JP2013185827A - 遮蔽構造および遮蔽方法 - Google Patents

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Makoto Morishima
誠 森島
Kaoru Kurabayashi
薫 倉林
Yoshinori Yamakoshi
義規 山越
Naoya Miyahara
直哉 宮原
Yuko Fujita
優子 藤田
Ryota Hirano
良太 平野
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Abstract

【課題】遮蔽機能を必要としない場合に妨げとなることがなく、遮蔽機能を必要とする場合に迅速に設置すること。
【解決手段】原子力プラントにおいて放射線の漏洩を防止するための遮蔽構造であって、放射線を遮蔽する遮蔽部材32を支持し得る支持部材31を、放射線を発生する設備(フィルタ22)の配置領域に対して遮蔽部材32を除いて予め設ける。
【選択図】図3

Description

本発明は、原子力プラントにおいて、シビアアクシデント時での放射線の漏洩を防止するための遮蔽構造および遮蔽方法に関する。
従来、原子力プラントにおいて、炉心が溶融して原子炉圧力容器から流出するシビアアクシデントを想定した対策として、例えば、特許文献1では、原子炉圧力容器から流出した溶融物を補足する捕捉部と、冷媒が貯蔵されている冷媒貯蔵部内に設けられて補足部を介して溶融物が流入する複数の筒部とを有する溶融物冷却構造が示されている。この溶融物冷却構造は、溶融物を複数に分散させて小分けに筒部内に堆積することで、流出した溶融物が山状に堆積することを防止する。しかも、筒部を介して当該筒部に流入した小分けにされた溶融物と、冷媒貯蔵部内の冷媒との接触面積を増加させることで、原子炉から流出した溶融物の冷却効率を向上させる。
また、例えば、特許文献2では、上部ドライウェルと圧力抑制プールとを結ぶ蒸気ベント管と、通常時における圧力抑制プールの水面の高さよりも低い位置の下部ドライウェル内部と圧力抑制プールとを結ぶ冷却水流路管と、下部ドライウェル内で冷却水流路管に設けられて、通常時には閉じていて下部ドライウェル内の温度が所定の温度よりも高くなったときに開放される温度作動弁機能と、圧力抑制プール側から下部ドライウェル側へ向かう流れを許容し下部ドライウェル側から圧力抑制プール側へ向かう流れを阻止する逆止弁機能と、を備えた原子力プラントが示されている。この原子力プラントは、原子炉の非常時に圧力抑制プールを水源として下部ドライウェルに注水を行なうことができ、しかも圧力抑制プールの圧力抑制機能を損なわない構成とする。
特開2011−174897号公報 特開2011−133372号公報
溶融物を冠水させて冷却する場合、溶融物の崩壊熱により原子炉格納容器内で水蒸気が発生する。すると、水蒸気の充満によって原子炉格納容器の内部の圧力が上昇し、原子炉格納容器の耐圧を超えた場合、原子炉格納容器が破壊されるおそれがある。このような事態を回避するため、従来では、特許文献1や特許文献2に記載のように冷却効率や圧力抑制機能を高める工夫がなされている。
一方、原子炉格納容器の内圧が上昇し原子炉格納容器の耐圧を超える場合では、内圧を下げるために原子炉格納容器の外部に水蒸気を放出することが必要となり、その場合、水蒸気から放射性物質を除くためのフィルタを有する排気機構を備えることが考えられる。また、溶融物を冠水させる冷却水が原子炉格納容器内で満水となった場合では、当該冷却水から放射性物質を除くための除染設備を備えることが考えられる。
このような、排気機構や除染設備は、その周囲に放射線を放出することが考えられるため、遮蔽機能を有するコンクリート壁などでその周囲を覆う必要がある。しかし、上述したように、排気機構や除染設備は、シビアアクシデント時に用いられるもので、原子力プラントにおける通常の運転時では用いることがなく、遮蔽機能も原子力プラントにおける通常の運転時では用いることがない。したがって、遮蔽機能を予め設けておくことは、遮蔽機能を設置するプラント建屋の耐震性を強化しなければならず好ましくない。その半面、排気設備や除染設備の運用時に遮蔽機能を新たに設置することは、破棄設備や除染設備の迅速な運用に支障を来すおそれがあり好ましくない。
