以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同じ物を指し示す符号は異なる図面間において共通とする。
なお、各実施の形態の図面等において示す各構成の大きさ、層の厚さ、信号波形は、明瞭化のために誇張されて表記している場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
また、トランジスタの「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
(実施の形態1)
本実施の形態では、記憶装置が具備するメモリセルの構成及びその動作について説明を行う。
まず、メモリセルの構成及び周辺の接続関係について説明する。
図1(A)に、1ビットのデータを保持できるメモリセルの回路図の一例を示す。図1(A)に示すメモリセル100は、メモリセル100を選択してデータを書き込むためのトランジスタ101、メモリセル100に書き込まれたデータを読み出すための読み出し回路102と、を有する。
メモリセル100は、ワード線WL、データをメモリセル100に書き込むための書き込み用ビット線WBL、メモリセル100からデータを読み出すための読み出し用ビット線RBLに接続されている。
読み出し回路102は、メモリセル100に入力及び保持されたデータの論理を反転して出力するためのインバータ回路103と、インバータ回路103と読み出し用ビット線RBLとの間の電気的接続を切り替えるスイッチ104と、を有する。なおスイッチ104の電気的接続状態は、読み出し制御信号REにより制御される。
また書き込み用ビット線WBLと読み出し用ビット線RBLとの間には、メモリセル100に保持されたデータをリフレッシュするためのリフレッシュ回路105を有する。
リフレッシュ回路105は、読み出し用ビット線RBLに出力されたデータの論理を反転して出力するためのインバータ回路106と、インバータ回路106と書き込み用ビット線WBLとの間の電気的接続を切り替えるスイッチ107と、を有する。なおスイッチ107の電気的接続状態は、リフレッシュ制御信号RFEにより制御される。
書き込み用ビット線WBLは、外部より入力されるデータの論理を反転して出力するインバータ回路108と、インバータ回路108と書き込み用ビット線WBLとの間の電気的接続を切り替えるスイッチ109と、を有する。なおスイッチ109の電気的接続状態は、書き込み制御信号WEにより制御される。なお図1(A)では、インバータ回路108は一段であるが、多段のインバータ回路で構成してもよい。
読み出し用ビット線RBLは、メモリセル100より出力されるデータの論理を反転して出力するインバータ回路110を有する。なお図1(A)では、インバータ回路110は一段であるが、多段のインバータ回路で構成してもよい。
なおメモリセル100内のインバータ回路103は、説明のため、電源線VDDに接続されたpチャネル型トランジスタ111と、電源線VSSに接続されたnチャネル型トランジスタ112と、を有し、CMOS型のインバータ回路を構成している。インバータ回路103以外のインバータ回路である、インバータ回路106、インバータ回路108及びインバータ回路110も同様にCMOS型のインバータ回路を構成している。CMOS型のインバータ回路は、入出力特性が高速であるため好ましい。なおインバータ回路は、CMOS型に限らず、負荷抵抗型等の他の回路構成とすることもできる。
トランジスタ101は、ソース及びドレインの一方が書き込み用ビット線WBLに接続されている。トランジスタ101は、ゲートがワード線WLに接続されている。トランジスタ101は、ソース及びドレインの他方がインバータ回路103の入力端子、すなわちpチャネル型トランジスタ111のゲート及びnチャネル型トランジスタ112のゲートに接続されている。
なおトランジスタ101のソース及びドレインの他方とインバータ回路103の入力端子とが接続されるノードには、容量素子113の一方の電極が接続される。また容量素子113の他方の電極は、電源線VSSに接続されている。なお容量素子113は、インバータ回路103のゲート容量を用いることで、省略することも可能である。なお容量素子113の他方の電極は、電源線VSS以外の配線に接続されていても良い。
インバータ回路103は、電源線VDD及び電源線VSSより電源が供給される。すなわち、pチャネル型トランジスタ111のソースが電源線VDDに接続され、nチャネル型トランジスタ112のソースが電源線VSSに接続されている。
スイッチ104の一方の端子は、インバータ回路103の出力端子、すなわちpチャネル型トランジスタ111のドレイン及びnチャネル型トランジスタ112のドレインに接続されている。スイッチ104の他方の端子は、読み出し用ビット線RBLに接続されている。
インバータ回路106の入力端子は、読み出し用ビット線RBLに接続されている。なおインバータ回路106においても、インバータ回路103と同様に、電源線VDD及び電源線VSSより電源が供給される。なおインバータ回路106には、インバータ回路103と同じ電源線による電源が供給される構成とする必要はなく、別の電源線により電源が供給される構成としてもよい。
スイッチ107の一方の端子は、インバータ回路106の出力端子に接続されている。スイッチ107の他方の端子は、書き込み用ビット線WBLに接続されている。
インバータ回路108の入力端子は、データの入力端子に接続されている。なおインバータ回路108においても、インバータ回路103と同様に、電源線VDD及び電源線VSSより電源が供給される。なおインバータ回路108には、インバータ回路103と同じ電源線による電源が供給される構成とする必要はなく、別の電源線により電源が供給される構成としてもよい。
スイッチ109の一方の端子は、インバータ回路108の出力端子に接続されている。スイッチ109の他方の端子は、書き込み用ビット線WBLに接続されている。
インバータ回路110の入力端子は、読み出し用ビット線RBLに接続されている。インバータ回路110の出力端子は、データの出力端子に接続されている。なおインバータ回路110においても、インバータ回路103と同様に、電源線VDD及び電源線VSSより電源が供給される。なおインバータ回路110には、インバータ回路103と同じ電源線による電源が供給される構成とする必要はなく、別の電源線により電源が供給される構成としてもよい。
なおトランジスタ101は、チャネル幅あたりのオフ電流が1×10−22A/μm以下の具備するトランジスタである。
なお、チャネル幅あたりのオフ電流が1×10−22A/μm以下のトランジスタとしては、酸化物半導体をチャネル領域に用いたトランジスタを一例としてあげることができる。本実施の形態では、チャネル幅あたりのオフ電流が1×10−22A/μm以下の具備するトランジスタとして、半導体材料である酸化物半導体をチャネル領域に用いる構成を例にあげて説明を行う。
なお図面において、トランジスタ101は酸化物半導体をチャネル領域に具備するトランジスタであることを示すために、OSの符号を付している。なおトランジスタ101は、nチャネル型トランジスタとして以下動作等の説明を行う。
なおチャネル幅あたりのオフ電流が1×10−22A/μm以下のトランジスタとしては他にも、シリコンよりもバンドギャップが大きい半導体材料を用いて実現することもできる。なおシリコンよりもバンドギャップとしては、2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である半導体材料を用いればよい。
ここで、トランジスタ101のチャネル領域に用いる酸化物半導体について詳述する。
トランジスタの半導体層中のチャネル領域に用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)または亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にIn及びZnを含むことが好ましい。また、それらに加えて、酸素を強く結びつけるスタビライザーを有することが好ましい。スタビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)及びアルミニウム(Al)の少なくともいずれかを有すればよい。
