JP2013183347A - 固体撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】特に高輝度側の情報を示す画像信号から各画素が固有に持つばらつきを除去すること。
【解決手段】通常露光時における転送時間Tx_sをホワイトリセット出力時における転送時間Tx_wより長く設定する。または、通常露光時におけるref信号測定時間Tref_sをホワイトリセット出力時におけるref信号測定時間Tref_wより長く設定する。または、転送時間Tx_sとref信号測定時間Tref_s合わせた時間Tsを転送時間Tx_wとref信号測定時間Tref_wを合わせた時間Twより長くなるよう各時間を設定する。画像処理部は、通常露光時に得られた第1出力信号からホワイトリセット出力時に得られた第2出力信号を減算することで、第1出力信号から変曲点ばらつきを除去した信号を得ることができる。
【選択図】図11

Description

本発明は、線形特性と対数特性との二つの光電変換特性を持つ画素部を備え、広ダイナミックレンジの撮像が可能な固体撮像装置に関するものである。
近年、各画素に増幅回路を持ち、フォトダイオード等の光電変換素子で光電変換された電荷を一旦増幅した後、走査回路により順次信号を読み出す固体撮像装置が開発されている。特に画素および周辺回路をCMOS型としたCMOS型の固体撮像装置は、CMOS・LSIの製造プロセスをベースにしており、画素と周辺回路とを同一のプロセスで製造することが容易であるため、広く利用されている。これらのCMOS型の固体撮像装置では、強い入射光があった場合、蓄積する電荷が飽和してしまうという問題があり、ダイナミックレンジが広く取れない。
そこで、広ダイナミックレンジの撮像を目的としたCMOS型の固体撮像装置が開発されている。これらのうちの一つとして、特許文献1に示すような、線形対数変換型の固体撮像装置が提案されている。この固体撮像装置は、光電変換を行うフォトダイオードに接続された転送トランジスタのポテンシャル状態を適当な状態に設定することで、入射光量が少ない場合は入射光に対して線形に変化する信号を出力し、入射光が多い場合は光電変換素子から電荷をリークさせて対数で変化する信号を出力する。これにより、低輝度側が線形特性、高輝度側が対数特性の光電変換特性を持つ広ダイナミックレンジな固体撮像装置を実現することができる。
このような線形対数変換型の固体撮像装置では、製造上のばらつきにより転送トランジスタのポテンシャル状態は全画素で一定とはならない。そのため、線形特性領域と対数特性領域との切り替わり点(変曲点と呼ぶ)が、画素ごとにばらついてしまう。
特許文献2には、この変曲点のばらつきに起因する固定パターンノイズを抑制する方法について記載されている。この技術によれば、予め各画素の光電変換特性を測定し、補正データとして記憶装置に記憶させておく。そして、実際の撮像時には、画素ごとの補正データを利用することで標準的な光電変換特性になるように画素データを補正し、固定パターンノイズを抑制する。
また、特許文献3には、フォトダイオードに電荷を注入し、その電荷を一定時間リークさせることで、光電流が流れた状態と同じ状態を再現し、線形対数特性の変曲点の位置を検出する「ホワイトリセット」について記載されている。そしてホワイトリセット出力を用いて画素信号の変曲点のばらつきを補正することができる。
特許第4581792号公報 特開平11−298799号公報 特開2006−140666号公報
しかしながら、特許文献2では、予め測定された全画素の光電変換特性が補正データとして記憶されているため、補正データのデータ量が膨大になるという問題があった。また、この光電変換特性は、温度によっても変化してしまうため、温度毎の補正データを記憶部に記憶させると更にデータ量が膨大になるという問題があった。
また、特許文献3では、遮光画素についてのみ記載されており、入射光のある通常画素での動作は記載されていない。特許文献3に記載されている方法を通常画素に対して実施した場合、特に強い入射光がある場合に正確な変曲点の位置が検出できないという問題がある。
本発明の目的は、特に高輝度側の情報を示す画像信号から各画素が固有に持つばらつきを除去する固体撮像装置を提供することである。
本発明による固体撮像装置は、光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積される電荷が線形対数特性を持つように光電流を流す転送トランジスタと、前記転送トランジスタに接続された浮遊拡散層と、制御電圧と前記浮遊拡散層の間に接続されたリセットトランジスタと、前記浮遊拡散層の電圧を増幅して画素信号として出力する増幅トランジスタと、を有する画素回路がマトリクス状に配列された画素アレイ部と、前記画素アレイ部を制御する画素制御部と、前記画素アレイ部の列毎に設けられ、前記画素信号を読み出して画像信号として出力する読出部と、前記読出部が出力した画像信号を補正する補正部と、
