JP2013216645A - 炭酸ナトリウム含有シベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤 - Google Patents

炭酸ナトリウム含有シベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 注射用水への溶解時間が短縮され,さらに,長期間の保存においてもシベレスタットの類縁物質の生成が抑制され経時安定性に優れた,炭酸ナトリウム含有シベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 炭酸ナトリウムを含有するシベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤の製造に際し,原薬に対し重量比で4以上のD−マンニトールを用いることにより,シベレスタット凍結乾燥製剤の溶解時間短縮が達成され,さらにpHを7.7以下とすることにより,類縁物質増加が抑制され,安定性が向上した,炭酸ナトリウム含有シベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤を得ることが可能となる。
【選択図】なし

Description

本発明は,注射用水への溶解時間が短縮され,さらに安定性が向上した炭酸ナトリウム含有シベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤及びその製造方法に関する。
シベレスタットナトリウム水和物は,全身性炎症反応症候群に伴う急性肺障害の改善の用途で用いられるヒト好中球エラスターゼである。急性肺障害患者は重篤な状態にあるので,薬物は非経口,好ましくは注射剤として長時間(24時間〜数日間)連続的に投与する必要がある。従って,シベレスタットナトリウム水和物のふさわしい製剤形態としては,注射剤または用時溶解される固形組成物,好ましくは凍結乾燥製剤である。
シベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤およびその製造方法は,特許文献1のほか,特許文献2及び特許文献3において開示されている。
特許文献1には,シベレスタットナトリウム四水和物(10g),蒸留水(500mL),塩化ナトリウム(7g)および炭酸ナトリウム(無水)(1.5g)を混合し,5mLずつバイアルに充填し,常法により凍結乾燥して得られる凍結乾燥製剤が記載されている。
この製剤例に従って製造した凍結乾燥製剤は,炭酸ナトリウムをpH調整剤として用いることにより,難溶性薬物であるシベレスタットナトリウム水和物の溶解度を向上させているものと考えられるが,特許文献2記載のとおり,経時的にpH値が上昇し,分解物が大量に生成することが判明している。
一方,特許文献2及び特許文献3記載の凍結乾燥製剤は,炭酸ナトリウム以外の添加物を用いること等により,シベレスタットナトリウム水和物の溶解度を向上させると共に,炭酸ナトリウムを用いることにより生じる上記課題を解決したものである。
しかしながら,特許文献1〜3には,炭酸ナトリウム含有シベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤の製造に際し,原薬に対し重量比で4以上のD−マンニトールを用いること,さらにpHを7.7以下とすることは記載されておらず,またその様な示唆もされていない。
特開平5−194366号公報 特開2002−80361号公報 特再WO02/007724号公報
本発明者らは,シベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤を製する際,pH調整剤として炭酸ナトリウムを用いると,凍結乾燥製剤の注射用水への溶解時間が延長し,医療現場での使い勝手が悪くなること,また,この延長した溶解時間の短縮をD−マンニトール添加により試みると,添加量の増加により製剤中の類縁物質も増加し,医薬品として適さなくなることがあることを,従来知られていない新たな課題として認識した。
そこで本発明は,注射用水への溶解時間が短縮され,かつ安定性が向上した炭酸ナトリウム含有シベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤の提供を目的とする。
