JP2013202025A - 乳酸発酵方法、並びに機能性食品及び飼料 - Google Patents

乳酸発酵方法、並びに機能性食品及び飼料 Download PDF

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Toshinori Kameoka
俊則 亀岡
Eiji Fujita
永治 藤田
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Abstract

【課題】柿を発酵原料として使用して、高密度に乳酸発酵させることができる新たな乳酸発酵方法を提供する。
【解決手段】脱渋柿を冷凍後解凍した解凍柿を含む発酵原料に乳酸菌スターターを添加し、発酵させることで、乳酸菌の生菌数が1×109cfu/mL、好ましくは1×1011cfu/mLを超えるように高密度に発酵させることができる。そのため、当該乳酸発酵方法を利用することにより、高密度に乳酸菌を含む機能性食品又は飼料を提供することが可能となる。
【選択図】なし

Description

本発明は、乳酸発酵方法、並びに機能性食品及び飼料に関し、より詳しくは乳酸菌の生菌数を著しく増加させた高密度乳酸発酵方法及び該乳酸発酵方法を製造工程の一部に含む機能性食品又は飼料に関する。
乳酸菌は、様々な生理的効用を有することが知られており、例えば、整腸作用や免疫賦活作用等の生理活性を奏することが知られている。このような乳酸菌の効用は、近年、プロバイオティクス効果などへの期待から、広く関心を集めている。また、清酒製造における生もと系酒母では、酵母の増殖に先立ち乳酸菌群の遷移が起こることが知られているが、生もと系酒母から分離された乳酸菌株には免疫調節効果や血中脂質の上昇抑制効果など様々な機能性があることも報告されている。
乳酸発酵を利用した食品は独特の風味を呈し、多くの消費者から好まれている食品の一つである。乳酸発酵利用食品は、身の回りに多く見られる。チーズ、ヨーグルト、漬物といった伝統的なものから、プロバイオティクス効果を得るための乳酸菌飲料に至るまで、その種類は多岐に渡っている。
乳酸菌の作用は単位密度辺りの生菌数に依存し、高密度に乳酸菌発酵を行う方法が求められている。例えば、特許文献1には、特に乳酸菌の生菌数が、1×109cfu/mLとした固形状乳酸発酵飼料の製造方法が開示されている。
一方、柿果実には、カロテノイドやアスコルビン酸などのビタミン類(例えば、非特許文献1,2参照)、タンニンなどのポリフェノール類が豊富に含まれ、強い抗酸化作用を有する物質として、近年その機能性に関して多くの研究がなされている(例えば、非特許文献3参照)。一方で、柿の産地である和歌山県紀北地域では約5万トンの生産量のうち約10%に相当する5,000トン近くが軟化等の規格外品とされ廃棄物処理されている。
柿を乳酸発酵した方法として、特許文献2には、各種食品素材から乳酸菌発酵でγ−アミノ酪酸を製造する方法が開示されており、その食品素材の一例として柿が利用できることが記載されている。
また、特許文献3では、柿をペーストして乳酸発酵させる方法が開示されており、この方法では、柿の抗酸化活性機能が増強されるとされている。
また、柿以外にもキュウイフル−ツやミカンなどの規格外果物が年300〜10,000トン以上も産出しており、これらの果物の再利用の方法が求められている。
特開2010−46023号公報 特開2004−313032号公報 特開2010−252726号公報
Curl, A. L. 1960. The carotenoids of Japanese persimmon. Food Res. 25: 670-674. Brossard, G. and G. Mackinney. 1963. The carotenoids of Diospyros Kaki (Japanese Persimmons). J. Agric. Food.Chem. 11: 501-503. 西野輔翼.2006.食品成分によるがん予防.農林水産技術研究ジャーナル.29: 31-37.
