JP2013202409A - 噴霧器用メッシュの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、噴霧器による肺胞に到達可能な噴霧粒子径を確保し、噴霧量を高めて治療効果を向上させるとともに、安全性および剛性を確保する、噴霧器用メッシュを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、白金を主成分とする平板状部材に、レーザーを照射し、複数の断面テーパー状の貫通孔を形成することを特徴とする、液体を霧化して噴出するための噴霧器において液体を霧化するために使用される複数個の貫通孔を有する噴霧器用メッシュの製造方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、呼吸器系疾患の治療などに使用される噴霧器用メッシュの製造方法に関する。より詳しくは、液体を霧化して噴出するための噴霧器において、液体の霧化および粒子径の制御のために使用され、かつ複数個の貫通孔を有する噴霧器用メッシュの製造方法に関する。
呼吸器系疾患の治療に使用される噴霧器には、治療効果の向上のため、薬液を目的の患部まで効率よく到達させる性能が要求される。噴霧される薬液の粒子はその粒子径が小さくなれば気管支、その奥の細気管支、さらには肺胞へと到達することが可能となる。また、十分な噴霧量を確保することで、治療効果を高めることができる。したがって、噴霧器の性能を向上させるためには、噴霧器から噴霧される薬液の粒子径を小さくし、かつ噴霧量を多くすることが必要である。
噴霧器用メッシュの貫通孔の断面形状としては、例えば、放物線状のものが提案されている(非特許文献1)。これにより、流体抵抗を小さくすることができ、噴霧効率が向上する。また、メッシュノズルの両面側からそれぞれ厚みの中心部に向かって先細な断面テーパーもしくは階段状の断面形状のものが提案されている(特許文献1)。これにより、異物が孔に詰まっても、噴霧器用メッシュをさかさまにして使用すれば異物が吹き飛ばされるため、容易に目詰まりを解消できる。
噴霧器用メッシュの孔加工には、従来主に電鋳法が用いられてきた(特許文献2)。また、特許文献3および非特許文献2には、レーザー照射により、孔の断面形状を階段状、または滑らかなテーパー状とするメッシュ孔の加工方法が開示されている。
特許文献4には、テーパー形状を有する貫通孔を有し、貫通孔のテーパー角度が40度以上である噴霧器用メッシュノズルが記載されており、貫通孔のテーパー角度を40度以上とすることにより、貫通孔1つあたりの噴霧量を多くできることが開示されている。
従来より金属製のメッシュとしてパラジウム−ニッケル合金が用いられている(特許文献5)。また、特許文献6には、ニッケル製の板を金、白金、パラジウム、ロジウムその他の金属等からなる薄膜で表面を覆った超音波噴霧振動板が開示されている。
さらに、メッシュを有する噴霧器は医療器具または美容器等であり、そのメッシュは薬液または化粧料等の液体に直接触れるという性質上、衛生的な観点から短期で取り替えられて清潔に保たれることが好ましい。したがって、メッシュの短期交換を可能にするため、メッシュを低価格化することも課題となっている。そのため、低価格化が可能なセラミック等の樹脂も噴霧器用メッシュの材料として用いられている(非特許文献1および特許文献1)。
特許第2790014号公報 特開平9−323054号公報 特開平7−1172号公報 特開2006−297226号公報 特開2008−289903号公報 特開平6−320084号公報
OMRON TECHNICS、Vol.42、p171−174 電気学会論文誌E117巻1号、p15−19
上記した従来のメッシュの貫通孔の形状は、噴霧粒子径を小さくし、噴霧量を高めるために最適な形状を詳細に検討した結果提案されたものではない。
また、特許文献3には、貫通孔のテーパー角度を40度以上とすることにより、貫通孔1つあたりの噴霧量を多くすることができる、と記載されているが、テーパー角度を大きくすると、噴霧される粒子の粒子径が大きくなり治療効果が下がるという課題があることがわかった。
