JP2013197646A - 画像圧縮システムのデータ処理方法,データ処理プログラム,及び画像圧縮装置 - Google Patents

画像圧縮システムのデータ処理方法,データ処理プログラム,及び画像圧縮装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 画像圧縮システムで,フィールド符号化及びフレーム符号化を切り替えて動き補償分岐処理による処理負担を軽減することを目的とする。
【解決手段】 画像圧縮システム1では,動き補償部12は,動きベクトルを用いて予測画像を作成する動き補償で,論理画素の座標値の正負符号ビットを用いて,参照フレームの有効画素領域と有効画素領域外とを区別して参照画像を取得する。
【選択図】 図3

Description

本発明は,画像圧縮処理にかかるデータ処理に関し,より詳しくは,画像圧縮・復号処理における動き補償処理の領域外拡張処理に関する。
画像圧縮処理では,ピクチャ間の相関を活用した動き補償技術を用いて,データの圧縮率向上を図っている。
図12に,動き補償技術を用いた画像圧縮(符号化)処理を行うシステムのブロック構成例を示し,図13に,画像データの処理単位例を示す。
図13に示すように,画像圧縮(符号化)処理は16x16画素などのブロック単位に行われるものとする。
図12に示すシステム9に画像が入力されると,まず,動き検出・符号化モード決定部91が,動きベクトル検出や符号化モードの決定を行う。動きベクトル検出とは,現在処理中のフレームの処理中ブロックが,符号化済フレームのどこに一番似ているかの探索を行う処理である。処理中ブロックに最も類似する画像として選択された類似画像ブロックを参照画像または参照ブロックと言う。現在処理中の画素ブロックに,より類似した参照画像を選定することで,差分情報が少なくて済み,符号化効率向上につながる。また,符号化モードの決定とは,例えば,動きベクトルを使用するブロックの大きさ(16x16,16x8,8x16,8x8,など)や,画面間予測(インター予測)符号化,画面内予測(イントラ予測)符号化などの複数の符号化モードのうち,どのモードで符号化すると一番効率が良くなるかの判定を行う処理である。動き検出・符号化モード決定部91は,複数のモードに対して発生ビット量の見積りを行い,より少ないビット量となるような判定を行う。
インター予測の場合には,動き補償部92が,参照画像を作成し,イントラ予測の場合には,画面内予測部93が,現在処理中の同一フレームの上画素または下画素等の隣接画素から参照画像を作成する。
DCT量子化部94は,参照画像と入力現画像の差分画像に対し,DCT変換を施し,さらに量子化を行う。さらに,エントロピー符号化部95が,符号化モード,ベクトル情報,差分情報など所定のシンタックス要素を可変長符号化する。逆量子化逆DCT部96は,復号フレーム作成のために,逆量子化と逆DCTを行う。これは,次回フレームの参照画像用にエンコーダ内部に符号化済画像を持っておく必要があるためである。
符号化制御部97は,入力原画状況やそれまで発生したストリームのビット量などを元に今回発生させるビット量の制御を行う。
動き補償について,図14を用いてさらに説明する。
画像ストリームデータ中にはベクトル情報と残差情報のみが符号化されている。図14に示すframe3が現在処理中のフレームである場合に,frame3の処理中ブロックの情報とframe2の動きベクトルにより特定される画像ブロックである参照画像との差分が残差情報となる。
画像復号化の場合には,図14に示すように,復号処理でベクトル情報を用いて予測画像(frame2の参照画像)を作成し,作成した予測画像と残差情報とを加算することで復号画像を再生している。例えば,16x16画素ブロックごとに動きベクトルを定義し,参照画像上のベクトルの指す位置を再生時の予測画像として用いる。より類似度の高い予測画像を選択することによって圧縮効率を高めることができる。
さらに,参照位置は,1/2および1/4画素位置も参照できるようになっており,参照位置が1/2,1/4画素位置の場合は,フィルタ処理で補間画像を作成することでより近い参照画像の作成を可能としている。
次に,領域外参照について,図15を用いて説明する。