しかしながら、従来の柿を利用した乳酸発酵方法は、高密度に乳酸菌を増加させることができるものではなかった。
かかる状況下、本発明の目的は、柿を発酵原料として使用して、高密度に乳酸発酵させることができる新たな乳酸発酵方法及び該乳酸発酵方法を製造工程の一部に含む機能性食品又は飼料を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、原料として脱渋柿を使用し、これを冷凍後解凍した後に乳酸菌を添加して発酵させることにより、極めて高密度に乳酸発酵させることができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 脱渋柿を冷凍後解凍した解凍柿を含む発酵原料に乳酸菌スターターを添加し、乳酸菌の生菌数が1×109cfu/mLを超えるように発酵させる乳酸発酵方法。
<2> 乳酸菌の生菌数が1×1011cfu/mLを超えるように発酵させる前記<1>に記載の乳酸発酵方法。
<3> 前記脱渋柿が、冷凍前に未殺菌である前記<1>または<2>に記載の乳酸発酵方法。
<4> 前記乳酸菌スターターが、少なくともL.Buchneriを含む複数の乳酸菌群である前記<1>から<3>のいずれかに記載の乳酸発酵方法。
<5> 前記発酵原料が、アミノ酸及び/又は糖補給物を含む前記<1>から<4>のいずれかに記載の乳酸発酵方法。
<6> 前記発酵原料が、前記解凍柿以外の果物を含む前記<1>から<5>のいずれかに記載の乳酸発酵方法。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の乳酸発酵方法を製造工程の一部に含む機能性食品又は飼料。
本発明によれば、乳酸菌の生菌数が1×109cfu/mLを超える高密度乳酸発酵方法が提供される。本発明の乳酸発酵方法では、柿以外の果物等の乳酸菌の栄養源を補完しても安定して1×109cfu/mLを超える高密度乳酸発酵を行うことができる。
該乳酸発酵方法を製造工程の一部に含んで得られる機能性食品又は飼料は、高密度に乳酸菌を含むため、乳酸菌の有する抗酸化作用等の有用な作用が得られる。
摂食量および体重増加量を示す図である。 血糖値、血中中性脂肪および血中総コレステロールを示す図である。 糞中中性脂肪および総コレステロール濃度を示す図である。 小腸パイエル板数、面積を示す図である。 HFHS投与マウス 糞IgA濃度を示す図である。 盲腸内容物 菌叢解析を示す図である。 柿乳酸発酵品の豚に対する給与実証結果を示す図である。
本発明は、脱渋柿を冷凍後解凍した解凍柿を含む発酵原料に乳酸菌スターターを添加し、乳酸菌の生菌数が1×109cfu/mLを超えるように発酵させる乳酸発酵方法に関する。
すなわち、本発明の乳酸発酵方法は、発酵終了時における容積当たりの乳酸菌密度が、109cfu/mL以上の高密度乳酸発酵を行うことができ、使用する培地、培養液が少なくても、大量の乳酸菌を生産することができ、得られる発酵品は大量の乳酸菌を含む。
なお、乳酸菌の生菌数は、MRS寒天培地を用いたコロニーカウント法によって測定することができる。
一般に、乳酸菌密度は、例えば、ヨ−グルトでは107cfu/mLオーダーであり、108cfu/mLを超えると乳酸菌密度が高いといえるが、本発明の発酵方法では、発酵原料に、脱渋柿を冷凍後解凍した解凍柿を使用していることに特徴があり、脱渋柿を冷凍後解凍した解凍柿を使用することにより、109cfu/mLという高密度に乳酸菌を増加させることができる。
なお、上記の高密度の乳酸菌の発酵は、脱渋していない生柿や脱渋していない柿を冷凍後解凍したものを使用した場合には達成することが極めて困難である。
本発明の方法では、特に後述する添加物の種類や量、培養条件を好適化することにより、前記乳酸菌密度を、1010cfu/mL以上とすることができ、好ましくは1011cfu/mL以上とすることができる。
