JP2013185352A - 建築窓構造体およびこれを備えてなる建築物 - Google Patents

建築窓構造体およびこれを備えてなる建築物 Download PDF

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Abstract

【課題】建築現場において容易に取り扱うことができるとともに容易に施工することができ、しかも製品形状の自由度の範囲を広げることのできる蓄熱部材を用いた建築窓構造体およびこれを備えてなる建築物を提供する。
【解決手段】板状の透光部材12と、蓄熱部材14と、を少なくとも備えた建築窓構造体10であって、前記蓄熱部材14が、蓄熱物質とエラストマーとを含有する組成物である。蓄熱物質は、パラフィン化合物であり、透光部材12は、ガラス製である。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば太陽光や外気温等、外部からの熱エネルギー(以下、総称して「熱エネルギー」とする)を効率良く利用することのできる建築窓構造体およびこれを備えてなる建築物に関する。
物質や空間を冷却したり加温したりする時に使用される蓄熱部材として、物質の熱容量や比熱(顕熱)を利用する材料、物質の相変化に伴い発生する熱量(潜熱)を利用する材料、物質の化学反応熱を利用する材料、等が挙げられるが、現在は潜熱を利用する潜熱型の蓄熱部材が多く使用されている。
このような蓄熱部材は、特に建築材料と組み合わせて用いることで、建築物の空調に必要なエネルギーの低減に効果があることが知られており、例えば、カプセル化した蓄熱材料をモルタル、コンクリートに練り込んで建築材料とする、蓄熱材料を容器中に封入したものを床材の下面に配設する、といった用途が知られている。
また、熱エネルギーを効率良く使用するための様々な技術や構造が開発され、建築物などでこのような技術が採用されている。
中でも太陽光による熱エネルギーを蓄熱可能とする材質からなる蓄熱部材を建築材料に用いる技術が盛んに開発され、実際の建築物に採用されつつある。
このような蓄熱部材を用いて太陽光の効率利用を行った建築技術として、例えば特許文献1では、図14に示したようにパラフィンまたは塩の水和物を含んでなる蓄熱部材104を、2枚のガラス102,102で挟持してなる建築窓構造体100が開示されている。なお、図中の符号106は熱絶縁部、108はガラスである。
ここで用いられている蓄熱部材104は、パラフィンまたは塩の水和物を含んでなり、コンクリートや煉瓦などの建築材料と比較して多くの熱エネルギーを蓄熱することができるとともに、蓄熱された熱エネルギーをゆっくりと連続的に放射することができるため、例えば昼間に蓄熱部材104で蓄熱された熱エネルギーを、夜間、室内に供給することで暖房費の節約ができるものである。
また特許文献2では、図15に示したように蓄熱部材202と、この蓄熱部材202の他面に断熱部材204が設けられてなるスラット206を複数平行に配置してなるブラインド200が開示されている。
ここで用いられている蓄熱部材202は潜熱蓄熱部材であって、例えばエチレン−αオレフィン共重合体とパラフィンとを溶融混合してなるものである。
このような蓄熱部材202を用いたブラインド200は、昼間にはスラット206の蓄熱部材202側を室外側に向け、熱エネルギーを蓄熱部材202で蓄熱し、夜間には、スラット206を表裏反転させて蓄熱部材202側を室内側に向け、昼間に蓄熱部材202で蓄熱した熱エネルギーを、室内に供給することができるようになっている。また、スラット206の蓄熱部材202の他面は断熱部材204であるため、夜間の冷たい外気温が室内に伝わらないよう工夫がなされている。
特表2003−520915号公報 特開平5−171881号公報
しかしながら、これら従来の建築技術に用いられる蓄熱部材は、主として潜熱蓄熱物質であるパラフィンを用いているため、相変化時に液状である。このため取扱性が悪く、また、建築物からパラフィンが沁み出す等の問題があった。
なお、特許文献2にはパラフィンの溶融時において液状にならず、ボード状に成形可能とする蓄熱部材について記載がなされているが、ボード状の場合には今度は建築構造体としての製品形状の自由度の範囲が狭まることとなってしまう。
したがって、建築現場で取り扱い易くまた容易に施工でき、しかも製品形状の自由度の範囲を広げることのできる蓄熱部材を用いた建築窓構造体およびこれを備えてなる建築物が求められているのが現状である。
本発明はこのような現状に鑑みなされたものであって、建築現場において容易に取り扱うことができるとともに容易に施工することができ、しかも製品形状の自由度の範囲を広げることのできる蓄熱部材を用いた建築窓構造体およびこれを備えてなる建築物を提供することを目的とする。
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、
本発明の建築窓構造体は、
板状の透光部材と、蓄熱部材と、を少なくとも備えた建築窓構造体であって、
前記蓄熱部材が、蓄熱物質とエラストマーとを含有する組成物であることを特徴とする。
このように蓄熱部材が、蓄熱物質とエラストマーとを含有する組成物であれば、蓄熱部材がゲル状であるため、建築現場において容易に取り扱うことができるとともに容易に施工することができる。また、ゲル状であれば、複雑な形状を有する建築窓構造体においても、本蓄熱部材を適用することができ、建築窓構造体の製品形状の自由度の範囲を広げることができる。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記蓄熱物質が、パラフィン化合物であることを特徴とする。
