JP2013215530A - 反発力調整装置、靴の中敷、靴、反発力調整装置の制御方法 - Google Patents

反発力調整装置、靴の中敷、靴、反発力調整装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 記憶されたパターンに応じて、靴の反発力を自動的に調整する反発力調整装置等を提供すること。
【解決手段】 靴の底部の反発力の調整をする反発力調整部材60と、反発力調整部材を移動させる駆動部50と、前記靴のユーザーの動作に基づく物理量を検出する検出部20、21と、前記駆動部により前記反発力調整部材を移動させる制御データを記憶する記憶部30と、前記ユーザーの所定の動作と対応付けられた前記制御データを前記記憶部に記憶させる第1モード、及び前記検出部が検出した物理量に基づいて前記所定の動作を検出し、前記所定の動作と対応付けられた前記制御データに基づいて、前記駆動部により前記反発力調整部材を移動させる第2モードを備える制御部40と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、反発力調整装置、靴の中敷、靴、反発力調整装置の制御方法等に関する。
ランニングシューズ、バスケットシューズ、登山靴等、目的に合わせて様々な種類の靴が製造されている。例えば、バスケットシューズは、ユーザーの足を着地の衝撃から保護するために衝撃吸収性に優れた材料を用いて製造されている。しかし、衝撃吸収性に優れていても、バスケットシューズは例えば短距離走には不向きであり、短距離走者はランニングシューズを着用する。
このように、靴のユーザー(以下、単にユーザーともいう)は運動の種類や目的(例えば練習用、競技用)に合わせて特定の種類の靴を選択するのが通常である。つまり、一般に製造されている靴は、その衝撃吸収性、弾力性、反発力の大きさといった性能特性を調整することはできない。そのため、靴のユーザーは、運動の種類や目的に合わせて、複数の種類の靴から選択を行う。
これに対し、特許文献1は内蔵された装置がその可調節素子を変形させることで性能特性を変化させる靴を開示する。特許文献1の発明によると、ユーザーの要求(例えば、様々な運動)に適合するように性能特性を自動的に調節する靴を提供することができる。
特開2004−267784号公報
しかし、特許文献1の発明では、試験により定められた閾値に基づいて、中物の圧縮が過剰であるか又は不足であるかを判断して可調節素子を変形させる。このとき、性能特性はユーザーが移動する路(以下、移動路)における過去の経験とは無関係に決定される。なお、中物は靴底と中底(靴の内部の底)との間にいれる素材である。
ここで、運動競技については、練習の過程で最適な靴の性能特性を決定し、本番の競技で良い成績を残したいとの要求がある。また、運動競技に限らず、予め決められたパターンに従って靴の性能特性を変化させて、靴の付加価値を高めたいとの要求がある。特に、靴の性能特性の1つである反発力は、ユーザーの動作に大きく影響することから、決められた通りに変化することが好ましい。
例えば、短距離走では競技中に移動路の状態が大きく変化する。つまり、トラックは直線路だけでなく曲線路を含んでいる。曲線路では、直線路よりも反発力を弱めた方が地面との接触時間をとることができコースアウトしにくく、記録の向上が期待できる。このとき、走り方には個人差があるため、練習での経験をもとに最適な反発力を試合においても再現することが好ましい。
また、運動競技以外では、数歩ごとに反発力が変化するならば、例えばバランスシューズとして靴に付加価値が生じる。つまり、着地時に反発力が変化するため、ユーザーがバランスを保つために筋力を使うことになる。すると、一般的な靴を履いた場合よりもカロリーを多く消費するのでダイエットに役立つ。
本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたものである。本発明のいくつかの態様によれば、ユーザーが過去に移動した路の状態に適した反発力のパターンや運動効果を高めるための反発力のパターン等を靴に記憶することができる。そして、記憶されたパターンに応じて、靴の反発力を自動的に調整する反発力調整装置等を提供することができる。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例に係る反発力調整装置は、靴の底部の反発力の調整をする反発力調整部材と、反発力調整部材を移動させる駆動部と、前記靴のユーザーの動作に基づく物理量を検出する検出部と、前記駆動部により前記反発力調整部材を移動させる制御データを記憶する記憶部と、前記ユーザーの所定の動作と対応付けられた前記制御データを前記記憶部に記憶させる第1モード、及び前記検出部が検出した物理量に基づいて前記所定の動作を検出し、前記所定の動作と対応付けられた前記制御データに基づいて、前記駆動部により前記反発力調整部材を移動させる第2モードを備える制御部と、を含む。
本適用例に係る反発力調整装置では、反発力調整部材を駆動部が移動させることで靴の底部の反発力が調整される。ユーザーが地面を蹴ることで靴が変形し、元に戻るときに反発力を生じる。ここで、反発力調整部材は例えば樹脂板、金属板等であり、靴の変形と共に反発力調整部材が変形すれば、元に戻るときに大きな反発力を生じる。また、駆動部とは例えばモーター等の各種アクチュエーターであってもよい。
駆動部によって反発力調整部材を移動させて、靴が変形するときの反発力調整部材の変形具合を調整することで、靴の反発力の調整が可能である。なお、反発力調整部材として弾性部材を用いて、圧縮されて元に戻る力を利用して靴の反発力を調整してもよい。
前記の通り、例えばユーザーの経験に基づく反発力のパターンを靴に記憶しておき、競技で再現できれば記録向上が期待できる。また、例えば運動効果を高めるためのパターンを靴に記憶しておき、そのパターンに従って靴の反発力が変化すれば新たな付加価値を生じることになる。本適用例に係る反発力調整装置は、反発力のパターンを記憶することができる記憶部を備えている。ここで、反発力のパターンは、制御データとして記憶される。すなわち、反発力のパターンは、制御部が用いる、駆動部に反発力調整部材を移動させる指示の内容として記憶される。
本適用例に係る反発力調整装置は、靴のユーザーの動作に基づく物理量を検出する検出部を備えている。検出部は例えば圧力センサー、加速度センサー、角速度センサー等、又はこれらの組み合わせであってもよく、物理量とはこれらのセンサーが測定する圧力、加速度、角速度等であってもよい。例えば、加速度センサーによってユーザーの足の上げ下げを検出できるため、反発力調整装置は歩数を把握できる。すると、歩数と関連付けられた制御データを記憶部から読みだして、一歩毎に適切な反発力の調整が可能になる。
そして、本適用例に係る反発力調整装置の制御部は、制御データを記憶部に記憶させる第1モードと、その制御データを実行して反発力を調整する第2モードとを備えるので、前記の記録向上や付加価値の発生を実現できる。ここで、前記のように、制御データは靴のユーザーの動作に基づく物理量に関連付けられる。そのため、練習時に第1モードで記憶させた最適な反発力の変化を、本番の競技においては第2モードで再現することが可能である。
ここで、制御部とは例えばマイクロコントローラーやCPU等であってもよい。また、第1モードと第2モードのどちらを実行するかは、ユーザーの選択で決定されてもよいし、靴の製造時に第1モードが実行されて靴の使用時には第2モードだけが実行可能であってもよい。
[適用例2]
上記適用例に係る反発力調整装置は、前記反発力調整部材の少なくとも一部を収容する容器を含み、前記制御部は、前記駆動部により、前記反発力調整部材を前記容器に近づく方向又は前記容器から遠ざかる方向に移動させて、前記反発力調整部材のうち前記容器に収容される部分の大きさを変化させてもよい。
本適用例に係る反発力調整装置によれば、反発力調整部材の少なくとも一部を収容する容器を含む。そして、駆動部は、制御部からの指示に従い、反発力調整部材を容器に収容したり、容器から出したりする。
容器は、例えば土踏まずの部分よりもつま先側に配置されてもよいし、逆にかかと側に配置されていてもよい。このとき、反発力調整部材のうち容器から出ている部分は、靴の変形と共に変形するので、靴の反発力を高めるのに寄与する。逆に反発力調整部材が容器に完全に収容されている場合には、靴の反発力は最小になる。
このように、本適用例に係る反発力調整装置の制御部は、反発力調整部材のうち前記容器に収容される部分の大きさを変化させて、靴の反発力を調整できる。
