JP2013174840A - 光導波路、光配線部品および電子機器 - Google Patents

光導波路、光配線部品および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】交差部における損失や混信を抑制し、高品質の光通信を可能にした光導波路、および、前記光導波路を備えた光配線部品および電子機器を提供すること。
【解決手段】光導波路1は、クラッド層、コア層13およびクラッド層の3層を有している。コア層13には、並列する2つのコア部141、142(第1のコア部)と、コア部145(第2のコア部)と、これらの交差部147と、側面クラッド部151、152、153と、交差部147の近傍に設けられた低屈折率層1491、1492と、を有している。光導波路1の横断面には、各コア部141、142、145に対応する位置にあり相対的に屈折率が高い高屈折率領域WHと、各側面クラッド部151、152、153に対応する位置にあり高屈折率領域WHよりも屈折率が低い低屈折率領域WLと、を含み、全体的に屈折率が連続的に変化してなる第1の屈折率分布W1が形成されている。
【選択図】図6

Description

本発明は、光導波路、光配線部品および電子機器に関するものである。
光搬送波を使用してデータを移送する光通信技術が開発され、近年、この光搬送波を、一地点から他地点に導くための手段として、光導波路が普及しつつある。この光導波路は、線状のコア部と、その周囲を覆うように設けられたクラッド部とを有している。コア部は、光搬送波の光に対して実質的に透明な材料によって構成され、クラッド部は、コア部より屈折率が低い材料によって構成されている。
光導波路では、コア部の一端から導入された光が、クラッド部との境界で反射しながら他端に搬送される。光導波路の入射側には、半導体レーザー等の発光素子が配置され、出射側には、フォトダイオード等の受光素子が配置される。発光素子から入射された光は光導波路を伝搬し、受光素子により受光され、受光した光の明滅パターンもしくはその強弱パターンに基づいて通信を行う。
このような光導波路は、一般に配線基板の表面上に配設されることが多い。近年、配線基板上の光導波路の配設密度が向上するにつれて、光導波路を短くするべく、光路を交差させる必要性が生じている。そして、別個の光導波路同士を交差させるのではなく、同一の光導波路において同一平面上で光路を交差させることにより、光導波路の省スペース化を図る試みがなされている。
例えば、特許文献1には、2本の光導波路をX字状に交差させてなる交差導波路構造が開示されている。
しかしながら、このような交差導波路構造においては、交差部における損失が大きくなったり、交差部における光信号の混信が生じたりして、光通信の品質が低下することが問題となっている。
特開平7−230013号公報
本発明の目的は、交差部における損失や混信を抑制し、高品質の光通信を可能にした光導波路、および、前記光導波路を備えた光配線部品および電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(18)の本発明により達成される。
(1) 第1のコア部と、前記第1のコア部と同一平面上で交わるように配置された第2のコア部と、前記第1のコア部と前記第2のコア部との交差部と、前記第1のコア部および前記第2のコア部の側面に隣接するよう設けられた側面クラッド部と、前記第1のコア部と前記交差部との間に設けられ前記第1のコア部および前記交差部より屈折率の低い低屈折率層と、を有し、
前記第1のコア部および前記第2のコア部が前記各コア部の長手方向に対して直交する面で切断されたとき、得られる各第1の切断面には、それぞれ、前記各コア部に対応する位置にあり相対的に屈折率が高い高屈折率領域と、前記側面クラッド部に対応する位置にあり前記高屈折率領域よりも屈折率が低い低屈折率領域と、を含む全体的に屈折率が連続的に変化してなる第1の屈折率分布が形成されていることを特徴とする光導波路。
(2) 前記低屈折率層を介した前記第1のコア部と前記交差部との間が前記第1のコア部の長手方向に沿う面で切断されたとき、得られる第2の切断面には、全体的に屈折率が連続的に変化してなる第2の屈折率分布が形成されていることを特徴とする光導波路。
(3) さらに、前記第2のコア部と前記交差部との間に設けられ、前記第2のコア部および前記交差部より屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記低屈折率層を介した前記第2のコア部と前記交差部との間が前記第2のコア部の長手方向に沿う面で切断されたとき、得られる第3の切断面には、全体的に屈折率が連続的に変化してなる第3の屈折率分布が形成されている上記(1)または(2)に記載の光導波路。
(4) 前記高屈折率領域は、極大値と、前記極大値から両側に向かって屈折率が連続的に低下する2つの漸減部と、で構成されており、
前記極大値と前記低屈折率領域との屈折率差は、0.005〜0.07である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の光導波路。
(5) 前記第2の屈折率分布における屈折率の分布幅は、0.005〜0.07である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の光導波路。
(6) 前記各屈折率分布は、それぞれ、ポリマー層に分散した屈折率調整成分の濃度に対応して形成されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の光導波路。
(7) 前記各屈折率分布は、それぞれ、ポリマー中に前記ポリマーと屈折率の異なる光重合性モノマーが分散してなる材料で構成された層に対して部分的に光を照射し、前記光重合性モノマーを移動、偏在させることにより、前記層内に屈折率の偏りを生じさせて形成されたものである上記(6)に記載の光導波路。
(8) 前記ポリマーは、(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、およびポリオレフィン系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種である上記(6)または(7)に記載の光導波路。
(9) 前記交差部における前記第1のコア部の光軸と前記第2のコア部の光軸との交差角は、10〜90°である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の光導波路。
(10) 前記第1のコア部の横断面形状および前記第2のコア部の横断面形状は、それぞれ矩形状をなしている上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の光導波路。
(11) 前記交差部の屈折率は、平面視における中心部に極大値を有し、縁部に向かって漸減するよう分布している上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の光導波路。
(12) 前記高屈折率領域は、極大値と、前記極大値から両側に向かって屈折率が連続的に低下する2つの漸減部と、で構成されており、
前記交差部の屈折率の前記極大値は、前記高屈折率領域が有する極大値より大きい上記(11)に記載の光導波路。
(13) 複数の前記第1のコア部を有しており、
前記複数の第1のコア部と前記第2のコア部とが一点で交わるよう形成されている上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の光導波路。
(14) 前記第1のコア部の幅および前記第2のコア部の幅は、それぞれ10〜200μmである上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の光導波路。
(15) 前記低屈折率層の幅は、1〜40μmである上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の光導波路。
(16) 上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の光導波路と、前記光導波路の少なくとも一方の端部に設けられ、前記第1のコア部を他の光学部品と光接続するコネクターと、を有することを特徴とする光配線部品。