このようにパラフィン化合物であれば、特に蓄熱部材に好適である。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記透光部材が、ガラス製であることを特徴とする。
このように透光部材がガラス製であれば光透過性が良好であるため、例えば太陽光による熱エネルギーを効率良く蓄熱部材に蓄えることができる。なお、本明細書において、透光性とは、少なくとも可視光の波長領域の光を透過する性質を指す。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記蓄熱部材が、対向する前記透光部材で挟持されてなることを特徴とする。
このように構成されていれば、建築窓構造体を一体物として構成できるため、例えば建築現場において容易に取り扱うことができる。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記対向する透光部材の間隔が、0.1〜10cmの範囲であることを特徴とする。
このような範囲内とすれば、この範囲内の間隔を蓄熱部材とすることができ、例えば熱エネルギーをこの蓄熱部材で効率良く蓄えることができる。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記対向する透光部材の間隔を調整する間隔調整手段を有することを特徴とする。
このように間隔調整手段が有れば、ゲル状の蓄熱部材が温度変化により膨張・収縮を繰り返し、一対の透光部材に圧力が加わって透光部材を破損してしまうことを防止することができる。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記対向する透光部材の周縁部に枠体を備えることを特徴とする。
このように構成されていれば、ゲル状の蓄熱部材が一対の透光部材の間から万が一にもはみ出してしまうことを確実に防止することができる。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記枠体の外周側がコーキング処理されていることを特徴とする。
このように構成されていれば、ゲル状の蓄熱部材が一対の透光部材の間から万が一にもはみ出してしまうことをより確実に防止することができる。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記枠体が、アルミニウムであることを特徴とする。
このような材質であれば耐久性が高く加工も容易であるため、建築窓構造体として好適である。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記蓄熱部材が、包装部材により所定の形状毎に包装されてなることを特徴とする。
このように包装されていれば、取扱性が飛躍的に向上するとともに、製品の品質を一定に保つことができ、建築現場において容易に取り扱うことができるとともに容易に施工することができる。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記包装部材が、合成樹脂フィルムであることを特徴とする。
このように合成樹脂フィルムであれば、形状を変化させ易い形態であるため、例えば狭い隙間に蓄熱部材を入れ込んだりすることができ、建築現場における施工をし易くすることができる。
さらに合成樹脂フィルムが透明であれば、内部の蓄熱部材に、例えば太陽光による熱エネルギーを効率良く蓄えることができる。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記建築窓構造体は、前記蓄熱部材が、所定間隔で対向する前記透光部材の空隙内に設置されてなることを特徴とする。
このように構成されていれば、空隙内に設置された蓄熱部材で例えば太陽光による熱エネルギーを効率良く蓄えることができる。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記対向する前記透光部材の空隙内に、前記蓄熱部材を複数併設してなることを特徴とする。
このように構成されていれば、蓄熱部材を挟んで両側の空気に流れを生じさせ易くすることができる。さらに一部の蓄熱部材が損傷してしまった場合があっても、その部分だけを交換すれば良く、修理費用を抑えることができるとともに、修理に要する手間を少なくすることができる。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記蓄熱部材が、包装部材により所定の形状毎に包装されてなることを特徴とする。
このように包装されていれば、取扱性が飛躍的に向上するとともに、製品の品質を一定に保つことができ、建築現場において容易に取り扱うことができるとともに容易に施工することができる。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記包装部材が、ガラス容器または合成樹脂容器であることを特徴とする。
このように包装部材がガラス容器または合成樹脂容器であれば、長期の使用においても耐久性が高く、建築窓構造体に用いるのに好適である。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記ガラス容器または合成樹脂容器が、断面略楕円形または断面略長方形であることを特徴とする。
このような形状であれば、包装部材として取扱性が容易であり、また複数併設させた場合には、美しい美観を醸し出すことができ、建築窓構造体に用いるのに好適である。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記ガラス容器または合成樹脂容器の対向する一対の外表面において、
前記外表面の一方側面に反射層を備えることを特徴とする。
