JP2013205267A - X線断層撮影方法およびx線断層撮影装置 - Google Patents
X線断層撮影方法およびx線断層撮影装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ビームハードニングおよび散乱線の影響を考慮した補正を行うことができ、被検体の断層画像情報の精度をさらに向上させることができるX線断層撮影方法を提供することにある。
【解決手段】被検体である配管の上方にX線源を配置し、この配管を挟んでX線源に対向させて平面型検出器を配置し、平面型検出器はX線源から放射されて配管を透過したX線を検出して投影データを出力する(S1)。初期推定画像に対する被検体におけるX線の透過距離tを算出する(S3)。透過距離tと、この透過距離tに対応する位置における投影値を用いて求められたX線減衰率Pの対応付けを行う(S4)。ビームハードニング現象及び散乱線の影響を補正する補正式を生成する(S6)。この補正式を用いてX線の透過距離tに対応したX線減衰率Pを補正し、補正されたX線減衰率Pを用いて被検体の断層画像情報を更新する(S7)。
【選択図】図2
【解決手段】被検体である配管の上方にX線源を配置し、この配管を挟んでX線源に対向させて平面型検出器を配置し、平面型検出器はX線源から放射されて配管を透過したX線を検出して投影データを出力する(S1)。初期推定画像に対する被検体におけるX線の透過距離tを算出する(S3)。透過距離tと、この透過距離tに対応する位置における投影値を用いて求められたX線減衰率Pの対応付けを行う(S4)。ビームハードニング現象及び散乱線の影響を補正する補正式を生成する(S6)。この補正式を用いてX線の透過距離tに対応したX線減衰率Pを補正し、補正されたX線減衰率Pを用いて被検体の断層画像情報を更新する(S7)。
【選択図】図2
Description
本発明は、X線断層撮影方法およびX線断層撮影装置に係り、特に、配管および機械部品等の物体(被検体)の内部を可視化して検査するのに好適なX線断層撮影方法およびX線断層撮影装置に関する。
機械部品等の被検体の内部欠陥を非破壊で検査する方法として、X線を用いて内部を透過し画像化するX線撮影による検査方法が使用されている。特に、産業用X線CTに代表されるX線断層撮影装置では、放射線透過試験でのレントゲン撮影画像とは異なり、被検体の内部状態を示す詳細な断層画像情報を得ることができ、被検体の高精度な検査が可能である。
また、原子力および火力等の発電プラント、化学プラント、および石油プラントに設置された配管に対するX線断層撮影による非破壊検査のニーズも増加している。上記プラントの配管は狭隘な場所に設置されていることが多く、産業用に用いられている回転操作が必要な大きなX線CT装置を適用することが困難である。このような配管に対して適用可能なX線断層撮影方法として、特開2008−275352号公報に記載された配管の検査方法がある。従来のX線CT装置は、X線を放出しているX線源を、(180°+放射線広がり角度)の範囲でまたは一般的には360°の範囲において被検体の周囲を旋回させることにより得られた複数の投影データに基づいてその被検体の断層画像情報または立体画像情報を再構成している。これに対して、特開2008−275352号公報に記載された配管の検査方法は、ラミノグラフィと呼ばれる断層撮影方法の一種であり、X線CT装置で必要とするX線源の旋回角度よりも小さい、X線源の旋回角度で撮影された複数の投影データにより断層画像情報または立体画像情報を再構成することができる。ラミノグラフィによる配管検査では、X線源とX線源に対向して配置した放射線検出器の間に配管を配置し、X線源および放射線検出器を配管の軸方向に沿って移動させる。この状態で、X線源から照射されて配管を透過したX線を放射線検出器で検出している。
このようなX線断層撮影を実施する場合において、ビームハードニング現象(X線の線質硬化現象)が発生することが知られている。ビームハードニング現象とは、X線発生装置で発生するX線のエネルギスペクトルが連続的に分布するために、X線が被検体を透過する際に相対的に低いエネルギのX線が吸収、散乱等により減弱し、被検体透過後のX線のエネルギの平均値が被検体入射前のそれよりも高エネルギ側にシフトする(X線が硬くなる)現象である。X線照射により得られた断層画像情報は、被検体の材質およびX線エネルギに依存する線減弱係数の2次元分布または3次元分布を表したものであるため、ビームハードニング現象が発生した場合には、被検体の構成材質を正確な表現することができなく、また、その被検体の形状寸法を正しく再現できない等の問題が生じる可能性がある。
