JP2013193052A - 光触媒シート - Google Patents

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Hiroyuki Yamaoka
裕幸 山岡
Yoshikatsu Harada
義勝 原田
Shinichiro Otani
慎一郎 大谷
Teruaki Fujii
輝昭 藤井
Sadayoshi Suhara
貞義 須原
Koichiro Toyama
宏一郎 陶山
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Abstract

【課題】高い光触媒機能を有しつつ、補強用シートを使用することなく機械的強度に優れた光触媒シートを提供する。
【解決手段】光触媒シートは、高い機械的強度と光触媒機能を具備する光触媒繊維の不織布1をフッ素樹脂シート2の片面又は両面に貼り合わせることにより複合化させることで、光触媒作用を発現する光触媒をシート表面に有効に配置し、高い光触媒機能を有し、かつ実用に十分耐えうる機械的強度を有する。好ましくは、前記光触媒繊維不織布1が、シリカ成分を主体とする酸化物相(第1相)とチタンを含む金属酸化物相(第2相)との複合酸化物相からなるシリカ基複合酸化物繊維であって、第2相を構成する金属酸化物のチタンの存在割合が繊維の表層に向かって傾斜的に増大している光触媒繊維である。
【選択図】図2

Description

本発明は、光触媒機能を有する積層シートに関する。さらに詳しくは、空気中の汚染物質の分解機能及び抗菌機能を光触媒によって発現する積層シートに関する。
酸化チタンなどの光触媒による空気中の汚染物質の分解除去、細菌類の殺菌機能が注目されており、様々な製品として利用されている。酸化チタンなどの光触媒は一般的に粉末状であるため、製品として利用するためには、基材に光触媒を固定化することが必要であり、用途に合わせた基材に光触媒を固定することで様々な形状の製品が作られている。
シート形状の光触媒としては、例えば特許文献1に示されているように、光触媒、粉末活性炭とフッ素樹脂とを混合・圧延することにより製造する方法が開示されている。しかしながら、特許文献1に示される光触媒シートは、粉末のみから構成されているために、機械的強度が低く、成型加工性においても十分ではなく実用的に大きな課題を残している。
これに対して特許文献2では、光触媒シートと、織物、編物、不織布又はネットを補強用シートとして光触媒シートと組み合せることによって機械的強度を向上させた光触媒シートが示されている。しかしながらこの光触媒シートでは機械的強度は向上し、実用的ではあるが、この方法で製造される光触媒シートにおいても粉末状光触媒を樹脂中に混合されており、樹脂内部に含まれる光触媒粉末は光触媒作用を発現することはなく、極一部のシート表面に露出している光触媒粒子が光触媒作用を発現するに過ぎない。また、本来必要とする光触媒機能に対して不必要な織物等からなる補強用シートを使用しているという課題がある。
特開平6−315614号 特開平10−337801号
以上の課題に鑑み、本発明の目的は、高い光触媒機能を有しつつ、補強用シートを使用することなく機械的強度に優れた光触媒シートを提供することである。
以上の目的を達成するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、酸化チタンを表面に有する光触媒繊維の不織布を熱可塑性フッ素樹脂シートの片面又は両面に貼り合わせることにより上記課題を解決できることを見出した。すなわち本発明は、高い機械的強度と光触媒機能を具備する光触媒繊維の不織布をフッ素樹脂シートの片面又は両面に貼り合わせることにより複合化させることで、光触媒作用を発現する光触媒をシート表面に有効に配置することで、高い光触媒機能を有し、かつ実用に十分耐えうる機械的強度を有する光触媒シートである。
本発明は、光触媒不織布と熱可塑性フッ素樹脂からなる光触媒シートであって、フッ素樹脂シートの片面又は両面に光触媒不織布を配置したことを特徴とする光触媒シートを提供する。