このように反射層を備えれば、例えば昼間は窓の外側に蓄熱部材が位置するようにすることで、太陽光等外部からの熱エネルギーを効率的に蓄熱部材で蓄えることができ、蓄熱部材で蓄えた熱エネルギーが放出してしまうことを反射層で抑制することができる。また、特に夏場の場合、例えば昼間は窓の外側に反射層を位置するようにすることで、建築窓構造体が高温になることを抑制することができる。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記ガラス容器または合成樹脂容器の対向する一対の外表面において、
前記外表面の一方側面に反射層を備えるとともに、他方側面に光吸収層を備えることを特徴とする。
このように反射層と光吸収層を備えれば、例えば昼間は窓の外側に光吸収層が位置するようにすることで、太陽光による熱エネルギーをさらに効率的に蓄熱部材で蓄えることができ、蓄熱部材で蓄えた熱エネルギーが放出してしまうことを反射層で抑制することができる。また、特に夏場の場合、例えば昼間は窓の外側に反射層を位置するようにすることで、建築窓構造体が高温になることを抑制することができる。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記蓄熱部材を、表裏反転する反転機構を備えることを特徴とする。
このように構成されていれば、例えば対向する透光部材の空隙内において、蓄熱部材を挟んで両側の空気に流れを生じさせることができる。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記蓄熱部材が蓄熱した熱エネルギーを、別の場所に搬送する熱搬送手段を有することを特徴とする。
このように熱搬送手段を有していれば、蓄熱された熱エネルギーを別の場所で有効利用することができ、例えば水を温めて用いる床暖房などとすることができる。
また、本発明の建築窓構造体は、
前記所定間隔で対向する透光部材の空隙内の空気を換気する換気手段を備えることを特徴とする。
このように換気手段を備えれば、蓄熱された熱エネルギーを、必要とする様々な場所へ送ることができ、また夏場などには、熱せられた空気を外に放出することができ、熱エネルギーの移動を生じ易くさせることができる。
また、本発明の建築物は、
上記のいずれかに記載の建築窓構造体を備えてなることを特徴とする。
このような建築窓構造体を備えれば、効率的に熱エネルギーを利用することができ、また施工も容易である。さらに蓄熱部材がゲル状であるため、その形態の自由度の範囲が広く、デザイン性豊かな建築物とすることができる。
本発明によれば、蓄熱部材が、蓄熱物質とエラストマーとを含有する組成物でありゲル状であるために、建築現場において容易に取り扱うことができるとともに容易に施工することができ、しかも製品形状の自由度の範囲を広げることのできる蓄熱部材を用いた建築窓構造体およびこれを備えてなる建築物を提供することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態における建築窓構造体の概略斜視図である。 図2は、本発明の第1の実施形態における建築窓構造体の概略斜視分解図である。 図3は、本発明の第1の実施形態における建築窓構造体の製造方法を説明する説明図である。 図4は、本発明の第1の実施形態における建築窓構造体の製造方法を説明する説明図である。 図5は、本発明の第1の実施形態における建築窓構造体の製造方法を説明する説明図である。 図6は、本発明の第1の実施形態における建築窓構造体の間隔調整手段について説明する要部拡大断面図である。 図7は、本発明の第1の実施形態における建築窓構造体の適用例を示した概略側面図である。 図8は、本発明の第2の実施形態における建築窓構造体の概略側面図である。 図9は、本発明の第2の実施形態における建築窓構造体の蓄熱部材の斜視図である。 図10は、本発明の第2の実施形態における建築窓構造体の蓄熱部材の断面図である。 図11は、本発明の第2の実施形態における建築窓構造体の使用例について説明する説明図である。 図12は、本発明の第2の実施形態における建築窓構造体の換気手段について説明する説明図である。 図13は、本発明の第2の実施形態における建築窓構造体の熱搬送手段について説明する説明図である。 図14は、従来の蓄熱部材を用いた建築窓構造体の概略図である。 図15は、従来の蓄熱部材を用いたブラインドの概略図である。
以下、本発明の具体的な実施形態を図面に基づいてより詳細に説明する。
本発明の建築窓構造体およびこれを備えてなる建築物は、例えば太陽光による熱エネルギーを効率良く利用することのできるものである。
なお、以下に記した本発明の建築窓構造体の具体的な実施形態は、大きく分けて2つである。
まずひとつは、二重窓の間に蓄熱部材を充填して成る建築窓構造体(図1〜7)、もうひとつはダブルスキンと呼ばれる所定間隔で設置された窓と窓との間の空隙に、蓄熱部材を配設して成る建築窓構造体(図8〜13)である。
このような建築窓構造体では、特に蓄熱部材14が特徴的であり、蓄熱物質とエラストマーとを含有する組成物でなるものである。
蓄熱物質としては、顕熱蓄熱物質または潜熱蓄熱物質を挙げることができるが、所望の蓄熱量を得る観点からは潜熱蓄熱物質が好ましい。潜熱蓄熱物質としては、好ましくはパラフィン化合物,脂肪酸,脂肪酸のエステル化合物,脂肪酸エーテル類,脂肪酸ケトン類,脂肪族アルコールからなる群より選ばれた少なくとも一種が挙げられる。なお、化学的,物理的に安定であり、かつ高い蓄熱量を有するため、本発明ではパラフィン化合物が好ましく用いられる。
本発明におけるパラフィン化合物は、生活温度領域や高温領域の熱の有効利用という観点から、示差走査熱量測定法(DSC法)により測定される融点が−30〜130℃の範囲にあることが好ましく、−20〜100℃の範囲にあることがより好ましい。
