本発明を遊技機の一例であるスロットマシンに適用した実施例1を図面を用いて説明すると、本発明の遊技機の一例であるスロットマシン1は、前面が開口する筐体1aと、この筐体1aを正面から見て左側の前端辺に回動自在に枢支され、該筐体1aの前面開口を開閉可能な前面扉1bと、から構成されている。
本実施例のスロットマシン1の筐体1aの内部には、図2に示すように、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リール)が水平方向に並設されており、図1に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置されている。
リール2L、2C、2Rの外周部には、それぞれ「7」、「BAR」、「リプレイ」、「ベル」、「スイカ」、「チェリー」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ21個ずつ描かれている。リール2L、2C、2Rの外周部に描かれた図柄は、透視窓3において各々上中下三段に表示される。
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられリールモータ32L、32C、32R(図3参照)によって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
リール2L、2C、2Rの内側には、リール2L、2C、2Rそれぞれに対して、基準位置を検出するリールセンサ33L、33C、33Rと、リール2L、2C、2Rを背面から照射するリールLED55と、が設けられている。また、リールLED55は、リール2L、2C、2Rの連続する3つの図柄に対応する12のLEDからなり、各図柄をそれぞれ独立して照射可能とされている。
前面扉1bにおける各リール2L、2C、2Rに対応する位置には、リール2L、2C、2Rを前面側から透視可能とする横長長方形状の透視窓3が設けられており、該透視窓3を介して遊技者側から各リール2L、2C、2Rが視認できるようになっている。
前面扉1bには、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数のうち最大の賭数(本実施例ではいずれの遊技状態においても3)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダル及び賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジット及び賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、演出に用いるための演出用スイッチ56が遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。
尚、本実施例では、回転を開始した3つのリール2L、2C、2Rのうち、最初に停止するリールを第1停止リールと称し、また、その停止を第1停止と称する。同様に、2番目に停止するリールを第2停止リールと称し、また、その停止を第2停止と称し、3番目に停止するリールを第3停止リールと称し、また、その停止を第3停止あるいは最終停止と称する。
また、前面扉1bには、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11、入賞の発生により払い出されたメダル枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコード等が表示される遊技補助表示器12、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18、ウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリールの回転開始を待機している状態)中である旨を点灯により報知するウェイト中LED19、後述するリプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20が設けられた遊技用表示部13が設けられている。
MAXBETスイッチ6の内部には、MAXBETスイッチ6の操作による賭数の設定操作が有効である旨を点灯により報知するBETスイッチ有効LED21(図3参照)が設けられており、ストップスイッチ8L、8C、8Rの内部には、該当するストップスイッチ8L、8C、8Rによるリールの停止操作が有効である旨を点灯により報知する左、中、右停止有効LED22L、22C、22R(図3参照)がそれぞれ設けられている。
また、前面扉1bにおけるストップスイッチ8L、8C、8Rの下方には、スロットマシン1のタイトルや後述する配当表1などが印刷された下部パネルが設けられている。
前面扉1bの内側には、所定のキー操作により後述するエラー状態及び後述する打止状態を解除するためのリセット操作を検出するリセットスイッチ23、後述する設定値の変更中や設定値の確認中にその時点の設定値が表示される設定値表示器24、後述のBB終了時に打止状態(リセット操作がなされるまでゲームの進行が規制される状態)に制御する打止機能の有効/無効を選択するための打止スイッチ36a、後述のBB終了時に自動精算処理(クレジットとして記憶されているメダルを遊技者の操作によらず精算(返却)する処理)に制御する自動精算機能の有効/無効を選択するための自動精算スイッチ36b、メダル投入部4から投入されたメダルの流路を、筐体1a内部に設けられた後述のホッパータンク34a(図2参照)側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド30、メダル投入部4から投入され、ホッパータンク34a側に流下したメダルを検出する投入メダルセンサ31を有するメダルセレクタ(図示略)、前面扉1bの開放状態を検出するドア開放検出スイッチ25(図3参照)が設けられている。
筐体1a内部には、図2に示すように、前述したリール2L、2C、2R、リールモータ32L、32C、32R、各リール2L、2C、2Rのリール基準位置をそれぞれ検出可能なリールセンサ33L、33C、33R(図3参照)からなるリールユニット2、外部出力信号を出力するための外部出力基板1000、メダル投入部4から投入されたメダルを貯留するホッパータンク34a、ホッパータンク34aに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34b、ホッパーモータ34bの駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ34cからなるホッパーユニット34、電源ボックス100が設けられている。
また、筐体1aを構成する背板1cの内面上部には、後述する遊技制御基板40が収容された基板ケース200が、遊技制御基板40の電子部品の実装面40aの裏面40b側が視認不可となる第1の回動規制位置A(第1の位置)と、遊技制御基板40の裏面40b側が視認可能となる第2の回動規制位置B(第2の位置)と、の間で回動可能に設けられている(図26参照)。尚、基板ケース200の詳細な構造については後述することとする。
ホッパーユニット34の側部には、ホッパータンク34aから溢れたメダルが貯留されるオーバーフロータンク35が設けられている。オーバーフロータンク35の内部には、貯留された所定量のメダルを検出可能な高さに設けられた左右に離間する一対の導電部材からなる満タンセンサ35aが設けられており、導電部材がオーバーフロータンク35内に貯留されたメダルを介して接触することにより導電したときに内部に貯留されたメダル貯留量が所定量以上となったこと、すなわちオーバーフロータンクが満タン状態となったことを検出できるようになっている。
電源ボックス100の前面には、設定変更状態または設定確認状態に切り替えるための設定キースイッチ37、通常時においてはエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更状態においては後述する内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38、電源をon/offする際に操作される電源スイッチ39が設けられている。
本実施例のスロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ6を操作すれば良い。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1〜L5(図2参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。本実施例では、規定数の賭数として遊技状態に関わらず3枚が定められて規定数の賭数が設定されると入賞ラインL1〜L5が有効となる。尚、遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
入賞ラインとは、各リール2L、2C、2Rの透視窓3に表示された図柄の組み合わせが入賞図柄の組み合わせであるかを判定するために設定されるラインである。本実施例では、図2に示すように、各リール2L、2C、2Rの中段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL1、各リール2L、2C、2Rの上段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL2、各リール2L、2C、2Rの下段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL3、リール2Lの上段、リール2Cの中段、リール2Rの下段、すなわち右下がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL4、リール2Lの下段、リール2Cの中段、リール2Rの上段、すなわち右上がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL5の5種類が入賞ラインとして定められている。
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。
そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化され入賞ライン上に予め定められた図柄の組み合わせ(以下、役とも呼ぶ)が各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施例では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9(図2参照)から払い出されるようになっている。尚、有効化され複数の入賞ライン上にメダルの払出を伴う図柄の組み合わせが揃った場合には、有効化され入賞ラインに揃った図柄の組み合わせそれぞれに対して定められた払出枚数を合計し、合計した枚数のメダルが遊技者に対して付与されることとなる。ただし、1ゲームで付与されるメダルの払出枚数には、上限(本実施例では15枚)が定められており、合計した払出枚数が上限を超える場合には、上限枚数のメダルが付与されることとなる。また、有効化され入賞ライン上に、遊技状態の移行を伴う図柄の組み合わせが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には図柄の組み合わせに応じた遊技状態に移行するようになっている。
また、本実施例におけるスロットマシン1にあっては、ゲームが開始されて各リール2L、2C、2Rが回転して図柄の変動が開始した後、いずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに、当該ストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリールの回転が停止して図柄が停止表示される。ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作から対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止するまでの最大停止遅延時間は190ms(ミリ秒)である。
リール2L、2C、2Rは、1分間に80回転し、80×21(1リール当たりの図柄コマ数)=1680コマ分の図柄を変動させるので、190msの間では最大で4コマの図柄を引き込むことができることとなる。つまり、停止図柄として選択可能なのは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに表示されている図柄と、そこから4コマ先までにある図柄、合計5コマ分の図柄である。
このため、例えば、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかが操作されたときに当該ストップスイッチに対応するリールの下段に表示されている図柄を基準とした場合、当該図柄から4コマ先までの図柄を下段に表示させることができるため、リール2L、2C、2R各々において、ストップスイッチ8L、8Rのうちいずれかが操作されたときに当該ストップスイッチに対応するリールの中段に表示されている図柄を含めて5コマ以内に配置されている図柄を入賞ライン上に表示させることができる。
図3は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、図3に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、第1電源基板101、第2電源基板80が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、第1電源基板101によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。また、第1電源基板101にて生成された駆動電源のうち特にDC12Vの直流電圧が第2電源基板80に供給され、第2電源基板80にて後述するメイン制御部41を駆動するDC+5V(VCC)が生成されて遊技制御基板40に供給される。
第1電源基板101には、外部からAC100Vの電源が供給されるとともに、このAC100Vの電源からスロットマシン1を構成する電気部品の駆動に必要な直流電圧が生成され、第2電源基板を介して遊技制御基板40に供給されるとともに、遊技制御基板40を介して接続された演出制御基板90にも供給されるようになっている。
また、後述するメイン制御部41からサブ制御部91へのコマンド伝送ラインと、遊技制御基板40から演出制御基板90に対して電源を供給する電源供給ラインと、が一系統のケーブル及びコネクタを介して接続されており、これらケーブルと各基板とを接続するコネクタ同士が全て接続されることで演出制御基板90側の各部が動作可能となり、かつメイン制御部41からのコマンドを受信可能な状態となる。このため、メイン制御部41からコマンドを伝送するコマンド伝送ラインが演出制御基板90に接続されている状態でなければ、演出制御基板90側に電源が供給されず、演出制御基板90側のみが動作してしまうことがない。
また、第1電源基板101には、前述したホッパーモータ34b、払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38、電源スイッチ39が接続されている。
遊技制御基板40には、前述したMAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、精算スイッチ10、リセットスイッチ23、打止スイッチ36a、自動精算スイッチ36b、投入メダルセンサ31、ドア開放検出スイッチ25、リールセンサ33L、33C、33Rが接続されているとともに、第1電源基板101を介して前述した払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
また、遊技制御基板40には、前述したクレジット表示器11、遊技補助表示器12、ペイアウト表示器13、1〜3BETLED14〜16、投入要求LED17、スタート有効LED18、ウェイト中LED19、リプレイ中LED20、BETスイッチ有効LED21、左、中、右停止有効LED22L、22C、22R、設定値表示器24、流路切替ソレノイド30、リールモータ32L、32C、32Rが接続されているとともに、第1電源基板101を介して前述したホッパーモータ34bが接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。
遊技制御基板40には、メイン制御部41、制御用クロック生成回路42、乱数用クロック生成回路43、スイッチ検出回路44、モータ駆動回路45、ソレノイド駆動回路46、LED駆動回路47、リセット回路49が搭載されている。
メイン制御部41は、1チップマイクロコンピュータにて構成され、後述するROM506に記憶された制御プログラムを実行して、遊技の進行に関する処理を行うととともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
制御用クロック生成回路42は、メイン制御部41の外部にて、所定周波数の発振信号となる制御用クロックCCLKを生成する。制御用クロック生成回路42により生成された制御用クロックCCLKは、例えば図4に示すようなメイン制御部41の制御用外部クロック端子EXCを介してクロック回路502に供給される。乱数用クロック生成回路43は、メイン制御部41の外部にて、制御用クロックCCLKの発振周波数とは異なる所定周波数の発振信号となる乱数用クロックRCLKを生成する。乱数用クロック生成回路43により生成された乱数用クロックRCLKは、例えば図4に示すようなメイン制御部41の乱数用外部クロック端子ERCを介して乱数回路509に供給される。一例として、乱数用クロック生成回路43により生成される乱数用クロックRCLKの発振周波数は、制御用クロック生成回路42により生成される制御用クロックCCLKの発振周波数以下となるようにすれば良い。
スイッチ検出回路44は、遊技制御基板40に直接または第1電源基板101を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を取り込んでメイン制御部41に伝送する。モータ駆動回路45は、メイン制御部41から出力されたモータ駆動信号をリールモータ32L、32C、32Rに伝送する。ソレノイド駆動回路46は、メイン制御部41から出力されたソレノイド駆動信号を流路切替ソレノイド30に伝送する。LED駆動回路は、メイン制御部41から出力されたLED駆動信号を遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDに伝送する。リセット回路49は、電源投入時または電源遮断時などの電源が不安定な状態においてメイン制御部41にシステムリセット信号を与える。また、リセット回路49は、ウォッチドッグタイマを内蔵し、ウォッチドッグタイマがタイムアップした場合、すなわちメイン制御部41のCPU505の動作が一定時間停止した場合においてメイン制御部41にユーザリセット信号を与える。
図4は、遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41の構成例を示している。図4に示すメイン制御部41は、1チップマイクロコンピュータであり、外部バスインタフェース501と、クロック回路502と、固有情報記憶回路503と、リセット/割込コントローラ504と、CPU505と、ROM506と、RAM507と、CTC(カウンタ/タイマサーキット)508と、乱数回路509と、PIP(パラレルインプットポート)510と、シリアル通信回路511と、アドレスデコード回路512とを備えて構成される。
図4に示すメイン制御部41が備える外部バスインタフェース501は、メイン制御部41を構成するチップの外部バスと内部バスとのインタフェース機能や、アドレスバス、データバス及び各制御信号の方向制御機能などを有するバスインタフェースである。例えば、外部バスインタフェース501は、メイン制御部41に外付けされた外部メモリや外部入出力装置などに接続され、これらの外部装置との間でアドレス信号やデータ信号、各種の制御信号などを送受信するものであれば良い。この実施の形態において、外部バスインタフェース501には、内部リソースアクセス制御回路501Aが含まれている。
内部リソースアクセス制御回路501Aは、外部バスインタフェース501を介した外部装置からメイン制御部41の内部データに対するアクセスを制御して、例えばROM506に記憶されたゲーム制御用プログラムや固定データといった、内部データの不適切な外部読出を制限するための回路である。ここで、外部バスインタフェース501には、例えばインサーキットエミュレータ(ICE)といった回路解析装置が、外部装置として接続されることがある。
メイン制御部41が備えるクロック回路502は、例えば制御用外部クロック端子EXCに入力される発振信号を2分周することなどにより、内部システムクロックSCLKを生成する回路である。本実施例では、制御用外部クロック端子EXCに制御用クロック生成回路42が生成した制御用クロックCCLKが入力される。クロック回路502により生成された内部システムクロックSCLKは、例えばCPU505といった、メイン制御部41において遊技の進行を制御する各種回路に供給される。また、内部システムクロックSCLKは、乱数回路509にも供給され、乱数用クロック生成回路43から供給される乱数用クロックRCLKの周波数を監視するために用いられる。さらに、内部システムクロックSCLKは、クロック回路502に接続されたシステムクロック出力端子CLKOから、メイン制御部41の外部へと出力されても良い。尚、内部システムクロックSCLKは、メイン制御部41の外部へは出力されないことが望ましい。このように、内部システムクロックSCLKの外部出力を制限することにより、メイン制御部41の内部回路(CPU505など)の動作周期を外部から特定することが困難になり、乱数値となる数値データをソフトウェアにより更新する場合に、乱数値の更新周期が外部から特定されてしまうことを防止できる。
メイン制御部41が備える固有情報記憶回路503は、例えばメイン制御部41の内部情報となる複数種類の固有情報を記憶する回路である。一例として、固有情報記憶回路503は、ROMコード、チップ個別ナンバー、IDナンバーといった3種類の固有情報を記憶する。ROM506コードは、ROM506の所定領域における記憶データから生成される4バイトの数値であり、生成方法の異なる4つの数値が準備されれば良い。チップ個別ナンバーは、メイン制御部41の製造時に付与される4バイトの番号であり、メイン制御部41を構成するチップ毎に異なる数値を示している。IDナンバーは、メイン制御部41の製造時に付与される8バイトの番号であり、メイン制御部41を構成するチップ毎に異なる数値を示している。ここで、チップ個別ナンバーはユーザプログラムから読み取ることができる一方、IDナンバーはユーザプログラムから読み取ることができないように設定されていれば良い。尚、固有情報記憶回路503は、例えばROM506の所定領域を用いることなどにより、ROM506に含まれるようにしても良い。或いは、固有情報記憶回路503は、例えばCPU505の内蔵レジスタを用いることなどにより、CPU505に含まれるようにしても良い。
メイン制御部41が備えるリセット/割込コントローラ504は、メイン制御部41の内部や外部にて発生する各種リセット、割込要求を制御するためのものである。リセット/割込コントローラ504が制御するリセットには、システムリセットとユーザリセットが含まれている。システムリセットは、外部システムリセット端子XSRSTに一定の期間にわたりローレベル信号(システムリセット信号)が入力されたときに発生するリセットである。ユーザリセットは、外部ユーザリセット端子XURSTに一定の期間にわたりローレベルの信号(ユーザリセット信号)が入力されたとき、または内蔵ウォッチドッグタイマ(WDT)のタイムアウト信号が発生したことや、指定エリア外走行禁止(IAT)が発生したことなど、所定の要因により発生するリセットである。尚、本実施例では前述のように内蔵ウォッチドッグタイマを使用せずにリセット回路49に搭載されたウォッチドッグタイマ(WDT)を用いているため、外部ユーザリセット端子XURSTにユーザリセット信号が入力されるか、指定エリア外走行禁止(IAT)が発生することでユーザリセットが発生することとなる。
リセット/割込コントローラ504が制御する割込には、ノンマスカブル割込NMIとマスカブル割込INTが含まれている。ノンマスカブル割込NMIは、CPU505の割込禁止状態でも無条件に受け付けられる割込であり、外部ノンマスカブル割込端子XNMI(入力ポートP4と兼用)に一定の期間にわたりローレベル信号が入力されたときに発生する割込である。マスカブル割込INTは、CPU505の設定命令により、割込要求の受け付けを許可/禁止できる割込であり、優先順位設定による多重割込の実行が可能である。マスカブル割込INTの要因としては、外部マスカブル割込端子XINT(入力ポートP3と兼用)に一定の期間にわたりローレベル信号が入力されたこと、CTC508に含まれるタイマ回路にてタイムアウトが発生したこと、シリアル通信回路511にてデータ送信による割込要因が発生したこと、乱数回路509にて乱数値となる数値データの取り込みによる割込要因が発生したことなど、複数種類の割込要因が予め定められていれば良い。
メイン制御部41が備えるCPU505は、ROM506から読み出したプログラムを実行することにより、スロットマシン1におけるゲームの進行を制御するための処理などを実行する。このときには、CPU505がROM506から固定データを読み出す固定データ読出動作や、CPU505がRAM507に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、CPU505がRAM507に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、CPU505が外部バスインタフェース501やPIP510などを介してメイン制御部41の外部から各種信号の入力を受け付ける受信動作、CPU505が外部バスインタフェース501やシリアル通信回路511などを介してメイン制御部41の外部へと各種信号を出力する送信動作等も行われる。
このように、メイン制御部41では、CPU505がROM506に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、メイン制御部41(又はCPU505)が実行する(又は処理を行う)ということは、具体的には、CPU505がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、遊技制御基板40以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
メイン制御部41が備えるROM506には、ゲーム制御用のユーザプログラムや固定データ等が記憶されている。また、ROM506には、セキュリティチェックプログラム506Aが記憶されている。CPU505は、スロットマシン1の電源投入やシステムリセットの発生に応じてメイン制御部41がセキュリティモードに移行したときに、ROM506に記憶されたセキュリティチェックプログラム506Aを読み出し、ROM506の記憶内容が変更されたか否かを検査するセキュリティチェック処理を実行する。尚、セキュリティチェックプログラム506Aは、ROM506とは異なる内蔵メモリに記憶されても良い。また、セキュリティチェックプログラム506Aは、例えば外部バスインタフェース501を介してメイン制御部41に外付けされた外部メモリの記憶内容を検査するセキュリティチェック処理に対応したものであっても良い。
メイン制御部41が備えるRAM507は、ゲーム制御用のワークエリアを提供する。ここで、RAM507の少なくとも一部は、第2電源基板80において作成されるバックアップ電源によってバックアップされているバックアップRAMであれば良い。すなわち、スロットマシンへの電力供給が停止しても、所定期間はRAM507の少なくとも一部の内容が保存される。尚、本実施例では、RAM507の全ての領域がバックアップRAMとされており、スロットマシンへの電力供給が停止しても、所定期間はRAM507の全ての内容が保存される。
メイン制御部41が備えるCTC508は、例えば8ビットのプログラマブルタイマを3チャネル(PTC0−PTC2)内蔵して構成され、リアルタイム割込の発生や時間計測を可能とするタイマ回路を含んでいる。各プログラマブルタイマPTC0−PTC2は、内部システムクロックSCLKに基づいて生成されたカウントクロックの信号変化(例えばハイレベルからローレベルへと変化する立ち下がりタイミング)などに応じて、タイマ値が更新されるものであれば良い。また、CTC508は、例えば8ビットのプログラマブルカウンタを4チャネル(PCC0−PCC3)内蔵しても良い。各プログラマブルカウンタPCC0−PCC3は、内部システムクロックSCLKの信号変化、或いは、プログラマブルカウンタPCC0−PCC3のいずれかにおけるタイムアウトの発生などに応じて、カウント値が更新されるものであれば良い。CTC508は、セキュリティ時間を延長する際の延長時間(可変設定時間)をシステムリセット毎にランダムに決定するために用いられるフリーランカウンタや、乱数回路509にて生成される乱数のスタート値をシステムリセット毎にランダムに決定するために用いられるフリーランカウンタなどを、含んでも良い。或いは、これらのフリーランカウンタは、例えばRAM507のバックアップ領域といった、CTC508とは異なるメイン制御部41の内部回路に含まれても良い。
メイン制御部41が備える乱数回路509は、例えば16ビット乱数といった、所定の更新範囲を有する乱数値となる数値データを生成する回路である。本実施例では、遊技制御基板40の側において、後述する内部抽選用の乱数値を示す数値データがカウント可能に制御される。尚、遊技効果を高めるために、これら以外の乱数値が用いられても良い。CPU505は、乱数回路509から抽出した数値データに基づき、乱数回路509とは異なるランダムカウンタを用いて、ソフトウェアによって各種の数値データを加工或いは更新することで、内部抽選用の乱数値を示す数値データをカウントするようにしても良い。以下では、内部抽選用の乱数値を示す数値データが、ハードウェアとなる乱数回路509からCPU505により抽出された数値データをソフトウェアにより加工しないものとする。尚、乱数回路509は、メイン制御部41に内蔵されるものであっても良いし、メイン制御部41とは異なる乱数回路チップとして、メイン制御部41に外付けされるものであっても良い。
内部抽選用の乱数値は、複数種類の入賞について発生を許容するか否かを判定するために用いられる値であり、本実施例では、「0」〜「65535」の範囲の値をとる。
メイン制御部41が備えるPIP510は、例えば6ビット幅の入力専用ポートであり、専用端子となる入力ポートP0〜入力ポートP2と、機能兼用端子となる入力ポートP3〜入力ポートP5とを含んでいる。入力ポートP3は、CPU505等に接続される外部マスカブル割込端子XINTと兼用される。入力ポートP4は、CPU505等に接続される外部ノンマスカブル割込端子XNMIと兼用される。入力ポートP5は、シリアル通信回路511が使用する第1チャネル受信端子RXAと兼用される。入力ポートP3〜入力ポートP5の使用設定は、プログラム管理エリアに記憶される機能設定KFCSにより指示される。
