JP2013212083A - 放射性物質を活用した農作物の育成方法及び農作物の育成装置 - Google Patents

放射性物質を活用した農作物の育成方法及び農作物の育成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2013212083A
JP2013212083A JP2012084384A JP2012084384A JP2013212083A JP 2013212083 A JP2013212083 A JP 2013212083A JP 2012084384 A JP2012084384 A JP 2012084384A JP 2012084384 A JP2012084384 A JP 2012084384A JP 2013212083 A JP2013212083 A JP 2013212083A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
soil
crop
radioactive
container body
radioactive substance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012084384A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5935210B2 (ja
Inventor
Takamasa Tachibana
孝全 立花
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tachibana Paper Wear KK
Original Assignee
Tachibana Paper Wear KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tachibana Paper Wear KK filed Critical Tachibana Paper Wear KK
Priority to JP2012084384A priority Critical patent/JP5935210B2/ja
Publication of JP2013212083A publication Critical patent/JP2013212083A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5935210B2 publication Critical patent/JP5935210B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Fertilizing (AREA)

Abstract

【課題】放射能による汚染土壌を除染の対象とするのではなく,その有効活用法を提供する。
【解決手段】基本的に,放射性物質が核分裂する際に発生させる微振動が,農作物の成長促進を促すという性質を利用して,農作物を育成する。すなわち,農作物2が栽培されている土壌3の地中に,放射性物質を含有する土11が収容された装置1を埋設することにより,農作物の成育を促進させる。
【選択図】図2

