JP2013205090A - 試料液冷却装置 - Google Patents

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Akihiro Takeda
明弘 竹田
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Abstract

【課題】試料液の温度ムラを解消又は大幅に低減することが可能な試料液冷却装置を提供する。
【解決手段】試料液冷却装置Aは、試料液3が内包される試料液保持容器2が複数装填されるサンプルラック10と、試料液3を冷却するペルチェ素子30と、ペルチェ素子30に取り付けられた放熱フィン40と、放熱フィン40に空気を送り込む吸気ファン52と、放熱フィン40に送り込まれた空気を排出する排気ファン53と、試料液3を試料液保持容器2の外部から試料液3に非接触で撹拌する撹拌部60Aと、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば液体クロマトグラフ装置において、分析前の試料液を冷却する試料液冷却装置に関する。
液体クロマトグラフ装置として、ラックホルダに装着されたサンプルラックに並べられた試料液保持容器(サンプル瓶)中の試料液を、ニードルによって吸引して液体クロマトグラフの移動相流路中に自動的に注入する自動試料液導入装置(オートサンプラ)を備えたものが知られている。
液体クロマトグラフで再現性の高い分析結果を得るためには、分析対象となる試料液の濃度が分析中に安定していることが要求される。すなわち、分析中、試料液の濃度を一定に保つことが重要となってくる。一般に、液体クロマトグラフにて分析する試料液を調製する際、分析対象となる試料を溶かす液体として有機溶剤(または有機溶剤を一部含んだ液体)を使用する場合が多いが、沸点の低い有機溶剤ほど、ある温度における飽和蒸気圧が高く、蒸発速度も大きくなるため、試料液の濃度が変動しやすい。そのため、液体クロマトグラフでは、試料液を4〜15℃程度に冷却して温度を一定に保った状態で分析を行う場合が多く、試料保持容器中の試料液を冷却するための試料液冷却装置が利用されることがある。
ここで、試料液に温度ムラが発生すると、試料液の組成割合が試料液の部位によって異なってしまい、試料の吸引箇所によって検出結果が変わってしまう。そのため、試料液の温度ムラを低減させるため、サンプルラックの穴の底面を断熱性部材で構成し、試料液保持容器の底面から急激に冷却されることを回避しようとする試料液冷却装置が提案されている(特許文献1参照)。
特許第3921845号公報
前記した特許文献1に記載された試料液冷却装置は、試料容器の底部からの伝熱を抑制する構造によって温度ムラを低減するものであるが、温度ムラをより大幅に低減したいという要望があるのが現状である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、試料液の温度ムラを解消又は大幅に低減することが可能な試料液冷却装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、試料液が内包される試料液保持容器が複数装填されるサンプルラックと、前記試料液を冷却する冷却部と、前記試料液を前記試料液保持容器の外部から撹拌する撹拌部と、を備えることを特徴とする。
本発明によると、試料液の温度ムラを解消又は大幅に低減することができる。
本発明の第一の実施形態に係る試料液冷却装置を備える自動試料導入装置を示す模式図である。 本発明の第二の実施形態に係る試料液冷却装置を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について、本発明の試料液冷却装置を液体クロマトグラフ装置における自動試料液導入装置に適用した場合を例にとって説明する。以下の説明において、同様の部分には同様の符号を付し、重複する説明を省略する。
<第一の実施形態>
まず、本発明の第一の実施形態に係る自動試料液導入装置について、図1を参照して説明する。なお、図1は、サンプルラック10及びラックホルダ20を断面として描画するとともに、通気ダクト51内のペルチェ素子30、放熱フィン40、吸気ファン52及び排気ファン53を透過して描画した図である。