本発明は、前記光触媒繊維不織布が、シリカ成分を主体とする酸化物相(第1相)とチタンを含む金属酸化物相(第2相)との複合酸化物相からなるシリカ基複合酸化物繊維であって、第2相を構成する金属酸化物のチタンの存在割合が繊維の表層に向かって傾斜的に増大している光触媒繊維で構成されていることを特徴とする前記光触媒シートを提供する。
本発明は、前記光触媒繊維の表面に、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)及びスズ(Sn)のうち少なくとも1以上の金属が担持されていることを特徴とする前記光触媒シートに関する。
本発明は、前記光触媒シート中の光触媒繊維不織布の割合が、5〜90体積%であることを特徴とする前記光触媒シートを提供する。
以上のように、本発明によれば、補強用シートを使うことなく、光触媒機能を有し、かつ実用に十分耐えうる機械的強度を有する光触媒シートを提供することができる。
光触媒繊維不織布の概念図である。 本発明の光触媒シートの概念図である。
次に、本発明に係る光触媒シートの実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。光触媒繊維不織布は図1に示すように、例えば、直径約5μmの繊維から構成されており、目付重量は通常約30〜100g/mのものが使われ、目付重量が大きくなると厚みが増加し、機械的強度も向上するので、使用する目的に応じて任意の目付重量の光触媒繊維不織布を選択すれば良い。
光触媒繊維不織布は、熱可塑性フッ素樹脂製シートの片面又は両面に貼り合わされ、光触媒シートとなる。光触媒繊維不織布は繊維の集合体であり、それ単独では不織布を構成する繊維がある程度自由に動くため、取扱性に問題があり、フッ素樹脂シートは、光触媒繊維不織布を固定化し、取扱性を改善する目的で使用される。光触媒繊維不織布をフッ素樹脂シートの片面又は両面に貼り合わせるのは使用目的に応じて選択すれば良い。また、貼り合わせは、加熱圧縮による熱溶着、接着剤等を用いた方法などが挙げられる。
本発明においてフッ素樹脂を使う理由は、フッ素樹脂が光触媒作用によって劣化しにくいことが挙げられる。光触媒は、紫外線照射により励起し、酸化力の強いOHラジカルを生成する。このOHラジカルが様々な環境汚染物質、細菌等の有機物を酸化分解し、無害化するが、同時に光触媒と複合化した材料の劣化も引き起こす。例えば、フッ素樹脂の代わりにポリエチレン等を用いると、光触媒作用によってポリエチレンが酸化分解し、光触媒シートの寿命が極端に短くなる恐れがある。フッ素樹脂はこうした光触媒作用による劣化が極めて小さいと同時に、紫外線による劣化も小さいため、本発明の目的とする光触媒シートの材料に最適である。
本発明において、光触媒シート中の光触媒繊維不織布の割合は5〜90体積%としている。光触媒繊維不織布の割合が5体積%よりも少ないと光触媒機能が十分に発揮されず、また光触媒シートの機械的強度も十分ではない。90体積%よりも多いと光触媒繊維不織布の固定化が不十分で取扱性が悪くなる。
光触媒繊維の表面は、必要に応じて白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)及びスズ(Sn)のうちの1以上が担持されていてもよい。担持方法は、特に限定されないが、前記担持される金属イオンが含まれる液と光触媒繊維とを接触させながら、第2相を構成する金属酸化物のバンドギャップに相当するエネルギー以上のエネルギーを有する光を照射することによって、担持させることができる。
第1相は、シリカ成分を主体とする酸化物相であり、非晶質であっても結晶質であってもよく、またシリカと固溶体あるいは共融点化合物を形成し得る金属元素あるいは金属酸化物を含有してもよい。シリカと固溶体を形成し得る金属元素(A)としては、例えば、チタン等が挙げられる。シリカと固溶体を形成し得る金属酸化物の金属元素(B)としては、例えば、アルミニウム、ジルコニウム、イットリウム、リチウム、ナトリウム、バリウム、カルシウム、ホウ素、亜鉛、ニッケル、マンガン、マグネシウム、及び鉄等が挙げられる。