[適用例3]
上記適用例に係る反発力調整装置において、前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記検出部が検出した物理量に基づいて前記ユーザーが移動する路の状態を検出し、前記靴の底部が前記路の状態に応じた反発力を生じるように前記反発力調整部材を移動させる前記駆動部への指示の内容を前記制御データとしてもよい。
[適用例4]
上記適用例に係る反発力調整装置において、前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記検出部が検出した物理量に基づいて前記ユーザーが曲線路を移動していることを検出した場合は、前記駆動部により、前記ユーザーが曲線路以外を移動していることを検出したときよりも前記反発力調整部材のうち前記容器に収容される部分を大きくさせてもよい。
これらの適用例に係る反発力調整装置によれば、移動路に応じた具体的な靴の反発力の調整を行う。制御部は、第1モードにおいて、ユーザーにとって適切と思われる反発力のパターンを制御データとして記憶部に記憶させる。例えば、ユーザーが曲線路を移動していると判断した場合は、移動路が曲線路でないときよりも反発力調整部材の多くの部分を容器に収容させてもよい。つまり、曲線路での反発力をより小さくすることで、カーブを曲がりやすくする。ここで、曲線路とは右又は左にカーブしている路をいう。
このとき、ユーザーは、例えば入力部によって制御部の第1モード実行時に反発力調整部材を収容させる早さやタイミングを調整できてもよい。
このように、本適用例に係る反発力調整装置は、制御部が第1モードにおいて移動路の状態に応じて反発力を調整し(自動調整機能)、その内容を記憶することができる。そして、ユーザーは制御部による反発力の調整を実際に走った感覚に基づいて評価し、最適な反発力の変化を決定することができる。
[適用例5]
上記適用例に係る反発力調整装置において、前記検出部は、圧力センサーを含んでもよい。
本適用例に係る反発力調整装置によれば、検出部には圧力センサーが含まれている。そして、制御部は、第1モードの自動調整機能において、検出された圧力に基づいて足の裏のどの部分に大きな圧力がかかっているかを特定し、移動路の状態を判断する。例えば、右足の拇指球よりも内側に大きな圧力がかかった場合には、体を左側に傾けて曲線路を走っている状態であると判断される。
このとき、検出部は例えば拇指球、拇指球よりも内側、小指の付け根等にそれぞれ圧力センサーを設けてもよい。つまり、複数の圧力センサーを使ってもよい。しかし、コストの低減のためには1つの圧力センサーであることが望ましい。このとき、制御部は例えば検出された圧力の違いから、大きな圧力がかかっている部位を特定して移動路の状態を判断してもよい。
[適用例6]
上記適用例に係る反発力調整装置において、前記制御データであって前記ユーザーの所定の動作と対応付けられたものを前記反発力調整装置の外部から受け取る入力部を含み、前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記入力部が受け取った制御データを前記記憶部に記憶させてもよい。
本適用例に係る反発力調整装置によれば、制御データであってユーザーの所定の動作と対応付けられたものを反発力調整装置の外部から受け取る入力部を含む。ここで、所定の動作は、検出部で検出されるユーザーの特定の動作であり、例えば足の上げ下げである。
このとき、記憶部には実測値に限らず、どのような制御データも記憶可能になる。したがって、練習と競技といった区別のない用途についても、記憶された制御データに応じて、靴の反発力を自動的に調整することができる。
[適用例7]
上記適用例に係る反発力調整装置において、前記ユーザーの所定の動作は足を上げる動作であって、前記検出部は、加速度センサーを含み、前記制御部は、前記加速度センサーが検出した加速度に基づいて、歩数を計測する計測部を含んでもよい。
本適用例に係る反発力調整装置によれば、検出部には加速度センサーが含まれている。そして、制御部は検出された加速度に基づいて足の上げ下げを判断できるので、歩数を計測部でカウントすることが可能になる。例えば、第1モードで制御データを歩数と関連付けて記憶すれば、第2モードで一歩毎の反発力の調整が可能になる。計測部とは例えばカウンターであるがこれに限られない。
[適用例8]
上記適用例に係る反発力調整装置において、複数の前記反発力調整部材と、複数の前記反発力調整部材のそれぞれを移動させる複数の前記駆動部と、を含み、前記制御部は、複数の前記駆動部のそれぞれにより、独立して前記反発力調整部材を移動させてもよい。
本適用例に係る反発力調整装置によれば、制御部は複数の駆動部の制御を独立して行い、複数の前記反発力調整部材をそれぞれ独立して伸縮させるので、直進方向への反発力の大きさだけでなく、直進方向に対して右方向又は左方向への推進力も生じさせることができる。そのため、推進力の方向を予測できないように変化させることで、ユーザーにバランスを保つための筋力を使わせることができる。このとき、一般的な靴を履いた場合よりもカロリーを多く消費するので、この反発力調整装置を備えた靴にはダイエットに役立つという付加価値が生じる。
[適用例9]
本適用例に係る靴の中敷は、上記のいずれかの適用例に係る反発力調整装置を含む。
[適用例10]
本適用例に係る靴は、上記の靴の中敷を含む。
上記適用例に係る靴の中敷は、記憶されたパターンに応じて、靴の反発力を自動的に調整する。そして、上記の調整機能を有する靴の中敷を敷くだけで、どのような靴であっても反発力を自動的に調整することが可能になる。
[適用例11]
本適用例に係る靴は、上記のいずれかの適用例に係る反発力調整装置を含む。
上記適用例に係る靴は、例えば靴底部分に上記の反発力調整装置を含む。そのため、記憶されたパターンに応じて靴の反発力が自動的に調整される、との効果を得るのに、ユーザーは当該靴をただ履くだけよい。ユーザーは何ら操作を行わないので、煩わしさを感じることがない。
[適用例12]
本適用例に係る、靴の底部の反発力の調整に用いられる部材である反発力調整部材と、前記反発力調整部材を移動させる駆動部と、前記靴のユーザーの動作に基づく物理量を検出する検出部と、前記駆動部に前記反発力調整部材を移動させる指示の内容である制御データを記憶する記憶部とを備える反発力調整装置の制御方法は、前記ユーザーの所定の動作と対応付けられた前記制御データを前記記憶部に記憶させるステップと、前記検出部が検出した物理量に基づいて前記所定の動作を検出し、前記所定の動作と対応付けられた前記記憶部からの制御データに基づいて、前記駆動部により前記反発力調整部材を移動させるステップと、を含む。
本適用例に係る反発力調整装置の制御方法は、ユーザーが過去に移動した路の状態に適した制御データや運動効果を高めるための制御データ等を靴に記憶することができる。そして、制御データに基づいて靴の反発力を自動的に調整する反発力調整装置等を提供することができる。
第1実施形態の反発力調整装置のブロック図。 第1実施形態の反発力調整装置を含む靴の斜視図。 図3(A)〜図3(B)は反発力調整部材の伸縮を説明する図。 反発力調整装置との関係で短距離走のトラック(走路)を区分した図。 図5(A)〜図5(D)はトラックの区分と反発力調整部材の伸縮の対応関係を説明するための図。 図6(A)〜図6(B)は圧力センサーの配置の例を示す図。 図7(A)〜図7(B)はトラックの区分と受圧部との対応関係を示す図。 第1実施形態の圧力センサー素子の断面の模式図。 第1実施形態の振動片およびダイヤフラムを模式的に示す下面図。 第1実施形態の圧力センサー素子の断面の模式図。 第1実施形態における検出圧力と移動路の状態の対応関係を示す図。 図12(A)は加速度センサーが検出する重力加速度の方向の変化を示す図。図12(B)は記憶される制御データの例を示す図。 第1実施形態における反発力調整装置の制御を示すフローチャート。 第1実施形態における反発力調整装置の制御を示すフローチャート。 第1実施形態における反発力調整装置の制御を示すフローチャート。 第2実施形態の反発力調整装置のブロック図。 第2実施形態の反発力調整装置を含む靴の斜視図。 図18(A)〜図18(D)は反発力調整部材の伸縮と反発力の強さ、方向との対応関係を示す図。 第2実施形態における制御データの例を示す図。 第2実施形態における反発力調整装置の制御を示すフローチャート。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.第1実施形態
