JP2013190158A - 太陽光集光装置のヘリオスタットの鏡面角度制御方法およびその装置 - Google Patents

太陽光集光装置のヘリオスタットの鏡面角度制御方法およびその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ヘリオスタットごとに太陽光センサが不要で、ヘリオスタット相互のオフセット角を調整するのに太陽が不要で、各反射鏡ごとの角度指令値を算出するのにヘリオスタットの設置位置の情報が不要である太陽光集光装置のヘリオスタット鏡面角度制御方法およびその装置を提供する。
【解決手段】各ヘリオスタット14の反射鏡18を集光ターゲット12に正対させる。そのとき該太陽光集光装置を設置した地点の三次元方向の所定の方向を基準方向Aとして、該基準方向Aに対して各反射鏡18が向く三次元方向の角度αoをそれぞれ計測する。基準方向Aに対する該地点における現在の太陽の位置の三次元方向の角度βを計測する。基準方向Aに対する各反射鏡18が向く現在の三次元方向の角度を(αo+β)/2にそれぞれ制御する。
【選択図】図7

Description

この発明は複数台のヘリオスタットを使用して太陽光を集光する太陽光集光装置において、太陽の日周運動に追従して各ヘリオスタットの反射鏡の鏡面角度を制御する方法および装置に関する。
ヘリオスタットは太陽からの光を反射鏡で反射し、かつ該反射鏡の鏡面角度を日周運動している太陽の動きに合わせて変化させることにより、反射光を常に所定のターゲット位置に送り込む装置である。このヘリオスタットを複数台使用して所定の集光ターゲットに集光する太陽光集光装置は、太陽熱発電、太陽光採光等に利用される。
複数台のヘリオスタットを使用した太陽光集光装置においては、太陽の日周運動に追従して反射鏡の角度を可変制御する必要があるうえに、ヘリオスタットごとに集光ターゲット位置に対する設置位置が異なるため、太陽の日周運動に追従してヘリオスタットごとに反射鏡を個別の角度に可変制御する必要がある。太陽光集光装置において反射鏡の角度を制御する方法として、センサ制御方式とコンピュータ制御方式がある。センサ制御方式は太陽光を捕らえる太陽光センサを使用してヘリオスタットの反射鏡の角度を制御する方式である。例えば特許文献1〜4には太陽光センサをヘリオスタットごとに設置して各反射鏡の角度を制御する技術が開示されている。コンピュータ制御方式は太陽光センサを使用しない方式であり、集光ターゲットの設置位置に対する各ヘリオスタットの設置位置の情報と時刻ごとの太陽の位置情報とに基づいて、各反射光を集光ターゲットに導くために必要な時刻ごとおよび反射鏡ごとの角度指令値をコンピュータで算出して、各ヘリオスタットの反射鏡の角度を該指令値に制御する。
特開平11−119105号公報 特開2000−146310号公報 特開2004−333003号公報 特開2010−151934号公報 特開2003−329963号公報 特開2008−14508号公報
特許文献1〜4に記載のセンサ制御方式はヘリオスタットごとに太陽光センサが必要であった。また従来のコンピュータ制御方式は反射鏡の角度指令値の算出に集光ターゲットの設置位置に対する各ヘリオスタットの設置位置の情報が必要であった。
また従来、センサ制御方式ながら、太陽光センサを1台のみ使用して各反射鏡の角度を制御できるようにした太陽光集光装置として特許文献5,6に記載の装置があった。これは集光ターゲット位置に対する反射鏡の位置に応じて、反射鏡ごとに予め鏡面のオフセット角(ずらし角、位相角)を設定しておけば、あとは日周運動による太陽の移動に応じて全反射鏡を同一角度量変位させることにより、太陽が移動しても各反射鏡の反射光を常に集光ターゲットに集光することができる性質を利用したものである。すなわち特許文献5,6に記載の装置は、反射鏡ごとに反射光が集光ターゲットに当たるように予め鏡面のオフセット角を設定した状態で全反射鏡をリンク機構で相互に連結しておき、日周運動による太陽の移動に合わせてリンク機構で全反射鏡を同一角度量変位させることにより、常に全反射鏡の反射光を集光ターゲットに集光させるようにしている。
特許文献5には、鏡面のオフセット角の設定方法として、個々の反射鏡で太陽光を反射させて、反射光が同一位置に集光するように各反射鏡のオフセット角を調整する方法が開示されている(特許文献5の明細書0023段)。この方法では各反射鏡のオフセット角の調整を1枚ずつ順次を行うと、調整を行っている間に太陽の位置が変化してしまい、先に設定を行った反射鏡の反射光が集光ターゲットから外れた状態で後の反射鏡の調整を行うことになり、全反射鏡の反射光を集光ターゲットに集光させることができない。したがってオフセット角を正確に設定するためには全反射鏡のオフセット角の調整を同時に(つまり太陽が同一位置にあるときに)行う必要があるが、反射鏡の枚数が多い場合には全反射鏡のオフセット角の調整を同時に行うのは困難である。
この発明は前記従来の技術における問題点を解決して、センサ制御方式であればヘリオスタットごとに太陽光センサを必要とすることなく太陽の日周運動に追従して反射鏡の角度を可変制御することができ、しかもヘリオスタット相互のオフセット角を調整するのに太陽が不要であり、センサ制御方式、コンピュータ制御方式によらず集光ターゲットの設置位置に対する各ヘリオスタットの設置位置の情報を必要とすることなく各反射鏡の角度指令値を算出できるようにした太陽光集光装置の反射鏡の角度制御方法および装置を提供しようとするものである。
この発明のセンサ制御方式によるヘリオスタットの鏡面角度制御方法は、複数台のヘリオスタットと、該複数台のヘリオスタットの反射鏡で反射された各太陽光を受光する集光ターゲットとを配置した太陽光集光装置において、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向を制御する方法であって、前記各ヘリオスタットの反射鏡を前記集光ターゲットに正対させて、そのとき該太陽光集光装置を配置した地点の三次元方向の所定の方向を基準方向として、該基準方向に対して該各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向の角度αoをそれぞれ計測する工程と、前記基準方向に対する当該地点における現在の太陽の位置の三次元方向の角度βを計測する工程と、前記基準方向に対する前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を(αo+β)/2にそれぞれ制御する工程とを具備してなるものである。