図1に示すように、本発明の第一の実施形態に係る自動試料液導入装置1は、分析対象である試料を有機溶剤等に溶かした試料液3を、当該試料液3を内包する試料液保持容器(サンプル瓶)2から液体クロマトグラフのためのカラム(図示せず)に自動的に導入する装置であって、複数の試料液保持容器2に内包された試料液3を冷却する試料液冷却装置Aとして、サンプルラック10と、ラックホルダ20と、ペルチェ素子30と、放熱フィン40と、通気部50と、撹拌部60Aと、を備える。
また、自動試料液導入装置1は、ニードル70と、シリンジバルブ80と、シリンジユニット90と、インジェクションバルブ100と、をさらに備える。ニードル70は、配管を介してシリンジバルブ80及びシリンジユニット90に順次接続されており、図示しない機構によって前後左右上下に移動可能である。かかるニードル70は、図示しない機構によって試料液保持容器2に移動し、シリンジユニット90に設けられたシリンジ91によって試料液保持装置2から試料液3を吸い上げる。続いて、ニードル70は、図示しない機構によってインジェクションバルブ100の上に移動し、インジェクションバルブ100の試料液注入口101に試料液を注入する。インジェクションバルブ101に注入された試料液は、図示しない液体クロマトグラフ用のカラム及び検出器に順次導入され、当該試料液の成分が自動分析される。
かかる液体クロマトグラフの自動分析は、1回につき数分から数十分を要し、サンプルラック10には複数の試料液保持容器2が装填されているため、サンプルラック10に装填された試料液保持容器2内の試料液3は、ものによっては数時間から数十時間も分析待ちとなる。その間における試料液3の変質を防止するため、試料液3を試料液冷却装置Aによって冷却して低温に保つことが行われる。
<試料液冷却装置>
以下、試料液冷却装置Aの構成について詳細に説明する。
<サンプルラック>
サンプルラック10は、伝熱性材料(例えば、金属)から形成された伝熱性筐体11と、伝熱性筐体11を覆うカバー12と、を備える。伝熱性筐体11の上面には、試料液保持容器2が装填可能な複数(例えば、100個)の穴11aが形成されている。穴11aの内径は試料液保持容器2の外径と略同一であり、穴11aに装填された試料液保持容器2の底面は、穴11aの底面と当接して熱交換し、試料液保持容器2の外周面は、穴11aの内側面と当接して熱交換する。カバー12は、伝熱性筐体11及びラックホルダ20の組立体の上面及び側面を覆うものであって、カバー12の上面には、複数の穴11aに対応する箇所に複数の穴12aが形成されている。かかるカバー12は、伝熱性筐体11及びラックホルダ20と外気との熱交換を抑制するためのものである。
<ラックホルダ>
ラックホルダ20は、サンプルラック10を下方から支持する台座である。ラックホルダ20は、伝熱性筐体11と同様の伝熱性材料から形成されている。サンプルラック10は、ラックホルダ20に支持された状態で、撹拌部60Aの撹拌動作によってラックホルダ20と一体的に旋回する。
<ペルチェ素子>
ペルチェ素子30は、本発明の冷却部の一例であり、ラックホルダ20の下面に取り付けられている。かかるペルチェ素子30は、ラックホルダ20及び伝熱性筐体11を介した熱交換によって、試料液保持容器2に内包される試料液3を冷却する。
<放熱フィン>
放熱フィン40は、ペルチェ素子30の熱を放熱するためのフィンであり、ペルチェ素子30の下面に取り付けられている。
<通気部>
通気部50は、ペルチェ素子30(の一部)及び放熱フィン40を収容する通気ダクト51と、通気ダクト51の一方の開口に設けられた吸気ファン52と、通気ダクト51の他方の開口に設けられた排気ファン53と、を備える。吸気ファン52は、放熱フィン40の一側面に対向して設けられており、放熱フィン40に空気を送り込む。排気ファン53は、放熱フィン40の逆側面に対向して設けられており、吸気ファン51によって放熱フィン40に送り込まれた空気を外部に排出する。
