JP2013183043A - 磁気検出素子及びそれを用いた磁気センサ - Google Patents

磁気検出素子及びそれを用いた磁気センサ Download PDF

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Abstract

【課題】 特に従来に比べて外乱ノイズ耐性を向上させることを可能としたセルフピン止め型の磁気検出素子及びそれを用いた磁気センサを提供することを目的とする。
【解決手段】 永久磁石を内蔵しない磁気センサに使用される磁気検出素子において、固定磁性層は、第1磁性層3aと第2磁性層3cとが非磁性中間層3bを介して積層され記第1磁性層と前記第2磁性層とが反平行に磁化固定されたセルフピン止め型であり、第2磁性層が前記非磁性材料層に接しており、第1磁性層3aは第2磁性層3cよりも高保磁力材料のFeCoで形成され、第1磁性層3aの膜厚t1は11Å以上で17Å以下の範囲内で第2磁性層3cの膜厚t2よりも薄く、第1磁性層と前記第2磁性層の磁化量の差が実質的にゼロであることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、セルフピン止め型の磁気検出素子に関する。
磁気検出素子を備える磁気センサは、通常、永久磁石とペアで使用され、例えば車載センサでは、100℃以上の高温環境下で、数十mT以上の磁場中での耐環境性が重要であった。
これに対して、携帯電話機等に内蔵される地磁気センサの場合、永久磁石を必要とせず、高感度に地磁気を検知する能力が求められる。地磁気センサの場合、車載センサ等に比べて耐熱性は不要であるが、安定した高感度特性を維持するには、優れた外乱ノイズ耐性が必要であった。
下記の特許文献にはセルフピン止め型の磁気検出素子の発明が開示されている。セルフピン止め型の磁気検出素子は、反強磁性層を有していない構造である。各特許文献にはセルフピン止め型の磁気検出素子を携帯電話機等、永久磁石を内蔵しない磁気センサに適用した場合に関し、外乱ノイズ耐性を向上させるための磁気検出素子の構造が記載されていない。
WO2011/111648 特開2008−306112号公報 特開2009−180604号公報
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、特に従来に比べて外乱ノイズ耐性を向上させることを可能としたセルフピン止め型の磁気検出素子及びそれを用いた磁気センサを提供することを目的とする。
本発明は、永久磁石を内蔵しない磁気センサに使用される磁気検出素子において、
固定磁性層とフリー磁性層とが非磁性材料層を介して積層された積層構造を備え、
前記固定磁性層は、第1磁性層と第2磁性層とが非磁性中間層を介して積層され、前記第1磁性層と前記第2磁性層とが反平行に磁化固定されたセルフピン止め型であり、前記第2磁性層が前記非磁性材料層に接しており、
前記第1磁性層は前記第2磁性層よりも高保磁力材料のFeCoで形成され、
前記第1磁性層の膜厚t1は11Å以上で17Å以下の範囲内で前記第2磁性層の膜厚t2よりも薄く、
前記第1磁性層と前記第2磁性層の磁化量の差が実質的にゼロであることを特徴とするものである。これにより外乱ノイズ耐性を従来に比べて向上させることができる。
本発明では、前記第1磁性層の膜厚t1は、11Å以上で13.5Å以下であることが好ましい。より効果的に外乱ノイズ耐性の向上を図ることができる。
また本発明では、前記第1磁性層は、FexCo100-x(ただしxは、55at%以上で65at%以下)で形成されることが好ましい。また、前記非磁性中間層の膜厚は、3Å以上で6Å以下であることが好ましい。前記非磁性中間層はRuで形成されることが好ましい。
