JP2013194344A - 捺染生地の製造方法及び製造装置 - Google Patents

捺染生地の製造方法及び製造装置 Download PDF

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宏樹 野村
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Abstract

【課題】生地の一方の面に表示物を捺染するに際し、帯状の生地をその帯長手方向に沿わせて搬送しながら捺染を行う方法を採用して、捺染作業の高効率化を図るものとし、そのうえで表示物の輪郭が滲んでボケたり生地が汚損したりすることがないようにする。
【解決手段】生地Tを搬送しつつ表示物の捺染を行い、捺染面を空気中に開放させたまま捺染面の裏面側となる非捺染面を引取ローラ11のローラ外周面に外接させつつ捺染後の生地Tの搬送状態を保持させ、その下流側に配置される第2引取ローラ12までの間で捺染面と非捺染面とが反転するように生地Tにひねりを生じさせ、ひねられた生地Tの捺染面を空気中に開放させたまま非捺染面を第2引取ローラ12のローラ外周面に外接させつつ生地Tの搬送状態を継続させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット捺染等の捺染方法で捺染した生地(以下、「捺染生地」と言う)を製造する方法及びこの製造方法に用いる製造装置に関するものである。
生地に対し、柄模様や部分模様等の表示物を捺染するための方法として、コンピュータ上で作成した画像データを直接、プリンタヘッドへ送って生地へインクを吹き付けるインクジェット捺染方法が知られている(例えば、特許文献1,2等参照)。このインクジェット捺染方法では捺染型が不要であるので、低コスト化が図れ、またデザインの自由度が高く且つデザインの変更も容易であるなどの理由から、注目されている。
ところで、インクジェット捺染方法などにより生地に表示物を捺染する場合にあって、捺染作業の作業効率を高めるため、或いは、捺染により得られた捺染生地をウエストゴム等に使用する目的で、生地として帯状(テープ状又は紐状に帯幅の細い形体を含む)に形成された生地を用いることが考えられる。
特開2004−291430号公報 特開平6−220781号公報
帯状の生地をその帯長手方向に沿って搬送しながら、同時にインクジェット捺染を行うようにするには、生地に弛みや皺などが生じないように、生地に対して帯長手方向に適度の張力を生じさせておく必要がある。そのため、インクジェット捺染を行う装置(プリンタ)に対し、生地搬送方向の上流側及び下流側の両方にピンチローラ機構を配置しておき、上流側のピンチローラ機構により生地へ付与する送り速度に比べて、下流側のピンチローラ機構により生地へ付与する送り速度を相対的に速くするといった制御を行うことが必要になる。
ここにおいて、生地に張力(殊に、その張力が伸長を伴わせる場合のように強力であればあるほど)を付与しておく時間は、生地の緊締性(伸長に抗した収縮力で伸長前の非伸長状態に弾性復元する作用)が低下しないように可及的に短くしたいとの要請があるために、生地を伸長させたままでの搬送距離(上流側のピンチローラ機構から下流側のピンチローラ機構までの距離)は極端に長くはできないという制限が加えられることになる。
また、捺染後の生地を乾燥させるに際しては、前記のような生地の伸長を解除させた後に行うのが好適とされる。なぜなら、生地を伸長させたままで乾燥を行おうとすると、前記したように搬送距離に制限が加えられることになるから、高温の熱源又は加圧空気の送風等を用いた迅速乾燥が必要になるが、このような迅速乾燥では、生地に含まれるポリウレタン等の弾性糸を材質的、物性的に劣化させてしまうおそれがあるからである。すなわち、生地の品質低下を防止するために、生地を非伸長状態に戻したうえで乾燥させる必要がある。
ところが、捺染後の生地を非伸長状態に戻すためには、前記した下流側のピンチローラ機構を通過させざるを得ない。そうすると、この時点の生地はインクが未だ乾燥していないので、生地に捺染された表示物の輪郭がピンチローラ機構のローラとの擦過で滲んでボケたり、ローラに付着したインクが再び生地に転写されて生地を汚損したりするという問題が生じることになってしまう。
これらのことから、生地に表示物を捺染するに際してインクジェット捺染方法を採用する場合には、生地の搬送速度をインクの乾燥に必要な程度まで遅くしたり、間欠送りしたり、或いは、バッチ式(枚葉式)で捺染したりするということが必要となる。すなわち、帯状の生地をその帯長手方向に沿わせて搬送しながら捺染を行う方法を採用しても、捺染作業の作業性を高めることは困難であるということがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、生地に対して一方の面から表示物を捺染するに際し、帯状の生地をその帯長手方向に沿わせて搬送しながら捺染を行う方法を採用して、捺染作業の高効率化を図るものとし、また当然に生地の品質低下を防止するものとし、そのうえで表示物の輪郭が滲んでボケたり生地が汚損したりすることがないようにした捺染生地の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る捺染生地の製造方法は、帯状の生地を帯長手方向に沿わせて搬送しつつ当該生地に対して一方の面から表示物の捺染を行い、前記表示物の捺染が行われた捺染面を空気中に開放させたまま当該捺染面の裏面側となる非捺染面を引取ローラのローラ外周面に外接させつつ捺染後の生地の搬送状態を保持させ、前記引取ローラとこの引取ローラよりも生地搬送方向の下流側に配置される第2引取ローラとの間で前記捺染面と前記非捺染面とが反転する(入れ替わる)ように前記生地に対して生地搬送方向に沿わせたひねりを生じさせ、ひねられた生地の捺染面を空気中に開放させたまま前記非捺染面を前記第2引取ローラのローラ外周面に外接させつつ生地の搬送状態を継続させることを特徴とする。
