JP2013200155A - 車両速度検出装置及び計測対象の位置または速度を検出するための方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転体の回転方向にノイズ振動が重畳しても正確に速度を検出することを可能とした耐振動性の高い車両速度検出装置を提供する。
【解決手段】車両速度検出装置は、複数の矩形状のスリット3が回転方向に沿って等間隔に形成されると共に該スリットの長辺が前記回転方向に対して所定の傾斜角度だけ傾けられている回転体と、回転体に隣接して配置され、回転方向に対して垂直な方向に間隔を隔てられた第1及び第2のセンサ5a、5bと、信号処理装置と、を備える。第1及び第2のセンサは、スリット3を検出したときハイレベルをとり、該スリットを検出していないときローレベルをとる第1及び第2の信号を各々出力する。信号処理装置は、第1の信号の値及び第2の信号の値が同時にハイレベルであるとき、スリット3が検出されたと判定し、該スリットの検出回数から回転体の回転速度を演算する。
【選択図】図2
【解決手段】車両速度検出装置は、複数の矩形状のスリット3が回転方向に沿って等間隔に形成されると共に該スリットの長辺が前記回転方向に対して所定の傾斜角度だけ傾けられている回転体と、回転体に隣接して配置され、回転方向に対して垂直な方向に間隔を隔てられた第1及び第2のセンサ5a、5bと、信号処理装置と、を備える。第1及び第2のセンサは、スリット3を検出したときハイレベルをとり、該スリットを検出していないときローレベルをとる第1及び第2の信号を各々出力する。信号処理装置は、第1の信号の値及び第2の信号の値が同時にハイレベルであるとき、スリット3が検出されたと判定し、該スリットの検出回数から回転体の回転速度を演算する。
【選択図】図2
Description
本発明は、車両に用いられる車両速度検出装置、及び、計測対象の位置または速度を検出するための方法に関する。
従来の車両速度検出装置として、例えば、下記特許文献1に記載されているものがある。この車両速度検出装置は、図2に示されているように、多数の検出孔221を周方向に略等間隔をおいて備えた円環状のパルサーリング22を車輪の回転に対応して回転するように取り付け、このパルサーリング22に隣接した所定位置に車輪速センサ21を取り付けることによって構成されている。なお、検出孔221は、そのスリット形状の長さ方向がパルサーリング22の径方向に整列するように形成されている。
パルサーリング22が車輪の回転によって回転するとき、検出孔221は、順次車輪速センサ21の検出領域を通過するので、車輪速センサ21は、検出孔221の所定時間内での通過回数をカウントすることによって、車輪の回転速度、即ち車両速度を検出することが可能となる。車輪速センサ21の構成に関しては、特許文献1には明示されていないが、当該技術分野で知られている方法によれば、例えば、磁場の向きがパルサーリング22の表面に対して略垂直となるように配置された磁石と、当該磁石による磁場を検出するためのホール素子等の磁場センサとを備えることにより車輪速センサを構成することができる。磁石による磁場中を検出孔221が通過するときと検出孔間の領域とが通過するときとで、磁場は異なってくるため、検出された磁場信号の変化をパルス信号列に変換し、パルス数をカウントすることにより検出孔221の通過をカウントすることが可能となる。また、発光ダイオードと、発光ダイオードからの光の検出孔を介した通過/遮断を検出するように配置された光センサとにより車輪速センサ21を構成することもできる。
いずれにしても、従来技術では、検出孔を1つのセンサで検出する構成である。しかし、従来技術では、パルサーリングが回転している間、その回転方向に微小振動が重畳していると、センサが検出孔の回転方向の縁近傍に差し掛かったとき、意図せずセンサがスイッチングして誤検出するおそれがでてくる。また、検出速度の分解能は、検出孔の物理的寸法のみに依存しており、分解能を上げたい場合には、検出孔をより小さく作る必要がある。更には、上述した速度検出方法では、パルサーリングの回転方向を検出することができないという問題もある。
