JP2013186341A - 電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型粘着剤組成物、多孔構造体形成用粘着シート、多孔構造体および電気泳動ディスプレイ - Google Patents

電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型粘着剤組成物、多孔構造体形成用粘着シート、多孔構造体および電気泳動ディスプレイ Download PDF

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和恵 上村
Yoshitomo Ono
義友 小野
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智史 川田
Masahiro Masuzawa
正弘 升澤
Toshihiro Kanematsu
俊宏 金松
Masahiro Yanagisawa
匡浩 柳澤
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Abstract

【課題】電気泳動ディスプレイ用多孔構造体を形成するためのエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物および粘着シートを提供する。
【解決手段】帯電粒子が分散している電気泳動液に電圧を印加して帯電粒子を移動させることにより表示を行う電気泳動ディスプレイにおける電気泳動液を内包するための中空部を備える構造体である多孔構造体を形成するためのエネルギー線硬化型粘着剤組成物であって、エネルギー線硬化型絶縁性樹脂と、当該エネルギー線硬化型絶縁性樹脂中に分散された導電性微粒子とを含有し、当該エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物のエネルギー線硬化前の破断伸度が500%以上、かつ応力緩和率が70%以上95%以下であり、前記導電性微粒子は金属酸化物からなり、その粒子径が1000nm以下であることを特徴とする電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電気泳動ディスプレイの製造に使用されるエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物および粘着シートに関するものであり、さらに詳しくは、電気泳動ディスプレイにおける電気泳動液を内包するための構造体を形成するためのエネルギー線硬化型粘着剤組成物およびこの組成物から構成された粘着シートに関するものである。また、本発明は、上記の粘着シートを立体成型することにより得られる上記の構造体およびその構造体を備える電気泳動ディスプレイにも関する。
近年、紙に代わる情報表示手段として電子ペーパーが着目されている。電子ペーパーは紙のように薄く、表示面に情報を電気的に表示させることができるものであって、その具体的な表示方法として様々な方式が提案されている。
そのような電子ペーパーの有望な一例として、帯電粒子が分散している電気泳動液に電圧を印加して帯電粒子を移動させることにより表示を行う表示デバイスである電気泳動ディスプレイが挙げられる。電気泳動ディスプレイは画像ピクセルに相当する電気泳動表示素子が基板上に多数近接配置されてなるものであって、この電気泳動表示素子は、隣接する素子との隔壁によって形成された中空部および両端に開口を有するキャビティと、このキャビティの両端の開口のそれぞれを閉塞する二つの導電性の封止部材とによって形成される。キャビティの中空部内には帯電粒子(多くの場合着色されている。)およびこれを分散させる電気泳動液が封入される。そして二つの導電性の封止部材に印加された電圧変動に応じてキャビティ内における帯電粒子の位置が変動するように構成されている。また、二つの導電性の封止部材の少なくとも一方は光透過性を有する材料により形成されている。このため、キャビティ内の帯電粒子の位置変動に基づくキャビティの色調の変化を、この光透過性を有する封止部材から視認可能である。かかる構成を備えることにより、電気泳動表示素子は、電圧変動に応じて色調が変動する画像ピクセルとして機能することができる。
電気泳動ディスプレイの表示画像の品質を高める観点から、電気泳動表示素子により作られる画像ピクセルの大きさは可能な限り小さいことが好ましい。したがって、前述の電気泳動表示素子の中空部を画成する隔壁の厚さは薄く、かつ隣接配置される隔壁との間隔は狭いことが好ましい。また、表示コントラストを高めたり表示色の階調数を増やしたりする観点からは、前述の電気泳動表示素子の隔壁の高さは高いことが好ましい。すなわち、電気泳動表示素子の構成要素であって電気泳動液を内包するためのものであって、規則的に配置された複数の中空部を備える構造体(本明細書において、「多孔構造体」ともいう。)において、その中空部を画成する隔壁群は、可能な限り高アスペクト比であり、かつ可能な限り高密度で形成されることが好ましい。
しかしながら、上記の高アスペクト比かつ高密度配置の隔壁群によって形成される多孔構造体を生産性高く形成することは容易でない。
そのような多孔構造体を生産性高く形成する方法として、特許文献1には、所定の独立した凹部を複数配置した第1基板の表面を所定の条件下で塑性変形する第1素材にて前記凹部に空間が生じるように覆う第1工程と、前記空間のガス圧力にて複数同時に前記第1素材を膨張延伸させることで中空体を複数個一定方向に形成する第2工程と、該中空体の所定の箇所を選択的に固化する第3工程と、を有し、前記第3工程において、選択的に紫外線を照射することが可能な選択的硬化手段を用いて、前記中空体の隔壁部分を選択的に固化させる構造体の製造方法が提案されている。かかる方法によれば、多孔構造体を安定して迅速に形成することができる。
上記の構造体の製造方法に使用される第1素材に適用される可能性のある材料として、例えば、特許文献2,3に記載の放射線硬化性の粘着剤組成物が挙げられる。
特許文献2には、粘着性ポリマーおよび放射線硬化性成分を主成分として含有する粘着剤組成物からなり、粘着剤組成物の23℃での貯蔵弾性率(G′)が1×10Pa以下であり、放射線硬化後の23℃での貯蔵弾性率(G′)が5×10Pa以上である放射線硬化型粘着シートが提案されている。
また、特許文献3には、粘着性ポリマーおよび放射線硬化性成分を主成分として含有する粘着剤組成物からなり、粘着剤組成物の23℃でのせん断貯蔵弾性率(G′)が1×10Pa以下であり、放射線硬化後の40℃での引張貯蔵弾性率(E′)が2×10Pa以上であり、放射線硬化後の粘着シートを80℃で10分間加熱したときの光重合開始剤由来の発生ガス量が20μg/g(粘着剤組成物)以下である放射線硬化型粘着シートが提案されている。
特開2010−042668号公報 特開2003−301147号公報 特開2005−112966号公報
特許文献2、3の放射線硬化型粘着シートによれば、プリズムシートのような所定のパターン形状を有するシートに粘着シートをラミネートして、当該パターン形状を粘着シートに転写することで、微細な凹凸形状を得ることができる。しかしながら、この放射線硬化型粘着シートを基台に貼付して、所望の方法により粘着剤組成物を三次元的に膨張延伸させ、立体成型(凹凸構造の形成を含む。以下同じ。)を行った場合(具体例として特許文献1に開示される構造体を製造する場合が挙げられる。)には、当該粘着シートが基台から剥離してしまうという問題が生じる。また、仮に粘着シートが剥離しないような表面エネルギーの大きい基台を用いた場合でも、粘着剤組成物が膨張延伸する途中で凝集破壊してしまい、目的の形状が得られないという問題が生じる。
