JP2013180085A - 内視鏡 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内視鏡は、挿入部と操作入力部と牽引部材と牽引機構と連結機構とを有する。挿入部は、先端硬質部と、複数の方向に湾曲可能な湾曲部とを有する。牽引部材は先端硬質部又は湾曲部に一端が連結され、他端が操作入力部に向かって延出されている。牽引機構は操作入力部の操作の入力に応じて牽引部材の一端を牽引することが可能である。連結機構は、牽引部材の他端と牽引機構との間に配設されている。連結機構は牽引部材の他端と牽引機構とを牽引部材の軸方向に相対的に移動させるスライダ機構を有する。連結機構は、スライダ機構に設けられ牽引部材を牽引した状態でのスライダ機構と牽引部材の一端との間の牽引部材の張り具合を調整する調整機構を有する。
【選択図】図3A
Description
アングルワイヤは例えば湾曲部の湾曲動作を繰り返して牽引回数が増えるにしたがって、挿入部に対して伸びる傾向がある。特許文献1には、内視鏡の湾曲部を湾曲させるために牽引されるアングルワイヤの張り具合を調整可能であることが開示されている。具体的には、チェーンの一端及び他端にはそれぞれアングルワイヤの基端に接続された留め部材を引っかける部位が長手方向に複数ある。このため、留め部材をチェーンの一端及び他端の適宜の位置に引っかけることで、アングルワイヤの張り具合を調整可能である。
一方、チェーンとチェーンを覆う側壁部との間にチェーンの撓みを許容する空間をそれぞれ形成しないと、スプロケットを回転させたときに挿入部の先端側に押し出したチェーンの端部を撓ませ難くなる。このため、チェーンを挿入部の先端側に押し出したときにアングルワイヤ(牽引部材)を撓ませる可能性があり、アングルワイヤに負荷をかけ易くなる。
また、特許文献1のようなアングルワイヤの張り具合の調整機構を用いても、アングルワイヤの基端に接続された留め部材と、チェーンの端部に配置された留め部材を引っかける部位との相対位置は維持される。このため、特許文献1のようなアングルワイヤの張り具合の調整機構を用いると、アングルワイヤに負荷をかけ易い状態が維持される。
第1の実施の形態について図1Aから図5Bを用いて説明する。
図1Aに示すように、この実施の形態に係る内視鏡10は、例えば体腔内等の狭い孔内に挿入される細長い挿入部12と、挿入部12の基端部に設けられ使用者に保持されて操作される操作部(操作入力部)14とを有する。内視鏡10の内部には図示しない観察光学系及び照明光学系が一般的な内視鏡と同様に配設されている。また、内視鏡10には送気、送水に用いたり、処置具を挿通するチャンネル(図示しない)が形成されていることが好適である。
挿入部12は、先端硬質部22と、湾曲部24と、可撓管部(管状部)28とを先端側から基端側に向かって順に有する。可撓管部28の基端は操作部14に連結されている。
図1Aに示す湾曲部24は、図1Bに示す複数の湾曲駒34a,34b,…が軸方向に沿って並設された湾曲管34を有する。湾曲管34は、各湾曲駒34a,34b,…に設けられた図示しないワイヤガイドにより、後述するアングルワイヤ60a,60bをその軸方向に移動可能に支持している。なお、アングルワイヤ60a,60bの先端(牽引部材の一端)は湾曲管34の最も先端の湾曲駒34a又は先端硬質部22に固定され、基端(牽引部材の他端)が操作部14に向かって延出されている。
湾曲部24の湾曲管34は中心軸Cに対して湾曲可能であり、ここでは、それぞれ真っ直ぐ(湾曲角度が0度)の状態に対して2方向(上方向(U方向)及び下方向(D方向))に湾曲可能である。なお、湾曲管34の長さはそれぞれ適宜に設定できる。
この実施形態では湾曲部24が2方向に湾曲するものとして説明するが、湾曲部24が4方向に湾曲可能な構造とすることも好適である。
図2A及び図2Bに示すように、内視鏡10は、湾曲部24を複数の方向に湾曲させるための湾曲駆動機構44を有する。すなわち、挿入部12及び操作部14には、湾曲駆動機構44が配設されている。
