JP2013203559A - コンクリート構造物の補修方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 良好な施工性を有するとともに、コンクリート構造物と一体化したときに十分な接着性を有するモルタル硬化体を形成することが可能な断面修復材を用いたモルタル組成物によるコンクリート構造物の補修方法を得ることを目的とする。
【解決手段】 コンクリート構造物の一部を除去した箇所に、断面修復材と水とを配合し混練して調製したモルタル組成物を施工するモルタル施工工程と、モルタル組成物を硬化させて、上記箇所にモルタル硬化体を形成する硬化体形成工程と、を有するコンクリート構造物の補修方法であって、上記断面修復材は、ポルトランドセメント、炭酸カルシウム微粉末、無機膨張材、細骨材及び流動化剤を含み、該流動化剤は、ポリカルボン酸系共重合体と、20〜80質量%の非晶質シリカ微粉末を含む、コンクリート構造物の補修方法を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、コンクリートの断面修復等に用いられるコンクリートの補修方法に関する。
各種構造物に用いられるコンクリートは、本来耐久性に優れたものであるが、構造や使用環境によってその一部が劣化する場合がある。このような劣化は、コンクリートの強度低下等の原因となるため、修復する必要がある。修復の際には、劣化箇所を除去した後、モルタル組成物などの断面修復材を施工する補修方法が用いられる。
土木・建築分野のコンクリート構造物の補修方法に用いられる断面修復材としては、特許文献1〜3が知られている。特許文献1には、施工性を低下させずに、高い硫酸抵抗性と高い中長期強度発現性を共に安定して有することができるセメント系の断面修復材として、ポルトランドセメント、BET比表面積0.75〜3.0m/gのスラグ、フライアッシュ又は/及びメタカオリン粉末、シリカフゥーム及び生石灰系膨張材を含有してなる高耐久性断面修復材。これに加えて更に、ポリマーディスパージョン又は再乳化形粉末樹脂、保水剤、分散剤の何れか1種又は2種以上を含有してなる高耐久性断面修復材が開示されている。
特許文献2には、施工時間が短く、初期ひび割れ抵抗性等に優れたコンクリート構造物の断面修復が可能となる断面修復材及び断面修復工法として、セメント、急硬材、ポリマー、玄武岩繊維及び骨材を含有してなる断面修復材であり、急硬材がカルシウムアルミネートとセッコウを含有する断面修復材及びそれを用いた断面修復工法が開示されている。
特許文献3には、製造時や修復施工時の作業性が良好なモルタル質の修復材であり、とりわけ鏝塗り等の左官施工に適した修復材であって、施工後は長期に渡り、強度低下、変形、浮き、剥離及びひび割れといった現象が実質見られず、耐久面においても優れたモルタル質修復材として、化学成分としてAlを15〜40質量%及びSiOを40〜90質量%含む粒径50μm以下の中空状無機粒子、セルロース系保水剤、膨張材及びブレーン比表面積8000〜120000cm/gのメタカオリンを含有してなるモルタル質修復材。さらに、ポリマーディスパージョン又は再乳化粉末樹脂、ポゾラン反応物質、繊維、減水剤の何れか1種又は2種以上を含有してなるモルタル質修復材が開示されている。
特開2007−161507号公報 特開2008−050213号公報 特開2009−084092号公報
しかしながら、従来の断面修復材を用いたモルタル組成物によるコンクリート構造物の補修方法では、良好な施工性や、コンクリート構造物と一体化したときに、適度な圧縮強度や曲げ強度を得ることは可能であったものの、コンクリート構造物との十分な接着性を得るためには、ポリマーディスパージョン又は再乳化樹脂粉末を用いる必要があった。このため、浄水等の水処理施設におけるコンクリート構造物の修復において、ポリマーディスパージョン又は再乳化樹脂粉末を含まずに十分な接着性が得られる断面修復材を用いたモルタル組成物によるコンクリート構造物の補修方法が求められている。
そこで、本発明は、良好な施工性を有するとともに、コンクリート構造物と一体化したときに十分な接着性を有するモルタル硬化体を形成することが可能な断面修復材を用いたモルタル組成物によるコンクリート構造物の補修方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明者らは、ポルトランドセメント、炭酸カルシウム微粉末、無機膨張材、細骨材及び流動化剤を含み、流動化剤がのポリカルボン酸系共重合体と、特定の非晶質シリカ微粉末を含む断面修復材を用いたモルタル組成物によるコンクリート構造物の補修方法によって、良好な施工性を有するとともに、コンクリート構造物と一体化するための十分な接着性を有することを見出し、本発明に完成するに至った。
すなわち、本発明は、コンクリート構造物の一部を除去した箇所に、断面修復材と水とを配合し混練して調製したモルタル組成物を施工するモルタル施工工程と、モルタル組成物を硬化させて、上記箇所にモルタル硬化体を形成する硬化体形成工程と、を有するコンクリート構造物の補修方法であって、上記断面修復材は、ポルトランドセメント、炭酸カルシウム微粉末、無機膨張材、細骨材及び流動化剤を含み、該流動化剤は、ポリカルボン酸系共重合体と、20〜80質量%の非晶質シリカ微粉末を含む、コンクリート構造物の補修方法を提供する。