回転速度だけでなく回転方向も検出可能な回転検出装置が特許文献2に開示されている。この回転検出装置は、車輪と共に回転するギア1と、2つの磁気センサ(3,4)と、磁気センサ(3,4)からの信号Sa、Sbに基づいて回転方向を示す判定信号Scを出力するラッチ回路5と、を備えて構成されている。2つの磁気センサ(3,4)は、ギア1の外周部と対抗するようにして配置され、両センサ間の間隔は、ギア1の山部1aのピッチの整数倍の距離に1/4ピッチ分の距離を加算あるいは減算した距離に設定されている。磁気センサ3,4は、ギア1の山部1aと対向していると、ハイレベルの検出信号を出力し、谷部1bと対向しているとローレベルの検出信号を出力する。磁気センサ3,4は、ギア1の回転に伴い、1/4ピッチの位相差をもって矩形状の検出信号Sa、Sbを出力する。検出信号Saはラッチ回路5のデータ入力端子に入力され、検出信号Sbは、ラッチ回路5のクロック入力端子CLに入力され、ラッチ回路5は、ギア1が正回転をしているときには、ハイレベルの信号を出力し、ギア1が逆回転をしているときには、ローレベルの信号を出力する。
しかし、特許文献2は、特許文献1と同様に、ギア1の回転に振動が重畳したときの解決手段や分解能を上げるための手段は開示も示唆もしていない。
本発明は、上記事実に鑑みなされたもので、回転体の回転方向にノイズ振動が重畳しても、正確に速度を検出することを可能とした、耐振動性の高い車両速度検出装置を提供すること、並びに、計測対象の変位方向にノイズ振動が重畳しても、正確に計測対象の位置または速度を検出することを可能とした方法を提供することをその目的とする。
また、本発明は、検出速度または位置の分解能を向上させることを別の目的とする。
更に、本発明は、上記目的を達成すると共に、回転体の回転方向及び計測対象の変位方向を検出することを可能にすることを更に別の目的とする。
更に、本発明は、上記目的を達成すると共に、回転体の回転方向及び計測対象の変位方向を検出することを可能にすることを更に別の目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の車両速度検出装置は、車輪と共に回転するように取り付けられた回転体であって、該回転体には、その回転方向に沿って等間隔に複数の矩形状のスリットが形成され、該スリットの長辺が前記回転方向に対して所定の傾斜角度だけ傾けられている、前記回転体と、前記回転体に隣接して配置された第1及び第2のセンサであって、該第1及び第2のセンサは、少なくとも前記回転方向に対して垂直な方向に間隔を隔てられており、前記第1及び第2のセンサは、前記スリットを検出したとき第1値をとり、該スリットを検出していないとき該第1値とは異なる第2値をとる第1及び第2の信号を各々出力する、前記第1及び第2のセンサと、前記第1の信号の値と前記第2の信号の値とから前記スリットが検出されたか否かを判定し、該スリットの検出回数から前記回転体の回転速度を演算する、信号処理装置と、を備えて構成したものである。
本発明によれば、回転体に形成された複数のスリットの長辺が回転方向に対して所定の傾斜角度だけ傾けられており、第1及び第2のセンサからの2つの信号を用いて、スリットが検出されたか否かを判定するようにしたので、回転体の回転方向にノイズ振動が重畳しても正確に速度を検出可能な耐振動性の高い態様、及び、速度検出の分解能を向上させる態様の少なくともいずれかを実現することができる。
耐振動性の高い態様では、信号処理装置は、第1の信号の値及び第2の信号の値が同時に第1値であるとき、スリットが検出されたと判定する。速度検出の分解能を向上させる態様では、信号処理装置は、第1の信号の値及び第2の信号の値のいずれかが第1値であるとき、スリットが検出されたと判定する。
本発明の好ましい態様の信号処理装置は、上記機能に加えて、第1及び第2の信号のいずれかの値が変化したとき、その変化時点前後における、第1及び第2の信号の値の組み合わせに基づいて回転体の回転方向を決定することができる。
