以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。また図2は、パチンコ機1の背面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。なお、パチンコ機1における遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。以下、図1及び図2を参照しつつ遊技機の全体構成について説明する。
〔遊技機の全体構成〕
パチンコ機1は、その本体として主に外枠ユニット2、一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7(プラ枠、遊技機枠)を備えている。遊技者に相対する正面からみて、その最も前面側には一体扉ユニット4が位置している。一体扉ユニット4の背面側(奥側)には内枠アセンブリ7が位置しており、内枠アセンブリ7の外側を囲むようにして外枠ユニット2が配置されている。
外枠ユニット2は、木材及び金属材を縦長の矩形状に組み合わせた構造体であり、この外枠ユニット2は、遊技場内の島設備(図示されていない)に対してねじ等の締結具を用いて固定されるものである。なお、縦長矩形状の外枠ユニット2において、上下の短辺に相当する部位には木材が用いられており、左右の長辺に相当する部位には金属材が用いられている。
一体扉ユニット4は、その下部位置に受皿ユニット6が一体化された構造である。一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7は、外枠ユニット2を介して島設備に取り付けられ、これらはそれぞれ図示しないヒンジ機構を介して開閉式に動作する。図示しないヒンジ機構の開閉軸線は、パチンコ機1の正面からみて左側端部に沿って垂直方向に延びている。
図1中の正面からみて内枠アセンブリ7の右側縁部(図2では左側縁部)には、その内側に統一錠ユニット9が設けられている。また、これに対応して一体扉ユニット4及び外枠ユニット2の右側縁部(裏側)にも、それぞれ図示しない施錠具が設けられている。図1に示されるように、外枠ユニット2に対して一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7が閉じた状態で、その裏側にある統一錠ユニット9は施錠具とともに一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7の開放を不能にしている。
また、受け皿ユニット6の右側縁部には鍵穴付きのシリンダ錠6aが設けられている。例えば、遊技場の管理者が専用キーを鍵穴に差し込んでシリンダ錠6aを時計回りに捻ると、統一錠ユニット9が作動して内枠アセンブリ7とともに一体扉ユニット4の開放が可能な状態となる。これら全体を外枠ユニット2から前面側へ開放する(扉のように動かす)と、前面側にてパチンコ機1の裏側が露出することになる。
一方、シリンダ錠6aを反時計回りに捻ると、内枠アセンブリ7は施錠されたままで一体扉ユニット4の施錠だけが解除され、一体扉ユニット4が開放可能となる。一体扉ユニット4を前面側へ開放すると遊技盤8が直に露出し、この状態で遊技場の管理者が盤面内での球詰まり等の障害を取り除くことができる。また一体扉ユニット4を開放すると、受け皿ユニット6も一緒に前面側へ開放される。
またパチンコ機1は、遊技用ユニットとして上記の遊技盤8を備えている。遊技盤8は、一体扉ユニット4の背後(内側)で上記の内枠アセンブリ7に支持されている。遊技盤8は、例えば一体扉ユニット4を前面側へ開放した状態で内枠アセンブリ7に対して着脱可能である。一体扉ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、一体扉ユニット4の裏側に図示しない取り付け具を介して取り付けられる。遊技盤8の前面には遊技領域8a(盤面)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。一体扉ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
受け皿ユニット6は、全体的に一体扉ユニット4から前面側へ突出した形状をなしており、その上面に上皿6bが形成されている。この上皿6bには、遊技者に貸し出された遊技球(貸球)や入賞により獲得した遊技球(賞球)を貯留することができる。また受け皿ユニット6には、上皿6bの下段位置に下皿6cが形成されている。この下皿6cには、上皿6bが満杯の状態でさらに払い出された遊技球が貯留される。なお本実施形態のパチンコ機1はいわゆるCR機(CRユニットに接続する機種)であり、遊技者が借り受けた遊技球は、賞球とは別に裏側の払出装置ユニット172から受け皿ユニット6(上皿6b又は下皿6c)に払い出される。
受け皿ユニット6の上面には貸出操作部14が設けられており、この貸出操作部14には、球貸ボタン10及び返却ボタン12が配置されている。図示しないCRユニットに有価媒体(例えば磁気記録媒体、記憶IC内蔵媒体等)を投入した状態で球貸ボタン10を遊技者が操作すると、予め決められた度数単位(例えば5度数)に対応する個数(例えば125個)分の遊技球が貸し出される。このため貸出操作部14の上面には度数表示部(図示されていない)が配置されており、この度数表示部には、CRユニットに投入されている有価媒体の残存度数が表示される。なお遊技者は、返却ボタン12を操作することで、度数が残存している有価媒体の返却を受けることができる。本実施形態ではCR機を例に挙げているが、パチンコ機1はCR機とは別の現金機(CRユニットに接続されない機種)であってもよい。
また、受け皿ユニット6の上面には、上段位置にある上皿6bの手前に上皿球抜きボタン6dが設置されており、そして下皿6cの手前でその中央部には下皿球抜きレバー6eが設置されている。遊技者は上皿球抜きボタン6dを例えば押し込み操作することで、上皿6bに貯留された遊技球を下皿6cへ流下させることができる。また遊技者は、下皿球抜きレバー6eを例えば左方向へスライドさせることで、下皿6cに貯留された遊技球を下方へ落下させて排出することができる。排出された遊技球は、例えば図示しない球受け箱等に受け止められる。
受け皿ユニット6の右下部には、ハンドルユニット16が設置されている。遊技者はこのハンドルユニット16を操作することで発射制御基板セット174を作動させ、遊技領域8aに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる(球発射装置)。発射された遊技球は、遊技盤8の下縁部から左側縁部に沿って上昇し、図示しない外バンドに案内されて遊技領域8a内に放り込まれる。遊技領域8a内には多数の障害釘や風車(図中参照符号なし)等が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により誘導・案内されながら遊技領域8a内を流下する。なお、遊技領域8a内(盤面)の構成については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
〔枠前面の構成〕
一体扉ユニット4には、演出用の構成要素として左トップレンズユニット47及び右上電飾ユニット49が設置されている。このうち左トップレンズユニット47にはガラス枠トップランプ46及び左側のガラス枠装飾ランプ48が組み込まれており、右上電飾ユニット49には右側のガラス枠装飾ランプ50が組み込まれている。その他にも一体扉ユニット4には、左トップレンズユニット47及び右上電飾ユニット49の下方にそれぞれ連なるようにして左右のガラス枠装飾ランプ52が設置されており、これらガラス枠装飾ランプ52は、一体扉ユニット4の左右縁部から受皿ユニット6の前面部にまで回り込むようにして延びている。一体扉ユニット4においてガラス枠トップランプ46や左右のガラス枠装飾ランプ48,50,52等は、ガラスユニット(参照符号なし)を取り巻くようにして配置されている。
上述した各種ランプ46,48,50,52は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)により演出を実行する。また一体扉ユニット4の上部において、左トップレンズユニット47及び右上電飾ユニット49にはそれぞれガラス枠上スピーカ54,55が組み込まれている。一方、外枠ユニット2の左下位置には外枠スピーカ56が組み込まれている。これらスピーカ54,55,56は、効果音やBGM、音声等(音響全般)を出力して演出を実行するものである。
また受け皿ユニット6の中央には、上皿6bの手前位置に演出切替ボタン45が設置されている。演出切替ボタン45は、例えば押し込み式の円形状ボタンとその周囲に回転式のジョグリング(ジョグダイアル)を組み合わせた形態である。遊技者は、この演出切替ボタン45を押し込み操作又は回転操作することで演出内容(例えば液晶表示器42に表示される背景画面)を切り替えたり、例えば図柄の変動中や大当りの確定表示中、あるいは大当り遊技中に何らかの演出(予告演出、確変昇格演出、大役中の昇格演出等)を発生させたりすることができる。
〔裏側の構成〕
図2に示されているように、パチンコ機1の裏側には、電源制御ユニット162や主制御基板ユニット170、払出装置ユニット172、流路ユニット173、発射制御基板セット174、払出制御基板ユニット176、裏カバーユニット178等が設置されている。この他にパチンコ機1の裏側には、パチンコ機1の電源系統や制御系統を構成する各種の電子機器類(図示しない制御コンピュータを含む)や外部端子板160、電源コード(電源プラグ)164、アース線(アース端子)166、図示しない接続配線等が設置されている。なお、電子機器類については別のブロック図(図5)に基づいてさらに後述する。
上記の払出装置ユニット172は、例えば賞球タンク172a及び賞球ケース(参照符号なし)を有しており、このうち賞球タンク172aは内枠アセンブリ7の上縁部(裏側)に設置された状態で、図示しない補給経路から補給された遊技球を蓄えることができる。賞球タンク172aに蓄えられた遊技球は、図示しない上側賞球樋を通じて賞球ケースに導かれる。流路ユニット173は、払出装置ユニット172から送り出された遊技球を前面側の受け皿ユニット6に向けて案内する。
また上記の外部端子板160は、パチンコ機1を外部の電子機器(例えばデータ表示装置、ホールコンピュータ等)に接続するためのものであり、この外部端子板160からは、パチンコ機1の遊技進行状態やメンテナンス状態等を表す各種の外部情報信号(例えば賞球情報、扉開放情報、図柄確定回数情報、大当り情報、始動口情報等)が外部の電子機器に向けて出力されるものとなっている。
電源コード164は、例えば遊技場の島設備に設置された電源装置(例えばAC24V)に接続されることで、パチンコ機1の動作に必要な電源(電力)を確保するものである。またアース線166は、同じく島設備に設置されたアース端子に接続されることで、パチンコ機1のアース(接地)を確保するものである。
〔盤面の構成〕
図3は、遊技盤8を単独で示した正面図である。遊技領域8a内には、その中央位置に比較的大型の演出ユニット40が配置されており、この演出ユニット40を中心として遊技領域8aが左側部分、右側部分及び下部分に大きく分かれている。また遊技領域8a内には、演出ユニット40の周辺に中始動ゲート20や右始動ゲート21、普通入賞口22,24,25、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30等が分布して設置されている。このうち中始動ゲート20は遊技領域8aの下部分の中央に位置しており、右始動ゲート21は遊技領域8aの右側部分でその上部寄りに位置している。また、3つの普通入賞口22は遊技領域8aの左側部分でその下寄りに位置しており、他の1つの普通入賞口24は中始動ゲート20の下方に位置している。残るもう1つの普通入賞口25は、遊技領域8aの右側部分にあって、右始動ゲート21の下方に位置しており、その直下方に可変入賞装置30が配置されている。また、可変始動入賞装置28は遊技領域8aの右側部分でその下寄りに位置し、中始動ゲート20の右方に並んで配置されている。
遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、その流下の過程で中始動ゲート20や右始動ゲート21を通過したり、普通入賞口22,24,25に入球(入賞)したり、あるいは、作動時の可変始動入賞装置28や開放動作時の可変入賞装置30に入球(入賞)したりする。なお、遊技領域8aの左側領域を流下する遊技球は、主に中始動ゲート20を通過するか、もしくは普通入賞口22,24に入球(入賞)する可能性がある。遊技領域8aの右側領域を流下する遊技球は、主に右始動ゲート21を通過するか、普通入賞口25に入球(入賞)するか、あるいは、作動時の可変始動入賞装置28や開放動作時の可変入賞装置30に入球(入賞)する可能性がある。中始動ゲート20や右始動ゲート21を通過した遊技球は続けて遊技領域8a内を流下するが、普通入賞口22,24,25や可変始動入賞装置28、可変入賞装置30に入球(入賞)した遊技球は遊技板(遊技盤8を構成する合板材、透明板等)に形成された貫通穴を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。
本実施形態において、上記の可変始動入賞装置28は、所定の作動条件が満たされた場合(普通図柄が当りの態様で所定の停止表示時間にわたり停止表示された場合)に作動し、それに伴って始動入賞口28aへの入球(入賞)を可能にする(普通電動役物)。可変始動入賞装置28は、例えば1つの開閉部材28bを有しており、この開閉部材28bは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。図示のように盤面に沿った状態で開閉部材28bは閉位置(閉鎖状態)にあり、このとき始動入賞口28aへの入球は不能(始動入賞口28aが閉鎖中)である。可変始動入賞装置28が作動すると、開閉部材28bがその下端縁部分をヒンジとして前方へ倒れ込むようにして変位し、始動入賞口28aを開放する(開放状態)。この間に可変始動入賞装置28は遊技球の流入が不能ではない状態、つまり入球が可能な開放状態となり、始動入賞口28aへの入賞という事象(抽選契機)を発生させることができる(可変入賞手段)。なお、このとき開閉部材28aは始動入賞口28aへの遊技球の流入を案内する部材としても機能する。また、遊技盤8に設置されている障害釘の配列は、基本的に可変始動入賞装置28(作動時の始動入賞口28a)に向かう遊技球の流下を極端に阻害しない態様となっているが、遊技球が作動時の可変始動入賞装置28に必ず流入するというわけではなく、あくまで流入は無作為に発生する。
また上記の可変入賞装置30は、規定の条件が満たされた場合(特別図柄が非当選以外の態様で規定の停止表示時間にわたり停止表示された場合)に作動し、大入賞口30bへの入球(入賞)を可能にする(特別電動役物)。可変入賞装置30は例えば左右一対の開閉部材30aを有しており、これら開閉部材30aもまた、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に沿って左右方向に往復動作する。すなわち、図3中に実線で示されるように、左右の開閉部材30aは各先端が上を向いた状態で閉止位置にあり、このとき大入賞口30bへの入球(入賞)は不能(遊技球が流入できる隙間がない状態)となっている。一方、可変入賞装置30が作動すると、左右の開閉部材30aはそれぞれ閉止位置から開放位置に向けて変位(拡開)し、左右に開口幅を拡大して大入賞口30bを開放する。この間に可変入賞装置30は遊技球の流入が可能な状態となり、大入賞口30bへの入球(入賞)を発生させることができる(可変入賞手段)。ここでも同様に、遊技盤8に設置されている障害釘の配列は、基本的に可変入賞装置30(開放時の大入賞口30b)へ向かう遊技球の流下を極端に阻害しない態様となっているが、遊技球が開放動作時の可変入賞装置30(大入賞口30b)に必ず流入するというわけではなく、あくまで流入は無作為に発生する。
その他、遊技領域8a内にはアウト口32が形成されており、入賞しなかった遊技球は最終的にアウト口32を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。また、普通入賞口22,24,25や可変始動入賞装置28(始動入賞口28a)、可変入賞装置30(大入賞口30b)に入球した遊技球も含めて、遊技領域8a内に打ち込まれた全ての遊技球は遊技盤8の裏側へ回収される。回収された遊技球は、図示しないアウト通路アセンブリを通じてパチンコ機1の裏側から枠外へ排出され、さらに図示しない島設備の補給経路に合流する。
図4は、遊技盤8の一部(窓4a内の右下位置)を拡大して示す正面図である。すなわち遊技盤8には、例えば窓4a内の右下位置に普通図柄表示装置33及び普通図柄作動記憶ランプ33aが設けられている他、特別図柄表示装置34及び遊技状態表示装置38が設けられている。このうち普通図柄表示装置33は、例えば2つのランプ(LED)を交互に点灯させて普通図柄を変動表示し、そしてランプの点灯又は消灯により普通図柄を停止表示する。普通図柄作動記憶ランプ33aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせによって0〜4個の記憶数を表示する。例えば、2つのランプをともに消灯させた表示態様では記憶数0個を表示し、1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数1個を表示し、同じ1つのランプを点滅させた表示態様では記憶数2個を表示し、1つのランプの点滅に加えてもう1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数3個を表示し、そして2つのランプをともに点滅させた表示態様では記憶数4個を表示する、といった具合である。なお、ここでは2つのランプ(LED)を使用することとしているが、4つのランプ(LED)を使用して普通図柄作動記憶ランプ33aを構成してもよい。この場合、点灯するランプの個数で作動記憶数を表示することができる。
普通図柄作動記憶ランプ33aは、上記の始動ゲート20を遊技球が通過すると、その都度、作動抽選の契機となる通過が発生したことを記憶する意味で1個ずつ増加後の表示態様へと変化していき(最大4個まで)、その通過を契機として普通図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ減少後の表示態様へと変化していく。なお本実施形態では、普通図柄作動記憶ランプ33aが未点灯(記憶数が0個)の場合、普通図柄が既に変動開始可能な状態(停止表示時)で始動ゲート20を遊技球が通過しても表示態様は変化しない。すなわち、普通図柄作動記憶ランプ33aの表示態様によって表される記憶数(最大4個)は、その時点で未だ普通図柄の変動が開始されていない通過の回数を表している。
また特別図柄表示装置34は、例えば7セグメントLED(ドット付き)により特別図柄の変動状態と停止状態とを表示することができる(図柄表示手段)。本実施形態では1つの特別図柄を使用しているため、特別図柄表示装置34として1個の7セグメントLEDを設ければよいが、図4に示されるように、予め2個の7セグメントLEDを実装しておくことで、2つの特別図柄を使用する他の機種にも同じハードウェア構成(統合表示基板89)を適用することができる。なお、本実施形態において特別図柄に対応する作動記憶ランプや作動記憶数表示装置は設けられていない。また、1つの特別図柄を2個の7セグメントLEDで表示してもよい。その他、特別図柄表示装置34は複数のドットLEDを幾何学的(例えば円形状)に配列した形態であってもよい。
遊技状態表示装置38には、例えば高確率状態表示ランプ38c、時短状態表示ランプ38d、発射位置指定表示ランプ38eにそれぞれ対応する3つのLEDが含まれている。なお図4中、特に参照符号を付していない他のランプ(LED)は未使用(ブランク)のものである。本実施形態では、上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、特別図柄表示装置34及び遊技状態表示装置38が1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤8に取り付けられている。
〔遊技盤のその他の構成:図3を参照〕
上記の演出ユニット40は、その上縁部40aが遊技球の流下方向を変化させる案内部材として機能する他、その内側に各種の装飾部品40b,40c,40k,40mを備えている。装飾部品40b,40c,40k,40mはその立体的な造形により遊技盤8の装飾性を高めるとともに、例えば内蔵された発光器(LED等)により透過光を発することで、演出的な動作をすることができる。また演出ユニット40の内側には液晶表示器42(画像表示器)が設置されており、この液晶表示器42には普通図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像が表示される。このように遊技盤8は、その盤面の構成(図示しないセル板のデザイン)や演出ユニット40の装飾性に基づいて、遊技者にパチンコ機1の特徴を印象付けている。
演出ユニット40の左側縁部には球案内通路40dが形成されており、その下縁部には転動ステージ40eが形成されている。球案内通路40dは遊技領域8a内にて左斜め上方に開口しており、遊技領域8a内を流下する遊技球が無作為に球案内通路40d内に流入すると、その内部を通過して転動ステージ40e上に放出される。転動ステージ40eは例えば上下2段に形成されており、このうち上段が遊技者からみて奥に位置し、下段が遊技者からみて手前に位置する。上下2段とも、それぞれ転動ステージ40eの上面は滑らかな湾曲面を有しており、ここでは遊技球が左右方向に転動自在である。転動ステージ40e上で転動した遊技球は、やがてその下段から下方の遊技領域8a内に流下する。
また、転動ステージ40eの略中央位置には流入通路40gが形成されており、この流入通路40gには上段の転動ステージ40eから遊技球が無作為に流入し得る。流入通路40gは演出ユニット40の下縁部を下方に延びた後、手前側へL字形状に屈曲して形成されており、その終端に球放出口40hが形成されている。球放出口40hは前面に向けて開口しており、その開口位置が中始動ゲート20の真上に位置している。このため転動ステージ40e上から流入通路40g内に流入した遊技球は、球放出口40hから放出されて、その真下にある中始動ゲート20を通過しやすくなる(ただし、常に通過するわけではない。)。
その他に演出ユニット40には、演出用の可動体40f(例えばハート形の装飾物)とともに図示しない駆動源(例えばモータ、ソレノイド等)が付属している。演出用の可動体40fは、液晶表示器42による画像を用いた演出や発光器による演出に加えて、有形物の動作を伴う演出を実行することができる。このような可動体40fを用いた演出により、二次元の画像を用いた演出とは別の訴求力を発揮することができる。なお、可動体40fを用いた演出例については後述する。
〔制御上の構成〕
次に、パチンコ機1の制御に関する構成について説明する。図5は、パチンコ機1に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。パチンコ機1は、制御動作の中枢となる主制御装置70を備えており、この主制御装置70は主に、パチンコ機1における遊技の進行を制御する機能を有している。なお主制御装置70は、上記の主制御基板ユニット170に内蔵されている。
また主制御装置70には、中央演算処理装置である主制御CPU72を実装した回路基板(主制御基板)が装備されており、主制御CPU72は、図示しないCPUコアやレジスタとともにROM74、RAM(RWM)76等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。また主制御装置70には、乱数発生器75やサンプリング回路77が装備されている。このうち乱数発生器75は、特別図柄抽選の大当り判定用や普通図柄抽選の当り判定用にハードウェア乱数(例えば10進数表記で0〜65535)を発生させるものであり、ここで発生された乱数は、サンプリング回路77を通じて主制御CPU72に入力される。その他にも主制御装置70には、入出力(I/O)ポート79や図示しないクロック発生回路、カウンタ/タイマ回路(CTC)等の周辺ICが装備されており、これらは主制御CPU72とともに回路基板上に実装されている。なお回路基板上(又は内層部分)には、信号伝送経路や電源供給経路、制御用バス等が配線パターンとして形成されている。
上述した中始動ゲート20及び右始動ゲート21には、それぞれ遊技球の通過を検出するための中ゲートスイッチ78及び右ゲートスイッチ80が一体的に設けられている。また遊技盤8には、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して始動入賞口スイッチ82(検出手段)及びカウントスイッチ84(検出手段)が装備されている。このうち始動入賞口スイッチ82は、可変始動入賞装置28(始動入賞口28a)への遊技球の入賞を検出するためのものである。またカウントスイッチ84は、可変入賞装置30(大入賞口30b)への遊技球の入賞を検出し、その数をカウントするためのものである。同様に遊技盤8には、普通入賞口22,24,25への遊技球の入賞を検出する入賞口スイッチ86が装備されている。なお、入賞口スイッチ86は全ての普通入賞口22,24,26について共通のものを用いてもよいし、普通入賞口22,24,25のそれぞれに別々の入賞口スイッチ86を設置してもよい。例えば、盤面の左右と中央にそれぞれ別の入賞口スイッチ86を設置し、左側の入賞口スイッチ86では盤面の左側に位置する普通入賞口22に対する遊技球の入賞を検出し、中央の入賞口スイッチ86では盤面の中央に位置する普通入賞口24に対する遊技球の入賞を検出し、そして右側の入賞口スイッチ86では盤面の右側に位置する普通入賞口25に対する遊技球の入賞を検出することとしてもよい。
いずれにしても、これらスイッチ類78〜86の入賞検出信号は、図示しない入出力ドライバを介して主制御CPU72に入力される。なお遊技盤8の構成上、本実施形態では中ゲートスイッチ78、右ゲートスイッチ80、カウントスイッチ84及び入賞口スイッチ86からの入賞検出信号は、パネル中継端子板87を経由して送信されるものとなっている。パネル中継端子板87には、それぞれの入賞検出信号を中継するための配線パターンや接続端子等が設けられている。
上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、特別図柄表示装置34及び遊技状態表示装置38は、主制御CPU72からの制御信号に基づいて表示動作を制御されている。主制御CPU72は、遊技の進行状況に応じてこれら表示装置33,34,38及びランプ33aに対する制御信号を出力し、各LEDの点灯状態を制御している。また、これら表示装置33,34,38及びランプ33aは、上記のように1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤8に設置されており、この統合表示基板89には上記のパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
また遊技盤8には、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して普通電動役物ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90が設けられている。これらソレノイド88,90は主制御CPU72からの制御信号に基づいて動作(励磁)し、それぞれ可変始動入賞装置28、可変入賞装置30を作動(開放)させる。なお、これらソレノイド88,90についても上記のパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
特に図示していないが、遊技盤8には磁気センサや振動センサもまた設置されており、このうち磁気センサは、その設置位置で遊技盤8に飛来してくる磁束を検出し、その密度(磁気強度)に応じた検出信号を出力する。また振動センサは、その設置位置で遊技盤8に加えられる加速度(振動)を検出し、その大きさに応じた検出信号を出力する。これら磁気センサや振動センサの検出信号は、例えばパネル中継端子板87を通じて主制御装置70(主制御CPU72)に入力されている。
その他に上記の一体扉ユニット4にはガラス枠開放スイッチ91が設置されており、また上記の内枠アセンブリ7にはプラ枠開放スイッチ93が設置されている。一体扉ユニット4が単独で開放されると、ガラス枠開放スイッチ91からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力され、また外枠ユニット2から内枠アセンブリ7が開放されると、プラ枠開放スイッチ93からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力される。主制御CPU72は、これら接点信号から一体扉ユニット4や内枠アセンブリ7の開放状態を検出することができる。なお主制御CPU72は、一体扉ユニット4や内枠アセンブリ7の開放状態を検出すると、上記の外部情報信号として扉開放情報信号を生成する。
パチンコ機1の裏側には、払出制御装置92が装備されている。この払出制御装置92(払出制御コンピュータ)は、上述した払出装置ユニット172の動作を制御する。払出制御装置92には、払出制御CPU94を実装した回路基板(払出制御基板)が装備されており、この払出制御CPU94もまた、図示しないCPUコアとともにROM96、RAM98等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。払出制御装置92(払出制御CPU94)は、主制御CPU72からの賞球指示コマンドに基づいて払出装置ユニット172の動作を制御し、要求された個数の遊技球の払出動作を実行させる。なお主制御CPU72は賞球指示コマンドとともに、上記の外部情報信号として賞球情報信号を生成する。
払出装置ユニット172の図示しない賞球ケース内には、払出モータ102(例えばステッピングモータ)とともに払出装置基板100が設置されており、この払出装置基板100には払出モータ102の駆動回路が設けられている。払出装置基板100は、払出制御装置92(払出制御CPU94)からの払出数指示信号に基づいて払出モータ102の回転角度を具体的に制御し、指示された数の遊技球を賞球ケースから払い出させる。払い出された遊技球は、流路ユニット173内の払出流路を通って上記の受け皿ユニット6に送られる。
また、例えば賞球ケースの上流位置には払出路球切れスイッチ104が設置されている他、払出モータ102の下流位置には払出計数スイッチ106が設置されている。払出モータ102の駆動により実際に賞球が払い出されると、その都度、払出計数スイッチ106からの計数信号が払出装置基板100に入力される。また賞球ケースの上流位置で球切れが発生すると、払出路球切れスイッチ104からの接点信号が払出装置基板100に入力される。払出装置基板100は、入力された計数信号や接点信号を払出制御装置92(払出制御CPU94)に送信する。払出制御CPU94は、払出装置基板100から受信した信号に基づき、実際の払出数や球切れ状態を検知することができる。
またパチンコ機1には、例えば下皿6cの内部(パチンコ機1の正面からみて奧の位置)に満タンスイッチ161が設置されている。実際に払い出された賞球(遊技球)は上記の流路ユニット173を通じて上皿6bに放出されるが、上皿6bが遊技球で満杯になると、それ以上に払い出された遊技球は上述したように下皿6cへ流れ込む。さらに下皿6cが遊技球で満杯になると、それによって満タンスイッチ161がONになり、満タン検出信号が払出制御装置92(払出制御CPU94)に入力される。これを受けて払出制御CPU94は、主制御CPU72から賞球指示コマンドを受信してもそれ以上の賞球動作を一旦保留とし、未払出の賞球残数をRAM98に記憶させておく。なお、RAM98の記憶は電源断時にもバックアップが可能であり、遊技中に停電(瞬間的な停電を含む)が発生しても、未払出の賞球残数情報が消失してしまうことはない。
またパチンコ機1の裏側には、発射制御基板108とともに発射ソレノイド110が設置されている。また、受け皿ユニット6内には球送りソレノイド111が設けられている。これら発射制御基板108、発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111は上述した発射制御基板セット174を構成しており、このうち発射制御基板108には発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111の駆動回路が設けられている。このうち球送りソレノイド111は、受け皿ユニット6内に蓄えられた遊技球を1個ずつ、発射機ケース内で所定の発射位置に送り出す動作を行う。また発射ソレノイド110は、発射位置に送り出された遊技球を打撃し、上記のように遊技領域8に向けて遊技球を1個ずつ連続的(間欠的)に打ち出す動作を行う。なお遊技球の発射間隔は、例えば0.6秒程度の間隔(1分間で100個以内)である。
一方、パチンコ機1の表側に位置する上記のハンドルユニット16には、発射レバーボリューム112、タッチセンサ114及び発射停止スイッチ116が設けられている。このうち発射レバーボリューム112は、遊技者による発射ハンドルの操作量(いわゆるストローク)に比例したアナログ信号を生成する。またタッチセンサ114は、静電容量の変化から遊技者の身体がハンドルユニット16(発射ハンドル)に触れていることを検出し、その検出信号を出力する。そして発射停止スイッチ116は、遊技者の操作に応じて発射停止信号(接点信号)を生成する。
上記の受け皿ユニット6には発射中継端子板118が設置されており、発射レバーボリューム112やタッチセンサ114、発射停止スイッチ116からの各信号は、発射中継端子板118を経由して発射制御基板108に送信される。また、発射制御基板108からの駆動信号は、発射中継端子板118を経由して球送りソレノイド111に印加される。遊技者が発射ハンドルを操作すると、その操作量に応じて発射レバーボリューム112でアナログ信号(エンコードされたデジタル信号でもよい)が生成され、このときの信号に基づいて発射ソレノイド110が駆動される。これにより、遊技者の操作量に応じて遊技球を打ち出す強さが調整されるものとなっている。なお発射制御基板108の駆動回路は、タッチセンサ114からの検出信号がオフ(ローレベル)の場合か、もしくは発射停止スイッチ116から発射停止信号が入力された場合は発射ソレノイド110の駆動を停止する。この他に、発射中継端子板118には遊技球等貸出装置接続端子板120が接続されており、この遊技球等貸出装置接続端子板120に上記のCRユニットが接続されていない場合、同じく発射制御基板108の駆動回路は発射ソレノイド110の駆動を停止する。
また、受け皿ユニット6には度数表示基板122及び貸出及び返却スイッチ基板123が内蔵されている。このうち度数表示基板122には、上記の度数表示部の表示器(3桁分の7セグメントLED)が設けられている。また貸出及び返却スイッチ基板123には球貸ボタン10や返却ボタン12にそれぞれ接続されるスイッチモジュールが実装されており、球貸ボタン10又は返却ボタン12が操作されると、その操作信号が貸出及び返却スイッチ基板123から遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してCRユニットに送信される。またCRユニットからは、有価媒体の残り度数を表す度数信号が遊技球等貸出装置接続端子板120を経由して度数表示基板122に送信される。度数表示基板122上の図示しない表示回路は、度数信号に基づいて表示器を駆動し、有価媒体の残り度数を数値表示する。またCRユニットに有価媒体が投入されていなかったり、あるいは投入された有価媒体の残り度数が0になったりした場合、度数表示基板122の表示回路は表示器を駆動してデモ表示(有価媒体の投入を促す表示)を行うこともできる。
またパチンコ機1は制御上の構成として、演出制御装置124を備えている。この演出制御装置124は、パチンコ機1における遊技の進行に伴う演出の制御を行う。演出制御装置124にもまた、中央演算処理装置である演出制御CPU126を実装した回路基板(複合サブ制御基板)が装備されている。演出制御CPU126には、図示しないCPUコアとともにメインメモリとしてROM128やRAM130等の半導体メモリが内蔵されている。演出制御CPU126には、主制御CPU72よりも高速(高クロック周波数)で、データバス幅が広い(例えば64ビット)タイプのものを使用することができる。なお演出制御装置124は、パチンコ機1の裏側で上記の裏カバーユニット178に覆われる位置に設けられている。
また演出制御装置124には、図示しない入出力ドライバや各種の周辺ICが装備されている他、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134が装備されている。演出制御CPU126は、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドに基づいて演出の制御を行い、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134に指令を与えて各種ランプ46,48,50,52や盤面ランプ53を発光させたり、スピーカ54,55,56から実際に効果音や音声等を出力させたりする処理を行う。
ランプ駆動回路132は、例えば図示しないPWM(パルス幅変調)ICやMOSFET等のスイッチング素子を備えており、このランプ駆動回路132は、LEDを含む各種ランプに印加する駆動電圧をスイッチング(又はデューティ切替)して、その発光・点滅等の動作を管理する。なお各種ランプには、上記のガラス枠トップランプ46やガラス枠装飾ランプ48,50,52の他に、遊技盤8に設置された装飾・演出用の盤面ランプ53が含まれる。盤面ランプ53は上記の演出ユニットに内蔵されるLEDや、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30等に内蔵されるLEDに相当するものである。
また音響駆動回路134は、例えば図示しないサウンドROMや音響制御IC、アンプ等を内蔵したサウンドジェネレータであり、この音響駆動回路134は、上スピーカ54及び下スピーカ56を駆動して音響出力を行う。
本実施形態では一体扉ユニット4の内面にガラス枠電飾基板136が設置されており、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134からの駆動信号はガラス枠電飾基板136を経由して各種ランプ46,48,50,52やスピーカ54,55,56に印加されている。またガラス枠電飾基板136には、上記の演出切替ボタン45が接続されており、遊技者が演出切替ボタン45を押し込み操作又は回転操作すると、それぞれ接点信号(押し込み操作時)又は回転角信号(回転操作時)がガラス枠電飾基板136を通じて演出制御装置124に入力される。