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種または複数種を有してもよい。
例えば、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物や、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、In−Zr−Zn系酸化物、In−Al−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物や、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物や、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物や、In−Ga系の材料、一元系金属の酸化物であるIn系酸化物、Sn系酸化物、Zn系酸化物などを用いることができる。
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、In、Ga及びZnを主成分として有する酸化物という意味であり、In、Ga及びZnの比率は問わない。
また、酸化物半導体として、InMO3(ZnO)m(m>0)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、In2SnO5(ZnO)n(n>0)で表記される材料を用いてもよい。
例えば、In:Ga:Zn=3:1:2、In:Ga:Zn=1:1:1またはIn:Ga:Zn=2:2:1の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。または、In:Sn:Zn=1:1:1、In:Sn:Zn=2:1:3またはIn:Sn:Zn=2:1:5の原子数比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+c=1)である酸化物が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C=1)の酸化物のrだけ近傍であるとは、a、b、cが、式(1)を満たすことをいう。
(a―A)2+(b―B)2+(c―C)2≦r2 (1)
rとしては、例えば、0.05とすればよい。他の酸化物でも同様である。
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャリア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
また、酸化物半導体を半導体層中のチャネル領域に用いたトランジスタは、酸化物半導体を高純度化することにより、オフ電流(ここでは、オフ状態のとき、例えばソース電位を基準としたときのゲート電位との電位差がしきい値電圧以下のときのドレイン電流とする)を十分に低くすることができる。例えば酸化物半導体の高純度化は、加熱成膜により水素や水酸基を酸化物半導体中に含ませないようにし、または成膜後の加熱により膜中から除去することで、実現できる。高純度化されることにより、チャネル領域にIn−Ga−Zn系酸化物を用いたトランジスタで、チャネル幅あたりのオフ電流を1×10−24A/μm(1yA/μm)から1×10−22A/μm(100yA/μm)程度とすることが可能である。
また、成膜される酸化物半導体膜は、単結晶、多結晶(ポリクリスタルともいう。)または非晶質などの状態をとる。
好ましくは、酸化物半導体膜は、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜とする。
CAAC−OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC−OS膜は、非晶質相に結晶部及び非晶質部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体膜である。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には粒界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸及びb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結晶部のc軸の方向は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
以上がトランジスタ101のチャネル領域に用いる酸化物半導体についての説明である。
一方、インバータ回路103、インバータ回路106、インバータ回路108、インバータ回路110、スイッチ104、スイッチ107及びスイッチ109を構成するトランジスタは、シリコンをチャネル領域に具備するトランジスタで構成することができる。シリコンをチャネル領域に具備するトランジスタは、入出力特性を高めるため、微細化されたトランジスタを用いることが好適である。
なおシリコンをチャネル領域に具備するトランジスタは、微細化された構造のトランジスタであることが好適であり、この場合トップゲート型のトランジスタが好適である。またチャネル領域が形成される半導体層は、単結晶シリコン基板上に直接トランジスタを形成して用いる構成であってもよいし、SOI(Silicon on Insulator)基板上のシリコン層を用いる構成であってもよいし、または単結晶シリコン膜を別の基板に貼り合わせて得られる半導体層を用いる構成であってもよい。また素子分離層は、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)技術や、STI(Shallow Trench Isolation)を用いて作製すればよい。
またシリコンをチャネル領域に具備するトランジスタと、チャネル幅あたりのオフ電流が1×10−22A/μm以下のトランジスタ101とを積層して配置する構成としてもよい。すなわち、インバータ回路103、インバータ回路106、インバータ回路108、インバータ回路110、スイッチ104、スイッチ107及びスイッチ109の各素子は、トランジスタ101と積層して配置する構成としてもよい。当該構成とすることで、記憶装置の大型化を抑制することができる。
また本実施の形態の構成は、容量素子113をトランジスタ101と同様に、シリコンをチャネル領域に具備するトランジスタと積層して配置する構成とすることが好適である。当該構成とすることで、容量素子113が占める面積を大きくしても、記憶装置の大型化を抑制することができる。
次いで、図1(A)で示した記憶装置の動作を説明する。記憶装置の動作は、データ書き込み動作(期間T1)、データ読み出し動作(期間T2)、電源停止時(期間T3)、データリフレッシュ動作(期間T4)に大別することができる。図1(B)は、期間T1乃至期間T4の各動作を模式的に示したタイミングチャート図である。なお各動作時の電荷の流れ、及び各配線の電位について、太線矢印及び符号を用いた模式図を図2(A)乃至図2(D)に示す。
データの書き込み動作が行われる期間T1は、図1(B)のタイミングチャート図中の期間T1に対応する。また図2(A)の模式図がデータの書き込み動作が行われる期間T1に対応する。
なお図1(B)では、メモリセルで保持するデータがHレベルの信号であるとして説明を行う。また説明のため、図1(A)における書き込み用ビット線WBLの電位をW_Data、トランジスタ101のソース及びドレインの他方とインバータ回路103の入力端子とが接続されたノードの電位をH_Data、読み出し用ビット線RBLの電位をR_Dataとして説明を行う。
