JP2013200192A - ハイブリッド膜、ガスセンサおよび発光性センサ - Google Patents

ハイブリッド膜、ガスセンサおよび発光性センサ Download PDF

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Abstract

【課題】発光波長を簡単に調整可能なハイブリッド膜、または、簡単にガスの濃度を検出できるガスセンサを提供すること。
【解決手段】積層された複数の粘土鉱物シート10a〜10cと、前記積層された複数の粘土鉱物シートの表面にそれぞれ結合された複数の金属錯体12a〜12cと、を具備し、前記複数の粘土鉱物シート毎に、前記複数の金属錯体が異なる配位子を有し、前記複数の金属錯体は前記異なる配位子により異なる波長の光を発光するハイブリッド膜。
【選択図】図9

Description

本発明は、ハイブリッド膜、ガスセンサおよび発光性センサに関し、例えば、粘土鉱物シートを備えたハイブリッド膜、ガスセンサおよび発光性センサに関する。
粘土鉱物は、自然界に豊富な材料であり、安価である。非特許文献1には、粘土鉱物を半導体材料に用いることが開示されている。非特許文献2には、イリジウム金属錯体を発光材料として用いることが開示されている。非特許文献3には、粘土鉱物シートにイリジウム金属錯体を結合させることにより、酸素を検出できることが記載されている。
Appl. Phys. Express 1 (2008) 035001 Chem. Eur. J. 2006 12, 7971 New. J. Chem. (2011), 35, 394-399
非特許文献3に記載のハイブリッド膜においては、発光波長を調整することが難しい。また、非特許文献3に記載の方法では、酸素等のガスや他の値を検出することが簡単に行なえない。本発明は、発光波長を簡単に調整可能なハイブリッド膜、簡単にガスの濃度を検出できるガスセンサ、簡単に対象物をセンシング可能な発光性センサを提供することを目的とする。
本発明は、積層された複数の粘土鉱物シートと、前記積層された複数の粘土鉱物シートの表面にそれぞれ結合された複数の金属錯体と、を具備し、前記複数の粘土鉱物シート毎に、前記複数の金属錯体が異なる配位子を有し、前記複数の金属錯体は前記異なる配位子により異なる波長の光を発光することを特徴とするハイブリッド膜である。本発明によれば、発光波長を簡単に調整可能なハイブリッド膜を提供することができる。
上記構成において、前記複数の粘土鉱物シートは、スメクタイトである構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の金属錯体はイリジウム錯体である構成とすることができる。
上記構成において、最上層の粘土鉱物シートの表面に結合された金属錯体は、最も長い波長において発光する金属錯体である構成とすることができる。
上記構成において、中間の粘土鉱物シートの表面に結合された金属錯体は、最も短い波長において発光する金属錯体である構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の粘土鉱物シートはモンモリロナイトであり、前記複数の金属錯体は、ppyとdfppyとを含む構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の粘土鉱物シートは合成サポナイトであり、最上層の粘土鉱物シートの表面に結合された金属錯体はpiqである構成とすることができる。
本発明は、上記ハイブリッド膜と、前記複数の金属錯体からの発光波長の変化によりガス濃度を検出する検出部と、を具備することを特徴とするガスセンサである。本発明によれば、簡単にガスの濃度を検出できるガスセンサを提供することができる。
本発明は、上記ハイブリッド膜を具備し、前記ハイブリッド膜からの発光を用い対象物をセンシングすることを特徴とする発光性センサである。本発明によれば、簡単に対象物をセンシング可能な発光性センサを提供できる。
本発明によれば、発光波長を簡単に調整可能なハイブリッド膜、簡単にガスの濃度を検出できるガスセンサ、簡単に対象物をセンシング可能な発光性センサを提供することができる。