動き補償をする参照先領域は,符号化済フレームの任意の位置を指定することができる。ここで,参照ブロックの一部に有効フレーム領域の範囲外(領域外)を含むような位置も参照先領域として指定可能とすることで,さらに符号化効率を高めることができる。例えば,図15に示すように,フレームの外部からフレームの内部へ物体が徐々に入ってくるような動画において,ブロックの一部がフレーム内であり一部がフレーム外であるような位置の画像ブロック(参照ブロック)を,処理中フレームの予測画像として用いるような場合である。参照ブロックが,一部に類似するフレーム内画像を含む場合には,一部にフレーム外を含んでいたとしても符号化効率が良い場合となることが多いことによる。
有効フレーム領域の範囲外で画素がない部分は,有効フレーム領域の一番縁(外辺)の画素で代用する画素拡張処理が行われる。
なお,画素拡張処理のために符号ビットを利用した有効フレーム領域内外を区分けする手法が知られている。
次に,適応フレーム・フィールド符号化について図16を用いて説明する。
上述の説明では,「予測画像」に「残差情報」を加算する復号処理として,16x16画素単位などのブロック単位で行われる場合の処理例を示していた。しかし,図16(A)に示すような処理ブロック単位を単純な16x16画素を1ブロック単位として処理する場合と,図16(B)に示すような奇数ラインと偶数ラインを分けて別個に処理する場合との2種類の符号化方法による処理を行えるように構成しておき,これら2つの符号化処理を適応的に切り替えることによって,より予測効率の良い処理を選択でき,符号化効率を向上させることができる。
したがって,適応フレーム・フィールド符号化の手法を切り替える構成でのフレーム外参照処理では,画素拡張について,以下のような処理を行う。
参照ブロック(予測ブロック)の一部に有効フレーム領域の範囲外を含むような場合に,フレーム符号化において,参照元が16x16画素のブロックであれば,参照ブロック内の画素がない部分(領域外画素)は,有効フレーム領域の縁の画素を単純に拡張して代用される。
しかし,フィールド予測の場合には,有効フレーム領域の上部の領域外および下部の領域外の参照ブロックについては,奇数フィールド及び偶数フィールドを,それぞれ別々に拡張するほうが,符号化効率が良い。これは,フィールド符号化でフィールド内の相関が高いことが多いからである。したがって,通常,現在処理中のブロックがフレーム符号化を行う場合とフィールド符号化を行う場合とで,領域外画素の拡張方法を切り替えている。従来,フレーム符号化とフィールド符号化について有効画素の有効フレーム領域から領域外へ複写するラインを決定する手法が知られている。
特開2001−75525号公報 特開平11−225339号公報 特開2008−78871号公報
上述したような,適応フレーム・フィールド符号化を採用し,かつ,領域外参照を行うような符号化・復号化を行う場合には,動き補償時に実際の参照画像のアクセス位置(アクセスアドレス)を求めるための分岐処理回数が多くなってしまうという問題がある。
図17は,アクセス画素位置のY座標を求める場合の分岐例を示す図である。
図17(A)に示すように,左上を原点(0,0)とするw×h(画素)サイズの有効フレーム領域に対し,その上部及び下部に領域外が設定されているとする。
図17(B)に示すように,アクセス画素位置のY座標のアクセスアドレスを決定する処理フロー例では,アクセスアドレスYがフレーム上部領域外であるかの分岐処理(Y<0?),参照ブロックが有効フレーム領域の下部領域外であるかの分岐処理(Y<h?),符号化が,フレーム予測であるかフィールド予測であるかの分岐処理(フィールド符号化?),フィールドが,奇数フィールドであるか偶数フィールドであるかの分岐処理(topフィールド?)と,最大4回の分岐判定が必要となる。
一方,通常プロセッサ上での分岐命令処理には非常に多くのサイクル数がかかる。これは,プロセッサのパイプライン処理において,次に実行される命令が分岐先によって変わってしまうことに起因し,いったんパイプラインが停止(パイプラインストール)するためである。近年のプロセッサは15段程度のパイプラインを持つものもあり,分岐予測などペナルティ軽減のしくみはあるものの,予測が外れた場合は大幅なペナルティとなる。図17に示す処理フローにおいて判定回数が4回となる場合には,分岐処理のペナルティが15サイクルであれば,最悪60サイクルの実行時間がかかる。
また,フレーム符号化・フィールド符号化のモードは,ブロックごとに切り替わるため,この判定処理が,ブロック処理ごとに毎回行われ,処理速度性能低下の一因となっている。
本発明の目的は,動画像符号化・復号化において適用フレーム・フィールド予測を用いた動き補償処理において,分岐処理を削減して負担の少ない処理を実現する処理技術を提供することである。