脱渋柿を冷凍後解凍した解凍柿を使用することで、上記高密度発酵を達成できる詳細な理由については、今のところ明らかでないが、冷凍する柿を脱渋することで、タンニンが少なくしたことに原因の一つがあると推測される。タンニンが多いと、殺菌作用が生じて乳酸菌の増殖を抑制するという問題が発生するおそれがあるためである。
なお、柿の脱渋は、従来公知の方法で行えばよく、例えば、炭酸ガス暴露法をとることができるが、これに限定されない。
本発明に係る解凍柿の解凍方法としては、自然解凍、流水解凍、加熱乾燥などいずれの方法でもよいが、自然解凍が好ましい。
加熱乾燥の場合では、柿の成分を変質させず、また、柿本来が有する乳酸菌を含む有用菌を死滅させないために、40℃以下で加熱することが好ましい。
本発明に係る脱渋柿の冷凍期間は、特に限定はないが、10日以上が好ましく、より好ましくは30日以上であり、さらに好ましくは6か月以上である。
詳細な理由については、今のところ明らかでないが、冷凍日数が長くなるほど、本発明の効果が向上し、より乳酸菌が高密度になる傾向にある。
また、前記脱渋柿が、未洗浄で冷凍されたものであることが好ましい。未洗浄柿を使用することで、乳酸菌の増加率が高まる傾向にある。これは、柿を洗浄せず冷凍することによって、表面に付着している柿固有の乳酸菌が活用されるものと推測される。
本発明の乳酸発酵方法における、乳酸菌スターターとしては、従来公知の乳酸菌が使用できる。例えば、ラクトバチルス(Lactobacillus,以下Lb.と略称する)、ラクトコッカス(Lactococcus )、ストレプトコッカス(Streptococcus),ロイコノストック(Leuconostoc),ペディオコッカス(Pediococcus)属等に属するものを挙げられる。
より具体的には、L.Buchneri、L.perolens、 brevis、 paracasei、 casei、L.johnsonii、 L.acidophilus、 Lsakeiなどが使用できるがこれに限定されない。
ここで、乳酸菌スターターが、少なくともブクネリ(L.Buchneri)を含む複数の乳酸菌群であることが好ましい。
乳酸菌スターターとして、単独の乳酸菌より複数の乳酸菌群を使用する方が、高密度発酵が促進され、より高密度に乳酸菌が増加するが、特にブクネリ(L.Buchneri)を含む複数の乳酸菌群であると、ブクネリが他の乳酸菌とのシナジー効果が大きく、より高密度発酵することができる。
また、L.perolens、 brevis、 paracasei、及びcaseiの組み合わせも好適な乳酸菌スターターの乳酸菌群である。
乳酸菌をさらに高密度に発酵させるため、発酵原料に、上記解凍柿以外にアミノ酸補給物を含むことが好ましい。ここで、アミノ酸補給物とは、乳酸菌の栄養となるアミノ酸を含む原料であり、大豆、おから等の植物性アミノ酸、酵母エキスなどの発酵物由来アミノ酸、カツオエキスなどの動物性アミノ酸、などが挙げられる。
より発酵効率をたかめるために、アミノ酸補給物は液体状とすることが好ましい。例えば、大豆を大豆エキスや豆乳として用いることが好ましい。
なお、研究レベルでは大豆エキスを用いることが作業的に有効であるが、大豆に含まれるアミノ酸を乳酸菌増殖により有効利用するためには豆乳を生産することが得策である。
また、豆乳と分離されて製造される大豆粕も用いることもできる。
補給物にはアミノ酸の他に乳酸菌の栄養基質である糖補給物を添加することが好ましい。糖補給物としては、グルコ−スやグラニュ-糖などが挙げられる。
上記解凍柿とアミノ酸補給物との混合比は、目的とする乳酸菌密度やアミノ酸等補給物の種類などにもよるが、解凍柿100重量部に対して、乾物あたり1〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは5〜10重量部である。
また、発酵原料に、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の脱渋柿を冷凍後解凍した解凍柿以外の各種食品素材を含ませてもよい。