その他、遊技盤8にはパネル電飾基板138が設置されており、このパネル電飾基板138には盤面ランプ53の他に可動体ソレノイド57が接続されている。可動体ソレノイド57は、例えば図示しないリンク機構を介して上記の可動体40fを駆動する。ランプ駆動回路132からの駆動信号は、パネル電飾基板138を経由して盤面ランプ53及び可動体ソレノイド57にそれぞれ印加されている。
上記の液晶表示器42は遊技盤8の裏側に設置されており、遊技盤8に形成された略矩形の開口を通じてのその表示画面が視認可能となっている。また、遊技盤8の裏側にはインバータ基板158が設置されており、このインバータ基板158は液晶表示器42のバックライト(例えば冷陰極管)に印加される交流電源を生成している。なお、バックライトにLEDアレイを用いる場合、インバータ基板158に代えてLED駆動基板(図示していない)を設置することができる。さらに、遊技盤8の裏側には演出表示制御装置144が設置されており、液晶表示器42による表示動作は、演出表示制御装置144により制御されている。演出表示制御装置144には、汎用の中央演算処理装置である表示制御CPU146とともに、表示プロセッサであるVDP152を実装した回路基板(演出表示制御基板)が装備されている。このうち表示制御CPU146は、図示しないCPUコアとともにROM148、RAM150等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。またVDP152は、図示しないプロセッサコアとともに画像ROM154やVRAM156等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。なおVRAM156は、その記憶領域の一部をフレームバッファとして利用することができる。
演出制御CPU126のROM128には、演出の制御に関する基本的なプログラムが格納されており、演出制御CPU126は、このプログラムに沿って演出の制御を実行する。演出の制御には、上記のように各種ランプ46〜53等やスピーカ54,55,56、可動体40fを用いた演出の制御が含まれる他、液晶表示器42を用いた画像表示による演出の制御が含まれる。演出制御CPU126は、表示制御CPU146に対して演出に関する基本的な情報(例えば演出番号)を送信し、これを受け取った表示制御CPU146は、基本的な情報に基づいて具体的に演出用の画像を表示する制御を行う。
表示制御CPU146は、VDP152に対してさらに詳細な制御信号を出力する。これを受け取ったVDP152は、制御信号に基づいて画像ROM154にアクセスし、そこから必要な画像データを読み出してVRAM156に転送する。さらにVDP152は、VRAM156上で画像データを1フレーム(単位時間あたりの静止画像)ごとにフレームバッファに展開し、ここでバッファされた画像データに基づき液晶表示器42の各画素(例えば24ビットカラー画素)を個別に駆動する。
その他、内枠アセンブリ7の裏側には電源制御ユニット162が装備されている。この電源制御ユニット162はスイッチング電源回路を内蔵し、電源コード164を通じて島設備から外部電力(例えばAC24V等)を取り込むと、そこから必要な電力(例えばDC+34V、+12V等)を生成することができる。電源制御ユニット162で生成された電力は、主制御装置70や払出制御装置92、演出制御装置124、インバータ基板158に分配されている。さらに、払出制御装置92を経由して発射制御基板108に電力が供給されている他、遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してCRユニットに電力が供給されている。なお、ロジック用の低電圧電力(例えばDC+5V)は、各装置に内蔵された電源用IC(3端子レギュレータ等)で生成される。また上記のように電源制御ユニット162は、アース線166を通じて島設備にアース(接地)されている。
上記の外部端子板160は払出制御装置92に接続されており、主制御装置70(主制御CPU72)にて生成された各種の外部情報信号は、払出制御装置92を経由して外部端子板160から外部に出力されるものとなっている。主制御装置70(主制御CPU72)及び払出制御装置92(払出制御CPU94)は、外部端子板160を通じてパチンコ機1の外部に向けて外部情報信号を出力することができる。外部端子板160から出力される信号は、例えば遊技場のホールコンピュータ(図示していない)で集計される。なお、ここでは払出制御装置92を経由する構成を例に挙げているが、主制御装置70からそのまま外部情報信号が外部端子板160に出力される構成であってもよい。
以上がパチンコ機1の制御に関する構成例である。続いて、主制御装置70の主制御CPU72により実行される制御上の処理について説明する。
〔リセットスタート(メイン)処理〕
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御CPU72はリセットスタート処理を開始する。リセットスタート処理は、前回の電源遮断時に保存されたバックアップ情報を元に遊技状態を復旧(いわゆる復電)したり、逆にバックアップ情報をクリアしたりすることで、パチンコ機1の初期状態を整えるための処理である。またリセットスタート処理は、初期状態の調整後にパチンコ機1の安定した遊技動作を保証するためのメイン処理(メイン制御プログラム)として位置付けられる。
図6及び図7は、リセットスタート処理の手順例を示すフローチャートである。以下、主制御CPU72が行う処理について、各手順を追って説明する。
ステップS101:主制御CPU72は、先ずスタックポインタにスタック領域の先頭アドレスをセットする。
ステップS102:続いて主制御CPU72は、ベクタ方式の割込モード(モード2)を設定し、デフォルトであるRST方式の割込モード(モード0)を修正する。これにより、以後、主制御CPU72は任意のアドレス(ただし最下位ビットは0)を割込ベクタとして参照し、指定の割込ハンドラを実行することができる。
ステップS103:主制御CPU72は、ここでリセット時待機処理を実行する。この処理は、リセットスタート(例えば電源投入)時にある程度の待機時間(例えば数千ms程度)を確保しておき、その間に主電源断検出信号のチェックを行うためのものである。具体的には、主制御CPU72は待機時間分のループカウンタをセットすると、ループカウンタの値をデクリメントしながら主電源断検出信号の入力ポートをビットチェックする。主電源断検出信号は、例えば周辺デバイスである電源監視ICから入力される。そして、ループカウンタが0になる前に主電源断検出信号の入力を確認すると、主制御CPU72は先頭から処理を再開する。これにより、例えば図示しない主電源スイッチの投入と切断の操作が短時間(1〜2秒程度)内に繰り返し行われた場合のシステム保護を図ることができる。
ステップS104:次に主制御CPU72は、RAM76のワーク領域に対するアクセスを許可する。具体的には、ワーク領域のRAMプロテクト設定値をリセット(00H)する。これにより、以後はRAM76のワーク領域に対するアクセスが許可された状態となる。
ステップS105:また主制御CPU72、割り込みマスクを設定するためにマスクレジスタの初期設定を行う。具体的には、CTC割り込みを有効にする値をマスクレジスタに格納する。
ステップS106:主制御CPU72は、先に退避しておいたRAMクリアスイッチからの入力信号を参照し、RAMクリアスイッチが操作(スイッチON)されたか否かを確認する。RAMクリアスイッチが操作されていなければ(No)、次にステップS107を実行する。
ステップS107:次に主制御CPU72は、RAM76にバックアップ情報が保存されているか否か、つまり、バックアップ有効判定フラグがセットされているか否かを確認する。前回の電源遮断処理でバックアップが正常に終了し、バックアップ有効判定フラグ(例えば「A55AH」)がセットされていれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS108を実行する。
ステップS108:主制御CPU72は、RAM76のバックアップ情報についてサムチェックを実行する。具体的には、主制御CPU72はRAM76のワーク領域(使用禁止領域及びスタック領域を含むユーザワーク領域)のうち、バックアップ有効判定フラグ及びサムチェックバッファを除く全ての領域をサムチェックする。サムチェックの結果が正常であれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS109を実行する。
ステップS109:主制御CPU72は、バックアップ有効判定フラグをリセット(例えば「0000H」)する。
ステップS110:また主制御CPU72は、前回の電源断発生直前に送信待ちであったコマンドをクリアする。
ステップS111:次に主制御CPU72は、演出制御復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は演出制御装置124に対し、復帰用のコマンド(例えば機種指定コマンド、特別図柄確率状態指定コマンド、作動記憶数コマンド、回数切りカウンタ残数コマンド、特別遊技状態指定コマンド等)を送信する。これを受けて演出制御装置124は、前回の電源遮断時に実行中であった演出状態(例えば、時間短縮状態に対応した演出状態、内部確率状態に対応した演出状態、演出図柄の表示態様、作動記憶数の演出表示態様、音響出力内容、各種ランプの発光状態等)を復帰させることができる。
ステップS112:主制御CPU72は、状態復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はバックアップ情報を元にRAM76のワーク領域に各種の値をセットし、前回の電源遮断時に実行中であった遊技状態(例えば、特別図柄の表示態様、内部確率状態、変動時間短縮機能作動/非作動状態、大当り遊技状態/非大当り遊技状態、作動記憶内容、各種フラグ状態、乱数更新状態等)を復帰させる。また主制御CPU72は、バックアップされていたPCレジスタの値を復旧する。
一方、電源投入時にRAMクリアスイッチが操作されていた場合(ステップS106:Yes)や、バックアップ有効判定フラグがセットされていなかった場合(ステップS107:No)、あるいは、バックアップ情報が正常でなかった場合(ステップS108:No)、主制御CPU72はステップS113に移行する。
ステップS113:主制御CPU72は、RAM76の使用禁止領域以外の記憶内容をクリアする。これにより、RAM76のワーク領域及びスタックエリアは全て初期化され、有効なバックアップ情報が保存されていても、その内容は消去される。
ステップS114:また主制御CPU72は、RAM76の初期設定を行う。
ステップS115:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が初期設定後に演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。
ステップS116:主制御CPU72は、払出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は払出制御装置92に対して、賞球の払い出しを開始するための指示コマンドを出力する。
ステップS117:主制御CPU72は、CTC初期設定処理を実行し、周辺デバイスであるCTC(カウンタ/タイマ回路)の初期設定を行う。この処理では、主制御CPU72は割込ベクタレジスタを設定し、また、CTCに割り込みカウント値(例えば4ms)を設定する。これにより、次にCTC割り込みが発生すると、主制御CPU72はバックアップされていたPCレジスタのプログラムアドレスから処理を続行することができる。
リセットスタート処理において以上の手順を実行すると、主制御CPU72は図7に示されるメインループに移行する(接続記号A→A)。
ステップS118,ステップS119:主制御CPU72は割込を禁止した上で、電源断発生チェック処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は主電源断検出信号の入力ポートをビットチェックし、電源遮断の発生(供給電圧の低下)を監視する。電源遮断が発生すると、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90に対応する出力ポートバッファをクリアすると、RAM76のワーク領域のうちバックアップ有効判定フラグ及びサムチェックバッファを除く全体の内容をバックアップし、サムチェックバッファにサム結果値を保存する。そして主制御CPU72はバックアップ有効判定フラグ領域に上記の有効値(例えば「A55AH」)を格納し、RAM76のアクセスを禁止して処理を停止(NOP)する。一方、電源遮断が発生しなければ、主制御CPU72は次にステップS120を実行する。なお、このような電源断発生時の処理をマスク不能割込(NMI)処理としてCPUに実行させている公知のプログラミング例もある。
ステップS120:主制御CPU72は、初期値更新乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、各種のソフトウェア乱数の初期値を更新(変更)するための乱数をインクリメントする。本実施形態では、特別図柄に対応する大当り決定乱数(ハードウエア乱数)及び普通図柄に対応する当り決定乱数(ハードウェア乱数)を除く各種の乱数(例えば、当り図柄乱数、大当り図柄乱数、リーチ判定乱数、変動パターン決定乱数等)をプログラム上で発生させている。なお、特別図柄に対応する変動パターン決定乱数やリーチ判定乱数については、必要に応じて発生させることができ、使用しない場合は乱数発生の処理を省略することができる。いずれにしても、これらソフトウェア乱数は、別の割込処理(図8中のステップS201)で所定範囲内のループカウンタにより更新されているが、この処理において乱数値が1巡するごとにループカウンタの初期値(全ての乱数が対象でなくてもよい)を変更している。初期値更新用乱数は、この初期値をランダムに変更するために用いられており、ステップS120では、その初期値更新用乱数の更新を行っている。なお、ステップS118で割込を禁止した後にステップS120を実行しているのは、別の割込管理処理(図8中のステップS202)でも同様の処理を実行するため、これとの重複(競合)を防止するためである。なお上記のように、本実施形態において大当り決定乱数及び当り決定乱数は乱数発生器75により発生されるハードウェア乱数であり、その更新周期はタイマ割込周期(例えば数ms)よりもさらに高速(例えば数μs)であるため、大当り決定乱数及び当り決定乱数の初期値を更新する必要はない。
ステップS121,ステップS122:主制御CPU72は割込を許可し、その他乱数更新処理を実行する。この処理で更新される乱数は、ソフトウェア乱数のうち当選種類(当り種別)の判定に関わらない乱数(リーチ判定乱数、変動パターン決定乱数等)である。この処理は、メインループの実行中にタイマ割込が発生し、主制御CPU72が別の割込管理処理(図8)を実行した場合の残り時間で行われる。なお割込管理処理の内容については後述する。
〔割込管理処理(タイマ割込処理)〕
次に、割込管理処理(タイマ割込処理)について説明する。図8は、割込管理処理の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、カウンタ/タイマ回路からの割込要求信号に基づき、所定時間(例えば数ms)ごとに割込管理処理を実行する。以下、各手順を追って説明する。
ステップS200:先ず主制御CPU72は、メインループの実行中に使用していたレジスタ(アキュムレータAとフラグレジスタF、汎用レジスタB〜Lの各ペア)の値をRAM76の退避領域に退避させる。値を退避させた後のレジスタ(A〜L)には、割込管理処理の中で別の値を書き込むことができる。
ステップS201:次に主制御CPU72は、抽選乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は抽選用の各種乱数を発生させるためのカウンタの値を更新する。各カウンタの値は、RAM76の乱数カウンタ領域にてインクリメントされ、それぞれ規定の範囲内でループする。各種乱数には、例えば大当り図柄乱数、普通図柄当り決定乱数等が含まれる。
ステップS202:主制御CPU72は、ここでも初期値更新乱数更新処理を実行する。処理の内容は、先に述べたものと同じである。
ステップS203:主制御CPU72は、入力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は入出力(I/O)ポート79から各種スイッチ信号を入力する。具体的には、中ゲートスイッチ78及び右ゲートスイッチ80からの検出信号や、始動入賞口スイッチ82、カウントスイッチ84、入賞口スイッチ86からの入賞検出信号の入力状態(ON/OFF)をリードする。
ステップS204:ここで主制御CPU72は、セキュリティ管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先の入力処理(ステップS203)でリードした入賞検出信号の入力状態(ON/OFF)に基づいて、入球を有効なものとして扱うか否か(入賞が有効であるか否か)の判定を行う(入賞有効判定手段)。そして、主制御CPU72は入賞が有効であると判定した場合は入賞検出信号を保持するが、入賞が無効であると判定した場合、主制御CPU72は不正入賞エラーコマンドを生成したり、不正入賞による入賞検出信号のビットをON→OFFへ書き換えたりする。またセキュリティ管理処理において、主制御CPU72は、上記の磁気センサや振動センサ(図示されていない)による不正行為の監視を行ったり、過度な入賞や中始動ゲート20又は右始動ゲート21の通過が発生しているか否かの判定を行ったりする。なお、セキュリティ管理処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS205:次に主制御CPU72は、スイッチ入力イベント処理を実行する。この処理では、先の入力処理で入力したスイッチ信号のうち、中ゲートスイッチ78又は右ゲートスイッチ80からの通過検出信号や始動入賞口スイッチ82からの入賞検出信号に基づいて遊技中に発生した事象の判定を行い、それぞれ発生した事象に応じて、さらに別の処理を実行する。なお、スイッチ入力イベント処理の具体的な内容については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
本実施形態では、始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は特別図柄に対応した内部抽選の契機(抽選契機)となる事象が発生したと判定する。また中ゲートスイッチ78又は右ゲートスイッチ80から通過検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は普通図柄に対応した抽選契機となる事象が発生したと判定する。いずれかの事象が発生したと判定すると、主制御CPU72は、それぞれの発生事象に応じた処理を実行する。なお、中ゲートスイッチ78又は右ゲートスイッチ80から通過検出信号が入力された場合に実行される処理や始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力された場合に実行される処理については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS206,ステップS207:主制御CPU72は、割込管理処理中において特別図柄遊技処理及び普通図柄遊技処理を実行する。これら処理は、パチンコ機1における遊技を具体的に進行させるためのものである。このうち特別図柄遊技処理(ステップS206)では、主制御CPU72は先に述べた特別図柄に対応する内部抽選の実行を制御したり、特別図柄表示装置34による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変入賞装置30の作動を制御したりする。なお、特別図柄遊技処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
また普通図柄遊技処理(ステップS207)では、主制御CPU72は先に述べた普通図柄表示装置33による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変始動入賞装置28の作動を制御したりする。例えば、主制御CPU72は先のスイッチ入力イベント処理(ステップS205)の中で中始動ゲート20又は右始動ゲート21の通過を契機として取得した乱数(普通図柄当り決定乱数)を記憶しておき、この普通図柄遊技処理の中で記憶から乱数値を読み出し、所定の当り範囲内に該当するか否かの判定を行う(作動抽選実行手段)。乱数値が当り範囲内に該当する場合、普通図柄表示装置33により普通図柄を変動表示させて所定の当り態様で普通図柄の停止表示を行った後、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド88を励磁して可変始動入賞装置28を作動させる(抽選契機発生動作手段)。一方、乱数値が当り範囲外であれば、主制御CPU72は、変動表示の後にはずれの態様で普通図柄の停止表示を行う。なお、普通図柄遊技処理の詳細についても、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS208:次に主制御CPU72は、賞球払出処理を実行する。この処理では、先の入力処理(ステップS203)において各種スイッチ80,84,86から入力された入賞検出信号に基づき、払出制御装置92に対して賞球個数を指示する賞球指示コマンドを出力する。
ステップS209:次に主制御CPU72は、外部情報処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は外部端子板160を通じて遊技場のホールコンピュータに対して上記の外部情報信号(例えば賞球情報、扉開放情報、図柄確定回数情報、大当り情報、始動口情報等)をポート出力要求バッファに格納する。
なお本実施形態では、各種の外部情報信号のうち、例えば大当り情報として「大当り1」〜「大当り5」を外部に出力することで、パチンコ機1に接続された外部の電子機器(データ表示器やホールコンピュータ)に対して多様な大当り情報を提供することができる(外部情報信号出力手段)。すなわち、大当り情報を複数の「大当り1」〜「大当り5」に分けて出力することで、これらの組み合わせから大当りの種別(当選種類)を図示しないホールコンピュータで集計・管理したり、内部的な確率状態(低確率状態又は高確率状態)や図柄変動時間の短縮状態の変化を認識したり、非当選以外であっても「大当り」に分類されない小当り(条件装置が作動しない当り)の発生を集計・管理したりすることが可能となる(ただし、本実施形態では小当りを用いていない。)。また大当り情報に基づき、例えば図示しないデータ表示装置によりパチンコ機1の台ごとに過去数営業日以内の大当り発生回数を計数及び表示したり、台ごとに現在大当り中であるか否かを認識したり、あるいは台ごとに現在図柄変動時間の短縮状態であるか否かを認識したりすることができる。この外部情報処理において、主制御CPU72は「大当り1」〜「大当り5」のそれぞれの出力状態(ON又はOFFのセット)を詳細に制御する。
ステップS210:また主制御CPU72は、試験信号処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が自己の内部状態(例えば、普通図柄遊技管理状態、特別図柄遊技管理状態、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中)を表す各種の試験信号を生成し、これらをポート出力要求バッファに格納する。この試験信号により、例えば主制御装置70の外部で主制御CPU72の内部状態を試験することができる。
ステップS211:次に主制御CPU72は、表示出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は普通図柄表示装置33、普通図柄作動記憶ランプ33a、特別図柄表示装置34、遊技状態表示装置38等の点灯状態を制御する。具体的には、先の特別図柄遊技処理(ステップS206)や普通図柄遊技処理(ステップS207)においてポート出力要求バッファに格納されている駆動信号をポート出力する。なお駆動信号は、各LEDに対して印加するバイトデータとしてポート出力要求バッファに格納されている。これにより、各LEDが所定の表示態様(図柄の変動表示や停止表示、作動記憶数表示、遊技状態表示等を行う態様)で駆動されることになる。
ステップS212:また主制御CPU72は、出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先の外部情報処理(ステップS209)でポート出力要求バッファに格納された外部情報信号(バイトデータ)をポート出力する。また主制御CPU72は、ポート出力要求バッファに格納されている普通電動役物ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90の各駆動信号、試験信号等を合わせてポート出力する。
ステップS213:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、コマンドバッファ内に主制御CPU72が演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)があるか否かを確認し、未送信コマンドがある場合は出力対象のコマンドをポート出力する。
ステップS214:そして主制御CPU72は、今回のCTC割込で格納したポート出力要求バッファをクリアする。
なお本実施形態では、ステップS206〜ステップS213の処理(遊技制御プログラムモジュール)をタイマ割込処理として実行する例を挙げているが、これら処理をCPUのメインループ中に組み込んで実行している公知のプログラミング例もある。
ステップS215:以上の処理を終えると、主制御CPU72は割込終了を指定する値(01H)を割込プログラムカウンタ内に格納し、CTC割込を終了する。
ステップS216,ステップS217:そして主制御CPU72は、退避しておいたレジスタ(A〜L)の値を復帰し、次回のCTC割込を許可する。この後、主制御CPU72は、メインループ(スタックポインタで指示されるプログラムアドレス)に復帰する。
〔セキュリティ管理処理〕
図9は、割込管理処理の中で実行されるセキュリティ管理処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿ってセキュリティ管理処理の内容を説明する。
ステップS220:先ず主制御CPU72は、入賞有効判定処理を実行する。この処理では、例えば先の入力処理でリードした入賞検出信号の入力状態が「ON」のものについて、入賞が有効であるか否かを判定する(入賞有効判定手段)。なお、有効判定は、始動入賞口28aと大入賞口30bのそれぞれについて行われる。
〔「入球」,「入賞」の意義〕
ここで、本実施形態における「入球」と「入賞」の意義について説明する。
可変始動入賞装置28や可変入賞装置30については、それぞれが開放状態となって始動入賞口28a又は大入賞口30bに遊技球が流入することを「入球」とする。
「入球」した遊技球が始動入賞口スイッチ82又はカウントスイッチ84の貫通孔(検出部)を通過すると、各スイッチ82,84の入賞検出信号が「ON」になり、始動入賞口28a又は大入賞口30bへの「入球」が検出されたことになる。
ただし、検出された「入球」には適正でないものもある。検出された「入球」が適正でない例として、何らかの不正な手段によって可変始動入賞装置28や可変入賞装置30に遊技球が流入した場合が挙げられる。このため、入賞有効判定処理(ステップS220)では、検出された「入球」をセキュリティ上、有効なものとして扱うか否かの判定を行う。
そして、入賞有効判定処理において主制御CPU72が「入球」を有効なものとして扱うと判定した場合、そこで初めて「入賞」が発生したことになり、各スイッチ82,84の入賞検出信号は、以降の制御処理において引き続き有効なものとして使用される。逆に、「入球」は検出されたが、主制御CPU72がその「入球」を有効なものと扱わない(無効とする)と判定した場合、そもそも「入賞」が発生したことにはならない。この場合、各スイッチ82,84の入賞検出信号は無効化され、以降の制御処理(抽選や賞球の処理)には用いられない。
本実施形態では便宜上、入賞有効判定処理において「検出された『入球』を有効なものとして扱うと判定する」ことを「入賞が有効であると判定する」とも表現し、「検出された『入球』を有効なものと扱わないと判定する」ことを「入賞が有効でない(無効)と判定する」とも表現する。
〔判定条件〕
入賞有効判定処理において、主制御CPU72は、以下の条件に基づいて入賞が有効であるか否かを判定する。
〔始動入賞口28aについての有効判定〕
(1)可変始動入賞装置28(普通電動役物)に係る一連の動作中及び動作終了後から所定時間(例えば最長4秒程度)が経過するまでの期間以外に検出された始動入賞口28aへの入球ではないこと。
〔大入賞口30bについての有効判定〕
(2)可変入賞装置30(特別電動役物)に係る一連の動作中及び動作終了後から所定時間(例えば15秒程度)が経過するまでの期間以外に検出された大入賞口30bへの入球ではないこと。
上記の条件(1)を用いた判定は、例えば始動入賞口スイッチ82からの入賞検出信号(ON)が入力された割込周期において、普通遊技管理ステータスの値や各種の入賞有効タイマの値を参照して行うことができる。条件(1)を満たす場合、主制御CPU72は始動入賞口28aへの「入球」を有効なものとして扱うと判定し、始動入賞口スイッチ82からの入賞検出信号を以降の制御処理においても有効に使用する。一方、条件(1)を満たさない場合、主制御CPU72は始動入賞口28aへの入球を有効なものと扱わないと判定し、始動入賞口スイッチ82からの入賞検出信号を無効化する処理を行う。なお、普通遊技管理ステータスや入賞有効タイマについてはさらに後述する。
また、条件(2)を用いた判定は、例えばカウントスイッチ84からの入賞検出信号(ON)が入力された割込周期において、特別遊技管理ステータスの値や入賞有効タイマの値を参照して行うことができる。条件(2)を満たす場合、主制御CPU72は大入賞口30bへの「入球」を有効なものとして扱うと判定し、カウントスイッチ84からの入賞検出信号を以降の制御処理においても有効に使用する。一方、条件(2)を満たさない場合、主制御CPU72は大入賞口30bへの入球を有効なものとして扱わないと判定し、カウントスイッチ84からの入賞検出信号を無効化する処理を行う。なお、特別遊技管理ステータスや入賞有効タイマについては後述する。
入賞検出信号を無効化する処理では、条件(1),(2)のそれぞれについて割込周期ごとに判定を行い、入賞検出信号を無効化するごとに無効入賞カウンタの値をインクリメントする。そして、各条件(1),(2)について無効入賞カウンタの値が規定値(例えば5個)に達すると、主制御CPU72は内部情報として不正入賞エラーフラグをON(=1)にする。これにより、パチンコ機1において「不正入賞エラー」が発生することになる。
以上は入賞有効判定処理についての概要であるが、処理の詳細については別のフローチャートを用いてさらに後述する。
ステップS222:次に主制御CPU72は、磁気検出処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は上記の磁気センサ(図示されていない)からの検出信号に基づいて不正行為(いわゆる「磁石ゴト」)の有無を判断する。その結果、不正行為に相当する程度の磁束が検出された場合、主制御CPU72はセキュリティエラーフラグをON(=1)にする。これにより、パチンコ機1においてその他の「セキュリティエラー」が発生することになる。
ステップS224:また主制御CPU72は、振動検出処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は上記の振動センサ(図示されていない)からの検出信号に基づいて不正行為(いわゆる「ドツキゴト」)の有無を判断する。その結果、不正行為と認められる程度の振動が検出された場合、主制御CPU72は同じくセキュリティエラーフラグをONにする。
ステップS226:次に主制御CPU72は、入賞超過検出処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は一定時間(例えば1分間)あたりの入賞発生回数をカウントし、不正行為に相当する程度の入賞超過が発生しているか否かを判断する。入賞超過と判断した場合、主制御CPU72は同じくセキュリティエラーフラグをONにする。
ステップS228:また主制御CPU72は、通過口超過検出処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は一定時間(例えば1分間)あたりの始動ゲート20の通過発生回数をカウントし、不正行為に相当する程度の超過が発生しているか否かを判断する。超過と判断した場合、主制御CPU72は同じくセキュリティエラーフラグをONにする。
ステップS230:そして主制御CPU72は、上記の「不正入賞エラーフラグ」や「セキュリティエラーフラグ」の値をチェックする。いずれかのエラーフラグがON(=1)にセットされた場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS232を実行する。なお、いずれのエラーフラグもONにセットされなかった場合(No)、主制御CPU72はステップS232を実行しない。
ステップS232:この場合、主制御CPU72はエラーコマンド処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は演出制御装置124(演出制御CPU126)に対して送信するエラーコマンド(エラー状態指定コマンド)を生成し、その値をコマンド送信バッファに転送する。なおエラーコマンドは、発生したエラー別に異なる値をセットすることができる。例えば、「不正入賞エラーフラグ」がONの場合は「不正入賞エラー」として識別可能な値をエラーコマンドにセットし、「セキュリティエラーフラグ」がONの場合は「セキュリティエラー」として識別可能な値をエラーコマンドにセットする。なお、ここで生成されたエラーコマンドは、この後の演出制御出力処理(図19中のステップS213)で演出制御装置124に送信される。
ステップS234:また主制御CPU72は、ここで不正入賞マスク処理を実行する。この処理では、先の入賞有効判定処理(ステップS220)で不正入賞エラーと判定したか否かに関わらず、主制御CPU72は有効でないと判定した全ての入賞検出信号をONからOFFに書き換える。これにより、同じ割り込み周期内で以降は入賞検出信号が「OFF(入賞は発生しなかったもの)」として扱われ、特別図柄の変動や賞球払い出し等は行われなくなる。
以上の手順を実行すると、主制御CPU72は割込管理処理に復帰する。
ここで、上述した入賞有効判定処理(図9中のステップS220)は、可変始動入賞装置28や可変入賞装置30の各動作時における遊技球の入球の発生時から、実際に各スイッチ82,84で入球が検出されるまでのタイミングのずれを考慮したものである。例えば、可変始動入賞装置28が開放動作を終了(開放→閉鎖)すると、構造上は開閉部材28bによって始動入賞口28aが閉鎖された状態となるため、閉鎖後は基本的に始動入賞口28aへの入球は発生しなくなる。ただし、開閉部材28bの開放中に入球した遊技球が始動入賞口スイッチ82を通過するまでにはある程度の時間(転動時間)を要するため、開放終了と同時に、以後検出された入球を無効と判定することは適切でない。さらに、可変始動入賞装置28や可変入賞装置30については、開閉部材28bや可動片30aの閉鎖に伴う入球不良、いわゆる「球噛み」によって入球を検出するタイミングが開放終了から大幅に遅延する場合がある。
〔可変始動入賞装置の動作例〕
図10は、可変始動入賞装置28の動作例について説明する図である。なお、図10及び以下に挙げる図11では便宜上、可変始動入賞装置28の形態(開閉部材28bの形状)を簡略化して示している。このため図10及び図11に示される可変始動入賞装置28の形態は、図1及び図3に示されるものと異なっている。
〔閉鎖中(開放前)〕
図10中(A):可変始動入賞装置28が閉鎖中である場合、開閉部材28bは盤面に沿って直立した姿勢で始動入賞口28aを閉鎖した閉位置にあり、遊技球300が入球できる隙間がない状態であるため、始動入賞口28aへの入球は不能となっている。このため、遊技領域を流下する遊技球300は、可変始動入賞装置28の前面側をそのまま通過するだけであり、通常は始動入賞口28aで入球が発生することはない。
〔開放開始〕
図10中(B):普通図柄抽選にて当選の結果が得られ、普通図柄が当選の態様で停止表示(確定停止)されると、開閉部材28bがその下端縁をヒンジとして前面側へ倒れ込むようにして開位置に変位し、始動入賞口28aを開放する。これにより、始動入賞口28aへの入球の発生が可能となる。
〔開放中〕
図10中(C):可変始動入賞装置28は、予め定められた開放時間(例えば6.0秒程度)が経過するまで開放状態を継続する。ただし、開放時間内に所定数(例えば8個)の遊技球300の入球が検出されると、開放時間の経過を待たずに可変始動入賞装置28は閉鎖状態となる。開放状態で開閉部材28bは遊技球300を案内する部材として機能し、開放中の可変始動入賞装置28の上方から流下してきた遊技球300は、開閉部材28bに受け止められて案内され、始動入賞口28aに入球する。入球した遊技球300は、上記のように可変始動入賞装置28に設けられた始動入賞口スイッチ82で検出される。
〔閉鎖中(開放終了)〕
図10中(D):可変始動入賞装置28の開放時間が経過するか、開放時間内に所定数の遊技球300の入球が検出されると、開閉部材28bは閉位置に復帰し、可変始動入賞装置28は閉鎖される。可変始動入賞装置28が閉鎖状態に復帰すると、遊技領域を流下する遊技球300は再び始動入賞口28aへの入球が不能となる。
以上は、可変始動入賞装置28の基本的な動作であるが、可変始動入賞装置28の開放中に球噛みが発生すると、以下のような動作となる。なお、「球噛み」とは、可変始動入賞装置28が開放状態にある場合に、何らかの事情で遊技球300が滞留(挟まれる等)してしまうことをいう。
〔可変始動入賞装置の球噛み時の動作例〕
図11は、可変始動入賞装置28において「球噛み」が発生した場合の動作例について説明する図である。以下、可変始動入賞装置28において発生し得る「球噛み」と入球の検出タイミングのずれについて説明する。
〔閉鎖中〕
図11中(A):可変始動入賞装置28が閉鎖中である場合、同じく開閉部材28bは盤面に沿って直立した姿勢で始動入賞口28aを閉鎖した閉位置にあり、始動入賞口28aでの入球の発生は不能となっている。
