JP2013203875A - ボールペン用油性インキ組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インキ洩れがなく、軽い書き味が得られ、筆跡のカスレがないボールペン用油性インキ組成物を得る。
【解決手段】 エチルセルロースと溶解性パラメーター(SP値)が8.0以上9.5以下で分子内にオキシプロピレン基を含有する有機溶剤と、溶解度パラメーター(SP値)が8.0以上9.5以下で分子内に水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤とを少なくとも含むことである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ボールペン用油性インキ組成物に関し、更に詳しくは、インキ洩れがなく、軽い書き味が得られ、筆跡のカスレがないボールペン用油性インキ組成物に関するものである。
ボールペン用のインキは、剪断減粘性付与剤の添加によりインキの粘度を擬塑性とすると、静置時にはインキの粘度は高粘度であるが、筆記時にはインキに付与されるボールの回転による剪断力で粘度が下がって、インキが流動して吐出する。インキ洩れの防止と軽い書き味の両立を目的に、インキにこのような剪断減粘性を付与させる技術は公知である。
中でも、特許文献1、特許文献2に記載のセルロース誘導体は、他の汎用的に使用される剪断減粘性付与剤よりも比較的少ない添加量でインキに大きな剪断減粘性を付与するので、筆記時にはボールの回転による剪断力で十分に粘度が低下して、非常に軽い筆記感を得る事が出来る。
しかし、セルロース誘導体は、水酸基同士の強い水素結合により強固に結晶化する性質を持つセルロースを誘導体化して溶媒溶解性を付与させたものであるので、置換基の大きさや構造、または置換されなかった残基によって、結晶化の性質を残した状態になっており、溶解方法が非常に難しい。結晶化の性質を残した状態のままであると、剪断減粘性の性質が弱まったり、未溶解物の詰まりによる筆跡のカスレが生じたりする事がある。
また、セルロース誘導体はインキに添加する際、インキ中の溶剤により、セルロース誘導体粒子の表面のみが素早く膨潤されることによって粒子表面のみ分子鎖が密に詰まり、それ以上の内部に溶剤が浸透し難い状態である継粉状となりやすい。粒子が継粉状になってしまうと、粒子の中心まで全体に溶剤が行き渡らずに、セルロース誘導体粒子は媒体中に溶解できず、粒子がインキ通路を塞ぐので筆跡のカスレが生じたりする。
従来、このようなセルロース誘導体のインキ中での溶解状態を適切にする試みとして、特許文献3には、ベンジルグリコール又はベンジルポリグリコールをインキ中に添加して、セルロース誘導体の分子鎖を広げて溶解させる事で、曳糸性を大きくしてボテを防止した例が、特許文献4には、多価アルコールをインキ中に添加し、セルロース誘導体を非晶質化することで溶解性を改善し、粗大な未溶解の粒子を減少させ、インキの濾過性を改善した例が開示されている。
特開2008−133385公報 特開平5−339533公報 特開2007−231139公報 特開2008−13585号公報
疎水基の小さなメチルセルロースや、特許文献1記載の発明のように、分子内の水酸基が多いヒドロキシプロピルセルロースは、水溶性の性質が強いので、有機溶剤への溶解性と保溶剤力が低く、油性インキに使用した場合、未溶解物による筆跡のカスレが生じたり、溶剤の分離現象が生じたりする問題を解決できなかった。
特許文献2から特許文献4に記載の発明では、いずれも水酸基を有する溶剤を使用しており、この溶剤の分子内にある水酸基がセルロース誘導体の分子内や分子間の水酸基同士の強い水素結合を切る事による、溶解性の改善が期待できる。
しかし、これらの使用されている溶媒は、いずれも溶解度パラメータ(分子凝集エネルギーの平方根の値)が9.6(cal/cm1/2以上である。エチルセルロースの溶解度パラメータは10.3(cal/cm1/2であり、これに近い溶解度パラメータを有する溶剤では、親和性が強く溶解性が高いが、表面のみが素早く膨潤されることによる継粉が形成されてしまい十分な溶解状態が形成できず。溶解度パラメータが11(cal/cm1/2程度と高すぎる場合には、溶剤自身の凝集力が高くなり、エチルセルロース粒子に浸透して行けず、また、溶解状態となったとしてもその状態を維持できずに不溶解物が析出することがあった。
即ち、本発明は、着色剤と、エチルセルロースと、溶解度パラメーター(SP値)が8.0(cal/cm1/2以上9.5(cal/cm1/2以下で分子内にオキシプロピレン基を含有する有機溶剤と、溶解度パラメーター(SP値)が8.0(cal/cm1/2以上9.5(cal/cm1/2以下で分子内に水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤とを少なくとも含むボールペン用油性インキ組成物を第一の要旨とし、前記溶解度パラメーター(SP値)が8.0(cal/cm1/2以上9.5(cal/cm1/2以下で分子内に水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤が、20℃において水へ無限大に溶解するものであるボールペン用油性インキ組成物を第二の要旨とし、前記溶解度パラメーター(SP値)が8.0(cal/cm1/2以上9.5(cal/cm1/2以下で分子内に水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤が、分子内にオキシエチレン基を含有しない構造であるボールペン用油性インキ組成物を第三の要旨とする。
本発明における溶解度パラメーターとは、ヒルデブラントにより提唱されたSP値を示しており(以下、単にSP値とする)、単位は(cal/cm1/2で(以下、単位は省略する)、20℃での値とする。
本発明のボールペン用油性インキ組成物は、溶剤のSP値が8.0〜9.5であることで、これら溶剤の自身の凝集力が適度であると共に、エチルセルロースとも親和性があるものである。そして、これら溶剤が、分子内にオキシプロピレン基を含有するものと、分子内に水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しないものとを併用するので、オキシプロピレン基が一時的にエチルセルロースの水素結合などの親水基や疎水骨格と弱い結合をするが、オキシプロピレン基は、エチルセルロースに対する親和性が強すぎないため、エチルセルロースの親水基や疎水骨格に強く結合するのではなく一時的に保護する状態となるものと考えられ、水酸基の水素結合を断ち切る作用そのものは阻害せず、単に進行を遅らせることができる。これにより、分子内に水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤は、樹脂に対する適度に高い溶解力があるにも関わらず、エチルセルロースの結晶化している水酸基や骨格とゆっくりとした速度で結合することにより、樹脂粒子が継粉状となるのを防ぎ、溶剤自身の浸透力も大きいので、樹脂粒子の内部まで浸透した上でエチルセルロースの水素結合を切ることができ、十分に非晶質化でき好ましい溶解状態が得られ、エチルセルロースが十分に溶解しなかったり、継粉状粒子となってインキの流れを阻害し、筆跡がカスレたり、経時的な溶剤の分離現象が抑制できるものと推察される。
また、SP値が8.0以上9.5以下で分子内に水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤が、水と無限大に混和するものであると、高湿度の環境下でインキ中に水分が吸湿しても、各成分が均一に混和するので、インキ中に水が分離層として存在することはなく、部分的なエチルセルロースの不溶解化による析出が生じない。