本発明は上述した課題を解決するものであり、遮蔽機能を必要としない場合に妨げとなることがなく、遮蔽機能を必要とする場合に迅速に設置することのできる遮蔽構造および遮蔽方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明の遮蔽構造は、原子力プラントにおいて放射線の漏洩を防止するための遮蔽構造であって、放射線を遮蔽する遮蔽部材を支持し得る支持部材を、放射線を発生する設備の配置領域に対して前記遮蔽部材を除いて予め設けることを特徴とする。
この遮蔽構造によれば、原子力プラントにおける通常の運転時では用いることがなく、シビアアクシデント時に用いられる設備に対し、軽量な支持部材のみを予め設けておき、当該設備の遮蔽が必要になった場合に、遮蔽部材を設置することで遮蔽機能を有する。このため、遮蔽部材のような質量の大きいものを原子力プラントの建屋に予め配置する必要がないため、建屋の耐震性を強化することなく、遮蔽機能を必要としない場合に妨げとならない。しかも、遮蔽機能を必要とするときに、遮蔽部材のみを設置するだけであるため、遮蔽機能を必要とする場合に迅速に設置することができる。さらに、原子力プラントにおける通常の運転時では、支持部材のみの設置であるため、未使用時での製造コストを低減することが可能になる。
また、本発明の遮蔽構造では、前記支持部材は、液状または粒状の前記遮蔽部材が注入される型枠からなることを特徴とする。
この遮蔽構造によれば、液状または粒状の遮蔽部材を注入する型枠として支持部材を構成することで、遮蔽すべき設備から十分離れた場所から、移動可能なポンプ車などを遮蔽部材の設置に適用することができる。
また、本発明の遮蔽構造では、前記支持部材は、壁状の前記遮蔽部材が挿入される型枠からなることを特徴とする。
この遮蔽構造によれば、壁状の遮蔽部材を挿入する型枠として支持部材を構成することで、遮蔽すべき設備から十分離れた場所から、移動可能なクレーン車などを遮蔽部材の設置に適用することができる。
上記目的を達成するために、本発明の遮蔽方法は、原子力プラントにおいて放射線の漏洩を防止するための遮蔽方法であって、放射線を遮蔽する遮蔽部材を支持し得る支持部材を、放射線を発生する設備の配置領域に対して前記遮蔽部材を除いて予め設ける工程と、次に、放射線の遮蔽が必要となった場合、前記支持部材に対して前記遮蔽部材を設置する工程と、を含むことを特徴とする。
この遮蔽方法によれば、原子力プラントにおける通常の運転時では用いることがなく、シビアアクシデント時に用いられる設備に対し、軽量な支持部材のみを予め設けておき、当該設備の遮蔽が必要になった場合に、遮蔽部材を設置することで遮蔽機能を有する。このため、遮蔽部材のような質量の大きいものを原子力プラントの建屋に予め配置する必要がないため、建屋の耐震性を強化することなく、遮蔽機能を必要としない場合に妨げとならない。しかも、遮蔽機能を必要とするときに、遮蔽部材のみを設置するだけであるため、遮蔽機能を必要とする場合に迅速に設置することができる。さらに、原子力プラントにおける通常の運転時では、支持部材のみの設置であるため、未使用時での製造コストを低減することが可能になる。
本発明によれば、遮蔽機能を必要としない場合に妨げとなることがなく、遮蔽機能を必要とする場合に迅速に設置することができる。
図1は、原子力プラントの一例の概略構成図である。 図2は、本発明の実施形態に係る遮蔽構造および遮蔽方法の適用例である原子炉格納容器保全設備の構成図である。 図3は、本発明の実施形態1に係る遮蔽構造を示す側断面図である。 図4は、本発明の実施形態1に係る遮蔽構造を示す平面図である。 図5は、本発明の実施形態1に係る遮蔽方法を示す側断面図である。 図6は、本発明の実施形態2に係る遮蔽構造を示す側断面図である。 図7は、本発明の実施形態2に係る遮蔽構造を示す平面図である。 図8は、本発明の実施形態2に係る遮蔽方法を示す側断面図である。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、原子力プラントの一例の概略構成図である。図1に示す原子力プラントは、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。この原子力プラントは、原子炉格納容器100内において、原子炉圧力容器101、加圧器102、蒸気発生器103および一次冷却水ポンプ104が、一次冷却水管105により順次接続されて、一次冷却水の循環経路が構成されている。
