JP2013185655A - ディファレンシャル装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】サイドギヤをデフケースに押し付ける力を大きくできるディファレンシャル装置を提供する。
【解決手段】ディファレンシャル装置1は、軸心C1まわりに回転可能なデフケース40と、軸心方向DR1に相対向してデフケース40内に収容され、軸心C1まわりに回転可能な一対のサイドギヤ52と、サイドギヤ52に噛み合ってデフケース40内に収容されたピニオンギヤ51と、軸心方向DR1に直交する径方向DR2に延在し、ピニオンギヤ51を支持するピニオンシャフト50と、ピニオンシャフト50の径方向内側を支持するシャフトホルダ10と、を備える。シャフトホルダ10は、サイドギヤ52に対し、サイドギヤ52をデフケース40に押し付ける方向の弾性力を作用する。
【選択図】図1
【解決手段】ディファレンシャル装置1は、軸心C1まわりに回転可能なデフケース40と、軸心方向DR1に相対向してデフケース40内に収容され、軸心C1まわりに回転可能な一対のサイドギヤ52と、サイドギヤ52に噛み合ってデフケース40内に収容されたピニオンギヤ51と、軸心方向DR1に直交する径方向DR2に延在し、ピニオンギヤ51を支持するピニオンシャフト50と、ピニオンシャフト50の径方向内側を支持するシャフトホルダ10と、を備える。シャフトホルダ10は、サイドギヤ52に対し、サイドギヤ52をデフケース40に押し付ける方向の弾性力を作用する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ディファレンシャル装置に関し、特に、車両に搭載されるディファレンシャル装置に関する。
従来のディファレンシャル装置に関し、たとえば特許文献1には、ピニオンシャフトの外周面に位置決め部材が嵌め付けられ、皿バネの端部が位置決め部材に嵌め入れられてサイドギヤピースを介してサイドギヤをデフケースに押圧することにより、皿バネを差動制限装置として機能させる技術が開示されている。特許文献2には、ピニオンを軸支するピニオン軸をカム部材で挟持し、カム部材の分割対向面間に予圧付与部材を配設することでサイドギヤを予圧しており、予圧付与部材はコイルスプリング、皿ばね、波板ばねなどを採用できることが開示されている。
特許文献3には、ピニオンシャフトとサイドギヤとの間に配置されたプレッシャプレートと、ピニオンシャフトと、の間に皿ばねを配置し、プレッシャプレートとサイドギヤとを介して多板クラッチを押圧し、イニシャルトルクを与える技術が開示されている。特許文献4には、一対のサイドギヤ間にコイルスプリングが介設され、コイルスプリングの付勢力によってサイドギヤがデフケースに対して押圧され、イニシャルトルクが付与される技術が開示されている。特許文献5には、デフケースの回転による遠心力で移動するウエイトを設け、ウエイトの移動力を用いて高速走行時にサイドギヤをデフケースへ押し付けて差動回転を制限またはロックする技術が開示されている。
特許文献1〜4に記載のディファレンシャル装置では、皿バネまたはコイルスプリングを用いてサイドギヤをデフケースに押し付けている。しかし、皿バネがサイドギヤを押圧する際、皿バネがサイドギヤと線接触するため、サイドギヤには局所的に荷重が負荷されることになる。またコイルスプリングは、その変形量に対して押し付け荷重が小さい。その結果、サイドギヤへ十分な力を作用することができず、サイドギヤが移動してサイドギヤと皿バネまたはコイルスプリング、シムとの衝突が発生する問題があった。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、サイドギヤをデフケースに押し付ける力を大きく設定できる、ディファレンシャル装置を提供することである。
本発明に係るディファレンシャル装置は、軸心まわりに回転可能なデフケースと、軸心方向に相対向してデフケース内に収容され、軸心まわりに回転可能な一対のサイドギヤと、サイドギヤに噛み合ってデフケース内に収容されたピニオンギヤと、軸心方向に直交する径方向に延在し、ピニオンギヤを支持するピニオンシャフトと、ピニオンシャフトの径方向内側を支持するシャフトホルダと、を備える。シャフトホルダは、サイドギヤに対し、サイドギヤをデフケースに押し付ける方向の弾性力を作用する。
