JP2013180508A - インプリント用のモールドおよび微細構造の形成方法 - Google Patents

インプリント用のモールドおよび微細構造の形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013180508A
JP2013180508A JP2012046234A JP2012046234A JP2013180508A JP 2013180508 A JP2013180508 A JP 2013180508A JP 2012046234 A JP2012046234 A JP 2012046234A JP 2012046234 A JP2012046234 A JP 2012046234A JP 2013180508 A JP2013180508 A JP 2013180508A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
region
transfer material
iii
main surface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012046234A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5884555B2 (ja
Inventor
Yuki Aritsuka
祐樹 有塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2012046234A priority Critical patent/JP5884555B2/ja
Publication of JP2013180508A publication Critical patent/JP2013180508A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5884555B2 publication Critical patent/JP5884555B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Shaping Of Tube Ends By Bending Or Straightening (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】転写材料との剥離を安定して行えるインプリント用のモールドと、このモールドを使用した微細構造の形成方法を提供する。
【解決手段】インプリント用のモールド11を、基材12の主面13上に、凹凸構造を有する複数の領域III,II,I,II′,III′が特定方向に沿って隣接するように位置するものとし、複数の領域III,II,I,II′,III′毎の転写材料の剥離に要する応力が、特定方向の両端に位置する領域III,III′から特定領域Iに向けて増大傾向となるように設定する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、所望の凹凸構造を形成するインプリント用のモールドとこれを用いた微細構造の形成方法に関する。
微細加工技術として、基材の表面に微細な凹凸構造を形成した型部材(モールド)を用い、凹凸構造を転写材料に転写することで微細構造を等倍転写するインプリント方法に注目が集まっている。このインプリント方法では、流動性を有する転写材料を使用し、モールドを押し当て、モールドの凹凸構造に転写材料を充填させた後に硬化させ、その後、モールドと転写材料とを引き離す剥離工程が存在する。この剥離工程においては、基体上の転写材料に転写された凹凸構造を維持したままモールドと転写材料をきれいに引き剥がす技術が要求されている。一般的に、引き剥がしの際に、転写材料がモールドに付着するという不都合の発生のリスク、およびモールドの破損というリスクは、剥離の際に要する剥離力と相関性を有している。特に、単位時間(msec)における剥離力(NまたはPa)の増加あるいは減少を荷重速度(N/msecまたはPa/msec)で表した場合、この荷重速度の絶対値が大きくなるということは、剥離が起こっている点あるいは面に対して急峻な剥離応力の増減があったことを示す。そして、転写材料の強度あるいは転写材料と基体との密着性が剥離力に耐えきれない場合、モールドへの転写材料の付着、あるいは、転写材料の破損を生じることになる。
上述の荷重速度の発生を抑制するためには、剥離力を低減することが好ましく、例えば、モールドの凹凸構造面にフッ素成分等を含む離型層を形成しておく方法(特許文献1)が提案されている。また、ダミーパターンを設けることによって剥離力の急激な増大を抑制する方法(特許文献2)も提案されている。さらに、剥離力を計測し、目標の剥離力となるように制御する装置(特許文献3)が提案されている。
特許第4154595号公報 特開2010−225683号公報 特開2010−274635号公報
しかしながら、上記のモールドの凹凸構造面に離型層を設ける方法は、モールドに複数種の凹凸構造が存在する場合、凹凸構造領域毎に剥離に要する応力が変化するので、凹凸構造領域の境界で荷重速度が大きくなる可能性を排除できないという問題がある。また、モールドの凹凸構造が一様である場合であっても、生産性を向上させる等の目的によって接触面積が大きくなったときには、剥離に要する力が格段と大きくなってしまい、剥離に対する問題解決が十分ではない。さらに、離型層の離型作用が大きすぎる場合、モールドの凹凸構造への転写材料の充填性が低下するという問題もあった。
また、ダミーパターンを形成する方法は、本来必要とされないパターンまでが転写されてしまうために、その後の工程で、当該剥離用のパターンが悪影響を及ぼし得ることがある。
さらに、荷重速度の変化はmsec単位の非常に短い時間内でも起こりうるため、上記のような剥離力を計測し、目標の剥離力となるように制御する装置では、荷重速度の変化を検知しても、これをフィードバックして瞬時に応答することは難しく、また、瞬時の応答を可能とした場合、装置コストが大幅に増大すると考えられる。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、転写材料との剥離を安定して行えるインプリント用のモールドと、このモールドを使用した微細構造の形成方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明は、基材の主面に凹凸構造を有するモールドであって、該凹凸構造に転写材料を充填し硬化させた後に該転写材料をモールドから剥離して、前記凹凸構造を前記転写材料に転写するためのインプリント用のモールドにおいて、基材の主面には、凹凸構造を有する複数の領域が特定方向に沿って隣接するように位置し、領域毎の転写材料の剥離に要する応力が、前記特定方向の両端に位置する領域から特定領域に向けて増大傾向となるように、複数の前記領域が位置するような構成とした。
本発明の他の態様として、複数の前記領域の各領域における面積Aに対する当該領域の実測表面積Sの比S/Aが、前記特定方向の両端に位置する領域から特定領域に向けて増大傾向にあるような構成とした。
本発明の他の態様として、各領域における前記特定方向の領域長Bに対する実測長Lの比L/Bが、前記特定方向の両端に位置する領域から特定領域に向けて同一もしくは増大傾向にあるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記主面は方形であり、前記特定方向は主面の対向する一方の端辺から他方の端辺に向かう方向、あるいは、主面の対向する一の角部から他方の角部に向かう方向であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記主面は正N角形(Nは5以上の整数)であり、前記特定方向は主面の対向する一方の端辺から他方の端辺に向かう方向、あるいは、主面の対向する一の角部から他方の端辺に向かう方向、あるいは、主面の対向する一の角部から他方の角部に向かう方向であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記主面は円形であり、前記特定方向は任意に設定されるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記主面は楕円形であり、前記特定方向は主面の楕円形の長軸方向であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記主面は開口部を有する環状であり、前記特定方向は主面の外縁部から前記開口部側の内縁部に向かう方向であるような構成とした。
本発明の微細構造の形成方法は、上述のいずれかのインプリント用のモールドの主面と基体との間に転写材料を介在させる押し当て工程と、該転写材料を硬化させる硬化工程と、硬化後の前記転写材料と前記モールドとを引き剥がす剥離工程と、を有し、前記剥離工程では、前記モールドの前記特定方向に沿って前記基体と前記モールドとの間隙距離を広げるようにして剥離力を作用させるような構成とした。