また、溶剤分子中にオキシエチレン基があると、オキシエチレン基同士の水素結合力により、溶剤の粘度が高くなるので、溶質に対する浸透力は低下する傾向になるが、SP値が8.0以上9.5以下で分子内に水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤が、分子内にオキシエチレン基を含有しない構造であることにより、溶質に対してより高い浸透力を有するので、エチルセルロースもより良溶解させることができる。また、オキシエチレン基の水素結合力は温度依存性が大きく、低温になると、溶剤同士の凝集力が強まることによるエチルセルロースの溶解性の低下が懸念されるが、溶剤分子内にオキシエチレン基を含有しなければ、溶剤の凝集力の温度依存性が小さくなるので、低温でも溶解性の変化が少ない。
着色材は、染料と顔料のどちらも使用でき、染料と顔料を併用することも可能であるが、剪断減粘性の性質の効果が出やすいので、少なくとも顔料を使用するのが好ましい。
着色材として、顔料を用いる場合は、従来公知の顔料を使用することができる。
有機顔料としては、C.I.PIGMENT RED2、同3、同5、同8、同17、同22、同31、同38、同41、同48:1、同48:2、同48:3、同49、同50:1、同53:1、同57:1、同58:2、同60、同63:1、同63:2、同64:1、同88、同112、同122、同123、同144、同146、同149、同166、同168、同170、同176、同177、同178、同179、同180、同185、同190、同194、同202、同206、同207、同209、同211、同213、同216、同245、同254、同255、同264、同270、同272、C.I.PIGMENT ORANGE 5、同10、同13、同16、同36、同40、同43、同61、同64、同71、同73、C.I.PIGMENT VIOLET 19、同23、同31、同33、同36、同37、同38、同50、C.I.PIGMENT BLUE 2、同9、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:5、同15:6、同16、同17、同22、同25、同28、同29、同36、同60、同66、同68、同76、C.I.PIGMENT BROWN 23、同25、同26、C.I.PIGMENT YELLOW 1、同3、同12、同13、同24、同83、同93、同94、同95、同97、同99、同108、同109、同110、同117、同120、同128、同139、同147、同151、同153、同166、同167、同173、C.I.PIGMENT GREEN 7、同10、同36、C.I.PIGMENT BLACK 7等が挙げられる。
無機顔料としては、ファーネストブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、チタンイエロー、ターコイズ、モリブデートオレンジ、酸化チタン等が挙げられる。
その他の顔料として、蛍光顔料、パール顔料、蓄光顔料、金属顔料、複合金属顔料、金属酸化物顔料等を使用しても良い。例えば、蛍光顔料としては、FZ−5012、FZ−5005、FZ−5006、FZ−5006、FZ−6011、FZ−6013、FZ−6014、FZ−6037、FZ−MB、FZ−PR、FZ−SBなどのFZ−5000/6000シリーズ(シンロイヒ(株)製)などが挙げられる。パール顔料としては、パールグレイズMRY−100や同ME−100等(日本光研化学(株)製)が挙げられる。蓄光顔料としては、GSS(根本特殊化学(株))などが挙げられる。また、金属顔料としては、筆跡の色と異なる光輝感を醸し出す目的として使用するもので、アルミニウム粉やブロンズ粉、亜鉛粉等が挙げられ、市販されているアルミニウム粉末としては、スーパーファインNo.22000、同No.18000、ファインNo.900、同No.800(以上、大和金属粉工業(株)製)等が挙げられる。
これらの顔料は、1種又は2種以上混合して使用することができ、その使用量は、着色剤として顔料単独で使用する場合、インキ組成物全量に対して10〜60重量%が好ましい。
顔料の分散効率を上げるため、高分子化合物中に顔料をあらかじめ微分散したものを粒子化したものを使用しても良い。特に、このような加工顔料を用いた場合は、製造上容易に分散できるので、製造上有用な手段として用いることが出来る。一例を挙げると、マイクロリス Yellow 2G−T、同Yellow 3R−T、同Brown 5R−T、同Scarlet R−T、同Red BR−T、同Blue GS−T、同Green G−T、同Black C−T(ロジンエステル樹脂に微分散させた顔料、BASF社製、ドイツ)、マイクロリス Yellow 4G−A、同Yellow MX−A、同Yellow 2R−A、同Brown 5R−A、同Scarlet R−A、同 Red 2C−A、同Red 3R−A、同Magenta 2B−A、同Violet B−A、同Blue 4G−A、同Green G−A、同Black C−A、同White R−A(エチルセルロース樹脂に微分散させた顔料、BASF社製、ドイツ)、L1/SイエローNIF、L1/8レッドF3RK−70、L1/8バイオレットRN50、L1/8オレンジ501、L1/8ブラウン5R、L1/8ブラックMA100、NC790ホワイト(ニトロセルロース樹脂に微分散させた顔料、太平化学製品(株)製)等が挙げられる。
これらの加工顔料は、1種又は2種以上混合して使用することができ、また、上述の各種顔料とも併用することもできる。その使用量は、着色剤として加工顔料単独で使用する場合、顔料分として、インキ組成物全量に対して10〜60重量%である。
着色材として染料を用いる場合は、従来公知の染料を使用することができ、具体例として、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、C.I.ダイレクトイエロー4、同26、同44、同50、C.I.ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同41、同71、同86、同87、同106、同108、同199等の直接染料や、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、C.I.アシッドイエロー1、同7、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同61、同72、同78、同110、同127、同135、同141、同142、C.I.アシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同51、同52、同57、同82、同83、同87、同92、同94、同111、同129、同131、同138、同186、同249、同254、同265、同276、C.I.アシッドバイオレット15、同17、同49、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同100、同103、同104、同112、同113、同158、C.I.アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27、C.I.アシッドオレンジ56等の酸性染料、C.I.フードイエロー3等の食用染料、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、ローダミンF4G(C.I.45160)、ローダミン6GCP(C.I.45160)等の塩基性染料等が挙げられる。
これらは、1種もしくは2種以上混合して用いることが出来、その使用量は、着色剤が染料単独の場合、使用インキ組成物全量に対して10〜60重量%である。
尚、上記染料、有機顔料、無機顔料、加工顔料等を混合して使用した場合の使用量は着色剤成分全量として、使用インキ組成物全量に対して10〜60重量%である。
エチルセルロースの市販品としては、エトセル4、同7、同10、同14、同20、同45、同70、同100、同200、同300(ダウ・ケミカル日本(株)製)、AQUALON N50、同N100、同N200、同N300(アシュランド社製、アメリカ合衆国)等が挙げられる。