Description

本発明は,放射性物質を含有する土を活用して農作物を育成する方法,及び農作物を育成するための装置に関する。具体的に説明すると,本発明は,農作物を栽培する土壌の地中に,放射性物質を含有する土を収容した装置を埋設して,農作物の成育を促進するというものである。
従来から,放射性セシウムに代表される放射性物質は,空気中や土壌などの自然環境に多量に存在する場合,人体に有害なものであるとして除去の対象とされている。
例えば,特許文献1や特許文献2には,放射性物質を含む汚染土壌の浄化方法が開示されている。
特開平05−192648号公報 特開2007−289897号公報
しかし,放射性物質を含有する土の最終処分技術は未だ確立しておらず,汚染土壌が大量に存在する場合に,そのすべてを完全に除染することは,現在の技術では不可能である。
そこで,本発明は,放射能による汚染土壌を除染の対象とするのではなく,その有効活用法を提供することを解決課題とする。
本発明者は,放射性物質を含む土の有効活用法について鋭意検討した結果,放射性物質が核分裂する際に発生させる微振動が,農作物の成長促進を促すものであることを見出した。
すなわち,東北地方太平洋沖地震の発生した2011年の農産物の出来具合は,過去数十年のものと比較し豊作であった。野菜は,色や味が良く,目方も3割方多くなっており,早期に肥大化していた。また,果物は,着色鮮やかで,味もすこぶる良く,LLサイズが多く落果なしの状態であった。また,花卉類は,赤色鮮やかで実の落下もないし,草花は早咲きで葉の緑も濃く花も大きく,開花期間が長くなっていた。このような農作物が豊作となる現象は,特に放射線量の高くなった被災地域に共通していた。
ここで,線量計測器を用いて,高線量の放射性物質の含有土を計測すると,計器が2〜5分に1度大きく振れる。例えば,2マイクロシーベルト毎時であった数字が,突然2.8マイクロシーベルト毎時となる。その後,2.8マイクロシーベルト毎時から1.9マイクロシーベルト毎時に降下する。これは,高線量2.8マイクロシーベルト毎時を計測したときに,放射性セシウム等の放射性物質の核分裂が起こったものと推測される。また,次の計測時に1.9マイクロシーベルト毎時となるのは,放射性物質の核分裂が終息したことを意味すると考えられる。このような,放射性物質の核分裂が,1時間内に数十回も繰り返されれば,農作物は核分裂の起こす振動により,その根に活性化エネルギーの影響を受けるものと思量される。特に,地中浅くにある農作物の細根は,果実を充実させ,花を大きく咲かせ,葉を大きく厚くさせるための重要な役割をもつ。この細根は,微振動のもたらす内的エネルギーと,施肥という外的栄養素のバランスが取れたときに,農作物を大いに成長させる。このため,放射性物質の核分裂による微振動は,農作物の繁茂を促すものであると考えられる。
そこで,本発明の第1の側面は,上記放射性物質の性質を利用した農作物の育成方法に関するものである。本発明の育成方法は,農作物が栽培されている土壌の地中に,放射性物質を含有する土が収容された装置1を埋設することにより,農作物の成育を促進させる。
装置1には,放射性物質を含有する繭玉を,さらに収容することとしてもよい。
繭玉は,その内部にゼオライト等を封入することにより,水田や果樹畑に存在する放射性物質の除去に利用できる。この放射性物質の除去に利用された繭玉は,発酵液を用いて分解し浄化土壌とすることが好ましいが,繭玉が浄化土壌となるまでには時間が掛かる。そこで,放射性物質を含有する土と共に繭玉を装置1内に収容して,農作物の成育方法に利用することで,放射性物質を含む使用済みの繭玉を有効に再活用できる。
装置1は,土壌の地表面から50cm〜100cmの深さの地中に埋設されることが好ましい。
装置1を,土壌の地表面から50cm〜100cmの深さに埋設することで,装置1は,基本的に,農作物の根より深い地中に位置にするようになる。このため,装置1内の放射性物質含土から放出される放射線により,農作物の根に対して活性化エネルギーを効率的に付与できる。また,装置1が地中浅くに配置されると,放射性物質含土から放出される放射線が,農作業者の身体に悪影響を与えることが懸念される。このため,装置1は,少なくとも地表面から50cm深さに埋設されることが好ましい。
本発明の育成方法において,農作物が栽培される土壌の放射線量は0.5マイクロシーベルト毎時以下であり,放射性物質を含有する土の放射線量は1マイクロシーベルト毎時以上1.5マイクロシーベルト毎時以下であることが好ましい。
本発明の第2の側面は,上記第1の側面に係る育成方法において使用される農作物の育成装置に関するものである。
本発明の育成装置1は,基本的に,容器本体10と,内蓋20と,外蓋30を備える。