メモリセル100におけるデータの書き込み動作は、次のようにして行うことができる。まず電源が供給された状態で、書き込み制御信号WEの制御によりスイッチ109をオンにし、読み出し制御信号REの制御によりスイッチ104をオフにし、リフレッシュ制御信号RFEの制御によりスイッチ107をオフにする。そして、ワード線の電位をHレベルにしてトランジスタ101を導通状態にし、H_Dataの電位をW_Dataと同じHレベルの電位にする。このときR_Dataは、電気的に浮遊状態(図1(B)中、「X」で表記)となっている。
また期間T1について示す図2(A)の模式図では、H_Dataの電位がW_Dataと同じHレベルの電位となる様子を、太線矢印による電荷の流れで表している。なお期間T1では、読み出し制御信号REの制御によりスイッチ104をオフにしているものの、シリコンをチャネル領域に具備するpチャネル型トランジスタ111及びnチャネル型トランジスタ112のソースとドレインとの間を流れるリーク電流I_leakが生じる(図2(A)中、太線点線矢印)。なお前述のリーク電流は、インバータ回路であれば起こりうるものであり、他のインバータ回路でも生じるものである。
データの読み出し動作が行われる期間T2は、図1(B)のタイミングチャート図中の期間T2に対応する。また図2(B)の模式図がデータの読み出し動作が行われる期間T2に対応する。
メモリセル100におけるデータの読み出し動作は、次のようにして行うことができる。まず電源が供給された状態で、書き込み制御信号WEの制御によりスイッチ109をオフにし、読み出し制御信号REの制御によりスイッチ104をオンにし、リフレッシュ制御信号RFEの制御によりスイッチ107をオフにする。そして、ワード線の電位をLレベルにしてトランジスタ101を非導通状態にし、H_Dataの電位を期間T1で書き込んだデータの電位に保持しておく。このH_Dataの電位が保持された状態で、インバータ回路103の出力端子の電位は、H_Dataの論理が反転した信号であるLレベルの電位となる。そしてスイッチ104がオンとなる期間T2では、インバータ回路103の出力端子の電位であるLレベルの電位がR_Dataの電位となる。このときW_Dataは、電気的に浮遊状態(図1(B)中、「X」で表記)となっている。
また期間T2について示す図2(B)の模式図では、インバータ回路103の出力による電位がR_Dataと同じLレベルの電位となる様子を、太線矢印による電荷の流れで表している。なお期間T2では、ワード線の電位をLレベルにしてトランジスタ101を非導通状態にし、H_Dataの電位を期間T1で書き込んだデータの電位に保持しておく。なお図2(B)では、トランジスタ101が非導通状態となる様子を、トランジスタ回路記号上に「X」印を付して示している。
トランジスタ101は、チャネル幅あたりのオフ電流が1×10−22A/μm以下である。従って、電位の変化がほとんどない状態で、H_Dataに期間T1で書き込んだデータの電位を保持することができる。
電源停止の動作が行われる期間T3は、図1(B)のタイミングチャート図中の期間T3に対応する。また図2(C)の模式図が電源停止の動作が行われる期間T3に対応する。
メモリセル100における電源停止の動作は、次のようにして行うことができる。まずワード線の電位をLレベルにしてトランジスタ101を非導通状態にした状態で、書き込み制御信号WEの制御によりスイッチ109をオフにし、読み出し制御信号REの制御によりスイッチ104をオフにし、リフレッシュ制御信号RFEの制御によりスイッチ107をオフにする。そして電源線VDDの電位をLレベルにする。この電源線VDDの電位をLレベルとした状態では、各インバータ回路に電源が供給されておらず、リーク電流がない状態とすることができる。そのため記憶装置は、電源の供給を停止すること及びリーク電流がない状態とすることにより、低消費電力化を図ることができる。またトランジスタ101はチャネル幅あたりのオフ電流が1×10−22A/μm以下であるため、電源の供給がない状態であっても、H_Dataの電位を期間T1で書き込んだデータの電位であるHレベルの電位に保持しておくことができる。このときW_Data及びR_DATAは、共に電気的に浮遊状態(図1(B)中、「X」で表記)となっている。
また期間T3について示す図2(C)の模式図では、トランジスタ101が非導通状態となる様子を、トランジスタ回路記号上に「X」印を付して示している。また図2(C)の模式図では、電源の供給を停止することでリーク電流がない状態となったインバータ回路上に「X」印を付して示している。上述したようにトランジスタ101は、チャネル幅あたりのオフ電流が1×10−22A/μm以下であるため、オフ電流を極めて小さい値にすることができ、H_Dataに期間T1で書き込んだデータの電位を保持することができる。
メモリセル100に保持されたデータをリフレッシュする期間T4は、図1(B)のタイミングチャート図中の期間T4に対応する。また図2(D)の模式図がデータをリフレッシュする動作が行われる期間T4に対応する。
メモリセル100におけるデータをリフレッシュする動作は、次のようにして行うことができる。まず電源が供給された状態で、書き込み制御信号WEの制御によりスイッチ109をオフにし、読み出し制御信号REの制御によりスイッチ104をオンにし、リフレッシュ制御信号RFEの制御によりスイッチ107をオンにする。そして、ワード線の電位をHレベルにしてトランジスタ101を導通状態にし、H_Dataの電位をW_Dataと同じHレベルの電位にする。なおW_Dataの電位はインバータ回路106によりR_Dataの論理が反転した信号による電位であり、R_Dataの電位はインバータ回路103によりH_Dataの論理が反転した信号による電位であるため、H_DATAは元のデータの電位が書き換えられた状態となる。
なおトランジスタ101は、チャネル幅あたりのオフ電流が1×10−22A/μm以下である。従って、例えば、トランジスタ101のソース及びドレインの他方とインバータ回路103の入力端子とが接続されたノードの静電容量を1fFとし、トランジスタ101のオフ電流を1yA/μmとすると、10年に1回程度のリフレッシュ動作でもデータの保持を可能にすることができる。従って、図1(B)に示したH_DATAの時間経過による電位の降下量である「dV」は極めて小さく、本実施の形態のメモリセル100では、リフレッシュ動作の回数を少ないものとすることができる。
また期間T4について示す図2(D)の模式図では、H_Dataの電位がW_Dataと同じHレベルの電位となる様子、及びインバータ回路103の出力による電位がR_Dataと同じLレベルの電位となる様子を、太線矢印による電荷の流れで表している。
なお期間T4において、ワード線WLの導通状態の制御、スイッチ104の制御、及びスイッチ107の制御のタイミングについて、図3を用いて詳述する。
図3に示すように、期間T4においては、まずスイッチ104をオンにするよう読み出し制御信号REを制御して読み出し用ビット線RBLの電位であるR_DATAを確定させる(タイミングt1)。
次いで、スイッチ107をオンにするようリフレッシュ制御信号RFEを制御して書き込み用ビット線WBLの電位であるW_DATAを確定させる(タイミングt2)。
次いで、ワード線WLの電位をHレベルにしてトランジスタ101を導通状態にし、H_Dataの電位をW_Dataと同じ電位となるよう制御する(タイミングt3)。
以上説明した期間T4での、ワード線WLの導通状態の制御、スイッチ104の制御、及びスイッチ107の、タイミングt1乃至t3での制御のタイミングにより、メモリセル100のデータを誤動作なくリフレッシュすることができる。
以上が、図1(A)で示したメモリセル100の動作の説明である。
なお、図1(A)の構成において、インバータ回路103及びインバータ回路106をそれぞれ複数設ける構成としてもよい。例えば、図4に示すように、読み出し回路102内のインバータ回路としてインバータ回路103A及びインバータ回路103Bを設け、リフレッシュ回路105内のインバータ回路としてインバータ回路106A及びインバータ回路106Bを設ける構成としてもよい。