PIP510の入力ポートP0には、第2電源基板80から電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電圧低下信号が入力される。第2電源基板80には、スロットマシン1において使用される所定電圧(本実施例ではDC+12V)の電圧値を監視して、電圧値が予め定められた所定値まで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電圧低下信号を出力する電断検出回路82が搭載されており、当該電断検出回路82から出力された電圧低下信号が入力ポートP0に入力されることとなる。尚、電断検出回路82を第2電源基板80に搭載するのではなく、第1電源基板101、遊技制御基板40に搭載するようにしても良い。
図4に示すメイン制御部41が備えるアドレスデコード回路512は、メイン制御部41の内部における各機能ブロックのデコードや、外部装置用のデコード信号であるチップセレクト信号のデコードを行うための回路である。チップセレクト信号により、メイン制御部41の内部回路、或いは、周辺デバイスとなる外部装置を、選択的に有効動作させて、CPU505からのアクセスが可能となる。
メイン制御部41が備えるROM506には、ゲーム制御用のユーザプログラムやセキュリティチェックプログラム506Aの他に、ゲームの進行を制御するために用いられる各種の選択用データ、テーブルデータなどが格納される。例えば、ROM506には、CPU505が各種の判定や決定、設定を行うために用意された複数の判定テーブルや決定テーブル、設定テーブルなどを構成するデータが記憶されている。また、ROM506には、CPU505が遊技制御基板40から各種の制御コマンドとなる制御信号を送信するために用いられる複数のコマンドテーブルを構成するテーブルデータなどが記憶されている。
メイン制御部41が備えるRAM507には、スロットマシン1におけるゲームの進行などを制御するために用いられる各種のデータを保持する領域として、遊技制御用データ保持エリア590が設けられている。RAM507としては、例えばDRAMが使用されており、記憶しているデータ内容を維持するためのリフレッシュ動作が必要になる。CPU505には、このリフレッシュ動作を行うためのリフレッシュレジスタが内蔵されている。例えば、リフレッシュレジスタは8ビットからなり、そのうち下位7ビットはCPU505がROM506から命令フェッチするごとに自動的にインクリメントされる。したがって、リフレッシュレジスタにおける格納値の更新は、CPU505における1命令の実行時間ごとに行われることになる。
メイン制御部41は、シリアル通信回路511を介してサブ制御部91に各種のコマンドを送信する。メイン制御部41からサブ制御部91へ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、サブ制御部91からメイン制御部41へ向けてコマンドが送られることはない。
メイン制御部41は、遊技制御基板40に接続された各種スイッチ類の検出状態が入力ポートから入力される。そしてメイン制御部41は、これら入力ポートから入力される各種スイッチ類の検出状態に応じて段階的に移行する基本処理を実行する。
また、メイン制御部41は、割込の発生により基本処理に割り込んで割込処理を実行できるようになっている。本実施例では、CTC508に含まれるタイマ回路にてタイムアウトが発生したこと、すなわち一定時間間隔(本実施例では、約0.56ms)毎に後述するタイマ割込処理(メイン)を実行する。
また、メイン制御部41は、割込処理の実行中に他の割込を禁止するように設定されているとともに、複数の割込が同時に発生した場合には、予め定められた順位によって優先して実行する割込が設定されている。尚、割込処理の実行中に他の割込要因が発生し、割込処理が終了してもその割込要因が継続している状態であれば、その時点で新たな割込が発生することとなる。
メイン制御部41は、基本処理として遊技制御基板40に接続された各種スイッチ類の検出状態が変化するまでは制御状態に応じた処理を繰り返しループし、各種スイッチ類の検出状態の変化に応じて段階的に移行する処理を実行する。また、メイン制御部41は、一定時間間隔(本実施例では、約0.56ms)毎にタイマ割込処理(メイン)を実行する。尚、タイマ割込処理(メイン)の実行間隔は、基本処理において制御状態に応じて繰り返す処理が一巡する時間とタイマ割込処理(メイン)の実行時間とを合わせた時間よりも長い時間に設定されており、今回と次回のタイマ割込処理(メイン)との間で必ず制御状態に応じて繰り返す処理が最低でも一巡することとなる。
演出制御基板90には、演出用スイッチ56が接続されており、この演出用スイッチ56の検出信号が入力されるようになっている。
演出制御基板90には、スロットマシン1の前面扉1bに配置された液晶表示器51(図1参照)、演出効果LED52、スピーカ53、54、前述したリールLED55等の演出装置が接続されており、これら演出装置は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。
尚、本実施例では、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91により、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の演出装置の出力制御が行われる構成であるが、サブ制御部91とは別に演出装置の出力制御を直接的に行う出力制御部を演出制御基板90または他の基板に搭載し、サブ制御部91がメイン制御部41からのコマンドに基づいて演出装置の出力パターンを決定し、サブ制御部91が決定した出力パターンに基づいて出力制御部が演出装置の出力制御を行う構成としても良く、このような構成では、サブ制御部91及び出力制御部の双方によって演出装置の出力制御が行われることとなる。
また、本実施例では、演出装置として液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55を例示しているが、演出装置は、これらに限られず、例えば、機械的に駆動する表示装置や機械的に駆動する役モノなどを演出装置として適用しても良い。
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にサブCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行うサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51の表示制御を行う表示制御回路92、演出効果LED52、リールLED55の駆動制御を行うLED駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行う音声出力回路94、電源投入時またはサブCPU91aからの初期化命令が一定時間入力されないときにサブCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95、演出制御基板90に接続された演出用スイッチ56から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路96、日付情報及び時刻情報を含む時間情報を出力する時計装置97、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をサブCPU91aに対して出力する電断検出回路98、その他の回路等、が搭載されており、サブCPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
リセット回路95は、遊技制御基板40においてメイン制御部41にシステムリセット信号を与えるリセット回路49よりもリセット信号を解除する電圧が低く定められており、電源投入時においてサブ制御部91は、メイン制御部41よりも早い段階で起動するようになっている。一方で、電断検出回路98は、遊技制御基板40においてメイン制御部41に電圧低下信号を出力する電断検出回路82よりも電圧低下信号を出力する電圧が低く定められており、電断時においてサブ制御部91は、メイン制御部41よりも遅い段階で停電を検知し、後述する電断処理(サブ)を行うこととなる。
サブ制御部91は、メイン制御部41と同様に、割込機能を備えており、メイン制御部41からのコマンド受信時に割込を発生させて、メイン制御部41から送信されたコマンドを取得し、バッファに格納するコマンド受信割込処理を実行する。また、サブ制御部91は、システムクロックの入力数が一定数に到達する毎、すなわち一定間隔毎に割込を発生させて後述するタイマ割込処理(サブ)を実行する。
また、サブ制御部91は、メイン制御部41とは異なり、コマンドの受信に基づいて割込が発生した場合には、タイマ割込処理(サブ)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を実行し、タイマ割込処理(サブ)の契機となる割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を最優先で実行するようになっている。
また、サブ制御部91にも、停電時においてバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM91cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
本実施例のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものである。詳しくは、後述する内部抽選において設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わるようになっている。設定値は1〜6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。すなわち設定値として6が設定されている場合には、遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど有利度が段階的に低くなる。
設定値を変更するためには、設定キースイッチ37をon状態としてからスロットマシン1の電源をonする必要がある。設定キースイッチ37をon状態として電源をonすると、設定値表示器24にRAM507から読み出された設定値が表示値として表示され、リセット/設定スイッチ38の操作による設定値の変更操作が可能な設定変更状態に移行する。設定変更状態において、リセット/設定スイッチ38が操作されると、設定値表示器24に表示された表示値が1ずつ更新されていく(設定6からさらに操作されたときは、設定1に戻る)。そして、スタートスイッチ7が操作されると表示値を設定値として確定する。そして、設定キースイッチ37がoffされると、確定した表示値(設定値)がメイン制御部41のRAM507に格納され、遊技の進行が可能な状態に移行する。
また、設定値を確認するためには、ゲーム終了後、賭数が設定されていない状態で設定キースイッチ37をon状態とすれば良い。このような状況で設定キースイッチ37をon状態とすると、設定値表示器24にRAM507から読み出された設定値が表示されることで設定値を確認可能な設定確認状態に移行する。設定確認状態においては、ゲームの進行が不能であり、設定キースイッチ37をoff状態とすることで、設定確認状態が終了し、ゲームの進行が可能な状態に復帰することとなる。
本実施例のスロットマシン1においては、メイン制御部41は、タイマ割込処理(メイン)を実行する毎に、電断検出回路82からの電圧低下信号が検出されているか否かを判定する停電判定処理を行い、停電判定処理において電圧低下信号が検出されていると判定した場合に、電断処理(メイン)を実行する。電断処理(メイン)では、レジスタを後述するRAM507のスタックに退避し、RAM507にいずれかのビットが1となる破壊診断用データ(本実施例では、5AH)、すなわち0以外の特定のデータを格納するとともに、RAM507の全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM507に格納する処理を行うようになっている。尚、RAMパリティとはRAM507の該当する領域(本実施例では、全ての領域)の各ビットに格納されている値の排他的論理和として算出される値である。このため、RAM507の全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0であれば、RAMパリティ調整用データは0となり、RAM507の全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが1であれば、RAMパリティ調整用データは1となる。
そして、メイン制御部41は、システムリセットによるかユーザリセットによるかに関わらず、その起動時においてRAM507の全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算するとともに、破壊診断用データの値を確認し、RAMパリティが0であり、かつ破壊診断用データの値も正しいことを条件に、RAM507に記憶されているデータに基づいてメイン制御部41の処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)や破壊診断用データの値が正しくない場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。尚、RAM異常エラー状態は、通常のエラー状態と異なり、リセットスイッチ23やリセット/設定スイッチ38を操作しても解除されないようになっており、前述した設定変更状態において新たな設定値が設定されるまで解除されることがない。
尚、本実施例では、RAM507に格納されている全てのデータが停電時においてもバックアップ電源により保持されるとともに、メイン制御部41は、電源投入時においてRAM507のデータが正常であると判定した場合に、RAM507の格納データに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成であるが、RAM507に格納されているデータのうち停電時において制御状態の復帰に必要なデータのみをバックアップし、電源投入時においてバックアップされているデータに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成としても良い。
また、電源投入時において電断前の制御状態に復帰させる際に、全ての制御状態を電断前の制御状態に復帰させる必要はなく、遊技者に対して不利益とならない最低限の制御状態を復帰させる構成であれば良く、例えば、入力ポートの状態などを全て電断前の状態に復帰させる必要はない。
次に、メイン制御部41のRAM507の初期化について説明する。メイン制御部41のRAM507の格納領域は、図24(a)に示すように、重要ワーク、非保存ワーク、一般ワーク、特別ワーク、未使用領域、スタック領域に区分されている。
重要ワークは、各種表示器やLEDの表示用データ、I/Oの入出力データ、遊技時間の計時カウンタ等、初期化すると不都合があるデータが格納されるワークである。非保存ワークは、各種スイッチ類の状態を保持するワークであり、起動時にRAM507のデータが破壊されているか否かに関わらず必ず値が設定されることとなる。一般ワークは、当選フラグ、停止制御テーブル、停止図柄、メダルの払出枚数、BB中のメダル払出総数、後述する遊技状態フラグ等、BB終了時に初期化可能なデータが格納されるワークである。特別ワークは、各種ソフトウェア乱数等、設定開始前にのみ初期化されるデータが格納されるワークである。未使用領域は、RAM507の格納領域のうち使用していない領域であり、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなる。スタック領域は、メイン制御部41のレジスタから退避したデータが格納される領域であり、このうちの未使用スタック領域は、未使用領域と同様に、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなるが、使用中スタック領域は、プログラムの続行のため、初期化されることはない。
本実施例においてメイン制御部41は、図24(b)に示すように、設定キースイッチ37がonの状態での起動時、RAM異常エラー発生時、BB終了時、設定キースイッチ37がoffの状態での起動時でRAM507のデータが破壊されていないとき、1ゲーム終了時の5つからなる初期化条件が成立した際に、各初期化条件に応じて初期化される領域の異なる4種類の初期化を行う。
初期化1は、起動時において設定キースイッチ37がonの状態であり、設定変更状態へ移行する場合において、その前に行う初期化、またはRAM異常エラー発生時に行う初期化であり、初期化1では、RAM507の格納領域のうち、重要ワーク及び使用中スタック領域を除く全ての領域(未使用領域及び未使用スタック領域を含む)、すなわち図24(a)に示す非保存ワークから未使用スタック領域までの領域が初期化される。初期化2は、BB終了時に行う初期化であり、初期化2では、RAM507の格納領域のうち、一般ワーク、未使用領域及び未使用スタック領域、すなわち図24(a)に示す一般ワークから未使用スタック領域までの領域が初期化される。初期化3は、起動時において設定キースイッチ37がoffの状態であり、かつRAM507のデータが破壊されていない場合において行う初期化であり、初期化3では、非保存ワーク、未使用領域及び未使用スタック領域が初期化される。初期化4は、1ゲーム終了時に行う初期化であり、初期化4では、RAM507の格納領域のうち、未使用領域及び未使用スタック領域が初期化される。
尚、本実施例では、初期化1を設定変更状態の移行前に行っているが、設定変更状態の終了時に行ったり、設定変更状態移行前、設定変更状態終了時の双方で行うようにしても良い。
本実施例のスロットマシン1は、前述のように遊技状態に応じて設定可能な賭数の規定数が定められており、遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されたことを条件にゲームを開始させることが可能となる。本実施例では、後に説明するが、遊技状態として、レギュラーボーナス(以下ではRBと称す)、通常遊技状態があり、いずれの遊技状態であっても賭数の規定数として3が定められており、遊技状態に関わらず、賭数として3が設定されるとゲームを開始させることが可能となる。尚、本実施例では、遊技状態に応じた規定数の賭数が設定された時点で、入賞ラインL1〜L5の全てが有効化されることとなる。
本実施例のスロットマシン1は、全てのリール2L、2C、2Rが停止した際に、有効化された入賞ライン(以下、単に入賞ラインと呼ぶ)上に役と呼ばれる図柄の組み合わせが揃うと入賞となる。役は、同一図柄の組み合わせであっても良いし、異なる図柄を含む組み合わせであっても良い。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、メダルの払い出しを伴う小役と、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役と、遊技状態の移行を伴う特別役と、がある。以下では、小役と再遊技役をまとめて一般役とも呼ぶ。遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、後述する内部抽選に当選して、当該役の当選フラグがRAM507に設定されている必要がある。
尚、これら各役の当選フラグのうち、小役及び再遊技役の当選フラグは、当該フラグが設定されたゲームにおいてのみ有効とされ、次のゲームでは無効となるが、特別役の当選フラグは、当該フラグにより許容された役の組み合わせが揃うまで有効とされ、許容された役の組み合わせが揃ったゲームにおいて無効となる。すなわち特別役の当選フラグが一度当選すると、例え、当該フラグにより許容された役の組み合わせを揃えることができなかった場合にも、その当選フラグは無効とされずに、次のゲームへ持ち越されることとなる。
以下、本実施例の内部抽選について説明する。内部抽選は、上記した各役への入賞を許容するか否かを、全てのリール2L、2C、2Rの表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7の検出時)決定するものである。内部抽選では、まず、スタートスイッチ7の検出時に内部抽選用の乱数値(0〜65535の整数)を取得する。詳しくは、RAM507に割り当てられた乱数値格納ワークの値を同じくRAM507に割り当てられた抽選用ワークに設定する。そして、遊技状態及び特別役の持ち越しの有無に応じて定められた各役について、抽選用ワークに格納された数値データと、遊技状態を特定するための遊技状態フラグの値、後述するRTを特定するためのRTフラグの値、賭数及び設定値に応じて定められた各役の判定値数に応じて行われる。
乱数値格納ワークは、スタートスイッチ7の操作と同時にラッチされた数値データが格納される記憶領域であり、新たな数値データがラッチされる毎に、ラッチされた数値データがその後のタイマ割込処理(メイン)において読み出され、乱数値格納ワークに格納された数値データが新たにラッチされた最新の数値データに更新されるようになっている。
内部抽選では、内部抽選の対象となる役、現在の遊技状態フラグ値、RTフラグ値及び設定値に対応して定められた判定値数を、内部抽選用の乱数値(抽選用ワークに格納された数値データ)に順次加算し、加算の結果がオーバーフローしたときに、当該役に当選したものと判定される。このため、判定値数の大小に応じた確率(判定値数/65536)で役が当選することとなる。
そして、いずれかの役の当選が判定された場合には、当選が判定された役に対応する当選フラグをRAM507に割り当てられた内部当選フラグ格納ワークに設定する。内部当選フラグ格納ワークは、2バイトの格納領域にて構成されており、そのうちの上位バイトが、特別役の当選フラグが設定される特別役格納ワークとして割り当てられ、下位バイトが、一般役の当選フラグが設定される一般役格納ワークとして割り当てられている。詳しくは、特別役が当選した場合には、当該特別役が当選した旨を示す特別役の当選フラグを特別役格納ワークに設定し、一般役格納ワークに設定されている当選フラグをクリアする。また、一般役が当選した場合には、当該一般役が当選した旨を示す一般役の当選フラグを一般役格納ワークに設定する。尚、いずれの役及び役の組み合わせにも当選しなかった場合には、一般役格納ワークのみクリアする。
次に、リール2L、2C、2Rの停止制御について説明する。
メイン制御部41は、リールの回転が開始したとき、及びリールが停止し、かつ未だ回転中のリールが残っているときに、ROM506Aに格納されているテーブルインデックス及びテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成する。そして、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの滑りコマ数に基づいて、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行う。
テーブルインデックスには、内部抽選による当選フラグの設定状態(以下、内部当選状態と呼ぶ)別に、テーブルインデックスを参照する際の基準アドレスから、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスを示すインデックスデータが格納されているアドレスまでの差分が登録されている。これにより内部当選状態に応じた差分を取得し、基準アドレスに対してその差分を加算することで該当するインデックスデータを取得することが可能となる。尚、役の当選状況が異なる場合でも、同一の制御が適用される場合においては、インデックスデータとして同一のアドレスが格納されており、このような場合には、同一のテーブル作成用データを参照して、停止制御テーブルが作成されることとなる。
テーブル作成用データは、停止操作位置に応じた滑りコマ数を示す停止制御テーブルと、リールの停止状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスと、からなる。
リールの停止状況に応じて参照される停止制御テーブルは、全てのリールが回転しているか、左リールのみ停止しているか、中リールのみ停止しているか、右リールのみ停止しているか、左、中リールが停止しているか、左、右リールが停止しているか、中、右リールが停止しているか、によって異なる場合があり、更に、いずれかのリールが停止している状況においては、停止済みのリールの停止位置によっても異なる場合があるので、それぞれの状況について、参照すべき停止制御テーブルのアドレスが回転中のリール別に登録されており、テーブル作成用データの先頭アドレスに基づいて、それぞれの状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスが特定可能とされ、この特定されたアドレスから、それぞれの状況に応じて必要な停止制御テーブルを特定できるようになっている。尚、リールの停止状況や停止済みのリールの停止位置が異なる場合でも、同一の停止制御テーブルが適用される場合においては、停止制御テーブルのアドレスとして同一のアドレスが登録されているものもあり、このような場合には、同一の停止制御テーブルが参照されることとなる。
停止制御テーブルは、停止操作が行われたタイミング別の滑りコマ数を特定可能なデータである。本実施例では、リールモータ32L、32C、32Rに、336ステップ(0〜335)の周期で1周するステッピングモータを用いている。すなわちリールモータ32L、32C、32Rを336ステップ駆動させることでリール2L、2C、2Rが1周することとなる。そして、リール1周に対して16ステップ(1図柄が移動するステップ数)毎に分割した21の領域(コマ)が定められており、これらの領域には、リール基準位置から0〜20の領域番号が割り当てられている。一方、1リールに配列された図柄数も21であり、各リールの図柄に対して、リール基準位置から0〜20の図柄番号が割り当てられているので、0番図柄から20番図柄に対して、それぞれ0〜20の領域番号が順に割り当てられていることとなる。そして、停止制御テーブルには、領域番号別の滑りコマ数が所定のルールで圧縮して格納されており、停止制御テーブルを展開することによって領域番号別の滑りコマ数を取得できるようになっている。
前述のようにテーブルインデックス及びテーブル作成用データを参照して作成される停止制御テーブルは、領域番号に対応して、各領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施例では、透視窓3の下段図柄の領域)に位置するタイミング(リール基準位置からのステップ数が各領域番号のステップ数の範囲に含まれるタイミング)でストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された場合の滑りコマ数がそれぞれ設定されたテーブルである。
次に、停止制御テーブルの作成手順について説明すると、まず、リール回転開始時においては、そのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスを取得する。具体的には、まずテーブルインデックスを参照し、内部当選状態に対応するインデックスデータを取得し、そして取得したインデックスデータに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから全てのリールが回転中の状態に対応する各リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して全てのリールについて停止制御テーブルを作成する。
また、いずれか1つのリールが停止したとき、またはいずれか2つのリールが停止したときには、リール回転開始時に取得したインデックスデータ、すなわちそのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから停止済みのリール及び当該リールの停止位置の領域番号に対応する未停止リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して未停止のリールについて停止制御テーブルを作成する。
次に、メイン制御部41がストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出したときに、該当するリールに表示結果を導出させる際の制御について説明すると、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出すると、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数に基づいて停止操作位置の領域番号を特定し、停止操作が検出されたリールの停止制御テーブルを参照し、特定した停止操作位置の領域番号に対応する滑りコマ数を取得する。そして、取得した滑りコマ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。具体的には、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数から、取得した滑りコマ数引き込んで停止させるまでのステップ数を算出し、算出したステップ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。これにより、停止操作が検出された停止操作位置の領域番号に対応する領域から滑りコマ数分先の停止位置となる領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施例では、透視窓3の下段図柄の領域)に停止することとなる。
本実施例のテーブルインデックスには、一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するインデックスデータとして1つのアドレスのみが格納されており、更に、一のテーブル作成用データには、一のリールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルの格納領域のアドレスとして1つのアドレスのみが格納されている。すなわち一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するテーブル作成用データ、及びリールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルが一意的に定められており、これらを参照して作成される停止制御テーブルも、一の遊技状態における一の内部当選状態、及びリールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)に対して一意となる。このため、遊技状態、内部当選状態、リールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)の全てが同一条件となった際に、同一の停止制御テーブル、すなわち同一の制御パターンに基づいてリールの停止制御が行われることとなる。
また、本実施例では、滑りコマ数として0〜4の値が定められており、停止操作を検出してから最大4コマ図柄を引き込んでリールを停止させることが可能である。すなわち停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5コマの範囲から図柄の停止位置を指定できるようになっている。また、1図柄分リールを移動させるのに1コマの移動が必要であるので、停止操作を検出してから最大4図柄を引き込んでリールを停止させることが可能であり、停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5図柄の範囲から図柄の停止位置を指定できることとなる。