容器本体10は,放射性物質を含有する土11が収容されるものであり,上部が開口している。
内蓋20は,容器本体10の上部に取り付けられるものであり,複数の放射線放出孔21を有している。
外蓋30は,内蓋20の上部に取り付けられ,上方に向かって所定角度傾斜して突起した通気管31を有している。
このような構成を有する育成装置1は,外蓋30を上方とし容器本体10を下方として,農作物が栽培されている土壌の地中に埋設して使用される。
放射性物質含有土11は,上記構成を有する育成装置1によって厳重に管理される。すなわち,容器本体10の開口を閉鎖する内蓋20に放射線を放出するための微細孔(放射線放出孔21)を形成することで,農作物に放射線の影響を適度に与えて,成長を促進することができる。他方,この放射線放出孔21を通して,農作物を栽培するための土壌と放射性物質含有土が混合してしまうことを防止するために,外蓋30を設け,この外蓋30に通気管31を設ける。通気管31は,上方に向かって所定角度傾斜して突起したものであるため,外蓋30の上に土壌を盛ったときでも,容器本体10内に,土壌が落下することを防止できる。これにより,農作物を栽培するための土壌と放射性物質含有土11の混合を防止し,農作物に放射性物質が付着しないよう,放射性物質含有土11を管理できる。
本発明は,放射性物質を含む土を利用して,農作物の成育を促進するものである。このため,本発明によれば,従来除去の対象とされていた放射性物質を含む土の有効な活用法を提供できる。
図1は,本発明に係る育成装置の構成を示す概念図である。図1(a)は,育成装置の具体的構成を示す断面図であり,図1(b)は育成装置1に収容される繭玉の具体的構成を示す断面図である。 図2は,農作物が栽培されている土壌の地中に,育成装置を埋設した状態を概念的に示す側面図である。
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
なお,本願明細書において,「A〜B」とは,「A以上B」であることを意味する。
本発明の農作物の育成方法には,一又は複数の育成装置1が用いられる。
図1(a)は育成装置1の具体的構成を示す断面図であり,図1(b)は育成装置1に収容される繭玉12の具体的構成を示す断面図である。また,図2は,農作物2が栽培されている土壌3の地中に,放射性物質含有土11及び繭玉12が収容された育成装置1を埋設した状態を概念的に示す側面図である。
図1(a)に示されるように,まず,育成装置1は,容器本体10を有する。容器本体10は,底部と,底部の周囲に立設した側部を有し,上部が開口した構造となっている。容器本体10は,上部の開口部を通じて放射性物質含有土11が収容される。容器本体10は,放射性物質含有土11が,農作物2を栽培するための土壌3と混合しないように,両者を分離して管理することができるものであればよく,例えばプラスチック容器であってもよいし,一面に微細孔が形成された堅いチューブを用いることとしてもよい。また,容器本体10は,放射線を遮蔽可能な鉛製や,鉄製,コンクリート製で形成することとしてもよい。容器本体10を例えば鉛製とすることにより,放射性物質含有土11から放出される放射線のエネルギーを,農作物にのみに対して効率良く付与することができ,容器本体10の周囲に存在する生物に対して与える影響を低減できる。容器本体10の横幅と奥行は,作物を栽培する畑の面積に応じて適宜調節することができる。また,容器本体10の高さ(深さ)は,例えば,深さが5cm〜50cm,又は10cm〜30cm程度とすることが好ましい。
容器本体10内には,放射性物質含有土11が収容される。放射性物質含有土11に含まれる放射性物質は特に限定されないが,放射性物質の例としては,放射性のセシウム(セシウム137等)や,ヨウ素(ヨウ素131等),ウラン(ウラン232等),プルトニウム(プルトニウム238等),トリウム(トリウム232等),及び重水素を挙げることができる。放射性物質含有土11は,容器本体10の容量に対して50%〜100%,又は70%〜90%程度収容されることが好ましい。放射性物質含有土11の線量当量(1cm線量当量:地表から10mm地点での測定値)は,1マイクロシーベルト毎時〜3マイクロシーベルト毎時,又は1.5マイクロシーベルト毎時〜2マイクロシーベルト毎時であることが好適である。放射性物質を含む土自体は,通常の手法で採取可能な土壌を用いることができ,放射線物質の他に,無機物(一次鉱物)や,コロイド状の無機物(粘土鉱物或いは二次鉱物),粗大有機物,粗大有機物が変質して生じた有機物(腐植)などを含むものであってもよい。
また,図1(a)に示されるように,容器本体10内には,放射性物質含有土11と共に,放射性物質を含む繭玉12(使用済み繭玉)を収容することとしてもよい。