この発明のコンピュータ制御方式によるヘリオスタットの鏡面角度制御方法は、前記角度βを計測するのに代えて、演算して求めるものである。
前記「基準方向に対する前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を(αo+β)/2にそれぞれ制御する工程」は、例えば、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向の角度の原点0度を前記基準方向として、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度指令値を(αo+β)/2にそれぞれ指示する工程と、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を前記角度指令値で指示された角度(αo+β)/2にそれぞれ制御する工程とを具備して構成することができる。また該「基準方向に対する前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を(αo+β)/2にそれぞれ制御する工程」は、例えば、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向の角度の原点0度を前記基準方向に対してαo/2の角度として、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度指令値をβ/2にそれぞれ指示する工程と、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を前記角度指令値で指示された角度β/2にそれぞれ制御する工程とを具備して構成することもできる。
この発明のセンサ制御方式によるヘリオスタットの鏡面角度制御装置は、複数台のヘリオスタットと、該複数台のヘリオスタットの反射鏡で反射された各太陽光を受光する集光ターゲットとを配置した太陽光集光装置において、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向を制御する装置であって、前記ヘリオスタットの反射鏡を方位角方向および仰角方向にそれぞれ回動駆動する方位角方向駆動装置および仰角方向駆動装置と、該ヘリオスタットの反射鏡の方位角方向および仰角方向の回動角度をそれぞれ検出する方位角センサおよび仰角センサと、前記太陽光集光装置を配置した地点に配置され、該地点から見た太陽位置の方位角および仰角を検出する太陽光センサと、前記各ヘリオスタットの反射鏡を前記集光ターゲットに正対させたときの前記方位角センサおよび前記仰角センサの検出に基づき該太陽光集光装置を配置した地点の三次元方向の所定の方向を基準方向として計測した、該基準方向に対して該各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向の角度αoと、前記太陽光センサの検出に基づき計測した、前記基準方向に対する当該地点における現在の太陽の位置の三次元方向の角度βとに基づき、前記方位角方向駆動装置および仰角方向駆動装置を駆動して、前記基準方向に対する前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を(αo+β)/2にそれぞれ制御する制御系統とを具備してなるものである。
前記制御系統による「前記基準方向に対する前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を(αo+β)/2にそれぞれ制御する」制御は、例えば、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向の角度の原点0度を前記基準方向として、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度指令値を(αo+β)/2にそれぞれ指示し、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を前記角度指令値で指示された角度(αo+β)/2にそれぞれ制御することにより実行することができる。また該「前記基準方向に対する前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を(αo+β)/2にそれぞれ制御する」制御は、例えば、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向の角度の原点0度を前記基準方向に対してαo/2の角度として、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度指令値をβ/2にそれぞれ指示し、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を前記角度指令値で指示された角度β/2にそれぞれ制御することにより実行することもできる。
この発明のコンピュータ制御方式によるヘリオスタットの鏡面角度制御装置は、前記角度βを、太陽光センサを使用して計測するのに代えて、演算して求めるものである。
この発明によれば、ヘリオスタットごとの角度指令値(αo+β)/2のうち、α/2がヘリオスタット相互のオフセット角を設定する基準方向からの変位分であり、β/2が太陽の日周運動による同基準方向からの各ヘリオスタットに共通の変位分であり、両変位の加算値(αo+β)/2を角度指令値とすることにより、各ヘリオスタットの反射鏡で反射された太陽光を集光ターゲットに集光することができる。これによれば、センサ制御方式であればヘリオスタットごとに太陽光センサを必要とすることなく日周運動に追従して反射鏡の角度を可変制御することができる。すなわち1台の太陽光センサで複数台のヘリオスタットを制御できる。また各ヘリオスタットの反射鏡を不動の集光ターゲットに正対させてヘリオスタット相互のオフセット角を設定できるので、日周運動する太陽を使ってオフセット角を設定する場合と異なり、ヘリオスタット相互のオフセット角の設定を同時に行う必要がない。したがってヘリオスタットの台数が多い場合にもヘリオスタット相互のオフセット角を精度よく設定できる。また、センサ制御方式、コンピュータ制御方式によらず集光ターゲット位置に対するヘリオスタットごとの設置位置情報を必要とすることなく反射鏡の角度指令値を算出することができる。したがってヘリオスタットを任意の位置(位置情報を知らない位置)に設置すことができる。またセンサ制御方式については太陽光センサも任意の位置に設置することができる。