を備え、前記画素制御部は、まず、前記転送トランジスタの制御端子を中間レベルの電圧に設定して、前記光電変換素子に被写体を露光させ、次に、前記転送トランジスタを予め定められた第1読出時間オフにして、前記読出部に第1リファレンス信号を読み出させ、次に、前記転送トランジスタを予め定められた第1転送時間オンにして、前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記浮遊拡散層に転送させ、次に、前記転送トランジスタをオフにして、前記読出部に第1信号を読み出させ、次に、前記読出部に前記第1リファレンス信号と前記第1信号の差分を取らせ、その結果を第1出力信号として出力させる第1取得処理と、前記光電変換素子をゼロバイアス状態にすることで、前記リセットトランジスタを介して当該光電変換素子へ電荷を注入させ、前記転送トランジスタの制御端子を予め定められたリーク時間だけ中間レベルの電圧に設定することで、前記光電変換素子に注入された電荷をリークさせ、次に、前記転送トランジスタを予め定められた第2読出時間オフにして、前記読出部に第2リファレンス信号を読み出させ、次に、前記転送トランジスタを予め定められた第2転送時間オンにして、前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記浮遊拡散層に転送させ、次に、前記転送トランジスタをオフにして、前記読出部に第2信号を読み出させ、次に、前記読出部に前記第2リファレンス信号と前記第2信号の差分を取らせ、その結果を第2出力信号として出力させる第2取得処理とを前記画素アレイ部に実行させ、前記第1読出時間と前記第1転送時間との合計である第1合計時間と、前記第2読出時間と前記第2転送時間との合計である第2合計時間とは異なる時間であり、前記補正部は、前記第1出力信号から前記第2出力信号を差し引いた差分信号を補正後の画像信号として出力するものである。
第1合計時間と第2合計時間が同じ(例えば、第1読出時間と第2読出時間、第1転送時間と第2転送時間がそれぞれ同じ)である場合、第1出力信号と第2出力信号の差である差分信号が高輝度側においてゼロとなり、輝度情報を得ることができない。
そこで、第1合計時間と第2合計時間を異ならせることで(例えば、第1読出時間と第2読出時間を異ならせる、又は第1転送時間と第2転送時間を異ならせる)、高輝度側において第1出力信号と第2出力信号の値を異ならせることができる。つまり、高輝度側において第1出力信号と第2出力信号の差がゼロにならず値を持つため、2つの信号の差分信号から輝度情報を得ることができる。また、第1出力信号から、画素の変曲点ばらつきと相関のある第2出力信号が差し引かれるため、補正後の画像信号として変曲点ばらつきが除去された信号を得ることができる。
また、上記構成において、前記第2合計時間は、前記第1合計時間より短い時間であることが好ましい。
第2合計時間を第1合計時間より短く設定する(例えば、第2読出時間を第1読出時間より短く設定する、第2転送時間を第1転送時間より短く設定する)ことで、第1出力信号から第2出力信号を差し引いた差分信号について、高輝度側において増加する特性を持たせることができる。更に、第2取得処理(ホワイトリセット)にかかる時間が第1出力処理(通常露光)にかかる時間より短くなり、ホワイトリセットに要する時間を短縮することができる。
また、上記構成において、前記画素制御部は、前記第2合計時間とは異なる第3合計時間を用いて、前記第2取得処理と同じ処理を前記画素アレイ部に行わせて第3出力信号を取得し、前記補正部は、前記第1出力信号から前記第2出力信号を差し引いた差分信号、前記第1出力信号から前記第3出力信号を差し引いた差分信号、又は前記第2出力信号から前記第3出力信号を差し引いた差分信号の何れか1つを補正後の画像信号として出力することが好ましい。
この構成によれば、第2合計時間と第3合計時間を異ならせることで、高輝度側において第2出力信号と第3出力信号の値(傾き)を異ならせることができる。つまり、高輝度側において第2出力信号と第3出力信号の差がゼロにならず値を持つため、2つの信号の差分信号から輝度情報を得ることができ、補正後の画像信号として変曲点ばらつきが除去された信号を得ることができる。また、第1出力信号を用いる場合は、第2出力信号又は第3出力信号の何れを用いて差分信号を求めてもよく、上記構成と同様の効果を得ることができる。
また、上記構成において、前記補正部は、前記差分信号における所定の閾値より大きい領域の特性を予め定められた特性に変換する変換データを予め記憶し、前記差分信号の前記閾値より大きい領域に対して前記変換データを用いた変換を行うことが好ましい。
変曲点の位置は画素回路によってばらつきがある。つまり、画素回路が出力する画素信号の光電変換特性について、低輝度側である線形特性領域はばらつきが少ないが、変曲点より高輝度側である対数特性領域には画素回路によってばらつきがある。従って、補正部は、第1出力信号と第2出力信号の差である差分信号の特性において、所定の閾値(例えば変曲点)より大きい(高輝度側)領域が所定の特性(例えば、対数特性)を示すように変換する。こうすることで、更に高輝度側においても、変曲点ばらつきが除去された画像信号を得ることができる。
また、上記構成において、前記画素制御部は、前記予め定められたリーク時間とは異なるリーク時間を用いて前記第2取得処理と同じ処理を前記画素アレイ部に行わせて第4出力信号を取得し、前記補正部は、予め測定された前記画素アレイ部の標準の光電変換特性を予め記憶し、当該標準の光電変換特性の対数特性領域の傾きである標準傾きを算出し、前記第2出力信号及び前記第4出力信号の差に基づき、対象画素の光電変換特性の対数特性領域の傾きである対象画素傾きを算出し、前記標準傾きと前記対象画素傾きとに基づいて、前記標準の光電変換特性の傾きを補正することが好ましい。更に、上記構成において、前記補正部は、前記標準傾きと前記対象画素傾きとの傾きに基づいて、前記所定の閾値を補正することが好ましい。
これらの構成によれば、リーク時間の異なる第2出力信号及び第4出力信号を得ることで、第2出力信号及び第4出力信号の差から対象画素の光電変換特性の対数特性領域の傾きを得ることができる。また、予め測定された標準の光電変換特性から対数特性領域の傾きである標準傾きを求め、この標準傾きと対象画素傾きとに基づいて標準の光電変換特性の傾きを補正することができる。つまり、傾きが補正された標準の光電変換特性を用いて前記差分信号を補正することで、第1出力信号から対数特性領域における傾きのばらつきを除去することができる。