また、本発明は、円筒状の基材の周面に凹凸構造を有するモールドであって、該凹凸構造に転写材料を充填し硬化させた後に該転写材料をモールドから剥離して、前記凹凸構造を前記転写材料に転写するためのインプリント用のモールドにおいて、円筒状の基材の周面には、該周面の円周方向と垂直な一の基線部位から円周方向に沿って、凹凸構造を有する複数の領域が隣接するように位置し、領域毎の転写材料の剥離に要する応力が、前記基線部位を挟むように隣接する領域からそれぞれ円周方向に沿って特定領域に向け増大傾向となるように、複数の前記領域が位置するような構成とした。
本発明の他の態様として、複数の前記領域の各領域における面積Aに対する当該領域の実測表面積Sの比S/Aが、前記基線部位を挟むように隣接する領域からそれぞれ円周方向に沿って特定領域に向け増大傾向にあるような構成とした。
本発明の他の態様として、各領域における円周方向の領域長Bに対する実測長Lの比L/Bが、前記基線部位を挟むように隣接する領域からそれぞれ円周方向に沿って特定領域に向け同一もしくは増大傾向にあるような構成とした。
本発明の微細構造の形成方法は、基体上に配設された転写材料と、上述のいずれかの円筒状のインプリント用のモールドとを押し当てる押し当て工程と、前記モールドを円周方向にn回転(nは1以上の整数)させながら、前記モールドと接触した状態で前記転写基材を硬化させ、硬化後の前記転写材料と前記モールドとを引き剥がして、前記転写材料に前記モールドの凹凸構造を転写する転写・硬化・剥離工程と、を有し、前記押し当て工程では、前記モールドの基線部位を転写材料に押し当て、前記転写・硬化・剥離工程では、前記モールドの基線部位が転写材料に当接した状態で回転を停止するような構成とした。
本発明では、特定方向あるいは円周方向でモールドと転写材料との剥離を行うときに、急峻な剥離応力の増減を抑制することができ、安定したインプリントが可能であり、欠陥の発生が低減された微細構造の形成が可能である。
図1は、本発明のインプリント用のモールドの一実施形態を説明するためのモールドの側面図である。 図2は、図1に示されるインプリント用のモールドの基材主面の平面図である。 図3は、本発明における比L/Bを説明するための図である。 図4は、本発明のインプリント用のモールドの他の実施形態を示す図2相当の平面図である。 図5は、本発明のインプリント用のモールドの他の実施形態を示す図2相当の平面図である。 図6は、本発明のインプリント用のモールドの他の実施形態を示す図2相当の平面図である。 図7は、本発明のインプリント用のモールドの他の実施形態を示す図2相当の平面図である。 図8は、本発明のインプリント用のモールドの他の実施形態を示す図2相当の平面図である。 図9は、本発明のインプリント用のモールドの他の実施形態を示す斜視図である。 図10は、図9に示されるモールドの回転軸に垂直な断面図である。 図11は、本発明の微細構造の形成方法の一実施形態を説明するための工程図である。 図12は、本発明の微細構造の形成方法の他の実施形態を説明するための工程図である。 図13は、本発明の微細構造の形成方法の他の実施形態を説明するための工程図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
[インプリント用のモールド]
本発明のインプリント用のモールドは、複数種の凹凸構造を有するモールドであり、インプリント時の転写材料とモールドとの剥離方向を特定方向として予め設定し、この特定方向における剥離応力の急峻な変化を抑えるように、凹凸構造を有する複数の領域が配置されたものである。尚、複数の領域が有する凹凸構造の形状や寸法、凹凸構造の種類は、適宜設定、選択することができ、後述するように、領域毎の転写材料の剥離に要する応力、すなわち密着力を比較したときに、領域毎の転写材料の剥離に要する応力が特定方向の両端に位置する領域から特定領域に向けて増大傾向となるように、各領域が位置すればよい。特に、このような密着力に相違が現れる条件と、その配列方法としては、各領域における面積Aに対する当該領域の実測表面積Sの比S/Aが、特定方向の両端に位置する領域から特定領域に向けて増大傾向にあること、あるいは、基線部位を挟むように隣接する領域からそれぞれ円周方向に沿って特定領域に向け増大傾向にあることが満足される条件が挙げられる。よって、これらの条件に従うのならば、特に制限はない。
<実施形態1>
図1は、本発明のインプリント用のモールドの一実施形態を説明するためのモールドの側面図であり、図2は、図1に示されるインプリント用のモールドの基材主面の平面図である。図1および図2において、インプリント用のモールド11は基材12を有し、この基材12の方形の主面13には、転写すべき凹凸構造を有する凹凸構造領域13Aと、このような凹凸構造を有していない非凹凸構造領域13Bが設定されている。尚、図1では、主面13の凹凸構造領域13Aに均一な微細凹凸が記載されているが、これは凹凸構造を便宜的に示したものである。また、非凹凸構造領域13Bが存在せず、主面13の全域が凹凸構造領域13Aであってもよい。
主面13の凹凸構造領域13Aには、方形の主面13の対向する一方の端辺13aから他方の端辺13bに向かう特定方向(図2に示される矢印D方向)に沿って、凹凸構造を有する複数の領域III,II,I,II′,III′が隣接するように位置している。そして、本発明では、領域III,II,I,II′,III′の各領域における転写材料の剥離に要する応力、すなわち密着力を求めたときに、密着力が特定方向Dの両端に位置する領域III,III′から特定領域としての領域Iに向けて増大傾向にある。尚、複数の領域が有する凹凸構造の形状や寸法、凹凸構造の種類は、適宜設定、選択することができ特に制限はない。
ここでいう増大傾向とは、上記の例では、領域IIIから領域II、さらに特定領域である領域Iに向かって密着力が徐々に大きくなり、また、領域III′から領域II′、さらに特定領域である領域Iに向かって密着力が徐々に大きくなることである。そして、例えば、領域IIIと領域IIにおける密着力が同一、あるいは、領域III′と領域II′における密着力が同一である場合も含むものである。また、領域Iの両側に位置する領域IIと領域II′における密着力は、同一、異なるもの、いずれであってもよく、さらに、その外側に位置する領域IIIと領域III′における密着力も、同一、異なるもの、いずれであってもよい。以下の本発明において同様である。
ここで、領域毎の転写材料の剥離に要する応力、すなわち密着力を求める方法について説明する。最も簡単な方法は、例えば、領域Iと領域IIが有する凹凸構造パターンと同様のパターン形状を持ち、同じ面積を有するサンプルモールドAとサンプルモールドBを準備しておき、それぞれに転写の際に用いる転写材料を塗布し、硬化させ、転写材料を引き剥がすのに要する応力を計測することである。引き剥がし方はナノインプリントを実施する際の引き剥がし方にあわせることが好ましく、転写材料とサンプルモールドとの間に垂直方向に応力をかける方法や、サンプルモールドまたは転写材料あるいは両方に対して横方向からの応力を加える方法、更にサンプルモールドまたは転写材料あるいは両方を曲げることが可能であるならば、例えば、サンプルモールド端部に応力を加えて曲げることにより剥離を実施する方法などがある。また、これらの引き剥がし方により、転写材料を引き剥がすのに要する応力が計測される部位が決定される。例えば、垂直方向に引き剥がす場合には、力は面に対して一様に加わっているとみなすことができるために、領域の全面積において応力が計測される。また、上記の垂直剥離方法であっても接触面が徐々に剥がれていく場合や、例えば、サンプルを曲げて引き剥がす場合、剥離された部分と剥離されていない部分の境界は線となるため、この境界線において応力が計測される。
ところで、上記は転写材料から各サンプルモールドを剥離するのに必要な応力の比較である。つまり転写材料を基準とした場合のサンプルモールド間の相対評価である。ただし単純にサンプルモールド同士の順位付けを行いたいのであれば、例えば、サンプルモールドAとサンプルモールドBとを転写材料を介して接合し、サンプルモールドAとサンプルモールドBとに等しい応力を加えた状態で、先に転写材料から剥離する順番を計測するという、いわば各サンプルモールドにおける密着力の相対評価を行い、これを密着力としても構わない。更に、これらのデータを予め収集しておき、データと照らし合わせて密着力の相対的な差を求めても構わない。
このように、密着力の大きさによって領域を順列配置する方法を提示したが、このような密着力の計測を行わない場合であっても、表面積によって密着力の値が変化することを利用することに着眼し、各領域における面積Aと、実測表面積Sとを判断基準として使用することが可能である。次に、この判断基準を採用した場合について説明する。
上記の例では、主面13の凹凸構造領域13Aには、方形の主面13の対向する一方の端辺13aから他方の端辺13bに向かう特定方向(図2に示される矢印D方向)に沿って、凹凸構造を有する複数の領域III,II,I,II′,III′が隣接するように位置している。そして、本発明では、領域III,II,I,II′,III′の各領域における面積Aに対する当該領域の実測表面積Sの比S/Aを求めたときに、比S/Aが特定方向Dの両端に位置する領域III,III′から特定領域としての領域Iに向けて増大傾向にある。尚、複数の領域が有する凹凸構造の形状や寸法、凹凸構造の種類は、適宜設定、選択することができ特に制限はない。このときに実測表面積Sを求める方法として、SEMおよびAFMなどを用いて形状観察した数値から求める方法や、スキャトロメトリ等が利用できる。