また、パラフィン化合物の示差走査熱量測定法(DSC法)により測定される融解熱量は、実用上必要な潜熱量を得る観点から、100kJ/kg以上、より好ましくは150kJ/kg以上あることが望ましい。なお、本明細書におけるパラフィン化合物の融点とは、JIS K−7121に準拠して測定した際のTimに相当する。
上記の観点から、パラフィン化合物としては、炭素数が8〜100、好ましくは12〜30のメチレン鎖を有する化合物がより好ましい。具体的には、n−ドデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、n−イコサン、n−ドコサン等の直鎖状のパラフィンや、分岐状のパラフィンが挙げられる。
なお、炭素数10〜100のパラフィン化合物の一態様として、石油ワックスを用いることもできる。石油ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス(石油又は天然ガスを原料として、減圧蒸留留出油から分離精製することにより製造される、常温において固形のワックス)、マイクロクリスタリンワックス(石油を原料として、減圧蒸留残渣油又は重質留出油から分離精製することにより製造される、常温において固形のワックス)等の脂肪族炭化水素が挙げられる。なお、パラフィンワックスとしては、炭素数20〜40程度のものが、マイクロクリスタリンワックスとしては、炭素数30〜60程度のものが、融解熱量及び入手性の面で好ましい。
これらのパラフィン化合物は、1種単独で使用しても良く、2種以上を混合しても良い。複数のパラフィン化合物を混合すると、融点や潜熱量を所望の値に調節することが可能となる。
本発明の蓄熱部材14に用いられるエラストマーは、弾性を有し、蓄熱物質を良好に包接するバインダー成分として働き、例えば、潜熱蓄熱物質の相変化時において建築窓構造体からの潜熱蓄熱物質の漏出を防止できるものであることができ好ましい。エラストマーとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)といった共役ジエンゴム(ただし、水添共役ジエン(共)重合体を除く)、エチレン・α―オレフィン共重合体ゴム(EPDM)、水添共役ジエン(共)重合体が挙げられ、その他、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)などを挙げることができる。なお、これらは、1種単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
特に熱可塑性エラストマーは、製造時において加熱による成形加工を繰り返し行うことが可能であるため好ましく、蓄熱物質のブリード(染み出し)防止、および長期耐久性の観点から、水添共役ジエン(共)重合体がより好ましい。
水添ブロック(共)重合体としては、例えば、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEB)、スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(SEP)等のアルケニル芳香族化合物及び共役ジエン化合物のブロック共重合体の水素添加物;スチレン−エチレン/ブチレン−オレフィン結晶ブロック共重合体(SEBC)等のアルケニル芳香族化合物−オレフィン結晶系ブロック共重合体、オレフィン結晶−エチレン/ブチレン−オレフィン結晶ブロック共重合体(CEBC)等のオレフィン結晶系ブロック共重合体などのオレフィン系エラストマーが挙げられる。
このような材質から成る蓄熱部材14は、上記した材質による特有の効果により、後述する実施形態における建築窓構造体10に適用する際、現場で容易に取り扱うことができるとともに容易に施工することができ、しかも製品形状の自由度の範囲を広げることができるものである。
また、蓄熱部材14は、ゲル状であるため、このままであっても取扱性には優れるが、さらに取扱性を向上させるため、例えば包装部材により所定の形状毎に包装されていても良いものである。なお、本発明における「包装」とは特に限定されるものではなく、蓄熱部材14をパウチ等の包装材料中に充填する態様や、蓄熱部材14を容器中に充填する態様等を挙げることができる。
包装部材による所定の形状とは、取扱性が得られる形状であれば特に限定されず、形態としては、直(立)方体、錐体、円柱、球体等であり、大きさとしては、例えば一辺が0.1〜1mの範囲である。なお、建築現場における取扱性の観点からは、それぞれの包装部材を密に設けられる形状が好ましく、特に直(立)方体であることが好ましい。
本発明の蓄熱部材14は、所望の機能を付与する目的で、フィラーを含有してもよい。フィラーとしては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック等の着色剤、光吸収剤、フェライト等の金属粉末、ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の有機繊維、窒化アルミ、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、アルミナ、酸化マグネシウム、カーボンナノチューブ、膨張黒鉛等の伝熱性付与剤、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、グラスファイバー、アスベスト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チタン酸カリウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー等の無機ウィスカー、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、カオリン、ケイソウ土、モンモリロナイト、グラファイト、軽石、エボ粉、コットンフロック、コルク粉、硫酸バリウム、フッ素樹脂等の充填剤が挙げられる。なお、フィラーは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記フィラー以外に、本発明の蓄熱部材14には、本発明の効果を損なわない範囲で、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、結晶核剤、難燃化剤、加硫剤、加硫助剤、防菌・防カビ剤、分散剤、着色防止剤、発泡剤、防錆剤などを配合してもよい。