本発明によれば、第1合計時間と第2合計時間を異ならせることで、高輝度側において第1出力信号と第2出力信号の値を異ならせることができる。つまり、高輝度側において第1出力信号と第2出力信号の差がゼロにならず値を持つため、2つの信号の差分信号から補正後の画像信号を得ることができる。従って、第1出力信号から、画素の変曲点ばらつきと相関のある第2出力信号が差し引かれるため、補正後の画像信号として変曲点ばらつきが除去された信号を得ることができる。
本発明の実施の形態1に係る固体撮像装置の全体構成図。 図1に示す撮像素子の構成図。 図2に示す画素アレイ部の回路図。 画素アレイ部のタイミングチャート。 図4の時刻t0〜t9での画素部のポテンシャル図。 LinLog信号とWR信号との光電変換特性を示すグラフ。 図6に示すLinLog信号からWR信号を差し引いたグラフ。 LinLog信号とWR信号との光電変換特性を示すグラフ。 図8に示すLinLog信号からWR信号を差し引いたグラフ。 図9に示すLinLog信号からWR信号を差し引いたグラフと、LUTの一例と、補正後の出力について示したグラフ。 画素アレイ部のタイミングチャート。 対数特性領域の傾きばらつきを示したLinLog特性のグラフ。 対象画素のLinLog信号をWR信号の光電変換特性を示すグラフ。 LUTメモリ部が記憶するLUTと、補正後のLUT_Cを示したグラフ。 WR1信号とWR2信号の光電変換特性を示すグラフ。 WR1信号とWR2信号の差分信号の特性を示したグラフ。
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の実施の形態1に係る固体撮像装置1の全体構成図である。固体撮像装置1は、撮像素子制御部100、撮像素子200及び画像処理部300(補正部)を備えている。撮像素子制御部100は、システムクロック信号(sysclk)及びレジスタ制御信号を撮像素子200に出力する。ここで、システムクロック信号は、固体撮像装置1を構成する回路素子を同期させるためのクロック信号である。レジスタ制御信号は、画素アレイ部220(図2参照)を制御するための画素制御信号の波形を規定するためのレジスタ値を撮像素子200が備えるレジスタに書き込むための信号である。
また、撮像素子制御部100は画像処理部300に転送ゲート電圧データを出力する。転送ゲート電圧データは、転送トランジスタのゲートに印加する中間レベルの電圧を規定するためのデータである。
撮像素子200は、画像信号であるLinlog信号及びWR信号を画像処理部300に出力する。LinLog信号は、被写体の輝度情報を示すデータあり、補正対象のデータである。WR信号は、ホワイトリセット時に出力される信号である。
画像処理部300は、LUTメモリ部301を備え、撮像素子200から出力されるLinLog信号とWR信号の差を取ることでLinLog信号の補正処理を行う。尚、LUTメモリ部と補正処理の詳細については後述する。
図2は、図1に示す撮像素子200の構成図である。撮像素子200は、ローデコーダ210(画素制御部の一例)、画素アレイ部220、タイミング制御部230(画素制御部の一例)、カラムADCアレイ240、カラムデコーダ250、ランプ波形発生回路260及び出力回路280を備えている。
画素アレイ部220は、n行×m列でマトリックス状に複数配列され、画素アレイ部を構成する。タイミング制御部230は、PLL、タイミングジェネレータ(TG)及びレジスタを備える。PLLは、システムクロック信号(sysclk)の周波数を撮像素子200の動作に適した周波数にするために、システムクロック信号を逓倍する。
レジスタは、レジスタ制御信号により、画素制御信号の波形を規定するレジスタ値が書き込まれる。TGは、PLLにより逓倍されたシステムクロック信号から水平同期信号及び垂直同期信号を生成し、ローデコーダ210及びカラムデコーダ250に供給する。また、TGは、レジスタ値をローデコーダ210に供給し、ローデコーダ210から画素制御信号を出力させる。
ローデコーダ210は、画素アレイ部の各行をサイクリックに選択し、画素アレイ部を垂直走査し、選択した行の画素アレイ部220から信号を出力させる。本実施の形態では、ローデコーダ210は、垂直読出走査回路211、転送ゲート走査回路212、リセット走査回路213及びリセットドレイン走査回路214を備えている。ローデコーダ210は、画素アレイ部の各行に画素制御信号を出力する。画素制御信号としては、リセットドレイン信号(以下、φRDiと記述する。)、リセット信号(以下、φRSTiと記述する。)、転送ゲート信号(以下、φTXiと記述する。)及び行選択信号(以下、φVSENiと記述する。)を含む。但し、iは行番号規定するインデックスであり、n=0、1、2・・・nの値を取る。以下、これらの信号を区別しない場合は、iで示すインデックスを省略してこれらの信号を表す。
φVSEN、φTX、φRST及びφRDはそれぞれ、垂直読出走査回路211、転送ゲート走査回路212、リセット走査回路213及びリセットドレイン走査回路214から出力される。
カラムADCアレイ240は、画素アレイ部の各列に対応して設けられたm個のAD変換部(ADC)241(読出部の一例)を備える。ADC241は、画素アレイ部220から出力される信号をAD変換する。また、ADC241は、AD変換したデジタルの信号を一時的に保持するメモリを備えている。ここで、ADC241は、画素アレイ部220から出力されるアナログの信号とランプ波形発生回路260から出力するランプ波形とを比較することで、信号をAD変換するシングルスロープ型のADCである。但し、これは一例であり、ADC241は、シングルスロープ型以外のADC(例えばダブルスロープ型のADC)を採用してもよい。