ここで、実測表面積Sを求める各計測方法についての有用性や有効な利用方法について説明する。SEMは、表面上部からの形状観察の代表例であり、光学顕微鏡もこれに属するものである。よって凹凸情報は得られにくいものの、寸法の計測には非常に有効な手段と言える。またフォーカスマージンが許すならば、凹凸構造パターン底部の観察をパターン開口から観察することが可能であるため焦点間距離、つまり深さの情報を得ることも可能である。よって凹凸構造パターンの寸法や形状を構成するエッジ形状などの平面的な情報を重要視する場合であって、深さは概ねの数値が得られればよい場合には、有効な計測方法である。
AFMは、計測対象物の表面を探針(カンチレバー)で実質的になぞることにより形状情報を得る観察方法の代表例であり、接触式の段差計などもこれに属する。この計測方法の特徴は、探針(カンチレバー)が正確に表面をなぞることが出来れば、正確な深さ情報を得ることが可能な点である。よって凹凸構造パターンの深さ情報を重視したい場合には有効な方法である。むろん、この計測方法をSEMなどの他の方法と組み合わせてもよく、これはSEMも同様である。
これらの計測方法に対してスキャトロメトリは、計測対象とする領域内の光学的な性質が均一であるということを仮定して形状を求める方法であるため、複雑なパターン形状やランダムなパターン配列、屈折率が異なる層構成を有する場合など、光学特性の異なる領域の入り組んだ対象物に対して用いることが難しく、この仮定を超える計測手法が確立されない限りにおいてSEMやAFMと異なり汎用性は低い。ただし仮定を満たせば、一度の計測でパターンの寸法や深さに加え、側壁形状も知ることが可能であるため、実測表面積Sのより厳密な計測が可能である。よって本発明において数ミクロン以下、特にサブミクロン以下の凹凸構造パターンを持つ表面の計測には好ましい方法といえる。更にモールドへのダメージが低いという点でも、スキャトロメトリは好ましい。例えばSEMのような高エネルギーかつ低波長の電磁波を照射してしまうと、モールド表面に離型性を有する薄膜を形成していたときには、この薄膜がダメージを受け、結果的にインプリント時に転写不良が生じる可能性があることや、AFMのように計測部分が近接あるいは接触する方法であっても、異物の付着や傷つき、表面状態の変質などのリスクを伴うことになる。よってレーザー光を用いて非接触計測を行うスキャトロメトリは、計測後でモールドを使用する場合を想定すると特に好ましい方法であるといえる。なお非接触かつダメージレスという観点に立つならば、低エネルギーの光、特に離型層へのダメージが低い222nm以上の波長を有する光を用いた計測系を有する計測方法は好ましく、例えば三次元形状測定装置(例えば、三鷹光器(株)製 NH−3SPなど)やレーザー顕微鏡を、計測する凹凸構造パターンに応じて使い分けても構わない。また、これらの方法はSEMやAFMと同様に、他の計測方法と組み合わせて使用してもよい。
尚、実測表面積Sは上記の計測を行わずに求めてもよい。例えば、凹凸構造パターンの設計データから表面積を算出し、これを代替値としてもよい。また、例えば、凹凸構造パターンの形状情報はSEMによって計測し、深さ情報は設計データを流用するなど、計測と算出を組み合わせても構わない。
この例では、領域IIIから領域II、さらに特定領域である領域Iに向かって比S/Aが徐々に大きくなり、また、領域III′から領域II′、さらに特定領域である領域Iに向かって比S/Aが徐々に大きくなることである。そして、例えば、領域IIIと領域IIにおける比S/Aが同一、あるいは、領域III′と領域II′における比S/Aが同一である場合も含むものである。また、領域Iの両側に位置する領域IIと領域II′における比S/Aは、同一、異なるもの、いずれであってもよく、さらに、その外側に位置する領域IIIと領域III′における比S/Aも、同一、異なるもの、いずれであってもよい。以下の本発明において同様である。
上記の面積Aは、領域毎に決まる面積であり、例えば、2mm×6mmの長方形状の領域では、面積Aは12mm2となる。尚、領域III,II,I,II′,III′における面積Aは、同一、異なるもの、いずれであってもよい。一方、設定した領域III,II,I,II′,III′の各領域の実測表面積Sは、上述のように、SEM、AFM、スキャトロメトリ等を用いて測定したり、凹凸構造パターンの設計データから算出することができる。これにより、比S/Aが算出される。この比S/Aが大きいほど、当該領域において、単位面積当りのモールドと転写材料との接触する面積が大きくなり、モールドと転写材料との剥離に要する応力が大きくなる。尚、本発明では、領域III,II,I,II′,III′が有する凹凸構造は、上記のように、比S/Aが特定方向Dの両端に位置する領域III,III′から特定領域としての領域Iに向けて増大傾向にあれば特に制限はない。したがって、この例における5個の領域III,II,I,II′,III′の全ての凹凸構造が異なるものであってよく、また、例えば、領域IIIと領域III′の凹凸構造が同一、領域IIと領域II′の凹凸構造が同一であってもよい。
また、ライン&スペースのパターンや、凹部あるいは凸部の配列間隔に方向性があるパターン等、モールドが有する凹凸構造に方向性がある場合、一般に、モールドのパターン形状を考慮し、剥離に要する応力の小さい方向から剥離が行われる。しかし、上記の領域III,II,I,II′,III′が有する凹凸構造に、剥離方向性の有無や、剥離方向性の程度差が存在する場合、設定した領域の境界で剥離応力の急峻な変化が生じることがあり、上記の特定方向Dと剥離方向性との関係が重要となる。そこで、本発明では、上記の比S/Aの要件に加えて、特定方向Dの領域長Bに対する実測長Lの比L/Bに着目し、領域III,II,I,II′,III′の各領域における比L/Bが、特定方向Dの両端に位置する領域III,III′から特定領域である領域Iに向けて同一もしくは増大傾向にあることが好ましい。
上記の領域長Bは、領域毎に決まる長さであり、例えば、2mm×6mmの長方形状の領域であって、特定方向Dと短辺方向が一致する領域では、領域長Bは2mmとなる。尚、領域III,II,I,II′,III′における領域長Bは、同一、異なるもの、いずれであってもよい。更に、設定した領域III,II,I,II′,III′の各領域の実測長Lを求めることにより、比L/Bが算出される。例えば、図3(A)に示される例では、特定方向Dにおける平面視的長さである領域長Bと、特定方向Dにおける実測長Lは同等となる。一方、図3(B)に示される例では、特定方向Dにおける平面視的長さである領域長Bに対し、特定方向Dにおける実測長Lは大きいものとなる。尚、図3(C)に斜線を付して示されるように、凹凸構造が相互に孤立した凸部あるいは凹部を有し、特定方向Dにおける実測長Lが、測定部位により異なる実測長(L1、L2、L3等)が計測される場合、平均値を実測長Lとする。また、例えば、領域の幅方向の中央部がくびれた鼓型領域と中央部がふくれた太鼓型領域が特定方向Dに沿って交互に配列されているような場合、1つの領域で領域長Bが部位によって相違することになる。この場合、1つの領域の異なる部位で算出された比L/Bが一定であれば、これを採用する。また、算出された比L/Bに変動があるときには、平均値を比L/Bとする。
ここで、実測長Lは、上述の実測表面積Sを求める方法を用いることにより、測定対象の領域の幅方向(特定方向Dと直交する方向)全域に亘る複数の測定部位での測定で求められる。ただし、実測表面積Sを求める場合と異なるのは、必ずしも凹凸構造の最小寸法や側壁形状を確認する必要は無く、あくまで特定方向Dに対する実測長Lが計測できればよいという点にある。例えば図3(A)において、特定方向Dに対して垂直な方向の寸法がナノスケールであったとしても実測長Lが充分に長い場合や、領域全体が照明光によって回折を起す場合などは、光学観察系によって認識することが可能であるため、例えばSEMを用いずに光学顕微鏡によって寸法計測を実施することが可能である。また、モールドに対するダメージが少ないことが好ましいのは、実測長Lを求める場合であっても同様である。よって低エネルギーの光、特に離型層へのダメージが低い222nm以上の波長を有する光を用いた計測系を有する計測方法を用いることが好ましい。
このような比L/Bが大きいほど、当該領域において、特定方向Dにおけるモールドの凹凸構造が複雑、微細となり、モールドと転写材料との剥離に要する応力が大きくなる。
本発明では、上記の比S/Aの要件を満たす範囲で、好ましくは、比S/Aと比L/Bの要件を満たす範囲で種々の領域設定が可能であり、例えば、下記の(1)〜(4)のような設定が可能である。
(1)
比S/A:III→II→I順に増大、III′→II′→I順に増大
比L/B:III→II→I順に増大、III′→II′→I順に増大
(2)
比S/A:III→II→I順に増大、III′→II′→I順に増大
比L/B:同一(III=II=I=II′=III′)
(3)
比S/A:III→II→I順に増大、III′→II′=I順に増大傾向
比L/B:III=II=Iで同一、III′→II′→I順に増大
(4)
比S/A:III=II→I順に増大傾向、III′→II′→I順に増大