湾曲駆動機構44は、操作部14の内部に配置されたスプロケット(牽引機構)52と、湾曲部用操作ノブ(湾曲操作入力部)54と、スプロケット52に噛み合わせられて巻回されたチェーン(牽引機構)56と、チェーン56の各端部(チェーンエンド)56a,56bに配置された連結機構(スライダ機構)58a,58bと、アングルワイヤ60a,60bと、アングルワイヤ60a,60bを挿通するコイルパイプ62a,62bとを有する。後述するが、連結機構58a,58bはチェーン56の端部56a,56bとアングルワイヤ60a,60bとを所定の範囲で相対的に移動可能に連結する。
チェーン56は、端部56a,56bを挿入部12の先端側に向けた状態で、スプロケット52に巻回されている。地板64には、チェーン56の外側に略U字状にチェーンガイド64aが形成されている。そして、チェーン56は、チェーンガイド64aを含む地板64によりスプロケット52に噛み合わせられた状態を維持することができる。このため、スプロケット52をその中心軸C1回りに回動させたときに、スプロケット52から外れることなくチェーン56の端部56a,56bを所定の方向(挿入部12の先端に対して近接及び離隔する方向)に移動させることができる。なお、チェーン56とチェーンガイド64aとの間にはチェーン56自体が撓む際にその撓みを許容する空間は不要である。このため、チェーンガイド64aは、チェーン56に対して常に隣接した状態に形成でき、操作部14の内部構造を従来に比べて小さく形成できる。
このように、この実施形態に係る内視鏡10の第1湾曲部24を真っ直ぐの状態から互いに逆方向であるU方向及びD方向に湾曲させることが可能な構造(湾曲部24の湾曲機構)は、一般的な内視鏡の構造(湾曲機構)と同様である。
なお、図3Aから図3C、図5A及び図5B中、チェーン56の端部56aに直接ハウジング102を配設した状態を示しているが、チェーン56の端部56aとハウジング102との間に図示しないロッド、ワイヤ、軸受等が配置されていることも好適である。
ナット122の外形はハウジング102の内周面に合わせて例えば略矩形状に形成され、ナット122の横断面はハウジング102の案内部114の横断面よりも僅かに小さく形成されている。このためナット122は、ハウジング102の案内部114内での回転が防止される。ボルト124の頭部124bはハウジング102の内周面に対して回動可能な大きさを有し、円形状や六角形等に形成されていることが好ましい。ハウジング102の案内部114において、ナット122に対してボルト124が回動可能であるので、ボルト124に連結されたアングルワイヤ60aの捩じれを防止可能である。
図3Aから図3Cに示すように、ナット122及びボルト124の頭部124bは窓部112からハウジング102の空間内に対して出し入れ可能である。そして、図3Bに示すように、ハウジング102の外側にスライダ104を取り出し、ナット122に対するボルト124の螺合状態を調整し、すなわち、ナット122とボルト124の頭部124bとの距離Lを調整することができる。このため、ハウジング102の下端114bにスライダ104が配設されてアングルワイヤ60aが張ったときの、アングルワイヤ60aの先端と、ハウジング102の下端114b及びボルト124の軸部124aの端部のうちアングルワイヤ60aの先端に近接する位置との間の距離を調整することができる。したがって、アングルワイヤ60aが延びたときにも、アングルワイヤ60aの張り具合を適宜に調整することができる。このように、ナット122及びボルト124を有するスライダ104は、ハウジング102と協働してアングルワイヤ60a,60bの張り具合を調整する調整機構を形成する。また、ナット122及びボルト124は、スライダ104がハウジング102の下端114bに配設されたときの、アングルワイヤ60a,60bの先端(一端)と、ハウジング102の下端114b及びボルト124の軸部124aのうち頭部124bに対する遠位端部のうちの近い方との間の距離を調整する距離調整部を形成する。