上記ディファレンシャル装置において好ましくは、シャフトホルダは、弾性部を有する。弾性部は、軸心方向に延在し、軸心方向に弾性変形してサイドギヤをデフケースに押し付ける方向の弾性力を発生する。弾性部には、ピニオンシャフトが挿通される穴部が形成されていてもよい。
上記ディファレンシャル装置において好ましくは、シャフトホルダは、サイドギヤに対向する対向面を有し、対向面は平面形状である。対向面がサイドギヤと面接触してもよい。
上記ディファレンシャル装置において好ましくは、シャフトホルダは一体成型品である。シャフトホルダは、板状素材のプレス成形により作製されてもよく、素材の打ち抜き成形により作製されてもよい。
上記ディファレンシャル装置において好ましくは、三組のピニオンシャフトとピニオンギヤとを備え、ピニオンギヤの各々は、対応するピニオンシャフトに回転可能に支持される。
本発明のディファレンシャル装置によると、サイドギヤをデフケースに押し付ける力を増大できるので、サイドギヤの移動を抑制することができる。
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に従ったディファレンシャル装置1の断面図である。ディファレンシャル装置1は、車両に搭載され、駆動力源より入力される回転力の一部を、ドライブシャフト53を経由させて左右の車輪へ伝達する。図1に示す軸心C1は、ドライブシャフト53の仮想の回転中心線を示す。両矢印で示す軸心方向DR1は、軸心C1の延びるドライブシャフト53の軸方向を示す。両矢印で示す径方向DR2は、軸心方向DR1に直交するドライブシャフト53の径方向を示す。
図1は、本発明の実施の形態1に従ったディファレンシャル装置1の断面図である。ディファレンシャル装置1は、車両に搭載され、駆動力源より入力される回転力の一部を、ドライブシャフト53を経由させて左右の車輪へ伝達する。図1に示す軸心C1は、ドライブシャフト53の仮想の回転中心線を示す。両矢印で示す軸心方向DR1は、軸心C1の延びるドライブシャフト53の軸方向を示す。両矢印で示す径方向DR2は、軸心方向DR1に直交するドライブシャフト53の径方向を示す。
駆動力源で発生し、変速機で駆動力、回転速度および回転方向が変換された動力は、図示しないドライブピニオンおよびリングギヤを経て、デフケース40に伝達される。デフケース40は、ピニオンシャフト50を保持する。デフケース40には、収容穴43が形成されている。この収容穴43にピニオンシャフト50が差し込まれ、ピニオンシャフト50は収容穴43の内部に収容されている。デフケース40には、ピン71が挿通される挿通穴44が形成されている。ピニオンシャフト50には、ピン71が挿通される挿通穴54が形成されている。挿通穴44,54内に配置されたピン71により、ピニオンシャフト50は、デフケース40内で径方向DR2に固定されてデフケース40に保持されている。
ピニオンシャフト50は、径方向DR2に沿って延在している。ピニオンシャフト50は、デフケース40内に収容されたピニオンギヤ51を、ピニオンシャフト50の軸心まわりに自転可能で、かつ軸心C1まわりに公転可能に支持している。一対のサイドギヤ52は、軸心方向DR1に相対向してデフケース40内に収容されている。サイドギヤ52は、ピニオンギヤ51と噛み合うように配置されている。一対のサイドギヤ52は、ピニオンシャフト50によって支持された一対のピニオンギヤ51のそれぞれと噛み合っている。サイドギヤ52は、ドライブシャフト53とスプライン嵌合し、軸心C1まわりに回転可能に設けられている。
ドライブシャフト53は、デフケース40とともに回転運動を行なう。ドライブシャフト53は、ドライブシャフト53を取り囲むデフキャリアに対して、軸心C1回りに相対的に回転可能に設けられている。デフケース40は、軸心C1をドライブシャフト53と共有し、軸心C1まわりに回転可能なように設けられている。