本実施例では、いずれかの役に当選している場合には、当選役を入賞ライン上に4コマの範囲で最大限引き込み、当選していない役が入賞ライン上に揃わないように引き込む滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う一方、いずれの役にも当選していない場合には、いずれの役も揃わない滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う。これにより、停止操作が行われた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行われ、当選していない役は、最大4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行われることとなる。
特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で小役が当選した場合など、特別役と小役が同時に当選している場合には、当選した小役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように滑りコマ数が定められているとともに、当選した小役を入賞ラインに最大4コマの範囲で引き込めない停止操作位置については、当選した特別役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う。これにより、停止操作が行われた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行われ、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を引き込めない場合には、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している特別役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行われ、当選していない役は、4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行われることとなる。すなわちこのような場合には、特別役よりも小役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、小役を引き込めない場合にのみ、特別役を入賞させることが可能となる。尚、特別役と小役を同時に引き込める場合には、小役のみを引き込み、特別役と同時に小役が入賞ライン上に揃わないようになっている。
尚、本実施例では、特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で小役が当選した場合や新たに特別役と小役が同時に当選した場合など、特別役と小役が同時に当選している場合には、当選した特別役よりも当選した小役が優先され、小役が引き込めない場合のみ、特別役を入賞ライン上に揃える制御を行っているが、特別役と小役が同時に当選している場合に、小役よりも特別役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、特別役を引き込めない場合にのみ、小役を入賞ライン上に揃える制御を行っても良い。
特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で再遊技役が当選した場合など、特別役と再遊技役が同時に当選している場合には、停止操作が行われた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で再遊技役の図柄を揃えて停止させる制御が行われる。尚、この場合、再遊技役を構成する図柄または同時当選する再遊技役を構成する図柄は、リール2L、2C、2Rのいずれについても5図柄以内、すなわち4コマ以内の間隔で配置されており、4コマの引込範囲で必ず任意の位置に停止させることができるので、特別役と再遊技役が同時に当選している場合には、遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングに関わらずに、必ず再遊技役が揃って入賞することとなる。すなわちこのような場合には、特別役よりも再遊技役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、必ず再遊技役が入賞することとなる。尚、特別役と再遊技役を同時に引き込める場合には、再遊技役のみを引き込み、再遊技役と同時に特別役が入賞ライン上に揃わないようになっている。
本実施例においてメイン制御部41は、リール2L、2C、2Rの回転が開始した後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるまで、停止操作が未だ検出されていないリールの回転を継続し、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことを条件に、対応するリールに表示結果を停止させる制御を行うようになっている。尚、リール回転エラーの発生により、一時的にリールの回転が停止した場合でも、その後リール回転が再開した後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるまで、停止操作が未だ検出されていないリールの回転を継続し、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことを条件に、対応するリールに表示結果を停止させる制御を行うようになっている。
尚、本実施例では、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことを条件に、対応するリールに表示結果を停止させる制御を行うようになっているが、リールの回転が開始してから、予め定められた自動停止時間が経過した場合に、リールの停止操作がなされない場合でも、停止操作がなされたものとみなして自動的に各リールを停止させる自動停止制御を行うようにしても良い。この場合には、遊技者の操作を介さずにリールが停止することとなるため、例え、いずれかの役が当選している場合でもいずれの役も構成しない表示結果を導出させることが好ましい。
次に、メイン制御部41がサブ制御部91に対して送信するコマンドについて説明する。
本実施例では、メイン制御部41がサブ制御部91に対して、BETコマンド、クレジットコマンド、内部当選コマンド、リール回転開始コマンド、リール停止コマンド、入賞判定コマンド、払出開始コマンド、払出終了コマンド、遊技状態コマンド、待機コマンド、打止コマンド、エラーコマンド、復帰コマンド、設定コマンド、設定確認コマンド、ドアコマンド、操作検出コマンドを含む複数種類のコマンドを送信する。
これらコマンドは、コマンドの種類を示す1バイトの種類データとコマンドの内容を示す1バイトの拡張データとからなり、サブ制御部91は、種類データからコマンドの種類を判別できるようになっている。
BETコマンドは、メダルの投入枚数、すなわち賭数の設定に使用されたメダル枚数を特定可能なコマンドであり、ゲーム終了後(設定変更後)からゲーム開始までの状態であり、規定数の賭数が設定されていない状態において、メダルが投入されるか、MAXBETスイッチ6が操作されて賭数が設定されたときに送信される。また、BETコマンドは、賭数の設定操作がなされたときに送信されるので、BETコマンドを受信することで賭数の設定操作がなされたことを特定可能である。
クレジットコマンドは、クレジットとして記憶されているメダル枚数を特定可能なコマンドであり、ゲーム終了後(設定変更後)からゲーム開始までの状態であり、規定数の賭数が設定されている状態において、メダルが投入されてクレジットが加算されたときに送信される。
内部当選コマンドは、内部当選フラグの当選状況、並びに成立した内部当選フラグの種類を特定可能なコマンドであり、スタートスイッチ7が操作されてゲームが開始したときに送信される。また、内部当選コマンドは、スタートスイッチ7が操作されたときに送信されるので、内部当選コマンドを受信することでスタートスイッチ7が操作されたことを特定可能である。
リール回転開始コマンドは、リールの回転の開始を通知するコマンドであり、リール2L、2C、2Rの回転が開始されたときに送信される。
リール停止コマンドは、停止するリールが左リール、中リール、右リールのいずれかであるか、該当するリールの停止操作位置の領域番号、該当するリールの停止位置の領域番号、を特定可能なコマンドであり、各リールの停止操作に伴う停止制御が行われる毎に送信される。また、リール停止コマンドは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに送信されるので、リール停止コマンドを受信することでストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたことを特定可能である。
入賞判定コマンドは、入賞の有無、並びに入賞の種類、入賞時のメダルの払出枚数を特定可能なコマンドであり、全リールが停止して入賞判定が行われた後に送信される。
払出開始コマンドは、メダルの払出開始を通知するコマンドであり、入賞やクレジット(賭数の設定に用いられたメダルを含む)の精算によるメダルの払出が開始されたときに送信される。また、払出終了コマンドは、メダルの払出終了を通知するコマンドであり、入賞及びクレジットの精算によるメダルの払出が終了したときに送信される。
遊技状態コマンドは、次ゲームの遊技状態等を特定可能なコマンドであり、ゲームの終了時に送信される。
待機コマンドは、待機状態へ移行する旨を示すコマンドであり、1ゲーム終了後、賭数が設定されずに一定時間経過して待機状態に移行するとき、クレジット(賭数の設定に用いられたメダルを含む)の精算によるメダルの払出が終了し、払出終了コマンドが送信された後に送信される。
打止コマンドは、打止状態の発生または解除を示すコマンドであり、BB終了後、エンディング演出待ち時間が経過した時点で打止状態の発生を示す打止コマンドが送信され、リセット操作がなされて打止状態が解除された時点で、打止状態の解除を示す打止コマンドが送信される。
エラーコマンドは、エラー状態の発生または解除、エラー状態の種類を示すコマンドであり、エラーが判定され、エラー状態に制御された時点でエラー状態の発生及びその種類を示すエラーコマンドが送信され、リセット操作がなされてエラー状態が解除された時点で、エラー状態の解除を示すエラーコマンドが送信される。
復帰コマンドは、メイン制御部41が電断前の制御状態に復帰した旨を示すコマンドであり、メイン制御部41の起動時において電断前の制御状態に復帰した際に送信される。
設定コマンドは、設定変更状態の開始または終了、設定変更後設定値を示すコマンドであり、設定変更状態に移行する時点で設定変更状態の開始を示す設定コマンドが送信され、設定変更状態の終了時に設定変更状態の終了及び設定変更後の設定値を示す設定コマンドが送信される。また、設定変更状態への移行に伴ってメイン制御部41の制御状態が初期化されるため、設定開始を示す設定コマンドによりメイン制御部41の制御状態が初期化されたことを特定可能である。
設定確認コマンドは、設定確認状態の開始または終了を示すコマンドであり、設定確認状態に移行する際に設定確認開始を示す設定確認コマンドが送信され、設定確認状態の終了時に設定確認終了を示す設定確認コマンドが送信される。
ドアコマンドは、ドア開放検出スイッチ25の検出状態、すなわちon(開放状態)/off(閉状態)を示すコマンドであり、電源投入時、1ゲーム終了時(ゲーム終了後、次のゲームの賭数の設定が開始可能となる前までの時点)、ドア開放検出スイッチ25の検出状態が変化(onからoff、offからon)した時に送信される。
操作検出コマンドは、操作スイッチ類(MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R)検出状態(on/off)を示すコマンドであり、定期的に送信される。
これらコマンドのうちドアコマンド及び操作検出コマンド以外のコマンドは、基本処理において生成され、シリアル通信回路511の送信データレジスタ561に転送することで、サブ制御部91に送信される。
一方、ドアコマンド及び操作検出コマンドは、タイマ割込処理(メイン)において生成され、シリアル通信回路511の送信データレジスタ561に転送することで、サブ制御部91に送信される。
次に、メイン制御部41が演出制御基板90に対して送信するコマンドに基づいてサブ制御部91が実行する演出の制御について説明する。
サブ制御部91は、メイン制御部41からのコマンドを受信した際に、コマンド受信割込処理を実行する。コマンド受信割込処理では、RAM91cに設けられた受信用バッファに、コマンド伝送ラインから取得したコマンドを格納する。
受信用バッファには、最大で16個のコマンドを格納可能な領域が設けられており、複数のコマンドを蓄積できるようになっている。
サブ制御部91は、タイマ割込処理(サブ)において、受信用バッファに未処理のコマンドが格納されているか否かを判定し、未処理のコマンドが格納されている場合には、そのうち最も早い段階で受信したコマンドに基づいてROM91bに格納された制御パターンテーブルを参照し、制御パターンテーブルに登録された制御内容に基づいて液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の各種演出装置の出力制御を行う。
制御パターンテーブルには、複数種類の演出パターン毎に、コマンドの種類に対応する液晶表示器51の表示パターン、演出効果LED52の点灯態様、スピーカ53、54の出力態様、リールLEDの点灯態様等、これら演出装置の制御パターンが登録されており、サブ制御部91は、コマンドを受信した際に、制御パターンテーブルの当該ゲームにおいてRAM91cに設定されている演出パターンに対応して登録された制御パターンのうち、受信したコマンドの種類に対応する制御パターンを参照し、当該制御パターンに基づいて演出装置の出力制御を行う。これにより演出パターン及び遊技の進行状況に応じた演出が実行されることとなる。
尚、サブ制御部91は、あるコマンドの受信を契機とする演出の実行中に、新たにコマンドを受信した場合には、実行中の制御パターンに基づく演出を中止し、新たに受信したコマンドに対応する制御パターンに基づく演出を実行するようになっている。すなわち演出が最後まで終了していない状態でも、新たにコマンドを受信すると、受信した新たなコマンドが新たな演出の契機となるコマンドではない場合を除いて実行していた演出はキャンセルされて新たなコマンドに基づく演出が実行されることとなる。
特に、本実施例では、演出の実行中に賭数の設定操作がなされたとき、すなわちサブ制御部91が、賭数が設定された旨を示すBETコマンドを受信したときに、実行中の演出を中止するようになっている。このため、遊技者が、演出を最後まで見るよりも次のゲームを進めたい場合には、演出がキャンセルされ、次のゲームを開始できるので、このような遊技者に対して煩わしい思いをさせることがない。また、演出の実行中にクレジットまたは賭数の精算操作がなされたとき、すなわちサブ制御部91が、ゲームの終了を示す遊技状態コマンドを受信した後、ゲームの開始を示す内部当選コマンドを受信する前に、払出開始コマンドを受信した場合には、実行中の演出を中止するようになっている。クレジットや賭数の精算を行うのは、遊技を終了する場合であり、このような場合に実行中の演出を終了させることで、遊技を終了する意志があるのに、不要に演出が継続してしまわないようになっている。
演出パターンは、内部当選コマンドを受信した際に、内部当選コマンドが示す内部抽選の結果に応じた選択率にて選択され、RAM91cに設定される。演出パターンの選択率は、ROM91bに格納された演出テーブルに登録されており、サブ制御部91は、内部当選コマンドを受信した際に、内部当選コマンドが示す内部抽選の結果に応じて演出テーブルに登録されている選択率を参照し、その選択率に応じて複数種類の演出パターンからいずれかの演出パターンを選択し、選択した演出パターンを当該ゲームの演出パターンとしてRAM91cに設定するようになっており、同じコマンドを受信しても内部当選コマンドの受信時に選択された演出パターンによって異なる制御パターンが選択されるため、結果として演出パターンによって異なる演出が行われることがある。
本実施例のスロットマシン1では、前述のように遊技の制御を行うメイン制御部41が設けられた遊技制御基板40などの各種基板が搭載されており、これらの基板には、図5に示すように、遊技者による遊技の進行操作が可能なスイッチ類等からなる電気部品がケーブルを介して接続されている。
遊技制御基板40には、前述したように、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、投入メダルセンサ31、リールモータ32L、32C、32R、リールセンサ33L、33C、33R、ホッパーモータ34b、払出センサ34c、演出制御基板90が接続されている。
具体的には、図5に示すように、スタートスイッチ7は遊技制御基板40と配線接続され、MAXBETスイッチ6、ストップスイッチ8L、8C、8R、投入メダルセンサ31、ドア開放検出スイッチ25は、操作部中継基板110を経由して遊技制御基板40と配線接続され、リールモータ32L、32C、32R及びリールセンサ33L、33C、33Rは、リール中継基板120を経由して遊技制御基板40と配線接続され、ホッパーモータ34b及び払出センサ34cは、第1電源基板101を経由して遊技制御基板40と配線接続され、演出制御基板90は、遊技制御基板40と配線接続されている。
操作部中継基板110、リール中継基板120、第1電源基板101、演出制御基板90には、遊技制御基板40と各電気部品とを接続するための配線パターン(図示略)が設けられており、各電気部品から遊技制御基板40に対して出力される検出信号等を中継可能とされている。
このようにスタートスイッチ7を除く各種電気部品と遊技制御基板40とを、スロットマシン1の本体(本実施例では、筐体1a)所定箇所に取り付けた各中継基板110、120、100、80を経由して配線接続することで、遊技制御基板40からスロットマシン1の本体所定箇所に個々に配設される複数の電気部品との配線の取りまとめが容易になるとともに、コネクタ接続部が常に中継基板または遊技制御基板40に設けられることになり、これにより各電気部品それぞれのコネクタ接続部が固定されるため、配線接続作業時においてコネクタ接続部を探したり、接続する配線の種類を間違うこと等が防止される。
MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、投入メダルセンサ31、リールモータ32L、32C、32R、リールセンサ33L、33C、33R、ホッパーモータ34b、払出センサ34cは、ゲームの進行に関わる信号を遊技制御基板40に入出力する電気部品である。ゲームの進行に関わる信号とは、例えば、ゲームを開始可能な状態とするための賭数の設定操作、ゲームを開始させるための操作、リール2L、2C、2Rの表示結果を導出させるための操作等、ゲームの進行操作に応じて遊技制御基板40に出力される信号や、投入メダルの検出、リールの基準位置の検出、払出メダルの検出等、ゲームの進行に応じて遊技用電気部品から出力されて遊技制御基板40に入力される信号と、スタート操作の検出に応じてリール2L、2C、2Rを駆動させるための駆動信号や、入賞の発生に伴いメダルを払い出すホッパーを駆動するための駆動信号等、ゲームの進行に応じて遊技制御基板40から出力されて遊技用電気部品に入力される信号と、を含む。
そして、これら遊技用電気部品は、ゲームの進行に応じて遊技制御基板40に信号を出力する第1の電気部品と、ゲームの進行に応じて遊技制御基板40からの信号が入力される第2の電気部品と、からなる。
遊技用電気部品と基板とはケーブルを介して接続されており、遊技用電気部品と基板とを接続するケーブルは、スロットマシンの製造時における組み付け作業や配線作業を容易にするため、コネクタ同士の接続を解除することで分離可能とされている。また、これら遊技用電気部品は、基本的には複数の機種に共通して継続使用される電気部品であり、故障等が発生しない限り本体から取り外して交換する機会は少ないので、スロットマシンの本体所定箇所に固設されている。これに対して遊技制御基板40や演出制御基板90等は、機種変更の際には交換が必要となるため、その際には本体から取り外される。つまり、遊技制御基板40を取り外す際には遊技用電気部品や演出制御基板90との接続を解除する必要があるため、これら基板同士及び基板と遊技用電気部品とを接続するケーブルと基板とは、ケーブルの端部に設けられたケーブル側コネクタと基板の配線パターンと電気的に接続された基板側コネクタとの接続により電気的に接続されており、基板側コネクタからケーブル側コネクタを抜脱して接続を解除することで、遊技制御基板40を本体から容易に取り出して交換できるようになっている。
しかし、このように遊技制御基板40と遊技用電気部品との配線接続をコネクタの抜脱により容易に解除できる状態のままスロットマシンをメーカーから遊技店に出荷すると、例えば遊技店において、基板側コネクタからケーブル側コネクタを抜脱し、これに替えていわゆる打ち込み器具等の不正な器具に接続されたケーブル側コネクタを基板側コネクタに容易に接続することが可能となってしまう。
打ち込み器具とは、例えば遊技用電気部品から遊技制御基板40に入出力される信号を擬似的に再現した信号を遊技制御基板40に入出力させることで、スロットマシンに設けられた各種スイッチ等を操作することなく、ゲームを自動的に進行させることができるものである。従って、例えば遊技店等において、遊技制御基板40に設けられた基板側コネクタに接続されている正規なコネクタを抜脱し、これに替えて打ち込み器具に接続された不正なコネクタを接続して、各種信号を適宜タイミングで遊技制御基板40に入出力して遊技を自動的に進行させることで、例えば特別役が当選した状態等を容易に設定することができる。よって、このような不正な打ち込み器具を使用して特別役が当選した状態に設定したスロットマシンを、例えば遊技店の営業開始時等において遊技客に提供するといった不正営業が実施された場合、遊技の公平性が損なわれる虞がある。
このため本実施例では、前述したように、遊技用電気部品のうちスタートスイッチ7のみを遊技制御基板40に直接配線接続するとともに、遊技制御基板40とスタートスイッチ7との間のコネクタ接続、すなわち遊技制御基板40の基板側コネクタ620bとケーブル600bのケーブル側コネクタ610bとの接続及びスタートスイッチ7の部品側コネクタ640bとケーブル側コネクタ630bとの接続について、コネクタ同士の接続の解除をコネクタ規制部材650によって規制できるようになっている。
また、メイン制御部41からのコマンドに基づいてサブ制御部91により遊技者の有利度を左右するような演出(例えば、遊技者にとって有利となる操作態様を報知する演出等)を行う場合には、遊技制御基板40に設けられた基板側コネクタに接続されている正規なコネクタを抜脱してこれを不正な器具に接続し、遊技者の有利度が高くなるような擬似的なコマンドを該不正器具から演出制御基板90に出力することができる。よって、このような不正な打ち込み器具を使用して遊技者の有利度が高くなるように設定したスロットマシンを、例えば遊技店の営業開始時等において遊技客に提供するといった不正営業が実施された場合、遊技の公平性が損なわれる虞がある。
このため本実施例では、遊技用電気部品のうち演出制御基板90を遊技制御基板40に直接配線接続するとともに、遊技制御基板40と演出制御基板90との間のコネクタ接続、すなわち遊技制御基板40の基板側コネクタ620dとケーブル600dのケーブル側コネクタ610dとの接続について、コネクタ同士の接続の解除を上記したコネクタ規制部材650によって規制できるようになっている。また、演出制御基板90の基板側コネクタ640dとケーブル側コネクタ630dとの接続について、コネクタ同士の接続の解除をコネクタ規制部材650bによって規制できるようになっている。
尚、コネクタ規制部材650の詳細な構造に関しては後述することとし、コネクタ規制部材650a、650bに関しては、例えばコネクタ規制部材650と同様に構成されていれば良いので、特に詳細な図示は省略する。
また、本実施例では、遊技制御基板40とスタートスイッチ7とは中継基板を経由することなく接続され、コネクタ接続を遊技制御基板40及び電気部品(スタートスイッチ7)側でのみ行えば済むため、配線接続が簡素化されているが、1つまたは複数の中継基板を経由して接続される場合には、その間に存在するコネクタ接続全てについて抜脱を規制することが好ましく、このようにすることで遊技制御基板40とスタートスイッチ7との間のいずれかのコネクタの接続を解除することが困難となるため、上記不正営業をより効果的に防止できる。
また、本実施例では、ゲームの進行に応じて遊技制御基板40に対して信号を入力する第1の電気部品6、7、8、31、33L、33C、33R、35及びゲームの進行に応じて遊技制御基板40から信号が出力される第2の電気部品32L、32C、32R、34のうち、スタートスイッチ7と遊技制御基板40との間のコネクタ接続のみコネクタ規制部材650を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制している。すなわちその信号がなければ遊技を進行させることができない電気部品の一つであるスタートスイッチ7(スタートスイッチ7からの信号が入力されなければゲームを開始することが不可能となる)と遊技制御基板40との間のコネクタ接続のみコネクタ規制部材650を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制しており、他の電気部品と遊技制御基板40との間でコネクタ同士の接続を解除して打ち込み器具のコネクタに差し替えた場合でも、実質的に遊技を自動的にゲームを進行させることができなくなるため、最小限の規制で不正行為を防止することが可能となり、これらコネクタ同士の接続を解除するための部品点数を減らすことができる。
尚、本実施例では、スタートスイッチ7と遊技制御基板40との間のコネクタ接続のみコネクタ規制部材650を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制しているが、投入メダルセンサ31と遊技制御基板40との間のコネクタ接続のみコネクタ規制部材を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制するようにしても同様の効果が得られる。また、本実施例のようにリールの回転開始後、リールの停止操作がなされるまでリールが停止する構成でないものであれば、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかと遊技制御基板40との間のコネクタ接続のみコネクタ規制部材を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制するようにしても同様の効果が得られる。
また、本実施例では、ドア開放検出スイッチ25がケーブルを介して遊技制御基板40と接続されているが、ドア開放検出スイッチ25と遊技制御基板40との間に設けられるケーブルのコネクタのうちいずれかのコネクタでの接続が解除されると、前面扉1bが開放された際に、その旨を遊技制御基板に搭載されたメイン制御部41が検出することができず、ドア開放報知やドア開放信号の出力が行われなくなるため、前面扉1bが開放されて不正行為がなされてもその発見が遅れてしまう虞があるため、遊技制御基板40とドア開放検出スイッチ25との間のコネクタ接続にコネクタ規制部材を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制するようにしても良く、このようにすることで、遊技制御基板40とドア開放検出スイッチ25との間のいずれかのコネクタ同士の接続を解除することが困難となるため、前面扉1bの開放された旨の報知がされない状態で、前面扉1bが開放されてしまうことを効果的に防止できる。
また、本実施例では、メイン制御部41とゲームの進行上必要な信号の入出力が行われるスタートスイッチ7を除く複数の電気部品及びドア開放検出スイッチ25とを接続する複数の信号線が、遊技制御基板40と操作部中継基板110との間では1本のケーブル600aで接続されているため、遊技制御基板40の基板側コネクタ620aとケーブル側コネクタ610aとのコネクタ接続、すなわち1カ所のコネクタ接続のみ接続の解除を規制することで、複数の信号線同士の接続の解除を規制することが可能となり、これらコネクタ接続の解除を規制するための部品を複数用意する必要がなく、これらの部品点数を削減できる。
尚、メイン制御部41とゲームの進行上必要な信号の入出力が行われる複数の電気部品及びドア開放検出スイッチ25とを接続する複数の信号線が、複数のケーブルを介して接続される場合でも、基板側コネクタを近接する位置に配置するとともに、1つの部品でこれら複数の基板側コネクタと複数のケーブル側コネクタとの接続の解除を規制することで、これらコネクタ接続の解除を規制するための部品を複数用意する必要がなく、これらの部品点数を削減できる。
図6は、第1電源基板101、第2電源基板80及び遊技制御基板40の回路図である。
第1電源基板101には、図6に示すように、整流回路102、トランス103、DC−DCコンバータ104、105が搭載されている。尚、メイン制御部41の制御に関連しない電圧を生成するための電圧生成回路等は省略する。
整流回路102は、外部から供給されたAC24Vの交流電圧を直流電圧に変換し、トランス103は、整流回路102により変換された直流電圧を昇圧して内部回路に伝達する。そしてDC−DCコンバータ104は、トランス103を介して昇圧された直流電圧から+30Vの直流電圧を生成してDC−DCコンバータ105に供給する。DC−DCコンバータ105は、DC−DCコンバータ104にて生成されたDC+30Vの直流電圧からDC+12Vの直流電圧を生成し、+12Vラインに供給する。
第1電源基板101と第2電源基板80は、図5に示すように、接続ケーブル600fを介して接続される。詳しくは、接続ケーブル600fの一端側のコネクタ611fと第1電源基板101に設けられたコネクタ621fとが接続され、接続ケーブル600fの他端側のコネクタ610fと第2電源基板80に設けられたコネクタ620fとが接続されることで第1電源基板101と第2電源基板80が接続されるようになっている。
第1電源基板101と第2電源基板80が接続ケーブル600fを介して接続されることにより第1電源基板101で生成されたDC+12Vが供給される。
第2電源基板80には、図6に示すように、DC−DCコンバータ81、電断検出回路82、コンデンサ84、スイッチ86が搭載されている。
DC−DCコンバータ81は、第1電源基板101から供給されたDC+12Vの直流電圧からDC+5Vの直流電圧を生成し、+5V(VCC)ラインに供給する。
+5V(VCC)ラインに供給されたDC+5Vの直流電圧は、電断検出回路82の駆動電圧として電断検出回路82にも供給される。また、+5V(VCC)ラインは、図5及び図6に示すように、第2電源基板80側に設けられたコネクタ620gと遊技制御基板40側に設けられたコネクタ620hとの接続により遊技制御基板40側の+5V(VCC)ラインに接続され、この遊技制御基板40側の+5V(VCC)ラインに供給されたDC+5Vの直流電圧は、遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41の駆動電圧として供給される。
