JP2013194537A - 密閉型圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】コイルバネの共振を回避し、最大回転揺動量を抑制する密閉型圧縮機を提供することを目的とする。
【解決手段】コイルバネ24はシェルスナブバー21とスナブバー23に遊嵌され、コイルバネ24の有効巻部32におけるシェルスナブバー21とスナブバー23との当接可能な比率を約70〜90%の範囲内とし、スナブバー23の外形の輪郭を形成する曲線を、シェルスナブバー21の外形の輪郭を形成する曲線よりも緩やかな曲線としたことにより、コイルバネ24の共振を回避し、最大回転揺動量を抑制する。
【選択図】図3

Description

本発明は、主に冷凍冷蔵装置、あるいはエアーコンディショナー等に用いられる密閉型圧縮機に関するものである。
従来のこの種密閉型圧縮機は、振動や騒音を低減するために、弾性支持装置を密閉容器内に備えている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
以下、図面を参照しながら上記従来の密閉型圧縮機を説明する。
図10は、従来の密閉型圧縮機の縦断面図、図11は、従来の密閉型圧縮機の横断面図、図12は、従来の密閉型圧縮機における弾性支持装置の拡大断面図である。
図10、図11および図12において、密閉容器1は、冷却システム(図示しない)と連結される吐出管2と吸入管3を備えており、また、密閉容器1の内部には、冷媒ガスが封入され、さらに、密閉容器1の底部4に潤滑油5を貯留すると共に、電動圧縮要素10を収容している。電動圧縮要素10は、固定子6と回転子7を具備する電動要素8と、この電動要素8によって駆動される圧縮要素9より構成されている。
また、電動圧縮要素10は、複数のコイルバネ103により密閉容器1内に弾性的に支持される弾性支持装置100を有している。
さらに、圧縮要素9は、圧縮室11を備えたシリンダブロック12と、圧縮室11の内部に往復自在に挿入されたピストン13と、主軸部14および偏心軸部15を有し、かつシリンダブロック12を構成する軸受部17によって軸支されたシャフト16と、偏心軸部15とピストン13を連結するコンロッド18と、ピストン13とコンロッド18を連結するピストンピン19を備え、主軸部14には回転子7が、シリンダブロック12には固定子6がそれぞれ固定されている。
次に、弾性支持装置100の構成について説明する。
弾性支持装置100は、密閉容器1の底部4に固定されたシェルスナブバー101と、電動圧縮要素10を構成する固定子6側に固定されたスナブバー102と、シェルスナブバー101とスナブバー102の間に介在されたコイルバネ103から構成されている。
コイルバネ103は、両端に密着巻部104を、この密着巻部104の間に有効巻部105を有し、一端は、シェルスナブバー101に圧入され、他端は、スナブバー102に遊嵌されている。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
運転時は、電動要素8に電気が供給されると回転子7が回転し、シャフト16は回転駆動される。これに伴い、コンロッド18を介してシャフト16の回転運動がピストン13に伝えられ、周知の如く冷媒の圧縮・吐出動作と吸入動作を行う。
このとき、電動圧縮要素10は、圧縮・吐出動作および吸入動作に応じて様々な周波数を含む機械振動を発生する。
すなわち、かかる圧縮動作に伴い、電動圧縮要素10は振動し、弾性支持装置100を介して密閉容器1へ振動を伝達するが、弾性支持装置100を構成するコイルバネ103の弾性によって密閉容器1への振動伝達を減衰し、密閉型圧縮機全体の騒音や振動を低減する。
また、運転の停止時、電動要素8への電気供給が止まると、電動要素8が発生していた回転トルクが無くなり、ピストン13で発生する圧縮負荷がコンロッド18によって、シャフト16と回転子7にブレーキトルクを与え、回転運動が停止する。
この時、ブレーキトルクに応じて、電動圧縮要素10は、シャフト16の主軸部14を略中心として回転子7の回転方向へと回動するが、弾性支持装置100がそのエネルギーを吸収し、回転方向と反回転方向の回転揺動運動を繰り返しながら減衰させることで、密閉容器1への伝達を減衰し、停止時の密閉型圧縮機全体の揺動をも低減する。
特開2001−73947号公報
しかしながら、上記従来の構成では、コイルバネ103がスナブバー102に圧入されると、電動圧縮要素10が発生させる機械振動は、コイルバネ103の弾性によって吸収されるものの、コイルバネ103の挿入のばらつきにより、コイルバネ103における有効巻部105が組み立て完了時点でスナブバー102あるいはシェルスナブバー101と接触した状態となることがあった。
かかる状態は、設計当初に設定したコイルバネ103の固有値が変化した状態にあり、特に、商用電源周波数の整数倍からなる機械振動の固有値とコイルバネ103の変化した機械振動固有値が一致した場合には、コイルバネ103は、機械振動により加振されて共振し、その振動が密閉容器1へ伝播する。その結果、同周波数の騒音や振動が発生し、密閉型圧縮機の騒音や振動が増大するという課題を有していた。
一方、上述の接触を考慮して機械振動とコイルバネ103の共振を回避するために、コイルバネ103の固有値を高くすると、バネ定数が上がり、その結果、機械振動による振動が密閉容器1へ伝播され易くなり、密閉型圧縮機の振動が増大するという課題を有していた。
また、逆にコイルバネ103の固有値を低くすると、バネ定数が下がることで、機械振動による振動はコイルバネ103によって低減されるが、回転方向の変位に対するバネ定数も下がることから、電動圧縮要素10の停止時における回動範囲が広がり、その結果、停止時に電動圧縮要素10が密閉容器1を衝撃加振し、異常音を発生してしまうという課題を有していた。