サイドギヤ52は、軸心C1に直交する平坦形状のスラスト面153と、スラスト面153の内周側に位置する内周面としての貫通孔151と、ピニオンギヤと噛み合う歯面154と、を有する。デフケース40は、軸心C1に直交する平坦形状のスラスト面41を有する。サイドギヤ52のスラスト面153は、デフケース40のスラスト面41と互いに対向している。スラスト面153は、シム61を介在させて、スラスト面41と係合している。
サイドギヤ52に形成された貫通孔151にドライブシャフト53が嵌合し、ドライブシャフト53とサイドギヤ52とは一体的に回転する。スラスト面153は、軸心C1に対して直交し、軸心方向DR1に突出する部分がない平坦な面で構成されている。歯面154は、円錐面上に位置しており、スラスト面153から遠ざかるについて径が小さくなるように構成されている。なおサイドギヤ52は、歯面154が捩られたいわゆるスパイラルギヤであってもよい。
ピニオンギヤ51とサイドギヤ52とは、ディファレンシャルギヤを構成する。ディファレンシャルギヤは、旋回時や路面に凹凸がある場合などに左右のドライブシャフト53に回転差を与えて、車両の円滑な走行を可能とする。ピニオンギヤ51はピニオンシャフト50を介してデフケース40に取り付けられている。このピニオンギヤ51にサイドギヤ52が噛み合い、ピニオンギヤ51とサイドギヤ52との間で回転力の伝達が行なわれる。サイドギヤ52は、スプラインによりドライブシャフト53と結合しており、サイドギヤ52の回転はドライブシャフト53へ伝えられる。
車両が平坦路を直進する場合には、左右の駆動輪の転がる距離が等しい。そのため左右のサイドギヤ52は同じ回転速度で回転し、サイドギヤ52の間に挟まれたピニオンギヤ51は自転せず、デフケース40、ピニオンギヤ51およびサイドギヤ52は一体となって公転する。
車両がカーブを曲がる場合には、カーブ外側の駆動輪の転がる距離がカーブ内側の駆動輪よりも長いため、カーブ外側のサイドギヤ52はカーブ内側のサイドギヤ52よりも速く回転する。このとき、カーブ外側のサイドギヤ52はデフケース40よりも速く回転しており、カーブ内側のサイドギヤ52はデフケース40よりも遅く回転している。したがって、デフケース40に取り付けられ左右のサイドギヤ52の間に挟まれたピニオンギヤ51は、公転だけでなく自転もするようになる。これにより、異なる速度で回転している左右のサイドギヤ52にデフケース40からの動力を伝えることを可能にしている。
このようなディファレンシャルギヤの働きにより、車両は駆動輪と路面との間ですべりを起こすことなく、円滑にカーブを曲がったり、凹凸路面を走行したりすることができる。
ディファレンシャル装置1はまた、ピニオンシャフト50の径方向内側を支持するシャフトホルダ10を備える。図2は、実施の形態1のシャフトホルダ10の構成を示す斜視図である。図3は、図2中に示すIII−III線に沿うシャフトホルダ10の断面図である。図2,3に示すように、シャフトホルダ10は、平板状の一対の平板部11,12と、板ばね状の板ばね部13,14とを備える。平板部12と板ばね部13の端部との間には、隙間30が形成されている。平板部11,12と板ばね部13,14とは、略矩形状の平面形状を有する。
平板部11,12は、軸心方向DR1に相対向する。平板部11には、一方のドライブシャフト53が挿通される穴部15が形成され、平板部12には、他方のドライブシャフト53が挿通される穴部16が形成されている。平板部11,12は、ドライブシャフト53を挿通可能な穴部15,16の形成された、ドライブシャフト係合部としての機能を有する。穴部15,16にドライブシャフト53が挿通されることにより、シャフトホルダ10は、ドライブシャフト53の外周側に係合する。
平板部11は、一方のサイドギヤ52と対向する側の表面である対向面11aを有する。平板部12は、他方のサイドギヤ52と対向する側の表面である対向面12aを有する。対向面11a,12aは、平面状の形状を有する。
板ばね部13,14は、径方向DR2に相対向する。板ばね部13,14は、一対の平板部11,12の間に配置され、軸心方向DR1に沿って延在する。板ばね部13の、軸心方向DR1の一方の端部は平板部11に連結され、他方の端部は隙間30を介して平板部12に対向する。板ばね部14の軸心方向DR1の両端部は、それぞれ平板部11,12に連結される。