この発明をセンサ制御方式のタワー式太陽熱発電装置に適用した実施の形態1,3について、該タワー式太陽熱発電装置の配置を示す模式平面図である。 図1のタワー式太陽熱発電装置の模式側面図である(ヘリオスタットは1台のみ図示する)。 図1、図2のヘリオスタット14の構成例を示す図で、該ヘリオスタット14を背面(反射鏡の裏面側)から見た構造を模式的に示す図である。 図1、図2の太陽光センサ15の構成例を示す図で、該太陽光センサ15を側面から見た構造を模式的に示す図である。 実施の形態1〜4のタワー式太陽熱発電装置の制御系統を示すシステム構成図である。 実施の形態1における図5のホストコンピュータ48による実運転時の各反射鏡18の三次元方向の角度指令値の演算処理内容を示す機能ブロック図である。 実施の形態1について、タワー式太陽熱発電装置を設置し実運転するまでの手順を示すフローチャートである。 図7の手順によるタワー式太陽熱発電装置の模式動作図である。 この発明をコンピュータ制御方式のタワー式太陽熱発電装置に適用した実施の形態2について、図5のホストコンピュータ48による実運転時の各反射鏡18の三次元方向の角度指令値の演算処理内容を示す機能ブロック図である。 実施の形態2について、タワー式太陽熱発電装置を設置し実運転するまでの手順を示すフローチャートである。 実施の形態3における図5のホストコンピュータ48による実運転時の各反射鏡18の三次元方向の角度指令値の演算処理内容を示す機能ブロック図である。 実施の形態3について、タワー式太陽熱発電装置を設置し実運転するまでの手順を示すフローチャートである。 図12の手順によるタワー式太陽熱発電装置の模式動作図である。 この発明をコンピュータ制御方式のタワー式太陽熱発電装置に適用した実施の形態4について、図5のホストコンピュータ48による実運転時の各反射鏡18の三次元方向の角度指令値の演算処理内容を示す機能ブロック図である。 実施の形態4について、タワー式太陽熱発電装置を設置し実運転するまでの手順を示すフローチャートである。
《実施の形態1:センサ制御方式(鏡面角度の原点方向=基準方向)》
この発明をタワー式太陽熱発電装置に適用した実施の形態1を以下説明する。これはヘリオスタットの鏡面角度制御をセンサ制御方式で行うものである。図1はタワー式太陽熱発電装置の配置を示す模式平面図である。図2はその模式側面図(ヘリオスタットは1台のみ図示する)である。屋外の地上10には集光ターゲット12と、該集光ターゲット12を取り囲む複数台のヘリオスタット14で構成されるヘリオスタット群13と、集光ターゲット12およびヘリオスタット群13の近傍の任意の位置に、太陽光を捕らえて太陽の位置を検出する1台の太陽光センサ15が設置されている。集光ターゲット12はタワー17の上部に配置された集熱器として構成されている。各ヘリオスタット14は太陽光を反射鏡18で反射して、各反射光を集光ターゲット12に照射する。これにより集光ターゲット12の集熱器内を流れる流体が加熱され、該流体はタワー17の下部に送られ、該流体で水を蒸発させて蒸気タービンを回すことにより、発電が行われる。ヘリオスタット14は太陽の日周運動に追従して反射鏡の角度を可変することにより、反射光が常に集光ターゲット12に照射されるようにする。図1、図2の配置によれば、太陽光センサ15がヘリオスタット14と別に配置され、太陽光センサ15がヘリオスタット14の入射光、反射光を遮らないので、太陽光の利用効率が高い。また太陽光センサ15が1台で済むので、太陽光センサ15の設置面積が少なく、その分ヘリオスタットの設置面積を稼ぐことができ、太陽光の利用効率が高い。また太陽光センサ15が1台で済むのでタワー式太陽熱発電装置全体として太陽光センサのコストが安く済む。なお図1、図2のほか各図において、矢印Aはタワー式太陽熱発電装置を配置した地点について定めた三次元方向の任意の基準方向、矢印Bはヘリオスタット14の反射鏡18の反射面中心部の法線方向、矢印Cは太陽光センサ15の軸線方向(太陽の追尾方向)、矢印Sは太陽の方向である。
ヘリオスタット14を背面から見た構成例を図3に模式的に示す。これは経緯台式の架台を使用したものである。ヘリオスタット14は地上10に設置された基礎11と、該基礎11に鉛直に立設された支柱16と、該支柱16の上端部に三次元方向すなわち方位角方向(鉛直軸の周り方向)および仰角方向(水平軸の周り方向)に回動可能に支持された反射鏡18を具える。反射鏡18は平面鏡で構成されている。支柱16と反射鏡18との間には、支柱16に対し反射鏡18を方位角方向に駆動する方位角方向駆動装置20と仰角方向に駆動する仰角方向駆動装置22が設置されている。方位角方向駆動装置20には、反射鏡18の法線Bの方位角方向の角度αa(図1)を検出する方位角センサ21が付属されている。仰角方向駆動装置22には、反射鏡18の法線Bの仰角方向の角度αe(図2)を検出する仰角センサ24が付属されている。
ヘリオスタット14は、太陽光センサ15により検知される太陽の位置に応じて自己に付属の制御装置(図示せず)で方位角方向駆動装置20および仰角方向駆動装置22を駆動して反射鏡18の向き(すなわち法線Bの方向)を可変制御することにより、反射鏡18で反射される太陽光を集光ターゲット12に向ける。
太陽光センサ15を側面から見た構成例を図4に模式的に示す。これは図3のヘリオスタット14と同様の経緯台式の架台を使用したものである。太陽光センサ15は地上10に設置された基礎31と、該基礎31に鉛直に立設された支柱32と、該支柱32の上端部に三次元方向すなわち方位角方向および仰角方向に回動可能に支持された太陽光センサ本体34を具える。太陽光センサ本体34は例えば、その軸線Cが太陽の位置からずれている量を検知する光センサを内蔵した周知の太陽光センサで構成して、軸線Cの方向を太陽の位置(太陽の方向)として検知することができる。支柱32と太陽光センサ本体34との間には、支柱32に対し太陽光センサ本体34を方位角方向に駆動する方位角方向駆動装置36と仰角方向に駆動する仰角方向駆動装置38が設置されている。方位角方向駆動装置36には、太陽光センサ本体34の軸線Cの方位角方向の角度βa(図1)を検出する方位角センサ40が付属されている。仰角方向駆動装置38には、太陽光センサ本体34の軸線Cの仰角方向の角度βe(図2)を検出する仰角センサ42が付属されている。