本発明の別の態様は、所定の変位方向に位置を変位させる計測対象の位置または速度を検出するための方法であって、前記計測対象には、前記変位方向に沿って等間隔に複数の被検出要素が形成され、該被検出要素の長さ方向が前記変位方向に対して所定の傾斜角度だけ傾けられており、前記方法は、前記計測対象に隣接して第1及び第2のセンサを配置する工程であって、該第1及び第2のセンサは、少なくとも前記変位方向に対して垂直な方向に間隔を隔てられており、前記第1及び第2のセンサは、前記被検出要素を検出したとき第1値をとり、該被検出要素を検出していないとき該第1値とは異なる第2値をとる第1及び第2の信号を各々出力する、前記センサ配置工程と、前記第1の信号の値と前記第2の信号の値とから前記被検出要素が検出されたか否かを判定する判定工程と、前記被検出要素が検出されたと判定された回数をカウントするカウント工程と、前記被検出要素のカウント回数から前記計測対象の位置または速度を演算する演算工程と、を備えて構成したものである。
本発明によれば、計測対象に形成された複数の被検出要素の長辺が回転方向に対して所定の傾斜角度だけ傾けられており、第1及び第2のセンサからの2つの信号を用いて、被検出要素が検出されたか否かを判定するようにしたので、計測対象の変位方向にノイズ振動が重畳しても正確に速度を検出可能な耐振動性の高い態様、及び、速度検出の分解能を向上させる態様の少なくともいずれかを実現することができる。
本発明の上記態様では、計測対象は、回転体であり、変位方向は、該回転体の回転方向であってもよいが、これに限定されず、計測対象は、直線的に移動する物体であり、変位方向はその移動方向であってもよい。
また、被検出要素は、該被検出要素を第1及び第2のセンサが検出できる任意の要素であってもよく、例えばスリット、溝、凹部及び隆起部のいずれも可能である。
耐振動性を向上させるため好ましい判定工程では、第1の信号の値及び第2の信号の値が同時に第1値であるとき、被検出要素が検出されたと判定する。
耐振動性を向上させるため好ましい判定工程では、第1の信号の値及び第2の信号の値が同時に第1値であるとき、被検出要素が検出されたと判定する。
分解能を向上させるため好ましい判定工程では、第1の信号の値及び第2の信号の値のいずれかが第1値であるとき、被検出要素が検出されたと判定する。
本発明の好ましい態様では、第1及び第2の信号のいずれかの値が変化したとき、その変化時点前後における、第1及び第2の信号の値の組み合わせに基づいて計測対象の変位方向を決定する工程を更に備える。
本発明の好ましい態様では、第1及び第2の信号のいずれかの値が変化したとき、その変化時点前後における、第1及び第2の信号の値の組み合わせに基づいて計測対象の変位方向を決定する工程を更に備える。
上記いずれの態様においても、好ましくは、第1のセンサと第2のセンサとの間の間隔をs、隣接する被検出要素(スリット)の対応する長辺の間の変位方向(回転方向)における間隔をd、所定の傾斜角度をαとしたとき、
[数1]
α=tan-1 s/(d/4)
が成り立つように被検出要素(スリット)、第1及び第2のセンサを配置する。
[数1]
α=tan-1 s/(d/4)
が成り立つように被検出要素(スリット)、第1及び第2のセンサを配置する。
(第1の実施例)
図1は、本発明の第1の実施例に係る車両速度検出装置1を示す概略図である。図1に示されるように、車両速度検出装置1は、車輪(図示せず)と共に回転軸4の回りに回転するように取り付けられた回転体2と、回転方向Rに沿って等間隔に該回転体2の全周に亘って形成された複数の矩形状のスリット3と、スリット3を検出するため回転体2に隣接して配置されたスリット検出センサ5と、磁気センサ5から出力された信号に基づいて回転体2の回転速度及び回転方向を演算する信号処理装置10と、を備えている。
図1は、本発明の第1の実施例に係る車両速度検出装置1を示す概略図である。図1に示されるように、車両速度検出装置1は、車輪(図示せず)と共に回転軸4の回りに回転するように取り付けられた回転体2と、回転方向Rに沿って等間隔に該回転体2の全周に亘って形成された複数の矩形状のスリット3と、スリット3を検出するため回転体2に隣接して配置されたスリット検出センサ5と、磁気センサ5から出力された信号に基づいて回転体2の回転速度及び回転方向を演算する信号処理装置10と、を備えている。