内視鏡10の湾曲部24を真っ直ぐにした状態で、スライダ104はハウジング102の下端(チェーン56の端部56aに対する遠位端であって、挿入部12の先端側)に当接又は近接した位置に配置される。このため、スプロケット52を回動させてチェーン56の一端56aを引っ張ると、スライダ104のナット122がハウジング102の下端114bに押し付けられる。一方、スプロケット52を回動させることによりチェーン56の一端56aを押し出すと、スライダ104がハウジング102の下端からチェーン56の一端56a側に向かって相対的に移動する。このとき、スライダ104が窓部112から取り出し可能な位置までは到達しない程度に相対的に移動する。その後、後述するがスライダ104はハウジング102の下端側に戻っていく。
図1Aに示すように、操作部14はカバー90を有する。カバー90は、例えば地板64、スプロケット52、チェーン56、連結機構58a,58bの基端を覆うとともに、内視鏡10の使用者に例えば左手で把持される把持部を形成する。なお、湾曲部用操作ノブ54はカバー90の外部にあり、例えば左手で操作可能である。
例えば湾曲部24が真っ直ぐの状態で、連結機構58a,58bのそれぞれのスライダ104のナット122は図5Aに示すようにハウジング102の案内部114の下端に近接又は当接した状態にある。
この状態から湾曲部用操作ノブ54を湾曲部24がU方向に湾曲するように回動させる。湾曲部用操作ノブ54の回動に伴ってスプロケット52が回動すると、チェーン56の一端56a及び連結機構58aのハウジング102が牽引される。連結機構58aのスライダ104のナット122の下端がハウジング102の案内部114の下端に近接していき当接し、案内部114の下端に対する当接力が増す。この状態から、連結機構58aのハウジング102はアングルワイヤ60aを牽引し始める。
湾曲部用操作ノブ54の回動に伴ってスプロケット52が回動すると、チェーン56の他端56b及び連結機構58bのハウジング102が牽引される。連結機構58bのスライダ104のナット122の下端がハウジング102の案内部114の下端に近接していき当接し、案内部114の下端に対する当接力が増す。この状態から、連結機構58bのハウジング102はアングルワイヤ60bを牽引し始める。
この状態から湾曲部用操作ノブ54を湾曲部24がD方向に湾曲するように回動させる場合については説明を省略する。
例えば図3Aに示す連結機構58aのスライダ104を、図3Bに示すようにハウジング102の窓部112から取り出す。図3Bに示す状態のボルト124とナット122とを相対的に回転させて、ボルト124の頭部124bとナット122との距離Lを調整する。そして、ハウジング102の案内部114に対して、アングルワイヤ60a,60bが捩じれていない状態にナット122の向きを調整して、図3Cに示すように、ハウジング102の窓部112にスライダ104を入れて、スライダ104を案内部114の下端に向けて移動させる。図3A及び図3Cに示すように、このように、ボルト124の頭部124bとナット122との間の距離Lを調整したスライダ104をハウジング102に対して出し入れするだけでアングルワイヤ60aの基端の位置を変えることができるので、アングルワイヤ60aの張り具合の調整を行うことができる。
連結機構58bも必要に応じて同様にアングルワイヤ60bの張り具合の調整を行う。
この実施の形態によれば、アングルワイヤ60a,60bの長さ調整可能なスライダ104がハウジング102の案内部114内に移動可能に配設されている。例えばチェーン56の他端56bを挿入部12の先端に向けて押し出したときに、チェーン56の他端56bとアングルワイヤ60bの基端及びスライダ104との間の距離を相対的に近接させることができるので、チェーン56の他端56bを撓ませる必要がない。このため、チェーン56とチェーンガイド64aとの間にチェーン56の撓み用の空間を形成する必要がない。したがって、操作部14の各構成部材を配置する空間を従来よりも小さくすることができる。また、チェーン56の他端56bを挿入部12の先端に向けて押し出したとき、アングルワイヤ60bの基端及びスライダ104をチェーン56の他端56bに向かってアングルワイヤ60bの軸方向に相対的に移動させるだけであり、アングルワイヤ60bを撓ませることもない。このため、内視鏡10の湾曲操作時にアングルワイヤ60bに大きな負荷がかけられるのを防止できる。
