JP2013190059A - シール構造及び回転機械 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回転体20の軸方向一方側と他方側との間において回転体20の周面に対向するように静止体10に設けられ、凹部と凸部12Aとが軸方向に交互に形成されたラビリンス部12と、ラビリンス部12の背部に設けられ、軸方向一方側に連通して高温流体が導入され、ラビリンス部12と回転体20との間の第一隙間31に流通する流体と熱交換を行う第一の熱交換流路15Aと、を備えるシール構造を提供する。
【選択図】図2
Description
さらに、このシール構造では、高温流体をラビリンス部よりも主軸の軸方向の一方側に保持・封止すると共に、主軸やラビリンス部を冷却するために、低温流体(低温水)を軸方向の他方側から主軸とラビリンス部との間隙に流入させている。
そして、このような熱境界層が形成されている状態で主軸が回転すると、間隙に流通する流体が軸方向に周期的に流動し、熱境界層が軸方向に周期的に移動する所謂「温度揺らぎ」と呼ばれる現象が発生してしまう。この場合、ラビリンス部や主軸等に熱疲労を与え、回転機械の信頼性が低下する虞がある。
従来では、種々工夫を施して温度揺らぎ発生の抑制を図っているが、回転機械の信頼性向上のために、さらなる工夫が求められている。
なお、上記シール構造において、前記ラビリンス部と前記回転体との間(隙間)に流通する流体は、前記軸方向一方側から隙間に流入する高温流体、及び、前記軸方向他方側から隙間に流入する低温流体である。
一方、前記第一の熱交換流路が、例えば、前記軸方向他方側から低温流体を導入するように構成されている場合には、前記軸方向一方側から隙間に流入した高温流体が冷やされるため、前記軸方向他方側から隙間に流入した低温流体との温度差が小さくなる。
そして、上記キャビティが形成されている場合には、キャビティが形成されていない場合と比較して、第一の熱交換流路の内面の面積が拡大されるため、第一の熱交換流路に導入された高温流体あるいは低温流体と静止体との間での熱交換が高い効率で行われることになる。
すなわち、上記シール構造によれば、隙間に流入した高温流体と低温流体との温度差がさらに小さくすることができ、隙間に流通する流体の軸方向の温度勾配がさらに緩やかになる。したがって、ラビリンス部やこれに対向する回転体の部分に熱疲労が生じることをより確実に防止できる。
具体的に説明すれば、回転体が回転すると、軸方向一方側の高温流体や軸方向他方側の低温流体には周方向の流れが誘起されるが、高温流体や低温流体の周方向の流速は、回転体の周面近傍において大きく、回転体の周面から径方向に離れるにしたがって小さくなっていく。このため、高温流体や低温流体の静圧分布は、回転体の周面から径方向に離れるにしたがって高くなる。
以上のように、上記構成では、ポンプ等の余分な動力を用いることなく、回転体の回転のみを利用して、第一の熱交換流路に高温流体または低温流体を導入することができるため、シール構造を簡素に構成することが可能となる。
以下、図1〜3を参照して本発明の第一実施形態について説明する。なお、本実施形態では、本発明の回転機械の一例である一次冷却材ポンプについて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る一次冷却材ポンプ(回転機械)は、ケーシング11内に設けられた羽根車(不図示)が回転することにより、例えば320℃の一次冷却材(高温流体)を外部からケーシング11内に吸引し、さらに一次冷却材を昇圧してケーシング11外に吐出するように構成されている。なお、以下の説明では、一次冷却材のことを高温水と呼ぶ。
回転円板22は、前述の羽根車よりも主軸21の軸方向上側に配され、主軸21の軸線L1を中心とした円板状に形成されている。この回転円板22はキー23を介して主軸21に固定されている。これにより、回転円板22は主軸21と一体に回転することになる。本実施形態では、これら主軸21及び回転円板22によって回転体20が構成されている。
また、図示例の構成では、キー23よりも軸方向上側に位置する主軸21の周面に、主軸21の周面を保護するサーマルスリーブ25が取り付けられているが、特に取り付けられなくてもよい。