使用済み繭玉12は,水田や果樹畑における放射性物質の除去に用いられたものである。例えば,複数の繭玉12を篭の中に収納し,この篭を,水田の水流入口にフィルタとして取り付けておけば,水に放射性物質が含有される場合,その放射性物質を繭玉12によって除去できる。また,例えば,果樹畑の地表面に複数の繭玉12を散布しておけば,果樹畑の地表に存在する放射性物質を繭玉12によって除去できる。このようにして,放射性物質の除去に用いられた使用済みの繭玉12は,農作物の育成装置1の容器本体10内に収容され,農作物の成長を促進するための用途として,再活用されることが好ましい。例えば,繭玉12は,容器本体10の容量に対して10%〜50%,又は20%〜30%程度収容されることが好ましい。
さらに付言すると,図1(b)に示されるように,放射性物質を除去する際の繭玉12には,その内部に,ゼオライト12aが封入されたものであることが好ましい。ゼオライ12aは,汚染物質の除去効果を有するものの,そのまま散布すると,水田や果樹畑をドロドロした状態に変えてしまう。そこで,ゼオライト12aを繭玉12内に収容することで,繭玉12とともにゼオライト12aを回収し易くなる。ゼオライトは,公知の物質である。ゼオライトの例は,X型ゼオライト,Y型ゼオライト,モルデナイト,ZSM型ゼオライト等の合成ゼオライトや天然ゼオライトが使用できる。さらに,繭玉12内には,コンポスト12b及び粘土12cをさらに封入することが好ましい。コンポスト12bには,田畑の育成に好ましい微生物が多数含まれるため,繭玉12の分解が促進される。また,コンポスト12bにより繭玉12が分解されると,繭玉12に含まれるゼオライト12aが放射性物質含有土11に溶出し,溶出したゼオライト12aが放射性物質含有土11に含有された放射性物質の除染を促進することも期待できる。さらに,繭玉12内に粘土を封入することにより,ゼオライト12aが,農作物2を栽培するための土壌3に溶出することを防止できる。
このような繭玉12を製造するためには,まず,天然の蚕の繭玉の一部を切り出して,さなぎを取り出す。その後,切り出した部分から,内容物(例えば,ゼオライト12a,コンポスト12b,及び粘土12c)を入れる。その後,切り出した繭の一部で蓋をする。蓋をした繭を1日から10日(例えば5日)の間,発酵液(又は発酵液と柿酢液)に漬ける。このようにすれば,上記した繭玉12を製造できる。
なお,容器本体10内には,放射性物質含有土11や,使用済みの繭玉12と共に,使用済みのシルクフィルタを収容することとしてもよい。使用済みシルクフィルタは,使用済み繭玉12と同様に,例えば水田の水流入口に取り付けられて,水流に含まれる放射性物質の除去に利用されたものである。シルクフィルタは,天然絹又は人口絹をろ過用の繊維として含むフィルタである。シルクフィルタの例は,絹の塊,繭をある程度伸ばした状態のもの,又はシルクけばを,ろ過用繊維として含むものである。このような,放射性物質の除去に利用された使用済みのシルクフィルタも,農作物の育成装置1の容器本体10内に収容され,農作物の成長を促進するための用途として再活用されることが好ましい。
容器本体10の上部には,内蓋20が取り付けられる。容器本体10の開口は,内蓋20によって塞がれる。図1(a)に示されるように,内蓋20には,複数の微細孔(放射線放出孔21)が穿設されている。放射線放出孔21は,図1(a)に示されるように,上下垂直に形成されたものであることが好ましく,その直径は,1mm〜5mm,又は2mm〜3mm程度で形成されることが好ましい。内蓋20は,容器本体10に収容された放射性物質含有土11や繭玉12から放出される放射線を透過する素材により形成されることが好ましく,例えばプラスチック製とすればよい。
内蓋20の上部には,さらに外蓋30が取り付けられる。外蓋30は,内蓋20と共に,農作物2を栽培するための土壌3が放射性物質含有土11と混合することを防ぐ。特に,外蓋30は,内蓋20に設けられた放射線放出孔21を介して,上記土壌3が容器本体10内部に落下するような事態や,農作物2の細根が容器本体10内に侵入する事態を防止する。このため,外蓋30には,上方に向かって所定角度傾斜して突起した複数の通気管31が設けられていることが好ましい。通気管31は,管状に形成されており,容器本体10の通気性を保つことができる。また,通気管31は,容器本体10の上下の垂直方向に対し,例えば所定角度θだけ傾斜している。所定角度θは,例えば20度〜70度,30度〜60度,40度〜50度,又は45度であることが好ましい。さらに,通気管31は,上端の通気口31aが,下端に通気口31bよりも幅広となる形状であることが好ましい。例えば,上端の通気口31aを球形又は楕円球形として,通気孔を広げれば良い。このように,通気管31を傾斜して突起させ,かつ上端の通気口31aを幅広とすることにより,土壌3が容器本体10内に落下する事態を確実に防止できる。外蓋30も,内蓋20と同様に,容器本体10に収容された放射性物質含有土11や繭玉12から放出される放射線を透過する素材により形成することが好ましく,例えばプラスチック製とすればよい。