太陽光センサ15は、太陽光センサ本体34で軸線Cが太陽の位置からずれている量を検出し、該検出に基づいて自己に付属の制御装置(図示せず)で方位角方向駆動装置36および仰角方向駆動装置38を駆動して太陽光センサ本体34の軸線Cを太陽に追尾させ、該追尾の各時点で方位角センサ40および仰角センサ42により軸線Cの方位角および仰角を検知することにより、太陽の方向すなわち方位角方向および仰角方向の位置を連続的に検知する。
図1のタワー式太陽熱発電装置の制御系統のシステム構成を図5に示す。ヘリオスタット14および太陽光センサ15はホストコンピュータ48と自己に付属の制御装置の連繋で制御される。複数台のヘリオスタット14は例えば29台ずつネットワークグループ化されている。ネットワークグループはその上位機器(ホストコンピュータ48、RS485ハブ52等)が処理できる範囲で追加可能である。ヘリオスタット14はネットワークグループ1,2,・・・ごとにRS485ケーブル50−1,50−2,・・・で相互に接続されている。RS485ケーブル50−1にはさらに太陽光センサ15が接続されている。RS485ケーブル50−1,50−2,・・・はRS485ハブ52で集線される。RS485ハブ52はUSBケーブル54を介してホストコンピュータ48に接続される。ホストコンピュータ48から各ヘリオスタット14へは、USBケーブル54、RS485ハブ52、RS485ケーブル50−1,50−2,・・・を介して動作指令並びに各反射鏡18の方位角αaおよび仰角αe(いずれも基準方向Aに対する角度)の角度指令値その他必要な情報が伝送される。各ヘリオスタット14からホストコンピュータ48へは、上記と逆の経路すなわちRS485ケーブル50−1,50−2,・・・、RS485ハブ52、USBケーブル54を介してオフセット角に関する情報、実運転時に各ヘリオスタット14で検出される方位角αaおよび仰角αeの情報、その他必要な情報が伝送される。実運転時に各ヘリオスタット14からホストコンピュータ48に送信される方位角αaおよび仰角αeの検出情報は、ホストコンピュータ48から各ヘリオスタット14に送信された方位角αaおよび仰角αeの指令値に対して、各ヘリオスタット14がその指令値どおりに動作したかどうかをホストコンピュータ48が確認するのに用いられる。太陽光センサ15で連続的に検出される太陽の方位角βaおよび仰角βe(いずれも基準方向Aに対する角度)の情報はアンプ56に入力され、RS232CケーブルまたはUSBケーブル58を介してホストコンピュータ48に供給される。ホストコンピュータ48は後述する各ヘリオスタット14相互間の反射鏡18のオフセット角の計測(正確には各ヘリオスタット14相互間の反射鏡18のオフセット角に対応する角度の計測)時には、各ヘリオスタット14の反射鏡18を集光ターゲット12に正対させた(つまり反射鏡18の法線Bを集光ターゲット12に向けた)ときの反射鏡18ごとの法線Bの方位角αaおよび仰角αeの検出情報を各ヘリオスタット14から受信して記憶する。またホストコンピュータ48は後述する実運転時には、該記憶した反射鏡18ごとの方位角αaおよび仰角αeの情報と太陽光センサ15で検出される現時点の太陽の方位角βaおよび仰角βeの情報に基づき、各反射鏡18で反射した太陽光を集光ターゲット12に向けるための各反射鏡18の方位角αaおよび仰角αeの角度指令値を演算で求めて各ヘリオスタット14に送信する。各ヘリオスタット14の制御装置は該角度指令値に一致するように反射鏡18の方位角αaおよび仰角αeを実時間で制御する。
ホストコンピュータ48による実運転時の各反射鏡18の方位角αaおよび仰角αeの角度指令値の演算処理内容の機能ブロックを図6に示す。なお検出、送信、記憶、指令される角度は、実際は方位角方向、仰角方向ごとの角度(いずれも基準方向Aに対する角度)であるが、以下の説明では便宜上、反射鏡18の方位角αaおよび仰角αeを複合した三次元方向の角度をαで表し、ヘリオスタット14−1,14−2,14−3,・・・ごとの該三次元方向の角度をα1,α2,α3,・・・で表す。同様に、太陽光センサ15で検出される太陽の方位角βaおよび仰角βeを複合した三次元方向の角度をβで表わす。図6においてメモリ62はオフセット角の計測工程で反射鏡18を集光ターゲット12に正対させたときのヘリオスタット14−1,14−2,14−3,・・・ごとの法線Bの三次元方向の角度α1o,α2o,α3o,・・・を記憶している。演算器64は該記憶された角度α1o,α2o,α3o,・・・の情報と、太陽光センサ15で検出される現時点の太陽の三次元方向の角度βの情報に基づき、各ヘリオスタット14の反射鏡18で反射した太陽光を集光ターゲット12に向けるための各反射鏡18の三次元方向の角度指令値α1=(α1o+β)/2,α2=(α2o+β)/2,α3=(α3o+β)/2,・・・を算出する。算出された角度指令値は各ヘリオスタット14に送信され、各ヘリオスタット14の制御装置は該角度指令値に一致するように反射鏡18の三次元方向の角度αを実時間で制御する。実施の形態1によれば、以上のような簡単な演算で各反射鏡18の三次元方向の角度指令値を算出して反射鏡18の三次元方向の角度αを制御できるので、複雑な制御系統を必要としない。
ここで以上説明した実施の形態1のタワー式太陽熱発電装置を設置し実運転するまでの手順を図7のフローチャートおよび図8の模式動作図を参照して説明する。ここではタワー式太陽熱発電装置の設置地点の三次元方向の基準方向Aを例えば図8に矢印Aで示す方向(例えば真南の水平方向)と定める。なお図8は方位角方向(水平方向)について図示しているが、仰角方向(垂直方向)も同様に表すことができる。
[1]タワー式太陽熱発電装置の設置工事(図7のステップS1)
図8(i)に示すように、屋外の地上10の適当な位置に集光ターゲット12、複数台のヘリオスタット14、太陽光センサ15を設置する。このとき各ヘリオスタット14および太陽光センサ15の各支柱16,32(図3,図4)を鉛直に設置する。集光ターゲット12、複数台のヘリオスタット14、太陽光センサ15の設置位置は任意でよく、かつ個々の設置位置の情報は不要である。
[2]各角度センサの初期化(図7のステップS2)