また、+5V(VCC)ラインに供給されたDC+5Vの直流電圧は、逆流防止用のダイオード85を介して+5(VBB)の直流電圧の供給ラインに接続されているとともに、+5(VBB)の直流電圧の供給ラインの一方側でグラウンドレベルに接続され、その間には大容量のコンデンサ84が設けられており、+5(VBB)の直流電圧の供給ラインの他方側は、コネクタ620gとコネクタ620hとの接続により遊技制御基板40側の+5V(VBB)ラインに接続され、メイン制御部41のバックアップ電源入力端子VBBに接続されている。これにより+5V(VCC)ラインから供給されたDC+5Vの直流電圧をコンデンサ84に蓄積可能とされ、停電時において、コンデンサ84に蓄積された電圧を、当該電圧が全て放出されるまでの期間にわたりバックアップ電源としてメイン制御部41に供給できるようになっている。また、+5(VBB)の直流電圧の供給ラインにおいてコンデンサ84と遊技制御基板40と接続されるコネクタ620gとの間には、スイッチ86が設けられており、このスイッチ86がONの状態でのみメイン制御部41にバックアップ電源が供給され、スイッチ86がOFFの状態となるとバックアップ電源がメイン制御部41に対して供給されない状態となる。
また、第1電源基板101から供給されたDC+12Vの直流電圧は、図6に示すように、抵抗83により減圧されて、電断検出回路82が備える監視電圧入力端子VSBに入力される。電断検出回路82は、監視電圧入力端子VSBに入力された電圧が所定の大きさ(本実施例では、+1.2V)以下となったときに、電圧低下信号出力端子RESETから電圧低下信号を出力する構成とされている。この電圧低下信号出力端子RESETに接続された信号線は、コネクタ620gとコネクタ620hとの接続により遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41の後述する入力ポート用端子P0に接続されており、監視電圧入力端子VSBに入力された電圧が所定の大きさ以下となったときに、電圧低下信号がメイン制御部41の入力ポート用端子P0に入力されるようになっている。すなわち、メイン制御部41は、電断検出回路82からの電圧低下信号の入力に基づき電断の発生を検知して前述した電断処理(メイン)を実行できるようになっている。本実施例では、+12Vの直流電圧が約+8V以下となったときに抵抗83により減圧された電圧が+1.2V以下となり、電圧低下信号が出力されるため、メイン制御部41は電圧低下信号の入力に基づいて、+12Vの直流電圧が、+8V以下となったときに電断の発生を検知することができる。
図5及び図8に示すように、遊技制御基板40及び第2電源基板80は、互いに並設された状態で1つの基板ケース200内に収容される。その際、これら遊技制御基板40と第2電源基板80とは、互いの対向端辺部に設けられた雄雌のコネクタ620g、620hを介して基板対基板接続されている。
尚、本実施例では、これら基板ケース200内に収容される遊技制御基板40と第2電源基板80とは、コネクタ620g、620hを介して基板対基板接続されているが、ケーブル等を介して配線接続しても良い。
また、図13に示すように、スイッチ86は、第2電源基板80の裏面側に搭載されている。スイッチ86には、押圧片86aが設けられており、押圧片86aが基板側に押圧されている状態でONの状態、すなわちメイン制御部41にバックアップ電源が供給される状態となり、押圧片86aが押圧されていない状態でスイッチ86がOFFの状態、すなわちメイン制御部41にバックアップ電源が供給されない状態となる。
次に、遊技制御基板40を収納する基板ケース200の構造及び基板ケース200の筐体1aに対する取付構造について説明する。尚、以下の説明においては、図2に示すように筐体1aの背板1cに取り付けられた状態の基板ケース200を筐体1aの正面から見た場合を基準として、基板ケース200の上下、左右、前後方向を示すものとする。
図7に示すように、遊技制御基板40及び第2電源基板80が収容された基板ケース200は、筐体1aの背板1c内面上部に取り付けられる固定ベース301及び係止部材303と、固定ベース301に回動可能に支持される可動ベース302と、から主に構成されるケース支持装置300における可動ベース302の前面側に取り付けることにより、背板1cの内面上部に、上下方向を向く軸周りに回動可能に取り付けられる。
(基板ケース)
基板ケース200は、図8に示すように、回路基板の一例である遊技制御基板40の裏面(他面)40b側を覆うベース体としてのベース部材201と、遊技制御基板40の実装面(一面)40a側を覆うカバー体としてのカバー部材202と、から構成され、遊技制御基板40を挟持するように組み付けられるものである。尚、特に詳細な図示はしないが、遊技制御基板40の実装面40aには、メイン制御部41等の電子素子やコネクタ等が実装されており、第2電源基板80の実装面80aには、コンデンサ84投の電子素子やコネクタ等が実装されている。
(ベース部材)
ベース部材201は、図8及び図9に示すように、透明な熱可塑性合成樹脂からなり、略長方形状に形成されるベース板201aを有し、該ベース板201aの上下長辺には、前向きに立設された一対の側壁201b、201bがそれぞれ長手方向に沿って延設されている。側壁201b、201bには、カバー部材202に設けられた後述する係合片220が摺動自在に挿通される係合溝250が、長手方向の中央及び左右位置にそれぞれ形成されている。これら係合溝250は、側面視略L字形に形成され、その前端は側壁201bの前端にて前方に開放され、後述するように各係止片203、203を前方から挿通し、ベース板201aに沿って右側に移動させることで、カバー部材202を封止位置に係止できるようになっている。
また、各側壁201b、201bの外面後部位置には、カバー部材202の下端が当接する当接片204、204が長手方向に沿って延設されているとともに、各側壁201b、201bの内側近傍位置には、遊技制御基板40の裏面40b及び第2電源基板80の裏面80bの上下辺部を当接支持する支持片205、205が側壁201b、201bに沿って延設されている。
ベース部材201の左側の短辺201cには、後述するカバー部材202に形成される挿通穴222、222に挿通可能な係止片203、203が、長手方向の両側からそれぞれ外向きに突設されている。また、短辺201cに対向する短辺201dの中央部には、ベース板201aの一部を前面側に向けて隆起させてなる隆起部206が形成されており、該隆起部206の前面にはベース体側溶着部としてのベース側溶着部207が形成されている。このベース側溶着部207は、ベース部材201とカバー部材202とが位置合わせされたときに後述するカバー部材202のカバー体側溶着部としてのカバー側溶着部223の後面側に対向するようになっている。また、ベース側溶着部207の右側端部には、カバー部材202のカバー側溶着部223の右端部を当接規制するフック状の規制片208が形成されている。尚、ベース側溶着部207の詳細な構造に関しては後述することとする。
短辺201dにおける隆起部206上側方部には、後述する閉鎖ネジ226が取り付けられるネジ孔209が形成されたベース側封印部229が設けられており、隆起部206下側方部には、後述するワンウェイネジ240cが取り付けられるネジ孔210が設けられた予備用封止片211が外向きに突設されている。尚、ベース側封印部229の詳細な構造は後述することとする。
また、ベース板201aにおける、第2電源基板80を配置した際に第2電源基板80の裏面80aに実装されたスイッチ86に対応する位置に、スイッチ86を露呈させる挿通孔212が形成されており、さらに挿通孔212の周囲には、ベース板201aの底面側から第2電源基板80に向けて、その一端が第2電源基板80の裏面80aに当接する筒状部213が形成されている。
(カバー部材)
カバー部材202は、図8及び図10に示すように、透明な熱可塑性合成樹脂からなり、中央が外向きに膨出する略長方形状のカバー板202aと、該カバー板202aの長辺に沿って後向きに立設された一対の側壁202b、202bと、短辺に沿って後向きに立設された一対の側壁202c、202dとにより、後面側が開放するとともに、下長辺側に横長の凹部202eが形成された凸型の箱状に成形されている。側壁202b、202bの内面における中央位置及び左右側には、ベース部材201の係合溝250に係合可能な係合片220(図8参照)が内向きに突設されている。
また、カバー板202aの前面周囲には、カバー板202aの前面から突設するリブ202gが四角枠状に形成され、カバー板202aの前面側を設置面に向けて設置した状態において該カバー板202aの前面が設置面と接触することが回避されている。これにより、例えば後述する溶着部を溶着する際において、カバー板202aの前面が治具の設置面と摺接して傷が付くことや、該前面に貼付される管理シール等の損傷が防止されるようになっている。また、カバー板202aの角部(実装面40aに搭載されたメインCPU41aやROM41b等から極力離れた位置)には、放熱用の小孔202fが複数形成されている。
カバー部材202の一方の短辺の側壁202c外面の長手方向の両端部には、後述する回動軸333に当接し、該回動軸333の軸支溝320からの離脱を規制するとともに、回動軸333を前面側から被覆可能な一対の板状片221、221が外向きに突設されているとともに、その後面側には、ベース部材201の係止片203、203が挿通可能な長方形状の挿通穴222、222が形成されている。
他方の短辺の側壁202dの長手方向の中央部には、カバー体側溶着部としての板状のカバー側溶着部223が外向きに延設され、ベース部材201とカバー部材202とが位置合わせされたときに、ベース部材201のベース側溶着部207の上面側に対向するとともに、カバー側溶着部223の右端部が規制片208に当接して移動規制されるようになっている。尚、カバー側溶着部223の詳細な構造については後述することとする。
側壁202dの長手方向の上側方位置には、ベース部材201とカバー部材202とが位置合わせされたときに、ベース部材201のネジ孔209の前面側に対向して配置されるカバー側封印部224が形成されている。カバー側封印部224の前面は、後述する封印シール400(図8参照)を貼着可能な平坦状の封印シール貼付面とされているとともに、ネジ孔209に対向する位置には、閉鎖ネジ226(図8参照)を取り付け可能な取付穴227が底面に形成された有底円筒状の凹部227aが形成されており、該凹部227a内に閉鎖ネジ226の頭部を収容できるようになっている。尚、カバー側封印部224の詳細な構造については後述することとする。
側壁202dの長手方向の下側方位置には、取付封止片230、予備用取付封止片231、予備用封止片232がそれぞれ側壁202dの外面から外向きに突設されている。取付封止片230及び予備用取付封止片231は、後述する可動ベース302に基板ケース200を設置したときに、該可動ベース302に取り付けられる後述する取付台座315に対向する位置に設けられている。予備用封止片232は、ベース部材201とカバー部材202とが位置合わせされたときに、ベース部材201の予備用封止片211に対向する位置に設けられている。
取付封止片230、予備用取付封止片231、予備用封止片232は、特に図12(a)に示すように、後述するワンウェイネジ240a〜240cを収容可能な筒状部と、筒状部と側壁202dとを連接する切断片(カバー部材202の一部)233とで構成されている。そして、切断片233を介して筒状部が側壁202dから所定距離離間した状態で配置されている。よって、切断片233は、ニッパ等の工具で切断(破壊)できるとともに、カバー部材202の一側縁である側壁202dの外面から外方に向けて複数突設され、各切断片233の先端に筒状部である取付封止片230、予備用取付封止片231、予備用封止片232が設けられている。
取付封止片230、予備用取付封止片231、予備用封止片232の筒状部は、上面が開口する有底四角筒状に形成され、内部にワンウェイネジ240a〜240cを収納可能な大きさを有し、ワンウェイネジ240a〜240cの上部を収納可能な大きさに形成されているとともに、底部には、ワンウェイネジ240a〜240cの頭部の直径よりも小径の取付孔234、235が形成されている。取付孔234は、封止状態において、ネジ孔210の対向位置に配置される。取付穴235、235は、後述する取付状態において、取付穴316a、316bの対向位置に配置される。
尚、特に図示はしないが、取付封止片230、予備用取付封止片231、予備用封止片232の上面にはキャップが装着可能とされており、例えばキャップと各封止片230〜232とを接着剤で接着したり、各筒状部の内面上端に形成した段部に係止することによって、キャップにより各封止片230〜232の上面開口を閉塞しても良い。
凹溝部202eには、当該カバー部材202の裏面側に取り付けられる遊技制御基板40に設けられた複数の基板側コネクタ620それぞれを外方に挿通するためのコネクタ用開口236a〜236gがそれぞれ形成されている。また、凹溝底面202gにおける、前述したスタートスイッチ7が接続される基板側コネクタ620bに対応するコネクタ用開口236cの側部には、前述したコネクタ規制部材650の被係合筒656が嵌合可能に形成され、該被係合筒656の外周に設けられた係合穴657(図40参照)に係合する弾性爪237aが内部に形成された係合筒237が突設されている。
また、カバー部材202の裏面側には、図8に示すように、遊技制御基板40及び第2電源基板80が、それぞれ4つの取付ネジ238によって四隅を止着することにより取り付けられる。遊技制御基板40及び第2電源基板80は、電子部品等が実装(搭載)される実装面(搭載面)40a、80aをカバー部材202の裏面に対向させた状態で、カバー部材202の裏面側に取り付けられ、取り付けられた状態において、実装面40a、80aの裏面40b、80bが側壁202b〜202dの下端よりも上方に位置するように収容される。
(基板ケースの封止)
次に、ベース部材201とカバー部材202との封止状況について説明する。まず、図8に示されるように、カバー部材202の裏面側に取付ネジ238を介して遊技制御基板40を取り付ける。この際、遊技制御基板40の実装面40a及び第2電源基板80の実装面80aをカバー部材202の裏面に対向させた状態で、遊技制御基板40及び第2電源基板80をカバー部材202内に嵌め込んで位置決めし、遊技制御基板40及び第2電源基板80の四隅に取付ネジ238を取り付け、カバー部材202のネジ穴(図示略)に取り付ける。
このように、カバー部材202の裏面側に、実装面40aが被覆されるように遊技制御基板40を取り付けた状態で収容することで、万が一カバー部材202が不正に開放された場合でも、カバー部材202から遊技制御基板40を取り外さない限り、実装面40aに実装されたメイン制御部41等の電子部品に不正行為を施すことができなくなるので、手間がかかるようになる。
次いで、カバー部材202の裏面側に取り付けられた遊技制御基板40の裏面40b及び第2電源基板80の裏面80bをベース部材201のベース板201aの前面と対向させ、ベース部材201の短辺201cからカバー部材202の側壁202cがはみ出すようにカバー部材202をベース部材201に近接し、カバー部材202の各係合片220をベース部材201の各係合溝250の開放端部から挿通する。このとき、カバー部材202の側壁202cによりベース部材201の側壁201bの外面が覆われる。そしてこの状態で、カバー部材202を右側に向けて長手方向(図8中右側に向けて)にスライドさせる。
そして、各係合片220が各係合溝250の端部に当接するとともに、カバー側溶着部223の右端部が規制片208に当接してスライド移動が規制されると、左側の短辺では、ベース部材201の係止片203、203がカバー部材挿通穴222、222内に挿通される。このように、各係合片220が各係合溝250に係合され、カバー側溶着部223の右端部が規制片208に係止され、係止片203、203がカバー部材挿通穴222、222内に挿通されることによりベース部材201にカバー部材202が組み付けられ、ベース部材201に対するカバー部材202の組付位置が決定し、ベース部材201とカバー部材202とが位置合わせされてベース部材201の開口が閉鎖された閉鎖状態(係止状態)となり、後述する封止が可能な状態となる(図11及び図12参照)。
このように本実施例の基板ケース200は、前記閉鎖状態からカバー部材202を開放するためには、まずベース部材201のベース板201aに沿ってカバー部材202をスライド移動させなければ、ベース部材201に対してカバー部材202を係止または係止状態を解除することができず、係止作用によりベース部材201からのカバー部材202の離脱、つまり浮き上がりが効果的に規制される。
また、閉鎖状態において、予備用封止片232の取付孔234がネジ孔210の対向位置に配置されるとともに、取付穴227がネジ孔209の対向位置に配置され、また、カバー側溶着部223がベース側溶着部207の対向位置に配置される(図12(a)参照)。
ここで、例えばメーカー等により、遊技制御基板40及び第2電源基板80を基板ケース200内に収納して遊技店等に出荷する際等においては、溶着部であるカバー側溶着部223とベース側溶着部207とを溶着(かしめ)する(第1封止状態とも言う)。また、閉鎖ネジ226は、外周に雄ネジ部(取付部)が形成された棒状部と、該棒状部の一端に形成され凹部227aに収納される頭部と、からなる一般的なネジであり、凹部227aの開口227bから取付穴227に閉鎖ネジ226の棒状部を挿通してネジ孔209に螺入した後、カバー側封印部224とベース側封印部229とに跨るように封印シール400を貼付して封止状態(第2封止状態または封印状態とも言う)を構成するとともに、該貼着した封印シール400を覆うように、合成樹脂材からなるコ字形のシール保護カバー228をカバー部材202とベース部材201とを挟み込むように装着し、封印シール400を保護した状態で出荷する。
(溶着構造)
以下、ベース側溶着部207及びカバー側溶着部223の詳細な構造について説明する。図27は、(a)はベース側溶着部207の拡大正面図であり、(b)は(a)のJ−J断面図であり、(c)は(a)のK−K断面図である。図28は、(a)はカバー側溶着部223の拡大後面図であり、(b)は(a)のL−L断面図であり、(c)は(a)のM−M断面図であり、(d)は(a)のN−N断面図である。図29は、(a)はベース側溶着部207とカバー側溶着部223とが溶着位置に配置された状態を示す部分拡大断面図であり、(b)は(a)のQ−Q断面図である。図30は、溶着状況を示す断面図である。図31は、不正行為を説明する概略図である。
図9及び図27に示すように、ベース側溶着部207は、ベース部材201の短辺201dの中央部に形成された右方及び下方に開口する箱状の隆起部206の前面側に形成されている。隆起部206の前面板部260の一部は前面側に向けて突出して溶着板部261が形成され、この溶着板部261の後面側には、後述する溶着装置のホーンが入り込む凹部262が形成されている。
溶着板部261の前面には、縦断面三角形状をなす上下一対の凸条263、263が左右方向に向けて延設されており、これら凸条263、263の間には、後述するカバー側溶着面271aと対向するベース側溶着面261aが平坦面状に形成されている。ベース側溶着面261aは、前面板部260の前面よりも前面側で、かつ、凸条263の頂部よりも後面側となる位置に突出して配置されているため、該ベース側溶着面261aと上下の凸条263、263との間に凹溝264、264が形成され、溶着の際に押し出された余剰樹脂(所謂バリ)を収容可能とされている。
また、前面板部260の右端部からは、前述したL字形の規制片208が立設されている。規制片208は、具体的には、前面板部260の右辺部から前面側に向けて立設される規制部208aと、該規制部208aの前端から左側に向けて屈曲され、ベース側溶着面261aの前方位置にて該ベース側溶着面261aの一部を被覆するように平行に配設される被覆部208bと、から構成され、該被覆部208bとベース側溶着面261aとの間に後述する溶着板部271の端部が入り込むようになっている。
図10及び図28に示すように、カバー側溶着部223は、側壁202dの外面から外方に向けて突設された上下一対のガイド片270、270間に配置される溶着板部271と、該溶着板部271の左辺及び上下辺外側に枠状に形成されるコ字形のガイド枠272と、から構成されている。ガイド枠272は、溶着板部271の後面から後面側、つまり溶着板部261との対向面側に向けて突設されており、溶着板部261、271が対向配置されたときに該溶着板部261の上下及び左側面を覆うように形成されている。
溶着板部271は、溶着板部261とほぼ同形に形成され、溶着板部261との対向面側には、ベース側溶着面261aに対向するカバー側溶着面271aが平坦面状に形成されている。カバー側溶着面271aには、コ字形のガイド溝273が凹設されており、該ガイド溝273における上下辺部は、前述した上下一対の凸条263、263に対応する位置に配置され、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとが対向配置されたときに、凸条263、263がガイド溝273における上下辺部に遊嵌されている。
カバー側溶着面271aにおけるコ字形のガイド溝273と溶着板部271の右端辺とにより囲まれた領域には、略長方形枠状に形成された外側溶着突条274が突設されるとともに、その内側には、略円形枠状に形成された内側溶着突条275が突設されている。これら外側溶着突条274及び内側溶着突条275は、それぞれの中心P3が同位置に配置されているとともに、この中心Pを通る左右方向を向く仮想直線上においてそれぞれ二分割されている。すなわち、これら外側溶着突条274及び内側溶着突条275それぞれにおける中心Pを通る左右方向を向く仮想直線上には、溶着の際に外側溶着突条274により囲まれる内部領域Yの空気を該内部領域Y外へ逃がすための逃し通路276、277が形成されている。
逃し通路276、277は所定幅を有し、外側溶着突条274及び内側溶着突条275それぞれに2箇所ずつ形成されている。そしてこれらは全て中心P3を通る左右方向を向く仮想直線上に配設されているため、外側溶着突条274及び内側溶着突条275は、中心Pを通る左右方向を向く仮想直線に対して線対称に配置されている。また、外側溶着突条274及び内側溶着突条275は、ベース側溶着面261aに向けて先細りとなる縦断面略三角形状に形成され(図28(c)の拡大図参照)、その頂部がベース側溶着面261aに当接するようになっている。
このように形成されたカバー側溶着部223は、ガイド片270、270及び側壁202dとの間に所定幅のコ字形の間隙S1が形成されるように離間配置され、ガイド枠272の側周面に複数設けられた連結片278を介して、ガイド片270、270及び側壁202dに連結されている。つまり、これら連結片278をニッパ等の工具により切断することで、カバー部材202本体から分離することができるようになっている。
尚、これら連結片278の縦断面は、図28(d)に示すように、前面が三角形状に突出し、かつ、後面が三角形状に凹む形状とされている。これにより、図中点線で示すニッパ等の工具により連結片278を両側から挟みこむように切断した場合、縦断面四角形状や円形状の連結片に比べて角部が多いことから、切断部近傍が変形(両側から押し潰されるような変形)しやすくなり、これにより、連結片278におけるガイド片270、270及び側壁202d側とガイド枠272側との切断部にずれが生じやすくなるため、切断された痕跡を目視により確認しやすくなる。
また、特に連結片278の前面側に形成される頂部は、図28(a)に示すように前面側から連結片278を視認した場合に長手方向を向く直線状辺276aを形成することから、上記のように切断した際に直線状辺276aのずれが顕著に現れることになるため、切断された痕跡をより効果的に確認することができる。
次に、このように構成されたベース側溶着部207とカバー側溶着部223を溶着する状況を、図29にもとづいて説明する。
上述のように構成されたカバー側溶着部223とベース側溶着部207とは、例えば超音波溶着機等を用いて超音波溶着する。具体的に説明すると、まず、カバー部材202の各係合片220をベース部材201の各係合溝250の開放端部から挿通して、カバー部材202を右側に向けて長手方向(図8中右側に向けて)にスライドさせると、図29(a)(b)に示すように、溶着板部261の前面上に溶着板部271が乗り上げるように配置され、ベース部材201にカバー部材202が組み付けられて閉鎖状態となる。この閉鎖状態において、溶着板部271の右端部が被覆部208bとベース側溶着面261aとの間に入り込み、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとが対向配置されるとともに、外側溶着突条274及び内側溶着突条275の頂部がベース側溶着面261aに当接する。
次いで、図30(a)(b)に示すように、カバー部材202のカバー側溶着部223を溶着機の治具Jの設置面上にセットし、凹部262の開口からホーンHを差し込み、ベース側溶着部207の後面側を治具Jに向けて押圧して超音波振動させる。このとき、互いに平坦なベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとは直接当接しておらず、外側溶着突条274及び内側溶着突条275の頂部のみがベース側溶着面261aに当接していることで、常に外側溶着突条274及び内側溶着突条275の頂部が溶け出すことになるので、平坦面状に形成されたベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとを直接当接した状態で超音波振動を付与する場合に比べて均一な溶融状態をもたらすことができ、また安定した溶着強度を得ることが可能になるとともに、溶着部の発熱は急激で、短時間での溶着が可能となる為、樹脂の劣化も起きにくくなる。
そして外側溶着突条274及び内側溶着突条275が融解変形することで、ホーンHによりベース側溶着面261aがカバー側溶着面271aに向けて押圧されるが、このときに外側溶着突条274及び内側溶着突条275に囲まれた内部領域Y内の空気が逃し通路276、277から内部領域Y外に押し出され、これにより外側溶着突条274及び内側溶着突条275に囲まれた内部領域Yの空気が閉じ込められたまま溶着されて硬化することがないので、溶着部内に気泡が形成されて溶着強度が低下することがない。また、所定以上の圧力を加えなくても、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの密着性、特に外側溶着突条274及び内側溶着突条275が溶解した溶着部周囲における密着性が効果的に高まるため、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの側面から該ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの間にカッター等を差し込まれにくくなり、剥離しにくくなる。
このようにベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとが融解変形して溶着されて互いに一体化されるため、両者を剥離させることが極めて困難となる。そしてこのようにベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとが固着されることで、ベース部材201に対するカバー部材202のスライド移動が規制されるため、ベース部材201に対するカバー部材202の係止状態を解除することができなくなる。すなわち、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの固着状態を解除しない限り、カバー部材202を開放することができない封止状態が形成される。
ここで、例えばカバー部材202をベース部材201に対して係止解除方向に強制的にスライド移動させることでカバー側溶着部223とベース側溶着部207とを剥離する場合、互いの対向面同士が融解して変形していることから、カバー側溶着部223及びベース側溶着部207双方、つまりベース部材201及びカバー部材202双方に傷や変形痕が残ることになるため、カバー部材202が開放(開封)された可能性があることを確実に発見することができる。
図31には、例えば中古の遊技機等から、上記のように溶着により封止状態とされた2つの基板ケースA、Bを取得し、これら2つの基板ケースA、Bのうち一方から溶着板部261が破壊されていないベース部材201を取得するとともに、他方から溶着板部271が破壊されていないカバー部材202を取得し、これらベース部材201とカバー部材202とにより不正な遊技制御基板40を収容した後、溶着板部261、271を溶着して新たに封止状態を形成する不正行為の一例が示されている。取得した基板ケースA、Bは、図31(a)に示すように、それぞれ前述した溶着方法により溶着され封止状態とされている。
ここで、一方の基板ケースAから溶着板部261が破壊されていないベース部材201を取得する場合、溶着板部261、271の側面からベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの接合面間にカッター等を差し込んで剥離することが好ましいが、封止状態において、溶着板部261、271の右側面は規制部208aにより覆われているとともに、前後側面はカバー部材202のガイド枠272により覆われているため、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの接合面間にカッター等を差し込むことが極めて困難とされている。
また、仮にカバー部材202のガイド枠272を切断してベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの接合面間の前側方または後側方からカッターを差し込んだとしても、左右方向に延びる上下一対の凸条263、263がガイド溝273内に遊嵌されているから、カッターを深く差し込むことが困難である。
従って、図31(b)中1点鎖線で示すように、溶着板部271の一部を前面側から例えば図示しないルーター等の切削機により除去することが考えられる。しかしこの場合においても、溶着板部271における溶着部の右端部が被覆部208bに差し掛かっていることで、ルーターにより切削したとしても、被覆部208bとベース側溶着面261aとの間に差し込まれた残存溶着板部271Pは残存することになる。
また、他方の基板ケースBから溶着板部271が破壊されていないカバー部材202を取得する場合、同じように溶着板部261、271の側面からベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの接合面間にカッター等を差し込んで剥離することが好ましいが、封止状態において、溶着板部261、271の右側面は規制部208aにより覆われているとともに、前後側面はカバー部材202のガイド枠272により覆われているため、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの接合面間にカッター等を差し込むことが極めて困難とされている。
また、仮にベース部材201の規制部208aを切断してベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの接合面間の右側方からカッターを差し込んだとしても、左右方向に延びる前後一対の凸条263、263がガイド溝273内に遊嵌されているから、これら前後一対の凸条263、263及びガイド溝273の前後幅以上の幅を有する大きなカッターを差し込むことは困難であるため、切断作業に手間がかかることになる。
さらに、溶着板部271にガイド溝273が凹設されていることにより溶着板部271が脆弱化するため、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの接合面間にカッター等を差し込む等、無理な力がかかると破壊され痕跡が残りやすくなるため、不正行為が行われたことを発見しやすくなる。
