JP2013216764A - メタクリル系樹脂粒子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】色味が良好で、実用上優れた透明性を有し、かつ安息角が小さく、成形性に優れているメタクリル系樹脂粒子を得る。
【解決手段】メタクリル酸メチルを主成分とするメタクリル系樹脂粒子であって、高周波誘導結合質量分析装置(ICP−MS)によって測定されるメタクリル系樹脂粒子表面のナトリウム元素濃度が0.1〜1.0ppmである、メタクリル系樹脂粒子を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、メタクリル系樹脂粒子及びその製造方法に関する。
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)に代表されるメタクリル系樹脂は、優れた透明性、耐候性、表面光沢の良さ、優れた耐薬品性、着色性の良さ、及び人体への低毒性等の特徴を有しているため、従来から、光学材料、車両用部品、建築用材料、レンズ、家庭用品、OA機器、照明機器等の分野で幅広く使用されている。代表的には、車両用途や導光板、液晶ディスプレイ用フィルム等の光学材料等へ広く使用されている。
このようなメタクリル系樹脂は、メタクリル酸メチルを主成分とする単量体を用いて、懸濁重合を行うことにより製造されている。
懸濁重合は、単量体(モノマー)を溶解しないか、または殆ど溶解しない分散媒体(主として水)中に単量体を分散させ、所定の重合開始剤を用いて、懸濁された単量体の小滴内で重合反応を進行させる重合様式である。
懸濁重合においては、重合反応は単量体油滴内で進行し、重合熱が分散媒体によって除かれるため、温度の調節が容易で、かつ濾過等の簡単な操作によって粒子状の重合体が容易に得られるという特徴を有するため、工業的に広く利用されている。
懸濁重合法のうち、水を分散媒体とする懸濁重合法は、特にビニル系単量体の重合方法として有用な製造技術である。
具体的には、温水を張り込んだ重合槽中に、先ず懸濁剤、懸濁助剤を仕込み、攪拌混合し、その後、重合用のモノマーとして、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等を仕込み、さらには、重合開始剤、分子量調整剤、紫外線吸収材、離型剤等を加え、攪拌・昇温することにより懸濁重合を行い、スラリーを得、その後、酸・アルカリによる洗浄、水洗浄、濾過・脱水処理を行うことにより、目的とする粒子状のメタクリル系樹脂を得ている(例えば、特許文献1、2参照。)。
特許第3953811号公報 特許第3794998号公報
しかしながら、上述したような従来公知の懸濁重合法によって作製した粒子状のメタクリル系樹脂は、黄着色に対する改善余地があり、成形品作製用にペレット化したり、あるいは当該ペレットを用いて成形品を作製したりする場合の色味、すなわち無色化が一層要求されつつある。
また、上述したような従来公知の懸濁重合法によって作製したメタクリル系樹脂粒子は、成形工程でホッパーに投入した際に帯電すると、成形用部材に貼り付いてしまい成形性が悪化するという問題を有している。
そこで本発明においては、色味が良好で、かつ成形性にも優れたメタクリル系樹脂粒子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した従来技術の問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、メタクリル系樹脂粒子の製造工程において、スラリーの酸洗浄工程後、NaOH水溶液によるpH調整工程を実施することにより、色味が良好で、かつ成形性にも優れたメタクリル系樹脂粒子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
〔1〕
メタクリル酸メチルを主成分とするメタクリル系樹脂粒子であって、
高周波誘導結合質量分析装置(ICP−MS)によって測定されるメタクリル系樹脂粒子表面のナトリウム元素濃度が0.1〜1.0ppmである、メタクリル系樹脂粒子。
〔2〕
X線光電子分光分析装置(XPS)によって測定される、メタクリル系樹脂粒子表面のアルミニウム元素濃度が0.01〜1.0ppmである、前記〔1〕に記載のメタクリル系樹脂粒子。
〔3〕
重量平均粒子径が0.05〜0.8mmである、前記〔1〕又は〔2〕に記載のメタクリル系樹脂粒子。
〔4〕
帯電処理後の安息角が10°〜45°である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のメタクリル系樹脂粒子。
〔5〕
前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のメタクリル系樹脂の製造方法であって、
メタクリル酸メチルを含む重合単量体を、懸濁剤、懸濁助剤を含む水性媒体中で懸濁重合し、スラリーを得る工程と、
当該スラリーに対して酸洗浄及び水洗浄する工程と、
その後、水酸化ナトリウムを添加し、pHを8.5±1に調整する工程と、
を有する、
メタクリル系樹脂粒子の製造方法。
〔6〕
前記懸濁剤が水酸化アルミニウムであり、前記懸濁助剤がRSO3Naである、前記〔5〕に記載のメタクリル系樹脂粒子の製造方法。
(Rは、アルキル基である。)