次に、この実施の形態の第1の変形例について図6A及び図6Bを用いて説明する。
図6Aに示すように、ハウジング102の内部には、スライダ104と、ハウジング102の内部で回転又は回動が防止されるように外形が略矩形状で筒状のスペーサ106とが配設されている。スライダ104のナット122aはボルト124に螺合され、スペーサ106はボルト124の軸部124aに貫通されている。
なお、スペーサ106は横断面が例えば略C字状等、環状である必要はない。ナット122aの外形は略円形や略六角形状であり、ハウジング102の内部で回転可能であることが好ましい。スペーサ106の内側は例えば円形状であることが好適であり、ボルト124の軸部124aの外径よりも大きな内径を有する。
ハウジング102及びボルト124は第1の実施の形態と同様に形成されていることが好ましい。そして、ボルト124の軸部124aが挿通された状態でナット122とスペーサ106とが近接及び離隔可能に当接されている。
次に、この実施の形態の第2の変形例について図7を用いて説明する。この変形例は第1の変形例の更なる変形例である。
図7に示すように、ハウジング102の案内部114には、スペーサ106が配設される収容部116が形成されている。収容部116はスペーサ106を軸方向及び周方向に移動を規制することが可能である。収容部116は案内部114に連通部118を通して連通している。連通部118はナット122aの外径よりも大きく、収容部116よりも小さな内径を有する開口としていることが好ましいが、ボルト124の軸部124aだけを挿通可能としても良い。
他の作用は第1の変形例と同様であるので、ここでの説明を省略する。
次に、この実施の形態の第3の変形例について図8Aから図8Eを用いて説明する。
図8Aから図8Cに示すように、ハウジング102の案内部114には、縦断面が略T字状のスライダ104と、横断面が略U字状のスペーサ136とが配設されている。スライダ104は軸部134aと頭部134bとを有し、軸部134aは円柱状に形成され、頭部134bは略円盤状に形成されている。軸部134aのうち頭部134bに対する遠位端には、アングルワイヤ60aの基端が連結されている。頭部134bはスペーサ136の上端(挿入部12の先端に対して離隔した端部)に近接及び離隔可能に当接される。
アングルワイヤ60aの張り具合の調整を行う場合、ハウジング102の窓部112からスライダ104を取り出す。そして、複数のスペーサ群からアングルワイヤ60aが延びた分だけの長さのスペーサ136を選択して配置する。
なお、この変形例において、軸部134aと頭部134bとを有するスライダ104及びスペーサ136,137は、ハウジング102と協働してアングルワイヤ60a,60bの張り具合を調整する調整機構を形成する。また、スライダ104及びスペーサ136,137は、スペーサ136,137がハウジング102の下端114bに配設されスライダ104の頭部134bがスペーサ136,137に配設されたときの、アングルワイヤ60a,60bの先端(一端)と、ハウジング102の下端114b及びスライダ104の軸部134aのうち頭部134bに対する遠位端部のうちの近い方との間の距離を調整する距離調整部を形成する。
次に、この実施の形態の第4の変形例について図9を用いて説明する。
図9に示すように、ハウジング102は、軸方向に直交する方向に広い広部(係合部)142と広部142に対して狭い狭部144とを軸方向に繰り返し有する。広部142及び狭部144は例えば軸方向に直交する方向が円形状に形成されていることが好適である。なお、図9中、広部142の径をD1、狭部144の径をD2とするとき、D1がD2よりも大きく広部142及び狭部144の中心は共通である。
次に、この実施の形態の第5の変形例について図10A及び図10Bを用いて説明する。
図10A及び図10Bに示すように、この変形例では、第1の実施の形態に対してハウジング102の向きを反対にしている。