従って、図31(c)中1点鎖線で示すように、溶着板部261を後面側から例えば図示しないルーター等の切削機により除去することが考えられる。この場合は、溶着板部261における溶着部全域をルーターにより切削することができる。
そして、図31(d)に示すように、溶着板部261、271の一方を除去することにより得られた基板ケースAのベース部材201と基板ケースBのカバー部材202とに、不正な遊技制御基板40を収容して封止状態を形成する場合、基板ケースAの溶着板部261に残存溶着板部271Pが残存しているため、基板ケースBのカバー部材202の溶着板部261の一部を予め切断しなければならない。これにより、溶着板部261の先端と残存溶着板部271Pとの間に切断部Cが残るため、不正に封止状態が形成されたことを目視により確認することができる。また、特に溶着板部261は透明な合成樹脂材にて形成されているため、切断部Cが被覆部208bの先端辺部と重なるように配置されていても、溶着板部261を透して切断部Cを確認することができる。
このように、中古の遊技機から2つの基板ケースA、Bを取得し、これら2つの基板ケースA、Bのうち一方から溶着板部261が破壊されていないベース部材201を取得するとともに、他方から溶着板部271が破壊されていないカバー部材202を取得し、これらベース部材201とカバー部材202とにより不正な遊技制御基板40を収容した後、溶着板部261、271を溶着して新たに封止状態を形成しようとしても、その痕跡が何らかの形態で残るため、不正行為が行われた可能性があることを確実に発見することができる。
また、本実施例では、ベース側溶着面261aに枠状の外側溶着突条274及び内側溶着突条275が形成され、これらが溶解することで溶着部が形成されるようになっていることで、溶着の際に融解して押し潰されることにより形成される溶着部も略枠状のままとなり、しかも溶着板部261、271が透明な合成樹脂材にて構成されていることで、これら略枠状の溶着部を外部から視認することができる。これに対し図31で示したような不正行為により封止状態を構成する場合、切削により外側溶着突条274及び内側溶着突条275は除去されてしまっており、互いに平坦面状をなすベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとを超音波溶着することになるので、硬化後の溶着部の形状が略枠状に形成される正規な溶着部と異なるため、硬化後の溶着部の形状の違いによって不正行為が行われた可能性があることを確認することが可能となる。また、平坦面同士の溶着になることで、均一な溶融状態をもたらすことができず、また安定した溶着強度を得ることができない。
(封印構造)
次に、封印部及び封印シールの詳細な構造について説明する。図32は、封印シールの構成を示す断面図である。図33は、(a)は封印シールの構成を示す正面図、(b)は封印シールの構成を示す背面図である。図34は、(a)は封印シールの構成を示す背面図であり、(b)は(a)の要部拡大図である。図35は、(a)は封印シール周辺を拡大して示す正面図、(b)は封印シール周辺を拡大して示す側面図、(c)は封印シール周辺を拡大して示す背面図である。図36は、図35(a)のR−R断面図である。図37は、図36のT−T断面図である。
図32〜図34に示すように、封印シール400は、略矩形状のベースシート401を備えており、ベースシート401の背面には粘着剤が塗布され粘着層402が形成されている。粘着層402には不正監視用の電子タグとしてのICタグ403が埋め込まれている。なお、粘着層402の背面側に剥離シート404が示してある。この剥離シート404は封印シール400を基板ケース200に貼り付ける際に剥離される。
ベースシート401は、ポリエステル系フィルムなどの可撓性樹脂フィルムにより形成され、適度な脆性を有し、さらに溶剤や熱に対して反応性を有する。具体的には、粘着層402を構成する粘着剤に対して溶解性を備えたトルエンなどがベースシート401に塗布されると、ベースシート401は変色する。また、粘着層の粘着力が低下する温度(例えば、50℃)以上の熱が加えられた場合にもベースシート401は変色する。これにより、基板ケース200の封印部224、229から封印シール400を不正に剥がそうとして溶剤がかけられたり、熱が加えられたりした場合、ベースシート401が変色することで当該不正行為の痕跡を残すことができる。
ベースシート401の表面には、図33(a)に示すように、インク塗布部401a、識別番号部401b及び機種情報部401cが設けられている。インク塗布部401aには、紫外線などといった特定の波長の光が照射されることにより模様が表れる特殊インクが塗布されている。識別番号部401bには、複数の数字が記載されており、当該識別番号部401bに記載される数字はスロットマシン1毎に異なっている。機種情報部401cには、当該遊技機の機種名や当該遊技機の製造メーカー名などが記載されている。なお、後述するように、インク塗布部401a及び識別番号部401bが設けられた上部領域R1はカバー側封印部224の前貼付面224aに位置し、機種情報部401cが設けられた中間領域R2は右上貼付面224b及び右下貼付面229bに位置し、下部領域R3はベース側封印部229の後貼付面229aに位置する。
粘着層402の粘着剤は、従来の封印シールと同様に、一旦貼り付けされた後に剥がされるとベースシート401から剥がれる程度の粘着力を有している。したがって、封印シール400が剥がされた場合には再度貼り付けすることが不可能なものであり、さらには粘着層の一部がベース側封印部229及びカバー側封印部224側に残ることとなる。よって、封印シール400を不正に剥がした痕跡を残すことができる。
ICタグ403は、ICチップ405及びアンテナ部406より構成されており、長尺状のアンテナ部406の中央付近にICチップ405が配置されている。ICチップ405は集積回路として形成されるものであり、制御部及びメモリ領域(記憶部)を有する。メモリ領域は、データ書き換え不可な不揮発性メモリ(ROM)により構成されており、その記憶容量は例えば128bitとなっている。メモリ領域には、識別情報としてのID情報が格納されている。具体的には、製造メーカー名(又は複数のメーカーごとに付されたメーカー固有番号)、遊技機固有のID番号が格納されている。ICチップ405のメモリ領域はデータ書き換え不可であるため、ID情報が不正に改ざんされる等の不都合が抑制できるようになっている。
アンテナ部406は、アルミ等の金属薄層で形成されており、その厚みはICチップ405の厚みよりも薄い。また、アンテナ部406は、共振周波数が2.45GHz等の一定周波数となるようにアンテナパターンとして作製されている。
ICチップ405のID情報は、制御部によって呼び出されてアンテナ部406から発信することができるように構成されており、アンテナ部406から発信されたID情報を、リーダ装置で受信して読み取ることができるようになっている。詳細には、リーダ装置からは前記周波数の電波で呼び出しが行われるようになっており、この電波により誘導電磁界が形成される。そして、誘導電磁界内にアンテナ部406が含まれると、アンテナ部406に電磁誘導で起電力が発生する。ICチップ405ではこの起電力を電源として、メモリ領域に格納されているID情報を制御部で呼び出してアンテナ部406から発信する。
ICタグ403(アンテナ部406)は、図33(b)に示すように、ベースシート401においてその一隅部側からその対角方向の隅部側に亘って斜めに配置されている。この場合、長尺状のアンテナ部406はその長手方向がベースシート401のすべての辺方向と交差することとなる。そして、封印シール400がベース側封印部229及びカバー側封印部224に跨って貼り付けられているのに伴って、アンテナ部406もベース側封印部229及びカバー側封印部224に跨っている。また、ICタグ403は、矩形状のベースシート401の中心に対して点対称となるように配置されている。
封印シール400には、アンテナ部406の長手方向に沿って等間隔で並ぶ多数のアンテナ用切り込み407が形成されている。アンテナ用切り込み407は、アンテナ部406の長手方向に対して略直交する方向に延びる直線状であり、ベースシート401の表面側から粘着層402の背面側まで貫通している(なお、図33(a)ではアンテナ用切り込み407を省略して示してある)。
アンテナ用切り込み407が延びる方向は、アンテナ部406の長手方向に対して略直交する方向であるため、ベースシート401のすべての辺方向と交差している。また、アンテナ用切り込み407は、アンテナ部406に若干掛かる構成となっている。この場合に、アンテナ部406はアンテナ用切り込み407により分断されていないため、ID情報の出力に関して弊害は生じない。また、アンテナ用切り込み407がアンテナ部406を挟んで直線状に並ばないように、アンテナ部406の一側に位置するアンテナ用切り込み407と他側に位置するアンテナ用切り込み407とは、アンテナ部406の長手方向にずらして形成されている。
封印シール400の4隅には、ベースシート401の表面側から粘着層402の背面側まで貫通する隅側切り込み408がそれぞれ形成されている。隅側切り込み408は、封印シール400の隅角に沿うようにしてL字状に形成されている。また、封印シール400の外縁には、図33に示すように、外側端部から内側に向けて多数の外縁切り込み409が形成されている。これら外縁切り込み409は、内側から外側に向けて開くようにして鋭角のV字状となっており、さらに封印シール400の外周に沿って等間隔で形成されている。
また、封印シール400の4隅は斜めに切り欠かれることにより切欠辺410がそれぞれ形成されている。これら各切欠辺410は、後述する位置決め面412a、422aに合致させることで、封印シール400の貼付位置及び貼付方向が決定されるようになっている。このように互いに隣り合う一対の切欠辺410、410が互いに異なる方向を向くため、該一対の切欠辺410、410をそれぞれに対応する位置決め面412a、422aに合わせて配置するだけで、封印シール400の貼付位置及び貼付方向を確実に決定できるばかりか、封印シール400の角部外側に位置決め面412a、422aが配置されることで、封印シール400を角部から捲り上げて剥離することが困難になるため、封印シール400を容易に剥離できないようになっている。
封印シール400をベース側封印部229及びカバー側封印部224から剥がそうとする場合、封印シール400をその隅角から剥がす場合と、封印シール400の一辺に沿う方向に剥がす場合とが想定される。前者の場合、剥がす力に伴う応力が隅側切り込み408や外縁切り込み409に集中するため、封印シール400の破断が生じ易い。一方、後者の場合、この剥がす方向はアンテナ部406の延びる方向に対して交差する方向である。したがって、剥がす力に伴う応力がアンテナ用切り込み407の端部に集中することで、アンテナ用切り込み407を介してベースシート401が破断され、アンテナ部406が分断される。アンテナ部406が分断された場合において、特にその分断箇所が後述する発信不可能部(領域R4)である場合にはID情報が出力されなくなるので、ID情報をリーダ装置で読み取ることができなくなる。尚、発信不可能部(領域R4)以外の箇所で分断された場合にもID情報が出力されなくなる、あるいは出力されにくくなることがある。よって、遊技制御基板40に対して不正行為が行われた場合には、それを容易に発見することができる。
次に、ベース側封印部229は、図36及び図37に示すように、短辺201dから右方に向けて突出するように形成される略長方形状の後貼付面229a及び該後貼付面229aの右端から後面側に向けて屈曲形成される右下貼付面229bとから構成されるベース側貼付面を有している。後貼付面229a及び右下貼付面229bの上下には、後貼付面229a及び右下貼付面229bから外向きに突出する上下一対の位置決め凸条411、411が各上下辺に沿って延設されている。位置決め凸条411、411は、後述するように後貼付面229a及び右下貼付面229bに封印シール400が貼付された状態において、該封印シール400の表面400aよりも外方に向けて突出する所定高さを有しており、後貼付面229a及び右下貼付面229bから垂設される内面は封印シール400の位置決め面411aとされている。
また、位置決め凸条411、411における短辺201d側の端部には、互いに内向きに突出する三角形状の位置決め角部412、412がそれぞれ形成され、これら位置決め角部412、412の内面は、封印シール400の角部の切欠辺410に対向する位置決め面412aとされている。
位置決め凸条411、411及び位置決め角部412、412の端面は、後述するシール保護カバー228の内面に当接する当接規制面413とされており、当接規制面413における位置決め角部412、412の近傍には、シール保護カバー228に形成された係合凹部228aに係合する係合凸部414、414がそれぞれ形成されている。
また、ベース側封印部229の前面側における略中央位置には、後述する閉鎖ネジ226が取り付けられるネジ孔209が形成されている。このベース側封印部229の前面側には、ベース部材201にカバー部材202が組み付けられて閉鎖状態となった場合にカバー側封印部224の後面側が対向配置されることで、ネジ孔209は取付穴227と合致するようになっている。
カバー側封印部224は、図36及び図37に示すように、側壁202dから右方に向けて突出するように形成される略長方形状の前貼付面224a及び該前貼付面224aの右端から前面側に向けて屈曲形成される右上貼付面224bとから構成されるカバー側貼付面を有している。前貼付面224a及び右上貼付面224bの上下には、前貼付面224a及び右上貼付面224bから外向きに突出する上下一対の位置決め凸条421、421が各上下辺に沿って延設されている。位置決め凸条421、421は、後述するように前貼付面224a及び右上貼付面224bに封印シール400が貼付された状態において、該封印シール400の表面400aよりも外方に向けて突出する所定高さを有しており、前貼付面224a及び右上貼付面224bから垂設される内面は封印シール400の位置決め面421aとされている。
また、位置決め凸条421、421における側壁202d側の端部には、互いに内向きに突出する三角形状の位置決め角部412、412がそれぞれ形成され、これら位置決め角部422、422の内面は、封印シール400の角部の切欠辺410に対向する位置決め面422aとされている。
位置決め凸条421、421及び位置決め角部422、422の端面は、後述するシール保護カバー228の内面に当接する当接規制面423とされており、当接規制面423における位置決め角部422、422の近傍には、シール保護カバー228に形成された係合凹部228aに係合する係合凸部414、414がそれぞれ突設されている。
また、カバー側封印部224の略中央位置には、前述した閉鎖ネジ226が取り付けられる取付穴227が底面に形成されるとともに、閉鎖ネジ226の頭部を収容可能な有底円筒状の凹部227a(開口部)が形成されている。この凹部227aの一端側の開口227b(図36参照)は、前貼付面224aの略中央位置に臨むように開口形成されており、該開口227bから閉鎖ネジ226の取付穴227及びネジ孔209への取り付け、取り外しを行うことができるようになっている。
このように構成されたベース側封印部229及びカバー側封印部224に封印シール400を貼付するには、封印シール400の上部領域R1または下部領域R3の角部に形成された一対の切欠辺410、410を、一対の位置決め面412a、412aまたは位置決め面422a、422aに沿うように合致させて配置する。尚、ICタグ403は、前述したように矩形状のベースシート401の中心に対して点対称となるように配置されているため、封印シール400の長手方向の端部を反転させてもアンテナ部406は同様に配置される。
このように切欠辺410を位置決め面412aに合致させて配置することで、切欠辺410と位置決め面412aとが線接触するため、封印シール400の貼付位置を確実に決定できるばかりか、封印シール400の角部外側に位置決め面412a、412aが立設されていることで、封印シール400を角部から捲り上げて剥離することが困難になるため、封印シール400を剥離して不正に開封することを防止できる。また、これら隣り合う一対の位置決め面412a、412aまたは位置決め面422a、422aは、互いに「ハ」の字形、つまり非平行に配置されているため、一対の切欠辺410、410を一対の位置決め面412a、412aまたは位置決め面422a、422aに合わせて配置するだけで、封印シール400の貼付位置及び貼付方向(向き)を容易に決定することができる。
また、封印シール400の長辺部の長さ寸法は、ベース側貼付面及びカバー側貼付面双方の長辺部の長さ寸法の合計値とほぼ一致するため、4つの切欠辺410のうち上部領域R1または下部領域R3の切欠辺410、410の貼付位置を決定してしまえば、4つの切欠辺410全てが位置決め面412a、422aに合致することになる。
このように、封印シール400は略長方形状をなし、ベース側貼付面及びカバー側シール貼付面とにおける一対の長辺部間の幅寸法及び一対の短辺部間の幅寸法が合致しているとともに、アンテナ部406を封印シール400の中心位置に対して点対象に配置していることで、封印シール400をベース側貼付面とカバー側貼着面とに貼付する際に、幅寸法が合致する辺部を合わせれば、封印シール400の向きが上下または左右反転してもアンテナ部406が閉鎖ネジ226を被覆する位置に配置されることがない。
尚、本実施例では、ベース側貼付面及びカバー側シール貼付面とにおける一対の長辺部間の幅寸法及び一対の短辺部間の幅寸法が合致しているが、ベース側貼付面及びカバー側シール貼付面とにおける一対の長辺部間の幅寸法または一対の短辺部間の幅寸法のうちいずれかが合致していれば、上記したような効果を得ることができる。
さらに本実施例では、位置決め面412a、422aが封印シール400の角部に配置されるだけでなく、封印シール400の長辺部に沿って位置決め面411a、421aが配置されているとともに、短辺部に沿ってベース部材201及びカバー部材202の側壁が位置決め面として機能するため、封印シール400の貼付位置を正確に決定できるようになっている。また、これら位置決め面412a、422a、411a、421a及び側壁は、ベース側貼付面及びカバー側貼付面から垂設されており、かつ、封印シール400の表面400aよりも外側に突出する長さを有していることから、ベース側貼付面及びカバー側貼付面と封印シール400との対向面間にカッター等を差し込むことが困難とされているため、封印シール400を一度貼付した後は、封印シール400を破損しないように剥離することは極めて困難となる。
次に、封印シール400のアンテナ部406と各封印部224、229を締結する閉鎖ネジ226との位置関係について説明する。
アンテナ部406の両端部406a、406bは、図35等に示すように、前貼付面224a及び後貼付面229aにおいて、閉鎖ネジ226の軸心上、特には取付穴227における開口227bを跨がないようにして配置されている。このようにアンテナ部406の両端部406a、406bは、閉鎖ネジ226の軸線方向の端部と対峙しないように配置されている。言い換えると、取付穴227における開口227bは、封印シール400におけるアンテナ部406が配置されていないアンテナ非配置領域にて被覆されている。
さらに、閉鎖ネジ226の頭部の頂上の位置は、封印シール400に対して凹部277a内に入り込んだ位置となっているとともに、閉鎖ネジ226の頭部と反対側の先端部の位置も封印シール400に対して内側に入り込んでいる。よって、アンテナ部406と閉鎖ネジ226とは図36に示すように離間されている。また、アンテナ部406と閉鎖ネジ226との間には両者を介在する介在部材が設けられていない。つまり、アンテナ部406と閉鎖ネジ226との間には空間が設けられ、これにより、アンテナ部406が閉鎖ネジ226に接触することが防止されている。
例えば、アンテナ部406が閉鎖ネジ226に接触するまたは近接すると、設定された共振周波数(本実施の形態では、2.45GHz)が変化してしまい、ICチップ405に記憶されたID情報がリーダ装置によって読み取れなくなる虞があるが、本実施例のように、閉鎖ネジ226が取り付けられる取付穴227における開口227bを、封印シール400におけるアンテナ部406が配置されていないアンテナ非配置領域にて被覆することで、閉鎖ネジ226を取り外すと封印シール400が破損してその痕跡が残るだけでなく、ICチップ405に記憶されたID情報がリーダ装置によって読み取れなくなるといった不都合の発生を防止することができる。
また、各貼付面229a、224aの周囲には位置決め面411a、412a、421a、422aが形成されて、封印シール400の周縁がこれら位置決め面411a、412a、421a、422aに近接して貼付されているため、封印シール400の貼り付け作業に際しては、封印シール400が位置決め面411a、412a、421a、422aによって囲まれた領域内からはみ出ないように貼り付けることで、アンテナ部406の両端部406a、406bが開口227bを跨がない非アンテナ配置領域に配置され、閉鎖ネジ226と対峙しないように極力離間した離間位置に配置される。
そしてこのように金属製の閉鎖ネジ226から極力離れた位置にアンテナ部406が配置されることで、ICチップ405に記憶されたID情報がリーダ装置によって読み取れなくなるといった不都合の発生が防止される。
また、このICタグ403は、封印シール400を各貼付面229a、224aに貼着した状態において、ベース部材201とカバー部材202との分離部Z(図35(b)参照)を跨るように貼付され、特に帯状のアンテナ部406の長手方向の中央位置に配置されたICチップ405がベース部材201とカバー部材202との分離部Z(境界位置)に跨るように配置されることで、ベース部材201に対してカバー部材202を不正に開放したときにICタグ403が破壊されやすくなっているため、封印シール400からICタグ403を取り出し、不正に製造された封印シールに貼付して不正に封印する際に使用されることが防止される。
尚、本実施例では、アンテナ部406は、図34に示すように、破損が生じても電波を発信可能な発信可能部及び破損が生じると電波を発信不可となる発信不可能部と、を有している。詳しくは、アンテナ部406の長手方向略中央位置に配置されるICチップ405の配置位置の側端部からは帯状の溝部406cが略L字形に切り欠き形成されており、該溝部406cの屈曲部にICチップ405が配置されている。そしてこのICチップ405は、該溝部406cを挟んでその両側に設けられた接続部405a、405bにてアンテナ部406と接続されているため、例えば溝部406cにおけるアンテナ部406の長手方向に延設されている領域R4の所定箇所にてアンテナ部406が切断(破損)されて接続部405a、405bが分離されてしまうと、電波を発信不可となる。つまりこのアンテナ部406における領域R4は発信不可能部を構成している。
よって、封印シール400を貼着した状態において、特にこの発信不可能部(領域R4)をベース部材201とカバー部材202との分離部Zとの境界位置に配置することで、カバー部材202を開封することでアンテナ部406が確実に破損されてID情報をリーダ装置等により読み取ることができなくなるため、カバー部材が開封された可能性があることを容易に発見することができる。尚、アンテナ部406における発信不可能部(領域R4)以外の発信可能部においても、破損の程度等により電波を発信できなくなることがある。
尚、本実施例では、アンテナ部406に溝部406cを形成することによりアンテナ部406が切断されやすくなるようにしているが、このような溝部406cを形成しなくても、アンテナ自体を上記溝部406cの配置位置を避けるように配置するだけでも同様の効果を得ることができる。
そして、このように各封印部224、229に貼付された封印シール400は、該封印シール400の表面400aを被覆するシール保護カバー228により被覆され、封印シール400やICタグ403に何らかの外力が加わってこれらが損傷することが防止される。
シール保護カバー228は、図8及び図35〜図37に示すようにコ字形に形成され、基板ケース200の側面から外方に向けて突出する板状の封印部224、229を前後から挟み込むように装着される。シール保護カバー228の前後幅寸法は、前後一対の位置決め凸条411、411、421、421の離間幅寸法よりも幅広に形成されており、封印部224、229に装着した際において、シール保護カバー228の内面における前後側の端縁部が、位置決め凸条411、411、421、421の当接規制面413、423にそれぞれ当接するようになっている。
このようにシール保護カバー228の内面における前後側の端縁部が当接規制面413、423にそれぞれ当接することで、封印シール400の表面400aとシール保護カバー228の内面との対向面が互いに離間配置されて非接触状態に維持される。つまり、封印シール400の表面400aとシール保護カバー228の内面との対向面間に所定の隙間SPが設けられるため、シール保護カバー228を当接規制面413、423に当接した状態で左右にスライドさせて封印部224、229に対して着脱する際においても、封印シール400やICタグ403に接触することがないとともに、装着した状態において、シール保護カバー228に何らかの外力が付与されても、封印シール400やICタグ403に直接伝わることがないので、封印シール400やICダグ403の破損が防止される。
また、シール保護カバー228を封印部224、229に嵌め込むことで、シール保護カバー228の内面に形成された係合凹部228aに係合凸部414、414が係合することで、一度装着した後は係合を解除しない限り取り外すことができない。このようにカバー部材202を不正に開放する際に時間がかかるようにすることで、不正行為を行うことを極力困難としている。
このように封印シール400の外面がシール保護カバー228により被覆されることにより、封印状態において封印シール400の表面400aがシール保護カバー228により保護され、封印シール400やICタグ403に直接触れることができなくなるため、封印シール400やICタグ403に対する不正行為を極力防止できるとともに、基板ケース200の筐体1aへの取り付け、取り外し作業時や使用時等において、ICタグ403に何らかの外力が加わって破損が生じることを回避することができる。
さらに、封印シール400の周縁に突設された位置決め凸条411、411、421、421の当接規制面413、423によりシール保護カバー228が当接支持されることで、封印シール400とシール保護カバー228との対向面を非接触状態に維持することができ、シール保護カバー228に加わった外力が封印シール400やICタグ403に直接伝わることがないので、封印シール400やICダグ403に破損が生じることを防止できる。
また、本実施例1では、ベース部材201にカバー部材202を組み付ける組付手段としての溶着部と、ベース側封印部229及びカバー側封印部224とは、基板ケース200の左側辺側、つまり後述する可動ベース302の回動軸333側に配置される左側辺と対向する右側辺(対向側辺)に並設されている。
また、カバー部材202は、位置合わせされた状態からベース部材201に対して係止解除方向にスライド移動させなければベース部材201から離脱させることができない構造とされている。すなわち、ベース部材201に対するカバー部材202の離脱方向に対して略直交する方向に向けてスライド移動案内するスライド移動案内手段を備え、このスライド移動案内手段によりスライド移動案内されている状態で係止されるようになっていることで、カバー側溶着部223とベース側溶着部207とを互いに反対側に向けて引き離そうとする際に係止作用が働くため、カバー側溶着部223とベース側溶着部207とを剥離させることが極めて困難となる。
また、従来のように基板ケース200と同種の2つの基板ケースを入手したとしても、いずれもカバー部材202を開放する際に、ベース部材201及びカバー部材202双方に傷が残り、傷のないベース部材201とカバー部材202とを得ることができないので、新規な基板ケース200を不正に構成することが極めて困難となる。
このように、カバー側溶着部223とベース側溶着部207とが互いに溶着(固着)されることで、ベース部材201に対するカバー部材202のスライド移動が規制されることになる。すなわち、ベース部材201の一方の短辺に形成された係止片203、203がカバー部材202の挿通穴222、222に係止された状態で、他方の短辺のカバー側溶着部223とベース側溶着部207とが固着されることで、ベース部材201の上面がカバー部材202により閉鎖される封止状態が構成される。この封止状態は、カバー部材202のカバー側溶着部223及びベース部材201のベース側溶着部207の溶着部双方を切断(破壊)しない限り解除することができなくなるので、カバー部材202が開放された場合にはその痕跡、つまり基板ケース200の一部が破壊された痕跡が確実に残り、これにより、基板ケース200内に収納された遊技制御基板40に対して何らかの不正行為が行われた可能性があることを発見することが可能となる。
尚、本実施例では、ベース部材201とカバー部材202とが閉鎖位置に位置合わせされたときに、カバー側溶着部223とベース側溶着部207とが当接するようになっていたが、互いに溶着可能に配置されていれば、カバー側溶着部223とベース側溶着部207とが互いに離間して配置されても良い。この場合、例えばホーンHの先端に形成したボス(図示略)を下方のベース側溶着部207を溶解させながら上方のカバー側溶着部223まで押し込むスポット溶着等が適用可能である。
(コネクタカバー)
次に、コネクタ規制部材650の詳細な構造について、図38〜図44に基づいて説明する。図38は、(a)〜(c)はコネクタ規制部材を示す斜視図である。図39は、(a)はコネクタ規制部材を示す正面図、(b)は底面図、(c)は背面図、(d)は右側面図である。図40は、(a)は図39(a)のC−C断面図、(b)はD−D断面図、(c)はE−E断面図である。図41は、コネクタ規制部材が取り付けられた基板ケースを示す斜視図である。図42は、図41のH−H断面図である。図43は、(a)は図41のF−F断面図、(b)はG−G断面図である。図44は、コネクタ規制部材の取り付け状況を示す断面図である。尚、以下の説明においては、図2に示すように筐体1aの背板1cに配置された基板ケース200に取り付けられたコネクタ規制部材を筐体1aの正面から見た場合を基準として、該コネクタ規制部材の上下、左右、前後方向を示すものとする。
図38〜図40に示すように、コネクタ規制部材650は、例えば透明なポリカーボネート樹脂材等の合成樹脂材にて構成され、カバー部材202に形成された係合筒237に取り付けられる被取付部651と、正面視略横長長方形状をなすとともに、被取付部651の右側に背面が開口する箱状に形成された被覆部652と、被取付部651の左側に正面視二股状に形成された支持部653と、から構成される。
被取付部651は、右壁654a、左壁654b、下壁654c、上壁654dにより正面視四角枠状に形成され、上壁654dを除く右壁654a、左壁654b、下壁654cの内面からそれぞれ連設される連結片655を介して、カバー部材202に形成された係合筒237内に嵌合可能な外径を有する被係合筒656が前後方向を向く姿勢で連結保持されている。また、被係合筒656は、各壁654a〜654dに囲まれた空間内において上壁654d寄りに偏った位置に配設されている。