さらに、上記の立体成型により得られた構造体を多孔構造体として電気泳動ディスプレイに適用しようとする場合には、その多孔構造体が所定の電気特性、例えば導電性を有することが求められる場合もある。そのような導電性を上記の多孔構造体に対して付与する手段として、硬化前の粘着剤組成物の段階でイオン液体を含有させることが一般的である。しかしながら、本発明者らの研究によれば、このイオン液体を有する粘着剤組成物から得られた導電性の多孔構造体を電気泳動ディスプレイに適用すると、理由は不明であるが良好な表示特性を得ることができないことが明らかになった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、電気泳動ディスプレイにおける電気泳動液を内包するための構造体である多孔構造体を形成するためのエネルギー線硬化型粘着剤組成物(本明細書において「電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型粘着剤組成物」ともいう。)、その組成物から構成される粘着剤層を備える電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用粘着シート、その粘着シートを用いて形成される多孔構造体、およびその構造体を備える電気泳動ディスプレイを提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明は、第1に、帯電粒子が分散している電気泳動液に電圧を印加して帯電粒子を移動させることにより表示を行う電気泳動ディスプレイにおける電気泳動液を内包するための中空部を備える構造体である多孔構造体を形成するためのエネルギー線硬化型粘着剤組成物であって、エネルギー線硬化型絶縁性樹脂と、当該エネルギー線硬化型絶縁性樹脂中に分散された導電性微粒子とを含有し、当該エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物のエネルギー線硬化前の破断伸度が500%以上、かつ応力緩和率が70%以上95%以下であり、前記導電性微粒子は金属酸化物からなり、その粒子径が1000nm以下であることを特徴とする電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型粘着剤組成物を提供する(発明1)。
上記発明(発明1)において、前記金属酸化物が、酸化亜鉛と五酸化アンチモンとからなる複酸化物、リン酸ドープ酸化スズおよびスズドープ酸化インジウムからなる群から選ばれる一種または二種以上を含有することが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)において、前記エネルギー線硬化型絶縁性樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体とエネルギー線硬化型ウレタンアクリレートとを含有し、前記エネルギー線硬化型絶縁性樹脂における前記エネルギー線硬化型ウレタンアクリレートの含有量は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体100質量部に対して、50質量部以上200質量部以下であることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明3)において、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度(Tg)が−50℃以上0℃以下であり、前記エネルギー線硬化型ウレタンアクリレートのエネルギー線硬化後のガラス転移温度(Tg)が−40℃以上25℃以下であることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1から4)において、前記エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物を5μm厚の粘着剤層としたときのエネルギー線硬化前の全光線透過率が80%以上であって、かつ前記粘着剤層のヘイズが10%以下であることが好ましい(発明5)。
本発明は、第2に、上記発明(発明1から5)のいずれかの発明に係る電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型粘着剤組成物から構成される粘着剤層を備えたことを特徴とする電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用粘着シートも提供する(発明6)。
また、本発明は、第3に、上記発明(発明6)に係る電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用粘着シートが三次元的に膨張延伸されることにより形成されたものであって、規則的に配置された複数の中空部を備えることを特徴とする多孔構造体も提供する(発明7)。
さらに、本発明は、第4に、上記発明(発明7)に係る多孔構造体を備えることを特徴とする電気泳動ディスプレイも提供する(発明8)。
本発明の電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型粘着剤組成物によれば、基台に貼付した導電性粘着剤組成物を伸長成型する際に、導電性粘着剤組成物の基台からの剥がれや、成型途中の導電性粘着剤組成物の凝集破壊による破断を抑制することができ、多孔構造体を容易に成型することができる。さらに、本発明の電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型粘着剤組成物を伸長成型することにより得られた多孔構造体は、金属酸化物からなる導電性微粒子により導電性が付与されている。したがって、本発明の電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型粘着剤組成物により形成された多孔構造体を備える電気泳動ディスプレイは、表示特性に優れる。
本発明の第1の実施形態に係る粘着シートの断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る粘着シートの断面図である。 本発明の一実施形態に係る導電性多孔構造体を製造するための多孔構造体成型加工装置を模式的に示す断面図である。 図3に示される多孔構造体成型加工装置を用いて導電性多孔構造体を形成する過程を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型粘着剤組成物〕
本実施形態に係る電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型粘着剤組成物(以下、「エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物」または「導電性粘着剤組成物」と略記する場合もある。)は、エネルギー線硬化前における、破断伸度および応力緩和率が以下の要件を満たすものであり、これにより、伸長成型(三次元的な膨張延伸による立体成型)に好適なものとなる。
なお、本実施形態に係るエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物における「導電性」とは、その導電性粘着剤組成物をエネルギー線硬化させて得られる硬化物が1×1013Ω・cm以下の体積抵抗率を有することを意味するものとする。
具体的には、本実施形態に係るエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物の破断伸度は、500%以上である。
ここで、破断伸度の測定は、基材等を伴わない単独の粘着剤層として行い、具体的には、厚さ500μm、幅15mm、長さ55mm(このうち測定範囲は25mm)に成形した導電性粘着剤組成物を、23℃、50%RHの環境下で、200mm/分の速度で伸長させて行うものとする。
本実施形態に係るエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物の応力緩和率は、70%以上95%以下であり、好ましくは75%以上93%以下であり、特に好ましくは80〜91%である。応力緩和率が70%以上であると、導電性粘着剤組成物が膨張延伸しきった状態を保持しやすいため、目的の形状に成型することが容易となる。また応力緩和率が95%以下であると、導電性粘着剤組成物が膨張延伸しきった状態を保持している際に、膨張延伸させるための力以外の外力(例えば重力等)により、形状がさらに変形してしまうことを抑制することができる。
本明細書における応力緩和率は、導電性粘着剤組成物を引張試験にて300%伸長させて300秒保持した後の応力緩和率をいう。引張試験は、具体的には、厚さ500μm、幅15mm、長さ55mm(このうち測定範囲は25mm)に成形した導電性粘着剤組成物を、23℃、50%RHの環境下で、200mm/分の速度で300%伸長させて行うものとする。応力緩和率は、300%伸長時の応力Aと、伸長停止から300秒後の応力Bとに基づき、以下の式によって算出される。
応力緩和率(%)={(A−B)/A}×100(%)