(17) 前記光導波路は、その少なくとも一方の端部に形成された、前記第1のコア部の光路を変換するミラーを有する上記(16)に記載の光配線部品。
(18) 請求項(1)ないし(15)のいずれかに記載の光導波路を備えることを特徴とする電子機器。
本発明によれば、交差部における損失や混信を抑制し、高品質の光通信を可能にした光導波路が得られる。
また、本発明によれば、上記光導波路を備えた光配線部品および電子機器が得られる。
本発明の光導波路の第1実施形態を示す(一部切り欠いて、および透過して示す)斜視図である。 図1に示すX−X線断面図について、横軸にコア層の厚さの中心線C1における位置をとり、縦軸に屈折率をとったときの屈折率分布の一例を模式的に示す図である。 図1に示すX−X線断面図について、横軸にコア層の厚さの中心線C1における位置をとり、縦軸に屈折率をとったときの屈折率分布の他の例を模式的に示す図である。 図3に示す屈折率分布を有する光導波路のコア部の1つに光を入射したときの出射光の強度分布の一例を示す図である。 図1に示すX−X線断面図のコア部を中心とする一部を切り出した図、および、X−X線断面図のコア部の幅方向の中心を通過する中心線C2上の屈折率分布Tの一例を模式的に示す図である。 図1に示す光導波路のコア層の交差部近傍を示す部分拡大図、および、交差部の他の構成例を示す部分拡大図である。 図6の部分拡大図、コア部が第2の切断面で切断されたときの切断面における第2の屈折率分布W2を示す図、および、コア部が第3の切断面で切断されたときの切断面における第3の屈折率分布W3を示す図である。 図6に示す光導波路のコア層の交差部近傍の他の構成例を示す部分拡大図である。 図1に示す光導波路のコア部の途中または延長線上にミラーが形成されている例を示す斜視図である。 本発明の光導波路の第2実施形態を示す(一部切り欠いて、および透過して示す)斜視図である。 図10に示すY−Y線断面図の一部のコア部を中心とする一部を切り出した図、および、Y−Y線断面図のコア部の幅方向の中心を通過する中心線C2’上の屈折率分布Tの一例を模式的に示す図である。 図10に示す光導波路のコア部の1つに光を入射したとき、出射側端面における出射光の強度分布の一例を示す図である。 本発明の光配線部品の実施形態を示す断面図である。 多色成形体を得るダイコーターを示す斜視図である。 ダイコーターの一部を拡大して示す縦断面図である。 図1に示す光導波路の製造方法を説明するための図である。 図1に示す光導波路の製造方法を説明するための図である。 図1に示す光導波路の製造方法を説明するための図である。 照射領域と未照射領域との間で屈折率差が生じる様子を説明するための図であり、層の横断面の幅方向の位置を横軸にとり、横断面の屈折率を縦軸にとったときの屈折率分布を示す図である。 光導波路の横断面の屈折率を横軸にとり、横断面の厚さ方向の位置を縦軸にとったときの屈折率分布を示す図である。
以下、本発明の光導波路、光配線部品および電子機器について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<光導波路>
まず、本発明の光導波路について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の光導波路の第1実施形態を示す(一部切り欠いて、および透過して示す)斜視図である。
図1に示す光導波路1は、下側からクラッド層11、コア層13およびクラッド層12の3層を有している。また、図1に示す光導波路1は、下方から支持フィルム2により、上方からカバーフィルム3により、挟まれている。
また、コア層13には、並列する2つのコア部14(第1のコア部)と、これらのコア部14とそれぞれ交差する1つのコア部14(第2のコア部)と、これらのコア部14に隣接する側面クラッド部15とが形成されている。
コア層13には、幅方向において屈折率が偏りを有してなる第1の屈折率分布W1が形成されている。第1の屈折率分布W1は、極大値を含む高屈折率領域と、高屈折率領域よりも屈折率が低い低屈折率領域と、を含み、全体的に屈折率が連続的に変化した分布になっている。このような第1の屈折率分布W1により、コア層13には、高屈折率領域に対応してコア部14が、低屈折率領域に対応して側面クラッド部15が位置することとなる。
この第1の屈折率分布W1は、ポリマー中にこのポリマーとは屈折率の異なる光重合性モノマーが分散してなる材料で構成された層に対して部分的に光を照射し、光重合性モノマーを移動、偏在させることにより、層内に屈折率の偏りを生じさせて形成されたものである。このような原理で形成されるため、第1の屈折率分布W1は、屈折率の変化が連続的なものとなる。
このような特徴を有する光導波路1は、入射された光を屈折率の高い領域に閉じ込めて伝搬することができる。特に第1の屈折率分布W1によれば、屈折率変化が連続的であることから、入射された光は第1の屈折率分布W1の極大値近傍に集中して伝搬する。その結果、伝送損失およびパルス信号の鈍りが抑えられ、大容量の光信号を入射しても信頼性の高い光通信を行うことができる。そして、複数のコア部14が同一平面上で互いに交差している場合でも、光信号の混信が抑制されることとなる。また、光導波路1は、光の照射領域を選択するのみで形成可能であることから、複数のコア部14を形成して多チャンネル化したり、コア部14の間隔を狭めて高密度化したり、さらには一点で多数のコア部14が交差したりしていても、高品質な光通信を維持することができる。
また、第1の屈折率分布W1は、上述したように光重合性モノマーが移動、偏在することにより、屈折率が連続的に変化して形成されたものであるため、コア層13は、コア部14と側面クラッド部15との間に明瞭な構造的界面を有しないものとなる。このため、コア部14と側面クラッド部15との間における剥離やクラックといった問題が生じ難く、光導波路1は信頼性の高いものとなる。
以下、光導波路1の各部について詳述する。
((コア層))
このうち、コア層13において、各コア部14がその長手方向に対して直交する面で切断されたとき、その切断面(第1の横断面)には、前述したように、幅方向において屈折率が偏りを有してなる第1の屈折率分布W1が形成されている。
図2(a)は、図1のX−X線断面図であり、図2(b)は、X−X線断面図のコア層13の厚さ方向の中心を通過する中心線C1上の第1の屈折率分布W1の一例を模式的に示す図である。
第1の屈折率分布W1は、図2(b)に示すように、各コア部14の位置に対応して設けられ、極大値Wmとこの極大値Wmから両側に向かって屈折率が連続的に低下する2つの漸減部とを含み相対的に屈折率が高い高屈折率領域WHと、各側面クラッド部15の位置に対応して設けられ、相対的に屈折率が低い低屈折率領域WLと、を有している。高屈折率領域WHにおいて極大値Wmの両側では、隣接する低屈折率領域WLに向かって屈折率が連続的に低下するよう構成されている。すなわち、高屈折率領域WHでは、極大値Wmを頂点にしてその両側になだらかな裾を引いて低下するよう屈折率が分布している。一方、低屈折率領域WLでは、高屈折率領域WHの屈折率よりも低くかつほぼ一定の屈折率が分布している。
また、第1の屈折率分布W1中に存在する複数の極大値Wmは、互いに同じ値であることが好ましいが、多少ずれていてもよい。その場合、ずれ量は、複数の極大値Wmの平均値の10%以内であるのが好ましい。
なお、並列する2つのコア部14(第1のコア部)は、それぞれ細長い線状をなしており、上記のような第1の屈折率分布W1は、これらのコア部14の長手方向全体においてほぼ同じ分布が維持されている。
一方、これらのコア部14(第1のコア部)と交差するコア部14(第2のコア部)にも、上記のような第1の屈折率分布W1が形成されており、このコア部14の長手方向全体においてほぼ同じ分布が維持されている。
以上のような第1の屈折率分布W1に伴い、図2に示すコア層13には、長尺状の2つのコア部14と、これらのコア部14と交差するコア部14と、これらのコア部14の側面に隣接する側面クラッド部15とが形成されることとなる。
