JP2013207206A - 有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ及びその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】画素外周部で発光層の膜厚が薄くなることを防いで、この部分に過大電流が流れることを防ぎ、発光特性と発光寿命に優れた有機ELディスプレイおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】基板2上に陽極3、有機発光媒体層5、陰極6をこの順に形成し、かつ、有機発光媒体層5が陽極側に正孔注入層7、その反対側に発光層9を備えている有機ELディスプレイにおいて、正孔注入層を少なくとも1種類以上の繰り返し構造を持つ高分子材料で構成し、画素内の短辺方向の膜厚プロファイルが、中央が厚く周辺部が薄くなる凸形状であって、その凸部頂点と底辺との高さの差が10〜30nmの範囲とし、他方、前記発光層は繰り返し構造を持たない低分子発光材料で構成する。正孔注入層の上の発光層の膜厚プロファイルが改善され、画素外周部で発光層の膜厚が薄くなることを避けることが可能となる。
【選択図】図3

Description

本発明は、有機薄膜のエレクトロルミネッセンス現象を利用した有機薄膜エレクトロルミネッセンスディスプレイ(以下、「有機ELディスプレイ」という)に関するものである。
有機ELディスプレイは、その面内に複数の有機EL素子を配列し、これら有機EL素子を画素として各別に駆動することによって画面表示するディスプレイである。そして、この有機ELディスプレイは、透明基板上に陽極層、有機発光媒体層、陰極層を順に積層した構造を有する自発光型素子である。そして、この有機ELディスプレイが、次世代パネルとして期待され実用化が進んでいる。
有機ELディスプレイの有機発光媒体層は、単層構造から構成される場合もあるが、一般には、複数の層を積層した多層構造を有している。例えば、陽極層側から順に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層を積層して構成される多層構造の有機発光媒体層である。
そして、有機発光媒体層を構成するこれら各層を形成する方法は、その材料に応じて異なり、蒸着法と湿式法の2つに大きく分類される。低分子材料を用いる場合は、抵抗加熱方式などの真空蒸着法が用いられる。正孔注入層に銅フタロシアニン、正孔輸送層にN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、発光層にトリス(8−キノリノール)アルミニウムを、それぞれ10〜100nm程度の厚みで積層した有機発光媒体層が典型的な例として挙げられる。これら低分子材料を用いる有機ELディスプレイの製造のためには、複数の蒸着釜を連結した真空蒸着装置を必要とし、生産性が低く製造コストが高いなどの問題点があった。
これに対し、有機発光媒体層を構成するこれら各層の材料としてデンドリマー材料や高分子材料を用いる場合は、材料を溶液化できるので湿式法が用いられる。前述の低分子材料を用いた有機ELディスプレイと比較して、大気圧下での製膜が可能であり、生産性が高く製造コストが安いという利点がある。
湿式法を適用した製造方法においては、インクジェット法やノズルプリント法等が挙げられ、例えば、特許文献1に説明されている。また、インクジェット法やノズルプリント法を適用する場合の他に、活版印刷やスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷等の種々の印刷技術を適用した製造方法も提案されている。(例えば、特許文献2参照)
インクジェット法やノズルプリント法などの湿式法を適用し、発光層には低分子発光材料を用いて作製した有機発光媒体層の断面の膜形状を図1に示す。各表示画素間の境界領域に突出して設けられた隔壁表面の特性(撥液性)や、有機材料からなる塗布液の溶媒成分に起因する表面張力や粘度、塗布液を塗布した後の乾燥方法等に起因して、隔壁4の側面に沿って塗布液の「這い上がり現象」が起こる。この現象により画素外周部で発光層9の膜厚が薄くなる。
特開2001−76881号公報 特開2001−155858号公報
画素外周部で発光層の膜厚が薄くなることにより発光層の膜厚が薄い領域に過大な発光駆動電流が流れることになるため、発光が強くなり、画素外周部の発光層の劣化が激しく、有機ELディスプレイの発効効率低下や発光寿命を縮める一因となる。