なおインバータ回路をそれぞれ複数設ける構成とすることで、電荷供給能力の高いトランジスタサイズの大きいインバータ回路を多段に接続し、バッファとしても機能を高めることができる。インバータ回路のバッファとしての機能を高めることで、信号を出力する配線の負荷が大きい場合であっても、信号が出力される配線の電位の立ち上がりや立ち下がりを急峻な波形とすることができる。
本実施の形態で示した記憶装置は、電源の供給を停止しても記憶内容が失われず、且つリーク電流の低減及び定期的なリフレッシュ回数を大幅に削減可能にして、低消費電力化が図られたものとすることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で説明した、記憶装置が具備するメモリセルの構成について、別の構成を示し、説明する。
図5は、図1(A)で示した回路図におけるインバータ回路103をトランジスタ203とし、メモリセルに保持された電流出力されるデータを電圧値に変換するための電流電圧変換回路を有する構成としたものである。
図5に示すメモリセル200は、メモリセル200を選択してデータを書き込むためのトランジスタ201、メモリセル200に書き込まれたデータを読み出すための読み出し回路202と、を有する。
メモリセル200は、ワード線WL、データをメモリセル200に書き込むための書き込み用ビット線WBL、メモリセル200からデータを読み出すための読み出し用ビット線RBLに接続されている。
読み出し回路202は、メモリセル200に入力及び保持されたデータを電流出力するためのトランジスタ203と、トランジスタ203のソース及びドレインの一方と読み出し用ビット線RBLとの間の電気的接続を切り替えるスイッチ204と、を有する。なお本実施の形態においてトランジスタ203は、nチャネル型トランジスタとして説明を行うが、pチャネル型トランジスタであってもよい。なおスイッチ204の電気的接続状態は、読み出し制御信号REにより制御される。
また書き込み用ビット線WBLと読み出し用ビット線RBLとの間には、メモリセル200に保持されたデータをリフレッシュするためのリフレッシュ回路205を有する。
リフレッシュ回路205は、読み出し用ビット線RBLに出力されたデータの論理を反転して出力するためのインバータ回路206と、インバータ回路206と書き込み用ビット線WBLとの間の電気的接続を切り替えるスイッチ207と、を有する。なおスイッチ207の電気的接続状態は、リフレッシュ制御信号RFEにより制御される。
書き込み用ビット線WBLは、外部より入力されるデータの論理を反転して出力するインバータ回路208と、インバータ回路208と書き込み用ビット線WBLとの間の電気的接続を切り替えるスイッチ209と、を有する。なおスイッチ209の電気的接続状態は、書き込み制御信号WEにより制御される。
読み出し用ビット線RBLは、メモリセル200より出力されるデータの論理を反転して出力するインバータ回路210を有する。また読み出し用ビット線RBLは、電流電圧変換回路221に接続されている。
電流電圧変換回路221は、メモリセル200に保持された電流出力されるデータを電圧値に変換するための負荷222を有する。負荷222は、電源線Vbbに接続されている。負荷222及び電源線Vbbは、メモリセル200で電流出力されたデータを、読み出し用ビット線RBLの電位の変化に変換して出力することができる。なお電源線Vbbの電位は、電源線VDDの電位と電源線VSSの電位との間の電位とすればよい。
なお、インバータ回路206、インバータ回路208及びインバータ回路210は、CMOS型のインバータ回路を構成している。CMOS型のインバータ回路は、入出力特性が高速であるため好ましい。
トランジスタ201は、ソース及びドレインの一方が書き込み用ビット線WBLに接続されている。トランジスタ201は、ゲートがワード線WLに接続されている。トランジスタ201は、ソース及びドレインの他方がトランジスタ203のゲートに接続されている。
なおトランジスタ201のソース及びドレインの他方とトランジスタ203のゲートとが接続されるノードには、容量素子213の一方の電極が接続される。また容量素子213の他方の電極は、電源線VSSに接続されている。なお容量素子213は、トランジスタ203のゲート容量を用いることで、省略することも可能である。
トランジスタ203は、ソース及びドレインの一方がスイッチ204の一方の端子に接続されている。またトランジスタ203は、ソース及びドレインの他方が電源線VSSに接続されている。
スイッチ204の他方の端子は、読み出し用ビット線RBLに接続されている。
インバータ回路206の入力端子は、読み出し用ビット線RBLに接続されている。なおインバータ回路206には、電源線VDD及び電源線VSSより電源が供給される。
スイッチ207の一方の端子は、インバータ回路206の出力端子に接続されている。スイッチ207の他方の端子は、書き込み用ビット線WBLに接続されている。
インバータ回路208の入力端子は、データの入力端子に接続されている。なおインバータ回路206には、電源線VDD及び電源線VSSより電源が供給される。
スイッチ209の一方の端子は、インバータ回路208の出力端子に接続されている。スイッチ209の他方の端子は、書き込み用ビット線WBLに接続されている。
インバータ回路210の入力端子は、読み出し用ビット線RBLに接続されている。インバータ回路210の出力端子は、データの出力端子に接続されている。なおインバータ回路210には、電源線VDD及び電源線VSSより電源が供給される。
負荷222の一方の端子は、読み出し用ビット線RBLに接続されている。負荷222の他方の端子は、電源線Vbbに接続されている。
なおトランジスタ201は、チャネル幅あたりのオフ電流が1×10−22A/μm以下のトランジスタである。チャネル幅あたりのオフ電流が1×10−22A/μm以下のトランジスタについての説明は、実施の形態1のトランジスタ101で述べた説明と同様である。
トランジスタ203、インバータ回路206、インバータ回路208、インバータ回路210、スイッチ204、スイッチ207及びスイッチ209を構成するトランジスタは、シリコンをチャネル領域に具備するトランジスタで構成することができる。シリコンをチャネル領域に具備するトランジスタについての説明は、実施の形態1で述べた説明と同様である。
なお図5に示すメモリセル200の動作については、実施の形態1のメモリセル100におけるデータの読み出しに関する動作が異なるため、この点について詳述する。
なお図5では、メモリセルで保持するデータがHレベルの信号であるとして説明を行う。また図5では、図1(A)と同様に、書き込み用ビット線WBLの電位をW_Data、トランジスタ201のソース及びドレインの他方とトランジスタ203のゲートとが接続されたノードの電位をH_Data、読み出し用ビット線RBLの電位をR_Dataとして説明を行う。
本実施の形態におけるメモリセル200からのデータの読み出しは、H_DataがHレベルの信号であるとき、トランジスタ203のソースとドレインとの間に流れる電流として出力されることとなる。この電流は、スイッチ204をオンにすると、負荷222により読み出し用ビット線RBLでの電圧に変換される。例えばH_DataがHレベルの信号であるとき、読み出し用ビット線RBLでの電圧はLレベルの信号に変換される。なお、H_DataがLレベルの信号であるとき、読み出し用ビット線RBLでの電圧はHレベルの信号に変換される。
なおメモリセル200におけるトランジスタ201は、チャネル幅あたりのオフ電流が1×10−22A/μm以下である。従って、電位の変化がほとんどない状態で、H_Dataに書き込んだデータの電位を保持することができる。
なお本実施の形態におけるメモリセル200でのその他の動作にあたる、データ書き込み動作、電源停止時、データリフレッシュ動作に関しては、実施の形態1での動作を参照して行うことができる。