比L/B:III→II→I順に増大、III′→II′→I順に増大
本発明によれば、モールドと転写材料との密着力は、特定方向に沿って小→大→小となるように変化する。したがって、小さい剥離力の領域から剥離が開始され、剥離力が最も大きな領域の剥離に至り、その後、剥離力が小さい領域で剥離が終了するので、各領域間での剥離応力の急峻な増減が抑制され、かつ、剥離の開始が容易であるとともに、剥離の終了が穏やかであり、モールドへの負担も軽減される。
上述の実施形態では、主面13の凹凸構造領域13Aに特定方向に沿って設定する領域数が5個となっているが、上記のように、特定方向に沿って剥離力が小→大→小と変化することが可能なためには、特定領域とその両側に位置する領域の少なくとも3個が存在すればよい。しかし、領域の境界での剥離力の変化量、すなわち荷重速度の増大を抑えることを考慮すると、剥離力が小→大へ急峻に変化するよりも、剥離力が小→中へ、中→大へと変化するように、特定方向における領域の数は多い方が好ましいことになる。したがって、本発明では、複数種の凹凸構造の制約(要求される最小面積、剥離方向等)、および、凹凸構造領域13Aの形状、面積、インプリント装置の剥離制御機能等を考慮し、許容される範囲内で適宜組み合わせることにより、領域の数は多くすることができる。例えば、使用可能な凹凸構造が3種の凹凸構造R1、R2、R3であり、上記の比S/Aの大きい順に凹凸構造R1、凹凸構造R2、凹凸構造R3である場合、1つの例として、特定方向の領域を上記の例のように5個の領域III,II,I,II′,III′に設定し、領域IIIと領域III′に凹凸構造R3を配し、領域IIと領域II′に凹凸構造R2を配し、領域I(特定領域)に凹凸構造R1を配することができる。また、他の例として、特定方向の領域を9個の領域V,IV,III,II,I,II′,III′,IV′,V′に設定し、領域Vと領域V′に凹凸構造R3を配し、領域IVと領域IV′には凹凸構造R2と凹凸構造R3を配し、領域IIIと領域III′に凹凸構造R2を配し、領域IIと領域II′には凹凸構造R1と凹凸構造R3を配し、領域Iに凹凸構造R1を配することができる。この後者の例では、前者の例に比べて、領域の境界での剥離力の変化量を低く抑えることが可能である。尚、後者の例では、凹凸構造R2と凹凸構造R3が組み合わされる領域IVと領域IV′、凹凸構造R1と凹凸構造R3が組み合わされる領域IIと領域II′では、当該領域における剥離に要する応力が均一となるように2種の凹凸領域を配置することが好ましい。
また、上述の実施形態では、領域Iが特定領域となっており、この領域Iの両側にそれぞれ2つの領域II,IIIと領域II′,III′が設定されているが、本発明では、特定領域は主面13の両端13a、13bの中央に位置しなくてもよく、また、特定領域の両側に位置する領域数が同等でなくてもよい。図4は、本発明のインプリント用のモールドの他の実施形態を示す図2相当の平面図であり、特定方向(図4に示される矢印D方向)に沿って、凹凸構造を有する複数の領域IV,III,II,I,II′,III′が隣接するように位置している。この例では、領域IV,III,II,I,II′,III′の各領域における比S/Aが、特定方向Dの両端に位置する領域IV,III′から特定領域としての領域Iに向けて増大傾向にあり、好ましくは、各領域における比L/Bが、特定方向Dの両端に位置する領域IV,III′から特定領域としての領域Iに向けて同一もしくは増大傾向にある。したがって、上記の設定例(1)に対応するような下記の設定例(1′)が可能であり、勿論、上記の比S/Aの要件を満たす範囲で、好ましくは、比S/Aと比L/Bの要件を満たす範囲で種々の領域設定が可能である。
(1′)
比S/A:IV→III→II→I順に増大、III′→II′→I順に増大
L/B:IV→III→II→I順に増大、III′→II′→I順に増大
<実施形態2>
図5は、本発明のインプリント用のモールドの他の実施形態を示す図2相当の平面図である。図5において、インプリント用のモールド21は基材22の方形の主面23に、転写すべき凹凸構造を有する凹凸構造領域23Aと、このような凹凸構造を有していない非凹凸構造領域23Bが設定されている。尚、非凹凸構造領域23Bが存在せず、方形の主面23の全域が凹凸構造領域23Aであってもよい。
主面23の凹凸構造領域23Aには、方形の主面23の一の角部23aから対向する他方の角部23bに向かう特定方向(図5に示される矢印D方向)に沿って、凹凸構造を有する複数の領域IV,III,II,I,II′,III′,IV′が碁盤格子状に隣接するように位置している。図5では、角部23a近傍に領域IVが位置し、次いで、特定方向Dに沿って2個の領域III、3個の領域II、4個の領域Iが配置され、さらに、3個の領域II′、2個の領域III′が配置され、角部23b近傍に領域IV′が位置している。そして、本発明では、領域IV,III,II,I,II′,III′,IV′の各領域における比S/Aが、特定方向Dの両端に位置する領域IV,IV′から特定領域としての領域Iに向けて増大傾向にあり、好ましくは、各領域における比L/Bが、特定方向Dの両端に位置する領域IV,IV′から特定領域としての領域Iに向けて同一もしくは増大傾向にある。
尚、この例における比S/A、および、比L/Bは、上述の実施形態1における比S/A、および、比L/Bと同様である。また、この比S/Aの要件を満たす範囲で、好ましくは、比S/Aと比L/Bの要件を満たす範囲で種々の領域設定が可能である。
また、上記のモールド21では、領域Iが特定領域となっているが、特定領域は、主面23の対向する角部23aと角部23bとの中央に位置しなくてもよく、また、特定領域の両側に位置する領域数が同等でなくてもよい。したがって、例えば、碁盤格子状に隣接するように位置する領域を、角部23a近傍に領域IIIが位置し、次いで、特定方向Dに沿って2個の領域II、3個の領域I(特定領域)が配置され、さらに、4個の領域II′、3個の領域III′、2個の領域IV′が配置され、角部23b近傍に領域V′が位置するように設定し、各領域における比S/Aが、特定方向Dの両端に位置する領域III,V′から特定領域としての領域Iに向けて増大傾向にあり、好ましくは、各領域における比L/Bが、特定方向Dの両端に位置する領域III,V′から特定領域としての領域Iに向けて同一もしくは増大傾向となるようにしてもよい。
<実施形態3>
図6は、本発明のインプリント用のモールドの他の実施形態を示す図2相当の平面図である。図6において、インプリント用のモールド31は、基材32の円形の主面33に転写すべき凹凸構造を有する凹凸構造領域33Aと、このような凹凸構造を有していない非凹凸構造領域33Bが設定されている。尚、非凹凸構造領域33Bが存在せず、円形の主面33の全域が凹凸構造領域33Aであってもよい。
このような円形の主面33を有するモールド31では、特定方向を任意に設定することができ、図示例では矢印D方向を特定方向とし、主面33の凹凸構造領域33Aには、この特定方向Dに沿って、凹凸構造を有する複数の領域III,II,I,II′,III′が隣接するように位置している。そして、本発明では、領域III,II,I,II′,III′の各領域における比S/Aが、特定方向Dの両端に位置する領域III,III′から特定領域としての領域Iに向けて増大傾向にあり、好ましくは、各領域における比L/Bが、特定方向Dの両端に位置する領域III,III′から特定領域としての領域Iに向けて同一もしくは増大傾向にある。
尚、この例における比S/A、および、比L/Bは、上述の実施形態1における比S/A、および、比L/Bと同様である。また、上記の比S/Aの要件を満たす範囲で、好ましくは、比S/Aと比L/Bの要件を満たす範囲で種々の領域設定が可能である。
<実施形態4>
図7は、本発明のインプリント用のモールドの他の実施形態を示す図2相当の平面図である。図7において、インプリント用のモールド41は、基材42の楕円形の主面43に転写すべき凹凸構造を有する凹凸構造領域43Aと、このような凹凸構造を有していない非凹凸構造領域43Bが設定されている。尚、非凹凸構造領域43Bが存在せず、円形の主面43の全域が凹凸構造領域43Aであってもよい。
このような楕円形の主面43を有するモールド41では、主面43の長軸方向を特定方向とし、主面43の凹凸構造領域43Aには、この特定方向Dに沿って、凹凸構造を有する複数の領域III,II,I,II′,III′が隣接するように位置している。そして、本発明では、領域III,II,I,II′,III′の各領域における比S/Aが、特定方向Dの両端に位置する領域III,III′から特定領域としての領域Iに向けて増大傾向にあり、好ましくは、各領域における比L/Bが、特定方向Dの両端に位置する領域III,III′から特定領域としての領域Iに向けて同一もしくは増大傾向にある。
尚、この例における比S/A、および、比L/Bは、上述の実施形態1における比S/A、および、比L/Bと同様である。また、上記の比S/Aの要件を満たす範囲で、好ましくは、比S/Aと比L/Bの要件を満たす範囲で種々の領域設定が可能である。
<実施形態5>