また本発明における、永久磁石を内蔵しない磁気センサは、基板上に、上記に記載された磁気検出素子が配置されたことを特徴とするものである。これにより優れた外乱ノイズ耐性を備える、永久磁石を内蔵しない磁気センサにできる。
本発明では、外乱ノイズ耐性に優れたセルフピン止め型の磁気検出素子及びそれを用いた磁気センサを実現できる。
本実施形態における磁気検出素子の部分拡大縦断面図、 図1に示す磁気検出素子と、磁気検出素子に接続されるハードバイアス層との位置関係を示す部分縦断面図、 本実施形態における磁気センサの回路構成図、 第1磁性層と第2磁性層の膜厚が異なる複数のセルフピン止め型の磁気検出素子に対する、外部磁界とΔMRとの関係を示すグラフ、 第1磁性層と第2磁性層の膜厚が異なる複数のセルフピン止め型の磁気検出素子に対する、外部磁界とΔMR/ΔMR(初期)との関係を示すグラフ、 第1磁性層の膜厚とΔMR劣化率(4KOe印加後)との関係を示すグラフ、 第1磁性層の膜厚とΔMR劣化率(5KOe印加後)との関係を示すグラフ、 第1磁性層の膜厚と保磁力Hcとの関係を示すグラフ、 第1磁性層の膜厚とΔMR(3kOe印加後)との間を示すグラフ、 アニールなしと270℃アニールを施した場合とにおける、第1磁性層の膜厚とΔMR劣化率(4kOe印加後)との関係を示すグラフ。
図1は、本実施形態における磁気検出素子の部分拡大縦断面図である。
図1に示すように本実施形態の磁気検出素子(GMR素子)1は、下から、シード層2、固定磁性層3、非磁性材料層4、フリー磁性層5及び保護層6の順に積層されて成膜される。磁気検出素子1を構成する各層は、例えばスパッタにて成膜される。
シード層2は、NiFeCrあるいはCr等で形成される。またシード層2の膜厚は、36〜60Å程度である。シード層2と、図示しない基板との間に、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,W等からなる下地層が形成されていてもよい。
固定磁性層3は、第1磁性層3aと第2磁性層3cと、第1磁性層3a及び第2磁性層3c間に介在する非磁性中間層3bとのSFP(Synthetic Ferri Pin)構造である。
図1に示すように第1磁性層3aの固定磁化方向(P1)と、第2磁性層3cの固定磁化方向(P2)は反平行となっている。
図1に示すように、第1磁性層3aはシード層2上に形成されており、第2磁性層3cは、後述する非磁性材料層4に接して形成されている。
本実施形態における第1磁性層3aは、第2磁性層3cよりも高保磁力材料のFexCo100-x(ただしxは、55at%以上で65at%以下)で形成される。
また図1の図では、第1磁性層3aの膜厚t1は、11Å以上で17Å以下の範囲内であり、第2磁性層3cの膜厚t2よりも薄い。
これにより本実施形態では第1磁性層3aの保磁力Hcを35(kA/m)以上、好ましくは40(kA/m)以上、より好ましくは50(kA/m)以上の安定した値に設定できる。
非磁性材料層4に接する第2磁性層3cは磁気抵抗効果(GMR効果)に寄与する層であり、第2磁性層3cには、アップスピンを持つ伝導電子とダウンスピンを持つ伝導電子の平均自由行程差を大きくできる磁性材料が選択される。
具体的には第2磁性層3cは、CoyFe100-y(ただしyは85at%以上100at%よりも小さい)あるいはCoで形成される。
そして第2磁性層3cの膜厚t2は、12Å以上で21Å以下の範囲内で第1磁性層3aの膜厚t2よりも厚く形成されている。
第1磁性層3a及び第2磁性層3cの各膜厚t1,t2は、第1磁性層3aと第2磁性層3cの磁化量(飽和磁化Ms・膜厚t)の差が実質的にゼロとなるように調整されている。
ここで「実質的にゼロ」とは、[(第1磁性層3aの磁化量−第2磁性層3cの磁化量)/第1磁性層3aと第2磁性層3cの平均磁化量]が絶対値で0.7%以下であることをいう。