より詳しくは、図1に示すコア層13には、並列する2つのコア部141、142(第1のコア部)と、これらと交差するコア部145(第2のコア部)と、これらのコア部以外の領域に設けられた側面クラッド部151、152、153と、が設けられている。これにより、各コア部141、142、145は、それぞれ各側面クラッド部151、152、153および各クラッド層11、12で囲まれた状態となる。ここで、これらのコア部141、142、145の屈折率は、側面クラッド部151、152、153の屈折率より高くなっているので、各コア部141、142、145の幅方向において光を閉じ込めることができる。なお、図1に示す各コア部14には密なドットを付し、各側面クラッド部15には疎なドットを付している。
また、光導波路1では、コア部14の一方の端部に入射された光を、各コア部14の厚さ方向においても閉じ込めつつ他方に伝搬させることにより、コア部14の他方の端部から取り出すことができる。
なお、図1に示すコア部14では、その横断面形状が正方形または長方形のような四角形(矩形)をなしているが、この形状は特に限定されず、例えば、真円、楕円形、長円形等の円形、三角形、五角形、六角形等の多角形であってもよい。コア部14の横断面形状が矩形状であることにより、安定した品質のコア部14を効率よく製造することができる。
コア部14の幅および高さ(コア層13の厚さ)は、特に限定されないが、それぞれ、1〜200μm程度であるのが好ましく、5〜100μm程度であるのがより好ましく、10〜70μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、光導波路1におけるクロストークをより抑制することができる。
また、第1の屈折率分布W1は、全体的に屈折率が連続的に変化している。これにより、屈折率が階段状に変化したいわゆるステップインデックス型の屈折率分布を有する光導波路に比べ、コア部14に光を閉じ込める作用がより増強されるため、伝送損失のさらなる低減が図られる。
さらに、第1の屈折率分布W1では、極大値を有するとともに屈折率が連続的に変化しているため、光の速度が屈折率に反比例するという性質により、光の速度は中心から離れるにつれて速くなり、光路ごとの伝搬時間に差が生じ難くなる。このため、伝送波形が崩れ難くなり、例えば伝送光にパルス信号が含まれている場合でも、パルス信号の鈍り(パルス信号の広がり)を抑制することができる。それに加え、交差部における伝送光の混信が抑制される。その結果、光通信の品質をより高め得る光導波路1が得られる。
なお、第1の屈折率分布W1において屈折率が連続的に変化しているとは、第1の屈折率分布W1の曲線が各部で丸みを帯びており、この曲線が微分可能なものであるという状態である。
また、第1の屈折率分布W1のうち、極大値Wmは、図2に示すようにコア部141、142に位置しているが、コア部141、142の中でもその幅の中心部に位置しているのが好ましい。これにより、各コア部141、142では、伝送光がコア部141、142の幅の中心部に集まる確率が高くなり、相対的に側面クラッド部151、152、153に漏れ出る確率が低くなる。その結果、コア部141、142の伝送損失をより低減することができる。
なお、コア部141の幅の中心部とは、高屈折率領域WHの中心から両側に、高屈折率領域WHの幅の30%の距離の領域である。
また、極大値Wmと低屈折率領域WLにおける平均屈折率との差は、できるだけ大きい方がよいが、0.005〜0.07程度であるのが好ましく、0.007〜0.05程度であるのがより好ましく、0.01〜0.03程度であるのがさらに好ましい。これにより、コア部141、142中に光を確実に閉じ込めることができる。すなわち、屈折率差が前記下限値を下回る場合、コア部141、142から光が漏れ出るおそれがある。一方、屈折率差が前記上限値を上回る場合、光を閉じ込める効果のそれ以上の向上は期待できないばかりか、光導波路1の製造が困難になる。
また、コア部141、142における第1の屈折率分布W1は、図2(b)に示すように、横軸にコア層13の横断面の位置をとり、縦軸に屈折率をとったとき、極大値Wm近傍の形状が上に凸の略U字状であるのが好ましい。これにより、コア部141、142における光の閉じ込め作用がより顕著なものとなる。
一方、低屈折率領域WLにおける平均屈折率からのずれ量は、平均屈折率の5%以内であるのが好ましい。これにより、低屈折率領域WLは、側面クラッド部15として確実に機能する。
ここで、上述したような第1の屈折率分布W1によれば、伝送損失の低減、パルス信号の鈍りの低減、クロストークの抑制、交差部における混信の抑制等の効果を得ることができるが、本発明者は、これらの効果が側面クラッド部の平均幅WCL、あるいは、コア部の平均幅WCOと側面クラッド部の平均幅WCLとの比に大きな影響を受けることを見出した。そして、これらの因子が所定の範囲内にあるとき、前述の効果がより顕著で確実なものになることを見出した。
すなわち本発明では、コア部14の平均幅WCOと側面クラッド部15の平均幅WCLとの比(WCO/WCL)は、0.1〜10の範囲とされるのが好ましい。コア部14と側面クラッド部15との間で幅の比を最適化することにより、前述した各効果をそれぞれ高度化することができる。したがって、例えばWCO/WCLが前記下限値未満である場合、コア部14の平均幅が狭くなり過ぎるので、クロストークの低減が図られるものの、伝送損失が大きくなり易く、また光導波路1の小型化が妨げられるおそれがある。また、WCO/WCLが前記上限値超である場合、側面クラッド部15の平均幅が狭くなり過ぎるので、クロストークが増加し、さらにはコア部14の平均幅が広くなり過ぎるため、パルス信号の鈍りが増大するおそれがある。
なお、WCO/WCLは、より好ましくは0.1〜5程度とされ、さらに好ましくは0.2〜4程度とされる。
一方、本発明では、WCO/WCLと独立して、あるいはそれに加え、側面クラッド部15の平均幅WCLが5〜250μmの範囲内にあることが好ましい。これにより、前述した各効果をそれぞれ高度化することができる。したがって、例えばWCLが前記下限値未満である場合、側面クラッド部15の平均幅が狭くなり過ぎるので、パルス信号の鈍りが増大したり、クロストークが増加したりするおそれがある。また、WCLが前記上限値超である場合、第1の屈折率分布W1の形状を最適化することができず、伝送損失が大きくなるおそれがある。さらに、光導波路1の小型化が困難になるおそれがある。
なお、WCLは、より好ましくは10〜200μmの範囲内にあるとされ、さらに好ましくは10〜120μmの範囲内にあるとされる。
また、第1の屈折率分布W1は、各極大値Wm近傍において、屈折率が実質的に変化していない平坦部を含んでいてもよい。この場合でも、本発明の光導波路は前述したような作用・効果を奏するものとなる。ここで、屈折率が実質的に変化していない平坦部とは、屈折率の変動が0.001未満である領域であって、その両側では屈折率が連続的に低下している領域のことをいう。
平坦部の長さは、特に限定されないが、好ましくは100μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下とされる。
また、前述した漸減部では、屈折率の変化率が0.001〜0.035[/10μm]程度であるのが好ましく、0.002〜0.030[/10μm]程度であるのがより好ましい。屈折率の変化率が前記範囲内であれば、各コア部14における伝送損失の低減、パルス信号の鈍りの低減、クロストークの抑制、交差部における混信の抑制等の効果がより増強される。
また、本実施形態では、コア層13に3つのコア部14を有する場合について説明したが、コア部14の数は特に限定されず、2つまたは4つ以上であってもよい。その場合も、第1の屈折率分布W1は、各コア部14に対応して高屈折率領域WHを有し、高屈折率領域WH同士の間には低屈折率領域WLが存在する分布になる。