〔開放開始〕
図11中(B):ここでも同様に、普通図柄抽選にて当選の結果が得られ、普通図柄が当選の態様で停止表示(確定停止)されると、開閉部材28bが開位置に変位し、始動入賞口28aを開放する。
〔閉鎖時(球噛み発生例)〕
図11中(C):開放時間が経過するか、もしくは開放時間内に所定数の遊技球300の入球が検出されたため、可変始動入賞装置28が閉鎖した場合を想定する。このとき開閉部材28bは開位置から閉位置に向けて変位することで、盤面に沿って直立した姿勢に復帰しようとするが、開閉部材28bが閉位置に戻りきるより前のタイミングで遊技球300が流下してくることがある。この場合、遊技球300は開閉部材28bと盤面(始動入賞口28aの外側領域)との間に挟まれた状態となり、そのまま流入できなくなって球噛みが発生する。ここでは1個の遊技球300が球噛みした例を挙げているが、複数個の遊技球300が球噛みすることもあり得る。
また、ここでは閉鎖時の開閉部材28bに遊技球300が挟まれて「球噛み」が発生した例を挙げているが、この他にも、例えば開放状態で始動入賞口28aには入球したが、始動入賞口28a内で1個又は複数個の遊技球300が転動できずに停滞することで「球噛み」が発生する場合もある。このような場合の「球噛み」は、可変始動入賞装置28の開放中から発生することもあり得る。
このとき、球噛みの度合いが緩やかであれば、遊技球300の自重により球噛みが自然と解消されて、そのまま転動していくことがある。あるいは、次に流下してきた遊技球300が球噛みしている遊技球300に衝突することにより、その衝撃によって球噛みが解消されることもある。いずれにしても、球噛みが解消した後には、遊技球300の滞留は解除されるため、遊技球300は可変始動入賞装置28の内部に進入し、始動入賞口28a内を始動入賞口スイッチ82に向けて転動していくことになる。
〔入賞検出タイミング〕
図11中(D):球噛みが解消された頃には、既に可変始動入賞装置28の開放時間は経過しており、さらに閉鎖時間(閉鎖後に閉鎖状態を有効に維持する時間)までがほとんど経過している場合がある。したがって、それまで球噛みしていた遊技球300が始動入賞口スイッチ82で検出されるタイミングは、可変始動入賞装置28の閉鎖時間が経過した後ということもあり得る。
〔有効時間の設定〕
ここで、可変始動入賞装置28の閉鎖時間が経過する前は、開放時間内に入球していた遊技球300が始動入賞口スイッチ82で検出されるまでの転動時間を考慮して、閉鎖時間中は入賞を有効と判定する時間(有効時間)に設定している。しかし、「球噛み」によって閉鎖時間の経過後まで入賞検出タイミングが大幅にずれ込むことを考慮すると、果たしてどこまでを有効時間として設定すればよいかが問題になってくる。
そこで本実施形態では、上記の「球噛み」による入球の検出タイミングの遅延を考慮し、入賞有効判定処理において適切に有効時間を設定する手法について2通りの例を挙げている。
〔第1設定手法〕
先ず、有効時間の第1設定手法について説明する。第1設定手法には、球噛み等による入球検出タイミングの遅延の有無に応じて2つの有効時間の設定パターンが含まれる。
〔第1設定手法での設定パターン(1)〕
図12は、普通図柄に対応する遊技の進行状況の時間的な変化とともに、可変始動入賞装置28の作動時における第1設定手法での有効時間の設定パターン(1)を示したタイミングチャートである。以下、時系列に沿って説明する。
〔普通遊技管理ステータス〕
主制御CPU72は、普通図柄に対応する遊技の進行状況(1)〜(7)に応じて普通遊技管理ステータスの値(カギ括弧内)を以下のようにセットする。
(1)普通図柄変動待ち状態:「00H」
(2)普通図柄変動表示中状態:「01H」
(3)普通図柄停止図柄表示中状態:「02H」
(4)可変始動入賞装置(普通電動役物)開放待ち(OP)状態:「03H」
(5)可変始動入賞装置(普通電動役物)開放状態:「04H」
(6)可変始動入賞装置(普通電動役物)開放後閉鎖状態:「05H」
(7)可変始動入賞装置(普通電動役物)作動終了時間中(ED)状態:「06H」
〔当初〕
図12中(A):例えば当初(時刻t1より前)、普通図柄が変動表示中であった場合を想定する。このとき、普通遊技管理ステータスの値は「01H」である。
〔時刻t1〕
図12中(B):普通図柄に対応する作動抽選で当選の結果が得られていた場合、この後、普通図柄の変動時間が経過すると、普通図柄が当りの態様で停止表示される。
図12中(A)これにより、普通遊技管理ステータスの値は「02H」となる。
〔時刻t2〕
図12中(A):普通図柄の停止表示時間(確定停止時間)が経過すると、可変始動入賞装置28(普通電動役物)が開放待ち(OP)状態となる。また、普通遊技管理ステータスの値は「03H」となる。
〔時刻t3〕
図12中(A),(B):時刻t2から開放待ち時間の経過後、普通電動役物ソレノイド88がONになり、可変始動入賞装置28が閉鎖状態から開放状態に変化する。また、普通遊技管理ステータスの値は「04H」となる。
〔有効時間開始〕
図12中(F):可変始動入賞装置28の開放に伴い、同時刻t3から主制御CPU72による入賞有効判定処理において入賞判定が「有効」となる。すなわち、可変始動入賞装置28における入賞有効時間の開始は時刻t3に設定される。
〔時刻t3〜時刻t4まで〕
図12中(D):可変始動入賞装置28の開放中に複数個の遊技球が始動入賞口28aに入球したことで、その都度、始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が主制御CPU72に入力される。この例では、開放時間τ1(例えば6.0秒)内に続けて7個の入賞検出信号が入力されている。これは、入球した遊技球が始動入賞口28a内を順調に転動していったため、連続的に入賞検出信号が入力されたものと考えられる。
〔時刻t4〕
図12中(A):開放中に検出された入球が規定数(8個)に達することなく開放時間τ1が経過すると、可変始動入賞装置28は開放動作を終了し、普通遊技管理ステータスの値が「05H」となる。
図12中(B):これにより、普通電動役物ソレノイド88がOFFになり、可変始動入賞装置28は開放状態から閉鎖状態に復帰する。
〔時刻t4〜時刻t5まで〕
図12中(A):可変始動入賞装置28の閉鎖後、閉鎖時間τ2(例えば2秒程度)にわたり開放後閉鎖状態となる。この間、普通遊技管理ステータスの値は「05H」となっている。
図12中(D):このとき、例えば可変始動入賞装置28の開放終了前に遊技球が入球していた場合、閉鎖時間τ2内に始動入賞口スイッチ82にて入球(8個目)が検出される。これは、入球した遊技球が始動入賞口28a内を転動している間に開放時間τ1が終了し、閉鎖時間τ2に入ったところで始動入賞口スイッチ82を通過したためであると考えられる。
図12中(F):なお、閉鎖時間τ2内は引き続き入賞判定が「有効」であり、この間に検出された入球は有効なものとして扱われる。
〔時刻t5〕
図12中(A):閉鎖時間τ2が経過すると、可変始動入賞装置28は作動終了(ED)時間中状態となり、普通遊技管理ステータスの値は「06H」となる。この状態で普通図柄に対応する作動記憶が存在していても、次の普通図柄の変動開始は未だ許容されない。
〔一次入賞有効タイマ設定〕
図12中(C):また、閉鎖時間τ2の経過に伴い、時刻t5に一次入賞有効タイマが設定され、作動(タイマカウントダウン)が開始される。
ここで、一次入賞有効タイマの値をXとおくと、このX期間は、時刻t5において一次設定値(最大値2.0秒)に設定されているが、以後の入球の検出の有無によってX期間の長さは変わってくる。なお、図12に示される設定パターン(1)は、X期間内に始動入賞口28aへの入球が検出されなかった場合を表している。
〔時刻t6〕
図12中(C),(D):X期間内に始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されなかった場合、X期間の経過をもって一次入賞有効タイマが作動を終了する。
図12中(F):この場合、時刻t6で入賞判定は「無効」となり、以後は入球が検出されたとしても、全て無効化される。
この結果、設定パターン(1)の入賞有効範囲(有効期間)は時刻t3から時刻t6までとなる。
〔時刻t7〕
図12中(A):この後、可変始動入賞装置28の作動終了時間が経過すると、普通遊技管理ステータスの値が「00H」に戻り、次の普通図柄の変動の開始が許容される。したがって、可変始動入賞装置28の閉鎖後(時刻t4)から作動終了時間が経過するまで(時刻t7)は、次の普通図柄の変動の開始が許容されない待機時間となる。
〔時刻t8〕
図12中(A):そして、例えば時刻t8に抽選契機(右始動ゲート21の通過)が発生すると、普通図柄に対応する作動抽選が実行され、普通図柄の変動表示が開始される。また、普通図柄の変動中は、普通遊技管理ステータスの値が「01H」となる。なお、既に作動抽選に対応する作動記憶が存在していれば、時刻t7から時刻t8までの時間は極小値(例えば1割り込み周期)となる。
〔有効時間の設定パターン(2)〕
次に図13は、第1設定手法での入賞有効時間の設定パターン(2)を示したタイミングチャートである。上記のように、図12に示される設定パターン(1)では、可変始動入賞装置28の閉鎖時間τ2経過後、X期間内に始動入賞口28aへの入球が検出されなかった場合を挙げているが、図13に示される設定パターン(2)では、X期間内に入球が検出された場合を挙げている。以下、具体的に説明する。
〔当初〜時刻t3まで〕
図13中(A),(B),(D):普通図柄の変動表示(当初)、停止表示(時刻t1〜t2)、可変始動入賞装置28の開放待ち(時刻t2〜t3)までは上記の設定パターン(1)と同様であり、ここでは重複した説明を省略する。
〔時刻t3:有効時間開始〕
図13中(F):また、同時刻t3から入賞判定が「有効」となり、可変始動入賞装置28における入賞有効時間の開始が時刻t3に設定される点も設定パターン(1)と同様である。
〔時刻t3〜時刻t4まで〕
図13中(D):設定パターン(2)においても、可変始動入賞装置28の開放中に複数個の遊技球が始動入賞口28aに入球し、その都度、始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が主制御CPU72に入力されている。ただし設定パターン(2)では、開放時間τ1の初期から中期までに検出された入球は4個だけであり、設定パターン(1)と比較して少ない。また、設定パターン(1)では、ある程度連続して入賞検出信号が入力されているが、設定パターン(2)の場合、開放時間τ1の中期から終期にかけては、5個目の入賞検出信号が4個目からある程度の間隔をおいて入力されている。これは、開放時間τ1の中期までは順調に連続して入球が発生していたが、中期以降はあまり入球が発生しなかったか、あるいは、入球は発生していたものの、遊技球が順調に始動入賞口28a内を転動できず、5個目の検出のタイミングにずれが生じたことを表している。
〔時刻t4〕
図13中(A):設定パターン(2)においても、開放中に検出された入球が規定数(8個)に達することなく開放時間τ1が経過したため、可変始動入賞装置28は開放動作を終了し、普通遊技管理ステータスの値が「05H」となっている。
図13中(B):これにより、普通電動役物ソレノイド88がOFFになり、可変始動入賞装置28は開放状態から閉鎖状態に復帰する。
〔時刻t4〜時刻t5まで〕
図13中(A):設定パターン(2)においても同様に、可変始動入賞装置28の閉鎖後、閉鎖時間τ2(例えば2秒程度)にわたり開放後閉鎖状態となる。
図13中(D):また、可変始動入賞装置28の開放終了前に遊技球が入球していたが、始動入賞口スイッチ82にて入球(6個目)が検出されるまでにずれが生じたため、閉鎖時間τ2の終期になって6個目の入賞検出信号が入力されている。
図13中(F):ただし、閉鎖時間τ2内は引き続き入賞判定が「有効」であり、この間に検出された入球は有効なものとして扱われる。
〔時刻t5〕
図13中(A):ここでも同様に、閉鎖時間τ2が経過すると、可変始動入賞装置28は作動終了(ED)時間中状態となり、普通遊技管理ステータスの値は「06H」となる。時刻t5は閉鎖後の待機時間であるため、この状態で普通図柄に対応する作動記憶が存在していても、次の普通図柄の変動開始は未だ許容されない。
〔一次入賞有効タイマ設定〕
図13中(C):設定パターン(2)においても同様に、時刻t5に一次入賞有効タイマが設定され、そこから作動(タイマカウントダウン)が開始される。
〔時刻t50〕
図13中(D):設定パターン(2)では、最初に設定された一次入賞有効タイマの作動中に最初(全体で7個目)の入球が検出され、入賞検出信号が入力されている。
図13中(E):すると、下向きの波線矢印で示されているように、最初の入賞検出信号の入力を受けて時刻t50に二次入賞有効タイマが設定され、そこから作動(タイマカウントダウン)が開始される。なお、二次入賞有効タイマは、固定値Y(例えば2.0秒)に設定される。
図13中(C):一方、上向きの波線矢印で示されているように、最初の入賞検出信号が入力されると、これを受けて時刻t50に一次入賞有効タイマは作動を終了する。
このように、閉鎖時間τ2終了時に設定された一次入賞有効タイマは、その作動中に最初の入賞検出信号が入力されると終了するため、X期間は0.0秒より大きく、かつ、最大値Xmax(=2.0秒)以下の範囲内で不定値(0.0秒<X≦2.0秒)となることが分かる。なお、X期間が0.0秒より大きくなるのは、仮に一次入賞有効タイマのカウント開始時に入賞検出信号が入力されても、少なくとも1割り込み周期(>0)は経過するからである。
〔時刻t50〜t6〕
図13中(F):ただし、時刻t50以降は二次入賞有効タイマの作動が開始されているため、引き続き入賞判定は「有効」となっている。
図13中(D):したがって、二次入賞有効タイマのY期間内に検出された入球(合計8個目)は有効なものとして扱われる。
〔時刻t6〕
図13中(E):Y期間が終了すると、二次入賞有効タイマが作動を終了する。
図13中(F):これにより、時刻t6で入賞判定は「無効」となり、以後は入球が検出されたとしても、全て無効化される。
この結果、設定パターン(2)の入賞有効範囲(有効期間)は時刻t3から時刻t6までとなるが、設定パターン(1)と比較すると、全体の入賞有効範囲(有効期間)は設定パターン(1)以上の長さに設定されていることになる。
なお、時刻t7以降は設定パターン(1)と同様であるため、ここでは重複した説明を省略する。
〔第1設定手法で用いる設定パターン(1),(2)のまとめ〕
以上のように、第1設定手法で用いる設定パターン(1)によれば、閉鎖時間τ2の終了後から一次入賞有効タイマを作動させて引き続き有効時間を確保しつつ、X期間内に入球が検出されなかった場合、球噛み等による遊技球の滞留が発生していないものとして有効期間を最小限度で早期に終了させることができる。これにより、不用意に有効期間が延長されている間の不正入賞を防止し、遊技の公正を維持することができる。
また、第1設定手法で用いる設定パターン(2)では、閉鎖時間τ2の終了後、一次入賞有効タイマとして設定されたX期間内に入球が検出された場合、球噛み等による遊技球の滞留に起因して以後も有効な入球が検出される可能性があるものと判断する。そして、最初の入球検出時から二次入賞有効タイマ(Y期間)を設定し、X期間の途中から有効時間を残りY期間に改めて設定することができる。これにより、本来有効であるべき入球の検出に基づいて入賞を有効とし、遊技者に不利益が生じるのを確実に防止することができる。
〔一次設定値以外の長さの設定例〕
なお、上記の例ではX期間の最大値とY期間(固定値)を同じ長さにしているが、X期間の最大値(Xmax)がY期間より長く設定されていてもよい。例えば、X期間の最大値Xmaxを5.0秒程度とし、Y期間を2.0秒の固定値とする。この場合、X期間の開始直後(例えば開始1秒後)に始動入賞口スイッチからの入賞検出信号が入力されると、X期間の不定値(1.0秒)とY期間の固定値(2.0秒)とで全体の有効時間が3.0秒となり、結果的に最大値Xmaxより短縮されることになる。これは、それまで生じていた球噛みが一度解消してしまえば、その後、ほとんどの遊技球が続けて入球してくると考えられることに基づく。したがって、X期間内に入球が1個検出されれば、そこから比較的短い固定値のY期間に有効時間を改めて設定することで、早期に有効時間を終了させることができる。
〔始動入賞口入賞有効判定処理(1)〕
図14は、第1設定手法を用いる場合に入賞有効判定処理(図9中のステップS220)の中で実行される始動入賞口入賞有効判定処理(1)の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72が図14の始動入賞口入賞有効判定処理(1)を実行することにより、パチンコ機1において入賞有効時間の第1設定手法で用いる設定パターン(1),(2)を実現することができる。なお、入賞有効判定処理(図9中のステップS220)においては、図14の始動入賞口入賞有効判定処理(1)の他に、図示しない大入賞口入賞有効判定処理も実行されるが、ここでは始動入賞口入賞有効判定処理(1)について説明する。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS240:先ず主制御CPU72は、現在の普通遊技管理ステータスの値が「03H」より大きいか否かを確認する。すなわち、現在の状態が可変始動入賞装置開放状態(04H)、可変始動入賞装置開放後閉鎖状態(05H)、又は可変始動入賞装置作動終了時間中状態(06H)のいずれかであるか否かを確認する。現在の状態が未だ普通図柄変動待ち状態(00H)、普通図柄変動表示中状態(01H)、普通図柄停止図柄表示中状態(02H)、又は可変始動入賞装置開放待ち状態(03H)のいずれかであれば(No)、主制御CPU72はステップS242に進む。
ステップS242:主制御CPU72は、始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されているかを確認する。特に入賞検出信号が入力されていなければ(No)、主制御CPU72はここで始動入賞口入賞有効判定処理(1)を抜け、呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。一方、入賞検出信号が入力されていれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS244を実行する。
ステップS244:主制御CPU72は、入賞検出信号無効化処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は今回の入賞検出信号を有効でない(無効)と判定し、不正入賞カウンタの値を1加算する。そして、これまでに加算した不正入賞カウンタの値が規定値(例えば5個)に達すると、主制御CPU72は内部情報として不正入賞エラーフラグをON(=1)にする。これにより、先のセキュリティ管理処理(図9)において「不正入賞エラー」が発生することになる。
ここで、普通遊技管理ステータスの値が「00H」〜「03H」のいずれかにある間は、主制御CPU72の内部情報として始動入賞口28aに関する入賞無効化フラグがON(=1)にセットされている。始動入賞口28aに関する入賞無効化フラグは、例えばRAM76のフラグ領域にその値が記憶されており、始動入賞口28aに関する入賞無効化フラグがON(=1)である場合、上述した不正入賞マスク処理(図9中のステップS234)において、始動入賞口スイッチ82から入力された入賞検出信号がONからOFFに書き換えられ、以降の処理において入賞は発生しなかったものとして扱われる。これにより、例えば図12中(F)に示されるように、可変始動入賞装置28の作動前における閉鎖状態(当初〜時刻t3までの間)における入賞判定は「無効」となる。
なお、本実施形態では、ステップS244の入賞検出信号無効化処理で主制御CPU72が「入賞検出信号を有効でない(無効)」と判定し、以降の不正入賞マスク処理(図9中のステップS234)で入賞検出信号をONからOFFに書き換えることとしているが、入賞検出信号無効化処理において入賞検出信号をONからOFFに書き換えることとしてもよい。
主制御CPU72は入賞検出信号無効化処理から復帰すると、そのまま呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。
以上は普通遊技管理ステータスの値が「00H」〜「03H」のいずれかである場合の手順であるが、普通遊技管理ステータスの値が「04H」〜「06H」のいずれかである場合(ステップS240:Yes)、主制御CPU72はステップS246以降を実行する。
ステップS246:主制御CPU72は、現在の普通遊技管理ステータスの値が「06H」であるかを確認し、これ以外の値であれば(No)、ステップS247を実行する。
〔可変始動入賞装置28の閉鎖状態→開放状態へ移行時〕
例えば、普通遊技管理ステータスの値が「04H」となった場合の手順は以下となる。
ステップS247:主制御CPU72は、ここで始動入賞口28aに関する入賞無効化フラグをOFFにする。すなわち、これ以前の手順では始動入賞口28aに関する入賞無効化フラグがONにセットされていたが、このステップS247で主制御CPU72は同フラグ値をONからOFF(1→0)に書き換える。
始動入賞口28aに関する入賞無効化フラグがOFF(=0)である場合、不正入賞マスク処理(図9中のステップS234)で始動入賞口スイッチ82から入力された入賞検出信号はONのまま保持され、以降の処理においても有効に入賞が発生したものとして扱われる。これにより、例えば図12中(F)に示されるように、可変始動入賞装置28が閉鎖状態から開放状態に移行した時点(時刻t3)からの入賞判定が「有効」となり、有効時間が開始される。
そして、主制御CPU72はここで始動入賞口入賞有効判定処理(1)を抜け、呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。
〔可変始動入賞装置28の開放状態→閉鎖状態へ復帰時〕
次に、開放時間τ1が経過するか、もしくは開放中に検出された入球が規定数(8個)に達することで、可変始動入賞装置28が開放状態から閉鎖状態へ復帰すると、普通遊技管理ステータスの値は「05H」となる。この場合、未だ普通遊技管理ステータスの値が「06H」以外であるため(ステップS246:No)、主制御CPU72は上記と同様にステップS247を実行する。したがって、例えば図12中(F)に示されるように、可変始動入賞装置28が開放状態から閉鎖状態に復帰した後の閉鎖時間内(時刻t4〜t5)においても、引き続き入賞判定が「有効」となり、有効時間が継続されている。
また同様に、主制御CPU72はここで始動入賞口入賞有効判定処理(1)を抜け、呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。
〔閉鎖時間τ2経過後〕
この後、閉鎖時間τ2が経過して普通遊技管理ステータスの値が「06H」になると(ステップS246:Yes)、主制御CPU72はステップS248以降の手順に進む。
ステップS248:主制御CPU72は、入賞無効化フラグがONにセットされているか否かを確認する。ここまでの手順で、具体的にはステップS247で入賞無効化フラグをOFFにしているため(No)、主制御CPU72は次にステップS250に進む。
ステップS250:次に主制御CPU72は、入賞有効タイマが作動中であるか否かを確認する。この時点(閉鎖時間τ2終了時)では一次入賞有効タイマが未作動であるため(No)、主制御CPU72はステップS252を実行する。
ステップS252:ここで主制御CPU72は、一次入賞有効タイマに初期値X(一次設定値)を設定する(一次有効時間設定手段としての処理)。これにより、図12中(C)に示すように閉鎖時間τ2終了後(時刻t5)から一次入賞有効タイマが作動状態となり、図12中(F)に示すように引き続き入賞判定が「有効」となる。
なお、主制御CPU72はここで始動入賞口入賞有効判定処理(1)を抜け、呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。
次回の割り込み周期では、既に一次入賞有効タイマが作動中であるため(ステップS250:Yes)、主制御CPU72は次にステップS254に進む。
ステップS254:主制御CPU72は、一次入賞有効タイマの値を確認し、0以下でなければ(No)、ステップS256に進む。
ステップS256:主制御CPU72は、始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されているかを確認する。特に入賞検出信号が入力されていなければ(No)、主制御CPU72はステップS258に進む。
ステップS258:主制御CPU72は、一次入賞有効タイマをカウントダウンする。
ステップS260:そして主制御CPU72は、カウントダウン後の一次入賞有効タイマの値を確認する。未だ一次入賞有効タイマの値が0以下でなければ(No)、主制御CPU72はここで始動入賞口入賞有効判定処理(1)を抜け、呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。これにより、例えば図12中(C),(F)に示すように、一次入賞有効タイマ(X期間)が作動のまま有効時間が継続する。
〔設定パターン(1)の実現例〕
この後、一次入賞有効タイマの作動中(X期間内)に始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されなければ(ステップS256:No)、主制御CPU72はステップS258で一次入賞有効タイマのカウントダウンを継続する。
そして、入賞検出信号が入力されないまま一次入賞有効タイマの値が0になると(ステップS260:Yes)、主制御CPU72はステップS262を実行する。
ステップS262:この場合、主制御CPU72は入賞無効化フラグをONにセットし、呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。これにより、例えば図12中(C),(F)に示すように、一次入賞有効タイマが非作動となり、以後は入賞判定が「無効」となる。この場合、有効時間が一次入賞有効タイマの初期値(X期間)までで終了されたことになる(二次有効時間設定手段としての処理)。
上記は、図12に示される設定パターン(1)を実現する場合の流れであるが、図13に示される設定パターン(2)を実現する場合の流れは以下のようになる。
〔設定パターン(2)の実現例〕
一次入賞有効タイマの作動中(X期間内)に始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されると(ステップS256:Yes)、主制御CPU72はステップS264に進む。
ステップS264:この場合、主制御CPU72は一次入賞有効タイマの値を消去(=0)し、一次入賞有効タイマの作動を終了させる。
ステップS266:続いて、主制御CPU72は二次入賞有効タイマに初期値(Y期間)を設定する。これにより、例えば図13中(E)に示すように、X期間内に最初の入賞検出信号が入力された時点(時刻t50)から二次入賞有効タイマが作動を開始し、有効時間が以後も継続する。この場合、有効時間が一次入賞有効タイマの初期値(X期間)以上の長さに設定されたことになる(二次有効時間設定手段としての処理)。
〔二次入賞有効タイマ作動後〕
以後の割り込み周期では、二次入賞有効タイマが作動中であり(ステップS250:Yes)、かつ、一次入賞有効タイマの値は既に0となっているため(ステップS254:Yes)、主制御CPU72はステップS268を実行する。
ステップS268:主制御CPU72は、二次入賞有効タイマをカウントダウンする。
ステップS270:そして主制御CPU72は、カウントダウン後の二次入賞有効タイマの値を確認する。未だ二次入賞有効タイマの値が0以下でなければ(No)、ここで始動入賞口入賞有効判定処理(1)を抜け、呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。二次入賞有効タイマの作動中(Y期間内)は引き続き入賞無効化フラグがOFFとなっている。これにより、例えば図13中(E),(F)に示すように、二次入賞有効タイマ(Y期間)が作動のまま有効時間が継続することになる。
〔二次入賞有効タイマ(Y期間)終了時〕
この後、二次入賞有効タイマの値が0になると(ステップS270:Yes)、主制御CPU72はステップS272を実行する。
ステップS272:この場合、主制御CPU72は入賞無効化フラグをONにセットし、呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。これにより、例えば図13中(E),(F)に示すように、二次入賞有効タイマ(Y期間)の終了後は入賞判定が「無効」となる。
〔第2設定手法〕
次に、有効時間の第2設定手法について説明する。第2設定手法についても、球噛み等による入球検出タイミングの遅延の有無に応じて2つの有効時間の設定パターンが含まれるが、特に設定パターン(2)が第1設定手法で用いるものと異なっている。以下、順を追って説明する。
〔第2設定手法での設定パターン(1)〕
図15は、普通図柄に対応する遊技の進行状況の時間的な変化とともに、可変始動入賞装置28の作動時における第2設定手法での有効時間の設定パターン(1)を示したタイミングチャートである。
〔当初〕
図15中(A):第1設定手法の場合と同様に、例えば当初(時刻t1より前)、普通図柄が変動表示中であった場合を想定する。このとき、普通遊技管理ステータスの値は「01H」である。
〔時刻t1〕
図15中(B):普通図柄に対応する作動抽選で当選の結果が得られていた場合、この後、普通図柄の変動時間が経過すると、普通図柄が当りの態様で停止表示される。
図15中(A)これにより、普通遊技管理ステータスの値は「02H」となる。
〔時刻t2〕
図15中(A):普通図柄の停止表示時間(確定停止時間)が経過すると、可変始動入賞装置28(普通電動役物)が開放待ち(OP)状態となる。また、普通遊技管理ステータスの値は「03H」となる。
〔時刻t3〕
図15中(A),(B):時刻t2から開放待ち時間の経過後、普通電動役物ソレノイド88がONになり、可変始動入賞装置28が閉鎖状態から開放状態に変化する。また、普通遊技管理ステータスの値は「04H」となる。
図15中(B):
〔有効時間開始〕
図15中(F):可変始動入賞装置28の開放に伴い、同時刻t3から主制御CPU72による入賞有効判定処理において入賞判定が「有効」となる。すなわち、可変始動入賞装置28における入賞有効時間の開始は時刻t3に設定される。
ここまでは、基本的に第1設定手法の場合と同様である。
〔時刻t3〜時刻t4まで〕
図15中(D):可変始動入賞装置28の開放中に複数個の遊技球が始動入賞口28aに入球したことで、その都度、始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が主制御CPU72に入力される。この例では、開放時間τ1の初期から続けて4個の入賞検出信号が入力されているが、中期から後期にかけて少し間があき、開放時間τ1の終了間際になって5個目の入賞検出信号が入力されている。これは、5個目の入球そのものが開放時間τ1の終了間際であったか、もしくは、5個目の入球は開放時間τ1の中期頃に発生していたが、遊技球の転動がスムーズに行かなかったため、入球の検出タイミングにずれが生じたかのいずれかであると考えられる。また、場合によっては球噛みが発生している可能性も考えられる。
〔時刻t4〕
図15中(A):第1設定手法の場合と同様に、開放中に検出された入球が規定数(8個)に達することなく開放時間τ1が経過すると、可変始動入賞装置28は開放動作を終了し、普通遊技管理ステータスの値が「05H」となる。
図15中(B):これにより、普通電動役物ソレノイド88がOFFになり、可変始動入賞装置28は開放状態から閉鎖状態に復帰する。
〔時刻t4〜時刻t5まで〕
図15中(A):可変始動入賞装置28の閉鎖後、閉鎖時間τ2にわたり開放後閉鎖状態となる。この間、普通遊技管理ステータスの値は「05H」となっている。
図15中(D):ここで、開放時間τ1内に検出された入球とは別に、開放時間τ1の終了間際になってさらに2個の遊技球が入球していたとすると、これらの遊技球については、閉鎖時間τ2内に始動入賞口スイッチ82にて入球(6,7個目)が検出される。すなわち、これらの遊技球が始動入賞口28a内を転動している間に開放時間τ1が終了し、閉鎖時間τ2に入ったところで始動入賞口スイッチ82を通過したためである。
図15中(F):上記のように、閉鎖時間τ2内は引き続き入賞判定が「有効」であり、この間に検出された入球は有効なものとして扱われる。
〔時刻t5〕
図15中(A):閉鎖時間τ2が経過すると、可変始動入賞装置28は作動終了(ED)時間中状態となり、普通遊技管理ステータスの値は「06H」となる。この状態で普通図柄に対応する作動記憶が存在していても、次の普通図柄の変動開始は未だ許容されない点は第1設定手法と同様である。
〔一次入賞有効タイマ設定〕
図15中(C):第2設定手法においても、閉鎖時間τ2の経過に伴い、時刻t5に一次入賞有効タイマが設定され、作動(タイマカウントダウン)が開始される。
〔第2設定手法で用いる固定値〕
ここで、第2設定手法で用いるX期間は、第1設定手法とは異なる性質を有する。
すなわち、一次入賞有効タイマの値をXとおくと、このX期間は、時刻t5において一次設定値(2.0秒)に設定されており、このX期間の長さは、以後の入球の検出の有無に関係なく固定となっている。ただし、図15に示される設定パターン(1)は、X期間内に始動入賞口28aへの入球が検出されなかった場合を表している。
〔時刻t6〕
図15中(C),(D):X期間内に始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されなかった場合、X期間(固定値)の経過をもって一次入賞有効タイマが作動を終了する。
図15中(F):この場合、時刻t6で入賞判定は「無効」となり、以後は入球が検出されたとしても、全て無効化される。
この結果、設定パターン(1)の入賞有効範囲(有効期間)は時刻t3から時刻t6までとなる。ここまでの有効時間の設定は、見かけ上は第1設定手法で用いる設定パターン(1)と同様である。
また、時刻t7以降は第1設定手法と同様であるため、ここでは重複した説明を省略する。
〔第2設定手法での有効時間の設定パターン(2)〕
次に図16は、第2設定手法での入賞有効時間の設定パターン(2)を示したタイミングチャートである。上記のように、図15に示される設定パターン(1)では、可変始動入賞装置28の閉鎖時間τ2経過後、X期間内に始動入賞口28aへの入球が検出されなかった場合を挙げており、結果的に有効時間の長さは第1設定手法で用いる設定パターン(1)と同様であった。しかし、図16に示される設定パターン(2)では、X期間内に入球が検出された場合を挙げており、この場合の結果は第1設定手法と異なってくる。以下、具体的に説明する。
〔当初〜時刻t3まで〕
図16中(A),(B),(D):普通図柄の変動表示(当初)、停止表示(時刻t1〜t2)、可変始動入賞装置28の開放待ち(時刻t2〜t3)までは上記の設定パターン(1)と同様であり、ここでは重複した説明を省略する。
〔時刻t3:有効時間開始〕
図16中(F):また、同時刻t3から入賞判定が「有効」となり、可変始動入賞装置28における入賞有効時間の開始が時刻t3に設定される点も設定パターン(1)と同様である。
〔時刻t3〜時刻t4まで〕
図16中(D):第2設定手法で用いる設定パターン(2)においても、可変始動入賞装置28の開放中に複数個の遊技球が始動入賞口28aに入球し、その都度、始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が主制御CPU72に入力されている。この設定パターン(2)では、開放時間τ1の初期から中期までに検出された入球は4個であって、設定パターン(1)とおおよそ同様であるが、開放時間τ1の中期以降において入賞検出信号が入力されていない点で異なっている。
ここで、第2設定手法では、開放時間τ1内(例えば中期以降)に入球が発生していたが、球噛み等によって入球した遊技球の転動が停滞した場合を想定している。このため第2設定手法では、開放時間τ1内には入球が検出されず、可変始動入賞装置28の閉鎖後に球噛み等による停滞が解消されて入賞検出信号が入力されることになる。
〔時刻t4〕
図16中(A):設定パターン(2)においても、開放中に検出された入球が規定数(8個)に達することなく開放時間τ1が経過したため、可変始動入賞装置28は開放動作を終了し、普通遊技管理ステータスの値が「05H」となっている。
図16中(B):これにより、普通電動役物ソレノイド88がOFFになり、可変始動入賞装置28は開放状態から閉鎖状態に復帰する。
〔時刻t4〜時刻t5まで〕
図16中(A):設定パターン(2)においても同様に、可変始動入賞装置28の閉鎖後、閉鎖時間τ2(例えば2秒程度)にわたり開放後閉鎖状態となる。
図16中(D):そして第2設定手法では、可変始動入賞装置28の開放終了前に遊技球が入球していたが、上記のように球噛み等によって遊技球の転動が停滞しており、これら遊技球が未だ始動入賞口スイッチ82を通過していないため、閉鎖時間τ2内には入賞検出信号が入力されていない。
図16中(F):なお、閉鎖時間τ2内の入賞判定は引き続き「有効」となっている。
〔時刻t5〕
図16中(A):第2設定手法においても、閉鎖時間τ2が経過すると、可変始動入賞装置28は作動終了(ED)時間中状態となり、普通遊技管理ステータスの値は「06H」となる。また、時刻t5は閉鎖後の待機時間であるため、この状態で普通図柄に対応する作動記憶が存在していても、次の普通図柄の変動開始は未だ許容されない点は第1設定手法と同様である。
〔一次入賞有効タイマ設定〕
図16中(C):第2設定手法で用いる設定パターン(2)においても同様に、時刻t5に一次入賞有効タイマが設定され、そこから作動(タイマカウントダウン)が開始される。
〔時刻t5〜時刻t6まで〕
図16中(D):第2設定手法の設定パターン(2)では、一次入賞有効タイマの作動中(X期間内)に最初(全体で5個目)と次(全体で6個目)の入球が検出され、それぞれの入賞検出信号が入力されている。
図16中(C),(E):ただし、X期間内に入賞検出信号が入力されても、第1設定手法で用いた設定パターン(2)のようにX期間は終了せず、固定値として設定されたX期間が全て経過するまで二次入賞有効タイマが設定されない。
図16中(F):なお、ここでも一次入賞有効タイマの作動中は入賞判定が「有効」であり、検出された入球は有効なのもとして扱われる。
〔時刻t6〕
図16中(C): 固定値としてのX期間が経過すると、一次入賞有効タイマが非作動となる。このように、閉鎖時間τ2終了時に設定された一次入賞有効タイマは、その作動中に最初の入賞検出信号が入力されても終了しないため、X期間は固定値(=2.0秒)となる。