本実施形態における固定磁性層3は、SFP構造によるセルフピン止め型である。すなわち反強磁性層を備えない構成である。
ところで、固定磁性層3の磁化固定力を高めるには、上記したように、第1磁性層3aの保磁力Hcを高めること、第1磁性層3aと第2磁性層3cの磁化量の差を実質的にゼロに調整すること、さらには非磁性中間層3bの膜厚t3を調整して第1磁性層3aと第2磁性層3c間に生じるRKKY相互作用により反平行結合磁界を強めることが重要とされている。
そして、セルフピン止め型の固定磁性層3において、後述する実験結果に示すように、優れた外乱ノイズ耐性を得るには、第1磁性層3a(FexCo100-x)の膜厚t1が重要であることがわかったのである。
すなわち本実施形態におけるセルフピン止め型の磁気検出素子1は、第1磁性層3aの膜厚t1を、11Å以上で17Å以下の範囲内とした点に特徴的部分がある。
これにより高いΔMR及び優れた外乱ノイズ耐性を得ることが可能になる。本実施形態では、第1磁性層3aの膜厚t1を17Å以下としたが、第1磁性層3a及び第2磁性層3cの各膜厚t1,t2を厚くしすぎると、非磁性中間層3bを介して第1磁性層3aと第2磁性層3c間に作用するRKKY相互作用による反平行結合磁界Hexが小さくなる結果、ΔMRが不安定化する。
反平行結合磁界Hexと各膜厚t1,t2及び各磁性層3a,3cの飽和磁化Ms1、Ms2との間には、以下の[数1]に示す関係がある。
[数1]
E∝Hex×(Ms1×t1+Ms2×t2)
ここでEは層間交換結合エネルギーであり、層間交換結合エネルギーEは、固定値である。このため、[数1]から反平行結合磁界Hexは、各膜厚t1,t2が大きくなると小さくなることがわかる。
本実施形態では、第1磁性層3aの膜厚t1を17Å以下としたことで、磁化分散を抑制でき、ΔMR劣化率を低く抑えることができる。特に後述する実験によれば、4kOeの外部磁界を印加した後に測定されたΔMR劣化率を10%以内に収めることができた。
また本実施形態では、第1磁性層3aの膜厚t1を11Å以上としたことで、第1磁性層3aの保磁力Hcを高い値、具体的には35(kA/m)以上、好ましくは40(kA/m)以上、より好ましくは50(kA/m)以上に保つことができた。
第1磁性層3aの膜厚t1を薄くすると、磁場バランスを保つために第2磁性層3cの膜厚t2も薄くする必要があるが、第2磁性層3cの膜厚t2を薄くすると、磁気抵抗効果の発生起源である非磁性材料層4との界面でスピン依存散乱を生じる自由電子の平均自由行程が減少し、その結果、ΔMRが減少する。本実施形態では、図1に示す磁気検出素子1を、地磁気センサや電流センサ等、永久磁石を内蔵しない磁気センサに用いた際、10%以上のΔMRを確保すべく、第1磁性層3aの膜厚t1を11Å以上に設定した。
また本実施形態では、第1磁性層3aの膜厚t1は、11Å以上で13.5Å以下とすることが好ましい。後述する実験によれば、第1磁性層3aの膜厚t1を13.5Å以下に設定することで、5kOeの外部磁界を印加した後に測定したΔMR劣化率をほぼ最小値に抑えることができた。
また第1磁性層3aはFexCo100-xで形成され、FeFe組成比xは60at%に近いほど好適であり、本実施形態では、Fe組成比xを55at%〜65at%の範囲内に設定した。これによりFeCo合金層の保磁力Hcを高い値に安定して設定することができる。
また第1磁性層3aと第2磁性層3cの間に位置する非磁性中間層3bの膜厚t3は、3以上で6Å以下であることが好ましい。また、非磁性中間層3bは、Ruで形成されることが好ましい。またこのとき、非磁性中間層3bの膜厚t3は、3.4Å以上で4.2Å以下であることがより好ましい。これにより、より効果的に、安定して高いΔMRを得ることが出来る。