[反発力調整装置の構造と動作]
図1は、第1実施形態の反発力調整装置10のブロック図である。図1に示すように、第1実施形態の反発力調整装置10は、圧力センサー20、加速度センサー21、メモリー30、CPU40、モーター50、樹脂板60、ボタン90を含んで構成されている。CPU40はカウンター42を含んでいる。なお、反発力調整装置10は、これらのブロックに電源供給する電池を含んでいるが、図1では記載を省略している。
ここで、圧力センサー20および加速度センサー21は検出部に、メモリー30は記憶部に、CPU40は制御部に、カウンター42は計測部に、モーター50は駆動部に、樹脂板60は反発力調整部材に、ボタン90は入力部に対応する。本実施形態の反発力調整装置10は、靴の反発力を調整するのに用いられる靴の反発力調整装置である。
まず、反発力および反発力調整部材である樹脂板60について説明する。靴の反発力は、靴の性能特性の1つであり、靴が地面からはじき返される力である。靴のユーザー、すなわち靴を履いている者が上げた足を地面に下ろすと地面を蹴るが、その反作用として反発力が得られる。靴の反発力が強いと、ユーザーは強い推進力を得られるので機動性が高まる。
ここで、足への衝撃を和らげるために、一般に靴の底部にクッション材が用いられている。クッション材は反発力を吸収し弱める働きをする。他方、靴が地面に接したときに靴は変形する。その後、靴が元に戻る力は反発力を強めるように作用する。例えば、靴の剛性を高めると変形しにくくなるが、その分、元に戻る力も強くなるので反発力が強まると言える。また、ゴムのように弾性率が高い素材を靴底に用いる場合にも、変形後に元に戻る力が強くなるため反発力が強まると考えられる。
したがって、反発力を調整するのに用いられる部材、すなわち反発力調整部材としては、衝撃吸収性を変化させる部材、剛性を変化させる部材、靴底の弾性を変化させる部材を用いることができる。ここで、靴の機動性を高める目的で、動的に反発力を変化させるには剛性を変化させる部材を選択することが適している。
第1実施形態の反発力調整装置10では、板状の樹脂である樹脂板60を反発力調整部材としている。例えば金属板等であってもよいが、樹脂板60は一般に軽量で、安価で、加工もしやすいことから反発力調整部材に適している。
本実施形態の反発力調整装置10は、後述するように樹脂板60を収容可能な容器(図外)を含んでいる。樹脂板60のうち容器から出された部分は靴底と一体となるが、樹脂板60は靴の素材よりも固いので靴の剛性が高まって反発力が大きくなる。一方、容器に完全に収容された場合には、もとの靴自体の剛性に戻り、靴自体が有する反発力に戻る。つまり、樹脂板60を容器からどの程度出すかによって、靴の反発力を調整することが可能である。
なお、本実施形態のように樹脂板60を容器から出し入れするのではなく、樹脂板60の形状を変化させることで剛性を変化させることもできる。例えば、樹脂板60が厚くなれば剛性は高まる。樹脂板60が折りたたみ可能な形状であったり、蛇腹構造であったりすることで、容器がなくても靴の剛性を変化させて反発力を調整することが可能である。
次に、圧力センサー20、加速度センサー21、メモリー30、CPU40、モーター50、ボタン90について説明する。これらはいずれも、樹脂板60を容器からどの程度出すかを判断し、実行するために用いられる。圧力センサー20は、ユーザーの動作に基づく圧力を検出する。具体的には、ユーザーが上げた足を地面に下ろしたときに靴底にかかる圧力を検出する。後述するように、移動路の状態によって検出される圧力が違ってくる。
加速度センサー21は、加速度を検出するが特に重力加速度成分を検出する。ユーザーが足を上げた場合には、重力加速度の向きは靴底に垂直な方向から変化する。この重力加速度の方向の変化を検出する。ここで、加速度センサー21は本実施形態のように3軸加速度センサーであってもよいし、2軸又は1軸の加速度センサーであってもよい。
メモリー30は、CPU40がモーター50に樹脂板60を移動させる指示の内容である制御データを記憶する。本実施形態のメモリー30は不揮発性であって、CPU40が制御データを書き込むプログラマブルなメモリーであるが、その他の種類のメモリーも使用可能である。メモリー30は、複数回書き込み可能なフラッシュメモリーであってもよいし、1度だけ書き込み可能なOTP(One Time Programmable)メモリーであってもよい。なお、別の実施形態として、メモリー30は制御データが書き込まれたマスクROMであってもよい。
CPU40は、圧力センサー20が検出した圧力の値、加速度センサー21が検出した加速度の値を受け取る。図1では、それぞれ信号120、121が対応する。そして、信号120をサンプリングして圧力測定値Pを得る。圧力測定値Pは、移動路の状態を判断するのに用いられる。例えば、圧力測定値Pが所定の範囲に含まれるときにユーザーは直線の路(直線路)を走っていると判断できる。また、圧力測定値Pが別の所定の範囲に含まれるときにユーザーは曲がった路(曲線路)を走っていると判断できる。
また、本実施形態の反発力調整装置10が含むCPU40は、その内部にカウンター42を含む。カウンター42は、信号121を受け取って、その変化からユーザーが足を上げた(又は下げた)と判断して歩数Nを数える。CPU40はその歩数Nと制御データとを対応づけてメモリー30に書き込む。図1では信号142が対応する。なお、本実施形態ではCPU40がカウンター42を含むが、カウンター42はCPU40の外部にあって、歩数NをCPU40に出力してもよい。
本実施形態において、CPU40は2つの制御モードを含む。前記の歩数Nと対応づけられた制御データをメモリー30に書き込む制御モードを第1モードと呼ぶ。なお、本実施形態ではCPU40が歩数Nと制御データとを対応づけてメモリー30に直接書き込むが、間接的に書き込みを行ってもよい。すなわち、CPU40は第1モードにおいて、このような制御データをメモリー30に記憶させればよい。
CPU40は、制御モードが第2モードの場合には次のような動作を行う。CPU40は、歩数Nをカウンター42から受け取って、歩数Nと対応づけられた制御データをメモリー30から読みだす。図1では信号130が対応する。そして、制御データに従ってモーター50を回転させて、樹脂板60を移動させることで靴の反発力を変化させる。このとき、メモリー30に書き込まれた制御データの内容を忠実に実行することができる。例えば、第1モードで練習中の最適な制御データをメモリー30に記憶しておく。すると、本番の競技において第2モードを実行することで、練習中に最適であった反発力の変化を再現可能である。なお、ユーザーは、本実施形態ではボタン90によって第1モードと第2モードとを切り替えることができる。
ここで、本実施形態のCPU40は、第1モードで最適な反発力の変化を記録できるように自動調整機能を備えている。CPU40は、第1モードにおいて、所定の規則に従って、移動路の状態(例えば直線路、曲線路)に応じて樹脂板60を移動させる。つまり、樹脂板60を容器からどの程度出すべきかを制御する。そして、モーター50にどちらの方向にどれだけ回転させるかを指示する。そして、このときの指示の内容を制御データとしてメモリー30に書き込む。ここで、ユーザーは、前記の所定の規則をボタン90によって変更できてもよい。
モーター50は、CPU40から回転方向および回転量の指示を受け取る。図1では、信号140が対応する。そして、モーター50は、信号140に基づいてモーターの回転軸を回転させる。本実施形態の反発力調整装置10では、後述するように回転軸にはローラーが付いており、その摩擦力によって樹脂板60を移動させることができる。
ボタン90は、ユーザーが前記の制御モードを切り替えたり、第1モードにおいて自動調整機能の規則を変更したりするのに用いられる。例えば、ボタン90を長押しすることで第1モードと第2モードとを相互に切り替える。また、ボタン90を第1モードで短く押した場合には、自動調整機能におけるモーター50の回転数を増加、又は減少させる。また、第2モードで短く押した場合には、動作開始許可と不許可とを切り替えてもよい。なお、制御モードを切り替えるボタンと自動調整機能の規則を変更するボタンを個別に設けてもよい。