かかる試料液冷却装置Aは、ペルチェ素子30の上面側で発生した冷熱によって試料液3を冷却し、ペルチェ素子30の下面側で発生した温熱は、放熱フィン40に伝わり、吸気ファン52及び排気ファン53による空気の流れによって外部へ排熱される。
<撹拌部>
撹拌部60Aは、試料液3を試料液保持容器2の外部から試料液3に非接触で撹拌するものであって、軸部(第一の軸部)61Aと、円板部62Aと、軸部(第二の軸部)63Aと、モータ64Aと、を備える。軸部61Aの一端は、通気ダクト51の下方に固定されている。かかる軸部61Aは、ラックホルダ20の高さ方向(鉛直方向)に伸びる中心軸O1に沿って設けられている。円板部62Aの上面には、軸部61Aの他端が固定されており(又は、軸部61Aの他端が回動可能に支持されており)、円板部62Aの下面には、軸部63Aの一端が固定されている。軸部63Aは、前記した中心軸O1からオフセットして高さ方向(中心軸O1と平行)に伸びる偏心軸O2に沿って設けられている。モータ64Aの回転子には、軸部63Aの他端が固定されている。
撹拌部60Aは、モータ64Aの駆動によって、サンプルラック10、ラックホルダ20、ペルチェ素子30、放熱フィン40及び通気部50からなる組立体を、偏心軸O2を軸として回動又は揺動する。すなわち、撹拌部60Aは、試料液3が内包された試料液保持容器2をサンプルラック10ごと旋回させることによって、、試料液3を試料液保持容器2の外部から試料液3に非接触で撹拌する。撹拌部60Aによる撹拌の旋回速度、動作タイミング等は、ニードル70による試料液3の吸引時以外であれば、適宜設定可能であり、例えば、試料液3の吸引時以外は常に撹拌する、試料液3の吸引直前の所定時間(例えば30秒間)だけ撹拌する等の手法が可能である。
撹拌終了時におけるサンプルラック10の停止位置は、モータ64Aのエンコーダ、図示しないセンサ等を用いて補正することが可能である。また、ニードル70にカメラ等を取り付け、ニードル70が試料液保持容器2上に移動した際にカメラ画像を用いてサンプルラック10の停止位置が正しい位置であるか否かを判定し、判定結果に基づいて停止位置を補正することも可能である。これらの手法によって、試料液保持容器2のキャップをニードル70で刺してしまう等の誤動作を防止することができる。
撹拌部60Aによる試料液3の撹拌が行われない場合には、試料液保持容器2の底面及び側面における伝熱性筐体11との接触面積の違いにより、試料液保持容器2に内包される試料液3に温度ムラが発生してしまう。
これに対し、本発明の第一の実施形態に係る試料液冷却装置Aは、撹拌部60Aが試料液3を撹拌するので、試料液保持容器2に内包される試料液3の温度ムラを解消又は大幅に低減することができる。
また、試料液冷却装置Aは、撹拌部60Aが試料液保持容器2の外部から試料液3を撹拌するので、各試料液保持容器2の内部で試料液3を撹拌する場合と比べて、試料液3を容易に撹拌し、温度ムラを解消又は大幅に低減することができる。
また、試料液冷却装置Aは、サンプルラック10の中心軸O1からオフセットした偏心軸O2を軸として回動又は揺動することによって試料液4を撹拌するので、中心軸O1を軸として回動又は揺動した場合と比べて、複数の試料液保持容器2のそれぞれに内包される試料液3を好適に撹拌し、温度ムラを解消又は大幅に低減することができる。
<第二の実施形態>
続いて、本発明の第二の実施形態に係る試料液冷却装置について、図2を参照し、第一の実施形態に係る試料液冷却装置Aとの相違点を中心に説明する。なお、図2は、第二の実施形態に係る試料液冷却装置Bを図1の右側から見た図であって、サンプルラック10及びラックホルダ20を断面として描画する図である。試料液冷却装置Bは、吸気ファン52の紙面奥側に、図示されていないペルチェ素子30、放熱フィン40及び排気ファン53を備える。