生地に対して捺染を行う捺染装置よりも生地搬送方向の上流側となる位置で当該生地に捺染前の搬送駆動を付与すると共に、前記捺染装置よりも生地搬送方向の下流側となる位置で当該生地に捺染後の搬送駆動を付与し、捺染前の搬送駆動で生地へ付与する送り速度に比べて捺染後の搬送駆動で生地へ付与する送り速度を相対的に速くすることにより前記捺染装置では生地を帯長手方向に引っ張って伸長させ、前記捺染装置において伸長状態となった生地にインクジェット捺染を行うようにするとよい。
前記引取ローラは、前記捺染装置に対する生地搬送方向の下流側で最初に生地に搬送駆動を付与するものであって、且つ捺染装置に対する生地搬送方向の下流側で生地に伸長を伴わせる張力を生じさせるための唯一の搬送駆動を付与するものとするのが好適である。
前記生地は帯長手方向で伸長させた後に伸長を解除すると伸長前の非伸長状態に弾性復元する緊締性を有したものとされており、生地に対する捺染時には生地の伸長方向及び伸長量に合わせて変形させるか又は非変形とした画像データに基づいて前記伸長保持させた生地に前記インクジェット捺染を行い、捺染後に生地の伸長を解除して非伸長状態に戻すようにするとよい。
一方、本発明に係る捺染生地の製造装置は、帯状の生地に対して当該生地の一方の面から表示物を捺染する捺染装置とこの捺染装置に対して生地を通過搬送させる生地送り装置とを有しており、前記生地送り装置は、前記捺染装置から搬出される生地において表示物の捺染が行われた捺染面を空気中に開放させたまま当該捺染面の裏面側となる非捺染面をローラ外周面に外接させるように配置された引取ローラと、前記引取ローラを経て搬出される生地の捺染面を空気中に開放させたまま非捺染面をローラ外周面に外接させるように配置された第2引取ローラとを有し、前記引取ローラと前記第2引取ローラとの配置間にこれら両ローラ間に架け渡される生地をその捺染面と非捺染面とが反転する(入れ替わる)ように生地搬送方向に沿わせてひねらせるひねり通路部が形成されていることを特徴とする。
前記引取ローラは、前記捺染装置に対して生地搬送方向の下流側で最初に生地に搬送駆動を付与する配置とするのが好適である。
前記捺染装置と前記引取ローラとの間に、捺染後の生地の非捺染面を面接触状態に支持する安定台が設けられているものとすればよい。
前記引取ローラはローラ外周面の1/4周を超えて生地を巻き掛けることで前記捺染装置から搬出された生地を当該捺染装置へ近づく方向へ搬送可能となっていると共に、前記第2引取ローラはローラ外周面の1/4周を超えて生地を巻き掛けることで前記引取ローラから巻き出された生地を前記捺染装置から遠ざかる方向へ搬送可能となっており、前記引取ローラの上流部から前記第2引取ローラの下流部にわたる生地搬送方向の架け渡し通路を高低差のある蛇行通路に形成可能となっていると、好適である。
前記引取ローラのローラ外周面及び前記第2引取ローラのローラ外周面には、生地の非捺染面と回転方向において摩擦接触する滑り止め面が形成されたものとするのが好ましい。
前記滑り止め面は、ローラ外周面の周方向に凹凸が交互に分配された凹凸面により形成されたものとすることで、実施が容易となる。
前記引取ローラ及び前記第2引取ローラは生地に搬送駆動を付与すべく駆動回転可能とされており、前記引取ローラにより生地へ付与する送り速度と前記第2引取ローラにより生地へ付与する送り速度とが速度差のない同一速度となるようにするのが好適である。
前記生地送り装置は、捺染装置よりも生地搬送方向の上流側となる位置で生地に搬送駆動を付与すべく駆動回転可能とされた導入ローラをも有しており、前記導入ローラにより生地へ付与する送り速度に比べて前記引取ローラ及び前記第2引取ローラにより生地へ付与する送り速度が相対的に速くなるように設定する構成を採用することができる。
前記生地送り装置は、前記第2引取ローラよりも生地搬送方向の下流側となる位置で当該第2引取ローラを経て搬出される生地の捺染面を空気中に開放させたまま非捺染面をローラ外周面に外接させるように配置された払い出しローラをも有しており、前記第2引取ローラと前記払い出しローラとの配置間にこれら両ローラ間に架け渡される生地をその捺染面と非捺染面とが反転するように生地搬送方向に沿わせてひねらせる第2ひねり通路部が形成されているものとしてもよい。
本発明に係る捺染生地の製造方法及び製造装置では、生地に対して一方の面から表示物を捺染するに際し、帯状の生地をその帯長手方向に沿わせて搬送しながら捺染を行う方法を採用することで、捺染作業の高効率化を図れるものとしてあり、生地の品質が低下することなく、そのうえで表示物の輪郭が滲んでボケたり生地が汚損したりすることはないものとなっている。
本発明に係る製造方法及びこの製造方法の実施に用いる本発明に係る製造装置を模式的に示した斜視図である。 生地送り装置のひねり通路部を示した側面図である。 本発明に係る製造装置の外観を例示した斜視図である。 引取ローラにおけるローラ外周面の一部を拡大して示した側面図である。 図2のA矢視〜E矢視に対応させて生地がひねられる様子を示したものであって(A)は図2中のA矢視断面図であり(B)は図2中のB矢視断面図であり(C)は図2中のC矢視断面図であり(D)は図2中のD矢視断面図であり(E)は図2中のE矢視断面図である。 本発明に係る製造方法で製造された生地の表示部について判りやすく説明した模式図であって(a)は生地の伸長時を示しており(b)は生地の非伸長時を示している。 本発明に係る製造方法により製造した生地を用いて製作した衣類の一例を示した正面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1及び図2は、本発明に係る捺染生地の製造方法及びこの製造方法の実施に用いる本発明に係る製造装置1を模式的に示している。これら図1及び図2から明らかなように、本発明に係る製造方法では、帯状の生地Tをその帯長手方向に沿わせて搬送しながら、この生地Tの一方の面(片面)に対して、捺染装置2により、インクジェット捺染等の捺染方法で捺染を行うようにするものである。