図2は、本実施形態の反発力調整装置10を含む靴1の斜視図である。説明の便宜上、靴1の一部を透明にして反発力調整装置10が見えるように図示しているが、実際の靴1では反発力調整装置10は外部から見えなくてもよい。また、容器70の一部を透明にしてCPU40やモーター50が見えるように図示しているが、実際の容器70は不透明であってもよい。なお、CPU40はメモリー30と1チップ化されており、以下において特に区別する必要がない場合には、CPU40およびメモリー30を、単にCPU40と表現するものとする。
なお、図1と同じ要素には同じ符号を付しており詳細な説明を省略する。また、圧力センサー20、加速度センサー21は、この例では容器70の外側であって靴1の底を向いている面に設けられているものとし、その図示は省略されている。なお、圧力センサー20、加速度センサー21は、CPU40やモーター50と同じ面にあってもよい。
図2の靴1は運動靴であって反発力調整装置10を含んでいる。図2では、靴1として右足側のみを図示しているが、左右対称な左足側も存在するものとする。なお、靴1の左足側は、図2と同じ反発力調整装置10、又はつま先とかかとを結ぶ線に対して左右対称に構成された反発力調整装置10を含んでいる。また、この例では靴1は運動靴であるが、ウォーキングシューズ、通勤靴、ブーツ等であってもよい。
本実施形態では、反発力調整装置10は靴の中敷(図外)として構成されており、靴の底部に接するように靴の内部に置かれる。このとき、反発力調整装置10を含む中敷を靴に挿入するだけで、靴の種類によらずに、記憶された制御データに応じて靴の反発力を自動的に調整することができる。このとき、ボタン90は、走行中に誤って押すことがないように中敷きにある窪みの中にある。
なお、反発力調整装置10は靴の中敷として構成されるのではなく、製造時に靴1の底部に埋め込まれてもよい。このとき、ユーザーが反発力調整装置10の存在を意識せずとも、また中敷を挿入する等の作業を行なわなくとも、靴1は記憶された制御データに応じて靴の反発力を自動的に調整する。このとき、ボタン90も靴底の側面等に設けられていてもよい。
図2の反発力調整装置10では、CPU40からの指示によってモーター50が回転する。モーター50が回転すると、モーター50の回転軸に設けられたローラー52も回転する。ローラー52と樹脂板60とは接しており、摩擦力によってローラー52の回転に応じて樹脂板60が容器70に収容されたり、逆に容器70から出たりする。つまり、CPU40は、モーター50に樹脂板60を容器70に近づく方向又は容器70から遠ざかる方向に移動させて、樹脂板60のうち容器70に収容される部分の大きさを変化させることができる。
図3(A)〜図3(B)は、図2の靴1において、つま先部分とかかと部分のそれぞれの中央を結ぶ線に沿って、靴の底部に対して垂直に切った断面図である。そして、図3(A)〜図3(B)を用いて、樹脂板60の伸縮、すなわち容器70に収容される部分の大きさの変化を説明する。なお、樹脂板60の伸縮とは、樹脂板60自体が伸縮するのではない。
[自動調整機能]
図3(A)〜図3(B)では、容器70の側面のうち、靴の底を向いている部分に圧力センサー20、加速度センサー21が設けられている様子が示されている。第1モードでは、圧力センサー20からの圧力の値に基づいて樹脂板60が伸縮する。そして、第1モードおよび第2モードにおいて、加速度センサー21からの加速度の値に基づいてユーザーの歩数が計測されて、樹脂板60の伸縮と関連付けられる。以下では、まず第1モードにおける自動調整機能について説明する。
ユーザーが足を踏み込むと、圧力センサー20はその圧力を検出する。CPU40は圧力センサー20が検出した圧力値を受け取り、移動路の状態を判断する。このとき、CPU40は圧力値に基づいて、ユーザーの状態(例えば走っているか、歩いているか)も判断可能である。
そして、移動路の状態に応じた反発力が得られるように、CPU40はモーター50を回転させる。モーター50の回転はローラー52に伝わる。ローラー52と樹脂板60とは接しており、摩擦力によって、樹脂板60は、容器70に近づく方向すなわち容器70に収容される方向や、容器70から遠ざかる方向すなわち容器70から出る方向に移動する。
図3(A)は、CPU40が樹脂板60のうち容器70に収容される部分を最小にした状態を表している。このとき、靴底部分と一体となった樹脂板60は、靴の底の剛性を最も高めることになる。つまり、靴底の部材よりも固い樹脂板60が、靴底部分と接する面積が最も大きくなるため剛性が最も高くなる。このとき、反発力も最も強くなり、強い推進力を得られるので機動性が高まる。
一方、図3(B)は、CPU40が樹脂板60のうち容器70に収容される部分を最大にした状態を表している。このとき、樹脂板60は靴底部分と接しておらず剛性は低い。このとき、反発力は小さくなるので、地面と靴1とが接する時間が長くなり、ユーザーは最も地面の感触を足の裏に感じることができる。そのため、カーブを曲がりやすい、滑りにくい、といった効果を得られる。
本実施形態の反発力調整装置10は、図3(A)の状態と図3(B)の状態のどちらをとることもでき、これらの中間の状態をとることもできる。なお、本実施形態の反発力調整装置10は、図3(A)〜図3(B)のように、つま先側に容器70があって、樹脂板60はかかとの方向に伸びて反発力を高めるが、逆に配置されてもよい。つまり、かかと側に容器70があって、樹脂板60はつま先方向に伸びて反発力を高めてもよい。
本実施形態の反発力調整装置10の適用例として、陸上の短距離走が考えられる。図4は、本実施形態の反発力調整装置10との関係で、短距離走のトラック80、すなわち走路を区分して示した図である。図4ではトラック80を上方から見ているものとし、走者は矢印のように反時計回りにトラック80を走る。
トラック80は、直線路からなるゾーンであるZ1と、曲線路からなるゾーンであるZ3とを含む。そして、直線路から曲線路へと変化するゾーンであるZ2と、曲線路から直線路へと変化するゾーンであるZ4とを含む。なお、広義にはゾーンZ2は直線路に含まれ、ゾーンZ4は曲線路に含まれる。
図5(A)〜図5(D)は、図4のトラック80のゾーンZ1〜ゾーンZ4と、最適な反発力との関係を表す図である。ここで、前記のように反発力は、樹脂板60の伸縮、つまり樹脂板60の容器70に収容されている部分の大きさで変化する。そこで、図5(A)〜図5(D)では、ゾーンZ1〜ゾーンZ4と、反発力調整装置10における樹脂板60の伸縮との対応を示している。なお、図1〜図4と同じ要素については同じ符号を付しており説明を省略する。
図5(A)は、トラック80のゾーンZ1における最適な樹脂板60の伸縮を表している。図5(A)のように、直線路であるゾーンZ1では、反発力を最大にし、ユーザーが最も強い推進力を得ることが好ましい。つまり、図3(A)を用いて説明したように、CPU40は樹脂板60のうち容器70に収容される部分を最小にすることが好ましい。
図5(B)は、トラック80のゾーンZ2における最適な樹脂板60の伸縮を表している。図5(B)のように、直線路から曲線路へと変化するゾーンZ2では、反発力を徐々に弱めて、ユーザーがコースアウトしないように調整することが好ましい。具体的には、CPU40はローラー52を紙面時計回りに回すように指示する。そして、樹脂板60のうち容器70に収容される部分を徐々に大きくしていく。このとき、ローラー52の回転数は固定(例えば、一度の指示で半回転等)であってもよいし、回転数が時間と共に増加、又は減少してもよい。
図5(C)は、トラック80のゾーンZ3における最適な樹脂板60の伸縮を表している。図5(C)のように、曲線路であるゾーンZ3では、反発力を最小にし、地面と靴とが接する時間を長くすることが好ましい。このとき、ユーザーは最も地面の感触を足の裏に感じることができ、カーブを曲がりやすくなる。また、スリップやコースアウトを防止することもできる。つまり、図3(B)を用いて説明したように、CPU40は樹脂板60のうち容器70に収容される部分を最大にすることが好ましい。
図5(D)は、トラック80のゾーンZ4における最適な樹脂板60の伸縮を表している。図5(D)のように、曲線路から直線路へと変化するゾーンZ4では、反発力を徐々に強めて、ユーザーがコースアウトしないようにしながらも、直線路において強い推進力を得られるように準備することが好ましい。具体的には、CPU40はローラー52を紙面反時計回りに回すように指示する。そして、樹脂板60のうち容器70に収容される部分を徐々に小さくしていく。このとき、ローラー52の回転数は固定(例えば、一度の指示で半回転等)であってもよいし、回転数が時間と共に増加、又は減少してもよい。