カラムデコーダ250は、タイミング制御部230から出力される水平同期信号にしたがって、各列のADC241を順次に選択して、カラムADCアレイ240を水平走査し、ADC241からデジタルの信号を順次に出力させる。ランプ波形発生回路260は、ADC241がAD変換する際に用いるランプ波形を生成し、ADC241に出力する。
出力回路280は、カラムADCアレイ240から順次に出力されるデジタルの信号の波形を成形し、画像処理部300に出力する。ここで、出力回路280は、センスアンプ及びLVDSシリアライザを備える。センスアンプは、カラムADCアレイ240から出力されるデジタルの信号の波形を成形する。LVDSシリアライザは、センスアンプにより波形が成形されたパラレルの信号をシリアルの信号に変換し、画像処理部300に出力する。
図3は、図2に示す画素アレイ部220の回路図である。画素アレイ部220は、光電変換素子(以下、PDと記述する。)、4個のNMOSトランジスタ(以下、TR1〜TR4と記述する。)を備える。PDはアノードがグランド(以下、GNDと記述する。)に接続され、カソードがTR1のソースに接続されている。PDは被写体の輝度に比例した光電流Ipを発生させ、光電流Ipに応じた電荷を寄生容量で蓄積する。
TR1はPDに蓄積される電荷が線形対数特性を持つように光電流を流す。また、TR1は、PDに蓄積される電荷をFDに転送する転送トランジスタである。TR1のソースは、PDに接続され、TR1のドレインはTR2に接続され、TR1のゲートはφTXが流れるφTX信号線に接続されており、転送ゲート走査回路212により制御される。φTXはHigh、Middle、Lowの3レベルに設定可能で、HighのときTR1はON状態、LowのときOFF状態、Middleのとき光電流Ipが大きい場合、TR1は線形対数変換を行うサブスレショルド状態となる。
TR2は、FD(フローティングディフュージョン、浮遊拡散層)をリセットするリセットトランジスタである。TR2のドレインはφRDが流れるφRD制御線(制御電圧)に接続され、TR2のソースはFDを介してTR1に接続され、TR2のゲートはφRSTが流れる信号線に接続される。そして、TR2は、リセットドレイン走査回路214(図2参照)からφRSTがゲートに供給されて制御される。φRSTはHighとLowとの2状態に設定可能で、HighのときTR2はONとなり、φRDで設定される電圧がTR2のソースの電圧として設定される。また、φRSTがLowの場合、TR2はOFFとなる。
TR1及びTR2間のノードはFDを形成している。FDは、TR1によってPDに蓄積された電荷が転送され、光電流Ipに応じた電圧信号を発生する。
TR3のドレインはPVDD線に接続され、TR3のソースはTR4に接続されている。TR3のゲートはFDに接続されている。FDに光電流Ipに応じた電圧信号が発生した場合、TR3はソースフォロワ動作し、信号を増幅する。PVDDは、例えば図略の電源回路により供給され、プラスの電位に設定される。
TR4のドレインはTR3に接続され、TR4のソースはVIDEO線に接続され、TR4のゲートはφVSEN制御線に接続される。そして、TR4は、垂直読出走査回路211(図2参照)からφVSENがゲートに供給されて制御される。φVSENがHighの場合にはTR4はONとなり、TR3で増幅された信号がVIDEO線に流れる。φVSENがLowの場合、TR4はOFFとなる。つまり、TR4は行選択トランジスタとして機能する。
図4は、図2に示す画素アレイ部220のタイミングチャートである。以下、TR1を転送ゲート、TR2をリセットゲートとして説明する。
時刻t0では、φTX=Middle、φRST=High、φRD=Highに設定され、被写体を露光する露光処理が実行される。これにより、被写体の輝度に応じてPDで発生した光電流Ipが転送ゲート、リセットゲートを流れてφRD制御線に流れ込み、PDの寄生容量には、線形対数変換された電荷が蓄積される。
時刻t1では、φTX=Low、φRST=Lowとなって転送ゲートとリセットゲートとがOFFされ、φVSEN=HighとなってTR4がONされ、FDの電圧信号がリファレンス信号(第1リファレンス信号、以下「ref信号」という。)として出力される。ref信号には、リセットゲートを閉じたときに発生するランダムノイズであるKTCノイズの情報が含まれている。
時刻t2では、φTX=Highとなって転送ゲートがONされ、PDに蓄積された電荷がFDに転送され、転送処理が実行される。FDには、時刻t1で出力されたRef信号の電荷に、PDから転送された電荷が加算された電荷に応じた電圧信号が現れる。ここで、φTX=Highとなる時間を転送時間Tx_sとする。
時刻t3では、φTX=Lowとなって転送ゲートがOFFされ、FDの電圧信号がノイズ・シグナル信号(第1信号、以下「sig信号」という)として出力される。時刻t3で出力されたsig信号はADC241によりref信号との差分を取る差分処理が実行され、LinLog信号(第1出力信号)が取得される。差分処理を行うことでsig信号に含まれるランダムノイズがref信号によってキャンセルされ、S/N比が向上する。
以上の時刻t1〜時刻t3の期間が、露光処理によりPDに蓄積された電荷を、転送ゲートがFDに転送することで電圧変換し、第1出力信号を取得する期間に相当する。