上述したようなコア層13の構成材料(主材料)は、上記の屈折率差が生じる材料であれば特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、PETやPBTのようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料の他、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスのようなガラス材料等を用いることができる。なお、樹脂材料は、異なる組成のものを組み合わせた複合材料であってもよい。
また、これらの中でも特に(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、およびポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、(メタ)アクリル系樹脂またはエポキシ系樹脂がより好ましい。これらの樹脂材料は、光の透過性が高いことから、特に伝送損失の小さい光導波路1が得られる。
なお、第1の屈折率分布W1は、さらに、高屈折率領域WHと低屈折率領域WLとの間に極小値を有していてもよい。これにより、光を屈折率の高い領域に閉じ込めて伝搬する機能が増強され、伝送損失およびパルス信号の鈍りを特に小さく抑えることができる。
また、低屈折率領域WLには、高屈折率領域WHに含まれる極大値(これを「第1の極大値」とする。)より小さい極大値(これを「第2の極大値」とする。)が含まれているのが好ましい。低屈折率領域WLにこのような第2の極大値が含まれていることにより、幅方向に隣接するコア部の間のクロストークが抑制される。その結果、コア層13中に複数のコア部を形成して多チャンネル化したり、コア部の間隔を狭めて高密度化したりしても、光導波路1であれば、高品質な光通信を維持することができる。そして、複数のコア部14が同一平面上で互いに交差している場合でも、光信号の混信が抑制されることとなる。
図3(a)は、図1のX−X線断面図であり、図3(b)は、X−X線断面図のコア層13の厚さ方向の中心を通過する中心線C1上の第1の屈折率分布W1の他の例を模式的に示す図である。
図3(b)に示す第1の屈折率分布W1は、4つの極小値Ws1、Ws2、Ws3、Ws4と、5つの極大値Wm1、Wm2、Wm3、Wm4、Wm5と、を有している。また、5つの極大値には、相対的に屈折率の大きい極大値(第1の極大値)Wm2、Wm4と、相対的に屈折率の小さい極大値(第2の極大値)Wm1、Wm3、Wm5とが存在している。
このうち、極小値Ws1と極小値Ws2との間および極小値Ws3と極小値Ws4との間には、極大値Wm2および極大値Wm4が存在している。
図3に示す光導波路1では、極小値Ws1と極小値Ws2との間に、相対的に屈折率の大きい極大値Wm2が位置していることから、この領域がコア部14となり、同様に、極小値Ws3と極小値Ws4との間にも極大値Wm4が位置していることからコア部14となる。なお、ここでは、極小値Ws1と極小値Ws2との間をコア部141とし、極小値Ws3と極小値Ws4との間をコア部142とする。
また、極小値Ws1の左側の領域、極小値Ws2と極小値Ws3との間、および極小値Ws4の右側の領域は、それぞれコア部14を両側面に隣接する領域であることから側面クラッド部15となる。なお、ここでは、極小値Ws1の左側の領域を側面クラッド部151とし、極小値Ws2と極小値Ws3との間を側面クラッド部152とし、極小値Ws4の右側の領域を側面クラッド部153とする。
すなわち、第1の屈折率分布W1は、少なくとも、第2の極大値、極小値、第1の極大値、極小値、第2の極大値がこの順で並ぶ領域を有していればよい。なお、この領域は、コア部の数に応じて繰り返し設けられ、本実施形態のようにコア部14が2つである場合、第1の屈折率分布W1は、第2の極大値、極小値、第1の極大値、極小値、第2の極大値、極小値、第1の極大値、極小値、第2の極大値のように、極大値と極小値が交互に並び、かつ極大値については第1の極大値と第2の極大値が交互に並ぶ領域を有していればよい。
また、これら複数の極小値、複数の第1の極大値、および複数の第2の極大値は、それぞれ互いにほぼ同じ値であることが好ましいが、極小値は第1の極大値や第2の極大値より小さく、第2の極大値は第1の極大値より小さいという関係が保持されれば、互いの値が多少ずれていても差し支えない。その場合、ずれ量は、複数の極小値の平均値の10%以内に抑えられているのが好ましい。
ここで、4つの極小値Ws1、Ws2、Ws3、Ws4は、それぞれ、隣接する側面クラッド部15における平均屈折率WA未満である。これにより、各コア部14と各側面クラッド部15との境界には、側面クラッド部15よりもさらに屈折率の小さい領域が存在することとなる。その結果、各極小値Ws1、Ws2、Ws3、Ws4の近傍では、より急峻な屈折率の勾配が形成され、これにより、各コア部14からの光の漏れが抑制されるため、伝送損失の小さい光導波路1が得られる。
また、図3に示す第1の屈折率分布W1のうち、極大値Wm1、Wm3、Wm5は、側面クラッド部151、152、153中に位置しているが、特に側面クラッド部151、152、153の縁部近傍(コア部141、142との界面近傍)以外に位置しているのが好ましい。これにより、コア部141、142中の極大値Wm2、Wm4と、側面クラッド部151、152、153中の極大値Wm1、Wm3、Wm5とが、互いに十分に離間したものとなるため、コア部141、142中の伝送光が、側面クラッド部151、152、153中に漏れ出る確率を十分に低くすることができる。その結果、コア部141、142の伝送損失を低減することができる。
なお、側面クラッド部151、152、153の縁部近傍とは、前述した縁部から内側に、側面クラッド部151、152、153の幅の5%の距離の領域である。
また、極大値Wm1、Wm3、Wm5は、側面クラッド部151、152、153の幅の中央部に位置しており、しかも、極大値Wm1、Wm3、Wm5から隣接する極小値Ws1、Ws2、Ws3、Ws4に向かっては、屈折率が連続的に低下しているのが好ましい。これにより、コア部141、142中の極大値Wm2、Wm4と、側面クラッド部151、152、153中の極大値Wm1、Wm3、Wm5との離間距離は、最大限確保され、しかも極大値Wm1、Wm3、Wm5近傍に光を確実に閉じ込めることができることになるため、前述したコア部141、142からの伝送光の漏出をより確実に抑制することができる。
さらに、極大値Wm1、Wm3、Wm5は、前述したコア部141、142に位置する極大値Wm2、Wm4よりも屈折率の小さいものであるので、コア部141、142のような高い光伝送性は有しないものの、周囲よりも屈折率が高くなっているため、わずかな光伝送性を有することとなる。その結果、側面クラッド部151、152、153は、コア部141、142から漏出した伝送光を閉じ込めることで、他のコア部への波及を防止する作用を有するものとなる。すなわち、極大値Wm1、Wm3、Wm5が存在することで、クロストークを抑制することができる。
なお、極小値Ws1、Ws2、Ws3、Ws4は、前述したように、隣接する側面クラッド部15の平均屈折率WA未満であるが、その差は、所定の範囲内であることが望まれる。具体的には、極小値Ws1、Ws2、Ws3、Ws4と側面クラッド部15の平均屈折率WAとの差は、極小値Ws1、Ws2、Ws3、Ws4とコア部141、142中の極大値Wm2、Wm4との差の3〜80%程度であるのが好ましく、5〜50%程度であるのがより好ましく、7〜20%程度であるのがさらに好ましい。これにより、側面クラッド部15は、クロストークを抑制するのに必要かつ十分な光伝送性を有するものとなる。なお、極小値Ws1、Ws2、Ws3、Ws4と側面クラッド部15の平均屈折率WAとの差が前記下限値を下回る場合は、側面クラッド部15における光伝送性が小さ過ぎて、クロストークを十分に抑制することができないおそれがあり、前記上限値を上回る場合には、側面クラッド部15における光伝送性が大き過ぎて、コア部141、142の光伝送性に悪影響を及ぼすおそれがある。
また、極小値Ws1、Ws2、Ws3、Ws4と極大値Wm1、Wm3、Wm5との差は、極小値Ws1、Ws2、Ws3、Ws4と極大値Wm2、Wm4との差の6〜90%程度であるのが好ましく、10〜70%程度であるのがより好ましく、14〜40%程度であるのがさらに好ましい。これにより、側面クラッド部15における屈折率の高さとコア部14における屈折率の高さとのバランスが最適化され、光導波路1は、特に優れた光伝送性を有するとともにクロストークをより確実に抑制し得るものとなる。