ここで、本実施形態の反発力調整装置10は、ボタン90によってローラー52の回転数、時間経過に伴う回転数の増加又は減少を変化させることができる。そのため、ユーザーはトラック80を走る練習中に、ボタン90によってローラー52の回転数等を変更して、自分にとって最適な反発力の変化を選ぶことが可能になる。そして、CPU40は最適な反発力の変化をメモリー30に記憶しておき、第2モードで再現することで、競技においても、練習で最適であるとして選んだ移動路に応じた反発力を得ることが可能になる。
[圧力センサーによる検出]
第1モードの自動調整機能では、トラック80のゾーンZ1〜ゾーンZ4を、圧力センサー20が圧力の違いとして検出し、CPU40が正しく判断することが必要になる。図6(A)は、本実施形態の反発力調整装置10における圧力センサー20の配置を靴1の平面図(本実施形態では靴の中敷の平面図)を用いて示したものである。図6(A)のように、圧力センサー20は、受圧部24、導入路26、および圧力センサー素子100で構成される。圧力センサー素子100は、検出した圧力の値を信号線(図外)によってCPU40に出力する。
図6(A)の仮想の足型82はユーザーの足のおおよその位置を表す。一般に走るときには足の親指の付け根である拇指球の周囲に強い圧力がかかる。そして、移動路の変化によって体の重心の位置が変化して、強い圧力がかかる場所が変化していく。後述するように、直線路を走っているときには、拇指球だけでなく足の小指の付け根にも強い圧力がかかる。しかし、左カーブを曲がる場合には、体が左に傾くため、例えば右足の小指の付け根にはほとんど圧力がかからない。
そこで、本実施形態の反発力調整装置10では、圧力センサー20の受圧部24を、拇指球を含む指の付け根部分に配置して、この圧力の変化を検出する。受圧部24は例えば液体で満たされており、導入路26を液体が通って、圧力センサー素子100のダイヤフラム(diaphragm)を押す。そのため、圧力の変化を正確に検出することができる。図6(A)では、圧力センサー素子100は受圧部24と離れて配置されている。しかし、圧力センサー素子100に十分な強度があれば、受圧部24の近く、例えば受圧部24の上面、下面、側面に設けられてもよい。
なお、足の指の付け根部分の圧力の変化を検出するためには、図6(B)のように、複数の圧力センサーを配置してもよい。例えば、拇指球の圧力を検出するために、受圧部24A、導入路26A、および圧力センサー素子100Aで構成される1つ目の圧力センサーを配置する。そして、足の人差し指の付け根の圧力を検出するために、受圧部24B、導入路26B、および圧力センサー素子100Bで構成される2つ目の圧力センサーを配置する。さらに、足の小指の付け根の圧力を検出するために、受圧部24C、導入路26C、および圧力センサー素子100Cで構成される3つ目の圧力センサーを配置する。
そして、CPU40は3つの圧力センサーから検出された圧力値を受け取って比較することで、より直接的に圧力の変化を捉えることが可能になる。しかし、複数のセンサーを使用するため、本実施形態の反発力調整装置10と比較してコストがかかる。よって、本実施形態のように1つの圧力センサーを用いることが好ましい。
図7(A)〜図7(B)は、トラックのゾーン(ここでは、Z1とZ3のみ)と受圧部24における圧力の高い領域25との対応関係を示す図である。なお、左足側の靴については、同一又は左右対称であるため図示を省略してきたが、受圧部24における圧力の高い領域25については左右非対称となり得る。そのため、図7(A)〜図7(B)では、左足側の靴1Lも示して説明する。
図7(A)〜図7(B)において、図1〜図6(B)と同じ要素については同じ符号を付しており説明を省略する。また、左足側の靴1Lにおける受圧部24L、圧力の高い領域25L、導入路26L、圧力センサー素子100Lは、それぞれ右足側の靴1の要素であって添え字のLを除いたものに対応するので説明を省略する。
図7(A)は、トラック80のゾーンZ1(図4参照)における、靴1の受圧部24での圧力の高い領域25、靴1Lの受圧部24Lでの圧力の高い領域25Lを表す。図7(A)のように、直線路であるゾーンZ1では、靴のユーザーは、足の親指側から小指側までを地面を蹴るのに用いる。そのため、領域25、25L(黒色で示した領域)は親指側から小指側まで幅広い範囲に生じている。そして、多くの液体を導入路26、26L経由で圧力センサー素子100、100Lに送り、ダイヤフラムに大きな圧力を与える(図10の圧力P参照)。
一方、図7(B)は、トラック80のゾーンZ3(図4参照)における、靴1の受圧部24での圧力の高い領域25、靴1Lの受圧部24Lでの圧力の高い領域25Lを表す。図7(B)のように、曲線路であるゾーンZ3では、靴のユーザーが体を左側に傾けるため、進行方向左側に偏って圧力の高い領域25、25Lが生じている。つまり、靴1の受圧部24では、拇指球部分だけに圧力の高い領域25ができる。また、靴1Lの受圧部24Lでは、足の小指の付け根部分だけに圧力の高い領域25Lができる。このとき、図7(A)のゾーンZ1の場合と比べて、導入路26、26L経由で圧力センサー素子100、100Lに送られる液体は少なく、ダイヤフラムにかかる圧力も比較的小さい。
なお、トラック80のゾーンZ2(図4参照)においては、ダイヤフラムにかかる圧力が時間の経過とともに小さくなり、ゾーンZ4においては、ダイヤフラムにかかる圧力が時間の経過とともに大きくなる。このような圧力の大小、および圧力の変化をCPU40が把握することで、トラック80のどのゾーンを走っているか、すなわち移動路の状態を判断することができる。
図8は、本実施形態の圧力センサー素子100の断面の模式図である。図9は、本実施形態の圧力センサー素子100の振動片220およびダイヤフラム210を模式的に示す下面図である。図9は、封止板としてのベース230を省略して描いてある。図8は、図9のA−A線の断面に対応する。
圧力センサー素子100は、ダイヤフラム210と、振動片220と、封止板としてのベース230と、を含む。
ダイヤフラム210は、圧力を受圧して撓む可撓部を有する平板状の部材である。ダイヤフラム210の外側の面が受圧面214となっており、受圧面214の裏面側に一対の突起212が形成されている。
振動片220は、振動ビーム(梁)222及び振動ビーム222の両端に形成された一対の基部224を有する。振動ビーム222は、一対の基部224の間に両持ち梁状に形成される。一対の基部224は、ダイヤフラム210に形成された一対の突起212にそれぞれ固定される。振動ビーム222には図示しない電極が適宜設けられ、電極から駆動信号を供給することで振動ビーム222を一定の共振周波数で屈曲振動させることができる。振動片220は、圧電性を有する材料で形成される。振動片220の材質としては、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料が挙げられる。振動片220は、支持梁226によって枠部228に支持されている。
ベース230は、ダイヤフラム210と接合されて、ダイヤフラム210との間にキャビティー232を形成する。キャビティー232を減圧空間とすることにより、振動片220のQ値を高める(CI値を小さくする)ことができる。
このような構造の圧力センサー素子100において、ダイヤフラム210は、受圧面214に圧力を受けた場合に撓み、変形する。すると、振動片220の一対の基部224が、ダイヤフラム210の一対の突起212にそれぞれ固定されているため、ダイヤフラム210の変形に従って基部224間の間隔が変化する。すなわち、圧力センサー素子100に圧力が印加されたときに、振動ビーム222に引張または圧縮の応力を生じさせることができる。
図10は、圧力センサー素子100の断面の模式図であり、ダイヤフラム210が圧力Pによって変形した状態を示している。図10は、圧力センサー素子100の外側から内側への力(圧力P)が作用することにより、ダイヤフラム210が素子の内側に向かって凸となる変形が生じた例である。この場合、一対の突起212の間の間隔は大きくなる。他方、図示しないが、圧力センサー素子100の内側から外側への力が作用する場合は、ダイヤフラム210が素子の外側に向かって凸となる変形が生じ、一対の突起212の間の間隔は小さくなる。従って、両端が一対の突起212にそれぞれ固定された振動片220の振動ビーム222に平行な方向に引張または圧縮の応力が生じる。すなわち、受圧面214に対して垂直方向に加わった圧力は、突起(支持部)212を介して、振動片220の振動ビーム222に対して平行な直線方向の応力に変換される。