ビームハードニング現象を補正する方法として、A. C. Kak, and M. Slany,“Principles of Computerized Tomographic Imaging”, SIAM (2001) pages 120-123に示す方法がある。この方法では、まず、被検体のX線の透過距離に伴う線減弱係数の変化を、試験体等を用いてあらかじめ測定し、それを最小二乗法等により補正式を生成する。次に、実際に被検体を撮影した投影データの値から、補正式を用いて理想的な状態の投影値に補正する。
特開2011−247588号公報は、ラミノグラフィを適用する断層撮影方法において、X線を配管に照射することによって得られる投影データを用いて配管のエッジ位置を特定し、このエッジ位置、X線を照射した配管の形状情報、およびX線の照射位置と放射線検出器の検出素子の間の距離に基づいて、X線照射位置からの配管の中心軸位置までの
A. C. Kak, and M. Slany,"Principles of Computerized Tomographic Imaging", SIAM (2001) pages 120-123
X線を照射する実際の被検体の撮影においては、ビームハードニング現象の他に、散乱線が発生し、投影データ(透過画像)に散乱線の分布が重畳することを、発明者らが見出した。X線断層撮影では、X線が被検体を透過する際に減衰した情報(線減弱係数)のみが必要であるが、散乱線の発生により実際のX線の減衰量と異なる値が計測されてしまい、正しく補正できないという課題がある。A. C. Kak, and M. Slany,“Principles of Computerized Tomographic Imaging”, SIAM (2001) pages 120-123に記載されている補正方法では、散乱線の補正は含まれていない。また、散乱線は、被検体の形状、および被検体に対するX線の照射方向に依存して、その分布が異なるという課題がある。このため、A. C. Kak, and M. Slany,“Principles of Computerized Tomographic Imaging”, SIAM (2001) pages 120-123のように、実際の被検体と異なる形状の試験体を用いて補正用のデータを取得した場合には、散乱線の分布が実際の被検体と異なるという課題がある。
本発明の目的は、ビームハードニングおよび散乱線の影響を考慮した補正を行うことができ、被検体の断層画像情報の精度をさらに向上させることができるX線断層撮影方法およびX線断層撮影装置を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、被検体をX線源とX線検出装置との間に配置し、前記X線源から前記被検体にX線を照射し、前記被検体を透過する前記X線を前記X線検出装置で検出して前記被検体に対する複数の投影データを取得し、前記複数の投影データに基づいて前記被検体の断層画像情報を作成するX線断層撮影方法において、
前記断層画像情報の作成時に使用する、前記被検体の初期推定画像情報を用いて、前記被検体における前記X線の複数の第1透過距離を算出し、それらの前記第1透過距離と、前記X線検出装置内における、それらの第1透過距離に対応する各位置での前記投影データの値を用いて算出された複数の第1X線減衰率とをそれぞれ一つずつ対応付けし、対応付けられた、それぞれの前記第1透過距離および前記第1X線減衰率を用いて、ビームハードニングおよび散乱線に対する補正を行う補正式を作成し、前記断層画像情報作成時において算出した第2透過距離を用いて前記補正式により第2X線減衰率を算出し、この第2X線減衰率を用いて前記断層画像情報を更新することにある。
前記断層画像情報の作成時に使用する、前記被検体の初期推定画像情報を用いて、前記被検体における前記X線の複数の第1透過距離を算出し、それらの前記第1透過距離と、前記X線検出装置内における、それらの第1透過距離に対応する各位置での前記投影データの値を用いて算出された複数の第1X線減衰率とをそれぞれ一つずつ対応付けし、対応付けられた、それぞれの前記第1透過距離および前記第1X線減衰率を用いて、ビームハードニングおよび散乱線に対する補正を行う補正式を作成し、前記断層画像情報作成時において算出した第2透過距離を用いて前記補正式により第2X線減衰率を算出し、この第2X線減衰率を用いて前記断層画像情報を更新することにある。