次に、スリット検出センサ5とスリット3との位置関係を図2を用いて説明する。
図2に示すように、スリット検出センサ5は、2つの磁気センサ5a、5bを備えて構成されている。回転体2が回転すると、磁気センサ5a、5bは、スリット3に対して相対的に図2のR1、R2方向に移動する。R1、R2方向は、回転体2の周方向であり、図1の回転方向Rと同方向であるので、図2に示されるように、スリット3は、該スリットの長辺が回転方向Rに対して所定の傾斜角度αだけ傾けられて形成されていることが理解されよう。また、2つの磁気センサ5a、5bは、回転体2の径方向、即ち回転方向Rに対して垂直な方向に互いに間隔を隔てられている。
図2に示すように、スリット検出センサ5は、2つの磁気センサ5a、5bを備えて構成されている。回転体2が回転すると、磁気センサ5a、5bは、スリット3に対して相対的に図2のR1、R2方向に移動する。R1、R2方向は、回転体2の周方向であり、図1の回転方向Rと同方向であるので、図2に示されるように、スリット3は、該スリットの長辺が回転方向Rに対して所定の傾斜角度αだけ傾けられて形成されていることが理解されよう。また、2つの磁気センサ5a、5bは、回転体2の径方向、即ち回転方向Rに対して垂直な方向に互いに間隔を隔てられている。
磁気センサ5a、5bは、各々のセンサ検出領域をスリット3が通過するとき、ハイレベルHの信号を出力し、各々のセンサ検出領域をスリット3が通過していないとき、即ち、各々のセンサ検出領域をスリット間の領域が通過するとき、ローレベルLの信号を出力する。このことは、スリット検出センサ5が図示しない磁石を有しており、スリットが通過することにより変化する検出磁場の強弱をハイ(H)、ロー(L)の信号に変換することによって実現することができる(なお、信号1及び2は、図示しないADコンバータによってデジタルデータに変換されているものとして扱う)。従って、回転体2が回転するとき、磁気センサ5aは、図2に示すように、信号1を出力し、磁気センサ5bは信号2を出力する。信号1は、磁気センサ5aがスリット間領域からスリット3の長辺に到達したときにローレベルからハイレベルに変わり、スリット3の反対側長辺から出るときにハイレベルからローレベルに変わる。磁気センサ5bに関しても同様であるが、スリット3が図2に示すように傾斜されているため、信号1は信号2に比べて位相が遅延される。かくして、スリット検出センサ5は、位相の異なる2つのパルス信号を出力することになる。
本実施例において、スリット3の好ましい傾斜角度αは、図3に示すように、以下の通りとなる。
[数2]
α=tan-1 s/(d/4) (1)
ここで、磁気センサ5aと磁気センサ5bとの間のセンサ間隔をs、隣接するスリットの対応する長辺の間の回転方向における間隔をdとする。
[数2]
α=tan-1 s/(d/4) (1)
ここで、磁気センサ5aと磁気センサ5bとの間のセンサ間隔をs、隣接するスリットの対応する長辺の間の回転方向における間隔をdとする。
上記(1)式のように傾斜角度を設定することにより、信号1及び2において、同一回転速度において、ハイレベルとローレベルとを同程度の時間長さとすることができ、後述する回転速度及び回転方向の検出の精度において有利となる。
次に、図4(a)を用いて第1の実施例に係る信号処理装置10の概略構成を説明する。本実施例に係る信号処理装置10は、信号1及び2の値(LまたはH)の論理積を出力するANDゲート12と、ANDゲート12の出力信号においてハイレベルとなったパルスをカウントするカウンター14と、信号1または2が変化する時点の前後における信号1及び2の値を記憶し、信号1または2が変化する毎に記憶した4つの値を出力する、レジスター部16と、レジスター部16から出力された4つの値を入力として、該4つの値の組み合わせに対応する回転方向信号を出力するROM18と、を備えている。
以下、本発明の実施例の作用に関して説明する。
車両が走行し、車輪と共に回転体2が回転しているとき、スリット検出センサ5の磁気センサ5a、5bの検出領域をスリット3が順次通過していく。磁気センサ5a、5bはスリット3を検出する毎にハイレベル(H)となり、スリット間の領域を検出する毎にローレベル(L)となる信号1及び2(図2)を各々出力する。信号1及び2は、信号処理装置10に送られる。