本実施形態に係るエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物をシート状に形成してなる粘着剤層は、厚さ5μmにおける、JIS K7361−1:1997に定義される全光線透過率が、エネルギー線硬化前において80%以上であることが好ましい。また、上記の粘着剤層は、JIS K7136:2000に定義されるヘイズが、エネルギー線硬化前において10%以下であることが好ましい。これらの光学特性を備える場合には、伸長成型により多孔構造体の形状を形成した状態でエネルギー線を照射したときに、その構造体の全体にエネルギー線が到達することが安定的に実現される。したがって、これらの光学特性を有することにより、硬化後の多孔構造体における機械特性の局所的な低下が安定的に回避される。
本実施形態に係るエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物は、エネルギー線硬化型絶縁性樹脂と、そのエネルギー線硬化型絶縁性樹脂中に分散された導電性微粒子とを備える導電性粘着剤組成物である。以下、エネルギー線硬化型絶縁性樹脂および導電性微粒子の組成等について詳しく説明する。
〔エネルギー線硬化型絶縁性樹脂〕
本実施形態に係るエネルギー線硬化型絶縁性樹脂の組成は、エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物が上記の機械特性(破断伸度および応力緩和率)を満たす限り任意である。本実施形態に係るエネルギー線硬化型絶縁性樹脂は、(1)(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、(2)エネルギー線硬化型ウレタンアクリレートとを含有するものが好ましく、(3)光重合開始剤をさらに含有するものが特に好ましい。本実施形態に係るエネルギー線硬化型絶縁性樹脂は(4)その他の成分、例えば架橋剤を含有してもよい。
(1)(メタ)アクリル酸エステル共重合体
(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては特に制限はなく、従来アクリル系粘着剤組成物の樹脂成分として慣用されている(メタ)アクリル酸エステル共重合体の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。このような(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、例えばアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、活性水素をもつ官能基を有する単量体と、所望により用いられる他の単量体との共重合体を好ましく挙げることができる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの両方を意味する。他の類似用語も同様である。
アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、活性水素をもつ官能基を有する単量体の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のモノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸などが挙げられる。これらの単量体は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、所望により用いられる他の単量体の例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリド等のハロゲン化オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系単量体;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のような(メタ)アクリル酸エステル共重合体の中でも、特に分子中にエネルギー線重合性基を有するもの(いわゆるアダクト系ポリマー)が好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体の分子内にエネルギー線重合性基を持たせる方法としては、特に限定されないが、例えば、官能基含有モノマー単位を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体(a1)と、当該官能基と反応する置換基を有する不飽和基含有化合物(a2)とを反応させることによって得られる。
(a1)成分に含まれる官能基含有モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシル基含有アクリレートが好ましい。
(a2)成分としては、(a1)成分のヒドロキシ基と反応する官能基と、重合性の二重結合とを有する化合物が好ましく、例えば、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
分子中にエネルギー線重合性基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いると、低分子量成分であるエネルギー線硬化型ウレタンアクリレートの使用量を少なくすることができるため、導電性粘着剤組成物から当該低分子量成分がブリードアウトすることを抑制することができる。ブリードアウトが抑制されると、導電性粘着剤組成物の組成変化が起こらないため、設計通りの粘着力が維持され、導電性粘着剤組成物の基台からの剥離を抑制することができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の共重合形態については特に制限はなく、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体の分子量は、重量平均分子量で30万以上であることが好ましく、35万〜250万であることがより好ましい。重量平均分子量が30万未満では、被着体との接着性や耐久接着性が不十分となるおそれがある。接着性および耐久接着性などを考慮すると、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は、40万〜180万であることが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体のエネルギー線硬化前のガラス転移温度(Tg)は、−50℃以上0℃以下であることが好ましく、特に−40℃以上−10℃以下であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度(Tg)がこの範囲にあることで、粘着力および破断伸度の適度なバランスを図ることができる。
(2)エネルギー線硬化型ウレタンアクリレート
エネルギー線硬化型ウレタンアクリレートは、(メタ)アクリロイル基とウレタン結合とを有するオリゴマー化合物であり、分子内に(メタ)アクリロイル基を有するため、エネルギー線照射により重合硬化して、成型が可能となる。
エネルギー線硬化型ウレタンアクリレートは、例えば、ポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシル基またはイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートと、ポリオール化合物とを反応させることにより得られる。かかるエネルギー線硬化型ウレタンアクリレートとしては、例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートを更に反応させて得られるウレタンアクリレートや、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる末端ヒドロキシル基含有ウレタンプレポリマーに、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレートを更に反応させて得られるウレタンアクリレートが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートなどのジイソシアネートが挙げられる。
ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。イソシアネート基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが挙げられる。