ヘリオスタット14(図3)の方位角方向駆動装置20および仰角方向駆動装置22を駆動して、図8(i)に示すように各反射鏡18の法線Bを基準方向Aに向ける。このとき該法線Bの方位角方向の調整は方位センサ(地磁気センサ)で検出しながら行い、仰角方向の調整は水準器で検出しながら行うことにより、該法線Bを基準方向Aに一致させることができる。反射鏡18の法線Bが基準方向Aに向いたら、そのときの方位角センサ21および仰角センサ24の検出角αa、αeをそれぞれ0度に初期化する。同様に太陽光センサ15(図4)の方位角方向駆動装置36および仰角方向駆動装置38を駆動して、図8(i)に示すように太陽光センサ本体34の軸線Cを基準方向Aに向ける。このとき軸線Cの方位角方向の調整は方位センサ(地磁気センサ)で検出しながら行い、仰角方向の調整は水準器で検出しながら行うことにより、該軸線Cを基準方向Aに一致させることができる。軸線Cが基準方向Aに向いたら、そのときの方位角センサ40および仰角センサ42の検出角βa、βeをそれぞれ0度に初期化する。これら各角度センサ21,24,40,42の初期化操作は、例えば、各ヘリオスタット14および太陽光センサ15の設置位置でホストコンピュータ48の関与なしにそれぞれ独立して行うことができる。
[3]ヘリオスタット相互間の反射鏡のオフセット角の計測(図7のステップS3)
次いで、図8(ii)に示すように、各ヘリオスタット14の反射鏡18の法線Bを集光ターゲット12に正対させる。この操作は例えば反射鏡18の前面の中央部に該面に垂直に照準器を設置し、該照準器の照準が集光ターゲット12に合うまで、ヘリオスタット14の方位角方向駆動装置20と仰角方向駆動装置22を駆動することにより実現できる。あるいは集光ターゲット12からヘリオスタット14の反射鏡18に向けて光線を投光し、その光線が反射鏡18で反射されて集光ターゲット12の投光位置に戻るまで、ヘリオスタット14の方位角方向駆動装置20と仰角方向駆動装置22を駆動することによっても実現できる。ヘリオスタット14の反射鏡18の反射面の法線Bが集光ターゲット12に向いたら、そのとき方位角センサ21および仰角センサ24で検出される反射鏡18の三次元方向の角度α1o,α2o,α3o,・・・(基準方向Aに対する角度)が各ヘリオスタット14から送信され、ホストコンピュータ48に記憶される。角度α1o,α2o,α3o,・・・相互の差の半値が各ヘリオスタット14の反射鏡18相互間のオフセット角に相当する。
[4]実運転(図7のステップS4〜S6)
以上で実運転の準備が終了し、次いで実運転に入る。実運転は図8(iii)に示すように、太陽光センサ15で太陽を追尾し(ステップS4)、所定時間(例えば数秒〜数十秒間隔)ごとに方位角センサ40および仰角センサ42(図4)で検出される太陽の三次元方向Sの角度β(基準方向Aに対する角度)が太陽光センサ15からホストコンピュータ48に送信される。ホストコンピュータ48はこれを受信して、各ヘリオスタット14ごとの角度指令値としてα1=(α1o+β)/2,α2=(α2o+β)/2,α3=(α3o+β)/2,・・・を算出し(ステップS5)、該角度指令値を該当するヘリオスタット14に向けて送信する。各ヘリオスタット14は自己宛の角度指令値を受信して、自己の制御装置により、方位角方向駆動装置20および仰角方向駆動装置22(図3)を駆動して、反射鏡18の反射面の法線Bの三次元方向の角度α1,α2,α3,・・・(基準方向Aに対する角度)を該指令値に実時間制御する(ステップS6)。ステップS4〜S6の制御を前記所定時間ごとに繰り返すことにより、太陽の日周運動に追随して各ヘリオスタット14の反射鏡18からの反射光を常に集光ターゲット12に集光させることができる。このような所定時間ごとの間欠動作によれば、連続動作に比べて省電力化が図れる。
《実施の形態2:コンピュータ制御方式(鏡面角度の原点方向=基準方向)》
この発明をタワー式太陽熱発電装置に適用した実施の形態2を以下説明する。これはヘリオスタットの鏡面角度制御をコンピュータ制御方式で行うものである。タワー式太陽熱発電装置の配置は図1および図2から太陽光センサ15を廃止したものとすることができる。ヘリオスタット14は図3と同様に構成することができる。制御系統のシステム構成は、図5において、太陽光センサ15を廃止し、二点鎖線で示すようにGPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信機60を該タワー式太陽熱発電装置の配置地点に配置したものとすることができる。GPS受信機60は該GPS受信機60が配置された地球上の位置(経度と緯度)を測定し、測定した位置情報をRS232CケーブルまたはUSBケーブル61を介してホストコンピュータ48に送信する。集光ターゲット12および各ヘリオスタット14の設置工事、角度センサ21,24(図3)の初期化操作、ヘリオスタット14相互間の反射鏡18のオフセット角の計測操作は実施の形態1で説明したのと同様の方法で行うことができる。
ホストコンピュータ48による実運転時のヘリオスタット14ごとの反射鏡18の三次元方向の角度指令値の演算処理内容の機能ブロックを図9に示す。図9において図6と共通する部分には同一の符号を用いる。メモリ62はオフセット角の計測工程で反射鏡18を集光ターゲット12に正対させたときのヘリオスタット14ごとの法線Bの三次元方向の角度α1o,α2o,α3o,・・・を記憶している。メモリ66はGPS受信機60で検出した当該タワー式太陽熱発電装置を設置した地点の位置情報(経度と緯度)を記憶している。時計68は当該地点の現在時刻を計測する。演算器70はメモリ66から位置情報、時計68から時刻情報を入力し、周知の太陽位置計算プログラムを使用して、当該位置における現在の太陽位置の三次元方向の角度βを算出する。演算器64は記憶された角度α1o,α2o,α3o,・・・の情報と、算出された現在の太陽の三次元方向の角度βの情報に基づき、各ヘリオスタット14の反射鏡18で反射した太陽光を集光ターゲット12に向けるための各反射鏡18の三次元方向の角度指令値α1=(α1o+β)/2,α2=(α2o+β)/2,α3=(α3o+β)/2,・・・を算出する。算出された角度指令値は各ヘリオスタット14に送信され、各ヘリオスタット14の制御装置は該角度指令値に一致するように反射鏡18の三次元方向の角度α1,α2,α3,・・・を実時間で制御する。実施の形態2によれば、以上のような簡単な演算で各反射鏡18の三次元方向の角度指令値を算出して反射鏡18の三次元方向の角度αを制御できるので、複雑な制御系統を必要としない。
実施の形態2においてタワー式太陽熱発電装置を設置し実運転するまでの手順を図10のフローチャートを参照して説明する。
[1]タワー式太陽熱発電装置の設置工事(ステップS11)
太陽光センサ15を廃止し、GPS受信機60を追加する以外は実施の形態1と同じである。ホストコンピュータ48には太陽位置計算プログラムをインストールし、GPS受信機60で検出した位置情報と、現在時刻情報に基づいて、該太陽位置計算プログラムで当該位置における現在の太陽位置の三次元方向の角度βを算出できるようにする。