そして、振動ビーム222に引張または圧縮の応力が生じることで、圧力センサー素子100の出力信号の周波数は変化する。つまり周波数を計測することで圧力Pを計算することができる。例えば、図10の圧力Pが作用した場合には、振動ビーム222に平行な方向に引張応力が生じて周波数が高くなる。よって、高くなった周波数の値、又はその変化量に基づいて圧力Pを求めることができる。
CPU40は、圧力センサー20によって検出された圧力値を受け取る。本実施形態では、CPU40は適当なタイミングでサンプリングした圧力値(以下、圧力測定値Pとする)を受け取るものとする。
図11は、本実施形態における検出された圧力値と移動路の状態の対応関係を示す図である。図11のように、CPU40は圧力測定値PがPth0以上でPth1未満であれば、ユーザーが曲線路を走っていると判断する。また、CPU40は圧力測定値PがPth1以上であれば、ユーザーが直線路を走っていると判断する。そして、判断した移動路の状態に応じてモーター50の回転を制御してもよい(図5(A)〜図5(D)参照)。なお、図11および図14の説明においては、直線路とは図4のゾーンZ1だけでなくゾーンZ2も含み、図11での曲線路とは図4のゾーンZ3だけでなくゾーンZ4も含む。
例えば、CPU40は圧力測定値Pの時間的変化から、圧力の減少傾向を把握して、樹脂板60を徐々に容器に収容するようにモーター50の回転を制御してもよい(図5(B)参照)。また、CPU40は圧力の増加傾向を把握して、樹脂板60を徐々に容器から引き出すようにモーター50の回転を制御してもよい(図5(D)参照)。
なお、検出された圧力値と移動路の状態の対応関係は、図11の例に限らない。例えば、受圧部24を配置する場所によっては、ユーザーが直線路を走っている場合に、曲線路を走っている場合よりも低い圧力を示すこともあり得る。また、本実施形態の反発力調整装置10のCPU40は、圧力測定値PがPth0未満のときに特にモーター50の回転制御を変化させないが、例えば樹脂板60を容器から最大限引き出すような制御を行ってもよい。
CPU40は、これらの反発力の変化を、第1モードでは制御データとしてメモリー30に記憶する。制御データは、本実施形態ではモーター50の回転数と回転方向から成る。そして、第2モードでは、制御データに基づいてモーター50を回転させて樹脂板60を伸縮させる。このとき、制御データが適切に選択されるように、制御データとユーザーの特定の動作とを対応付ける必要がある。
本実施形態では、ユーザーの特定の動作は足の上げ下げであり、カウンター42によって歩数として出力される。CPU40は、第1モードでは制御データを歩数と対応付けてメモリー30に記憶する。そして、第2モードでは、CPU40はカウンター42から歩数を受け取り、その歩数に対応付けられた制御データを選択して、モーター50を回転させる。これにより、一歩毎にメモリー30に記憶された通りに反発力を調整することができる。
ここで、第2モードでは、CPU40は予め複数の制御データをキャッシュ等に読み出しておいて歩数に基づいて選択してもよいしカウンター42から歩数を受け取った後にメモリー30にアクセスしてもよい。
このとき、例えば第1モードで練習の過程で得られた最適な靴の反発力の変化を制御データとしてメモリーに記憶し、競技において第2モードに切り替えることで忠実にその反発力を再現することが可能になる。なお、競技において第1モードのままでも、自動調整機能によって反発力の調整は行われるが、練習場所と競技会場が異なる場合等に、練習で得られた靴の反発力が再現されない可能性がある。
[加速度センサーによる検出]
図12(A)は、加速度センサー21が検出する重力加速度の方向の変化を示す図である。なお、図3(A)〜図3(B)と同じ要素には同じ符号を付しており説明を省略する。加速度センサー21は、図12(A)のように、検出した加速度のうち重力加速度についての値を出力してもよい。このとき、重力加速度と靴底と垂直な方向(以下、軸方向)とが成す角度θが変化すると、軸方向の重力加速度の大きさが変化する。そして、この変化はユーザーの足の上げ下げに対応する。カウンター42は、軸方向の重力加速度の大きさの変化に基づいてカウンターをインクリメントして歩数として出力できる。
図12(B)は、メモリー30に記憶される制御データの例を表す。図12(B)のように制御データはモーター回転数と回転方向の情報を含み、歩数Nと対応づけられて記憶される。例えば歩数Nが28歩まではモーター50は動作せず、歩数が29歩から34歩までの場合には、一歩毎にモーター50を時計回り(例えば図3(A)の紙面時計回り)に3回転させる。また例えば歩数が57歩から59歩までの場合には、一歩毎にモーター50を反時計回り(例えば図3(A)の紙面反時計回り)に5回転させる。なお、図12(B)においてCは時計回りを、Aは反時計回りを意味する。
例えば、第1モードでは自動調整機能によって変化した反発力が歩数Nと対応付けられて図12(B)のテーブルとしてメモリー30に記憶される。このとき、ユーザーはボタン90で例えばモーター回転数を増減させながら最適な反発力の変化を求める。そして、最適な反発力の変化を得た場合に、例えばユーザーはボタン90によって制御モード設定を第2モードに切り替えてもよい。
[フローチャート]
図13〜15は、本実施形態の反発力調整装置10のCPU40が実行する制御についてのフローチャートである。なお、図14における圧力測定値P、閾値Pth0、Pth1は前記と同じである。また、図14〜図15における歩数Nも前記と同じである。
図13はメインのフローチャートである。最初に制御モード設定が第1モードであるかの判断をする(S1)。制御モードが第1モードであるように設定されている場合には(S1:Y)、第1モード処理を実行する(S2)。制御モードが第1モードでない、すなわち第2モードに設定されている場合には(S1:N)、第2モード処理を実行する(S3)。第1モード処理、第2モード処理とは、それぞれ自動調整機能を使って制御データをメモリー30に記憶する処理、読み出した制御データに基づいて反発力を調整する処理であり、以下順に説明する。
図14は、第1モード処理のサブルーチンを表すフローチャートである。CPU40は、圧力センサー20から圧力測定値Pを、カウンター42から歩数を受け取る(S6)。そして、圧力測定値Pよりも前に受け取った圧力測定値(以下、以前に受け取った圧力測定値)と比較する(S7)。ここで、以前に受け取った圧力測定値はCPU40の内部の記憶領域に記憶されていてもよいし、反発力調整装置10に含まれるCPU40がアクセス可能な記憶部に記憶されていてもよい。また、以前に受け取った圧力測定値は直前の1つであってもよいし、複数であってもよい。
CPU40は、圧力測定値Pと以前に受け取った圧力測定値との比較により圧力の変化の傾向を判断する(S8)。ここで、以前に受け取った圧力測定値そのものの値を比較に用いてもよいし、統計処理を施して用いてもよい。統計処理として、例えば直前のいくつかの圧力測定値を平均化してもよい。
もし圧力が、変化していなければ、CPU40は現在の靴の状態を維持する(S8:変化なし)。すなわち、CPU40はモーター50を回転させず、樹脂板60を動かさない。
もし圧力が増加していれば、CPU40は、ユーザーが曲線路から直線路へと変化する移動路を走っている、又は走ったと判断する(S8:増加)。
このとき、圧力測定値PがPth0以上かつPth1未満であれば(S10:Y)、CPU40は、樹脂板60を所定分伸ばすようモーター50を制御する(S12)。このとき、CPU40は、ユーザーが図4のゾーンZ4を走っていると判断し、反発力を徐々に強めて、直線路において強い推進力を得られるように準備する。図5(D)を参照すると、樹脂板60を所定分伸ばすとは、CPU40がモーター50に所定の回数だけローラー52を紙面反時計回りに回すように指示することに対応する。
なお、ここでは樹脂板60を伸ばす、又は縮めるという表現を用いるが、樹脂板60を伸ばすとは、樹脂板60を容器70の外側に出すことを意味する。また、樹脂板60を縮めるとは、容器70の中に収容することを意味する。