また、コイルバネ103とスナブバー102あるいはシェルスナブバー101は金属接触しているため、機械振動による振動が直接、密閉容器に伝播するため振動が高くなるという課題を有していた。
また、電動圧縮要素の停止時において回動した際、スナブバー102とコイルバネ103との空間距離が狭いことから、コイルバネ103にかかる応力が急激に高くなることで
コイルバネ103が折損してしまうという課題を有していた。さらに、コイルバネ103とスナブバー102あるいはシェルスナブバー101は金属接触しているため接触時に発生するこすれにより、金属摩耗粉が発生することで信頼性上不具合を発生してしまうという課題を有していた。
また、コイルバネ103がスナブバー102とシェルスナブバー101との間で遊嵌状態の時は、コイルバネ103はスナブバー102とシェルスナブバー101と接触しないため設計当初の設定した固有値が維持されるので騒音は低減するが、電動圧縮要素10が停止の際、回動範囲が広がり、その結果、停止時に電動圧縮要素10が密閉容器1を衝撃加振し、異常音を発生してしまうという課題を有していた。さらに、コイルバネ103はスナブバー102あるいはシェルスナブバー101と把持できないため、輸送時においてコイルバネ103がはずれるという課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、商用電源周波数の整数倍からなる機械振動とコイルバネ103との共振を回避するとともに、停止時の電動圧縮要素10の回転揺動量を低減し、騒音や振動を低減して信頼性の高い密閉型圧縮機を提供することを目的とするものである。
上記従来の課題を解決するために、本発明の密閉型圧縮機は、コイルバネがスナブバーとシェルスナブバーの外周面に当接しないように構成し、さらにスナブバーの外周面を、コイルバネの有効巻部内径との間隔が、スナブバーの先端に向かうにつれて徐々に広がるように構成したものである。
かかることにより、組み立て時におけるコイルバネの有効巻部とスナブバーの当接状態が回避でき、コイルバネにおける設計当初の機械振動固有値がその接触によって変わるといったことを抑制することができる。
したがって、密閉型圧縮機の運転時における電動圧縮要素による機械振動の吸収特性が変化することを抑制することができ、また、コイルバネの機械振動固有値が商用電源周波数の整数倍の数値と一致することも抑制することができる。
しかも、スナブバーの形状を、コイルバネの有効巻部の内径とスナブバーの外周壁との隙間を、スナブバーの先端に向かうにつれて徐々に広がるように形成しているため、電動圧縮要素の回転方向の揺動量に応じてコイルバネの有効巻部のスナブバーとの接触、当接寸法が速やかに変化し、これに伴ってコイルバネのバネ力を速やかに変化させることができる。
さらに、コイルバネの有効巻部とスナブバーとの接触、当接領域は曲面であるため、コイルバネの有効巻部の撓みに対しての追従性(接触、当接)がよく、速やかに回転揺動量を低減する。
本発明の密閉型圧縮機は、商用電源周波数の整数倍からなる機械振動とコイルバネとの共振を回避すると共に、電動圧縮要素のブレーキトルクが所定の値以上になっても電動圧縮要素の回転揺動量を低減することができ、運転時の騒音や振動を低減して、信頼性の高い密閉型圧縮機を提供することができる。
本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態1における密閉型圧縮機の横断面図 同実施の形態1における密閉型圧縮機の弾性支持装置の静止状態での拡大断面図 同実施の形態1における密閉型圧縮機の運転停止直後における弾性支持装置の拡大断面図 同実施の形態1における密閉型圧縮機の弾性支持装置を構成する下ピンの図3のA−A線による断面図 同実施の形態1における密閉型圧縮機のコイルバネの回転方向の変位に対するバネ特性の変化を表した特性図 同実施の形態1における密閉型圧縮機の騒音特性図 同実施の形態1における密閉型圧縮機の振動減衰特性図 本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機に搭載された弾性支持装置の静止状態での拡大断面図 従来の密閉型圧縮機の縦断面図 同密閉型圧縮機の横断面図 同密閉型圧縮機における弾性支持装置の要部拡大断面図
請求項1に記載の発明は、密閉容器と、前記密閉容器内に収納され、かつ往復運動するピストンを備えた電動圧縮要素と、前記電動圧縮要素を弾性的に支持する複数の弾性支持装置を具備した密閉型圧縮機において、前記弾性支持装置を、前記電動圧縮要素側に設けられたスナブバーと、前記密閉容器の内底部に設けられたシェルスナブバーと、前記スナブバーと前記シェルスナブバーに嵌合したコイルバネを備え、前記コイルバネは、両端に形成されたバネ線材の巻回が密着した密着巻部と、前記密着巻部に挟まれ前記バネ線材の巻回が相互に間隔を形成した有効巻部を有し、前記スナブバーは、前記電動圧縮要素側に固定された金属製の上ピンと、前記上ピンに固定され前記上ピンの先端が貫通して突出する頭部を設けた樹脂製の上キャップとを備え、前記シェルスナブバーは、前記密閉容器の内底部に固定された金属製の下ピンと、前記下ピンに設けられ、前記下ピンの先端が貫通して突出した樹脂製の下キャップを備え、前記上キャップは、最大外径が前記コイルバネの密着部の内径よりも小さく設定された上キャップ最大外径部を有し、外周面の輪郭が前記上キャップ最大外径部から前記頭部に向かう軸方向において、前記上ピンに近づく緩やかな曲線となる曲面とし、前記下キャップは、その最大外径が前記コイルバネの前記密着部の内径よりも小さく設定された下キャップ最大外径部を有し前記密着部が遊嵌される遊嵌部を有し、かつ外周面の輪郭が前記遊嵌部から前記下ピンの先端に向かう軸方向において、前記下ピンに近づく曲線となる曲面とし、前記遊嵌部の軸方向の寸法を、前記有効巻部が接触しない寸法としたものである。