[2]各角度センサの初期化(ステップS12)
実施の形態1で説明したのと同様の方法で、ヘリオスタット14(図3)の方位角方向駆動装置20および仰角方向駆動装置22を駆動して、反射鏡18の法線Bを基準方向Aに向ける。
[3]ヘリオスタット相互間の反射鏡のオフセット角の計測(ステップS13)
実施の形態1で説明したのと同様の方法で、各ヘリオスタット14の反射鏡18の法線Bを集光ターゲット12に正対させて、反射鏡18の三次元方向の角度α1o,α2o,α3o,・・・を測定し(図8(ii))、ホストコンピュータ48に記憶する。
[4]タワー式太陽熱発電装置の設置位置の計測(ステップS14)
GPS受信機60でタワー式太陽熱発電装置の設置位置を計測し、計測した位置情報を記憶する。位置情報を記憶したら、GPS受信機60は取り外すことができる。
[5]実運転(ステップS15〜S17)
ホストコンピュータ48は所定時間(例えば数秒〜数十秒間隔)ごとに太陽位置計算プログラムにより太陽位置βを算出し(ステップS15)、各ヘリオスタット14ごとの角度指令値としてα1=(α1o+β)/2,α2=(α2o+β)/2,α3=(α3o+β)/2,・・・を算出し、該角度指令値を該当するヘリオスタット14に向けて送信する(ステップS16)。各ヘリオスタット14は自己宛の角度指令値を受信して、自己の制御装置により、方位角方向駆動装置20および仰角方向駆動装置22(図3)を駆動して、反射鏡18の反射面の法線Bの三次元方向の角度(基準方向Aに対する角度)を該指令値に実時間制御する(ステップS17)(図8(iii))。ステップS15〜S17の制御を前記所定時間ごとに繰り返すことにより、太陽の日周運動に追随して各ヘリオスタット14の反射鏡18からの反射光を常に集光ターゲット12に集光させることができる。
なお前記実施の形態2ではタワー式太陽熱発電装置を設置した地点の位置情報をGPS受信機60で検出したが、当該地点の位置情報を予め取得済みの場合はあらためて検出する必要はなく、該取得済みの位置情報を使用することができる。また前記実施の形態2では太陽位置計算プログラムを実時間で使用して角度指令値を算出して反射鏡18の角度を制御したが、これに代えて該太陽位置計算プログラムに基づいて時刻ごとの角度指令値を算出した結果をテーブルとして予めメモリに記憶しておき、現在時刻情報に基づいて該テーブルから角度指令値を読み出して反射鏡18の角度を制御することもできる。
また前記実施の形態1,2では、例えば真南の水平方向を基準方向Aと定めたが、これに限るものではない。例えば或る1台のヘリオスタット14の反射鏡18の法線を集光ターゲット12に向けたときの、該法線方向を基準方向Aと定めることもできる。また前記実施の形態1,2ではこの発明を太陽熱発電に使用した場合について説明したが、これに限らず太陽光採光その他の用途に利用することができる。
《実施の形態3:センサ制御方式(鏡面角度の原点方向=αo/2方向)》
この発明をタワー式太陽熱発電装置に適用した実施の形態3を以下説明する。これは実施の形態1において鏡面角度の原点方向を基準方向Aに設定したのに代えて、各ヘリオスタット14の反射鏡18を集光ターゲット12に正対させたときの基準方向Aからの角度αoの半値αo/2の方向を、各ヘリオスタット14の鏡面角度の原点方向A'としたものである。それ以外は実施の形態1と同じである。
ホストコンピュータ48による実運転時の各反射鏡18の角度α'1,α'2,α'3,・・・の指令値の演算処理内容の機能ブロックを図11に示す。なお角度α'1,α'2,α'3,・・・は各ヘリオスタット14の反射鏡18を集光ターゲット12に正対させたときの基準方向Aからの角度α1o,α2o,α3o,・・・の半値α1o/2,α2o/2,α3o/2,・・・の方向(原点方向A')に対する角度を表す。図11において演算器64は太陽光センサ15で検出される現時点の太陽の三次元方向の角度βの情報に基づき、各ヘリオスタット14の反射鏡18で反射した太陽光を集光ターゲット12に向けるための各反射鏡18に共通の三次元方向の角度指令値α'1=α'2=α'3=・・・=β/2を算出する。算出された角度指令値は各ヘリオスタット14に送信され、各ヘリオスタット14の制御装置は該角度指令値に一致するように反射鏡18の三次元方向の角度α'(原点方向A'に対する角度)を実時間で制御する。
実施の形態3のタワー式太陽熱発電装置を設置し実運転するまでの手順を図12のフローチャートおよび図13の模式動作図を参照して説明する。図13(i)(ii)は図8(i)(ii)とそれぞれ同じであるので図示を省略する。
[1]タワー式太陽熱発電装置の設置工事(図12のステップS21)
図7のステップS1と同じである。
[2]各角度センサの初期化(図12のステップS22)
図7のステップS2と同じである。
[3]ヘリオスタット相互間の反射鏡のオフセット角の計測(図12のステップS23)
図7のステップS3と同じである。
[4]オフセット角の設定(図12のステップS24)
ステップS23で計測された角度α1o,α2o,α3o,・・・に基づき、各ヘリオスタット14の反射鏡18の角度(基準方向Aに対する角度)を図13(iii)に示すように、α1o/2,α2o/2,α3o/2,・・・にそれぞれ設定する(反射鏡18の法線Bをその角度の方向に向ける)。そのときの方位角センサ21および仰角センサ24の検出角αa、αeをそれぞれ0度に初期化する。このときの法線Bの方向が各ヘリオスタット14の鏡面角度の原点方向A'である。
[5]実運転(図12のステップS25〜S27)
以上で実運転の準備が終了し、次いで実運転に入る。実運転は図13(iv)に示すように、太陽光センサ15で太陽を追尾し(ステップS25)、所定時間(例えば数秒〜数十秒間隔)ごとに方位角センサ40および仰角センサ42(図4)で検出される太陽の三次元方向Sの角度β(基準方向Aに対する角度)が太陽光センサ15からホストコンピュータ48に送信される。ホストコンピュータ48はこれを受信して、各ヘリオスタット14に共通の角度指令値としてα'1=α'2=α'3=・・・=β/2を算出し(ステップS26)、該角度指令値を各ヘリオスタット14に向けて送信する。各ヘリオスタット14はこの角度指令値β/2を受信して、自己の制御装置により、方位角方向駆動装置20および仰角方向駆動装置22(図3)を駆動して、反射鏡18の法線Bの三次元方向の角度α'1=α'2=α'3=・・・(原点方向A'に対する角度)を該指令値β/2に実時間制御する(ステップS27)。ステップS25〜S27の制御を前記所定時間ごとに繰り返すことにより、太陽の日周運動に追随して各ヘリオスタット14の反射鏡18からの反射光を常に集光ターゲット12に集光させることができる。