包装部材としては、例えば合成樹脂フィルム,ガラス容器,合成樹脂容器などが挙げられ、使用場所や使用用途に合わせて適宜選択すれば良いものである。
前記合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、延伸ナイロン(ONy)、ポリアミド(PA)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)等が挙げられる。
また、これらの合成樹脂からなる合成樹脂フィルムとしては、上記の合成樹脂を含有してなるフィルム、前記フィルムに酸化アルミニウム等による蒸着膜を設けた蒸着フィルム、前記フィルムを公知のラミネート法により積層してなる積層フィルム等が挙げられる。
とくに、前記合成樹脂フィルムにより包装する場合、熱融着性を有する基材フィルム(ヒートシール層)を最内層とすることが好ましく、ヒートシール層としては、熱融着性を有するポリオレフィン樹脂フィルム(熱融着性オレフィン層)が好ましく、ポリオレフィン樹脂フィルムの中ではPEフィルム、PPフィルムが好ましく、特に線状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムが好ましい。
また、具体的な実施形態で用いられる透光部材12a,12bは、光を透過することができるものであれば特に限定されず、例えばガラス製や合成樹脂製であることが好ましい。中でも建築材料として耐久性に優れたガラスであることが特に好ましい。なお、本発明において「ガラス」とは、無機ガラスと有機ガラスの両方を含むものとする。有機ガラスとはポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂材料からなるものを指す。
図1〜13に示した図中に記した「IN」,「OUT」は、構造物の内側(室内),外側(室外)の意味である。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態における建築窓構造体10について図1〜7を用いて説明する。
本発明の第1の実施形態における建築窓構造体10は、図1に示した斜視図および図2に示した分解斜視図に示したように、光を透過し対向する板状の透光部材12a,12bと、光の熱エネルギーを蓄熱する蓄熱部材14と、を少なくとも備え、対向する透光部材12a,12bで蓄熱部材14が挟持されている。なお図2においては、分解斜視図であるため、蓄熱部材14を除いている。
また、本実施形態においては、対向する透光部材12a,12bの周縁部に枠体16が設けられ、さらにこの枠体16の外側にコーキング材18を注入し、枠体16と透光部材12a,12bとの間を密封するコーキング処理がなされている。
ここで枠体16の材質としては、対向する透光部材12a,12bの間隔を一定に保つことができればエラストマー,合成樹脂,アルミニウム,ステンレスなど特に限定されるものではないが、耐久性や加工のし易さを鑑みると、アルミニウムであることが好ましい。
エラストマーとしては特に限定されないが、耐油性が高いものが好ましく、例えば、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM、ANM)、ウレタンゴム(U)、フッ素ゴム(FKM)といった材料を用いることができる。
合成樹脂としては特に限定されないが、化学的安定性や機械的強度の観点から、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンエーテル(PPE)といった材料を用いることができる。
またコーキング材18についても特に限定されるものではなく、例えばシリコーン系,ポリウレタン系などの合成樹脂製のコーキング材を用いることができる。
このように構成されてなる本実施形態の建築窓構造体10は、例えば以下のようにして製造される。
まず、図3に示したように、対向する透光部材12a,12bの周縁部であって、かつ透光部材12a,12bの間に枠体16を設ける。このとき枠体16は、上端を除く三方に設ける。そして、三方の枠体16の外周側にコーキング材18を充填し、コーキング処理を行う。これにより、透光部材12a,12bと枠体16との間が確実にシールされることになる。
次いで図4に示したように、対向する透光部材12a,12bの間を満たすよう、予め所定の温度で加熱した蓄熱部材14を注入する。蓄熱部材14の加熱温度としては、調整された蓄熱部材14の融点温度により異なるが、液状となる程度まで加熱することが好ましい。
さらに、図5に示したように、蓄熱部材14が充填された面の上部から残り一方の枠体16を被せ、さらに枠体16の上にコーキング材18を充填することで、本実施形態の建築窓構造体10が製造される。
対向する透光部材12a,12bの間隔は、建築窓構造体の強度を維持し、所望の蓄熱量を得るという観点から、0.1〜10cmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5cmの範囲である。なお、対向する透光部材12a,12bが平行とならない場合、前記間隔とは、透光部材12a,12bがなす最も狭い箇所の間隔を指すものとする。