対応付けられた、それぞれの前記第1透過距離および前記第1X線減衰率を用いて、ビームハードニングおよび散乱線に対する補正を行う補正式を作成し、前記断層画像情報作成時において算出した第2透過距離を用いて前記補正式により第2X線減衰率を算出し、この第2X線減衰率を用いて前記断層画像情報を更新するので、ビームハードニングおよび散乱線の影響を考慮した補正を行うことができ、被検体の断層画像情報の精度をさらに向上させることができる。
本発明によれば、ビームハードニングおよび散乱線の影響を考慮した補正を行うことができ、被検体の断層画像情報の精度をさらに向上させることができる。
本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1のX線断層撮影方法を、図1および図2を用いて説明する。
まず、本実施例のX線断層撮影方法に用いられるX線断層撮影装置1を、図2を用いて説明する。X線断層撮影装置1は、X線源2、平面型検出器(Flat panel detector(FPD))3、X線源走査装置4、制御・画像取込装置7、画像再構成演算装置(断層画像情報作成装置)9および画像計測装置10を備えている。平面型検出器(放射線検出装置)3としては、半導体を用いた直接変換方式の平面型検出器、及びシンチレータおよび二次元配置された複数のフォトダイオードを用いた間接変換方式の平面型検出器のいずれかを用いる。平面型検出器3は、実質的に、複数の放射線検出素子を二次元配置した構成になっている。X線源走査装置4は、水平支持部4A,4Bおよび垂直支持部4Cを有する。水平支持部4Aが垂直支持部4Bの上端部に取り付けられ、水平支持部4Bが垂直支持部4Bの下端部に取り付けられる。水平支持部4Aおよび水平支持部4Bは、垂直支持部4Bから同じ方向に伸びており、互いに平行に配置される。垂直支持部4Cは、平行に配置された一対のガイドレール5に移動可能に取り付けられる。
駆動機構(図示せず)がX線源走査装置4の垂直支持部4Cに設けられる。この駆動機構は、垂直支持部4Cに取り付けられたモータ、このモータに連結されて垂直支持部4Cに取り付けられた減速装置および減速装置の回転軸に取り付けられたピニオンを有する。ピニオンは、ガイドレール5の長手方向において一つのガイドレール5の側面に形成されたラック(図示せず)と噛み合っている。
X線源2が、水平支持部4Aの下方に配置され、水平支持部4Aの長手方向において移動可能に、水平支持部4Aに取り付けられる。平面型検出器3が水平支持部4Bの上面に取り付けられる。X線源2と平面型検出器3は互いに対向している。一対のガイドレール5は、ガイドレール5の長手方向に配置された複数の支持脚6に取り付けられる。
制御・画像取込装置7は、制御部(図示せず)および画像取り込み部(図示せず)を有し、ケーブル8により、X線源2、平面型検出器3およびX線源走査装置4に接続される。画像再構成演算装置9、画像計測装置10および記憶装置11,12が通信回線13により制御・画像取込装置7に接続される。記憶装置11および12は一つの記憶装置にしても良い。
被検体である、プラントの配管14を対象に行われる、本実施例のX線断層撮影方法を、以下に、具体的に説明する。
複数の支持脚6で支持される一対のガイドレール5を、被検体である配管14に沿って配置する。これらのガイドレール5に移動可能に取り付けられたX線源走査装置4の水平支持部4Aに設けられたX線源2が配管14の真上に配置され、X線源走査装置4の水平支持部4Bに設けられた平面型検出器3が配管14の真下に配置される。配管14はX線源2と平面型検出器3の間に配置される。
その後、本実施例のX線断層撮影方法は、図2に示す処理手順に基づいて行われる。
被検体に対するラミノグフィスキャン撮影を行う(ステップS1)。制御・画像取込装置7の制御部は、ケーブル8を通してX線源2に照射開始信号を出力する。照射開始信号を入力したX線源2は、被検体である配管14に向かってX線を照射する。照射されたX線は配管14を透過して平面型検出器3によって検出される。X線の検出により平面型検出器3から出力される投影データ(二次元データ)15が、ケーブル8を通して、制御・画像取込装置7の画像取込部に入力される。画像取込部は、入力した投影データ15を、通信回線13を通して記憶装置11に出力し、この投影データ15が記憶装置11に格納される。得られた投影データ15の一例を図3に示す。投影データ15において16が配管14の投影部分を示している。