本発明のコンクリート構造物の補修方法は、特定の成分を含む断面修復材及びモルタル組成物をコンクリート構造物の補修に用いていることから、良好な施工性を有するとともに、コンクリート構造物と一体化したときに十分な接着性を兼ね備えたモルタル硬化体を形成することができる。このように、本発明のコンクリート構造物の補修方法において、モルタル硬化体がポリマーディスパージョン又は再乳化樹脂粉末を含まずに十分な接着性を備える理由は必ずしも明らかではないがその理由の一つとして、本発明者らは断面修復材に含まれる各成分が相互に作用するとともに、特に特定の炭酸カルシウム微粉末と特定の流動化剤(無機成分として特定の非晶質シリカ微粉末を特定の割合で有する流動化剤)との組み合わせによって生じる作用が接着性の向上に寄与しているものと考えている。
本発明のコンクリート構造物の補修方法は、以下の態様であることが好ましい。また、本発明のコンクリート構造物の補修方法は、以下の態様を適宜組み合わせることがより好ましい。
本発明のコンクリート構造物の補修方法に用いられる断面修復材の細骨材は、粒子径が600μm超であり且つ1180μm以下である粒子の質量割合が10〜45質量%であり、粒子径が150μm超であり且つ300μm以下である粒子の質量割合が1〜15質量%であることが好ましい。これによって、より十分な接着性を有するモルタル硬化体を得ることができる。補修の際の施工性をより向上することができる。
本発明のコンクリート構造物の補修方法に用いられる断面修復材は、ポルトランドセメント100質量部に対し、炭酸カルシウム微粉末10〜50質量部、無機膨張材5〜15質量部、細骨材100〜150質量部及び流動化剤0.01〜0.3質量部含むことが好ましい。これによって、より優れた施工性を有するモルタル組成物を得ることが可能となる。また、より十分な接着性を有するモルタル硬化体を得ることが可能となり、補修後のコンクリート構造物の耐久性をより向上することができる。
本発明によれば、良好な施工性を有するとともに、コンクリート構造物と一体化したときに十分な接着性を有するモルタル硬化体を形成することが可能なコンクリート構造物の補修方法を提供することができる。本発明のコンクリート構造物の補修方法は、コンクリート構造物の断面修復に好適に用いられる。
本発明のコンクリート構造物の補修方法により得られるモルタル硬化体は、十分な接着性を有することからコンクリート構造物と一体化することで、長期耐久性の向上及びライフサイクルコストの低減などに寄与することができる。
本発明のコンクリート構造物の補修方法が適用される、劣化部を有するコンクリート構造物の一例を示す模式図である。 図1のコンクリート構造物から劣化部を含む部分を除去した後のコンクリート構造物を示す模式図である。 鉄筋に防錆剤が塗布された後のコンクリート構造物を示す模式図である。 凹部の内壁面上にプライマー層が形成されたコンクリート構造物を示す模式図である。 凹部にモルタル組成物を1回施工した後のコンクリート構造物の模式図である。 モルタル施工工程を施すことによって、凹部にモルタル組成物が充填され、モルタル組成物と一体化したコンクリート構造物の模式図である。 吹き付け工法による施工方法を示す模式図である。 流動化剤Aに含まれる無機成分の粉末X線回折図である。 流動化剤Bに含まれる無機成分の粉末X線回折図である。
本発明に係るコンクリート構造物の補修方法の好適な実施形態を以下に説明する。本実施形態のコンクリート構造物の補修方法は、コンクリート構造物の劣化部を含む部分を除去する劣化コンクリート除去工程と、除去した箇所に、所定の成分を含む断面修復材と水とを配合し混練して調製したモルタル組成物を施工するモルタル施工工程と、モルタル組成物を硬化させて、上記箇所にモルタル硬化体を形成する硬化体形成工程と、を有するコンクリート構造物の補修方法(補修工法)である。以下、各工程の詳細について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態のコンクリート構造物の補修方法が適用される、劣化部を有するコンクリート構造物100の一部の表面及び断面を示す模式図である。すなわち、図1(A)は劣化部を有するコンクリート構造物100の表面を示す図であり、図1(B)は図1(A)のコンクリート構造物100の(b)−(b)線における断面を模式的に示す断面図である。
図1に示すコンクリート構造物100は、コンクリート部11,12とコンクリート部11,12に埋設された鉄筋13,15を有する。
劣化コンクリート除去工程は、コンクリート構造物の劣化部を含む部分を除去する工程である。具体的には、まず、外観観察や打音法等の調査によって、劣化したコンクリート部12(劣化部)を特定する。次に、コンクリート構造物100から劣化したコンクリート部12が完全に除去されるように、コンクリート部12と、コンクリート部12の周囲にある健全なコンクリート部11の一部と、を含む領域14を確定する。この領域14がコンクリート構造物100から除去される箇所となる。領域14を、はつり取ることによって、コンクリート構造物100から領域14にあるコンクリートを除去することができる。