本発明によれば、色味が良好で、実用上優れた透明性を有し、かつ安息角が小さく、成形性に優れているメタクリル系樹脂粒子が得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について、説明するが、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
なお、本明細書において、重合前のモノマー成分のことを「〜単量体」といい、「単量体」を省略することもある。
また、重合体を構成する構成単位のことを「〜単量体単位」といい、単に「〜単位」と表記することもある。
〔メタクリル系樹脂粒子〕
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子は、
メタクリル酸メチルを主成分とし、
高周波誘導結合質量分析装置(ICP−MS)によって測定されるメタクリル系樹脂粒子表面のナトリウム元素濃度が0.1〜1.0ppmである。
(メタクリル系樹脂を構成する単量体)
<メタクリル酸メチル>
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子を構成するメタクリル系樹脂は、メタクリル酸メチルを主成分とする。ここで「主成分」とは、メタクリル系樹脂中に50質量%以上含まれていることを意味し、好ましくは60質量%以上である。
メタクリル酸メチルの割合が50質量%以上であることにより、メタクリル系樹脂の特長である優れた透明性や表面光沢、強靭さの観点から、良好な特性が得られる。
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子は、メタクリル酸メチルを主成分とする重合単量体を、後述する懸濁剤、懸濁助剤を含む水性媒体中で懸濁重合しスラリーを得る工程と、
当該スラリーに対して酸(例えば、硫酸、硝酸)を用いて酸洗浄及び水洗浄し、さらに必要に応じてこれらの洗浄を適宜繰り返して行う工程(以下、通常洗浄と記載する場合がある。)と、
その後、水酸化ナトリウムを添加して、pHを8.5±1に調整する工程(以下、pH調整工程、アルカリ洗浄工程と記載する場合がある。)と、を経て作製される。
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子の製造方法の詳細な説明については、後述する。
<メタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステル単量体>
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子は、本発明の効果を達成できるものであれば、メタクリル酸メチル以外の単量体も用いることができる。
好ましい例としては、下記一般式(1)で示されるメタクリル酸エステル単量体が挙げられる。
前記一般式(1)中、R1はメチル基を表す。
また、R2は炭素数が1〜12の基を表し、炭素上に水酸基を有していてもよい。
メタクリル酸エステル単量体としては、メタクリル酸メチルの他、例えば、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸(2−エチルヘキシル)、メタクリル酸(t−ブチルシクロヘキシル)、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸(2,2,2−トリフルオロエチル)等が挙げられる。
上記メタクリル酸エステル単量体は、一種又は二種以上組み合わせて使用することもできる。
<メタクリル酸メチル及びその他のメタクリル酸エステル単量体に共重合可能な、他のビニル単量体>
本実施形態のメタクリル系樹脂を構成する単量体としては、上述したメタクリル酸メチル及びその他のメタクリル酸エステルの他、これらに共重合可能なビニル単量体も用いることができる。
このようなビニル単量体としては、下記一般式(2)で表されるアクリル酸エステル単量体が挙げられる。
前記一般式(2)中、R3は水素原子であり、R4は炭素数が1〜18のアルキル基である。
前記一般式(2)で表されるアクリル酸エステル単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が好ましく用いられる。
特に、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルが好ましく、さらには、アクリル酸メチルが入手しやすくより好ましい。
また、前記メタクリル酸エステル単量体に共重合可能な、前記一般式(2)のアクリル酸エステル単量体以外の他のビニル単量体としては、例えば、アクリル酸やメタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、桂皮酸等の不飽和基含有二価カルボン酸及びそれらのアルキルエステル;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、o−エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、イソプロペニルベンセン(α−メチルスチレン)等のスチレン系単量体;1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、1,1−ジフェニルエチレン、イソプロペニルトルエン、イソプロペニルエチルベンゼン、イソプロペニルプロピルベンゼン、イソプロペニルブチルベンゼン、イソプロペニルペンチルベンゼン、イソプロペニルヘキシルベンゼン、イソプロペニルオクチルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物類;マレイミドや、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド等;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のエチレングリコール又はそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート等の2個のアルコールの水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール誘導体をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;ジビニルベンゼン等の多官能モノマー等を挙げられる。
上記メタクリル酸エステル単量体に共重合可能なアクリル酸エステル単量体や、上記例示したアクリル酸エステル単量体以外のビニル系単量体は、一種又は二種以上組み合わせて使用することもできる。
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子を構成する、メタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステルの含有量は、熱特性の観点から、メタクリル系樹脂中の0.5〜60質量%であることが好ましい。これにより、優れた耐熱性が得られる。
また、上述したメタクリル酸エステル単量体に共重合可能な他のビニル単量体単位の含有量は、成型性及び熱特性をバランス良く実現する観点から、メタクリル系樹脂中の0.5〜30質量%が好ましい。
(メタクリル系樹脂の分子量、分子量分布)
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子を構成するメタクリル系樹脂の分子量について説明する。
メタクリル系樹脂の分子量は、GPC(溶媒としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定した重量平均分子量(Mw)が、メタクリル系樹脂の光学特性や、機械特性、熱的特性、さらには成型性とのバランスの観点から、2.5万〜25万が好ましい。
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、GPCで測定することができる。
具体的には、あらかじめ単分散の重量平均分子量が既知で試薬として入手可能な標準メタクリル系樹脂と、高分子量成分を先に溶出する分析ゲルカラムを用い、溶出時間と重量平均分子量から検量線を作成しておく。続いて得られた検量線を元に、各試料の分子量を求めることができる。
数平均分子量とは、単純な分子1本あたりの分子量の平均であり、系の全重量/系中の分子数で定義される。重量平均分子量とは、重量分率による分子量の平均で定義される。
(メタクリル系樹脂粒子の表面のナトリウム元素濃度)
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子は、当該粒子表面のナトリウム元素濃度が0.1〜1.0ppmである。メタクリル系樹脂粒子表面のナトリウム元素濃度は、高周波誘導結合質量分析装置(ICP−MS)によって測定でき、具体的には後述する実施例に記載する方法により測定できる。
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子は、製造方法の詳細については後述するが、上述したように、懸濁重合後、酸洗浄及び水洗浄工程(通常洗浄)の最終段階で水酸化ナトリウムを添加してpH調整を行うため、粒子表面にナトリウム元素が付着する。
前記ICP−MSは、メタクリル系樹脂粒子全体のNa元素濃度を測定することができる。粒子内部のNa元素濃度は上記通常洗浄後とpH調整後とで変化がないため、通常洗浄後のICP−MSによるNa元素濃度の測定値とpH調整後のICP−MSによるNa元素濃度の測定値との差を算出することにより、粒子表面のNa元素濃度を得ることができる。
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子の表面のナトリウム元素濃度を0.1ppm〜1.0ppmの範囲、好ましくは0.2〜0.7ppm、より好ましくは0.3〜0.6ppmに特定することにより、黄色度(YI)が十分に低く、かつ帯電時の安息角が十分に小さく成形性に優れたメタクリル系樹脂粒子が得られる。
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子の表面のナトリウム元素濃度は、後述する洗浄処理後のpH調整工程の回数や、当該pH調整工程で用いる水酸化ナトリウムの濃度を適宜調整することにより、上記範囲に制御することができる。
(メタクリル系樹脂粒子の表面のアルミニウム元素濃度)
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子は、当該粒子表面のアルミニウム元素濃度が0.01〜1.0ppmであることが好ましい。
メタクリル系樹脂粒子表面のAl元素濃度は、X線光電子分光分析装置(XPS)で直接測定することができる。
具体的には、メタクリル樹脂試料にX線を照射し、表面に存在する特定の元素由来の光電子の運動エネルギーとその数を測定することによって、存在する元素の種類、量を分析することができる。