図1は、スメクタイトの結晶構造の例を示す模式図である。 図2(a)および図2(b)は、疎水性の配位子の例を示す構造式である。 図3(a)から図3(c)は、発光のための配位子の構造式である。 図4は、イリジウム錯体の作製方法を示す図である。 図5(a)から図5(c)は、イリジウム錯体の例を示す構造式である。 図6(a)から図6(c)は、ハイブリッド膜の作製方法を示す模式図である。 図7は、ハイブリッド膜の模式図である。 図8は、粘土鉱物シートを積層したハイブリッド膜の模式図である。 図9(a)から図9(c)は、作製したハイブリッド膜の模式図である。 図10は作製したサンプルを示す図である。 図11(a)から図11(g)は、それぞれサンプルAからGの発光スペクトルを示す図である。 図12(a)から図12(f)は、それぞれサンプルHからMの発光スペクトルを示す図である。 図13(a)から図13(f)は、それぞれサンプルNからSの発光スペクトルを示す図である。 図14(a)から図14(g)は、それぞれサンプルTからZの発光スペクトルを示す図である。 図15は、ハイブリッド膜を用いたガスセンサを示す図である。
まず、粘土鉱物についてスメクタイトを例に説明する。図1は、スメクタイトの結晶構造の例を示す模式図である。(Si,Al)O四面体シート54がMO八面体シート(M:Mg,Fe,Alなど)56を挟む構造を有する2:1型と呼ばれる複合層50を形成している。八面体シート56には、陽イオンの入るサイトが3つあり、Mg2+やFe2+などの2価の陽イオンはこの3つのサイト全てを占めるが、Al3+などの3価の陽イオンは3つのサイトのうち2つだけを占めることになる。前者を3八面体型、後者を2八面体型と分類している。スメクタイトは、2八面体型または3八面体型の2:1層状ケイ酸塩であり、複合層50と水分子層52とが積層した構造を有している。水分子層52は水分子58と水分子58に囲まれた交換性陽イオン60とからなる。
スメクタイトを例として、サポナイト、ヘクトライトおよびモンモリロナイトについて説明する。理想化学組成時の各構造式は以下である。
サポナイト:E0.66Mg6 (Si7.34Al0.66)O20(OH)4
ヘクトライト:E0.66(Mg5.34Li0.66) Si8O20(OH)4
モンモリロナイト:E0.66(Al3.34Mg0.66) Si8O20 (OH)4
ここで、Eは、Na、Li、Ca、Mgなどの交換性の層間のカチオンである。
なお、以下の実験では、以下の化学組成の合成サポナイトおよび天然モンモリロナイトを用いた。
合成サポナイト:(Na0.77)[(Si7.20Al0.80)(Mg5.97Al0.03)]O20(OH)4
天然モンモリロナイト:(Na0.49 Mg0.14)[(Si7.70 Al0.30)(Al3.12Mg0.68Fe0.19)]O20(OH)4
また、各構造および、イオン交換容量(実測例)を以下に示す。
合成サポナイト:3八面体型、70meq/100g
モンモリロナイト:2八面体型、115meq/100g
次に、イリジウム錯体について説明する。以下の実施例において用いたのは陽イオン性の両親媒性イリジウム(III)錯体である。陽イオン性の両親媒性イリジウム(III)錯体は、イリジウム金属に3つの配位子を有する。図2(a)および図2(b)は、疎水性の配位子の例を示す構造式である。図2(a)は、dc18bpy(4,4’-dioctadecyl-2,2’-bipyridine)、図2(a)は、dc9bpy(4,4’-dinonyl-2,2’-bipyridine)の構造式である。図2(a)および図2(b)のように、比較的長いアルキル基を有するbpyを用いることにより疎水性となる。図3(a)から図3(c)は、発光のための配位子の構造式である。図3(a)は、dfppyH(2-(2’,4’-difluorophenyl)pyridine)、図3(b)は、ppyH(2-phenylpyridine)、図3(c)はpiqH(1-phenyisoquinoline)の構造式である。これらの配位子を有するイリジウム錯体は三重項からのりん光を発する。なお、イジリウム錯体は、例えばシクロメタレート型とすることができる。
イリジウム錯体の作製方法について説明する。図4は、イリジウム錯体の作製方法を示す図である。例えば配位子としてppyを付加する例である。IrClを、2−エトキシエタノールと水との溶媒にppyHおよびIrClを溶解させ、110℃で24時間反応させる。これにより、dimer−[Ir(ppy)Cl]が生成される。さらに、グリセロールを溶媒にdimer−[Ir(ppy)Cl]と疎水性の配位子Lを溶解させ、90℃で22時間反応させる。これにより、[Ir(ppy)L]Xが生成される。ここで、Xは陰イオンであり、例えばPFである。dfppy、ppy、piqは電気的に中性なため、dc9bpy等を1つ設けることによりイリジウム錯体は陽イオンとなる。なお、陰イオンとしてClO を用いることもできる。