本実施形態では、帯状の生地Tを、テープ状に細い生地であって且つ帯長手方向で伸縮性を有するものに適用した場合について説明する。より具体的な例を挙げれば、この生地Tは、帯長手方向に沿って伸縮性(伸び性)と共に強い緊締性(伸長に抗した収縮力で伸長前の非伸長状態に弾性復元する作用)を発現する織地製のもの(織ゴム)などとする。
この種の生地Tは、少なくとも帯長手方向に沿って用いられた糸(織地を形成している経糸又は緯糸)に弾性糸が用いられて織成されている。
弾性糸としては、天然ゴム等を素材とするベア糸としてもよいが、インクによる染色性を考慮すれば、ベア糸をポリエステル糸などで巻いたカバリング糸(SCYやDCY)とするのが好適である。カバリング糸とする場合では、芯とするベア糸がポリウレタンであるものも使用可能となる。ただ、後述するように、生地は織地に限定されず編地であってもよい。
まず、本発明に係る捺染生地の製造装置1について説明する。この製造装置1は、生地Tに対してその一方の面から柄模様や部分模様等の表示物を捺染する捺染装置2と、この捺染装置2に対して生地Tを通過搬送させる生地送り装置3とを有している。捺染装置2は、生地送り装置3の搬送経路途中に組み入れられた配置となっている。
なお、図3に示すように、生地送り装置3の搬送始端(図3左側)には、ボビン5から生地Tを巻き出す巻出装置6を設けるとよい。また生地送り装置3の下流側(図3右側)には、捺染後の生地Tを強制的に(自然乾燥以外の方法で)乾燥させるための乾燥装置等を設けたり、生地Tをボビンへ巻き取る巻取装置を設けたりすることもできる(いずれも図示略)。
生地送り装置3は、捺染装置2に対して生地搬送方向の上流側(図1左側)に配置される導入ローラ10と、捺染装置2に対して生地搬送方向の下流側(図1右側)に配置される引取ローラ11及び第2引取ローラ12と、これらより更に下流側(図2参照)に配置される払い出しローラ13とを有している。引取ローラ11と、これより下流側の第2引取ローラ12との配置間には、ひねり通路部15が形成されている。また第2引取ローラ12と、これより下流側の払い出しローラ13との配置間には、第2ひねり通路部16が形成されている。
本実施形態では、更に、払い出しローラ13に対して生地搬送方向の下流側となる位置(図2下側)にガイドローラ17が配置され、これら払い出しローラ13とガイドローラ17との配置間に、第3ひねり通路部18が形成されたものとしている。
引取ローラ11は、この引取ローラ11と導入ローラ10との間で架け渡す生地Tが略水平となって捺染装置2を通過できるように、導入ローラ10による生地Tの搬送レベル(搬送高さ)に合わせて設けられている。
捺染装置2と引取ローラ11との間には、捺染後の生地Tの非捺染面(裏面)を面接触状態に支持する安定台19が設けられている。そのため、捺染後の生地Tは、この安定台19上において水平搬送状態が維持され、捺染後の養生(インクの浸透)と搬送状態とが安定保持される。
なお、本実施形態において、導入ローラ10は、回転軸心を略水平にした一対の平行なローラ10a,10bにより生地Tを両面から挟持するピンチローラ機構を構成したものとしてあり、両ローラ10a,10bが同一の周速度で相対逆となる回転方向へ回転駆動可能となっている。これにより、挟持した生地Tに生地搬送方向の下流側(引取ローラ11側)へ向けた搬送駆動を付与できるようにしてある。
そして、引取ローラ11には、ローラ外周面の1/4周(90°)を超えて生地Tが巻き掛けられるようになっている。本実施形態では、ローラ外周面の1/3周(120°)〜1/2周(180°)の範囲で生地Tが巻き掛けられるようにしてある。
また、第2引取ローラ12についても、ローラ外周面の1/4周(90°)を超えて生地Tが巻き掛けられるようになっている。本実施形態では、ローラ外周面の1/3周(120°)〜1/2周(180°)の範囲で生地Tが巻き掛けられるようにしてある。
このようなことから、捺染装置2から搬出された生地Tは、引取ローラ11を経由することで捺染装置2へ近づく方向(図2の左方)へ搬送され、またこの引取ローラ11から巻き出された生地Tは、第2引取ローラ12を経由することで捺染装置2から遠ざかる方向(図2の右方)へ搬送される。
すなわち、引取ローラ11の上流部から第2引取ローラ12の下流部にわたる生地搬送方向の架け渡し通路は、高低差のある蛇行通路として形成されている。このように、生地
Tが高低差のある蛇行通路を通過することで、引取ローラ11及び第2引取ローラ12はそれらの回転軸心及びローラ外周面を略水平に保持できるものであり、それによって捺染装置2を通過搬送する生地Tを、その生地面(捺染しようとする面)が略水平になるようにして捺染し易い状態に搬送できることになる。
また、これらの結果として、捺染装置2から搬出された生地Tは、捺染装置2を通過するときの搬送方向を基準として、その延長方向(図1及び図2の各右方)へ向けて搬送を続ける状態となっている。
この蛇行通路の中央に、前記したひねり通路部15が形成されていることになる。このひねり通路部15は、図5に示すように、引取ローラ11と第2引取ローラ12との配置間に架け渡される生地Tをその捺染面と非捺染面とが反転する(入れ替わる)ように生地搬送方向に沿わせてひねらせるためのものである。
なお、図2中のA矢視断面が図5(A)に対応し、以下同様に図2中のB矢視断面が図5(B)、図2中のC矢視断面が図5(C)、図2中のD矢視断面が図5(D)、図2中のE矢視断面が図5(E)に、それぞれ対応している。
引取ローラ11は、捺染装置2から搬出される生地Tにおいて、捺染装置2により表示物の捺染が行われた捺染面を空気中に開放させたまま(他物と非接触の状態に保持させたまま)、この捺染面の裏面側となる非捺染面をローラ外周面に外接させるようになっている。換言すれば、引取ローラ11は、ひねり通路部15の始端(ひねりを形成させ始める位置)で、生地Tに対してひねりをかけやすくするための配置となっている。