板ばね部13には、ピニオンシャフト50が挿通される穴部17が形成され、板ばね部14には、ピニオンシャフト50が挿通される穴部18が形成されている。板ばね部13,14は、ピニオンシャフト50を挿通可能な穴部17,18の形成された、ピニオンシャフト係合部としての機能を有する。穴部17,18にピニオンシャフト50が挿通されることにより、シャフトホルダ10は、ピニオンシャフト50の径方向DR2の内側の部分を支持し、ピニオンシャフト50の位置決めを行なう。板ばね部13,14は、薄板が湾曲した形状を有し、弾性変形容易なように設けられている。
シャフトホルダ10が一対のサイドギヤ52,52間に挟まれてデフケース40内に配置されると、板ばね部13,14は、サイドギヤ52から軸心方向DR1の応力を受け、軸心方向DR1の延在長さを小さくするように弾性変形する。
板ばね部13,14を軸心方向DR1に圧縮する向きに作用する応力の反力として、板ばね部13,14は、サイドギヤ52に対し、サイドギヤ52をデフケース40に押し付ける方向の弾性力を作用する。弾性変形した板ばね部13,14が元の形状に復元しようとする弾性力によって、板ばね部13,14は、サイドギヤ52をそれぞれデフケース40へ向けて付勢する。板ばね部13,14は、軸心方向DR1に弾性変形してサイドギヤ52をデフケース40に押し付ける方向の弾性力を発生する、弾性部としての機能を有する。
平板部11の対向面11aは、一方のサイドギヤ52と面接触する。平板部12の対向面12aは、他方のサイドギヤ52と面接触する。板ばね部13,14の弾性力によって、シャフトホルダ10の全体がブロックバネ化し、シャフトホルダ10から、両側のサイドギヤ52に対し軸心方向DR1に沿う方向の応力が平面的に作用する。そのため、一対のサイドギヤ52が互いに離れる方向にサイドギヤ52を付勢する付勢力が増大する。
シャフトホルダ10自身をバネとして機能させ、サイドギヤ52に対し十分に大きい予圧を付与することにより、サイドギヤ52がデフケース40に確実に押し付けられる。そのため、高トルク、高差動回転時においてもサイドギヤ52の移動を抑制でき、サイドギヤ52の移動量を小さくできるので、サイドギヤ52のデフケース40との衝突を回避することができる。サイドギヤ52の滑らかな回転を実現できるので、車両の走行中にディファレンシャル装置1のがたつきの発生を回避でき、摺動トルクの低減を達成することができる。
シャフトホルダ10の対向面11a,12aがサイドギヤ52に対し面接触し、シャフトホルダ10のサイドギヤ52との摺動面積が増大することにより、シャフトホルダ10からサイドギヤ52へ作用する荷重が増大しても、単位面積当たりの荷重が過大になることはない。そのため、シャフトホルダ10とサイドギヤ52との間で焼きつきが発生することを抑制することができる。従来の皿バネを使用する構成と比較して、部品点数を低減でき、組立工数も低減できるので、ディファレンシャル装置1のコストを削減することができる。
シャフトホルダ10の、サイドギヤ52に対向する部分を構成する平板部11,12を平板状に形成し、ピニオンシャフト50が貫通する部分であって軸心方向DR1に延在する部分を構成する板ばね部13,14を弾性変形容易な板ばね状に形成する。これにより、シャフトホルダ10の全体にバネ性を持たせる場合よりも、シャフトホルダ10の加工が容易になる。シャフトホルダ10は略同一の厚みを有する板材で平板部11,12と板ばね部13,14とを形成した一体成型品であり、一枚の板状素材をプレス成形することによりシャフトホルダ10を容易に作製することができるので、一層のコスト低減を達成することができる。
図4は、変形例のシャフトホルダ10の構成を示す断面図である。図2,3に示すシャフトホルダ10と異なり、図4に示す変形例のシャフトホルダ10では、板ばね部13と平板部12との間に隙間は形成されない。図4に示す断面形状を有する変形例のシャフトホルダ10は、素材の打ち抜き成形により作製することができる。