第1相は、シリカ基複合酸化物繊維の内部相を形成しており、力学的特性を負担する重要な役割を演じている。シリカ基複合酸化物繊維全体に対する第1相の存在割合は40〜98重量%であることが好ましく、目的とする第2相の機能を十分に発現させ、なお且つ高い力学的特性をも発現させるためには、第1相の存在割合を50〜95重量%の範囲内に制御することがさらに好ましい。
一方、第2相は、チタンを含む金属酸化物相であり、光触媒機能を発現させる上で重要な役割を演じるものである。金属酸化物を構成する金属としては、チタンが挙げられる。この金属酸化物は、単体でもよいし、その共融点化合物やある特定元素により置換型の固溶体を形成したもの等でもよいが、チタニアであることが好ましい。第2相は、シリカ基複合酸化物繊維の表層相を形成しており、シリカ基複合酸化物繊維の第2相の存在割合は、金属酸化物の種類により異なるが、2〜60重量%が好ましく、その機能を十分に発現させ、また高強度をも同時に発現させるには5〜50重量%の範囲内に制御することがさらに好ましい。第2相のTiを含む金属酸化物の結晶粒径は15nm以下が好ましく、特に10nm以下が好ましい。
第2相に含まれる金属酸化物のチタンの存在割合は、シリカ基複合酸化物繊維の表面に向かって傾斜的に増大しており、その組成の傾斜が明らかに認められる領域の厚さは表層から5〜500nmの範囲に制御することが好ましいが、繊維直径の約1/3に及んでもよい。尚、第1相及び第2相の「存在割合」とは、第1相を構成する金属酸化物と第2相を構成する金属酸化物全体、即ちシリカ基複合酸化物繊維全体に対する第1相の金属酸化物及び第2相の金属酸化物の重量%を示している。
次に、傾斜構造を有する光触媒繊維の製造方法について説明する。
(溶融紡糸法)
光触媒繊維は、主として一般式
Figure 2013193052
(但し、式中のRは水素原子、低級アルキル基又はフェニル基を示す。)で表される主鎖骨格を有する数平均分子量が200〜10,000のポリカルボシランを、有機金属化合物で修飾した構造を有する変性ポリカルボシラン、あるいは変性ポリカルボシランと有機金属化合物との混合物を得る第A工程、溶融紡糸する第B工程、不融化処理する第C工程、及び空気中又は酸素中で焼成する第D工程により製造することができる。
第A工程は、シリカ基複合酸化物繊維を製造するための出発原料として使用する数平均分子量が1,000〜50,000の変性ポリカルボシランを製造する工程である。上記変性ポリカルボシランの基本的な製造方法は、特開昭56−74126号公報に記載の方法に極めて類似しているが、その中に記載されている官能基の結合状態を注意深く制御する必要がある。
変性ポリカルボシランは、主として上記化1で表される主鎖骨格を有する数平均分子量が200〜10,000のポリカルボシランと、一般式、M(OR’)nあるいは、MR”m(Mは金属元素、R’は炭素原子数1〜20個を有するアルキル基又はフェニル基、R”はアセチルアセトナート、mとnは1より大きい整数)を基本構造とする有機金属化合物とから誘導されるものである。
傾斜構造を有する光触媒繊維を製造するには、前記有機金属化合物の一部のみがポリカルボシランと結合を形成する緩慢な反応条件を選択する必要がある。その為には280℃以下、好ましくは250℃以下の温度で、不活性ガス中で反応させる必要がある。この反応条件では、有機金属化合物はポリカルボシランと反応したとしても、1官能性重合体として結合(即ちペンダント状に結合)しており、大幅な分子量の増大は起こらない。この有機金属化合物が一部結合した変性ポリカルボシランは、ポリカルボシランと有機金属化合物の相溶性を向上させる上で重要な役割を演じる。
なお、2官能以上の多くの官能基が結合した場合は、ポリカルボシランの橋掛け構造が形成されると共に顕著な分子量の増大が認められる。この場合は、反応中に急激な発熱と溶融粘度の上昇が起こる。一方、1官能しか反応せず未反応の有機金属化合物が残存している場合は、逆に溶融粘度の低下が観察される。