なお、捺染装置2では生地Tの一方の面からのみ捺染を行うので、生地Tの他方の面(捺染を行っていない裏面)から見て表示物が薄く透過することはあり得るものの、この他方の面を表示面として積極的に使用するのは好ましくない。すなわち、生地Tにおいて積極的に表示面として使用できるのは捺染を行った方の面(即ち、この面が「捺染面」である)である。
ここにおいて、生地Tの「捺染面」は、表示物に他物が擦過等して未乾燥のインクが滲みを起こしたりするのを嫌う面であると言うことができ、この捺染面に対して裏面側となる「非捺染面」は、余程極端な滲みや汚れなどが生じていなければ、生地Tをそのまま商品として使用できる面であると言うことができる。また「捺染面」は、「非捺染面」に比べてインクの乾燥が遅い面であると言うこともできる。
それら故に、捺染装置2から搬出された直後の生地Tの捺染面に対して他物が接触することは許されないという事情が存在するものである。
図4に示すように、この引取ローラ11のローラ外周面には、生地Tの非捺染面に対し、回転方向において摩擦接触するようになる滑り止め面11aが形成されている。この滑り止め面11aは、ローラ外周面の周方向に凹凸が交互に分配された凹凸面により形成されている。本実施形態では、回転軸方向に平行な凸条20を周方向に所定間隔で複数設けることで、凹凸面としている。
なお、この凸条20を含めたローラ外周面の形成層、又は引取ローラ11全体を、生地Tとの接触で凸条20が若干弾性変形する程度の柔軟性を示す素材(例えば、シリコンやウレタンなど)で形成するのが好適である。
凸条20の形成に代え、筋状の凹部をローラ外周面に形成させたり、格子状、V字状、分散する点状などのローレット加工をローラ外周面に施したり、ローラ外周面を粗面状(梨地状)に形成させたり、ローラ外周面を粘着質の材料で形成させたりするといった各種の方法で、引取ローラ11のローラ外周面を滑り止め面11aとさせることも可能である。
この引取ローラ11は、前記したようにローラ外周面の1/4周を超えて生地Tを巻き掛けるようにしてあるので、捺染装置2から搬出された生地Tを、この捺染装置2へ近づく方向へ搬送可能となっており、これに伴い、搬送距離(乾燥距離)を確保しつつも、生地送り装置3としての装置長さはコンパクトにできる利点がある。
また、引取ローラ11に対する生地Tの巻掛け長さを所定以上に確保し、引取ローラ11と生地Tとの間に生ずる摩擦作用を可及的に高める点で有益であることは言うまでもな
い。
第2引取ローラ12は、引取ローラ11を経て搬出される生地Tの捺染面を空気中に開放させたまま非捺染面をローラ外周面に外接させるようになっている。換言すれば、第2引取ローラ12は、ひねり通路部15の終端(ひねりの完了位置)で、このひねり通路部15内の生地Tに対してひねり状態を保持させるための配置となっている。
なお、この第2引取ローラ12は、引取ローラ11から少なくとも生地Tの帯幅よりも長くなるようなローラ間隔を保持させて配置するのが、ひねり通路部15内で生地Tに生じさせるひねりを無理のない、綺麗なひねりとさせるうえで好適となる。
この第2引取ローラ12のローラ外周面についても、前記した引取ローラ11と同様に、生地Tの非捺染面と回転方向において摩擦接触する滑り止め面(図4に示した引取ローラ11の滑り止め面11aを参照)が形成されている。
この第2引取ローラ12の滑り止め面を、回転軸方向に平行な複数本の凸条等で凹凸面とさせる点や、ローラ外周面(形成層等)を柔軟性のある素材で形成するのが好適である点、更にはその他の方法で滑り止め面を形成可能である点、などに関しても、引取ローラ11の場合と同様である。
また、第2引取ローラ12についても、ローラ外周面の1/4周を超えて生地Tを巻き掛けるようにしてあるので、第2引取ローラ12に対する生地Tの巻掛け長さを所定以上に確保でき、第2引取ローラ12と生地Tとの間に生ずる摩擦作用を可及的に高める点で有益となっている。
このような引取ローラ11及び第2引取ローラ12は、生地Tに搬送駆動を付与すべく駆動回転可能とされている。ここにおいて、引取ローラ11により生地Tへ付与する送り速度と、第2引取ローラ12により生地Tへ付与する送り速度とは、速度差のない同一速度となっている。従って、引取ローラ11及び第2引取ローラ12の間(ひねり通路部15)に架け渡される生地Tは、帯長手方向において弛みや皺などを生じない程度の適度な架け渡し状態(フワリと張られた状態)を一定に保持したまま、搬送されるようになっている。
一方で、導入ローラ10により生地Tへ付与する送り速度に比べて、引取ローラ11及び第2引取ローラ12により生地Tへ付与する送り速度は、相対的に速くなるように設定されている。そのため、生地Tには帯長手方向(搬送方向に同じ)に沿って積極的で、且つ調整可能な張力が生じることとなる。
すなわち、導入ローラ10による送り速度と、引取ローラ11及び第2引取ローラ12による送り速度との速度差を大きくすれば、生地Tに対し、弛みや皺などを防止させるための張力だけでなく、生地T自体をその帯長手方向に沿って伸長させるほどに強い張力をも生じさせることができる。
このように、引取ローラ11及び第2引取ローラ12は、捺染装置2の上流側で生地Tに搬送駆動を付与する装置(導入ローラ10等)と組み合わせることで、生地Tに張力及び伸長を生じさせるためのテンション付与装置23を構成しているものである。
ここにおいて、引取ローラ11のローラ外周面に滑り止め面11aが形成されており、また同様に第2引取ローラ12のローラ外周面に滑り止め面が形成されているので、これら引取ローラ11や第2引取ローラ12に対する生地Tの滑り(スリップ)は生じない状態にできる。すなわち、強力で且つ安定した生地搬送力や、生地Tを伸長させるほど強い張力を生じさせるための発生源となり得る。
言うまでもなく、引取ローラ11及び第2引取ローラ12は生地Tの捺染面に対して何ら接触しないものであり、捺染面を空気中に開放させた状態に保持している。そのため、生地Tの捺染面に捺染された表示物は、他物との擦過等により滲みを起こしたり汚染されたりすることがなく、確実且つ順調に乾燥を続けるようになる。