図2,3に示す構成のシャフトホルダ10は、製造の容易性においてより優れている。一方、図4に示す変形例のシャフトホルダ10は、軸心C1に対して対称な形状に成形することができる。そのため、変形例のシャフトホルダ10を用いると、サイドギヤ52に対しより均等に荷重を負荷することができるので、サイドギヤ52をデフケース40に押し付ける際のアンバランスを低減することができる。したがって、サイドギヤ52の一層滑らかな回転が可能になる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に従ったディファレンシャル装置1の断面図である。図6は、図5中に示すVI−VI線に沿うディファレンシャル装置1の断面図である。図5および図6に示すように、実施の形態2のディファレンシャル装置1は、軸心C1まわりに回転可能に支持された2分割式のデフケース40と、軸心方向DR1において相対向する状態でデフケース40内に収容され、軸心C1まわりに回転可能に設けられた一対のサイドギヤ52と、を備える。
図5は、本発明の実施の形態2に従ったディファレンシャル装置1の断面図である。図6は、図5中に示すVI−VI線に沿うディファレンシャル装置1の断面図である。図5および図6に示すように、実施の形態2のディファレンシャル装置1は、軸心C1まわりに回転可能に支持された2分割式のデフケース40と、軸心方向DR1において相対向する状態でデフケース40内に収容され、軸心C1まわりに回転可能に設けられた一対のサイドギヤ52と、を備える。
ディファレンシャル装置1はまた、三組のピニオンシャフト50とピニオンギヤ51とを備える。3つのピニオンギヤ51は、一対のサイドギヤ52間において軸心C1まわりの周方向に等間隔に配設されつつ一対のサイドギヤ52にそれぞれ噛み合う状態で、デフケース40内にそれぞれ収容されている。3本のピニオンシャフト50は、径方向DR2に延在し、デフケース40内にそれぞれ固定されている。3つのピニオンギヤ51の各々は、対応するピニオンシャフト50によって、各ピニオンシャフト50の軸心C2,C3,C4(図6参照)まわりに回転可能にそれぞれ支持されている。
デフケース40は、円筒状の第1デフケース96と、第1デフケース96と組み合わされて例えば図示しないボルトにより相互に締着された円筒状の第2デフケース98から成る。第2デフケース98には、減速機34の動力が伝達される。第2デフケース98は、ディファレンシャル装置1の入力部材として機能する。第1デフケース96は、ベアリング114により軸心C1まわりに回転可能に支持されている。第2デフケース98は、ベアリング115により軸心C1まわりに回転可能に支持されている。第1デフケース96は、円筒状端部116を有する。円筒状端部116には、デフケース40の内部空間へ潤滑油が流入する油路118が形成されている。
一方のサイドギヤ52には、その内周側に一方のドライブシャフト53の軸端部が例えばスプライン嵌合により相対回転不能に連結されている。他方のサイドギヤ52には、その内周側に他方のドライブシャフト53の軸端部が例えばスプライン嵌合により相対回転不能に連結されている。ドライブシャフト53は、軸心C1まわりの回転可能に支持されている。ディファレンシャル装置1が減速機34によって回転駆動されることにより、軸心C1上に配設された一対のドライブシャフト53に、それらの回転差を許容しつつ駆動力が伝達される。
3本のピニオンシャフト50は、軸心C1まわりの周方向において等間隔に配置され、軸心C1の延びる軸心方向DR1に直交する径方向DR2に沿って延在する。3本のピニオンシャフト50は、デフケース40に周方向の等間隔に形成された3つの収容穴43のいずれか1つに対して外周側端部130がそれぞれ挿通される。ピニオンシャフト50は、その外周側端部130にピン71が貫通して設けられることにより、デフケース40にそれぞれ径方向DR2に固定される。
デフケース40にそれぞれ径方向DR2に固定されたピニオンシャフト50は、内周側の端面126が軸心C1に対して所定の空間を隔てた状態で配置される。3本のピニオンシャフト50a,50b,50cは、デフケース40内部に、内周側の端面126が互いに対向するように配置されている。3本のピニオンシャフト50a,50b,50cは、軸心C2,C3,C4方向にそれぞれ延在する中実の円筒状の部材である。