時刻t4では、φTX=High、φRST=Highとなって転送ゲート、リセットゲートがONされ、φRD=Lowになって、リセットゲートのドレインからPDに電荷が注入される。これにより、PDをゼロバイアス状態でリセットするリセット処理が行われ、PDが蓄積する電荷量が満杯になる。
時刻t5では、φTX=Middleとなって転送ゲートがサブスレショルド状態となり、φRD=Highとされ、PDが蓄積する電荷がリセットゲートのドレイン側にリークされ、リーク処理が実行される。以下、φTX=MiddleとなってPDから電荷をリークさせる期間をリーク時間と記述する。この場合、転送ゲートはON状態からサブスレショルド状態に非常に短時間で移行する。そのため、このリーク時間の終了後にはPDには転送ゲートのポテンシャルレベルに応じたレベルの電荷が残存する。なお、リーク時間は、例えば数us〜数百us程度である。
時刻t6〜時刻t8では、それぞれ、時刻t1〜t3と同様、第2リファレンス信号(
ref信号)の出力、PDに蓄積された電荷のFDへの転送処理、第2信号(sig信号)の出力が行われる。時刻t8にて出力されたsig信号はADC241によりref信号との差分が取られ、sig信号に含まれるランダムノイズがref信号で相殺され、WR信号(第2出力信号)が得られる。以上の時刻t6〜t8の期間が、リーク処理の終了後、PDに残存する電荷を転送ゲートがFDに転送することで電圧変換し、第2出力信号を取得する期間に相当する。尚、時刻t7において、φTX=Highとなる時間を転送時間Tx_wとする。
図5は、図4の時刻t0〜t9での画素アレイ部220のポテンシャル図である。時刻t0において、転送ゲートがサブスレショルド状態にあるため、PDに蓄積される電荷のうち、転送ゲートのポテンシャルレベルLV1を超える電荷がPDからFDにリークしている。これにより、PDはポテンシャルレベルLV1を超える電荷をリークしながら電荷を蓄積し、線形対数特性で電荷を蓄積する。このとき、φRST=HighとなってリセットゲートによりFDがリセットされているため、PDからFDにリークした電荷は外部に排出される。
時刻t1では、転送ゲート及びリセットゲートが閉じ、FDの電圧信号がref信号として出力されている。時刻t2では、転送ゲートが開き、PDに蓄積された電荷がFDに転送されている。時刻t3では、転送ゲートが閉じ、FDの電圧信号がsig信号として出力されている。時刻t4では、転送ゲートリセットゲートが開いてホワイトリセットが行われ、PDの電荷が満杯になっている。時刻t5では、転送ゲートがサブスレショルド状態となり、PDに蓄積された電荷がFDにリークしている。このとき、リセットゲートによってFDはリセットされているため、FDにリークした電荷は外部に排出される。
時刻t7では、転送ゲートが開き、PDに残存する電荷がFDに転送される。時刻t8では、転送ゲートが閉じ、FDに転送された電荷がsig信号として出力される。時刻t9では、転送ゲートがサブスレショルド状態にされ、リセットゲートによりFDがリセットされ露光処理が行われる。
図6は、LinLog信号とWR信号との光電変換特性を示すグラフであり、図4で示す転送時間Tx_nとTx_wを同じとしたときのグラフである。図6において、縦軸はLinLog信号とWR信号とのデジタルの出力値を示し、横軸は被写体の輝度に応じた値を持つ光電流Ipを対数スケールで示している。
図6に示すようにLinLog信号の光電変換特性は低輝度側は輝度が増大するにつれて出力値が線形に増大する線形特性を持っていることが分かる。また、高輝度側は輝度が増大するにつれて出力値が対数的に増大する対数特性を持っていることが分かる。
一方、WR信号の光電変換特性は、被写体の輝度に依存することなくフラットな特性を持っている。WR信号は、ホワイトリセット後にリーク時間を設けてPDから電荷をリークさせることで得られる。ここで、リーク時間に流れるリーク電流は、経時的に減少していくが、リーク時間が短時間の場合、リーク電流は非常に大きく、被写体の輝度の影響を受けない。そのため、WR信号の光電変換特性はフラットな特性を示すのである。
また、WR信号の光電変換特性は、LinLog信号の高輝度側の情報を表している。これは、WR信号を得る際に設定したリーク時間が短時間であるためである。つまり、リーク時間が短時間である場合、リーク電流は非常に大きく、その値は、高輝度の被写体を露光したときにPDに流れる光電流Ipの値を示すからである。
また、LinLog信号の光電変換特性は、線形特性と対数特性との切り替わり点である変曲点が画素ごとに異なるため、変曲点よりも高輝度側の対数領域においてばらつきが生じている。同様に、WR信号の光電変換特性も、全体的にフラットな特性を持っているが、画素ごとにばらつきが生じている。
LinLog信号、WR信号共、転送ゲートをサブスレショルド状態にすることで得られた信号であるため、LinLog信号は変曲点のばらつきの原因である転送ゲートのポテンシャルレベルLV1の情報を含んでいる。したがって、WR信号のばらつきは、変曲点のばらつきと非常に相関が高い。そのため、WR信号から画素アレイ部220が固有に持つ変曲点の情報が得られる。
また、LinLog信号において、変曲点で切り替わった直後(光電流IpがA〜Bの範囲)の対数特性の傾きに比べて、更に高輝度側(光電流IpがB以上)においては、対数特性の傾きが更に大きくなっている。この傾きが変化している原因について図5を用いて説明する。
図5において、時間t0は露光タイミングを示しており、時間t1でref信号を読み出すが、このとき転送トランジスタのゲートは閉じられているために、この期間に入射光によってPDに発生した光電荷はPDに蓄積される。また、時間t2ではPDに蓄積された電荷をFDへ転送するが、この転送時間中にも入射光がPDに当たっており、光電荷がPDに蓄積される。そのため、この光電荷もFDに転送される。これらの光電荷成分が、図6の光電流IpがB以上の範囲において傾きが大きくなっている原因であり、LinLog信号及びWR信号共に存在する。以下、ref信号の読出時間と、PDに蓄積された電荷をFDへ転送する時間を合わせて「CDS期間」という。