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子は、製造方法の詳細については後述するが、上述したように、懸濁重合後、酸洗浄及び水洗浄工程(通常洗浄)の最終段階で水酸化ナトリウムを添加してpH調整を行うため、Al元素のメタクリル系樹脂粒子表面への付着が防止される。これによりアルミニウム元素濃度は効果的に低減化されており、0.01〜1.0ppmの範囲となる。
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子の表面のAl元素濃度を0.01ppm〜1.0ppmの範囲、好ましくは0.01〜0.08ppm、より好ましくは0.01〜0.07ppmに特定することにより、黄色度(YI)が十分に低く、かつ帯電時の安息角が十分に小さく成形性に優れたメタクリル系樹脂粒子が得られる。
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子の表面のAl元素濃度を上記範囲にする方法としては、重合工程の完了後、メタクリル系樹脂粒子の表面に付着している懸濁剤(アルミニウム化合物)を除去する際に、アルカリ洗浄時の水酸化ナトリウムの添加量によってpHを7.5〜9.5に調整し、メタクリル系樹脂の表面のアルミニウム元素濃度を制御する方法が挙げられる。具体的には、低pH側でアルミニウム元素濃度は高くなり、高pH側でアルミニウム元素濃度が低く制御できる。
(メタクリル系樹脂粒子の重量平均粒子径)
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子の重量平均粒子径は、0.05〜0.8mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.15〜0.5mmの範囲である。
メタクリル系樹脂粒子の重量平均粒子径を0.05mm以上とすることにより、計量設備や押出機等へ、空気輸送等により移送する際、移送配管のフランジ部分や僅かな隙間への滞留を効果的に抑制でき、移送不良や計量精度の低下等の問題を効果的に防止することができる。また、メタクリル系樹脂粒子の重量平均粒子径を0.8以下とすることにより、押出機内での溶融不良を防止することができる。
メタクリル系樹脂粒子の重量平均粒子径は、従来公知の精密粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
(メタクリル系樹脂粒子の安息角)
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子は、安息角が10°〜45°であることが好ましく、15°〜35°がより好ましく、20°〜30°がさらに好ましい。なお、安息角は、本実施形態のメタクリル系樹脂粒子に対して帯電処理を施した後における数値である。
帯電処理は後述する実施例に記載する方法を適用して行うことができる。
安息角が10°以上であると、押出機中で、メタクリル系樹脂が密になりすぎず、押出機への負荷が過大になることを防止できる。また、安息角が45°以下であると、メタクリル系樹脂の流動性が好適なものとなり、押出機中におけるメタクリル系樹脂が疎になりすぎず、実用上適切な吐出量が得られる。
メタクリル系樹脂粒子の安息角は、従来公知の方法で測定できる。例えば、振動及び風の影響を受けないようにして、半径(r)の水平なアクリル成形板上に、注入ロートを用いてメタクリル樹脂粒子を静かに載せ、できるだけ高く積み上げる。このときのメタクリル樹脂粒子の積み上げた高さ(h)を読み取り、下記式により安息角(φ)を算出する。
tanφ=h/r
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子は、製造工程中、通常洗浄の最終段階でNaOHを添加し、pH調整を行うため、粒子表面の不純物の付着が効果的に低減化され、帯電処理を経ても、メタクリル系樹脂の主粒子の周囲に微小径のメタクリル系樹脂粒子が付着する、いわゆるボサビーズの発生が効果的に低減化される。
よって、本実施形態のメタクリル系樹脂粒子は透過率が高く、かつ当該粒子を用いて作製したペレットや各種成形品においても高品質化が可能である。
また、メタクリル系樹脂粒子の安息角が10°〜45°であることにより、成形品の作製時にメタクリル系樹脂粒子をフィードする際、成形装置内における粒子の付着を抑制でき、良好な成形性が得られる。
〔メタクリル系樹脂粒子の製造方法〕
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子は、
メタクリル酸メチルを主成分として含む重合単量体を、懸濁剤、懸濁助剤を含む水性媒体中で懸濁重合し、スラリーを得る工程(以下、重合工程と記載する場合がある。)と、
当該スラリーに対して酸、例えば硫酸、硝酸を用いて酸洗浄及び水洗浄する工程(以下、通常洗浄と記載する場合がある。)と、
その後、水酸化ナトリウムを添加し、pHを8.5±1に調整する工程(以下、pH調整と記載する場合がある。)と、を有する。
(重合工程)
メタクリル酸メチルを主成分として含む単量体を用い、懸濁剤、懸濁助剤を含む水性媒体中で前記単量体の分散相を形成し、懸濁重合を行う。
<水性媒体>
水性媒体としては、水そのものであるか、又は水を主成分とする混合媒体を用いることができる。
水は、懸濁重合用の分散媒体として工業的に最も一般的に使用されている。重合物の純度を向上させるために、必要に応じて、ろ過、脱イオン、蒸留等の所定の生成処理を施した水を使用することができる。