本発明者らは,上記課題を解決するため鋭意検討したところ,炭酸ナトリウム含有シベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤を製するに際し,原薬に対し重量比で4以上のD−マンニトールを用いることにより,炭酸ナトリウムにより延長された,シベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤の注射用水への溶解時間が短縮されることを見出した。
また本発明者らは,pHを7.7以下とすることにより,原薬に対し重量比で4以上のD−マンニトールを用いることによる類縁物質増加が抑制され,安定性が向上した炭酸ナトリウム含有シベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤を得ることが可能となることを見出した。
即ち,本発明は下記(1)〜(7)の発明に関する。
(1) pH調整剤として炭酸ナトリウムを含有し,さらに原薬に対し重量比で4以上のD−マンニトールを含有するシベレスタットナトリウム水和物の溶液を用いて製造された凍結乾燥製剤。
(2) シベレスタットナトリウム水和物に対して炭酸ナトリウムが16〜20重量%である溶液を用いて製造された(1)の凍結乾燥製剤。
(3) 溶媒が水のみであり,pH値が7.7以下である溶液を用いて製造された(1)及び(2)の凍結乾燥製剤。
(4) 塩酸によりpHが調整される(3)の凍結乾燥製剤。
(5) (1)〜(4)の凍結乾燥製剤の製造方法。
(6) pH調整剤として炭酸ナトリウムを含有するシベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤の溶解時間を,D−マンニトールにより短縮する方法。
(7) D−マンニトールにより溶解時間が短縮された炭酸ナトリウム含有シベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤の製造に際し,溶液のpHを7.7以下とすることにより安定化する方法。
かくして,本発明によれば,シベレスタットナトリウム水和物,炭酸ナトリウム及びD−マンニトールを含有する凍結乾燥製剤であって,原薬に対し重量比で4以上のD−マンニトールにより溶解時間が短縮され.更にpHを7.7以下とすることにより,安定性が向上した,炭酸ナトリウム含有シベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤及びその製造方法が提供される。
また,さらに,本発明によって得られる炭酸ナトリウム含有シベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤では,従来の炭酸ナトリウムを含有するシベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤において生ずることが知られていた,経時的にpH値が上昇し,分解物が大量に生成するといった問題も解決されている。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の炭酸ナトリウム含有シベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤(以下,本発明のシベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤,本発明のシベレスタット凍結乾燥製剤又は本発明の凍結乾燥製剤ともいう。)において,有効成分のシベレスタット(N−[o−(p−ピバロイルオキシベンゼンスルホニルアミノ)ベンゾイル]グリシン)は,通常医療上使用されるシベレスタットが使用される。本発明で使用されるシベレスタットは,薬学上許容される塩,すなわち金属附加の塩であり,特にシベレスタットモノナトリウム塩の4水和物が好ましく,例えば特許文献1に記載の方法等により,製造することができる。
本発明は,上記した如く,その基本的態様として,シベレスタットナトリウム水和物を活性成分として含有する凍結乾燥製剤であって,炭酸ナトリウムを含有し,さらに活性成分に対し重量比で4以上のD−マンニトールを含有することを特徴とする凍結乾燥製剤である。通常,上記活性成分,炭酸ナトリウム及びD−マンニトール以外に,残部として任意の医薬用添加剤を含むことができる。