もし、圧力測定値PがPth0以上かつPth1未満でなければ(S10:N)、CPU40は、圧力測定値PをPth1と比較する。そして、圧力測定値PがPth1以上であれば(S20:Y)、CPU40は、樹脂板60を最大に伸ばすようモーター50を制御する(S22)。このとき、CPU40は、ユーザーが直線路である図4のゾーンZ1に至ったと判断し、反発力を最大にしてユーザーが最も強い推進力を得るようにする。なお、既に樹脂板60が最大に伸びている場合には、CPU40は、S22の処理を省略してもよい(図外)。
もし、圧力測定値Pが増加傾向にあってもPth0未満であれば(S20:N)、CPU40は、ユーザーが走っていない状態、例えば図4のゾーンZ4をゆっくり歩いている状態であると判断する。このとき、CPU40はモーター50を回転させず、樹脂板60を動かさない。
再び、CPU40が圧力の変化を検出するステップS8に戻る。もし圧力が減少していれば、CPU40は、ユーザーが直線路から曲線路へと変化する移動路を走っている、又は走ったと判断する(S8:減少)。
このとき、圧力測定値PがPth1以上であれば(S30:Y)、CPU40は、樹脂板60を所定分縮めるようモーター50を制御する(S32)。このとき、CPU40は、ユーザーが図4のゾーンZ2を走っていると判断し、反発力を徐々に弱めて、ユーザーが勢い余ってコースアウトしないように調整する。図5(B)を参照すると、樹脂板60を所定分縮めるとは、CPU40がモーター50に所定の回数だけローラー52を紙面時計回りに回すように指示することに対応する。
もし、圧力測定値PがPth1以上でなければ(S30:N)、CPU40は、圧力測定値PをPth0と比較する。そして、圧力測定値PがPth0以上かつPth1未満であれば(S40:Y)、CPU40は、樹脂板60を最大に縮めるようモーター50を制御する(S42)。このとき、CPU40は、ユーザーが曲線路である図4のゾーンZ3に至ったと判断し、反発力を最小にしてユーザーがカーブを曲がりやすいようにする。なお、既に樹脂板60が最大に縮んでいる場合、すなわち、既に樹脂板60が容器に収まっている場合には、CPU40は、S42の処理を省略してもよい(図外)。
もし、圧力測定値Pが減少傾向にあってもPth0未満であれば(S40:N)、CPU40は、ユーザーが走っていない状態、例えば図4のゾーンZ2をゆっくり歩いている状態であると判断する。このとき、CPU40はモーター50を回転させず、樹脂板60を動かさない。
そして、CPU40はこれらのモーター50の制御を、歩数Nと共にメモリー30に書き込む。具体的には、図12(B)のように歩数Nと制御データ(モーター50の回転数および回転方向)とを関連付けて記憶する。
図15は、第2モード処理のサブルーチンを表すフローチャートである。CPU40は、まず第2モード処理の動作開始許可を確認する(S90)。動作開始許可は、第2モード処理を開始してよいことを示すものであり、例えば競技開始の直前にユーザーがボタン90を押すことで動作開始許可を与えてもよい。CPU40は動作開始許可があるまで待ち(S90:N)、許可があった場合には以下の処理に進む(S90:Y)。
CPU40はカウンター42から歩数Nを受け取る(S92)。例えば競技が開始されてユーザーが走行中の場合、歩数Nはユーザーが何歩踏み出したかを表している。練習を重ねたユーザーならば、例えば短距離走ならば何歩目でコーナーにかかるか、ハードル走ならば何歩目毎にハードルを越えるか、走り高跳びならば何歩目にジャンプするかが決まってくる。そのため、歩数Nに応じて反発力を調整することは競技での記録向上が期待できる。
CPU40は、歩数Nに対応付けられた制御データをメモリー30から読み出す(S94)。そして、制御データに従ってモーター50の制御を実行して、樹脂板60を伸縮させて反発力を調整する(S96)。
以上のように、本実施形態の反発力調整装置10では、ユーザーが過去に移動した路の状態に適した反発力のパターンを記憶することができる。そして、記憶されたパターンに応じて、靴の反発力を自動的に調整することができる。
2.第2実施形態
[反発力調整装置の構造と動作]
第2実施形態の反発力調整装置は、第1実施形態の場合と異なり、CPU40が自動調整機能を持たない。そのため、圧力センサーはなく、代わりに歩数に対応付けられた制御データを入力するケーブル端子を備える。また、モーターと樹脂板は複数組(図16の例では2組)あり、それぞれ独立に制御される。
図16は、本実施形態の反発力調整装置10Aのブロック図である。第1実施形態と異なり、ケーブル端子92を含む。ケーブル端子92に接続されたケーブルによって、反発力調整装置10Aの外部のPCや別の装置から歩数に対応付けられた制御データがCPU40に送られる。この制御データの送信は図16の信号192が対応する。なお、ケーブル端子92も入力部の1つであり、第1実施形態と同様に他の入力部であるボタン90も存在する。
本実施形態の反発力調整装置10Aでは、2つのモーター50A、50Bが含まれており、CPU40からそれぞれ独立に回転方向および回転量の指示を受け取る。図16では、信号140A、140Bが対応する。モーター50A、50Bは、それぞれ樹脂板60A、60Bの伸縮を調整するのに用いられる。
また、本実施形態のボタン90は、第2モード処理の動作開始許可、不許可の指示にだけ使用されてもよい。なお、その他の要素は、図1と同じ番号を付しており、第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
本実施形態の反発力調整装置10Aは、競技と練習といった区別が無い場合や、制御データが実測に基づくものでなくてもよい場合に向いている。また、モーターと樹脂板は複数組あるため、前進方向についての反発力の強弱だけでなく、特定方向への反発力(例えば右方向や左方向)を発生させることもできる。
そのため、初心者に正しい走り方を教えるための矯正用靴や、一般的な靴を履いた場合よりもカロリーを多く消費させるダイエットシューズなどに用いることができる。
図17は、本実施形態の反発力調整装置10Aを含む靴1Aの斜視図である。第1実施形態と同じく、説明の便宜上、靴1Aの一部、容器70の一部を透明にして表している。また、反発力調整装置10Aは靴の中敷(図外)として構成されており、靴の底部に接するように靴の内部に置かれる。ケーブル端子は容器70の外側であって靴1Aの底を向いている面に設けられているものとしその図示は省略されているが、この位置に限定されるものではない。なお、反発力調整装置10Aは靴の中敷ではなく製造時に靴1Aの底部に埋め込まれてもよい。このとき、ケーブル端子92は靴底の側面にあってもよい。なお、図1〜図16と同じ要素については同じ符号を付しており説明を省略する。
図17の反発力調整装置10Aでは、CPU40からの指示によってモーター50A、50Bが独立に回転する。モーター50Aが回転すると、モーター50Aの回転軸に設けられたローラー52Aも回転する。ローラー52Aと樹脂板60Aとは接しており、摩擦力によってローラー52Aの回転に応じて樹脂板60Aが容器70に収容されたり、逆に容器70から出たりする。そして、モーター50B、ローラー52B、樹脂板60Bについても同様である。
ここで、樹脂板60Aは靴1Aの右側に、樹脂板60Bは靴1Aの左側に平行に配置されている。これらの樹脂板60A、60Bが独立に伸縮することによって、進行方向まで含めた反発力の調整が可能になる。
図18(A)〜図18(D)は、本実施形態の反発力調整装置10Aにおける樹脂板60A、60Bの伸縮(容器70への収容)状態による、反発力の強さ、方向との対応関係を示す。
図18(A)は樹脂板60A、60Bが共に最大に伸びており、進行方向(紙面上方)に向かって大きな反発力を生じている様子を矢印で表している。一方、図18(B)は樹脂板60A、60Bが共に容器70へ収容されて、進行方向(紙面上方)に向かって小さな反発力を生じている様子を矢印で表している。図18(A)、図18(B)は、それぞれ第1実施形態での図3(A)、図3(B)の状態に対応する。
本実施形態の反発力調整装置10Aは、2つの樹脂板60A、60Bを備えることで、方向の調整も可能である。例えば、図18(C)は、樹脂板60Aが容器70へ収容されて、樹脂板60Bが最大に伸びている。このとき、靴1Aの左側には大きい反発力を生じ、右側の反発力は小さいために、全体として進行方向右側(紙面右側)に向かって反発力が生じる。
一方、図18(D)は、樹脂板60Aが最大に伸び、樹脂板60Bが容器70へ収容されている。このとき、靴1Aの左側の反発力は小さく、右側には大きい反発力を生じるために、全体として進行方向左側(紙面左側)に向かって反発力が生じる。