非磁性材料層4は、Cu(銅)などの非磁性導電材料で形成される。また、非磁性材料層4は絶縁層で形成されTMR素子にも適用できる。フリー磁性層5は、NiFe、CoFe、CoFeNiなどの軟磁性材料で形成される。図1に示す構造では、フリー磁性層5は、CoFe合金層5aとNiFe合金層5bとの積層構造であるが、フリー磁性層5の構造は限定されるものでない。すなわちフリー磁性層5の材質を限定するものでなく、また、単層構造、積層構造、及び積層フェリ構造の別を問わない。保護層6は、Ta(タンタル)などの非磁性材料で形成される。
また本実施形態では、下からフリー磁性層5、非磁性材料層4及び固定磁性層(下から第2磁性層3c、非磁性中間層3b、第1磁性層3aの順)3の順に積層された構造としてもよい。
図2は、図1に示す磁気検出素子1と、磁気検出素子1に接続されるハードバイアス層との位置関係を示す部分縦断面図である。
図2(a)に示すように、磁気検出素子1は、支持基板9上に絶縁層50を介して形成されている。図2(a)に示すように磁気検出素子1上には、絶縁層51が設けられ、各ハードバイアス層36が絶縁層51の平坦化面上に形成される。
あるいは図2(b)に示すように、磁気検出素子1の一部を除去して、その除去された凹部1a上にハードバイアス層36を形成してもよい。または図2(c)に示すように、ハードバイアス層36の形成位置における磁気検出素子1を全て削除して、分離した各磁気検出素子1の間に各ハードバイアス層36を介在させる構成とすることも出来る。
これにより、磁気検出素子1を構成するフリー磁性層5(図1参照)にY方向からバイアス磁界が供給され、フリー磁性層5の磁化は、固定磁性層3の固定磁化方向に対して直交する方向に向けられる。
あるいは本実施形態では、ハードバイアス層36が形成されず、あるいはハードバイアス層36の位置に非磁性導電層(電極層)が形成された構造とすることもできる。
本実施形態では図2に示すY方向に長く延びる磁気検出素子1がX方向に間隔を空けて複数本、配置され、各磁気検出素子1の端部間が導電層により接続されたミアンダ形状となっている。
このようにミアンダ形状にて構成された磁気検出素子1は、複数個、設けられ、図3に示すブリッジ回路を構成する。図3では、各磁気検出素子1を区別するために磁気検出素子1a〜1dとした。このうち磁気検出素子1aと磁気検出素子1dとは同じ感度軸方向を持ち、磁気検出素子1bと磁気検出素子1cは、感度軸方向が磁気検出素子1a,1dに対して反対方向となっている。感度軸方向は、図1に示す固定磁性層3を構成する第2磁性層3cの固定磁化方向(P2))である。よって磁気検出素子1aと磁気検出素子1dの感度軸方向が図1に示すP2であれば、磁気検出素子1bと磁気検出素子1cの感度軸方向は図1に示すP2の反対方向である。
そして、磁気検出素子1aと第1磁気検出素子1b、及び、磁気検出素子1cと磁気検出素子1dとが、夫々、直列に接続される。磁気検出素子1a,1cは、入力端子(Vdd)に接続され、磁気検出素子1b,1dはグランド端子(GND)に接続され、磁気検出素子1aと磁気検出素子1bとの間、及び磁気検出素子1cと第1磁気検出素子1dとの間に夫々、出力端子(V1,V2)が接続されている。
図3に示す磁気センサSは、例えば携帯電話機内に内蔵される地磁気センサであり、地磁気センサには永久磁石が内蔵されていない。地磁気センサは微弱な地磁気を検知して地磁気の方位を検出するためのものである。
例えば地磁気(外部からの検出磁界)が図3に示すブリッジ回路に作用したとき、地磁気の方向が、磁気検出素子1a,1dの感度軸方向と同方向であれば、磁気検出素子1a,1dの電気抵抗値は最小となり、一方、磁気検出素子1b,1cに対しては地磁気の方向が感度軸方向と反対方向となるため磁気検出素子1b、1cの電気抵抗値は最大値となり、出力を得ることができる。
本実施形態において、地磁気を高感度にて安定して検知するためには、外乱ノイズ耐性が強化されなければならない。