具体的な手順は、まず、図1(A)に示すようなコンクリート構造物100の表面において、領域14に沿って電動カッター等を用いてコンクリート表面から深さ方向に10mm程度の切り込みを入れる。そして、はつり取る領域14の大きさに応じて、ハンマー、ハンドブレーカ、ショットブラスト又はウォータージェット等を適宜選択して領域14におけるコンクリートをはつり取る[図1(B)]。
図2は、劣化部を含む部分を除去したコンクリート構造物101の表面及び断面を示す模式図である。すなわち、図2(A)は劣化部を含む部分を除去したコンクリート構造物101の表面を示す図であり、図2(B)は図2(A)のコンクリート構造物101の(b)−(b)線における断面を模式的に示す断面図である。
劣化コンクリート除去工程では、図2(A)及び図2(B)に示すように、劣化部を含む部分が除去されたコンクリート構造物101が得られる。コンクリート構造物101は、コンクリートをはつり取ることによって形成された凹部を有しており、当該凹部には錆で腐食して表面部分に錆が付着した鉄筋15と腐食していない鉄筋13の一部とが露出している。鉄筋15の錆は、ワイヤーブラシ又はショットブラスト等の手法によって、除去することができる。
図3は、防錆材が塗布された鉄筋及び当該鉄筋を有するコンクリート構造物102の表面及び断面を示す模式図である。すなわち、図3(A)は防錆材16が塗布された鉄筋及び当該鉄筋を有するコンクリート構造物102の表面を示す図であり、図3(B)は図3(A)のコンクリート構造物102の(b)−(b)線における断面を模式的に示す断面図である。
防錆材16は、錆が除去された鉄筋15に塗布することができる。また、図3に示すように、腐食していない鉄筋13の露出した部分にも防錆材16を塗布してもよい。防錆材16としては、セメント組成物、合成樹脂(ポリマー)、防錆成分、水等を含むポリマーセメント系防錆材を好適に用いることができる。塗布にあたっては、刷毛やリシンガン等を適宜選択して用いることができる。この際、鉄筋15の表面において、未塗布の箇所がないように塗布することが好ましい。
図4は、凹部の内壁面上にプライマー層17が形成されたコンクリート構造物103の表面及び断面を示す模式図である。すなわち、図4(A)は凹部の内壁面上にプライマー層17が形成されたコンクリート構造物103の表面を示す図であり、図4(B)は図4(A)のコンクリート構造物103の(b)−(b)線における断面を模式的に示す断面図である。
プライマー層17は、吸水調整剤(プライマー)を、はつり取ることによって形成された凹部の内壁面を覆うように塗布した後、当該吸水調整剤を乾燥して形成することができる。吸水調整剤としては、合成樹脂エマルジョンを水で希釈したものを好適に用いることができる。吸水調整剤の塗布にあたっては、刷毛やリシンガン等を適宜選択して用いることができる。
また、上述の吸水調整剤(プライマー)の代わりに、水を、はつり取ることによって形成された凹部の内壁面を覆うように塗布した後、次工程であるモルタル施工工程に移ることもできる。水の塗布にあたっては、刷毛やローラー等を適宜選択して用いることができる。
モルタル施工工程は、断面修復材と水とを配合し混練して調製したモルタル組成物18を、コンクリート構造物の凹部に充填する工程である。この工程では、プライマー層17を形成した後に、モルタル組成物を数回に分けて塗り付けることが好ましい。
モルタル組成物18は、断面修復材と水とを所定の比率で配合し混練して調製する。混練は、ミキサ等を用いて均一な状態になるまで行う。ミキサは、ハンドミキサ又はモルタルミキサ等を適宜選択して用いることができる。ここで用いる断面修復材及びモルタル組成物については、後述する。
コンクリート構造物103の表面(図4(A))において、モルタル組成物18を充填する部位(凹部)の面積(図1(A)における領域14の面積)が10m2未満の場合は、左官工法で施工を行うのが好ましい。左官工法では、左官職人が鏝板に適量のモルタル組成物を載せ、金鏝等を用いて領域14をはつり取って形成された凹部に数回に分けて塗り付ける。1回目の施工では、
例えば5mm程度の厚みで塗り付ける。
2回目以降の施工では、それぞれ10mm以内の厚さで塗り付けを繰り返す。
1日間の塗り厚さは、30mm程度とすることが好ましい。
図5は、凹部にモルタル組成物を1回施工した後のコンクリート構造物104の表面及び断面を示す模式図である。すなわち、図5(A)は凹部にモルタル組成物を1回施工した後のコンクリート構造物104の表面を示す図であり、図5(B)は図5(A)のコンクリート構造物104の(b)−(b)線における断面を模式的に示す断面図である。
左官工法で施工を行う場合、最後の施工では、モルタル組成物とコンクリート構造物とが一体化するように表面を鏝で平坦に仕上げる。
図6は、モルタル施工工程を施すことによって、凹部にモルタル組成物が充填され、モルタル組成物と一体化したコンクリート構造物105の表面及び断面を示す模式図である。すなわち、図6(A)はモルタル施工工程を施すことによって、凹部にモルタル組成物が充填され、モルタル組成物と一体化したコンクリート構造物105の表面を示す図であり、図6(B)は図6(A)のコンクリート構造物105の(b)−(b)線における断面を模式的に示す断面図である。