車両が走行し、車輪と共に回転体2が回転しているとき、スリット検出センサ5の磁気センサ5a、5bの検出領域をスリット3が順次通過していく。磁気センサ5a、5bはスリット3を検出する毎にハイレベル(H)となり、スリット間の領域を検出する毎にローレベル(L)となる信号1及び2(図2)を各々出力する。信号1及び2は、信号処理装置10に送られる。
信号処理装置10では、ANDゲート12が信号1及び信号2の論理積を演算する。この論理積の信号が図2において合成信号として示されている。合成信号は、信号1及び2のいずれもがハイレベル(H)のときにハイレベル(H)、信号1及び2の少なくとも1つがローレベル(L)のときにローレベル(L)となる。合成信号においてハイレベルとなっている部分がパルスを形成し、カウンター14が、合成信号中の当該パルスの数をカウントする。単位時間当たりのパルス数は回転体2の回転速度を反映しているので、カウンター14の出力に基づいて回転体2の回転速度、よって車両速度を求めることが可能となる。
本発明の実施例によれば、傾斜されたスリット3を2つのセンサにより各々検出し、検出された信号1及び2の論理積がハイレベル(H)となっているとき、即ち2つのセンサがいずれもスリットを検出しているときに生成されるパルスを検出することで、回転方向に微小振動が重畳していても、より正確に回転速度を検出することができる。その理由について図5を用いて詳細に説明する。
図5には、センサ5a、5bとスリット3との間の相対的な位置1、2、3が示されている。位置1では、センサ5aがスリット3の長辺付近に位置し、センサ5bがスリット3の中央付近に位置している。この場合、回転体2に回転方向の振動が存在していると、微小振幅の振動だとしてもセンサ3aがスリット間領域で遮られたりスリット3を検出したりするため、センサ5は、意図せずにスイッチングするおそれがある。しかし、センサ5bは、スリット幅の1/2以下の振幅の振動であれば、スイッチングしない。逆に、位置2では、センサ5aがスリット3の中央付近に位置し、センサ5bがスリット3の長辺付近に位置している。この場合、センサ5bがスイッチングし、センサ5aは、スリット幅の1/2以下の振幅の振動であれば、スイッチングしない。位置3では、スリット5aが再びスリットの長辺付近に位置するため、微小振動の影響によりスイッチングしやすく、スリット5bは、スリット間領域の中央付近に位置するため、スリット幅の1/2以下の振幅の振動であれば、スイッチングしない。このように、センサ5a、5bは、スリット3の中央付近、或いは、スリット間領域の中央付近に位置するとき、微小振動の影響を受けにくくなる。
図2から理解することができるように、信号1及び2の合成信号は、センサ5a、5bがスリット3の長辺付近にあるときの信号を除いた信号として形成されている。換言すれば、センサ5aがスリット中央付近に位置する場合の信号とセンサ5bがスリット中央付近に位置する場合の信号の和として形成されている。従って、合成信号によるスリットの検出は、スリット幅の1/2以下の振幅の振動が回転方向に重畳したとしても、誤検出を確実に防止することができ、耐振動性を大幅に向上させることが可能となる。
更に、信号処理装置10では、レジスター部16が、信号1及び2のいずれかがLからHに或いはHからLへと変化した時点の前後における信号1及び2の値を順次記憶する。そして、レジスター部16は、信号1及び2のいずれかが変化する毎に、これらの4つの値の組み合わせ(変化前の信号1の値、変化後の信号1の値、変化前の信号2の値、変化後の信号2の値)をROM18へと出力する。ROM18は、4つの値の組み合わせの各々に対応する回転方向を記憶しており、入力値に応じて回転方向を示す信号を出力する。
ここで、回転処理装置10において回転方向を検出するための方法を図6を用いて説明する。
図6には、センサ5a、5bに対するスリット3の位置を5つの位置(1),(2),(3),(4),(5)に分類した状態が示されている。これらの5つの位置内での位置変化により、センサ5a、5bのいずれかの出力信号は変化する。更に、図6には、出力信号の変化時点の前後における信号1及び2の値の全ての組み合わせと、当該組み合わせの各々が左回転と右回転のいずれに対応するかが示されている。