ポリオール化合物としては、例えば、アルキレン型、ポリカーボネート型、ポリエステル型またはポリエーテル型などのポリオール化合物が挙げられ、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオールなどが挙げられる。
エネルギー線硬化型ウレタンアクリレートとしては、市販の製品を用いることもできる。
上記エネルギー線硬化型ウレタンアクリレートは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エネルギー線硬化型ウレタンアクリレートの重量平均分子量は、1,000以上12,000以下であることが好ましく、特に2,500以上10,000以下であることが好ましく、さらには4,000以上8,000以下であることが好ましい。重量平均分子量が1,000以上であると、得られる導電性粘着剤組成物にて十分な破断伸度が得られ、12,000以下であると、導電性粘着剤組成物をシート化する際に最適な粘度が発現される。
エネルギー線硬化型ウレタンアクリレートのエネルギー線硬化後のガラス転移温度(Tg)は、−40℃以上25℃以下であることが好ましく、特に−20℃以上10℃以下であることが好ましい。エネルギー線硬化型ウレタンアクリレートのガラス転移温度(Tg)がこの範囲にあることで、粘着力および破断伸度の適度なバランスを図ることができる。なお、当該エネルギー線硬化型ウレタンアクリレートのガラス転移温度(Tg)はエネルギー線硬化後の値であるが、これは、紫外線(照度80mW/cm,積算光量800mJ/cm)を照射した後に、示差走査熱量測定(DSC法)によって測定した値である。
エネルギー線硬化型ウレタンアクリレートのエネルギー線硬化後の鉛筆硬度は、Bから5Bの範囲内であることが好ましく、特に3Bから5Bの範囲内であることが好ましく、さらには4Bまたは5Bであることが好ましく、5Bであることが最も好ましい。当該鉛筆硬度を5Bと同等以上に硬くすると、硬化後に導電性粘着剤組成物が十分な硬さを有することとなるため、形状を良好に保持することができる。鉛筆硬度が5Bよりも軟らかい場合は、形状を保持することができず、立体成型できなくなるおそれがある。また、当該鉛筆硬度をBと同等以下に軟らかくすると、硬化後の導電性粘着剤組成物が脆くなるようなことがないため、導電性粘着剤組成物を剥離する際の脆性破壊を抑制することができる。
本実施形態に係るエネルギー線硬化型絶縁性樹脂におけるエネルギー線硬化型ウレタンアクリレートの含有量(固形分基準)は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体100質量部に対して、50質量部以上200質量部以下であることが好ましく、特に70質量部以上180質量部以下であることが好ましく、さらには80質量部以上150質量部以下であることが好ましい。エネルギー線硬化型ウレタンアクリレートの含有量が50質量部以上であると、得られる導電性粘着剤組成物にて十分な硬化性が得られ、200質量部以下であると、高分子量成分である(メタ)アクリル酸エステル共重合体の含有量を十分に確保することができ、導電性粘着剤組成物をシート状態で保存する際に、形状の維持が可能となる。
(3)光重合開始剤
本実施形態に係るエネルギー線硬化型絶縁性樹脂は、光重合開始剤を含有することで、エネルギー線硬化型ウレタンアクリレートの重合硬化に必要なエネルギー線の照射量および照射時間を少なくすることができる。
光重合開始剤としては特に制限はなく、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、2−クロールアンスラキノン、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係るエネルギー線硬化型絶縁性樹脂における光重合開始剤の含有量(固形分基準)は、エネルギー線硬化型ウレタンアクリレート100質量部に対して、0.05質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、特に0.1質量部以上6.0質量部以下であることが好ましく、さらには0.5質量部以上4.0質量部以下であることが好ましい。
(4)その他の成分
本実施形態に係るエネルギー線硬化型絶縁性樹脂は、本発明の目的が損なわれない範囲で、各種添加剤、例えば、架橋剤、シラン系カップリング剤、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、充填剤、着色剤、分散剤等を所望により含有してもよい。
これらのその他の成分のうち、架橋剤についてやや詳しく説明すれば、本実施形態に係るエネルギー線硬化型絶縁性樹脂は、架橋剤を適量含有することで、上記のエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物に求められる破断伸度および応力緩和率が調整可能であり、それぞれの要件を満たしやすいものとなる。
架橋剤としては特に制限はなく、従来アクリル系樹脂において架橋剤として慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。このような架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、アジリジン系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩などが挙げられるが、中でもポリイソシアネート化合物が好ましく用いられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。これらの架橋剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係るエネルギー線硬化型絶縁性樹脂における架橋剤の含有量(固形分基準)は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体100質量部に対して、0.01質量部以上0.4質量部以下であることが好ましく、特に0.03質量部以上0.3質量部以下であることが好ましく、さらには0.05質量部以上0.25質量部以下であることが好ましい。
〔導電性微粒子〕
本実施形態に係るエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物が含有する導電性微粒子の組成は、上記の導電性粘着剤組成物における前述の機械特性(破断伸度および応力緩和率)の要件を安定的に満たし、しかもエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物を用いて形成された導電性の多孔構造体(以下、「導電性多孔構造体」ともいう。)を電気泳動ディスプレイの電気泳動素子の構成要素とした場合に良好な表示特性を得る観点から、金属酸化物とする。
ここで、本実施形態における「金属酸化物」とは、金属元素と酸素とを含む化合物を意味し、金属元素と酸素とが化学量論的組成でない場合、例えば化学量論的組成の金属酸化物に他の元素や化合物などがドープされた場合も含む。また、複数種類の酸化物の複合体(複酸化物)であってもよく、この複酸化物を構成する酸化物に非金属酸化物が含まれていてもよい。また、本実施形態に係る導電性微粒子は、1種の金属酸化物から構成されていてもよいし、2種以上の金属酸化物の混合物から構成されていてもよい。
本実施形態に係る金属酸化物からなる導電性微粒子の具体的例として、スズドープ酸化インジウム(ITO)粉末、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)粉末、アンチモンドープ酸化錫粉末、酸化亜鉛と五酸化アンチモンとからなる複酸化物、およびリン酸ドープ酸化スズ粉末が挙げられる。これらの中でも、本実施形態に係る金属酸化物からなる導電性微粒子は、酸化亜鉛と五酸化アンチモンとからなる複酸化物、リン酸ドープ酸化スズおよびスズドープ酸化インジウムからなる群から選ばれる一種または二種以上を含有することが好ましい。