被係合筒656の上面及び底面側の後部には、係合穴657がそれぞれ形成されており、係合筒237内に被係合筒656が嵌合されたときに、該係合筒237内に設けられた弾性爪237aが係合穴657に係合することで、係合筒237に対する被係合筒656の逸脱方向への移動が規制される。
左壁654bを除く右壁654a、下壁654c、上壁654dには、それぞれ後辺には切欠部658a〜658cが形成されており、被覆したケーブル側コネクタ610b、610dから延出されたケーブル600b、600dを、切欠部658a〜658cを通して外部に挿通できるようになっている。
下壁654c及び上壁654dの一端側は、左壁654bよりも左側に向けて互いに平行に延設され平面視略三角形状をなす突出部659、659を構成しており、これら突出部659、659の間に、基板側コネクタ620e及びケーブル側コネクタ610eが配置される凹部660が形成されている。
被覆部652は、正面視横長長方形状をなし、下壁654c及び上壁654dと前壁661とにより背面側が開口する箱状に形成され、被取付部651から右側に向けて延設されている。前壁661は、被取付部651から右方向(他方側)に向けて背面側に傾斜する第1湾曲部662と、上壁654dの前辺から下方向に向けて拡がるように背面側に傾斜する第2湾曲部663と、から構成されている。
より詳しくは、第1湾曲部662は、被取付部651の前部から右方向に向けて水平に延設される幅狭な水平面662aと、水平面662aの右端から右後方に向けて漸次幅広となる湾曲面662bと、湾曲面662bの右端から右後方に向けて延設される平坦面662cと、から構成される。そしてこれら水平面662aと湾曲面662b及び湾曲面662bと平坦面662cとの連接部は、一方が湾曲面662bであることにより屈曲部は存在しない。つまり、被取付部651から右側に離れる方向に向けて形成される第1湾曲部662は、湾曲面を一部に有する屈曲部のない連続面にて構成されている。これに対し第2湾曲部663は、上部から下部にかけて湾曲する湾曲面のみで形成されている。
このように前壁661は、被取付部651から右方向に延設された第1湾曲部662の左側上部から角部を抉り取るように第2湾曲部663が形成されている。よって、第1湾曲部662と第2湾曲部663との境界C1及び下壁654cと第2湾曲部663との境界C2に、角度約90度以下の屈曲部(角部)が形成されないようにしているとともに、下壁654cの前後幅が短いため、境界C1、C2に形成される屈曲部に手指が掛かり難くされている。尚、第1湾曲部662と上壁654dとの境界C3は角度約90度の屈曲部(角部)が形成されている。
図38(c)、図39(b)(c)及び図40に示すように、コネクタ規制部材650の後端面665(図中網点で示される領域)は、被取付部651の左側に被係合筒656の軸心Pに対し直交する方向を向く第1後端面665aと、被取付部651の右側に該第1後端面665aに対し傾斜する第2後端面665bと、から構成されている。
第2後端面665bは、下壁654c、上壁654b、前壁661と同じ板厚幅寸法を有し、互いに平行をなす下壁654c及び上壁654bの後端面と前壁661の後端面とにより背面視略コ字形に形成され、軸心Pに対し直交する方向を向く水平面Hに対し、被取付部651側である左側部から右側辺(他方側)に向けて背面側に所定角度θ(例えば、θ=約2〜4度)傾斜する平坦面にて構成されている(図40(a)参照)。
すなわち、当接面である第2後端面665bは、取付手段である係合筒237、弾性爪237aと被係合筒656、係合穴657によりカバー部材202にコネクタ規制部材650を取り付ける際の取付姿勢{カバー部材202にコネクタ規制部材650が取り付けられていない状態であるが、取り付けられたときに被覆状態が形成される姿勢、第2後端面665bを凹溝底面202g側に向けた姿勢(例えば、図44(a)参照)}において、被取付部651側(一方側)から被取付部651がない右辺部R側(他方側)に向けて被当接面である凹溝底面202g側に傾斜するように形成されている。
次に、このように構成されたコネクタ規制部材650によるコネクタの抜脱規制について、図41〜図44に基づいて説明する。
図41〜図43に示すように、コネクタ規制部材650は、遊技制御基板40が収容された状態で封止された基板ケース200におけるカバー部材202に取り付け可能に形成されている。詳しくは、カバー部材202における凹溝部202eの凹部底面202gに形成された各コネクタ用開口236a〜236eのうち、コネクタ用開口236c、236dから前方に突出した基板側コネクタ620b、620d及びこれら基板側コネクタ620b、620dに接続されたケーブル側コネクタ610b、610dを被覆部652により前面側から被覆するように、凹溝部202eの長手方向に沿って左右方向に向けた状態で取り付けられる。
尚、取り付けに際して、ケーブル側コネクタ610b、610dのケーブル600b、600dは、被覆部652から切欠部658cを介して被取付部651に挿通した後、下壁654cに形成された切欠部658a(図41参照)から外部に延出することが好ましい。また、被取付部651において、被係合筒656は上壁654d側に偏って配置されていることで、下壁654cの切欠部658a側に広い配線スペースが確保されている。
コネクタ規制部材650をカバー部材202に取り付けるには、カバー部材202の凹部底面202gに突設された係合筒237に、被係合筒656が嵌合されるように、カバー部材202の前面側からコネクタ規制部材650を取り付ける(図44(a)参照)。係合筒237に被係合筒656が嵌合されると、該係合筒237内で弾性爪237aが係合穴657に係合され、これにより係合筒237に対する被係合筒656の逸脱方向への移動が規制される(図44(b)参照)。
また、被係合筒656の上面は閉鎖されているとともに、弾性爪237aの係合穴657への係合が係合筒237内で行われていることで、被係合筒656の係合状態を外部から解除することはできない。すなわち、例えば連結片655等をニッパ等の工具により切断して被取付部651を被覆部652及び支持部653から分離させる、あるいは、コネクタ規制部材650またはカバー部材202の所定箇所を破壊する等しない限り、カバー部材202からコネクタ規制部材650を取り外すことはできない。
よって、連結片655を切断した場合も、コネクタ規制部材650またはカバー部材202の所定箇所を破壊した場合もいずれも痕跡が残りうるため、不正者によりコネクタ規制部材650がカバー部材202から取り外された場合でも、その痕跡が残されていることで、不正に取り外された可能性があることを判別することができる。
つまり、係合筒237、弾性爪237aと被係合筒656、係合穴657とは、ベース部であるカバー部材202にコネクタ規制部材650を、痕跡を残すことなく解除することが不能な状態、すなわち、一度取り付けたらカバー部材202やコネクタ規制部材650等の取り付けに関連する取付関連部位を破壊しない限り取付状態を解除することができない状態で取り付ける取付手段を構成している。
そして、このようにコネクタ規制部材650が取り付けられた状態において、凹部底面202gに第2後端面665bが当接して被覆部652によるコネクタ用開口236c、236dの被覆状態が形成される(図44(b)参照)。
ここで、コネクタ規制部材650をカバー部材202に取り付ける際における第2後端面665bと凹溝底面202gとの当接状況について説明する。
まず、被係合筒656を係合筒237内に嵌合し、弾性爪237aが係合穴657に係合される直前において、第2後端面665bは、第1後端面655aに対し右辺部R側が背面側に傾斜するように配設されているため、凹溝底面202gに対し右辺部Rが先に当接する(図44(a)参照)。
次いで、被取付部651をカバー部材202側に向けてさらに押圧していくと、右辺部Rを支点として、第2後端面665bの被取付部651側が凹溝底面202gに近接していき、係合穴657に弾性爪237aが係合されたときに、第2後端面665bの全域が凹溝底面202gに当接する(図44(b)(c)参照)。
尚、右辺部Rを支点として被取付部651をカバー部材202側に押圧した場合、例えばコネクタ規制部材650の変形、具体的には、被係合筒656に対して比較的脆弱な連結片655を介して連結されている被覆部652が、該被係合筒656の軸心Pに対して直交する方向に傾いたり、被覆部652全体や第2後端面665bを形成する下壁654c、上壁654dが撓んだり捩れたりすること、あるいは、凹溝底面202gが押圧されて変形すること等により、それらの弾性復帰力により第2後端面665bと凹溝底面202gとの密接力が高まるようになる。
このように、第2後端面665bは、被取付部651から右辺部R側に離れる方向に向けて凹溝底面202g(後側)側に傾斜していることで、弾性爪237aが係合穴657に係合した状態において、第2後端面665bの被取付部651側よりも先に当接する右辺部R側の方が凹溝底面202gに対する圧接力が高くなる。よって、コネクタ用開口236c、236dを囲むように形成されたコ字形の第2後端面665bのうち、被取付部651から最も離れた位置にある右辺部Rを、凹溝底面202gから浮き上がらせにくくなる。
図44に示すように、係合筒237に被係合筒656が嵌合され弾性爪237aが係合穴657に係合された取付状態において、凹溝底面202gにおけるコネクタ用開口236c、236dの周囲に第2後端面665bが密接され、これにより、被覆部652により基板側コネクタ620b、620d及び該基板側コネクタ620b、620dに接続されたケーブル側コネクタ610b、610cが被覆される被覆状態が形成される。
この被覆状態において、前壁661がケーブル側コネクタ610b、610dに近接して配置されるため、基板側コネクタ620b、620dからケーブル側コネクタ610b、610dを手前側に抜脱しようとしても、前壁661により当接規制されて抜脱できなくなる。
また、特に図44(b)に示すように、凹溝底面202gにおけるコネクタ用開口236dの右隣近傍位置に形成されたコネクタ用開口236eから、基板側コネクタ620c(ケーブル側コネクタ610c)が凹溝底面202gに対し突出して設けられることで、第2後端面665bと凹溝底面202gとの間にマイナスドライバー等の不正器具等を右辺部R側から差し込む際に基板側コネクタ620cが邪魔になるため、不正行為を抑制することができる。このように基板側コネクタ620cやケーブル側コネクタ620cを利用することで、カバー部材202の成型が容易になる。
また、図44(c)に示すように、コネクタ規制部材650の下壁654cと第2湾曲部663との境界C2は、カバー部材202の側壁202bの前端と前後方向のほぼ同位置に配設される。また、第1湾曲部662と上壁654dとの境界C3は、カバー部材202の前面よりも後側に配置されている。具体的には、凹溝底面202gから被覆部652の前壁661までの前後幅寸法L1より、凹溝底面202gからカバー板202aまでの前後幅寸法L2の方が長寸とされていることで(L1<L2)、被覆部652を上側に手指を掛けることが困難となる。
よって、境界C2は側壁202bの前端よりも前方に大きく突出した位置に配置されることはないので、側壁202bが邪魔になり境界C2に手指をかけにくい。一方、境界C3は、側壁202bの前端よりも前方に大きく突出した位置に配置されているが、上側の傾斜壁202hよりも後位置であるため、傾斜壁202hが邪魔になって手指をかけにくい。よって、被覆部652を上下から手指で摘もうとしても側壁202bや傾斜壁202hが邪魔になるので、被覆部652の右辺部R側を摘んで手前側に引張ることが困難となる。
また、側壁202bに対して下壁654cがほぼ当接した状態で近接配置されているため、側壁202bと下壁654cとの間にマイナスドライバー等の不正器具を差し込みにくい。また、傾斜壁202hに対して上壁654dが隙間を隔てて配置されているものの、隙間は極めて小さく手指を差し込み難いとともに、傾斜壁202hの後部に対して上壁654dがほぼ当接した状態で近接配置されているため、傾斜壁202hと上壁654dとの間に手指やマイナスドライバー等の不正器具を差し込みにくい。
尚、本実施例では、第1湾曲部662と上壁654dとの境界C3には角度約90度の屈曲部が形成されているが、このような第1湾曲部662と上壁654dとを屈曲部がない連続面にて構成すれば、傾斜壁202hに対して上壁654dが隙間を隔てて配置されていても、手指を引っ掛けにくくすることができる。
よって、凹溝底面202gにおけるコネクタ用開口236c、236dの下縁近傍には側壁202bが立設され、コネクタ用開口236c、236dの上縁近傍には傾斜壁202hが立設されていることで、被覆部652の上下側から凹溝底面202gと第2後端面665bとの間にマイナスドライバー等を差し込む際に側壁202bや傾斜壁202hが邪魔になるので、被取付部651から離れる方向に対して直交する方向(上下方向)からの不正器具の差し込みを防止できる。
尚、本実施例では、マイナスドライバー等の右辺部Rからの差し込みを防止するために、基板側コネクタ620c及びケーブル側コネクタ610cが、コネクタ用開口236dの右隣に形成されたコネクタ用開口236eから前方に突出するように配設され、これを壁部として利用していたが、例えば、凹溝底面202eのコネクタ用開口236dの右縁部近傍に壁部(突起部)等を立設することで、マイナスドライバー等の右辺部Rからの差し込みを防止できる。
図44(b)に示すように、前壁661の前面、つまり、被取付部651から右側に向けて形成される第1湾曲部662aは、左右方向に向けて屈曲部のない連続面にて形成されている。つまり、被覆部652を前壁661、下壁654c、上壁654d、左壁、右壁とにより背面が開口する箱状に形成した場合、前壁661と右壁との間に右辺部Rに沿った屈曲部が形成されるが、上記の第1湾曲部662aのように前壁661と右壁とを連続面とすることにより、第1湾曲部662aの右辺部R側に手指をかけにくくなる。
また、被取付部651を挟んで反対側に支持部653が突出されていることで、右辺部R側に手指をかけて凹溝底面202gから浮き上がらせようとする際に、支点が被取付部651よりも左側になるので、取り付け状態を解除せずにコネクタ規制部材650の右辺部R側を浮き上がらせることが困難となる。
また、前壁661は、左右方向に向けて湾曲する第1湾曲部662だけでなく、上下方向に向けて湾曲する第2湾曲部663も有していることで、上壁654dや下壁654cに沿って屈曲角度が約90度以下の屈曲部が形成されないことで、横長のコネクタ規制部材650の上壁654d及び下壁654cの外側を指で挟みにくくなるため、右辺部R側を上下から挟んで手前側に引張ることによる浮き上がりが防止される。
尚、このように被覆部652の外面を構成する連続面は、少なくとも屈曲角度が90度以下の屈曲部が存在しない面であれば良い。すなわち、例えば屈曲角度が約90度以上の屈曲部であれば、90度以下の屈曲部に比べて手指を引っ掛けにくいため、90度以上の屈曲部を有していても良い。よってこの場合、互いに90度以上の屈曲角度で連接される複数の平坦面にて構成されていても良いが、好ましくは、90度以上の屈曲部が存在しない、曲率が小さい湾曲面等にて構成されている方が良い。例えば、被覆部652は縦断面略後向きU字形をなすドーム状に形成されていても良い。
次に、ケース支持装置300の構成について、図8及び図14〜図19に基づいて説明する。
(ケース支持装置)
ケース支持装置300は、図8に示すように、筐体1aの背板1c内面上部に取り付けられる固定ベース301と、固定ベース301の右側方に取り付けられる係止部材303と、固定ベース301に回動可能に支持される可動ベース302と、から主に構成される。可動ベース302は、前面側に基板ケース200が取り付けられるとともに、固定ベース301に対して上下方向を向く回動軸周りに回動可能に支持されている。
そして可動ベース302の前面側に基板ケース200を取り付けることにより、基板ケース200が、遊技制御基板40の裏面40b側が背板1cに対向配置されて視認不可となる第1の回動規制位置A(第1の位置)と、遊技制御基板40の裏面40b側が視認可能となる第2の回動規制位置B(第2の位置)と、の間で回動可能となるように、背板1c内面上部にて支持される(図24(a)参照)ため、基板ケース200を背板1cに取り付けた状態でも、基板ケース200に収容された遊技制御基板40の実装面40a及び裏面40bを、透明な基板ケース200及び可動ベース302を通して視認できるようになっている。
図14に示すように、可動ベース302は、透明な熱可塑性合成樹脂からなり、略長方形状の底板310aを有し、該底板310aの上下長辺には、前向きに立設された一対の側壁310b、310bがそれぞれ長手方向に延設され、左側短辺部の長手方向両側には短辺の側壁310c、310cが側壁310b、310bの端部から連設され、右側短辺部には短辺の側壁310dが長手方向に延設されている。
上方の側壁310bの右側端部には、底板310aの前面側に取り付けられる基板ケース200におけるカバー部材202の所定箇所を係止可能な弾性係止爪311が内向きに形成されており、基板ケース200を係止できるようになっている。
下方の側壁310bの左側端部には、遊技制御基板40の基板側コネクタ620e(図11参照)及び該基板側コネクタ620eに接続されるケーブル側コネクタ610e、ケーブル600eを保護する保護部材670を取り付けるための取付用スリット312が形成されている。取付用スリット312は、側壁310bの一部を膨出させることにより形成され、保護部材670の取付片670aを挿通可能とされている。また、取付用スリット312の外面には、取付片670aに形成された外向きの弾性係止爪670bが係止される係止穴312aが形成されており、挿通される取付片670aの逸脱を規制できるようになっている。
このように取付用スリット312に取付片670aを挿通して弾性係止爪670bが係止穴312aに係止されることで、取付片670aに対して屈曲形成されたガード片670c及びガード側片670dにより、基板側コネクタ620c及び該基板側コネクタ620cに接続されるケーブル側コネクタ610c、ケーブル600cの周囲が覆われて保護されるようになっている。
底板310aにおける右側の短辺部近傍には、基板ケース200の取付封止片230及び予備用取付封止片231に挿通されるワンウェイネジ240a、240bが取り付けられる取付穴316a、316bが形成された取付台座315が装着される台座装着穴317が形成されている。取付台座315は、底面板310aの裏面側から台座装着穴317内に嵌合により装着されるようになっている。装着時においては、図23(a)に示すように、取付穴316a、316bは底板310aの前面よりも前方に突出した状態で取付封止片230及び予備用取付封止片231の取付穴235、235に対向配置されるようになっている。
このように取付台座315は、可動ベース302に対して着脱可能に装着されていることで、後述するように例えば取付封止片230や予備用取付封止片231が基板ケース200から切断されて可動ベース302側に取り残された場合等において、取付台座315のみを新規なものに交換できるようになっている。
可動ベース302の右側の短辺部には、該可動ベース302の遊端部を背板1cの前面側に係止するための係止部材303の係止ピン303a、303aが挿通可能な挿通穴318、318が形成されているとともに、各挿通穴318、318の近傍には、係止ピン303a、303aの先端に係止可能な係止フック319、319が、前後方向を向く軸周りに回動可能に取り付けられている。
可動ベース302の左側の短辺部の長手方向両側からは、後述する固定ベース301に形成される回動軸333を受支する略U字形状をなす軸支溝320が形成された板状の軸支板321、321が、短辺部に対して直交する方向に外向きに突設されている。軸支溝320は、軸支板321、321の前端辺から後方に向けて延設され、前側の開放部から回動軸333を取り付け、取り外しできるようになっている。
可動ベース302の左側の短辺部の長手方向中央位置には、後述する固定ベース301を背板1cに取り付けるためのベース取付ネジ335を被覆する被覆部322が形成されている。この被覆部322は、底板310aの短辺部から前方に向けて垂直に立設される垂直片322bと、該垂直片322bの先端から外方に向けて屈曲される底板310aに対して平行な屈曲片322aと、これら屈曲片322a及び垂直片322bの側方を覆う側片322c、322cと、屈曲片322aの先端から外側に向けて傾斜する外片322dと、から形成されている(図19(b)参照)。また、屈曲片322aは、図19(b)に示すように、固定ベース301の回動軸333に軸支溝320を軸支した状態において、ベース取付ネジ335の直上を被覆可能な長さを有している。
上下の側片322cと軸支板321とは所定距離離間して配置されており、これら側片322cと軸支板321との間に、カバー部材202の板状片221を挿通可能な挿通部324、324が形成されている。挿通部324、324は、板状片221、221の上下幅寸法よりも若干長寸の上下幅寸法に形成されているため、後述するように可動ベース302の前面側に基板ケース200を取り付けた状態において、挿通部324、324に挿通された板状片221、221の上下側部が側片322cと軸支板321とによりガイドされるようになっている。また、垂直片322bは、カバー部材202の側壁202cと当接し、可動ベース302に対する基板ケース200の左右方向の位置を決定する。
挿通部324、324の先端部には、該挿通部324、324に挿通される板状片221、221の先端部前面側を係止する帯板状の係止板323、323が、軸支板321と側片322cとの間に架設されている。つまり、上下の軸支板321と側片322cとは、それぞれ係止板323、323により連結されている。また、係止板323、323は、軸支溝320、320よりも外側に配置されているため、軸支溝320、320に回動軸333、333を着脱する際に干渉することがない。
次に、固定ベース301は、図15及び図16に示すように、背板1cの内面に取り付けられる上下方向を向く帯板状の取付片330aと、取付片330aの上下端部からそれぞれ前方に向けて屈曲される上下一対の軸片330b、330bと、取付片330aの左側辺から前方に向けて屈曲される保護片330cと、から構成される板状の金属材からなる本体部と、軸片330b、330bそれぞれの対向面から、互いの軸心が同一線上に位置するようにそれぞれ内向きに突設される、上下方向を向く円柱状の回動軸333、333と、から構成されている。
これら上下一対の回動軸333、333は、互いの先端部間が所定距離離間するように、取付片330aの前方位置に該取付片330aに対して平行に配置される。また、取付片330aにおけるこれら回動軸333、333の先端部間には、この固定ベース301を背板1cに取り付けるためのベース取付ネジ335、335の取付穴331、331が上下に形成されているとともに、これら取付穴331、331の間には、後述するカバー部材336の裏面に形成された位置決め凸部336dが嵌合される位置決め穴332、332が形成されている。
尚、ベース取付ネジ335は、外周に雄ネジ部が形成されたネジ部335aと、該ネジ部335aの先端に形成され、表面にドライバーによる操作が可能なネジ溝335c(操作部)が形成された頭部335bと、からなり、ドライバーの先端をネジ溝335cに嵌合して正逆回転することで、取り付け、取り外しが可能な所謂一般的なネジである。
カバー部材336は、ベース取付ネジ335の頭部335bを収容可能な有底円筒状の収容部336a、336aと、これら一対の収容部336a、336aを連結する連結部336cと、から構成されている。各収容部336aの底面には、ベース取付ネジ335が取り付けられる取付穴336bが形成されているとともに、各収容部336aの周面には、該収容部336aの開口を閉鎖可能なカバーキャップ337に形成された弾性係止爪337a、337aが係止される係止部336d、336dが形成されている。
このように構成された固定ベース301は、図15に示すように、カバー部材336の取付穴336b、336bそれぞれに挿通した2つのベース取付ネジ335、335を、固定ベース301の取付穴331、331に取り付けた状態で、図16に示すように、背板1cに埋設されたナット338のネジ孔338aに螺入することで、背板1cの内面に取り付けて固定できるようになっている。
固定ベース301に取り付けられたベース取付ネジ335、335は、図16(a)(b)に示すように、それらの軸心P2、P2がそれぞれ回動軸333、333を結ぶ軸心P1と直交する位置であり、かつ、上下一対に設けられた回動軸333、333の先端部間に配置される。また、カバー部材336の長手幅寸法L2は、回動軸333、333の先端部の離間幅L1よりも小寸(L1>L2)であるため、固定ベース301を背板1cに取り付けるときに、ベース取付ネジ335やカバー部材336が回動軸333、333に干渉することがない。
すなわち、上下一対の回動軸333、333の軸心P1に沿うようにベース取付ネジ335、335が配置されることで、回動軸333、333により近い位置で固定ベース301が背板1cに取り付けられるので、回動軸333、333の支持強度を高めることができる一方、ベース取付ネジ335やカバー部材336は上下一対の回動軸333、333間に配置されることで、回動軸333、333に干渉することなく、容易に取り付け、取り外しを行うことができる。
また、固定ベース301を背板1cに取り付けたときに外部に露呈する露呈部位となるベース取付ネジ335の頭部335bがカバー部材336の収容部336aに収容され、さらにカバーキャップ337により収容部336aの開口が閉鎖されることで、特に図16(b)に示すように、ベース取付ネジ335は、背板1cに取り付けられた状態において外部に露呈する頭部335bの周囲が完全に被覆され、ドライバーをネジ溝335cや頭部335bと背板1cとの間に差し込むことが困難となる。尚、カバー部材336はベース取付ネジ335に装着され、ベース取付ネジ335を取り外さない限り取り外すことはできないため、別途取付ネジにて取り付ける必要がないばかりか、被覆状態が簡単に解除されることがない。また、保護片330cは、カバー部材336よりも前後幅寸法が長寸であるため、カバー部材336の外側方が確実に被覆される。
(固定ベースへの可動ベースの取り付け)
次に、固定ベース301に対する可動ベース302の取り付け方法を、図17〜図19に基づいて説明する。
まず、図17に示すように、固定ベース301を前述したようにベース取付ネジ335、335にて背板1cの内面上部左側に取り付けるとともに、係止部材303を、固定ベース301の右側方位置に取り付ける。固定ベース301を取り付けた状態において、回動軸333、333の軸心P1は上下方向を向く。
尚、係止部材303は、特に詳細な図示はしないが、ベース取付ネジ335と同種の取付ネジ339、339により両端部が背板1cに取り付けられる帯板状の取付片303bと、取付片303bの上下位置から前方に向けて立設される係止ピン303a、303aと、から構成されている。そして、後述するように固定ベース301に軸支した可動ベース302の挿通穴318、318に対応して係止ピン303a、303aが配置されるように背板1cに取り付けられる。
可動ベース302を固定ベース301に取り付ける場合、まず、図17に示すように、可動ベース302の左右端部を前後方向に向けて、背板1cに対して直交するように縦向き姿勢とする。これにより軸支溝320、320の開放部が回動軸333、333に対向するため、この姿勢のまま可動ベース302を固定ベース301に接近させ、軸支溝320、320を回動軸333、333に差し込んだ後、回動軸333、333を中心に可動ベース302の手前側を背板1cに向けて押し込む。
そして可動ベース302が、その後面が背板1cの内面に対向する横向き姿勢、つまり第1の回動規制位置Aに配置されると、係止部材303の係止ピン303a、303aが可動ベース302の挿通穴318、318に挿通され、該係止ピン303a、303aの先端が挿通穴318、318から前方に突出した係止ピン303a、303aの先端に、係止フック319、319を回転して係止する。これにより、可動ベース302の左側端部が回動軸333、333に軸支され、右側端部が係止ピン303a、303aに係止されることにより、可動ベース302の背板1cからの離脱及び回動軸333、333周りの回動が規制され、背板1cと略平行な第1の回動規制位置Aに仮止めされる。
図18及び図19には、固定ベース301に対して可動ベース302を回動可能に軸支する軸支部の詳細が示されている。このように固定ベース301の回動軸333、333に可動ベース302の軸支溝320、320を軸支して該可動ベース302を第1の回動規制位置Aに配置すると、軸支溝320、320は前後方向を向いて前方に開放するが、可動ベース302の後面に背板1cが近接していることにより、回動軸333、333に対する軸支溝320、320の後方移動が規制されるので、回動軸333、333から軸支溝320、320が離脱することはない。
逆に言えば、固定ベース301に対して可動ベース302を回動可能に軸支しただけでは、可動ベース302を上記縦向き姿勢となる着脱位置C(第1の回動規制位置Aから約63度以上回動させた位置。図24(a)参照)に配置することにより、固定ベース301に対する可動ベース302の離脱方向への移動を規制するものがなくなるため、固定ベース301に対して着脱可能となる。尚、図19(a)に示すように、回動軸333と係止板323とは前後方向に離間して配置され、両者の間にカバー部材202の板状片221を挿通可能な隙間が形成される。
また、固定ベース301を背板1cに取り付けるベース取付ネジ335の前面側が可動ベース302の被覆部322により覆われるとともに、左外側方が保護片330cにより覆われることで、特に図19(b)に示すように、保護片330cと外片322dの先端との間には僅かな隙間しか形成されていない。従って、ベース取付ネジ335に対してドライバーや指を接触させようとしても接触が困難となるだけでなく、ベース取付ネジ335の軸心P2の延長線上にドライバーを配置することはできなくなる。
(可動ベースへの基板ケースの取り付け)
次に、固定ベース301に回動可能に支持された可動ベース302への基板ケース200の取り付け方法を図20〜図27に基づいて説明する。
図20に示すように、第1の回動規制位置Aに仮止めされた可動ベース302に、前述したように封止状態とされた基板ケース200を取り付けるには、ベース部材201の裏面側を可動ベース302の前面に対向させるように配置した状態で左側にスライドさせる。この状態では、図21(a)に示すように、第2電源基板80に搭載されたスイッチ86の押圧片86aが押圧されていないOFFの状態であり、バックアップ電源の供給ライン(+5V(VBB))は非接続状態であり、第2電源基板80に搭載されたコンデンサ84から遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41に対してバックアップ電源が供給されていない状態である。
そして、カバー部材202の左側短辺に設けられた一対の板状片221、221を、図20上図中の矢印で示されるように、回動軸333、333と係止板323、323との間に形成された隙間(図19(a)参照)に差し込んだ後、図20下図中の太矢印で示されるように、基板ケース200の右側短辺を可動ベース302に向けて押し込む。
図21(b)に示すように、基板ケース200の右側短辺を可動ベース302の底板310aに当接するまで押し込むことにより、底板310aに形成された突出部313が、基板ケース200のベース部材201に形成された挿通孔212内に入り込み、嵌合する。