なお、図5の構成において、スイッチ204を省略する構成としてもよい。例えば、図6に示すように、トランジスタ203のソース及びドレインの一方を読み出し用ビット線RBLに接続する構成としてもよい。この場合、容量素子213の他方の電極は、読み出し用ワード線RWLに接続する。
図6のメモリセル200では、読み出し時以外の期間で、読み出し用ワード線RWLの電位をLレベルにしておく。そして、データの読み出し時には、読み出しを行わないメモリセル200に接続される読み出し用ワード線RWLの電位をLレベルより低い電位にしておき、読み出しを行うメモリセル200に接続される読み出し用ワード線RWLの電位をLレベルとする。そして、図5と同様に、データの読み出し時にH_DataがHレベルの信号であるとき、トランジスタ203のソースとドレインとの間に流れる電流として出力されることとなる。この電流は、負荷222により読み出し用ビット線RBLでの電圧に変換される。
本実施の形態で示した記憶装置は、実施の形態1と同様に、電源の供給を停止しても記憶内容が失われず、且つリーク電流の低減及び定期的なリフレッシュ回数を大幅に削減可能にして、低消費電力化が図られたものとすることができる。特に本実施の形態の構成では、メモリセル内にインバータ回路を設けない構成とすることで、メモリセルの小型化を図ることができる。
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態2で説明したメモリセル200のスイッチ204をトランジスタであるとして、メモリセルをマトリクス上に複数配置したブロック図を示し、説明する。
図7は、図5で説明した回路図におけるスイッチ204をトランジスタ204Trに置き換えて図示したものである。図7においてトランジスタ204Trは、ゲートが読み出し制御線RELに接続されている。またトランジスタ204Trのソース及びドレインの一方は、トランジスタ203のソース及びドレインの一方に接続されている。またトランジスタ204Trのソース及びドレインの他方は、読み出し用ビット線RBLに接続されている。
図7におけるスイッチとして機能するトランジスタ203Trは、読み出し用ビット線RWLの信号に応じて、導通状態または非導通状態が選択される。トランジスタ203Trがnチャネル型トランジスタであれば、読み出し用ビット線RWLの電位はHレベルのとき導通状態となり、Lレベルのとき非導通状態となる。
次いで図8には、複数のメモリセルを有するメモリセルアレイ及びその周辺回路のブロック図を示す。なお図で示すメモリセルは、図7で示したメモリセル200として示す。
図8のブロック図では、メモリセルアレイ300、メモリセル301、リフレッシュ回路302、書き込み制御部303、読み出し制御部304、電流電圧変換回路305、第1のローデコーダ306、第2のローデコーダ307、書き込み用カラムデコーダ308、読み出し用カラムデコーダ309、及び電源回路310を示している。
メモリセルアレイ300は、メモリセル301がマトリクス状に配置されている。メモリセル301には、図7で示したように、書き込み用ビット線WBL、読み出し用ビット線RBL、ワード線WL、読み出し用ビット線RBL、電源線VDD、電源線VSSに接続されている。
列方向に設けられたメモリセル301毎に、書き込み用ビット線WBLと読み出し用ビット線RBLとの間には、リフレッシュ回路302が設けられる。リフレッシュ回路302には、リフレッシュ制御信号RFEが入力される。
各列の書き込み用ビット線WBLは、インバータ回路及びスイッチを有する書き込み制御部303に接続され、書き込み用カラムデコーダ308からのデータの書き込みが制御される。書き込み用ビット線WBLへのデータの書き込みは、書き込み制御部303に入力される書き込み制御信号WEにより制御される。
各列の読み出し用ビット線RBLは、インバータ回路を有する読み出し制御部304及び電流電圧変換回路305に接続され、読み出し用カラムデコーダ309へのデータの読み出しが行われる。
各行のワード線WLは第1のローデコーダ306に接続され、複数のワード線WLのいずれか一行にメモリセルへのデータの書き込みを制御する信号を出力する。また各行の読み出し用ワード線RWLは第2のローデコーダ307に接続され、複数の読み出し用ワード線RWLのいずれか一行にメモリセルへのデータの読み出しを制御する信号を出力する。
電源回路310は、各メモリセルへの電源の供給または電源の停止を切り替えて出力することができる。
本実施の形態で示した記憶装置のメモリセルは、実施の形態1と同様に、電源の供給を停止しても記憶内容が失われず、且つリーク電流の低減及び定期的なリフレッシュ回数を大幅に削減可能にして、低消費電力化が図られたものとすることができる。
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、開示する発明の一態様に係るメモリセルの構成及びその作製方法について、図9乃至図13を参照して説明する。
<メモリセルの断面構成及び平面図>
図9は、メモリセルの構成の一例である。図9(A)にはメモリセルの断面図を、図9(B)にはメモリセルの上面図を、それぞれ示す。図9(A)において、A1−A2は、トランジスタのチャネル長方向に垂直な断面図であり、B1−B2は、トランジスタのチャネル長方向に平行な断面図である。図9に示すメモリセルは、下部に半導体層に単結晶シリコンを用いた第1のトランジスタ11を有し、上部に半導体層に酸化物半導体を用いた第2のトランジスタ12を有する。
なお本実施の形態で説明する第1のトランジスタ11は、実施の形態2でいえば、トランジスタ203に相当する。また本実施の形態で説明する第2のトランジスタ12は、実施の形態2でいえば、トランジスタ201に相当する。また本実施の形態で説明する容量素子13は、実施の形態2でいえば、容量素子213に相当する。
第1のトランジスタ11は、単結晶シリコンを含む基板400に設けられたチャネル領域416と、チャネル領域416を挟むように設けられた不純物領域420(ソース領域またはドレイン領域とも記す)と、不純物領域420に接する金属間化合物領域424と、チャネル領域416上に設けられたゲート絶縁層408と、ゲート絶縁層408上に設けられたゲート電極410と、を有する。
基板400上には第1のトランジスタ11を囲むように素子分離絶縁層406が設けられており、第1のトランジスタ11に接して絶縁層428が設けられている。
第2のトランジスタ12は、絶縁層428などの上に設けられた酸化物半導体層444と、酸化物半導体層444に接続されている一方の電極442a、及び他方の電極442bと、酸化物半導体層444、電極442a及び電極442b、を覆うゲート絶縁層446と、ゲート絶縁層446上に酸化物半導体層444と重畳するように設けられたゲート電極448aと、を有する。
ここで、第2のトランジスタ12に用いられる酸化物半導体層444は、水素などの不純物が十分に除去され、十分な酸素が供給されることにより、高純度化されたものであることが望ましい。例えば、酸化物半導体層444の水素濃度は5×1019atoms/cm3以下、望ましくは5×1018atoms/cm3以下、より望ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。なお、上述の酸化物半導体層444中の水素濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)で測定されるものである。
容量素子13は、電極442a、ゲート絶縁層446、及び導電層448b、とで構成される。すなわち、電極442aは、容量素子13の一方の電極として機能し、導電層448bは、容量素子13の他方の電極として機能することになる。
第2のトランジスタ12及び容量素子13の上には絶縁層450及び絶縁層452が設けられている。そして、ゲート絶縁層446、絶縁層450、絶縁層452などに形成された開口には、電極454が設けられ、絶縁層452上には、電極454と接続する配線456が形成される。