本発明の凍結乾燥製剤中におけるシベレスタットナトリウム水和物の含量は,有効投与量であれば良いが,通常は凍結乾燥製剤の総量に対して,10〜31質量%,好ましくは12〜24質量%であり,より好ましくは14〜20質量%である。
任意の医薬用添加剤として好ましいものとしては,後記する賦形剤,pH調整剤等を挙げることができる。
本発明に用いられる炭酸ナトリウム(sodium carbonate)は,炭酸ソーダとも言われ,分子式NaCO,分子量106のアルカリ金属炭酸塩である。
本発明に用いられる炭酸ナトリウムは,医療用に用いることができる炭酸ナトリウムであれば良いが,注射剤に用いられるグレードのものがより好ましく,また無水炭酸ナトリウムであることが好ましい。
本発明の凍結乾燥製剤に含有される炭酸ナトリウムの含量割合は本発明製剤の特徴が発揮される限り,特に制限はないが,シベレスタットナトリウム水和物に対して,16〜20重量%が好ましく,17〜19重量%がより好ましく,18重量%が最も好ましい。
本発明に用いられるD−マンニトールは,糖アルコールの一種であり,マンニット(mannite)とも呼ばれる。ヘキシトールに分類され,マンノースの還元体に相当する。光学活性物質であり,天然に多く存在するエナンチオマーがD−マンニトールである。
通常の凍結乾燥製剤では,D−マンニトールは賦形剤として添加されるが,本発明の凍結乾燥製剤においては,活性成分に対し重量比で4以上のD−マンニトールを含有することにより,炭酸ナトリウムによるシベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤の,注射用水への溶解時間の延長を防止する目的で添加される。
本発明の凍結乾燥製剤の製造には,必要に応じて炭酸ナトリウム以外のpH調整剤を用いることができる。
pH調整剤としては,医薬製剤において一般的に使用されているものであり,本発明の凍結乾燥製剤に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されない。例えば,塩酸及びリン酸等の無機酸;クエン酸,酒石酸,炭酸,乳酸及び酢酸等の有機酸;水酸化ナトリウム,水酸化カリウム及び水酸化リチウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;リン酸2水素ナトリウム,リン酸1水素ナトリウム,炭酸水素ナトリウム等の無機酸のアルカリ金属塩;等を挙げることができる。
本発明の凍結乾燥製剤に使用するpH調整剤としてより好ましくは,塩酸が挙げられる。pH調整剤は,凍結乾燥製剤を製造する際に,溶液のpHを目的のpHに調整することができればよく,適量で使用される。
これらのpH調整剤は単独で用いてもよく,また二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては,上記pH調整剤を使用することにより,凍結乾燥に供する溶液のpHを7.7以下の範囲に調整するのが好ましく,pH7.6以下の範囲に調整するのがより好ましく,pH7.5以下の範囲に調整するのが更に好ましい。
本発明の凍結乾燥製剤の製造に使用されるpH調整剤の配合量は,pHを上記の範囲に調整できれば特に限定されない。通常,pH調整剤は,pHを目的の範囲に調整できるように適量使用される。この調整により,活性成分に対し重量比で4以上のD−マンニトールを含有することによる類縁物質増加が抑制され,安定性が向上した炭酸ナトリウム含有シベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤を得ることが可能となる。
本発明の凍結乾燥製剤には,必要に応じて,マンニトール以外の糖類及び糖アルコール類から選択される少なくとも1種類以上の賦形剤を用いることができる。
糖類としては,凍結乾燥製剤の賦形剤として使用されている糖であれば特に限定されないが,例えば,グルコース,フルクトース等の単糖類,及び,マルトース,ラクトース,スクロース,トレハロース等の二糖類等を挙げることができる。糖アルコール類としては,凍結乾燥製剤の賦形剤として使用されている糖アルコールであれば特に限定されないが,例えば,エリスリトール,イノシトール及びソルビトール等を挙げることができる。