かかる構成とすることにより、コイルバネの密着巻部の端面は、樹脂製の上キャップおよび下キャップとの接触となるため、コイルバネ内径とシェルスナブバー表面の摩擦係数を低くして、コイルバネから密閉容器への振動の伝播を低減し、低振動の密閉型圧縮機とすることができる。また、コイルバネは挿入のばらつき等に伴ってシェルスナブバーあるいはスナブバーと当接することがないため、その当接に起因してコイルバネの固有値が変わることもない。したがって、コイルバネの固有値を当初の設定値に維持することができ、商用電源周波数の整数倍からなる機械振動とコイルバネとの共振を回避することができる。
さらに、停止直前の圧縮負荷が大きく、ブレーキトルクが大きく作用して電動圧縮要素が回転方向に揺動した場合においても、スナブバーあるいはシェルスナブバーの外周面が曲面であることから、コイルバネは、その有効巻部が、密着部に近い側から順にスナブバーあるいはシェルスナブバーに当接し、コイルバネの有効巻部を少なくして回転方向のバ
ネ力を大きくし、回転方向の揺動量を低減する。その結果、電動圧縮要素の密閉容器との衝突を抑制し、また、振動を緩和して静寂性を高めることができる。
また、シェルスナブバーとスナブバーは、共に金属製の下ピンと上ピンの先端が露出しているため、特に上下方向に大きな衝撃が作用した場合、下ピンと上ピンが衝突し、樹脂製の下キャップおよび上キャップの損傷を抑制することができる。その結果、密閉型圧縮機の信頼性を長期に亘って確保することができる。
さらに、コイルバネの嵌合は、スナブバーとシェルスナブバーとの間で上キャップ、下キャップの最大外径が密着部の内径よりも小さく設定された所謂遊嵌となるため、組み立て作業の容易化をはかることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記下キャップの曲面を形成する曲線が前記上キャップの曲面を形成する最大外径部から頭部までの曲線よりも緩やかになるように、前記頭部の外径を設定したものである。
かかる構成とすることにより、電動圧縮要素に回転方向の揺動が生じた場合、その応力を受けて少ない変位であっても速やかにコイルバネの有効巻部がスナブバーの上キャップに当接し、コイルバネの有効巻部を少なくすることができる。その結果、コイルバネの回転方向のバネ力を速やかに大きくし、回転方向の揺動を抑制することができる。
また、スナブバーとの当接で減衰しきれない大きな回転方向の揺動の場合は、さらにシェルスナブバーの下キャップとコイルバネの有効巻部が当接し、さらにコイルバネのバネ力を大きくする。その結果、スナブバーによる振動減衰作用と合わせて回転方向の揺動を抑制することとなり、電動圧縮要素の密閉容器との衝突をさらに抑制し、振動を緩和して静寂性をさらに高めることができる。
しかも、有効巻部は、輪郭が曲線となる外周面に当接するため、コイルバネからの高周波成分の振動をさらに低減することができ、また、輪郭が直線となる外周面との当接に比較してコイルバネの固有値の変動が緩やかであり、回転方向の揺動抑制をより速やかに行うことができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記コイルバネの有効巻部における前記スナブバーの上キャップ外周面、および前記シェルスナブバーの下キャップの外周面に当接する比率を、有効巻部全体の約70%から約90%の範囲としたものである。
かかる構成とすることにより、回転方向に対する有効巻部のバネ力を適正の範囲に設定することができ、電動圧縮要素の回転方向の揺動を速やかに抑制することができる。また、必要以上に樹脂製の上キャップおよび下キャップに応力を加えることがないため、上キャップおよび下キャップの損傷を防止することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記下キャップと前記上キャップに、前記下ピンと前記上ピンが貫通する孔を設け、さらに、前記下キャップと前記上キャップにおける前記孔の内面に、前記下ピンと前記上ピンの外周面と当接する複数の平面部を設けたものである。
かかる構成とすることにより、下キャップと上キャップの孔の平面部は、円柱状の下ピンと上ピンの外周面と当接した際に可撓変形し、平面部に下ピンと上ピンの外周曲面が入り込んだ状態で密着した状態となる。その結果、シェルスナブバーとスナブバーの下キャ
ップと上キャップに回転方向の力が作用しても、シェルスナブバーとスナブバーは回転方向にずれ難く、コイルバネにおける密着巻部と下キャップと上キャップの遊嵌関係を維持し、長期に亘って振動減衰効果を得ることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、前記シェルスナブバーを構成する下キャップに、前記コイルバネの密着巻部と密閉容器の底面の間に介在するつば部を設けたものである。
かかる構成とすることにより、コイルバネの密着部は、弾性を有する樹脂を介して密閉容器に当接するため、シェルスナブバーへの嵌合が安定する。その結果、振動の伝達をさらに減衰することができる。また、コイルバネと密閉容器による金属相互の微小な擦れがないため、摩擦音、および摩擦に伴う摩耗粉の発生を抑制することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、前記コイルバネは、前記電動圧縮要素を弾性的に支持した状態において、前記電動圧縮要素の回転を拘束するバネ特性を有し、前記電動圧縮要素の回転方向の変位に対する前記バネ特性のバネ定数を、約2から約5N/mmの範囲内としたものである。
かかることにより、通常運転時においては、比較的柔らかいバネ定数で振動を減衰し、停止時においては、バネ定数を硬くすることができるため、最大回転揺動量を比較的短い時間内で低減することができる。したがって、より大きな振動が発生し易い低回転で密閉型圧縮機を運転することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明において、前記上ピンと当接する前記下ピンの当接可能な面積を、上ピンの当接可能な面積よりも大きく設定したものである。