傾斜構造を有する光触媒繊維を製造するには、未反応の有機金属化合物を意図的に残存させる条件を選択することが望ましい。主として上記変性ポリカルボシランと未反応状態の有機金属化合物あるいは2〜3量体程度の有機金属化合物が共存したものを出発原料として用いるが、変性ポリカルボシランのみでも、極めて低分子量の変性ポリカルボシラン成分が含まれる場合は、同様に出発原料として使用できる。
第B工程においては、第A工程で得られた変性ポリカルボシラン、あるいは変性ポリカルボシランと低分子量の有機金属化合物の混合物(以下、前駆体という場合がある。)を溶融させて紡糸原液を造り、場合によってはこれをろ過してミクロゲル、不純物等の紡糸に際して有害となる物質を除去し、これを通常用いられる合成繊維紡糸用装置により紡糸する。紡糸する際の紡糸原液の温度は原料の変性ポリカルボシランの軟化温度によって異なるが、50〜200℃の温度範囲が有利である。上記紡糸装置において、必要に応じてノズル下部に加湿加熱筒を設けてもよい。なお、繊維径は、ノズルからの吐出量と紡糸機下部に設置された高速巻き取り装置の巻き取り速度を変えることにより調整される。
前記紡糸の他に、第A工程で得られた変性ポリカルボシラン、あるいは変性ポリカルボシランと低分子量の有機金属化合物の混合物を、例えばベンゼン、トルエン、キシレンあるいはその他該変性ポリカルボシランと低分子量有機金属化合物を溶融することのできる溶媒に溶解させ、紡糸原液を造り、場合によってはこれをろ過してマクロゲル、不純物等紡糸に際して有害な物質を除去した後、前記紡糸原液を通常用いられる合成繊維紡糸装置により乾式紡糸法により巻き取り速度を制御しながら紡糸してもよい。
これらの紡糸工程において、必要ならば、紡糸装置に紡糸筒を取り付け、その筒内の雰囲気を前記溶媒のうち少なくとも1つの気体との混合雰囲気とするか、あるいは空気、不活性ガス、熱空気、熱不活性ガス、スチーム、アンモニアガス、炭化水素ガス、又は有機ケイ素化合物ガスの雰囲気とすることにより、紡糸筒中の繊維の固化を制御することができる。
第C工程においては、第B工程で得られた紡糸繊維を酸化雰囲気中で、張力又は無張力の作用の下で予備加熱を行い、前記紡糸繊維の不融化を行う。第C工程は、第D工程の焼成の際に、繊維が溶融せず、且つ隣接繊維と接着しないことを目的として行うものである。処理温度並びに処理時間は、組成により異なり、特に限定されないが、一般に50〜400℃の範囲内で、数時間〜30時間の処理条件が選択される。酸化雰囲気中には、水分、窒素酸化物、オゾン等、紡糸繊維の酸化力を高めるものが含まれていてもよく、酸素分圧を意図的に変えてもよい。
ところで、原料中に含まれる低分子量物の割合によっては、紡糸繊維の軟化温度が50℃を下回る場合もあり、その場合は、あらかじめ上記処理温度よりも低い温度で、繊維表面の酸化を促進する処理を施す場合もある。なお、第C工程並びに第B工程の際に、原料中に含まれる低分子量物の繊維表面へのブリードアウトが進行し、目的とする傾斜組成の下地が形成されるものと考えられる。
第D工程においては、第C工程により不融化された繊維を、張力又は無張力下で、500〜1800℃の温度範囲で酸化雰囲気中において焼成し、目的とする、シリカ成分を主体とする酸化物相(第1相)とチタンを含む金属酸化物相(第2相)との複合酸化物相からなり、表層に向かって第2相を構成する金属酸化物のチタンの存在割合が傾斜的に増大する光触媒繊維を得る。第D工程において、不融化繊維中に含まれる有機物成分は基本的には酸化されるが、選択する条件によっては、炭素や炭化物として繊維中に残存する場合もある。このような状態でも、目的とする機能に支障をきたさない場合はそのまま使用されるが、支障をきたす場合は、更なる酸化処理が施される。その際、目的とする傾斜組成及び結晶構造に問題が生じない温度、及び処理時間が選択される。
なお、光触媒繊維を不織布とするには、上記製法により得られた光触媒機能を有する光触媒繊維を短繊維にした後、ニードルパンチを行うことにより不織布とするとすることができる。