図8は、本発明のインプリント用のモールドの他の実施形態を示す図2相当の平面図である。図8において、インプリント用のモールド51は、中央部に開口部52aを有する環状の基材52を有し、この基材52の環状の主面53に転写すべき凹凸構造を有する凹凸構造領域53Aと、このような凹凸構造を有していない非凹凸構造領域53Bが設定されている。尚、非凹凸構造領域53Bが存在せず、円形の主面53の全域が凹凸構造領域53Aであってもよい。
このような環状の主面53を有するモールド51では、主面53の外縁部53aから開口部52a側の内縁部53bに向かう方向を特定方向とし、主面53の凹凸構造領域53Aには、この特定方向Dに沿って、凹凸構造を有する複数の領域III,II,I,II′,III′が同心円状に隣接するように位置している。そして、本発明では、領域III,II,I,II′,III′の各領域における比S/Aが、特定方向Dの両端に位置する領域III,III′から特定領域としての領域Iに向けて増大傾向にあり、好ましくは、各領域における比L/Bが、特定方向Dの両端に位置する領域III,III′から特定領域としての領域Iに向けて同一もしくは増大傾向にある。
尚、この例における比S/A、および、比L/Bは、上述の実施形態1における比S/A、および、比L/Bと同様である。また、上記の比S/Aの要件を満たす範囲で、好ましくは、比S/Aと比L/Bの要件を満たす範囲で種々の領域設定が可能である。
上述のような本発明のインプリント用のモールド11,21,31,41,51は、転写材料との密着力が特定方向に沿って小→大→小と変化するように、各領域が配設されている。したがって、小さい剥離力の領域から剥離が開始され、剥離力が最も大きな領域の剥離に至り、その後、剥離力が小さい領域で剥離が終了するので、各領域間での剥離応力の急峻な増減が抑制され、かつ、剥離の開始が容易であるとともに、剥離の終了が穏やかであり、モールドへの負担も軽減される。
このような本発明のインプリント用のモールド11,21,31,41,51の材質は適宜選択することができ、転写材料が光硬化性である場合には、これらを硬化させるための照射光が透過可能な材料を用いて形成してもよく、例えば、石英ガラス、珪酸系ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、アクリルガラス等のガラス類の他、サファイアや窒化ガリウム、更にはポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル、ポリプロピレン等の樹脂、あるいは、これらの任意の積層材を用いることができる。また、使用する転写材料が光硬化性ではない場合や、転写材料側から転写材料を硬化させるための光を照射可能である場合には、モールドは光透過性の材料でなくてもよく、上記の材料以外に、例えば、シリコンやニッケル、チタン、アルミニウム等の金属およびこれらの合金、酸化物、窒化物、あるいは、これらの任意の積層材を用いることができる。また、モールドは、主面に離型剤層を備えていてもよい。
モールド11,21,31,41,51の厚みは、主面に備える凹凸構造の形状、基材の強度、取り扱い適性等を考慮して設定することができ、例えば、300μm〜10mm程度の範囲で適宜設定することができる。また、モールドは、凹凸構造を有する主面が、その周囲の領域に対して1段、あるいは、2段以上の凸構造となっている、いわゆるメサ構造であってもよい。
<実施形態6>
図9は、本発明のインプリント用のモールドの他の実施形態を示す斜視図であり、図10は図9に示されるモールドの回転軸に垂直な断面図である。図9および図10において、インプリント用のモールド61は、円筒部64と、この円筒部64の外周面に配設されたパターン部65とからなる円筒状の基材62を有し、基材62の周面63(パターン部65)に転写すべき凹凸構造を有する凹凸構造領域63Aと、このような凹凸構造を有していない非凹凸構造領域63Bが設定されている。尚、非凹凸構造領域63Bが存在せず、周面63の全域が凹凸構造領域63Aであってもよい。
このモールド61は、基材62の周面63(パターン部65)の凹凸構造領域63Aに、凹凸構造を有する複数の領域IV,III,II,I,II′,III′,IV′が隣接するように位置している。これらの領域は、基材62の円周方向と直交する一の基線部位63aから円周方向に沿うように配設されている。そして、本発明では、領域IV,III,II,I,II′,III′,IV′の各領域における面積Aに対する当該領域の実測表面積Sの比S/Aが、基線部位63aを挟むように隣接する領域IV,IV′からそれぞれ円周方向に沿って特定領域に向け増大傾向にある。また、好ましくは、各領域における円周方向の領域長Bに対する当該領域の実測長Lの比L/Bが、基線部位63aを挟むように隣接する領域IV,IV′からそれぞれ円周方向に沿って特定領域に向け同一もしくは増大傾向にある。図示例では、領域Iが特定領域であり、この領域Iが直径方向において基線部位63aと対向する位置にある。本発明では、上記の比S/Aの要件を満たす範囲で、好ましくは比S/Aと比L/Bの要件を満たす範囲で種々の領域設定が可能であり、例えば、下記の(イ)〜(ニ)のような設定が可能である。
(イ)
比S/A:IV→III→II→I順に増大、IV′→III′→II′→I順に増大
比L/B:IV→III→II→I順に増大、IV′→III′→II′→I順に増大
(ロ)
比S/A:IV→III→II→I順に増大、IV′→III′→II′→I順に増大
比L/B:同一(IV=III=II=I=II′=III′=IV′)
(ハ)
比S/A:IV→III→II→I順に増大、IV′→III′→II′→I順に増大
比L/B:IV=III=II=Iで同一、IV′→III′→II′→I順に増大
(ニ)
比S/A:IV→III→II→I順に増大、IV′→III′=II′→I順に増大傾向
比L/B:IV→III=II→I順に増大傾向、IV′→III′→II′→I順に増大
上記の比S/A、および、比L/Bは、上述のモールド11,21,31,41,51における比S/A、および、比L/Bと同様である。したがって、比S/Aでは、設定した領域IV,III,II,I,II′,III′,IV′の各々について、面積Aが決まる。例えば、基材62の凹凸構造領域63Aの軸方向の長さが30mm、領域の円周方向の長さが6mmである場合、当該領域の面積Aは180mm2となる。尚、領域IV,III,II,I,II′,III′,IV′における面積Aは、同一、異なるもの、いずれであってもよい。一方、各領域について実測表面積Sを測定することにより、比S/Aが算出される。
比L/Bは、設定した領域IV,III,II,I,II′,III′,IV′の各々について、円周方向における領域長Bが決まる。上記の例では、領域長Bは6mmとなる。尚、領域IV,III,II,I,II′,III′,IV′における領域長Bは、同一、異なるもの、いずれであってもよい。更に、各領域について実測長Lを測定することにより、比L/Bが算出される。
尚、図3(C)に示した場合と同様に、凹凸構造が相互に孤立した凸部あるいは凹部を有し、円周方向における実測長Lが、測定部位により異なる実測長が計測される場合、平均値を実測長Lとする。また、例えば、1個の領域内で円周方向における領域長Bが部位によって相違する場合、算出された比L/Bが一定であれば、これを採用し、算出された比L/Bに変動があるときには、平均値を比L/Bとする。このような実測長Lの平均値、比L/Bの場合の平均値は、測定対象の領域の幅方向(特定方向Dと直交する方向)全域に亘る複数の測定部位での測定で求められる。
このような本発明のインプリント用のモールド61では、転写材料との密着力が基線部位63aから円周方向に沿って小→大→小と変化して基線部位63aに戻るように、各領域が配設されている。したがって、回転するモールドと転写材料との押し当てが基線部位から開始する場合、押し当て後の剥離力が小さい領域から押し当てが開始され、押し当て後の剥離力が最も大きな領域の剥離に至り、その後、押し当て後の剥離力が小さい領域で剥離が終了するので、各領域間での剥離応力の急峻な増減が抑制され、かつ、剥離の開始が容易であるとともに、剥離の終了が穏やかであり、モールドへの負担も軽減される。
このような本発明のインプリント用のモールド61の基材62を構成する円筒部64は、パターン部65を支持するものであり、その材質は適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、チタン、ニッケル等の金属、および、これらの合金、酸化物、窒化物であり、更にはポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル、ポリプロピレン等の樹脂、石英ガラス、珪酸ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、アクリルガラス等のガラス類、あるいは、これらの任意の積層材を用いることができる。また、基材62を構成するパターン部65は、凹凸構造を有する複数の領域が形成されるものであり、その材質は、例えば、アルミニウム、チタン、更にはポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル、ポリプロピレン等の樹脂、あるいは、これらの任意の積層材を用いることができる。また、円筒形状に曲げることが可能なように厚みを薄くすることを前提として、石英ガラス、珪酸ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、アクリルガラス等のガラス類、シリコン、サファイアや窒化ガリウム等も用いることができる。また、基材62は、上記の例の領域IV,III,II,I,II′,III′,IV′が全て形成された1つのパターン部65が円筒部64に貼着されたものであってよく、また、上記の例の領域IV,III,II,I,II′,III′,IV′の所望の領域が形成された複数のパターン部65が円筒部64に貼着されたものであってもよい。