噴霧粒子径を小さくするためには、メッシュノズルの出口径を小さくすることが有効であるとされていたが、単に出口径を小さくするのみでは薬液等の液体の吐出抵抗が大きくなるため噴霧量が低下し、全体として治療効果等の液体による効果が低下するおそれがある。
また、吐出抵抗を小さくするためにはメッシュの厚さを小さくする対策がとられる。しかし、厚さの小さいメッシュは剛性が不十分となりやすく、剛性が不足するとメッシュそのものがたわんでしまうため、それぞれの孔を満たす薬液等の液体に十分な圧力をかけることができず、噴霧量が低下する。
さらに、従来のメッシュはその素材に着目して開発されたものではなく、例えば、非特許文献1および特許文献1に記載のメッシュはセラミック製であり、一般に用いられている金属製のメッシュノズルと比較して剛性に欠ける。
金属製のメッシュノズルとしては、特許文献4および5に開示されているように、従来よりパラジウム−ニッケル合金またはニッケルが用いられているが、Niは金属アレルギーを引き起こし易い金属の一つであり、WHOの下部組織IARCはニッケル化合物を「Group1:ヒトに対する発がん性が認められる化学物質」としていることもあり、安全性の面で問題がある。
したがって、本発明は、噴霧される粒子の平均粒子径(以下、噴霧粒子径)を薬液等の液体を肺胞等の標的器官に届く最適な粒子径とするとともに、噴霧量を高めて治療効果を向上させるとともに、安全性および剛性を確保する、噴霧器用メッシュを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、噴霧器用メッシュに形成する貫通孔の形状をテーパー形状とし、テーパー角度を特定範囲とするとともに、白金を主成分とすることにより、噴霧粒子径を小さくできるとともに十分な噴霧量および剛性を確保できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下である。
1.白金を主成分とする平板状部材に、レーザーを照射し、複数の断面テーパー状の貫通孔を形成することを特徴とする、液体を霧化して噴出するための噴霧器において液体を霧化するために使用される複数個の貫通孔を有する噴霧器用メッシュの製造方法。
2.レーザーが紫外線レーザーである前項1に記載の噴霧器用メッシュの製造方法。
本発明の製造方法により製造される噴霧器用メッシュ(以下、本発明の噴霧器用メッシュともいう)によれば、噴霧粒子径を薬液等の液体が肺胞等の標的器官に届く最適な粒子径とすることができるとともに、十分な噴霧量および剛性を確保できる。
本発明の一実施の形態における吸入器の構造を示す概略断面図である。 本実施の形態におけるメッシュの外観を示す斜視図(a)および部分拡大図(b)である。 メッシュの貫通孔の出口を通り、吐出方向に平行な断面を示す概略部分断面図である。 テーパー角度θの求め方を示す概略部分断面図である。 貫通孔の形状を示した概略斜視図である。 貫通孔の形状を示した概略斜視図である。 メッシュの貫通孔の出口を通り、吐出方向に平行な断面を示す概略部分断面図である。 貫通孔の形状を示した概略斜視図である。 貫通孔の形状を示した概略斜視図である。 貫通孔の形状を示した概略斜視図である。 貫通孔の形状を示した概略斜視図である。 (a)および(b)は、加工工法の違いによるレーザー加工品の優位性を示す図である。 本発明の噴霧器用メッシュの製造方法を説明するための図である。 (a)および(b)は、貫通孔を走査型電子顕微鏡(1000倍)により撮影した画像を示す図である(実施例1)。 (a)および(b)は、貫通孔を走査型電子顕微鏡(1000倍)により撮影した画像を示す図である(実施例2)。 (a)および(b)は、貫通孔を走査型電子顕微鏡(1000倍)により撮影した画像を示す図である(実施例3)。 (a)および(b)は、貫通孔を走査型電子顕微鏡(1000倍)により撮影した画像を示す図である(実施例4)。 (a)および(b)は、貫通孔を走査型電子顕微鏡(1000倍)により撮影した画像を示す図である(実施例5)。