また,図1(a)に示されるように,内蓋20と外蓋30の間には,若干の空隙を設けることが好ましい。例えば,内蓋20と外蓋30の間の空隙は,1mm〜10mm,又は3mm〜5mmとすればよい。内蓋20と外蓋30の間に空隙を設けるためには,外蓋30が内蓋20に嵌合される位置を調節することもできるし,外蓋30と内蓋20の間に部分的にスペーサーを配置することもできる。
図2は,上記構成を有する育成装置1を,農作物2が栽培されている土壌3の地中に埋設した状態を示している。図2に示されるように,育成装置1は,土壌3の地表面から深さD1の位置に,外蓋30を上方とし容器本体10を下方として埋設される。なお,深さD1は,土壌3の地表面から外蓋30の通気管31までの距離を示している。例えば,深さD1は,30cm〜150cmであることが好ましく,特に50cm〜100cmであることが好ましい。さらに,育成装置1は,農作物2の根に対して,所定距離D2離間した位置に埋設されるものであることが好ましい。例えば,所定距離D2は,土壌3に育成装置1を埋設しその直上に農作物2を植えるときに,育成装置1が,農作物2の根のうちの最も地中深くまで伸びている根の位置に対して,20cm〜100cm,又は30cm〜50cm離間するものであることが好ましい。このように,育成装置1を,D1かつD2の位置に埋設することで,効率的に,農作物2(特に農作物2の根)に対し放射線による活性化エネルギーを付与しつつ,農作物2の根が育成装置1内に侵入するような事態を防止できる。
図2に示す例においては,一の育成装置1を,土壌3の地中に埋設している。このような場合,一の育成措置1は,農作物2を栽培する畑の面積に応じて,横幅及び奥行を設定することができる。また,土壌3の地中には,複数の育成装置1を埋設することとしてもよい。この場合は,所定の横幅及び奥行を有する育成装置1を,農作物2を栽培する畑の面積に応じて,複数個並べて埋設すればよい。
続いて,本発明の実施例について説明する。ただし,本発明は,以下の実施例に限定されるものではない。
実施例とした農作物は,果樹では,ブルーベリー,渋柿,及びスイカであり,野菜では,小松菜,さつま芋,及びトマトである。本発明の実施を行うにあたり,高放射性セシウム(特にセシウム137)を含有する8.99マイクロシーベルト毎時の汚染土(徐染使用済マユ玉とシルクフィルタを含む土)を育成装置に収容した。育成装置は,基本的に,畑土壌下50cmの地点に埋蔵し,この育成装置を埋蔵していない対照区と比較した。放射性セシウムのマイクロシーベルト毎時は,育成装置埋蔵区のものと対照区のものを,それぞれ地表面から10mmの位置で計測した。また,育成装置埋蔵区において栽培された農作物一個あたりの放射能量(ベクレル)と,対照区において栽培された農作物一個あたりの放射能量(ベクレル)をそれぞれ測定した。その結果をまとめて,以下の表1に示す。
Figure 2013212083
1.ブルーベリー
ブルーベリーの品種はサンシャインブルーを用いた。放射性セシウム含有物質を収容した育成装置を3月下旬に畑に埋蔵した。花の開花は4月上旬であり,実の収穫は7月下旬であった。対照区と比較してみると,枝の繁りと葉の色,及び花の色が良かった。実の色は黒紫でつやがあり,大きさも対照区のものと比較し1.3〜1.5倍に達した。収穫時期は対照区と同じ7月下旬とした。ブルーベリーは,完熟すると果実が落下しやすくなり,完熟果は強風でも落果する。しかし,育成装置埋蔵区のブルーベリーの果実は,殆んど落果がなく,収穫時にこぼれ落ちることがなかった。収量は,対照区のものに比べると約1.8倍の目方増であった。施肥は,対照区と同様に,なたね油粕,発酵液(土着菌も含む)と柿酢(カリウムを含む)であり,特に,柿酢を50倍に希釈し,1本当り10リットルを散布した。カリウム分が不足すると植物はカリウムと同じ分子構造のセシウムを吸収するから,少セシウム果実を得るために,常に多くの自然由来のカリウムを多めに施用することとした。
2.渋柿