本発明の好ましい凍結乾燥製剤は,1)シベレスタット又はその塩,2)炭酸ナトリウム,3)D−マンニトール,及び,必要に応じて,医薬用添加剤として,4)pH調整剤及び5)糖類及び糖アルコール類から選択される少なくとも一種の賦形剤からなる群から選択される少なくとも一種を含有する。
本発明の好ましい凍結乾燥製剤として,例えば,1)シベレスタット又はその塩,好ましくはシベレスタットナトリウム水和物を,製剤の総量に対して10〜31質量%,好ましくは12〜24質量%,2)炭酸ナトリウムを,製剤の総量に対して16〜20質量%,3)D−マンニトールを,製剤の総量に対して71〜87質量%含有し,残部が賦形剤等の任意の医薬添加剤である凍結乾燥製剤を挙げることができる。
本発明のシベレスタット凍結乾燥製剤における上記成分の配合比を,好ましい場合も含めて例示すれば,下記の通りである。但し,pH調整剤は必要に応じて使用される。
シベレスタット又はその塩(好ましくはシベレスタットナトリウム水和物)100質量部に対して,炭酸ナトリウム:14〜22質量部,好ましくは15〜21質量部,より好ましくは16〜20質量部,さらに好ましくは17〜19質量部,
D−マンニトール:200〜800質量部,好ましくは300〜700質量部,更に好ましくは400〜600質量部,pH調整剤:適量,糖類及び糖アルコール類から選択される1種以上の賦形剤:200〜800質量部,好ましくは300〜700質量部,更に好ましくは400〜600質量部。
本発明の凍結乾燥製剤は,さらに,医薬用添加剤の一つとして,界面活性剤,浸透圧調整剤,防腐剤,安定化剤及び抗酸化剤等の,その他の添加物を含有していてもよい。
上記界面活性剤としては,ポリソルベート,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール,ポリエチレン硬化ヒマシ油及びセスキオレイン酸ソルビタンなどが挙げられ,上記浸透圧調整剤としては,ブドウ糖,キシリトール及びソルビトールなどが挙げられ,防腐剤としては,安息香酸及びアスコルビン酸などが挙げられる。しかし,これらに限定されるわけではない。
上記のその他の添加物を本発明の凍結乾燥製剤に使用する場合,その配合量は,シベレスタット又はその塩1質量部に対して,0.001〜1質量部である。
なお,上記浸透圧調整剤のうち賦形剤としても使用可能なものについては,浸透圧調整剤と賦形剤の区別無く本発明の凍結乾燥製剤に使用することができ,その配合量も上記のその他の添加物の配合量に限定されない。
本発明の凍結乾燥製剤の製造方法としては,特に限定されないが,たとえば,以下の方法により製造することができる。
まずは,1)シベレスタット又はその塩,2)炭酸ナトリウム,3)D−マンニトール,及び必要に応じて,医薬用添加剤,例えば4)pH調整剤,5)糖類及び糖アルコール類から選択される1種以上の賦形剤,さらに,必要に応じて,安定化剤及び抗酸化剤等のその他の添加物を,水又は適当な水性溶媒(水及び水と混和可能な有機溶媒の混合物,たとえば,水とアルコールの混合物)に溶解させる。上記各成分を水又は水性溶媒に溶解させる順序は,成分の種類に特に依存することなく,任意の順序で溶解させることができる。上記各成分を溶解させる水又は水性溶媒としては,注射用蒸留水を使用するのが好ましい。
このときの水性溶液中のシベレスタット又はその塩の濃度(シベレスタット相当量)は,通常1mg/mL〜100mg/mLであり,好ましくは5mg/mL〜50mg/mLであり,より好ましくは10mg/mL〜30mg/mLである。
得られた水性溶液につき,所望により,メンブレンフィルタなどを用いて濾過滅菌を行う。次いで,得られた無菌溶液をバイアル又はトレーなどの容器に分注し,通常の凍結乾燥方法により,本発明の凍結乾燥製剤とすることができる。
凍結乾燥方法としては,通常の凍結乾燥方法であれば,いずれも支障は無い。
本発明の凍結乾燥製剤は,凍結乾燥工程の乾燥時間及び乾燥温度を調節することにより,その製造初期水分量をコントロールすることが可能である。本凍結乾燥製剤の製造初期水分量は,通常1質量%以下であり,好ましくは0.5質量%以下である。