本実施形態に係る金属酸化物からなる導電性微粒子の粒子径は1000nm以下である。粒子径が1000nmを超えると、エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層の表面性状(特に表面粗さ)を良好に維持することが困難となる。この場合には、伸長成型して形成された導電性多孔構造体の表面性状も低下し、この導電性多孔構造体により隔壁が形成された電気泳動表示素子を備える電気泳動ディスプレイの表示特性が低下する傾向がみられる場合がある。そのような傾向がみられることを安定的に回避する観点から、本実施形態に係る金属酸化物からなる導電性微粒子の粒子径は500nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る金属酸化物からなる導電性微粒子の粒子径の下限は特に限定されない。粒子径が過度に小さい場合にはその凝集を抑制して良好な分散性を維持することが困難となり、品質のばらつきや生産性の低下をもたらすことが懸念される。これらの問題を回避する観点から、本実施形態に係る金属酸化物からなる導電性微粒子の粒子径は1nm以上であることが好ましく、3nm以上であればより好ましく、5nm以上であれば特に好ましい。
なお、上記の金属酸化物からなる微粒子以外の導電性を付与する材料として、イオン性液体および金属粒子が例示されるが、これらの材料は本実施形態に係るエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物の構成材料として好ましくない。ここで、「金属粒子」とは金属または合金からなる表面を有する粒子を意味し、樹脂等の非金属材料からなる微粒子上に金属が被覆されたものも本明細書においては金属粒子に含まれるものとする。
イオン液体を用いると、伸長成型により得られた導電性多孔構造体を電気泳動素子の隔壁とする電気泳動ディスプレイの表示特性が低下する。さらに、イオン液体の含有量によっては、エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物の伸長成型性が低下する場合もある。
また、上記のとおり本実施形態に係る導電性微粒子は1000nm以下の粒径が求められるところ、この粒径範囲の金属粒子、つまりナノスケールの一次粒径を有する金属粒子を安定的に入手することは容易でない。このため、生産の安定性を高める観点および生産コストの上昇を回避する観点から、金属粒子を使用しないことが好ましい。さらに、本実施形態に係る導電性微粒子として金属粒子を用いた場合には、これを含む導電性粘着剤組成物内の金属粒子の分散が不均一になると、使用した金属粒子の粒径が小さい場合やその含有量が少ないときであっても、その導電性粘着剤組成物から構成される粘着剤層のヘイズが上昇する傾向がみられることがある。このため、本実施形態に係る導電性微粒子として金属粒子を用いると、これを含む導電性粘着剤組成物を伸長成型して得られる導電性多孔構造体の品質の安定性を確保することが困難となることが懸念される。
本実施形態に係るエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物における導電性微粒子の含有量は、本実施形態に係るエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物を伸長成型して得られる導電性多孔構造体が有するべき導電性(体積抵抗率)、導電性微粒子自体の導電性、伸長成型により得るべき多孔構造体の形状(換言すれば伸長成型による変形の程度)などを考慮して適宜設定されるべきものである。その含有量が過度に少ない場合には伸長成型後の導電性多孔構造体が所望の導電性を得ることが困難となり、過度に多い場合には伸長成型性が低下したり得られた導電性多孔構造体の機械特性が低下したりすることが懸念される。本実施形態に係るエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物における導電性微粒子の含有量の好ましい範囲の一例を導電性微粒子がリン酸ドープ酸化スズからなる場合について示せば、エネルギー線硬化型絶縁性樹脂100質量部に対して、5量部以上60質量部以下であり、特に10質量部以上50質量部以下であることが好ましく、さらには15質量部以上45質量部以下であることが好ましい。
なお、本実施形態に係るエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物は、上記の導電性微粒子とエネルギー線硬化型絶縁性樹脂とを混合することにより得られるところ、この導電性粘着剤組成物を調製するにあたり、本実施形態に係る導電性微粒子を液体に分散させたゾルの状態で用いることが、得られた導電性粘着剤組成物中の導電性微粒子の分散性を高める観点から好ましい。
〔粘着シート〕
図1に示すように、第1の実施形態に係る粘着シート1Aは、下から順に、剥離シート12と、剥離シート12の剥離面に積層された粘着剤層11と、粘着剤層11に積層された基材13とから構成される。
また、図2に示すように、第2の実施形態に係る粘着シート1Bは、2枚の剥離シート12a,12bと、それら2枚の剥離シート12a,12bの剥離面と接するように当該2枚の剥離シート12a,12bに挟持された粘着剤層11とから構成される。なお、本明細書における剥離シートの剥離面とは、剥離シートにおいて剥離性を有する面をいい、剥離処理を施した面および剥離処理を施さなくても剥離性を示す面のいずれをも含むものである。
いずれの粘着シート1A,1Bにおいても、粘着剤層11は、前述したエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物をシート状に形成してなるものである。粘着剤層11の厚さは、粘着シート1の成型方法等に応じて適宜決定されるが、通常1μm以上300μm以下、好ましくは5μm以上100μm以下、特に好ましくは10μm以上50μm以下の範囲である。
基材13としては、特に制限は無く、通常の粘着シートの基材シートとして用いられているものは全て使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、トリアセチルセルロース等のセルロースフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルムなどのプラスチックフィルム;ウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体等の発泡体;上質紙、グラシン紙、含浸紙、コート紙等の紙類;アルミ、銅等の金属箔;レーヨン、アクリル、ポリエステル等の繊維を用いた織布または不織布;これらの2種以上の積層体などを挙げることができる。プラスチックフィルムは、一軸延伸または二軸延伸されたものでもよい。なお、粘着剤層11を基材13とともに立体成型する場合には、基材13としては、立体成型が可能な程度の柔軟性を有するものが好ましい。
基材13の厚さは、材料の種類や粘着シート1の目的によって異なり、特に限定されるものではないが、通常は10μm以上300μm以下、好ましくは20μm以上150μm以下、特に好ましくは35μm以上80μm以下である。
剥離シート12,12a,12bとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。また、これらの架橋フィルムも用いられる。さらに、これらの積層フィルムであってもよい。
上記剥離シートの剥離面(特に粘着剤層11と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系の剥離剤が挙げられる。
第2の実施形態に係る粘着シート1Bのように、2枚の剥離シート12a,12bを使用する場合、2枚の剥離シート12a,12bの材料は、同じものであってもよいし、異なるものであってもよいが、剥離シート12aと剥離シート12bとの剥離力差が異なるように、すなわち一方が重剥離型剥離シート、他方が軽剥離型剥離シートとなるように、調整することが好ましい。
剥離シート12,12a,12bの厚さについては特に制限はないが、通常20μm程度から150μm程度の範囲内である。
〔粘着シートの製造方法〕
上記粘着シート1Aを製造する方法も任意である。その一例を挙げれば、剥離シート12の剥離面に、上記エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物を含む塗布溶液を塗布し、乾燥させて粘着剤層11を形成した後、その粘着剤層11に基材13を積層する。
また、上記粘着シート1Bを製造する方法は任意である。その一例を挙げれば、一方の剥離シート12a(または12b)の剥離面に、上記エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物を含む塗布溶液を塗布し、乾燥させて粘着剤層11を形成した後、その粘着剤層11に他方の剥離シート12b(または12a)の剥離面を重ね合わせる。