かかる構成とすることにより、上ピンと下ピンが当接する面接触面積を広く設定することができ、上ピンあるいは下ピンのエッジ当たりを抑制して、このエッジ当たりに起因した上ピンおよび下ピンの変形、および金属粉の発生を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図である。図2は、同実施の形態1における密閉型圧縮機の横断面図である。図3は、同実施の形態1における密閉型圧縮機の弾性支持装置の静止状態での拡大断面図である。図4は、同実施の形態1における密閉型圧縮機の運転停止直後における弾性支持装置の拡大断面図である。図5は、同実施の形態1における密閉型圧縮機の弾性支持装置を構成する下ピンの図3のA−A線による断面図である。図6は、同実施の形態1における密閉型圧縮機のコイルバネの回転方向の変位に対するバネ特性の変化を表した特性図である。図7は、同実施の形態1における密閉型圧縮機の騒音特性図である。図8は、同実施の形態1における密閉型圧縮機の振動減衰特性図である。
なお、密閉型圧縮機の構成において、図10と同じ構成要件については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略し、ここでは、本発明の要旨とする構成を主体に説明する。
図1から図8において、冷却システム(図示せず)と連結される吐出管2と吸入管3を備えた密閉容器1内には、図10で説明したように電動圧縮要素10が配置され、また、
底部4には、潤滑油5が貯留され、さらに、R600aを冷媒とする冷媒ガスRが封入されている。
また、密閉容器1内には、電動圧縮要素10を弾性的に支持する弾性支持装置20が4箇所に設けられている。
次に、弾性支持装置20の構成について説明する。
弾性支持装置20は、密閉容器1の底部4に固定されたシェルスナブバー21と、固定枠22に固定されたスナブバー23と、両端がシェルスナブバー21とスナブバー23に支持されたコイルバネ24を備えた構成となっている。
ここで、固定枠22は、電動圧縮要素10を構成する固定子6、あるいは軸受部17に取り付けられ、電動圧縮要素10の全ての重量がここに作用している。したがって、弾性支持装置20は、この固定枠22を支持することにより、電動圧縮要素10を支持している。
シェルスナブバー21は、密閉容器1の底部4に溶接等の適宜手段で固定された金属製の下ピン25と、四フッ化エチレンに代表されるフッ素系樹脂から成型された筒状の下キャップ26を備え、下キャップ26は、下ピン25の先端部が貫通して突出する孔26bを有し、円柱状の下ピン25に圧入されている。
さらに、下キャップ26の孔26bの内周面は、軸方向に延びる複数の平面部26cが形成され、図5に示すように、断面が多角形に形成されている。そして、下キャップ26の孔26bは、下ピン25の外周(円)に沿うように円と当接する部分が適宜可撓変形している。
したがって、下キャップ26の下ピン25への圧入作業は、平面部26cと円による接触面積の減少によって容易となり、作業性が向上する。また、下ピン25の外周円が圧接する平面部26cでは、その可撓変形によって下キャップ26との密着が強固になり、下キャップ26の回転が抑制された嵌合となっている。
また、下キャップ26は、その外形が略砲弾形に形成され、底部から先端にかけてその外径(肉厚)が徐々に小さくなるように曲面を形成している。特に、底部には、一定の外径(直径)に形成された遊嵌部26aが形成されている。
また、下キャップ26の底部には、遊嵌部26aの外径よりも大きく外径が設定され、密閉容器1の底部4と当接するつば部27が形成されている。
さらに、スナブバー23は、固定枠22に溶接、かしめ等の適宜手段で固定された金属製の上ピン28と、四フッ化エチレンに代表され、かつ弾性を有するフッ素系樹脂から成型された筒状の上キャップ29を備え、上キャップ29は、上ピン28の先端部が貫通して突出するように孔29bが形成され、上ピン28に圧入されている。
上キャップ29は、固定枠22側の底部から上ピン28が突出する先端にかけてその外径(肉厚)が徐々に小さくなるように曲面を形成している。特に、曲面の曲率が急変する頭部(逃げ部)29aの最大外径(直径)lは、底部の外径(直径)Lの約90〜97%の範囲に設定されている。
したがって、下キャップ26の外形を形成する曲線の稜線は、上キャップ29の外形を
形成する曲線の稜線よりも緩やかに形成され、また、コイルバネ24は、少しの変位で上キャップ29と当接し、そのバネ力が変わる構成となっている。その結果、コイルバネ24のバネ力は、図6に示すように、従来の構成に比較して少しの変位で大きく変わる。
さらに、頭部29aが始まる曲面の曲率(半径寸法)rは、コイルバネ24を構成する線材の線径の1/2以上の寸法としている。
また、コイルバネ24は、両端部に所定の径で密着巻回された密着部30、31が形成され、この両端の密着部30、31の間は、所定の間隔(ピッチ)を形成して巻回された有効巻部32を形成している。そして、密着部30、31と有効巻部32は、その内径が同じであり、単純(容易)に製作が行えるように構成している。
ここで、密着部30、31とは、バネ線材の巻回が密着している関係にある箇所であり、有効巻部32とは、バネ線材の巻回が相互に間隔を形成している箇所と定義する。
さらに、有効巻部32の占める長さは、電動圧縮要素10を支持した状態において、コイルバネ24の全長の約70%から約90%の範囲になるように設定されている。
また、コイルバネ24の材料、材質は、周知の金属であり、コイルバネ24の回転方向の変位に対するバネ特性のバネ定数は、約2〜5N/mmの範囲で設定されている。
そして、コイルバネ24の下側の密着部30は、シェルスナブバー21を構成する下