《実施の形態4:コンピュータ制御方式(鏡面角度の原点方向=αo/2方向)》
この発明をタワー式太陽熱発電装置に適用した実施の形態4を以下説明する。これは実施の形態2において鏡面角度の原点方向を基準方向Aに設定したのに代えて、実施の形態3と同様に、基準方向Aからの角度αo/2の方向を、各ヘリオスタット14の鏡面角度の原点方向A'としたものである。それ以外は実施の形態2と同じである。
ホストコンピュータ48による実運転時の各反射鏡18の角度α'1,α'2,α'3,・・・の指令値の演算処理内容の機能ブロックを図14に示す。図14においてメモリ66はGPS受信機60で検出した当該タワー式太陽熱発電装置を設置した地点の位置情報(経度と緯度)を記憶している。時計68は当該地点の現在時刻を計測する。演算器70はメモリ66から位置情報、時計68から時刻情報を入力し、周知の太陽位置計算プログラムを使用して、当該位置における現在の太陽位置の三次元方向の角度βを算出する。演算器64は算出された現在の現時点の太陽の三次元方向の角度βの情報に基づき、各ヘリオスタット14の反射鏡18で反射した太陽光を集光ターゲット12に向けるための各反射鏡18に共通の三次元方向の角度指令値α'1=α'2=α'3=・・・=β/2を算出する。算出された角度指令値は各ヘリオスタット14に送信され、各ヘリオスタット14の制御装置は該角度指令値に一致するように反射鏡18の三次元方向の角度α'(原点方向A'に対する角度)を実時間で制御する。
実施の形態4のタワー式太陽熱発電装置を設置し実運転するまでの手順を図15のフローチャートを参照して説明する。
[1]タワー式太陽熱発電装置の設置工事(図15のステップS31)
図10のステップS11と同じである。
[2]各角度センサの初期化(図15のステップS32)
図10のステップS12と同じである。
[3]ヘリオスタット相互間の反射鏡のオフセット角の計測(図15のステップS33)
図10のステップS13と同じである。
[4]オフセット角の設定(図15のステップS34)
ステップS33で計測された角度α1o,α2o,α3o,・・・に基づき、各ヘリオスタット14の反射鏡18の角度(基準方向Aに対する角度)を図13(iii)と同様に、α1o/2,α2o/2,α3o/2,・・・にそれぞれ設定する(反射鏡18の法線Bをその角度の方向に向ける)。そのときの方位角センサ21および仰角センサ24の検出角αa、αeをそれぞれ0度に初期化する。このときの法線Bの方向が各ヘリオスタット14の鏡面角度の原点方向A'である。
[5]タワー式太陽熱発電装置の設置位置の計測(図15のステップS35)
図10のステップS14と同じである。
[6]実運転(図15のステップS36〜S38)
ホストコンピュータ48は所定時間(例えば数秒〜数十秒間隔)ごとに太陽位置計算プログラムにより太陽位置βを算出し(ステップS15)、各ヘリオスタット14に共通の角度指令値としてα'1=α'2=α'3=・・・=β/2を算出し(ステップS37)、該角度指令値を各ヘリオスタット14に向けて送信する。各ヘリオスタット14はこの角度指令値β/2を受信して、自己の制御装置により、方位角方向駆動装置20および仰角方向駆動装置22(図3)を駆動して、反射鏡18の法線Bの三次元方向の角度α'1=α'2=α'3=・・・(原点方向A'に対する角度)を該指令値β/2に実時間制御する(ステップS38)(図13(iv))。ステップS36〜S38の制御を前記所定時間ごとに繰り返すことにより、太陽の日周運動に追随して各ヘリオスタット14の反射鏡18からの反射光を常に集光ターゲット12に集光させることができる。
12…集光ターゲット、14…ヘリオスタット、15…太陽光センサ、18…ヘリオスタットの反射鏡、20…ヘリオスタットの方位角方向駆動装置、21…ヘリオスタットの方位角センサ、22…ヘリオスタットの仰角方向駆動装置、24…ヘリオスタットの仰角センサ、48…制御系統のホストコンピュータ。

Claims (8)

  1. 複数台のヘリオスタットと、該複数台のヘリオスタットの反射鏡で反射された各太陽光を受光する集光ターゲットとを配置した太陽光集光装置において、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向を制御する方法であって、
    前記各ヘリオスタットの反射鏡を前記集光ターゲットに正対させて、そのとき該太陽光集光装置を配置した地点の三次元方向の所定の方向を基準方向として、該基準方向に対して該各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向の角度αoをそれぞれ計測する工程と、
    前記基準方向に対する当該地点における現在の太陽の位置の三次元方向の角度βを計測する工程と、
    前記基準方向に対する前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を(αo+β)/2にそれぞれ制御する工程と
    を具備してなるヘリオスタットの角度制御方法。
  2. 複数台のヘリオスタットと、該複数台のヘリオスタットの反射鏡で反射された各太陽光を受光する集光ターゲットとを配置した太陽光集光装置において、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向を制御する方法であって、
    前記各ヘリオスタットの反射鏡を前記集光ターゲットに正対させて、そのとき該太陽光集光装置を配置した地点の三次元方向の所定の方向を基準方向として、該基準方向に対して該各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向の角度αoをそれぞれ計測する工程と、
    前記基準方向に対する当該地点における現在の太陽の位置の三次元方向の角度βを演算する工程と、
    前記基準方向に対する前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を(αo+β)/2にそれぞれ制御する工程と
    を具備してなるヘリオスタットの角度制御方法。
  3. 前記基準方向に対する前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を(αo+β)/2にそれぞれ制御する工程が、