図6には、センサ5a、5bに対するスリット3の位置を5つの位置(1),(2),(3),(4),(5)に分類した状態が示されている。これらの5つの位置内での位置変化により、センサ5a、5bのいずれかの出力信号は変化する。更に、図6には、出力信号の変化時点の前後における信号1及び2の値の全ての組み合わせと、当該組み合わせの各々が左回転と右回転のいずれに対応するかが示されている。
例えば、車両が停止した状態でスリット位置が(2)であるとき、車輪即ち回転体2が左回転するとスリット位置は位置(3)に移動する。このとき、センサ5bの信号値はHのままであるが、センサ5aの信号値はLからHに変化する。この変化に伴い、レジスター部16は、(変化前の信号1の値、変化後の信号1の値、変化前の信号2の値、変化後の信号2の値)=(L,H,H,H)を出力する。図6に示されるように、(L,H,H,H)の組み合わせは、回転体2が左回転してスリットが位置(2)から位置(3)に移動するときしかあり得ないため、回転体2は左回転していると判定することができる。逆に車輪即ち回転体2が右回転してスリット位置が位置(2)から位置(1)に移動したとき、レジスター部16は、(変化前の信号1の値、変化後の信号1の値、変化前の信号2の値、変化後の信号2の値)=(L,L,H,L)を出力する。この組み合わせは、回転体2が位置(2)から右回転するときしかあり得ないため、回転体2は右回転していると判定することができる。他の位置からの変化についても同様にして回転方向を検出することができる。
本実施例によれば、回転体2の右方向及び左方向が、車両の進行方向、逆走方向のいずれに各々対応するかは既知であるので、判定された回転体の回転方向から車両がバックしているか否かを判定することができる。
(第2の実施例)
次に第2の実施例を図4(b)及び図7を用いて説明する。
(第2の実施例)
次に第2の実施例を図4(b)及び図7を用いて説明する。
図4(b)に示されるように、第2の実施例に係る信号処理装置10’は、第1の実施例のANDゲート12を、XORゲート13に代えたものである。その他の部分は第1の実施例と同様であるので、詳細な説明を省略する。
XORゲート13は、信号1及び信号2の排他的論理和を演算する。この排他的論理和の信号が図7において合成信号として示されている。この合成信号は、信号1及び2のいずれか1つがハイレベル(H)のときにハイレベル(H)となり、信号1及び2のいずれもがローレベル(L)またはハイレベル(H)のときにローレベル(L)となる。第1の実施例と同様に、合成信号においてハイレベルとなっている部分がパルスを形成しており、カウンター14が、合成信号中の当該パルスの数をカウントすることによって、回転速度、よって車両速度を求めることが可能となる。
図2と図7とを比較すると、第1の実施例では、1スリット当たり1パルスを出力しているのに対し、第2の実施例では、1スリット当たり2パルスを出力している。従って、第2の実施例では、第1の実施例に比べて位置または速度の分解能を2倍にすることが可能となる。逆に、第2の実施例を用いることによって、要求される分解能に対して、スリット数を半分にすることが可能となる。
また、XORゲート13を、第1の実施例のANDゲート12と並列に設け、両者を状況に応じて切り替えてもよい。この態様では、振動が多くて耐振動性を向上させたい場合には、ANDゲート12の合成信号を速度検出に用い、振動が少なく分解能を向上させたい場合には、XORゲート13を用いることが可能となる。
以上が本発明の実施例であるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内において任意好適に変更可能である。
例えば、本発明の速度検出装置を車両速度検出に用いる例を示したが、速度検出を用いる他の任意の分野にも応用することができる。また、本発明は、ロータリーエンコーダ等による位置検出にも適用可能である。