そこで、本発明は上述した問題点を鑑み、画素外周部の発光を緩和し、発光特性に優れた有機ELディスプレイおよびその製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、請求項1の発明は、基板上に第1電極、有機発光媒体層及び第2電極をこの順に形成して構成され、前記有機発光媒体層を画素ごとに駆動して画面表示する有機ELディスプレイであって、前記有機発光媒体層が多層構造を有しており、かつ、前記有機発光媒体層が前記第1電極側に正孔注入層を備え、その反対側に発光層を備えている有機ELディスプレイにおいて、
前記正孔注入層は、少なくとも1種類以上の繰り返し構造を持つ高分子材料で構成されており、画素内の短辺方向の膜厚プロファイルが、中央が厚く周辺部が薄くなる凸形状であって、その凸部頂点と底辺との高さの差が10〜30nmの範囲であり、
前記発光層は繰り返し構造を持たない低分子発光材料で構成されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。
また、請求項2の発明は、前記正孔注入層と発光層とをノズルプリント法で形成することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの製造方法である。
本発明によれば、正孔注入層の短辺方向の膜厚プロファイルが、中央が厚く周辺部が薄くなる凸形状であるから、このような形状の正孔注入層の上に湿式法で形成される発光層は、その短辺方向の膜厚プロファイルが従来に比較して改善され、画素外周部で発光層の膜厚が薄くなることを避けることができる。そして、このため、画素外周部に過大な発光駆動電流が流れることを防いで、有機ELディスプレイの発光寿命を延ばすことが可能となる。
ところで、後述する比較例1から分かるように、正孔注入層の凸部頂点と底辺との高さの差が大きくなると、この上に設けられた発光層が正孔注入層の表面形状に追従できなくなって発光層の膜厚が不均一となり、反って発光層膜厚が薄くなる領域で過大な電流が流れ、発光特性や発光寿命の低下を引き起こすことがある。しかしながら、本発明においてはその差を10〜30nmの範囲としているから、その差に起因する発効効率の低下も生じない。
なお、本発明に係る正孔注入層は、少なくとも1種類以上の繰り返し構造を持つ高分子材料で構成されているから、正孔注入層を前述のような膜厚プロファイルに形成することが容易である。他方、発光層は繰り返し構造を持たない低分子発光材料で構成されているから、湿式法で形成した場合、その塗布膜が正孔注入層の膜厚プロファイルの影響を受け易くなり、その膜厚プロファイルを均一化して、画素外周部で薄くなることを避けることが容易である。
従来技術における有機ELディスプレイの有機発光媒体層の断面を示す概略図 本発明の実施形態における有機ELディスプレイの断面を示す概略図 本発明の実施形態における正孔注入層の膜厚プロファイル(膜形状)を示す概略図 本発明の実施形態におけるノズル塗工装置を示す概略図
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(有機ELディスプレイの説明)
図2は、有機ELディスプレイの断面を示す模式図である。本実施形態による有機ELディスプレイ1は、透明性基板2と、その透明性基板2の一方の面上にライン状に複数形成された第1電極すなわち陽極3(画素電極の層)と、各陽極3の間を区画する隔壁4と、陽極3上に積層された有機発光媒体層5と、有機発光媒体層5上に積層されて陽極3と対向配置された第2極すなわち陰極6(対向電極層)とを備えている。
上記透明性基板2は、陽極3や有機発光媒体層5、陰極6を支持する基板であって、ガラス基板やプラスチック製のフィルムまたはシートによって構成されている。プラスチック製のフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートを用いることができる。なお、透明性基板2の陽極3が形成されない他方の面(図1では下面)に、セラミック蒸着フィルムやポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物などの他のガスバリア性フィルムを積層してもよい。
透光性基板2の上には、ライン状にパターニングされた陽極3が設けられる。陽極3の材料としては、ITO(インジウム錫複合酸化物)、IZO(インジウム亜鉛複合酸化物)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アルミニウム複合酸化物等の透明電極材料等が使用できる。
なお、低抵抗であること、耐溶剤性があること、透明性があることなどからITOを用いることが好ましい。ITOはスパッタ法により透光性基板2上に形成されて、フォトリソグラフィ法によりパターニングされライン状の陽極3とすることができる。