図10Aに示すように、連結機構58aは、例えばチェーン56の端部56aに一端が接続された接続ワイヤ160aと、ハウジング102と、スライダ104とを有する。ハウジング102及びスライダ104は第1の実施の形態のハウジング102及びスライダ104と同様に形成されている。そして、ハウジング102の下端(挿入部12の先端に近接する端部)には、アングルワイヤ60aの基端が連結されている。
連結機構58aの他の構造は第1の実施の形態で説明した連結機構58aと同様であるので、ここでの説明を省略する。また、連結機構58bも同様に形成されているので、ここでの説明を省略する。
例えば湾曲部24が真っ直ぐの状態で、連結機構58a,58bのそれぞれのスライダ104のナット122は図10Aに示すようにハウジング102の案内部114の上端に当接した状態にある。
この状態から湾曲部用操作ノブ54を湾曲部24がU方向に湾曲するように回動させる。湾曲部用操作ノブ54の回動に伴ってスプロケット52が回動すると、チェーン56の一端56aと、連結機構58aの接続ワイヤ160a及びスライダ104とが牽引される。このため、連結機構58aのスライダ104のナット122の上端は、案内部114の上端に対する当接力が増す。この状態から、ハウジング102はアングルワイヤ60aを牽引し始める。
湾曲部用操作ノブ54の回動に伴ってスプロケット52が回動すると、チェーン56の他端56bと、連結機構58bの接続ワイヤ160b及びスライダ104とが牽引される。このため、連結機構58bのスライダ104のナット122の上端は、ハウジング102の案内部114の上端に対する当接力が増し、ハウジング102はアングルワイヤ60bを牽引し始める。
この状態から湾曲部用操作ノブ54を湾曲部24がD方向に湾曲するように回動させる場合については説明を省略する。
例えば図10Aに示す連結機構58aのスライダ104をハウジング102の下端側にある窓部112から取り出す。ボルト124とナット122とを相対的に回転させて、ボルト124の頭部124bとナット122との距離Lを調整する。そして、ハウジング102の案内部114に対して、アングルワイヤ60a,60bが捩じれていない状態にナット122の向きを調整して、図10Bに示すように、ハウジング102の下端側にある窓部112にスライダ104を入れて、スライダ104を案内部114の上端に向けて移動させる。このように、ボルト124の頭部124bとナット122との間の距離Lを調整したスライダ104をハウジング102に対して出し入れするだけでアングルワイヤ60aの張り具合の調整を行うことができる。
連結機構58bも必要に応じて同様にアングルワイヤ60bの張り具合の調整を行う。
なお、この変形例は第1の実施の形態の変形例であるとともに、第1から第4の変形例の更なる変形例である。すなわち、第1から第4の変形例で説明した連結機構58a,58bの適宜の構造を採用可能である。
次に、第2の実施の形態について、図11から図17Bを用いて説明する。この実施の形態は各変形例を含む第1の実施の形態の変形例であって、第1の実施の形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
後述するが、第1湾曲部24は操作部14を操作することにより湾曲させることができる、いわゆる能動湾曲部として機能する。また、第2湾曲部26は、第1湾曲部24の湾曲角度が小さい(湾曲量が少ない)ときには、いわゆる受動湾曲部として機能する。第1湾曲部24の湾曲角度(湾曲量)が大きくなるにつれて第2湾曲部26が第1湾曲部の湾曲方向と同じ方向に曲がりやすく反対方向に曲がりにくくなる。
第1湾曲部24の第1湾曲管34、及び、第2湾曲部26の第2湾曲管36は共通の中心軸Cに対して湾曲可能であり、ここでは、それぞれ真っ直ぐ(湾曲角度が0度)の状態に対して2方向(上方向(U方向)及び下方向(D方向))に湾曲可能である。なお、第1及び第2湾曲管34,36の長さはそれぞれ適宜に設定できる。
図12A及び図12Bに示すように、内視鏡10は、第1湾曲部24を複数の方向に湾曲させるための第1湾曲駆動機構44と、第1湾曲駆動機構44の駆動に追従し、第2湾曲部26が真っ直ぐの状態を維持し又は第1湾曲部24の湾曲方向と同じ方向に第2湾曲部26を湾曲させるための第2湾曲駆動機構46とを有する。すなわち、挿入部12及び操作部14には、第1湾曲駆動機構44及び第2湾曲駆動機構46が配設されている。