ピニオンギヤ51は、対応するピニオンシャフト50にそれぞれ支持される。第一のピニオンシャフト50aは、第一のピニオンギヤ51aを支持する。第二のピニオンシャフト50bは、第二のピニオンギヤ51bを支持する。第三のピニオンシャフト50cは、第三のピニオンギヤ51cを支持する。一対のサイドギヤ52,52は、3つのピニオンギヤ51a,51b,51cの各々と噛み合う。
ピニオンシャフト50は、その外周側端部130にピン71が貫通して設けられることにより、それぞれの軸心C2,C3,C4の延びる方向に移動不能に固定されている。各ピニオンシャフト50は、一対のサイドギヤ52間であって各ピニオンギヤ51の内周側に位置するシャフトホルダ10によって、内周側の端面126が露出する状態で相互に連結されている。
図7は、実施の形態2のシャフトホルダ10の構成を示す斜視図である。図8は、図7中に示すVIII−VIII線に沿うシャフトホルダ10の断面図である。シャフトホルダ10は、平板状の一対の平板部11,12と、板ばね状の板ばね部13,14,19とを備える。平板部11,12は、サイドギヤ52に対向する平面形状の対向面11a,12aを有する。平板部11,12は、実施の形態1の平板部とほぼ同一の構成を有し、平面形状が円環状である点において異なる。
板ばね部13,14,19は、周方向に等間隔に配置されている。板ばね部13,14,19は、一対の平板部11,12の間に配置され、軸心方向DR1に沿って延在する。板ばね部13,14,19の軸心方向DR1の両端部は、それぞれ平板部11,12に連結される。
板ばね部13には、ピニオンシャフト50が挿通される穴部17が形成され、板ばね部14には、ピニオンシャフト50が挿通される穴部18が形成され、板ばね部19には、ピニオンシャフト50が挿通される穴部20が形成されている。板ばね部13,14,19は、ピニオンシャフト50を挿通可能な穴部17,18,20の形成された、ピニオンシャフト係合部としての機能を有する。3本のピニオンシャフト50は、周方向の等間隔に形成された3つの穴部17,18,20のいずれかに内周側端部124がそれぞれ嵌合され、ピニオンシャフト50の径方向DR2の内側の部分がシャフトホルダ10によって支持される。
平板部11,12に形成された穴部15,16にドライブシャフト53が挿通されることにより、シャフトホルダ10の軸心方向DR1の両端部を形成する平板部11,12の内側に、一対のドライブシャフト53,53の互いに対向する端部が所定の空間を隔てた状態でそれぞれ相対回転可能に嵌め入れられている。3本のピニオンシャフト50は、内周側の端面126が軸心C1に対して所定の空間を隔てた状態でそれぞれ設けられている。穴部17,18,20にピニオンシャフト50が挿通されることにより、シャフトホルダ10はピニオンシャフト50の位置決めを行なう。
板ばね部13,14,19は、薄板が湾曲した形状を有し、弾性変形容易なように設けられている。シャフトホルダ10が一対のサイドギヤ52,52間に挟まれてデフケース40内に配置されると、板ばね部13,14,19は、サイドギヤ52から軸心方向DR1の応力を受け、軸心方向DR1の延在長さを小さくするように弾性変形する。
板ばね部13,14,19を軸心方向DR1に圧縮する向きに作用する応力の反力として、板ばね部13,14,19は、サイドギヤ52に対し、サイドギヤ52をデフケース40に押し付ける方向の弾性力を作用する。弾性変形した板ばね部13,14,19が元の形状に復元しようとする弾性力によって、板ばね部13,14,19は、サイドギヤ52をそれぞれデフケース40へ向けて付勢する。板ばね部13,14,19は、軸心方向DR1に弾性変形してサイドギヤ52をデフケース40に押し付ける方向の弾性力を発生する、弾性部としての機能を有する。
平板部11の対向面11aは、一方のサイドギヤ52と面接触する。平板部12の対向面12aは、他方のサイドギヤ52と面接触する。板ばね部13,14,19の弾性力によって、シャフトホルダ10の全体がブロックバネ化し、シャフトホルダ10から、両側のサイドギヤ52に対し軸心方向DR1に沿う方向の応力が平面的に作用する。そのため、サイドギヤ52をデフケース40に押し付ける方向にサイドギヤ52を付勢する付勢力が増大する。