上記したように、図1に示す画像処理部300は、LinLog信号とWR信号の差を取ることでLinLog信号から画素ばらつきを除去する補正処理を行う。図7は、図6に示すLinLog信号からWR信号を差し引いたグラフである。以下、LinLog信号からWR信号を差し引いた信号を、適宜「差分信号」という。図7に示すように、LinLog信号が線形領域にばらつきが発生している。これは、LinLog信号の線形領域には画素ばらつきがないが、WR信号が変曲点ばらつきを含んでいるため、LinLog信号とWR信号との差を取った場合、線形領域にばらつきが発生するからである。一方、LinLog信号の対数領域では、変曲点ばらつきが除去されて、画素ばらつきがなくなっている。
しかし、光電流IpがD以上の範囲において、差分信号がほぼゼロになっている。つまり、差分信号がD以上の範囲から輝度情報を得ることができない。これは、強い入射光があった場合、リーク電流よりも光電流の方が支配的となり、ホワイトリセットの実行有無に関わらず、光電流によってのみ出力が確定してしまうためである。
そこで、図4で示す転送時間Tx_nとTx_wを異ならせる。図8は、LinLog信号とWR信号との光電変換特性を示すグラフであり、転送時間Tx_nとTx_wを異ならせたときのグラフである。転送時間を異ならせることで、CDS期間で入射光がPDに当たったことによって発生する光電荷の量が、露光時とホワイトリセット時とで異なってくる。つまり、高輝度側(光電流IpがB以上の範囲)において、LinLog信号とWR信号の傾きが異なってくる。
図9は、図8に示すLinLog信号からWR信号を差し引いたグラフである。図9に示すように、光電流IpがD以上の範囲において、減算結果がゼロになっていない。また、光電流IpがD以上の範囲において、画素ばらつきも存在しない。ここで、転送時間Txは転送時間Tx_wより長く設定する。こうすることで、図9に示すグラフの高輝度側において単調増加する特性を得ることができる。
そして、CDS期間中に蓄積される電荷量は線形特性を示す。従って、光電流IpがC〜Dの範囲は対数特性を示しているが、D以上の範囲は線形特性を示している。このCDS期間中に蓄積される電荷によって流れる光電流Ipは、工場出荷前等に予め測定することでルックアップテーブル(LUT、変換データ)を作成することが可能である。
具体的には、工場出荷前において、撮像素子200の多くの画素に対して輝度を変化させながらLinLog信号とWR信号を出力させる。そして、1つの輝度に対して出力された複数のLinLog信号及びWR信号をそれぞれ平均化し、平均化したLinLog信号からWR信号を減算する。こうして、LinLog信号からWR信号を減算した信号(差分信号)に対する輝度(光電流)の特性をLUTとして得ることができる。
作成されたLUTは、画像処理部300のLUTメモリ部301が記憶する。工場出荷後に固体撮像装置1が動作する際、画像処理部300は撮像素子200からLinLog信号とWR信号を受け取ると、2つの信号の差分を取り、LUTメモリ部301が記憶するLUTを参照することで、差分信号から輝度を導出することができる。
図10は、図9に示すLinLog信号からWR信号を差し引いたグラフと、LUTの一例と、補正後の出力について示したグラフである。右上の第1象限は、LinLog信号からWR信号を差し引いたグラフであり、横軸は光電流Ip(対数スケール)、縦軸はLinLog信号とWR信号の差分信号(ADC241が出力する画素信号)を示す。
左上の第2象限は、LUTの特性を示し、縦軸はLUTに入力されるLinLog信号とWR信号の差分信号(ADC241が出力する画素信号)を示し、横軸はLUTから出力される補正後の差分信号(光電流に相当するためIp´と表す)を示している。尚、LUTを用いて補正が行われる範囲は、Ob以上の高輝度側であるため、LUTも高輝度側についてだけ値を持てばよい。また、本実施の形態ではObを変曲点と一致する値としているが、Obは変曲点より更に高輝度側であっても構わない。
左下の第3象限は、補正後の差分信号の光電変換特性を表すグラフG3を示し、横軸はLUTから出力されるIp´を示し、縦軸は光電流Ip(対数スケール)を示す。この第3象限の特性に示すように、画像処理部300がLUTを用いて差分信号を補正することで、差分信号は全域で対数特性を持つように補正される。尚、補正後の特性は、対数特性以外であってもよい。右下の第4象限はグラフG3を縦軸を中心に折り返したグラフG4が示されている。
補正の手順について説明する。まず、撮像時には、LinLog信号とWR信号が撮像素子200から出力される。そして。画像処理部300は、LinLog信号からWR信号を減算することで差分信号を算出し、LUTメモリ部301が記憶するLUTに差分信号を入力し、補正後の差分信号を得る。
例えば、画像処理部300は、撮像素子200が出力したLinLog信号からWR信号を減算して差分信号を得るが、その差分信号の値がOut_xであったとする。すると、画像処理部300は、LUTにOut_xを入力し、Out_xに対応する補正後の差分信号であるIp_x´を得る。
以上、説明したように、転送時間Tx_nを転送時間Tx_wより長くして取得したLinLog信号とWR信号から、画像処理部300が差分信号を算出し、LUTを参照してグラフG3上に乗るように補正することで、光電流Ipに対して全範囲が対数特性を示すデータに変換されると同時に画素ばらつきのない信号を得ることができる。特に高輝度側において画素ばらつきの補正を可能にすることができる。