また、前述したが、エチルセルロース中に顔料をあらかじめ微分散したものを粒子化したものを使用しても良い。具体例を挙げると、マイクロリス Yellow 4G−A、同Yellow MX−A、同Yellow 2R−A、同Brown 5R−A、同Scarlet R−A、同 Red 2C−A、同Red 3R−A、同Magenta
2B−A、同Violet B−A、同Blue 4G−A、同Green G−A、同Black C−A、同White R−A(エチルセルロース樹脂に微分散させた顔料、BASF社製、ドイツ)等が挙げられる。
エチルセルロースは、セルロースの水酸基をエチル基で置換した構造であるので、セルロースの結晶化への最も強い結合力となる水素結合部分が減少すると共に、置換基のエチル基が有機溶剤への親和性が高く、SP値も10.3とセルロース誘導体の中では最も小さい。このため、セルロース誘導体の中でも最も有機溶剤への溶解性と保溶剤力が高く、本発明において、SP値が8.0以上9.5以下で分子内にオキシプロピレン基を含有する有機溶剤と、SP値が8.0以上9.5以下で分子内に水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤と併用することにより、インキ洩れがなく、軽い書き味が得られ、筆跡のカスレがない、油性インキ組成物を得ることができた。
また、エチルセルロースを、エチルセルロース中に顔料をあらかじめ微分散したものを粒子化したものとしてインキ中に添加すると、インキ中で、顔料がエチルセルロースを担持して、インキにさらに大きな剪断減粘性が付与されることにより、極めて軽い書き味が得られ、また、エチルセルロースが顔料の分散も補助する形となるので、顔料の沈降も抑えられることにより、ペン先を下向きに静置していたときに、固形分が多くなることによる書き味の悪化や筆跡のカスレが生じにくくなる。
エチルセルロースの使用量は、インキ全体に対してエチルセルロースを1%以上含み、顔料の量をエチルセルロースの4.5倍以上にすれば、静置時のインキの粘度が高くなり、且つ大きな剪断減粘性を有することで、洩れの防止と極めて軽い書き味が得られ、エチルセルロースが顔料の分散を十分に補助できるので、顔料分散性、顔料分散安定性も良好になるので好ましい。具体的な粘度としては、静置時に近い剪断速度0.01s−1において、500000mPa・s以上にする事で、インキは流動しにくい状態となり、さらに好ましくは、1000000mPa・s以上にする事で、インキはほとんど流動しない状態となるので、重力による影響を考慮しなくて良くなり、ペン先を下向きに静置していたときに、固形分が多くなることによる書き味の悪化や筆跡のカスレが生じにくくなる。また、インキ中のエチルセルロースの量が10重量%より多くなると、インキ全体に対する増粘剤量が多すぎることにより、増粘剤を溶解させるために他の固形分材料、例えば、着色材や定着剤や機能性添加剤の添加量に制約が生じ、ボールペンとしての全体の品質特性のバランスを取り辛くなるので、エチルセルロースの添加量は10重量%以下にするのが好ましい。
SP値が8.0以上9.5以下で分子内にオキシプロピレン基を含有する有機溶剤としては、プロピレングリコールノルマルプロピルエーテル(SP値9.4)、プロピレングリコールノルマルブチルエーテル(SP値8.9)、プロピレングリコールジアセテート(SP値8.9)、ジプロピレングリコールノルマルメチルエーテル(SP値9.1)、ジプロピレングリコールノルマルプロピルエーテル(SP値8.6)、ジプロピレングリコールノルマルブチルエーテル(SP値8.2)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(SP値8.2)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(SP値8.6)、トリプロピレングリコールノルマルメチルエーテル(SP値9.1)、トリプロピレングリコールノルマルブチルエーテル(SP値8.1)等が挙げられる。
オキシプロピレン基を含有する溶剤分子においては、エチルセルロースの水酸基などの親水基と疎水骨格の両方に親和性があるオキシプロピレン基の吸着確立が最も高いので、溶剤分子内に水酸基を含有していても、含有していなくても、オキシプロピレン基がエチルセルロースの水素結合などの親水基や疎水骨格を一時的に保護する作用に何ら差し支えない。
配合量は特に制限はないが、インキ中に1重量%以下であるとエチルセルロースの溶解性を向上させるのに十分な効果が得られないので1重量%以上の添加が望ましい。
SP値が8.0以上9.5以下で分子内に水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤は、エチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル(SP値9.0、20℃における水への溶解性0.2%、分子内にオキシエチレン基を含有する)、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル(SP値9.2、20℃における水への溶解性0.3%、分子内にオキシエチレン基を含有する)、エチレングリコールイソプロピルエーテル(SP値9.2、20℃における水への溶解性無限大、分子内にオキシエチレン基を含有する)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値9.5、20℃における水への溶解性無限大、分子内にオキシエチレン基を含有する)、ジエチレングリコールイソブチルエーテル(SP値8.7、20℃における水への溶解性無限大、分子内にオキシエチレン基を含有する)等が分子内にオキシエチレン基を含有しない有機溶剤の具体例として挙げられ、2−エチルヘキサノール(SP値9.5、20℃における水への溶解性0.1%、分子内にオキシエチレン基を含有しない)、3−メトキシ−3−メチルブタノール(SP値9.3、20℃における水への溶解性無限大、分子内にオキシエチレン基を含有しない)、ラウリルアルコール(SP値8.1)やトリメチル−3,5,5−ヘキサノール(SP値8.4)などのSP値が8.0以上9.5以下である炭素数9以上の一価のアルキルアルコール(いずれも水への溶解性0.1%以下、分子内にオキシエチレン基を含有しない)等が分子内にオキシエチレン基を含有しない有機溶剤の具体例として挙げられる。
前述したように、分子内に水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤は、水と無限大に混和するものであると、高湿度の環境下でインキ中に水分が吸湿しても、各成分が均一に混和するので、インキ中に水が分離層として存在することはなく、部分的なエチルセルロースの不溶解化が生じないので好ましい。また、分子内にオキシエチレン基を含有しない構造であれば、溶質に対してより高い浸透力を有し、温度変化に依存した溶解性の変化が少ないので、経時でのエチルセルロースの析出による筆跡のカスレや、ペン先を下向きにして放置したときに固形物が沈降して、ペン先に固形分が多くなることによる書き味の悪化が生じないので好ましい。
配合量は特に制限はないが、インキ中に1重量%以下であるとエチルセルロースの溶解性を向上させるのに十分な効果が得られないので1重量%以上の添加が望ましい。
分子内にオキシプロピレン基を含有する有機溶剤と、分子内に水素結合を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤のインキ中の合計が、インキ中の全溶剤に対して10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上であると、エチルセルロースの溶解性が向上することにより、より短時間で効率良くエチルセルロースを良溶解させることができる。
また、オキシプロピレン基を含有する有機溶剤と、水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤の配合比率は50:1〜1:1であれば、水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤による十分な溶解性と、分子内にオキシプロピレン基を含有する有機溶剤のエチルセルロースを保護する効果のバランスが良く、エチルセルロースをより溶解させやすくなるので好ましい。