したがって、実施の形態2のディファレンシャル装置1においても、シャフトホルダ10自身がバネとして機能し、サイドギヤ52に対し十分に大きい弾性力を作用することができるので、サイドギヤ52をデフケース40に確実に押し付け、サイドギヤ52の移動量を小さくでき、サイドギヤ52のデフケース40との衝突を回避することができる。ピニオンシャフト50の軸数が3本であるディファレンシャル装置1では、サイドギヤ52の移動量が大きくなると考えられるので、実施の形態2のディファレンシャル装置1によって、サイドギヤ52の移動量を低減できる効果を好適に得ることができる。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 ディファレンシャル装置、10 シャフトホルダ、11,12 平板部、11a,12a 対向面、13,14,19 板ばね部、15,16,17,18,20 穴部、30 隙間、40 デフケース、50,50a,50b,50c ピニオンシャフト、51,51a,51b,51c ピニオンギヤ、52 サイドギヤ、53 ドライブシャフト、C1,C2,C3,C4 軸心、DR1 軸心方向、DR2 径方向。
Claims (9)
- 軸心まわりに回転可能なデフケースと、
軸心方向に相対向して前記デフケース内に収容され、前記軸心まわりに回転可能な一対のサイドギヤと、
前記サイドギヤに噛み合って前記デフケース内に収容されたピニオンギヤと、
前記軸心方向に直交する径方向に延在し、前記ピニオンギヤを支持するピニオンシャフトと、
前記ピニオンシャフトの径方向内側を支持するシャフトホルダと、を備え、
前記シャフトホルダは、前記サイドギヤに対し、前記サイドギヤを前記デフケースに押し付ける方向の弾性力を作用する、ディファレンシャル装置。 - 前記シャフトホルダは、弾性部を有し、
前記弾性部は、前記軸心方向に延在し、前記軸心方向に弾性変形して前記サイドギヤを前記デフケースに押し付ける方向の弾性力を発生する、請求項1に記載のディファレンシャル装置。 - 前記弾性部には、前記ピニオンシャフトが挿通される穴部が形成されている、請求項2に記載のディファレンシャル装置。
- 前記シャフトホルダは、前記サイドギヤに対向する対向面を有し、
前記対向面は平面形状である、請求項1から請求項3のいずれかに記載のディファレンシャル装置。 - 前記対向面が前記サイドギヤと面接触する、請求項4に記載のディファレンシャル装置。
- 前記シャフトホルダは一体成型品である、請求項1から請求項5のいずれかに記載のディファレンシャル装置。
- 前記シャフトホルダは、板状素材のプレス成形により作製される、請求項6に記載のディファレンシャル装置。
- 前記シャフトホルダは、素材の打ち抜き成形により作製される、請求項6に記載のディファレンシャル装置。
- 三組の前記ピニオンシャフトと前記ピニオンギヤとを備え、
前記ピニオンギヤの各々は、対応する前記ピニオンシャフトに回転可能に支持される、請求項1から請求項8のいずれかに記載のディファレンシャル装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012051582A JP2013185655A (ja) | 2012-03-08 | 2012-03-08 | ディファレンシャル装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2016013314A1 (ja) * | 2014-07-25 | 2016-01-28 | 武蔵精密工業株式会社 | 差動装置 |
-
2012
- 2012-03-08 JP JP2012051582A patent/JP2013185655A/ja active Pending
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WO2016013314A1 (ja) * | 2014-07-25 | 2016-01-28 | 武蔵精密工業株式会社 | 差動装置 |
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