図16中(E):また、X期間内に入賞検出信号が入力されたため、X期間の終了時から二次入賞有効タイマが作動する。なお、二次入賞有効タイマは、固定値のY期間(=2.0秒)に設定される。
〔時刻t6〜t60〕
図16中(F):時刻t6以降は二次入賞有効タイマの作動が開始されているため、引き続き入賞判定は「有効」となっている。
図16中(D):したがって、二次入賞有効タイマのY期間内に検出された入球(合計7個目)は有効なものとして扱われる。
〔時刻t60〕
図16中(E):第2設定手法においても、Y期間が終了すると、二次入賞有効タイマが作動を終了する。
図16中(F):これにより、時刻t60で入賞判定は「無効」となり、以後は入球が検出されたとしても、全て無効化される。
この結果、第2設定手法で用いる設定パターン(2)の入賞有効範囲(有効期間)は時刻t3から時刻t60までとなり、図15の設定パターン(1)と比較すると、全体の入賞有効範囲(有効期間)は設定パターン(1)以上の長さに設定されていることになる。
なお、時刻t7以降は第1設定手法と同様であるため、ここでは重複した説明を省略する。
〔第2設定手法で用いる設定パターン(1),(2)のまとめ〕
以上のように、第2設定手法で用いる設定パターン(1)によれば、閉鎖時間τ2の終了後から一次入賞有効タイマを作動させて引き続き有効時間を確保しつつ、X期間内に入球が検出されなかった場合、球噛み等による遊技球の滞留が発生していないものとして有効期間を最小限度で早期に終了させることができる。これにより、不用意に有効期間が延長されている間の不正入賞を防止し、遊技の公正を維持することができる。
また、第2設定手法で用いる設定パターン(2)では、閉鎖時間τ2の終了後、一次入賞有効タイマとして設定されたX期間内に入球が検出された場合、球噛み等による遊技球の滞留に起因して以後も有効な入球が検出される可能性があるものと判断する。そして、最初に設定した一次入賞有効タイマ(X期間)の終了を待って二次入賞有効タイマ(Y期間)を設定し、X期間の終了時から有効時間を残りY期間に延長することができる。これにより、本来有効であるべき入球の検出に基づいて入賞を有効とし、遊技者に不利益が生じるのを確実に防止することができる。
〔始動入賞口入賞有効判定処理(2)〕
図17は、第2設定手法を用いる場合に入賞有効判定処理(図9中のステップS220)の中で実行される始動入賞口入賞有効判定処理(2)の手順例を示すフローチャートである。すなわち、主制御CPU72が図17の始動入賞口入賞有効判定処理(2)を実行することにより、パチンコ機1において入賞有効時間の第2設定手法で用いる設定パターン(1),(2)を実現することができる。なお、入賞有効判定処理(図9中のステップS220)において、図17の始動入賞口入賞有効判定処理(2)の他に図示しない大入賞口入賞有効判定処理が実行される点は上記と同様である。以下、手順例に沿って説明するが、始動入賞口入賞有効判定処理(1)と同じ手順についてはステップ番号を共通とし、重複した説明を適宜省略する。
ステップS240:先ず主制御CPU72は、現在の普通遊技管理ステータスの値が「03H」より大きいか否かを確認し、「03H」より大きくない値であれば(No)、主制御CPU72はステップS242に進む。
ステップS242:主制御CPU72は、始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されているかを確認する。特に入賞検出信号が入力されていなければ(No)、主制御CPU72はここで始動入賞口入賞有効判定処理(2)を抜け、呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。一方、入賞検出信号が入力されていれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS244を実行する。
ステップS244:主制御CPU72は、入賞検出信号無効化処理を実行する。処理の内容は、始動入賞口入賞有効判定処理(1)と同様である。また、例えば図15中(F)に示されるように、可変始動入賞装置28の作動前における閉鎖状態(当初〜時刻t3までの間)における入賞判定は「無効」となる。なお、入賞検出信号無効化処理において入賞検出信号をONからOFFに書き換えることとしてもよい点は上記と同様である。
主制御CPU72は入賞検出信号無効化処理から復帰すると、そのまま呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。
以上は普通遊技管理ステータスの値が「00H」〜「03H」のいずれかである場合の手順であるが、普通遊技管理ステータスの値が「04H」〜「06H」のいずれかである場合(ステップS240:Yes)、主制御CPU72はステップS246以降を実行する。
ステップS246:主制御CPU72は、現在の普通遊技管理ステータスの値が「06H」であるかを確認し、これ以外の値であれば(No)、ステップS247を実行する。
〔可変始動入賞装置28の閉鎖状態→開放状態へ移行時〕
第2設定手法で用いられる始動入賞口入賞有効判定処理(2)においても、普通遊技管理ステータスの値が「04H」となった場合の手順は以下となる。
ステップS247:主制御CPU72は、ここで始動入賞口28aに関する入賞無効化フラグをOFFにする。すなわち、これ以前の手順では始動入賞口28aに関する入賞無効化フラグがONにセットされていたが、このステップS247で主制御CPU72は同フラグ値をONからOFF(1→0)に書き換える。
これにより、例えば図15中(F)に示されるように、可変始動入賞装置28が閉鎖状態から開放状態に移行した時点(時刻t3)からの入賞判定が「有効」となり、有効時間が開始される。
そして、主制御CPU72はここで始動入賞口入賞有効判定処理(2)を抜け、呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。
〔可変始動入賞装置28の開放状態→閉鎖状態へ復帰時〕
また、普通遊技管理ステータスの値が「04H」から「05H」になった場合についても、未だ普通遊技管理ステータスの値が「06H」以外であるため(ステップS246:No)、主制御CPU72は上記と同様にステップS247を実行する。したがって、図15中(F)に示されるように、可変始動入賞装置28が開放状態から閉鎖状態に復帰した後の閉鎖時間内(時刻t4〜t5)においても、引き続き入賞判定が「有効」となり、有効時間が継続されている。
また同様に、主制御CPU72はここで始動入賞口入賞有効判定処理(2)を抜け、呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。
〔閉鎖時間τ2経過後〕
この後、閉鎖時間τ2が経過して普通遊技管理ステータスの値が「06H」になると(ステップS246:Yes)、主制御CPU72はステップS248以降の手順に進む。
ステップS248:主制御CPU72は、入賞無効化フラグがONにセットされているか否かを確認する。ここまでの手順で、具体的にはステップS247で入賞無効化フラグをOFFにしているため(No)、主制御CPU72は次にステップS250に進む。
ステップS250:次に主制御CPU72は、入賞有効タイマが作動中であるか否かを確認する。この時点(閉鎖時間τ2終了時)では一次入賞有効タイマが未作動であるため(No)、主制御CPU72はステップS252を実行する。
ステップS252:ここで主制御CPU72は、一次入賞有効タイマに初期値X(一次設定値)を設定する(一次有効時間設定手段としての処理)。これにより、図15中(C)に示すように閉鎖時間τ2終了後(時刻t5)から一次入賞有効タイマが作動状態となり、図15中(F)に示すように引き続き入賞判定が「有効」となる。
そして、主制御CPU72はここで始動入賞口入賞有効判定処理(2)を抜け、呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。
次回の割り込み周期では、既に一次入賞有効タイマが作動中であるため(ステップS250:Yes)、主制御CPU72は次にステップS255に進む。これ以降の手順は、始動入賞口入賞有効判定処理(1)と異なっている。
ステップS255:すなわち、ここで主制御CPU72は、既に二次入賞有効タイマを設定済みであるか、つまり、二次入賞有効タイマが作動中であるか否かを確認する。そして、未だ二次入賞有効タイマを設定しておらず、未作動であれば(No)、主制御CPU72はステップS256に進む。
ステップS256:主制御CPU72は、始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されているかを確認する。特に入賞検出信号が入力されていなければ(No)、主制御CPU72はステップS258に進む。
ステップS258:始動入賞口入賞有効判定処理(2)では、先のステップS255で二次入賞有効タイマが未作動であることを確認した場合、一次入賞有効タイマが作動中(X期間内)であることを意味する。したがって、主制御CPU72は、ここで一次入賞有効タイマをカウントダウンする。
ステップS260:そして主制御CPU72は、カウントダウン後の一次入賞有効タイマの値を確認する。未だ一次入賞有効タイマの値が0以下でなければ(No)、主制御CPU72はここで始動入賞口入賞有効判定処理(2)を抜け、呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。これにより、例えば図15中(C),(F)に示すように、一次入賞有効タイマ(X期間)が作動のまま有効時間が継続する。
〔第2設定手法での設定パターン(1)の実現例〕
この後、一次入賞有効タイマの作動中(X期間内)に始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されなければ(ステップS256:No)、主制御CPU72はステップS258で一次入賞有効タイマのカウントダウンを継続する。
そして、入賞検出信号が入力されないまま一次入賞有効タイマの値が0になると(ステップS260:Yes)、主制御CPU72はステップS262を実行する。
ステップS262:この場合、主制御CPU72は入賞無効化フラグをONにセットし、呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。これにより、第2設定手法においても、例えば図15中(C),(F)に示すように、一次入賞有効タイマが非作動となり、以後は入賞判定が「無効」となる。なお、第2設定手法では、一次入賞有効タイマの作動中に入賞検出信号が入力されなければ、有効時間は固定値としてのX期間で終了する(二次有効時間設定手段としての処理)。
ここまで、第2設定手法において図15に示される設定パターン(1)を実現する場合の流れであるが、図16に示される設定パターン(2)を実現する場合の流れは以下のようになる。
〔第2設定手法での設定パターン(2)の実現例〕
一次入賞有効タイマの作動中(X期間内)に始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されると(ステップS256:Yes)、主制御CPU72はステップS266に進む。すなわち、先の始動入賞口入賞有効判定処理(1)では、主制御CPU72はここで一次入賞有効タイマの値を消去(=0)して強制的に終了させていたが、この始動入賞口入賞有効判定処理(2)では、一次入賞有効タイマを強制終了させない。
ステップS266:次に主制御CPU72は、二次入賞有効タイマに初期値(Y期間)を設定する。ここでは二次入賞有効タイマの値が設定されるだけであり、未だカウントダウンは開始されない。
ステップS274:したがって、主制御CPU72は一次入賞有効タイマのカウントダウンを継続する。これにより、例えば図16中(C)に示すように、X期間の途中で最初の入賞検出信号が入力されても、引き続き一次入賞有効タイマが作動を継続する。
そして、主制御CPU72はここで始動入賞口入賞有効判定処理(2)を抜け、呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。
〔二次入賞有効タイマの設定後〕
二次入賞有効タイマに初期値(Y期間)を設定すると、次回以降の呼び出しにおいて、主制御CPU72は既に二次入賞有効タイマを設定済みであることを確認し(ステップS255:Yes)、ステップS276に進む。
ステップS276:主制御CPU72は、現在作動中の一次入賞有効タイマの値を確認する。そして、未だ一次入賞有効タイマの値が0以下でなければ(No)、主制御CPU72はステップS274に進む。
ステップS274:そして主制御CPU72は、一次入賞有効タイマのカウントダウンを続行する。
主制御CPU72はここで始動入賞口入賞有効判定処理(2)を抜け、呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。
〔X期間終了時〕
この後、固定値としてのX期間が終了すると、一次入賞有効タイマの値が0以下となるため(ステップS276:Yes)、主制御CPU72はステップS268に進む。
ステップS268:そして、主制御CPU72は二次入賞有効タイマのカウントダウンを実行(開始)する。これにより、図16中(E)に示すように、固定値としてのX期間の終了時からら二次入賞有効タイマが作動を開始し、有効時間が以後も継続する。この場合も同様に、有効時間が一次入賞有効タイマの初期値(X期間)以上の長さに設定されたことになる(二次有効時間設定手段としての処理)。
〔二次入賞有効タイマ作動後〕
ステップS270:主制御CPU72は、カウントダウン後の二次入賞有効タイマの値を確認し、未だ二次入賞有効タイマの値が0以下でなければ(No)、ここで始動入賞口入賞有効判定処理(2)を抜け、呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。二次入賞有効タイマの作動中(Y期間内)は引き続き入賞無効化フラグがOFFとなっている。これにより、例えば図16中(E),(F)に示すように、二次入賞有効タイマ(Y期間)が作動のまま有効時間が継続することになる。
また、以後の割り込み周期では、二次入賞有効タイマが作動中であり(ステップS250:Yes)、かつ、二次入賞有効タイマが設定済みであるため(ステップS255:Yes)、主制御CPU72はステップS276を実行する。
ステップS276:この場合、既に一次入賞有効タイマ(X期間)は終了しているため(Yes)、以後、主制御CPU72はステップS268に進む。
ステップS268:主制御CPU72は、二次入賞有効タイマをカウントダウンする。
ステップS270:そして主制御CPU72は、カウントダウン後の二次入賞有効タイマの値を確認する。未だ二次入賞有効タイマの値が0以下でなければ(No)、ここで始動入賞口入賞有効判定処理(2)を抜け、呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。
〔二次入賞有効タイマ(Y期間)終了時〕
この後、二次入賞有効タイマの値が0になると(ステップS270:Yes)、主制御CPU72はステップS272を実行する。
ステップS272:この場合、主制御CPU72は入賞無効化フラグをONにセットし、呼び出し元の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)に復帰する。これにより、例えば図16中(E),(F)に示すように、二次入賞有効タイマ(Y期間)の終了後は入賞判定が「無効」となる。
〔第1,第2設定手法に伴う付加事項〕
上記のように本実施形態では、第1又は第2設定手法のいずれかを用いて可変始動入賞装置28の作動時における有効時間を設定し、球噛み等による入球の検知タイミングの遅延にも対処することができる。
その一方で本実施形態では、球噛み等が発生しない限り、可変始動入賞装置28の開放中(6.0秒開放中)に入球し得る遊技球(8個程度)が開放時間τ1内及び閉鎖時間τ2内で全て始動入賞口スイッチ82を通過することを見越して各時間τ1,τ2を適切に設定している。つまり、球噛み等が発生していなければ、入賞有効タイマの作動中(X期間又はY期間)にそれほど多くの入球は検出されないことになる。
したがって、入賞有効タイマ(X期間,Y期間)の作動中及びその後の入賞無効期間中に過剰な入球が発生した場合、それは何らかの不正行為による入球であるとの疑義が生じる。
このため本実施形態では、入賞有効タイマの作動中及びその後の入賞無効期間中に入球が検出された個数が一定個数以上になると、不正入賞エラーが発生したと判定することとしている。
具体的には、セキュリティ管理処理中の入賞有効判定処理(図9中のステップS220)において、主制御CPU72は入賞有効タイマの作動中(X期間,Y期間)及びその後の入賞無効期間中に入賞検出信号が入力されると、不正入賞カウンタをインクリメントする処理を行う。そして、この処理で不正入賞カウンタの値が一定数(例えば15個程度)以上に達すると、主制御CPU72は不正入賞エラーフラグをONにする。これにより、セキュリティ管理処理中のエラーコマンド処理(図9中のステップS232)が実行されることになる。
上記の付加事項によれば、閉鎖時間τ2の終了後に入賞有効タイマ(X期間,Y期間)を設定していても、入賞無効期間中から不正入賞カウンタの値をカウントしているので、作為的に不正入賞が行われた場合、不正入賞エラーを発生させて外部に報知することができる。したがって、本来の球噛み等による入球については有効なものとして扱いつつ、不正行為による入球があった場合はこれを確実に発覚させることができる。
〔可変入賞装置への適用例〕
上述した入賞有効判定の手法は、可変入賞装置30に対しても適用することができる。すなわち、可変入賞装置30の作動時においても一次入賞有効タイマ(X期間)又は二次入賞有効タイマ(Y期間)を設定し、有効時間内に検出された入球を有効と判定することができる。
具体的には、特別図柄に対応する内部抽選の当選(大当り)を契機として可変入賞装置30が作動すると、可変入賞装置30の開放開始時から有効時間が開始となる。そして、可変入賞装置30が例えば2回の開放動作(大入賞口30bを開放する動作)を行った後の閉鎖時間の終了時に一次入賞有効タイマ(X期間)を設定し、閉鎖後も有効時間を継続する。そして、X期間内に大入賞口30bへの入球が検出されなければ、X期間の終了時に有効時間を終了させることとする。
一方、一次入賞有効タイマの作動中(X期間内)に大入賞口30bへの入球が検出されると、入球の検出時から二次入賞有効タイマ(Y期間)を作動させる(第1設定手法)か、もしくは、一次入賞有効タイマ(X期間)の終了時から二次入賞有効タイマ(Y期間)を作動させ、二次入賞有効タイマ(Y期間)の終了時に有効時間を終了させることとする。
これにより、可変入賞装置30(大入賞口30b)についても、球噛み等による遊技球の滞留を考慮して入賞有効判定を適切に行い、遊技者に不利益が生じるのを防止することができる。また、球噛み等が発生していない場合は不用意に有効時間が長引くことを防止し、不正な入賞が発生するのを防止することができる。
〔スイッチ入力イベント処理〕
次に図18は、スイッチ入力イベント処理(図8中のステップS205)の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順を追って説明する。
ステップS10:主制御CPU72は、特別図柄に対応する始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS11に進んで特別図柄記憶処理を実行する。なお、特別図柄記憶処理(ステップS11)の具体的な内容については、別のフローチャートを用いてさらに後述する。一方、入賞検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72はステップS12に進む。
ステップS12:主制御CPU72は、大入賞口に対応するカウントスイッチ84から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS13に進んで大入賞口カウント処理を実行する。大入賞口カウント処理では、主制御CPU72は大当り遊技中に1ラウンドごとの可変入賞装置30への入賞球数をカウントする。一方、入賞検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72はステップS14に進む。
ステップS14:主制御CPU72は、普通図柄に対応する中ゲートスイッチ78又は右ゲートスイッチ80から通過検出信号が入力されたか否かを確認する。この通過検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS16に進んで普通図柄記憶更新処理を実行する。普通図柄記憶更新処理(ステップS16)の具体的な内容については、別のフローチャートを用いてさらに後述する。一方、通過検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72は割込管理処理(図8)に復帰する。
〔普通図柄記憶更新処理〕
次に、上記の普通図柄記憶更新処理(図18中のステップS16)について説明する。図19は、普通図柄記憶更新処理の手順例を示すフローチャートである。以下、普通図柄記憶更新処理の手順について順を追って説明する。
ステップS20:ここでは先ず、主制御CPU72は普通図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が最大値の4未満であるか否かを確認する。作動記憶数カウンタは、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている普通図柄当り決定乱数の個数(組数)を表すものである。すなわち、RAM76の乱数記憶領域は普通図柄について4つのセクション(例えば各1バイト)に分けられており、各セクションには普通図柄当り決定乱数を1個ずつ記憶可能である。このとき、作動記憶数カウンタの値が上限値(最大値)に達していれば(Yes)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理(図18)に復帰する。一方、作動記憶数カウンタの値が上限値(最大値)未満であれば(No)、主制御CPU72は次のステップS21に進む。
ステップS21:主制御CPU72は、普通図柄作動記憶数を1つ加算する。普通図柄作動記憶数カウンタは、例えばRAM76の作動記憶数領域に記憶されており、主制御CPU72はその値をインクリメント(+1)する。ここで加算されたカウンタの値に基づき、表示出力管理処理(図8中のステップS211)で普通図柄作動記憶ランプ33aの点灯状態が制御されることになる。
ステップS22:そして主制御CPU72は、上記のサンプリング回路77を通じて乱数発生器75から普通図柄当り決定乱数値を取得する。乱数値の取得は、乱数発生器75のピンアドレスを指定して行う。主制御CPU72が8ビットのデータバス幅を有する場合、アドレスの指定は上位及び下位で1バイトずつ2回に分けて行われる。主制御CPU72は、指定したアドレスから普通図柄当り決定乱数値をリードすると、これを普通図柄当り決定乱数として転送先(乱数記憶領域)のアドレスにセーブする。なお、普通図柄当り決定乱数値は、例えばRAM76の当り乱数カウンタ領域から取得することとしてもよい。この場合、主制御CPU72は、指定したアドレスから普通図柄当り決定乱数値をリードすると、これを普通図柄に対応する当り決定乱数として転送先のアドレスにセーブする。
ステップS23:主制御CPU72は、セーブした普通図柄当り決定乱数を普通図柄に対応する乱数記憶領域に転送し、これを領域内の空きセクションに記憶させる。複数のセクションには順番(例えば第1〜第4)が設定されており、現段階で第1〜第4の全てのセクションが空きであれば、第1セクションから順に当り決定乱数が記憶される。あるいは、第1セクションが既に埋まっており、その他の第2〜第4セクションが空きであれば、第2セクションから順に当り決定乱数が記憶されていく。なお、乱数記憶領域の読み出しはFIFO形式である。
ステップS24:そして主制御CPU72は、普通図柄演出コマンド出力設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は例えば普通図柄の始動音制御コマンドを演出制御装置124に対して送信するための設定を行う。なお、主制御CPU72はこの処理の前に例えば先読み判定処理を行ってもよい。この場合、主制御CPU72は先読み判定処理において抽選の当否を事前に判定し、その結果に基づいて普図先判定演出コマンドを生成する。そして、主制御CPU72はステップS24で普図先判定演出コマンドを演出制御装置124に対して送信するための設定を行うことができる。
以上の手順を終えるか、もしくは普通図柄作動記憶数が4(最大値)に達していた場合(ステップS20:Yes)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理(図18)に復帰する。
〔普通図柄遊技処理〕
次に、割込管理処理中に実行される普通図柄遊技処理(図8中のステップS207)の詳細について説明する。
図20は、普通図柄遊技処理の構成例を示すフローチャートである。普通図柄遊技処理は、実行選択処理(ステップS1001)、普通図柄変動前処理(ステップS2001)、普通図柄変動中処理(ステップS3001)、普通図柄停止表示中処理(ステップS4001)、可変始動入賞装置管理処理(ステップS5001)のサブルーチン群を含む構成である。ここでは先ず、各処理に沿って普通遊技管理処理の基本的な流れを説明する。
ステップS1001:実行選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS2001〜ステップS5001のいずれか)のジャンプ先を選択する。例えば、主制御CPU72は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また戻り先のアドレスとして普通図柄遊技処理の末尾を「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ普通図柄が変動表示を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として普通図柄変動前処理(ステップS2001)を選択する。一方、既に普通図柄変動前処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として普通図柄変動中処理(ステップS3001)を選択し、普通図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として普通図柄停止表示中処理(ステップS4001)を選択するといった具合である。なお、本実施形態ではジャンプ先のアドレスを「ジャンプテーブル」で指定して処理を選択しているが、このような選択手法とは別に、「プロセスフラグ」や「処理選択フラグ」等を用いてCPUが次に実行するべき処理を選択している公知のプログラミング例もある。このようなプログラミング例では、CPUが一通り各処理をCALLし、その先頭ステップで一々フラグを参照して条件分岐(継続/リターン)することになるが、本実施形態の選択手法では、主制御CPU72が各処理を一々呼び出す手間は不要である。
ステップS2001:普通図柄変動前処理では、主制御CPU72は普通図柄の変動表示を開始するための条件を整える作業を行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS3001:普通図柄変動中処理では、主制御CPU72は変動タイマをカウントしつつ、普通図柄表示装置33の駆動制御を行う。具体的には、普通図柄表示装置33を構成する2つのLEDに対してそれぞれON又はOFFの駆動信号を出力する。駆動信号のパターンは時間の経過に伴って変化し、それによって普通図柄の変動表示が行われる。なお、本実施形態では2つのLEDを交互に点灯及び消灯させることで、普通図柄の変動表示を行うため、駆動信号のパターンをシンプルに(例えば2パターンで)構成することができ、それだけ主制御CPU72の負荷を軽減することができる。
ステップS4001:普通図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は普通図柄表示装置33の駆動制御を行う。ここでも同様に、2つのLEDに対してそれぞれON又はOFFの駆動信号を出力するが、駆動信号のパターンは一定であり、これにより普通図柄の停止表示が行われる。なお、本実施形態では上下2つのLEDのうち、例えば上のLEDを点灯させた状態で当選時の停止表示を行い、下のLEDを点灯させた状態で非当選時の停止表示を行うことができる(上下の論理は逆でもよい。)。
ステップS5001:可変始動入賞装置管理処理は、先の普通図柄停止表示中処理において当りの態様(例えば上のLEDが点灯)で普通図柄が停止表示された場合に選択される。普通図柄が当りの態様で停止表示されると、この処理において主制御CPU72は作動条件が満たされたものとして、可変始動入賞装置28を作動させる。なお、可変始動入賞装置28についての作動条件についてはさらに後述する。
可変始動入賞装置28の作動中は、先の実行選択処理(ステップS1001)においてジャンプ先が可変始動入賞装置管理処理(ステップS5001)にセットされ、普通図柄の変動表示は行われない。また可変始動入賞装置管理処理においては、普通電動役物ソレノイド88が所定時間、規定回数(例えば1回)だけ励磁され、これにより可変始動入賞装置28が設定されたパターンで作動し、始動入賞口28aへの入賞の発生が可能となる(抽選契機発生動作手段)。なお本実施形態においては、始動入賞口28aへの入賞の発生を契機として特別図柄遊技処理も進行していくが、以下では便宜上、先に普通図柄遊技処理についての説明を一通り行うものとする。
〔普通図柄変動前処理〕
次に図21は、普通図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
ステップS6100:先ず主制御CPU72は、普通図柄作動記憶数が残存しているか(0より大であるか)否かを確認する。この確認は、RAM76に記憶されている普通図柄作動記憶数カウンタの値を参照して行うことができる。作動記憶数が0であった場合(No)、主制御CPU72はステップS6500のデモ設定処理を実行する。
ステップS6500:この処理では、主制御CPU72はデモ演出用コマンドを生成する。デモ演出用コマンドは、上記の演出制御出力処理(図8中のステップS213)において演出制御装置124に出力される。デモ設定処理を実行すると、主制御CPU72は普通図柄遊技処理に復帰する。
これに対し、普通図柄作動記憶数カウンタの値が0より大きければ(Yes)、主制御CPU72は次にステップS6200を実行する。
ステップS6200:主制御CPU72は、普通図柄記憶シフト処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76の乱数記憶領域に記憶されている抽選用乱数(普通図柄当り決定乱数)を読み出し、これを例えば別の共通記憶領域に保存する。このとき2つ以上のセクションに乱数が記憶されていれば、主制御CPU72は第1セクションから順に乱数を読み出し、残った乱数を1つずつ前のセクションに移動(シフト)させる。共通記憶領域に保存された各乱数は、以降の当り判定処理で作動抽選に使用される。
ステップS6250:次に主制御CPU72は、普通図柄作動記憶数減算処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、RAM76に記憶されている普通図柄作動記憶数カウンタの値を1つ減算し、減算後の値を「普通図柄変動開始時作動記憶数」に設定する。これにより、上記の表示出力管理処理(図8中のステップS213)の中で普通図柄作動記憶ランプ33による記憶数の表示態様が変化(1減少)する。ここまでの手順を終えると、主制御CPU72は次にステップS6300を実行する。
ステップS6300:主制御CPU72は、当り判定処理(作動抽選)を実行する。この処理では、主制御CPU72は、普通図柄当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する(作動抽選実行手段)。このとき設定される普通図柄当り値の範囲は、非時間短縮状態(時間短縮機能が非作動時)と時間短縮状態(時間短縮機能作動時)とで異なり、時間短縮状態では非時間短縮状態よりも当り値の範囲が拡大されることで、作動抽選の当選確率が非時間短縮状態に比較して極端に高く設定される。そして、このとき読み出した乱数値が当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は普通図柄当りフラグ(01H)をセットし、次にステップS6400に進む。なお、本実施形態ではプログラム上で当り値の範囲を設定して当り判定を行っているが、予め当り判定テーブルをROM74に書き込んでおき、これを読み出して乱数値と対比しながら当り判定を行うプログラミング例もある。また、状態別の具体的な当選確率については別の図面を用いてさらに後述する。
ステップS6400:主制御CPU72は、先の当り判定処理で当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS6404を実行する。
ステップS6404:主制御CPU72は、はずれ時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、普通図柄表示装置33によるはずれ時の停止図柄番号データをセットする。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信するための停止図柄指定コマンド及び抽選結果コマンド(はずれ時)を生成する。これらコマンドは、演出制御出力処理(図8中のステップS213)において演出制御装置124に送信される。
なお本実施形態では、普通図柄表示装置33に2つのLEDを用いているため、例えば上記のように、はずれ時の停止図柄の表示態様をいずれか1つ(下側)のLEDの点灯表示だけにしておき、停止図柄番号データを1つの値に固定することができる。この場合、プログラム上で使用する記憶容量を削減し、主制御CPU72の処理負荷を軽減して処理速度を向上することができる。このような考え方は、普通図柄表示装置33に7セグメントLEDを用いた場合も同様に適用することができる。
ステップS6406:次に主制御CPU72は、はずれ時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、普通図柄についてはずれ時の変動パターン番号を決定する。変動パターン番号は、変動パターンの種類を区別したり、そのときの変動時間を規定したりするものであり、例えば主制御CPU72による乱数抽選で決定される。すなわち主制御CPU72は、この処理において例えば図示しない変動パターン決定テーブルを参照し、このテーブル上で普通図柄当り乱数(非当選のもの)に対応する変動パターン番号を選択する。またテーブルには、変動パターン番号に対応する変動時間(例えば6.0秒〜180秒)が予め設定されており、主制御CPU72は選択した変動パターン番号に対応する変動時間をテーブルから取得することができる。
なお本実施形態では、はずれリーチ変動を行う場合を除き、はずれ時の変動時間は、例えばステップS6250で設定した「変動表示開始時作動記憶数(0個〜3個)」に基づいて設定される。また変動時間については、非時間短縮状態と時間短縮状態とで設定が異なり、非時間短縮状態では上記のように選択した変動パターン番号に基づいて変動時間が設定されるが、時間短縮状態では固定値(例えば0.6秒)に設定される。なお、状態別の変動時間の設定についても、別の図面を使用してさらに後述するものとする。
以上のステップS6404,ステップS6406は、当り判定結果がはずれ時の制御手順であるが、判定結果が当り(ステップS6400:Yes)の場合、主制御CPU72は以下の手順を実行する。
ステップS6410:主制御CPU72は、当り時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は当り時停止図柄番号を決定する。ただし本実施形態では、普通図柄について複数の当選図柄が設けられていないため、基本的に主制御CPU72は、常に1種類の停止図柄番号を選択することになる。
ステップS6412:次に主制御CPU72は、当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は例えばRAM76のカウンタ領域から変動パターン決定乱数(普通図柄変動用乱数)を取得すると、その値に基づいて普通図柄の変動パターン(変動時間)を決定する。本実施形態のパチンコ機1による遊技では、基本的に、普通図柄の当り時には図柄演出を含めて当り時のリーチ変動を行うため、ここではリーチ変動パターンが選択される。なお一般的に当り時のリーチ変動の場合、はずれ通常変動時よりも長い変動時間が決定される。また、変動パターン決定乱数(普通図柄変動用乱数)は、このステップS6412で取得する以外に、例えば先の普通図柄記憶更新処理(図19)の中で取得してもよい。この場合、主制御CPU72は普通図柄記憶更新処理のステップS23において、取得した普通図柄変動用乱数を当り決定乱数とセットで記憶させるものとする。
ステップS6413:主制御CPU72は、当り時その他設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は当り時停止図柄番号に基づいて、普通図柄表示装置33による停止図柄(当り図柄)の表示態様を決定する。ただし、上記のように本実施形態では停止図柄番号が常に1種類であるため、主制御CPU72は常に1つの表示態様(上側のLEDを点灯)を決定する。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理(図8中のステップS213)において演出制御装置124に送信される。
ステップS6414:次に主制御CPU72は、普通図柄変動開始処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は変動パターン番号(はずれ時/当り時)に基づいて変動パターンデータを選択し、変動パターンに対応する変動時間の値を変動タイマにセットする。合わせて主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域に普通図柄の変動開始フラグをセットする。そして主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する変動開始コマンドを生成する。この変動開始コマンドもまた、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。以上の手順を終えると、主制御CPU72は普通図柄遊技処理に復帰する。
〔図20:普通図柄変動中処理,普通図柄停止表示中処理〕