また、上記有機溶剤以外に従来公知のボールペン用有機溶剤を併用しても良い。ペン先の乾燥性を考慮して沸点が150℃以上であること望ましく、150℃以下のものを用いた場合は、製品形体がキャップ式ならば、使用できる。例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルグリコール、プロピレングリコールノルマルブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、等のグリコールエーテル系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等のグリコール系溶剤、酢酸−2−エチルへキシル、イソ酪酸イソブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、等のエステル系溶剤、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、イソドデシルアルコール、イソトリドデシルアルコール、等のアルコール系溶剤等が使用可能である。
これらは、単独で用いても2種以上混合して用いても良く、配合量は、上記溶剤に、SP値が8.0以上9.5以下で分子内にオキシプロピレン基を含有する有機溶剤と、SP値が8.0以上9.5以下で分子内に水素結合を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤とを合わせた全溶剤量が、インキ全量に対し20〜90重量%好ましくは35〜75重量%である。
また、SP値が8.0以上9.5以下で分子内にオキシプロピレン基を含有する有機溶剤と、SP値が8.0以上9.5以下で分子内に水素結合を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤の合計は、全溶剤中の10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上であれば、エチルセルロースの量に対して、オキシプロピレン基を含有する有機溶剤と、水素結合を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤の量が十分となり、エチルセルロースの水素結合などの親水基や疎水骨格を十分に保護し、水素結合を非晶質化する溶剤の機能がより十分に得られることにより、エチルセルロースの溶解性がさらに良好なものとなるので好ましい。
また、通常ボールペンインキ組成物に定着剤や分散剤として使用されている樹脂、例えばケトン樹脂、スルフォアミド樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレンとアクリル酸又はそのエステルとの共重合体、エステルガム、キシレン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂やその水添化合物、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を併用することが出来る。これらの樹脂は単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良く、その配合量は、インキ組成物全量に対して、0.1〜15重量%範囲である。
これらの樹脂は、インキ組成物の粘度を調整したり、固着性、耐水性等を向上させたりする作用がある。
その他必要に応じて、防腐剤、防錆剤、消泡剤、潤滑剤、分散剤、カスレ防止剤、洩れ防止剤、界面活性剤等のインキ組成物に慣用されている助剤を含有させても良い。
例えば、顔料の分散性を良好なものとするために、アニオン、カチオン、ノニオン、両性の界面活性剤や、高分子樹脂を補助的に使用することができる。具体的には、高級脂肪酸、高級アルコール硫酸エステル塩類、脂肪酸硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸類、リン酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル類等のアニオン、ノニオン、カチオン性の界面活性剤や、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体樹脂などの顔料分散用の樹脂やオリゴマーなどが挙げられる。
また、リン酸エステル系化合物、不飽和脂肪酸、硬化ひまし油などの潤滑剤や、ベンゾトリアゾール、金属塩系、リン酸エステル系化合物などの防錆剤や、イソチアゾロン、オキサゾリジン系化合物などの防腐剤や、シリコン系、鉱物油、フッ素系化合物などの消泡剤や、グリセリン、ソルビタン系、多糖類、尿素、エチレン尿素またはこれらの誘導体などの湿潤剤や、アセチレングリコール、アセチレンアルコールおよびシリコン系界面活性剤などのレベリング性付与剤や、凍結防止剤などの従来公知のインキ用添加剤を併用することも可能である。
また、顔料を分散するには汎用されている一般的な方法を用いることが可能である。例えば、顔料と溶剤と分散剤を混合し、プロペラ撹拌機等で均一に撹拌した後、分散機で顔料を分散する。ロールミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ホモジナイザー等の分散機はインキの水や有機溶媒の量、顔料濃度によって適宜選択する。
本発明において顔料を分散するには通常一般的な方法で可能である。例えば、顔料と溶剤と分散剤を混合し、プロペラ撹拌機等で均一に撹拌した後、分散機で顔料を分散する。ロールミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ホモジナイザー等の分散機は油性インキ組成物の溶剤量や、顔料濃度によって適宜選択する。
油性インキ組成物を製造するには、上記で分散した顔料と他の成分、例えば粘度調整用樹脂や溶剤、定着剤、潤滑剤、他添加剤等を混合し、ダイノーミル、ボールミル、ロールミル、アトライター、サンドグラインダー、ターボミキサー、ラボミキサー、ホモミキサー、等の撹拌機にて均一になるまで溶解・混合することで得られるが、場合によって混合した油性インキ組成物をさらに分散機にて分散したり、得られた油性インキ組成物を濾過や遠心分離機に掛けて粗大粒子や不溶解成分を除いたりすることは何ら差し支えない。
また、エチルセルロースは、SP値が8.0以上9.5以下で分子内にオキシプロピレン基を含有する有機溶剤に先に溶解させるか、少なくとも他のインキ中の溶剤との混合溶剤として同時に溶解させることで、オキシプロピレン基を含有する有機溶剤が、一時的にエチルセルロースの水素結合などの親水基や疎水骨格を保護する作用が得られる。
(実施例1)
Printex G(カーボンブラック、エボニック・デグサ・ジャパン(株)製)
19.90重量部
マイクロリス BLACK C−A(顔料をエチルセルロースキャリアーに微分散させた加工顔料、顔料とエチルセルロースとの比率が6:4、BASF社製、ドイツ)
14.20重量部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、分散剤、積水化学(株)製)
2.80重量部
ハイラック 901(ケトン樹脂、日立化成工業(株)製) 5.00重量部
PVP K−90(ポリビニルピロリドン、ISPジャパン(株)製) 0.40重量部
3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(SP値9.3、分子内に水酸基を含有し、オキシプロピレン基及びオキシエチレン基を含有しない有機溶剤) 10.00重量部
トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(SP値8.1、分子内にオキシプロピレン基を含有する有機溶剤) 18.10重量部