コンクリート構造物104の表面において、モルタル組成物18を充填する部位(凹部)の面積(図1(A)における領域14の面積)が10〜100mの場合は、吹き付け工法で施工を行うことが好ましい。
図7は、吹き付け工法による施工方法を示す模式図である。吹き付け工法は、コンクリート構造物20にモルタル組成物18を吹き付けることによって、凹部(図7には図示しない)にモルタル組成物18を充填する方法である。図7に示すように、吹き付け工法に用いる装置は、ミキサ21、ホッパ付きモルタルポンプ22、エアー源23、耐圧ホース24及び吹き付けガン25を備えたものを用いることができる。吹き付け工法に用いる装置としては、ホッパとモルタルポンプが分離しているものであってもよい。
吹き付け工法では、劣化部をはつり取って形成された凹部に、モルタル組成物を数回に分けて吹き付けることが好ましい。1回目の施工では、図5に示すように、
例えば5mm程度の厚みとなるようにモルタル組成物を吹き付ける。
そして、2回目以降の施工は、それぞれ30mm以内の厚さとなるようにモルタル組成物の吹き付けを繰り返す。
最終回の施工は、15mm程度の厚みとなるように補修用モルタル組成物を吹き付ける。その後、コンクリート構造物と凹部に充填されたモルタル組成物とが一体化するように、モルタル組成物の表面を鏝で平坦に仕上げる。これによって、図6に示すように凹部にモルタル組成物18が充填され、モルタル組成物18と一体化したコンクリート構造物105が得られる。その後、モルタル組成物18を乾燥させるとモルタル硬化体となり、モルタル硬化体と一体化したコンクリート構造物が得られる。
以上述べたような補修方法により、補修されたコンクリート構造物を得ることができる。この方法によって得られるモルタル硬化体は、コンクリート構造物と一体化するに際し、コンクリート構造物との十分な接着性を備える。このため、本実施形態の補修方法によって補修されたコンクリート構造物は、長期耐久性の向上及びライフサイクルコストの低減などに寄与する。したがって、劣化したコンクリート構造物の補修方法として好適である。
また、本実施形態の補修方法は、特定の断面修復材及びモルタル組成物を用いていることから、施工性も良好である。本実施形態の補修方法に用いられる断面修復材及びモルタル組成物は、左官工法又は吹き付け工法を用いたコンクリート構造物の補修方法に好適に用いることができる。
次に、本実施形態のコンクリート構造物の補修方法に用いられる断面修復材の一例を説明する。本実施形態のコンクリート構造物の補修方法では、以下に述べるような断面修復材を用いるので、良好な施工性を有するとともに、コンクリート構造物と一体化するに際し、コンクリート構造物との十分な接着性を備えたモルタル硬化体を有するコンクリート構造物を得ることができる。
本実施形態のコンクリート構造物の補修方法に用いられる断面修復材は、コンクリートの補修に用いられる。本実施形態の断面修復材は、ポルトランドセメント、炭酸カルシウム微粉末、無機膨張材、細骨材及び流動化剤を含む断面修復材である。
本実施形態のコンクリート構造物の補修方法に用いられる断面修復材に含まれる流動化剤は、ポリカルボン酸系共重合体と、20〜80質量%の非晶質シリカ微粉末を含むものである。このような断面修復材と水とを配合し、混練して得られたモルタル組成物は、良好な施工性を有する。また、このモルタル組成物を用いれば、コンクリート構造物と一体化したときに十分な接着性を備えたモルタル硬化体を得ることができる。以下、本実施形態に用いられる断面修復材に含まれる各成分について詳細に説明する。
ポルトランドセメントは、水硬性材料として一般的なものであり、いずれの市販品も使用することができる。これらのなかでも、JIS R 5201:2009「ポルトランドセメント」で規定されるポルトランドセメントを用いることが好ましい。
炭酸カルシウム微粉末としては、通常の市販のものを用いることができる。これらのうち、白色度の高い炭酸カルシウム微粉末(寒水石粉末)を用いることが好ましい。
炭酸カルシウム微粉末は、粒子径が150μm超であり且つ300μm以下である粒子の質量割合が20質量%未満であり、粒子径が75μm超であり且つ150μm以下である粒子の質量割合が10〜50質量%であることが好ましい。断面修復材は、粒子径が上述の範囲にある炭酸カルシウム微粉末を含むことによって、モルタル組成物を施工する時間を十分に確保することが可能になるとともに、良好な強度の発現を得ることができる。
また、炭酸カルシウム微粉末は、粒子径が300μm超の粒子を含まないことが好ましい。これにより、良好な強度の発現を得ることができる。
炭酸カルシウム微粉末の粒子径は、JIS Z 8801:2006に規定される呼び寸法の異なる数個の篩いを用いて測定することができる。また、本明細書において、「粒子径が150μm超であり且つ300μm以下である粒子の質量割合」とは、篩目300μmの篩いを用いたときに篩目300μmの篩いを通過し、且つ、篩目150μmの篩を用いたとき、篩目150μmの篩上に残る粒子の炭酸カルシウム微粉末全体に対する質量割合のことをいう。