本発明の一態様として開示する画像圧縮システムのデータ処理方法は,フィールド符号化及びフレーム符号化をブロック単位に切り替えて,参照フレームから予測画像を作成する際に有効領域外を参照可能とする画像圧縮システムのデータ処理方法であって,前記画像圧縮システムが,動きベクトルを用いて予測画像を作成する動き補償処理において,論理画素の座標値の正負符号ビットを用いて,参照フレームの有効画素領域と有効画素領域外とを区別して参照画像を取得するものである。
また,本発明の別の態様として開示する画像圧縮システムのデータ処理プログラムは,コンピュータにより実施する画像圧縮システムに,上記の処理を実行させるためのものである。さらに,本発明の別の態様として開示する画像圧縮装置は,上記の処理を実行する処理手段を備えるものである。
上記した画像圧縮システムのデータ処理方法,データ処理プログラム,または画像圧縮装置によれば,動画像符号化・復号化において適用フレーム・フィールド予測を用いた動き補償処理の処理負担を軽減することができる。
開示する画像圧縮システムが実行する動き補償処理を説明するための図である。 アクセス位置が32bitアドレスである場合の処理例を示す図である。 開示する画像圧縮システムの一実施例におけるブロック構成例を示す図である。 動き補償部の処理ブロック構成例を示す図である。 動き補償部の動き補償処理を説明するための図である。 アクセス位置算出部の処理フロー例を示す図である。 アドレス位置(アクセスアドレスY)と各ON_OFF係数の係数値の算出結果例を示す図である。 代用画素の位置関係例を示す図である。 代用画素の位置関係例を示す図である。 画像圧縮システムのハードウェア構成の一例を示す図である。 従来の一手法及び画像圧縮システムが実行する手法による動き補償処理の結果例を示す図である。 動き補償技術を用いた画像圧縮(符号化)処理を行うシステムのブロック構成例を示す図である。 画像データの処理単位例を示す図である。 動き補償を説明するための図である。 領域外参照を説明するための図である。 適応フレーム・フィールド符号化を説明するための図である。 アクセス画素位置のY座標を求める場合の分岐例を示す図である。
以下,本発明の一態様として開示する画像圧縮システムで実行するデータ処理方法について概説する。
図1を用いて,開示する画像圧縮システムが実行する動き補償処理を説明する。
従来手法では,図1(A)に示すように,動き補償処理における参照画像のアクセス位置(アクセスアドレスY)の算出では,有効フレーム領域(領域r1)とフレーム領域外(領域r2)とを設定し,アクセスアドレスYが領域r1であるか,領域r2であるかの分岐処理を行い,アクセスアドレスYが領域r1であれば演算f1を行い,領域r2であれば演算f2を実行していた。この場合に,演算f1は,領域r1の場合のアクセスアドレスYの計算式であり,演算f2は,領域r2の場合のアクセスアドレスYの計算式である。
しかし,開示する画像圧縮システムが実行する動き補償処理では,参照画像のアクセス画素位置(アクセスアドレス)の算出を,従来の分岐処理の代わりに演算処理を用いて実行する。すなわち,開示する画像圧縮システムの動き補償処理において,以下の処理によって,アクセス位置を求める。
(1) アクセス位置を示すアドレス値(アクセスアドアレス)の正負符号が,有効フレーム領域の境界で転換するような境界値(正負境界)を設定する。以下の説明では,アクセスアドレスYを用いて説明するが,アクセスアドレスYは,参照ブロックへのアクセス位置を示すY座標値である。
例えば,図1(B)に示すように,各領域でのアクセスアドレスYのアドレス値の正負符号が,有効フレーム領域と領域外との境界で転換するような境界値として,アクセスアドレスYのアドレス値YY(YY=アドレスY+または−H)が領域r1の範囲であれば符号ビットが“−(1)”となり,領域r2の範囲であれば符号ビットが“+(0)”となるように境界値を設定しておく。
(2) 上記(1)の処理で得られたアドレス値の符号ビット(1または0)を取り出し,アクセス位置を示すアドレス値を算出する演算結果に乗算することによって,演算結果の有効無効を切り替え,有効な演算結果をアクセス位置のアドレス値とする。例えば,図1(C)に示すような演算式Fを用いて,アクセス位置のアドレス値(アクセスアドレスY)を決定する。演算式Fは,上記(1)の処理によって,各領域(r1,r2)におけるアクセスアドレスYを計算する演算式Fに符号ビットまたは反転させた符号ビットを乗算する項を有している。