ヘキシレングリコール(SP値10.5、分子内に水酸基を含有し、オキシプロピレン基及びオキシエチレン基を含有しない有機溶剤) 17.3重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値10.7、分子内に水酸基を含有し、オシプロピレン基を含有せずオキシエチレン基を含有する有機溶剤) 7.30重量部
フェニルグリコール(SP値11.5、分子内に水酸基を含有し、オシプロピレン基を含有せずオキシエチレン基を含有する有機溶剤) 5.00重量部
上記成分中のPrintex GとエスレックBL−1と全ての溶剤成分を加熱攪拌した後、ビーズミルで1時間分散し、黒色の顔料ベースを得た。その黒色顔料ベースに残りの材料を添加し、1時間加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が2008000mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が1502mPa・sの黒色インキを得た。
(実施例2)
三菱カーボンブラック#25(カーボンブラック、三菱化学(株)製)23.70重量部
エスレックBL−1(前述) 3.32重量部
エトセル20(エチルセルロース、ダウ・ケミカル日本(株)製) 5.13重量部
ハイラック 901(前述) 5.00重量部
PVP K−90(前述) 0.40重量部
3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(前述) 39.78重量部
プロピレングリコールモノプロピルエーテル(SP値9.4、分子内にオキシプロピレン基を含有する有機溶剤) 15.38重量部
へキシレングリコール(前述) 7.30重量部
上記成分中の三菱カーボンブラック#25とエスレックBL−1と全ての溶剤成分を加熱攪拌した後、ビーズミルで1時間分散し、黒色の顔料ベースを得た。その黒色顔料ベースに残りの材料を添加し、1時間加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が3358000mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が831mPa・sの黒色インキを得た。
(実施例3)
三菱カーボンブラック#25(前述) 19.90重量部
マイクロリス BLACK C−A(前述) 14.20重量部
エスレックBL−1(前述) 2.80重量部
ハイラック 901(前述) 5.00重量部
PVP K−90(前述) 0.40重量部
3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(前述) 28.30重量部
トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(前述) 29.4重量部
上記成分中の三菱カーボンブラック#25とエスレックBL−1と全ての溶剤成分を加熱攪拌した後、ビーズミルで1時間分散し、黒色の顔料ベースを得た。その黒色顔料ベースに残りの材料を添加し、1時間加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が1102000mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が859mPa・sの黒色インキを得た。
(実施例4)
三菱カーボンブラック#25(前述) 19.90重量部
マイクロリス BLACK C−A(前述) 14.20重量部
エスレックBL−1(前述) 2.80重量部
ハイラック 901(前述) 5.00重量部
PVP K−90(前述) 0.40重量部
3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(前述) 1.00重量部
トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(前述) 50.00重量部
フェニルグリコール(前述) 6.70重量部
上記成分中の三菱カーボンブラック#25とエスレックBL−1と全ての溶剤成分を加熱攪拌した後、ビーズミルで1時間分散し、黒色の顔料ベースを得た。その黒色顔料ベースに残りの材料を添加し、1時間加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が1200560mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が1002mPa・sの黒色インキを得た。
(実施例5)
三菱カーボンブラック#25(前述) 21.10重量部
エトセル4(エチルセルロース、ダウ・ケミカル日本(株)製) 10.00重量部
エスレックBL−1(前述) 2.80重量部
PVP K−90(前述) 0.40重量部
3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(前述) 16.20重量部
トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(前述) 35.00重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(前述) 15.00重量部
上記成分中の三菱カーボンブラック#25とエスレックBL−1と全ての溶剤成分を加熱攪拌した後、ビーズミルで1時間分散し、黒色の顔料ベースを得た。その黒色顔料ベースに残りの材料を添加し、1時間加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が560700mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が12540mPa・sの黒色インキを得た。
(実施例6)
LIONOL BLUE E(青色顔料、Pigment blue 15:6、東洋インキ(株)製) 18.02重量部
マイクロリスブルー 4G−A(顔料をエチルセルロースキャリアーに微分散させた加工顔料、顔料とエチルセルロースとの比率が6:4、BASF社製、ドイツ)
14.20重量部
ソルスパース12000(顔料誘導体、ルーブリゾール社製、アメリカ合衆国)
1.78重量部
ソルスパース20000(分散剤、ルーブリゾール社製、アメリカ合衆国)
7.13重量部
SKレジン(ケトン樹脂、(ケトン樹脂、エボニック・デグサ・ジャパン(株)製)
10.56重量部
PVP K−90(前述) 0.40重量部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値9.5、分子内に水酸基を含有し、オシプロピレン基を含有せずオキシエチレン基を含有する有機溶剤) 7.13重量部
ジプロピレングリコールノルマルブチルエーテル(SP値8.2、分子内にオキシプロピレン基を含有する有機溶剤) 17.10重量部
フェニルグリコール(前述) 23.68重量部
上記成分中のLIONOL BLUE Eとソルスパース12000とソルスパース20000と全ての溶剤成分を加熱攪拌し、ビーズミルで1時間分散し、青色の顔料ベースを得た。その青色顔料ベースに残りの材料を添加し、1時間加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が10009000mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が2940mPa・sの青色インキを得た。
(実施例7)
FUJI RED #8800(赤色顔料、Pigment red 254、冨士色素(株)製) 19.80重量部
マイクロリスレッド 3R−A(顔料をエチルセルロースキャリアーに微分散させた加工顔料、顔料とエチルセルロースとの比率が6:4、BASF社製、ドイツ)
14.20重量部
エスレックBL−1(前述) 4.95重量部
SKレジン(前述) 3.30重量部
PVP K−90(前述) 0.40重量部
ジエチレングリコールイソブチルエーテル(SP値8.7、分子内に水酸基を含有し、オシプロピレン基を含有せずオキシエチレン基を含有する有機溶剤) 36.08重量部
トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(前述) 2.30重量部
ヘキシレングリコール(前述) 18.98重量部
上記各成分のFUJI RED #8800とエスレックBL−1と全ての溶剤成分を加熱攪拌し、ビーズミルで1時間分散し、赤色の顔料ベースを得た。その赤色顔料ベースに残りの材料を添加し、1時間加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が566000mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が1650mPa・sの赤色インキを得た。
(実施例8)
ニグロシンベースEX(油溶性染料、オリエント化学工業(株)製) 18.00重量部
スピロンバイオレット(油溶性染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 9.00重量部
スピロンイエローC−2GH(油溶性染料、保土ヶ谷化学工業(株)製)4.00重量部
エトセル20(前述) 3.80重量部
ハイラック901(前述) 8.00重量部
PVP K−90(前述) 0.40重量部
エチレングリコールイソプロピルエーテル(SP値9.2、分子内に水酸基を含有し、オシプロピレン基を含有せずオキシエチレン基を含有する有機溶剤) 11.50重量部
プロピレングリコールノルマルブチルエーテル(SP値8.9、分子内にオキシプロピレン基を含有する有機溶剤) 15.30重量部
ベンジルアルコール(SP値12.1、分子内に水酸基を含有し、オキシプロピレン基及びオキシエチレン基を含有しない有機溶剤) 30.00重量部
上記成分の混合物を加熱攪拌し、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が34000mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が438mPa・sの黒色インキを得た。
(実施例9)
三菱カーボンブラック#25(前述) 19.90重量部
マイクロリス BLACK C−A(前述) 14.20重量部
エスレックBL−1(前述) 2.80重量部
ハイラック 901(前述) 5.00重量部
PVP K−90(前述) 0.40重量部
エチレングリコールイソプロピルエーテル(前述) 1.00重量部
トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(前述) 5.00重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(前述) 45.00重量部
フェニルグリコール(前述) 6.70重量部
上記成分中の三菱カーボンブラック#25とエスレックBL−1と全ての溶剤成分を加熱攪拌した後、ビーズミルで1時間分散し、黒色の顔料ベースを得た。その黒色顔料ベースに残りの材料を添加し、1時間加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が740000mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が430mPa・sの黒色インキを得た。
(実施例10)
三菱カーボンブラック#25(前述) 21.10重量部
AQUALON N200(エチルセルロース、アシュランド社製、アメリカ合衆国)
0.50重量部
エスレックBL−1(前述) 2.80重量部
ハイラック 901(前述) 5.00重量部
PVP K−90(前述) 0.40重量部
エチレングリコールイソプロピルエーテル(前述) 4.00重量部
ジプロピレングリコールジブチルエーテル(SP値8.2、分子内にオキシプロピレン基を含有する有機溶剤) 15.00重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(前述) 45.00重量部
フェニルグリコール(前述) 6.70重量部
上記成分中の三菱カーボンブラック#25とエスレックBL−1と全ての溶剤成分を加熱攪拌した後、ビーズミルで1時間分散し、黒色の顔料ベースを得た。その黒色顔料ベースに残りの材料を添加し、1時間加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が7800mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が253mPa・sの黒色インキを得た。
(実施例11)
三菱カーボンブラック#25(前述) 21.10重量部
AQUALON N200(エチルセルロース、アシュランド社製、アメリカ合衆国)
0.50重量部
エスレックBL−1(前述) 2.80重量部
ハイラック 901(前述) 5.00重量部
PVP K−90(前述) 0.40重量部
ラウリルアルコール(SP値8.1、分子内に水酸基を含有し、オシプロピレン基及びオキシエチレン基を含有しない有機溶剤) 1.00重量部
トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(前述) 38.00重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(前述) 25.00重量部
フェニルグリコール(前述) 6.70重量部
上記成分中の三菱カーボンブラック#25とエスレックBL−1と全ての溶剤成分を加熱攪拌した後、ビーズミルで1時間分散し、黒色の顔料ベースを得た。その黒色顔料ベースに残りの材料を添加し、1時間加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が12500mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が783mPa・sの黒色インキを得た。
(実施例12)
Printex G(前述) 22.90重量部
エスレックBL−1(前述) 3.20重量部
エトセル200(エチルセルロース、ダウ・ケミカル日本(株)製) 3.00重量部
ハイラック901(前述) 4.50重量部
PVP K−90(前述) 0.40重量部
エチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル(SP値9、分子内に水酸基を含有し、オシプロピレン基を含有せずオキシエチレン基を含有する有機溶剤) 38.40重量部
トリプロピレングリコールノルマルブチルエーテル(前述) 20.50重量部
フェニルグリコール(前述) 7.10重量部
成分中Printex GとエスレックBL−1と全ての溶剤成分を加熱攪拌し、ビーズミルで1時間分散し、黒色の顔料ベースを得た。その黒色の顔料ベースに残りの材料を添加し、1時間加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が1208750mPa・s、剪断速度10000sec−1の粘度が402mPa・sの黒色インキを得た。
(実施例13)
Printex G(前述) 19.90重量部
マイクロリス BLACK C−A(前述) 14.20重量部
エスレックBL−1(前述) 2.80重量部
ハイラック 901(前述) 5.00重量部
PVP K−90(前述) 0.40重量部
エチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル(前述) 5.00重量部
トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(前述) 27.10重量部
ヘキシレングリコール(前述) 17.30重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(前述) 11.30重量部
フェニルグリコール(前述) 5.00重量部