渋柿の品種は,アンポ柿の原料となる1個250〜400gの蜂屋柿を用いた。この柿は浅根(地下10cm位まで)で,しかも果実を育てる機能を持つ細根が浅い地下に集中する。放射性セシウム含有物質を収容した育成装置は,地下50cmの所に埋蔵した。施肥は,米ヌカ,油粕,発酵液,柿酢とした。育成装置は,蜂屋柿畑に4月中旬に埋蔵した。花の開花は6月中旬であり,収穫は11月初旬とした。育成装置埋蔵区のものは,対照区のものと比較すると,重量は1.5倍で大玉(300〜400g)のものが多く,果実色も赤橙,落果が極めて少なかった。育成装置埋蔵区においては,2012年2月中旬でも取り残しの果実が木になっており,このような現象は従来見られないものであった。柿の木に放射性セシウムの核分裂により微動を与えれば,柿の木はこのように活性化し,よりエネルギッシュになると考えられる。
3.小松菜
小松菜の品種は楽天を用いた。小松菜は播種後3カ月で収穫できる。畝の下(地下50cm)に放射性セシウム含有物質を収容した育成装置を埋蔵した。畑にはコンポスト,発酵液,及び柿酢を施用した。育成装置埋蔵区のものは,対照区のものと比べてみると,葉の緑が濃く,茎が太く,葉が大きく肉厚で食べればやわらかいものであった。育成装置埋蔵区において茎の本数は13本と多く,対照区のものは8本であった。収穫は2〜3ヶ月で出来た。
4.さつま芋
さつま芋の品種は安納3号を用いた。6月10日に定植し,10月1日に収穫した。畝下70cmの処に放射性セシウム含有物質を収容した育成装置を埋蔵した。施肥は,油粕,米ヌカ,コンポスト,発酵液,柿酢を4月にすませ,育成装置の埋蔵はこれと同時期に終了した。対照区と比べてみると,育成装置埋蔵区では1本当りの収量は平均1kgであるのに対し,対照区では700gであった。また,育成装置埋蔵区では芋の大きさも揃っていた。食味は,対照区と同じであった。
5.トマト
トマトの品種はサントリーのシュガーレディを用いた。トマトは浅根であるが,根張りが良く1m先までも伸びる。放射性セシウム含有物質を収容した育成装置は,畝下70cmとした。育成装置埋蔵区では,ミニトマトが1房に30〜50粒もなり,実は25g平均であった。また,着色が真っ赤で糖度も高いものでは12度にも達した。一方,対照区のトマト糖度は最高で8度であった。このように,育成装置埋蔵区のトマトは,対照区のものと比べ,格段に優れているものであった。完熟ミニトマトは,手を触れるとガクを残したまま落下するのが生産現場の悩みであった。これを解決するために種苗会社は,糖度が少なくても赤いミニトマトの種を売り出している。結果,トマトのガクは落ちないが,実が固く美味な食感は得られない。放射性セシウム含有物質を利活用すれば,甘くてガクの落ちないミニトマトが得られることがわかった。ただし,ミニトマトの細根からセシウムを吸収させないために,50倍に希釈した天然由来の柿酢を10日に1度の割合で施した。これにより,セシウムの吸収を防止し,セシウムが核分裂する際に発生する微振動だけを活用できる。
6.スイカ
スイカの品種は自家採取(平成元年から)の大玉黒皮スイカであり,商標名ダンディブラック(登録商標)を用いた。セシウム含有のマユ玉と汚染土壌を育成装置に収容し,この育成装置を畝下70cmの所に埋蔵した。育成装置埋蔵の時期は,施肥の時と同じく4月上旬とした。スイカは,カリウムを多く吸収し,果実を充実させる。そのため,カリウムが少しでも不足すれば,セシウムを吸収したがる。そこで,柿酢50倍希釈品をスイカ1本につき20リットル施用し,苗移植1ヶ月前に土づくりをした。スイカの収穫は,7〜9月とした。対照区と比較すると,育成装置埋蔵区のスイカは糖度が14度にも達するというものがあった。なお,スイカは人工的に摘果して玉数(1〜2玉)を決めるので多収ということはない。
7.まとめ
上記実施例や表1に示される通り,育成装置埋蔵区のシーベルト毎時は,対照区のシーベルト毎時に比べて約2倍前後高いが,果実などの収穫物のベクレルを比較するとほとんど変化がない。これは,放射性セシウムが農作物の根からも,幹,枝,葉からも吸収されていないことを意味する。放射性セシウムを多く含んだ使用済マユ玉とシルクフィルタと汚染土壌を利用する技術は,農業分野ではなかった。放射性セシウムを含む土を収容した育成装置を地下に埋蔵し,核分裂を起こす際に発する微動だけを利活用する。植物は,微動を根で感知し,己の生命体を更に活性化させるものと推測される。放射性セシウム汚染物質は,地下に厳重な装置によって管理され,植物の細根が忍び込まない深さに設置することが好ましい。これにより,放射性セシウムが農作物に吸収されることを防止しつつ,放射性セシウムから放出される放射線を活かして農作物の成育を促すことができる。
本発明は,農作物の育成方法及び農作物の育成装置に関する。このため,本発明は,農業産業において好適に利用し得る。
1 育成装置
2 農作物
3 土壌
10 容器本体
11 放射性物質含有土
12 繭玉
12a ゼオライト
12b コンポスト
12c 粘土
20 内蓋
21 放射線放出孔
30 外蓋
31 通気管