原子炉圧力容器101は、内部に炉心である複数の燃料集合体101aを密閉状態で格納するもので、燃料集合体101aが挿抜できるように、容器本体101bとその上部に装着される容器蓋101cとにより構成されている。容器蓋101cは、容器本体101bに対して開閉可能に設けられている。容器本体101bは、上方が開口し、下方が半球形状とされて閉塞された円筒形状をなし、上部に一次冷却水としての軽水を給排する入口側管台101dおよび出口側管台101eが設けられている。出口側管台101eは、蒸気発生器103の入口側水室103aに連通するように一次冷却水管105が接続されている。また、入口側管台101dは、蒸気発生器103の出口側水室103bに連通するように一次冷却水管105が接続されている。
蒸気発生器103は、半球形状に形成された下部において、入口側水室103aと出口側水室103bとが仕切板103cによって区画されて設けられている。入口側水室103aおよび出口側水室103bは、その天井部に設けられた管板103dによって蒸気発生器103の上部側と区画されている。蒸気発生器103の上部側には、逆U字形状の伝熱管103eが設けられている。伝熱管103eは、入口側水室103aと出口側水室103bとを繋ぐように端部が管板103dに支持されている。そして、入口側水室103aは、入口側の一次冷却水管105が接続され、出口側水室103bは、出口側の一次冷却水管105が接続されている。また、蒸気発生器103は、管板103dによって区画された上部側の上端に、出口側の二次冷却水管106aが接続され、上部側の側部に、入口側の二次冷却水管106bが接続されている。
また、原子力プラントは、蒸気発生器103が、原子炉格納容器100外で二次冷却水管106a,106bを介して蒸気タービン107に接続されて、二次冷却水の循環経路が構成されている。
蒸気タービン107は、高圧タービン108および低圧タービン109を有すると共に、発電機110が接続されている。また、高圧タービン108および低圧タービン109は、湿分分離加熱器111が、二次冷却水管106aから分岐して接続されている。また、低圧タービン109は、復水器112に接続されている。この復水器112は、二次冷却水管106bに接続されている。二次冷却水管106bは、上述したように蒸気発生器103に接続され、復水器112から蒸気発生器103に至り、復水ポンプ113、低圧給水加熱器114、脱気器115、主給水ポンプ116、高圧給水加熱器117および主給水弁118が設けられている。
従って、原子力プラントでは、一次冷却水が原子炉圧力容器101にて加熱されて高温・高圧となり、加圧器102にて加圧されて圧力を一定に維持されつつ、一次冷却水管105を介して蒸気発生器103に供給される。蒸気発生器103では、一次冷却水と二次冷却水との熱交換が行われることにより、二次冷却水が蒸発して蒸気となる。熱交換後の冷却した一次冷却水は、一次冷却水管105を介して一次冷却水ポンプ104側に回収され、原子炉圧力容器101に戻される。一方、熱交換により蒸気となった二次冷却水は、蒸気タービン107に供給される。蒸気タービン107に係り、湿分分離加熱器111は、高圧タービン108からの排気から湿分を除去し、さらに加熱して過熱状態とした後に低圧タービン109に送る。蒸気タービン107は、二次冷却水の蒸気により駆動され、その動力が発電機110に伝達されて発電される。タービンの駆動に供された蒸気は、復水器112に排出される。復水器112は、取水管112aを介してポンプ112bにより取水した冷却水(例えば、海水)と、低圧タービン109から排出された蒸気とを熱交換し、当該蒸気を凝縮させて低圧の飽和液に戻す。熱交換に用いられた冷却水は、排水管112cから排出される。また、凝縮された飽和液は、二次冷却水となり、復水ポンプ113によって二次冷却水管106bを介して復水器112の外部に送り出される。さらに、二次冷却水管106bを経る二次冷却水は、低圧給水加熱器114で、例えば、低圧タービン109から抽気した低圧蒸気により加熱され、脱気器115で溶存酸素や不凝結ガス(アンモニアガス)などの不純物が除去された後、主給水ポンプ116により送水され、高圧給水加熱器117で、例えば、高圧タービン108から抽気した高圧蒸気により加熱された後、蒸気発生器103に戻される。ここで、二次冷却水を蒸気発生器103に給水する系統を主給水系という。主給水系は、蒸気発生器103の二次冷却水の水位を維持するため、主給水ポンプ116や主給水弁118などが制御される。