<懸濁剤>
懸濁剤は、分散相を安定化させる機能を有し、水性溶媒に難溶性であるアルミニウム化合物、例えば、硫酸アルミニウムAl2(SO43、酸化アルミニウムAl23、水酸化アルミニウムAl(OH)3が挙げられる。特に水酸化アルミニウムAl(OH)3が好ましい。懸濁剤として用いる水酸化アルミニウムは沈殿によって製造されるものであることが好ましい。
懸濁剤としてのアルミニウム化合物は、使用されるモノマーの全質量100質量部に対して好ましくは0.5〜200質量部、より好ましくは3〜100質量部、さらに好ましくは4〜20質量部の量で使用する。0.5質量部よりも少ないと、分散液が不安定化し、かつ相分離あるいは少なくともより大きい凝集物の形成が生じるおそれがある。200質量部よりも多いと、単一の分散液が得られないおそれがある。
<懸濁助剤>
上述した懸濁剤の他、分散相の安定化のため、懸濁助剤を用いる。
懸濁助剤としては、界面活性剤、例えばアニオン乳化剤を使用することができる。
アニオン乳化剤としては、RSO3Na(Rはアルキル基である。)や、炭素原子8〜30個の高級脂肪酸のナトリウム塩が挙げられる。
例えばパルミチン酸、ステアリン酸、炭素原子8〜30個のスルホン酸のナトリウム塩、殊にアルキルスルホン酸又はアリールアルキルスルホン酸のナトリウム塩等が挙げられる。
懸濁助剤は、上述した懸濁剤100質量部に対して好ましくは0〜5質量部、より好ましくは0.3〜3質量部用いる。
懸濁助剤は、上述した懸濁剤とともに、一般的には単量体の分散液形成前に添加する。
このとき、所定の調整槽中で予め懸濁剤と懸濁助剤の濃厚液を調整しておき、後述する重合工程を実施する重合槽で所定の濃度に希釈するようにすることが好ましい。
<モノマー原料の仕込み等>
上述した懸濁剤、懸濁助剤を仕込んだ重合槽中に、予めモノマー調製槽中で調製しておいた重合単量体、重合開始剤、分子量調整剤、その他の添加剤、例えば紫外線吸収剤、離型剤等とともに混合し、分散液を調製する。
分散液は、従来公知の方法により作製できる。例えば、公知の回転式の攪拌翼を具備する貯槽を用いて作製できる。
モノマーの分散は、一般的に好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜60℃の範囲で行われるが、これに限定されるものではない。
分散時間はモノマーの油滴の直径、粒度分布に影響する。分散は一般的に重合開始前に行う。特に、重合開始時に大きな凝集の形成を回避するため、分散液に対して高いせん断力を作用させることが好ましい。
重合開始剤としては、ラジカル重合を行う場合は、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2'−アゾビス−4−メトキシ−2,4−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等のアゾ系の一般的なラジカル重合開始剤を挙げることができる。
これらは一種単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
これらのラジカル開始剤と適当な還元剤とを組み合わせてレドックス系開始剤として実施してもよい。
これらの重合開始剤は、使用する全単量体の総量100質量部に対して、0〜1質量部の範囲で用いるのが一般的であり、重合を行う温度と開始剤の半減期を考慮して適宜選択することができる。
分子量調整剤としては、例えば、アルキルメルカプタン類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤、ジチオカルバメート類、トリフェニルメチルアゾベンゼン、テトラフェニルエタン誘導体等のイニファータ等が挙げられる。また、これらの添加量を調整することにより、分子量を調整することが可能である。
これらを用いる場合、取扱性や安定性の点からアルキルメルカプタン類が好適に用いられ、例えば、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)等が挙げられる。
これらは、目的とする分子量に応じて適宜添加することができるが、一般的には使用する全単量体の総量100質量部に対して0.001質量部〜3質量部の範囲で用いられる。
また、その他の分子量制御方法としては、重合方法を変える方法、重合開始剤の量を調整する方法、重合温度を変更する方法等が挙げられる。
これらの分子量制御方法は、一種の方法のみを用いてもよく、二種以上の方法を併用してもよい。
重合反応は、原料モノマー類による油滴の周囲を懸濁剤が取り巻く懸濁コロイド中で進行する。
このとき、プラスに荷電した懸濁剤とマイナス荷電のモノマー油滴表面とで電気対配向してコロイドが形成されている。懸濁助剤は当該コロイドの周囲に存在し、当該コロイドの安定化に寄与している。
重合は、常圧、減圧下又は加圧下に実施することができる。重合温度についても特に限定されるものではないが、一般的に、0〜200℃が好ましく、より好ましくは40〜130℃、さらに好ましくは60〜120℃の範囲である。
(懸濁重合体の通常洗浄工程、脱水工程)
上述のようにして重合工程を経た後、粒子状の重合体(スラリー)が得られる。
この重合体は、樹脂粒子の表面に、上記懸濁剤(Al(OH)3)や、懸濁助剤(RSO3Na)が付着している。これらは、最終的に得られる樹脂粒子の不純物となって品質の低下を招来する原因となるため、除去する必要である。