次に、隔壁4の材質としては、感光性材料を使用することができる。隔壁を形成する感光性材料としてはポジ型レジスト、ネガ型レジストのどちらであってもよいが、絶縁性を備えている必要がある。隔壁が十分な絶縁性がない場合には隔壁を通じて隣り合う陽極3に電流が流れてしまい表示不良が発生してしまう。具体的にはポリイミド系、アクリル樹脂系、ノボラック樹脂系、フルオレン系といったものが挙げられるがこれに限定するものではない。また、有機ELディスプレイの表示品位を上げる目的で、光遮光性の材料を感光性材料に含有させても良い。また、隔壁材料に含フッ素化合物や含ケイ素化合物等の撥液剤を適量添加することで、適度な撥液性を持たせることができる。なお、隔壁4の厚みは0.5〜5.0μmにあることが望ましい。
図2に示した具体例では、有機発光媒体層5は、正孔注入層7、正孔輸送層8、有機発光層9、3層を含む多層構造を有するものである。また、それら構成層7〜9の各層の厚さは任意であるが、10〜100nmの範囲であればよく、10〜80nmであることがより好ましい。尚、本発明に係る有機ELディスプレイの有機発光媒体層5の構成は、正孔注入層と発光層に加えて、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層といった層を必要に応じて積層した多層構造をとることができる。
ところで、この正孔注入層7は、画素内の短辺方向の膜厚プロファイルが、中央が厚く周辺部が薄くなる凸形状を有するように形成する必要がある。正孔注入層7の画素内の膜
厚プロファイルを凸形状にすることで、上層である正孔輸送層8、発光層9の膜形状も凸形状に追従し、結果として発光層9の膜厚が均一化される。よって、画素内の外周部に集中していた過大な電流を分散することができる。
ここで、画素は本発明に係る有機ELディスプレイを駆動する際の最小単位のことで、この実施形態においては、ライン状陽極3とライン状陰極6とが交差する位置にあって、隔壁4から表示画面に露出した部分である。そして、この実施形態においては、画素内の短辺は隔壁4と隔壁4との間を結ぶ線で表現できる。
また、膜厚プロファイルとは、接触式膜厚計で画素の片側の端部から隣の画素の同じ側の端部までの距離(画素ピッチ)を測定した膜形状のことである。図3は正孔注入層の膜厚プロファイルを示す概略図である。「正孔注入層が凸形状」とは、正孔注入層7の表面のうち、正孔輸送層7に接する表面の中央部が正孔輸送層8側に盛り上がった形状であることを意味する。その画素内の膜厚プロファイルにおいて、凸形状の頂点と底辺との高さの差が10〜30nmであればよい。30nm以上であると、この上に設けられた発光層が正孔注入層の表面形状に追従できなくなって発光層9の膜厚が不均一となり、発光層9の膜厚が薄くなる領域で過大な電流が流れ、発光特性や発光寿命の低下を引き起こすことがある。
このような膜厚プロファイルを有する正孔注入層7を形成するためには、例えば、前記隔壁4を正孔注入層7用インクを撥液する撥液性の材料で構成し、正孔注入層7を塗布したときに、その塗布膜を撥液するようにすればよい。また、正孔注入層7を塗布する際の塗布液の粘度、乾燥工程、あるいは隔壁4の形状や寸法によって、正孔注入層7の高さを調整することができる。また、正孔注入層7を構成する材料として、少なくとも1種類以上の繰り返し構造を持つ高分子材料を使用することにより、このような膜厚プロファイルの正孔注入層7を形成することが容易となる。
本発明においては、正孔注入層7を構成する材料として、少なくとも1種類以上の繰り返し構造を持つ高分子材料を使用するが、このような材料としては、発光効率の点から体積抵抗率が1×10Ω・cm以下のものが好ましく使用できる。前述のように正孔注入層7は中央が厚く周辺部が薄くなる凸形状に構成されるが、このような膜厚プロファイルであっても、その材料が体積抵抗率1×10Ω・cm以下である場合には、得られる正孔注入層7は発光層と比較して導電率が高いため、膜厚が薄くなる領域で過大な電流が流れるというようなことがなく、発光特性や発光寿命に与える影響は少ない。
正孔注入層7用のこのような材料は、例えばポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリアニリン、ポリチオフェンオリゴマー材料、その他の既知の正孔注入材料の中から選ぶことができる。
正孔輸送層8は、陽極3から注入された正孔を陰極6の方向へ進め、正孔を通しながらも電子が陽極3の方向へ進行することを防止する機能を有している。