上記塗布溶液を塗布する方法としては、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等を利用することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、粘着シート1Aの剥離シート12は省略されてもよいし、粘着シート1Bにおける剥離シート12a,12bのいずれか一方は省略されてもよい。
〔伸長成型〕
本実施形態に係る電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物およびこのエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物をシート状に形成してなる粘着剤層11は、伸長成型により多孔構造体を形成するためのものである。導電性粘着剤組成物または粘着剤層11を三次元的に伸長させる方法は特に限定されず、例えば、気体注入方式、発泡剤含有方式、突起押し上げ方式、減圧膨張方式等が挙げられる。また、立体成型の形状としては、特に限定されず、例えば、球状、半球状、柱状等であってもよいし、それらが連続した凹凸構造であってもよい。本実施形態に係る粘着シート1を使用すれば、伸長成型により、特に、球状、半球状、柱状等が連続した凹凸構造を容易に成型することができる。
本実施形態に係るエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物によれば、当該導電性粘着剤組成物を基台に貼付して、上記のような伸長成型を行ったときに、目的の形状・大きさに膨張延伸するまで、基台からの剥がれがなく、また目的の形状・大きさに膨張延伸するまで、凝集破壊による破断を抑制することができる。
上記のような伸長成型を行う場合、エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物が目的とする形状・大きさまで膨張延伸した際に、エネルギー線を照射して当該導電性粘着剤組成物を硬化させることで、伸長成型を行うことができる。
このときに照射されるエネルギー線としては、種々のエネルギー線発生装置から発生するエネルギー線が用いられ、通常、紫外線、電子線等が用いられる。例えば、紫外線としては、通常は紫外線ランプから輻射される紫外線が用いられる。この紫外線ランプとしては、通常波長300nm以上400nm以下の領域にスペクトル分布を有する紫外線を発光する、高圧水銀ランプ、ヒュ−ジョンHランプ、キセノンランプ等の紫外線ランプが用いられ、照射量は通常50mJ/cm以上3000mJ/cm以下が好ましい。また、電子線の場合には、照射量は10krad程度から1000krad程度の範囲内が好ましい。
〔導電性多孔構造体の使用例〕
以下、本実施形態に係る粘着シート1に対して伸長成型を行って導電性多孔構造体を製造する装置およびその装置を用いた導電性多孔構造体の製造方法を説明する。
(1)多孔構造体成型加工装置
伸長成型を行うにあたり、図3に概念的に示されるような多孔構造体成型加工装置100を用意する。
多孔構造体成型加工装置100は、中空のチャンバおよびチャンバ内の圧力を制御(減圧または加圧)する手段からなる圧力制御装置23、圧力制御装置23のチャンバ内に配置される基板21、ならびに基板21の上面を照射範囲として含むエネルギー線照射装置24を備える。
基板21はシリコーンゴム等からなるものであって、上面に高密度で多数の凹部22を有する。基板21は多孔構造を成長させる基台となるものであって、この凹部22の配置により導電性多孔構造体30のピッチ等が決定される。後述の試験例6において、凹部22は千鳥に配置されており、φ25μmの半球形状で、ピッチは38μmであった。
(2)導電性多孔構造体の製造方法
上記の構成を備える多孔構造体成型加工装置100を用いて、導電性多孔構造体を製造する方法について、以下に説明する。
まず、圧力制御装置23にてチャンバ内の雰囲気圧力を制御する。この雰囲気圧力はその後の工程における凹部22内のガスの圧力に相当し、この雰囲気圧力を調整することにより、粘着シート11から導電性多孔構造体30が形成される際のガスの膨張量を制御することができる。
次に、本実施形態に係るエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物を用いて形成された粘着シート11を基板21上に貼付する。後述の試験例6では粘着剤層が20μm厚の粘着シートを用いた。
続いて、圧力制御装置23にてチャンバ内圧力を低下させることで、凹部22内の空間に残留するガスの体積膨張が始まる。その際、基板21を構成する材料よりも粘着シート11を構成する材料の方が軟質なので、粘着シート11における凹部22のそれぞれの上方に位置する部分(以下、「被蓋部分」ともいう。)を凹部22から離間させるような変形力が粘着シート11に付与される。
ここで、このような変形力は、基板21の上面にある複数の凹部22のそれぞれに対応する被蓋部分に対して付与されることから、一つの被蓋部分に対して付与される横方向(基板21の上面の面内方向)の変形力は、その被蓋部分に隣接する被蓋部分における横方向の変形力により相殺される。このため、各被蓋部分には、基板21の上面の法線方向に沿った方向で凹部22から離間する向きに変形させる力が付与されることになる。
その結果、図4に示されるように、粘着シート11は、その一部が基板21の上面に貼付されつつ、基板21の凹部22の配置に対応して位置するシェル31を多数有するように変形する。
こうして多数のシェル31を有するように変形した粘着シート11に対して、エネルギー線照射装置24にてエネルギー線を照射して、変形した粘着シート11におけるエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物を硬化させることにより、多数のシェル31を有するように変形した粘着シート11の硬化物30が基板21の上面に付着した状態で形成される。後述の試験例6では、紫外線照射装置(光源メタルハライドランプ,照度120mW/cm,光量70mJ/cm)を照射した。
圧力制御装置23のチャンバを開いて、粘着シート11の硬化物30を基板21とともにチャンバから取り出し、粘着シート11の硬化物30を基板21から分離することにより、多数のシェル31がハニカム状に配置されてなる導電性多孔構造体30が得られる。
〔電気泳動ディスプレイ〕
本実施形態に係る粘着シート11を用いて形成した上記の導電性多孔構造体30を電気泳動ディスプレイの電気泳動表示素子における隔壁および導電性の封止材の一方に適用すると、表示特性に優れるディスプレイが得られる。この点について電気泳動ディスプレイの一例の具体的な構成を示しつつ説明する。
酸化チタン20質量部、酸ポリマー1質量部、シリコーンポリマーグラフトカーボンブラック(日本触媒製 MX3−GRX−001)2質量部、シリコーンオイル(信越化学製 KF96L−1cs)77質量部の各配合組成物を混合した分散液を作製し、超音波で1時間分散して白黒粒子分散液を作製する。
導電性多孔構造体30のシェル31内に得られた分散液を滴下する。次に、導電性多孔構造体30のシェル31の配置に対応した透明導電性材料を用いて形成された電極および配線パターンを備え、光透過性を有する材料を用いて形成された平板状の部材(以下、「光透過性部材」という。)を、導電性多孔構造体30に接合する。こうして、導電性多孔構造体30の凹部が光透過性部材で封止されてなるキャビティを備える電気泳動表示素子が得られる。
得られた電気泳動表示素子における光透過性部材からなる面をガラスからなる光透過性基板上に固定し、電気泳動表示素子の他方の面を電極および配線パターンが形成されたフィルム基板上に固定することにより、電気泳動ディスプレイが得られる。この電気泳動ディスプレイにおける光透過性部材の電極とフィルム基板の電極とをドライバに接続すれば、電気泳動表示素子のキャビティ内の分散液に含有される酸化チタンとカーボンブラックとの配置がドライバからの電圧印加に応じて変動して、電気泳動表示素子を画素(電気泳動表示画素)として機能させることが実現される。