先ず、懸濁液を冷却後、懸濁液からメタクリル系樹脂粒子をろ過し、分離した後、酸洗浄、水洗浄、脱水による通常洗浄を行う。
洗浄処理は、樹脂粒子の純度を高め、メタクリル系樹脂粒子の特性を引き出すことを目的としている。
酸洗浄は、前記スラリーを所定の濃度の酸溶液、例えば硫酸水溶液に混合し、攪拌を行うことにより実施する。硫酸水溶液の濃度は70〜99質量%が好ましい。
硫酸水溶液による酸洗浄を行うことにより、上記懸濁剤(Al(OH)3)が水に可溶な硫酸アルミニウム(Al2(SO43)になる。
その後、水洗、脱水処理、さらには上記酸洗浄を繰り返して行うことにより、メタクリル系樹脂粒子の周囲に付着している懸濁剤を除去することができる。
(pH調整工程、アルカリ洗浄工程)
上記硫酸アルミニウム(Al2(SO43)により、アルミニウムイオンが生じ、これが、懸濁助剤である(RSO3Na)と結合することによって水に略不溶(難溶)なアルミニウム塩である(RSO33Alが生じ、これがメタクリル系樹脂粒子の表面に付着することにより、樹脂粒子の黄色度を悪化させ、最終的に目的とする成形品の品質劣化の要因となると推定される。
そこで、本実施形態においては、上記通常洗浄の最終段階で水酸化ナトリウム(NaOH)を添加してpHを8.5±1程度に調整し、上記(RSO33Alが可溶なpH領域にする。これにより、(RSO33Alのメタクリル系樹脂粒子の表面への付着が防止され、高品質のメタクリル系樹脂粒子が得られる。
また、pHを上記のように7.5以上に調整することにより、メタクリル系樹脂粒子の安息角を低安息角側に制御することができ、メタクリル系樹脂粒子の流動性に起因する成形時の押出安定性の向上効果が得られる。また、一方において、9.5以下にすることにより、Na元素の増加を抑制でき、成形時の押出安定性を確実に優れたものとすることができる。
(乾燥処理)
上述のようにして通常洗浄処理、pH調整を行い、その後、脱水を行った後、乾燥処理を行う。
通常、脱水処理後のメタクリル系樹脂粒子の表面には付着水が存在しており、さらに樹脂粒子内部は飽和吸水に近い状態である。
乾燥処理は、樹脂粒子の含水率を下げる目的で行う。
乾燥処理に用いる乾燥機としては、従来公知のものを用いることができる。
例えば、縦方向に回転する容器内で減圧下加圧して乾燥処理を行うもの、多孔板の下側から加温空気を吹き込み、上側のメタクリル系樹脂粒子を流動させながら乾燥処理を行うもの等、樹脂粒子を流動させながら乾燥機内滞在時間を適宜設定することにより、樹脂粒子の含水率を適宜調製する。
上記乾燥処理を行ったメタクリル系樹脂粒子は、その後、ペレタイズ化し、成形品を得るために、押出工程へ送り込まれる。
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子は、上述したように、洗浄工程の最終段階で水酸化ナトリウムを添加し、pHの調整を行い、メタクリル系樹脂粒子表面のナトリウム元素濃度を0.1〜1.0ppmの範囲に制御したことにより、成形品の黄色度が極めて低く色調品質が良い樹脂粒子が得られる。また、帯電時においても安息角が10〜45°の範囲と小さくすることができ、ペレタイズ時の押出変動が小さく、成形性に優れた樹脂粒子が得られる。
〔メタクリル系樹脂粒子と組み合わせるその他の成分〕
(樹脂)
なお、本実施形態のメタクリル系樹脂粒子は、成形品を製造する際、従来公知の樹脂と組み合わせて使用することができる。
使用に供される樹脂は、何等規定されるものではなく、公知の硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が好適に使用される。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シンジオタクテックポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体)、メタクリル系樹脂、AS系樹脂(アクリロニトリル−スチレン系共重合体)、BAAS系樹脂(ブタジエン−アクリロニトリル−アクリロニトリルゴム−スチレン系共重合体、MBS系樹脂(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン系共重合体)、AAS系樹脂(アクリロニトリル−アクリロニトリルゴム−スチレン系共重合体)、生分解性樹脂、ポリカーボネート−ABS樹脂のアロイ、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。
特に、AS樹脂、BAAS樹脂は、流動性を向上させるために好ましく、ABS樹脂、MBS樹脂は耐衝撃性を向上させるために好ましく、また、ポリエステル樹脂は耐薬品性を向上させるために好ましい。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂等は難燃性を向上させる効果が期待できる。
また、硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、キシレン樹脂、トリアジン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、ケトン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、スチリルピリジン樹脂、シリコン樹脂、合成ゴム等が挙げられる。