例えば、米、玄米、大麦トウモロコシ等の各種穀物あるいはそれら穀物の種子の発芽物;エンドウ豆、小豆、大豆等の豆類、キノコ類、レタス、キャベツ、ほうれん草、大根、カブ等の各種野菜;甘柿、レモン、リンゴ等の果物;等が挙げられ、これらは1種または2種以上を組み合わせて使用しても良い。これらは、生のまま使用しても良いし、蒸す、茹でる等の操作をした後に添加してもよい。また、これらは廃棄されている二級品のものを使用することができ、廃棄物の有効利用の観点からも有用である。
この中でも、果物は、上記解凍柿と組み合わせることで、乳酸菌繁殖を増強する作用が強いことから、好適な素材の一つである。
果物としては、特に限定されないが、リンゴ、ミカン、キュウイ、桃、トマトなどが挙げられる。また、甘柿や冷凍していない生柿も使用できる。
また、発酵原料に、本発明の効果を損なわない範囲で、乳酸菌発酵で使用される公知の添加物を加えてもよい。
以下、本発明の乳酸発酵方法の好適な実施形態に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
柿の処理は、例えば、収穫した柿を炭酸ガス暴露法により脱渋処理を行い、その後一週間程度室内で貯蔵した後に冷凍保存し、使用の都度冷凍庫から必要量を取り出し室内で自然解凍を行い、ヘタ取りと種がある場合は種を除き、所定量の水を加えて粗破砕したものを乳酸発酵原料とする。
一方、アミノ酸補給物としての豆乳は、従来公知の製造方法で行われ、例えば、所定量の大豆と水を混合し、一昼夜浸漬した後、ミキサー処理した後に蒸煮処理し、そのものを乳酸発酵補給物として使用する場合と、ろ過して豆乳と大豆粕と分離することで得ることができる。
次いで、上記粉砕した脱渋柿を冷凍後解凍した解凍柿と豆乳とを、例えば、重量比1:1で混合した後に、所定量のグルコ−スを加え、一定量の乳酸菌スターターを添加して、攪拌式発酵槽中で必要に応じて添加物を加え、嫌気的な条件にて乳酸発酵を行う。また、乳酸菌スタ−タ−を添加する前に加熱殺菌(70℃、30分程度)を行うことも可である。
発酵条件は特に限定されないが、発酵温度は、通常、20〜45℃程度、好ましくは、33〜37℃である。また、発酵期間は、通常、24時間から48時間で乳酸菌の増加量を勘案しながら適当に設定すればよい。
本発明の乳酸発酵方法で得られる発酵物は、機能性食品又は飼料へ使用できる。
本発明の機能性食品又は飼料は、乳酸発酵方法を製造工程の一部に含むことを特徴とする。すなわち、本発明の機能性食品又は飼料は、高密度に乳酸菌を含む。なお、乳酸菌の有するプロバイオティク効果は、乳酸菌の細胞膜に含まれる多糖類が高い免疫機能を有することを解明している。このメカニズムは、乳酸菌由来多糖が腸管免疫機能を増強することによりストレス抑制効果を顕著に高くする働きがあり、これは、内分泌およびサイトカイン系が関与し免疫増強効果等の有用な作用が得られる。
本発明において、「機能性食品」とは、一般食品に加えて、健康食品、栄養補助食品、栄養機能食品、栄養保険食品等、健康の維持の目的で摂取する食品および/又は飲料を意味している。また、飼料における対象は人以外の生物であり、動物、鳥類、魚類など特に種類は限定されない。また、飼料の形態も固形飼料や、液状飼料など特に限定されない。
また、機能性食品や飼料として製品化する場合には、食品や飼料に用いられる様々な添加剤、具体的には、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤漂白剤、防菌防黴剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、香料等を添加していてもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
「実験1−1」