上記で得られた凍結乾燥製剤が充填した容器,又は必要に応じて,上記で得られた凍結乾燥製剤を別の容器に移した後,容器内のヘッドスペースを窒素等の不活性ガスで置換し,次いで通常の打栓又は熔閉等の方法で密封することにより,本発明の保存用凍結乾燥製剤が得られる。凍結乾燥製剤を封入する容器としては,打栓又は熔閉等により密封することができるものであれば特に限定されないが,外部からの水分を完全に遮断できるとの観点から,バイアルやアンプルが好ましい。
このようにして得られる本凍結乾燥製剤は,賦形剤が非晶質粉体として存在するため,長期間に渡る経時的安定性を保つことができる。本発明の凍結乾燥製剤は,固体粉末状であるものが好ましい。
本発明の凍結乾燥製剤の再溶解液の調製に使用する溶媒としては,通常,注射剤に使用される溶剤であれば,いずれも使用でき,具体例として,用時注射用蒸留水,生理食塩水,及び,その他一般的輸液(たとえば,5%ブドウ糖輸液,アミノ酸輸液など)が挙げられる。本発明の凍結乾燥製剤を上記溶媒に溶解させて得られる再溶解液は,静脈注射剤,皮下注射剤,筋肉注射剤又は点滴注射剤などの注射剤(注射液)として,非経口投与することができる。本発明の凍結乾燥製剤を,上記の注射用蒸留水,生理食塩水,又は輸液等の溶媒で溶解した液は,十分に安定である。
本発明の凍結乾燥製剤の復水・希釈時におけるシベレスタットの濃度(シベレスタット相当量)は,通常,2mg/mL〜50mg/mLであり,好ましくは,5mg/mL〜15mg/mLである。
以下に本発明の実施例及び比較例を挙げて,本発明をさらに詳細に説明するが,これらは例示的なものであり,本発明は以下の実施例等に制限されるものではない。当業者は,以下に示す実施例に様々な変更を加えて本発明を実施することができ,かかる変更は本願特許請求の範囲に包含される。
実施例1
注射用蒸留水に,シベレスタットナトリウム水和物100mg,D−マンニトール400mg及び炭酸ナトリウム18mgを溶解し,10%塩酸を用いて,pHを7.6に調整し,全量を5gとなるように調製した。次に,得られた水性溶液をフィルター(日本ポール株式会社製,商品名フロロダイン,孔径0.2μm)を用いてろ過し,得られたろ液の全量をバイアル(容量15mL)に充填した。
得られたバイアルを凍結乾燥装置により,通常の方法で凍結乾燥した。凍結乾燥時間は約45時間であった。得られた凍結乾燥製剤の水分量は,0.61質量%であった。
上記の凍結乾燥工程により得られた凍結乾燥製剤入りバイアルのヘッドスペースを窒素置換し,次いで,バイアル内圧を約70kPaとしてゴム栓で減圧打栓した後,アルミキャップで巻き締め,本発明のシベレスタット凍結乾燥製剤を得た。
実施例2
実施例1と同様に,注射用蒸留水,シベレスタットナトリウム水和物100mg,D−マンニトール600mg及び炭酸ナトリウム18mgを用いて,pHを7.6に調整し,全量を5gとした水性溶液を調製した。次いで実施例1と同様の手順で,この水性溶液をろ過してバイアル(容量15mL)に充填した後,実施例1と同じ凍結乾燥工程により,本発明のシベレスタット凍結乾燥製剤を得た。
比較例1
実施例1と同様に,注射用蒸留水,シベレスタットナトリウム水和物100mg,D−マンニトール200mg,及び炭酸ナトリウム18mgを用いて,pHを7.6に調整し,全量を5gとした水性溶液を調製した。次いで実施例1と同様の手順で,この水性溶液をろ過してバイアル(容量15mL)に充填した後,実施例1と同じ凍結乾燥工程により,活性成分に対しD−マンニトールの含量が重量比で2の,比較用凍結乾燥製剤を得た。
比較例2
実施例1と同様に,注射用蒸留水,シベレスタットナトリウム水和物100mg,D−マンニトール400mg及び炭酸ナトリウム18mgを用いて,pHを8.0に調整し,全量を5gとした水性溶液を調製した。次いで実施例1と同様の手順で,この水性溶液をろ過してバイアル(容量15mL)に充填した後,実施例1と同じ凍結乾燥工程により,pHが8.0の溶液を用いて製造された,比較用凍結乾燥製剤を得た。
試験例
試験例1
溶解性試験
実施例1,実施例2,及び比較例1で得られた凍結乾燥製剤を用いて,溶解性試験を行った。
それぞれ生理食塩水10mLをバイアルに加え,激しく振り混ぜ,完全に溶解するまでの時間を測定した。
溶解性試験の結果を表1に示す。
Figure 2013216645