本実施形態のコンクリート構造物の補修方法に用いられる断面修復材における炭酸カルシウム微粉末の含有量は、ポルトランドセメント100質量部に対し、
好ましくは10〜50質量部であり、
より好ましくは15〜40質量部であり、
さらに好ましくは15〜35質量部であり、
特に好ましくは20〜30質量部である。
炭酸カルシウム微粉末を、上述の好ましい範囲で含有することによって、モルタル組成物を施工する時間を十分に確保することが可能になるとともに、良好な強度の発現を得ることができる。
無機膨張材としては、生石灰−石膏系膨張材、石膏系膨張材、カルシウムサルフォアルミネート系膨張材などを用いることができる。このうち、より優れた寸法安定性を有するモルタル硬化体とする観点から、生石灰−石膏系膨張材を含むことが好ましい。
本実施形態のコンクリート構造物の補修方法に用いられる断面修復材における無機膨張材の含有量は、ポルトランドセメント100質量部に対し、
好ましくは5〜15質量部であり、
より好ましくは6〜13質量部であり、
さらに好ましくは7〜12質量部であり、
特に好ましくは8〜11質量部である。
無機膨張材の含有量を上述の範囲に調整することによって、より適正な膨張性が発現され、モルタル硬化体の過度な収縮を抑制することができる。また、それとともに、過剰な膨張作用に起因するクラックの発生を十分に抑制することができる。
細骨材は、粒子径が600μm超であり且つ1180μm以下である粒子の質量割合が10〜45質量%であり、粒子径が150μm超であり且つ300μm以下である粒子の質量割合が1〜15質量%であることが好ましく、
粒子径が600μm超であり且つ1180μm以下である粒子の質量割合が15〜40質量%であり、粒子径が150μm超であり且つ300μm以下である粒子の質量割合が2〜10質量%であることがより好ましく、
粒子径が600μm超であり且つ1180μm以下である粒子の質量割合が20〜37質量%であり、粒子径が150μm超であり且つ300μm以下である粒子の質量割合が3〜8質量%であることがさらに好ましく、
粒子径が600μm超であり且つ1180μm以下である粒子の質量割合が25〜35質量%であり、粒子径が150μm超であり且つ300μm以下である粒子の質量割合が4〜7質量%であることが特に好ましい。
このような細骨材として、珪砂、川砂、陸砂、海砂、砕砂等の砂類から選択したものを好適に用いることができる。
細骨材の粒子径が、上述の範囲内であることにより一層十分な接着性を有するモルタル硬化体を得ることができる。また、より優れた施工性を有するモルタル組成物を得ることができる。
また、細骨材は、粒子径が1180μm超の粒子を含まないことが好ましい。これにより、一層十分な接着性を有するモルタル硬化体を得ることができる。また、より優れた施工性を有するモルタル組成物を得ることができる。
細骨材の粒子径は、JIS Z 8801:2006に規定される呼び寸法の異なる数個の篩いを用いて測定することができる。また、本明細書において、「粒子径が600μm超であり且つ1180μm以下である粒子の質量割合」とは、篩目1180μmの篩いを用いたときに篩目1180μmの篩いを通過し、且つ、篩目600μmの篩を用いたとき、篩目600μmの篩上に残る粒子の細骨材全体に対する質量割合のことをいう。
本実施形態のコンクリート構造物の補修方法に用いられる断面修復材における細骨材の含有量は、ポルトランドセメント100質量部に対して、
好ましくは100〜150質量部であり、
より好ましくは110〜140質量部であり、
さらに好ましくは115〜135質量部であり、
特に好ましくは120〜130質量部である。
断面修復材中の細骨材の含有量を上記範囲とすることによって、より優れた施工性を有するとともに、コンクリート構造物と一体化したときに、コンクリート構造物と同等以上の圧縮強度を有する補修用モルタル硬化体を得ることができる。
流動化剤は、ポリカルボン酸系共重合体と、20〜80質量%の非晶質シリカ微粉末を含む。これにより、優れた施工性を有するとともに、コンクリート構造物と一体化したときに十分な接着性を有するモルタル硬化体を形成することができる。特に、上述の炭酸カルシウム微粉末と該流動化剤を併用することで、コンクリート構造物とモルタル硬化体が一体化した界面の結びつきが強固となり、十分な接着性が得られる。
上述の流動化剤から上述の非晶質シリカ微粉末を取り除いた残余は、ポリカルボン酸系共重合体であることが好ましい。ただし、本発明の特性を損なわない範囲で第三成分を含むことができる。
ここで、非晶質シリカ微粉末の非晶質性は、粉末X線回折装置を用いた測定により得られる粉末X線回折パターン(回折ピークパターン)により判断される。回折パターンがシャープな回折ピークを有さず、緩やかな曲線のベースラインのみであれば非晶質であると判断される。
上述の非晶質シリカ微粉末は、該流動化剤全体に対して、
好ましくは30〜75質量%であり、
より好ましくは40〜70質量%であり、
さらに好ましくは45〜65質量%であり、
特に好ましくは50〜60質量%である。