そして,上記の設定に基づいて得られたアクセスアドレスYのアドレス値の符号ビット(1または0)を取り出し,演算式Fの各項でアクセスアドレスYの演算結果に乗算して,演算式Fの各項の有効または無効が切り替えられ,有効な項により得られたアクセスアドレスYをアクセス位置とする。
図1(C)に示す演算式Fでは,符号ビットが“1”すなわちアクセスアドレスYが領域r1内であれば,第1項が有効かつ第2項が無効となり,演算f1の結果得られたアクセスアドレスYがアクセス位置となる。また,符号ビットが“0”すなわちアクセスアドレスYが領域r2内であれば,第1項が無効かつ第2項が有効となり,演算f2の結果得られたアクセスアドレスYがアクセス位置となる。すなわち,アドレス値の符号を示すビット(1または0),例えば,アクセスアドレスYが32bitアドレスである場合には最上位ビットによって,演算式Fの各項の有効/無効を切り替えることができるため,アクセスアドレスYが属する領域を特定するという分岐処理を,簡単な演算処理だけで実現することができる。
図2を用いて,アクセスアドレスYを求める具体的処理を説明する。
図2は,アクセス位置が32bitアドレスである場合の処理例であり,図2中に示すadr_yを参照位置論理アドレス,ADR_Yをアクセスする物理アドレスとする。heightは,フレームのY座標軸方向の画素数である。
図2(A)は,フレーム内の領域である領域(b)のみを表し,図2(B)は,フレーム内の領域(b)と,フレーム上部の領域外である領域(a)及び下部の領域外である領域(c)を表している。
ADR_Yを求める上記の演算式Fは,
ADR_Y=領域(a)のアドレス式 × ON_OFF係数A
+領域(b)のアドレス式 × ON_OFF係数B
+領域(c)のアドレス式 × ON_OFF係数C (式f−1)
となる。
さらに,(f−1)式における各項は,以下のとおりである。以下の各項における演算子は,“&”がビット積,“|”がビット和,“>>”が論理右シフト,“〜”がビット反転を表す。“isField”は符号化ビットであり,フィールド符号化の場合に1,それ以外の場合に0となる。
ON_OFF係数Aは,領域(a)の場合に1,それ以外の場合に0となり,
Aの値は,
A=(adr_y>>31)&1 (式f−2)
となる。
ON_OFF係数Cは,領域(c)の場合に1,それ以外の場合に0となり,
Cの値は,
C=(〜((adr_y−height)>>31))&1 (式f−3)
となる。
ON_OFF係数Bは,領域(b)の場合に1,それ以外の場合に0となり,
Bの値は,
B=(〜(A|C))&1 (式f−4)
となる。
アドレス式は,以下のとおりとなる。
領域(a)のアドレス式=(adr_y&1)&isField (式f−5)
領域(b)のアドレス式=adr_y (式f−6)
領域(c)のアドレス式=(height−1)+(((adr_y−height)&1)−1)×isField (式f−7)
以上のようにして,開示する画像圧縮システムでは,動き補償処理において,分岐処理を置き換えて,演算式Fによる演算処理でアクセスアドレスYを算出するため,プロセッサの分岐処理により生ずる処理遅延をなくすことができる。
以下に,開示する画像圧縮システムの実施例を説明する。
図3に,開示する画像圧縮システムの一実施例におけるブロック構成例を示す。
図3の画像圧縮システム1は,適用フレーム・フィールド予測かつフレーム領域外の画素拡張を行う動き補償処理を用いた画像圧縮を実行するシステムである。画像圧縮システム1は,動き検出・符号化モード決定部11,動き補償部12,画面内予測部13,DCT量子化部14,エントロピー符号化部15,逆量子化逆DCT部16,符号化制御部17,フレームメモリ18を備える。
動き補償部12は,画面間予測(インター予測)の場合の参照画像を生成する。動き補償部12は,図1(B)を用いて説明した演算処理により,参照ブロックのアクセス位置を算出する。
なお,画像圧縮システム1の動き検出・符号化モード決定部11,画面内予測部13,DCT量子化部14,エントロピー符号化部15,逆量子化逆DCT部16,符号化制御部17は,図12に示すシステム9が備える動き検出・符号化モード決定部91,画面内予測部93,DCT量子化部94,エントロピー符号化部95,逆量子化逆DCT部96,符号化制御部97と,それぞれ,同様の処理を行うので,本実施例では処理の詳細についての説明を省略する。