本実施形態の磁気検出素子1の構成によれば、後述する実験結果に示すように外乱ノイズ耐性を効果的に向上させることができる。
また後述する実験結果に示すように、地磁気レベルの磁場環境下(ほぼ無磁場状態)にて270℃程度の耐熱性を確保できることがわかった。さらに本実施形態では、無磁場アニールを施すことで、外乱ノイズ耐性が更に改善されることがわかった。
本実施形態における磁気センサは、地磁気センサ以外に電流センサ等にも適用可能である。
以下のセルフピン止め型のGMR素子を作製した。
基板/シード層:NiFeCr(42)/固定磁性層[第1磁性層:Fe60at%Co40at%(X)/非磁性中間層:Ru(3.6)/第2磁性層Co90at%Fe10at%(Y)]/非磁性材料層:Cu(22)/フリー磁性層[Co90at%Fe10at%(12)/NiFe(20)]/保護層:Ta(50)
各層における括弧内の数値は膜厚を示し、単位はÅである。
第1磁性層と第2磁性層の各膜厚を(X=18.6、Y=24)、(X=16、Y=20)、(X=13.5、Y=16)、(X=11、Y=12)とした。これら各膜厚の組み合わせは、第1磁性層と第2磁性層との磁化量の差がゼロとなる理想状態を示している。
実験では、まず100Oe(初期)の外部磁界を印加した後、ΔMRを測定した。さらに、500〜5000Oeの外部磁界(外乱)を印加し、その後、ΔMRを測定した。その実験結果が図4に示されている。
また、500Oe〜5000Oeの外部磁界(外乱)を印加した後測定したΔMRを、100Oe(初期)の外部磁界を印加した後測定したΔMR(基準値)で割ったΔMR/ΔMR(初期)を求めた。その実験結果が図5に示されている。
図4に示すようにどの実験試料においても3000Oe程度以上の外部磁界印加後におけるΔMRは低下する傾向にあった。
図5に示すように、どの実験試料においても3000Oe程度以下の外部磁界印加後におけるΔMR/ΔMR(初期)はほぼ1であり、劣化していないことがわかった。
しかしながら図5において、3000Oe以上の外部磁界印加後におけるΔMR/ΔMR(初期)を考察すると、特に、第1磁性層の膜厚を18.6Åとし第2磁性層の24Åとした実験試料では例えば5000Oe程度の外部磁界印加後におけるΔMR/ΔMR(初期)が0.8を下回り、外乱ノイズ耐性が大きく低下していることがわかった。
図6は、横軸を第1磁性層の膜厚とし、縦軸をΔMR劣化率としたグラフである。図6でのΔMR劣化率は、[(ΔMR(初期)−ΔMR(4kOe印加後))/ΔMR(初期)]×100(%)で示される。
図6に示すように、4kOeの外部磁界印加後、ΔMR劣化率を10%以内に抑えるには、第1磁性層の膜厚を17Å以下に設定することが必要であるとわかった。
また図7は、第1磁性層の膜厚との関係を、[(ΔMR(初期)−ΔMR(5kOe印加後))/ΔMR(初期)]×100(%)としたΔMR劣化率で評価した実験結果である。
図7に示すように、5kOeの外部磁界印加後におけるΔMR劣化率を最小限に小さくするには、第1磁性層の膜厚を13.5Å以下に設定することが必要であるとわかった。
次に、以下の積層膜を形成した。
基板/シード層:NiFeCr(42)/第1磁性層:Fe60at%Co40at%(X)/非磁性中間層:Ru(4)/非磁性材料層:Cu(22)/保護層:Ta(50)
各層における括弧内の数値は膜厚を示し、単位はÅである。
上記積層膜には第2磁性層及びフリー磁性層は形成されていない。これは第1磁性層の保磁力Hcを適切に測定するためである。
図8は、第1磁性層の膜厚と第1磁性層の保磁力Hcとの関係を示すグラフである。
図8に示すように、第1磁性層の膜厚が11Åより小さくなると、強磁性が弱くなり、急激な保磁力Hcの低下が見られた。保磁力Hcの低下は、磁化分散、ΔMRの減少、信頼性低下に繋がるため好ましくない。