また、図9において、第1のトランジスタ11と、第2のトランジスタ12とは、少なくとも一部が重畳するように設けられている。また、第2のトランジスタ12や容量素子13が、第1のトランジスタ11と重畳するように設けられている。例えば、容量素子13の導電層448bは、第1のトランジスタ11のゲート電極410と少なくとも一部が重畳して設けられている。このような、平面レイアウトを採用することにより、高集積化を図ることができる。
<メモリセルの作製方法>
次に、上記メモリセルの作製方法の一例について説明する。以下では、はじめに下層の第1のトランジスタ11の作製方法について図10及び図11を参照して説明し、その後、上層の第2のトランジスタ12及び容量素子13の作製方法について図12及び図13を参照して説明する。
<下部のトランジスタの作製方法>
下層の第1のトランジスタ11の作製方法について、図10及び図11を参照して説明する。
まず、半導体材料を含む基板400を用意する。半導体材料を含む基板としては、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI基板などを適用することができる。ここでは、半導体材料を含む基板400として、単結晶シリコン基板を用いる場合の一例について示すものとする。
半導体材料を含む基板400として、シリコンなどの単結晶半導体基板を用いる場合には、メモリセルでの読み出し動作を高速化することができ、好適である。
基板400上には、素子分離絶縁層を形成するためのマスクとなる保護層402を形成する(図10(A)参照)。保護層402としては、例えば、酸化シリコンや窒化シリコン、酸窒化シリコンなどを材料とする絶縁層を用いることができる。
次に、上記の保護層402をマスクとしてエッチングを行い、保護層402に覆われていない領域(露出している領域)の、基板400の一部を除去する。これにより他の半導体領域と分離された半導体領域404が形成される(図10(B)参照)。
次に、半導体領域404を覆うように絶縁層を形成し、半導体領域404に重畳する領域の絶縁層を選択的に除去することで、素子分離絶縁層406を形成する(図10(C)参照)。当該絶縁層は、酸化シリコンや窒化シリコン、酸窒化シリコンなどを用いて形成される。絶縁層の除去方法としては、CMP(化学的機械的研磨)などの研磨処理やエッチング処理などがあるが、そのいずれを用いても良い。なお、半導体領域404の形成後、または、素子分離絶縁層406の形成後には、上記保護層402を除去する。
次に、半導体領域404の表面に絶縁層を形成し、当該絶縁層上に導電材料を含む層を形成する。
絶縁層は後のゲート絶縁層となるものであり、例えば、半導体領域404表面の熱処理(熱酸化処理や熱窒化処理など)によって形成することができる。熱処理に代えて、高密度プラズマ処理を適用しても良い。高密度プラズマ処理は、例えば、He、Ar、Kr、Xeなどの希ガス、酸素、酸化窒素、アンモニア、窒素、水素などのうちいずれかの混合ガスを用いて行うことができる。もちろん、CVD法やスパッタリング法等を用いて絶縁層を形成しても良い。当該絶縁層は、酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOy(x>0、y>0))等を含む単層構造または積層構造とすることが望ましい。また、絶縁層の厚さは、例えば、1nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上50nm以下とすることができる。
導電材料を含む層は、アルミニウムや銅、チタン、タンタル、タングステン等の金属材料を用いて形成することができる。また、多結晶シリコンなどの半導体材料を用いて、導電材料を含む層を形成しても良い。形成方法も特に限定されず、蒸着法、CVD法、スパッタリング法、スピンコート法などの各種成膜方法を用いることができる。なお、本実施の形態では、導電材料を含む層を、金属材料を用いて形成する場合の一例について示すものとする。
その後、絶縁層及び導電材料を含む層を選択的にエッチングして、ゲート絶縁層408、ゲート電極410を形成する(図10(C)参照)。
次に、半導体領域404にリン(P)やヒ素(As)などを添加して、チャネル領域416及び不純物領域420を形成する(図10(D)参照)。なお、ここではn型トランジスタを形成するためにリンやヒ素を添加しているが、p型トランジスタを形成する場合には、硼素(B)やアルミニウム(Al)などの不純物元素を添加すればよい。
なお、ゲート電極410の周囲にサイドウォール絶縁層を形成して、不純物元素が異なる濃度で添加された不純物領域を形成しても良い。
次に、ゲート電極410、不純物領域420等を覆うように金属層422を形成する(図11(A)参照)。当該金属層422は、真空蒸着法やスパッタリング法、スピンコート法などの各種成膜方法を用いて形成することができる。金属層422は、半導体領域404を構成する半導体材料と反応することによって低抵抗な金属化合物となる金属材料を用いて形成することが望ましい。このような金属材料としては、例えば、チタン、タンタル、タングステン、ニッケル、コバルト、白金等がある。
次に、熱処理を施して、上記金属層422と半導体材料とを反応させる。これにより、不純物領域420に接する金属間化合物領域424が形成される(図11(A)参照)。なお、ゲート電極410として多結晶シリコンなどを用いる場合には、ゲート電極410の金属層422と接触する部分にも、金属間化合物領域が形成されることになる。
上記熱処理としては、例えば、フラッシュランプの照射による熱処理を用いることができる。もちろん、その他の熱処理方法を用いても良いが、金属化合物の形成に係る化学反応の制御性を向上させるためには、ごく短時間の熱処理を実現できる方法を用いることが望ましい。なお、上記の金属間化合物領域は、金属材料と半導体材料との反応により形成されるものであり、十分に導電性が高められた領域である。当該金属間化合物領域を形成することで、電気抵抗を十分に低減し、素子特性を向上させることができる。なお、金属間化合物領域424を形成した後には、金属層422は除去する。
次に、上述の工程により形成された各構成を覆うように、絶縁層428を形成する(図11(B)参照)。絶縁層428は、酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム等の無機絶縁材料を含む材料を用いて形成することができる。
以上により、半導体材料を含む基板400を用いた第1のトランジスタ11が形成される(図11(B)参照)。このような第1のトランジスタ11は、高速動作が可能であるという特徴を有する。このため、当該トランジスタを読み出し用のトランジスタとして用いることで、情報の読み出しを高速に行うことができる。
その後、第2のトランジスタ12及び容量素子13の形成前の処理として、絶縁層428にCMP処理を施して、ゲート電極410の上面を露出させる(図11(C)参照)。ゲート電極410の上面を露出させる処理としては、CMP処理の他にエッチング処理などを適用することも可能であるが、第2のトランジスタ12の特性を向上させるために、絶縁層428の表面は可能な限り平坦にしておくことが望ましい。
<上部のトランジスタの作製方法>
次に、上部の第2のトランジスタ12及び容量素子13の作製方法について、図12及び図13を参照して説明する。
まず、ゲート電極410、絶縁層428などの上に酸化物半導体層を形成し、当該酸化物半導体層を加工して、酸化物半導体層444を形成する(図12(A)参照)。
用いる酸化物半導体としては、上記実施の形態1で述べた材料を用いることができる。
本実施の形態では、酸化物半導体層を、In−Ga−Zn系酸化物半導体の成膜用ターゲットを用いたスパッタリング法により形成する。酸化物半導体層をスパッタリング法で作製するためのターゲットとしては、例えば、組成として、In2O3:Ga2O3:ZnO=1:1:1[mol数比]の金属酸化物ターゲットを用い、In−Ga−Zn−O層を成膜する。