なお、極小値Ws1、Ws2、Ws3、Ws4とコア部141、142中の極大値Wm2、Wm4との屈折率差は、できるだけ大きい方がよいが、0.005〜0.07程度であるのが好ましく、0.007〜0.05程度であるのがより好ましく、0.01〜0.03程度であるのがさらに好ましい。これにより、上述した屈折率差が、コア部141、142中に光を閉じ込めるのに必要かつ十分なものとなる。
ここで、図4は、図3に示す屈折率分布を有する光導波路1のコア部141に光を入射したときの出射光の強度分布を示す図である。この強度分布は、光導波路1に形成された並列する2つのコア部141、142のうち、コア部141の端部に光を入射したときの他方の端部における出射光の強度分布である。
コア部141に光を入射すると、出射光の強度は、コア部141の出射端の中心部において最も大きくなる。そして、コア部141の中心部から離れるにつれて出射光の強度は小さくなるが、光導波路1では、コア部141に隣り合うコア部142において極小値をとるような強度分布が得られる。このようにコア部142の位置に出射光の強度分布の極小値が一致することで、コア部142におけるクロストークは極めて小さく抑えられることとなる。その結果、多チャンネル化および高密度化によってもクロストークの発生を確実に防止し得る光導波路1が得られる。
なお、従来の光導波路では、光を入射するコア部に隣り合うコア部において出射光の強度分布が極小値をとることはなく、むしろ極大値をとっていたので、クロストークの問題が発生していた。これに対し、上述したような本発明の光導波路における出射光の強度分布は、クロストークを抑制する上で極めて有用なものである。
本発明の光導波路においてこのような強度分布が得られる詳細な理由は明らかでないものの、理由の1つとしては、極小値Ws1、Ws2、Ws3、Ws4を有し、かつ、第1の屈折率分布W1全体で屈折率が連続的に変化している、という特徴的な第1の屈折率分布W1が、従来であればコア部142において極大値を有していた出射光の強度分布を、コア部142に隣接する側面クラッド部153等にシフトさせていることが挙げられる。すなわち、この強度分布のシフトにより、クロストークが確実に抑制されているのである。
なお、出射光の強度分布が側面クラッド部15にシフトしたとしても、受光素子等はコア部14の位置に合わせて配置されているため、クロストークを招くおそれはほとんどなく、光通信の品質を劣化させることはない。
また、上記のような出射光の強度分布は、本発明の光導波路において少なくとも2つのコア部14が並列して形成されている場合には観測される確率は高いものの、必ず観測されるわけではなく、入射光のNA(numerical aperture)やコア部141の横断面積、コア部141、142のピッチ等によっては、明瞭な極小値が観測されなかったり、極小値の位置がコア部142から外れたりする場合もあるが、このような場合でもクロストークは十分に抑制される。
また、図3(b)に示す第1の屈折率分布W1において、側面クラッド部15における平均屈折率をWAとしたとき、極大値Wm2、Wm4近傍における屈折率が連続して平均屈折率WA以上である部分の幅をa[μm]とし、極小値Ws1、Ws2、Ws3、Ws4近傍における屈折率が連続して平均屈折率WA未満である部分の幅をb[μm]とする。このとき、bは、0.01a〜1.2a程度であるのが好ましく、0.03a〜1a程度であるのがより好ましく、0.1a〜0.8a程度であるのがさらに好ましい。これにより、極小値Ws1、Ws2、Ws3、Ws4の実質的な幅が、上述した作用・効果を奏するのに必要かつ十分なものとなる。すなわち、bが前記下限値を下回っている場合は、極小値Ws1、Ws2、Ws3、Ws4の実質的な幅が狭過ぎるため、コア部141、142に光を閉じ込める作用が低下するおそれがある。一方、bが前記上限値を上回っている場合は、極小値Ws1、Ws2、Ws3、Ws4の実質的な幅が広過ぎて、その分、コア部141、142の幅やピッチが制限され、伝送効率が低下したり多チャンネル化および高密度化が妨げられるおそれがある。
なお、側面クラッド部15における平均屈折率WAは、極大値Wm1と極小値Ws1との中点で近似することができる。
((クラッド層))
クラッド層11および12は、それぞれ、コア層13の下部および上部に位置するクラッド部を構成するものである。
クラッド層11、12の平均厚さは、コア層13の平均厚さ(各コア部14の平均高さ)の0.05〜1.5倍程度であるのが好ましく、0.1〜1.25倍程度であるのがより好ましく、具体的には、クラッド層11、12の平均厚さは、特に限定されないが、それぞれ、通常、1〜200μm程度であるのが好ましく、3〜100μm程度であるのがより好ましく、5〜60μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、光導波路1が必要以上に大型化(厚膜化)するのを防止しつつ、クラッド部としての機能が好適に発揮される。
また、クラッド層11および12の構成材料としては、例えば、前述したコア層13の構成材料と同様の材料を用いることができるが、特に(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、またはポリオレフィン系樹脂が好ましく、(メタ)アクリル系樹脂またはエポキシ系樹脂がより好ましい。
また、コア層13の構成材料およびクラッド層11、12の構成材料を選択する場合、両者の間の屈折率差を考慮して材料を選択すればよい。具体的には、コア部14において光を確実に閉じ込めるため、コア部14の構成材料の屈折率が十分に大きくなるように材料を選択すればよい。これにより、光導波路1の厚さ方向において十分な屈折率差が得られ、各コア部14からクラッド層11、12に光が漏れ出るのを抑制することができる。
なお、光の減衰を抑制する観点からは、コア層13の構成材料とクラッド層11、12の構成材料との密着性(親和性)が高いことも重要である。
一方、光導波路1の厚さ方向の屈折率分布Tは、コア部14の屈折率が高く、クラッド層11、12の屈折率が低ければその形状は特に限定されない(例えば、ステップインデックス型、屈折率が連続的に変化したいわゆるグレーデッドインデックス型でもよい。)が、コア部14に極大値を有し、コア部14とクラッド層11、12との境界付近に極小値を有しているのが好ましい。なお、「屈折率が連続的に変化」とは、前述した屈折率分布Wと同様、屈折率分布Tの曲線が各部で丸みを帯びており、この曲線が微分可能なものであるという状態である。
図5(a)、(c)は、図1に示すX−X線断面図のコア部を中心とする一部を切り出した図であり、図5(b)、(d)は、X−X線断面図のコア部の幅方向の中心を通過する中心線C2上の屈折率分布Tの一例を模式的に示す図である。なお、図5(b)、(d)は、横軸に屈折率をとり、縦軸に中心線C2上の位置をとったときの屈折率分布Tの一例を示す図である。
前述したように、光導波路1は、クラッド層11、コア層13およびクラッド層12に分かれているが、その横断面のうち、図5(b)に示すコア部14における厚さ方向の屈折率分布Tは、その中心部に位置する極大値Tmと、極大値Tmの両側にそれぞれ位置する極小値Ts1、Ts2を有している。なお、極大値Tmの下側に位置する極小値をTs1とし、上側に位置する極大値をTs2とする。
光導波路1では、図5(b)に示すように、極小値Ts1と極小値Ts2との間が極大値Tmを含んでいることから、この領域がコア部14となる。
一方、極小値Ts1の下側の領域がクラッド層11となり、極小値Ts2の上側の領域がクラッド層12となる。
すなわち、屈折率分布Tは、少なくとも、極小値、極大値、極小値がこの順で並ぶ領域を有していればよい。