(メルトブロー法)
不織布は、メルトブロー法を用いて、第A工程で得られた前駆体を溶融し、溶融物を紡糸ノズルから吐出するとともに、前記紡糸ノズルの周囲から加熱窒素ガスを噴出させて紡糸し、紡糸ノズルの下部に配置した受器に紡糸繊維を捕集することにより不織布を形成させ、次いで、該不織布を不融化処理後、酸化雰囲気中で焼成することにより製造することもできる。
紡糸ノズルの直径は通常100〜500μm程度のものを用いる。窒素ガス噴出速度は30〜300m/s程度であり、速度が速いほど細い繊維が得られる。窒素ガスの加熱温度は、所望の紡糸繊維が得られれば特に制限はないが、通常500℃程度に加熱した窒素ガスを噴出させる。従来、一般的なメルトブロー法では、噴出ガスとして空気が用いられているが、第A工程で得られた前記前駆体を紡糸するには窒素を用いる必要がある。噴出ガスとして窒素を用いることにより安定して紡糸を行うことができる。
紡糸ノズルの下部に配置した受器に紡糸繊維を捕集する際、吸引可能な受器を用いて、受器の下側から吸引しながら紡糸することが好ましい。吸引することにより、繊維が効果的にからまり、高強度の不織布が得られる。吸引速度は2〜10m/s程度の範囲が好ましい。
得られた不織布は、上記溶融紡糸法の場合と同様の不融化処理及び焼成(第C工程及び第D工程)を行うことにより、光触媒繊維からなる不織布が得られる。メルトブロー法により製造される光触媒繊維は、平均繊維径が1〜20μm、好ましくは、1〜8μm、より好ましくは、2〜6μmと、溶融紡糸法で製造される繊維に比べてより細いものとすることができる。これにより、繊維の表面積も大きくでき、触媒活性が増大する。また、メルトブロー法により製造される不織布は、溶融紡糸法で製造された長さ40〜50mm程度の短繊維をニードルパンチ法で不織布としたものに比べて繊維が長いものとなる。その結果、不織布は強度が高く(引張強度2N以上)、フィルター等に加工する際に十分なプリーツ加工性を有する。
不織布の目付けや厚みについては特に限定は無いが、通常目付けが30〜100g/m、厚みは0.2〜3mmであることが好ましい。厚みは、必要に応じて不織布を積層することにより調整できる。厚みは、0.2mmよりも薄い場合には、光触媒量そのものが少なすぎて光触媒機能が十分に得られない。3mmよりも厚くしても光触媒機能を発揮するのは光触媒シートに成型した後の表面部分のみとなるため、光触媒機能の観点からは不必要である。
上記のような不織布の製造方法によれば、繊維同士のブリッジングが全く無く、一本一本の繊維表面に酸化チタンを始めとする光触媒成分が緻密に析出した構造の光触媒繊維からなる不織布が得られる。また、この光触媒繊維は、従来のコーティングという手法によらないため、繊維表面の光触媒成分が脱落するという問題がない。さらにこの繊維からなる不織布は、繊維一本一本がある程度の空隙を有して分散した構造になっているために、光触媒の有効表面積が大きくなり、光触媒機能を発現する上で非常に有利である。
次に、本実施の形態に係る光触媒シートの製造方法について説明する。本発明の光触媒シートは例えば次のような方法で製造することができる。熱可塑性フッ素樹脂粉末及び熱可塑性フッ素樹脂繊維を水性溶媒中で分散、混合する。熱可塑性フッ素樹脂粉末は平均粒径が500μm以下のものが好ましい。平均粒径が500μmを越えると水性溶媒中での分散が不均一となりやすく、最終的に製造される光触媒シートの均一性に悪影響を及ぼす。熱可塑性フッ素樹脂繊維は平均繊維長が3〜30mm、繊維径が100μm以下であることが好ましい。繊維径が100μmよりも大きく、また平均繊維長が30mmよりも長いと水性溶媒中での分散が不均一となりやすく、最終的に製造される光触媒シートの均一性に悪影響を及ぼす。また、平均繊維長が3mmよりも短いと後のシート成型段階で中間体シートの取扱が難しくなる。これらの配合割合は熱可塑性フッ素樹脂粉末100重量部に対して熱可塑性フッ素樹脂繊維50〜200重量部であることが好ましい。水性溶媒中で分散、混合するとき、上記熱可塑性フッ素樹脂粉末及び熱可塑性フッ素樹脂繊維の合計に対して1〜10重量%の結合剤を添加することが好ましい。結合剤としては例えば、結合したスルホニウム基、イソチオウロニウム基、ピリジニウム基、第四アンモニウム基、サルフェート基、スルホネート基又はカルボキシレート基を含有するアクリルポリマー又はスチレン・ブタジエンポリマーのような結合した陰イオンまたは陽イオン電荷を持つ水に不溶な有機ポリマーラテックスが挙げられる。