本実施例において,画像圧縮システム1における画像の符号化・復号化処理では,図13に示すように,例えば16×16画素を1つの処理単位(ブロック)としている。図13に示すフレーム中のブロック内番号は,処理順序の一例を表している。このように,1フレーム画面をブロック単位に分割し,図3に示す動き補償部12も,1ブロック処理に1回呼び出される。
図4は,動き補償部12の処理ブロック構成例を示す図である。
動き補償部12は,アクセス位置算出部121及び予測画像取得部122を備える。
アクセス位置算出部121は,参照画像における参照ブロックのアクセス位置(アクセスアドレス)を算出する。
予測画像取得部122は,算出したアクセス位置をもとに,フレームメモリ18に格納されている復号済みのフレームデータから予測画像を切り出す。
図5を用いて,動き補償部12の動き補償処理を説明する。
図5に示す内側の矩形は,有効フレーム領域(有効画素領域)を示し,有効フレーム領域の左上画素位置を座標(0,0)として,X軸方向では,右方向が正の座標値,Y軸方向では,下方向が正の座標値とする。
(posX,poxY)は,現在処理中の処理ブロックの左上画素位置を示す。(vx,vy)は,処理ブロックの動きベクトルであり,現在の処理ブロックと参照位置ブロックとの相対座標を示す。(rx,ry)は,参照ブロックの左上画素位置である。(posX,posY)及び(rx,ry)は,有効フレーム領域の左上画素位置を座標(0,0)として,X軸方向の右方向が正,Y軸方向の下方向が正の値をとる。
アクセス位置算出部121は,処理ブロック位置(posX,posY),動きベクトル(vx,vy),現在処理中ブロックの符号化方法がフィールド符号化であるか,フレーム符号化であるかを示すisFieldを入力する。isFieldは,図3に示す動き検出・符号化モード決定部11において事前に決定されている。動きアクセス位置算出部121は予測画像位置(rx,ry)を出力する。
予測画像取得部122は,予測画像位置(rx,ry),復号済の参照フレームの何番目を参照するかを示すframe_idx,およびisFieldを入力する。予測画像取得部122は,切り出された予測画像pred_imgを出力する。図14に示すように,現在の処理ブロックにおける参照画像として使用され,この画像に差分情報を加算することで復号画像を作成する。
図6に,アクセス位置算出部121の処理フロー例を示す。
ステップS1: アクセス位置算出部121は,(f−1)式を用いて,アクセス位置を計算する。(f−1)式は,ON_OFF係数の決定部分((f−2)〜(f−4))及び各領域のアドレス式部分((f−5)〜(f−7))で構成される。
アクセス位置算出部121は,(f−2)〜(f−4)式により,ON_OFF係数の各係数値を計算する。
図7に,アドレス位置(アクセスアドレスY)と各ON_OFF係数の係数値の算出結果例を示す。
係数値は,参照ブロックのY座標が有効フレーム領域の上部領域外(領域(a))を指す場合には,ON_OFF係数Aのみが1となり,有効フレーム領域内(領域(b))を指す場合には,ON_OFF係数Bのみが1となり,有効フレーム領域の下部領域外(領域(c))を指す場合には,ON_OFF係数Cのみが1となる。
具体的な計算例として,height=480の場合の各領域での係数値算出を以下に示す。参照位置論理アドレスadr_yは,符号付き32bit整数である。
(1) adr_y=−2(0xfffffffe)の場合に,(f−2)〜(f−4)式を適用すると,
ON_OFF係数A=(0xfffffffe>>31)&1=1,
ON_OFF係数C
=(〜((0xfffffffe−0x000001e0)>>31))&1
=(〜((0xfffffe1e)>>31))&1=0,
ON_OFF係数B=(〜(1|0))&1=0,
となる。
(2) adr_y=484(0x000001e4)の場合に,(f−2)〜(f−4)式を適用すると,
ON_OFF係数A=(0x000001e4>>31)&1=0,
ON_OFF係数C
=(〜((0x000001e4−0x000001e0)>>31))&1
=(〜((0x00000004)>>31))&1=0,
ON_OFF係数B=(〜(0|1))&1=0,
となる。
(3) adr_y=10(0x0000000a)の場合に,(f−2)〜(f−4)式を適用すると,
ON_OFF係数A=(0x0000000a>>31)&1=0,
ON_OFF係数C