制御・画像取込装置7の制御部は、ケーブル8を通してX線源走査装置4の前述のモータに走査開始信号を出力する。走査開始信号に基づいてモータが駆動し、モータに連結されてガイドレール5に形成されたラックと噛み合っているピニオンが回転する。このため、X線源走査装置4が所定の速度でガイドレール5に沿って移動する。X線源走査装置4の移動に併せて、X線を放射しているX線源2および配管14を透過したX線を検出している平面型検出器3も一緒にガイドレール5に沿って移動する。これにより、配管14の軸方向に沿って配管14の投影データを得ることができる。
再構成用の初期推定画像の位置合わせを実施する(ステップS2)。ステップS1において得られて記憶装置11に格納されている複数の投影データ15の中から代表的な投影データ15を読み出し、この投影データ15に基づいて画像再構成演算時に使用する初期推定画像19の位置を合わせる初期推定画像位置合せ処理が行われる。この処理は、画像再構成演算装置9で行われる。ちなみに、後述のステップS3〜S7の各処理も画像再構成演算装置9で行われる。また、初期推定画像19の情報は、被検体である配管14の寸法(例えば、内径及び外径)を用いて予め作成され、記憶装置11に格納されている。
X線が照射された実際の配管14の外径に対する投影データ15に含まれている配管の投影部分16の直径の拡大率を求め、撮影時(X線照射時)におけるX線源2および平面型検出器3に対する配管14の位置を推定する。推定されたその位置は、画像再構成演算装置9で実施される画像再構成演算時で使用する計算パラメータとして記憶装置11に格納される。
初期推定画像19の位置合せ法の一例を、図3から図5を用いて説明する。配管14の投影データ15を用いてエッジ抽出等の画像処理を行い、配管14の外面のエッジ18を抽出したエッジ抽出画像17が作成される。エッジ抽出画像17に含まれる一対のエッジ18は、配管14の外径を示している。エッジ抽出方法は、画像処理のテキスト等に記載されている公知の各種方法を用いることができる。投影データ15に投影されている配管14の外径である、抽出した一対のエッジ18間の距離D’を求める。X線を照射した実際の配管14の外径Dは、実測値(または公称値)を用いる。これらの値から、投影データ15における配管14の拡大率M(=D’/D)を求める。X線照射時におけるX線源2および平面型検出器3に対する配管14の位置については、例えば、図5に示すように、X線源2から配管14の中心軸までの距離Sは、X線源2と平面型検出器3の間の距離L、および拡大率M(=D’/D)を用いて、S=LMとして求めることができる。
被検体におけるX線の透過距離ti,jを算出する(ステップS3)。ステップS2の初期推定画像19の位置合せ処理が実施された後、初期推定画像19を用いて、被検体である配管14におけるX線の透過距離ti,jを算出する。この透過距離ti,jの計算方法の一例を図6に示す。説明を簡単化するため、図6には、配管14の中心軸と直交する断面における配管14の2次元のピクセル画像が示されている。なお、3次元の場合にはボクセル画像となる。初期推定画像19に示された矩形の小領域はピクセル要素(3次元の場合はボクセル要素)21を表している。X線源2におけるX線発生位置と、平面型検出器3にマトリックス状(またはアレイ状)に配置された放射線検出素子とを結ぶ線分20が、被検体である配管14内の、照射されたX線が透過する1つの経路を示している。透過距離ti,jの計算では、被検体である配管14内におけるX線が通過する距離は、図6に示すように、ピクセル要素(またはボクセル要素)21を横切る線分20の距離を数値積分することにより求められる。透過距離ti,jは平面型検出器3に含まれる放射線検出素子の位置ごとに求められる。ここでは、各透過距離は、放射線検出素子の二次元位置の座標(i,j)における値ti,jとして表記される。
透過距離ti,jと、この透過距離ti,jに対応する位置における投影値を用いて求められたX線の減衰率Pi,jの対応付けを行う(ステップS4)。ステップS3の処理が終了した後、算出された透過距離ti,jと、この透過距離ti,jに対応する放射線検出素子の位置における投影値(投影データ15の、放射線検出素子の位置における値)を用いて求められたX線の減衰率Pi,jの対応付けを行う。この対応付け処理の一例として、或る透過距離ti,j、および透過距離ti,jに対するX線の減衰率Pi,jをグラフ上にプロットしたものを図7に示す。図7の横軸は被検体である配管14におけるX線の透過距離tを示し、その縦軸は放射線検出素子の位置における投影値から求めたX線の減衰率P(=ln(Io/I))を表している。ここで、IoはX線の入射強度であり、Iは被検体を透過して減衰したX線の強度である。ここでは、グラフにして透過距離ti,jとX線の減衰率Pi,jを対応付けているが、例えば、テーブル形式で対応付けしてもよい。