上記のように熱可塑性フッ素樹脂粉末及び熱可塑性フッ素樹脂繊維を水性溶媒中で分散、混合した後、抄紙機等を用いて、水性溶媒中の熱可塑性フッ素樹脂粉末及び熱可塑性フッ素樹脂繊維からなる固形分をシート状になるように固液分離する。このシートを乾燥した後、このシートの片面又は両面に光触媒繊維不織布を配し、熱可塑性フッ素樹脂粉末及び熱可塑性フッ素樹脂繊維の融点又は軟化点程度の温度で、面圧0.1〜100MPaのプレス圧下で成型し、光触媒シートを得ることができる。
以下、本発明を実施例により説明する。
(製造例1)
5リットルの三口フラスコに無水トルエン2.5リットルと金属ナトリウム400gとを入れ窒素ガス気流下でトルエンの沸点まで加熱し、ジメチルジクロロシラン1リットルを1時間かけて滴下した。滴下終了後、10時間加熱還流し沈殿物を生成させた。この沈殿をろ過し、まずメタノールで洗浄した後、水で洗浄して、白色粉末のポリジメチルシラン420gを得た。ポリジメチルシラン250gを水冷還流器を備えた三口フラスコ中に仕込み、窒素気流下、420℃で30時間加熱反応させて数平均分子量が1200のポリカルボシランを得た。
前記ポリカルボシラン16gにトルエン100gとテトラブトキシチタン64gを加え、100℃で1時間予備加熱させた後、150℃までゆっくり昇温してトルエンを留去させてそのまま5時間反応させ、更に250℃まで昇温して5時間反応させ、変性ポリカルボシランを合成した。この変性ポリカルボシランに意図的に低分子量の有機金属化合物を共存させる目的で5gのテトラブトキシチタンを加えて、変性ポリカルボシランと低分子量有機金属化合物の混合物を得た。
この変性ポリカルボシランと低分子量有機金属化合物の混合物をトルエンに溶解させた後、ガラス製の紡糸装置に仕込み、内部を十分に窒素置換してから昇温してトルエンを留去させて、180℃で溶融紡糸を行った。紡糸繊維を空気中、段階的に150℃まで加熱し不融化させた後、1200℃の空気中で1時間焼成を行い、製造例1に係るチタニア/シリカ繊維(光触媒繊維)を得た。
(実施例1)
製造例1により得られた光触媒繊維を図1のような不織布とした。この不織布の目付重量は50g/mで、厚みは0.3mmであった。水12.25リットル中に、熱可塑性フッ素樹脂粉末(旭硝子製商品名フルオン、平均粒径:25μm)20g、熱可塑性フッ素樹脂繊維(東レファインケミカル製商品名トヨフロン(登録商標)、平均繊維長:5mm、繊維径:12μm)20g、結合剤としてアクリルポリマーラテックス2gを入れ、攪拌、混合した。この混合物を抄紙機を用いて、目開き0.2mmのスクリーン上で脱水し、シート状にし、120℃で5時間乾燥を行い、目付重量100g/mのシートを得た。このシートの表面及び裏面に上記光触媒繊維不織布を配し、ホットプレス装置を用いて、面圧10MPa、温度330℃で3分間加熱プレスし、面圧を保持したまま室温まで冷却し、厚み1mmの光触媒シートを得た。この光触媒シート中の光触媒繊維不織布の含有率は25%、気孔率は70%であった。
次に、得られた光触媒シートの光触媒性能を評価した。得られた光触媒シートから49.5mm×99.5mmの試験片を切り出し、JIS R1701-2にしたがってアセトアルデヒド除去性能を評価した。アセトアルデヒドの除去率は55%であった。また、得られた光触媒シートから50mm×50mmの試験片を切り出し、JIS R1702にしたがって抗菌性能を評価した。抗菌活性値は3.5であった。また、この光触媒シートは手で容易に引き裂くことはできず、実用的な機械的強度を有するとともに、はさみ等で切断できる加工性も有していた。
(比較例1)