また、これらの樹脂板60A、60Bは、図18(A)〜図18(D)に示された状態の中間の状態も、それぞれとり得る。そのため、本実施形態の反発力調整装置10Aは、反発力の大きさおよび方向を調整することができる。
図19は、第2実施形態における制御データの例を示す図である。なお、図12(B)と同じ要素には同じ名称、符号を付しており説明を省略する。第1実施形態の場合と比べて、樹脂板60A、60Bのそれぞれに対して制御データが定められていることが異なる。
ここで、図19のように、樹脂板60A、60Bについて独立に制御データが定められているため、ユーザーは前に強く、右に弱く、左に中ほどの強さで、また右に強く、…といったように、方向も含めた靴の反発力の変化を感じることになる。そのため、体はバランスを取るために、一般的な靴よりも筋力使うため、ダイエットシューズとして使用できる。ここで、左足側(図外)も右足側とで制御データのテーブルが異なる場合には、ユーザーは更に筋力を使うことになり、ダイエットシューズとしての機能が高まる。なお、図19ではモーターの回転方向について、樹脂板60Aに樹脂板60Bが続くといった規則性があるが、乱数などによって全くランダムに制御データを作成してもよい。また、矯正目的の場合には、左足側(図外)と右足側とで制御データを揃えてもよい。
なお、本実施形態の反発力調整装置10Aは、ケーブル端子92を含み、ケーブル経由で外部のPCなどから図19のような制御データを送り、CPU40がメモリー30に書き込むが、メモリー30自体に製造時に制御データが書かれていてもよい。例えば、メモリー30はマスクROMやOTPメモリーであって、反発力調整装置10Aの製造過程で図19のような制御データが書き込まれており、その後制御データは書き換えられることがないとしてもよい。このとき、ケーブル端子92を省略することが可能である。
ここで、本実施形態の反発力調整装置10Aについても、CPU40が行う制御のフローチャートは第1モード処理を除いて第1実施形態と同じである。図20は、本実施形態における第1モード処理のフローチャートである。
まず、CPU40は歩数Nと対応付けられた制御データをメモリー30に記憶する(S46)。このとき、ケーブル端子92経由で歩数Nと対応付けられた制御データが、反発力調整装置10Aの外部から入力される。そして、メモリー30への書き込みが終了すると、CPU40は制御モード設定を第2モードにする(S48)。このとき、制御データの書き換えがあり得ない場合には、制御モード設定を第2モードに固定してもよい。
以上のように、本実施形態の反発力調整装置10Aでは、実測せずとも、例えば運動効果を高めるための反発力のパターン等を自由に記憶することができる。そして、記憶されたパターンに応じて、靴の反発力を自動的に調整することができる。
3.その他
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1 靴、1A 靴、1L 靴、10 反発力調整装置、10A 反発力調整装置、20 圧力センサー、21 加速度センサー、24 受圧部、24A 受圧部、24B 受圧部、24C 受圧部、24L 受圧部、25 領域、25L 領域、26 導入路、26A 導入路、26B 導入路、26C 導入路、26L 導入路、30 メモリー、40 CPU、42 カウンター、50 モーター、50A モーター、50B モーター、52 ローラー、52A ローラー、52B ローラー、60 樹脂板、60A 樹脂板、60B 樹脂板、70 容器、82 足型、82L 足型、90 ボタン、92 ケーブル端子、100 圧力センサー素子、100A 圧力センサー素子、100B 圧力センサー素子、100C 圧力センサー素子、100L 圧力センサー素子、120 信号、121 信号、130 信号、140 信号、140A 信号、140B 信号、142 信号、190 信号、192 信号、210 ダイヤフラム、212 突起、214 受圧面、220 振動片、222 振動ビーム、224 基部、226 支持梁、228 枠部、230 ベース、232 キャビティー

Claims (12)

  1. 靴の底部の反発力の調整をする反発力調整部材と、
    反発力調整部材を移動させる駆動部と、
    前記靴のユーザーの動作に基づく物理量を検出する検出部と、
    前記駆動部により前記反発力調整部材を移動させる制御データを記憶する記憶部と、
    前記ユーザーの所定の動作と対応付けられた前記制御データを前記記憶部に記憶させる第1モード、及び前記検出部が検出した物理量に基づいて前記所定の動作を検出し、前記所定の動作と対応付けられた前記制御データに基づいて、前記駆動部により前記反発力調整部材を移動させる第2モードを備える制御部と、を含む反発力調整装置。
  2. 請求項1において、
    前記反発力調整部材の少なくとも一部を収容する容器を含み、
    前記制御部は、
    前記駆動部により、前記反発力調整部材を前記容器に近づく方向又は前記容器から遠ざかる方向に移動させて、前記反発力調整部材のうち前記容器に収容される部分の大きさを変化させる反発力調整装置。
  3. 請求項2において、
    前記制御部は、
    前記第1モードにおいて、前記検出部が検出した物理量に基づいて前記ユーザーが移動する路の状態を検出し、前記靴の底部が前記路の状態に応じた反発力を生じるように前記反発力調整部材を移動させる前記駆動部への指示の内容を前記制御データとする反発力調整装置。
  4. 請求項3において、
    前記制御部は、
    前記第1モードにおいて、前記検出部が検出した物理量に基づいて前記ユーザーが曲線路を移動していることを検出した場合は、前記駆動部により、前記ユーザーが曲線路以外を移動していることを検出したときよりも前記反発力調整部材のうち前記容器に収容される部分を大きくさせる反発力調整装置。
  5. 請求項2乃至4のいずれか1項において、
    前記検出部は、
    圧力センサーを含む反発力調整装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項において、
    前記制御データであって前記ユーザーの所定の動作と対応付けられたものを前記反発力調整装置の外部から受け取る入力部を含み、
    前記制御部は、
    前記第1モードにおいて、前記入力部が受け取った制御データを前記記憶部に記憶させる反発力調整装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項において、
    前記ユーザーの所定の動作は足を上げる動作であって、
    前記検出部は、
    加速度センサーを含み、
    前記制御部は、
    前記加速度センサーが検出した加速度に基づいて、歩数を計測する計測部を含む反発力調整装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項において、
    複数の前記反発力調整部材と、
    複数の前記反発力調整部材のそれぞれを移動させる複数の前記駆動部と、を含み、
    前記制御部は、
    複数の前記駆動部のそれぞれにより、独立して前記反発力調整部材を移動させる反発力調整装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の反発力調整装置を含む靴の中敷。
  10. 請求項9に記載の靴の中敷を含む靴。
  11. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の反発力調整装置を含む靴。
  12. 靴の底部の反発力の調整に用いられる部材である反発力調整部材と、前記反発力調整部材を移動させる駆動部と、前記靴のユーザーの動作に基づく物理量を検出する検出部と、前記駆動部に前記反発力調整部材を移動させる指示の内容である制御データを記憶する記憶部とを備える反発力調整装置の制御方法であって、
    前記ユーザーの所定の動作と対応付けられた前記制御データを前記記憶部に記憶させるステップと、
    前記検出部が検出した物理量に基づいて前記所定の動作を検出し、前記所定の動作と対応付けられた前記記憶部からの制御データに基づいて、前記駆動部により前記反発力調整部材を移動させるステップと、を含む制御方法。
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