このとき、図21(b)に示すように突出部313により第2電源基板80の裏面80aに搭載されたスイッチ86が押圧されてONの状態となり、バックアップ電源の供給ライン(+5V(VBB))が接続状態となって、第2電源基板80に搭載されたコンデンサ84からメイン制御部41に搭載されたメイン制御部41に対してバックアップ電源が供給される状態となる。
また、板状片221、221の先端が係止板323、323に係止されるとともに(図23(b)参照)、カバー部材202の右端部側の上方が可動ベース302の弾性係止爪311に係止される。そして基板ケース200は、可動ベース302の側壁310b、310c、310dにより覆われることで、可動ベース302の底板310a上でのスライド移動が規制されることで、可動ベース302からの離脱が規制される。
但しこの仮止め状態では、弾性係止爪311によるカバー部材202の係止状態を解除すれば、可動ベース302から簡単に基板ケース200を取り出すことができる。
また、仮止め状態としたときに、カバー部材202における取付封止片230及び予備用取付封止片231が取付台座315に対向配置され、取付封止片230及び予備用取付封止片231の取付穴235、235が取付台座315の取付穴316a、316bに合致する。ここで、図23(a)に示すように、取付封止片230内に収容されていたワンウェイネジ240aをドライバーによりネジ孔316aに螺入すると、可動ベース302に対して基板ケース200が離脱不能に取り付けられる。
すなわち、ワンウェイネジ240aは、一度ネジ孔316aに取り付けられると、ドライバー等の工具を操作溝に差し込んでも、ワンウェイネジ240aを逆回転させることができない、つまり二度とネジ孔316aから取り外すことはできない取付部材であるため、基板ケース200は、該基板ケース200または可動ベース302等の所定部位(例えば取付封止片230の切断片233等)を切断(破壊)しない限り可動ベース302から取り外すことができない取付状態で取り付けられる。
また、可動ベース302に対して基板ケース200が離脱不能に取り付けられた状態では、基板ケース200の周囲が可動ベース302の長辺側の側壁310b、310b、短辺の側壁310c、310c、被覆部322等により囲われるとともに、スイッチ86が挿通孔212を介して基板ケース200のベース板201aよりも凹んだ位置に露呈し、挿通孔212内に突出部313が嵌合する構成であるため、このような状態では、スイッチ86への接触が規制されるようになっている。
また、遊技制御基板40の検査等のために基板ケース200を可動ベース302から取り外す場合、取付封止片230の切断片233を切断する必要があるばかりか、ネジ孔316aにねじ込まれたワンウェイネジ240a及び基板ケース200から切断された取付封止片230を取付台座315から取り外すことができず、可動ベース302に保持されて残存するため、当該取付封止片230にワンウェイネジ240aを取り付け、同じように可動ベース302に取り付けることはできない。すなわち、一度可動ベース302に対する基板ケース200の取付状態を解除した後は、一度取付に使用した取付封止片230とは別の予備用取付封止片231に予備のワンウェイネジ240bを取り付け、別のネジ孔316bに取り付けることになる。
また、この取付状態において、図23(b)に示すように、板状片221、221が回動軸333、333と係止板323、323との間に形成された隙間に差し込まれていることで、回動軸333、333の軸支溝320、320からの離脱が、可動ベース302に取り付けられた基板ケース200の板状片221、221により規制されることになる。これにより、可動ベース302を回動させて前述した着脱位置Cに配置したとしても、固定ベース301に対する可動ベース302の軸支状態を解除できなくなる。
そして、基板ケース200を可動ベース302から取り外さない限り、回動軸333、333と係止板323、323との間に形成された隙間に差し込まれた板状片221、221を該隙間から取り出すこと、つまり回動軸333、333からの軸支溝320、320の離脱規制を解除することはできないため、可動ベース302から基板ケース200を取り外すことだけでなく、固定ベース301に対する可動ベース302をどのような回動位置に配置したとしても、可動ベース302を固定ベース301から取り外すことができなくなる。
また、回動軸333、333と係止板323、323との間に形成された隙間に差し込まれた板状片221、221により、回動軸333、333が被覆される。詳しくは、係止板323、323は、軸支板321と側片322cとの離間幅よりも若干小寸の幅寸法を有していることで、回動軸333、333と係止板323、323との間に形成された隙間に差し込まれた状態において、回動軸333、333の長手方向にわたり被覆するため、回動軸333、333を切断することにより可動ベース302を固定ベース301から取り外すといった不正行為が防止される。
また、この取付状態において、図24及び図25に示すように、固定ベース301に対する可動ベース302をどのような回動位置に配置したとしても、固定ベース301を背板1cに取り付けるベース取付ネジ335の前面側が、可動ベース302の被覆部322により覆われる、つまりベース取付ネジ335の前面側に被覆部322が対向配置されるとともに、左外側方が保護片330cにより覆われることで、ベース取付ネジ335に対してドライバーや指を接触させようとしても接触が困難となるだけでなく、ベース取付ネジ335の軸心P2の延長線上にドライバーを配置することはできなくなる。
具体的に説明すると、図24(a)に示すように、固定ベース301に対して可動ベース302を、可動ベース302が背板1cに沿って配置される第1の回動規制位置A(第1の位置)と、回動軸333を中心に可動ベース302の右側を手前に向けて約83度回転させたときに回動が規制される回転規制位置B(第2の位置)と、の回動可能範囲(θ≒0〜83度)内の任意の位置に配置した場合でも、保護片330cと外片322dの先端との間には僅かな隙間が形成されてしまう(図25参照)。
しかし、図25(a)〜(c)に示すように、ベース取付ネジ335の軸心P2上には常に被覆部322が配置され、しかもこれらベース取付ネジ335の頭部335bから被覆部322までの離間距離は最大でも約3cm程度であるため、保護片330cと外片322dの先端との間の隙間からドライバーの先端を差し込むことはできるものの、ドライバーの先端を操作溝335cに差し込み、かつドライバーを軸心P2に沿った垂直姿勢に配置しようとしても、ドライバーが被覆部322に干渉する、つまり取り外し操作が阻止されるので極めて困難となる。
特にベース取付ネジ335は、回動軸333の軸心P1の直下に配置され、かつ、被覆部322はベース取付ネジ335の軸心P2上に配置されることで、回動軸333周りに可動ベース302を回動させても、被覆部322は常にベース取付ネジ335の軸心P2上を通る軸周りにて回動することにより、被覆部322とベース取付ネジ335との位置関係(離間距離)が大きく変化することがないので、可動ベース302が回動可能範囲内のどの位置に配置されているときでも、ベース取付ネジ335の頭部335bと被覆部322との間にドライバー等を配置することは困難である。
よって、取付状態においては、基板ケース200を可動ベース302から取り外さない限り、ベース取付ネジ335を背板1cから取り外すことはできないため、可動ベース302から基板ケース200を取り外したり、固定ベース301から可動ベース302を取り外したりすることができないだけでなく、背板1cから固定ベース301を取り外すことができないため、基板ケース200をケース支持装置300ごと背板1cから取り外してしまうことが防止される。
このように背板1cに取り付けられたケース支持装置300に取り付けられた基板ケース200は、図24及び図26に示すように、遊技制御基板40の電子部品の実装面40aが前面側を向くとともに裏面40b側が背板1cの内面に対向して筐体1aの前面側から視認不可となる第1の回動規制位置A(第1の位置)と、実装面40aが筐体1aの左側板の内面に対向して遊技制御基板40の裏面40b側が筐体1aの前面側から視認可能となる第2の回動規制位置B(第2の位置)と、の間の回動可能範囲(約83度)内で回動可能に支持される。
従って、基板ケース200を第1の回動規制位置Aに位置させている場合には、遊技制御基板40の実装面40aが前面側を向くため、基板ケース200を可動ベース302から取り外さなくても、筐体1aの前面側から透明なカバー部材202を通して実装面40aを視認することが可能となる。
また、基板ケース200を第2の回動規制位置B付近に位置させている場合には、遊技制御基板40の裏面40bが背板1cから離れて右側方を向くため、基板ケース200を可動ベース302から取り外さなくても、筐体1aの前面側から透明なベース部材201及び透明な可動ベース302を通して裏面40bを視認することが可能となる。よって、基板ケース200を筐体1aに取り付けた状態でも、基板ケース200を回動させるだけで内部に収容された遊技制御基板40の実装面40a及び裏面40bに不正な改造等が施された痕跡があるか否かを目視により簡単に確認することが可能となる。
図26中上図に示すように、基板ケース200は、通常、第1の回動規制位置Aに配置されている。この状態において、カバー部材202に形成された各コネクタ用開口236a〜236gに臨むように配置された各基板側コネクタには、各種ケーブルのケーブル側コネクタが接続される。
カバー部材202に形成された各コネクタ用開口236a〜236gのうち、基板側コネクタ620a、620b、620d、620eが臨むコネクタ用開口236a〜236dは、図10に示すように、カバー部材202の左右方向の中央位置よりも左側の領域、つまり回動軸333、333の配設位置側に設けられている。そしてこれらコネクタ用開口236a〜236dに臨む基板側コネクタ620a、620b、620d、620eのうち、リール中継基板120に一端が接続されるケーブル側コネクタ610eと基板側コネクタ620eとの接続部は、前述した保護部材670により覆われるとともに、スタートスイッチ7に一端が接続されるケーブル側コネクタ610bと基板側コネクタ620bとの接続部及び演出制御基板90に一端が接続されるケーブル側コネクタ610dと基板側コネクタ620dとの接続部は、前述したコネクタ規制部材650により覆われ、特にコネクタ規制部材650により覆われたケーブル側コネクタ610b、610dは、基板側コネクタ620b、620dからの抜脱がそれぞれ規制されている。
このように、カバー部材202の左右方向の中央位置よりも左側の領域に設けられた基板側コネクタ620a、620b、620d、620eに接続されるケーブル600a、600b、600d、600eは、左側板内面にまとめて配線されている。そしてこれらケーブル600a、600b、600d、600eに設けられるケーブル側コネクタ610a、610b、610d、610eは、基板側コネクタ620a、620b、620d、620eから抜脱しなくても、基板ケース200を第2の回動規制位置Bまで回動させることができるようになっている。また、カバー部材202の左右方向の中央位置よりも右側の領域に設けられた基板側コネクタに接続されるケーブル側コネクタは、基板側コネクタから抜脱しないと、基板ケース200を第2の回動規制位置Bまで回動させることができるようになっている。
つまり、回動軸333に近い左側領域に配置される基板側コネクタ620a、620b、620d、620eは、回動軸333を中心に基板ケース200を回転させたときの移動距離が、回動軸333から遠い右側領域に配置される基板側コネクタに比べて小さいため、接続されるケーブル600a、600b、600d、600eの余剰長さを、回動軸333から遠い右側領域に配置される基板側コネクタに接続されるケーブルに比べて短くて済む。
よって、特に保護部材670やコネクタ規制部材650により覆われて抜脱に手間がかかる基板側コネクタ620b、620d、620e等を、回動軸333に近い左側領域に配置しておけば、基板ケース200を回動させるたびにケーブル側コネクタ610b、610d、610eを逐次基板側コネクタ620b、620d、620eから抜脱する必要がないので、遊技制御基板40の確認作業を煩雑にすることがないとともに、ケーブルを基板側コネクタ620b、620d、620eから取り外さずに基板ケース200を回動可能とする場合に、ケーブル600b、600d、600eを極力短くすることができる。
尚、本実施例では、基板側コネクタ620a、620b、620d、620e以外の基板側コネクタ及びこれら基板側コネクタに対応するコネクタ用開口236a〜236fが、実装面40aにおける回動軸333から遠い右側領域にも配設されていたが、例えば図29に示すように、実装面40aに設けられる全ての基板側コネクタ及び各基板側コネクタに対応するコネクタ用開口236a〜236fを実装面40aにおける左側領域に設けることが好ましい。
さらに本実施例では、基板側コネクタコネクタ620a、620b、620d、620eを含む遊技制御基板40の全ての基板側コネクタ及び各基板側コネクタに対応するコネクタ用開口236a〜236fが、実装面40aにおける長辺に沿って配設されていたが、例えば、遊技制御基板40の全ての基板側コネクタ及び各基板側コネクタに対応するコネクタ用開口236a〜236fの少なくとも一部(ここでは基板側コネクタ620a、620b、620d、620e以外の基板側コネクタ及びコネクタ用開口236e、236f)を回動軸333に近い左側短辺に沿って配設することが好ましい。つまり、回動軸333に沿って基板側コネクタ及びコネクタ用開口236e、236fを配設すれば、各基板側コネクタの移動距離が全て同じになるので、これらのケーブルを極力短くすることができる。
また、特に図示はしないが、少なくとも保護部材670やコネクタ規制部材650により覆われて抜脱に手間がかかる基板側コネクタ620b、620d、620eを回動軸333に近い左側短辺に沿って配設することが好ましい。つまり、回動軸333に沿って基板側コネクタ620b、620d、620eを配設すれば、各基板側コネクタ620b、620d、620eの移動距離が全て同じになるので、ケーブル600b、600d、600eを極力短くすることができる。
本実施例のスロットマシン1のような遊技機では、遊技の制御を行う遊技制御マイクロコンピュータが搭載された遊技制御基板とは別に設けられた電源基板から遊技制御マイクロコンピュータの駆動電源もバックアップ電源も供給されており、このような構成においては、電源基板から供給される電源配線の途中に不正な基板(いわゆる「ぶら下げ基板」)が取り付けられることで遊技制御基板への電源供給が遮断され、かつ電源基板から供給されるバックアップ電源も遮断されてしまうと、遊技制御マイクロコンピュータの各種データ、カウンタ等が初期化されてしまい、その上で意図的に遊技者にとって有利な状況を発生させてしまうといった不正行為が行われる虞があった。
このため、本実施例のようにメイン制御部41が搭載された遊技制御基板40とともに、バックアップ電源を供給するコンデンサ84が搭載され、遊技制御基板40に対してバックアップ電源を供給することが可能な第2電源基板80を同じ基板ケース200に収納して封止状態とし、不正な基板の取り付けにより、主基板への電源供給並びにバックアップ電源の双方が遮断されてしまうことを困難とし、上記のような不正行為を防止することが考えられる。
しかしながら、メイン制御部41が搭載された遊技制御基板40と、バックアップ電源を供給する第2電源基板80と、がともに基板ケース200に収納され、封止した状態とした場合には、基板ケース200ごと、遊技制御基板40を遊技機本体から取り外した状態であっても、メイン制御部41のRAM507に記憶されているデータが保持される構成となる。
このような構成とすると、遊技制御基板40を基板ケース200ごと一度取り外し、打込機などを用いて不正な遊技状態データが保持(バックアップ)された状態とした遊技制御基板40を再度取り付けることにより、電源復帰時にはバックアップされていた通りの遊技状態とする不正行為が行われる虞がある。
例えば、遊技制御基板40に設けられた基板側コネクタに接続されている正規なコネクタを抜脱し、これに替えて打ち込み器具に接続された不正なコネクタを接続して、各種信号を適宜タイミングで遊技制御基板40に入出力して遊技を自動的に進行させることで、例えば特別役が当選した状態等を容易に設定することができる。よって、このような不正な打ち込み器具を使用して特別役が当選した状態に設定したスロットマシンを、例えば遊技店の営業開始時等において遊技客に提供するといった不正営業が実施された場合、遊技の公平性が損なわれる虞がある。
このような不正行為を防止する方法としては、停電時において遊技制御基板40のメイン制御部41が認識データを生成するとともにRAM507に記憶しておき、さらに払出制御基板37などの基板収納ケース外の遊技機本体側の基板に搭載されたマイクロコンピュータに対して生成した認識データを送信し、当該外部の基板にも記憶させておくとともに、復旧時においてRAM507に記憶されている認識データと外部の基板に記憶されている認識データとを照合し、一致しなければバックアップされているデータをクリアする方法が考えられる。
しかしながら、このような方法では、打込機などにより不正な遊技状態データとともに当初から設定されていた認識データを記憶させた場合には、電源復帰時にバックアップされていたデータがクリアされず、バックアップされていた通りの遊技状態、すなわち不正な遊技状態のまま復帰させることができてしまう可能性がある。
これに対して本実施例のスロットマシン1では、遊技制御基板40及び第2電源基板80が収納された基板ケース200が遊技機の本体側の可動ベース302に対してワンウェイネジ240aにより取り付けられると、基板ケース200または可動ベース302等の所定部位(例えば取付封止片230の切断片233等)を切断(破壊)しない限り可動ベース302から取り外すことができない取付状態となることで、痕跡を残さずに可動ベース302から取り外すことが困難となり、不正なデータが保持された遊技制御基板40を取り付けた場合には、その痕跡が残ることとなるため、不正なデータが保持された遊技制御基板40を取り付けるという不正行為を抑制できる。
また、本実施例のスロットマシン1では、遊技制御基板40の基板側コネクタ620bとケーブル600bのケーブル側コネクタ610bとの接続がコネクタ規制部材650によって規制されるようになっている。そして、被係合筒656を係合筒237に嵌合して、ベース部であるカバー部材202にコネクタ規制部材650を取り付けることで、カバー部材202からコネクタ規制部材650が取り外された場合は、連結片655等が切断されるなどその痕跡が確実に残るようになっている。このため、遊技制御基板40に対して遊技を進行させるのに必要なスタートスイッチ7の検出信号が入力される接続ケーブル600bのケーブル側コネクタ610bが遊技制御基板40の基板側コネクタ620bが接続され、コネクタ規制部材650によりコネクタ同士の接続の解除が規制されると、痕跡を残さずに接続ケーブル600bと遊技制御基板40との接続を解除することができなくなり、打込機等を接続するためにスタートスイッチ7の検出信号が入力される接続ケーブル600bと遊技制御基板40との接続が解除された場合には、その痕跡が残ることとなるため、不正なデータが保持された遊技制御基板40を取り付けるという不正行為を抑制できる。
尚、本実施例では、遊技制御基板40及び第2電源基板80が収納された基板ケース200が遊技機の本体側の可動ベース302に対してワンウェイネジ240aにより取り付けられると、基板ケース200または可動ベース302等の所定部位(例えば取付封止片230の切断片233等)を切断(破壊)しない限り可動ベース302から取り外すことができなくなる構成と、遊技制御基板40に対して遊技を進行させるのに必要なスタートスイッチ7の検出信号が入力される接続ケーブル600bのケーブル側コネクタ610bが遊技制御基板40の基板側コネクタ620bが接続され、コネクタ規制部材650によりコネクタ同士の接続の解除が規制されると、痕跡を残さずに接続ケーブル600bと遊技制御基板40との接続を解除することができなくなる構成と、の双方を有しているが、いずれか一方の構成を有するだけでも、不正なデータが保持された遊技制御基板40を取り付けるという不正行為を抑制できる。
また、本実施例は、メイン制御部41が搭載された遊技制御基板40とともに、バックアップ電源を供給するコンデンサ84が搭載され、遊技制御基板40に対してバックアップ電源を供給することが可能な第2電源基板80を同じ基板ケース200に収納して封止される構成であるが、基板ケース200が遊技機本体から取り外された状態においては、第2電源基板80に搭載されたスイッチ86が押圧されていないOFFの状態となり、バックアップ電源の供給ライン(+5V(VBB))が非接続状態となって、第2電源基板80に搭載されたコンデンサ84から遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41に対してバックアップ電源が供給されず、RAM507のデータを保持できない状態となるので、痕跡が分かり難いように基板ケース200が可動ベース302から取り外された場合や、痕跡が分かり難いように遊技制御基板40と遊技を進行させるのに必要なスタートスイッチ7の検出信号が入力される接続ケーブル600bとの接続が解除された場合であっても、不正なデータが保持された遊技制御基板40を取り付けるという不正行為をより確実に防止できる。
また、本実施例では、基板ケース200を遊技機本体側の可動ベース302に取り付けることで、可動ベース302に設けられた突出部313が基板ケース200の挿通孔212を介して第2電源基板80の裏面に設けられたスイッチ86の押圧片86aを押圧することで、バックアップ電源の供給ライン(+5V(VBB))が接続状態となり、第2電源基板80に搭載されたコンデンサ84から遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41に対してバックアップ電源が供給されるのに対して、基板ケース200を可動ベース302から取り外した状態では、スイッチ86の押圧片86aが押圧されない状態となることで、バックアップ電源の供給ライン(+5V(VBB))が非接続状態となり、第2電源基板80に搭載されたコンデンサ84から遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41に対してバックアップ電源が供給されないようになっている。すなわち基板ケース200を可動ベース302(遊技機本体)に取り付けた際に、基板ケース200の一部、または基板ケース200に収納された部材の一部が遊技機本体の一部に当接することでバックアップ電源が供給される状態となり、当該基板ケース200の一部、または基板ケース200に収納された当該部材の一部が遊技機本体の一部と非当接状態となることで、バックアップ電源が遮断される構成をとっており、基板ケース200の一部、または基板ケース200に収納された部材の一部を当接させる構造とするのみで基板ケース200や遊技機本体の構造を大きく変更することなく、基板ケース200の取り外し時においてバックアップ電源を遮断することができる。
尚、本実施例では、可動ベース302に設けられた突出部313が基板ケース200の挿通孔212を介して第2電源基板80の裏面に設けられたスイッチ86の押圧片86aを押圧することで、バックアップ電源が供給され、基板ケース200が可動ベース302から取り外されることで押圧片86aが押圧されなくなることによりバックアップ電源が遮断される構成であるが、基板ケース200が可動ベース302に取り付けられている状態において基板ケース200の一部、または基板ケース200に収納された部材の一部に当接部を設け、この当接部が当接している状態においてバックアップ電源が供給されるのに対して、基板ケース200を可動ベース302から取り外すことで当接部が非当接状態となることでバックアップ電源の供給が遮断される構成であれば、他の構成であっても上記と同様に、基板ケース200や遊技機本体の構造を大きく変更することなく、基板ケース200の取り外し時においてバックアップ電源を遮断することができる。
また、本実施例では、可動ベース302に対して基板ケース200が離脱不能に取り付けられた状態では、基板ケース200の周囲が可動ベース302の長辺側の側壁310b、310b、短辺の側壁310c、310c、被覆部322等により囲われるとともに、スイッチ86が挿通孔212を介して基板ケース200のベース板201aよりも凹んだ位置に露呈し、挿通孔212内に突出部313が嵌合する構成であるため、このような状態では、スイッチ86への接触が規制されるようになっている。
このため、スイッチ86の押圧片86aを押圧した状態のまま、すなわちバックアップ電源が供給される状態のまま基板ケース200を可動ベース302に取り付けたり、取り外したりすることが防止されるようになっている。仮に、器具を挿入して押圧片86aを押圧した状態のまま基板ケース200を可動ベース302に取り付けた場合でも、当該器具を抜き取ることが困難となり、不正行為が行われた痕跡を残すことが可能となる。
尚、本実施例では、基板ケース200の周囲が可動ベース302の長辺側の側壁310b、310b、短辺の側壁310c、310c、被覆部322等により囲われるとともに、スイッチ86が挿通孔212を介して基板ケース200のベース板201aよりも凹んだ位置に露呈し、挿通孔212内に突出部313が嵌合することでスイッチ86への接触が規制される構成であるが、例えば、スイッチ86の周囲に規制壁を設けるなど、基板ケース200が遊技機本体に取り付けられた状態においてスイッチ86への接触が規制される構成であれば、上記と同様の効果が得られる。
また、本実施例では、遊技制御基板40とともに基板ケース200に収納されている第2電源基板80に、遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41の駆動電圧(+5V(VCC))よりも高いDC+12Vの直流電圧が第1電源基板101より供給されるとともに、第2電源基板80に搭載されたDC−DCコンバータ81がDC+12Vからメイン制御部41の駆動電圧(+5V(VCC))を生成して供給するようになっている。一方、第2電源基板80には、メイン制御部41の駆動電圧の生成元ととなるDC+12Vの直流電圧を監視する電断検出回路82が搭載されており、電断検出回路82では、DC+12Vの直流電圧がメイン制御部41の駆動電圧よりも高い所定値(本実施例では8V)以下まで低下した場合に電断の発生を検知して電源断信号をメイン制御部41に対して出力し、これに基づいて、電源復帰時に正常に復帰させるのに必要なデータを保存するための電断処理(メイン)を実行するようになっている。
このため、第1電源基板101から第2電源基板80に供給される電圧であり、メイン制御部41の駆動電圧のもととなるDC+12Vの供給が絶たれても、直ちにメイン制御部41への駆動電圧の供給が絶たれることがなく、このような状況であってもメイン制御部41への駆動電圧が低下するまでに一定の時間が確保されることとなり、電源復帰時に正常に復帰させるのに必要なデータを保存するための電断処理(メイン)を確実に実行させることができる。
また、従来のように遊技の制御を行う遊技制御マイクロコンピュータが搭載された主基板とは別に設けられた電源基板にて遊技制御マイクロコンピュータの駆動電源もバックアップ電源も生成されて遊技制御基板に供給される構成の場合には、駆動電源ラインとバックアップ電源ラインとで電位差が生じることで不具合が生じないように、バックアップ電源は駆動電源ラインを分岐させて充電されるものが一般的である。すなわちバックアップ電源の供給ラインと駆動電源の供給ラインとが大元で接続される構成である。このため、駆動電源の供給ライン、バックアップ電源の供給ラインのいずれか一方でも短絡させると、駆動電源の電圧が急激に低下することで、遊技制御マイクロコンピュータが動作を停止して再起動させることができる。
従来のような構成では、このような駆動電源の供給ラインまたはバックアップ電源の供給ラインを短絡させることによる遊技制御マイクロコンピュータの再起動を利用して、前述の「ぶら下げ基板」などにより乱数周期のタイミングを特定し、特定の乱数を狙って大当りを発生させるという不正行為が行われる虞があった。
これに対して本実施例では、前述のように遊技制御基板40とともに基板ケース200に収納されている第2電源基板80に、遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41の駆動電圧(+5V(VCC))よりも高いDC+12Vの直流電圧が第1電源基板101より供給されるとともに、第2電源基板80に搭載されたDC−DCコンバータ81がDC+12Vからメイン制御部41の駆動電圧(+5V(VCC))並びにコンデンサ84に充電されるバックアップ電源を生成して供給するようになっている。このため、メイン制御部41の駆動電圧の供給ラインやバックアップ電源の供給ラインが基板ケース200の外部に露呈することがなく、これらメイン制御部41の駆動電圧の供給ラインやバックアップ電源の供給ラインを短絡させてメイン制御部41を再起動させることが困難となり、上述のような特定の乱数を狙って遊技者にとって有利な状況を発生させるという不正行為を効果的に防止できる。
尚、基板ケース200の外部に露呈するメイン制御部41の駆動電圧(+5V(VCC))の元となるDC+12Vの供給ラインを短絡させることは、メイン制御部41の駆動電圧の供給ラインやバックアップ電源の供給ラインを短絡させるのに比較すると容易であるが、メイン制御部41の駆動電圧の供給ラインやバックアップ電源の供給ラインのように直接、メイン制御部41に供給される電源ラインに比較すると、メイン制御部41が再起動するタイミングを特定することは困難であり、メイン制御部41の駆動電圧の供給ラインやバックアップ電源の供給ラインそのものを基板ケース200の外部に露呈させておく構成に比較すると上述のような不正行為を防止する効果は高い。
また、本実施例では、基板ケース200が可動ベース302から取り外された状態においては、第2電源基板80に搭載されたスイッチ86が押圧されていないOFFの状態となり、バックアップ電源の供給ライン(+5V(VBB))が非接続状態となって、第2電源基板80に搭載されたコンデンサ84から遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41に対してバックアップ電源が供給されず、RAM507のデータを保持できない状態となる構成であるが、基板ケース200が遊技機本体から取り外された状態においては、第2電源基板80に搭載されたコネクタと、遊技機本体側に固定されたコネクタと、が外れることによりバックアップ電源の供給ライン(+5V(VBB))が非接続状態となり、第2電源基板80に搭載されたコンデンサ84から遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41に対してバックアップ電源が供給されず、RAM507のデータを保持できない状態となる構成としても良く、このような構成においても、痕跡が分かり難いように基板ケース200が可動ベース302から取り外された場合や、痕跡が分かり難いように遊技制御基板40と遊技を進行させるのに必要なスタートスイッチ7の検出信号が入力される接続ケーブル600bとの接続が解除された場合であっても、不正なデータが保持された遊技制御基板40を取り付けるという不正行為をより確実に防止できる。