普通図柄遊技処理に復帰すると、主制御CPU72は普通図柄変動中処理(ステップS3001)を次のジャンプ先に設定する。普通図柄変動中処理では、上記のように主制御CPU72は変動タイマの値をレジスタからタイマカウンタにロードし、その後、時間の経過(クロックパルスのカウント数、又は割込カウンタのカウント数)に応じてタイマカウンタの値をデクリメントする。そして主制御CPU72は、タイマカウンタの値を参照しつつ、その値が0になるまで上記のように普通図柄の変動表示を制御する。そして、タイマカウンタの値が0になると、主制御CPU72は普通図柄停止表示中処理(ステップS4001)を次のジャンプ先に設定する。
普通図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は当り時停止図柄決定処理(図21中のステップS6404,ステップS6410)で決定した停止図柄に基づいて普通図柄の停止表示を制御する。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する図柄停止コマンドを生成する。図柄停止コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。なお、普通図柄停止表示中処理の中で停止図柄を所定時間にわたり表示させると、主制御CPU72は図柄変動中フラグを消去する。
〔可変入賞装置管理処理〕
次に、可変始動入賞装置管理処理について説明する。
図22は、可変始動入賞装置管理処理の構成例を示すフローチャートである。可変始動入賞装置管理処理は、遊技プロセス選択処理(ステップS5101)、開放パターン設定処理(ステップS5201)、開閉動作処理(ステップS5301)、閉鎖処理(ステップS5401)、終了処理(ステップS5501)のサブルーチン群を含む構成である。
ステップS5101:遊技プロセス選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS5201〜ステップS5501のいずれか)のジャンプ先を選択する。すなわち主制御CPU72は、ジャンプテーブルから次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとして選択し、また戻り先のアドレスとして可変始動入賞装置管理処理の末尾をスタックポインタにセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ可変始動入賞装置28の作動を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として開放パターン設定処理(ステップS5201)を選択する。一方、既に開放パターン設定処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として開閉動作処理(ステップS5301)を選択し、開閉動作処理まで完了していれば、次のジャンプ先として閉鎖処理(ステップS5401)を選択する。また、開閉動作処理及び閉鎖処理を実行すると、主制御CPU72は次のジャンプ先として終了処理(ステップS5501)を選択する。以下、それぞれの処理についてさらに詳しく説明する。
〔開放パターン設定処理〕
ステップS5201:開放パターン設定処理では、主制御CPU72は可変始動入賞装置28の開放パターンとして、例えば作動時間(開放時間)と作動回数(開放回数)を設定する。なお本実施形態では、非時間短縮状態又は時間短縮状態のいずれにおいても、可変始動入賞装置28の作動時間及び作動回数は共通に設定される。そして主制御CPU72は、次のジャンプ先として開閉動作処理(ステップS5301)を設定する。
ステップS5301:次の開閉動作処理では、主制御CPU72は先のステップS5201で設定した作動時間に基づいて普通電動役物ソレノイド212を駆動する。これにより、実際に可変始動入賞装置28の作動(開放)が行われる。また主制御CPU72は、次のジャンプ先として閉鎖処理(ステップS5401)を設定する。
ステップS5401:閉鎖処理では、主制御CPU72は作動時間の経過をタイマカウンタ値に基づいてカウントする。そして、タイマカウンタの値が0以下になれば、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド212を非作動状態(OFF)に切り替える。そして主制御CPU72は、次のジャンプ先として終了処理(ステップS5501)を設定する。
ステップS5501:終了処理では、主制御CPU72は可変始動入賞装置28の作動を終了する際の条件を整える。例えば、主制御CPU72は普通電動役物作動フラグの値(01H)をリセットする。そして主制御CPU72は、普通図柄遊技処理の中の実行選択処理(図20中のステップS1001)でのジャンプ先を普通図柄変動前処理に設定する。以上の手順を終えると、主制御CPU72は可変始動入賞装置管理処理に復帰する。
図23は、普通図柄作動条件設定テーブルの構成例を示す図である。この普通図柄作動条件設定テーブルは、非時間短縮状態(通常中)と時間短縮状態(時短中)とで普通図柄の当り確率や変動時間を異なる設定とし、また、当り時の可変始動入賞装置28の開放パターン(作動時間及び作動回数)を設定するためのものである。
図23中の上段に示されているように、本実施形態においては、非時間短縮状態(時間短縮機能の非作動時)で行われる作動抽選に際して、通常の当り確率(例えば1/99)が適用される。また非時間短縮状態で行われる普通図柄の変動表示については、上記のように普通図柄変動用乱数を用いて設定された変動時間が適用される。
一方、図23中の下段に示されているように、時間短縮状態(時間短縮機能の作動時)で行われる作動抽選に際しては、通常に比較して高い当り確率(例えば98/99≒1/1)が適用される。これにより、時間短縮状態では非時間短縮状態よりも高い頻度で作動抽選に当選する(作動条件が満たされる)ことから、それだけ高い頻度で可変始動入賞装置28への入賞が発生しやすくなる。また、時間短縮状態で行われる普通図柄の変動表示については、上記のように予め設定された固定の変動時間(例えば0.6秒)が適用されることになる。ただし本実施形態では、非時間短縮状態又は時間短縮状態のいずれについても、作動時間は共通(例えば6.0秒)に設定されており、また、作動回数(1回)についても共通に設定されている。
以上が普通図柄遊技処理(図8中のステップS207)を通して行われる作動抽選や可変始動入賞装置28を作動させるための制御手法の概要である。次に、可変始動入賞装置28(始動入賞口28a)への入賞に伴う特別図柄記憶処理(図18中のステップS11)及びその入賞の発生を契機として進行する特別図柄遊技処理(図8中のステップS206)の内容について説明する。
〔特別図柄記憶処理〕
図24は、特別図柄記憶処理の手順例を示すフローチャートである。以下、特別図柄記憶処理について、手順例に沿って説明する。
ステップS30:ここでは先ず、主制御CPU72は特別遊技管理ステータスの値が「00H」であるか否かを確認する。特別遊技管理ステータスは、特別図柄に対応する遊技の進行状況に応じて別途、主制御CPU72が以下のように設定している。
〔特別遊技管理ステータス〕
すなわち、主制御CPU72は、特別図柄に対応する遊技の進行状況(1)〜(8)に応じて特別遊技管理ステータスの値(カギ括弧内)を例えば以下のようにセットする。
(1)特別図柄変動待ち状態:「00H」
(2)特別図柄変動表示中状態:「01H」
(3)特別図柄停止図柄表示中状態:「02H」
(4)可変入賞装置(特別電動役物)開放待ち状態:「03H」
(5)可変入賞装置(特別電動役物)開放状態:「04H」
(6)可変入賞装置(特別電動役物)開放後閉鎖有効状態:「05H」
(7)可変入賞装置(特別電動役物)閉鎖状態:「06H」
(8)可変入賞装置(特別電動役物)作動終了時間中状態:「07H」
特別遊技管理ステータスの値が「00H」以外、つまり、現在の遊技の進行状況が特別図柄変動待ち状態(00H)以外である場合(ステップS30:No)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理(図18)に復帰する。一方、特別遊技管理ステータスの値が「00H」である場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS32に進む。
ステップS32:主制御CPU72は、上記のサンプリング回路77を通じて乱数発生器75から大当り決定乱数値を取得する。乱数値の取得は、乱数発生器75のピンアドレスを指定して行う。主制御CPU72が8ビットのデータバス幅を有する場合、アドレスの指定は上位及び下位で1バイトずつ2回に分けて行われる。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り決定乱数値をリードすると、これを大当り決定乱数として転送先(乱数記憶領域)のアドレスにセーブする。
ステップS33:次に主制御CPU72は、RAM76の大当り図柄乱数カウンタ領域から大当り図柄乱数値を取得する。この乱数値の取得もまた、大当り図柄乱数カウンタ領域のアドレスを指定して行う。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り図柄乱数値をリードすると、これを大当り図柄乱数として転送先のアドレスにセーブする。
ステップS34:また主制御CPU72は、RAM76の変動用乱数カウンタ領域から、特別図柄の変動条件に関する乱数値として、例えば変動パターン決定乱数を取得する。この乱数値の取得も同様に、変動用乱数カウンタ領域のアドレスを指定して行われる。そして主制御CPU72は、指定したアドレスから変動パターン決定乱数を取得すると、これを転送先のアドレスにセーブする。
ステップS36:主制御CPU72は、セーブした大当り決定乱数、大当り図柄乱数及び変動パターン決定乱数をともに特別図柄に対応する乱数記憶領域(この時点で空き状態)に転送し、これら乱数をセットで記憶させる。
ステップS38:そして主制御CPU72は、特別図柄に関して演出コマンド出力設定処理を実行する。この処理は、例えば始動口入賞音制御コマンドを演出制御装置124に対して送信する設定を行うためのものである。
以上の手順を終えるか、もしくは特別図柄作動記憶が既にあった場合(ステップS30:Yes)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理(図18)に復帰する。
〔特別図柄遊技処理〕
次に、割込管理処理(図8)の中で実行される特別図柄遊技処理の詳細について説明する。
図25は、特別図柄遊技処理の構成例を示すフローチャートである。特別図柄遊技処理は、実行選択処理(ステップS1000)、特別図柄変動前処理(ステップS2000)、特別図柄変動中処理(ステップS3000)、特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)、可変入賞装置管理処理(ステップS5000)のサブルーチン(プログラムモジュール)群を含む構成である。ここでは先ず、各処理に沿って特別図柄遊技処理の基本的な流れを説明する。
ステップS1000:実行選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS2000〜ステップS5000のいずれか)のジャンプ先を「ジャンプテーブル」から選択する。例えば、主制御CPU72は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また戻り先のアドレスとして特別図柄遊技処理の末尾をスタックポインタにセットする。
いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況(特別遊技管理ステータス)によって異なる。例えば、未だ特別図柄が変動表示を開始していない状況であれば(特別遊技管理ステータス:00H)、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動前処理(ステップS2000)を選択する。一方、既に特別図柄変動前処理が完了していれば(特別遊技管理ステータス:01H)、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動中処理(ステップS3000)を選択し、特別図柄変動中処理まで完了していれば(特別遊技管理ステータス:02H)、次のジャンプ先として特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を選択するといった具合である。なお、本実施形態ではジャンプ先のアドレスを「ジャンプテーブル」で指定して処理を選択しているが、このような選択手法とは別に、「プロセスフラグ」や「処理選択フラグ」等を用いてCPUが次に実行するべき処理を選択している公知のプログラミング例もある。このようなプログラミング例では、CPUが一通り各処理をCALLし、その先頭ステップで一々フラグを参照して条件分岐(継続/リターン)することになるが、本実施形態の選択手法では、主制御CPU72が各処理を一々呼び出す手間は不要である。
ステップS2000:特別図柄変動前処理では、主制御CPU72は特別図柄の変動表示を開始するための条件を整える作業を行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS3000:特別図柄変動中処理では、主制御CPU72は変動タイマをカウントしつつ、特別図柄表示装置34の駆動制御を行う。具体的には、7セグメントLEDの各セグメント及びドット(0番〜7番)に対してON又はOFFの駆動信号(1バイトデータ)を出力する。駆動信号のパターンは時間の経過に伴って変化し、それによって特別図柄の変動表示が行われる。
ステップS4000:特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は特別図柄表示装置34の駆動制御を行う。ここでも同様に、7セグメントLEDの各セグメント及びドットに対してON又はOFFの駆動信号を出力するが、駆動信号のパターンは一定であり、これにより特別図柄の停止表示が行われる。またこの処理において、主制御CPU72は確率変動機能に関して「リミッタ回数」を設定したり、その減算処理を行ったりする。なお、処理の具体的な内容や「リミッタ回数」の意義についてはさらに後述する。
ステップS5000:可変入賞装置管理処理は、先の特別図柄停止表示中処理において当りの態様(非当選以外の態様)で特別図柄が停止表示された場合に選択される。例えば、特別図柄が大当りの態様で停止表示されると、大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行する契機が発生する。大当り遊技中は、先の実行選択処理(ステップS1000)においてジャンプ先が可変入賞装置管理処理にセットされ、特別図柄の変動表示は行われない。可変入賞装置管理処理においては、大入賞口ソレノイド90がある程度の時間(例えば最長で6.0秒間又は1個の入賞をカウントするまで)、予め設定された連続作動回数(例えば2回)にわたって励磁され、これにより可変入賞装置30が決まったパターンで開閉動作する(可変入賞手段)。この間に可変入賞装置30に対して遊技球を入球(入賞)させることで、遊技者には賞球(例えば1個の入賞に対して6個の賞球払出)を獲得する機会が与えられる(入賞特典付与手段)。なお、このように大当り時に可変入賞装置30が開閉動作することを「ラウンド」と称し、連続作動回数が2回であれば、これらを「2ラウンド」と総称することがある。ただし、本実施形態では1回あたりの開放時間が比較的短時間(6.0秒)であり、また、1ラウンド内のカウント数が最小(例えば1個)であるため、一般的な15ラウンド大当り(例えば1ラウンド29秒開放、カウント数9個)と比較すると、1回の大当り(2ラウンド)で獲得できる賞球数は少なくなっている。
いずれにしても、主制御CPU72は可変入賞装置管理処理において大入賞口開放パターン(ラウンド数と1ラウンドごとの開放動作の回数、開放時間等)を設定すると、1ラウンド分の可変入賞装置30の開放動作を終了させるごとにラウンド数カウンタの値を1インクリメントする。ラウンド数カウンタの値は、例えば初期値を0としてRAM76のカウント領域に記憶されている。ラウンド数カウンタの値が設定した連続作動回数(この例では2回)に達すると、主制御CPU72はそのラウンド限りで大当り遊技(大役)を終了する。
そして、大当り遊技(可変入賞装置30の開放動作)を終了すると、主制御CPU72は遊技状態フラグ(確率変動機能作動フラグ又は時間短縮機能作動フラグ)に基づいて大当り遊技終了後の状態(高確率状態、時間短縮状態)を変化させる。「高確率状態」では確率変動機能が作動し、内部抽選での当選確率が通常よりも高くなる(高確率状態移行手段)。本実施形態では、確率変動機能が非作動の「低確率状態」であっても、内部抽選での当選確率は2分の1程度の高い値(例えば65536分の32768程度)に設定されており、ここから「高確率状態」に移行した場合、当選確率はより高確率(例えば65536分の65535程度)に設定される。
また「時間短縮状態」では時間短縮機能が作動し、上記のように普通図柄の作動抽選が高確率(例えば99分の1→99分の98)になり、普通図柄の変動時間が短縮して設定(例えば0.6秒程度に固定して設定)される。合わせて特別図柄の変動時間についても、非時間短縮状態より短縮して設定(例えば0.6秒程度に固定して設定)される。なお、「高確率状態」及び「時間短縮状態」については、制御上でいずれか一方だけに移行する場合もあれば、これら両方に合わせて移行する場合もある。また、「低確率状態」又は「高確率状態」、「非時間短縮状態」又は「時間短縮状態」といった内部状態の変化の仕組みについては、特別図柄の当選図柄(当選種類)やパチンコ機1におけるゲームシステムと合わせてさらに後述する。
〔特別図柄変動前処理〕
図26は、特別図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
ステップS2100:先ず主制御CPU72は、RAM76の乱数記憶領域に特別図柄作動記憶があるか否かを確認する。あるいは、ここで主制御CPU72は作動記憶数カウンタの値を参照し、特別図柄に対応する作動記憶数が0以外(=1)であるかを確認してもよい。なお特別図柄の作動記憶は、上記のようにスイッチ入力イベント処理において可変始動入賞装置28(始動入賞口28a)への入賞の発生を契機として発生するものである。このとき、未だ変動を開始するべき特別図柄の作動記憶がないことを確認した場合(No)、主制御CPU72は特別図柄遊技処理(図25)に復帰する。これに対し、特別図柄の作動記憶があることを確認した場合(Yes)、主制御CPU72は次にステップS2300を実行する。
ステップS2300:主制御CPU72は、大当り判定処理(内部抽選)を実行する。この処理では、先ず主制御CPU72は、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)を読み出す。読み出した乱数は、例えば別の一時記憶領域に保存され、乱数記憶領域からは作動記憶が消去(消費)される。次に主制御CPU72は大当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する(内部抽選実行手段)。このとき設定される大当り値の範囲は、低確率状態と高確率状態(確率変動機能作動時)とで異なる。いずれにしても、このとき読み出した乱数値が大当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は大当りフラグ(01H)をセットし、次にステップS2400に進む。
ステップS2400:主制御CPU72は、先の大当り判定処理で大当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。大当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS2404を実行する。
ステップS2404:主制御CPU72は、はずれ時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、特別図柄表示装置34によるはずれ時の停止図柄番号データをセットする。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信するための停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(はずれ時)を生成する。これらコマンドは、演出制御出力処理(図8中のステップS213)において演出制御装置124に送信される。
なお本実施形態では、特別図柄表示装置34に7セグメントLEDを用いているため、例えば、はずれ時の停止図柄の表示態様を常に1つのセグメント(中央のバー「−」)の点灯表示だけにしておき、停止図柄番号データを1つの値(例えば64H)に固定することができる。この場合、プログラム上で使用する記憶容量を削減し、主制御CPU72の処理負荷を軽減して処理速度を向上することができる。
ステップS2406:次に主制御CPU72は、はずれ時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は特別図柄について、はずれ時の変動パターン番号を決定する。変動パターン番号は、特別図柄の変動表示の種類(パターン)を区別したり、変動表示にかかる変動時間に対応したりするものである。はずれ時の変動時間は、上記の「時間短縮状態」であるか否かによって異なってくるため、この処理において主制御CPU72は、遊技状態フラグをロードし、現在の状態が「時間短縮状態」であるか否かを確認する。「時間短縮状態」であれば、基本的にはずれ時の変動時間は短縮された時間(例えば0.6秒程度)に設定される。「時間短縮状態」でなければ、はずれ時の変動時間は例えば変動パターン決定乱数に基づいて決定される。そして、主制御CPU72は、決定した変動時間(はずれ時)の値を変動タイマにセットするとともに、はずれ時の停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。
以上のステップS2404,ステップS2406は、大当り判定結果がはずれ時(非当選以外の場合)の制御手順であるが、判定結果が大当り(ステップS2400:Yes)の場合、主制御CPU72は以下の手順を実行する。本実施形態では低確率状態でも当選確率が2分の1と高い値であり、低確率状態でも変動時の2回に1回は以下の処理が選択されることになる。
ステップS2410:主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理を実行する(当選種類決定手段)。この処理では、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づき、特別図柄別について今回の当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)を決定する。大当り図柄乱数値と当選図柄の種類との関係は、予め特別図柄判定データテーブルで規定されている。このため主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理において大当り時停止図柄選択テーブルを参照し、その記憶内容から大当り図柄乱数に基づいて当選図柄の種類を決定することができる。
ステップS2412:次に主制御CPU72は、大当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先のステップS2300で読み出した変動パターン決定乱数に基づいて特別図柄の変動パターン(変動時間と停止表示時間)を決定する。また主制御CPU72は、決定した変動時間の値を変動タイマにセットするとともに、停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。大当り時の変動時間についても、上記の「時間短縮状態」であるか否かによって異なってくる。このため、主制御CPU72は遊技状態フラグをロードし、現在の状態が「時間短縮状態」であるか否かを確認する。そして「時間短縮状態」であれば、基本的に大当り時であっても変動時間は短縮された時間(例えば0.6秒程度)に設定される。「時間短縮状態」でなければ、大当り時の変動中演出を行う時間を確保するため、ある程度の長い変動時間(例えば30秒〜60秒程度)に対応する変動パターンが設定される。また、本実施形態では、「非時間短縮状態」のはずれ時であっても、特別図柄の変動中に「はずれリーチ演出」を実行するため、ある程度の長い変動時間に対応する変動パターンが設定される。いずれにしても、主制御CPU72は、決定した変動時間(大当り時)の値を変動タイマにセットするとともに、大当り時の停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。
ステップS2413:主制御CPU72は、大当り時その他設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先のステップS2410で決定した当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)がいずれかの確変図柄に該当する場合、例えば遊技状態フラグとして確率変動機能作動フラグの値(01H)をRAM76のフラグ領域にセットし、合わせて回数切りカウンタ値(例えば10000回)をセットする。また主制御CPU72は、そのとき決定した当選図柄に対応する時間短縮機能作動回数が付加されている場合、遊技状態フラグとして時間短縮機能作動フラグの値(01H)をRAM76のフラグ領域にセットし、あわせて回数切りカウンタ値(100回又は10000回)をセットする。また主制御CPU72は、当選図柄に対応して付加された時間短縮機能作動回数の値に基づき、時間短縮機能作動回数コマンド(回数切りカウンタ数コマンドでもよい)を生成する。ここで生成された時間短縮機能作動回数コマンドは、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。なお、当選図柄の種類や時間短縮機能作動回数の付加については、具体例を挙げてさらに後述する。
またステップS2413の処理において、主制御CPU72は大当り時停止図柄番号に基づいて特別図柄表示装置34による停止図柄(大当り図柄)の表示態様を決定する。合わせて主制御CPU72は、上記の停止図柄コマンド(大当り時)とともに抽選結果コマンド(大当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
ステップS2414:次に主制御CPU72は、特別図柄変動開始処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は変動パターン番号(はずれ時/当り時)に基づいて変動パターンデータを選択し、変動パターンに対応する変動時間の値を変動タイマにセットする。また主制御CPU72は、変動パターンに対応する停止図柄表示時間の値を表示タイマにセットする。合わせて主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域に特別図柄の変動開始フラグをセットする。そして主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する変動開始コマンドを生成する。この変動開始コマンドもまた、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄変動中処理(ステップS3000)を次のジャンプ先に設定し、特別図柄遊技処理に復帰する。
〔図25:特別図柄変動中処理,特別図柄停止表示中処理〕
特別図柄変動中処理では、上記のように主制御CPU72は変動タイマの値をレジスタからタイマカウンタにロードし、その後、時間の経過(クロックパルスのカウント数又は割込カウンタの値)に応じてタイマカウンタの値をデクリメントする。そして主制御CPU72は、タイマカウンタの値を参照しつつ、その値が0になるまで上記のように特別図柄の変動表示を制御する。そして、タイマカウンタの値が0になると、主制御CPU72は特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を次のジャンプ先に設定する。
また特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は停止図柄決定処理(図26中のステップS2404,ステップS2410)で決定した停止図柄に基づいて特別図柄の停止表示を制御する。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する図柄停止コマンドを生成する。図柄停止コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。特別図柄停止表示中処理の中で停止図柄を所定時間にわたり表示させると、主制御CPU72は図柄変動中フラグを消去する。なお、特別図柄停止表示中処理の手順についてはさらに別のフローチャートを用いて後述する。
〔大当り時の当選図柄〕
次に、先の大当り時停止図柄決定処理(図26中のステップS2410)で決定される当選図柄の種類について説明する。本実施形態では大当り時に選択的に決定される当選図柄として、大きく分けて以下の3種類が用意されている。3種類の内訳は、例えば「単発(通常)図柄1」、「確変図柄1」及び「確変図柄2」である。なお、これらは好ましい例示に過ぎず、上記3種類の当選図柄は全てを網羅したものではない。
図27は、大当り時停止図柄選択テーブルの構成列を示す図である。主制御CPU72は先の大当り時停止図柄決定処理(図26中のステップS2410)において、図27に示される大当り時停止図柄選択テーブルを参照して当選図柄の種類を決定することができる(当選種類決定手段)。また主制御CPU72は、決定した当選図柄別にその時点での遊技状態(非時間短縮状態、時間短縮状態、低確率状態、高確率状態)に応じて時間短縮機能作動回数を決定することができる。
図27に示される大当り時停止図柄選択テーブル中、左端カラムには当選図柄別の振分値が示されており、各振分値「3」,「32」,「65」は、それぞれ分母を100とした場合の割合(選択比率)に相当する。また左から2番目のカラムには、各振分値に対応する「単発(通常)図柄1」、「確変図柄1」及び「確変図柄2」が示されている。すなわち、内部抽選での大当り時には、「単発(通常)図柄1」が選択される割合は100分の3(=3%)であり、また、「確変図柄1」が選択される割合は100分の32(=32%)であり、そして、「確変図柄2」が選択される割合は100分の65(=65%)となっている。各振分値の大きさは、大当り図柄乱数を用いた当選図柄別の選択比率に相当する。ここでいう「単発(通常)図柄1」は、大当り後において確率変動機能を作動させることとならない当選図柄(非確変図柄)である。このため、本実施形態では全体として確変図柄の選択比率は97%であり、大当り時は極めて高い比率で「確変図柄」が選択されることになる。
〔時間短縮機能作動回数(時短回数)〕
次に、当選図柄(当選種類)別及び当選時の状態別に付加される時間短縮機能作動回数の違いについて説明する。本実施形態では、上述した3種類の当選図柄について、その当選時の状態に応じて付加される時間短縮機能作動回数が異なっている。以下、具体的に説明する。
(1)低確率非時短中
図27中の左から3番目のカラムに示されているように、特別図柄(内部抽選)に関して「低確率状態」であり、普通図柄(作動抽選)に関して「非時間短縮状態」である場合(確変中でもなく時短中でもない通常時)を想定する。この場合、当選図柄が「単発(通常)図柄1」に該当すると100回の時間短縮機能作動回数が付加される。なお、「単発(通常)図柄1」に該当した場合、大当り終了後の状態は「低確率状態」となる。
また、当選図柄が「確変図柄1」又は「確変図柄2」のいずれかに該当すると、それぞれ10000回の時間短縮機能作動回数が付加される。なお、「確変図柄1」又は「確変図柄2」のいずれに該当した場合であっても、大当り終了後の状態は「高確率状態」となる。
このように本実施形態では、低確率非時短中から特別図柄に対応する内部抽選で当選(確率2分の1)すると、当選図柄に関わらず、大当り遊技の終了後に「時間短縮状態」となる。したがって、「高確率非時短中」という状態には移行せず、大当り終了後は必ず「時間短縮状態」となる。また、「時間短縮状態(時短中)」で付加される時短回数の違いは、以下のように設定されている。
〔リミッタ回数の設定〕
先ず本実施形態においては、特別図柄(内部抽選)に関して当選時の内部状態が「低確率状態」であり、そこから「確変図柄1」又は「確変図柄2」のいずれかで当選(初回当選)すると、例えば先の特別図柄停止表示中処理(図25中のステップS4000)において、上記の「リミッタ回数」が所定の上限回数(例えば1回目を含めて18回とする)に基づいて設定される(連続回数設定手段)。この「リミッタ回数」は、「高確率状態」での当選時に主制御CPU72が「確変図柄1」又は「確変図柄2」に該当すると連続して決定することができる限度(連続回数)を意味する。そして「リミッタ回数」は、「高確率状態」での当選時に「確変図柄1」又は「確変図柄2」に該当すると、その度ごとに1ずつ減算され、その残り回数が少なくなっていく。ただし、「リミッタ回数」が残り0回に達しない(残りが1回以上ある)間は、主制御CPU72は先の大当り時停止図柄決定処理(図26中のステップS2410)において、「高確率状態」での当選時に連続して「確変図柄1」又は「確変図柄3」に該当すると決定することが可能である。そこで先ず、「リミッタ回数」に1回以上の残りがある場合(リミッタ到達前)について説明する。
(2)リミッタ到達前高確率時短中
例えば、図27中の右から2番目のカラムに示されているように、特別図柄(内部抽選)に関して「高確率状態」であり、かつ、普通図柄(作動抽選)に関して「時間短縮状態」である場合を想定する。すなわち、上記(1)の低確率非時短中に「確変図柄1」又は「確変図柄2」に該当した場合、大当り終了後は高確率時短中の状態となる。そしてこの場合でも、当選図柄に関わらず時間短縮機能作動回数が付加される。詳細には、当選図柄が「単発(通常)図柄1」に該当した場合、100回の時間短縮機能作動回数が付加される。また、当選図柄が「確変図柄1」又は「確変図柄2」のいずれかに該当すると、いずれの場合も10000回の時間短縮機能作動回数が付加される。この場合、「高確率状態」で「確変図柄1」又は「確変図柄2」に連続当選しているため、上記のように「リミッタ回数」は1減算される。また「確変図柄1」又は「確変図柄2」のいずれに該当しても、大当り終了後の状態は「高確率状態」となり、合わせて「時間短縮状態」となる。一方、「単発(通常)図柄1」に該当した場合、大当り終了後の状態は特別図柄(内部抽選)に関して「低確率状態」に復帰するが、普通図柄(作動抽選)に関して「時間短縮状態」は維持され、以下の「(3)低確率時短中」となる。
(3)低確率時短中
例えば、図27中の右から2番目のカラムに示されているように、特別図柄(内部抽選)に関して「低確率状態」であり、かつ、普通図柄(作動抽選)に関して「時間短縮状態」である場合を想定する。上記(1)の低確率非時短中に「単発図柄1」に該当するか、又は上記(2)のリミッタ到達前高確率時短中に「単発(通常)図柄1」に該当した場合、低確率時短中の状態となる。そしてこの場合も同様に、3種類あるいずれの当選図柄についても、必ず時間短縮機能作動回数が付加される。詳細には、当選図柄が「単発(通常)図柄1」に該当した場合、100回の時間短縮機能作動回数が付加される。また、当選図柄が「確変図柄1」又は「確変図柄2」のいずれかに該当すると、いずれの場合も10000回の時間短縮機能作動回数が付加される。この場合、「低確率状態」から「確変図柄1」又は「確変図柄3」に初当選していることになるため、「リミッタ回数」は再設定(残り18回に設定)される。また「確変図柄1」又は「確変図柄2」のいずれに該当しても、大当り終了後の状態は「高確率状態」となり、合わせて「時間短縮状態」となるため、結果的に上記(2)のリミッタ到達前高確率時短中が再開されることになる。一方、「単発(通常)図柄1」に該当した場合、大当り終了後の状態が特別図柄(内部抽選)に関して「低確率状態」に復帰するが、普通図柄(作動抽選)に関して「時間短縮状態」は維持される。
〔リミッタ到達時〕
「高確率状態」で連続して「確変図柄1」又は「確変図柄2」のいずれかに当選し(選択比率97%)、その度ごとに「リミッタ回数」が減算された結果、上記の「リミッタ回数」が残り0回に到達すると、「高確率状態」での当選時に主制御CPU72は「確変図柄1」又は「確変図柄2」に該当すると決定することができなくなる。具体的には、大当り図柄乱数が「確変図柄1」又は「確変図柄2」のいずれかに対応していたとしても、最終的な当選図柄は「単発図柄1」又は「単発図柄2」のいずれかへ強制的に変更される(当選種類規制手段)。
(4)リミッタ到達時高確率時短中
当選図柄の強制変更については、図27中の右端カラムに示されている。すなわち、「高確率状態」かつ「時間短縮状態」で「リミッタ回数」の残りが0回に達すると、テーブル上で「確変図柄1」(選択比率32%)に該当した場合であっても、最終的な当選図柄は「単発図柄1」に強制される。あるいは、テーブル上で「確変図柄2」(選択比率65%)に該当した場合であっても、最終的な当選図柄は「単発図柄2」に強制されることになる。このような当選図柄の強制(規制)が行われる結果、「リミッタ回数」の残りが0回に達した後の「高確率状態」は継続されなくなり、大当り終了後に一度は「低確率状態」に強制的に復帰されることになる。さらに、当選図柄として「単発(通常)図柄1」が普通に選択された場合と、強制的に「単発図柄1」が選択された場合(合成選択比率35%)については、いずれも100回の時間短縮機能作動回数が付加されるが、強制的に「単発図柄2」が選択された場合(選択比率65%)は時間短縮機能作動回数が付加されない(0回=時短なし)。これはつまり、「リミッタ回数」が残り0回に到達すると、特別図柄(内部抽選)に関して「低確率状態」に必ず復帰するが、そのとき「時間短縮状態」から「非時間短縮状態」にも復帰する割合が全体の65%あり、残り35%の割合で「時間短縮状態」が維持されることを意味する。
以上のように本実施形態では、当選時の状態別、リミッタ残数別(到達前・到達時)によって付加される時間短縮機能作動回数が異なっていることが分かる。特に本実施形態では、「(4)リミッタ到達時高確率時短中」において、強制的に「単発図柄2」が選択された場合にのみ「非時間短縮状態」となり、それ以外の状態では常に「時間短縮状態」となることが分かる。
〔特別図柄停止表示中処理〕
次に、図28は、特別図柄停止表示中処理(図25中のステップS3000)の手順例を示すフローチャートである。以下に、特別図柄停止表示中処理の具体的な手順と合わせて、上記の「リミッタ回数」の設定や減算処理を行う手法について説明する。
ステップS4100:主制御CPU72は、停止図柄表示タイマの値を減算(例えば割込周期分だけデクリメント)する。