Claims (5)

  1. 農作物が栽培されている土壌の地中に,放射性物質を含有する土が収容された装置(1)を埋設して,前記農作物の成育を促進する
    農作物の育成方法。
  2. 前記装置(1)は,放射性物質を含有する繭玉を,さらに収容する
    請求項1に記載の育成方法。
  3. 前記装置(1)は,前記土壌の地表面から50cm〜100cmの深さの地中に埋設される
    請求項1に記載の育成方法。
  4. 前記農作物が栽培される土壌の放射線量は,0.5マイクロシーベルト毎時以下であり,
    前記放射性物質を含有する土の放射線量は,1マイクロシーベルト毎時以上1.5マイクロシーベルト毎時以下である
    請求項1に記載の育成方法。
  5. 放射性物質を含有する土(11)が収容され,上部が開口している容器本体(10)と,
    前記容器本体(10)の上部に取り付けられ,複数の放射線放出孔(21)を有する内蓋(20)と,
    前記内蓋(20)の上部に取り付けられ,上方に向かって所定角度傾斜して突起した通気管(31)を有する外蓋(30)と,を備え,
    前記外蓋(30)を上方とし前記容器本体(10)を下方として,農作物が栽培されている土壌の地中に埋設して使用される
    農作物の育成装置。
JP2012084384A 2012-04-02 2012-04-02 放射性物質を活用した農作物の育成方法及び農作物の育成装置 Expired - Fee Related JP5935210B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012084384A JP5935210B2 (ja) 2012-04-02 2012-04-02 放射性物質を活用した農作物の育成方法及び農作物の育成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012084384A JP5935210B2 (ja) 2012-04-02 2012-04-02 放射性物質を活用した農作物の育成方法及び農作物の育成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013212083A true JP2013212083A (ja) 2013-10-17
JP5935210B2 JP5935210B2 (ja) 2016-06-15