〔第2の実施の形態〕
第1実施の形態では、CDS期間中に蓄積される電荷量をLinLog信号とWR信号とで異ならせるために、転送時間Tx_nを転送時間Tx_wより長くする設定することとした。その他の方法として、LinLog信号とWR信号とでref信号の測定時間を異ならせてもよい。
図11は、画素アレイ部220のタイミングチャートである。図11に示すように、時刻t1においてφTX=Lowとなっている期間であるLinLog信号のref信号測定時間Tref_sを、時刻t6においてφTx=Lowとなっている期間であるWR信号のref信号測定時間Tref_wより長く設定する。
また、LinLog信号のref測定時間Tref_sと転送時間Tx_nとを合わせた時間(Ts)を、WR信号のref信号測定時間Tref_wと転送時間Tx_wとを合わせた時間(Tw)より長く設定するようにしてもよい。以上のように各時間を設定することで、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
〔第3の実施の形態〕
第1の実施の形態では、変曲点のばらつきを補正したが、その他のLinLog特性のばらつきとして、対数特性領域の傾きばらつきがある。図12は、対数特性領域の傾きばらつきを示したLinLog特性のグラフであり、縦軸はLinLog特性の出力値を示し、横軸は画素アレイ部220の撮像面の輝度に応じた光電流Ipを対数スケールで示している。
図12に示すように、LinLog特性の対数特性領域の傾きは、高輝度側から変曲点に向かうにつれて出力値のばらつきが増大するように、ばらついていることが分かる。
第3の実施の形態では、撮像時において、リーク時間の異なる2種類のWR信号を取得し、これらを用いて対数特性領域の傾きばらつきを補正することを特徴とする。
図13は、対象画素のLinLog信号をWR信号の光電変換特性を示すグラフである。WR信号は、リーク時間の長さによって出力値が変わる特性を持っており、リーク時間が短い場合は出力値が大きく、リーク時間が長い場合は出力値が小さい。リーク時間の短いWR1信号とリーク時間の長いWR2信号とを取得した場合、WR1信号は高輝度で大きい光電流Ipが流れた場合を再現し、WR2信号は低輝度で小さい光電流Ipが流れた場合を再現している。このリーク時間と光電流Ipとの関係は予め測定しておくことが可能である。
次に、撮像時における画像処理部300による補正処理について説明する。図14は、LUTメモリ部301が記憶するLUTと、補正後のLUT_Cを示したグラフである。まず、画像処理部300は、第1の実施の形態と同様にして対象画素からWR1信号(第2出力信号)及びWR2信号(第4出力信号)を取得する。
次に、画像処理部300は、下記の式を用いて、取得したWR1信号及びWR2信号から、対数特性領域における対象画素のLinLog特性の傾きである対象画素傾きLsを算出する。以下の式を用いて対象画素のLinLog特性の傾きLsが導き出されることは、図14に示す対数特性領域のグラフからも明らかである。
Ls=(WR1−WR2)/(Ip1−Ip2)
また、画像処理部300は、標準的な画素特性の対数特性領域の傾きLs_NをLUTメモリ部301が記憶するLUTから予め算出しておく。次に、画像処理部300は、LsとLs_Nを用いて、LUTを以下の式に従い補正し、LUT_Cを作成する。
LUT_C(Ip)=LUT(IP)−(Ls×Ls_N)×(Ip1−Ip)
これにより、LUTの対数領域の傾きが、対象画素のLinLog特性の傾きに一致するように補正され、補正後のLUTとしてLUT_Cを得ることができる。また、画像処理部300は、補正範囲を示すObの値も以下の式に従い同時に補正する。
Ob_C=Ob+(Ls−Ls_N)×(Ip1−IpKP)
ここで、IpKPは、図14に示すグラフにおける変曲点のx軸の値である。これにより、差分信号がOb_Cより大きい場合に、第1の実施の形態と同様に、補正後のLUT_Cを用いて差分信号を補正することができる。そして、第1及び第2の実施の形態と本実施の形態を組み合わせることで、変曲点のばらつきと、対数特性領域の傾きのばらつきとを補正することができる。
〔第4の実施の形態〕
第3の実施の形態では、リーク時間の異なる2種類のWR1信号及びWR2信号を取得し、これらを用いて対数特性領域の傾きばらつきを補正する方法について説明した。この他、転送時間やref信号測定時間の異なる2つのWR信号を用いることで、高輝度側における画素ばらつき補正及び傾き補正が可能となる。
図15は、WR1信号(第2出力信号)とWR2信号(第3出力信号)の光電変換特性を示すグラフである。WR信号とWR2信号とでは、転送時間が異なる。転送時間を異ならせることで、CDS期間で入射光がPDに当たったことによって発生する光電荷の量が、WR1信号とWR2信号とで異なってくる。つまり、高輝度側(光電流IpがB以上)において、WR1信号とWR2信号の傾きが異なってくる。
次に、変曲点ばらつきと対数特性領域の傾きばらつきの補正手順について説明する。まず、LinLog信号とCDS期間の同じWR1信号と、LinLog信号及びWR1信号とCDS期間の異なるWR2信号を取得する。LinLog信号とWR1信号の差分信号の特性は、図7と同じグラフとなる。図7に示す特性の対数特性領域における傾き補正はできるが、光電流IpがD以上において値がゼロとなるため、高輝度側の出力情報が得られない。