シベレスタットナトリウム水和物100mgに,D−マンニトール400mgを含有する実施例1及びD−マンニトール600mgを含有する実施例2の凍結乾燥製剤は,D−マンニトールを200mgしか含有しない比較例1の凍結乾燥製剤と比べて,溶解時間がそれぞれ短縮した。
この試験結果より,D−マンニトールの添加による,シベレスタット凍結乾燥製剤の溶解時間の短縮が認められた。
試験例2
安定性試験
実施例1及び比較例2について苛酷試験を行い,苛酷試験後の各凍結乾燥製剤について純度試験を行った。
実施例1及び比較例2で得られた凍結乾燥製剤のバイアルを恒温槽に入れ,60℃の条件下で1週間保存した。製造直後(イニシャル),60℃1週間放置後の各サンプルについて,下記の純度試験を行った。
本品の表示量に従いシベレスタットナトリウム水和物0.1gに対応する量をとり,水10mLに溶かした。この液1mLをとり,水/アセトニトリル混液(1:1)を加えて10mLとし,試料溶液とした。この液1mLを正確に量り,水/アセトニトリル混液(1:1)を加えて正確に100mLとし,標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液20μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行った。それぞれの液の各々のピーク面積を自動積分法により測定した。ただし,シベレスタットナトリウム水和物に対する相対保持時間約0.3のピーク面積は,自動積分法で求めた面積に感度係数0.51を乗じた値とした。
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:240nm)
カラム:Inertsil ODS−3(4.6×15)
カラム温度:25℃付近の一定温度
移動相A:リン酸二水素カリウム5.44gを水に溶かし,1000mLとした液 にリン酸を加えてpHを2.5に調整した。
移動相B:アセトニトリル
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を次のように変えて濃度勾配制御した。
Figure 2013216645
面積測定範囲:シベレスタットナトリウムの保持時間の約2倍の範囲(30分。全40分)
安定性試験の結果を表2に示す。
Figure 2013216645
pHを7.6に調整した溶液を用いて製造された実施例1の凍結乾燥製剤は,pHが8.0の溶液を用いて製造された比較例2の凍結乾燥製剤と比較して,イニシャル時及び60℃1週間後のいずれにおいても,類縁物質が抑制されている。
本発明により,注射用水に短時間で溶解して安定な均一の溶液を形成するという再溶解時の溶解性に優れ,さらに,苛酷試験でのシベレスタット類縁物質の増加が抑えられ,製剤中におけるシベレスタット又はその塩が安定に保持される結果,経時的な安定性に優れたシベレスタット凍結乾燥製剤が提供される。シベレスタットは全身性炎症反応症候群に伴う急性肺障害に対する良好な改善作用を有することから,本発明により,用時調製型の製剤として,疾患の治療に極めて有効な製剤を提供できるものである。

Claims (7)

  1. pH調整剤として炭酸ナトリウムを含有し,さらに原薬に対し重量比で4以上のD−マンニトールを含有するシベレスタットナトリウム水和物の溶液を用いて製造された凍結乾燥製剤。
  2. シベレスタットナトリウム水和物に対して炭酸ナトリウムが16乃至20重量%である溶液を用いて製造された請求項1の凍結乾燥製剤。
  3. 溶媒が水のみであり,pH値が7.7以下である溶液を用いて製造された請求項1及び2の凍結乾燥製剤。
  4. 塩酸によりpHが調整される請求項3の凍結乾燥製剤。
  5. 請求項1乃至4の凍結乾燥製剤の製造方法。
  6. pH調整剤として炭酸ナトリウムを含有するシベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤の溶解時間を,D−マンニトールにより短縮する方法。
  7. D−マンニトールにより溶解時間が短縮された炭酸ナトリウム含有シベレスタットナトリウム水和物凍結乾燥製剤の製造に際し,溶液のpHを7.7以下とすることにより安定化する方法。
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