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1に本発明を実施するための最良の噴霧器の構成を示すが、これら構成により何ら限定されるものではない。図1は、本発明の噴霧器用メッシュ(以下、メッシュともいう)を、超音波振動式の噴霧式の吸入器(噴霧器)10に用いた場合の構成を示す概略断面図である。吸入器10は、複数の微細な貫通孔を有する図2に示すようなメッシュ11がケーシング12の内部に固定されており、メッシュ11の下面には振動子13の上面が押し当てられており、振動子13の端部はタンク14内に保持された液体15と接触できる構造になっている。また、メッシュ11はメッシュ支持具16によって保持されている。
吸入器10に用いられるメッシュ11は、液体15を微粒化(霧化)するため、図2に示すように十分微細な多数の貫通孔17で構成される。図2は、メッシュ11の外観を示す斜視図(a)および部分拡大図(b)である。図2(a)に示すように、メッシュ11は、板状の外形を有している。また、図2(b)に示すように、メッシュ11は、複数の貫通孔17を有している。
振動子13を上下に振動させると、メッシュ支持具16によって振動子13に適当な力で押し付けられたメッシュ11は振動子13の微小振動によって共振する。メッシュ11が共振すると、メッシュ11と振動子13の間に負圧が生じるので、タンク14内の液体15は振動子13の上面へ吸上げられる。こうしてメッシュ11と振動子13の間へ吸い上げられた液体15はメッシュ11の振動によって微細な貫通孔17を通過し、霧化された液体15が外気中へ噴出される。
図3は、メッシュ11の貫通孔17の出口を通り、吐出方向に平行な断面を示す概略部分断面図である。また、図4および図5は貫通孔17の形状を示す概略斜視図である。図3に示すように、本発明のメッシュ11の貫通孔17は、噴霧方向のメッシュの出口面11A側においてメッシュの入口面11B側より狭くなるテーパー形状を有している。
本発明において、貫通孔がテーパー形状であるとは、貫通孔の出口面側の孔径がメッシュの入口面側の孔径より小さいことをいう。貫通孔17の形状はテーパー形状であれば特に限定されず、例えば、円錐状、角錐状、中折れした円錐状、中折れした角錐状または階段状等が挙げられる。
テーパー角度θは、出口面側の孔径および入口面側の孔径を走査型電子顕微鏡で測定し、算出する(図3A)。具体的には、次のように算出する。作製されたメッシュノズルのSEM(走査型電子顕微鏡)画像から、任意に抽出した10個の穴の入口面11B側(長径の方)及び出口面11A側(短径の方)の穴面積の平均値を算出し、その平均値から算出される真円相等径をそれぞれの穴径とする。算出された入口面11B側の穴径(入射径)及び出口面11A側の穴径(出射径)から、下記式によりテーパー角度を算出する(図3B)。
入射径x・出射径y=√(2×穴面積/π)θRadians=tan−1(b/a)θDegrees=θRadians×180/πテーパー角度=2θDegreesb=入射径x−出射径yテーパー角度θ=2×tan−1[(入射径x−出射径y)/基材の厚さa]×180/π
貫通孔17の出口面11A側におけるテーパー角度θは3〜30度であり、好ましくは3〜20度であり、より好ましくは3〜10度である。噴霧器用メッシュから噴霧される粒子の平均粒子径(噴霧粒子径)はメッシュの貫通孔17の体積に依存しているため、出口面11A側における該貫通孔17の口径が同じでもテーパー角度が大きいと噴霧される液体の押出し体積が増えるために噴霧粒子径は大きくなる。
本発明の噴霧器用メッシュは、出口面11A側における該貫通孔17のテーパー角度θを3〜30度と小さくすることで、噴霧される液体の押出し体積を低減することができる。噴霧される液体の押出し体積の減少により、薬液等の液体が肺胞等の標的器官に届く最適な粒子径(3〜6μm)の場合の出口径を大きくすることが可能となり、貫通孔の加工が容易となる。
また、本発明の噴霧器用メッシュは、テーパー角度θが3〜30度と小さいので、液体が噴霧される際の吐出抵抗を小さくすることができ、液詰まりを低減できるとともに、十分な噴霧量が達成される。さらに、吐出抵抗を小さくすることができるため、メッシュの厚さを厚くすることが可能になり、剛性を確保することができる。