なお、第1湾曲駆動機構44は第1の実施の形態で説明したのでここでの説明を省略する。
図13Aから図13Cに示すように、ドラム172aは略円盤状に形成され、一側面192aに基端側牽引部材174aが、他側面192bに基端側牽引部材174bが巻回されている。一側面192aには基端側牽引部材174aの基端を収容する収容部194aが形成され、他側面192bには基端側牽引部材174bの基端を収容する収容部194bが形成されている。各収容部194a,194bはドラム172aの軸(中心軸C2)上を通るように形成されている。
図13A及び図13Cに示すように、ドラム172aの一側面192aのうち中心軸C2から外れた位置には、収容部194aに連通したネジ部196aを通してビス196bが螺合されている。このため、基端側牽引部材174aが収容部194aに収容された状態でビス196bがネジ部196aに螺合されたとき、基端側牽引部材174aが位置決めされる。
図13Bに示すように、ドラム172aの他側面192bには、第2スプロケット172に連結するための筒状のボス198が形成されている。ボス198はドラム172aの軸(中心軸C2)を形成する。図13B及び図13Cに示すように、ドラム172aの他側面のボス198の中心軸C2には収容部194bに連通したネジ部198aを通してビス198bが螺合されている。このため、基端側牽引部材174bが収容部194bに収容された状態でビス198bがネジ部198aに螺合されたとき、基端側牽引部材174bが位置決めされる。
なお、基端側牽引部材174a,174b及び先端側牽引部材178a,178bに加えられる引っ張り力は第1アングルワイヤ60a,60bに加えられる引っ張り力に比べて小さいので、基端側牽引部材174a,174b及び先端側牽引部材178a,178bは第1アングルワイヤ60a,60bよりも引っ張り耐性が低いもの、例えば細いものを用いても良い。また、コイルパイプ180a,180bはコイルパイプ62a,62bよりも細くても良い。
また、図14Aに示す第1湾曲駆動機構44の連結機構58aは各変形例を含む第1の実施の形態で説明した湾曲駆動機構44の連結機構58aの構造と同一であるので、ここでの説明を省略する。
図16に示すように、カバー90には、ビス266を通す開口264を有するとともに、その開口264に蓋270を配設するための凹部262が形成されている。カバー90の凹部262の開口264は、地板64を挿脱する開口90aとは異なる。凹部262は円形状に形成され、凹部262の中心に開口264が形成されている。図17Aに示すように、蓋270は円盤状の基部272と、基部272から延出された略円柱状の軸部274と、軸部274から互いに反対方向に延出された1対のタブ276a,276bと、基部272とタブ276a,276bとの間に配設されたOリング278とを有する。タブ276a,276bのうち、基部272に近接する面はそれぞれ斜面280a(,280b)として形成されている。Oリング278は基部272に配設され、Oリング278とタブ276a,276bの斜面280a(,280b)との間には空間がある。タブ276a,276bの延出方向は、軸部274の中心軸に対して直交する方向であることが好ましい。なお、蓋270の軸部274の径は図16に示すビス266の最大径(頭部の径)よりも大きい。
図17Bに示すように、開口264は蓋270の軸部274及びタブ276a,276bをカバー90の表面側から裏面側に向かって挿脱可能なように形成されている。このため、蓋270の軸部274及びタブ276a,276bを開口264を通してカバー90の表面側から裏面側に挿入して蓋270の基部272を回転させると、タブ276a,276bの斜面280a(,280b)が、開口264の位置から凹部262の裏面に移動するにつれて、凹部262の表面と裏面との間の部位を挟持する力を大きくするので、Oリング278が凹部262の表面に押し付けられていく。このため、蓋270によってカバー90の内部の水密を図ることができる。