Family

ID=49585994

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012084384A Expired - Fee Related JP5935210B2 (ja) 2012-04-02 2012-04-02 放射性物質を活用した農作物の育成方法及び農作物の育成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5935210B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104521676A (zh) * 2015-02-03 2015-04-22 江苏省中国科学院植物研究所 南方地区家庭盆栽蓝莓的制作方法
JP2015142516A (ja) * 2014-01-31 2015-08-06 国立大学法人 岡山大学 放射性セシウムの植物移行抑制剤及びその製造方法、並びに植物の生長方法
JP2015149899A (ja) * 2014-02-10 2015-08-24 タチバナペーパーウェアー株式会社 生柿と干し柿の放射性物質濃度を低減させるための生産技術
CN104871906A (zh) * 2015-06-08 2015-09-02 象州县科学技术情报研究所 喀斯特石漠化山地柿子果的栽培方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105612899B (zh) * 2016-03-08 2018-07-13 江苏省农业科学院 一种甘薯田间肥料实验的替代方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55121633U (ja) * 1979-02-19 1980-08-29
JPH03275604A (ja) * 1990-03-26 1991-12-06 Sakata Ren 植物活力剤

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55121633U (ja) * 1979-02-19 1980-08-29
JPH03275604A (ja) * 1990-03-26 1991-12-06 Sakata Ren 植物活力剤

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015142516A (ja) * 2014-01-31 2015-08-06 国立大学法人 岡山大学 放射性セシウムの植物移行抑制剤及びその製造方法、並びに植物の生長方法
JP2015149899A (ja) * 2014-02-10 2015-08-24 タチバナペーパーウェアー株式会社 生柿と干し柿の放射性物質濃度を低減させるための生産技術
CN104521676A (zh) * 2015-02-03 2015-04-22 江苏省中国科学院植物研究所 南方地区家庭盆栽蓝莓的制作方法
CN104871906A (zh) * 2015-06-08 2015-09-02 象州县科学技术情报研究所 喀斯特石漠化山地柿子果的栽培方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5935210B2 (ja) 2016-06-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101461307B (zh) 茶树的种植方法
CN102823401A (zh) 铁皮石斛绑树栽培方法
JP5935210B2 (ja) 放射性物質を活用した農作物の育成方法及び農作物の育成装置
CN102318547A (zh) 霍山石斛试管苗的架空栽培方法
CN102726268A (zh) 一种有机石榴的栽培工艺
CN104303937A (zh) 猴樟一年生容器苗培育技术
CN104082007A (zh) 一种番荔枝扦插繁育方法
CN106613616A (zh) 绿茶的种植方法
CN104663404B (zh) 一种天麻育种方法
TWI475953B (zh) Ginseng cultivation method
CN106105629A (zh) 一种天麻的种植方法
CN106034931A (zh) 一种杂交构树的育苗方法
CN106134701A (zh) 一种天麻的种植方法
CN108243890A (zh) 一种贝母种植方法
CN105230424A (zh) 一种金银花的规范化种植方法
CN104756690A (zh) 免农药免化肥纯生态重楼高产种植技术
CN107135799A (zh) 一种绿色蔬菜的种植方法
CN102792831B (zh) 红豆杉高效快繁技术
CN106105617A (zh) 一种天麻的种植方法
CN108040787A (zh) 一种缩短出芽周期的重楼种植方法
CN106717740A (zh) 一种水稻种植方法
CN103503682B (zh) 一种旱冬瓜轻基质网袋育苗方法
CN109429876A (zh) 一种茶树种植方法
CN105009918B (zh) 一种防止玛咖品种退化的繁殖方法
CN107821340A (zh) 一种柑橘木虱的饲养装置及木虱饲养方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141027

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150918

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150929

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151120

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20151204

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160412

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160422

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5935210

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees