JP2013177678A - 銀微粒子とdnaの複合体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粒子径がナノメートルサイズであり、且つ、銀を高含有する、安価な核酸と銀との複合体や、分散安定性の高い銀微粒子分散液を提供すること。
【解決手段】10〜100mMの銀イオンを含む溶液と60個〜300個の塩基からなるDNAを含む溶液を混合した後、還元して、銀微粒子濃度が0.1〜5質量%となるように銀微粒子分散液を調製し、銀含有量が乾燥重量あたり70質量%以上の、直径が0.5nm〜50nmである銀微粒子とDNAの複合体を得る。
【選択図】なし
【解決手段】10〜100mMの銀イオンを含む溶液と60個〜300個の塩基からなるDNAを含む溶液を混合した後、還元して、銀微粒子濃度が0.1〜5質量%となるように銀微粒子分散液を調製し、銀含有量が乾燥重量あたり70質量%以上の、直径が0.5nm〜50nmである銀微粒子とDNAの複合体を得る。
【選択図】なし
Description
本発明は、銀微粒子とDNAの複合体及びその製造方法、より詳しくは、銀微粒子含有量が乾燥重量あたり70%以上である前記複合体及びその製造方法に関する。
粒子径がナノメートルサイズの銀微粒子等の金属微粒子はマイクロメートルサイズ以上の金属粒子とは異なる性質を示し、また、広い表面積をもつこと、微細な構造を形成することが可能なことなどから、電子材料、触媒材料、抗菌材料あるいは色材など、多様な分野において応用が検討されている。
金属ナノ粒子の製造方法として様々な方法が検討されているが、なかでも金属イオンを含む溶液と分散剤となる物質を混合し、還元剤などを用いて還元して金属ナノ粒子の分散液を得る「液相還元法」は簡便に微細な粒子を製造することができる方法として知られている。
また、核酸塩基が銀イオンと相互作用することが知られており、銀イオンを含む溶液を核酸存在下で還元すると銀微粒子が得られることが報告されている(特許文献1、非特許文献1〜3)。ここでは、合成のオリゴマーやλDNAなどを用いた配列や分子量の限定された核酸が用いられており、蛍光を示すことなどを目的としているため、複合体中の銀の含有量は非常に少ない。更にこのような特定の核酸を用いて作製した銀微粒子はコストが高く、試薬としての利用には適していると考えられるが、一般工業製品に用いるには現実的ではない。
一方、安価に入手可能である魚精巣DNAを用いた金属微粒子の作製方法が報告されている(非特許文献4)。ここでは、硝酸銀と魚精巣DNAを0.1mmol:10mgで混合して銀微粒子を作製している。このとき作製された銀微粒子とDNAの複合体における銀微粒子含有量については明記されていないが、この複合体がDNAと銀微粒子のみで構成されている場合、作製時の硝酸銀とDNAの比から、銀微粒子含有量は約52質量%と算出される。また、合成時の銀含量は約0.05質量%と低く、記載されている2〜3倍のエタノールで銀微粒子を沈殿させて得る方法では製造コストが高く、一般工業製品に用いるには現実的ではない。
銀微粒子の応用として、銀の導電性と微細なサイズを生かした電子材料としての利用が行われている。この場合、粒子のサイズを生かした微細構造を作製するために、粒子をナノサイズで分散し、凝集を防ぐ保護剤が必要であるが、同時に、保護剤は導電性を妨げるものであり、焼結等により除去する必要があるため、保護剤の含量はできるだけ少なく抑えることが望ましい。非特許文献4の場合、原料の比から算出した核酸の含有量は約48質量%と非常に高く、これを除去して用いる場合、焼成に大きなエネルギーがかかる上、焼成により核酸が揮発して欠損が生じ、断線が起こることは明らかであり、電子材料としての利用には不向きである。
また、銀微粒子の抗菌メカニズムには諸説あるが、一般に、銀微粒子の表面から徐放される銀イオンによる効果に加え、微生物が銀微粒子の表面に接触することにより効果が得られると考えられていることから、銀微粒子表面に保護剤が多量に存在すると微生物が接触しにくくなり、抗菌効果を減少させる可能性がある。さらに、銀の触媒活性を利用した触媒として用いる際にも同様のことが言える。このように、銀微粒子の特性を生かした実用性を考えると、非特許文献4で得られる核酸と銀微粒子との複合体は銀含量が低いため、より銀含量の高い複合体の提供が必要である。
また、非特許文献4に記載の方法は、安価な核酸を用いることで原料コストは低減できるが、合成時の銀含量は約0.05質量%と低い。これを記載のとおり2〜3倍のエタノールに沈殿させて銀微粒子の洗浄、濃縮を行った場合、得られる銀微粒子の量はエタノールの使用量に対し約0.02質量%程度であり、実際に工業生産を行うには効率が悪く、生産コストが割高となる。
また、非特許文献4に記載の方法は、安価な核酸を用いることで原料コストは低減できるが、合成時の銀含量は約0.05質量%と低い。これを記載のとおり2〜3倍のエタノールに沈殿させて銀微粒子の洗浄、濃縮を行った場合、得られる銀微粒子の量はエタノールの使用量に対し約0.02質量%程度であり、実際に工業生産を行うには効率が悪く、生産コストが割高となる。
J. Am. Chem. Soc. 126, 5207-5212 (2004)
J. Phys. Chem. C, 111, 175-181 (2007)
Nature Nanotech. 3(2), 81-87 (2008)
Chem. Commun. 46, 7912-7914 (2010)
上記のような状況下、銀の特性を生かした、電子材料、触媒材料、抗菌材料あるいは色材に利用する場合にはできるだけ銀を高含有させる必要があり、粒子径がナノメートルサイズであり、且つ、銀を高含有する、安価な核酸と銀との複合体が求められている。また、分散安定性の高い銀微粒子分散液を提供することにより、材料としての保管安定性や基材への添加安定性が期待できる。本発明の課題は、粒子径がナノメートルサイズであり、且つ、銀を高含有する、安価な核酸と銀との複合体や、分散安定性の高い銀微粒子分散液を提供することにある。さらに、複合体を構成する核酸のリン酸基や塩基との相互作用を利用し、核酸を介して銀微粒子を担体に安定的に担持加工できることが期待できる。
本発明者らは、核酸素材として種々のDNA、銀との混合条件、還元剤との反応条件等につき鋭意検討し、10〜100mMの銀イオンを含む溶液と60個〜300個の塩基からなるDNAを含む溶液を混合した後、還元して、銀微粒子濃度が0.1〜5質量%となるように銀微粒子分散液を調製することにより、工業材料として有利に用いることができる、銀含有量が乾燥重量あたり70%以上という高含量の、直径が0.5nm〜50nmである銀微粒子とDNAの複合体が得られることを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)直径が0.5nm〜50nmである銀微粒子とDNAの複合体であって、DNAが60個〜300個の塩基からなるDNAであり、前記複合体中の銀含有量が乾燥重量あたり70質量%以上であることを特徴とする銀微粒子とDNAの複合体や、(2)DNAが動植物細胞由来のDNAであることを特徴とする上記(1)の銀微粒子とDNAの複合体や、(3)分散液形態又は乾燥形態であることを特徴とする上記(1)又は(2)の銀微粒子とDNAの複合体に関する。
また本発明は、(4)10〜100mMの銀イオンを含む溶液と、60個〜300個の塩基からなるDNAを含む溶液とを混合した後、還元して、銀微粒子濃度が0.1〜5質量%となるように銀微粒子分散液を調製することを特徴とする銀微粒子とDNAの複合体の製造方法や、(5)DNAが動植物細胞由来のDNAであることを特徴とする上記(4)の銀微粒子とDNAの複合体の製造方法や、(6)DNAを含む溶液が、DNAを含むアンモニア水溶液であることを特徴とする上記(4)又は(5)の銀微粒子とDNAの複合体の製造方法や、(7)アンモニア水に溶解した水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元することを特徴とする上記(4)〜(6)のいずれかの銀微粒子とDNAの複合体の製造方法に関する。
本発明によると、粒子径がナノメートルサイズであり、且つ、銀を高含有する、安価で、分散安定性が高く、保管安定性や加工性に優れたDNAと銀との複合体を提供できる。
本発明の銀微粒子とDNAの複合体としては、直径が0.5nm〜50nm、好ましくは1nm〜20nmである銀微粒子とDNAの複合体であって、DNAが60個〜300個、好ましくは60個〜150個の塩基からなるDNAであり、銀含有量が乾燥重量あたり70質量%以上、好ましくは80質量%以上である複合体であれば特に制限されず、また、本発明の銀微粒子とDNAの複合体の製造方法としては、10〜100mM、好ましくは50〜100mMの銀イオンを含む溶液と60個〜300個、好ましくは60個〜150個の塩基からなるDNAを含む溶液とを混合した後、還元して、銀微粒子濃度が0.1〜5質量%、好ましくは0.3〜1質量%となるように銀微粒子分散液を調製する方法であれば特に制限されない。
上記DNAとしては市販されている動植物由来のDNAを有利に用いることができ、例えば、サケ由来のDNAは日生バイオ株式会社等より入手することができる。また、ここで用いられるDNAは一本鎖であっても、二本鎖であってもよい。さらに、60個以上で300個以下の塩基からなるDNA(二本鎖の場合、30〜150塩基対)は安価に入手できるため、コストを考える場合にはこのような分子量の小さいDNAを用いることが好ましい。
本発明で用いることのできるDNAは水に溶解してもよいが、DNAはリン酸基を持つ酸性多糖であることから塩基性溶媒に溶解することが好ましく、さらに銀イオンと錯体を形成して、より安定して直径が0.5nm〜50nmのナノ粒子を生じやすいアンモニア水を用いることが最も好ましい。この場合、アンモニア水の濃度は1〜10%、特に1〜5%が好ましい。
本発明に用いる銀イオン溶液を作製するためには、硝酸銀、塩化銀、硫酸銀、リン酸銀、酸化銀、亜硝酸銀、亜硫酸銀、亜リン酸銀、塩素酸銀、過塩素酸銀などの使用が可能であるが、なかでも、硝酸銀を使用することが好ましい。また、銀イオンを含む溶液の銀イオン濃度としては、上記のように、10〜100mMが好ましく、50〜100mMがより好ましい。
銀イオンを還元する方法としては、還元剤の使用、光照射、超音波照射など様々な方法によって行うことができるが、効率よく還元を行うため、還元剤を用いることが好ましい。還元剤としては、水中で上記銀化合物を還元し、DNAを破壊しないものであれば特に制限はないが、具体的には水素化ホウ素化ナトリウム、シアノ水素化ホウ素化ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩などが挙げられる。ここで、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などが挙げられ、好適にはアスコルビン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムである。このように、還元剤は種々のものが使用できるが、水素化ホウ素ナトリウムの使用が最も好ましい。水素化ホウ素ナトリウムは溶液の状態で添加するが、溶解時の安定性を高め還元反応を均等に進行させるため、1〜10%のアンモニア水で溶解し、冷却して用いることが好ましい。また、還元剤の濃度は問わないが、より高い銀微粒子含量の分散液を作製するため、100mM〜1Mの高濃度で添加することが好ましい。
また、還元後には銀微粒子とDNAの複合体の分散液を精製することが好ましい。精製の目的は主にイオンの除去であるため、イオン交換樹脂による分離や透析膜等を用いた膜分離によって行うことが好ましく、簡便に行うためには膜分離がより好ましい。膜分離は実施条件によって銀微粒子分散液を濃縮することが可能であるが、濃縮装置の性能や精製物の取扱いを考慮すると、還元後の銀微粒子とDNAの複合体の分散液やその精製物中の銀微粒子濃度としては、0.1〜20質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましい。銀微粒子分散液中の銀微粒子とDNAの複合体は分散液形態の複合体であり、銀微粒子分散液を常法により乾燥・脱水すると乾燥形態の銀微粒子とDNAの複合体となる。
以下に、実施例として銀微粒子及び銀微粒子分散液の作製方法と分析結果を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(塩基数の異なるDNAと硝酸銀水溶液の混合状態評価)
サケ白子由来DNAとして、約60個の塩基からなるDNA(日生バイオ製)、約150個〜300個の塩基からなるDNA(大和化成製)、約3万個以上の塩基からなるDNA(バイオケム製)を塩基数濃度1mM〜100mMになるよう1%アンモニア水溶液を用いて調製した。硝酸銀水溶液は純水で10mM〜1Mになるよう調製した。
調製したDNA溶液と硝酸銀水溶液とを体積比1:1〜1:3で混合し、状態を観察した。結果を表1に示す。
サケ白子由来DNAとして、約60個の塩基からなるDNA(日生バイオ製)、約150個〜300個の塩基からなるDNA(大和化成製)、約3万個以上の塩基からなるDNA(バイオケム製)を塩基数濃度1mM〜100mMになるよう1%アンモニア水溶液を用いて調製した。硝酸銀水溶液は純水で10mM〜1Mになるよう調製した。
調製したDNA溶液と硝酸銀水溶液とを体積比1:1〜1:3で混合し、状態を観察した。結果を表1に示す。
表1に示すとおり、DNAと硝酸銀水溶液の混合状態は、各溶液の濃度および塩基数によって異なる結果となった。銀微粒子濃度が高い複合体を調製するためには、より高い濃度の硝酸銀水溶液を使用することが望ましいが、1Mの硝酸銀水溶液に対してはすべての塩基数のDNAがすべての濃度で反応し、濁り又はゲル化が生じた。このことから、1Mの硝酸銀水溶液では単分散の銀微粒子は調製できないことが示唆された。100mM硝酸銀水溶液については、塩基数濃度1mMのDNA溶液ではすべての塩基数のDNAで体積比1:1または1:2では変化が見られず、塩基数濃度10mM、100mMのDNA溶液では約3万塩基以上のDNAで濁りやゲル化が起こり、約60個または約150個〜300個の塩基からなるDNAは体積比1:1または1:2で変化は起こらなかった。
銀微粒子生成におけるDNA溶液と硝酸銀水溶液の比率を検討するため、約60個の塩基からなるDNAの塩基数濃度1mMの溶液と100mM硝酸銀水溶液を1:1で混合し、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)水溶液にて還元を行ったところ、液色の変化はわずかであり、黒色沈殿を大量に生じた。また、塩基数濃度10mMの溶液と100mM硝酸銀溶液を1:1〜1:3で混合し、同様に還元を行ったところ、1:3で混合すると、同様に液色の変化はわずかであり、黒色沈殿を大量に生じたが、1:1、1:2では液色が濃褐色に変化し、沈殿はごくわずかであった。この結果から、100mM硝酸銀水溶液に対しDNA溶液濃度は10mMが適切であり、混合比は1:1または1:2が適切であることがわかった。
この条件で単分散の銀微粒子を調製できるDNA、すなわち、100mM硝酸銀溶液と塩基数濃度10mMで混合して濁り又はゲル化が起こらないDNAは約60個または約150個〜300個の塩基からなるDNAであり、約3万塩基以上のDNAは用いることができないことが明らかとなった。
この条件で単分散の銀微粒子を調製できるDNA、すなわち、100mM硝酸銀溶液と塩基数濃度10mMで混合して濁り又はゲル化が起こらないDNAは約60個または約150個〜300個の塩基からなるDNAであり、約3万塩基以上のDNAは用いることができないことが明らかとなった。
(分散液形態の銀微粒子とDNAの複合体の作製)
約60個の塩基からなるDNAを用いて、分散液形態の銀微粒子とDNAの複合体の作製を行った。実施例1で調製した塩基数濃度10mMのDNA溶液と100mM硝酸銀水溶液とを体積比1:2で混合し、氷水で冷却したのち、1M NaBH4を硝酸銀水溶液と等モルになるよう添加して還元した。還元後の液を透析膜(Viskase Companies, Inc.製、透過分子量14,000、孔径50Å)を用いて一晩透析し、精製した。得られた銀微粒子とDNAの複合体の分散液をサンプル1とする。
約60個の塩基からなるDNAを用いて、分散液形態の銀微粒子とDNAの複合体の作製を行った。実施例1で調製した塩基数濃度10mMのDNA溶液と100mM硝酸銀水溶液とを体積比1:2で混合し、氷水で冷却したのち、1M NaBH4を硝酸銀水溶液と等モルになるよう添加して還元した。還元後の液を透析膜(Viskase Companies, Inc.製、透過分子量14,000、孔径50Å)を用いて一晩透析し、精製した。得られた銀微粒子とDNAの複合体の分散液をサンプル1とする。
実施例2で使用したDNA溶液、硝酸銀を添加した溶液、還元後の液について、すべて同濃度に希釈し、UV−Visスペクトルを紫外可視分光光度計(V−560,JASCO製)によって測定したところ、還元後の液のみ410nm付近に吸収のピークが見られた(図1)。これは銀ナノ粒子のプラズモン吸収と一致しており、実施例2の還元操作によって銀ナノ粒子を形成することが確認できた。
(塩基数の異なるDNAを用いた銀微粒子とDNAの複合体の調製)
約150個〜300個の塩基からなるDNAを用いて、実施例2と同じ方法で銀微粒子とDNAの複合体の調製を行った。得られた銀微粒子とDNAの複合体の分散液をサンプル2とする。
約150個〜300個の塩基からなるDNAを用いて、実施例2と同じ方法で銀微粒子とDNAの複合体の調製を行った。得られた銀微粒子とDNAの複合体の分散液をサンプル2とする。
ICP発光分析装置(ICPE−9000,SHIMADZU製)を用いてサンプルの銀濃度を分析した結果、得られた銀微粒子とDNAの複合体の分散液の銀濃度は、サンプル1で0.57質量%、サンプル2で0.38質量%であった。
(塩基数の異なるDNAを用いて得られた銀微粒子とDNAの複合体の比較)
サンプル1とサンプル2を同じ銀濃度になるよう希釈し、UV−Visスペクトルを測定したところ、いずれも410nm付近に銀のプラズモン吸収と一致する吸収ピークが見られ、銀ナノ粒子の形成が確認できた。サンプル1とサンプル2を比較すると、サンプル2はサンプル1に比べ、ピークの吸光度が低く、500nm以降のベースラインが高くなっている(図2)ことから、様々な粒径の銀ナノ粒子が生成していることが示唆された。
また、サンプル1を透過型電子顕微鏡(JEM−2000ES,JEOL製)、サンプル2を超薄膜評価装置(HD−2000,HITACHI製)にて観察した。この結果、サンプル1は粒径10nm以下の銀微粒子が分散して存在していることが確認できた(図3(a))。一方、サンプル2では微小な粒子と共に20nm程度の大きな粒子が見られ、凝集した状態がSTEM像(図3(b))及びSEM像(図3(c))から確認された。
このことから、塩基数60個、塩基数150個〜300個、いずれのDNAを用いても銀微粒子とDNAの複合体の調製は可能であるが、DNAの塩基数が調製する銀微粒子の形状に大きく影響し、塩基数60個のDNAを使用することにより、塩基数150個を超えるDNAに比べ粒径が小さく揃った銀微粒子を効率よく得られることが明らかとなった。
サンプル1とサンプル2を同じ銀濃度になるよう希釈し、UV−Visスペクトルを測定したところ、いずれも410nm付近に銀のプラズモン吸収と一致する吸収ピークが見られ、銀ナノ粒子の形成が確認できた。サンプル1とサンプル2を比較すると、サンプル2はサンプル1に比べ、ピークの吸光度が低く、500nm以降のベースラインが高くなっている(図2)ことから、様々な粒径の銀ナノ粒子が生成していることが示唆された。
また、サンプル1を透過型電子顕微鏡(JEM−2000ES,JEOL製)、サンプル2を超薄膜評価装置(HD−2000,HITACHI製)にて観察した。この結果、サンプル1は粒径10nm以下の銀微粒子が分散して存在していることが確認できた(図3(a))。一方、サンプル2では微小な粒子と共に20nm程度の大きな粒子が見られ、凝集した状態がSTEM像(図3(b))及びSEM像(図3(c))から確認された。
このことから、塩基数60個、塩基数150個〜300個、いずれのDNAを用いても銀微粒子とDNAの複合体の調製は可能であるが、DNAの塩基数が調製する銀微粒子の形状に大きく影響し、塩基数60個のDNAを使用することにより、塩基数150個を超えるDNAに比べ粒径が小さく揃った銀微粒子を効率よく得られることが明らかとなった。
(組成分析)
実施例2により調製した銀微粒子とDNAの複合体の分散液サンプル1のDNA及び銀含量を測定するため、透析後のサンプルをICP発光分析装置によって分析した。この結果及び乾燥減量法による微粒子の乾燥重量の測定結果から、乾燥重量の85%が銀であることが確認できた。また、DNAと銀の比を算出したところ、DNA塩基数:Ag=1:20(モル比)であり、混合した溶液のモル比と同じモル比であった。
実施例2により調製した銀微粒子とDNAの複合体の分散液サンプル1のDNA及び銀含量を測定するため、透析後のサンプルをICP発光分析装置によって分析した。この結果及び乾燥減量法による微粒子の乾燥重量の測定結果から、乾燥重量の85%が銀であることが確認できた。また、DNAと銀の比を算出したところ、DNA塩基数:Ag=1:20(モル比)であり、混合した溶液のモル比と同じモル比であった。
(熱重量測定)
実施例2により調製した銀微粒子とDNAの複合体の分散液サンプル1を80〜100℃で乾燥し、TG−DTA(TG−DTA6200,SII製)を用いて熱質量分析を行った。200℃、300℃、400℃、500℃、600℃で各4時間保持して重量変化を確認したところ、500℃でDNAの酸化分解が顕著にみられ、4時間加熱後、実施例5で示した銀含量85%とほぼ一致する重量となった(図4(b))。このことから、500℃以上で十分加熱することにより、DNAを完全分解することができると考えられる。
実施例2により調製した銀微粒子とDNAの複合体の分散液サンプル1を80〜100℃で乾燥し、TG−DTA(TG−DTA6200,SII製)を用いて熱質量分析を行った。200℃、300℃、400℃、500℃、600℃で各4時間保持して重量変化を確認したところ、500℃でDNAの酸化分解が顕著にみられ、4時間加熱後、実施例5で示した銀含量85%とほぼ一致する重量となった(図4(b))。このことから、500℃以上で十分加熱することにより、DNAを完全分解することができると考えられる。
(ゼータ電位測定)
実施例2により調製した銀微粒子とDNAの複合体の分散液サンプル1を10倍希釈し、ゼータ電位布測定装置(Delsa Nano HC,BECKMAN COULTER製)を用いてゼータ電位を測定したところ、−76.37mVであり、負に大きく帯電していることがわかった(図5)。また、UV−Visスペクトルの経時変化を作製後6か月まで測定したところ、ほぼ同じスペクトルが得られた。このことから、この銀微粒子とDNAの複合体の分散液は水中での安定性が高いことが確認できた(図6)。
実施例2により調製した銀微粒子とDNAの複合体の分散液サンプル1を10倍希釈し、ゼータ電位布測定装置(Delsa Nano HC,BECKMAN COULTER製)を用いてゼータ電位を測定したところ、−76.37mVであり、負に大きく帯電していることがわかった(図5)。また、UV−Visスペクトルの経時変化を作製後6か月まで測定したところ、ほぼ同じスペクトルが得られた。このことから、この銀微粒子とDNAの複合体の分散液は水中での安定性が高いことが確認できた(図6)。
(乾燥状態の評価)
実施例2により調製した銀微粒子とDNAの複合体の分散液サンプル1を乾燥したところ、銀特有の金属光沢を有する乾燥体が得られた。また、サンプル1をポリエチレンオキサイド(分子量50万)水溶液に重量比0.06:1となるよう混合し、塗布、乾燥したところ、濃褐色の乾燥体が得られた。この結果から、この銀微粒子を色材として使用する場合、銀特有の金属光沢色を生かした色材として用いることができるほか、任意のポリマー等と混合することで、銀微粒子のプラズモン吸収由来の色である黄色あるいは褐色の色材としても使用できることが確認できた。
実施例2により調製した銀微粒子とDNAの複合体の分散液サンプル1を乾燥したところ、銀特有の金属光沢を有する乾燥体が得られた。また、サンプル1をポリエチレンオキサイド(分子量50万)水溶液に重量比0.06:1となるよう混合し、塗布、乾燥したところ、濃褐色の乾燥体が得られた。この結果から、この銀微粒子を色材として使用する場合、銀特有の金属光沢色を生かした色材として用いることができるほか、任意のポリマー等と混合することで、銀微粒子のプラズモン吸収由来の色である黄色あるいは褐色の色材としても使用できることが確認できた。
(再分散性評価)
実施例2により調製した銀微粒子とDNAの複合体の分散液サンプル1を乾燥し、再度水を加えたところ、水に再分散することが可能であり、乾燥前の銀微粒子分散液よりも少量の水への再分散も可能であった。この方法もしくは水を蒸発させて濃縮する方法により、さらに濃度の高い銀微粒子分散液を作製することが可能であることを確認した。
実施例2により調製した銀微粒子とDNAの複合体の分散液サンプル1を乾燥し、再度水を加えたところ、水に再分散することが可能であり、乾燥前の銀微粒子分散液よりも少量の水への再分散も可能であった。この方法もしくは水を蒸発させて濃縮する方法により、さらに濃度の高い銀微粒子分散液を作製することが可能であることを確認した。
(抗菌性評価)
実施例2により調製した銀微粒子とDNAの複合体の分散液サンプル1および市販銀微粒子分散液(Nanopoly Co. Ltd.社製 Colloidal Silver SDW53NP)(比較例1)、硝酸銀水溶液(比較例2)について、以下の方法で大腸菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌に対する抗菌性評価を行った。その結果を表2に示す。
サンプル1は大腸菌、サルモネラ菌に対し濃度依存的に抗菌効果を示し、比較例1に比べ、より低濃度で高い抗菌効果を示した。また、比較例2に比べ、大腸菌では各濃度で抗菌効果が高く、サルモネラ菌ではほぼ同程度の抗菌効果が得られた。銀イオンおよび銀微粒子の抗菌メカニズムの詳細はまだ解明されていないが、銀微粒子の抗菌性について、粒子表面に存在する銀イオンが効果をもたらしていると考えられている。その場合、銀微粒子の粒子径が小さいほど、抗菌効果が高いと考えられ、銀濃度が同じ場合、銀がすべてイオンになっている比較例2は銀微粒子に対し有利であるといえる。しかし、サンプル1は大腸菌、サルモネラ菌に対し比較例2にほとんど劣らない抗菌効果を示したことから、サンプル1の抗菌作用は表面の銀イオンの効果に加え、別のメカニズムも作用していると考えられる。
また、サンプル1は黄色ブドウ球菌に対し、比較例1、比較例2に比べ低いものの、50%以上の抗菌率を示し、抗菌効果を有することが確認できた。
(1)大腸菌(E.coli (JCM1649))に対する抗菌性評価
前培養した試験菌液と評価サンプルを体積比1:1になるように混合した。この混合液をLB寒天培地に0.1ml塗沫し、37℃で18時間培養後、生育した微生物のコロニーを計数した。
(2)サルモネラ菌(S.enterica sp.(JCM1652))に対する抗菌性評価
前培養した試験菌液と評価サンプルを体積比1:1になるように混合した。この混合液をDHL寒天培地に0.1ml塗沫し、37℃で24〜48時間培養後、生育した微生物のコロニーを計数した。
(3)黄色ブドウ球菌(S.aureus sp.(JCM2151))に対する抗菌性評価
前培養した試験菌液と評価サンプルを体積比1:1になるように混合した。この混合液を卵黄加マンニット食塩寒天培地に0.1ml塗沫し、37℃で48時間培養後、生育した微生物のコロニーを計数した。
(4)抗菌率の算出
培養後のコロニー数を、サンプルを添加せずに培養した培地(対照培地)のコロニー数と比較し、下記式によって抗菌率を算出した。
抗菌率(%)=[1−(サンプル添加培地のコロニー数)/(対照培地のコロニー数)]×100
実施例2により調製した銀微粒子とDNAの複合体の分散液サンプル1および市販銀微粒子分散液(Nanopoly Co. Ltd.社製 Colloidal Silver SDW53NP)(比較例1)、硝酸銀水溶液(比較例2)について、以下の方法で大腸菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌に対する抗菌性評価を行った。その結果を表2に示す。
サンプル1は大腸菌、サルモネラ菌に対し濃度依存的に抗菌効果を示し、比較例1に比べ、より低濃度で高い抗菌効果を示した。また、比較例2に比べ、大腸菌では各濃度で抗菌効果が高く、サルモネラ菌ではほぼ同程度の抗菌効果が得られた。銀イオンおよび銀微粒子の抗菌メカニズムの詳細はまだ解明されていないが、銀微粒子の抗菌性について、粒子表面に存在する銀イオンが効果をもたらしていると考えられている。その場合、銀微粒子の粒子径が小さいほど、抗菌効果が高いと考えられ、銀濃度が同じ場合、銀がすべてイオンになっている比較例2は銀微粒子に対し有利であるといえる。しかし、サンプル1は大腸菌、サルモネラ菌に対し比較例2にほとんど劣らない抗菌効果を示したことから、サンプル1の抗菌作用は表面の銀イオンの効果に加え、別のメカニズムも作用していると考えられる。
また、サンプル1は黄色ブドウ球菌に対し、比較例1、比較例2に比べ低いものの、50%以上の抗菌率を示し、抗菌効果を有することが確認できた。
(1)大腸菌(E.coli (JCM1649))に対する抗菌性評価
前培養した試験菌液と評価サンプルを体積比1:1になるように混合した。この混合液をLB寒天培地に0.1ml塗沫し、37℃で18時間培養後、生育した微生物のコロニーを計数した。
(2)サルモネラ菌(S.enterica sp.(JCM1652))に対する抗菌性評価
前培養した試験菌液と評価サンプルを体積比1:1になるように混合した。この混合液をDHL寒天培地に0.1ml塗沫し、37℃で24〜48時間培養後、生育した微生物のコロニーを計数した。
(3)黄色ブドウ球菌(S.aureus sp.(JCM2151))に対する抗菌性評価
前培養した試験菌液と評価サンプルを体積比1:1になるように混合した。この混合液を卵黄加マンニット食塩寒天培地に0.1ml塗沫し、37℃で48時間培養後、生育した微生物のコロニーを計数した。
(4)抗菌率の算出
培養後のコロニー数を、サンプルを添加せずに培養した培地(対照培地)のコロニー数と比較し、下記式によって抗菌率を算出した。
抗菌率(%)=[1−(サンプル添加培地のコロニー数)/(対照培地のコロニー数)]×100
(抗かび性評価)
実施例2により調製した銀微粒子とDNAの複合体の分散液サンプル1および市販銀微粒子分散液(比較例1)、硝酸銀水溶液(比較例2)について、抗かび性評価を行った。試験菌として製品評価技術基盤機構より入手した黒かび(Aspergillus niger (NBRC 105649))を用いた。試験菌を復元液(Peptone 0.5%、Yeast extract 0.3%、MgSO4・7H2O 0.1%、pH7.0)で懸濁し、白金耳にてPDA斜面培地に塗布後、25℃で2〜3日間培養後、胞子を白金耳で釣菌し、滅菌水に懸濁した。この試験菌液と評価サンプルを体積比1:1になるように混合し、2μlをPDA寒天培地の所定の箇所に滴下した。また、対照として、評価サンプルの代わりに水を用いた混合液も同様に滴下した。この培地を25℃で3日間培養し、黒かびの生育を観察した。
培養後の培地の写真を図7に示す。サンプル1は銀濃度250ppm、500ppmでコロニーは見られず、抗かび性を有することが確認できた。比較例1ではともに対照と同程度の大きさのコロニーが確認された(表3)。比較例2ではサンプル1と同様、コロニーは確認されなかった。
実施例2により調製した銀微粒子とDNAの複合体の分散液サンプル1および市販銀微粒子分散液(比較例1)、硝酸銀水溶液(比較例2)について、抗かび性評価を行った。試験菌として製品評価技術基盤機構より入手した黒かび(Aspergillus niger (NBRC 105649))を用いた。試験菌を復元液(Peptone 0.5%、Yeast extract 0.3%、MgSO4・7H2O 0.1%、pH7.0)で懸濁し、白金耳にてPDA斜面培地に塗布後、25℃で2〜3日間培養後、胞子を白金耳で釣菌し、滅菌水に懸濁した。この試験菌液と評価サンプルを体積比1:1になるように混合し、2μlをPDA寒天培地の所定の箇所に滴下した。また、対照として、評価サンプルの代わりに水を用いた混合液も同様に滴下した。この培地を25℃で3日間培養し、黒かびの生育を観察した。
培養後の培地の写真を図7に示す。サンプル1は銀濃度250ppm、500ppmでコロニーは見られず、抗かび性を有することが確認できた。比較例1ではともに対照と同程度の大きさのコロニーが確認された(表3)。比較例2ではサンプル1と同様、コロニーは確認されなかった。
(布への担持)
セルロース系繊維用のカチオン化剤であるダンシェード(R)−185(ニットーボーメディカル製)4gを400mlの水に加えて加熱し、80℃まで昇温した後、綿布を入れて20分間加熱し、炭酸ナトリウムを加えてさらに30分間加熱して、綿布の表面をカチオン処理した。この布を湯と水でよく洗浄し、実施例2により調製した銀微粒子とDNAの複合体の分散液サンプル1に30分間浸して微粒子を担持させた後、外液に色が着かなくなるまで水で10回以上洗浄し自然乾燥した。得られた布をサンプル3とする。
得られた布サンプル3は銀微粒子とDNAの複合体の分散液と同じ濃褐色に着色しており、銀微粒子が担持されていることが目視で確認できた。このサンプルを4%ペルオキソ二硫酸カリウム水溶液に浸し、オートクレーブにて120℃で30分間加熱した後、銀濃度をICP発光分析装置で測定した結果から、この布に付着した銀微粒子の量は、銀重量として布1g当たり約32mgであることを確認した。
セルロース系繊維用のカチオン化剤であるダンシェード(R)−185(ニットーボーメディカル製)4gを400mlの水に加えて加熱し、80℃まで昇温した後、綿布を入れて20分間加熱し、炭酸ナトリウムを加えてさらに30分間加熱して、綿布の表面をカチオン処理した。この布を湯と水でよく洗浄し、実施例2により調製した銀微粒子とDNAの複合体の分散液サンプル1に30分間浸して微粒子を担持させた後、外液に色が着かなくなるまで水で10回以上洗浄し自然乾燥した。得られた布をサンプル3とする。
得られた布サンプル3は銀微粒子とDNAの複合体の分散液と同じ濃褐色に着色しており、銀微粒子が担持されていることが目視で確認できた。このサンプルを4%ペルオキソ二硫酸カリウム水溶液に浸し、オートクレーブにて120℃で30分間加熱した後、銀濃度をICP発光分析装置で測定した結果から、この布に付着した銀微粒子の量は、銀重量として布1g当たり約32mgであることを確認した。
(銀微粒子担持布の担持性確認)
実施例12により調製した銀微粒子とDNAの複合体の担持布サンプル3を切り取り、0.2gをリン酸緩衝液(pH7.2)20mlに浸し、振とう機で20時間振とう後、及び3週間静置後、外液のUV−Visスペクトルを測定したところ、410nm付近の銀ナノ粒子のプラズモン吸収によるピークは確認されなかった。この結果から、銀微粒子とDNAの複合体の担持布はリン酸緩衝液に長期間浸しても銀微粒子が脱落しないことが確認できた。
実施例12により調製した銀微粒子とDNAの複合体の担持布サンプル3を切り取り、0.2gをリン酸緩衝液(pH7.2)20mlに浸し、振とう機で20時間振とう後、及び3週間静置後、外液のUV−Visスペクトルを測定したところ、410nm付近の銀ナノ粒子のプラズモン吸収によるピークは確認されなかった。この結果から、銀微粒子とDNAの複合体の担持布はリン酸緩衝液に長期間浸しても銀微粒子が脱落しないことが確認できた。
(銀微粒子担持布の抗菌性評価)
実施例12により調製した銀微粒子とDNAの複合体の担持布サンプル3の大腸菌に対する抗菌性をシェークフラスコ法によって評価した。未処理布(比較例3)及び実施例13によるリン酸緩衝液処理後のサンプル(サンプル4)についても同様に評価を行った。100ml容ねじ口キャップ付き三角フラスコにリン酸緩衝液(pH7.2)を35ml入れ、121℃で15分間高圧蒸気滅菌した後、前培養した大腸菌(E.coli (JCM1649))の希釈液を2.5ml加え撹拌し、菌液0.5mlを採取した(A液)。試験布(サンプル3、サンプル4、及び比較例3)を0.2g又は0.4g秤量して上記の試験菌液を入れた三角フラスコに添加し、25±1℃の恒温機内において170rpmで1時間及び2時間振とうした後、0.5mlを採取した(B液)。得られたA液、B液を10倍、100倍、1000倍希釈して90mmシャーレに1ml入れ、LB寒天培地約20mlを加えて混合、乾固し、37℃で18時間培養後、生育した微生物のコロニーを計数した。A液及びB液の培地のコロニー数から、下記式によって減菌率を算出した。
減菌率(%)=[(A液のコロニー数)−(B液のコロニー数)/(A液のコロニー数)]×100
得られた減菌率を表4に示す。サンプル3、サンプル4の減菌率は100%であった。一方、比較例3の1時間処理後の減菌率は53.2%であったが、2時間処理後では56.5%で1時間処理後と同程度であったことから、比較例3で1時間処理後に菌が減少したのは、サンプルに菌が吸着したことが原因であると考えられる。サンプル3では比較例3に対し高い減菌率が得られたことから、担持した銀微粒子による抗菌効果が得られたことが確認できた。さらに、サンプル4でもサンプル3と同様に減菌率100%を示したことから、リン酸緩衝液に3週間浸した後でも担持した銀微粒子の抗菌効果が持続していることが確認できた。