図5(a)から図5(c)はイリジウム錯体の例を示す構造式である。図5(a)は、配位子として2つのdfppyと1つのdc9bpyを有するイリジウム錯体の構造式である。図5(b)は、配位子として2つのppyと1つのdc9bpyを有するイリジウム錯体の構造式である。図5(c)は、配位子として2つのpiqと1つのdc9bpyを有するイリジウム錯体の構造式である。図5(a)から図5(c)においては、1つのイリジウム錯体に疎水性配位子を1つ発光性配位子を2つ設けたが、疎水性配位子を2つ発光性配位子を1つでもよい。しかしながら、発光強度を高めるためには、発光性配位子は2つが好ましい。
次に、粘土鉱物シートにイリジウム錯体を結合させたハイブリッド膜を作製する方法としてLB(Langmuir-Blodgett)法を説明する。図6(a)から図6(c)は、ハイブリッド膜の作製方法を示す模式図である。図6(a)のように、水20内にスメクタイト等の粘土鉱物を浸すと、粘土鉱物は、図1の水分子層52から剥離する。このため、水20内において、粘土鉱物は例えば1nm程度の薄い粘土鉱物シート10となる。水面にバリア22を形成し、バリア22内にイリジウム錯体12を滴下(矢印24)する。
図6(b)のように、バリア22に表面圧力(矢印26)を加えバリア22内の面積を小さくする。粘土鉱物シート10が水分子層52において剥離すると、粘土鉱物シート10は負に帯電する。このため、陽イオンであるイリジウム錯体12が粘土鉱物シート10の表面と結合する。イリジウム錯体12のうち疎水性の配位子は水に溶解しない。このため、疎水性配位子が水面から出るように、粘土鉱物シート10が水面に浮く。粘土鉱物シート10は、粘土鉱物の複合層50が1層または数層から形成される。このため、粘土鉱物シート10の膜厚は5nm以下であり、好ましくは2nm以下である。例えば、スメクタイトの場合、粘土鉱物シート10の膜厚は約1nmである。このように粘土鉱物シート10は非常に薄いため、粘土鉱物ナノシートともいう。
図6(c)のように、親水性のガラス等の親水性基板30を水面から垂直に引き上げる(矢印28)。親水性基板30の表面に、イリジウム錯体12が結合した薄い粘土鉱物シート10が付着する。これは基板上昇時にのみに膜が移行するZ型累積と呼ばれる。他に基板下降時にのみ膜が移行するX型累積、下降時・上昇時ともに移行するY型累積であってもよい。
図7は、ハイブリッド膜の模式図である。図7のように、親水性基板30上に、粘土鉱物シート10が付着し、粘土鉱物シート10の表面にイリジウム錯体12が結合している。このように、イリジウム錯体12が疎水性配位子と発光性配位子とを有することにより、LB法を用いハイブリッド膜を簡単に形成できるLB法による図6(a)から図6(c)の操作を複数行い、粘土鉱物シート10とイリジウム錯体12とのハイブリッド膜を積層させることができる。ハイブリッド膜の作製には、LB法以外にも交互積層法、人工積層法、Layer−by−Layer法を用いることもできる。
以下の実施例において測定した発光スペクトルは、図7の矢印32のように基板30に対し45°の方向から波長が430nmの励起光を照射し、基板30に対し反対側の45°の方向(矢印34)から発光された光のスペクトルを測定した。
図8は、粘土鉱物シートを積層したハイブリッド膜の模式図である。ハイブリッド膜40においては、イリジウム錯体12a、12bおよび12cが結合した粘土鉱物シート10a、10bおよび10cが積層されている。
粘土鉱物シートにイリジウム錯体を結合させ各種サンプルを作製した。イリジウム錯体を粘土鉱物シートに結合させる方法は以下である。LB法を用い、水中の粘土鉱物濃度を10mg/リットル、バリア22の表面圧力を10mN/m、水の温度(トラフ温度)を20℃としてハイブリッド膜を作製した。なお、粘土鉱物濃度と表面圧力とは、後述する発光強度が大きくなるように、それぞれ5mg/リットルから20mg/リットルの範囲、0〜25mN/mの範囲から最適化し、トラフ温度は、ハイブリッド膜形成後のハイブリッド膜の表面観察により10から40℃の範囲から最適化した。イリジウム錯体として、[Ir(dfppy)(dc9bpy)]、[Ir(ppy)(dc9bpy)]および[Ir(piq)(dc9bpy)]を用いた。以下では、各イリジウム錯体をそれぞれ単にdfppy、ppyおよびpiqとして表現する。また、疎水性配位子のアルキル鎖長は、dc9としているが、さらに短くてもよく、長くてもよい。