テーパー角度θが30度を超えると、単位時間あたりの噴霧量は増えるが、噴霧粒子が増大し、薬液を肺胞に届く噴霧粒子径とすることが困難となる。また、液体が噴霧される際の吐出抵抗が大きくなり液詰まりが生じ易くなり、噴霧量の低下につながるおそれがある。テーパー角度θが3度未満であると、噴霧された粒子が表面張力により戻り易くなり、噴霧量の低下につながるおそれがある。
貫通孔17の形状は、例えば、図4に示すように円錐状の形状とすることができる。これにより、貫通孔17からの噴霧粒子径を小さくすることができる。
貫通孔17の形状は、図5に示すように角錐状であってもよい。なお、図5の貫通孔17は入口径L1、出口径L2を有する。また、出口面11A側におけるテーパー角度θは底面の向い合う辺の中点をそれぞれmおよびnとし、頂点をPとして∠mPnである。
図5は入口および出口が正方形の場合について示しているが、一般的な多角形においては多角形の重心を通り、重心と重心に最も近い辺の中点とを通る直線が多角形の辺と交わる2点間の距離でL1およびL2は定義される。また、テーパー角度θは上記の直線が多角形の辺と交わる2点を上記mおよびnとし、頂点をPとして∠mPnで定義される。
図6はメッシュ11の貫通孔17の出口を通り、吐出方向に平行な断面を示す概略部分断面図である。また、図7〜10は貫通孔の形状を示した概略斜視図である。
図3ではメッシュ11の貫通孔17の壁面が入口から出口まで直線状である場合について説明したが、図6に示すように貫通孔17の断面形状は出口面11A側において第1のテーパー角度θを有し、かつメッシュノズルの入口面11B側において第1のテーパー角度θより小さい第2のテーパー角度θを有する中折れした形状を有していてもよい。
この中折れした貫通孔17の形状は図7に示すように中折れした円錐状であってもよい。つまり、第1のテーパー角度θを有する部分と第2のテーパー角度θを有する部分との双方が円錐状であってもよい。
また、中折れした貫通孔17の形状は、図8に示すように中折れした角錐状であってもよい。つまり、第1のテーパー角度θを有する部分と第2のテーパー角度θを有する部分との双方が角錐状であってもよい。
さらに、この中折れした貫通孔17の形状は図9に示すように第2のテーパー角度を有する部分において円柱状で、かつ第1のテーパー角度を有する部分において円錐状の形状を有していてもよいし、図10に示すように第2のテーパー角度を有する部分において角柱状で、かつ第1のテーパー角度を有する部分において角錐状の形状を有していてもよい。
上記の図5〜図10に示す各貫通孔17におけるテーパー角度θは適宜選択することができるが、3〜30度であることが好ましい。なお、図8および図10に示す貫通孔17の角錐部の入口径および出口径の各々は図5と同様、図中の入口径L1および出口径L2により決定される。
また、図8に示す貫通孔17のテーパー角度θ、θと図10に示す貫通孔17のテーパー角度θとは、図5と同様、底面の向い合う辺の中点をそれぞれmおよびnとし、頂点をPとしたとき、∠mPnで決定される。
本発明の噴霧器用メッシュは白金を主成分とする。白金を主成分とするとは、噴霧器用メッシュを構成する材料に含まれる白金の含有量が50質量%以上であることを示す。噴霧器用メッシュを構成する材料に含まれる白金の含有量は、50質量%以上であり、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
噴霧器用メッシュを構成する材料に含まれる白金以外のその他の成分としては、例えば、貴金属の金、銀、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、バルブ金属のチタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、亜鉛、タングステンおよびビスマスが挙げられる。