図2は、本実施形態に係る遮蔽構造および遮蔽方法の適用例である原子炉格納容器保全設備の構成図である。図2に示すように、原子炉格納容器100の内部において、原子炉圧力容器101の容器本体101bの下部を囲むように原子炉キャビティ10が設けられている。この原子炉キャビティ10は、炉心が溶融して原子炉圧力容器101から流出するシビアアクシデント時において、溶融物を捕捉し、かつ冷却水が注水されることで溶融物を冷却するものである。
そして、原子炉格納容器保全設備は、排気機構2を備える。排気機構2は、原子炉格納容器100の内部から、当該原子炉格納容器100の外部に引き出された排気配管21と、原子炉格納容器100の外部において排気配管21に接続されるフィルタ22とを有している。
排気配管21は、排気弁21aが設けられている。排気弁21aは、例えば、電動弁からなり、排気配管21における排気を開放または閉止する。フィルタ22は、上下が閉塞された筒体であり密閉構造とされている。
フィルタ22は、その内部の下方に、排気配管21に接続されたノズル配管22aが設けられている。ノズル配管22aは、例えば、排気配管21に接続されつつフィルタ22の内部で下方に向けて延在し、フィルタ22の内部の底で水平放射方向に複数に分岐して設けられている。そして、分岐した各先端に排気ノズル22bがそれぞれ設けられている。この排気ノズル22bは、フィルタ22の内部に注入された吸着液Lに浸されている。吸着液Lは、水であり、吸着剤が添加されていてもよい。また、フィルタ22は、その内部の上方に、気水分離器22cが設けられている。気水分離器22cは、複数の波板を並設したもので、吸着液Lから離隔して設けられている。また、フィルタ22は、その上部に、外部に通じる排気管22dが設けられている。
この排気機構2は、シビアアクシデント時に、原子炉キャビティ10において冷却水により溶融物を冷却する際、原子炉格納容器100の内部に発生する水蒸気を排出するものであり、排気弁21aを開放状態とすることで、原子炉格納容器100の内部に発生する水蒸気を、排気配管21および排気管22dを介して原子炉格納容器100の外部に排出する過程で、フィルタ22により吸着液Lに通して水蒸気から放射性物質を吸着して除く。また、排気機構2は、排気弁21aを閉止状態とすることで、原子炉格納容器100の外部への水蒸気の排出を停止する。
上述した排気機構2において、フィルタ22を使用した場合、吸着液Lで吸着した放射性物質から放射されるおそれがある。この放射線を遮蔽するため、放射線を発生する設備であるフィルタ22の周りを囲むように本実施形態の遮蔽構造3が設けられる。
[実施形態1]
図3は、本実施形態に係る遮蔽構造を示す側断面図であり、図4は、本実施形態に係る遮蔽構造を示す平面図であり、図5は、本実施形態に係る遮蔽方法を示す側断面図である。
遮蔽構造3は、放射線を遮蔽する遮蔽部材32を支持する支持部材31を有している。支持部材31は、遮蔽部材32が注入される型枠からなり、放射線を発生する設備であるフィルタ22の周りを囲むように、フィルタ22を使用する以前の段階で予め設けられている。具体的に、支持部材31は、図3および図4に示すように、上部が開放される容器として構成され、当該容器が、フィルタ22の周りを囲むように配置されたものである。図4に示す支持部材31は、フィルタ22の周りを一連に囲む容器として示されているが、途中で仕切られたものであってもよい。また、遮蔽部材32は、放射線を遮蔽するものであればよく、液状のコンクリートや鋼の粒状体(例えば、鉄球)などがある。この遮蔽部材32は、フィルタ22が使用されて放射線の遮蔽が必要となった場合、図5に示すように、支持部材31に対して注入される。なお、遮蔽部材32の注入は、図5に示すように、フィルタ22から十分離れた場所からであって、かつ移動が可能なポンプ車4などを適用することができる。