ステップS4200:そして主制御CPU72は、今回減算した停止図柄表示タイマの値に基づき、停止表示時間が終了したか否かを判断する。具体的には、停止図柄表示タイマの値が0以下でなければ、主制御CPU72は未だ停止表示時間が終了していないと判断する(No)。この場合、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰し、次の割込周期においても実行選択処理(図25中のステップS1000)からジャンプして特別図柄停止表示中処理を繰り返し実行する。
これに対し、停止図柄表示タイマの値が0以下であれば、主制御CPU72は停止表示時間が終了したと判断する(Yes)。この場合、主制御CPU72は次にステップS4250を実行する。
ステップS4250:主制御CPU72は、図柄停止コマンドを生成する。図柄停止コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。また主制御CPU72は、ここで図柄変動中フラグを消去する。
ステップS4300:ここで主制御CPU72は、大当りフラグの値(01H)がセットされているか否かを確認する。大当りフラグの値(01H)がセットされている場合(Yes)、主制御CPU72は次にステップS4310を実行する。
ステップS4310:主制御CPU72は、今回の当選図柄が確変図柄であるか否かを確認する。この確認は、大当り時停止図柄番号に基づいて行うことができる。すなわち、今回の大当り時停止図柄番号が上記の「確変図柄1」〜「確変図柄3」のいずれかに該当する場合(Yes)、主制御CPU72は次にステップS4320に進む。
〔確変図柄選択時〕
ステップS4320:主制御CPU72は、今回の当選時が「高確率状態」であるか否かを確認する。今回の当選時が「低確率状態」である場合(No)、主制御CPU72は次にステップS4330を実行する。
ステップS4330:この場合、主制御CPU72は「リミッタ回数」を上限回数(1回目を含めて18回)に基づいて設定する。具体的には、「リミッタ回数」の値を17回(リミッタ残数=17)に設定し、その値を例えばRAM76の残数カウンタ領域にセーブする。なお、ここで「リミッタ回数」を17回に設定するのは、上記のように上限回数が1回目の当選を含めて18回としているため、全体を通して残りが17回となるからである。
以上は、今回の当選時が「低確率状態」である場合の手順例であるが、今回の当選時が「高確率状態」であった場合(ステップS4320:Yes)、主制御CPU72は以下の手順を実行する。
ステップS4340:この場合、主制御CPU72は「リミッタ回数」を減算(−1)し、その減算後の値を残数カウンタ領域にセーブ(更新)する。例えば、今回の当選が「確変図柄1」又は「確変図柄2」の2連続目であった場合、既に1回目の当選時に「リミッタ回数」が17回に設定されているので、主制御CPU72は2回目で「リミッタ回数」を1つ減算し、その残りを16回として「リミッタ回数」を更新する。あるいは、今回の当選が「確変図柄1」又は「確変図柄2」の3連続目であった場合、2回目で16回に減算された「リミッタ回数」をさらに3回目で1つ減算し、その残りを15回として「リミッタ回数」を更新する。これにより、「高確率状態」の大当り時に「確変図柄1」又は「確変図柄2」のいずれかに連続して該当すると、その度ごとに「リミッタ回数」の残りが減少していくことになる(連続回数減算手段)。
この後、当選の度ごとに18回目まで連続して「確変図柄1」又は「確変図柄2」に該当した場合、17回目で残り1回に減算された「リミッタ回数」をさらに18回目で1つ減算すると、その残りは0回に到達する。この場合、主制御CPU72が次回の当選時に先の大当り時停止図柄決定処理(図26中のステップS2410)を実行すると、図27のテーブルを用いた当選図柄の決定に際して「リミッタ回数」が残り0回に達しているため、上記のように「確変図柄1」又は「確変図柄2」は「単発図柄1」又は「単発図柄2」に強制されることになる。
〔単発(通常)図柄選択時〕
これに対し、先のステップS4310で今回の大当り時停止図柄番号が上記の「単発(通常)図柄1」に該当するか、もしくは強制的に決定された「単発図柄1」のいずれかに該当する場合(No)、主制御CPU72は次にステップS4345に進む。
ステップS4345:この場合、主制御CPU72は「リミッタ回数」の値を0回にクリア(リミッタ残数=0)する。なお主制御CPU72は、例えば先の大当り時停止図柄決定処理(図26中のステップS2410)において、今回の当選図柄として「単発図柄1」を選択した場合、そこで「リミッタ回数」の値をクリアすることとしてもよい。
ステップS4346:いずれにしても、以上の手順を実行すると、次に主制御CPU72は、現在の「リミッタ回数」に基づいてリミッタ残数コマンドを生成する。ここで生成したリミッタ残数コマンドは、演出制御出力処理(図8中のステップS213)で演出制御装置124に出力される。
ステップS4350:次に主制御CPU72は、ジャンプテーブルのジャンプ先を「可変入賞装置管理処理」に設定する。
ステップS4400:そして主制御CPU72は、制御上の内部状態フラグとして「大役開始(大当り遊技中)」をセットする。また合わせて主制御CPU72は、大当り中を表す状態コマンドを生成する。大当り中を表す状態コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
大当り時に以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。
〔非当選時〕
これに対し、大当り時以外の場合は以下の手順が実行される。
すなわち主制御CPU72は、ステップS4300において大当りフラグの値(01H)がセットされていないと判断した場合(No)、次にステップS4600を実行する。
ステップS4600:主制御CPU72は、ジャンプテーブルのジャンプ先アドレスとして特別図柄変動前処理のアドレスをセットする。
ステップ4610:次に主制御CPU72は、回数切りカウンタの値をロードする。「回数切りカウンタ」は、「高確率状態」や「時間短縮状態」においてそれぞれのカウンタ値がRAM76の確変カウント領域又は時短カウント領域にセットされている。なお、ここでは「回数切り」としているが、「高確率状態」の場合の回数切りカウンタの値は、極端に膨大な値(例えば10000回以上)に設定されている。また「時間短縮状態」の場合についても、上記のように当選図柄によって10000回の作動回数が付加される場合もある。このような膨大な値を設定することで、実質的に次回の当選が得られるまで「高確率状態」や「時間短縮状態」が継続することを確率的に保証することができる。なお、「時間短縮状態」の作動回数として100回が付加された場合、回数切りカウンタの値は100回に設定されるが、本実施形態では「時間短縮状態」での普通図柄(作動抽選)の当選確率は略1分の1(97/98)であるため、100回でも次回まで「時間短縮状態」が継続することは確率的に保証されている。
ステップS4620:主制御CPU72は、ロードしたカウンタ値が0であるか否かを確認する。このとき、既に回数切りカウンタ値が0であれば(Yes)、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。一方、回数切りカウンタ値が0でなかった場合(No)、主制御CPU72は次にステップS4630を実行する。
ステップS4630:主制御CPU72は、回数切りカウンタ値をデクリメント(1減算)する。
ステップS4640:そして主制御CPU72は、その減算結果が0でないか否かを判断する。減算の結果、回数切りカウンタの値が0でなかった場合(Yes)、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。これに対し、回数切りカウンタの値が0になった場合(No)、主制御CPU72はステップS4650に進む。
ステップS4650:ここで主制御CPU72は、回数切り機能作動時のフラグを消去する。消去されるのは、確率変動機能作動フラグ又は時間短縮機能作動フラグであるが、上記のように「高確率状態」で回数切りカウンタの値が0になることは実質的にはなく、同様に「時間短縮状態」で回数切りカウンタの値が0になることも実質的にない。ただし理論的には発生し得るので、もしも実際に回数切りカウンタの値が0になった場合、対応する確率変動機能作動フラグ又は時間短縮機能作動フラグは消去される。これにより、特別図柄の停止表示を経て「高確率状態」又は「時間短縮状態」が終了する。以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。
〔表示出力管理処理〕
次に図29は、割込管理処理の中で実行される表示出力管理処理(図8中のステップS213)の構成例を示すフローチャートである。表示出力管理処理は、特別図柄表示設定処理(ステップS1200)、普通図柄表示設定処理(ステップS1210)、状態表示設定処理(ステップS1220)、作動記憶表示設定処理(ステップS1230)のサブルーチン群を含む構成である。
このうち特別図柄表示設定処理(ステップS1200)と普通図柄表示設定処理(ステップS1210)、作動記憶表示設定処理(ステップS1230)、については、既に述べたように特別図柄表示装置34、普通図柄表示装置33及び普通図柄作動記憶ランプ33aの各LEDに対して印加する駆動信号を生成及び出力する処理である。
また状態表示設定処理(ステップS1220)については、遊技状態表示装置38の各LEDに対して印加する駆動信号を生成及び出力する処理である。この処理では、主制御CPU72は、確率変動機能作動フラグ又は時間短縮機能作動フラグの値に応じてそれぞれ確率変動状態表示ランプ38c、時短状態表示ランプ38dの点灯を制御する。例えば、パチンコ機1の電源投入時において確率変動機能作動フラグに値(01H)がセットされていれば、主制御CPU72は確率変動状態表示ランプ38cに対応するLEDに対して点灯信号を出力する。なお確率変動状態表示ランプ38cは、特別図柄に関する大当り遊技が開始されるまで、もしくは、特別図柄の変動表示が規定回数行われて確率変動機能がOFF(非作動)にされるまで点灯し続け、その後、非表示に(消灯)切り替えられる。一方、時間短縮機能作動フラグに値(01H)がセットされていれば、特に電源投入時であるか否かに関わらず、主制御CPU72は時短状態表示ランプ38dに対応するLEDに対して点灯信号を出力する。
また、この状態表示設定処理(ステップS1220)においては、主制御CPU72は、遊技状態表示装置38の発射位置指定表示ランプ38eに対する制御も行う。例えば、主制御CPU72は、特別遊技の実行中の状態や、時間短縮機能の作動中の状態であれば、発射位置指定表示ランプ38eに対応するLEDに対して点灯信号を出力する。
〔可変入賞装置管理処理〕
次に、可変入賞装置管理処理の詳細について説明する。
図30は、可変入賞装置管理処理の構成例を示すフローチャートである。可変入賞装置管理処理は、遊技プロセス選択処理(ステップS5100)、大入賞口開放パターン設定処理(ステップS5200)、大入賞口開閉動作処理(ステップS5300)、大入賞口閉鎖処理(ステップS5400)、終了処理(ステップS5500)のサブルーチン群を含む構成である。
ステップS5100:遊技プロセス選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS5200〜ステップS5500のいずれか)のジャンプ先を選択する。すなわち主制御CPU72は、ジャンプテーブルから次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとして選択し、また戻り先のアドレスとして可変入賞装置管理処理の末尾をスタックポインタにセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ可変入賞装置30の作動(開放動作)を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として大入賞口開放パターン設定処理(ステップS5200)を選択する。一方、既に大入賞口開放パターン設定処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として大入賞口開閉動作処理(ステップS5300)を選択し、大入賞口開閉動作処理まで完了していれば、次のジャンプ先として大入賞口閉鎖処理(ステップS5400)を選択する。また、設定された連続作動回数(ラウンド数)にわたって大入賞口開閉動作処理及び大入賞口閉鎖処理が繰り返し実行されると、主制御CPU72は次のジャンプ先として終了処理(ステップS5500)を選択する。
ステップS5200:大入賞口開放パターン設定処理では、主制御CPU72は1ラウンド中の開放時間、閉鎖時間、インターバル及びラウンド数ごとの開放パターンを設定する。なお本実施形態では、1ラウンドの開放時間が最大で例えば「6.0秒」、閉鎖時間は例えば「0.5秒程度」また、ラウンド数は「2ラウンド」に予め固定されている。これにより、開放タイマ、閉鎖タイマ、インターバルタイマ、ラウンド数カウンタにそれぞれ値がセットされることになる。そして主制御CPU72は次のジャンプ先を大入賞口開閉動作処理に設定する。ただし、上記の開放パターンはあくまで一例であれ、これに限定されるものではない。
ステップS5300:次に大入賞口開閉動作処理では、主制御CPU72は可変入賞装置30の開閉動作(開放動作)を制御する。具体的には、主制御CPU72は大入賞口ソレノイド90に対して印加する駆動信号を出力する。これにより、可変入賞装置30の開閉部材30aが閉止位置から開放位置に変位し、大入賞口30bへの入球(入賞)の発生が可能な状態になる。また主制御CPU72は、開放タイマのカウントダウンを実行し、開放タイマの値が0以下になっていなければ、次に入賞球数のカウントを実行する。開放時間が終了するか、もしくはカウント数が所定数(例えば1個)に達したことを確認すると、主制御CPU72は大入賞口を閉止させる。具体的には、大入賞口ソレノイド90に印加していた駆動信号の出力を停止する。これにより、可変入賞装置30が開放状態から閉止状態に復帰する。
この後、主制御CPU72は閉鎖タイマのカウントダウンを実行し、閉鎖タイマの値が0以下になると、続いてインターバルタイマのカウントダウンを実行する(1ラウンド目のみ)。そして、インターバルタイマの値が0以下になると、次のジャンプ先を大入賞口閉鎖処理に設定する。2ラウンド目では、主制御CPU72は閉鎖タイマの値が0以下になると、次のジャンプ先を大入賞口閉鎖処理に設定する。
ステップS5400:大入賞口閉鎖処理では、主制御CPU72は可変入賞装置30の作動を継続したり、その作動を終了したりする。すなわち、現在の遊技状態が大当り中(大役中)であれば、主制御CPU72は上記のラウンド数カウンタをインクリメントする。これにより、例えば1ラウンド目が終了し、2ラウンド目に向かう段階でラウンド数カウンタの値が増加する。そして主制御CPU72は、次のジャンプ先を大入賞口開閉動作処理に設定すると、入賞球数カウンタをリセットする。
主制御CPU72が次に可変入賞装置管理処理を実行すると、遊技プロセス選択処理(ステップS5100)で主制御CPU72は次のジャンプ先である大入賞口開閉動作処理を実行する。そして、大入賞口開閉動作処理の実行後に主制御CPU72が再び大入賞口閉鎖処理を実行することで、実際のラウンド数が設定した実行ラウンド数(2回)に達するまでの間、可変入賞装置30の開閉動作が連続して実行される。そして、実際のラウンド数が設定した実行ラウンド数に達した場合、主制御CPU72はラウンド数カウンタをリセット(=0)すると、次のジャンプ先を終了処理に設定する。また主制御CPU72は、入賞球数カウンタをリセットし、可変入賞装置管理処理に復帰する。これにより、次に主制御CPU72が可変入賞装置管理処理を実行すると、今度は終了処理が選択されることになる。
〔終了処理〕
図31は、終了処理の手順例を示すフローチャートである。この終了処理は、可変入賞装置30の作動を終了する際の条件を整えるためのものである。以下、手順に沿って説明する。
ステップS5502:主制御CPU72は、大当りフラグをリセット(00H)する。これにより、主制御CPU72の制御処理上で大当り遊技状態は終了する。
ステップS5504:また主制御CPU72は、ここで内部的に大役中の状態を終了する。
ステップS5510:次に主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域を参照し、上記の時間短縮機能作動フラグの値(01H)がセットされているか否かを確認する。この時間短縮機能作動フラグは、先の特別図柄変動前処理(図26)においてセットされるものである。時間短縮機能作動フラグがセットされていれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5512を実行する。
ステップS5512:主制御CPU72は、今回の当選図柄に対応する時間短縮機能作動回数(100回又は10000回)に基づき、時間短縮機能に対応する回数切りカウンタの値を設定する。設定した回数切りカウンタの値は、上述したRAM76の時短カウント領域に格納される。なお、時間短縮機能作動フラグがセットされていなければ(ステップS5510:No)、主制御CPU72はステップS5512及び次のステップS5514を実行しない。この場合、大当り終了後に「時間短縮状態」には移行しない(時間短縮機能が非作動)。
ステップS5514:主制御CPU72は、ここで状態指定コマンドを生成する。具体的には、大当りフラグのリセットに伴い、遊技状態として「大役終了」を表す状態指定コマンドを生成する。また時間短縮機能作動回数に基づいて回数切りカウンタの値を設定した場合、内部状態として「時間短縮状態」を表す状態指定コマンドを生成する。これら状態指定コマンドは、演出制御出力処理(図8中のステップS213)において演出制御装置124に送信される。
ステップS5516:大当り時に以上の手順を経ると、主制御CPU72は次のジャンプ先を大入賞口開放パターン設定処理に設定する。
ステップS5518:そして主制御CPU72は、特別図柄遊技処理の中の実行選択処理(図25中のステップS1000)でのジャンプ先を特別図柄変動前処理に設定する。以上の手順を終えると、主制御CPU72は可変入賞装置管理処理に復帰する。
以上が主制御装置70(主制御CPU72)による各種の制御処理の内容である。主制御CPU72がこれら処理を実行することで、パチンコ機1による遊技が具体的に進行することとなる。
〔ゲームフロー〕
次に図32は、本実施形態のパチンコ機1による遊技の流れを一例として示すゲームフロー図である。パチンコ機1による遊技は、遊技者の操作に応じて遊技球を遊技領域8a内に打ち込む(発射する)ことで進行する。以下、遊技球の打ち出しを前提とした遊技の流れについて説明する。なお以下の説明では、適宜、図中の参照符号F1〜F47等を括弧付きで示す。また、以下の説明で用いる「入賞」は、「検出された入球が有効なものとして扱われること」を意味している。
〔F1〕通常遊技中
例えば、遊技者がパチンコ機1で遊技を開始した当初は、パチンコ機1の内部状態が「通常遊技中」の状態となっているものとする。本実施形態において「通常遊技中」の状態は、普通図柄(作動抽選)に関して「非時間短縮状態」であり、かつ、特別図柄(内部抽選)に関して「低確率状態」であることを意味する。
〔F2〕普通図柄非当選
〔F1〕通常遊技中において、中始動ゲート20(又は右始動ゲート21)を遊技中が通過すると、これを契機として上記の作動抽選が実行される。作動抽選の結果が非当選の場合、特に内部的な状態の変化は発生せず、そのまま〔F1〕通常遊技中が継続される。
〔F3〕通常遊技中の普通図柄当り
一方、〔F1〕通常遊技中に作動抽選で当選すると、ゲームフローが次の段階に進む。
〔F4〕可変始動入賞装置作動
この場合、可変始動入賞装置28が作動し、上記のように始動入賞口28aへの入賞の発生が可能な状態となる。なお遊技領域8a(盤面)の構成上、普通図柄(作動抽選)の当選後は遊技領域8a内の右側部分に向けて遊技球を打ち込むことが遊技を進行させる上で必要となる。
〔F5〕入賞なし
可変始動入賞装置28の作動中(作動時間6.0秒)に始動入賞口28aへの入賞が発生しなかった場合、ゲームフローは〔F1〕通常遊技中に戻る。この場合、ゲームフローはまた作動抽選から再開される。
〔F6〕始動口入賞
これに対し、可変始動入賞装置28の作動中(作動時間6.0秒)に始動入賞口28aへの入賞が発生した場合、ゲームフローがさらに次の段階に進む。なお、内部抽選の契機となる入賞は1回だけが有効となるが、可変始動入賞装置28の作動中に複数回の入賞(平均して7〜8個の入賞)が発生すると、その都度、入賞特典(例えば入賞球1個につき12個の賞球払出)が遊技者に付与される。
〔F7〕特別図柄変動
始動入賞口28aへの入賞の発生を契機として特別図柄(内部抽選)が行われる。これにより、特別図柄表示装置34において特別図柄の変動表示が行われる。また、変動時間が経過すると、内部抽選の結果に応じて特別図柄が停止表示される。
〔F8〕非当選
内部抽選で非当選となった場合、特別図柄が非当選の態様で停止表示される。この場合、ゲームフローは〔F1〕通常遊技中に戻り、また作動抽選から再開される。
〔F11〕単発図柄1当選
内部抽選で当選し、今回の当選図柄が上記の「単発(通常)図柄1」に該当した場合、特別図柄が「単発(通常)図柄1」を表す態様で停止表示される。この場合、ゲームフローはさらに次の段階に進む。
〔F12〕可変入賞装置作動(大役中)
特別図柄(内部抽選)での当選により可変入賞装置30が開放動作し、その開放回数は2回(2ラウンド)である。「単発(通常)図柄1」に該当した場合、確率変動機能作動フラグはセットされないが、時間短縮機能作動回数は100回に設定される。このため、可変入賞装置30の開放動作後のゲームフローは〔F1〕通常遊技中ではなく、〔F31〕時短中の段階に進むことになる。なお、〔F31〕時短中からのゲームフローについては後述する。
〔F16〕確変図柄1,2当選
一方、当選図柄が上記の「確変図柄1」に該当した場合、特別図柄は「確変図柄1」を表す態様で停止表示される。あるいは当選図柄が上記の「確変図柄2」に該当した場合、特別図柄は「確変図柄2」を表す態様で停止表示される。いずれの場合についても、ゲームフローは以下の段階に進む。
〔F14〕リミッタ残数セット
〔F1a〕通常中からの当選に該当する場合、内部的に「リミッタ回数」が残り17回にセットされる(リミッタ残数=17)。
〔F18〕可変入賞装置作動(大役中)
特別図柄(内部抽選)での当選により、可変入賞装置30が2ラウンドの開放動作を行う。また「確変図柄1」又は「確変図柄2」のいずれかに該当した場合、確率変動機能作動フラグがセットされるとともに、合わせて時間短縮機能作動回数が10000回に設定されるため、可変入賞装置30の開放動作後のゲームフローは確変中(高確率時短中:F19)に進むことになる。
〔F19〕確変中(高確率時短中)
本実施形態において、一度ゲームフローが〔F19〕確変中に突入すると、確率上でみて〔F19〕確変中が継続しやすくなっている。以下、この点について具体的に説明する。
〔F20〕普通図柄非当選
〔F19〕確変中においては、普通図柄(作動抽選)の当選確率が略1分の1(98/99)に設定されるため、確率的に非当選になることはほとんどない。ただし、理論上は非当選もあり得るため、もし非当選となった場合は〔F19〕確変中でのゲームが続行されることになる。
〔F21〕確変中の普通図柄当り
本実施形態では遊技領域8a(盤面)の構成上、〔F19〕確変中は遊技領域8a内の右側部分に遊技球が打ち込まれること(いわゆる「右打ち」)を想定している。これにより、右始動ゲート21を遊技球が通過すると、ほとんど1回の普通図柄の変動で当選する。また変動時間は、上記のように短縮(0.6秒)されているため、極めて短時間のうちにゲームフローは次の段階に進む。
〔F22〕可変始動入賞装置作動
普通図柄(作動抽選)当選によって可変始動入賞装置28が作動し、始動入賞口28aへの入賞の発生が可能な状態となる。なお本実施形態では、「時間短縮状態」においても可変始動入賞装置28の作動時間は一定(6.0秒)である。ただし、遊技領域8a内の右側部分に遊技球が打ち込まれていれば、そのままの流れで作動中の可変始動入賞装置28に向かって遊技球が流下していく。
〔F23〕入賞なし
何らかの原因(球切れ、球詰まり等)で可変始動入賞装置28の作動中に始動入賞口28aへの入賞が発生しなかった場合であっても、ゲームフローは〔F19〕確変中が継続されるので、遊技者にとって極端な不利益はない。
〔F24〕始動口入賞
〔F19〕確変中の「右打ち」の流れにより、可変始動入賞装置28の作動中に始動入賞口28aへの入賞が発生すると、ゲームフローが次の段階に進む。
〔F25〕特別図柄変動
ここでも同様に、始動入賞口28aへの入賞の発生を契機として特別図柄(内部抽選)が行われる。これにより、特別図柄表示装置34において特別図柄の変動表示が行われる。また、変動時間が経過すると、内部抽選の結果に応じて特別図柄が停止表示される。
〔F26〕非当選
特別図柄(内部抽選)に関して、「高確率状態」の当選確率は略1分の1(65535/65536)であるため、確率的に非当選はほとんど発生しない。ただし、極希に内部抽選で非当選となった場合、特別図柄が非当選の態様で停止表示される。この場合、ゲームフローは〔F19〕確変中が継続されるので、遊技者にとって極端な不利益はない。また、時間短縮機能作動回数は最大10000回に設定されているので、たとえ1回の非当選が発生しても、未だ充分に時短回数が残っている。
〔F27〕確変図柄1,2当選
本実施形態では、上記のように確変比率が全体の97%であるため、当選時は高い頻度で確変図柄が選択される。そして、〔F19〕確変中に当選図柄が「確変図柄1」又は「確変図柄2」のいずれかに該当した場合、上記のように時間短縮機能作動回数として10000回が付加されるため、この時点で内部的に〔F19〕確変中の継続が確定している。
〔F28〕リミッタ残数−1
そしてこの場合、「高確率状態」で連続的に確変当選しているため、内部的に「リミッタ回数」が減算される(リミッタ残数−1)。
〔F18〕可変入賞装置作動(大役中)
同様に、特別図柄(内部抽選)での当選により、可変入賞装置30が2ラウンドの開放動作を行う。「確変図柄1」又は「確変図柄2」のいずれに該当した場合についても、確率変動機能作動フラグがセットされるとともに、合わせて時間短縮機能作動回数が10000回に設定されるため、ここで実際に可変入賞装置30の開放動作後のゲームフローは確変中(高確率時短中:F19)が継続される。
〔確変突入によるチャンスゾーン〕
以上のように、一度ゲームフローが〔F19〕確変中に移行すると、〔F21〕普通図柄当りから〔F22〕可変始動入賞装置作動、〔F24〕始動口入賞、〔F25〕特別図柄変動、〔F27〕確変図柄1,2当選、〔F28〕リミッタ残数−1、そして〔F18〕可変入賞装置作動を経て〔F19〕確変中にループするというゲームフローが最も高い頻度(又は確率、割合、比率)で発生しやすくなる。この場合、1回のループ内で可変始動入賞装置28が1回ずつ作動し、また、可変入賞装置30が2ラウンド開放動作を行うため、基本的に遊技領域8a内の右側部分に遊技球が打ち込まれていれば、そのままの流れで入賞発生に対する賞球の払い出しが行われる(入賞特典付与手段)。
なお、上記のループが1回行われるごとに〔F28〕リミッタ残数−1で「リミッタ回数」の残りが減少していくが、残り0回に到達するまでの間は、依然として高い頻度で同じループを繰り返すことになる。
〔F29〕確変中の単発図柄1当選
一方、〔F19〕確変中に当選図柄が「単発(通常)図柄1」に該当した場合は以下のゲームフローとなる。この場合、確変図柄ではないため「高確率状態」は維持されないが、時間短縮機能作動回数として100回が付加されるため、この時点で内部的に「時間短縮状態」の継続が約束されている。
〔F30〕可変入賞装置作動(大役中)
同じく特別図柄(内部抽選)での当選により、可変入賞装置30が2ラウンドの開放動作を行う。なお図示していないが、上記のように主制御CPU72の制御処理上で特別図柄の停止表示後にリミッタ残数は0クリアされている(リミッタリセット)。
〔F31〕時短中
〔F19〕確変中から「単発(通常)図柄1」に該当すると、確率変動機能作動フラグはクリアされるが、時間短縮機能作動回数は100回に設定されるため、可変入賞装置30の開放動作後のゲームフローは時短中(低確率時短中)に移行する(連続回数再設定契機発生手段)。
〔F20〕普通図柄非当選
〔F31〕時短中は、普通図柄(作動抽選)の当選確率が略1分の1(98/99)に設定されるため、確率的に非当選になることはほとんどない。ただし、理論上は非当選もあり得るため、もし非当選となった場合は〔F31〕時短中でのゲームが続行されることになる。
〔F32〕時短中の普通図柄当り
〔F31〕時短中においても、そのまま「右打ち」の流れで右始動ゲート21を遊技球が通過すると、ほとんど1回の普通図柄の変動で当選する。また変動時間は、上記のように短縮(0.6秒)されているため、極めて短時間のうちにゲームフローは次の段階に進む。
〔F33〕可変始動入賞装置作動
普通図柄(作動抽選)当選によって可変始動入賞装置28が作動し、始動入賞口28aへの入賞の発生が可能な状態となる。
〔F34〕入賞なし
同様に、何らかの原因(球切れ、球詰まり等)で可変始動入賞装置28の作動中に始動入賞口28aへの入賞が発生しなかった場合であっても、ゲームフローは〔F31〕時短中が継続されるので、遊技者にとって極端な不利益はない。
〔F35〕始動口入賞
〔F31〕時短中の「右打ち」の流れにより、可変始動入賞装置28の作動中に始動入賞口28aへの入賞が発生すると、ゲームフローが次の段階に進む。
〔F36〕特別図柄変動
ここでも同様に、始動入賞口28aへの入賞の発生を契機として特別図柄(内部抽選)が行われる。これにより、特別図柄表示装置34において特別図柄の変動表示が行われる。また、変動時間が経過すると、内部抽選の結果に応じて特別図柄が停止表示される。
〔F37〕非当選
〔F31〕時短中の特別図柄(内部抽選)に関して、「低確率状態」の当選確率は2分の1(32768/65536)であるため、確率的に非当選はほとんど発生しない。ただし、極希に内部抽選で非当選となった場合、特別図柄が非当選の態様で停止表示される。この場合、ゲームフローは〔F31〕時短中が継続されるので、遊技者にとって極端な不利益はない。また、時間短縮機能作動回数は100回に設定されているので、たとえ1回の非当選が発生しても、未だ充分に時短回数(99回)が残っている。
〔F38〕時短中の確変図柄1,2当選
そして、上記のように確変比率が全体の97%であるため、同じく当選時は高い頻度で確変図柄が選択される。そして、〔F31〕時短中から当選図柄が「確変図柄1」又は「確変図柄2」のいずれかに該当した場合、上記のように時間短縮機能作動回数として10000回が付加される。
〔F39〕リミッタ残数=17
そしてこの場合、〔F31〕時短中の「低確率状態」から1回目の確変当選に該当することとなるため、内部的にはここで「リミッタ回数」が再設定されることになる(リミッタ残数=17)。さらに、この場合は確変当選であるため、以下のゲームフローが進行することになる。
〔F18〕可変入賞装置作動(大役中)
特別図柄(内部抽選)での当選により、可変入賞装置30が2ラウンドの開放動作を行う。〔F31〕時短中から「確変図柄1」又は「確変図柄2」のいずれに該当した場合についても、確率変動機能作動フラグがセットされるとともに、合わせて時間短縮機能作動回数が10000回に設定されるため、ここで実際に可変入賞装置30の開放動作後のゲームフローは確変中(高確率時短中:F19)が再開(再突入、復帰)されることになる。
〔確変中の単発当選によるリミッタ上乗せ〕
以上のゲームフローは、先の〔F19〕確変中のループを繰り返す中で「リミッタ回数」がある程度まで減算されていたとしても、途中に「単発(通常)図柄1」で当選すると、それによって「リミッタ回数」がリセットされ、「確変図柄1」又は「確変図柄2」の当選によって「リミッタ回数」がまた最大値に再設定されることを意味している(連続回数再設定契機発生手段)。
これにより、たとえ〔F19〕確変中の「リミッタ回数」が残り0回に到達しつつあったとしても、その前に「単発(通常)図柄1」に当選(選択比率3%)すれば、それによって「リミッタ回数」が再設定されるため、それだけ〔F19〕確変中のループ回数を延ばしていくことができるというゲーム性が実現されることになる。
〔F40〕時短中の単発図柄1当選
なお、〔F31〕時短中に続けて当選図柄が「単発(通常)図柄1」に該当した場合、またそこで時間短縮機能作動回数として100回が付加される。したがってゲームフローは、〔F30〕可変入賞装置作動の後に〔F31〕時短中が継続されることになる。
以上は、〔F19〕確変中に「リミッタ回数」が残り0回に到達する前に発生し得るゲームフローである。これに対し、〔F19〕確変中に上記のループを繰り返した結果、「リミッタ回数」の残りが0回に到達した場合は以下のゲームフローとなる。
〔リミッタ到達時のゲームフロー〕
図33は、「リミッタ回数」が残り0回に到達した場合の遊技の流れを示すゲームフロー図である。例えば、〔F19〕確変中に「リミッタ回数」が残り0回に到達した状態で、〔F21〕普通図柄当り、〔F22〕可変始動入賞装置作動、そして〔F24〕始動口入賞が発生した場合を想定する。
〔F41〕特別図柄変動
ここでも同様に、始動入賞口28aへの入賞の発生を契機として特別図柄(内部抽選)が行われる。これにより、特別図柄表示装置34において特別図柄の変動表示が行われる。また、変動時間が経過すると、内部抽選の結果に応じて特別図柄が停止表示される。
〔F42〕非当選
「リミッタ回数」に関わらず、特別図柄(内部抽選)に関して「高確率状態」の当選確率は略1分の1(65535/65536)であるため、確率的に非当選はほとんど発生しない。ただし、極希に内部抽選で非当選となった場合、特別図柄が非当選の態様で停止表示される。この場合、ゲームフローは〔F19〕確変中が継続されるが、「リミッタ回数」は残り0回のままである。なお、時間短縮機能作動回数は最大10000回に設定されているので、たとえ非当選が発生しても、未だ充分に時短回数は残っている。
〔F43〕単発図柄1当選
〔F19〕確変中の「リミッタ回数」が残り0回に達した状態で、当選図柄が「単発(通常)図柄1」に該当した場合は以下のゲームフローとなる。この場合、確変図柄ではないため「リミッタ回数」の残数は特に関係なく、そのまま時間短縮機能作動回数として100回が付加される。
〔F44〕可変入賞装置作動(大役中)
そして、特別図柄(内部抽選)での当選により、可変入賞装置30が2ラウンドの開放動作を行う。また、この時点で「リミッタ回数」の残りは0回に達しているが、上記のように主制御CPU72の制御処理上で特別図柄の停止表示後にリミッタ残数は0クリアされる。
〔チャンスゾーン継続〕
この場合、ゲームフローは〔F31〕時短中に戻り、そこからまた「時間短縮状態」で〔F32〕普通図柄当り、〔F33〕可変始動入賞装置作動、〔F35〕始動口入賞、〔F36〕特別図柄変動といったゲームフローが進行する。そして、〔F38〕確変図柄1,2当選に進むと〔F39〕リミッタ残数=17で「リミッタ回数」が再設定された上で、ゲームフローは再び〔F19〕確変中に移行する。
〔F45〕確変図柄1当選→強制単発1
また、〔F19〕確変中の「リミッタ回数」が残り0回に達した状態で、当選図柄が「確変図柄1」に該当した場合は以下のゲームフローとなる。この場合、既に「リミッタ回数」が残り0回に到達しているため、主制御CPU72の制御処理上で確変図柄を選択することができず、上記のように強制的に「単発図柄1」が選択されることになる。この場合、確率変動機能作動フラグはクリアされるが、時間短縮機能作動回数として100回が付加されるため、「時間短縮状態」は継続することになる。
〔F44〕可変入賞装置作動(大役中)
そして、特別図柄(内部抽選)での当選により、可変入賞装置30が2ラウンドの開放動作を行う。同様に、この時点で「リミッタ回数」の残りは0回に達しているが、特別図柄の停止表示後にリミッタ残数は0クリアされる。
〔チャンスゾーン継続〕
この場合も同様に、ゲームフローは〔F31〕時短中に戻り、そこからまた「時間短縮状態」で〔F32〕普通図柄当り、〔F33〕可変始動入賞装置作動、〔F35〕始動口入賞)、〔F36〕特別図柄変動といったゲームフローが進行する。そして、〔F38〕確変図柄1,2当選に進むと〔F39〕リミッタ残数=17で「リミッタ回数」が再設定された上で、ゲームフローは再び〔F19〕確変中に移行する。
〔F46〕確変図柄2当選→強制単発2
これに対し、〔F19〕確変中の「リミッタ回数」が残り0回に達した状態で、当選図柄が「確変図柄2」に該当した場合は以下のゲームフローとなる。この場合についても、既に「リミッタ回数」が残り0回に到達しているため、主制御CPU72の制御処理上で確変図柄を選択することができない。そして「確変図柄2」については、上記のように強制的に「単発図柄2」へ変更されることになる。この場合、確率変動機能作動フラグがクリアされるとともに、時間短縮機能作動回数として0回(=時短なし)が設定されるため、時間短縮機能作動フラグもクリアされることになる。
〔F47〕可変入賞装置作動(大役中)
そして、特別図柄(内部抽選)での当選により、可変入賞装置30が2ラウンドの開放動作を行う。同様に、この時点で「リミッタ回数」の残りは0回に達しているが、特別図柄の停止表示後にリミッタ残数は0クリアされる。
〔チャンスゾーン終了〕
そしてこの場合、ゲームフローは〔F1〕通常遊技中(通常中)に戻り、「非時間短縮状態」かつ「低確率状態」となる。
〔ゲームフローのまとめ〕
以上より、本実施形態において一度ゲームフローが〔F19〕確変中に移行した場合に以下の特徴が明らかとなっている。
図34及び図35は、本実施形態におけるゲームフローのパターンを分類して示す概念図である。以下、順を追って説明する。
(1)基本パターン
図34中(A):「確変図柄1」又は「確変図柄2」の当選を経て、一度ゲームフローが〔F19〕確変中に移行した場合、基本的には極めて高い割合(選択比率97%)で確変当選が連続して発生する。したがって、1回目(初回)の確変当選前の「リミッタ回数」を便宜的に18回(1回目を含めて連続18回まで)と考えると、1回目の当選時に残り17回に設定された「リミッタ回数」は、次の連続2回目の確変当選により17回から1減算されて16回となり、さらに、連続3回目の確変当選により16回から1減算されて15回となる。
この後、確変当選が連続して発生する度ごとに「リミッタ回数」が減算されていき、1回目から数えて連続18回目の確変当選が発生すると、「リミッタ回数」は残り1回から減算されて0回に到達する。この場合、次回の当選時は単発図柄での当選が強制されるため、確変当選は連続18回までで強制終了となる。
(2)リミッタ上乗せパターン