また図4等の実験で使用したセルフピン止め型のGMR素子を作製し、3kOeの外部磁界印加後におけるΔMRを測定した。実験では、第1磁性層の膜厚を約10Å〜22Åの範囲内で変化させ、第2磁性層の膜厚については、第1磁性層との磁化量との差がゼロとなるように調整した。図9がその実験結果である。
第1磁性層の膜厚を薄くすると、第1磁性層と第2磁性層との磁化バランスを保つために、第2磁性層の膜厚を薄くしなければならないが、第2磁性層の膜厚を薄く形成すると、磁気抵抗効果の発生起源であるCu層(非磁性材料層)との界面でスピン依存散乱を生じる自由電子の平均自由行程が減少し、その結果、図9に示すように、ΔMRが低下した。
よって図8、図9の実験結果に基づいて、第1磁性層の膜厚を11Å以上に設定した。これにより図8に示すように第1磁性層の保磁力を35(A/m)以上にでき、好ましくは40(A/m)以上、より好ましくは50(A/m)以上に設定できる。
次に、図4等の実験で使用したセルフピン止め型のGMR素子を作製し、4kOeの外部磁界印加後におけるΔMRを測定した。実験では、GMR素子に対するアニール処理(熱処理)なし、及び270℃で10分間のアニール処理を行った後、第1磁性層の膜厚を変化させながら、4kOeの外部磁界印加後におけるΔMR劣化率を測定した。その実験結果が図10に示されている。
図10に示すように、例えば第1磁性層の膜厚、及び第2磁性層の膜厚を16Å、20Åとした実験試料ではΔMR劣化率が、アニールなし(アニール前)では9%であったのに対し、アニール後6%に改善された。また、第1磁性層の膜厚、及び第2磁性層の膜厚を11Å、12Åとした実験試料ではΔMR劣化率が、アニールなし(アニール前)では7%であったのに対し、アニール後4%に改善された。
このようにアニールによる磁化安定効果により、外乱ノイズ耐性を改善できることがわかった。
P1、P2 磁化固定方向
S 磁気センサ
1、1a〜1d 磁気検出素子
3 固定磁性層
3a 第1磁性層
3b 非磁性中間層
3c 第2磁性層
4 非磁性材料層
5 フリー磁性層

Claims (6)

  1. 永久磁石を内蔵しない磁気センサに使用される磁気検出素子において、
    固定磁性層とフリー磁性層とが非磁性材料層を介して積層された積層構造を備え、
    前記固定磁性層は、第1磁性層と第2磁性層とが非磁性中間層を介して積層され、前記第1磁性層と前記第2磁性層とが反平行に磁化固定されたセルフピン止め型であり、前記第2磁性層が前記非磁性材料層に接しており、
    前記第1磁性層は前記第2磁性層よりも高保磁力材料のFeCoで形成され、
    前記第1磁性層の膜厚t1は11Å以上で17Å以下の範囲内で前記第2磁性層の膜厚t2よりも薄く、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層の磁化量の差が実質的にゼロであることを特徴とする磁気検出素子。
  2. 前記第1磁性層の膜厚t1は、11Å以上で13.5Å以下である請求項1記載の磁気検出素子。
  3. 前記第1磁性層は、FexCo100-x(ただしxは、55at%以上で65at%以下)で形成される請求項1又は2に記載の磁気検出素子。
  4. 前記非磁性中間層の膜厚は、3Å以上で6Å以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の磁気検出素子。
  5. 前記非磁性中間層はRuで形成される請求項4記載の磁気検出素子。
  6. 基板上に、請求項1ないし4のいずれか一項に記載された前記磁気検出素子が配置されたことを特徴とする永久磁石を内蔵しない磁気センサ。
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