なお、この領域は、コア層13が積層される数に応じて繰り返し設けられ、例えばクラッド層を介してコア層13を2層設けた場合、屈折率分布Tでは、極小値と極大値が交互に並ぶこととなる。この場合、極大値については、相対的に大きい第1の極大値と相対的に小さい第2の極大値が交互に並んでいるのが好ましい。すなわち、第2の極大値、極小値、第1の極大値、極小値、第2の極大値、極小値、第1の極大値・・・のように並んでいるのが好ましい。
また、これらの複数の極小値、複数の第1の極大値、および複数の第2の極大値は、それぞれ互いにほぼ同じ値であることが好ましいが、極小値は第1の極大値や第2の極大値より小さく、第2の極大値は第1の極大値より小さいという関係が保持されれば、互いの値が多少ずれていても差し支えない。その場合、ズレ量は、複数の極小値の平均値の10%以内に抑えられているのが好ましい。
また、光導波路1は、細長い帯状をなしており、上記のような屈折率分布Tは、光導波路1の長手方向全体においてほぼ同じ分布が維持されている。
ここで、極小値Ts1は、クラッド層11における平均屈折率TA未満であり、極小値Ts2は、クラッド層12における平均屈折率TA未満である。これにより、コア部14と各クラッド層11、12との間に、各クラッド層11、12よりもさらに屈折率の小さい領域が存在することとなる。その結果、各極小値Ts1、Ts2の近傍では、より急峻な屈折率の勾配が形成され、これにより、各コア部14から各クラッド層11、12への光の漏れが抑制されるため、伝送損失の小さい光導波路1が得られる。
また、屈折率分布Tは、全体で屈折率が連続的に変化している。これにより、ステップインデックス型の屈折率分布を有する光導波路に比べ、コア部14に光を閉じ込める作用がより増強されるため、伝送損失のさらなる低減が図られる。
さらに、屈折率分布Tでは、上述したような各極小値Ts1、Ts2を有するとともに屈折率が連続的に変化しているため、光の速度が屈折率に反比例するという性質により、光の速度は中心から離れるにつれて速くなり、光路ごとの伝搬時間に差が生じ難くなる。このため、伝送波形が崩れ難くなり、例えば伝送光にパルス信号が含まれている場合でも、パルス信号の鈍り(パルス信号の広がり)を抑制することができる。その結果、光通信の品質をより高め得る光導波路1が得られる。
なお、屈折率分布Tにおいて屈折率が連続的に変化しているとは、屈折率分布Tの曲線が各部で丸みを帯びており、この曲線が微分可能なものであるという状態である。
また、屈折率分布Tのうち、極大値Tmは、図5(b)に示すようにコア部14に位置しているが、コア部14の中でもその厚さの中心部に位置している。これにより、コア部14では、伝送光がコア部14の厚さの中心部に集まる確率が高くなり、相対的に各クラッド層11、12に漏れ出る確率が低くなる。その結果、コア部141、142の伝送損失をより低減することができる。
なお、コア部14の厚さの中心部とは、極小値Ts1と極小値Ts2との間の中点から両側に、コア部14の厚さの30%の距離の領域である。
また、極大値Tmの位置は、必ずしも中心部でなくても、コア部14の縁部近傍(各クラッド層11、12との界面近傍)以外に位置していればよい。これにより、コア部14の伝送損失をある程度抑えることができる。
なお、コア部14の縁部近傍とは、前述した縁部から内側に、コア部14の厚さの5%の距離の領域である。
一方、屈折率分布Tでは、各クラッド層11、12において、コア部14との界面近傍以外で最も高く、コア部14との界面近傍で最も低くなるよう屈折率が変化している。これにより、コア部14中の極大値Tmと、各クラッド層11、12中における屈折率の高い領域とが、互いに十分に離間したものとなるため、コア部14中の伝送光が、各クラッド層11、12中に漏れ出る確率を十分に低くすることができる。その結果、コア部14の伝送損失を低減することができる。
なお、各クラッド層11、12におけるコア部14との界面近傍とは、この界面から内側に、各クラッド層11、12の厚さの5%の距離の領域である。
また、各クラッド層11、12における平均屈折率TAは、極小値Ts1、Ts2と各クラッド層11、12における最大値との中点で近似することができる。
また、極小値Ts1、Ts2は、前述したように、各クラッド層11、12の平均屈折率TA未満であるが、両者の差は、所定の範囲内であることが望まれる。具体的には、極小値Ts1、Ts2とクラッド層11、12の平均屈折率TAとの差は、極小値Ts1、Ts2とコア部14中の極大値Tmとの差の3〜80%程度であるのが好ましく、5〜50%程度であるのがより好ましく、7〜30%程度であるのがさらに好ましい。これにより、各クラッド層11、12は、クロストークを抑制するのに必要かつ十分な光伝送性を有するものとなる。なお、極小値Ts1、Ts2と各クラッド層11、12の平均屈折率TAとの差が前記下限値を下回る場合は、各クラッド層11、12における光伝送性が小さ過ぎて、クロストークを十分に抑制することができないおそれがあり、前記上限値を上回る場合には、各クラッド層11、12における光伝送性が大き過ぎて、コア部14の光伝送性に悪影響を及ぼすおそれがある。
また、極小値Ts1、Ts2とコア部14中の極大値Tmとの屈折率差は、できるだけ大きい方がよいが、0.005〜0.07程度であるのが好ましく、0.007〜0.05程度であるのがより好ましく、0.01〜0.05程度であるのがさらに好ましい。これにより、上述した屈折率差が、コア部14中に光を閉じ込めるのに必要かつ十分なものとなる。
なお、前述したように、屈折率分布Tは、図5(d)に示すような、いわゆるグレーデッドインデックス型の分布であってもよい。図5(d)に示す屈折率分布Tは、コア部14に極大値Tmを有し、クラッド層11、12では極大値Tmより小さい一定の屈折率を有している。
((交差部))
図6(a)は、図1に示す光導波路1のコア層13の交差部近傍を示す部分拡大図である。
図6(a)に示す光導波路1は、コア部141、142(第1のコア部)とコア部145(第2のコア部)との交差部147と、この交差部147とコア部141、142との間に設けられ、コア部141、142および交差部147より屈折率の低い低屈折率層1491と、を有している。低屈折率層1491を設けることにより、交差部147と低屈折率層1491との界面では交差部147に入射された光を、図6(a)に矢印R1で示すように反射させる確率がより上昇する。その結果、コア部141、142に交差するコア部145を伝搬する光がコア部141、142側へ漏れ出し、混信してしまうのを防止することができる。
一方、図6(a)に示す光導波路1は、交差部147とコア部145との間に設けられ、コア部145および交差部147より屈折率の低い低屈折率層1492を有している。低屈折率層1492を設けることにより、交差部147と低屈折率層1492との界面では、交差部147に入射された光を図6(a)に矢印R2で示すように反射させる確率がより上昇する。その結果、コア部141、142を伝搬する光がコア部145側へ漏れ出し、混信してしまうのを防止することができる。
なお、図6(a)では、交差部147の両側にそれぞれ低屈折率層1491、1492が設けられているが、いずれかの側のみに設けられていてもよい。この場合でも上記効果が得られる。
図6(b)は、コア部141とコア部145との交差部147の他の構成例を示す拡大図であり、コア部141とコア部145との交差角が異なること、および、交差部147の一方の側のみに低屈折率層1491、1492が設けられていること以外、図6(a)と同様である。
図6(b)の光導波路1では、交差部147近傍のうち、光の伝送方向の下流側のみに低屈折率層1491、1492が設けられている。このように光導波路1における光の伝送方向を特定した場合、その伝送方向に応じて低屈折率層1491、1492の設ける位置を決めることにより、一部の低屈折率層を省略しても交差部147における混信を十分に抑制することができる。一方、一部の低屈折率層が省略されることにより、交差部147を通過する光の伝送効率の向上が図られるという効果もある。
ここで、低屈折率層1491を介したコア部141、142と交差部147との間がコア部141、142の長手方向に沿う面で切断されたとき、得られる第2の切断面F2には、全体的に屈折率が連続的に変化してなる第2の屈折率分布W2が形成されているのが好ましい。