=(〜((0x0000000a−0x000001e0)>>31))&1
=(〜((0xfffffe2a)>>31))&1=0
ON_OFF係数B=(〜(1|0))&1=1,
となる。
ステップS2: アクセス位置算出部121は,各領域におけるアドレス式を計算する。ON_OFF係数の係数値が1である項のアドレス式の計算結果が,アクセスするアクセス位置となる。
領域(b)のアドレス値の計算では,有効フレーム領域内であるため,(f−6)式により,adr_yが,そのまま,アクセスするアクセス位置(Y座標のアドレス)となる。
領域(a)のアドレス値の計算では,(f−5)式により,アクセス位置が求められる。
フレーム符号化(isField=0)の場合には,Y=0の位置の画素を用いて拡張される。一方,フィールド符号化(isField=1)の場合には,Y座標のアドレスの絶対値が偶数であれば,Y=0の位置の画素が,Y座標のアドレスの絶対値が奇数であれば,Y=1の位置の画素が,それぞれ代用画素として使用される。
図8に,代用画素の位置関係例を示す。図8の円形は画素を表し,円形内の数字は,画素情報を表す。X軸方向の画素の並びをラインと呼ぶ。図8の上部に示すように,有効フレーム領域の上部側の縁にあたる最外のラインを上縁topライン,上縁topラインの1つ下のラインを上縁bottomラインとする。
参照ブロックが,図2に示す上部領域外の領域(a)である画素拡張において,参照元がフレーム符号化である場合には,フレーム拡張処理として,予測画像の領域外に該当する範囲に対し,上縁topラインの画素が代用画素となり,対応する代用画素の単純コピーが行われる。図8の下左部に示すように,フレーム領域の上縁topラインの画素が,“0,1,2,3,4,…”である場合に,予測画像の領域外の範囲に,これらの画素“0,1,2,3,4,…”が単純にコピーされる。
参照元がフィールド符号化である場合には,フィールド拡張処理として,予測画像の領域外に該当する範囲に対し,下縁topラインと下縁bottomラインの画素が代用画素となり,これらのラインの画素の交互コピーが行われる。図8の下右部に示すように,フレーム領域の上縁topラインの画素が,“0,1,2,3,4,…”であり,上縁bottomラインの画素が,“256,257,258,259,260,…”である場合に,予測画像の領域外の範囲に,画素“0,1,2,3,4,…”と画素“256,257,258,259,260,…”の並びが交互にコピーされる。
以下に,adr_y=−2及びadr_y=−3の場合の具体的な算出例を示す。
(1)フレーム符号化の場合に,(f−5)式を適用すると,adr_y=−2については,
アクセスアドレス=(0xfffffffe&1)&0=0
となる。adr_y=−3については,
アクセスアドレス=(0xfffffffd&1)&0=0
となり,どちらも,アクセス位置は0となる。
(2)フィールド符号化の場合に,(f−5)式を適用すると,adr_y=−2については,
アクセスアドレス=(0xfffffffe&1)&1=0
となり,adr_y=−3については,
アクセスアドレス=(0xfffffffd&1)&1=1
となり,アクセスアドレスY=0またはアクセスアドレスY=1がアクセスされる。
図2に示す領域(c)のアドレス値の計算では,(f−7)式により,アクセス位置が求められる。フレーム符号化(isField=0)の場合に,Y=height−1の位置の画素が代用画素として使用され,拡張される。一方,フィールド符号化(isField=1)の場合には,(Y座標のアドレス−height)の値が偶数である場合は,height−1の位置の画素が代用画素として使用される。(Y座標のアドレス−height)の値が奇数の場合は,height−2の位置の画素が代用画素として使用される。
図9に,代用画素の位置関係例を示す。図9は,図8と同様,円形が画素,円形内の数字が画素情報を表し,X軸方向の画素の並びをラインと呼ぶ。図9の上部に示すように,フレーム領域下部側の縁にあたる最外のラインを下縁bottomラインとし,下縁bottomラインの1つ上のラインを下縁topラインとする。
図9の下左部に示すように,フレーム領域の下縁bottomラインの画素が,“768,769,770,771,772,…”である場合に,予測画像の領域外の範囲に,これらの画素“768,769,770,771,772,…”が単純にコピーされる。また,図9の下右部に示すように,フレーム領域の下縁topラインの画素が“512,513,514,515,516,…”であり,上縁bottomラインの画素が“768,769,770,771,772,…”である場合に,予測画像の領域外の範囲に,画素“512,513,514,515,516,…”と画素“768,769,770,771,772,…”の並びが交互にコピーされる。