実施例12により調製した銀微粒子とDNAの複合体の担持布サンプル3の大腸菌に対する抗菌性をシェークフラスコ法によって評価した。未処理布(比較例3)及び実施例13によるリン酸緩衝液処理後のサンプル(サンプル4)についても同様に評価を行った。100ml容ねじ口キャップ付き三角フラスコにリン酸緩衝液(pH7.2)を35ml入れ、121℃で15分間高圧蒸気滅菌した後、前培養した大腸菌(E.coli (JCM1649))の希釈液を2.5ml加え撹拌し、菌液0.5mlを採取した(A液)。試験布(サンプル3、サンプル4、及び比較例3)を0.2g又は0.4g秤量して上記の試験菌液を入れた三角フラスコに添加し、25±1℃の恒温機内において170rpmで1時間及び2時間振とうした後、0.5mlを採取した(B液)。得られたA液、B液を10倍、100倍、1000倍希釈して90mmシャーレに1ml入れ、LB寒天培地約20mlを加えて混合、乾固し、37℃で18時間培養後、生育した微生物のコロニーを計数した。A液及びB液の培地のコロニー数から、下記式によって減菌率を算出した。
減菌率(%)=[(A液のコロニー数)−(B液のコロニー数)/(A液のコロニー数)]×100
得られた減菌率を表4に示す。サンプル3、サンプル4の減菌率は100%であった。一方、比較例3の1時間処理後の減菌率は53.2%であったが、2時間処理後では56.5%で1時間処理後と同程度であったことから、比較例3で1時間処理後に菌が減少したのは、サンプルに菌が吸着したことが原因であると考えられる。サンプル3では比較例3に対し高い減菌率が得られたことから、担持した銀微粒子による抗菌効果が得られたことが確認できた。さらに、サンプル4でもサンプル3と同様に減菌率100%を示したことから、リン酸緩衝液に3週間浸した後でも担持した銀微粒子の抗菌効果が持続していることが確認できた。
以上のように、本発明によると、60個〜300個の塩基からなるDNAを用いて銀含量の高い銀微粒子の製造が可能となった。これにより、比較的安価に入手できる魚類精巣などから抽出したDNAを使用し、効率よく銀微粒子を製造することができ、工業分野に幅広く応用することが可能である。
Claims (7)
- 直径が0.5nm〜50nmである銀微粒子とDNAの複合体であって、DNAが60個〜300個の塩基からなるDNAであり、前記複合体中の銀含有量が乾燥重量あたり70質量%以上であることを特徴とする銀微粒子とDNAの複合体。
- DNAが動植物細胞由来のDNAであることを特徴とする請求項1記載の銀微粒子とDNAの複合体。
- 分散液形態又は乾燥形態であることを特徴とする請求項1又は2記載の銀微粒子とDNAの複合体。
- 10〜100mMの銀イオンを含む溶液と、60個〜300個の塩基からなるDNAを含む溶液とを混合した後、還元して、銀微粒子濃度が0.1〜5質量%となるように銀微粒子とDNAの複合体の分散液を調製することを特徴とする銀微粒子とDNAの複合体の製造方法。
- DNAが動植物細胞由来のDNAであることを特徴とする請求項4記載の銀微粒子とDNAの複合体の製造方法。
- DNAを含む溶液が、DNAを含むアンモニア水溶液であることを特徴とする請求項4又は5記載の銀微粒子とDNAの複合体の製造方法。
- アンモニア水に溶解した水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元することを特徴とする請求項4〜6のいずれか記載の銀微粒子とDNAの複合体の製造方法。
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JP2013015596A JP2013177678A (ja) | 2012-01-31 | 2013-01-30 | 銀微粒子とdnaの複合体及びその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104399974A (zh) * | 2014-12-16 | 2015-03-11 | 天津工业大学 | 一种金纳米粒子集合体微观结构的连续控制方法 |
CN105127442A (zh) * | 2015-08-20 | 2015-12-09 | 扬州大学 | 一种利用绿咖啡豆提取物作为还原剂合成纳米银胶的方法 |
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Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008224274A (ja) * | 2007-03-09 | 2008-09-25 | Japan Science & Technology Agency | 銀微粒子と核酸の複合体及びその製造方法 |
JP2010209366A (ja) * | 2009-03-06 | 2010-09-24 | Dic Corp | 金属ナノ粒子の製造方法 |
-
2013
- 2013-01-30 JP JP2013015596A patent/JP2013177678A/ja active Pending
Patent Citations (2)
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