成膜の雰囲気は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または、希ガスと酸素の混合雰囲気下などとすればよい。また、酸化物半導体層への水素、水、水酸基、水素化物などの混入を防ぐために、水素、水、水酸基、水素化物などの不純物が十分に除去された高純度ガスを用いた雰囲気とすることが望ましい。
例えば、酸化物半導体層は、次のように形成することができる。
まず、減圧状態に保持された成膜室内に基板を保持し、基板温度が、100℃を超えて600℃以下、好ましくは300℃を超えて500℃以下となるように加熱する。
基板を加熱しながら成膜することにより、成膜した酸化物半導体層に含まれる水素、水分、水素化物、または水酸化物などの不純物濃度を低減することができる。また、スパッタリングによる損傷が軽減される。そして、成膜室内の残留水分を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入し、上記ターゲットを用いて酸化物半導体層を成膜する。
成膜室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプ、例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素原子、水(H2O)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該成膜室で成膜した酸化物半導体層に含まれる不純物の濃度を低減できる。
成膜条件の一例としては、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa、直流(DC)電源電力0.5kW、スパッタガスとして酸素(酸素流量比率100%)を用いる条件が適用される。なお、パルス直流電源を用いると、成膜時に発生する粉状物質(パーティクル、ごみともいう)が軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。
その後、酸化物半導体層444に対して、熱処理(第1の熱処理)を行ってもよい。この第1の加熱処理によって酸化物半導体層中の過剰な水素(水や水酸基を含む)を除去(脱水化または脱水素化)し、酸化物半導体層中の不純物濃度を低減することができる。
第1の加熱処理は、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、または超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下で、250℃以上750℃以下、または400℃以上基板の歪み点未満の温度で行う。
熱処理は、例えば、抵抗発熱体などを用いた電気炉に被処理物を導入し、窒素雰囲気下、450℃、1時間の条件で行うことができる。この間、酸化物半導体層444は大気に触れさせず、水や水素の混入が生じないようにする。
熱処理を行うことによって水素濃度が十分に低減されて高純度化された酸化物半導体を有するトランジスタは、しきい値電圧やオン電流などの電気的特性に温度依存性がほとんど見られない。また、光劣化によるトランジスタ特性の変動も少ないため、極めて優れた特性のトランジスタを実現することができる。
次に、酸化物半導体層444などの上に、ソース電極及びドレイン電極(これと同じ層で形成される配線を含む)を形成するための導電層を形成し、当該導電層を加工して、電極442a、電極442bを形成する(図12(B)参照)。
導電層は、PVD法や、CVD法を用いて形成することができる。また、導電層の材料としては、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた元素や、上述した元素を成分とする合金等を用いることができる。マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、ネオジム、スカンジウムのいずれか、またはこれらを複数組み合わせた材料を用いてもよい。
次に、電極442a、電極442bを覆い、かつ、酸化物半導体層444の一部と接するように、ゲート絶縁層446を形成する(図12(C)参照)。
ゲート絶縁層446は、CVD法やスパッタリング法等を用いて形成することができる。また、ゲート絶縁層446は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコンなどの材料を用いて形成する。また、ゲート絶縁層446は、13族元素及び酸素を含む材料を用いて形成することもできる。13族元素及び酸素を含む材料としては、例えば、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムガリウムなどを用いることができる。さらに、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOy(x>0、y>0))、などを含むように形成してもよい。ゲート絶縁層446は、単層構造としても良いし、上記の材料を組み合わせて積層構造としても良い。また、その厚さは特に限定されないが、メモリセルを微細化する場合には、トランジスタの動作を確保するために薄くするのが望ましい。例えば、酸化シリコンを用いる場合には、1nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上50nm以下とすることができる。
ゲート絶縁層446は、水素、水などの不純物を混入させない方法を用いて成膜することが好ましい。ゲート絶縁層446に水素、水などの不純物が含まれると、酸化物半導体層に水素、水などの不純物の浸入や、水素、水などの不純物による酸化物半導体層中の酸素の引き抜き、などによって酸化物半導体層のバックチャネルが低抵抗化(n型化)してしまい、寄生チャネルが形成されるおそれがあるためである。よって、ゲート絶縁層446はできるだけ水素、水などの不純物が含まれないように作製することが好ましい。例えば、スパッタリング法によって成膜するのが好ましい。成膜する際に用いるスパッタガスとしては、水素、水などの不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
また、ゲート絶縁層446は、酸素が化学量論的組成よりも多く含むことが好ましい。例えば、ゲート絶縁層446として酸化ガリウムを用いた場合、化学量論的組成はGa2O3+α(0<α<1)と表すことができる。また、酸化アルミニウムを用いた場合は、Al2O3+α(0<α<1)と表すことができる。さらに、酸化ガリウムアルミニウムを用いた場合は、GaxAl2−xO3+α(0<x<2、0<α<1)と表すことができる。
なお、酸化物半導体層の成膜後、酸化物半導体層444の形成後、またはゲート絶縁層446の形成後のいずれかにおいて、酸素ドープ処理を行ってもよい。酸素ドープとは、酸素(少なくとも、酸素ラジカル、酸素原子、酸素イオン、のいずれかを含む)をバルクに添加することをいう。なお、当該「バルク」という用語は、酸素を、薄膜表面のみでなく薄膜内部に添加することを明確にする趣旨で用いている。また、「酸素ドープ」には、プラズマ化した酸素をバルクに添加する「酸素プラズマドープ」が含まれる。酸素ドープ処理を行うことにより、酸化物半導体層やゲート絶縁層に含まれる酸素を、化学量論的組成より多くすることができる。
酸素ドープ処理は、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)方式を用いて、マイクロ波(例えば、周波数2.45GHz)により励起された酸素プラズマを用いて行うことが好ましい。
ゲート絶縁層446の形成後には、不活性ガス雰囲気下、または酸素雰囲気下で第2の熱処理を行うのが望ましい。熱処理の温度は、200℃以上450℃以下、望ましくは250℃以上350℃以下である。例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の熱処理を行えばよい。第2の熱処理を行うことによって、トランジスタの電気的特性のばらつきを軽減することができる。また、ゲート絶縁層446が酸素を含む場合、酸化物半導体層444に酸素を供給し、該酸化物半導体層444の酸素欠損を補填して、i型(真性)半導体またはi型に限りなく近い酸化物半導体層を形成することもできる。