さらに、ケーシング11の突出部分は、主軸21の周方向全体にわたって形成されている。これにより、前述の第一隙間31は、主軸21の軸線L1を中心とした平面視環状を呈している。
また、ケーシング11の突出部分は、回転円板22と軸方向に対向するように形成されている。
なお、前述したサーマルスリーブ25を主軸21の周面に設ける場合、サーマルスリーブ25は、図示例のようにキー23の軸方向上側からラビリンス部12に対向する位置まで、軸方向に延びて形成されているとよい。
本実施形態では、これらケーシング11及び仕切りリング13によって静止体10が構成されている。
また、本実施形態の一次冷却材ポンプでは、ケーシング11に、ラビリンス部12を形成したケーシング11の突出部分よりも軸方向上側(軸方向他方側)の領域に冷却水室34が形成されている。この冷却水室34には、高温水よりも低い温度(例えば150℃)の低温水(封水)が外部から導入されるようになっている。この低温水は、主軸21やラビリンス部12を冷却する役割を果たす。
すなわち、本実施形態の一次冷却材ポンプでは、前述したラビリンス部12及び低温水によって、チャンバ33内の高温水が主軸21の周面とケーシング11との第一隙間31から主軸21の軸方向上側に漏れ出さないようにする(高温水をチャンバ33内に封止する)シール構造が構成されている。
熱交換流路15は、ラビリンス部12の近傍において主軸21の軸方向に延びる第一の熱交換流路15Aと、冷却水室34の近傍において径方向に延びる第二の熱交換流路15Bと、第一の熱交換流路15Aよりも主軸21の径方向外側において軸方向に延びる流体導入流路15Cとを有している。
主軸21及び羽根車を回転させて一次冷却材ポンプを作動させた際には、前述したように、高温水がケーシング11内に吸引され、さらに昇圧された上でケーシング11外に吐出される。また、この際には、高温水が第二隙間32を通ってチャンバ33内に流入する。流入した高温水は、図1の矢印aで示すようにチャンバ33内を循環し、さらに、図1の矢印bで示すように第一隙間31にも流入する。一方、冷却水室34には低温水が導入され、この低温水は図1の矢印cで示すように第一隙間31に流入する。
具体的に説明すれば、主軸21が回転すると、チャンバ33内の高温水には周方向の流れが誘起されるが、高温水の周方向の流速は、主軸21の周面近傍において大きく、主軸21の周面から径方向に離れるにしたがって小さくなっていく。このため、チャンバ33内における高温水の静圧分布は、主軸21の周面から径方向に離れるにしたがって高くなる。このため、径方向に間隔をあけて配列された熱交換流路15の両端の開口の間には静圧差が生じ、この静圧差を利用してチャンバ33内の高温水を熱交換流路15に導入することができる。なお、本実施形態では、第一の熱交換流路15Aよりも径方向外側に位置する流体導入流路15Cの開口から高温水が導入される。
そして、熱交換流路15に導入された高温水は、第一の熱交換流路15Aを流れることで、第一隙間31に流通する流体との間で熱交換が行われる。なお、第一隙間31に流通する流体は、前述したようにチャンバ33や冷却水室34から流入する高温水や低温水であるが、第一の熱交換流路15Aには高温水が流れるため、前述した熱交換は、主に冷却水室34側から第一隙間31に流入した低温水と、第一の熱交換流路15Aを流れる高温水との間で行われる。
具体的に説明すれば、第一の熱交換流路15Aを流れる高温水はキャビティ16内に入り込むように流れ、これによって、キャビティ16内には渦が発生する。そして、キャビティ16が形成されている場合には、キャビティ16が形成されていない場合と比較して、第一の熱交換流路15Aの内面の面積が拡大されているため、第一の熱交換流路15Aを流れる高温水とケーシング11との間での熱交換が高い効率で行われることになる。さらに、キャビティ16はラビリンス部12の凸部12Aと対応する位置に設けられているため、第一の熱交換流路15Aを流れる高温水と、冷却水室34側から第一隙間31に流入した低温水との熱交換を高い効率で行うことができる。