例えば第1湾曲部24及び第2湾曲部26が真っ直ぐの状態で、第1湾曲部用操作ノブ54を第1湾曲部24がU方向に湾曲するように回動させる。第1湾曲部用操作ノブ54の回動に伴って第1スプロケット52が回動すると、チェーン56及び第1連結機構58a,58bを介して、第1アングルワイヤ60a,60bのうち、一方のワイヤ60aが引っ張られる。ワイヤ60aの先端は湾曲駒34aに固定されているので、ワイヤ60aが引っ張られると、湾曲駒34aのU方向側が基端側に引っ張られて湾曲駒34a,34b,…が順次回動して第1湾曲管34がU方向側に湾曲する。このため、第1湾曲部24がU方向に湾曲する。
このとき、第1の実施の形態で説明したように、連結機構58a,58bが動く。
このとき、図14Aに示すように、スライダ224とスライダ案内部234の下端234bとの間には遊びが存在しているので、先端側牽引部材178aには重力以外の力が働いていない。第1湾曲部24の湾曲量が小さい状態においては外力を加えることにより第2湾曲部26をU方向及びD方向のいずれにも湾曲させることができる。
また、第2湾曲部26の湾曲管36の例えばゴム材製の外皮26aの弾性力や先端側牽引部材178aの伸びにより、第2湾曲部26が真っ直ぐの状態を維持するように補助することができる。
基端側牽引部材174a、基端側連結部材202a及び弾性部材182aが挿入部12の先端側に向かって移動し、スライダ224がハウジング222内の案内部234の下端234bから相対的に離されて、緩衝部176aの弾性部材182aの長さがニュートラル状態に戻される。したがって、第1湾曲部24の湾曲角度が小さくなると、第2湾曲部26の先端と基端との間に先端側牽引部材178aにより付加された圧縮力が解消される。
したがって、この実施形態に係る内視鏡10の挿入部12の第2湾曲部26は、第1湾曲部24が真っ直ぐの状態又は湾曲角度が小さいときには受動湾曲部として機能する。そして、第1湾曲部24の湾曲角度が大きくなるにつれて、第2湾曲部26は、第1湾曲部24の湾曲方向と同じ方向には外力を受けたときに湾曲する受動湾曲部として機能し、第1湾曲部24の湾曲方向と逆方向等の異なる方向には外力を受けたときに湾曲しないような耐性又は湾曲し難くする耐性を発揮する。すなわち、第2湾曲部26は、第1湾曲部24の湾曲角度(湾曲量)及び湾曲方向に応じて、第1湾曲部24と同じ方向に曲がりやすく反対方向に曲がりにくい状態に自動的に切り替えられる。
第2湾曲駆動機構46は、第1湾曲駆動機構44に連動して動き、第1湾曲部24が真っ直ぐの状態で第2湾曲部26を複数の方向に受動的に湾曲させることが可能で、第1湾曲部24の湾曲角度を真っ直ぐの状態に対して増大させた際に、第2湾曲部26の第2湾曲管36の中心軸Cに対して第1湾曲部24の湾曲方向側に圧縮力を発生させる構造である。このため、第2湾曲駆動機構46は、第1湾曲部24が真っ直ぐの状態のとき又は真っ直ぐの状態に近いときには第2湾曲部26は自在に受動湾曲させることができる。そして、第1湾曲駆動機構44により第1湾曲部24の湾曲角度を増大させたときに第2湾曲駆動機構44が連動して動き、第2湾曲駆動機構46は、第2湾曲部26のうち第1湾曲部24を湾曲させた方向と同じ方向側に圧縮力を発生させることができる。このため、第1湾曲部24を湾曲させた方向と反対の方向に第2湾曲部26が湾曲するのを規制し、かつ、第2湾曲部26が真っ直ぐの状態を維持し又は第2湾曲部26が第1湾曲部24を湾曲させた方向と同じ方向に湾曲するのを補助することができる。すなわち、第1湾曲部24をU方向に湾曲させた状態で第2湾曲部26の例えばU方向側から外力を受けても、その外力に抗することができ、第2湾曲部26がD方向に湾曲させられることが防止でき、第2湾曲部26が真っ直ぐの状態又は略真っ直ぐの状態を維持できる。また、第2湾曲部26の先端と基端との間にU方向側に圧縮力が付加されていることによって、第2湾曲部26の例えばD方向側から外力を受けると、第2湾曲部26がU方向側に容易に湾曲する。したがって、この実施形態によれば、例えば第1湾曲部24をU方向に湾曲させた場合、第2湾曲部26をU方向に容易に湾曲させることができるが、D方向に曲がるのを防止できる。