図34中(B):上記(1)の基本パターン中、「リミッタ回数」が残り0回に到達する前、例えば1回目から連続n回の確変当選を経て、「リミッタ回数」が(18−n)回だけ残っている状態で「単発(通常)図柄1」に該当した場合(選択比率3%)を考える。この場合、時間短縮機能作動回数として100回が付加される。
図34中(C):すると、大役終了後は上記の〔F31〕時短中に移行するため、普通図柄(作動抽選)当選を経て次回の特別図柄(内部抽選)で確変当選(選択比率97%)することにより、そこで「リミッタ回数」が再設定される。この場合の確変当選は単発当選後の1回目に該当するため、この1回目を含めてさらに連続18回(「リミッタ回数」の残りは17回)の確変当選の可能性が新たに発生する。この場合の「リミッタ回数」には、今回新たに発生した18回から、ここまでの残り(18−n)回を除いた分(つまりn回)が上乗せされたことになる。
このような上乗せは繰り返し可能であり、「リミッタ回数」が再設定された状態でも、再設定後に「リミッタ回数」が残り0回に到達する前に再度、「単発(通常)図柄1」に該当すると、時間短縮機能作動回数として100回が付加される。
図34中(D):すると、同じように大役終了後は上記の〔F31〕時短中に移行するため、普通図柄(作動抽選)当選を経て次回の特別図柄(内部抽選)で確変当選(選択比率97%)することにより、そこで「リミッタ回数」が再設定される。同様に、この場合の確変当選は単発当選後の1回目に該当するため、この1回目を含めてさらに連続18回(「リミッタ回数」の残りは17回)の確変当選の可能性が新たに発生したことになる。
以上のように本実施形態のパチンコ機1は、〔F19〕確変中のリミッタ到達前に単発当選すると、次回の確変当選時に「リミッタ回数」が再設定(リミッタがリセット)されて〔F19〕確変中が再開される結果、あたかも見かけ上は「リミッタ回数」が次々と上乗せされていくかのようなゲーム性を実現することができる。ただし、遊技制御上で「リミッタ回数」を増加させているわけではなく、間に単発図柄当選を必ず挟んでいるため、極端に遊技の射幸性を高めてしまうことはない。また、上乗せ回数はあくまで「18回−現在の残り回数」であり、上乗せが発生した時点でそれまでの残り回数は破棄される。
(3)リミッタ到達後の継続パターン(リミッタ到達後の上乗せパターン)
図35中(E):一方、リミッタ到達前の上乗せが発生せず、上記(1)の基本パターンにしたがって「リミッタ回数」が残り0回に到達した場合、連続19回目で「確変図柄1」に該当しても、強制的に「単発図柄1」に変更される。
図35中(F):ただし、この場合の強制された「単発図柄1」には時間短縮機能作動回数として100回が付加されるため、大役終了後は上記の〔F31〕時短中に移行する。そして、普通図柄(作動抽選)当選を経て次回の特別図柄(内部抽選)で確変当選(選択比率97%)すると、そこで「リミッタ回数」が改めて設定される。この場合の確変当選は確変終了後の1回目に該当するため、この1回目を含めて連続18回(「リミッタ回数」の残りは17回)の確変当選の可能性が付加されたことになる。
この場合、ゲームフローとしてはリミッタ到達によって〔F19〕確変中が一旦は終了するが、リミッタ到達時の当選図柄が「単発図柄1」に強制された場合、〔F31〕時短中から次回の確変当選時に「リミッタ回数」が新たに設定されて〔F19〕確変中が再開される。なお、リミッタ到達後にたまたま「単発(通常)図柄1」に該当していれば、同じく時間短縮機能作動回数として100回が付加されているため、大役終了後は上記の〔F31〕時短中に移行する。したがって、リミッタ到達後に〔F31〕時短中に移行する割合は、「単発(通常)図柄1」及び「確変図柄1」の各選択比率を合成した35%となる。
いずれにしても、リミッタ到達後に「時短あり単発図柄」で当選することにより、見かけ上は「リミッタ回数」があたかも上乗せ(この場合は+18回)されたかのようなゲーム性を実現することができる。ここでも遊技制御上で確変の「リミッタ回数」を増加させているわけではなく、間にリミッタ到達による強制的な単発図柄当選(又は純粋な単発図柄当選)を発生させているため、極端に遊技の射幸性を高めてしまうことはない。
(4)終了パターン
図35中(G):これに対し、リミッタ到達後に連続19回目で「確変図柄2」に該当すると、今度は強制的に「単発図柄2」に変更される。この場合の強制された「単発図柄2」には時間短縮機能作動回数が付加されないため(0回=時短なし)、大役終了後は上記の〔F1〕通常遊技中に移行し、〔F19〕確変中の遊技は終了する。
以上が本実施形態のパチンコ機1によるゲームフローの顕著なパターン(1)〜(4)の概要であるが、特に上記(2)のリミッタ上乗せパターン、(3)のリミッタ到達後の継続パターンについては、それぞれのゲームフローが発生したことで遊技者の利益が増加する。ただし、上記(2)及び(3)のパターンはあくまで主制御CPU72による制御処理の上で行われているものであり、その流れを直接的に遊技者が感得することは難しい。
もちろん、特別図柄表示装置34の表示態様を注意深く観察していれば、遊技中にどのような当選図柄に該当したかを遊技者が確認することは可能である。しかし、特別図柄表示装置34そのものは7セグメントLEDであり、いずれの当選図柄についても、その表示態様はある程度記号的(例えば「巳」、「己」、「L」、「¬」、「Γ」、「日」等)となるため、そのような表示態様から瞬時に当選図柄の種類を判別することは困難である。
また、「リミッタ回数」については内部的な制御上の変数であり、特に遊技状態表示装置38で表示されるものではないことから、遊技中に「リミッタ回数」の上乗せが発生したことや、「リミッタ回数」が残り0回に到達したこと、あるいは、リミッタ到達後に時短あり単発図柄に当選したこと等の制御情報を遊技者が直接知ることは難しい。
そこで本実施形態では、上記(1)〜(4)のパターンに沿ってゲームフローが進行していることを遊技者に分かりやすく伝達するための演出手法を採用している。以下、本実施形態で採用している演出手法について、いくつかの例を挙げて説明する。なお、これらはあくまで例示であり、演出図柄や演出画像の内容について特に限定する意図ではない。
〔普通図柄はずれ演出〕
先ず図36は、上記の〔F2〕普通図柄非当選時に実行される演出例を示す連続図である。この演出例は、普通図柄の変動表示及び停止表示に対応させたものであり、具体的には演出図柄による変動表示演出及び結果表示演出の一例である。このうち変動表示演出は、普通図柄が変動表示を開始してから、停止表示(確定停止を含む)するまでの間に行われる一連の演出に該当する。また結果表示演出は、普通図柄が停止表示したことと、そのときの作動抽選の結果を演出図柄の組み合わせとして表す演出である。上記のように、普通図柄表示装置33そのものは2つのLEDによる点灯・点滅表示であるため、それだけでは見た目上の訴求力に乏しい。そこでパチンコ機1では、基本的に演出図柄を用いた変動表示演出と結果表示演出が行われている。また、普通図柄の停止時もあくまでシンプルな態様(例えば上側のランプが1つ点灯)で表示されるだけであるため、演出図柄による結果表示演出からでなければ、当選したかどうかも遊技者は気付きにくい。これは逆に、遊技者は基本的に演出の内容から内部抽選の結果を判断する傾向にあることを意味し、それだけにゲームフロー上で演出が重要な役割を担っているといえる。
演出図柄には、例えば左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の3つが含まれており、これらは液晶表示器42の画面上で左・中・右に並んで表示される。このうち、中演出図柄だけ他の左・右演出図柄に比較してサイズが小さい。また、左・右演出図柄は、例えば漢数字の「一」〜「九」とともに、何らかの画像(例えば図示しないキャラクター等)が付された絵札をデザインしたものとなっているが、中演出図柄は、算用数字の「1」〜「9」とともに、何らかの画像が付された絵柄をデザインしたものとなっている。これら左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄は、潜在的に例えば漢数字が「九」〜「一」の降順に並んだ図柄列を構成している。このような図柄列は、画面上の左領域・中領域・右領域でそれぞれ縦方向に流れる(スクロールする)ようにして変動表示される。
〔変動表示演出開始〕
図36中(A):普通図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3つの演出図柄がスクロール変動することで変動表示演出が開始される。すなわち、普通図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面内で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄が縦方向にスクロールするようにして変動表示演出が開始される。図中、演出図柄の変動表示は単に下向きの矢印で示されている。ここでは図示していないが、このとき表示画面内には、例えば演出図柄の背景となる画像(海辺の背景画像)が表示されている。またこの後、例えば表示画面内にキャラクターやアイテム等の画像を表示させることで、予告演出が行われる態様であってもよい。
〔リーチ状態発生〕
図36中(B):例えば、ある程度の時間が経過すると、最初に左演出図柄が変動を停止する。この例では、画面の中段位置に漢数字の「五」を表す演出図柄が停止したことを表している。さらに、右演出図柄が変動を停止し、このとき画面の中段位置に同じく漢数字の「五」を表す演出図柄が停止することで、リーチ状態が発生する。このとき中演出図柄は変動中である。なお、この例では画面上で停止した演出図柄以外の演出図柄は表示されていない。
一般に、演出上で同種の演出図柄が3つ揃って停止すると「当り」であり、ここでは「当り」の確定まで残りあと中演出図柄の1つだけである。なお特に図示していないが、表示画面内に「リーチ!」等の文字情報を表示し、合わせて音声を出力する演出が行われる態様であってもよい。
〔リーチ演出〕
図36中(C):リーチ状態の発生後は、最後の演出図柄(中演出図柄)が停止表示されるまでの過程が多様な内容で表現される。この例では、算用数字の「1」〜「6」が表示画面内を円を描きながら飛び回るようにして移動しつつ、「1」から順番に数字が打ち落とされていく過程が表現されている。このような演出は、「最後に『5』の算用数字が残れば当り」という観念を遊技者に想起させ、それまでの過程で期待感を持続させようとするものである。なお図示していないが、この過程で表示画面内にキャラクター等の画像を表示させることで、リーチ発生後の予告演出が合わせて行われる態様であってもよい。
〔結果表示演出〕
図36中(D):普通図柄の停止表示に略同期して(完全に同時でなくてもよい)、最後の中演出図柄が停止する。図示の例では、画面上で算用数字の「5」は消去されてしまい、中演出図柄は算用数字の「6」になってしまっている。このため、左・中・右の演出図柄は「五」−「6」−「五」のはずれ(非当選)の態様で停止表示されている。
〔普通図柄当り演出〕
次に、図37は、上記の〔F3〕普通図柄当り時に実行される演出例を示す連続図である。なお、図36においては、ノーマルリーチ演出を経てはずれとなる演出例について説明したが、図37では、スーパーリーチ演出を経て当選(当り)となる演出例について説明する。
〔変動表示演出〕
図37中(A):ここでも同様に、普通図柄の変動開始に略同期して、液晶表示器42の画面上で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向(例えば上から下)にスクロールするようにして変動表示演出が開始される。
〔リーチ発生前予告演出(1段階目)〕
図37中(B):次に、変動表示演出の比較的初期において、キャラクターの絵柄画像(絵札)を用いた1段階目のリーチ発生前予告演出が行われる。このリーチ発生前予告演出は、予め定められた順序にしたがって1段階から複数段階(例えば2〜5段階)まで、段階的に態様の変化が進行していく予告演出である。このリーチ発生前予告演出で用いられる絵柄画像は、画面上で変動表示されている演出図柄の手前に位置し、例えば画面の左端からひょっこりと出現するようにして表示される(その他の出現の態様でもよい。)。なお、ここでいう「リーチ発生前予告」とは、いずれかの演出図柄が停止表示される前にリーチの可能性や当りの可能性を予告するという意味である。このような「リーチ発生前予告演出」を実行することで、遊技者に対して「リーチに発展するかも知れない=当りの可能性が高まる」という期待感を抱かせる効果が得られる。
〔リーチ発生前予告演出(2段階目)〕
図37中(C):リーチ発生前予告演出の1段階目の態様が実行された後、続いてリーチ発生前予告演出の態様の変化が2段階目に進行する。ここでは2段階目のリーチ発生前予告演出として、先とは違うキャラクターの絵柄画像を用いた演出が行われている。具体的には、画面の右端から別の絵柄画像が追加で出現し、先に表示されていた絵柄画像の前面に重なって表示される。また、このとき表示される絵柄画像は、先に表示されていた絵柄画像よりもサイズが大きい。そして、絵柄画像で表現されたキャラクターが台詞(例えば「リーチになるよ」等)を発するという、音響出力による演出もあわせて行われる。
このような2つ目の絵柄画像を用いたリーチ発生前予告演出(2段階目)は、先の図37中(B)で行われたリーチ発生前予告演出(1段階目)からさらに一歩進んだ発展型である。このように発展していく「リーチ発生前予告演出」の態様を称して、一般的に「ステップアップ予告」等と表現することがある。ここではリーチ発生前予告演出で2段階目の絵柄画像が出現する例を挙げているが、3段階目、4段階目、5段階目の絵柄画像が次々と出現して表示される演出態様であってもよい。また、例えば3段階目、4段階目、5段階目の絵柄画像が次々と出現して表示されるごとに、そのサイズが拡大されるものとしてもよい。なお、この段階でも演出図柄の変動表示は継続されている。いずれにしても、リーチ発生前予告演出の態様の変化をより多くの段階まで進行させることにより、今回の変動で当りになる可能性(期待度)が高いことを遊技者に示唆することができる(例えば、5段階目まで進行すると最大の期待度を示唆する等。)。
〔左演出図柄の停止〕
図37中(D):変動表示演出の中期にさしかかり、やがて左演出図柄の変動表示が停止される。なお、この時点で画面の左側位置に漢数字の「七」を表す演出図柄が停止している。
〔リーチ状態の発生〕
図37中(E):そして左演出図柄に続き、例えば右演出図柄の変動表示が停止される。この時点で、画面の右側位置には漢数字の「七」を表す演出図柄が停止していることから、画面上に横一線状(1本のライン上)に漢数字の「七」−「変動中」−「七」のリーチ状態が発生している。そして画面上には、リーチ状態となる1本のラインを強調する画像が合わせて表示される。また、合わせて「リーチ!」等の音声を出力する演出が行われる。
リーチ状態の発生後、スーパーリーチ演出が実行される。スーパーリーチ演出では、テンパイした数字(ここでは漢数字の「七」)に対応する演出図柄だけが画面上に表示され、それ以外は表示されなくなる。なお、このとき演出図柄が画面の隅にそれぞれ縮小された状態で表示される場合もある。
〔リーチ発生後予告演出(1回目)〕
図37中(F):リーチ状態が発生して暫くすると、例えば「ハート」の図形を表す画像が群をなして画面上を斜めに過ぎっていくリーチ発生後予告演出(1回目)が行われる。この場合、突然、画面上に「ハート群」の画像が流れていくように表示されるため、これによって遊技者に対する視覚的な訴求力を高めることができる。このような視覚的に賑やかなリーチ発生後予告演出を実行することで、遊技者に対してさらに大きな期待感を抱かせる効果が得られる。
〔リーチ演出の進行〕
図37中(G):1回目のリーチ発生後予告演出に続いて、例えば算用数字の「1」〜「8」を表す画像が画面上で立体的な列を構成した状態で表示され、列の先頭(手前)から「1」、「2」、「3」・・・という順番に画面から数字の画像が消去されていく演出が行われる。このような演出もまた、算用数字の「7」が最後まで消去されずに残ると「当り」であることを遊技者に示唆(暗示)したり、想起させたりする目的で行われる。また、算用数字の「6」まで消去されて算用数字の「7」が画面手前に残ると「当り」であるが、算用数字の「7」が消去されてしまうと「はずれ」であることを意味する。なおこの場合、算用数字の「7」が消去された後の画面上に例えば算用数字の「8」が表示される。したがって、この間、算用数字の「1」、「2」、「3」・・・と順番に画像が消去されていき、算用数字の「5」の順番が近付くに連れて、遊技者の緊張感や期待感も高まっていくことになる。この後、例えば画面上で算用数字の「5」までが消去されたとすると、いよいよ次に漢数字の「6」が消去されると、今度は「当り」の可能性が高まるため、そこで遊技者の緊張感も一気に高まる。
〔リーチ発生後予告演出(2回目)〕
図37中(H):リーチ演出が終盤に近付いたところで、突然、画面上にキャラクターの画像が大写しに割って入るようにして表示され、そのキャラクターが何らかの台詞を発するという内容(又は、無言で微笑むという内容でもよい)のリーチ発生後予告演出(2回目)が行われる。この時点で例えばリーチ演出の内容は、「算用数字の「6」が消去されれば、次に「七」−「7」−「七」で普通図柄当りの可能性が高まる」という展開である。したがって、このタイミングで大きくキャラクターの画像を出現させることにより、遊技者に対して「当りになるかもしれない」という期待感を抱かせる効果が得られる。
〔結果表示演出〕
図37中(I):普通図柄の停止表示に略同期して、最後の中演出図柄が停止する。この例では、内部的に「当選」に該当しているため、演出上で算用数字の「7」を表す演出図柄を画面の中央に停止表示させることにより、演出図柄を「七」−「7」−「七」の当りの態様で停止表示させている。
図37中(J):そして、例えば普通図柄の確定停止表示に略同期して、演出図柄としての結果表示演出についても確定停止表示が行われる。演出図柄の確定停止表示は、例えば左・中・右演出図柄をそれぞれ初期の大きさに復元した状態で行われる。このような確定停止表示を行うことで、「普通図柄当り」が演出上で確定したことを遊技者に対して教示することができる。ただし、本実施形態では普通図柄(作動抽選)の当りがそのまま上記の〔F19〕高確率中や〔F31〕時短中を確約するものではないため、あまり大々的に「当り」をアピールする内容となっていない。すなわち、ここでは中演出図柄の表示態様を左演出図柄や中演出図柄と異なる算用数字とすることで、「三つ揃い」のイメージをある程度緩和させている。
〔可変始動入賞装置作動時演出〕
次に図38は、上記の〔F4〕可変始動入賞装置作動時に実行される演出例を示す図である。この例では、例えば液晶表示器42の画面内に女性キャラクターが出現するとともに、「右打ちしてね!!」といった台詞を発する演出が行われている。また、台詞を文字表記した吹き出しの画像が表示され、その中に盤面の右下方向を指示する矢印が表示されている。このような演出を実行することで、遊技者に対して「右打ち」を促し、可変始動入賞装置28の作動が開始されることを意識させることができる。なお、このとき表示画面上で台詞を文字情報として表示するのに合わせて、スピーカ54,55,56から音声を発生させてもよい。
〔特別図柄変動時演出〕
図39及び図40は、上記の〔F7〕特別図柄変動時(変動時間内)に実行される演出例を示す連続図である。なおこの例では、〔F7〕の特別図柄変動から確率2分の1で当選し、〔F16〕の確変図柄1,2当選又は〔F11〕単発1当選のいずれかに進むゲームフローを想定している。
例えば図39中(A)に示されているように、この演出の初期では、味方の女性キャラクター(左側)と敵方のキャラクター(右側)の画像が並んで表示されるとともに、お互いが睨み合い、真ん中で火花を散らしている様子が動画像によって演出的に表現されている。また適宜、表示画面内に「勝負」等の文字が表示されることで、遊技者に対して「いよいよこれから2人の勝負が始まるぞ」といった観念を想起させることができる。また、このとき合わせて各キャラクターの台詞(例えば「絶対に勝つ!」「かかって来なさい!」等)が音響出力される態様であってもよい。この場合、例えば台詞の内容で期待度を示唆することができる(台詞の内容が積極的なほど期待度が高い等。)。
図39中(B):演出の中期には、2名のキャラクターが表示画面から一旦消えて、「じゃんけん」という文字情報が大きく表示される。これにより、遊技者に対して「キャラクター同士がじゃんけんで勝負するのだな」という観念を想起させることができる。なお、合わせて「じゃんけんで勝負」といった掛け声や効果音、BGM等が音響出力される態様であってもよい。
図40中(C):演出の中後期には、2名のキャラクターが「それぞれじゃんけんの手を出す」という内容の動画像が表示される。この例では、画面の左から味方のキャラクターの手「チョキ」が出現し、また画面の右から敵方のキャラクターの手「パー」が出現するまでの一連の様子が表現されている。このとき、各キャラクターの動作に合わせて、「じゃーんけーんーぽん!」といった掛け声が音響出力される態様であってもよい。
図40中(D):演出の終期には、勝負の結果、見事に味方のキャラクターが勝利を収めたことが表示される。この例では、見事勝利した味方のキャラクターが表示画面の中央に大写しとなり、顔の横で勝利のVサインを見せている様子が演出的に表現されている。また表示画面内には、「勝った!!」という文字が表示されることで、遊技者に対して「じゃんけんに勝利した」という観念を想起させ、「今回の大当りで確変中への移行が確定した」ということを教示することができる。
〔特別図柄非当選時演出例〕
図41は、チャンスゾーンに突入しない場合の特別図柄変動時(変動時間内)に実行される演出例を示す連続図である。具体的には、〔F7〕の特別図柄変動から〔F8〕の非当選に進む場合は、例えば以下の演出例が実行される。
図41中(A):この例では、画面の左から味方のキャラクターの手「チョキ」が出現し、また画面の右から敵方のキャラクターの手「グー」が出現するまでの一連の様子が表現されている。
図41中(B):勝負の結果、残念ながら味方のキャラクターが敗北してしまったことが表示される。この例では、敗北した味方のキャラクターが表示画面の中央に大写しとなり、がっかりした様子が演出的に表現されている。また表示画面内には、「負けた・・・」という文字が表示されることで、遊技者に対して「じゃんけんに敗北した」という観念を想起させ、「今回はチャンスゾーンに突入することができなかった」ということを教示することができる。
〔確変中演出〕
次に図42は、上記の〔F18〕可変入賞装置作動から〔F19〕の確変中にゲームフローが進行する場合に実行される演出例を示す図である。なお、ここでは「確変中演出」としているが、〔F19〕確変中と〔F31〕時短中を合わせたチャンスゾーンにゲームフローが進行する場合に実行される演出例としてもよい。
図42中(A):例えば〔F18〕の可変入賞装置作動時において、液晶表示器42の画面内には、例えば背景画像とともに「右打ち」の文字情報が表示されるとともに、遊技領域8a内の右側部分を指示する矢印記号が表示される。このような演出を実行することにより、遊技者に対して「右打ち」を促し、可変入賞装置30の開放動作に伴う入賞が発生することを意識させることができる。なお、このとき背景画像には、例えば先の演出例で勝利した女性キャラクターがリラックスして腰掛けている様子が表現されている。
また画面内の下部位置には、例えば「リミッタ回数」の残りに対応するリミッタ残数メータ(参照符号M)が表示されており、このリミッタ残数メータMには、現時点での「リミッタ回数」の残り回数が棒グラフのような態様で表示される。この例では、リミッタ残数メータMの矩形枠内において、その右端いっぱいまで縦長のブロックが全点灯した状態で「リミッタ回数」が最大(18回)であることを表している。なおこの後、〔F18〕の可変入賞装置作動から〔F19〕の確変中にゲームフローが進行すると、リミッタ残数メータMの表示は1つ減って17回となる。
〔リミッタ残数メータ演出〕
図42中(B):上記の〔F19〕確変中でループを繰り返している間、画面内には引き続き背景画像とともに「右打ち」の文字情報が表示され、合わせて遊技領域8a内の右側部分を指示する矢印記号が表示される。一方、リミッタ残数メータMについては、確変当選が発生する度ごとに1つずつ点灯ブロックが減少していく態様で表示される。このようなリミッタ残数メータMの表示態様により、遊技者に対して「確変中のリミッタ残数が次第に減少してきている」ということを想起させ、実際のゲームフロー上で使用されている内部情報(「リミッタ回数」)を遊技者に伝達(教示、示唆)することができる。
〔リミッタ上乗せ演出〕
次に図43は、確変中の単発当選によるリミッタ上乗せが発生した場合に実行される演出例を示す図である。ただし、実際の上乗せ回数はその発生時点でのリミッタ残数との関係で大小に異なるし、遊技者にとってはどの段階で実際の上乗せが発生したかを外見上で判別することは困難であるため、これを演出上で表現する場合の演出手法(見せ方)には様々な態様が考えられる。
図43中(A):例えば、内部的には「リミッタ回数」に10回の上乗せが発生していても、これを5回分ずつに分けて2回の上乗せ演出を実行することができる。この場合、画面内に比較的小型なハートの図形を模した画像が表示されるとともに、その内側に例えば「+5」の上乗せ回数情報が表示される。また、合わせてリミッタ残数メータMの表示を5度数増加させる演出が行われる(図示していない)。これにより、遊技者に対して「リミッタ回数の残りが5回上乗せされた」ということを伝達することができる。そしてこの後、例えばリミッタ残数メータMの表示が残り少なくなった段階で、さらに5回分の上乗せ演出が実行される。これにより、演出1回あたりの上乗せ回数は少なくなるものの、数多くの上乗せ演出を発生させることで、遊技者に対して意外感や驚きの感覚を抱かせることができる。
図43中(B):あるいは、既にリミッタ残数メータMの表示が残り少なくなった状態で実際に12回分の上乗せが発生した場合、これを一度の上乗せ演出で表現することもできる。この場合、画面内に比較的大型なハートの図形を模した画像が表示されるとともに、その内側に例えば「+12」の上乗せ回数情報が表示される。また、合わせてリミッタ残数メータMの表示を一気に12度数増加させる演出が行われる(図示していない)。これにより、遊技者に対して「リミッタ回数の残りが一気に12回上乗せされた」ということを伝達することができる。また、リミッタ残数メータMの表示が残り少なくなった時点で上乗せが発生したことにより、それまでの「リミッタがなくなるかもしれない」という緊張感を解きほぐし、上乗せによる安堵感や喜びの感情を抱かせることができる。
〔リミッタ到達後演出〕
次に図44は、リミッタ到達後に実行される演出例を示す図である。例えばゲームフロー上で「リミッタ回数」の残りが0回に達した場合、以下の演出例が実行される。
〔終了演出〕
図44中(A):この場合、画面内に例えば「チャンスゾーン終了」の文字情報が表示されるとともに、リミッタ残数メータMの表示数が0となる。これにより、遊技者に対して「確変中の終了」を教示し、また次回の確変突入に向けて意欲を維持させることに寄与する。
〔継続(復活)演出〕
図44中(B):一方、実際のゲームフロー上でリミッタ到達後に〔F31〕時短中へ移行する場合、上記の終了演出に続いて継続演出が実行される。この場合、液晶表示器42の手前側に上記の可動体40fを落下させる演出が行われる。また、合わせて背景画像中の女性キャラクターがあたかも可動体40fの落下に驚いているかのような様子が演出的に表現される。そして画面内の下部位置では、例えばリミッタ残数メータMの表示数が満杯(満タン)に復帰する演出が行われる。特に図示していないが、この後に可動体40fが元の位置に復帰し、例えば画面内に「チャンスゾーン継続」といった文字が表示される態様であってもよい。いずれにしても、このような継続演出を実行することにより、遊技者に対して大きな驚きを与えることができる。また、可動体40fを用いることで視覚的な訴求力を高め、その演出効果を最大に発揮させることができる。
〔背景チェンジ演出〕
その他に本実施形態では、例えばゲームフロー上で「リミッタ回数」が減少していくと、その残り回数に応じて背景画像を変化させる演出が行われる。
図45は、ゲームフローの進行に伴って変化していく背景画像の例を示した図である。
〔初期ステージ演出〕
図45中(A):例えば、ゲームフロー上で〔F19〕確変中に移行したばかりの初期において、背景画像を先の「浴衣を着こなした女性キャラクター」とし、これを例えば「初期ステージ」とする。この場合、背景画像の内容が比較的落ち着いたものであるため、確変中に移行したばかりの安定した印象を演出で表現することができる。なお、ここでは図示していないが、表示画面内には上記のリミッタ残数メータMや「右打ち」の文字表示等が表示されているものとする(これ以降も同様とする。)。
〔浴衣ステージ演出〕
図45中(B):ゲームフローの進行に伴い、「リミッタ回数」の残りがある程度減少してくると(例えば残り15回〜12回)、演出制御上の抽選に基づいて背景画像を変化させる演出が行われる。この例では、例えば表示画面内に大きく「浴衣を着こなした女性キャラクター」が表示されており、これを例えば「浴衣ステージ」とする。このように、それまでの「初期ステージ」から「浴衣ステージ」へ変化させる演出(ステージチェンジ演出)を実行することにより、遊技者に対する視覚的なインパクトを高め、〔F19〕確変中での遊技の継続に対する実感や緊張感を与えることができる。
〔花火ステージ演出〕
図45中(C):さらにゲームフローが進行し、「リミッタ回数」が次第に少なくなっていくと(例えば残り8回〜5回)、演出制御上の抽選に基づいて、さらに背景画像を変化させる演出が行われる。この例では、例えば表示画面が「夜空に花火を打ち上げる風景」に変化し、「別の女性キャラクターが花火を見上げる様子」が演出的に表示されている。本実施形態では、これを例えば「花火ステージ」とする。このような「花火ステージ」へ変化させる演出を実行することにより、いよいよ〔F19〕確変中の遊技がクライマックスに差し掛かっていることを遊技者に実感させることができる。
〔お祭りステージ演出〕
図45中(D):この例は、背景画像を「お祭りの風景」に変化させるものであり、本実施形態ではこれを「お祭りステージ」とする。この「お祭りステージ」は、例えば「リミッタ回数」の残りが僅か(例えば4回〜1回)になっていることを表すものである。このような「お祭りステージ」へ変化させる演出を実行することにより、遊技者に対して〔F19〕確変中の遊技が残り少なくなっていることを実感させたり、リミッタ到達時(又は到達前)に上乗せによる継続が発生するかどうかへの緊張感を抱かせたりすることができる。
〔リミッタ到達後演出〕
次に図46は、リミッタ到達後にチャンスゾーンに再突入しない場合(通常遊技中に復帰する場合)に実行される演出例を示す図である。例えばゲームフロー上で「リミッタ回数」の残りが0回に達した場合、以下の演出例が実行される。
〔終了演出〕
図46中(A):この場合、画面内に例えば「チャンスゾーン終了」の文字情報が表示されるとともに、リミッタ残数メータMの表示数が0となる。これにより、遊技者に対して「確変中の終了」を教示し、また次回の確変突入に向けて意欲を維持させることに寄与する。
〔遊技説明演出〕
図46中(B):そして、実際のゲームフロー上でリミッタ到達後に〔F1〕通常遊技中へ移行する場合、上記の終了演出に続いて遊技説明演出が実行される。この例では、例えば液晶表示器42の画面内に女性キャラクターが出現するとともに、「左打ちに戻してね」といった台詞を発する演出が行われている。また、遊技領域8a内の左側部分を指示する矢印記号が表示される。このような演出を実行することで、遊技者に対して「左打ち」を促し、チャンスゾーンが終了したことを意識させることができる。なお、このとき表示画面上で台詞を文字情報として表示するのに合わせて、スピーカ54,55,56から音声を発生させてもよい。
次に、以上の演出を具体的に実現するための制御手法の例について説明する。上述した普通図柄当り演出(図36)や可変始動入賞装置作動時演出(図38)、特別図柄変動時演出(図39,図40)、確変中演出(図42)、リミッタ上乗せ演出(図43)、リミッタ到達後演出(図44,図46)、背景チェンジ演出(図45)等は、以下の制御処理を通じて制御されている。
〔演出制御処理〕
図47は、演出制御CPU126により実行される演出制御処理の手順例を示すフローチャートである。この演出制御処理は、例えば図示しないリセットスタート(メイン)処理とは別にタイマ割込処理(割込管理処理)の中で実行される。演出制御CPU126は、リセットスタート処理の実行中に所定の割込周期(例えば数十μs〜数ms周期)でタイマ割込を発生させ、タイマ割込処理を実行する。
演出制御処理は、コマンド受信処理(ステップS400)、演出図柄管理処理(ステップS402)、普通図柄当り後演出管理処理(ステップS404)、表示出力処理(ステップS405)、ランプ駆動処理(ステップS406)、音響駆動処理(ステップS408)、演出乱数更新処理(ステップS410)及びその他の処理(ステップS412)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出制御処理の基本的な流れを説明する。
ステップS400:コマンド受信処理において、演出制御CPU126は主制御CPU72から送信される演出用のコマンドを受信する。また、演出制御CPU126は受信したコマンドを解析し、それらを種類別にRAM130のコマンドバッファ領域に保存する。なお、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドには、例えば始動ゲート通過コマンド、普通別作動記憶数コマンド、始動口入賞音制御コマンド、デモ演出用コマンド、抽選結果コマンド、変動パターンコマンド、変動開始コマンド、停止図柄コマンド、図柄停止時コマンド、状態指定コマンド、時間短縮機能作動回数コマンド(回数切りカウンタ数コマンド)、リミッタ残数コマンド、エラー通知コマンド等がある。
ステップS402:演出図柄管理処理では、演出制御CPU126は演出図柄を用いた変動表示演出や結果表示演出の内容を制御する。この処理において、上記の普通図柄はずれ演出(図36)や普通図柄当り演出(図37)等の内容が制御される。
ステップS404:普通図柄当り後演出管理処理では、演出制御CPU126は普通図柄抽選(作動抽選)で当選した後の演出を制御する。例えば、演出制御CPU126は可変始動入賞装置28の作動時の演出内容を制御したり、可変入賞装置30の開閉動作時の演出内容を制御したりする。この処理では、上記の可変始動入賞装置作動時演出(図38)、特別図柄変動時演出(図39,図40,図41)、確変中演出(図42)、リミッタ上乗せ演出(図43)、リミッタ到達後演出(図44,図46)、背景チェンジ演出(図45)の内容が制御される。なお、普通図柄当り後演出管理処理の内容については別の図面を参照しながらさらに後述する。
ステップS405:表示出力処理では、演出制御CPU126は演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して演出内容の基本的な制御情報(例えば、普通図柄の作動記憶数、変動演出パターン番号、予告演出番号、演出モード番号、リミッタ上乗せ演出パターン番号、リミッタ残数メータ表示数パターン番号、背景チェンジ演出パターン番号、復活演出パターン番号、終了演出パターン番号等)を指示する。これにより、演出表示制御装置144(表示制御CPU146及びVDP152)は指示された演出内容に基づいて液晶表示器42による表示動作を制御する(各種の演出実行手段としての機能を果たす。)。
ステップS406:ランプ駆動処理では、演出制御CPU126はランプ駆動回路132に対して制御信号を出力する。これを受けてランプ駆動回路132は、制御信号に基づいて各種ランプ46,48,50,52や盤面ランプ53等を駆動(点灯又は消灯、点滅、輝度階調変化等)する。
ステップS408:次の音響駆動処理では、演出制御CPU126は音響駆動回路134に対して演出内容(例えば各種演出中のBGM、音声データ等)を指示する。これにより、スピーカ54,55,56から演出内容に応じた音が出力される。
ステップS410:演出乱数更新処理では、演出制御CPU126はRAM130のカウンタ領域において各種の演出乱数を更新する。演出乱数には、例えば予告選択に用いられる乱数や背景チェンジ抽選(演出抽選)に用いられる乱数等がある。
ステップS412:その他の処理では、例えば演出制御CPU126は可動体40fの駆動用ICに対して制御信号を出力する。可動体40fは可動体ソレノイド57を駆動源として動作し、上記のように液晶表示器42による画像の表示と同期して、又は単独で演出を行う。
以上の演出制御処理を通じて、演出制御CPU126はパチンコ機1における演出内容を統括的に制御することができる。次に、演出制御処理の中で実行される普通図柄当り後演出管理処理の内容について説明する。
〔普通図柄当り後演出管理処理〕
図48は、普通図柄当り後演出管理処理の構成例を示すフローチャートである。普通図柄当り後演出管理処理は、例えば実行選択処理(ステップS500)、初回可変始動入賞装置作動時処理(ステップS502)、特別図柄変動時演出処理(ステップS504)、大役開始後演出処理(ステップS506)、終了演出処理(ステップS508)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出制御処理の基本的な流れを説明する。
ステップS500:実行選択処理において、演出制御CPU126は次に実行するべき処理(ステップS502〜ステップS508のいずれか)のジャンプ先を選択する。例えば、演出制御CPU126は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また戻り先のアドレスとして演出図柄管理処理の末尾を「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、演出制御CPU126は最初のジャンプ先として初回可変始動入賞装置作動時処理(ステップS502)を選択する。一方、既に可変始動入賞装置作動時処理(ステップS502)が完了し、かつ、特別図柄の変動パターンコマンド(始動口入賞音制御コマンドでもよい)を受信していれば、演出制御CPU126は次のジャンプ先として特別図柄変動時演出処理(ステップS504)を選択する。また特別図柄変動時演出処理(ステップS504)が完了し、かつ、特別図柄(内部抽選)の当選コマンドを受信していれば、演出制御CPU126は次のジャンプ先として大役開始後演出処理(ステップS506)を選択する。そして演出制御CPU126は、大役開始後演出処理の中で終了フラグをセットした場合、次のジャンプ先として終了処理(ステップS508)を選択する。なお、初回可変始動入賞装置作動時処理(ステップS502)及び特別図柄変動時演出処理(ステップS504)は、「時間短縮状態」を表す状態指定コマンドを受信した場合はジャンプ先として選択されない。これは、ゲームフローが一度「時間短縮状態」(〔F19〕確変中又は〔F31〕時短中)に移行した場合、演出内容の中心が上記の確変中演出(図42)やリミッタ上乗せ演出(図43)、リミッタ到達後演出(図44)、背景チェンジ演出(図45)等に移行することから、この間に可変始動入賞装置作動時演出(図38)や特別図柄変動時演出(図39,図40)を実行する必要がないためである。