図9(a)から図9(c)は、作製したハイブリッド膜の模式図である。図9(a)は、ガラス基板30上にイリジウム錯体12aが結合した粘土鉱物シート10aが一層の場合を示している。図9(b)は、イリジウム錯体12aおよび12bがそれぞれ結合した粘土鉱物シート10aおよび10bが積層された場合を示している。図9(c)は、イリジウム錯体12aから12cがそれぞれ結合した粘土鉱物シート10aから10cが積層された場合を示している。
図10は作製したサンプルを示す図である。図10において、「粘土鉱物シート」欄は粘土鉱物シートに用いられる材料を示している。各サンプルにおいて、積層されている粘土鉱物シートは同じとした。「層数」欄は積層された粘土鉱物シートの層数を示している。層数が1は図9(a)、層数が2は図9(b)、層数が3は図9(c)に対応する。「1層目錯体」欄は、基板30側のイリジウム錯体の種類を示し、図9(a)から図9(c)のイリジウム錯体12aを示している。「2層目錯体」欄は、基板30側から2層目のイリジウム錯体の種類を示し、図9(a)から図9(c)のイリジウム錯体12bを示している。「3層目錯体」欄は、基板30側から3層目のイリジウム錯体の種類を示し、図9(a)から図9(c)のイリジウム錯体12cを示している。なお、サンプルDからFにおいては、2種類のイリジウム錯体が同じ比率で粘土鉱物シート10aに結合している。サンプルGにおいては、3種類のイリジウム錯体が同じ比率で粘土鉱物シート10aに結合している。
図11(a)から図14(g)は、それぞれサンプルAからZの発光スペクトルを示す図である。発光強度は任意単位(arbitrary unit)で示している。発光スペクトルは、図7の矢印32のように基板30に対し45°の方向から波長が430nmの励起光を照射した。基板に対し反対側の45°の方向(矢印34)から発光された光のスペクトルを測定した。図11(a)から図14(g)において、発光強度の強い実線から、サンプルの周囲の酸素分圧が0、1、4、11、27、53および101kPaの場合を示している。0kPaはほぼ真空、101kPaは1気圧に相当する。
図11(a)から図14(g)のように、真空状態での発光に比べ、酸素分圧が大きくなると発光強度が弱くなる。これは、酸素分子により消光するためと考えられる。サンプルAからC(図11(a)から図11(c))およびサンプルTからV(図14(a)から図14(c))のように、粘土鉱物シートが1層の場合、合成サポナイトおよびモンモリロナイトのいずれの場合についても、dfppy、ppyおよびpiqの発光のピーク波長は、約500nm、約550nmおよび約600nmである。このように、イリジウム錯体の種類により発光する光の波長が異なる。発光強度は、酸素分圧が大きくなると波長によらず一様に小さくなる。
サンプルDからG(図11(d)から図11(g))のように、1層の粘土鉱物シート10aに複数の種類のイリジウム錯体が結合している場合、発光強度は、酸素分圧が大きくなると波長によらず一様に小さくなる。発光波長のピークは、単一のイリジウム錯体が結合する場合(サンプルAからC)に比べ変化する。
サンプルHからM(図12(a)から図12(f))のように、粘土鉱物シート10aおよび10bとして合成サポナイトを用い2層積層した場合、サンプルHからKについては、発光強度は、酸素分圧が大きくなると波長によらず一様に小さくなる。サンプルLについては、酸素分圧が大きくなると、波長が580nm付近の波長の長い光の発光強度が、波長が550nm付近の光に比べ早く小さくなる。このため、酸素分圧によって発光する光の色が変化する。一方、サンプルMについては、発光強度は、酸素分圧が大きくなると波長によらず一様に小さくなる。サンプルLのイリジウム錯体は、基板側からppyおよびpiqである。サンプルMのイリジウム錯体は、基板側からpiqおよびppyである。このように、異なるイリジウム錯体が結合した粘土鉱物シートが積層されている場合、積層の順番により、消光の振る舞いが異なる。例えば、サンプルLのように発光波長を酸素分圧により異ならせることができる。
サンプルNからS(図13(a)から図13(f))のように、粘土鉱物シート10aから10cを3層積層し合成サポナイトを用いた場合、異なるイリジウム錯体の積層順により、発光および消光の振る舞いが異なる。最上層がpiqのサンプルOおよびPにおいては、酸素分圧が大きくなると、波長が580nm付近の波長の光の発光強度が、波長が550nm付近の光に比べ早く小さくなる。これは、酸素分圧が大きくなると、最上層のpiqが早く消光するためと考えられる。サンプルN、RおよびSについては、波長が580nmの光が強い。これは、piqにppyおよびdfppyからエネルギー(例えば電子エネルギー)が移動し、piqが主に発光するためと考えられる。さらに、サンプルQにおいては、発光強度が波長によらず一様であり、消光も波長によらず一様である。これは、2層目のdfppyからppyおよびpiqにエネルギーが移動したためと考えられる。