このように、本実施形態の遮蔽構造3は、原子力プラントにおいて放射線の漏洩を防止するためのものであって、放射線を遮蔽する遮蔽部材32を支持し得る支持部材31を、放射線を発生する設備(フィルタ22)の配置領域に対して遮蔽部材32を除いて予め設ける。
この遮蔽構造3によれば、原子力プラントにおける通常の運転時では用いることがなく、シビアアクシデント時に用いられる設備(フィルタ22)に対し、軽量な支持部材31のみを予め設けておき、当該設備の遮蔽が必要になった場合に、遮蔽部材32を設置することで遮蔽機能を有する。このため、遮蔽部材32のような質量の大きいものを原子力プラントの建屋120に予め配置する必要がないため、建屋の耐震性を強化することがなく、遮蔽機能を必要としない場合に妨げとならない。しかも、遮蔽機能を必要とするときに、遮蔽部材32のみを設置するだけであるため、遮蔽機能を必要とする場合に迅速に設置することが可能になる。さらに、原子力プラントにおける通常の運転時では、支持部材31のみの設置であるため、未使用時での製造コストを低減することが可能になる。
また、本実施形態の遮蔽構造3では、支持部材31は、液状または粒状の遮蔽部材32が注入される型枠からなることが好ましい。このように、遮蔽部材32を注入する型枠として支持部材31を構成することで、図5に示すように、フィルタ22から十分離れた場所から、移動可能なポンプ車4などを遮蔽部材32の設置に適用することが可能になる。
また、本実施形態の遮蔽方法は、原子力プラントにおいて放射線の漏洩を防止するための方法であって、放射線を遮蔽する遮蔽部材32を支持し得る支持部材31を、放射線を発生する設備(フィルタ22)の配置領域に対して遮蔽部材32を除いて予め設ける工程と、次に、放射線の遮蔽が必要となった場合、支持部材31に対して遮蔽部材32を設置する工程と、を含む。
この遮蔽方法によれば、原子力プラントにおける通常の運転時では用いることがなく、シビアアクシデント時に用いられる設備(フィルタ22)に対し、軽量な支持部材31のみを予め設けておき、当該設備の遮蔽が必要になった場合に、遮蔽部材32を設置することで遮蔽機能を有する。このため、遮蔽部材32のような質量の大きいものを原子力プラントの建屋120に予め配置する必要がないため、建屋120の耐震性を強化することがなく、遮蔽機能を必要としない場合に妨げとならない。しかも、遮蔽機能を必要とするときに、遮蔽部材32のみを設置するだけであるため、遮蔽機能を必要とする場合に迅速に設置することが可能になる。さらに、原子力プラントにおける通常の運転時では、支持部材31のみの設置であるため、未使用時での製造コストを低減することが可能になる。
[実施形態2]
図6は、本実施形態に係る遮蔽構造を示す側断面図であり、図7は、本実施形態に係る遮蔽構造を示す平面図であり、図8は、本実施形態に係る遮蔽方法を示す側断面図である。
遮蔽構造3は、放射線を遮蔽する遮蔽部材34を支持する支持部材33を有している。支持部材33は、遮蔽部材34が挿入される型枠からなり、放射線を発生する設備であるフィルタ22の周りを囲むように、フィルタ22を使用する以前の段階で予め設けられている。具体的に、支持部材33は、図6および図7に示すように、上方から視てコ字形状の柱部材として構成され、当該柱材がフィルタ22の周りを囲む一辺で対向するように配置されたものである。また、遮蔽部材34は、放射線を遮蔽するものであればよく、コンクリート製や鋼製の壁として構成される。この遮蔽部材34は、フィルタ22が使用されて放射線の遮蔽が必要となった場合、図8に示すように、対向する支持部材33に対して挿入される。なお、遮蔽部材34の注入は、図8に示すように、フィルタ22から十分離れた場所からであって、かつ移動が可能なクレーン車5などを適用することができる。また、遮蔽部材34は、図8に示すように、複数に分割されることで、支持部材33への挿入を容易に行うことが可能である。
このように、本実施形態の遮蔽構造3は、原子力プラントにおいて放射線の漏洩を防止するためのものであって、放射線を遮蔽する遮蔽部材34を支持し得る支持部材33を、放射線を発生する設備(フィルタ22)の配置領域に対して遮蔽部材34を除いて予め設ける。