そこで、画像処理部300は、WR1信号とWR2信号の差分信号を取得する。図16は、WR1信号とWR2信号の差分信号の特性を示したグラフである。図16に示す特性からは傾きの情報は得られないが、光電流IpがF以上の高輝度側の出力情報は取得できる。
つまり、画像処理部300は、LinLog信号からWR1信号を差し引くことで、LinLog信号から変曲点ばらつきが除去された差分信号を取得し、更にWR2信号を用いることで対数特性領域の傾き補正を行う。しかし、この差分信号からは高輝度側の情報は得られないので、高輝度側についてはWR1信号とWR2信号の差分信号の高輝度側の情報を用いる。こうすることで、第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
100 撮像素子制御部
200 撮像素子
210 ローデコーダ
220 画素アレイ部
230 タイミング制御部
240 カラムADCアレイ
241 ADC
250 カラムデコーダ
260 ランプ波形発生回路
280 出力回路
300 画像処理部
301 LUTメモリ部

Claims (6)

  1. 光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積される電荷が線形対数特性を持つように光電流を流す転送トランジスタと、前記転送トランジスタに接続された浮遊拡散層と、制御電圧と前記浮遊拡散層の間に接続されたリセットトランジスタと、前記浮遊拡散層の電圧を増幅して画素信号として出力する増幅トランジスタと、を有する画素回路がマトリクス状に配列された画素アレイ部と、
    前記画素アレイ部を制御する画素制御部と、
    前記画素アレイ部の列毎に設けられ、前記画素信号を読み出して画像信号として出力する読出部と、
    前記読出部が出力した画像信号を補正する補正部と、
    を備え、前記画素制御部は、
    まず、前記転送トランジスタの制御端子を中間レベルの電圧に設定して、前記光電変換素子に被写体を露光させ、
    次に、前記転送トランジスタを予め定められた第1読出時間オフにして、前記読出部に第1リファレンス信号を読み出させ、
    次に、前記転送トランジスタを予め定められた第1転送時間オンにして、前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記浮遊拡散層に転送させ、
    次に、前記転送トランジスタをオフにして、前記読出部に第1信号を読み出させ、
    次に、前記読出部に前記第1リファレンス信号と前記第1信号の差分を取らせ、その結果を第1出力信号として出力させる第1取得処理と、
    前記光電変換素子をゼロバイアス状態にすることで、前記リセットトランジスタを介して当該光電変換素子へ電荷を注入させ、
    前記転送トランジスタの制御端子を予め定められたリーク時間だけ中間レベルの電圧に設定することで、前記光電変換素子に注入された電荷をリークさせ、
    次に、前記転送トランジスタを予め定められた第2読出時間オフにして、前記読出部に第2リファレンス信号を読み出させ、
    次に、前記転送トランジスタを予め定められた第2転送時間オンにして、前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記浮遊拡散層に転送させ、
    次に、前記転送トランジスタをオフにして、前記読出部に第2信号を読み出させ、
    次に、前記読出部に前記第2リファレンス信号と前記第2信号の差分を取らせ、その結果を第2出力信号として出力させる第2取得処理とを前記画素アレイ部に実行させ、
    前記第1読出時間と前記第1転送時間との合計である第1合計時間と、前記第2読出時間と前記第2転送時間との合計である第2合計時間とは異なる時間であり、
    前記補正部は、前記第1出力信号から前記第2出力信号を差し引いた差分信号を補正後の画像信号として出力する固体撮像装置。
  2. 前記第2合計時間は、前記第1合計時間より短い時間である請求項1に記載の固体撮像装置。
  3. 前記画素制御部は、前記第2合計時間とは異なる第3合計時間を用いて、前記第2取得処理と同じ処理を前記画素アレイ部に行わせて第3出力信号を取得し、
    前記補正部は、前記第1出力信号から前記第2出力信号を差し引いた差分信号、前記第1出力信号から前記第3出力信号を差し引いた差分信号、又は前記第2出力信号から前記第3出力信号を差し引いた差分信号の何れか1つを補正後の画像信号として出力する請求項1又は2に記載の固体撮像装置。
  4. 前記補正部は、前記差分信号における所定の閾値より大きい領域の特性を予め定められた特性に変換する変換データを予め記憶し、前記差分信号の前記閾値より大きい領域に対して前記変換データを用いた変換を行う請求項1〜3の何れか一項に記載の固体撮像装置。
  5. 前記画素制御部は、前記予め定められたリーク時間とは異なるリーク時間を用いて前記第2取得処理と同じ処理を前記画素アレイ部に行わせて第4出力信号を取得し、
    前記補正部は、予め測定された前記画素アレイ部の標準の光電変換特性を予め記憶し、当該標準の光電変換特性の対数特性領域の傾きである標準傾きを算出し、前記第2出力信号及び前記第4出力信号の差に基づき、対象画素の光電変換特性の対数特性領域の傾きである対象画素傾きを算出し、前記標準傾きと前記対象画素傾きとに基づいて、前記標準の光電変換特性の傾きを補正する請求項1〜4の何れか一項に記載の固体撮像装置。
  6. 前記補正部は、前記標準傾きと前記対象画素傾きとの傾きに基づいて、前記所定の閾値を補正する請求項4又は5に記載の固体撮像装置。
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