サンプルWからZ(図14(d)から図14(g))のように、粘土鉱物シート10aおよび10bとしてモンモリロナイトを用い2層積層した場合、サンプルWについては、酸素分圧が大きくなると、波長が530nm付近の波長光の発光強度が、波長が550nm付近の光に比べ早く小さくなる。サンプルXについては、酸素分圧が大きくなると、波長が550nm付近の波長光の発光強度が、波長が530nm付近の光に比べ早く小さくなる。このように、最上層のイリジウム錯体が早く消光する。一方、サンプルYおよびZについては、発光強度は、酸素分圧が大きくなると波長によらず一様に小さくなる。
以上のように、実施例1のハイブリッド膜は、複数の粘土鉱物シート毎に、複数のイリジウム錯体が異なる配位子を有し、複数のイリジウム錯体は異なる配位子により異なる波長の光を発光する。異なるイリジウム錯体の結合した粘土鉱物シートの積層順番を変えることにより、発光の振る舞いを異ならせることができる。これにより、発光波長を簡単に調整することができる。例えば、イリジウム錯体の発光波長が異なるため、ハイブリッド膜から多色を発光させることができる。例えば、ガス分圧により発光波長を異ならせることができる。
最上層の粘土鉱物シートの表面に結合された金属錯体を、最も長い波長において発光する金属錯体piqとする。例えば、サンプルL、OおよびPのように、複数の粘土鉱物シートを合成サポナイトとし、粘土鉱物シートの表面に結合された金属錯体をpiqとする。これにより、ガス濃度が大きくなると、最上層の発光が早く消光し、ハイブリッド膜の発光波長が変化する。また、サンプルHおよびIのように、粘土鉱物シートを天然モンモリロナイトとし、金属錯体を、ppyとdfppyとを含むようにする。これにより、ガス濃度が大きくなると、ハイブリッド膜の発光波長が変化する。
また、サンプルPおよびQのように、中間の粘土鉱物シートの表面に結合された金属錯体を、最も短い波長において発光する金属錯体dfppyとする。これにより、発光波長が最も短いイリジウム錯体dfppyから1層目および3層目のイリジウム錯体にエネルギーが移動し、白色に近い発光が可能となる。
実施例2は、ガスセンサの例である。図15は、ハイブリッド膜を用いたガスセンサを示す図である。図15のように、チャンバ42内にハイブリッド膜40が設けられている。チャンバ42にはガス導入排出孔49が設けられている。光源44はハイブリッド膜40に光を照射する。光源44は、例えば430nmの紫外線を出射する。光源44が出射する光の波長は、イリジウム錯体を発光させる波長であれば、430nmでなくてもよい。検出器46は、ハイブリッド膜40から発光強度を検出する。例えば発光強度のピークの波長を測定する。または、例えばガス導入および排出前後の発光強度のピークの波長を検出する。演算部48は、検出器46が検出したピーク波長からガスの種類または濃度を算出する。
図15の例では、光源44からの励起光によって、イリジウム錯体を発光させているが、陰極と陽極との間にハイブリッド膜40を配置し、陰極と陽極間に電圧を印加することにより、イリジウム錯体を発光させてもよい。陽極としては例えばAg、陰極としては例えばITOを用いることができる。
実施例2によれば、ハイブリッド膜40として、例えば、サンプルL、O、P、WおよびXを用いる。検出器46は、複数のイリジウム錯体からの発光波長の変化によりガス濃度を検出する。このように、波長の変化により、簡単にガスの濃度を検出できる。
酸素以外にも水、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、クロロホルムおよびシクロヘキサンを検出することができる。例えば、OH基、CO基、CN基およびCl基といった官能基を有するガスを検出することができる。ガスの種類により発光波長を異ならせることもできる。
実施例2のような検出器46が設けられていなくとも、色の変化により、ガス濃度を知ることができる。例えば、ガス濃度が大きくなると、緑、黄色および赤の順に色が変化すれば、感覚的に危険を感じることができる。このように、ガス濃度(例えば酸素分圧)により発光色を異ならせることができる。
このように、実施例1のハイブリッド膜からの発光を用い対象物をセンシングする発光性センサとすることもできる。実施例1のハイブリッド膜はガスセンサ以外にも用いることができる。例えば匂いセンサに用いることができる。
