとするとき、角度θは前記羽根車の回転方向と反対側の角度として、
    30゜≦θ≦60゜
    を満たすように、リブが前記羽根車の回転方向と反対側へ後退した形状となっていることを特徴とする請求項3または4記載のプロペラファン。
  6. リブの幅Wは、リブの高さL3に対し、L3≦W≦2.0・L3であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロペラファン。
  7. 室内の空気を吸い込む上部吸込み口と、前記上部吸込み口から吸い込まれた空気をろ過するフィルターと、ろ過された空気と冷凍サイクルの冷媒とを熱交換することにより、調和空気を生成する熱交換器と、前記調和空気を室内へ吹き出す吹出し口と、前記熱交換器で結露した水を受けるドレンパンと、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロペラファンとを備え、該プロペラファンが前記熱交換器の上流側に配置されていることを特徴とする空気調和機。
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