キャップ26の遊嵌部26aに遊嵌され、つば部27と当接している。
この状態において、下キャップ26の外周面は、コイルバネ24の挿入のばらつきが発生した場合であっても、有効巻部32の内径面と接触しない寸法設定で徐々にその外径が小さくなる曲面に形成されている。
さらに詳述すると、遊嵌部26aは、その軸方向寸法が、密着部30の軸方向寸法以上とならないように規定されており、そして、径寸法が、コイルバネ24の密着部30の遊嵌部26aへ遊嵌されるように設定されている。
したがって、有効巻部32は、より外径が小さい部分と面することになり、下キャップ26の外周との間隔が確保される。
さらに、上側の密着巻部31は、上キャップ29に遊嵌し、固定枠22の下面に当接している。ここで、遊嵌とは、コイルバネ24における密着巻部31の内径が、上キャップ29、下キャップ26の最大外径よりも若干(例えば、0.4mm程度)大きく設定さることを定義している。
したがって、遊嵌状態において、コイルバネ24(密着巻部31)の軸心とスナブバー23(上ピン28)の軸心が一致すれば、コイルバネ24における密着巻部31の内径面は、上キャップ29と当接することはない。この状態は、複数ある弾性支持装置20においていずれも同様である。
また、上キャップ29の外周面は、固定枠22側の底部から上ピン28が突出する先端にかけてその外径(肉厚)が徐々に小さくなるような曲面に形成されているが、特に、コイルバネ24の有効巻部32が対面する部分は、コイルバネ24(密着巻部31)の軸心とスナブバー23(上ピン28)の軸心がずれた場合においても、有効巻部32の内径面と当接しないように外径(曲面)が設定されている。
さらに、コイルバネ24において有効巻部32の巻回間隔等で設定されるバネ定数は、電動圧縮要素10の弾性支持状態(図1)において、下ピン25の先端と上ピン28の先端との間隔wが2mm〜4mmを形成するように設定されている。この間隔wは、コイルバネ24の有効巻部32が全て密着する圧縮変化寸法よりも小さく設定された値である。
このような状態において、コイルバネ24は、その固有値が約465Hz近傍となるように設定されている。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
ここで用いるコイルバネ24とシェルスナブバー21およびスナブバー23の諸条件は以下のように設定している。
すなわち、コイルバネ24は、線径約φ1.6、有効巻数約8.5、密着巻数約4、自然長約33mm、コイルバネ内径約12mm、電動圧縮要素搭載時のコイルバネ長さ:約28mm、密着巻長さ(片側)約4mm(後述する端面加工済み状態)、有効巻長さ約26mm(電動圧縮要素10の無搭載状態)となるように設定している。
また、シェルスナブバー21は、つば部27を除く下キャップ26の最大外径をコイルバネ24の内径(約12mm)より小さく設定し、さらにスナブバー23は、上キャップ29の最大外径Lを約11.9mm、頭部29aの最大外径lを約11mmに設定している。
運転時は、電動要素8に通電すると回転子7が回転し、シャフト16も回転駆動される。これに伴い、コンロッド18を介してシャフト16の回転運動がピストン13に伝えられ、周知の如く冷媒の圧縮・吐出動作と吸入動作を行う。
このとき、電動圧縮要素10は、圧縮・吐出動作および吸入動作に応じて様々な周波数を含む機械振動を発生する。
すなわち、かかる動作に伴い、電動圧縮要素10は振動し、弾性支持装置20を介して密閉容器1へ振動を伝達するが、弾性支持装置20を構成するコイルバネ24の弾性によって密閉容器1への振動伝達を減衰し、密閉型圧縮機全体の騒音や振動を低減する。
このように電動圧縮要素10の振動は、コイルバネ24の弾性により大幅に減衰されるが、コイルバネ24は、その両端がシェルスナブバー21とスナブバー23に狭持され、しかもシェルスナブバー21の端面が密閉容器1と接しているため、コイルバネ24によって吸収しきれない振動は、コイルバネ24の縦振動として密閉容器1に直接伝播し、密閉容器1全体の振動を増大させてしまうことがある。
特に、従来のように、コイルバネ103およびシェルスナブバー101が鉄系材料により構成されている場合は、その傾向が顕著である。すなわち、鉄系材料は、表面エネルギーが高く、静摩擦係数が比較的高いので、運転中の高周波成分の振動がコイルバネ103を介して直接密閉容器1に伝播することで、密閉容器1の固有値と共振を起こし、騒音を増大させてしまう場合がある。
本実施の形態1では、シェルスナブバー21を構成する下キャップ26を、弾性を有する樹脂で形成し、さらに、コイルバネ24が着座するつば部27を設けているため、図8に示すように、密閉容器1の固有値である3〜5kHz帯域において、密閉容器1への振
動伝達を、従来の振動レベルよりも約7%低減、減衰することができた。
これは、電動圧縮要素10での機械振動が、コイルバネ24を介してシェルスナブバー21に伝達しても、つば部27の介在により、コイルバネ24の密着部30が密閉容器1と直接接触していないこと、また、下キャップ26(つば部27)の材料である樹脂が振動減衰能の高い弾性を有していること、さらに、コイルバネ24の密着部30の内径と下キャップ26の表面の摩擦係数が低いことに起因するためと考察する。
また、従来の構成では、コイルバネ103の挿入のばらつきによって、コイルバネ103の有効巻部105がスナブバー102、あるいはシェルスナブバー101と接触あるいは当接し、コイルバネ103の固有値が変化する場合があったが、本実施の形態1では、通常の状態において、コイルバネ24が、シェルスナブバー21の外周面、およびスナブバー23の外周面と隙間を形成するようにシェルスナブバー21の下キャップ26、およびスナブバー23の上キャップ29の外径を設定しているため、コイルバネ24の挿入のばらつきによるコイルバネ24の固有値の変動がなく、低騒音の密閉型圧縮機を提供することができる。