また、基板ケース200が遊技機本体から取り外された状態においては、第2電源基板80に搭載されたコネクタと、遊技機本体側に固定されたコネクタと、が外れることによりバックアップ電源の供給ライン(+5V(VBB))が非接続状態となり、第2電源基板80に搭載されたコンデンサ84から遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41に対してバックアップ電源が供給されず、RAM507のデータを保持できない状態となる構成においては、コネクタの周辺にコネクタへの接触を規制する規制部を設けることが好ましく、このようにすることで、コネクタ同士の間に導電性のある器具を進入させてバックアップ電源の供給ライン(+5V(VBB))を短絡させることが困難となるので、上記のようにバックアップ電源の供給ラインを短絡させてメイン制御部41を再起動させることによる不正行為を効果的に防止できる。
また、本実施例では、バックアップ電源を供給するコンデンサ84が遊技制御基板40とは異なる第2電源基板80に搭載され、遊技制御基板40とともに基板ケース200に収納される構成であったが、バックアップ電源を供給するコンデンサ84を遊技制御基板40に実装する構成としても良い。
本実施例のロットマシン1にでは、被係合筒656を係合筒237に嵌合して、ベース部であるカバー部材202にコネクタ規制部材650を取り付けることで、カバー部材202からコネクタ規制部材650が取り外された場合は、連結片655等が切断されるなどその痕跡が確実に残るため、不正行為が行われた可能性があることを発見することができる。
また、当接面である第2後端面665bが取付手段の一部を構成する被係合筒656から離れる方向(右方向)、つまり、被覆部652の一方側に設けられた被係合筒656から該被係合筒656がない他方側に向けて被当接面である凹溝底面202g側となる後側に傾斜していることで、被覆状態において、被係合筒656から離れるにつれて第2後端面665bの凹溝底面202gに対する圧接力が弱まることを抑制でき、これにより第2後端面665bと凹溝底面202gとの間にマイナスドライバー等の異物を差し込み難くなる。
特に本実施例では、第2後端面665bは、被取付部651である被係合筒656の軸心Pから離れる方向である上・下・右方向のうち、離間距離が最も長い右辺部Rがある右方向に向けて後側に傾斜する平坦面にて構成されていることで、取り付けの際に左辺部よりも先に右辺部Rの方が凹溝底面202gに当接する。よって、被取付部651を押圧して第2後端面665b全域を当接することで、より右辺部Rの凹溝底面202gに対する圧接力が高まるので、軸心Pからの距離が最も長く圧接力が弱まる位置を浮き上がらせることを困難とすることができる。
このように、コネクタ規制部材650をカバー部材202から取り外すことなく、例えばマイナスドライバーを第2後端面665bと凹溝底面202gとの間に差し込んで被覆部652を凹溝底面202gから強制的に浮き上がらせることにより、ケーブル側コネクタ620b、620dの被覆状態、つまり、ケーブル側コネクタ620b、620dの基板側コネクタ610b、610dに対する抜脱方向への移動規制状態を解除し、ケーブル側コネクタ620b、620dを強引に抜脱するといった不正行為を防止することができる。
また、被覆部652の外面のうち、被取付部651から右方向に向けて形成される第1湾曲部662は、屈曲角度が90度以下の屈曲部のない連続面にて形成されていることで、被覆部652の外面には屈曲部等の手指等を引っ掛けやすい部位が存在しないため、外面に手指等を引っ掛けてカバー部材を浮き上がらせることを防止できる。
また、凹溝底面202gにおけるコネクタ用開口236c、236d上縁及び下縁の近傍位置に、被覆部652の外面を側方から被覆可能な高さを有する壁部としての側壁202bや傾斜壁202hが立設されていることで、コネクタ規制部材650がカバー部材202に取り付けられた状態において、凹溝底面202gの近傍に立設される側壁202bや傾斜壁202hが邪魔になり、凹溝底面202gと第2後端面665bとの間にマイナスドライバー等の異物を差し込みにくくなるとともに、被覆部652の側面、つまり、被覆状態において凹溝底面202gに対して立設される上壁面や下壁面に手指を掛け難くなるため、被覆部651の側面を摘んで浮き上がらせることを防止できる。
また、凹溝底面202gにおけるコネクタ用開口236b、236dの周縁の近傍位置に、被覆部652の外面を一側方(上方)から被覆可能な高さを有する傾斜壁202h(第1壁部)が立設されるとともに、該第傾斜壁202hより低く、他側方(下方)から被覆可能な高さを有する側壁202b(第2壁部)が立設され、被覆部652の外面のうち、上方から下方に向けて形成される外面である第2湾曲部663は、屈曲部のない連続面にて形成されていることで、傾斜壁202hの前端から側壁202bの前端にかけて屈曲部等の手指等を引っ掛けやすい部位が存在しないため、外面に上側または下側から手指等を引っ掛けてカバー部材を浮き上がらせることを防止できる。
また、凹溝底面202gの周縁のうち、被取付部651から最も離れた右辺部Rの近傍位置に、遊技用部材である基板側コネクタ620b、620d及びケーブル側コネクタ610b、610dとは別個の所定部材である基板側コネクタ620c及びケーブル側コネクタ610cがコネクタ用開口236eを介して第2後端面665bに対し突出するように配設されていることで、コネクタ規制部材650がカバー部材202に取り付けられた状態において、被取付部651から最も離れ凹溝底面202gに対する圧接力が弱くなる右縁部の近傍位置にある基板側コネクタ620c及びケーブル側コネクタ610cが邪魔になり、凹溝底面202gと第2後端面665bとの間にマイナスドライバー等を差し込みにくくなる。
また、被覆部652により被覆されたケーブル側コネクタ610b、610dから延出されたケーブル600b、600dは、被取付部651に挿通された後、該被取付部651を構成する下壁654cに形成された切欠部658aから外部に引き出されるようになっている(図41参照)。このようにケーブル600b、600dの挿通部である切欠部658aが被覆部652に形成されないことで、例えば引き出されたケーブル600b、600dが手前側に向けて強く引張られてもその引張り力が被覆部652に直接及ぶことがないので、浮き上がりが防止される。
また、コネクタ規制部材650は、凹溝底面202g上に突出するように露呈した基板側コネクタ620b、620d及びケーブル側コネクタ610b、610dを周囲から被覆可能に構成されていたが、必ずしも基板側コネクタ620b、620d及びケーブル側コネクタ610b、610d全体を被覆していなくても良い。
すなわち、カバー部材202にコネクタ規制部材650を取り付ける主たる目的は、被覆部652の第2後端面665bと凹溝底面202gとの間にマイナスドライバー等を差し込むことにより被覆部652の右辺部R側を浮き上がらせ、基板側コネクタ620b、620dからのケーブル側コネクタ610b、610dの抜脱方向への移動規制状態を解除して、カバー部材202からコネクタ規制部材650を取り外さずに抜脱されることを防止することである。
従って、コネクタ規制部材650は、例えばケーブル側コネクタ610b、610dの一部を被覆するように当接規制することで、基板側コネクタ620b、620dからのケーブル側コネクタ610b、610dの抜脱方向への移動を当接規制しうるものであれば、必ずしもこれらコネクタ全体を被覆していなくても良い。
また、本実施例では、コネクタ規制部材650は、複数の基板側コネクタ620a〜620e及びケーブル側コネクタ610a〜610eのうち、遊技用部材の一例である基板側コネクタ620b、620d及びケーブル側コネクタ610b、610dを被覆するように構成されていたが、これら以外の基板側コネクタ620a〜620eやケーブル側コネクタ610a〜610eを被覆しうるものであっても良い。また、コネクタ規制部材650と同様に構成されたコネクタ規制部材650a、650b(図5参照)のように、遊技用部材としての他のコネクタを被覆しうるものであっても良い。
また、本実施例では、1つの被覆部652で2つの基板側コネクタ620b、620d及びケーブル側コネクタ610b、610dを被覆可能に構成されていたが、1つのコネクタのみを被覆可能であっても良いし、3つ以上のコネクタを被覆可能に構成されていても良い。
また、本実施例では、カバー部材202にコネクタ規制部材650を取り付ける取付手段は、連結片655等の取り付け関連部位を破壊しない限り取り付けた状態を解除することができないように取り付けできるものであったが、痕跡が残らないように解除することが不可能な状態で取り付けるものであれば、例えば、実施例のように係合爪の係合による取り付けだけでなく、例えば従来公知のワンウェイネジ等、取り付けた後に取り外すことができない取付部材により取り付けても良いし、あるいは、一般的な取付ネジと、例えば剥離した痕跡が残り得る封印シールとにより取付手段を構成し、封印シールをコネクタ規制部材650とカバー部材202とに跨るように貼着することにより取り外した痕跡が残り得るようにしても良い。
また、このように取り付け状態を解除するために取り付け関連部位を破壊しなければならないものに限定されるものではなく、痕跡が残らないように解除することが不可能な状態で取り付けるものであれば、例えば錠前と鍵を用いてカバー部材をベース部に取り付けるようにしても良い。この場合、例えば遊技場の店員等、スロットマシン1を管理する管理者にしか解除操作することができないため、取り付け状態を解除するには関連部位を破壊するしかないが、管理者が解除操作を行えば、破壊を伴うことなく解除(解錠)操作を行うことができる。また、例えば、管理者しか判らない暗証番号や識別情報(指紋情報等も含む)が認証されたときのみ施錠状態を解除できる施解錠装置や、管理者のみが所有する鍵や工具等の特殊部材を用いて操作されたときのみ施錠状態を解除できる施解錠装置や、管理者のみが所有する溶剤等の特殊部材を用いたときのみ接着状態を解除できる接着剤等を含む。
また、本実施例では、第2後端面665bは平坦面にて構成され、被係合筒656の軸心Pに対して直交する面に対し傾斜するように設けられていたが、例えば被取付部651から右辺部Rにかけて、凹溝底面202g側に向けて僅かに湾曲する湾曲面にて構成しても良い。
次に、本発明の変形例としてのカバー部材について、図45及び図46に基づいて説明する。図45は、変形例としてのコネクタ規制部材を示す図である。図46は、他の変形例としてのコネクタ規制部材を示す図である。
図45に示すように、変形例としてのカバー部材1650は、被取付穴1653を有する被取付部1651と、被取付部1651の左右側に形成され、一面が開口する箱状をなし、基板側コネクタKCN1、2及びケーブル側コネクタHCN1、2の周囲を覆うように形成される被覆部1652a、1652bと、から構成されており、凹溝底面1660に形成されたネジ穴1656に、例えば被取付穴1653に取り付けたワンウェイネジ1654をネジ穴1656に螺入することで取り付けできるようになっている。
ここで、被覆部1652a、1652bに形成された後端面1655a、1655bは、被取付部1651のうち被取付穴1653の軸心から離れる方向に向けて凹溝底面1660側に傾斜するように形成されている。すなわち、後端面1655a、1655bは、被覆部1652a、1652bの一方(被覆部1652aの右側、被覆部1652bの左側)に形成された被取付穴1653の軸心から離れる方向のうち一方向に向けてのみ傾斜する傾斜面に限定されず、被取付穴1653の軸心から放射状に離れる多方向に向けて傾斜する傾斜面であっても良い。
この場合、傾斜面は、例えば被取付穴1653の軸心を中心とする球状面にて構成されることになるので、被取付穴1653の軸心から該被取付穴1653がない他方向である上・下・左・右のうち左右方向に傾斜するだけでなく、上下方向に対しても傾斜する。よって、被取付穴1653の軸心から最も離れた位置である左右辺部だけでなく、上下辺部においても被取付穴1653の軸心から離れる方向に傾斜しているため、上辺または下辺からの浮き上がりが防止される。
次に、図46に示すように、変形例としてのカバー部材2650は、被取付部1651と、被取付部1651の左右側に形成される一面が開口する箱状をなし、遊技用部材の他の例であるCPU2660の上面2661の一部の被覆領域Z(図中網点領域)を覆うように形成される被覆部2652と、から構成されており、ベース部の一例となるベース部材201に形成されたネジ穴2654に、例えば、被取付部2651に取り付けたワンウェイネジ2653をネジ穴2654に螺入することで、ベース部材201に取り付けできるようになっている。
ここで、被覆部1652に形成された後端面2655は、被取付部2651から離れる方向(左側)に向けて上面2661側に傾斜するように形成されている。すなわち、ワンウェイネジ2653の取付穴の軸心に対し直交する水平面に対して傾斜するように形成されている。よって、ワンウェイネジ2653によりカバー部材2650をベース部材201に取り付けることで、後端面2655の左辺部の上面2661に対する圧接力が高まるため、被取付部2651から最も離れた位置にある左辺部からマイナスドライバー等の異物を差し込みにくくすることができる。また、当接面は、前記実施例の第2後端面665bのように、遊技用部材の周囲を覆うように枠状に形成される面でなくても良い。
このように、カバー部材2650は、ベース部材201に取り付けたときに、被覆部2652により遊技用部材としてのCPU2660の上面2661の一部に形成された被覆領域Zを被覆するように形成され、これによりCPU2660の制御基板Kからの逸脱方向への移動が規制されれば、被覆状態において必ずしもCPU2660全体を被覆するものでなくても良い。
また、本実施例では、当接面である第2後端面665bが当接する被当接面である凹溝底面202gは、遊技用部材である基板側コネクタ620b、620dやケーブル側コネクタ610b、610dとは別個の部材に形成されていたが、本変形例のように、カバー部材2650に形成される当接面である後端面2655が当接する被当接面は、遊技用部材としてのCPU2660の上面2661に形成されていても良い。つまり、この場合、後端面2655は被覆部とともに抜脱を規制する規制面を構成している。
また、本実施例及び変形例1では、カバー部材の一例として、遊技用部材の一例であるケーブル側コネクタの抜脱を規制するコネクタ規制部材650、1650等を記載したが、変形例2に記載したカバー部材2650のように、遊技用部材としてのCPU2660の基板からの抜脱を規制するものであっても良い。
このように遊技用部材は、コネクタやCPU等に限定されるものではなく、例えばスロットマシン1に設けられた遊技用部品であれば良く、例えば設定キースイッチ37やリセット/設定スイッチ38等のキーやスイッチ、あるいは操作レバー等も遊技用部材に含まれる。
また、カバー部材は、コネクタ規制部材のように、遊技用部材の移動を当接規制する部材でなくても良く、例えば所定のスイッチ等の周囲を操作不能に被覆したり、所定のキー溝にキーを差込不能に被覆する被覆部材等であっても良い。
また、カバー部材は、コネクタ規制部材650の被覆部652のように一面が開口する箱状に形成されるものに限定されるものではなく、例えば、カバー部材2650のような板状部材にて構成されていても良い。具体的には、特に図示はしないが、所定の操作面にスイッチを操作可能とするスイッチ用開口が形成されている場合、操作面におけるスイッチ用開口を閉鎖可能な大きさを有する板状部材であれば良い。
本実施例のスロットマシン1では、基板ケース200を筐体1aに取り付けた状態でも、固定ベース301に対して可動ベース302を回動させることで遊技制御基板40の表裏面側を視認することができるだけでなく、組付手段としての溶着部及び封印シール400を含む封印部双方が回動軸333の反対側の右側辺に配置されるため、カバー部材202が開封されたか否か、つまり遊技制御基板40に不正な改造が施されているか否かの確認作業を簡単に行うことができる。また、組付状態においては、カバー部材202を開封した場合にはその痕跡が残ることになるため、不正な遊技制御基板40を収容した基板ケース200に掏りかえるといった不正行為が行われた可能性があることを発見することができる。さらに、ICタグ403のICチップ405に記憶されているID情報をリーダ装置により読み取ることで、遊技制御基板40の交換等の不正行為が行われた可能性があることを容易に発見できるとともに、閉鎖ネジ226を開口227bから取り外したり、封止状態を解除してカバー部材202を開封すると封印シール400に破損が生じてその痕跡が確実に残るだけでなく、ICタグ403に破損が生じてID情報をリーダ装置等により読み取ることができなくなるため、カバー部材202が開封された可能性があることを容易に発見することができるとともに、該ICタグ403の不正使用が防止される。
図26に示すように、特に本実施例では、第2の回動規制位置Bに可動ベース302及び基板ケース200が配置されたときに、基板ケース200の右側辺部側、つまり溶着部及び封印部が筐体1aの前面開口から外側に突出して配置されることで、溶着部や封印部の状態を筐体1aの外側で、しかも表裏面側を目視により確認することができるため、検査時における確認作業性が向上する。さらに、封印シール400のICタグ403が筐体1aの前方位置に配置されることになるので、リーダ装置によるID情報の読み取り作業を容易に行うことができるばかりか、筐体1aに設けられている金属製の遊技用部品等から離れることになるため、ID情報を確実に読み取ることが可能となる。
また、本実施例では、ベース部材201にカバー部材202を組み付ける組付手段として溶着部が適用されていたが、このような溶着手段に限定されるものではなく、例えばワンウェイネジやラッチ等の組付部材により組み付ける手段であっても良い。
また、本実施例1では、溶着部及び封印部が基板ケース200の一方の短辺部に設けられていたが、一方の長辺部側に回動軸333が配置されている場合は、他方の長辺部側に溶着部及び封印部を設ければ良い。
また、基板ケース200を背板1cに取り付けた状態でも、基板ケース200を第1の回動規制位置Aから第2の回動規制位置Bまで回転させることで遊技制御基板40の裏面40b側を視認することができるため、遊技制御基板40に不正な改造が施されているか否かの確認作業を簡単に行うことができる。また、可動ベース302に基板ケース200が取り付けられた組付状態において、固定ベース301から可動ベース302を取り外したり、可動ベース302から基板ケース200を取り外したりした場合には、切断片233や板状片221等が切断されるなどしてその痕跡が残るだけでなく、ベース取付ネジ335を取り外して背板1cから固定ベース301を取り外した場合、つまり基板ケース200を可動ベース302から取り外すために切断片233を切断するあるいは可動ベース302の被覆部322やカバー部材336等を破壊した場合にもその痕跡が残るため、背板1cから基板ケース200を取り外し、不正な遊技制御基板40を収容した基板ケース200に掏りかえるといった不正行為が行われた可能性があることを発見することができる。
言い換えると、可動ベース302に対する基板ケース200の取り付けや、可動ベース302に対する固定ベース301の取り付けや、背板1cに対する固定ベース301の取り付けは、それらの取り付けに関連する取付関連部位を破壊(切断や剥離等を含む)しない限り各々の取り付け状態を解除することができない取付手段にて行われることで、各々の取付状態を解除した場合には確実にその痕跡が残り、これにより不正行為が行われた可能性があることを確実に発見することができる。
また、特に本実施例では、前面扉1bが筐体1aの左側辺に回動可能に枢支されていることにより、前面扉1bを開放した状態において、基板ケース200も前面扉1bと同様に左側辺を中心に回動するため、基板ケース200の裏面40bを視認する際に、裏面40bが前面扉1bがない右方に開放するため、確認を行う際に前面扉1bが邪魔になることがない。
また、基板ケース200が第1の回動規制位置Aと第2の回動規制位置Bとの間の回動可能範囲内に位置している状態では、常に操作阻止部としての被覆部322が操作溝335cに対向配置されて操作することができなくなるため、ワンウェイネジ等の特殊な取付部材を用いることなく、背板1cから固定ベース301を取り外し不能とすることができるばかりか、被覆部322は、固定ベース301に一体に組み付けられる可動ベース302に設けられていることで、組付状態において簡単に取り外されることがない。尚、本実施例では、操作阻止部としての被覆部322が可動ベース302に設けられていたが、基板ケース200に設けられていても良い。また、ベース取付ネジ335はカバー部材366により覆われた状態で取り付けられるため、ドライバー等の工具を容易にアクセスすることができない。
また、可動ベース302は、固定ベース301に対して着脱位置Cから取り付け、取り外しできるように構成されているため、固定ベース301をベース取付ネジ335により簡単に取り付け、取り外すことができるとともに、ワンウェイネジ240aにより可動ベース302に基板ケース200を取り付けることにより、該取り付けられた基板ケース200に設けられている板状片221により軸支溝320からの回動軸333の離脱が規制され、固定ベース301から取り外すことができなくなった可動ベース302に設けられた被覆部322により、回動可能範囲内において常にベース取付ネジ335による取付状態を解除することができなくなるため、固定ベース301等が破壊されて交換の必要が生じた場合においても、筐体1a等を破壊して固定ベース301を背板1cから取り外したりする必要がないので、筐体1aを使い回すことが可能となる。
また、可動ベース302は、基板ケース200が取り付けられなければ固定ベース301に対して着脱可能であるため、何らかの理由(例えば回動操作したり不正行為されることにより所定部位が破損もしくは破壊されたり、回動軸333との摩擦により軸支溝320が磨耗した場合等)により交換が必要になった場合において、簡単に固定ベース301から取り外すことができる。
また、固定ベース301からの可動ベース302の離脱を、ワンウェイネジ240aによる基板ケース200の可動ベース302への取り付けを利用して規制できるので、基板ケース200を可動ベース302から取り外すだけで可動ベース302を固定ベース301から取り外して交換することができるばかりか、可動ベース302に基板ケース200を取り付けるためのワンウェイネジ240aとは別個に、回動軸333の軸支溝320からの離脱を規制する手段を新たに設ける必要がないので、ケース支持装置300の構造を簡素化できるばかりか、作業負荷を低減することができる。
また、可動ベース302への基板ケース200の取り付けを、一度取付台座315に取り付けると取り外すことができないワンウェイネジ240aにて行うため、切断片233を切断して取付封止片230を基板ケース200の本体部から分離するか、あるいは可動ベース302の一部である取付台座315等を破壊するなどしない限り、基板ケース200を可動ベース302から取り外すことができないが、切断片233を切断して取付封止片230を基板ケース200の本体部から分離することにより基板ケース200を可動ベース302から取り外した場合には、基板ケース200から切り離された取付封止片230がワンウェイネジ240aとともに取付台座315に保持され、取付封止片230が単体の部材とはならずに可動ベース302の取付台座315に残存するので、取付台座315とともに廃棄することができる。
尚、本実施例では、基板ケース200の被取付部としての取付封止片230、予備用取付封止片231が取り付けられる可動ベース302の取付部としての取付穴316a、316bを有する取付台座315は、可動ベース302に対して取り付け、取り外し可能に設けられているため、基板ケース200を2回取り外した場合でも、取付台座315のみを交換すれば、可動ベース302を交換せずに使いまわすことが可能であるが、これら取付穴316a、316bは可動ベース302に直接形成されていても良い。
また、可動ベース302は、着脱位置C(第3の位置)まで回動させる、つまり特殊な取り外し作業を行うことなく、基板ケース200を回転させるのと同じ操作を行うだけで固定ベース301から簡単に取り外すことができるばかりか、軸規制部としての板状片221は少なくとも着脱位置において回動軸333に直接当接することにより軸支溝320からの離脱を規制することで、基板ケース200の回動可能範囲外に着脱位置を設ける必要がないので、基板ケース200の回動可能範囲を極力小さくすることができる。
また、回動軸333を被覆する板状片221を、離脱規制部として利用することができるため、基板ケース200の構造を簡素化することができるばかりか、板状片221は、基板ケース200がワンウェイネジ240aにより可動ベース302に取り付けられた状態において、該基板ケース200の左側が係止部としての係止板323に係止されるため、左辺及び右辺双方にワンウェイネジ240aを設けることなく、基板ケース200の左右短辺部を可動ベース302に取り付けることができる。
また、ワンウェイネジ240aによる基板ケース200の可動ベース302への取り付けを利用して回動軸333を軸被覆部としての板状片221により被覆できることで、固定ベース301等に予め軸被覆部を形成しておく必要がないので、製造時において固定ベース301に可動ベース302を簡単に組み付けることができるとともに、ワンウェイネジ240aとは別個に軸被覆部を取り付ける手段等を設ける必要がないので、構造を簡素化できるばかりか、作業負荷を低減することができる。
また、本実施例では、可動ベース302とともに基板ケース200を回動させることにより、遊技制御基板40の実装面40a及び裏面40b(一面及び他面(表裏面))が視認可能となれば、実装面40aまたは裏面40bのうち一方が視認可能となる位置において、必ずしも他方が筐体1aの所定部位(背板や側板の内面等)に対向配置される必要はない。
また、本実施例では、基板ケース200の一側辺を可動ベース302に係止する板状片221が、軸支溝320からの回動軸333の離脱を規制する規制部及び回動軸333を被覆する被覆部を構成していたが、軸支溝320からの回動軸333の離脱を規制する規制部及び回動軸333を被覆する被覆部は、基板ケース200の一側辺を可動ベース302に係止する板状片221とは別の部位にて構成されていても良い。
また、本実施例では、可動ベース302に対して基板ケース200がワンウェイネジ240a、240bにて取り付けられるようになっていたが、係止ピン等の取付部材や、接着剤等の取付部材、つまり一度取り付けると取り外すことができない取付部材を介して取り付けられるようにしても良い。さらに、可動ベース302に対して基板ケース200を取り付けるための係止ピン等が、予め基板ケース200または可動ベース302に一体的に形成されていても良い。
また、本実施例では、カバー部材202とベース部材201との封止を、熱溶着及び封印シールにて行っているが、ワンウェイネジや係止ピン等の固着部材や、接着剤等の固着部材を介して固着されるようにしても良い。
また、本実施例では、基板ケース200は、ケース支持装置300を介して筐体1aの背板1cの内面上部に回動可能に支持されていたが、背板1cに取り付けられるものに限定されるものではなく、筐体1aの左右の側板内面等に取り付けられていても良いし、あるいは前面扉1bの裏面等に取り付けられていても良い。さらには、これら筐体1aまたは前面扉1bに設けられる付属部材等に取り付けられていても良い。
また、本実施例では、基板ケース200は、回路基板としての遊技制御基板40の裏面40b側を被覆可能なベース部材201と、該ベース部材201の開口を開閉可能であり、遊技制御基板40の実装面40a側を被覆可能なカバー部材202と、から構成されていたが、遊技制御基板40の表裏面を被覆可能に収容するケース体と蓋体とから構成されていても良く、この場合、ケース体に実装面40aを透視可能な第1の透視部及び裏面40bを透視可能な第2の透視部双方が設けられていれば良い。
また、本実施例では、カバー側溶着部223及びベース側溶着部207からなる溶着部と取付封止片230及びワンウェイネジ240aからなる取付封止部とを含む組付手段と、ベース側封印部229及びカバー側封印部224からなる封印部とは、基板ケース200におけるケース支持装置300の回動軸333(軸部)側に配置される左側辺と対向する右側辺に並設されている。よって、基板ケース200を可動ベース302に取り付けた状態において、可動ベース302を第2の規制位置Bまで回動させることにより、溶着及びワンウェイネジ240a等の組付手段による封止状態及び封印シール400による封印部の封印状態双方を一度に目視することができるため、封止状態が解除されてカバー部材202が開封された痕跡があるか否か、つまり遊技制御基板40に不正な改造が施されているか否かの確認作業を簡単に行うことができる。
また、固定ベース301を金属板にて構成して強度を向上させている場合においても、ICタグ403を有する封印シール400が該固定ベース301側の側辺と反対側の対向側辺に配置されることで、金属製の固定ベース301の影響でアンテナ部406に対して設定された周波数が変化するなどしてリーダ装置へのID情報の発信が阻害されることを回避できる。
以上、本発明の実施例1を図面により説明してきたが、本発明は本実施例1に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。
例えば、前記実施例1では、遊技機としてスロットマシンを適用しているが、遊技の制御を行う遊技制御手段が搭載される遊技制御基板と、遊技制御手段に対して電断復帰後も電断前の状態に復帰できるようにバックアップ電源を供給する第2電源基板と、が同じ基板ケース内に収納されて遊技機本体に取り付けられる構成であれば、遊技領域内に遊技球を射出して遊技を行うパチンコ遊技機に適用しても良い。
また、前記実施例1では、遊技機の一例であるスロットマシンとして、遊技用価値としてメダル並びにクレジットを用いて賭数が設定されるスロットマシンを適用しているが、遊技用価値として遊技球を用いて賭数を設定するスロットマシンや、遊技用価値としてクレジットのみを使用して賭数を設定する完全クレジット式のスロットマシンを適用しても良い。遊技球を遊技用価値として用いる場合は、例えば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させることができ、前記実施例1で賭数として3を設定する場合は、15個の遊技球を用いて賭数を設定するものに相当する。
さらに、メダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値のうちいずれか1種類のみを用いるものに限定されるものではなく、例えば、メダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値を併用できるものであっても良い。すなわち、メダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値のいずれを用いても賭数を設定してゲームを行うことが可能であり、かつ入賞の発生によってメダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値のいずれをも払い出し得るスロットマシンを適用しても良い。
前記実施例1のスロットマシン1では、可変表示装置として3つのリール2L、2C、2Rを適用した例について説明しているが、1つのみリールを備え、この1つのリールの表示結果に応じて入賞が判定されるものでも良いし、2つのリールを備え、2つのリールの表示結果の組み合わせに応じて入賞が判定されるものでも良いし、4つ以上のリールを備え、これらリールの表示結果の組み合わせに応じて入賞が判定されるものでも良い。