柿の種類は刀根早稲種の渋柿を、未殺菌で約9ヶ月間の長期冷凍保存し、その未脱渋柿及び脱渋柿を用いた。冷凍柿は室内解凍し、柿対大豆エキスを1:1の比率で混合し、グルコ−ス約3%を添加しミキサ−で破砕した後、約40℃、24時間培養した試料について2日後、8日後、12日後にそれぞれの乳酸菌数を測定した。
ここで用いた大豆エキスは、約5倍の水に一昼浸漬した後5時間煮沸処理した浸出液を用いた。
乳酸菌種は、Lactobacillus perolens, brevis, paracasei, caseiの4種複合菌を用いた。
菌数の測定は、BPC加コロニ−カウント培地、MRS培地により37℃、24時間後の測定結果を表1に示す。
実験結果、脱渋柿サンプルは未脱渋柿に対して1×1011cfu/ml以上の高密度菌の増殖を認めた。この結果から、高密度乳酸発酵のためには柿を冷凍後、解凍し、脱渋処理した原料を用いることが必要であることが分かった。
「実験1−2」
乳酸菌Lactobacillus perolens, brevis, paracasei, caseiの4種を混合した場合の柿乳酸発酵試験を行った。
上記の柿と大豆エキスを1:1で混合した発酵培地に種菌として混合菌種を10%添加し、37℃、24時間培養を行った。
「実験2」
(実験方法)
2−1. 柿乳酸発酵物の調整
凍結保存した刀根早生柿を大豆エキス(乾物重量30%のゆで大豆とゆで汁)と1:1の比率で混合し、グルコ−ス(3%)および乳酸菌スターターを添加して、37℃で48時間培養した。乳酸発酵スターターには、L.perolens, brevis, paracasei, caseiの4種を用いた。乳酸発酵後の生菌数はMRSプレートを用いて計測した。
乳酸発酵物のβカロテン、βクリプトキサンチンおよびゼアキサンチン含有量はHPLCを用いて分析した。
抗酸化活性はDPPHおよびABTSを用いたラジカル消去法で測定した。
2−2.マウス投与試験
上記方法で調整した柿乳酸発酵物を凍結乾燥し、表3の普通食および高脂肪高ショ糖(High fat high sucrose、HFHS)食に2%添加して、Balb/cマウス(6週齢、雄、紀和実験動物)を2週間飼育した。飼育期間中は摂食量および体重増加量を測定し、新鮮糞および48時間排出糞の回収を行った。解剖時に麻酔下で下大静脈から採血し、小腸および盲腸内容物を回収した。
2−3.血液生化学分析および糞脂質分析
解剖時に回収した血液は遠心分離して血漿とし、キットを用いて血糖値(グルコースCIIテストワコー、和光純薬工業株式会社)、血中中性脂肪(TG Eテストワコー、和光純薬工業株式会社)および総コレステロール(Tchol Eテストワコー、和光純薬工業株式会社)濃度を測定した。糞中脂質はFolch法で抽出し、アセチルセトン法で糞中性脂肪、Zac-Henly法で糞コレステロール濃度を測定した。
2−4.腸管免疫賦活作用評価
腸管免疫賦活作用は小腸パイエル板の面積の変化と盲腸内容物IgA濃度によって評価した。小腸パイエル板の面積は、解剖時に10%ホルマリンに固定した小腸に認められる全てのパイエル板の長径および短径をデジタルノギスで測定して算出した。新鮮糞IgA濃度は市販のELISAキット(Bethyl Laboratories, Inc., TX, USA)を用いて測定した。
2−5.盲腸内菌叢解析
盲腸内容物からの菌体DNA回収にはキットを用いた(QIAamp DNA Stool Mini Kit, Qiagen, Tokyo, Japan)。盲腸内容物中のClostridium-coccoides group、Bacteroides-Prevotella、BifidobacteriumおよびLactobacillusの相対量は、表4の16S rRNA特異的プライマーとSYBR Premix Ex Taq II(タカラバイオ)を用いたリアルタイムPCRによって半定量的に算出した。
「実験2」
(結果と考察)
2−1.柿乳酸発酵物の性状
柿乳酸発酵物の生菌数は4〜5×109cfu/mlの高い値を示した。