サンプリングデータの数が設定データ数以上であるかを判定する(ステップS5)。ステップS4の処理が終了した後、サンプリングデータ(図7において黒菱形で示される点におけるX線の透過距離tおよびX線減衰率P)の数、すなわち、配管14におけるX線の各透過距離tに対応したそれぞれのX線減衰率Pの合計数が設定データ数以上あるかが判定される。被検体にX線を照射して実際に測定したデータ(図7において黒菱形で示される点におけるX線の透過距離tおよびX線減衰率P)を用いてX線減衰率Pを補正するためには、統計ノイズの影響を小さくする必要がある。そのためには、サンプリングデータ数を多く取ることが望ましい。しかしながら、サンプリングデータ数が多くなると、それだけ被検体におけるX線の透過距離tの計算時間が増加する。そこで、サンプリングデータ数を予め設定しておき、サンプリングデータ数の判定に用いる。サンプリングしたデータ数、すなわち、X線の透過距離tに対応したX線減衰率Pの数が設定数よりも少ない場合、すなわち、ステップS5の判定が「NO」である場合には、平面型検出器3内で別の位置(i,j)に存在する放射線検出素子に対して、ステップS3及びS4の各処理を再度実行する。サンプリングしたデータ数が設定数以上である場合、すなわち、ステップS5の判定が「YES」である場合には、ステップS6の処理を実行する。
設定数以上のサンプリングデータを用いてビームハードニング現象及び散乱線の影響を補正する補正式を生成する(ステップS6)。設定数以上のデータ(被検体である配管14におけるX線の透過距離tに対応したX線減衰率P)をサンプリングした後、ビームハードニング現象および散乱線の影響を同時に補正するための補正式を生成する。図8に補正式を生成する処理の一例を示す。図8の横軸は被検体である配管14におけるX線の透過距離tを示し、その縦軸は放射線検出素子の位置における投影値から求めたX線の減衰率P(=ln(Io/I))を表している。図8には設定数以上の多数のサンプリングデータがプロットされており、このような設定数以上の多数のサンプリングデータを用いて、例えば、最小二乗法により、X線の減衰率Pを補正するための補正式の係数を求める。ちなみに、図8に示されたサンプリングデータに基づいて得られた補正式は、3次式である式(1)となる。
P=0.03t3−0.5t2+2.0t ……(1)
図8ではX線の透過距離tとX線の減衰率Pをグラフの形で表現しているが、これらをテーブル形式で応付けされていてもよい。
図8ではX線の透過距離tとX線の減衰率Pをグラフの形で表現しているが、これらをテーブル形式で応付けされていてもよい。
被検体の断層画像情報を作成する(ステップS7)。ステップS6でX線減衰率Pを補正する補正式を生成した後、配管14の断層画像情報を作成する処理が実行される。ステップS7における画像再構成の演算処理では、逐次近似型の画像再構成アルゴリズムが使用される。この画像再構成の演算処理では、通常、順投影計算による演算結果と平面型検出器3で得られた実際の投影データを比較し、その差を補正した配管14の断層画像情報を生成し、再度、順投影計算による演算結果と比較を実施することにより断層画像情報を更新する。一般的に、順投影計算では、被検体である配管14の分布を表す線減弱係数μと配管14におけるX線の透過距離tとの積μtが線積分により求められる。しかしながら、本実施例では、散乱線の影響を含んだビームハードニングに対する補正を行うため、順投影計算において被検体の透過距離tのみを線積分により計算し、得られた透過距離tを補正式である式(1)に代入して補正されたX線減衰率Pを求める。このX線減衰率Pを記憶装置11に記憶された該当する、被検体である配管14に実際にX線照射を行って得られたデータ(配管14におけるX線の透過距離tに対応したX線減衰率P)と比較し、配管14の断層画像情報を更新する。作成された配管14の断層画像情報が記憶装置12に格納される。
画像再構成の演算時における計算情報の表示画情報が画像再構成演算装置9で作成され、この表示画像情報が表示装置(図示せず)に表示される。計算情報の表示画情報の一例を図9に示す。この表示画像情報は補正式および補正係数の各情報を含んでいる。操作員が、表示装置に表示されたこのような表示画像情報を見ることにより、補正の状況を確認することができる。
画像計測装置23は、構築された断層画像または立体像は、記憶装置32に保存され、欠陥評価をするための画像計測装置23から呼び出される。