ステップS502:初回可変始動入賞装置作動時処理では、演出制御CPU126は普通図柄(作動抽選)の初当り後に可変始動入賞装置26を作動させる場合の演出を制御する。ここで制御される演出の内容は、上述した可変始動入賞装置作動時演出(図38)と同様であり、例えば、液晶表示器42の画面上に「右打ちしてね!」等のメッセージを表示することで、遊技者に対してゲームフロー上の進捗状況を案内する。このような演出を実行することで、遊技者が漫然と遊技を消化するのを防止し、目的意識を再確認させて遊技意欲の低下を防止することができる。
ステップS504:この特別図柄変動時演出処理において、演出制御CPU126は特別図柄の変動表示や停止表示に対応させた内容の演出を行うことができる。ここで制御される演出の内容は、上述した特別図柄変動時演出(図39,図40)と同様である。このような演出を実行することで、普通図柄(作動抽選)の初回当選後の特別図柄(内部抽選)変動で確変(チャンスゾーン)に突入できるか否かの期待感を遊技者に抱かせ、ハラハラドキドキとした興趣性を提供することができる。
ステップS506:大役開始後演出処理では、演出制御CPU126は上記のように確変中演出(図42)、リミッタ上乗せ演出(図43)、リミッタ到達後演出(図44)、背景チェンジ演出(図45)等の内容を制御する。これにより、ゲームフローが〔F19〕確変中又は〔F31〕時短中に移行した後の遊技の流れや進行状況についての情報を遊技者に伝達したり、「リミッタ回数」の上乗せ発生を強く訴求したりすることができる。
ステップS508:終了演出処理では、演出制御CPU126は〔F19〕確変中の終了に伴う演出の内容を制御する。ここで制御される演出の内容は、上述したリミッタ到達後演出のうち、「チャンスゾーン終了」を表す態様(図44中(A))と同様である。このような演出を実行することで、ゲームフロー上で一旦は〔F19〕確変中が終了したことを遊技者に伝達し、また次回の〔F19〕確変中への移行に向けて遊技意欲を維持させることができる。
〔大役開始後演出処理〕
図49は、大役開始後演出処理の手順例を示すフローチャートである。この処理において、演出制御CPU126は特別図柄(内部抽選)の当選図柄別(単発又は確変)の処理を行う。
ステップS600:すなわち演出制御CPU126は、今回の当選図柄が「確変図柄1」又は「確変図柄2」のいずれかに該当するか否かを確認する。この確認は、主制御CPU72から受信した当選図柄コマンドに基づいて行うことができる。演出制御CPU126は、例えばRAM130のコマンドバッファ領域に保存されている当選図柄コマンドを確認し、今回の当選図柄が「確変図柄1」又は「確変図柄2」のいずれかであることを確認すると(Yes)、次にステップS602に進む。
ステップS602:この場合、演出制御CPU126はチャンス中演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は上記の確変中演出(図42)、リミッタ上乗せ演出(図43)、リミッタ到達後演出(図44)、背景チェンジ演出(図45)等について具体的な演出パターンを選択する。なお、チャンス中演出パターン選択処理の内容については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
一方、先のステップS600で今回の当選図柄が「確変図柄1」又は「確変図柄2」のいずれにも該当しないことを確認した場合(ステップS600:No)、演出制御CPU126はステップS604に進む。
ステップS604:次に演出制御CPU126は、今回の当選図柄が「時短ありの単発図柄」に該当するか否かを確認する。この確認は、例えば主制御CPU72から受信した時間短縮機能作動回数コマンドに基づいて確認することができる。すなわち演出制御CPU126は、例えばRAM130のコマンドバッファ領域に保存されている時間短縮機能作動回数コマンドを確認し、その値が0より大きい(>0)ことを確認すると(Yes)、次にステップS606に進む。
ステップS606:この場合、演出制御CPU126は演出用のリミッタ残数カウンタを最大に設定する。すなわち演出制御CPU126は、先のコマンド受信処理(図47中のステップS400)で主制御CPU72から受信したリミッタ残数コマンドに基づき、例えばRAM130のカウント領域に演出用のリミッタ残数カウンタを予め記憶しているが、このステップS606において、演出制御CPU126は演出用のリミッタ残数カウンタを最大値(例えば18回)に設定する。これは、特別図柄(内部抽選)の当選図柄が「時短ありの単発図柄」に該当する場合、その後のゲームフローが〔F31〕時短中から〔F19〕確変中に移行することで、上記のように主制御CPU72の処理において「リミッタ回数」の再設定が発生することに対応させたものである。
ステップS602:そして演出制御CPU126は、演出用のリミッタ残数カウンタの値を最大値に設定した状態で、チャンス中演出パターン選択処理を実行する。
これに対し、先のステップS604で今回の当選図柄が「時短ありの単発図柄」に該当しないことを確認した場合(ステップS604:No)、演出制御CPU126はステップS608に進む。
ステップS608:この場合、演出制御CPU126は終了処理フラグをセットする。これにより、普通図柄当り後演出管理処理(図48)に復帰した後の実行選択処理(図48中のステップS500)において、次のジャンプ先として終了演出処理(図48中のステップS508)が選択されることになる。
〔チャンス中演出パターン選択処理〕
図50は、先の大役開始後演出処理の中で実行されるチャンス中演出パターン選択処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS700:先ず演出制御CPU126は、リミッタ残数カウンタの値を取得する。リミッタ残数カウンタは、上記のようにRAM130のカウント領域内に記憶されており、通常はリミッタ残数コマンドの値に基づいて更新(減算更新)されているか、もしくはリミッタリセット(上乗せ)発生に対応して最大値に設定されている。
ステップS702:次に演出制御CPU126は、液晶表示器42の画面内で表示しているリミッタ残数と内部的なリミッタ残数との差から優先する演出内容を選択する。例えば、演出制御CPU126は、先ず現時点で画面内に表示されているリミッタ残数メータMの表示数とリミッタ残数カウンタの値との差を算出する。そして演出制御CPU126は、その算出結果に応じて優先演出選択テーブル(図示していない)から優先する演出内容を選択する。
〔演出優先度の考え方〕
チャンス中演出パターンとしては、主に上記のリミッタ上乗せ演出(図43)、リミッタ到達後演出(図44)、背景チェンジ演出(図45)等があるが、いずれの演出を優先して実行するかは、ゲームフローの進行状況によって判断されることが望ましい。例えば、内部的に「リミッタ回数」の上乗せが発生した場合であっても、実際の上乗せ回数は、その発生時点でのリミッタ残数との関係で大小に異なるし、遊技者にとってはどの段階で実際の上乗せが発生したかを外見上で判別することは困難である。したがって、例えばリミッタ残数が充分に多い段階(例えば残り17回)で上乗せが発生しても、この場合の上乗せ回数は相対的に少ないため、このタイミングでリミッタ上乗せ演出(図43)を実行しても遊技者にとってそれほどの驚き(喜び)はない。これに対し、リミッタ残数がかなり少なくなった段階(例えば残り3回以下)で上乗せが発生すると、それだけ多くの上乗せ回数が得られることから、このタイミングでリミッタ上乗せ演出(図43)を実行すれば、それだけ遊技者にとって驚き(喜び)が大きくなる。またリミッタ到達後の復活演出(図44中(B))については、実際に「リミッタ回数」が残り0回になったタイミングで実行することが自然である。本実施形態では以上のような演出優先度の考え方に基づき、リミッタ残数メータMの表示数とリミッタ残数カウンタの値との差に応じて優先する演出内容を図示しない優先演出選択テーブルで規定している。
ステップS704:演出制御CPU126は、先のステップS702で回数増演出(リミッタ上乗せ演出)を優先演出として選択したか否かを確認する。そして、実際に回数増演出(リミッタ上乗せ演出)が今回の優先演出である場合(Yes)、演出制御CPU126は次にステップS706を実行する。
ステップS706:この場合、演出制御CPU126はリミッタ回数増演出パターン選択処理を実行する。この処理において、演出制御CPU126は例えば演出抽選乱数を用いた演出抽選を行い、これに当選した場合はリミッタ上乗せ演出(図43)のパターン番号を選択する。ここで選択したリミッタ上乗せ演出パターン番号は、上記の表示出力処理(図47中のステップS405)において演出表示制御装置144(表示制御CPU146及びVDP152)に出力される。これにより、実際に液晶表示器42の画面内において図43中(A),(B)等に示されるリミッタ上乗せ演出が実行されることになる。
一方、先のステップS702で回数増演出(リミッタ上乗せ演出)を優先演出として選択しなかった場合、演出制御CPU126回数増演出(リミッタ上乗せ演出)が今回の優先演出でないと判断し(No)、次にステップS708を実行する。
ステップS708:この場合、演出制御CPU126はその他演出パターン選択処理を実行する。この処理においても、演出制御CPU126は演出抽選乱数を用いた演出抽選を行い、これに当選した場合に例えば上記の背景チェンジ演出(図45)のパターン番号を選択する。あるいは、例えばリミッタ残数メータMの表示数と実際のリミッタ残数カウンタの値との差がなく、両者がともに0回である場合、演出制御CPU126は演出抽選(確率1/1)でリミッタ到達後の復活演出(図44中(A)及び(B))のパターン番号を選択する。ここで選択した背景チェンジ演出パターン番号又は復活演出パターン番号もまた、上記の表示出力処理(図47中のステップS405)において演出表示制御装置144(表示制御CPU146及びVDP152)に出力される。これにより、実際に液晶表示器42の画面内において図45中(A)〜(D)等に示される背景チェンジ演出が実行されたり、あるいは、図44中(A)及び(B)に示される復活演出が実行されたりすることになる。
なお、先のステップS706及びステップS708のそれぞれにおいて、特に演出抽選に当選しなかった(演出非当選)場合、演出制御CPU126はリミッタ残数メータMの表示数を減少させる演出パターン番号を選択する。これにより、いずれの場合についても液晶表示器42の画面内においてリミッタ残数メータMの表示数を減少させる演出が実行されることになる。
〔演出手法のまとめ〕
上述した演出手法の例によれば、パチンコ機1におけるゲームフローの進行に即して遊技者に有益な情報を演出として提供することができる。具体的には、(1)普通図柄当りにより「右打ち」の必要性が発生したこと、(2)可変始動入賞装置28(始動入賞口28a)への入賞により内部抽選(特図変動)が実行されたこと、(3)内部抽選で当選(初当り時は時短付きとなる)が得られたこと、(4)ゲームフローが〔F19〕確変中又は〔F31〕時短中に移行(突入)したこと、(5)〔F19〕確変中に「リミッタ回数」の残りが減少していくこと、(6)「リミッタ回数」に上乗せが発生したこと、(7)リミッタ到達後に〔F31〕時短中を経て〔F19〕確変中へ復活する契機が発生したこと、逆に(8)リミッタ到達によって〔F19〕確変中が終了し、ゲームフローが〔F1〕通常遊技中に戻ったこと等の情報を演出によって遊技者に分かりやすく提供(伝達、教示、示唆)することができる。また上記(3)に関して、逆に内部抽選で当選が得られなかったことも情報として提供することができる。
これにより、ゲームフローの進捗状況が遊技者に理解されないまま遊技が漫然と行われるのを防止しつつ、本実施形態のパチンコ機1によるゲーム性を十二分に遊技者に堪能させることができる。また、実際にゲームフロー上で「リミッタ回数」の上乗せが発生したことを演出内容から明確に実感させることで、遊技者に対して自己の遊技成果(〔F19〕確変中に3%の単発当選を引き当てたこと)を実感させ、それによって一定の満足感や達成感を遊技者に抱かせることができる。あるいは、ゲームフロー上でリミッタ到達後に復活が発生したことを演出内容から明確に実感させることで、ここでも遊技者に対して自己の遊技成果(リミッタ到達後に35%で時短あり単発当選を引き当てたこと)実感させ、それによって一定の満足感や達成感を遊技者に抱かせることができる。
特に内部的なゲームフロー上、上記(6)や(7)の仕組みについては、実際の制御処理の内容が複雑であるが、本実施形態ではこれを演出情報として遊技者に分かりやすく伝達することができ、その点でゲームフローだけでなく演出手法もまた秀逸である。
〔ゲームフロー上の有用性〕
加えて本実施形態では、本来のゲームフローそのものに以下の有用性がある。
(1)例えば、〔F1〕通常遊技中からの〔F16〕確変図柄1,2当選により、1回目を含めて連続18回の〔F19〕確変中のループを発生させる権利(可能性)が発生する。これにより、ループごとに〔F22〕可変始動入賞装置作動と〔F18〕可変入賞装置作動を通じて賞球が得られる機会を遊技者に付与し、その利益を増加させることができる。
(2)さらに、〔F19〕確変中のループ途中で〔F29〕単発図柄1当選を引き当てると、〔F31〕時短中を経て〔F38〕確変図柄1,2当選(確変比率97%)が発生しやすく、それによって〔F19〕確変中への再ループが発生する。そして、この場合は上記のように「リミッタ回数」が再設定(リセット)されているため、先のループ中に消化し終わった分に対して新たな「リミッタ回数」の上乗せが発生することになる。これにより、上乗せ分でさらに〔F22〕可変始動入賞装置作動と〔F18〕可変入賞装置作動を通じて賞球が得られる機会を遊技者に付与し、その利益をさらに増加させることができる。
(3)また、〔F19〕確変中のループ中に上乗せが発生せず、「リミッタ回数」の残りが0回に到達した場合であっても、そこで〔F43〕単発図柄1当選又は〔F45〕確変図柄1当選→強制単発図柄1に該当する(合成選択比率35%)ことで、そこから〔F31〕時短中を経て〔F19〕確変中のループを再開させることができる。そして、この場合も同じく「リミッタ回数」が再設定(リセット)されているため、リミッタ到達前のループ中に消化し終わった分に対して新たな「リミッタ回数」の上乗せが発生することになる。これにより、上乗せ分でさらに〔F22〕可変始動入賞装置作動と〔F18〕可変入賞装置作動を通じて賞球が得られる機会を遊技者に付与し、その利益をさらに増加させることができる。
(4)また、上記(2)又は(3)の利益は特別図柄(内部抽選)の結果に応じてランダムに発生する可能性があるため、上記(2),(3)が連鎖的に発生していけば、その都度、出玉を上乗せしていくことが可能なゲーム性を実現することができる。
(5)加えて、従来この種のパチンコ遊技では、基本的に確変図柄を引くことが利益の連続性(いわゆる連チャン)を発生させるものであり、単発図柄を引くと、それによって利益の連続性が終了するというのが遊技の常識であった。しかしながら、本実施形態では〔F19〕確変中に敢えて単発図柄を引くことで利益の連続性に上積みを発生させており、従来とは逆転の発想を用いたゲーム性を実現している点で大きな有用性を発揮している。
〔その他の実施形態〕
図51は、別実施形態のパチンコ機101を示す正面図である。別実施形態のパチンコ機101は、上述の一実施形態とは異なる盤面構成を有している。
〔全体構成〕
別実施形態のパチンコ機101は、先の一実施形態で挙げたパチンコ機101と共通の外枠ユニット2、一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7(プラ枠、遊技機枠)を備えている。したがって、一体扉ユニット4の左トップレンズユニット47、右上電飾ユニット49、ガラス枠トップランプ46、左側のガラス枠装飾ランプ48、右側のガラス枠装飾ランプ50、左右のガラス枠装飾ランプ52等の構成も共通である。
また同様に、ガラス枠上スピーカ54,55及び外枠スピーカ56についても一実施形態と共通である。以下の説明では、一実施形態と基本的に共通する構成については図示とともに共通の符号を付し、重複した説明を省略する。なお、一実施形態と符号を共通としていても、別実施形態では一実施形態と異なる名称を用いていることがあるが、この場合でも機能的には共通の構成であるものとする。
〔盤面構成〕
別実施形態のパチンコ機101は、いわゆる「1種タイプ(旧基準)」の盤面構成を有している。以下、別実施形態のパチンコ機101における盤面構成について説明する。
遊技領域8a内には、始動ゲート20や普通入賞口22,24、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30等が設置されている。なお、始動ゲート20は、一実施形態でいう「中始動ゲート20」と機能的には同じである。
別実施形態のパチンコ機101において、遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、その流下の過程で無作為に始動ゲート20を通過したり、あるいは、普通入賞口22,24や上始動入賞口26、作動時の可変始動入賞装置28に入球(入賞)したりする。始動ゲート20を通過した遊技球は続けて遊技領域8a内を流下するが、入賞した遊技球は遊技板に形成された貫通穴を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。
別実施形態においても可変始動入賞装置28は、所定の条件が満たされた場合(普通図柄が当りの態様で停止表示された場合)に作動し、それに伴って下始動入賞口28aへの入賞を可能にする(普通電動役物)。ここで下始動入賞口28aは、一実施形態でいう「始動入賞口28a」と機能的に同じものである。
別実施形態のパチンコ機101で用いる可変始動入賞装置28は、例えば左右一対の可動片28bを有しており、これら可動片28bは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に沿って左右方向に往復動作する。すなわち、図示のように先端が上を向いた状態で左右の可動片28bは閉位置にあり、このとき下始動入賞口28aへの入球は不能(遊技球が流入できる隙間がない状態)となっている。一方、可変始動入賞装置28が作動すると、左右の可動片28bはそれぞれ閉位置から開放位置に向けて変位(拡開)し、下始動入賞口28aの開口幅を左右に拡大する。この間に可変始動入賞装置28は遊技球の流入が可能な状態となり、下始動入賞口28aへの入賞を発生させる。なお、遊技盤8に設置されている障害釘の配列は、基本的に可変始動入賞装置28に向けて遊技球の流下を案内しやすい態様となっているが、必ず遊技球が可変始動入賞装置28に流入するというわけではなく、あくまで流入は無作為に発生する。
また上記の可変入賞装置30は、規定の条件が満たされた場合(特別図柄が非当選以外の態様で停止表示された場合)に作動し、大入賞口(参照符号なし)への入賞を可能にする(特別電動役物)。可変入賞装置30は、例えば1つの開閉部材30aを有しており、この開閉部材30aは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。図示のように盤面に沿った状態で開閉部材30aは閉位置(閉鎖状態)にあり、このとき大入賞口への入賞は常に不能(大入賞口は閉鎖中)である。可変入賞装置30が作動すると、開閉部材30aがその下端縁部分をヒンジとして前方へ倒れ込むようにして変位し、大入賞口を開放する(開放状態)。この間に可変入賞装置30は遊技球の流入(入球)が不能ではない状態となり、大入賞口への入賞という事象を発生させることができる。なお、このとき開閉部材30aは大入賞口への遊技球の流入を案内する部材としても機能する。
このように別実施形態のパチンコ機101は、(1)可変始動入賞装置28が一対の可動片28bを有する構造である点、(2)可変入賞装置30が1つの開閉部材30aを有する構造である点が一実施形態のパチンコ機101とは異なっている。
また別実施形態のパチンコ機101の場合、遊技盤8において例えば窓4a内の右下位置に普通図柄表示装置33と普通図柄作動記憶ランプ33aが設けられている他、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38が設けられている。
すなわち、別実施形態のパチンコ機101は、2つの特別図柄として第1特別図柄及び第2特別図柄を有しており、それぞれについて第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35を有する点も一実施形態のパチンコ機101と異なっている。なお、第1特別図柄表示装置34は、一実施形態でいう「特別図柄表示装置34」と機能的に同じ(同等の)ものである。
図52は、遊技盤8の一部(窓4a内の右下位置)を拡大して示す正面図である。第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35は、例えばそれぞれ7セグメントLED(ドット付き)により特別図柄の変動状態と停止状態とを表示することができる(図柄表示手段)。なお第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35は、複数のドットLEDを幾何学的(例えば円形状)に配列した形態であってもよい。
また、第1特別図柄作動記憶ランプ34a及び第2特別図柄作動記憶ランプ35aは、例えばそれぞれ2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせで構成される表示態様により、それぞれ0〜4個の記憶数を表示する(記憶数表示手段)。例えば、2つのランプをともに消灯させた表示態様では記憶数0個を表示し、1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数1個を表示し、同じ1つのランプを点滅させた表示態様では記憶数2個を表示し、1つのランプの点滅に加えてもう1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数3個を表示し、そして2つのランプをともに点滅させた表示態様では記憶数4個を表示する、といった具合である。
第1特別図柄作動記憶ランプ34aは、上記の上始動入賞口26に遊技球が流入するごとに、入賞が発生したことを記憶する意味で1個ずつ増加後の表示態様へと変化していき(最大4個まで)、その入賞を契機として第1特別図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ減少後の表示態様へと変化していく。また第2特別図柄作動記憶ランプ35aは、上記の可変始動入賞装置28(下始動入賞口)に遊技球が流入するごとに、入賞が発生したことを記憶する意味で1個ずつ増加後の表示態様へと変化し(最大4個まで)、その入賞を契機として第2特別図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ減少後の表示態様へと変化する。なお、第1特別図柄作動記憶ランプ34aが未点灯(記憶数が0個)の場合、第1特別図柄が既に変動開始可能な状態(停止表示時)で上始動入賞口26に遊技球が流入しても表示態様は変化しない。また第2特別図柄作動記憶ランプ35aが未点灯(記憶数が0個)の場合、第2特別図柄が既に変動開始可能な状態(停止表示時)で可変始動入賞装置28(下始動入賞口)に遊技球が流入しても表示態様は変化しない。すなわち、各特別図柄作動記憶ランプ34a,35aの表示態様により表される記憶数(最大4個)は、その時点で未だ第1特別図柄又は第2特別図柄の変動が開始されていない入賞の回数を表している。
また遊技状態表示装置38には、例えば大当り種別表示ランプ38a,38b、確率変動状態表示ランプ38c、時短状態表示ランプ38dにそれぞれ対応する4つのLEDが含まれている。上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38は、1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤8に取り付けられている。
〔遊技盤のその他の構成:図51を参照〕
また、別実施形態のパチンコ機101において、遊技盤8には、その中央位置から右側部分にかけて演出ユニット40が設置されている。演出ユニット40は、その上縁部40aが遊技球の流下方向を変化させる案内部材として機能する他、その内側に各種の装飾部品40b,40cを備えている。装飾部品40b,40cはその立体的な造形により遊技盤8の装飾性を高めるとともに、例えば内蔵された発光器(LED等)により透過光を発することで、演出的な動作をすることができる。また演出ユニット40の内側には液晶表示器42(画像表示器)が設置されており、この液晶表示器42には特別図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像が表示される。なお、遊技盤8にベニヤ板でなく透明板(例えばアクリル板)を用いる場合、透明板の前面や背後に配置された各種の装飾体(可動体や発光体を含む)による装飾性が付加される。
演出ユニット40の左側縁部には球案内通路40dが形成されており、その下縁部には転動ステージ40eが形成されている。球案内通路40dは遊技領域8a内にて左斜め上方に開口しており、遊技領域8a内を流下する遊技球が無作為に球案内通路40d内に流入すると、その内部を通過して転動ステージ40e上に放出される。転動ステージ40eの上面は滑らかな湾曲面を有しており、ここでは遊技球が左右方向に転動自在である。転動ステージ40e上で転動した遊技球は、やがて下方の遊技領域8a内に流下する。転動ステージ40eの中央位置には球放出路40fが形成されており、このとき転動ステージ40eから球放出路140fに流下した遊技球は、その真下にある上始動入賞口26に流入しやすくなる。
その他に演出ユニット40には、演出用の可動体として装飾体400が付属している。装飾体400は、例えばハート型を象った装飾部品であり、図51に示される状態では液晶表示器42の表示画面より上方位置で演出ユニット40に格納されている。装飾体400は、図51に示されない装飾体モータ402やリンク機構等の働きにより、演出ユニット40に格納された位置から下降して、その全体が液晶表示器42の表示画面より手前の位置まで移動することができる。また、装飾体400には図51に示されない装飾体ランプ404が設けられており、装飾体400は、装飾体ランプの点灯・点滅により発光演出を行うことができる。このような装飾体400は、液晶表示器42による画像を用いた演出や発光器による演出に加えて、有形物の動作を伴う演出を実行するものとなる。このような装飾体400を用いた演出により、二次元の画像を用いた演出とは別のインパクトを持たせることができる。
〔制御上の構成〕
図53は、別実施形態のパチンコ機101に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。以下、別実施形態のパチンコ機101について、一実施形態のパチンコ機1と異なる構成を中心として説明する。
上述した始動ゲート20には、遊技球の通過を検出するためのゲートスイッチ278が一体的に設けられている。また、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して上始動入賞口スイッチ180、下始動入賞口スイッチ182及びカウントスイッチ84が設けられている。
別実施形態のパチンコ機101においても、遊技盤8にはパネル電飾基板138が設置されている。そして、装飾体モータ402及び装飾体ランプ404は、パネル電飾基板138を介して演出制御装置124(演出制御CPU126)に接続されている。装飾体モータ402は、図示しないリンク機構等を介して装飾体400を昇降させることができる。また装飾体ランプ404は、例えばLEDの発光により装飾体400を装飾的に発光させることができる。
〔可変始動入賞装置の制御〕
別実施形態のパチンコ機101において、可変始動入賞装置28を作動させる制御手法は基本的に一実施形態のパチンコ機1と同じである。すなわち、遊技中に始動ゲート20での遊技球の通過を契機として普通図柄当り決定乱数を取得し、その作動記憶を消費して普通図柄に対応する作動抽選が行われる。なお、別実施形態のパチンコ機101では、作動抽選の当り確率が一実施形態のパチンコ機1よりも低く(例えば250分の1程度に)設定されているものとする。
そして、作動抽選で当選(普通図柄当り)が得られると、普通図柄の変動表示が行われた後、当りの結果を表す態様で普通図柄が停止表示される。普通図柄の停止表示時間が経過すると、開放待ち状態を経て可変始動入賞装置28を閉鎖状態から開放状態に移行させた後、閉鎖状態に復帰させる制御が行われる(図22:可変始動入賞装置管理処理を参照)。
〔可変始動入賞装置の動作例〕
図54は、別実施形態のパチンコ機101で用いる可変始動入賞装置28の動作例について説明する図である。なお、図54(及び以下の図55)に示される可変始動入賞装置28の形態は図1に示されるものと若干異なっているが、基本的な機能や構造は同じである。また、ここで挙げる可変始動入賞装置28の動作例については、一実施形態のパチンコ機1で用いる可変入賞装置30の動作にも基本的に適用することができるものとする。ただし、一実施形態のパチンコ機1で用いる可変入賞装置30の場合、開放回数や開放時間、閉鎖時間等に関して、可変始動入賞装置28とは異なる設定となる。
〔閉鎖中〕
図54中(A):可変始動入賞装置28が閉鎖中である場合、左右の可動片28bは各先端が上を向いた状態で閉位置にあり、遊技球300が入球できる隙間がない状態であるため、可変始動入賞装置28への入賞は不能となっている。このため、遊技領域を流下する遊技球300は、可変始動入賞装置28に衝突(接触)することはあっても、可変始動入賞装置28に入球することはない。
〔開放開始〕
図54中(B):普通図柄抽選にて当選の結果が得られ、普通図柄が当選の態様で停止表示されると、左右の可動片28bはそれぞれ閉位置から開放位置に向けて変位(拡開)し、下始動入賞口28aの開口幅を左右に拡大する。この場合、可変始動入賞装置28は遊技球300の流入が可能な状態となり、下始動入賞口28aへの入賞を発生させることができる。
〔開放中〕
図54中(C):可変始動入賞装置28は、予め定められた開放時間が経過するまで開放状態を継続する。ただし、開放時間内に規定数(例えば5個程度)以上の入賞が検出されると、開放時間の経過を待たずに、可変始動入賞装置28は閉鎖状態となる。なお、可変始動入賞装置28の開放時間は、非時間短縮状態と時間短縮状態とでその値が異なっており、非時間短縮状態であればショート開放時間(例えば、0.5秒)が適用され、時間短縮状態であればロング開放時間(例えば、5.0秒)が適用される。
〔閉鎖中〕
図54中(D):可変始動入賞装置28の開放時間が経過するか、開放時間内に規定数以上の入賞が検出されると、左右の可動片28bは各先端が上を向いた状態の閉位置に復帰し、可変始動入賞装置28は閉鎖される。可変始動入賞装置28が閉鎖状態に復帰すると、遊技領域を流下する遊技球300は、可変始動入賞装置28に入球することはない。
以上は、可変始動入賞装置28の基本的な動作であるが、可変始動入賞装置28の開放中に球噛みが発生すると、以下のような動作となる。可変始動入賞装置28における「球噛み」とは、可変始動入賞装置28が開放状態にある間に正規の入球が発生したが、何らかの事情で遊技球が詰まってしまうことをいう。
〔可変始動入賞装置の球噛み時の動作例〕
図55は、可変始動入賞装置28において球噛みが発生した場合の動作例について説明する図である。なお、別実施形態のパチンコ機101で用いる可変始動入賞装置28は、一実施形態のパチンコ機1で用いる可変入賞装置30と構造が共通している。このため、一実施形態のパチンコ機1で用いる可変入賞装置30についても、ここで挙げる動作例と同様の原理によって球噛みが発生することがある。
〔閉鎖中〕
図55中(A):可変始動入賞装置28が閉鎖中である場合、左右の可動片28bは各先端が上を向いた状態で閉位置にあり、可変始動入賞装置28への入球は不能となっている。このため、遊技領域を流下する遊技球300は、可変始動入賞装置28に衝突することはあっても、可変始動入賞装置28に入球することはない。
〔開放中(球噛み第1例)〕
図55中(B):普通図柄に対応する作動抽選にて当選の結果が得られ、普通図柄が当選の態様で停止表示されると、左右の可動片28bはそれぞれ閉位置から開放位置に向けて変位(拡開)し、下始動入賞口28aの開口幅を左右に拡大する。この場合、可変始動入賞装置28は遊技球300の流入が可能な状態となり、下始動入賞口28aへの入賞を発生させることができる。
ただし、本動作例の場合、可変始動入賞装置28の内部で球噛みが発生している。可変始動入賞装置28は、左右の可動片28bが可動して開放状態となると、可変始動入賞装置28の左右のいずれの方向からも遊技球300の入球が可能となる。
このため、可動片28bが開放している可変始動入賞装置28の両側から、2つの遊技球300が略同時に進入することがある。
このように、2つの遊技球300が同時に可変始動入賞装置28に進入すると、左右の可動片28bの間に2つの遊技球300が並んでしまうことがある。この場合、2つの遊技球300は、左右方向から可動片28bで挟まれた状態となり、2つの遊技球300が移動できなくなって球詰まりが発生する。
図55中(C):このとき、球噛みの度合いが緩やかであれば、遊技球300の自重により球噛みが自然と解消されて、可変始動入賞装置28にそのまま流入していくことがある。あるいは、次に可変始動入賞装置28に入球してきた遊技球300が球詰まりを発生させている2つの遊技球300に衝突することにより、その衝撃によって球噛みが解消されることもある。いずれにしても、球噛みが解消した後には、遊技球300の滞留は解除されるため、遊技球300は可変始動入賞装置28の内部に進入していくことになる。
〔開放中(球噛み第2例)〕
図55中(D):一方、可変始動入賞装置28の片側からのみの遊技球300の入球であっても、可動片28bが閉じる瞬間に遊技球300が入球すると、可動片28bとその他の部材(符号なし)との間に遊技球300が挟まって、球噛みが発生することもある。通常、可動片28bが閉鎖位置に戻る力は、それほど強く設定されていない。このため、可動片28bが閉じる瞬間に遊技球300が可変始動入賞装置28に進入しても、遊技球300が自重により可動片28bを開放させる力(遊技球300が可動片28bを開放方向に押し込む力)は、可動片28bが閉鎖位置に戻る力に勝ることになる。したがって、通常は遊技球300の進入が優先されて可変始動入賞装置28での入賞が発生するものであるが、それでも稀に両者の力関係が均衡することにより、可変始動入賞装置28にて球噛みが発生することがある。
図55中(E):このとき、球噛みの度合いが緩やかであれば、遊技球300の自重により、球噛みが自然と解消されて、可変始動入賞装置28に入賞していくことがある。あるいは、次に可変始動入賞装置28に接近してきた遊技球300が球詰まりを発生させている遊技球300に衝突することにより球噛みが解消されることもある。いずれにしても、球噛みが解消した後には、遊技球300の停滞は解除されるため、遊技球300は可変始動入賞装置28の内部に進入していくことになる。
〔閉鎖中〕
図55中(F):そして、球噛みが解消された頃には、既に可変始動入賞装置28の開放時間は経過しているため、左右の可動片28bは各先端が上を向いた状態の閉位置に復帰し、可変始動入賞装置28は閉鎖される。ただし、この場合、球噛みが解消するにはある程度の時間がかかるため、遊技球が下始動入賞口スイッチ82を通過した時点で可変始動入賞装置28の閉鎖時間が終了していることがある。
このような場合であっても、一実施形態で挙げた第1設定手法又は第2設定手法を適用し、可変始動入賞装置28の閉鎖時間終了後に一次入賞有効タイマ(X期間)や二次入賞有効タイマ(Y期間)を作動させることで、球噛み等により検出のタイミングがずれた入球を有効なものとして扱うことができる。
〔複数回の開放時〕
一実施形態及び別実施形態では、いずれも可変始動入賞装置28の開放回数を1回として説明しているが、1つの作動契機で複数回の開放動作が行われる場合は以下の手法を用いるものとする。
例えば図12,図13,図15,図16等において、時刻t3から開放時間τ1にわたり可変始動入賞装置28が1回目の開放動作を行った後、閉鎖状態に復帰して1回目の閉鎖時間τ2が経過するまで閉鎖状態が維持されるものとする。
次に、1回目の閉鎖時間τ2経過後、インターバル時間(例えば0.1秒程度)をおいて開放時間τ1にわたり可変始動入賞装置28が2回目の開放動作を行い、閉鎖状態に復帰して2回目の閉鎖時間τ2が経過するまで閉鎖状態が維持されるものとする。
そして、2回目の閉鎖時間τ2が経過すると、図12,図13,図15,図16等において時刻t4から一次入賞有効タイマ(X期間)が作動を開始するものとする(一次有効時間設定手段)。以後は、X期間内の入球の有無に応じて二次入賞有効タイマ(Y期間)の設定有無を決定するものとする(二次有効時間設定手段)。
このように、図12,図13,図15,図16等において時刻t3〜時刻t4の間に複数回の開放動作を行っても、最終の開放動作終了後、閉鎖時間の経過時(終了時間開始時)から一次入賞有効タイマを作動させることで、球噛み等による入球検出タイミングの遅れに対処することができる。
本発明は、上述した実施形態に制約されることなく、各種の変形を採用することができる。例えば、各種演出手法の例として挙げた画像や動作はあくまで一例であり、これらは適宜に変形することができる。
例えば、一次入賞有効タイマ(X期間)や二次入賞有効タイマ(Y期間)の値には、上記の実施形態で挙げた値とは異なるものを用いてもよい。X期間(最大値又は固定値)とY期間は同じ長さでもよいし、異なる長さでもよい。また、X期間をY期間より長く設定してもよいし、逆に短く設定してもよい。
また、実施形態(一実施形態及び別実施形態)で挙げた抽選の確率や図柄の変動時間、可変始動入賞装置28や可変入賞装置30の開放時間、閉鎖時間、開放回数、賞球数等の条件はあくまで例示であり、これらは適宜に変形してもよい。また、遊技領域8内の各種始動ゲート20,21、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30等の配置は種々に変形して実施してもよい。
その他、パチンコ機1の構造や盤面構成等は図示のものも含めて好ましい例示であり、これらを適宜に変形可能であることはいうまでもない。