なお、上記の例では、電気泳動表示素子のキャビティにおける導電性の封止材の一方は導電性多孔構造体30の一部によって構成されているが、導電性多孔構造体30のシェル31における底部を含むように導電性多孔構造体30の一方の面側を所定の厚さで除去して、導電性多孔構造体30は電気泳動表示素子のキャビティの隔壁のみを構成するものとしてもよい。この場合には、導電性多孔構造体30の両方の面を導電性の封止材で接合することによって電気泳動表示素子を形成すればよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物の調製
ブチルアクリレート52質量部、メチルメタクリレート20質量部および2−ヒドロキシエチルアクリレート28質量部を共重合してなる(メタ)アクリル酸エステル共重合体(メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)を(メタ)アクリル酸エステル共重合体のヒドロキシ基100当量に対して90当量を添加して反応,重量平均分子量58万,酢酸エチル/トルエン混合溶剤,MOIの反応前のガラス転移温度−22℃,固形分濃度35質量%)100質量部(固形分)と、エネルギー線硬化型ウレタンアクリレート系オリゴマー(日本合成化学工業社製,UV−6100B,重量平均分子量6700,硬化後のガラス転移温度0℃,硬化後の鉛筆硬度5B)100質量部(固形分)と、イソシアネート系架橋剤(東洋インキ製造社製,オリバインBHS8515,固形分濃度37.5質量%)0.1質量部(固形分)と、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャリティーケミカルズ社製,イルガキュア184)3.0質量部と(以上エネルギー線硬化型絶縁性樹脂成分)、導電性微粒子として導電性酸化スズゾル(日産化学工業社製,セルナックスCX−S303IP,一次粒径5〜20nm)30質量部とを混合し、電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物を調製した。
(2)粘着シートの作製
上記(1)で調製した電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した重剥離型剥離シート(リンテック社製,SP−PET38T103−1,厚さ38μm)の剥離処理面に、乾燥膜厚が5μmまたは20μmになるように塗布し、110℃で2分間乾燥させて厚さの異なる二種類の粘着剤層を形成した。得られた各粘着剤層に、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した軽剥離型剥離シート(リンテック社製,SP−PET381031,厚み38μm)の剥離処理面を貼り合わせ、粘着剤層が2枚の剥離シートに挟持された形態とした。その後、23℃、50%RHの条件下で7日間エージングして、これを粘着シートとした。
〔実施例2〕
実施例1における導電性粒子に代えて、アンチモン酸亜鉛(日産化学工業社製,セルナックスCX−Z210IP,一次粒径5〜30nm)20質量部を用いた以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
〔実施例3〕
実施例1における導電性粒子に代えて、酸化インジウムスズ(ITO)粉末(三菱マテリアル電子化成社製,一次粒径30nm)40質量部を用いた以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
〔実施例4〕
実施例1における電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物におけるエネルギー線硬化型絶縁性樹脂の組成を次のように部分的に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
エネルギー線硬化型ウレタンアクリレート系オリゴマーとして、エネルギー線硬化型ウレタンアクリレート系オリゴマー(日本合成化学工業社製,UV−6100B,重量平均分子量6700,ガラス転移温度0℃,硬化後の鉛筆硬度5B)50質量部(固形分)と、エネルギー線硬化型ウレタンアクリレート系オリゴマー(日本合成化学工業社製,UV−7000B,重量平均分子量3500,ガラス転移温度52℃,硬化後の鉛筆硬度2B)50質量部(固形分)とを併用した。
〔実施例5〕
実施例1における電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物におけるエネルギー線硬化型絶縁性樹脂の組成を次のように部分的に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体として、ブチルアクリレート90質量部、アクリル酸10質量部を共重合してなる(メタ)アクリル酸エステル共重合体(重量平均分子量65万,酢酸エチル/トルエン混合溶剤,ガラス転移温度−45℃,固形分濃度26質量%)100質量部(固形分)を用いた。
〔比較例1〕
実施例1における導電性粒子に代えて、イオン液体(テトラ−n−オクチルホスホニウムブロミド)10質量部を、導電性を付与するための材料として用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
〔比較例2〕
実施例1における電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物の組成を次のように部分的に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体として、アクリル樹脂(三菱レイヨン社製,ダイヤナールBR−101)100質量部(固形分)を用いた。
エネルギー線硬化型ウレタンアクリレート系オリゴマーとして、ジヒドロシクロペンタジエチルアクリレート(DCPA)100質量部(固形分)を用いた。
〔比較例3〕
実施例1における導電性粒子に代えて、酸化インジウムスズ(ITO)粉末(住友金属鉱山社製)を乳鉢にて10〜20μmの大きさに粉砕してなる粉状体20質量部を用いた以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
〔比較例4〕
導電性粒子を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
〔比較例5〕
実施例1における電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物の組成を次のように部分的に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体として、アクリル樹脂(三菱レイヨン社製,ダイヤナールBR−115)100質量部(固形分)を用いた。
エネルギー線硬化型ウレタンアクリレート系オリゴマーとして、ジヒドロシクロペンタジエチルアクリレート(DCPA)100質量部(固形分)を用いた。
〔試験例1〕(破断伸度測定)
実施例または比較例で得られた粘着シートにおける粘着剤層の合計厚さが500μmとなるように、かつ積層体の最表層の剥離シートのみが残るように上記の20μm厚の粘着剤層を複数層積層し、23℃、50%RHの雰囲気下で2週間放置した。その後、上記粘着剤層を複数層積層した粘着シートから15mm幅×55mm長のサンプルを切り出し、積層体の最表層に積層された剥離シートを剥し、サンプル測定範囲が15mm幅×25mm長になるようにサンプルを万能引張試験機(SHIMADZU社製,オートグラフAG−10kNIS)にセットした。そして、23℃、50%RHの環境下にて、引張速度200mm/分でサンプルを膨張延伸させ、サンプルが破断した時の伸び率を破断伸度とした。試験装置の構成上、伸び率の測定上限は2000%であった。
〔試験例2〕(応力緩和率測定)
実施例または比較例で得られた粘着シートにおける粘着剤層の合計厚さが500μmとなるように、かつ積層体の最表層の剥離シートのみが残るように上記の20μm厚の粘着剤層を複数層積層し、23℃、50%RHの雰囲気下で2週間放置した。その後、上記粘着剤層を複数層積層した粘着シートから15mm幅×55mm長のサンプルを切り出し、積層体の最表層に積層された剥離シートを剥し、サンプル測定範囲が15mm幅×25mm長になるようにサンプルを万能引張試験機(SHIMADZU社製,オートグラフAG−10kNIS)にセットした。そして、23℃、50%RHの環境下にて、引張速度200mm/分でサンプルを膨張延伸させ、300%伸長時の応力A(Pa)と、伸長停止から300秒後の応力B(Pa)とを測定した。測定された応力Aおよび応力Bから、以下の式を用いて、応力緩和率(%)を算出した。