なお、第2引取ローラ12を経た後の生地Tには、前記したテンション付与装置23による伸長作用が及ばないため、生地Tに生じていた伸長も解除される。
これらのことから明らかなように、引取ローラ11は、捺染装置2に対して生地搬送方向の下流側で、最初に生地Tに搬送駆動を付与する配置である。また、この引取ローラ1
1は、捺染装置2に対する生地搬送方向の下流側で、生地Tに伸長を伴わせる張力を生じさせるための唯一の搬送駆動を付与する配置である。
第2引取ローラ12とその下流側に配置された払い出しローラ13との間には、これら両ローラ12,13と回転軸心を平行させた(略水平である)ガイドローラ25が設けられている。前記した第2ひねり通路部16は、このガイドローラ25と払い出しローラ13との間に形成されている。換言すれば、ガイドローラ25は、第2ひねり通路部16の始端(ひねりを形成させ始める位置)で、生地Tに対してひねりをかけやすくするための配置となっている。
なお、このガイドローラ25は省略することも可能であり、省略する場合には、ガイドローラ25による作用(第2ひねり通路部16の始端としての作用)を第2引取ローラ12に担わせることになる。
第2ひねり通路部16では、これら第2引取ローラ12(本実施形態ではガイドローラ25)と払い出しローラ13との間に架け渡される生地Tをその捺染面と非捺染面とが反転する(入れ替わる)ように生地搬送方向に沿わせてひねらせるようになっている。ひねられる生地Tの様子は、ひねり通路部15での状態を示した図5と略同じである。
そのため、この払い出しローラ13は、第2引取ローラ12を経て搬出される生地Tの捺染面を空気中に開放させたまま非捺染面をローラ外周面に外接させるようになる。換言すれば、払い出しローラ13は、第2ひねり通路部16の終端(ひねりの完了位置)で、第2ひねり通路部16内の生地Tに対してひねり状態を保持させるための配置となっている。
なお、生地Tをひねらせる方向(搬送方向の下流側を見て右ひねりとするか又は左ひねりとするか)は、ひねり通路部15と第2ひねり通路部16とで同じ方向としても、又は逆方向としてもよい。逆方向にすることで、生地Tにおいてひねり癖の発生を可及的に防止でき、また搬送方向の直進性を図るという利点なども期待できる。
第2ひねり通路部16は、ひねり通路部15よりも長く形成されている。すなわち、引取ローラ11と第2引取ローラ12との間のローラ間隔よりも、ガイドローラ25(ガイドローラ25を省略する場合は第2引取ローラ12)と払い出しローラ13との間のローラ間隔の方が広く設定されている。そのため、ひねり通路部15でひねられる生地Tのひねり度合いよりも、第2ひねり通路部16でひねられる生地Tのひねり度合いの方が緩くなっている(リードが長くなっている)。
このようにすることで、捺染面の乾燥が進む度合いに合わせるように乾燥距離を可及的に長くして、生地Tにひねり癖や皺などが発生するのを防止してある。
第2引取ローラ12を経た後の生地Tには、前記したテンション付与装置23としての伸長作用が及ばないため、生地Tに生じていた張力や伸長も解除される。このような生地Tを下流側へ送り出すために、この払い出しローラ13は駆動回転させる構成とするのが好適である。
本実施形態では、払い出しローラ13に対して、第2引取ローラ12の回転数(rpm)と同じ回転数の駆動回転が付与されるようにした。但し、払い出しローラ13のローラ外径は第2引取ローラ12よりも径大としてあり、これによって払い出しローラ13の周速は、第2引取ローラ12よりも高速化するようにしてある。これにより、第2引取ローラ12を経ることで生地Tから張力や伸長が解除されることになっても、第2引取ローラ12と払い出しローラ13との間で生地Tに大きな弛みが生じることがないようにするものである。
このような払い出しローラ13の下流側には、前記したようにガイドローラ17が配置されており、これら払い出しローラ13とガイドローラ17との配置間に第3ひねり通路部18が形成されている。
第3ひねり通路部18では、払い出しローラ13とガイドローラ17との間に架け渡される生地Tをその捺染面と非捺染面とが反転する(入れ替わる)ように生地搬送方向に沿わせてひねらせるので、払い出しローラ13を経て搬出される生地Tの捺染面を空気中に開放させたまま、非捺染面をガイドローラ17のローラ外周面に外接させるようになる。
これらの構成により得られる作用及び効果は、ひねり通路部15や第2ひねり通路部16の場合と同じである。
その他、ガイドローラ17を経た生地Tについて、迅速な乾燥を行わせようとする場合では、ガイドローラ17の下流側に、予備乾燥工程を設けるか、又は設けないで、過熱水蒸気により乾燥と発色とを同時に行う装置(乾燥―発色工程を行う装置であってスチーマー等と呼称されることもある)を設けるようにするとよい。
予備乾燥工程としては、ヒータ加熱方式や赤外線照射方式、或いは温風吹きつけ方式等の乾燥装置を採用可能である。予備乾燥工程を設けない場合において、これらの乾燥装置を完全乾燥工程として採用することも可能である。
予備乾燥工程や完全乾燥工程(乾燥装置やスチーマーなどの中)を通過させるべく生地Tを搬送するに際しては、ひねり通路部15、第2ひねり通路部16及び第3ひねり通路部18で説明したのと同様に、生地Tをその捺染面と非捺染面とが反転するようにひねらせる「ひねり通路部」を乾燥装置内へも設けるようにして、生地Tの捺染面が空気中(乾燥雰囲気)に曝されるようにする(ローラのローラ外周面と非接触にする)とよい。
なお、捺染装置2、或いは引取ローラ11を起点として、それらから払い出しローラ13又はガイドローラ17に至る過程で乾燥装置等を設けるようにしてもよい(生地送り装置3を乾燥炉内に組み入れるような構成とすることが可能である)。