本実施例では、被検体である配管14にX線を照射することによって平面型検出器3から出力される投影データ15を用いて、配管14におけるX線の透過距離Pに対応するX線減衰率Pを平面型検出器3に含まれる放射線検出要素の位置ごとに求め、対応するそれぞれのX線の透過距離PおよびX線減衰率Pを用いて、ビームハードニングおよび散乱線の影響を考慮した補正式を求めることができる。このため、被検体と形状が異なる試験体ではなく、断層画像情報を作成する対象の被検体そのものにX線を照射することによって得られる情報を用いて、ビームハードニングおよび散乱線の影響を考慮した補正式を作成するため、作成された補正式の精度が向上する。
また、本実施例では、被検体の断層画像を作成するために被検体にX線を照射したときに得られるデータを用いて上記の補正式を作成するため、補正式の作成のためのデータを得るために被検体である配管14にX線を照射することを断層画像情報作成のための配管14へのX線照射とは別に行う必要がなく、配管14の断層画像情報を得るために要する時間を短縮することができる。
本実施例では、ビームハードニングおよび散乱線の影響を考慮した補正式を作成し、この補正式を用いて配管14(被検体)におけるX線の透過距離Pに対するX線減衰率Pを補正することができる。このため、配管14の断層画像情報の精度をより向上させることができる。また、本実施例は、ビームハードニングに対する補正および散乱線に対する補正を同時に行うことができる。
本発明の他の実施例である実施例2のX線断層撮影方法を、図10および図11を用いて説明する。本実施例のX線断層撮影方法はX線断層撮影装置30を用いて実施される。
X線断層撮影装置30は、X線源2A、平面型検出器3A、回転テーブル31および昇降装置32を備え、図示されていないが、X線断層撮影装置1に用いられる制御・画像取込装置7、画像再構成演算装置9および画像計測装置10も有している。
X線断層撮影装置30では、平面型検出器3AがX線源2Aに対向するように配置され、被検体33を搭載する回転テーブル31がX線源2Aと平面型検出器3Aの間に配置されている。回転テーブル31は昇降装置32に取り付けられる。制御・画像取込装置7の制御部が、X線源2AからのX線放射、および回転テーブル31および昇降装置32のそれぞれの駆動を制御する。
本実施例におけるX線断層撮影方法では、断層画像情報を作成する対象の被検体33を回転テーブル31に搭載する。その後、本実施例のX線断層撮影方法は、図11に示す処理手順に基づいて行われる。本実施例のX線断層撮影方法における処理手順は、ステップS1に替えてステップS11が実行され、ステップS12,S13およびS14の各処理が追加されている。実施例1で行われるステップS2〜S7の各処理は本実施例でも実行される。被検体を回転させる本実施例のX線断層撮影方法は、同一の被検体のCT撮影においても、X線の照射方向に依存して散乱線の分布が異なるため、撮影の角度ごとに補正式を生成し、画像再構成演算において、角度ごとにその補正式を適用する補正方法を採用している。
被検体に対するCT撮影が行われる(ステップS11)。照射開始信号が制御・画像取込装置7の制御部からX線源2Aに出力されたとき、X線が、X線源2Aから回転テーブル31上の被検体33に照射される。また、制御・画像取込装置7の制御部は、回転テーブル31の駆動装置および昇降装置32の駆動装置に駆動開始信号を出力する。これにより、回転テーブル31が回転し、昇降装置32が回転テーブル21を上昇させる。このため、回転テーブル31に搭載された被検体33は、X線を照射されながら回転し、上昇する。X線照射中に被検体33が回転されて上昇されることにより、被検体33を透過したX線が平面型検出器3Aで検出され、平面が科検出器3から被検体33の投影データが出力される。この投影データは記憶装置11に格納される。得られた投影データの数をNmax、テーブル31の回転方向における各角度での投影データの番号Nを、0,1,2,………,Nmax−1とする。
被検体33に対するCT撮影では、回転テーブル31の回転と同期して、一定の回転角度ピッチごとに平面型検出器3Aにより被検体33を透過したX線の検出を実施し、被検体33の周囲において、180°にX線源2Aから放射されるX線広がり角度を加えた角度範囲でまたは360°の角度範囲でCT撮影を実施する。
その後、実施例1で行われたステップS2の処理が実行される。そして、投影データ番号Nを0に設定する投影データ番号初期化処理が実行される(ステップS12)。その後、前述したステップS3〜S6の各処理が実行される。ステップS5の判定が「NO」である場合には、ステップS3〜S5の各処理が実行される。ステップS5の判定が「YES」である場合には、ステップS6の処理が実行される。