なお、このような建築窓構造体10は、内部の蓄熱部材14の、相変化に伴う体積変化により収縮したり膨張したりするため、蓄熱部材14の膨張時において透光部材12a,12bに大きな圧力が掛かり、破損の原因となる場合がある。
このような蓄熱部材14による圧力を逃がすため、対向する透光部材12a,12bの間隔を調整する間隔調整手段を有しても良い。
間隔調整手段の好ましい例としては、図6に示したように、対向する透光部材12a,12bの一方の透光部材12aにL字状の枠体16を設け、他方の透光部材12bにはL字状の枠体16と向かい合う位置にスペーサー部材20を設ける。
そしてL字状の枠体16とスペーサー部材20との間にシール部材22を配設することで、枠体16とスペーサー部材20との間を密閉するとともに、蓄熱部材14の相変化に伴う収縮・膨張による圧力を吸収できるようになっている。
このスペーサー部材20としては、特に限定されるものではなく、例えばエラストマー、合成樹脂、アルミニウム、ステンレスなどを用いることができる。なお、エラストマー、合成樹脂の具体例としては、枠体16にて例示したものが挙げられる。
さらにシール部材22としては、枠体16とスペーサー部材20との間からコーキング材18側に蓄熱部材14が流出してしまわないようにすることができれば特に限定されるものではなく、例えば断面略円形の環状シール部材を用いることができる。またシール部材22は、弾性に優れ、耐油性を有する材質から成ることが好ましく、例えば、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM、ANM)、ウレタンゴム(U)、フッ素ゴム(FKM)といった材料を用いることができる。
なお、間隔調整手段としては、蓄熱部材14の膨張・収縮時における圧力を逃がすことができれば、いかなる構造であっても良い。本発明の間隔調節手段における間隔調整の一例を説明すると、図6に示したように、蓄熱部材14の相変化に伴う収縮・膨張により、建築窓構造体10の主に厚み方向に圧力がかかる。この圧力は、枠体16とスペーサー部材20をそれぞれ厚み方向に離すように作用し、枠体16とスペーサー部材20の間隔が離れる。このようにして、建築窓構造体10は蓄熱部材14の相変化に伴う収縮・膨張による圧力を吸収し、シール部材22によりL字状の枠体16とスペーサー部材20の間の密閉が維持される。
なお、対向する透光部材12a,12bの枠体16がエラストマーのような弾性力の高い材質である場合、枠体16が蓄熱部材14による圧力を逃がすようにすることもできる。
このような第1の実施形態における建築窓構造体10は、図1に示したような形態で、建築物に用いることができるが、この形態に限定されるものではなく、例えば他にも図7(a)〜(d)に示したようにして使用することができる。
図7(a)に示した使用例は、本発明の建築窓構造体10の外気側(以下、「外側」と称する)に、さらに一枚の透光部材24を設け、建築窓構造体10と一体的に構成されており、外側の透光部材12aと建築窓構造体10との間に空気の層ができる構造であるため、蓄熱部材14で蓄えられた熱エネルギーが外側に逃げ難い構造であり、冬場などの寒い時期に好適である。
また図7(b)に示した使用例は、本発明の建築窓構造体10の室内側(以下、「内側」と称する)に、別途透光部材24を設けており、蓄熱部材14で蓄えられた熱エネルギーが内側に伝わり難い構造であるため、夏場など熱エネルギーを室内に取り入れたくない場合に好適である。
さらに図7(c)に示した使用例は、本発明の建築窓構造体10の外側にさらに透光部材24を別途設けているため、蓄熱部材14で蓄えられた熱エネルギーが外側に逃げ難い構造であり、これも図7(a)の構造と同様、冬場などの寒い時期に用いる構造として好適である。
また図7(d)に示した使用例は、本発明の建築窓構造体10の外側にさらに二重の透光部材24,24を別途設けているため、蓄熱部材14で蓄えられた熱エネルギーが外側に特に逃げ難い構造であり、これも図7(a)と同様、冬場などの寒い時期に用いる構造として好適である。
このように本発明の第1の実施形態における建築窓構造体10は、その蓄熱部材14が有する熱エネルギーの蓄熱効果を発揮するため、いろいろな使用状況,使用時期に応じて他の部材と合わせて構成すれば良く、状況に応じた蓄熱効果を得ることができるものであり、適宜組み合わせ自由に使用可能なものである。
さらに上記した建築窓構造体10では、透光部材12a,12bの形状は長方形であるが、これについても特に限定されるものではなく、透光部材12a,12bの間に蓄熱部材14が充填できるのであれば、特に限定されずに用いることができる。例えば三角形,円形等でもよく、さらには透光部材12a,12bの間隔が一定ではなく、例えば徐々に広がっていくように構成されたものでも良いものである。
さらに、上記した建築窓構造体10では、透光部材12a,12bの少なくとも一方の内外いずれかの側に位置する面に、光吸収層(図示せず)を設けることもできる。光吸収層(図示せず)を設けることで、蓄熱部材14による熱エネルギーの吸収効率を高めることができる。
光吸収層(図示せず)としては、光を吸収し易いものであれば如何なるものであっても良いが、外部からの主な熱源である太陽光を効率よく吸収するという観点からは、遠赤外線領域に吸収ピークを有し、かつ透明性、耐候性に優れることが好ましい。
このような材料としては、例えばアンチモンドープ酸化スズ(ATO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)、およびこれらを微粒子形状としたものが挙げられる。このような光吸収層(図示せず)は、例えばフィルム状として貼着する、転写する、印刷する、塗布する、あるいは蒸着する等の方法が挙げられ、また、透光部材もしくは包装部材内に分散させてもよい。