図2に示すように、本発明の第二の実施形態に係る試料液冷却装置Bは、撹拌部60Aに代えて、撹拌部60Bを備える。撹拌部60Bは、通気ダクト51の左右に設けられて試料液3を試料液保持容器2の外部から撹拌するものであって、左右一対の軸部(第一の軸部)61Bと、左右一対の円板部62Bと、左右一対の軸部(第二の軸部)63Bと、左右一方のモータ64B及び左右他方の軸受部65Bと、を備える。軸部61Bの一端は、通気ダクト51の左右の一側面に固定されている。かかる軸部61Bは、ラックホルダ20の横方向(水平の一方向)に伸びる中心軸を下方に平行移動させた軸O3に沿って設けられている。円板部62Bの内側面には、軸部61Bの他端が回動可能に支持されており、円板部62Bの外側面には、軸部63Bの一端が固定されている。軸部63Bは、前記した軸O3からオフセットして横方向(軸O3と平行)に伸びる偏心軸O4に沿って設けられている。モータ64Bの回転子には、左右一方の軸部63Bの他端が固定されている。軸受部65Bには、左右他方の軸部63Bの他端が回動可能に支持されている。また、サンプルラック10、ラックホルダ20、ペルチェ素子30、放熱フィン40及び通気部50からなる組立体は、重心が高さ方向の中心よりも下方となるように構成されている。
撹拌部60Bは、モータ64Bの駆動によって、サンプルラック10、ラックホルダ20、ペルチェ素子30、放熱フィン40及び通気部50からなる組立体を、サンプルラック10が上方となる姿勢を維持したまま偏心軸O4を軸として回動又は揺動する。すなわち、撹拌部60Bは、試料液3が内包された試料液保持容器2をサンプルラック10ごと旋回させることによって、試料液3を試料液保持容器2の外部から試料液3に非接触で撹拌する。
本発明の第二の実施形態に係る試料液冷却装置Bは、撹拌部60Bが横軸周りに回動又は揺動して試料液3を上下方向にも撹拌するので、複数の試料液保持容器2のそれぞれに内包される試料液3を好適に撹拌し、温度ムラを解消又は大幅に低減することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、第二の実施形態において、左右の撹拌部60Bの位相をずらして設置する、すなわち、一方の軸部61Bを軸O3に沿って配置するとともに他方の軸部61Bを軸O3からオフセットして横方向(軸O3と平行)に延びる軸に沿って配置することによって、さらに斜め方向に試料液3を撹拌することも可能である。また、撹拌部は、サンプルラック10を旋回させることによって試料液3を撹拌するものに限定されず、例えば、サンプルラック10に振動(バイブレーション)を与えることによって試料液3を外部から試料液3に非接触で撹拌するものであってもよい。
1 試料液導入装置
10 サンプルラック
40 ペルチェ素子(冷却部)
60A,60B 撹拌部
61A,61B 軸部(第一の軸部)
63A,63B 軸部(第二の軸部)
A,B 試料液冷却装置

Claims (4)

  1. 試料液が内包される試料液保持容器が複数装填されるサンプルラックと、
    前記試料液を冷却する冷却部と、
    前記試料液を前記試料液保持容器の外部から撹拌する撹拌部と、
    を備えることを特徴とする試料液冷却装置。
  2. 前記撹拌部は、前記サンプルラックに連結された第一の軸部と、前記第一の軸部からオフセットした第二の軸部と、を備え、前記第二の軸部周りに前記サンプルラックを回動又は揺動することによって、前記試料液を撹拌する
    ことを特徴とする請求項1に記載の試料液冷却装置。
  3. 前記第一の軸部及び前記第二の軸部は、高さ方向に延びる軸である
    ことを特徴とする請求項2に記載の試料液冷却装置。
  4. 前記第一の軸部及び前記第二の軸部は、横方向に延びる軸である
    ことを特徴とする請求項2に記載の試料液冷却装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015162680A1 (ja) * 2014-04-22 2015-10-29 株式会社島津製作所 加熱温調用サンプルラック及びその加熱温調用サンプルラックを用いる試料温度調節装置
JP7532231B2 (ja) 2020-11-30 2024-08-13 シスメックス株式会社 検出方法および検出装置

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