本発明の噴霧器用メッシュは、他の金属と比較して比重の高い白金を主成分としている。白金の比重は21.45g/cmであり、例えば従来噴霧器用メッシュの材料として用いられてきたニッケルの比重は8.902g/cm、パラジウムの比重は12.02g/cmである。運動エネルギーはK=1/2×(mv)(式中、mは質量、vは速さ)で表され、質量が大きければ大きいほど運動エネルギーが大きくなる。そのため、その他の金属と比較して比重の高い白金を主成分とすることにより、液体を噴霧する際に高い運動エネルギーを得ることができ、テーパー角度を小さく設定しても粘性の高い液体や比重の大きな液体を噴霧することができ、液種の影響が小さく安定した噴霧と噴霧量の増大を可能にするものと推定される。
また、本発明の噴霧器用メッシュは白金を主成分とすることにより、金属アレルギーまたは発がん性の観点から高い生体安全性を備えている。さらに白金を主成分とすることにより、剛性が担保され、噴霧器用メッシュの厚みを薄くすることが可能となり、メッシュの厚みを薄くすることにより液抵抗が低減され、より噴霧し易くなるため、噴霧量を向上することができる。
本発明の噴霧器用メッシュの厚みは、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましく、また300μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。噴霧器用メッシュの厚みを10μm以上とすることにより、十分な強度を確保することができる。また、300μm以下とすることにより、白金密度が高くなることに伴い慣性質量が重くなるのを防ぎ、超音波振動への追従性が悪くなるのを抑制することができる。
本発明の噴霧器用メッシュにおける貫通孔17の数は、特に限定されず、液体15の種類および目的等により適宜設定することができるが、通常100以上であることが好ましく、より好ましくは1000以上であり、さらに好ましくは10000以上である。
本発明の噴霧器用メッシュにおける貫通孔17の出口面側の口径は1.5μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、2.5μm以上であることがさらに好ましい。また、6μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、4μm以下であることがさらに好ましい。
本発明の噴霧器用メッシュよる噴霧粒子径は、3〜6μmであることが好ましく、3.5〜5.5μmであることがより好ましく、4.0〜5.0μmであることがさらに好ましい。噴霧粒子径を3〜6μmとすることにより、治療効果等の液体による効果をより向上することができ、例えば薬液を肺胞等の標的器官に届く最適な粒子径とすることができる。
噴霧器用メッシュから噴霧される粒子の平均粒子径は、次の方法により測定する。ホーン振動体を備える噴霧器に作製されたメッシュノズルを設置し、振動体とメッシュノズルとが接触している領域に液体として生理食塩水を供給し霧化させる。噴霧される粒子の平均粒子径を、粒子径測定装置を用いてレーザー光回折法により測定する。具体的には、実施例において詳述する方法により測定することができる。
本発明の噴霧器用メッシュは孔加工の手法としてレーザー加工を行うことにより製造することができる。電鋳法とレーザー法による加工品を比較した図を図11に示す。図11に示すように、超音波素子によりメッシュが上下に振幅する。振幅幅が大きくなれば、貫通孔17から押し出される液体15の量も増え、噴霧粒子径が大きくなる。
電鋳品はテーパー角度が大きく形状が制御できないため、噴霧粒子径を小さくするには、貫通孔17の口径を極端に小さくする必要がある。このように、電鋳法では口径およびテーパー角度の制御が困難であるが、レーザー加工では、条件を変えることで口径・テーパー角度の制御を行うことができる。
一方、レーザー法による加工品は、テーパー角度を3〜30度の形状に加工できるため、口径を小さくする必要がない、という利点がある。口径を小さくする必要がないため、薬液等の液体の孔詰まりを防止することも可能である。