これらの樹脂は、一種単独で用いても、二種以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
(添加剤)
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物を構成するメタクリル系樹脂(A)には、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物の剛性や寸法安定性等の他の特性を付与するため、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤、例えば、フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系等の可塑剤;高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸のモノ、ジ、又はトリグリセリド系等の離型剤;ポリエーテル系、ポリエーテルエステル系、ポリエーテルエステルアミド系、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の帯電防止剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤等の安定剤;難燃剤;難燃助剤;硬化剤;硬化促進剤;導電性付与剤;応力緩和剤;結晶化促進剤;加水分解抑制剤;潤滑剤;衝撃付与剤;摺動性改良剤;相溶化剤;核剤;強化剤;補強剤;流動調整剤;染料;増感剤;着色用顔料;ゴム質重合体;増粘剤;沈降防止剤;タレ防止剤;充填剤;消泡剤;カップリング剤;防錆剤;抗菌・防黴剤;防汚剤;導電性高分子等を添加することもできる。
これらは単独で用いてもよく、一種単独で用いても、二種以上を併用して用いてもよい。
〔メタクリル系樹脂の成形品〕
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子を用いて成形することにより所望の成形品が得られる。
メタクリル系樹脂粒子は、射出成形、シート成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、インフレーション成形、Tダイ成型、プレス成形、押出成形等の溶融状態で成形する公知の方法で成形することが可能であり、圧空成形、真空成形等の二次加工成形法も用いることができる。
また、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機等の混練機を用いて樹脂組成物を混練製造した後、冷却、粉砕し、さらにトランスファー成形、射出成形、圧縮成形等により成形を行う方法も一例として挙げることができる。
また、熱硬化性樹脂を混合し、溶融成形した後の硬化方法は使用する硬化剤により異なるが、特に限定はされない。
例えば、熱硬化、光硬化、UV硬化、圧力による硬化、湿気による硬化等が挙げられる。
〔用途〕
本実施形態のメタクリル系樹脂粒子は、各種溶融成形品に好適に用いることができる。
例えば、家具類、家庭用品、収納・備蓄用品、玩具・遊具、医療・福祉用品、OA機器、AV機器、電池電装用、照明機器、車両用部品、特に自動車部品用途、ハウジング用途、キッチン、トイレ、バス、洗面化粧台等の水周り用途に用いることができる。
特に、耐溶剤性や機械強度の有する用途で、更には表面外観を重視する用途に好適に用いることが可能である。
本実施形態のメタクリル樹脂粒子を用いた成形品には、適宜、例えばハードコート処理、反射防止処理、透明導電処理、電磁波遮蔽処理、ガスバリア処理等の、所定の表面機能化処理を施すこともできる。
以下、本発明について、具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(測定方法)
<ナトリウムの定量分析>
アジレントテクノロジー社製高周波誘導結合質量分析装置(ICP−MS;Agilent7700X)を使用し、後述する実施例及び比較例において作製したメタクリル系樹脂粒子に付着している金属元素(ナトリウム)の量を測定した。
<アルミニウムの定量分析>
X線光電子分光分析装置(XPS):サーモエレクトロン社(米)製,ESCALAB250を使用し、後述する実施例及び比較例において作製したメタクリル系樹脂粒子に付着している金属元素(アルミニウム)の量を測定した。
具体的には、メタクリル系樹脂粒子にX線を照射し、表面に存在する特定の元素由来の光電子の運動エネルギーとその数を測定することによって、存在する元素の種類、量を分析した。
なお、XPS測定単位はatom%であるが、ICP−MS単位であるppmに換算して表面のAl濃度と全体のAl濃度との結果を比較し、算出した。
<黄色度差の評価>
後述する実施例及び比較例において作製したメタクリル系樹脂粒子を用いて、厚さ3mm×幅20mm×長さ220mm試験片を成形した。
日本電色工業株式会社製色度計TC−8600Aを使用して、JIS T7105(プラスチックの光学的特性試験方法)に準拠し、前記試験片を4枚重ねたときの220mm長さ方向のYI(黄色度)を測定し、以下の式を用いて黄色度差ΔYIを測定した。
ΔYIは、静携帯の黄色度の度合いを示し、この値が小さいほど、着色が小さいことを示す。
黄色度差ΔYI=YI−YI0
ΔYI=黄色度差
YI=成型体の黄色度
YI0=空気の黄色度
<安息角の測定方法>
後述する実施例及び比較例において作製したメタクリル系樹脂粒子150gを、10Lのポリエチレン製の袋に入れて3分間、振ることにより帯電処理を行った。