正孔輸送層8に用いられる正孔輸送材料は例えば、銅フタロシアニン、テトラ(t−ブチル)銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類及び無金属フタロシアニン類、キナクリドン化合物、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン系低分子正孔注入輸送材料や、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物などの高分子正孔輸送材料、ポリチオフェンオリゴマー材料、CuO,Cr,Mn,FeO(x〜0.1),NiO,CoO,Pr,AgO,MoO,Bi,ZnO,TiO,SnO,ThO,V,Nb,Ta,MoO,WO,MnOなどの無機材料、その他既存の正孔輸送材料の中から選ぶことができる。
発光層9は、電圧を印加することによって赤色、緑色または青色のいずれかの色に発光する機能性材料の層である。前記発光層9に用いられる有機発光材料は、繰り返し構造を持たない低分子発光材料である必要がある。本発明においては、発光層9がこのような低分子発光材料で構成されているから、この発光層9を湿式法で形成した場合には、高分子材料を使用した場合と異なり、ノズル塗工後のインク乾燥時に粘度変化が起こらないため、インク溶媒が支配的となり、画素内の発光層の膜厚プロファイルは下層の膜厚プロファイルの影響を受け易くなる。そして、このため、その膜厚プロファイルを均一化して、画素外周部で薄くなることを避けることが容易である。
発光層9を構成するこのような材料としては、例えば、9,10−ジアリールアントラセン誘導体、ピレン、コロネン、ペリレン、ルブレン、1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン、トリス(8−キノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノラート)アルミニウム錯体、ビス(8−キノラート)亜鉛錯体、トリス(4−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−5−シアノ−8−キノラート)アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8−キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス[8−(パラ−トシル)アミノキノリン]亜鉛錯体及びカドミウム錯体、1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエン、ポリ−2,5−ジヘプチルオキシ−パラ−フェニレンビニレンなどが使用できる。
上記陰極6は、陽極3のラインパターンと直交するラインパターンで形成する。陰極6の材料としては、発光層の発光特性に応じたものを使用でき、例えば、リチウム、マグネシウム、カルシウム、イッテルビウム、アルミニウムなどの金属単体などが挙げられる。また、これら金属単体と金、銀などの安定な金属との合金などが挙げられる。また、インジウム、亜鉛、錫などの導電性酸化物を用いることもできる。陰極6は通常の抵抗加熱、EB加熱などの真空蒸着やスパッタリング法などによって形成される。
(製造方法の説明)
次に、以上のような構成の有機ELディスプレイ1の製造方法を説明する。
まず、透光性基板2上に第1の電極である陽極3を形成する。これは、透光性基板2上の全面にスパッタリング法を用いて透明電極材料の膜を形成し、さらにフォトリソグラフィ技術による露光、現像を行って、陽極3として残存させる要部をフォトレジストで被覆すると共に、不要部を塩化第二鉄溶液でエッチングして透明電極材料の膜を除去する。このようにして、所定の間隔をあけて配置されたライン状の陽極3が形成される。
次に、各陽極3の間に隔壁4を形成する。これは、透光性基板2あるいは陽極3上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィ技術による露光、現像を行って、各陽極3の間にフォトレジストを残存させる。その後、ベーキングを行うことでフォトレジストを硬化させる。
その後、陽極3上に有機発光媒体層5を形成する。有機発光媒体層5を構成する各層を形成する方法としては、これら各層を構成するこのような材料を溶媒に溶解又は分散してインクとし、このインクを塗布する湿式法が好ましく使用できる。中でも、正孔注入層と
発光層はノズルプリント法により形成されることが好ましい。
図4はノズルプリント法に使用するノズル塗工装置12を示す概略図である。このノズル塗工装置12は、インク供給タンク13に入っている上述のインク14が、インク供給チューブ15を通ってノズルヘッド16へと供給される。インク供給タンク13を加圧17することでインク14をノズルヘッド16へ流すことができる。インク供給タンク13とノズルの間には吐出されるインクの量を制御する流量制御弁18、ノズルヘッド16に流れるインク流量を測定するための流量計19を備えている。