上記成分中のPrintex GとエスレックBL−1と全ての溶剤成分を加熱攪拌した後、ビーズミルで1時間分散し、黒色の顔料ベースを得た。その黒色顔料ベースに残りの材料を添加し、1時間加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が2980030mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が1890mPa・sの黒色インキを得た。
(実施例14)
Printex G(前述) 19.90重量部
マイクロリス BLACK C−A(前述) 14.20重量部
エスレックBL−1(前述) 2.80重量部
ハイラック 901(前述) 5.00重量部
PVP K−90(前述) 0.40重量部
ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル(SP値9.3、分子内に水酸基を含有し、オキシプロピレン基を含有せずオキシエチレン基を含有する有機溶剤)
1.00重量部
トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(前述) 27.10重量部
ヘキシレングリコール(前述) 17.3重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(前述) 7.30重量部
フェニルグリコール(前述) 5.00重量部
上記成分中のPrintex GとエスレックBL−1と全ての溶剤成分を加熱攪拌した後、ビーズミルで1時間分散し、黒色の顔料ベースを得た。その黒色顔料ベースに残りの材料を添加し、1時間加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が3547500mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が2309mPa・sの黒色インキを得た。
(実施例15)
Printex G(前述) 19.90重量部
マイクロリス BLACK C−A(前述) 14.20重量部
エスレックBL−1(前述) 2.80重量部
ハイラック 901(前述) 5.00重量部
PVP K−90(前述) 0.40重量部
エチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル(前述) 10.00重量部
トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(前述) 10.00重量部
ヘキシレングリコール(前述) 17.30重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(前述) 13.40重量部
フェニルグリコール(前述) 15.00重量部
上記成分中のPrintex GとエスレックBL−1と全ての溶剤成分を加熱攪拌した後、ビーズミルで1時間分散し、黒色の顔料ベースを得た。その黒色顔料ベースに残りの材料を添加し、1時間加熱撹拌し、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が1907500mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が1309mPa・sの黒色インキを得た。
(比較例1)
実施例2のエトセル20をメトローズSM−1500(メチルセルロース、信越化学工業(株)製)に置き換えた以外は、同様にして、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が25020mPa・s、剪断速度10000sec−1の粘度が15500mPa・sの黒色インキを得た。
(比較例2)
実施例2のエトセル20をKLUCEL−H(ヒドロキシプロピルセルロース、アシュランド社製、アメリカ合衆国)に置き換えた以外は、同様にして、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が98000mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が2835mPa・sの黒色インキを得た。
(比較例3)
実施例1の3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールをジエチレングリコールジエチルエーテル(SP値8.6、分子内に水酸基を含有しない有機溶剤)に置き換えた以外は、同様にして、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が1622000mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が1536mPa・sの黒色インキを得た。
(比較例4)
Printex G(前述) 19.90重量部
マイクロリス BLACK C−A(前述) 14.20重量部
エスレックBL−1(前述) 2.80重量部
ハイラック 901(前述) 5.00重量部
PVP K−90(前述) 0.40重量部
ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(SP値8.1、分子内に水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有する有機溶剤) 45.40重量部
フェニルグリコール(前述) 12.30重量部
上記成分中のPrintex GとエスレックBL−1と全ての溶剤成分を加熱攪拌し、ビーズミルで1時間分散し、黒色の顔料ベースを得た。その黒色顔料ベースに残りの材料を添加し、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が1921000mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が2506mPa・sの黒色インキを得た。
(比較例5)
Printex G(前述) 19.90重量部
マイクロリス BLACK C−A(前述) 14.20重量部
エスレックBL−1(前述) 2.80重量部
ハイラック 901(前述) 5.00重量部
PVP K−90(前述) 0.40重量部
エチレングリコールモノヘキシルエーテル(SP値9.6、分子内に水酸基を含有し、オシプロピレン基を含有せずオキシエチレン基を含有する有機溶剤) 28.30重量部
トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(前述) 24.4重量部
フェニルグリコール(前述) 12.30重量部
上記成分中のPrintex GとエスレックBL−1と全ての溶剤成分を加熱攪拌し、ビーズミルで1時間分散し、黒色の顔料ベースを得た。その黒色顔料ベースに残りの材料を添加し、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が2580000mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が3935mPa・sの黒色インキを得た。
(比較例6)
Printex G(前述) 19.90重量部
マイクロリス BLACK C−A(前述) 14.20重量部
エスレックBL−1(前述) 2.80重量部
ハイラック 901(前述) 5.00重量部
PVP K−90(前述) 0.40重量部
エチレングリコールイソプロピルエーテル(前述) 45.40重量部
フェニルグリコール(前述) 12.30重量部
上記成分中のPrintex GとエスレックBL−1と全ての溶剤成分を加熱攪拌し、ビーズミルで1時間分散し、黒色の顔料ベースを得た。その黒色の顔料ベースに残りの材料を添加し、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が890400mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が875mPa・sの黒色インキを得た。
(比較例7)
Printex G(前述) 19.90重量部
マイクロリス BLACK C−A(前述) 14.20重量部
エスレックBL−1(前述) 2.80重量部