柿乳酸発酵物のタンニン、βクリプトキサンチンおよびゼアキサンチンは、富有柿生果で報告されている値とほぼ同じ値を示した(表5)。DPPHおよびABTSで測定した抗酸化活性は、抗酸化物質として広く知られている人参や有色サツマイモに比べても高い値を示した(表6)。
各種ビタミン類やタンニンを含むポリフェノールの抗酸化作用は広く評価されていることから、本試験で調製した柿乳酸発酵物にも高い抗酸化作用が期待できると推察される。試験で調製した柿乳酸発酵物にも高い抗酸化作用が期待できると推察される。
2−2.柿乳酸発酵物のマウス給与試験
マウス給与試験は、柿乳酸発酵物凍結乾燥粉末2%添加普通食、HFHS食でマウスを2週間飼育させることにより行なった。
摂食量は普通食区で高い値を示したが、乳酸発酵物添加による影響は認められなかった。体重増加量は普通食区に比べてHFHS食区で高い値を示し、また各区の対照群に比べて柿乳酸発酵物群で高くなる傾向が認められた(図1)。
血糖値および血中総コレステロールは、普通食区に比べてHFHS食区で高い値を示したが、各区の対照群と柿乳酸発酵物群の間には差は認められなかった。普通食区の柿乳酸発酵物投与群の血中中性脂肪は対照区に比べて著しく低い値を示したが、HFHS食区では、対照群と柿乳酸発酵物投与群の間に差は認められなかった(図2)。
糞中性脂肪およびコレステロールは普通食区に比べてHFHS食区で高い値を示した。普通食区およびHFHS食区のいずれにおいても対照群に比べて柿乳酸発酵物添加群で増加する傾向が認められた(図3)。これらの結果から、柿乳酸発酵物投与により糞中に排出される脂質量が増加することが明らかとなった。柿投与による糞中脂質排出促進効果は未熟柿でも認められおり、糞中脂質排出促進効果による血中脂質低減作用が報告されている。本試験のマウスは脂質代謝異常マウスでなく血中脂質濃度はHFHS食区でも正常の範囲内であることから、柿の糞中脂質排出促進による血中脂質低減効果までは確認することはできなかった。
小腸パイエル板数はいずれの区においても差は認められなかった。マウス小腸に存在するパイエル板の長径と短径から算出したパイエル板面積は、普通食区およびHFHS食区のいずれにおいても、対照群に比べて柿乳酸発酵物投与群で高い値を示した(図4)。糞IgA濃度は対照食区では差が認められなかったが(データ未掲載)、普通食区では普通食群に比べて柿発酵物投与群で著しく高い値を示した(図5)。
小腸パイエル板は粘膜関連リンパ組織であり、消化管内に流入した抗原性物質はパイエル板のM細胞に取込まれた後、内部に存在するT細胞、B細胞およびマクロファ−ジに提示される。マクロファージから抗原提示を受けたB細胞およびT細胞は各種サイトカイン(IL-4,5および10)の分泌を介して、パイエル板内に存在する未分化B細胞をIgA分泌B細胞へと形質変化させることにより、IgA分泌の増大を引き起こす。本実験で観察された普通食区の柿乳酸発酵物投与マウスでの糞IgA増加とパイエル板面積の増加は、小腸パイエル板で認識された柿乳酸発酵物由来の抗原物質がパイエル板内のT細胞およびB細胞に認識されることによって、未分化B細胞を乳酸発酵物由来抗原に特異的なIgA分泌B細胞に形質転換させたことによるものと推察される。また、マウスの加齢に伴う全身免疫の低下とパイエル板面積の減少が報告されていることから、本実験の柿乳酸発酵物投与マウスで観察されたパイエル板面積の増加から、全身性の免疫も賦活されていることが考察される。
盲腸内菌叢解析の結果、普通食区に比べてHFHS食区では検討を行った全菌叢の減少が認められ、柿乳酸発酵物投与群では増加する傾向が認められた。特にLactobacillusはHFHS区の対照群の7倍の高い値を示した(図6)。高脂肪食の摂取は、腸内細菌叢を変化させて腸内の有用菌種を減少させ、高脂肪食で飼育したマウスではビフィズス菌などの有用菌種が著しく減少することが報告されている。高脂肪食摂取による腸内環境の悪化はビフィズス菌増殖因子であるフラクトオリゴ糖などのプレバイティクスや乳酸発酵物であるヨーグルトなどのプロバイオティクス摂取により改善されることが報告されていることから、本実験で観察されたHFHS区の柿乳酸発酵物投与群での盲腸内菌叢の増加、特にLactobacillusの増加は柿乳酸発酵物のプレおよびプロバイオティクス効果によるものと考察される。