この遮蔽構造3によれば、原子力プラントにおける通常の運転時では用いることがなく、シビアアクシデント時に用いられる設備(フィルタ22)に対し、軽量な支持部材33のみを予め設けておき、当該設備の遮蔽が必要になった場合に、遮蔽部材34を設置することで遮蔽機能を有する。このため、遮蔽部材34のような質量の大きいものを原子力プラントの建屋120に予め配置する必要がないため、建屋120の耐震性を強化することがなく、遮蔽機能を必要としない場合に妨げとならない。しかも、遮蔽機能を必要とするときに、遮蔽部材34のみを設置するだけであるため、遮蔽機能を必要とする場合に迅速に設置することが可能になる。さらに、原子力プラントにおける通常の運転時では、支持部材33のみの設置であるため、未使用時での製造コストを低減することが可能になる。
また、本実施形態の遮蔽構造3では、支持部材33は、壁状の遮蔽部材34が挿入される型枠からなることが好ましい。このように、遮蔽部材34を挿入する型枠として支持部材33を構成することで、図8に示すように、フィルタ22から十分離れた場所から、移動可能なクレーン車5などを遮蔽部材34の設置に適用することが可能になる。
また、本実施形態の遮蔽方法は、原子力プラントにおいて放射線の漏洩を防止するための方法であって、放射線を遮蔽する遮蔽部材34を支持し得る支持部材33を、放射線を発生する設備(フィルタ22)の配置領域に対して遮蔽部材34を除いて予め設ける工程と、次に、放射線の遮蔽が必要となった場合、支持部材33に対して遮蔽部材34を設置する工程と、を含む。
この遮蔽方法によれば、原子力プラントにおける通常の運転時では用いることがなく、シビアアクシデント時に用いられる設備(フィルタ22)に対し、軽量な支持部材33のみを予め設けておき、当該設備の遮蔽が必要になった場合に、遮蔽部材34を設置することで遮蔽機能を有する。このため、遮蔽部材34のような質量の大きいものを原子力プラントの建屋120に予め配置する必要がないため、建屋120の耐震性を強化することがなく、遮蔽機能を必要としない場合に妨げとならない。しかも、遮蔽機能を必要とするときに、遮蔽部材34のみを設置するだけであるため、遮蔽機能を必要とする場合に迅速に設置することが可能になる。
なお、上述した実施形態1および実施形態2において、シビアアクシデント時に用いられ、放射線を発生する設備としてフィルタ22を例として説明したが、上述した遮蔽構造3および遮蔽方法の適用対象としてはフィルタ22に限らない。例えば、図には明示しないが、当該設備として、シビアアクシデント時に、溶融物を冠水させ冷却水が原子炉格納容器内で満水となった場合、当該冷却水から放射性物質を除くための除染設備に対し、上述した遮蔽構造3および遮蔽方法を適用することも可能である。さらに、原子力プラントにおける通常の運転時では、支持部材33のみの設置であるため、未使用時での製造コストを低減することが可能になる。
なお、上述した実施形態では、原子炉格納容器保全設備の適用対象を加圧水型原子炉である原子力プラントとして説明したが、沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)である原子力プラントにおいても上述した遮蔽構造3および遮蔽方法を適用することも可能である。
2 排気機構
22 フィルタ
3 遮蔽構造
31 支持部材
32 遮蔽部材
33 支持部材
34 遮蔽部材
4 ポンプ車
5 クレーン車
120 建屋

Claims (4)

  1. 原子力プラントにおいて放射線の漏洩を防止するための遮蔽構造であって、
    放射線を遮蔽する遮蔽部材を支持し得る支持部材を、放射線を発生する設備の配置領域に対して前記遮蔽部材を除いて予め設けることを特徴とする遮蔽構造。
  2. 前記支持部材は、液状または粒状の前記遮蔽部材が注入される型枠からなることを特徴とする請求項1に記載の遮蔽構造。
  3. 前記支持部材は、壁状の前記遮蔽部材が挿入される型枠からなることを特徴とする請求項1に記載の遮蔽構造。
  4. 原子力プラントにおいて放射線の漏洩を防止するための遮蔽方法であって、
    放射線を遮蔽する遮蔽部材を支持し得る支持部材を、放射線を発生する設備の配置領域に対して前記遮蔽部材を除いて予め設ける工程と、
    次に、放射線の遮蔽が必要となった場合、前記支持部材に対して前記遮蔽部材を設置する工程と、
    を含むことを特徴とする遮蔽方法。
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