帯電処理後、ホソカワミクロン(株)社製、パウダーテスターを用いて、安息角を測定した。
〔実施例1〜5〕
懸濁重合法によりメタクリル系樹脂粒子を作製するために、先ず懸濁剤を作製した。
先ず、硫酸アルミニウム1.9g、錯形成剤(トリロンB;エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム二水和物/BASF社)3.8mg、及び乳化剤(K30;C15−パラフィンスルホネートのナトリウム塩/バイエル社)19mgを、蒸留水350g中に攪拌しながら溶解した。次に、約40℃の温度で、1Nの水酸化ナトリウムを添加し、pH値を5〜5.5に調整した。その後、静置沈殿させ水相を容量1Lの攪拌機付重合槽へと移し、懸濁剤(Al(OH)3)を得た。
また、懸濁助剤として、RSO3 -Na+(Rはアルキル基)を、前記懸濁剤と併用し、後述する重合工程の安定化を図った。
次に、上記重合槽に、メタクリル酸メチル(MMA)270g、アクリル酸メチル(MA)17g、重合開始剤としてラウロイルパーオキサイド0.5g、及び連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン0.7gを加えて激しく攪拌し、かつ、75℃に加温し、約75〜80℃で90分保持した。
その後、重合槽の内部温度を約90℃に上昇させ、40分間、90℃の温度条件を保持し、重合反応を進行させた。これにより、懸濁重合体が得られた。
重合反応が終了した後、45℃に冷却し、その後、50%の硫酸を33g添加することによって、懸濁剤(Al(OH)3)を水溶性の硫酸アルミニウム(Al2(SO43)に変換した。
次に、上記のようにして得た懸濁重合体を後処理するために、得られた懸濁液を、濾布を介して濾過し、ビーズ状のメタクリル系樹脂粒子と懸濁排液とに分離した。
その後、ビーズ状のメタクリル系樹脂粒子と等量の蒸留水で洗浄し、濾し布を介して濾過し、水洗浄と濾過とを3回繰り返した。
上記水洗浄後、ビーズ状のメタクリル系樹脂粒子を含む蒸留水洗浄液に、水酸化ナトリウム水溶液を滴下して添加し、pHを下記表1に示す、所定の値に調整し、その後、濾し布で濾過し、熱風乾燥機で、80℃3時間乾燥させた。
〔比較例1〜7〕
懸濁重合と蒸留水による洗浄までは実施例と同様の方法により行った。
比較例1〜5は、水酸化ナトリウムの添加によるpHの調整は行わず、蒸留水での洗浄回数を増やすことによりpH調整を行った。具体的に比較例1は1回洗浄を行い、以下、比較例数(比較例ナンバー)と同じ洗浄回数で蒸留水洗浄を実施した。
比較例6、7は、1Nの水酸化ナトリウムを攪拌下のビーズ状のメタクリル系樹脂を含む蒸留水洗浄液に滴下しながらpH7.4と9.8に調整した。
その他の条件は、実施例と同様にしてメタクリル系樹脂粒子を作製した。
最終洗浄時のpH調整値を、下記表1に示す。
実施例1〜6においては、水洗浄後に水酸化ナトリウムを添加し、pHの調整を行い、メタクリル系樹脂粒子表面のナトリウム元素濃度を0.1〜1.0ppmの範囲に制御したことにより、成形品のΔYIの値が極めて低く、色調品質が良い樹脂粒子が得られたことが分かった。また、実施例1〜6は、帯電時においても安息角はいずれも小さく、ペレタイズ時の押出変動が小さく、成形性に優れた樹脂粒子が得られたことが分かった。
本発明のメタクリル系樹脂粒子は、携帯電話、液晶モニター、液晶テレビ、ゲーム機等の枠や筐体、表示装置の前面板や絵画等の額や、外光を取り入れる窓、表示用看板、カーポートの屋根等のエクステリア、展示品の棚等に用いられるシート、照明器具のカバーやグローブ等を成形する材料、車両用部品、洗面化粧台、浴槽、樹脂製便器等の水周り用途等の各種成形品の材料として産業上の利用可能性がある。

Claims (6)

  1. メタクリル酸メチルを主成分とするメタクリル系樹脂粒子であって、
    高周波誘導結合質量分析装置(ICP−MS)によって測定されるメタクリル系樹脂粒子表面のナトリウム元素濃度が0.1〜1.0ppmである、メタクリル系樹脂粒子。
  2. X線光電子分光分析装置(XPS)によって測定される、メタクリル系樹脂粒子表面のアルミニウム元素濃度が0.01〜1.0ppmである、請求項1に記載のメタクリル系樹脂粒子。
  3. 重量平均粒子径が0.05〜0.8mmである、請求項1又は2に記載のメタクリル系樹脂粒子。
  4. 帯電処理後の安息角が10°〜45°である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のメタクリル系樹脂粒子。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のメタクリル系樹脂の製造方法であって、
    メタクリル酸メチルを含む重合単量体を、懸濁剤、懸濁助剤を含む水性媒体中で懸濁重合し、スラリーを得る工程と、
    当該スラリーに対して酸洗浄及び水洗浄する工程と、
    その後、水酸化ナトリウムを添加し、pHを8.5±1に調整する工程と、
    を有する、
    メタクリル系樹脂粒子の製造方法。
  6. 前記懸濁剤が水酸化アルミニウムであり、前記懸濁助剤がRSO3Naである、請求項5に記載のメタクリル系樹脂粒子の製造方法。
    (Rは、アルキル基である。)
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