特許文献2に記載された実施例にしたがって、以下の通り光触媒シートを製造した。水12.25リットル中に、攪拌しながらスラリー粘度調整剤としてキサンタンガム0.47gを加えた後、熱可塑性フッ素樹脂繊維(東レファインケミカル製トヨフロン、平均繊維長:5mm、繊維径:12μm)17.42g、強化用ピッチ系炭素繊維(大阪ガスケミカル(株)製ドナカーボS−231(登録商標)、平均繊維長:5mm)8.71gを加え、5分間攪拌、分散させた。次いで、この分散液に二酸化チタン粉末(石原産業製商品名ST−21、平均粒径:0.02μm)17.42gと、固体アクリルポリマーラテックス2gを加えた後、0.41重量%の陽イオン凝集剤(Betz Laboratory製商品名Betz1260)26.56gを徐々に加えることによって凝集させたスラリーを得た。このスラリーをシートマシンで、0.2mmのスクリーン上で脱水し、シート状にした後、135℃で乾燥し、目付重量420g/mのシートを得た。このシート中の二酸化チタン粉末100重量部に対して、熱可塑性フッ素樹脂繊維は100重量部、炭素繊維は50重量部であった。このシートの両面に目付重量50g/m、目開き50%の平織りガラスクロスを配し、面圧10MPa、温度320℃にて3分間加熱プレスし、この圧力を保持したまま室温まで冷却し、光触媒シートを得た。このシートの厚みは0.7mm、気孔率は70%であった。
次に、実施例1と同様に、得られた光触媒シートの光触媒性能を評価した。得られた光触媒シートから49.5mm×99.5mmの試験片を切り出し、JIS R1701−2にしたがってアセトアルデヒド除去性能を評価した。アセトアルデヒドの除去率は10%であった。また、得られた光触媒シートから50mm×50mmの試験片を切り出し、JIS R1702にしたがって抗菌性能を評価した。抗菌活性値は2.0であった。これらの性能はいずれも実施例1と比較して著しく低い性能であった。これは、光触媒シートに含有される光触媒は比較例1の方が多いものの、その大部分がシート内部に含有されており、シート表面に露出していないため十分な光触媒性能が発現しなかったものと考えられる。一方、実施例1ではシート表面に効果的に光触媒が露出しており、少ない光触媒が有効に作用したものと考えられる。また、比較例1の光触媒シートも実施例1と同様に、手では容易に引き裂くことはできず、実用的な機械的強度を有するとともに、はさみ等で切断できる加工性も有していた。
1 光触媒繊維不織布
2 熱可塑性樹脂シート

Claims (4)

  1. 光触媒不織布と熱可塑性フッ素樹脂からなる光触媒シートであって、フッ素樹脂シートの片面又は両面に光触媒繊維不織布を貼り合わせていることを特徴とする光触媒シート。
  2. 前記光触媒繊維不織布が、シリカ成分を主体とする酸化物相(第1相)とチタンを含む金属酸化物相(第2相)との複合酸化物相からなるシリカ基複合酸化物繊維であって、第2相を構成する金属酸化物のチタンの存在割合が繊維の表層に向かって傾斜的に増大している光触媒繊維で構成されていることを特徴とする請求項1記載の光触媒シート。
  3. 前記光触媒繊維の表面に、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)及びスズ(Sn)のうち少なくとも1以上の金属が担持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光触媒シート。
  4. 前記光触媒シート中の光触媒繊維不織布の割合が、5〜90体積%であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の光触媒シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015188847A (ja) * 2014-03-28 2015-11-02 宇部興産株式会社 多孔質光触媒体およびその製造方法

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