図7は、(a)図6の部分拡大図、(b)コア部141が第2の切断面F2で切断されたときの切断面における第2の屈折率分布W2を示す図、および、(c)コア部145が第3の切断面F3で切断されたときの切断面における第3の屈折率分布W3を示す図である。
図7に示すように、第2の屈折率分布W2は、各低屈折率層1491において極小値Ws5、Ws6を有する。また、第2の屈折率分布W2は、交差部147の中心部に極大値Wm5を有している。
ここで、第1の屈折率分布W1も極大値Wm2、Wm4を有しているが、第2の屈折率分布W2の極大値Wm6は第1の屈折率分布W1の極大値Wm2、Wm4より高いことが好ましい。これにより、交差部147と低屈折率層1491との屈折率差がより大きくなり、交差部147における混信を特に抑制することができる。
なお、極大値Wm6と極大値Wm2、Wm4との屈折率差は、特に限定されないが、0.001〜0.03程度であるのが好ましく、0.002〜0.02程度であるのがより好ましい。
また、第2の屈折率分布W2は、全体的に屈折率が連続的に変化した分布であるが、この屈折率が連続的に変化している状態とは、第1の屈折率分布W1の場合と同様である。
低屈折率層1491の幅(低屈折率層1491の図7に示す第2の切断面F2に沿う長さ)は、1〜40μm程度であるのが好ましく、2〜25μm程度であるのがより好ましく、4〜15μm程度であるのがさらに好ましい。低屈折率層1491の幅を前記範囲内に設定することにより、コア部141、142と交差部147との間の伝送効率の著しい低下を抑えつつ、交差部147における光閉じ込め効果が十分に得られ、交差部147における混信を特に抑制することができる。
また、第2の屈折率分布W2は、その屈折率の分布幅が0.005〜0.07であるのが好ましく、0.007〜0.05程度であるのがより好ましく、0.01〜0.03程度であるのがさらに好ましい。屈折率の分布幅が前記範囲内であれば、交差部147における光閉じ込め効果を十分に確保しつつ、各コア部141、142から交差部147への入射効率の著しい低下を抑制することができる。
なお、低屈折率層1492を介したコア部145と交差部147との間がコア部145の長手方向に沿う面で切断されたとき、得られる第3の切断面F3にも、全体的に屈折率が連続的に変化してなる第3の屈折率分布W3が形成されている。この第3の屈折率分布W3の形状等は特に限定されないが、好ましくは上述した第2の屈折率分布W2と同様であるのが好ましい。これにより、コア部145を伝搬する光についても、交差部147において十分な光閉じ込め効果が生じ、交差部147における混信を確実に抑制することができる。
また、第2の屈折率分布W2と第3の屈折率分布W3の双方が上述したような連続的な屈折率変化を伴う場合、交差部147における屈折率分布は、平面視において中心部に極大値を有し、そこから交差部147の縁部に向かって同心状に漸減する分布となっているのが好ましい。このような屈折率分布が形成されていることにより、交差部147は、特に混信を抑制し得るものとなる。
ここで、図6において、コア部141の光軸をA1とし、コア部142の光軸をA2とし、コア部145の光軸をA5としたとき、光軸A1と光軸A5との交差角および光軸A2と光軸A5との交差角はそれぞれ10〜90°であるのが好ましく、20〜90°であるのがより好ましい。交差角がこの範囲内であれば、混信の発生を十分に抑えることができる。なお、図6(b)に示すように一部の低屈折率層を省略する場合、例えばコア部141とコア部145との交差角は10〜60°程度であるのが好ましい。
また、前述した第1の屈折率分布W1を有するコア部141、142、145では、信号光が極大値近傍に集中して伝搬するため、前述したように交差部147での混信が生じ難い。このため、交差部147における減衰も抑えられる。具体的には、光軸A1と光軸A5との交差角が90°である場合、光導波路1は、交差部147における伝送損失が0.02dB以下のものとなる。このような光導波路1は、多数の交差部147を形成しても伝送損失を小さく抑えられるため、複雑な光配線を構築可能なものとなる。
図8(a)、(b)は、それぞれ交差部147の他の構成例を示す部分拡大図である。
図8(a)に示す交差部147は、その平面視における形状が八角形になっている以外、図6に示す交差部147と同様である。また、図8(b)では、交差部147が平面視において円形をなしており、その交差部147を囲むように円環状をなす低屈折率層1493が設けられている。このような形状の交差部147では、混信がより確実に抑制されるとともに、交差部147を通過する光の伝送効率をより高めることができる。
また、図6では、コア部141とコア部145、および、コア部142とコア部145が、それぞれ異なる交差部147で交差している例を示しているが、コア部141、コア部142およびコア部145の3つが同一の交差部で交差していてもよい。図8(c)、(d)は、後者の例を示す図である。
図8(c)に示す交差部148では、コア部141の光軸A1、コア部142の光軸A2、およびコア部145の光軸A5は、形成される内角がいずれも60°になるよう一点で交差している。
さらに、図8(d)に示す交差部148では、コア部141、コア部142、コア部145およびコア部146の4つが同一の交差部で交差している。図8(d)に示す交差部148では、コア部141の光軸A1、コア部142の光軸A2、コア部145の光軸A5、およびコア部146の光軸A6は、形成される内角がいずれも45°になるよう一点で交差している。
これらの交差部148を有することにより、光導波路1は、より高密度でより複雑な光配線を構築可能なものとなる。なお、交差部148において交差するコア部の数は、5つ以上であってもよい。また、交差部148においては、形成される内角が好ましくは10〜80°、より好ましくは20〜70°、さらに好ましくは30〜60°となるよう、交差数が適宜調整される。さらに、形成される複数の内角は、互いに等しくても異なっていてもよい。
((ミラー))
光導波路1には、必要に応じてミラー17を設けるようにしてもよい。
図9(a)は、図1に示す光導波路1のコア部14の途中にミラーが形成されている例を示す斜視図である。
図9(a)に示す光導波路1には、コア部14を厚さ方向に貫通するように、横断面がV字状をなす凹部(空孔)170がコア部14の途中に形成されている。そして、ミラー17は、この凹部170の側面(内面)の一部で構成されている。この側面は、平面状であり、かつ、コア部14の軸線(光軸)に対して45°傾斜している。このミラー17にコア部14を伝搬してきた光が反射され、図9の下方に光路が90°変換される。また、図9の下方から伝搬してきた光は、ミラー17で反射され、コア部14に入射される。すなわち、ミラー17は、コア部14を伝搬する光の光路を変換する光路変換機能を有する。
なお、ミラー17には、クラッド層11、コア層13およびクラッド層12の各加工面が露出しており、ミラー17のほぼ中心部には、コア部14の加工面が位置することとなる。ミラー17は、コア部14のみを横断するように設けられていてもよいが、このように各クラッド層11、12およびコア部14の周辺の側面クラッド部15まで拡張されるように設けられているのが好ましい。これにより、ミラー17において反射に寄与する有効面積が広くなり、ミラー損失が抑えられる。
また、必要に応じて、ミラー17を構成する加工面の表面に反射膜が成膜されていてもよい。この反射膜としては、例えば、Au、Ag、Al等の金属膜や、コア部14より低屈折率の材料の膜等が挙げられる。
金属膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着のような物理蒸着法、CVDのような化学蒸着法、めっき法等が挙げられる。
一方、図9(b)は、図1に示す光導波路1のコア部14の延長線上にミラーを形成した例を示す斜視図である。
図9(b)に示すコア層13では、その一方の端部において、コア部14がコア層13の端面まで到達せず、途中で途切れている。そして、コア部14が途切れた箇所からコア層13の端面までは側面クラッド部15が形成されている。なお、このコア部14が途切れた部分およびそれに対応する各クラッド層11、12の部分を合わせてコア部欠損部16という。