捺染装置2は、捺染方法として採用する方式が特に限定されているものではない。従って当然に、その細部構成も限定されるものではない。本実施形態では、インクジェット捺染を行うものとして例示してある。
インクジェット捺染を行うための構成としては、サーマル(ヘッド加熱)式又はピエゾ素子(圧電素子)式のプリンタヘッド30を有したものとすればよく、このプリンタヘッド30に対して、コンピュータ等によって構成されるデータ処理部31から画像データ(デジタルデータ)を出力するように構成すればよい。
なお、この場合、捺染装置2は、プリンタヘッド30を生地Tの搬送方向に直交する方向(帯幅方向であって副走査方向に相当)に往復移動させながら、複数回の移動によって生地Tの一方の面(片面)に表示物たる画像を完成させるスキャン方式とすればよい。或いは、プリンタヘッド30を固定したまま、搬送される生地Tにワンパスで画像を完成させるシングルパス方式としてもよい。
次に、前記した製造装置1を用いる場合に基づいて、本発明に係る製造方法を説明する。
生地送り装置3を作動させ、生地Tを帯長手方向に沿って搬送させる。このとき、導入ローラ10のように、捺染装置2の上流側で生地Tに搬送駆動を付与する装置と、引取ローラ11や第2引取ローラ12のように、捺染装置2の下流側で生地Tに搬送駆動を付与する装置とにつき、下流側の送り速度が高速となる関係で駆動させ、捺染装置2内を張り渡される生地Tに伸長を生じさせる。
生地Tに生じさせる伸長の程度としては、伸長を解除したときに、生地Tが元の長さに確実に戻る範囲(恒久的な伸びが発生しない範囲)を超えないようにして伸長させるものであることは言うまでもない。ただ、生地Tの伸縮の許容範囲内であれば、どの程度の伸長を行わせるかについては、特に限定されるものではない。
なお、導入ローラ10と引取ローラ11との相互間距離は、例えば1000mmに設定することができる。この場合、この相互間距離に占める安定台19の搬送方向長さは、例えば450mm以下とすることができる。また、捺染装置2と引取ローラ11との相互間距離は、例えば360〜580mmとするのが好適である。
当然に、捺染装置2と引取ローラ11との相互間距離を450mm以下に設定する場合には、安定台19の搬送方向長さも450mm未満で形成させることになる。ただ、これらの具体的な数値は殊更限定されるものではなく、生地Tの素材や帯幅、伸長の程度などの諸条件によって適宜変更可能である。
この状況下で、捺染装置2を作動させる。捺染装置2では、生地Tの伸長方向及び伸長量に合わせて変形させるか又は非変形とした画像データをデータ処理部31で作成し、こ
の画像データをプリンタヘッド30へ送って生地Tにインクジェット捺染を行う。画像データの作成に関しては後述する。
捺染装置2から搬出された生地Tは、引取ローラ11に巻き掛けられた後、ひねり通路部15でひねられて第2引取ローラ12に巻き掛けられるようになる。引取ローラ11及び第2引取ローラ12は、いずれも、生地Tの捺染面に対して何ら接触しないものであり、捺染面を空気中に開放させた状態に保持しているので、捺染面に捺染された表示物は、他物との擦過等により滲みを起こしたり汚染されたりしない。
また、生地Tを伸長させたままでの搬送距離(導入ローラ10から引取ローラ11までの距離)は、生地Tの緊締性を低下させないための規定の制限内に収めることができ、もって生地Tの緊締性が低下することはない。加えて、捺染後の生地Tを乾燥させるに際し、高温の熱源や加圧空気の送風等を用いた迅速乾燥も必要ないため、生地Tにポリウレタン等の弾性糸が含まれていた場合も、当該弾性糸に材質的、物質的な劣化を生じさせるおそれがなく、生地Tの品質を低下させることもない。
第2引取ローラ12を経た生地Tは、伸長が解除された状態としてガイドローラ25に巻き掛けられ、その後、第2ひねり通路部16でひねられて払い出しローラ13に巻き掛けられるようになる。これらガイドローラ25及び払い出しローラ13も、生地Tの捺染面に対して何ら接触しないものであり、捺染面を空気中に開放させた状態に保持しているので、捺染面に捺染された表示物は、他物との擦過等により滲みを起こしたり汚染されたりしない。
払い出しローラ13及びガイドローラ17を経た生地Tは、その後、完全乾燥工程や巻き取り工程、裁断工程などへ搬出される。
なお、完全乾燥工程を採用する場合は、捺染装置2へ送り込む前の生地Tに対して予め前処理剤を塗布しておき、捺染装置2を経た後、必要に応じて予備乾燥を行うか、又は予備乾燥を経ないで過熱水蒸気による蒸し(発色)を行い、RC処理(還元洗浄)を行い、最終的な乾燥を行うという手順を採用するとよい。
ところで、捺染装置2のデータ処理部31が画像データを作成するには、生地Tの使用環境を考慮して(生地Tが衣類に取り付けられるものである場合は衣類を着用したときを想定する)、生地Tが通常の使用で伸長されるときの伸長度(非伸長時を基準とした伸長の示度)を予測し、このときの伸長度(以下、「標準伸長度」と言う)で最も明瞭に判読できるような画像データを作成するものとする。
例えば、いま、生地Tの伸長度を段階的な数字で表すと仮定して、非伸長時を「伸長度0」とおき、伸長させるにつれて数字が大きくなるものとし、生地Tの伸縮の許容範囲で最長とされる段階を「伸長度10」とおくものとする。そして、生地Tの標準伸長度を仮に「伸長度5」とおく。
テンション付与装置23が、生地送り装置3によって搬送される生地Tを標準伸長度に合わせて「伸長度5」で伸長させたと仮定した場合、捺染装置2のデータ処理部31は、図6(a)に示すように、正常に『A』と判読できる画像データを、そのまま変形を加えずに(非変形として)作成することになる。
従って、このような条件のもとで生地Tにインクジェット捺染が行われた場合、捺染処理を終えた生地T(当然に、捺染時の伸長が解除されたもの)では、図6(b)に示すように、『A』の画像が帯長手方向(図6(b)の左右方向)で収縮することによって縦棒状の表示に変化する。当然に、このような縦棒状の表示は『A』とは判読できない。