該流動化剤に含まれる非晶質シリカ微粉末を上記範囲とすることによって、コンクリート構造物と一体化したときに十分な接着性を有するモルタル硬化体を形成することがより確実になる。
上述の非晶質シリカ微粉末は、化学成分としてSiO
90質量%超が好ましく、
95質量%超がより好ましく、
97質量%超がさらに好ましく、
98質量%超が特に好ましい。
且つ、化学成分としてAl
10質量%未満が好ましく、
5質量%未満がより好ましく、
3質量%未満がさらに好ましく、
2質量%未満が特に好ましい。
該流動化剤に含まれる非晶質シリカ微粉末の化学成分が上記範囲であることによって、コンクリート構造物と一体化したときに十分な接着性を有するモルタル硬化体を形成することがより確実になる。
ここで、非晶質シリカ微粉末の化学成分は、蛍光X線分析装置を用いて測定することができる。
本実施形態のコンクリート構造物の補修方法に用いられる断面修復材における流動化剤の含有量は、ポルトランドセメント100質量部に対して、
好ましくは0.01〜0.30質量部であり、
より好ましくは0.05〜0.27質量部であり、
さらに好ましくは0.07〜0.23質量部であり、
特に好ましくは0.10〜0.20質量部である。
断面修復材中の流動化剤の含有量を上記範囲とすることによって、好ましい流動性を付与することができ、鏝塗り施工性や吹き付け施工性を良好にすることができる。また、コンクリート構造物と一体化したときに十分な接着性を有するモルタル硬化体を形成することができる。
本実施形態のコンクリート構造物の補修方法に用いられる断面修復材は、上記の成分に加えて、本発明の特性を損なわない範囲で、消泡剤、増粘剤、凝結調整剤、収縮低減剤を好適に添加することができる。
消泡剤としては、シリコーン系、アルコール系、ポリエーテル系、鉱物油系などの合成物質又は植物由来の天然物質など、公知のものを好適に添加することができる。消泡剤を添加することで、断面修復材の表面性状や強度特性の向上をより確実にする。
増粘剤としては、セルロース系、蛋白質系、ラテックス系、及び水溶性ポリマー系などを好適に添加することができる。中でもセルロース系増粘剤を添加することが好ましい。増粘剤を添加することで、断面修復材の材料分離抵抗性の向上をより確実にする。
凝結調整剤は、水和反応を促進する凝結促進剤及び水和反応を遅延する凝結遅延剤がある。凝結促進剤及び凝結遅延剤の各々の成分(種類)、添加量及び添加比率を適宜選択して好適に添加することで、断面修復材の流動性、流動保持性、凝結時間の微細な調整をより確実にする。
収縮低減剤は、公知の収縮低減剤を好適に添加することができる。収縮低減剤としては、アルキレンオキシド重合物を化学構造の骨格に有するものなどが好ましい。例えばポリプロピレングリコール、ポリ(プロピレン・エチレン)グリコールなどのポリアルキレングリコール類及び炭素数1〜6のアルコキシポリ(プロピレン・エチレン)グリコールなどの一般に公知のものから好適に選択して添加することができる。収縮低減剤を添加することで、断面修復材の寸法安定性の向上をより確実にする。
本実施形態のコンクリート構造物の補修方法に用いられる断面修復材は、コンクリート構造物の断面修復に好適に用いることができる。この断面修復材を用いて、鏝塗り又は吹き付け施工を容易に行うことが可能なモルタル組成物を得ることができる。
本実施形態のコンクリート構造部物の補修方法に用いられるモルタル組成物は、上述の断面修復材と水とを配合し混練することによって調製することができる。本発明に用いられるモルタル組成物の一例を以下に説明する。このモルタル組成物は、コンクリート構造物の断面修復に好適に用いることができる。モルタル組成物を調製する際に、水の配合量を適宜変更することによって、モルタル組成物のフロー値及び単位容積質量を調整することができる。このように水の配合量を変更することによって、用途に適したモルタル組成物を調製することができる。ここで、フロー値とは、JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に記載の試験方法に準拠して測定される値であり、単位容積質量とは、JIS A 1171:2000「ポリマーセメントモルタルの試験方法」に記載の試験方法に準拠して測定される値(単位:kg/L)である。
水の配合量は、断面修復材100質量部に対し、
好ましくは12〜21質量部であり、
より好ましくは13〜20質量部であり、
さらに好ましくは14〜19質量部であり、
特に好ましくは15〜18質量部である。
本実施形態のコンクリート構造物の補修方法に用いられるモルタル組成物のフロー値は、
好ましくは170〜210mmであり、
より好ましくは175〜205mmであり、
さらに好ましくは180〜200mmであり、
特に好ましくは185〜195mmである。
フロー値を上述の範囲とすることによって、より優れた施工性(良好な鏝塗り性や吹き付け性)を有するモルタル組成物とすることができる。
本実施形態のコンクリート構造物の補修方法に用いられるモルタル組成物の単位容積質量は、
好ましくは1.50〜2.50kg/Lであり、
より好ましくは2.00〜2.40kg/Lであり、
さらに好ましくは2.10〜2.30kg/Lであり、
特に好ましくは2.20〜2.25kg/L(リットル)である。