ハイラック 901(前述) 5.00重量部
PVP K−90(前述) 0.40重量部
エチレングリコールイソプロピルエーテル(前述) 28.30重量部
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値9.6、分子内にオキシプロピレン基を含有する有機溶剤) 17.10重量部
フェニルグリコール(前述) 12.30重量部
上記成分中のPrintex GとエスレックBL−1と全ての溶剤成分を加熱攪拌し、ビーズミルで1時間分散し、黒色顔料ベースを得た。その黒色顔料ベースに残りの材料を添加し、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が7602000mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が934mPa・sの黒色インキを得た。
(比較例8)
実施例1のトリプロピレングリコールモノブチルエーテルをジエチレングリコールジエチルエーテル(SP値8.6、分子内にオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤)に置き換えた以外は、同様にして、25℃において剪断速度0.01sec−1での粘度が1007800mPa・s、剪断速度10000sec−1での粘度が890mPa・sの黒色インキを得た。
以上、実施例、比較例で得られたインキ組成物を市販の油性ボールペン(ボール径0.7mm、BK70、ぺんてる(株)製)と同様の筆記具に0.3g充填し、試験サンプルとした。
但し、実施例1〜7、及び、実施例9、及び、実施例13〜15、及び、比較例2〜8は、インキが高粘度のため、上記サンプルにバネや圧縮空気等で加圧している状態で筆記できるように工夫改造して、螺旋筆記試験機にてインキ吐出量が0.032±0.005g/200mとなるように加圧力を調整し、同様の評価を実施した。
螺旋筆記試験機の筆記条件は、筆記速度7cm/sec、筆記角度70°、筆記荷重150gで行った。試験項目としては、インキ洩れ、書き味の軽さ(筆記抵抗値)、筆跡のカスレの有無の評価を実施した。
インキ洩れ:実施例と比較例のインキを充填した各ボールペンサンプルを、n=10本ずつ、ペン先が接触しない状態で下向きにした状態で室温に1日静置し、ペン先から洩れ出たインキ付着長さを測定し、n=10本の平均値を算出した。
書き味の軽さ(筆記抵抗値):実施例と比較例のインキを充填した各ボールペンサンプルをn=5本ずつ(株)トリニティーラボ製のTribo−master(Type:TL201Sa)にて、筆記速度7cm/sec、筆記角度70°、筆記荷重150gの筆記条件で、それぞれ15cm筆記させた時の筆記抵抗値を測定した。なお、筆記抵抗値の測定においては、測定周波数200Hzにて2秒間測定を行ったデータを平均して、検体に対する平均筆記抵抗値を算出し、更に5本の検体に対する各平均筆記抵抗値からn=5本の平均値を算出して各実施例、比較例の筆記抵抗値とした。
筆跡のカスレ:実施例と比較例のインキを充填した各ボールペンサンプルをn=10本ずつ螺旋筆記試験機にて筆記させ、筆跡のカスレ個所を目視で計測し、n=10本の平均値を算出した。螺旋筆記の条件は、筆記速度7cm/sec、筆記角度70°、荷重150gで、200m筆記させたときの100〜200mの筆跡におけるカスレの計測値を採用した。
経時安定性:実施例と比較例のインキを充填したボールペンサンプルのペン先を出したままの状態で、80℃80%と−20℃の恒温室それぞれの条件においてn=10本ずつペン先を上向きにした状態で2週間保管した。その後、螺旋筆記試験機にて筆記させ、筆跡のカスレ個所を目視で計測し、n=10本の平均値を算出した。螺旋筆記の条件は、筆記速度7cm/sec、筆記角度70°、荷重150gで、200m筆記させたときの100〜200mの筆跡におけるカスレの計測値を採用した。
Figure 2013203875
実施例1〜15では、エチルセルロースの樹脂粒子内部まで溶剤が浸透し、かつ、十分に非晶質化することで良溶解できたので、大きな剪断減粘性が得られ、洩れの防止と軽い書き味を両立でき、さらに、筆跡のカスレも生じない良好な油性インキ組成物が得られた。
実施例6〜15は分子内に水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤がエチルセルロースの水素結合などの親水基と疎水骨格を一時的に保護することで、水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤がエチルセルロースの結晶化している水酸基や骨格とゆっくりとした速度で結合することにより、樹脂粒子が継粉状となるのを防ぎ、溶剤自身の浸透力も大きいので、樹脂粒子の内部まで浸透した上でエチルセルロースの水素結合を切ることができ、十分に非晶質化でき好ましい溶解状態が得られ、インキ洩れと筆跡のカスレがなく、軽い書き味の油性インキ組成物が得られた。
特に、実施例1〜10では、分子内に水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤が水と無限大に混和するので、経時でインキ中に水分が吸湿した時にも部分的なエチルセルロースの不溶解化による析出が生じていないものと考えられ、インキ洩れと筆跡のカスレがなく、さらに軽い書き味の油性インキ組成物が得られた。
さらに、実施例1〜5のボールペン用油性インキ組成物は、分子内に水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤が、水と無限大に混和し、分子内にオキシエチレン基を含有しない構造であるので、吸湿や温度によってエチルセルロースの溶解性が影響を受けにくく、吸湿や温度変化によるエチルセルロースの析出による筆跡のカスレが生じにくくなり、インキ洩れと筆跡のカスレがなく、極めて軽い書き味の油性インキ組成物が得られた。
これに対して、比較例1〜8のボールペン用油性インキ組成物は、セルロース誘導体の溶解性が不十分である事により、筆跡のカスレが生じた。
比較例6において、エチレングリコールイソプロピルエーテルはSP値が8.0以上9.5以下であり、分子内に水酸基を含有するが、分子内にオキシプロピレン基を含有する有機溶剤と併用していないため、エチルセルロースの十分な溶解性は得られなかった。それは、溶剤に水酸基を含有すると、水酸基が樹脂粒子表面のエチルセルロースの水素結合を切って非晶質化することで、ポリマー鎖を束ねている結合部分が解放され、ポリマー鎖が解れて、樹脂粒子の表面がより膨潤しやすくなるので、分子内にオキシプロピレン基を含有する有機溶剤による溶解速度を遅くさせる作用がないと、継粉状になるのを完全にはなくせなかったためであると推測された。
以上、詳細に説明したように本発明のボールペン用油性インキは、インキ洩れがなく、軽い書き味が得られ、筆跡のカスレがないボールペン用油性インキ組成物に関するものである。

Claims (3)

  1. 着色剤とエチルセルロースと溶解性パラメーター(SP値)が8.0以上9.5以下で分子内にオキシプロピレン基を含有する有機溶剤と、溶解度パラメーター(SP値)が8.0以上9.5以下で分子内に水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤とを少なくとも含む、ボールペン用油性インキ組成物。
  2. 溶解度パラメーター(SP値)が8.0以上9.5以下で分子内に水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤が、20℃において水へ無限大に溶解する、請求項1記載のボールペン用油性インキ組成物。
  3. 溶解度パラメーター(SP値)が8.0以上9.5以下で分子内に水酸基を含有しオキシプロピレン基を含有しない有機溶剤が、分子内にオキシエチレン基を含有しない構造である、請求項1又は請求項2記載のボールペン用油性インキ組成物。
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