しかし、この生地Tをその標準伸長度である「伸長度5」で改めて伸長させるようにすれば、捺染した『A』の画像が正常に判読できる状態となる。当然に、生地Tの伸長を解除すれば、『A』の画像は縦棒状の表示に戻るために判読不能になる。
なお、生地Tの伸長を、「伸長度4」や「伸長度6」、或いは「伸長度3」や「伸長度7」としても、『A』の画像は、やや歪ながらも判読可能であり、画像を判読できる伸長の程度(範囲)は、「伸長度5」を中心としてある程度、曖昧であると言うことができる。しかし、「伸長度0〜2」や「伸長度8〜10」のように、基準とする「伸長度5」とは顕著に異なる伸長をさせた場合には、『A』の画像を判読することは甚だ困難となるか
、又は不可能となる。
以上のことから、捺染装置2のデータ処理部31が画像データを作成する状況を再記すれば、まず、生地Tの使用環境に基づいて標準伸長度を設定し、この標準伸長度で最も明瞭に判読できるような画像データを作成する、ということになる。前記の例では、生地Tの標準伸長度と、テンション付与装置23による伸長度とを一致させているので、データ処理部31では非変形(非伸長)の画像データを作成している。
但し、テンション付与装置23による生地Tの伸長度は、必ずしも生地Tの標準伸長度に一致させる必要はない。例えば、標準伸長度が「伸長度5」であっても、テンション付与装置23は生地Tに「伸長度8」等の伸長を行わせる設定としてもよい。要するに、使用時の伸長度と捺染時の伸長度とを異ならせるという意味である。
このように、使用時の伸長度と捺染時の伸長度とを異ならせる場合であれば、捺染装置2のデータ処理部31で作成する画像データは、標準伸長度を基準として「伸長度8」に向けた変形(伸長)を行うものとする。言い換えれば、「データ処理部31は、捺染時における生地Tと同じ伸長方向及び伸長量に合わせた画像データを作成する」ということになる。
なお、テンション付与装置23が生地Tを伸長させる伸長度は、生地Tの標準伸長度と同等以上とすることが好適とされる。ただ、前記したように、伸長度と画像の判読性との関係は、ある程度、曖昧な範囲を有しているので、必ずしも、テンション付与装置23による生地Tの伸長度を生地Tの標準伸長度と同等以上とすることが限定されるものではない。
以上の説明から明らかなように、前記捺染方法で捺染した生地Tでは、伸長させた状態でインクジェット捺染を行っているので、生地深部まで着色された(染められた)状態となっている。それ故に、衣類を着たり脱いだりする際などに生地Tが伸長しても、染料の浸透が及んでいない生地色の現出を原因として、生地表面が斑模様化又は希薄化して見栄えが悪化するということはない。
また、この生地Tを用いて製作した衣類などが、経年使用等で伸びを生じるようになったとしても、実際の使用(衣類の着用)が可能な程度の伸びであれば、生地Tにおいて外観的な不具合(柄模様や部分模様が伸びて見苦しくなったり判読できなくなったりする等)が起こることはないので、衣類としての使用を続けることができる(寿命を伸ばす)という利点にも繋がる。
のみならず、生地Tは、非伸長時と伸長時とにおいて、捺染した柄模様や部分模様等が判読できたり判読できなかったりする(伸びによる外観不良の意味では無い)作用が得られるので、これを見る者に、表情の変化を感じさせることができる。
このような表情の変化をうまく活用すれば、衣類(例えばパンツ等)としての使用時に、非着用時には線状模様であったものが着用時には文字や模様に変わるといったような付加価値の高い製品を製作することが可能となる。
一例として、図7に示すように、衣類購入時の体型で着用したウエストサイズWに比べて、その後の着用でウエストサイズWLが大きくなった場合に、メタボリックシンドロームへの注意を喚起させるメッセージが現れるといった製品を製作することができる。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、生地Tは織地に限定されるものではなく、緯編生地を使用することも可能であり、その他、ラッセル経編機で編成したラッセルレースなどの編地を使用することが可能である。
生地送り装置3は、生地Tを連続搬送させるものであっても、間欠搬送させるものであってもよい。
引取ローラ11と第2引取ローラ12の双方を駆動回転させる場合に限らず、いずれか一方のみを駆動回転させたり、或いは、第2引取ローラ12よりも下流側に設けるローラ(例えばガイドローラ25や払い出しローラ13、又は払い出しローラ13よりも下流側に設けるピンチローラ機構など)を駆動回転させることで、引取ローラ11及び第2引取
ローラ12の双方を非駆動とさせたりすることが可能である。
引取ローラ11により生地Tへ付与する送り速度と、第2引取ローラ12により生地Tへ付与する送り速度との間に多少の速度差を生じさせるようにしてもよい。
第2引取ローラ12を通過後も、生地Tに対して伸長が生じるような張力を保持しておき、生地Tに捺染した表示物が完全乾燥した後に、張力を解除させるようにしてもよい。
1 製造装置
2 捺染装置
3 生地送り装置
5 ボビン
6 巻出装置
10 導入ローラ
10a,10b ローラ
11 引取ローラ
11a 滑り止め面
12 引取ローラ
13 払い出しローラ
15 ひねり通路部
16 第2ひねり通路部
17 ガイドローラ
18 第3ひねり通路部
19 安定台
20 凸条
23 テンション付与装置
25 ガイドローラ
30 プリンタヘッド
31 データ処理部
T 生地

Claims (13)

  1. 帯状の生地を帯長手方向に沿わせて搬送しつつ当該生地に対して一方の面から表示物の捺染を行い、
    前記表示物の捺染が行われた捺染面を空気中に開放させたまま当該捺染面の裏面側となる非捺染面を引取ローラのローラ外周面に外接させつつ捺染後の生地の搬送状態を保持させ、
    前記引取ローラとこの引取ローラよりも生地搬送方向の下流側に配置される第2引取ローラとの間で前記捺染面と前記非捺染面とが反転するように前記生地に対して生地搬送方向に沿わせたひねりを生じさせ、