単位容積質量を上述の範囲とすることによって、モルタル組成物の良好な施工性(良好な鏝塗り性や吹き付け性)を維持しつつ、コンクリート構造物と一体化するための適度な圧縮強度とより十分な接着性を兼ね備えたモルタル硬化体を得ることができる。
本実施形態のコンクリート構造物の補修方法で形成されるモルタル硬化体は、上述のモルタル組成物を硬化させることによって得ることができる。得られるモルタル硬化体の一例を以下に説明する。モルタル硬化体は、コンクリート構造物の断面修復に好適に用いることができる。すなわち、上述のモルタル組成物が硬化して形成されるモルタル硬化体は、コンクリート構造物と一体化するに際し、適度な圧縮強度を有するとともに、十分な接着性を兼ね備える。
本実施形態のコンクリート構造物の補修方法で得られるモルタル硬化体の接着強度は、
好ましくは1.5N/mm以上であり、
より好ましくは1.7N/mm以上であり、
さらに好ましくは1.9N/mm以上であり、
特に好ましくは2.0N/mm以上である。
接着強度が上述の値以上であることによって、モルタル硬化体は、コンクリート構造物と一体化するに際し、十分な接着性を有する。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、本実施形態では、コンクリート構造物の劣化部が直方体状であったため、直方体状に劣化部を除去して補修を行ったが、劣化部のサイズや形状に応じて除去される部分の形状は異なってもよい。また、コンクリート構造物の劣化部に鉄筋が無くても良い。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜3、比較例1〜5)
[断面修復材の調製]
以下(1)〜(7)に示す原材料を準備した。
(1)ポルトランドセメント
・普通ポルトランドセメント(宇部三菱セメント社製、ブレーン比表面積=3300cm/g)
(2)炭酸カルシウム微粉末
・寒水石粉末(粒子径が300μm超である粒子無し、粒子径が150μm超であり且つ300μm以下である粒子の質量割合=15.2質量%、粒子径が75μm超であり且つ150μm以下である粒子の質量割合=35.6質量%)
(3)高炉スラグ
・高炉スラグ(千葉リバーメント社製、ブレーン比表面積4400cm/g)
(4)無機膨張材
・生石灰−石膏系膨張材(太平洋マテリアル社製)
(5)細骨材
・珪砂(篩を使用して測定した珪砂の粒度構成を表1に示す。)
Figure 2013203559
(6)消泡剤
・ポリエーテル系消泡剤
(7)流動化剤
・流動化剤A(ポリカルボン酸系流動化剤(性状:粉末タイプ)、日油社製、無機成分(非晶質シリカ微粉末)の含有量=56.3質量%、非晶質シリカ微粉末の化学成分:SiO=98.52質量%、Al=0.54質量%、流動化剤A中の無機成分を除く成分を流動性に寄与する有効成分(43.7質量%)とした。)
・流動化剤B(ポリエーテル・ポリカルボン酸系流動化剤(形状:粉末タイプ)、BASFジャパン社製、無機成分(結晶性無機粉体)の含有量=10.7質量%、流動化剤B中の無機成分を除く成分を流動性に寄与する有効成分(89.3質量%)とした。)
・流動化剤C(ポリカルボン酸系流動化剤(性状:液体タイプ)、日油社製、流動化剤A中の無機成分(非晶質シリカ微粉末)を有しない液状のポリカルボン酸系流動化剤、流動性に寄与する有効成分を100質量%とした。)
流動化剤Aの非晶質シリカ微粉末の含有量および流動化剤Bの結晶性無機粉体の含有量は、各々を電気炉内で熱処理し、熱処理前後での質量変化より含有量を求めた。熱処理条件は、室温から800℃まで1時間で昇温し、800℃で1時間保持し、徐冷した。
図1に流動化剤Aに含まれる無機成分(非晶質シリカ微粉末)の粉末X線回折図を示す。回折パターンはシャープなピークを有さず、緩やかな曲線のベースライン201のみを有していることから、非晶質であると判断された。
図2に流動化剤Bに含まれる無機成分(結晶性無機粉体)の粉末X線回折図を示す。回折パターンは、シャープな回折ピーク202が多く、結晶性を有していた。定性分析の結果、Pseudwollastonite、Ca(Si)の回折ピークと一致する割合が多いことが判明した。
粉末X線回折測定は、粉末X線回折装置RINT−2500(リガク社製)を用い、X線源をCuKαとして,管電圧35kV、管電流110mA、測定範囲2θ=5〜50°、Continuous Scanningモード、発散スリット:1°、及び受光スリット:0.3mm の条件で行った。
粉末X線回折図の定性分析は、粉末X線回折パターン総合解析ソフトであるJADE6.0(Materials Data Inc.製)を使用して行った。
流動化剤Aに含まれる非晶質シリカ微粉末の化学分析は、蛍光X線分析装置ZSX100e(リガク社製)を用いて行った。
(8)シリカフューム
・シリカフューム(エファコ社製、比表面積17m/g)
上述の(1)ポルトランドセメント、(2)炭酸カルシウム微粉末、(3)高炉スラグ、(4)無機膨張材、(5)細骨材、(6)消泡剤、(7)流動化剤、(8)シリカフュームを表1に示す割合で配合し、各実施例及び各比較例の断面修復材を調製した。表1中の空欄は未配合を示す。