<第2の実施形態>
次に本発明の第2の実施形態における建築窓構造体10について図8〜13を用いて説明する。
本発明の第2の実施形態における建築窓構造体10は、図8に示したように所定間隔で対向する透光部材12a,12bの空隙28内に、蓄熱部材14が設置されてなるものである。
なお第2の実施形態における建築窓構造体10の蓄熱部材14は、図9に示したように包装部材30で包装されてなるものである。
包装部材30としては、上述したように合成樹脂フィルム,ガラス容器,合成樹脂容器などが挙げられ特に限定されるものではないが、本実施形態においては、耐久性の観点から、ガラス容器または合成樹脂容器を用いてなることが好ましい。
ここで図9に示した包装部材30の形態は、断面略楕円形であるが、この形態も特に限定されるものではなく、他にも断面略長方形など線対称な断面形状を有しているものが好適に用いられる。
図9に示したような形態は、口部を開いた包装部材30を用意し、この包装部材30の内部に液状化するまで加熱した蓄熱部材14を注入した後、口部を閉じることで簡単に製造することができる。
また本実施形態における建築窓構造体10では、図10(a)に示した構造の他、図10(b)に示したように蓄熱部材14が入れられた包装部材30の外表面の一方側面に、反射層32を備えた構成や、図10(c)に示したように蓄熱部材14が入れられた包装部材30の外表面の一方側面に反射層32を備え、他方側面に光吸収層34を備えた構成であっても良いものである。
なお、反射層32としては、光を反射できるものであれば如何なるものであっても良く、反射層32を形成する材料としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、アルミ(Al)、ベリリウム(Be)、クロム(Cr)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、窒化珪素、二酸化珪素、アルミナ、二酸化チタン等を挙げることができ、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。このような反射層32を設ける方法としては、上記した第1の実施形態における光吸収層(図示せず)と同じように、例えばフィルム状として貼着する、転写する、印刷する、塗布する、あるいは蒸着する等の方法が挙げられる。
さらに光吸収層34としては、上記した第1の実施形態における光吸収層(図示せず)と同じものを用いることができ、ここではその記載を省略する。
以下の説明においては、図10(c)に示したような構造を有する蓄熱部材14を用いて説明する。
このようにして構成されてなる、蓄熱部材14を備えた建築窓構造体10では、図11(a)〜(c)に示したように対向する透光部材12a,12bの空隙28内における蓄熱部材14が、列状に複数併設されてなり、これら複数の蓄熱部材14が、反転機構(図示せず)により表裏に反転するように構成されている。なお、蓄熱部材14が併設される方向については特に限定されず、図11に示したように横方向であっても縦方向であっても良いものである。
反転機構(図示せず)は、いわゆるブラインドカーテンと同様な機構を備えたものであり、複数の蓄熱部材14が反転機構(図示せず)により反転されるようになっている。
なお、図11(a)の状態は、蓄熱部材14を90度回転させ、透光部材12aと透光部材12bとの間に空気の流れを生じている状態である。
さらに図11(b)の状態は、蓄熱部材14の光吸収層34を外側に向け、包装部材30の内部の蓄熱部材14で熱エネルギーを効率よく蓄えている状態であり、例えば昼間このように位置させるようにすると良い。
また図11(c)の状態は、今度は反射層32を外側に向け、主に太陽光の熱エネルギーが建築物の内部に入らないようにしている状態である。
このような本実施形態の建築窓構造体10は、透光部材12a,12bに換気手段を設けることが好ましい。
換気手段の好ましい使用例としては、例えば図12(a)に示したように、構造物の外側に位置する透光部材12aの上下の換気口36a,36bを開けることで、夏場などにおいて外気を下方の換気口36bから透光部材12aと透光部材12bの間の空隙28内に取り込み、空隙28内の空気を上方の換気口36aから放出するようにすることができる。
また図12(b)に示したように、構造物の外側に位置する透光部材12aの上下の換気口36a,36bを開けるとともに、内側に位置する透光部材12bの上方の換気口36cを開けることで、中間期などにおいて外気を下方の換気口36bから透光部材12aと透光部材12bの間の空隙28内に取り込み、空隙28内の空気とともに内側の空気を上方の換気口36aから放出するとともに、内部の空気を上方の換気口36cを介して、上方の換気口36aから放出することができる。
さらに図12(c)に示したように、構造物の内側に位置する透光部材12bの上下の換気口36c,36dを開けることで、今度は冬場などにおいて室内の冷たい空気を、透光部材12bの下方の換気口36dから透光部材12aと透光部材12bの間の空隙28に放出し、透光部材12aと透光部材12bの間の空隙28において蓄熱部材14によって暖められた空気とともに、透光部材12bの上方の換気口36cから内側に取り込むようにすることができる。
本実施形態では、熱エネルギーを蓄熱した蓄熱部材14が、透光部材12a,12bの間の空隙28に配設されているため、特に図12(a)〜(c)に示したようなダブルスキン構造において、空隙28に位置する空気が温められ易く、したがって上昇気流が生じ易くなる。よって換気の際に別途換気装置などを用意する必要がなく、自然に換気を生ずることができるものである。