上述のモールド61では、領域数が7個となっているが、本発明では、周面63の円周方向に3個以上の領域があれば特に制限はない。また、特定領域である領域Iが基材62の直径方向において基線部位63aと対向する位置にあり、その両側の円周方向で基線部位63aとの間にそれぞれ3つの領域II,III,IVと領域II′,III′,IV′が設定されている。しかし、本発明では、特定領域は、基材62の直径方向において基線部位63aと対向する位置に存在しなくてもよく、また、特定領域の両側の円周方向で基線部位63aとの間に位置する領域数は同等でなくてもよい。
上述のインプリント用のモールドの実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、特定方向あるいは円周方向に沿ってのみ、領域を区分けしており、各領域における特定方向あるいは円周方向と直交する方向では、比S/Aが同一であり、剥離力が同一となっているが、特定方向あるいは円周方向と直交する方向にも領域を区分けしてもよい。この場合、各領域における特定方向あるいは円周方向と直交する方向での比S/Aは一様である必要はない。ただし、特定方向に対して比S/Aが上述の原則に一致するように設定する必要がある。これは、比L/Bの場合でも同様である。つまり、特定方向に対しては剥離力、比S/A、比L/Bの原則は、他の実施形態と同様であるが、特定方向に対して垂直な方向については、この原則に従う必要がなく、例えば、異なる比S/Aの領域が並んでいてもよいし、その各領域の特定方向に対する長さが異なっていてもよい。
[微細構造の形成方法]
本発明の微細構造の形成方法は、上述の本発明のインプリント用のモールドを使用し、インプリント方法により基体上に微細構造を備えた転写材料を形成するものである。
<実施形態A>
図11は、本発明の微細構造の形成方法の一実施形態を説明するための工程図である。この形成方法の例では、上述の本発明のインプリント用のモールド11を使用しており、押し当て工程、硬化工程、剥離工程を有している。尚、図11では、モールド11の主面13の凹凸構造領域13Aに均一な微細凹凸が記載されているが、これは凹凸構造を便宜的に示したものであり、上述のように、モールド11は各領域III,II,I,II′,III′にそれぞれ最適な凹凸構造を備えている。
(押し当て工程)
まず、基体1の一方の面1aに転写材料3を供給し(図11(A))、モールド11と基体1とを近接させて、モールド11の主面13と基体1との間に転写材料3を介在させる(図11(B))。
使用する基体1は、例えば、石英やソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス等のガラス、シリコン、窒化ガリウム等の半導体、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂基体、金属基体、サファイア、あるいは、これらの材料の任意の組み合わせからなる複合材料基体であってよい。また、基体1は必ずしも平坦である必要はなく、予め構造を有していてもよい。例えば、半導体やディスプレイ等に用いられる微細配線や、フォトニック結晶構造、光導波路、ホログラフィのような光学的構造等の所望のパターン構造物が形成されたものであってもよい。
また、使用する転写材料3は、インプリントが可能な流動性を有する材料であればよく、例えば、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の樹脂を挙げることができる。また、例えば、石英、ソーダライムガラス、金属イオン含有ガラス等の無機物も、加熱することにより流動性を有するので、転写材料として用いることができる。更に無機物と有機物との混合物を用いることも可能である。例えばシルセスキオキサンを主成分とした材料は、含有する材料により熱硬化性材料あるいは光硬化性樹脂とみなすことができる。シルセスキオキサンはSi−O−Si骨格を有するため、無機物に分類することができる。また流動性を持たせることができ、しかも熱により硬化させることが可能であるため、熱硬化性樹脂とほぼ同等の方法で使用することが可能である。一方でオキセタニル基やアクリル基などの光重合性基を有することで、光による硬化性を持つことが可能であり、この場合には光硬化性樹脂として利用することも可能である。このような転写材料3は、図示例のように、インクジェットやディスペンサ等を用いて液滴として基体1上に供給することができ、また、スピンコート法等を用いて塗布膜として基体1上に供給してもよい。
(硬化工程)
次いで、モールド11の主面13と基体1との間に転写材料3が介在する状態で、転写材料3を硬化する。転写材料3の硬化は、転写材料3が光硬化性であり、モールド11がこれらを硬化させるための照射光を透過可能である場合には、モールド11側から光照射することができる。また、基体1が光を透過可能である場合には、基体1側から光照射を行ってもよく、さらに、モールド11側と基体1側の両方から光照射を行ってもよい。また、転写材料3が熱硬化性、あるいは、熱可塑性である場合には、それぞれ転写材料3に対して加熱処理、あるいは、冷却(放冷)処理を施すことができる。
(剥離工程)
次に、モールド11の特定方向D(図11(C)に示される矢印D方向)に沿って基体1とモールド11との間隙距離を広げるようにして剥離力を作用させることにより、硬化後の転写材料3′とモールド11とを引き剥がす(図11(C))。このような特定方向Dからの引き剥がしは、例えば、モールド11の主面13の一方の端辺13a側に引き剥がし力Fを作用させることより行うことができる。また、このとき、モールド11の主面13の他方の端辺13b側に、モールド11を硬化後の転写材料3′に押付ける力を作用させ、剥離が徐々に端辺13b方向に接近し、この押付ける力が剥離を阻害する前に解除するようにしてもよい。モールド11では、上述のように、基材12の主面13の一方の端辺13aから他方の端辺13bに向かう方向を特定方向Dとし、この特定方向Dに沿って、凹凸構造を有する複数の領域III,II,I,II′,III′が隣接するように配設されている。したがって、このような特定方向Dからの引き剥がしにより、小さい剥離力の領域から剥離が開始され、剥離力が最も大きな領域の剥離に至り、その後、剥離力が小さい領域で剥離が終了し、各領域間での剥離応力の急峻な増減が抑制される。
これにより、基体上に微細構造を備えた転写材料が形成され、形成された微細構造は、欠陥の発生が低減されたものであり、また、モールドへの負担も軽減される。また、上述の本発明のインプリント用のモールド21,31,41を用いて、上記と同様に微細構造の形成を行うことができる。
尚、この例では、基体1は平板状であるが、本発明はこれに限定されず、基体1が円筒状であり、回転しながらモールド11と相対的に移動(上記の特定方向Dへの移動)してもよく、また、基体1がローラーで搬送される連続体であり、モールド11が基体1の搬送速度に合わせてローラー上を移動(上記の特定方向Dへの移動)するものでもよい。このような形態では、転写材料3とモールド11との接触時間は短く、転写材料3が未硬化の状態でモールド11と剥離されるが、本発明のモールド11では、特定方向Dでの剥離における各領域間での剥離応力の急峻な増減が抑制され、未硬化の転写材料3との剥離が確実に行われ、その後、転写材料3を硬化することにより、微細構造が形成される。
<実施形態B>
図12は、本発明の微細構造の形成方法の他の実施形態を説明するための工程図である。この形成方法の例では、上述の本発明のインプリント用のモールド51を使用しており、押し当て工程、硬化工程、剥離工程を有している。尚、図12では、モールド51の主面53の凹凸構造領域53Aに均一な微細凹凸が記載されているが、これは凹凸構造を便宜的に示したものであり、上述のように、モールド51は各領域III,II,I,II′,III′にそれぞれ最適な凹凸構造を備えている。
(押し当て工程)
まず、基体1の一方の面1aに転写材料3を供給し(図12(A))、モールド51と基体1とを近接させて、モールド51の主面53と基体1との間に転写材料3を介在させる(図12(B))。使用する基体1は、円筒状、あるいは、連続体を除いて、上述の実施形態Aで挙げた基体と同様とすることができる。また、転写材料3も、上述の実施形態Aと同様とすることができる。
(硬化工程)
次いで、モールド51の主面53と基体1との間に転写材料3が介在する状態で、転写材料3を硬化する。この転写材料3の硬化は、上述の実施形態Aと同様とすることができる。
(剥離工程)