例えば、本発明の速度検出装置を車両速度検出に用いる例を示したが、速度検出を用いる他の任意の分野にも応用することができる。また、本発明は、ロータリーエンコーダ等による位置検出にも適用可能である。
また、センサが検出する被検出要素としてスリット3を例にしたが、周期的に形成された溝、凹部、隆起部などの被検出要素を用いることもできる。
更には、回転体に限らず、直線状に移動する移動体の位置または移動速度を検出する分野にも本発明を適用することができる。
更には、回転体に限らず、直線状に移動する移動体の位置または移動速度を検出する分野にも本発明を適用することができる。
また、センサとして磁気センサを用いたが、被検出要素を検出することができる限りにおいて、これに限定されるものではなく、例えば光センサ等を用いることもできる。
1 車両速度検出装置
2 回転体
3 スリット
4 回転軸
5 スリット検出センサ
5a、5b 磁気センサ
10 信号処理装置(第1の実施例)
10’ 信号処理装置(第2の実施例)
12 ANDゲート
13 XORゲート
14 カウンター
16 レジスター部
18 ROM
2 回転体
3 スリット
4 回転軸
5 スリット検出センサ
5a、5b 磁気センサ
10 信号処理装置(第1の実施例)
10’ 信号処理装置(第2の実施例)
12 ANDゲート
13 XORゲート
14 カウンター
16 レジスター部
18 ROM
Claims (12)
- 車両速度検出装置であって、
車輪と共に回転するように取り付けられた回転体であって、該回転体には、その回転方向に沿って等間隔に複数の矩形状のスリットが形成され、該スリットの長辺が前記回転方向に対して所定の傾斜角度だけ傾けられている、前記回転体と、
前記回転体に隣接して配置された第1及び第2のセンサであって、該第1及び第2のセンサは、少なくとも前記回転方向に対して垂直な方向に間隔を隔てられており、前記第1及び第2のセンサは、前記スリットを検出したとき第1値をとり、該スリットを検出していないとき該第1値とは異なる第2値をとる第1及び第2の信号を各々出力する、前記第1及び第2のセンサと、
前記第1の信号の値と前記第2の信号の値とから前記スリットが検出されたか否かを判定し、該スリットの検出回数から前記回転体の回転速度を演算する、信号処理装置と、
を備える、車両速度検出装置。 - 前記信号処理装置は、前記第1の信号の値及び前記第2の信号の値が同時に前記第1値であるとき、前記スリットが検出されたと判定する、請求項1に記載の車両速度検出装置。
- 前記信号処理装置は、前記第1の信号の値及び前記第2の信号の値のいずれかが前記第1値であるとき、前記スリットが検出されたと判定する、請求項1に記載の車両速度検出装置。
- 前記信号処理装置は、前記第1及び第2の信号のいずれかの値が変化したとき、その変化時点前後における、前記第1及び第2の信号の値の組み合わせに基づいて前記回転体の回転方向を決定する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両速度検出装置。
- 前記第1のセンサと前記第2のセンサとの間の前記間隔をs、隣接するスリットの対応する長辺の間の前記回転方向における間隔をd、前記所定の傾斜角度をαとしたとき、
[数1]
α=tan-1 s/(d/4)
が成り立つことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両速度検出装置。 - 所定の変位方向に位置を変位させる計測対象の位置または速度を検出するための方法であって、
前記計測対象には、前記変位方向に沿って等間隔に複数の被検出要素が形成され、該被検出要素の長さ方向が前記変位方向に対して所定の傾斜角度だけ傾けられており、
前記方法は、
前記計測対象に隣接して第1及び第2のセンサを配置する工程であって、該第1及び第2のセンサは、少なくとも前記変位方向に対して垂直な方向に間隔を隔てられており、前記第1及び第2のセンサは、前記被検出要素を検出したとき第1値をとり、該被検出要素を検出していないとき該第1値とは異なる第2値をとる第1及び第2の信号を各々出力する、前記センサ配置工程と、
前記第1の信号の値と前記第2の信号の値とから前記被検出要素が検出されたか否かを判定する判定工程と、