さらに、本実施形態における建築窓構造体10は、図13に示したように透光部材12a,12bの間の空隙28で蓄熱部材14が貯めた熱エネルギーを、必要とする別の場所に搬送する熱搬送手段38を備えることが好ましい。このような熱搬送手段38は、例えば蓄熱部材14に連結された配管内の水を、蓄熱部材14で貯められた熱エネルギーで暖め、これを室内の床に循環させる構成が挙げられる。このような熱搬送手段38を用いることで、蓄熱部材14が貯めた熱エネルギーを、例えば床暖房として用いることができる。
このように本発明の第2の実施形態における建築窓構造体10は、その蓄熱部材14が有する熱エネルギーの蓄熱効果を発揮するため、いろいろな使用状況,使用時期に応じて他の部材と合わせて構成すれば良く、状況に応じた蓄熱効果を得ることができるものであり、適宜組み合わせ自由に使用可能なものである。
以上、本発明における建築窓構造体およびこれを備えてなる建築物の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能なものである。
10・・・建築窓構造体
12a・・透光部材
12b・・透光部材
14・・・蓄熱部材
16・・・枠体
18・・・コーキング材
20・・・スペーサー部材
22・・・シール部材
24・・・透光部材
28・・・空隙
30・・・包装部材
32・・・反射層
34・・・光吸収層
36a・・換気口
36b・・換気口
36c・・換気口
36d・・換気口
38・・・熱搬送手段
100・・・建築窓構造体
102・・・ガラス
104・・・蓄熱部材
106・・・熱断熱部
108・・・ガラス
200・・・ブラインド
202・・・蓄熱部材
204・・・断熱部材
206・・・スラット

Claims (22)

  1. 板状の透光部材と、蓄熱部材と、を少なくとも備えた建築窓構造体であって、
    前記蓄熱部材が、蓄熱物質とエラストマーとを含有する組成物であることを特徴とする建築窓構造体。
  2. 前記蓄熱物質が、パラフィン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の建築窓構造体。
  3. 前記透光部材が、ガラス製であることを特徴とする請求項1または2に記載の建築窓構造体。
  4. 前記建築窓構造体は、
    前記蓄熱部材が、対向する前記透光部材で挟持されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の建築窓構造体。
  5. 前記対向する透光部材の間隔が、0.1〜10cmの範囲であることを特徴とする請求項4に記載の建築窓構造体。
  6. 前記対向する透光部材の間隔を調整する間隔調整手段を有することを特徴とする請求項4または5に記載の建築窓構造体。
  7. 前記対向する透光部材の周縁部に枠体を備えることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の建築窓構造体。
  8. 前記枠体の外周側がコーキング処理されていることを特徴とする請求項7に記載の建築窓構造体。
  9. 前記枠体が、アルミニウムであることを特徴とする請求項7または8に記載の建築窓構造体。
  10. 前記蓄熱部材が、包装部材により所定の形状毎に包装されてなることを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の建築窓構造体。
  11. 前記包装部材が、合成樹脂フィルムであることを特徴とする請求項10に記載の建築窓構造体。
  12. 前記建築窓構造体は、前記蓄熱部材が、所定間隔で対向する前記透光部材の空隙内に設置されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の建築窓構造体。
  13. 前記建築窓構造体は、
    前記対向する前記透光部材の空隙内に、前記蓄熱部材を複数併設してなることを特徴とする請求項12に記載の建築窓構造体。
  14. 前記蓄熱部材が、包装部材により所定の形状毎に包装されてなることを特徴とする請求項12または13に記載の建築窓構造体。
  15. 前記包装部材が、ガラス容器または合成樹脂容器であることを特徴とする請求項14に記載の建築窓構造体。
  16. 前記ガラス容器または合成樹脂容器が、断面略楕円形または断面略長方形であることを特徴とする請求項15に記載の建築窓構造体。
  17. 前記ガラス容器または合成樹脂容器の対向する一対の外表面において、
    前記外表面の一方側面に反射層を備えることを特徴とする請求項16に記載の建築窓構造体。
  18. 前記ガラス容器または合成樹脂容器の対向する一対の外表面において、
    前記外表面の一方側面に反射層を備えるとともに、他方側面に光吸収層を備えることを特徴とする請求項16に記載の建築窓構造体。
  19. 前記蓄熱部材を、表裏反転する反転機構を備えることを特徴とする請求項12〜18のいずれかに記載の建築窓構造体。
  20. 前記建築窓構造体は、
    前記蓄熱部材が蓄熱した熱エネルギーを、別の場所に搬送する熱搬送手段を有することを特徴とする請求項12〜19のいずれかに記載の建築窓構造体。
  21. 前記建築窓構造体は、
    前記所定間隔で対向する透光部材の空隙内の空気を換気する換気手段を備えることを特徴とする請求項12〜20のいずれかに記載の建築窓構造体。
  22. 請求項1〜21のいずれかに記載の建築窓構造体を備えてなることを特徴とする建築物。
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