次に、モールド51の特定方向D(図12(C)に示される矢印D方向)に沿って基体1とモールド51との間隙距離を広げるようにして剥離力を作用させることにより、硬化後の転写材料3′とモールド51とを引き剥がす(図12(C))。このような特定方向Dからの引き剥がしは、例えば、モールド51の主面53の外縁部53aに均等に引き剥がし力Fを作用させることより行うことができる。また、このとき、モールド51の開口部52a側の内縁部53bに、モールド51を硬化後の転写材料3′に押付ける力を作用させ、剥離が徐々に開口部52a方向に接近し、この押付ける力が剥離を阻害する前に解除するようにしてもよい。モールド51では、上述のように、主面53の外縁部53aから開口部52a側の内縁部53bに向かう方向を特定方向Dとし、この特定方向Dに沿って、凹凸構造を有する複数の領域III,II,I,II′,III′が同心円状に隣接するように配設されている。このような特定方向Dからの引き剥がしにより、小さい剥離力の領域から剥離が開始され、剥離力が最も大きな領域の剥離に至り、その後、剥離力が小さい領域で剥離が終了し、各領域間での剥離応力の急峻な増減が抑制される。
これにより、基体上に微細構造を備えた転写材料が形成され、形成された微細構造は、欠陥の発生が低減されたものであり、また、モールドへの負担も軽減される。
<実施形態C>
図13は、本発明の微細構造の形成方法の他の実施形態を説明するための工程図である。この形成方法の例では、上述の本発明のインプリント用のモールド61を使用しており、押し当て工程、転写・剥離工程、硬化工程を有している。尚、図13では、モールド61の周面63の凹凸構造領域に均一な微細凹凸が記載されているが、これは凹凸構造を便宜的に示したものであり、上述のように、モールド61は各領域IV,III,II,I,II′,III′,IV′にそれぞれ最適な凹凸構造を備えている。
(押し当て工程)
まず、基体5の一方の面5aに転写材料7を供給し(図13(A))、モールド61と基体1とを近接させて、モールド61の基線部位63aを転写材料7に押付ける(図13(B))。
使用する基体5は、上述の実施形態Aの基体1と同様とすることができ、図示例では基体1は板状であるが、円筒状、連続体等であってもよい。また、転写材料7は、上述の実施形態Aの転写材料3と同様とすることができ、基体5上への転写材料7の供給は、スピンコート法等を用いて塗布膜として供給する。
(転写・硬化・剥離工程)
次に、モールド61を円周方向に1回転させながら、モールド61と接触した状態で転写基材7を硬化させ、硬化後の転写材料7とモールド61とを引き剥がして、転写材料7にモールド61の凹凸構造を転写する(図13(C))。図13(C)は、モールド61が半回転した状態を示している。モールド61では、上述のように、円周方向に沿って、凹凸構造を有する複数の領域IV,III,II,I,II′,III′,IV′が隣接するように配設されている。そして、上記の押し当て工程では、モールド61の基線部位63aが転写材料7に押し当てられているので、この基線部位63aから開始されるモールド61の回転では、押し当て後の剥離力が小さい領域から押し当てが開始され、押し当て後の剥離力が最も大きな領域の剥離に至り、その後、押し当て後の剥離力が小さい領域に至って1回転が終了する。したがって、各領域間での剥離応力の急峻な増減が抑制され、転写材料7へのモールド61の凹凸構造の転写が安定して行われ、また、モールド61への負担も軽減される。上記の転写材料7の硬化は、上述の実施形態Aと同様とすることができる。
これにより、基体上に微細構造を備えた転写材料が形成され、形成された微細構造は欠陥の発生が低減されたものであり、また、モールドへの負担も軽減される。
ここで、図13に示した実施形態では、転写基材7が円筒型のモールド61の凹凸構造に対して追従性がよく、かつ、硬化速度が速いことが要求される。一方、円筒型のモールド61の凹凸構造に対する転写基材7の追従性が悪く、モールド61が押し当てられてから凹凸構造に追従するまでに時間を要する場合には、例えば、モールド11の回転速度を遅くしたり、あるいは、モールド61を円筒型ではなく、ベルト状の構造とし、転写材料7との接触時間を長くしてやる必要がある。あるいは、基体5および転写材料7が曲げを許容する材料である場合には、円筒型のモールド61に対して線接触ではなく、面接触となるように、基体5の搬送経路を円筒型のモールド61に沿わせるように曲げてやることも好ましい。
更に、転写材料7が、硬化を完全に行わない場合であっても、モールド61から転写された凹凸構造をある程度維持できるのであれば、転写材料7とモールド61との剥離を行った後に、更に硬化処理を行ってもよい。この場合には、剥離応力がより低減されるため、モールドへの負担も軽減される。
尚、上記の例では、モールド61を1回転させているが、本発明では、モールド61を2回転以上させることができ、この場合であっても、モールド61の基線部位63aが転写材料7に押付けられた状態から回転が開始され、終了するので、各領域間での剥離応力の急峻な増減が抑制され、n回転による転写材料7へのモールド61の凹凸構造の転写が安定して行われ、また、モールド61への負担も軽減される。
上述の微細構造の形成方法の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
インプリント方法による種々の微細構造の形成、微細加工等に利用可能である。
11,21,31,41,51,61…モールド
12,22,32,42,52,62…基材
13,23,33,43,53…主面
63…周面
1,5…基体
3,7…転写材料

Claims (13)

  1. 基材の主面に凹凸構造を有するモールドであって、該凹凸構造に転写材料を充填し硬化させた後に該転写材料をモールドから剥離して、前記凹凸構造を前記転写材料に転写するためのインプリント用のモールドにおいて、
    基材の主面には、凹凸構造を有する複数の領域が特定方向に沿って隣接するように位置し、
    領域毎の転写材料の剥離に要する応力が、前記特定方向の両端に位置する領域から特定領域に向けて増大傾向となるように、複数の前記領域が位置することを特徴とするインプリント用のモールド。
  2. 複数の前記領域の各領域における面積Aに対する当該領域の実測表面積Sの比S/Aが、前記特定方向の両端に位置する領域から特定領域に向けて増大傾向にあることを特徴とする請求項1に記載のインプリント用のモールド。
  3. 各領域における前記特定方向の領域長Bに対する実測長Lの比L/Bが、前記特定方向の両端に位置する領域から特定領域に向けて同一もしくは増大傾向にあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインプリント用のモールド。
  4. 前記主面は方形であり、前記特定方向は主面の対向する一方の端辺から他方の端辺に向かう方向、あるいは、主面の対向する一の角部から他方の角部に向かう方向であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインプリント用のモールド。
  5. 前記主面は正N角形(Nは5以上の整数)であり、前記特定方向は主面の対向する一方の端辺から他方の端辺に向かう方向、あるいは、主面の対向する一の角部から他方の端辺に向かう方向、あるいは、主面の対向する一の角部から他方の角部に向かう方向であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインプリント用のモールド。
  6. 前記主面は円形であり、前記特定方向は任意に設定されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインプリント用のモールド。
  7. 前記主面は楕円形であり、前記特定方向は主面の楕円形の長軸方向であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインプリント用のモールド。
  8. 前記主面は開口部を有する環状であり、前記特定方向は主面の外縁部から前記開口部側の内縁部に向かう方向であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインプリント用のモールド。
  9. 円筒状の基材の周面に凹凸構造を有するモールドであって、該凹凸構造に転写材料を充填し硬化させた後に該転写材料をモールドから剥離して、前記凹凸構造を前記転写材料に転写するためのインプリント用のモールドにおいて、
    円筒状の基材の周面には、該周面の円周方向と垂直な一の基線部位から円周方向に沿って、凹凸構造を有する複数の領域が隣接するように位置し、
    領域毎の転写材料の剥離に要する応力が、前記基線部位を挟むように隣接する領域からそれぞれ円周方向に沿って特定領域に向け増大傾向となるように、複数の前記領域が位置することを特徴とするインプリント用のモールド。
  10. 複数の前記領域の各領域における面積Aに対する当該領域の実測表面積Sの比S/Aが、前記基線部位を挟むように隣接する領域からそれぞれ円周方向に沿って特定領域に向け増大傾向にあることを特徴とする請求項9に記載のインプリント用のモールド。
  11. 各領域における円周方向の領域長Bに対する実測長Lの比L/Bが、前記基線部位を挟むように隣接する領域からそれぞれ円周方向に沿って特定領域に向け同一もしくは増大傾向にあることを特徴とする請求項9または請求項10に記載のインプリント用のモールド。