本実験の結果から、未利用の柿を利用して調整した柿乳酸発酵物は柿由来のビタミン類を豊富に含み高い抗酸化活性を有すること、摂取により糞への脂質排出が促進されることが明らかとなった。またIgA分泌促進による腸管免疫賦活作用とLactobacillusの増加による腸内菌叢改善効果を有することが明らかとなった。
「柿乳酸発酵品の養豚への給与実証」
柿乳酸発酵品の豚に対する給与実証は、豚1,000頭規模の養豚場に於いて食品残渣の液餌を柿乳酸発酵品を種菌として発酵リキッド飼料を調整し給与試験を実施した。給与前は、下痢の発症頭数は毎日5〜10頭が発病し隔離されていた。また、肺炎は、下痢が治まった直後から発病し、同じように毎日5〜10頭が隔離されていた。周年を通して下痢と肺炎の繰り返しであった。給与実証の結果、給与1週間後から抗病性効果の兆候が現れ、下痢及び肺炎も従来発症頭数のほぼ1/10程度に減少した。また、下痢及び肺炎による病死豚は月平均4〜6頭であったが、給与後はゼロから1頭程度と大きく減少し顕著な抗病性効果を有することが実証され(図7)、柿乳酸発酵品の豚に対する免疫効果(抗病性)が著しくしく高く、抗菌剤や抗生物質の使用量を激減することができるなど養豚経営の健全化、安定化、畜産食品の安全性に大きく寄与できることを明らかにした。特に、肺炎はウイルス性疾患であることから口蹄疫や鶏インフルエンザにも免疫効果を有するものと示唆された。
本発明によれば、柿を原料にした高密度の乳酸発酵を行う新たな乳酸発酵方法が提供され、市場に流通しない規格外の低利用果物等を健康食品や飼料として活用することができる。

Claims (7)

  1. 脱渋柿を冷凍後解凍した解凍柿を含む発酵原料に乳酸菌スターターを添加し、乳酸菌の生菌数が1×109cfu/mLを超えるように発酵させることを特徴とする乳酸発酵方法。
  2. 乳酸菌の生菌数が1×1011cfu/mLを超えるように発酵させる請求項1に記載の乳酸発酵方法。
  3. 前記脱渋柿が、冷凍前に未殺菌である請求項1または2に記載の乳酸発酵方法。
  4. 前記乳酸菌スターターが、少なくともL.Buchneriを含む複数の乳酸菌群である請求項1から3のいずれかに記載の乳酸発酵方法。
  5. 前記発酵原料が、アミノ酸及び/又は糖補給物を含む請求項1から4のいずれかに記載の乳酸発酵方法。
  6. 前記発酵原料が、前記解凍柿以外の果物を含む請求項1から5のいずれかに記載の乳酸発酵方法。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の乳酸発酵方法を製造工程の一部に含むことを特徴とする機能性食品又は飼料。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105901446A (zh) * 2016-04-16 2016-08-31 河南省商业科学研究所有限责任公司 一种降低单宁含量的柿子发酵技术
CN106306990A (zh) * 2016-08-19 2017-01-11 合肥工业大学 一种降低宣木瓜中单宁含量的方法
JP2017108693A (ja) * 2015-12-17 2017-06-22 有限会社明日香 液体状乳酸発酵食品及びその製造方法
JP2017108694A (ja) * 2015-12-17 2017-06-22 有限会社明日香 固形状乳酸発酵食品及びその製造方法

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