以下に,height=480における,adr_y=482及びadr_y=483の場合の具体的な算出例を示す。
(1)フレーム符号化の場合に,(f−7)式を適用すると,adr_y=482の場合には,
アクセスアドレス=(480−1)+(((482−480)&1)−1)×0
=479
となる。adr_y=483の場合には,
アクセスアドレス=(480−1)+(((483−480)&1)−1)×0
= 479
となる。どちらの場合も,下縁bottomラインがアクセス位置となる。
(2)フィールド符号化の場合に,(f−7)式を適用すると,adr_y=482の場合には,
アクセスアドレス=(480−1)+(((482−480)&1)−1)×1
=479+(−1)=478
となる。adr_y=483の場合には,
アクセスアドレス=(480−1)+(((483−480)&1)−1)×1
=479+0=479
となる。下縁topライン,または下縁bottomラインがアクセス位置となる。
以上のように,アドレス値の最下位の値を示すビット(1または0),例えば,Y座標のアドレスが32bitアドレスである場合には,Y座標のアドレスの最下位ビットによって,拡張に用いる画素位置を特定できるため,フィールド符号化において参照画素のラインを特定する分岐処理を,簡単な演算処理だけで実現することができる。
図3に示す画像圧縮システム1は,専用ハードウェアまたはコンピュータにより実施することができる。図10は,画像圧縮システム1のハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ200は,例えば,演算装置(CPU:Central Processing Unit)201,主記憶装置202,補助記憶装置203,駆動装置204,ネットワーク接続装置205,入力装置206,出力装置207などを備え,これらの各装置がバスBに接続されている構成である。
演算装置201は,コンピュータ200の全体を制御し,主記憶装置202に格納されたプログラムに従って画像圧縮システム1に関する機能を実現する。主記憶装置202は,CPU201に実行させるOSのプログラム,アプリケーションプログラム,データ等を補助記憶装置203から読み出して格納する。補助記憶装置203は,プログラム及び処理に必要なデータ等も格納する。
プログラムが記録された記録媒体が駆動装置204にセットされることにより,プログラムが,駆動装置204を介して補助記憶装置203にインストールされる。記録媒体は,例えば,FD(フレキシブルディスク),CD−ROM,DVD,光磁気ディスクなどの媒体である。なお,プログラムのインストールは必ずしも記録媒体により行う必要はなく,ネットワークを経由して他のコンピュータによりダウンロードすることができる。
ネットワーク接続装置205は,ネットワークに接続するためのものであり,他のコンピュータとプログラムやデータの送受信を行う。入力装置206は,操作指示を入力するためのものであり,例えばキーボード,マウス,タッチパネルなどである。出力装置207は,プログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示するものであり,例えばディスプレイなどである。
さらに,画像圧縮システム1は,コンピュータのソフトウェアとしても実施することができる。例えば,図3に示した各処理部の機能をコンピュータに実行させるプログラムを作成し,当該プログラムをコンピュータ200の主記憶装置202に読み込ませて実行させることによって,画像圧縮システム1を実現することができる。開示した画像圧縮システム1を実現するプログラムは,CD−ROM,CD−RW,DVD−R,DVD−RAM,DVD−RW等やフレキシブルディスク等の記録媒体だけでなく,通信回線の先に備えられた他の記憶装置やコンピュータのハードディスク等の記憶装置に記憶されるものであってもよい。
以上説明した,本発明の一実施形態における画像圧縮システム1を構成する要素は,任意の組合せで実現されてもよい。複数の構成要素が1つの部材として実現されてもよく,1つの構成要素が複数の部材から構成されてもよい。また,画像圧縮システム1は,上述した実施形態に限定されず,本発明の要旨を逸脱しない範囲において,各種の改良および変更を行ってもよいことは当然である。