    前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向の角度の原点0度を前記基準方向として、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度指令値を(αo+β)/2にそれぞれ指示する工程と、
    前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を前記角度指令値で指示された角度(αo+β)/2にそれぞれ制御する工程と
    を具備してなる請求項1または2に記載のヘリオスタットの角度制御方法。
  4. 前記基準方向に対する前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を(αo+β)/2にそれぞれ制御する工程が、
    前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向の角度の原点0度を前記基準方向に対してαo/2の角度として、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度指令値をβ/2にそれぞれ指示する工程と、
    前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を前記角度指令値で指示された角度β/2にそれぞれ制御する工程と
    を具備してなる請求項1または2に記載のヘリオスタットの角度制御方法。
  5. 複数台のヘリオスタットと、該複数台のヘリオスタットの反射鏡で反射された各太陽光を受光する集光ターゲットとを配置した太陽光集光装置において、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向を制御する装置であって、
    前記ヘリオスタットの反射鏡を方位角方向および仰角方向にそれぞれ回動駆動する方位角方向駆動装置および仰角方向駆動装置と、
    該ヘリオスタットの反射鏡の方位角方向および仰角方向の回動角度をそれぞれ検出する方位角センサおよび仰角センサと、
    前記太陽光集光装置を配置した地点に配置され、該地点から見た太陽位置の方位角および仰角を検出する太陽光センサと、
    前記各ヘリオスタットの反射鏡を前記集光ターゲットに正対させたときの前記方位角センサおよび前記仰角センサの検出に基づき該太陽光集光装置を配置した地点の三次元方向の所定の方向を基準方向として計測した、該基準方向に対して該各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向の角度αoと、前記太陽光センサの検出に基づき計測した、前記基準方向に対する当該地点における現在の太陽の位置の三次元方向の角度βとに基づき、前記方位角方向駆動装置および仰角方向駆動装置を駆動して、前記基準方向に対する前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を(αo+β)/2にそれぞれ制御する制御系統と
    を具備してなるヘリオスタットの角度制御装置。
  6. 複数台のヘリオスタットと、該複数台のヘリオスタットの反射鏡で反射された各太陽光を受光する集光ターゲットとを配置した太陽光集光装置において、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向を制御する装置であって、
    前記ヘリオスタットの反射鏡を方位角方向および仰角方向にそれぞれ回動駆動する方位角方向駆動装置および仰角方向駆動装置と、
    該ヘリオスタットの反射鏡の方位角方向および仰角方向の回動角度をそれぞれ検出する方位角センサおよび仰角センサと、
    前記各ヘリオスタットの反射鏡を前記集光ターゲットに正対させたときの前記方位角センサおよび前記仰角センサの検出に基づき該太陽光集光装置を配置した地点の三次元方向の所定の方向を基準方向として計測した、該基準方向に対して該各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向の角度αoと、演算で求めた、前記基準方向に対する当該地点における現在の太陽の位置の三次元方向の角度βとに基づき、前記方位角方向駆動装置および仰角方向駆動装置を駆動して、前記基準方向に対する前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を(αo+β)/2にそれぞれ制御する制御系統と
    を具備してなるヘリオスタットの角度制御装置。
  7. 前記制御系統による、前記基準方向に対する前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を(αo+β)/2にそれぞれする制御が、
    前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向の角度の原点0度を前記基準方向として、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度指令値を(αo+β)/2にそれぞれ指示し、
    前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を前記角度指令値で指示された角度(αo+β)/2にそれぞれ制御することにより実行される
    請求項5または6に記載のヘリオスタットの角度制御装置。
  8. 前記制御系統による、前記基準方向に対する前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を(αo+β)/2にそれぞれする制御が、
    前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く三次元方向の角度の原点0度を前記基準方向に対してαo/2の角度として、前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度指令値をβ/2にそれぞれ指示し、
    前記各ヘリオスタットの反射鏡が向く現在の三次元方向の角度を前記角度指令値で指示された角度β/2にそれぞれ制御することにより実行される
    請求項5または6に記載のヘリオスタットの角度制御装置。
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