そして、ノズルヘッド16の吐出口から供給されたインク14を吐出させ、透光性基板2に塗膜を形成する。ストライプ状のR(Red)又はG(Green)又はB(Blue)の隔壁4で区切られた画素形成領域に連続的にインク14を塗布し、画素となる塗膜を形成する。
ノズルから吐出されるインクはインク乾燥によるノズル詰まりや飛行曲がりを考慮すると連続して吐出し続ける方が好ましい。そのため、吐出したくない部分等をマスキングしたりダミーパターンを設けたりすることがあるが、パネルとして問題なければどのような方法をとっても構わない。
前記インクの溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、アニソール、メチルアニソール、パラシメン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、水、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの単独溶媒又はこれらの混合溶媒を用いることができる。なお、撥液性の隔壁を利用した場合には、インク中の溶剤の材質に応じて、得られる正孔注入層7の膜厚プロファイルが異なる結果になる。すなわち、後述する実施例及び比較例1,2から分かるように、トルエンを使用した場合は正孔注入層7の凸形状の頂点と底辺の膜厚差が大きく、アニソールを使用した場合は小さい。また、テトラリン使用した場合には膜厚プロファイルは凹形状になる。
なお、このほか、このインクには必要に応じて界面活性剤や酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤などを添加してもよい。ここで、粘度調整剤としては、例えばポリスチレン、ポリビニルカルバゾールなどを用いることができる。
なお、これら各層を形成するインク中に含まれる材料の濃度は、0.05重量%以上10.0重量%以下の範囲であればよく、1.0重量%以上5.0重量%以下であることが好ましい。インクの濃度が高すぎると、インクがゲル化したり、インクの固形分成分が沈殿したりすることがあるためである。
次に、陰極6は、陽極3のラインパターンと直交するパターンで抵抗加熱蒸着法などの蒸着法によって蒸着して形成する。最後に、これら陽極3、有機発光媒体層5及び陰極6を空気中の酸素や水分から保護するために樹脂層10を充填し、封止基板11で被覆、封止して有機ELディスプレイ1を製造する。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を説明する。
「実施例1」
図2に示すように、透光性基板2として厚さが0.7mm、3インチサイズのガラスを用い、幅70μm、スペース60μmのライン状に陽極3を形成した。次に、陽極3を形
成した透光性基板上2にポリイミド系のレジストをスピンコートし、フォトリソグラフィ法による現像後に、約150℃、60分間のベーキングを行うことによって陽極3の間にストライプパターンを有する隔壁4を形成した。また、隔壁4は、透光性基板2と接触する下端の幅が30μm、上端の幅が5μm、高さが2.5μmであり、断面はほぼ台形状となっている。隔壁4は、撥液性を有している。次に、正孔注入層7は、正孔注入材料としてポリ(p−フェニレンビニレン)及びポリアニリンから成る混合物を用いてこれをアニソールに分散させて濃度を3.0重量%とした分散液をノズルプリント法で塗布し、これを乾燥させることによって形成した。触針式段差計にて正孔注入層の画素内の膜厚を測定したところ、膜厚プロファイルは凸形状であり、凸形状の頂点と底辺の膜厚差は18nmであった。正孔輸送層7は、正孔輸送材料としてポリアリーレン誘導体を用いてこれをキシレンに溶解させて濃度を3.0重量%とした分散液をノズルコート法で塗布し、これを乾燥させることによって形成した。発光層8は、緑色に発光する画素に用いられる低分子発光材料で、ホスト材として2,2′,2″−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(TPBi)、ドープ材としてトリス(2−(p−トリル)ピリジン)イリジウムIII(Ir(mppy))をキシレンに溶解して5.0重量%インキとしたものをノズルプリント法にて正孔輸送層7上に塗布した。その後、150℃、30分、不活性ガス雰囲気下で乾燥を行い、厚さ70nmの有機発光層8を得た。最後に陰極として真空蒸着法でLiFを0.5nm成膜し、次にAlを150nm成膜した。その後、封止基板を接着し有機ELディスプレイ1を得た。