レーザー法に用いるレーザーとしては、波長による分類では、例えば、紫外線レーザー、赤外線レーザー、可視光線レーザーおよびX線レーザー等が挙げられる。レーザーの種類等の条件は、加工材質や加工目的に合わせて最適な条件を適宜選定することができるが、白金を主成分とする本発明の噴霧器用メッシュの加工では、白金の吸収波長の観点から、紫外線レーザーが適している。紫外線レーザーとは、400nm未満の紫外領域の波長のレーザーである。また媒体による分類では、例えば、YAGレーザー、希土類添加YAGレーザー、ルビーレーザーおよびチタンサファイヤレーザー等の固体レーザー、有機色素を媒質とした色素レーザー等の液体レーザー、並びにエキシマレーザー等のガスレーザー等が挙げられる。中でも固体レーザーが好ましく用いられる。
また、光学系の種類としては、例えば、固定光学系(集光光学系)、スキャニング光学系、結像光学系(マスク光学系)が挙げられるが、位置精度と再現性の観点から結像光学系が好ましい。
本発明の噴霧器用メッシュの製造方法では、白金を主成分とする平板状部材に、レーザーを照射し、複数の断面テーパー状の貫通孔を形成する。具体例としては、次のような方法が挙げられる。図12に示すように、微細孔のテーパー系を数段階(図12では5段階)に分けた径を持つ円形の窓a、・・・、aを有する加工マスク18を用いる。ただし、説明し易くするため、ここでは1枚のマスク18に5つの窓を示してあるが、実際には各窓がそれぞれ別個に設けられた5枚のマスクを用意し、マスクを順次取り替えて製造する。
窓a、・・・、aのうち、窓aは微細孔の入口面側に、窓aは出口面側に、窓a,a,aは途中の部分に対応する。まず、所定の厚みおよび大きさの白金を主成分とする平板状部材19に、最初に加工マスク18の窓aを利用してレーザーを照射する。レーザーは窓aにより照射径が絞られているため、平板状部材19には窓aと同径の穴bが形成される。レーザー照射は、穴bが所定の深さになるまで続けられる。
その後、今度は窓aからレーザーを照射し、穴bよりも深い穴bを形成する。同意に、穴a,穴aを利用してレーザーを照射し、それぞれ穴b,bを開ける。そして、窓aからレーザーを照射して穴bを形成し、平板状部材19の入口面側から出口面側に貫通する孔を開ける。これにより、穴bから穴bに従って段階的に径の小さいテーパー状の微細孔が形成される。
ここで、加工の寸法例を示すと、平板状部材19の厚みは20μm、穴bの径は3.5〜6.5μm、穴b5の径は2.5μmである。このような製造方法により、精度の良い微細孔を持つ白金を主成分とするメッシュ部材を提供することができる。
なお、前記の製造方法の具体例では、微細孔を5段階に分割して形成しているが、段階数はこれよりも多くても少なくてもよく、適宜選定することができる。また、加工マスク18の窓の径、窓の数により様々な断面テーパー状の微細孔を形成することができる。
本発明の噴霧器用メッシュは、白金を主成分とする人体に安全な素材によって作成することにより、図1に示すような吸入器等の医療用機器に用いることができ、また、美顔器等の美容用機器に用いてもよい。
特に吸入器の場合、噴霧粒子径によって患部への到達距離が変化するため患部への効果が変わり、噴霧粒子径はテーパー角度およびメッシュ孔の形状に大きく左右されるが、本発明においては噴霧に最適な断面形状のメッシュ孔を得ることができる。
さらに、振動子の周派数が同じでも患部用途に応じてテーパー角度およびメッシュ孔の形状を変化させることができ、同一の吸入器でもメッシュを交換するだけで複数箇所の患部に使用することが可能となる。
本発明において、噴霧器用メッシュを適用する「液体」とは、例えば、有機物、無機物およびこれらの溶液、並びに有機物、無機物、セラミックスおよびこれらのスラリー状の液状物をいう。好ましくは有機物および/または無機物の水溶液が液体として用いられる。液体としては、例えば、薬液、化粧料等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。尚、実施例で用いた評価方法は以下の通りである。
〔実施例1〜6〕