前記被検出要素が検出されたと判定された回数をカウントするカウント工程と、
前記被検出要素のカウント回数から前記計測対象の位置または速度を演算する演算工程と、
を備える、方法。 - 前記計測対象は、回転体であり、前記変位方向は、該回転体の回転方向である、請求項6に記載の方法。
- 前記被検出要素は、スリット、溝、凹部及び隆起部のいずれかである、請求項6または7に記載の方法。
- 前記判定工程では、前記第1の信号の値及び前記第2の信号の値が同時に前記第1値であるとき、前記被検出要素が検出されたと判定する、請求項6乃至7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記判定工程では、前記第1の信号の値及び前記第2の信号の値のいずれかが前記第1値であるとき、前記被検出要素が検出されたと判定する、請求項6乃至7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記第1及び第2の信号のいずれかの値が変化したとき、その変化時点前後における、前記第1及び第2の信号の値の組み合わせに基づいて前記計測対象の変位方向を決定する工程を更に備える、請求項6乃至10のいずれか1項に方法。
- 前記第1のセンサと前記第2のセンサとの間の前記間隔をs、隣接する被検出要素の対応する長辺の間の前記回転方向における間隔をd、前記所定の傾斜角度をαとしたとき、
[数1]
α=tan-1 s/(d/4)
が成り立つことを特徴とする、請求項6乃至11のいずれか1項に記載の方法。
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---|---|---|---|
JP2012067467A JP2013200155A (ja) | 2012-03-23 | 2012-03-23 | 車両速度検出装置及び計測対象の位置または速度を検出するための方法 |
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JP2012067467A JP2013200155A (ja) | 2012-03-23 | 2012-03-23 | 車両速度検出装置及び計測対象の位置または速度を検出するための方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018527577A (ja) * | 2015-09-14 | 2018-09-20 | タレス マネジメント アンド サービシズ ドイチュランド ゲーエムベーハーThales Management & Services Deutschland GmbH | 軌条車両の速度を決定する方法 |
TWI711805B (zh) * | 2019-09-06 | 2020-12-01 | 晶翔機電股份有限公司 | 用於測量轉子的實際轉速的測量裝置及方法 |
-
2012
- 2012-03-23 JP JP2012067467A patent/JP2013200155A/ja active Pending
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JP2018527577A (ja) * | 2015-09-14 | 2018-09-20 | タレス マネジメント アンド サービシズ ドイチュランド ゲーエムベーハーThales Management & Services Deutschland GmbH | 軌条車両の速度を決定する方法 |
US10858021B2 (en) | 2015-09-14 | 2020-12-08 | Thales Management & Services Deutschland Gmbh | Method for determining the speed of a rail-bound vehicle |
TWI711805B (zh) * | 2019-09-06 | 2020-12-01 | 晶翔機電股份有限公司 | 用於測量轉子的實際轉速的測量裝置及方法 |
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