そして、冷却水室34側から第一隙間31に流入した低温水は、上述した熱交換によって温められるため、チャンバ33側から第一隙間31に流入した高温水との温度差が小さくなる。
なお、熱交換流路15に導入された高温水は、第二の熱交換流路15Bにおいて冷却水室34の低温水によって冷やされるため、第二の熱交換流路15Bを通過した後の第一の熱交換流路15Aにおいて流れる高温水は、チャンバ33から第一隙間31に流入した高温水との間でも熱交換を行う。すなわち、チャンバ33から第一隙間31に流入した高温水が、第一の熱交換流路15Aを流れる高温水によって温められることになる。
以上のようにして、第一隙間31に流入した高温水と低温水との温度差が小さくなるため、第一隙間31に流通する流体の軸方向の温度勾配は、例えば図3に示すように緩やかになる。すなわち、従来のように温度勾配が急峻な熱境界層は形成されない。
また、熱交換流路15の両端がチャンバ33に開口すると共に、これら両端の開口が主軸21の径方向に間隔をあけて配列されていることで、ポンプ等の余分な動力を用いることなく、主軸21の回転のみを利用して、熱交換流路15にチャンバ33内の高温水を導入することができるため、シール構造や一次冷却ポンプを簡素に構成することが可能となる。
次に、図4を参照して本発明の第二実施形態について説明する。
この実施形態では、第一実施形態の一次冷却材ポンプと比較して、熱交換流路の構成のみが異なっており、その他の構成については第一実施形態と同様である。本実施形態では、第一実施形態と同一の構成要素について同一符号を付す等して、その説明を省略する。
熱交換流路17は、ラビリンス部12の近傍において軸方向に延びる第一の熱交換流路17Aと、チャンバ33の近傍において径方向に延びる第二の熱交換流路17Bと、第一の熱交換流路17Aよりも主軸21の径方向外側において軸方向に延びる流体導入流路17Cとを有している。
なお、第一の熱交換流路17Aは、第一実施形態の第一の熱交換流路15Aと同様に、前述したラビリンス部12の凸部12Aと対応する位置に設けられたキャビティ16を有している。このキャビティ16は、第一実施形態の場合と同様に、凸部12Aの形状に対応する形状(図示例では断面V字状)に形成されている。
ただし、本実施形態の熱交換流路17の構成は第一実施形態の熱交換流路15と異なっているため、一次冷却材ポンプを作動させた際には、冷却水室34の低温水が熱交換流路17に導入される。
具体的に説明すれば、主軸21が回転すると、冷却水室34の低温水には周方向の流れが誘起されるが、低温水の周方向の流速は、主軸21の周面近傍において大きく、主軸21の周面から径方向に離れるにしたがって小さくなっていく。このため、冷却水室34における低温水の静圧分布は、主軸21の周面から径方向に離れるにしたがって高くなる。このため、径方向に間隔をあけて配列された熱交換流路17の両端の開口の間には静圧差が生じ、この静圧差を利用して冷却水室34の低温水を熱交換流路17に導入することができる。なお、本実施形態では、前述した第一実施形態の場合と同様に、第一の熱交換流路17Aよりも径方向外側に位置する流体導入流路17Cの開口から低温水が導入される。
そして、熱交換流路17に導入された低温水は、第一の熱交換流路17Aを流れることで、第一隙間31に流通する流体との間で熱交換が行われる。ここで、第一隙間31に流通する流体は高温水や低温水であるが、第一の熱交換流路17Aには低温水が流れるため、前述した熱交換は、主にチャンバ33側から第一隙間31に流入した高温水との間で行われる。また、第一の熱交換流路17Aにはキャビティ16が形成されているため、第一実施形態の場合と同様に、上記熱交換を高い効率で行うことができる。
このようにチャンバ33側から第一隙間31に流入した高温水は、上記熱交換によって冷やされるため、冷却水室34側から第一隙間31に流入した低温水との温度差が小さくなる。
なお、熱交換流路17に導入された低温水は、第二の熱交換流路17Bにおいてチャンバ33内の高温水によって温められるため、第二の熱交換流路17Bを通過した後の第一の熱交換流路17Aにおいて流れる低温水は、冷却水室34から第一隙間31に流入した低温水との間でも熱交換を行う。すなわち、冷却水室34から第一隙間31に流入した低温水が、第一の熱交換流路17Aを流れる低温水によって温められることになる。