なお、本実施の形態では、ゲート絶縁層446の形成後に第2の熱処理を行っているが、第2の熱処理のタイミングはこれに限定されない。例えば、ゲート電極の形成後に第2の熱処理を行っても良い。また、第1の熱処理に続けて第2の熱処理を行っても良いし、第1の熱処理に第2の熱処理を兼ねさせても良いし、第2の熱処理に第1の熱処理を兼ねさせても良い。
上述のように、第1の熱処理と第2の熱処理の少なくとも一方を適用することで、酸化物半導体層444を、その水素原子を含む物質が極力含まれないように高純度化することができる。
次に、ゲート電極(これと同じ層で形成される配線を含む)を形成するための導電層を形成し、当該導電層を加工して、ゲート電極448a及び導電層448bを形成する(図12(D)参照)。
ゲート電極448a及び導電層448bは、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料またはこれらを主成分とする合金材料を用いて形成することができる。なお、ゲート電極448a及び導電層448bは、単層構造としても良いし、積層構造としても良い。
次に、ゲート絶縁層446、ゲート電極448a、及び導電層448b上に、絶縁層450及び絶縁層452を形成する(図13(A)参照)。絶縁層450及び絶縁層452は、PVD法やCVD法などを用いて形成することができる。また、酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化ガリウムアルミニウム等の無機絶縁材料を含む材料を用いて形成することができる。
次に、ゲート絶縁層446、絶縁層450及び絶縁層452に、電極442bにまで達する開口453を形成する。その後、開口453に電極442bと接する電極454を形成し、絶縁層452上に電極454に接する配線456を形成する(図13(B)参照)。なお、当該開口の形成は、マスクなどを用いた選択的なエッチングにより行われる。
電極454は、例えば、開口453を含む領域にPVD法やCVD法などを用いて導電層を形成した後、エッチング処理やCMP処理といった方法を用いて、上記導電層の一部を除去することにより形成することができる。具体的には、例えば、開口453を含む領域にPVD法によりチタン膜を薄く形成し、CVD法により窒化チタン膜を薄く形成した後に、開口453に埋め込むようにタングステン膜を形成する方法を適用することができる。
配線456は、スパッタ法をはじめとするPVD法や、プラズマCVD法などのCVD法を用いて導電層を形成した後、当該導電層をパターニングすることによって形成される。また、導電層の材料としては、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた元素や、上述した元素を成分とする合金等を用いることができる。マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、ネオジム、スカンジウムのいずれか、またはこれらを複数組み合わせた材料を用いてもよい。詳細は、電極442a、電極442bなどと同様である。
以上により、第1のトランジスタ11、第2のトランジスタ12、及び容量素子13を含むメモリセルが完成する(図13(B)参照)。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、上述の実施の形態で説明した、メモリセルを有する記憶装置を備えた電子機器に適用する場合について、図14を用いて説明する。本実施の形態では、コンピュータ、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯情報端末(携帯型ゲーム機、音響再生装置なども含む)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、電子ペーパー、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)などの電子機器に、メモリセルを有する記憶装置を適用する場合について説明する。
図14(A)は、ノート型のパーソナルコンピュータであり、筐体701、筐体702、表示部703、キーボード704などによって構成されている。筐体701と筐体702の少なくとも一の内部には、先の実施の形態に示す記憶装置が設けられている。そのため、電源の停止による低消費電力化を図ることができ、且つデータの不揮発化が図られた記憶装置を具備するノート型のパーソナルコンピュータが実現される。
図14(B)は、携帯情報端末(PDA)であり、本体711には、表示部713と、外部インターフェイス715と、操作ボタン714等が設けられている。また、携帯情報端末を操作するスタイラス712などを備えている。本体711の内部には、先の実施の形態に示す記憶装置が設けられている。そのため、電源の停止による低消費電力化を図ることができ、且つデータの不揮発化が図られた記憶装置を具備する携帯情報端末が実現される。
図14(C)は、電子ペーパーを実装した電子書籍720であり、筐体721と筐体723の2つの筐体で構成されている。筐体721及び筐体723には、それぞれ表示部725及び表示部727が設けられている。筐体721と筐体723は、軸部737で接続されており、該軸部737を軸として開閉動作を行うことができる。また、筐体721は、電源731、操作キー733、スピーカー735などを備えている。筐体721、筐体723の少なくとも一の内部には、先の実施の形態に示す記憶装置が設けられている。そのため、電源の停止による低消費電力化を図ることができ、且つデータの不揮発化が図られた記憶装置を具備する電子書籍が実現される。
図14(D)は、携帯電話機であり、筐体740と筐体741の2つの筐体で構成されている。さらに、筐体740と筐体741は、スライドし、図14(D)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に適した小型化が可能である。また、筐体741は、表示パネル742、スピーカー743、マイクロフォン744、操作キー745、ポインティングデバイス746、カメラ用レンズ747、外部接続端子748などを備えている。また、筐体740は、携帯電話機の充電を行う太陽電池セル749、外部メモリスロット750などを備えている。また、アンテナは、筐体741に内蔵されている。筐体740と筐体741の少なくとも一の内部には、先の実施の形態に示す記憶装置が設けられている。そのため、電源の停止による低消費電力化を図ることができ、且つデータの不揮発化が図られた記憶装置を具備する携帯電話機が実現される。
図14(E)は、デジタルカメラであり、本体761、表示部767、接眼部763、操作スイッチ764、表示部765、バッテリー766などによって構成されている。本体761の内部には、先の実施の形態に示す記憶装置が設けられている。そのため、電源の停止による低消費電力化を図ることができ、且つデータの不揮発化が図られた記憶装置を具備するデジタルカメラが実現される。
図14(F)は、テレビジョン装置770であり、筐体771、表示部773、スタンド775などで構成されている。テレビジョン装置770の操作は、筐体771が備えるスイッチや、リモコン操作機780によって行うことができる。筐体771及びリモコン操作機780の内部には、先の実施の形態に示す記憶装置路が搭載されている。そのため、電源の停止による低消費電力化を図ることができ、且つデータの不揮発化が図られた記憶装置を具備するテレビジョン装置が実現される。
以上のように、本実施の形態に示す電子機器には、先の実施の形態に係る記憶装置が搭載されている。このため、電源の停止による低消費電力化を図ることができ、且つデータの不揮発化が図られた記憶装置を具備する電子機器が実現できる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。