  12. 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のインプリント用のモールドの主面と基体との間に転写材料を介在させる押し当て工程と、
    該転写材料を硬化させる硬化工程と、
    硬化後の前記転写材料と前記モールドとを引き剥がす剥離工程と、を有し、
    前記剥離工程では、前記モールドの前記特定方向に沿って前記基体と前記モールドとの間隙距離を広げるようにして剥離力を作用させることを特徴とする微細構造の形成方法。
  13. 基体上に配設された転写材料と、請求項9乃至請求項11に記載の円筒状のインプリント用のモールドとを押し当てる押し当て工程と、
    前記モールドを円周方向にn回転(nは1以上の整数)させながら、前記モールドと接触した状態で前記転写基材を硬化させ、硬化後の前記転写材料と前記モールドとを引き剥がして、前記転写材料に前記モールドの凹凸構造を転写する転写・硬化・剥離工程と、を有し、
    前記押し当て工程では、前記モールドの基線部位を転写材料に押し当て、前記転写・硬化・剥離工程では、前記モールドの基線部位が転写材料に当接した状態で回転を停止することを特徴とする微細構造の形成方法。
JP2012046234A 2012-03-02 2012-03-02 インプリント用のモールドおよび微細構造の形成方法 Active JP5884555B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012046234A JP5884555B2 (ja) 2012-03-02 2012-03-02 インプリント用のモールドおよび微細構造の形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012046234A JP5884555B2 (ja) 2012-03-02 2012-03-02 インプリント用のモールドおよび微細構造の形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013180508A true JP2013180508A (ja) 2013-09-12
JP5884555B2 JP5884555B2 (ja) 2016-03-15

Family

ID=49271520

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012046234A Active JP5884555B2 (ja) 2012-03-02 2012-03-02 インプリント用のモールドおよび微細構造の形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5884555B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015150859A (ja) * 2014-02-19 2015-08-24 大日本印刷株式会社 インプリント用モールドおよびインプリント方法
JP6972409B1 (ja) * 2021-03-30 2021-11-24 リンテック株式会社 マイクロニードルの製造方法およびマイクロニードルの製造装置
JP6972410B1 (ja) * 2021-03-30 2021-11-24 リンテック株式会社 マイクロニードルの製造方法およびマイクロニードルの製造装置

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008093970A (ja) * 2006-10-12 2008-04-24 Toray Ind Inc 微細形状転写用金型および微細形状転写シートの製造装置
JP2010225683A (ja) * 2009-03-19 2010-10-07 Toshiba Corp テンプレートパターンの設計方法、テンプレートの製造方法及び半導体装置の製造方法。
JP2011116032A (ja) * 2009-12-03 2011-06-16 Dainippon Printing Co Ltd インプリント用モールドおよび該モールドを用いたパターン形成方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008093970A (ja) * 2006-10-12 2008-04-24 Toray Ind Inc 微細形状転写用金型および微細形状転写シートの製造装置
JP2010225683A (ja) * 2009-03-19 2010-10-07 Toshiba Corp テンプレートパターンの設計方法、テンプレートの製造方法及び半導体装置の製造方法。
JP2011116032A (ja) * 2009-12-03 2011-06-16 Dainippon Printing Co Ltd インプリント用モールドおよび該モールドを用いたパターン形成方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015150859A (ja) * 2014-02-19 2015-08-24 大日本印刷株式会社 インプリント用モールドおよびインプリント方法
JP6972409B1 (ja) * 2021-03-30 2021-11-24 リンテック株式会社 マイクロニードルの製造方法およびマイクロニードルの製造装置
JP6972410B1 (ja) * 2021-03-30 2021-11-24 リンテック株式会社 マイクロニードルの製造方法およびマイクロニードルの製造装置
WO2022208992A1 (ja) * 2021-03-30 2022-10-06 リンテック株式会社 突起保有体の製造方法および突起保有体の製造装置
WO2022208991A1 (ja) * 2021-03-30 2022-10-06 リンテック株式会社 突起保有体の製造方法および突起保有体の製造装置
JP2022155249A (ja) * 2021-03-30 2022-10-13 リンテック株式会社 マイクロニードルの製造方法およびマイクロニードルの製造装置
JP2022155247A (ja) * 2021-03-30 2022-10-13 リンテック株式会社 マイクロニードルの製造方法およびマイクロニードルの製造装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5884555B2 (ja) 2016-03-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5677987B2 (ja) インプリント用モールド及びその製造方法、並びにインプリント用モールド基材
JP2012006219A (ja) ナノインプリント用モールド
JP5884555B2 (ja) インプリント用のモールドおよび微細構造の形成方法
US11543746B2 (en) Embossed film, sheet film, transfer copy, and method for producing embossed film
JP5441991B2 (ja) インプリント用モールド及びその製造方法
JP6361238B2 (ja) インプリント用モールドおよびインプリント方法
JP2022060301A (ja) フィラー充填フィルム、枚葉フィルム、積層フィルム、貼合体、及びフィラー充填フィルムの製造方法
JP6059967B2 (ja) 樹脂成形品の製造方法
JP2015205408A (ja) インプリント用モールドの製造方法、インプリント用モールドおよび階層構造形成体
JP5707342B2 (ja) インプリント用回転式モールド及びその製造方法
WO2015151323A1 (ja) インプリント用モールドおよびインプリント方法
CN111168984B (zh) 填料填充膜、片状膜、层叠膜、贴合体和填料填充膜的制造方法
JP2017019149A (ja) インプリント用モールド、および、その離型処理方法
KR20100088457A (ko) 프리즘과 홀로그램 패턴 일체형의 도광판 및 그 제조방법
KR20220060555A (ko) 엠보스 필름, 매엽 필름, 전사물, 및 엠보스 필름의 제조 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150918

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150929

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151106

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160112

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160125

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5884555

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150