Figure 2013203559
[モルタル組成物の調製]
表2に示す配合割合で調製した各断面修復材1kgに対して、表3に示す水量を配合して混練し、各実施例及び各比較例のモルタル組成物を調製した。混練は、温度20℃、相対湿度65%の条件下で、ホバートミキサーを用いて低速で3分間行った。
[モルタル組成物及びモルタル硬化体の物性の評価方法]
調製した各実施例及び各比較例のモルタル組成物又はモルタル硬化体のフロー値、単位容積質量、及び接着強度を測定した。測定結果は、表3に示す通りであった。各測定は、以下に示す方法で行った。
(1)フロー値の測定方法
JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に記載の試験方法に準拠してフロー値を測定した。
(2)単位容積質量の測定方法
JIS A 1171:2000「ポリマーセメントモルタルの試験方法」に記載の試験方法に準拠して単位容積質量を測定した。
(3)接着強度の測定方法
JIS A 6916:2000「建築用下地調整塗材(下地調整塗材CM−2)」に記載の試験方法に準拠して付着強さを測定し、接着性の指標とした。モルタル組成物の塗布条件は、下地基板表面を水で湿らせた状態で(水湿し)、モルタル組成物を塗布した。
Figure 2013203559
表3に示す通り、実施例1〜3のモルタル硬化体は、すべて1.5N/mm以上であり十分な接着強度を有していた。実施例1〜3のモルタル組成物のフロー値は、189〜193mmであった。この結果は、各実施例のセメント組成物が優れた施工性(良好な鏝塗り性及び吹き付け性)を有することを示している。
実施例1〜3のモルタル組成物の単位容積質量は、2.21〜2.25kg/Lであった。この結果は、各実施例のモルタル組成物が優れた施工性(良好な鏝塗り性及び吹き付け性)を有することを示している。
流動化剤を有しない比較例1の接着強度は1.0N/mmであり、実施例2の炭酸カルシウム微粉末を高炉スラグに置き換えて配合した比較例2の接着強度は1.3N/mmであり、実施例2の流動化剤Aの有効成分量に、流動化剤Bの有効成分量を合わせて配合した比較例3の接着強度は1.2N/mmであり、すべて1.5N/mmに満たなかった。
また、流動化剤A中の無機成分(非晶質シリカ微粉末)を有しない、有効成分の組成が同一である液状の流動化剤Cを実施例2の流動化剤Aの有効成分量に合わせて配合した比較例4の接着強度は0.7N/mmであり、比較例4に、実施例2の流動化剤Aに含まれる無機成分(非晶質シリカ微粉末)の含有量に合わせてシリカフュームを配合した比較例5の接着強度は、0.3N/mmであった。
得られた接着強度の結果より、特定の非晶質シリカ微粉末を含有するポリカルボン酸系流動化剤と炭酸カルシウム微粉末を併用することで、断面修復材にポリマーディスパージョン又は再乳化樹脂粉末を含まなくても十分な接着性が得られることが確認された。
以上のことから、実施例1〜3のように、特定の非晶質シリカ微粉末を20〜80質量%含むポリカルボン酸系流動化剤、ポルトランドセメント、炭酸カルシウム微粉末、無機膨張材及び細骨材を含む断面修復材を用いれば、優れた施工性を有するとともに、コンクリート構造物と一体化したときに十分な接着性を有することが確認された。すなわち、本実施例の断面修復材は、コンクリート構造物の改修に好適に用いることが可能であるうえに、鏝塗り又は吹き付け等の作業を容易に行うことができる。
11,12…コンクリート部、13,15…鉄筋、14…領域、16…防錆材、17…プライマー層、18…モルタル組成物、20…コンクリート構造物、21…ミキサ、22…モルタルポンプ、23…エアー源、24…耐圧ホース、25…吹き付けガン、100,101,102,103,104,105…コンクリート構造物,201…緩やかな曲線のベースライン,202…シャープな回折ピーク。

Claims (3)

  1. コンクリート構造物の一部を除去した箇所に、断面修復材と水とを配合し混練して調製したモルタル組成物を施工するモルタル施工工程と、
    前記モルタル組成物を硬化させて、前記箇所にモルタル硬化体を形成する硬化体形成工程と、を有するコンクリート構造物の補修方法であって、
    前記断面修復材は、ポルトランドセメント、炭酸カルシウム微粉末、無機膨張材、細骨材及び流動化剤を含み、
    前記流動化剤は、ポリカルボン酸系共重合体と、20〜80質量%の非晶質シリカ微粉末を含む、コンクリート構造物の補修方法。
  2. 前記細骨材は、粒子径が600μm超であり且つ1180μm以下である粒子の質量割合が10〜45質量%であり、
    粒子径が150μm超であり且つ300μm以下である粒子の質量割合が1〜15質量%である、請求項1に記載のコンクリート構造物の補修方法。
  3. 前記断面修復材は、前記ポルトランドセメント100質量部に対し、
    前記炭酸カルシウム微粉末10〜50質量部、前記無機膨張材5〜15質量部、前記細骨材100〜150質量部及び前記流動化剤0.01〜0.3質量部含む、請求項1又は請求項2に記載のコンクリート構造物の補修方法。
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