以上の説明においては、金属錯体としてイリジウム錯体について説明したが、他の金属錯体でもよい。金属錯体は、発光性の金属錯体であればよい。例えば、ルテニウム錯体でもよい。
また、発光性の配位子としてdfppy、ppy、piqを例に説明したが、ppz(1-phenypyrazole)、tpy((2-p-tolyl)pyridine)および bzq(benzohquinoline)等を用いることができる。また、疎水性の配位子としてdcnbpy(nは自然数)を例に説明したが、dcnphen(phen=1,10-phenanthroline)、dcnacac(acac= acetylacetonato)等を用いることができる。
さらに、粘土鉱物として、合成サポナイト、合成ヘクトライトおよびモンモリロナイトを例に説明したが、これらに制限されない。例えば、粘土鉱物がスメクタイトの場合、バイデライト、ノントロナイト、スチブンサイト、ソーコナイト等を用いることもできる。層間の陽イオンとしてナトリウムやリチウムを有する合成テニオライト、合成四珪素雲母等の膨潤性雲母、2−八面体型バーミキュライト、3−八面体型バーミキュライト等を用いることもできる。これらの層状粘土鉱物は、天然鉱物であってもよく、水熱合成、溶融法または固相法等による合成物であってもよい。また、粘土鉱物シートとしては、上記の層状粘土鉱物のうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。粘土鉱物シートの材料を変えることにより発光色の波長等を変えることができる。また、粘土鉱物シート上に金属錯体を吸着させるため、強度を確保することができ、硬いハイブリッド膜を実現できる。よって、ガスセンサおよび発光性センサとしても用い易くなる。
以上、発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 粘土鉱物シート
12 イリジウム錯体
20 水
22 バリア
30 基板
40 ハイブリッド膜
42 チャンバ
44 光源
46 検出器
48 演算部
49 ガス導入排出孔

Claims (9)

  1. 積層された複数の粘土鉱物シートと、
    前記積層された複数の粘土鉱物シートの表面にそれぞれ結合された複数の金属錯体と、
    を具備し、
    前記複数の粘土鉱物シート毎に、前記複数の金属錯体が異なる配位子を有し、前記複数の金属錯体は前記異なる配位子により異なる波長の光を発光することを特徴とするハイブリッド膜。
  2. 前記複数の粘土鉱物シートは、スメクタイトであることを特徴とする請求項1記載のハイブリッド膜。
  3. 前記複数の金属錯体はイリジウム錯体であることを特徴とする請求項1または2記載のハイブリッド膜。
  4. 最上層の粘土鉱物シートの表面に結合された金属錯体は、最も長い波長において発光する金属錯体であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載のハイブリッド膜。
  5. 中間の粘土鉱物シートの表面に結合された金属錯体は、最も短い波長において発光する金属錯体であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載のハイブリッド膜。
  6. 前記複数の粘土鉱物シートはモンモリロナイトであり、前記複数の金属錯体は、ppyとdfppyとを含むことを特徴とする請求項1記載のハイブリッド膜。
  7. 前記複数の粘土鉱物シートは合成サポナイトであり、最上層の粘土鉱物シートの表面に結合された金属錯体はpiqであることを特徴とする請求項1記載のハイブリッド膜。
  8. 請求項1から7のいずれか一項記載のハイブリッド膜と、
    前記複数の金属錯体からの発光波長の変化によりガス濃度を検出する検出部と、
    を具備することを特徴とするガスセンサ。
  9. 請求項1から7のいずれか一項記載のハイブリッド膜を具備し、
    前記ハイブリッド膜からの発光を用い対象物をセンシングすることを特徴とする発光性センサ。
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JPWO2015034070A1 (ja) * 2013-09-06 2017-03-02 国立大学法人山口大学 圧力感知材料、その製造方法、及び圧力感知塗料
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