すなわち、図7に示すように、コイルバネ24の固有値は、約465Hz近傍となるように設定されているため、商用電源周波数の整数倍からなる機械振動(周波数)と比較的離れた設定となっており、その結果、コイルバネ24との共振を回避することができる。
また、冷媒ガスとしてR600aを使用した場合、冷媒ガスの温度や圧力の変化に伴って冷媒ガスの音速が変わり、通常620から750Hz近傍にある密閉容器1内の気柱共鳴周波数が数十Hz変動する場合がある。このような場合においても、図7に示すように、コイルバネ24が持つ固有値のピークから裾野までを、気柱共鳴周波数から十分に外すことができる。
したがって、コイルバネ24の共振による振動がほとんど発生しないため、密閉容器1内の気柱共鳴はほとんど加振されることがなく、さらに低騒音の密閉型圧縮機とすることができる。
また、コイルバネ24の密着部30、31の端面には、当接面であるシェルスナブバー21を構成する下キャップ26のつば部27、および固定枠22との当接において、コイルバネ24の軸心がその当接面と直角となるように端面加工が施されている。
したがって、コイルバネ24は、シェルスナブバー21とスナブバー23(固定枠22)に挟持された状態においても軸心の直角度が保たれ、その結果、コイルバネ24の有効巻部32は、シェルスナブバー21とスナブバー23の間において、所定の隙間を維持し、電動圧縮要素10からの振動を吸収することができる。
さらに、運転停止時は、電動要素8への通電が停止し、これに伴って電動要素8の発生していた回転トルクが急激に減衰する。その結果、ピストン13で発生する圧縮負荷がコンロッド18を介してシャフト16と回転子7にブレーキトルクを与え、回転運動が停止する。
この時、ブレーキトルクに応じて、電動圧縮要素10はシャフト16の主軸部14を略中心として回転子7の回転方向(水平方向)へと回動するが、弾性支持装置20がそのエネルギーを吸収するように作動する。その結果、電動圧縮要素10は、回転方向と反回転方向の回転揺動運動を繰り返しながらその揺動運動が減衰され、これに伴って密閉容器1への伝達も減衰され、やがて密閉型圧縮機全体の揺動が停止される。
ここで、停止直前の吐出圧力や、吸入圧力が高い場合には、圧縮負荷が大きいことから、停止時に回転運動していた回転子7とシャフト16に作用するブレーキトルクも大きくなり、電動圧縮要素10の主軸部14を略中心にした回転揺動も大きくなる。この回転揺動は、上下方向の揺動成分よりも左右方向の揺動成分が大きい状態である。
この時、回転揺動量が大きく、吐出管2等の拘束部に作用する応力は大きくなるが、弾性支持装置20では、図4に示すように、コイルバネ24がその軸心を撓ませて変形し、回転揺動量を減衰させる。
さらに詳述すると、ブレーキトルクの作用による回転揺動に伴い、電動圧縮要素10は、図4において左右方向に移動するが、両端がシェルスナブバー21とスナブバー23に支持されたコイルバネ24が伸縮変形し、外形を形成する曲線の稜線が緩やかなスナブバー23の上キャップ29に逸早く当接する。
その当接は、密着巻部31に近い有効巻部32から順次当接が始まり、これに伴って有効巻部32の長さが徐々に短くなる。その当接と同時にコイルバネ24(有効巻部32)の回転方向(水平方向)に対するバネ力が大きくなり、コイルバネ24は、電動圧縮要素10の移動を抑制するように作用する。
上述の動作と略同時にシェルスナブバー21においても、コイルバネ24における有効巻部32と下キャップ26の当接が始まり、同様に密着部30に近い有効巻部32から順次当接する。シェルスナブバー21での当接は、下キャップ26の外形を形成する曲線の稜線がスナブバー23の上キャップ29の曲線よりも緩やかであるが、長いため、有効巻部32における下キャップ26との当接に起因した回転方向(水平方向)に対するバネ力が大きくなる変化は、上キャップ29との当接によるバネ力の変化よりも遅いが、広い範囲で変化する。
その結果、コイルバネ24(有効巻部32)の回転方向(水平方向)の変位に対するバネ力は、コイルバネ24における有効巻部32の上キャップ29および下キャップ26との当接領域が増えるにつれて増加する。その増加度合いは、図6に示すように、従来のコイルバネ103のバネ特性よりも大きな度合いで変化するため、電動圧縮要素10の回転方向の揺動は、大きく減衰される。
この上キャップ29および下キャップ26との当接に伴うコイルバネ24のバネ力の変化は、反対側に振れる場合も同様に行われる。
さらに、コイルバネ24はシェルスナブバー21とスナブバー23との間で遊嵌しているので、圧入時と比べて同一変位時でのコイルバネ24にかかる応力を緩和でき、信頼性を向上させることが出来る。
上述のように、コイルバネ24の回転方向(水平方向)に対するバネ力が順次大きくなるように変化することに伴い、電動圧縮要素10の揺動が大きく減衰され、短時間で静止する。
したがって、本実施の形態1においては、コイルバネ24はシェルスナブバー21とスナブバー23に遊嵌した構成としていることにより、密閉型圧縮機の運転停止時に電動圧縮要素10が回転方向と反回転方向の回転揺動運動を繰り返した場合においても、コイルバネ24は、シェルスナブバー21を構成する下キャップ26のつば部27との遊嵌関係が維持され、下キャップ26による振動伝達の抑制作用が長期に亘って維持することがで
きる。しかも、コイルバネ24は、シェルスナブバー21とスナブバー23に遊嵌する構成であるため、組立が非常に容易となる。
また、シェルスナブバー21(下キャップ26)の表面形状は、コイルバネ24と係合可能な曲面形状であるため、コイルバネ24は下キャップ26の全周に亘って面接触することが可能であり、コイルバネ24からの高周波成分の振動をさらに低減することができる。