次に、第2の実施の形態の第1の変形例について図18を用いて説明する。この実施形態は第2の実施形態の変形例であって、第2実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
緩衝部176aの基端側連結部材(連結機構)202aは基端側牽引部材174aの先端と協働してスライダ機構330を形成する。このスライダ機構330は、弾性部材182aの端部に配設されたハウジング(基端側連結部材)332と、ハウジング332に対して所定の範囲内を移動可能で基端側牽引部材174aの先端に連結されたスライダ334とを有する。ハウジング332は図14Bに示すハウジング222と同様に形成されている。
第1湾曲部24をU方向に湾曲させる際、基端側牽引部材174aが基端側に引っ張られる。このとき、ハウジング332の案内部336の基端にスライダ334が当接する。そして、弾性部材182aは例えば自然長やその重力により伸びた状態等のニュートラル状態又はそれに近い状態で、基端側に移動する。
このため、ハウジング222の案内部234の先端にスライダ224が当接する。ハウジング332内のスライダ334が案内部336の基端に当接し、かつ、ハウジング222内のスライダ224が案内部234の先端に当接した状態で、基端側牽引部材174aがさらに基端側に引っ張られると、弾性部材182aが伸張する。
このため、第2実施形態で説明したように、先端側牽引部材178aに対して徐々に引っ張り力が加えられていく。
この変形例に係る内視鏡10では、ハウジング222の案内部234に対して先端側牽引部材178aの基端のスライダ224をスライド可能とし、ハウジング332の案内部336に対して基端側牽引部材174aの基端のスライダ334をスライド可能としたことによって、第2実施形態で説明した場合に比べて第1湾曲部24を湾曲させたときに第2湾曲部26に圧縮力を加えるタイミングについて、調整の幅を広げることができる。
また、この変形例のスライダ機構330の構造は、各変形例を含む第1の実施の形態の連結機構58aの構造を採用することも好適である。
Claims (7)
- 先端硬質部と、複数の方向に湾曲可能な湾曲部とを有する挿入部と、
前記挿入部の基端部に設けられた操作入力部と、
前記先端硬質部又は前記湾曲部に一端が連結され、他端が前記操作入力部に向かって延出された牽引部材と、
前記操作入力部の操作の入力に応じて前記牽引部材の一端を牽引可能な牽引機構と、
前記牽引部材の他端と前記牽引機構とを前記牽引部材の軸方向に相対的に所定範囲内に移動させるスライダ機構と、前記スライダ機構に設けられ前記牽引部材を牽引した状態での前記スライダ機構と前記牽引部材の一端との間の前記牽引部材の張り具合を調整する調整機構とを有し、前記牽引部材の他端と前記牽引機構との間に配設された連結機構と
を具備する内視鏡。 - 前記調整機構は、前記牽引部材の一端と前記スライダ機構との間の距離を調整する距離調整部を有する請求項1に記載の内視鏡。
- 前記スライダ機構は、
前記牽引部材の他端に連結されたスライダと、
前記スライダを出し入れする開口と前記開口に連通し前記スライダを前記牽引部材の軸方向に沿って所定の範囲を移動させる案内部とを有するハウジングと
を有する請求項1に記載の内視鏡。 - 前記スライダは、
前記牽引部材の一端が連結された軸部を有するボルトと、
前記ボルトの軸部に螺合されたナットと
を有する請求項3に記載の内視鏡。 - 前記ハウジングの案内部及び前記ナットは前記牽引部材の軸回りに対して相対的な回転を防止する回転防止形状を有する請求項4に記載の内視鏡。
- 前記湾曲部は、第1の湾曲部と、前記第1の湾曲部の基端側に設けられた第2の湾曲部とを有し、
前記牽引部材の一端は、前記第1の湾曲部に連結されている請求項1に記載の内視鏡。 - 前記湾曲部は、第1の湾曲部と、前記第1の湾曲部の基端側に設けられた第2の湾曲部とを有し、
前記牽引部材の一端は、前記第2の湾曲部に連結されている請求項1に記載の内視鏡。
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