ステップS6の処理が終了した後、投影データ番号Nを一つ増加させる投影データ番号更新処理(N+1→N)を実施する(ステップS13)。次に、N≧投影データ数Nmaxであるかが判定される(ステップS14)。ステップS14の判定が「NO」である場合には、ステップS3〜S6,S13およびS14の各処理が順次実行される。ステップS14の判定が「YES」であれば、ステップS7の処理が実行される。ステップS7の断層画像情報の作成においては、各角度に対する補正式(図8に示すビームハードニングおよび散乱線の影響を考慮した補正式)が用いられる。
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。
1,30…X線断層撮影装置、2,2A…X線源、3,3A…平面型検出器、4…X線源走査装置、4A,4B…水平支持部、4B…垂直支持部、5…ガイドレール、7…制御・画像取込装置、9…画像再構成演算装置、10…画像計測装置、14…配管、31…回転テーブル、32…昇降装置、33…被検体。
Claims (5)
- 被検体をX線源とX線検出装置との間に配置し、前記X線源から前記被検体にX線を照射し、前記被検体を透過する前記X線を前記X線検出装置で検出して前記被検体に対する複数の投影データを取得し、前記複数の投影データに基づいて前記被検体の断層画像情報を作成するX線断層撮影方法において、
前記断層画像情報の作成時に使用する、前記被検体の初期推定画像情報を用いて、前記被検体における前記X線の複数の第1透過距離を算出し、それらの前記第1透過距離と、前記X線検出装置内における、それらの第1透過距離に対応する各位置での前記投影データの値を用いて算出された複数の第1X線減衰率とをそれぞれ一つずつ対応付けし、対応付けられた、それぞれの前記第1透過距離および前記第1X線減衰率を用いて、ビームハードニングおよび散乱線に対する補正を行う補正式を作成し、前記断層画像情報作成時において算出した第2透過距離を用いて前記補正式により第2X線減衰率を算出し、この第2X線減衰率を用いて前記断層画像情報を更新することを特徴とするX線断層撮影方法。 - 前記初期推定画像情報で表される前記被検体の形状を、前記X線源と前記X線検出装置の間で位置合わせを行う処理を実行し、前記第1透過距離の算出は、位置合わせが行われた前記被検体の形状データを用いて行われる請求項1に記載のX線断層撮影方法。
- 前記補正式の生成は、前記被検体に対して異なる複数の方向から前記X線源から前記X線を照射して取得された異なる複数の前記投影データごとに前記補正式を生成することであり、前記断層画像情報作成時における前記補正式による前記第2X線減衰率の算出が、前記異なるそれぞれの投影データに対して前記投影データごとの前記補正式を適用することにより行われる請求項1または2に記載のX線断層撮影方法。
- 前記補正式の作成が、対応付けられた前記第1透過距離および前記第1X線減衰率の数が設定数以上である時に行われる請求項1ないし3のいずれか1項に記載のX線断層撮影方法。
- X線源と、X線源に対向して配置され、前記X線源から照射されて被検体を透過するX線を検出するX線検出装置と、前記X線検出装置で取得される、前記被検体に対する複数の投影データに基づいて前記被検体の断層画像情報を作成する断層画像情報作成装置とを備え、
前記断層画像情報作成装置が、前記断層画像情報の作成時に使用する、前記被検体の初期推定画像情報を用いて、前記被検体における前記X線の複数の第1透過距離を算出し、それらの前記第1透過距離と、前記X線検出装置内における、それらの第1透過距離に対応する各位置での前記投影データの値を用いて算出された複数の第1X線減衰率とをそれぞれ一つずつ対応付けし、対応付けられた、それぞれの前記第1透過距離および前記第1X線減衰率を用いて、ビームハードニングおよび散乱線に対する補正を行う補正式を作成し、前記断層画像情報作成時において算出した第2透過距離を用いて前記補正式により第2X線減衰率を算出し、この第2X線減衰率を用いて前記断層画像情報を更新する断層画像情報作成装置であることを特徴とするX線断層撮影装置。
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- 2012-03-29 JP JP2012075411A patent/JP2013205267A/ja active Pending
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