    ひねられた生地の捺染面を空気中に開放させたまま前記非捺染面を前記第2引取ローラのローラ外周面に外接させつつ生地の搬送状態を継続させる
    ことを特徴とする捺染生地の製造方法。
  2. 生地に対して捺染を行う捺染装置よりも生地搬送方向の上流側となる位置で当該生地に捺染前の搬送駆動を付与すると共に、
    前記捺染装置よりも生地搬送方向の下流側となる位置で当該生地に捺染後の搬送駆動を付与し、
    捺染前の搬送駆動で生地へ付与する送り速度に比べて捺染後の搬送駆動で生地へ付与する送り速度を相対的に速くすることにより前記捺染装置では生地を帯長手方向に引っ張って伸長させ、
    前記捺染装置において伸長状態となった生地にインクジェット捺染を行う
    ことを特徴とする請求項1記載の捺染生地の製造方法。
  3. 前記引取ローラは、前記捺染装置に対する生地搬送方向の下流側で最初に生地に搬送駆動を付与するものであって且つ捺染装置に対する生地搬送方向の下流側で生地に伸長を伴わせる張力を生じさせるための唯一の搬送駆動を付与するものとされていることを特徴とする請求項2記載の捺染生地の製造方法。
  4. 前記生地は帯長手方向で伸長させた後に伸長を解除すると伸長前の非伸長状態に弾性復元する緊締性を有したものとされており、
    生地に対する捺染時には生地の伸長方向及び伸長量に合わせて変形させるか又は非変形とした画像データに基づいて前記伸長保持させた生地に前記インクジェット捺染を行い、
    捺染後に生地の伸長を解除して非伸長状態に戻す
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の捺染生地の製造方法。
  5. 帯状の生地に対して当該生地の一方の面から表示物を捺染する捺染装置とこの捺染装置に対して生地を通過搬送させる生地送り装置とを有しており、
    前記生地送り装置は、
    前記捺染装置から搬出される生地において表示物の捺染が行われた捺染面を空気中に開放させたまま当該捺染面の裏面側となる非捺染面をローラ外周面に外接させるように配置された引取ローラと、
    前記引取ローラを経て搬出される生地の捺染面を空気中に開放させたまま非捺染面をローラ外周面に外接させるように配置された第2引取ローラとを有し、
    前記引取ローラと前記第2引取ローラとの配置間にこれら両ローラ間に架け渡される生地をその捺染面と非捺染面とが反転するように生地搬送方向に沿わせてひねらせるひねり通路部が形成されている
    ことを特徴とする捺染生地の製造装置。
  6. 前記引取ローラは、前記捺染装置に対して生地搬送方向の下流側で最初に生地に搬送駆
    動を付与する配置とされていることを特徴とする請求項5記載の捺染生地の製造装置。
  7. 前記捺染装置と前記引取ローラとの間に、捺染後の生地の非捺染面を面接触状態に支持する安定台が設けられていることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の捺染生地の製造装置。
  8. 前記引取ローラはローラ外周面の1/4周を超えて生地を巻き掛けることで前記捺染装置から搬出された生地を当該捺染装置へ近づく方向へ搬送可能となっていると共に、
    前記第2引取ローラはローラ外周面の1/4周を超えて生地を巻き掛けることで前記引取ローラから巻き出された生地を前記捺染装置から遠ざかる方向へ搬送可能となっており、
    前記引取ローラの上流部から前記第2引取ローラの下流部にわたる生地搬送方向の架け渡し通路を高低差のある蛇行通路に形成可能となっていることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の捺染生地の製造装置。
  9. 前記引取ローラのローラ外周面及び前記第2引取ローラのローラ外周面には、生地の非捺染面と回転方向において摩擦接触する滑り止め面が形成されていることを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の捺染生地の製造装置。
  10. 前記滑り止め面は、ローラ外周面の周方向に凹凸が交互に分配された凹凸面により形成されていることを特徴とする請求項9記載の捺染生地の製造装置。
  11. 前記引取ローラ及び前記第2引取ローラは生地に搬送駆動を付与すべく駆動回転可能とされており、
    前記引取ローラにより生地へ付与する送り速度と前記第2引取ローラにより生地へ付与する送り速度とが速度差のない同一速度とされている
    ことを特徴とする請求項5乃至請求項10のいずれか1項に記載の捺染生地の製造装置。
  12. 前記生地送り装置は、捺染装置よりも生地搬送方向の上流側となる位置で生地に搬送駆動を付与すべく駆動回転可能とされた導入ローラをも有しており、
    前記導入ローラにより生地へ付与する送り速度に比べて前記引取ローラ及び前記第2引取ローラにより生地へ付与する送り速度が相対的に速くなるように設定されていることを特徴とする請求項11記載の捺染生地の製造装置。
  13. 前記生地送り装置は、前記第2引取ローラよりも生地搬送方向の下流側となる位置で当該第2引取ローラを経て搬出される生地の捺染面を空気中に開放させたまま非捺染面をローラ外周面に外接させるように配置された払い出しローラをも有しており、
    前記第2引取ローラと前記払い出しローラとの配置間にこれら両ローラ間に架け渡される生地をその捺染面と非捺染面とが反転するように生地搬送方向に沿わせてひねらせる第2ひねり通路部が形成されている
    ことを特徴とする請求項5乃至請求項12のいずれか1項に記載の捺染生地の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114602253A (zh) * 2016-12-20 2022-06-10 苏州市荣丰环保科技有限公司 一种除尘滤袋的袋身成型装置
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