本発明の効果を説明するために,開示する画像圧縮システム1が実行する処理手法(演算方式)と従来の条件分岐を行う一手法(条件分岐方式)の処理を試行し,その結果を比較した。
図11は,従来の一手法及び画像圧縮システム1が実行する手法による動き補償処理の結果例を示す図である。
ここでは,高精細(HD:High Definition)及び標準精細(SD:Standard Definition)の2種のフレームサイズの動画像データについて処理を行った。図11(A)は,HDフレーム有効領域および領域外の拡張領域を示す図である。HDフレームの有効領域サイズ(W×H=1920×1088)に対して,各辺の領域外の範囲を12画素ずつ拡張するものとした。なお,SDフレームの場合は図示しないが,有効領域のサイズ(W×H=720×480)についても,同様に領域外の範囲を12画素ずつ拡張するものとした。
この比較において,従来手法の算出条件は,以下のとおりとした。
・分岐命令のペナルティ=15,
・領域の上下12画素までのはずれをカウントする,
・判定数は,上部領域外では3,有効領域内では2,下部領域外では,4とする,
・どの画素一も,同一回数だけアクセスされたとする,
・全ての主分岐で,フィールド符号化のモード(field)が選択されたとする。
図11(B)は,当該処理の試行において,Y画素算出にかかるサイクル数試算を示す図である。
HDサイズの動画像データの処理では,従来手法(条件分岐方式)では,68351040サイクル,本発明に係る手法(演算方式)では,44167680サイクルであった。SDサイズの動画像データの処理では,条件分岐方式では,12588480サイクル,本発明の演算方式では,7856640サイクルであった。すなわち,本発明に係る手法は,従来手法に比べて,HDで64%,SDで62%の実行サイクル数となっている。
以上のように,開示した画像圧縮システム1によれば,動画像符号化・復号化における適応フレーム・フィールド予測を用いた動き補償処理の分岐処理を削減することができ,プロセッサの処理負荷を軽減することができる。
1 画像圧縮システム
11 動き検出・符号化モード決定部
12 動き補償部
13 画面内予測部
14 DCT量子化部
15 エントロピー符号化部
16 逆量子化逆DCT部
17 符号化制御部

Claims (4)

  1. フィールド符号化及びフレーム符号化をブロック単位に切り替えて,参照フレームから予測画像を作成する際に有効領域外を参照可能とする画像圧縮システムのデータ処理方法であって,
    前記画像圧縮システムが,
    動きベクトルを用いて予測画像を作成する動き補償処理において,論理画素の座標値の正負符号ビットを用いて,参照フレームの有効画素領域と有効画素領域外とを区別して参照画像を取得する
    ことを特徴とする画像圧縮システムのデータ処理方法。
  2. 前記動き補償処理において,
    予め,前記参照フレームの有効画素領域と有効画素領域外との境界で正負符号が転換する境界値が設定され,該設定に基づいて前記論理画素の座標値の正負符号ビットの値が決定される
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像圧縮システムのデータ処理方法。
  3. フィールド符号化及びフレーム符号化をブロック単位に切り替えて,参照フレームから予測画像を作成する際に有効領域外を参照可能とする画像圧縮システムのデータ処理プログラムであって,
    前記画像圧縮システムに,
    動きベクトルを用いて予測画像を作成する動き補償処理において,論理画素の座標値の正負符号ビットを用いて,参照フレームの有効画素領域と有効画素領域外とを区別して参照画像を取得する,処理を実行させる
    ことを特徴とする画像圧縮システムのデータ処理プログラム。
  4. フィールド符号化及びフレーム符号化をブロック単位に切り替えて,参照フレームから予測画像を作成する際に有効領域外を参照可能とする画像圧縮装置であって,
    動きベクトルを用いて予測画像を作成する動き補償処理において,論理画素の座標値の正負符号ビットを用いて,参照フレームの有効画素領域と有効画素領域外とを区別して参照画像を取得する動き補償部を備える
    ことを特徴とする画像圧縮装置。
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