このようにして製造された有機ELディスプレイ1の陽極3及び陰極6に電圧を印加したところ、効率30cd/A、色度(0.33、0.62)の発光が得られた。初期輝度200cd/mにおける輝度半減時間は4870時間であった。
「比較例1」
正孔注入層のインク溶媒にトルエンを使用した点以外は実施例1と同じ条件で製造された有機ELディスプレイ1の陽極3及び陰極6に電圧を印加したところ、効率20cd/A、色度(0.33、0.62)の発光が得られた。初期輝度200cd/mにおける輝度半減時間は2312時間であった。
この有機ELディスプレイ1の正孔注入層8の画素内の膜厚を測定したところ、膜厚プロファイルは凸形状であり、凸形状の頂点と底辺の膜厚差は35nmであった。
「比較例2」
正孔注入層のインク溶媒にテトラリンを使用した点以外は実施例1と同じ条件で有機発光層8を形成したところ、効率25cd/A、色度(0.33、0.62)の発光が得られた。初期輝度200cd/mにおける輝度半減時間は2130時間であった。画素外周部で強い発光が見られた。
この有機ELディスプレイ1の正孔注入層8の画素内の膜厚を測定したところ、膜厚プロファイルは凹形状であった。
「考察」
実施例1と比較例1,2とを比較すると、正孔注入層を形成するインクの溶剤の材質の相違により、得られた正孔注入層の膜厚プロファイルが異なる結果になることが分かる。すなわち、トルエンを使用した場合(比較例1)は正孔注入層7の凸形状の頂点と底辺との膜厚差が大きく、アニソールを使用した場合(実施例1)は小さい。また、テトラリン使用した場合(比較例2)には膜厚プロファイルは凹形状になる。
そして、溶剤としてテトラリン使用し、従って凹形状の正孔注入層を形成した場合(比
較例2)には、有機ELディスプレイの輝度半減時間が2130時間であるのに対して、アニソールを使用して凸形状の正孔注入層を形成した場合(実施例1)には、輝度半減時間は4870時間であって、その発光特性や発光寿命が大幅に改善されていることが分かる。そして、この結果から、正孔注入層の膜厚プロファイルの相違によって発光特性や発光寿命が異なり、膜厚プロファイルが凸形状の場合に優れた発光特性や発光寿命を示すことが分かる。
次に、実施例1と比較例1とを比較すると、実施例1では凸形状の頂点と底辺の膜厚差が18nmであるのに対して、比較例1では35nmであり、比較例1の方が凸形状の頂点と底辺の膜厚差が大きい。このように比較例1の方が凸形状の頂点と底辺の膜厚差が大きいにも拘らず、比較例1の輝度半減時間は2312時間であって、実施例1より劣っている。この結果から、膜厚プロファイルの凸形状の頂点と底辺との膜厚差が大きいほど発光特性や発光寿命がよいのではなく、およそ30nmを越えると、反って発光特性や発光寿命の低下を引き起こすことが理解できる。
この発明によれば、正孔注入層の画素内の膜厚プロファイルを凸形状とし、しかも、凸部頂点と底辺との高さの差を10〜30nmの範囲にすることで、画素外周部の発光を緩和し、発光特性に優れた有機ELを製造することができる。
1 有機ELディスプレイ
2 透光性基板
3 陽極(画素電極、第一電極)
4 隔壁
5 有機発光媒体層
6 陰極(対向電極、第二電極)
7 正孔注入層
8 正孔輸送層
9 有機発光層
10 樹脂層
11 封止基板
12 ノズル塗工装置
13 インク供給タンク
14 インク
15 インク供給チューブ
16 ノズルヘッド
17 加圧機
18 流量制御弁
19 流量計

Claims (2)

  1. 基板上に第1電極、有機発光媒体層及び第2電極をこの順に形成して構成され、前記有機発光媒体層を画素ごとに駆動して画面表示する有機ELディスプレイであって、前記有機発光媒体層が多層構造を有しており、かつ、前記有機発光媒体層が前記第1電極側に正孔注入層を備え、その反対側に発光層を備えている有機ELディスプレイにおいて、
    前記正孔注入層は、少なくとも1種類以上の繰り返し構造を持つ高分子材料で構成されており、画素内の短辺方向の膜厚プロファイルが、中央が厚く周辺部が薄くなる凸形状であって、その凸部頂点と底辺との高さの差が10〜30nmの範囲であり、
    前記発光層は繰り返し構造を持たない低分子発光材料で構成されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ。
  2. 前記正孔注入層と発光層とをノズルプリント法で形成することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023053451A1 (ja) * 2021-10-01 2023-04-06 シャープディスプレイテクノロジー株式会社 発光素子、表示装置、および発光素子の製造方法

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