特に、本実施の形態1においては、スナブバー23を構成する上キャップ29の頭部29aの最大外径(直径)lを、底部の外径(直径)Lの約90〜97%の範囲に設定したことによって、下キャップ26の外形を形成する稜線の曲線を上キャップ29の外形を形成する稜線の曲線よりも緩やかになるように構成し、さらに、コイルバネ24の有効巻部32におけるシェルスナブバー21(下キャップ26)とスナブバー23(上キャップ29)との当接可能な比率を約70から約90%の範囲内と設定したことにより、図7に示したように、コイルバネ24のバネ力を速やかに大きくすることができる。
すなわち、電動圧縮要素10の回転方向の変位に対して、コイルバネ24の有効巻部32を、スナブバー23の外周部へ速やかに当接させることができ、その結果、少しの変位でコイルバネ24の有効巻部32が減少し、回転方向のバネ力を、従来の度合いよりも大きな度合いで増大させることができる。
したがって、通常運転時における密閉容器1に伝わる振動を低減することに加えて、停止時に発生する大きな回転揺動量を短時間で低減することができ、吐出管2等の拘束部にかかる応力を小さくして、振動が小さく、信頼性の高い密閉型圧縮機とすることができる。
換言すると、コイルバネ24の有効巻部32におけるシェルスナブバー21(下キャップ26)とスナブバー23(上キャップ29)との当接可能な比率において、約70から約90%の範囲を下回る場合は、バネ力が不足気味となって電動圧縮要素10の回転方向の揺動抑制に時間を要するとともに、輸送時にコイルバネ24が外れることがある。また、その範囲を上回る場合は、バネ力が大きくなり過ぎて必要以上に有効巻部32が上キャップ29、および下キャップ26に圧接し、樹脂製の上キャップ29および下キャップ26を損傷することになるが、有効巻部32のバネ力が適正範囲に得られるようにシェルスナブバー21(下キャップ26)とスナブバー23(上キャップ29)への当接比率を設定することにより、運転停止時における電動圧縮要素10の揺動抑制時間の短縮化をはかり、また、シェルスナブバー21(下キャップ26)とスナブバー23(上キャップ29)等の損傷を防止することができる。
また、下キャップ26の外形を形成する稜線の曲線を上キャップ29の外形を形成する稜線の曲線よりも緩やかになるように、上キャップ29の頭部29aの最大外径(直径)lを、底部の外径(直径)Lの約90〜97%の範囲に設定したが、その範囲の中でも約92〜95%の範囲とする形状が、回転揺動抑制作用において高い効果を得ることができた。
さらに、シェルスナブバー21の下ピン25と下キャップ26の嵌合は、下キャップ26の孔26bの平面部26cに、円柱状の下ピン25の外周面が圧接し、平面部26cが可撓変形した密着状態となる。その結果、電動圧縮要素10が回転方向と反回転方向の回転揺動運動を繰り返し、シェルスナブバー21に回転方向の力が作用した場合においても、下キャップ26は回転方向にずれ難く、振動減衰作用を安定して継続することができる。
また、下キャップ26の下ピン25への圧入作業は、平面部26cを形成した接触面積の減少によって容易となり、作業性が向上する。
また、上キャップ29も同様の構成とする事により、同様の作用、効果が得られる。
さらに、コイルバネ24における回転方向の変位に対するバネ特性のバネ定数を、約2〜5N/mmの範囲に設定したことにより、通常運転時のバネ定数としては比較的柔らかく、また、停止時においては、バネ定数を硬くすることができるため、最大回転揺動量を比較的短い時間内で低減することができる。したがって、より大きな振動が発生し易い低回転で密閉型圧縮機を運転することができる。
また、本実施の形態1においては、下キャップ26、および上キャップ29を、非粘着で極めて高い固体潤滑性を備えた四フッ化エチレンに代表されるフッ素系樹脂から成型しているため、下キャップ26あるいは上キャップ29とコイルバネ24に擦れが生じても滑り易く、表面同士がほとんど引っかかることもない。その結果、コイルバネ24が下キャップ26あるいは上キャップ29と当接する際に生じる金属接触による摩耗を抑制することができる。
さらに、四フッ化エチレンは、弾性を有し、かつ振動減衰能が高いため、スナブバー23(上キャップ29)およびシェルスナブバー21(下キャップ26)とコイルバネ24が当接する際の衝撃が緩和され、当接する際の衝撃音の発生が抑制される。また、衝撃によるスナブバー24の破損を防ぐことができるため、低騒音で信頼性の高い密閉型圧縮機を提供することができる。
また、上キャップ29における頭部29aの始まる曲面の曲率(半径寸法)rを、コイルバネ24を構成する線材の線径の1/2以上の寸法としているため、コイルバネ24の線径よりも上キャップ29の頭部29aの曲率rを大きくすることができ、停止時における電動圧縮要素10の回転揺動時に、上キャップ29の頭部29aがコイルバネ24を傷つけることを防止することができる。
さらに、シェルスナブバー21を構成する下ピン25の先端とスナブバー23を構成する上ピン28の先端の距離を2mm〜4mmの範囲としたことにより、輸送時に振動が加わった場合においても、コイルバネ24が全圧縮する前に下ピン25と上ピン28が衝突するため、コイルバネ24を形成する線材相互の接触による傷付きがなく、コイルバネ24の破損を防ぐことができる。したがって、さらに信頼性の高い密閉型圧縮機を得ることができる。
また、スナブバー23側におけるコイルバネ24の密着部31は、金属製の固定枠22に当接しているため、密閉型圧縮機の運転による微振動が長期に亘って密着部に伝播されても、金属同士の接触面であることから変形を低減することができる。その結果、長期に亘ってコイルバネ24の高さを維持することができ、さらに信頼性の高い密閉型圧縮機を得ることができる。
なお、本実施の形態1では、シェルスナブバー21を構成する下キャップ26およびスナブバー23を構成する上キャップ29の樹脂材料に、四フッ化エチレンを用いたが、同様の性質を備えた樹脂材料として、ポリブチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド等を用いても同様の作用、効果が期待できる。