固体紫外線レーザー発信器(JDS Uniphase Corporation製、製品名:Q301−HD)を用い波長355nmのレーザーにより、厚さ20μmの金属基材(白金圧延箔)に表1に示す加工段数で1万個の貫通孔を形成し噴霧器用メッシュを作製した(実施例1〜6)。
〔比較例1〕
金属基材としてPd(75%)−Ag(25%)(ニラコ社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして噴霧器メッシュを作成した。
〔比較例2〕
レジストを形成した銅版に電鋳法により多穴(1万個)の白金鍍金層を形成した後、銅板とレジストを剥離させることにより厚さ20μmの白金製の噴霧器用メッシュを作製した(特開平9−323054号公報)。
作製した噴霧器用メッシュについて、以下に示す方法により、テーパー角度および噴霧平均粒子径の測定を行った。
(テーパー角度)
テーパー角度は、作製したメッシュノズルのSEM(走査型電子顕微鏡)画像から、任意に抽出した10個の穴の入口面側(長径の方)及び出口面側(短径の方)の穴面積の平均値を算出し、その平均値から算出される真円相等径をそれぞれの穴径とした。算出された入口面側の穴径(入射径x)及び出口面側の穴径(出射径y)から、下記式によりテーパー角度を算出した。
入射径x・出射径y=√(2×穴面積/π)θRadians=tan−1(b/a)θDegrees=θRadians×180/πテーパー角度=2θDegreesb=入射径x−出射径yテーパー角度θ=2×tan−1[(入射径x−出射径y)/基材の厚さa]×180/π
〔噴霧粒子径の測定〕
ホーン振動体を備える噴霧器(オムロン社製、製品名:NE−U22)に作製されたメッシュを設置し、振動体とメッシュとが接触している領域に液体として生理食塩水を供給し霧化させ、噴霧粒子の平均粒子径(噴霧粒子径)を粒子径測定装置(SYMPATEC社製、製品名:HELOS/BR−Multi)を用いレーザー光回折法により測定した。
結果を表1に示す。また、実施例1〜5について、走査型電子顕微鏡により撮影した入射側(入口面側)および出射側(出口面側)の画像のデータをそれぞれ図13〜17に示す。表1において、全貫通孔に対する非貫通孔の割合が0.1%以下である場合に穴加工不良が「無」とし、全貫通孔に対する非貫通孔の割合が0.1%を超える場合に穴加工不良が「有」とした。また、噴霧粒子径の測定において噴霧された液体によるレーザー光の強度が99.7%未満である場合に噴霧不良が「無」とし、噴霧粒子径の測定において噴霧された液体によるレーザー光の強度が99.7%以上である場合に噴霧不良が「有」とした。
Figure 2013202409
表1に示すように、実施例1〜7の噴霧器用メッシュは全て穴が開いており、穴径のバラツキなどの穴加工不良は発見されなかった。一方、Pd−Ag圧延箔を基材とする比較例1の噴霧器用メッシュは全て穴が開いており、穴径のバラツキなどの穴加工不良は発見されなかったが、噴霧不良があり噴霧平均粒子径の計測不可であった。また、電鋳法により製造した比較例2の噴霧器用メッシュは、穴径がバラツキがあり、さらには1%程度の穴の開いていない箇所が確認され、穴加工不良が発見された。
これらの結果から、本発明の噴霧器用メッシュは、穴加工不良が無いとともに粒子径が3〜20μmである粒子を噴霧不良を起こすことなく噴霧できることがわかった。
本発明の噴霧器用メッシュは、吸入器等の医療用機器、および美顔器等の美容用機器などに用いることができる。
10 吸入器
11 メッシュ
12 ケーシング
13 振動子
14 タンク
15 液体
16 メッシュ支持具
17 貫通孔
18 マスク
19 平板状部材

Claims (2)

  1. 白金を主成分とする平板状部材に、レーザーを照射し、複数の断面テーパー状の貫通孔を形成することを特徴とする、液体を霧化して噴出するための噴霧器において液体を霧化するために使用される複数個の貫通孔を有する噴霧器用メッシュの製造方法。
  2. レーザーが紫外線レーザーである請求項1に記載の噴霧器用メッシュの製造方法。
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