応力緩和率(%)={(A−B)/A}×100(%)
〔試験例3〕(体積抵抗率測定)
実施例または比較例で得られた粘着剤層が20μm厚の粘着シートに対して紫外線照射装置(FUSION社製,CV−110O−Gによって紫外線(照度120mW,光量70mJ)を照射することにより粘着層を硬化させ、その硬化後の粘着層を有する粘着シートを23℃50%RHの環境に一日放置した。この放置後の硬化した粘着剤層について抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、MCP−HT450)を用いて体積抵抗率を測定した。一つの粘着剤層に対して測定点を任意に10箇所設定し、各測定点にて2回以上測定した。これらの測定結果の平均値をその測定に係る粘着剤層の体積抵抗率とした。得られた体積抵抗率を次の基準で評価した。
◎(特に良好):1×1012Ω・cm未満
○(良好):1×1012Ω・cm以上1×1013Ω・cm未満
×(不良):1×1013Ω・cm以上または測定値にばらつきが多く安定的な計測が不可能
〔試験例4〕(ヘイズ)
実施例または比較例で得られた粘着剤層が5μm厚の粘着シートを50mm×50mmのサイズにサンプリングした。この粘着シートから剥離シートを除去した粘着剤層について、ヘイズメーター(日本電色社製,NDH−2000)を用いて、JIS K7136:2000に準じて、ヘイズを測定した。
〔試験例5〕(全光線透過率)
実施例または比較例で得られた粘着剤層が5μm厚の粘着シートを50mm×50mmのサイズにサンプリングした。この粘着シートから剥離シートを除去した粘着剤層について、ヘイズメーター(日本電色社製,NDH−2000)を用いて、JIS K7361:1997に準じて、全光線透過率を測定した。
〔試験例6〕(導電性多孔構造体形成時の剥離評価)
粘着剤層が20μm厚の粘着シートを用いて前述の導電性多孔構造体の製造方法により伸長成型を行い、隔壁厚みが3μmであって隔壁の高さが50μmである導電性多孔構造体を形成した。その際、導電性多孔構造体が形成されるとき(特に凹部内のガスが膨張するとき)の粘着シートの基板に対する付着状態を次の基準で評価した。
○(良好):粘着シートが基板から剥離しなかった
×(不良):粘着シートが基板から剥離した
〔試験例7〕(導電性多孔構造体の表面性状)
試験例6に沿って導電性多孔構造体を形成した。得られた導電性多孔構造体におけるハニカム構造の形状をデジタル顕微鏡(キーエンス社製,観察倍率100倍)で確認した。次の基準で導電性多孔構造体の隔壁の表面性状について評価した。
○(良好):ハニカムの隔壁に波打ちや微粒子に起因する凹凸が認められない
×(不良):ハニカムの隔壁に波打ちや微粒子に起因する凹凸が認められる
〔試験例8〕(電気泳動ディスプレイの表示特性)
電気泳動ディスプレイでの駆動確認を行った。
試験例7において作製した導電性多孔構造体を隔壁として有する電気泳動表示素子、およびその電気泳動表示素子を備える電気泳動ディスプレイを、前述の製造方法により作製した。
得られた電気泳動ディスプレイを4回駆動させ、以下の基準で評価を行った。このときの駆動電圧は、±15Vとした。
○(良好)1〜4回目の全ての駆動において、表示/非表示の反射率差が30%以上であり、かつ2〜4回目の反射率差が1回目の反射率差の70%以上であった
×(不良)1〜4回目のいずれかの駆動において、表示/非表示の反射率差が30%未満であった、もしくは2〜4回目のいずれかの反射率差が1回目の反射率差の70%未満であった
実施例1から5および比較例1から5に係る電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型導電性粘着剤の組成を表1に示す。また、試験例1から8の結果を表2に示す。
Figure 2013186341
Figure 2013186341
表2から明らかなように、本発明の要件を満たす、実施例で得られた電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物は伸長成型性に優れ、伸長成型により得られた導電性多孔構造体を備える電気泳動ディスプレイは表示特性に優れるものであった。
本発明の電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物および粘着シートを伸長成型することにより形成される導電性多孔構造体は、電気泳動ディスプレイの構成部品として好適に使用できるものである。
1A,1B…粘着シート
11…粘着剤層
12,12a,12b…剥離シート
13…基材
21…基板
22…凹部
23…圧力制御装置
24…エネルギー線照射装置
100…多孔構造体成型加工装置

Claims (8)

  1. 帯電粒子が分散している電気泳動液に電圧を印加して帯電粒子を移動させることにより表示を行う電気泳動ディスプレイにおける電気泳動液を内包するための中空部を備える構造体である多孔構造体を形成するためのエネルギー線硬化型粘着剤組成物であって、
    エネルギー線硬化型絶縁性樹脂と、当該エネルギー線硬化型絶縁性樹脂中に分散された導電性微粒子とを含有し、
    当該エネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物のエネルギー線硬化前の破断伸度が500%以上、かつ応力緩和率が70%以上95%以下であり、
    前記導電性微粒子は金属酸化物からなり、その粒子径が1000nm以下であることを特徴とする電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  2. 請求項1記載の金属酸化物が、酸化亜鉛と五酸化アンチモンとからなる複酸化物、リン酸ドープ酸化スズおよびスズドープ酸化インジウムからなる群から選ばれる一種または二種以上を含有することを特徴とする電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  3. 請求項1または2記載のエネルギー線硬化型絶縁性樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体とエネルギー線硬化型ウレタンアクリレートとを含有し、
    前記エネルギー線硬化型絶縁性樹脂における前記エネルギー線硬化型ウレタンアクリレートの含有量は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体100質量部に対して、50質量部以上200質量部以下であることを特徴とする電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  4. 請求項3記載の(メタ)アクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度(Tg)が−50℃以上0℃以下であり、前記エネルギー線硬化型ウレタンアクリレートのエネルギー線硬化後のガラス転移温度(Tg)が−40℃以上25℃以下であることを特徴とする電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  5. 請求項1から4記載のエネルギー線硬化型導電性粘着剤組成物を5μm厚の粘着剤層としたときのエネルギー線硬化前の全光線透過率が80%以上であって、かつ前記粘着剤層のヘイズが10%以下であることを特徴とする電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載される電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用エネルギー線硬化型粘着剤組成物から構成される粘着剤層を備えたことを特徴とする電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用粘着シート。
  7. 請求項6に記載される電気泳動ディスプレイ用多孔構造体形成用粘着シートが三次元的に膨張延伸されることにより形成されたものであって、規則的に配置された複数の中空部を備えることを特徴とする多孔構造体。
  8. 請求項7に記載される多孔構造体を備えることを特徴とする電気泳動ディスプレイ。
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