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機に搭載された弾性支持装置の断面図である。本実施の形態2においては、先の実施の形態1との比較において、弾性支持装置の構成が相違するのみであり、密閉型圧縮機の構成については、図1を援用し、ここでは、先の実施の形態1と相違する構成および作用を主体に説明する。また、先の実施の形態1と同じ構成要件については、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
図9において、先の実施の形態1とは、スナブバー23を構成する上ピン38の直径Mを、シェルスナブバー21を構成する下ピン35の直径mよりも小さく設定した構成と、これに伴い、上キャップ39における上ピン38の貫通する孔39bの径を小さく形成した構成が相違する。
そして、密閉型圧縮機の運転時における振動の減衰、および停止時における回転方向の揺動減衰は、実施の形態1での説明と同様の内容で実施される。
さらに、本実施の形態2においては、上ピン38の直径Mを、下ピン35の直径mより小さく形成しているため、上ピン38は、下ピン35に対して面接触できる範囲を広くとることができる。
その結果、上ピン38のエッジ当たりによる金属粉の発生を低減するとともに、上ピン38の片当たりによる変形が防止でき、この変形に起因したコイルバネ24とスナブバー23の上ピン38との接触、およびコイルバネ24の折損を防止することができる。
以上のように、本発明にかかる密閉型圧縮機は、商用電源周波数の整数倍からなる機械振動とコイルバネの固有値との共振を回避し、停止時の回転揺動量を低減することができるもので、家庭用のエアーコンディショナーあるいは冷凍冷蔵装置に加えて業務用とする冷凍システムの用途にも適用することができる。
1 密閉容器
10 電動圧縮要素
13 ピストン
20 弾性支持装置
21,101 シェルスナブバー
23,102 スナブバー
24,103 コイルバネ
25,35 下ピン
26 下キャップ
26a 遊嵌部
26b 孔
26c 平面部
27 つば部
28,38 上ピン
29,39 上キャップ
29a 頭部
29b,39b 孔
30,31 密着部
32 有効巻部

Claims (7)

  1. 密閉容器と、前記密閉容器内に収納され、かつ往復運動するピストンを備えた電動圧縮要素と、前記電動圧縮要素を弾性的に支持する複数の弾性支持装置を具備した密閉型圧縮機において、前記弾性支持装置を、前記電動圧縮要素側に設けられたスナブバーと、前記密閉容器の内底部に設けられたシェルスナブバーと、前記スナブバーと前記シェルスナブバーに嵌合したコイルバネを備え、前記コイルバネは、両端に形成されたバネ線材の巻回が密着した密着巻部と、前記密着巻部に挟まれ前記バネ線材の巻回が相互に間隔を形成した有効巻部を有し、前記スナブバーは、前記電動圧縮要素側に固定された金属製の上ピンと、前記上ピンに固定され前記上ピンの先端が貫通して突出する頭部を設けた樹脂製の上キャップとを備え、前記シェルスナブバーは、前記密閉容器の内底部に固定された金属製の下ピンと、前記下ピンに設けられ、前記下ピンの先端が貫通して突出した樹脂製の下キャップを備え、前記上キャップは、最大外径が前記コイルバネの密着部の内径よりも小さく設定された上キャップ最大外径部を有し、外周面の輪郭が前記上キャップ最大外径部から前記頭部に向かう軸方向において、前記上ピンに近づく緩やかな曲線となる曲面とし、前記下キャップは、その最大外径が前記コイルバネの前記密着部の内径よりも小さく設定された下キャップ最大外径部を有し前記密着部が遊嵌される遊嵌部を有し、かつ外周面の輪郭が前記遊嵌部から前記下ピンの先端に向かう軸方向において、前記下ピンに近づく曲線となる曲面とし、前記遊嵌部の軸方向の寸法を、前記有効巻部が接触しない寸法とした密閉型圧縮機。
  2. 前記下キャップの曲面を形成する曲線が前記上キャップの曲面を形成する最大外径部から頭部までの曲線よりも緩やかになるように、前記頭部の外径を設定した請求項1に記載の密閉型圧縮機。
  3. 前記コイルバネの有効巻部における前記スナブバーの上キャップ外周面、および前記シェルスナブバーの下キャップの外周面に当接する比率を、有効巻部全体の約70%から約90%の範囲とした請求項1または2に記載の密閉型圧縮機。
  4. 前記下キャップと前記上キャップに、前記下ピンと前記上ピンが貫通する孔を設け、さらに、前記下キャップと前記上キャップにおける前記孔の内面に、前記下ピンと前記上ピンの外周面と当接する複数の平面部を設けた請求項1から3のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
  5. 前記シェルスナブバーを構成する下キャップに、前記コイルバネの密着巻部と密閉容器の底面の間に介在するつば部を設けた請求項1から4のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
  6. コイルバネは、前記電動圧縮要素を弾性的に支持した状態において、前記電動圧縮要素の回転を拘束するバネ特性を有し、前記電動圧縮要素の回転方向の変位に対する前記バネ特性のバネ定数を、約2から約5N/mmの範囲内とした請求項1から5のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
  7. 前記上ピンと当接する前記下ピンの当接可能な面積を、前記上ピンの当接可能な面積よりも大きく設定した請求項1から6のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
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