以上のようにして、第一隙間31に流入した高温水と低温水との温度差が小さくなるため、第一隙間31に流通する流体の軸方向の温度勾配は、第一実施形態の場合と同様に、例えば図3に示すように緩やかになる。すなわち、従来のように温度勾配が急峻な熱境界層は形成されない。
また、熱交換流路17の両端が冷却水室34に開口すると共に、これら両端の開口が主軸21の径方向に間隔をあけて配列されていることで、ポンプ等の余分な動力を用いることなく、主軸21の回転のみを利用して、熱交換流路17に冷却水室34の低温水を導入することができるため、シール構造や一次冷却ポンプを簡素に構成することが可能となる。
なお、上記第二実施形態の熱交換流路17は、第一実施形態の一次冷却ポンプに設けられてもよい。この場合、上記二つの実施形態の熱交換流路15,17は、例えば主軸21の周方向に交互に配列されてもよいが、これに限ることもない。
例えば、第一の熱交換流路15A,17Aに形成されるキャビティ16は、凸部12Aの形状に対応する形状に形成されることに限らず、凸部12Aの形状に対応しない任意の形状に形成されていてもよい。例えば、凸部12Aが断面V字状に形成されていることに対し、キャビティ16が断面矩形状に形成されていてもよい。
また、このキャビティ16は、例えば形成されなくてもよい。
したがって、第一実施形態のような構成では、例えば、羽根車で昇圧された高温水の一部を第一の熱交換流路15A,17Aや第二の熱交換流路15B,17Bに導入してもよい。また、第二実施形態のような構成では、例えば、冷却水室34に導入される低温水の一部を第一の熱交換流路15A,17Aや第二の熱交換流路15B,17Bに導入してもよい。
また、第二の熱交換流路15B,17Bは、特に設けられなくてもよく、少なくとも第一の熱交換流路15A,17Aが設けられていればよい。
また、本発明の回転機械は、上記実施形態のような一次冷却材ポンプに限らず、少なくとも静止体と、静止体に対して回転する回転体と、上述したシール構造とを備える回転機械に適用することが可能である。
Claims (5)
- 回転体と、当該回転体の径方向に対向して配された静止体との間に設けられ、前記回転体の軸方向一方側の高温流体と、他方側の低温流体との間を封止するためのシール構造であって、
前記軸方向一方側と他方側との間において前記回転体の周面に対向するように前記静止体に設けられ、凹部と凸部とが軸方向に交互に形成されたラビリンス部と、
前記ラビリンス部の背部に設けられ、軸方向一方側または他方側に連通して高温流体または低温流体が導入され、前記ラビリンス部と前記回転体との間に流通する流体と熱交換を行う第一の熱交換流路と、を備えることを特徴とするシール構造。 - 前記第一の熱交換流路が、前記ラビリンス部の凸部と対応する位置に設けられたキャビティを有することを特徴とする請求項1に記載のシール構造。
- 前記ラビリンス部の背部に設けられ、前記軸方向一方側または他方側に連通して高温流体または低温流体が導入され、前記軸方向他方側または一方側の低温流体または高温流体と熱交換を行う第二の熱交換流路を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシール構造。
- 前記第一の熱交換流路の両端が、共に前記軸方向の一方側または他方側に開口し、
前記両端の開口が、前記回転体の径方向に間隔をあけて配列されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシール構造。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシール構造を備える回転機械。
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2012
- 2012-03-14 JP JP2012057312A patent/JP6125756B2/ja active Active
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