図9(b)に示すミラー17は、このコア部欠損部16中に形成されている。これにより、ミラー17にはクラッド層11、コア層13およびクラッド層12の加工面が露出することになるが、このうち、コア層13の加工面には、側面クラッド部15の加工面のみが露出することとなる。一方、前述の図9(a)の場合、コア層13の加工面には、コア部14の加工面と側面クラッド部15の加工面の双方が露出しているので、図9(a)に示すミラー17と図9(b)に示すミラー17とはこの点で相違している。
図9(b)に示すミラー17は、上記のように単一材料のみで構成された面であるため、均一な平滑性を有するものとなる。これは、加工によりミラー17を形成する際、単一材料を加工することになるため、加工レートが面内で均一になるからである。このため、ミラー17は、優れた反射特性を有するものとなり、ミラー損失の小さいものとなる。
また、コア部欠損部16中のコア層13は、コア部14から離れているため、後に詳述するモノマー由来の物質の濃度ムラを含んでいない。このため、厚さ方向はもちろん、幅方向における反射特性についてもバラツキが少なくなり、ミラー17は特に優れた反射特性を有するものとなる。
((支持フィルム))
光導波路1の下面には、必要に応じて、図1に示すような支持フィルム2を積層するようにしてもよい。
支持フィルム2は、光導波路1の下面を支持して、保護・補強する。これにより、光導波路1の信頼性および機械的特性を高めることができる。
このような支持フィルム2の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド等の各種樹脂材料の他、銅、アルミニウム、銀等の金属材料が挙げられる。なお、金属材料の場合は、支持フィルム2として金属箔が好ましく用いられる。
また、支持フィルム2の平均厚さは、特に限定されないが、5〜200μm程度であるのが好ましく、10〜100μm程度であるのがより好ましい。これにより、支持フィルム2は、適度な剛性を有するものとなるため、光導波路1を確実に支持するとともに、光導波路1の柔軟性を阻害し難くなる。
なお、支持フィルム2と光導波路1との間は接着または接合されているが、その方法としては、熱圧着、接着剤または粘着剤による接着等が挙げられる。
このうち、接着層としては、例えば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤の他、各種ホットメルト接着剤(ポリエステル系、変性オレフィン系)等が挙げられる。また、特に耐熱性の高いものとして、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリイミドアミドエーテル、ポリエステルイミド、ポリイミドエーテル等の熱可塑性ポリイミド接着剤が好ましく用いられる。このような材料で構成された接着層は、比較的柔軟性に富んでいるため、光導波路1の形状が変化したとしても、その変化に自在に追従することができる。その結果、形状変化に伴う剥離を確実に防止し得るものとなる。
このような接着層の平均厚さは、特に限定されないが、1〜100μm程度であるのが好ましく、5〜60μm程度であるのがより好ましい。
((カバーフィルム))
一方、光導波路1の上面には、必要に応じて、図1に示すようなカバーフィルム3を積層するようにしてもよい。
カバーフィルム3は、光導波路1を保護するとともに、光導波路1を上方から支持するものである。これにより、汚れや傷などから光導波路1が保護され、光導波路1の信頼性および機械的特性を高めることができる。
このようなカバーフィルム3の構成材料としては、支持フィルム2の構成材料と同様であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド等の各種樹脂材料の他、銅、アルミニウム、銀等の金属材料が挙げられる。なお、金属材料の場合は、カバーフィルム3として金属箔が好ましく用いられる。また、光導波路1の途中にミラーを形成した場合には、カバーフィルム3を光が透過することになるので、カバーフィルム3の構成材料は実質的に透明であるのが好ましい。
また、カバーフィルム3の平均厚さは、特に限定されないが、3〜50μm程度であるのが好ましく、5〜30μm程度であるのがより好ましい。カバーフィルム3の厚さを前記範囲内とすることにより、カバーフィルム3は光通信において十分な光透過率を有するとともに、光導波路1を確実に保護するために十分な剛性を有するものとなる。
なお、カバーフィルム3と光導波路1との間は接着または接合されているが、その方法としては、熱圧着、接着剤または粘着剤による接着等が挙げられる。このうち、接着剤としては前述したようなものを用いることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の光導波路の第2実施形態について説明する。
図10は、本発明の光導波路の第2実施形態を示す(一部切り欠いて、および透過して示す)斜視図である。なお、以下の説明では、図10中の上側を「上」、下側を「下」という。
以下、光導波路の第2実施形態について説明するが、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図10において、第1実施形態と同様の構成部分については、先に説明したのと同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
第2実施形態は、クラッド層を介して積層された2層のコア層13を有している以外、第1実施形態と同様である。すなわち、図10に示す光導波路1は、下側からクラッド層11、コア層13、クラッド層121、コア層13、クラッド層122の5層をこの順で積層してなるものである。
このうち、2層のコア層13には、第1実施形態と同様、それぞれ、幅方向において並列した2つのコア部14(第1のコア部)と、これらのコア部14とそれぞれ交差する1つのコア部14(第2のコア部)と、これらのコア部14に隣接する側面クラッド部15と、が形成されている。
より詳しくは、図10に示す2層のコア層13のうち、下方のコア層131には、並列する2つのコア部141、142と、これらのコア部141、142とそれぞれ交差する1つのコア部145と、これらのコア部141、142、145に隣接する側面クラッド部151、152、153とが形成されている。
一方、上方のコア層132にも、並列する2つのコア部143、144と、これらのコア部143、144と、これらのコア部143、144とそれぞれ交差する1つのコア部145と、これらのコア部143、144、145に隣接する側面クラッド部154、155、156とが形成されている。
また、図10に示すように、各コア層131、132において、各コア部14は平面視で重なるように設けられている。
ここで、図10に示す光導波路1には、厚さ方向において屈折率が偏りを有してなる屈折率分布Tが形成されている。この屈折率分布Tは、相対的に屈折率の高い領域と低い領域とを有しており、これにより入射された光を屈折率の高い領域に閉じ込めて伝搬することができる。
以下、この屈折率分布Tの一例について説明する。
図11(a)は、図10に示すY−Y線断面図の一部を切り出した図であり、図11(b)は、このY−Y線横断面のコア部の幅方向の中心を通過する中心線C2’上の屈折率分布Tの一例を模式的に示す図である。なお、図11(b)は、横軸に屈折率をとり、縦軸に横断面のコア部の厚さ方向の位置をとったときの屈折率分布の一例を模式的に示す図である。
光導波路1は、図11(b)に示すような、4つの極小値Ts1、Ts2、Ts3、Ts4と、5つの極大値Tm1、Tm2、Tm3、Tm4、Tm5と、を含む屈折率分布Tを有している。また、5つの極大値には、相対的に屈折率の大きい極大値(第1の極大値)Tm2、Tm4と、相対的に屈折率の小さい極大値(第2の極大値)Tm1、Tm3、Tm5と、が存在している。
このうち、極小値Ts1と極小値Ts2との間および極小値Ts3と極小値Ts4との間には、それぞれ相対的に屈折率の大きい極大値Tm2およびTm4が存在しており、それ以外の極大値Tm1、Tm3およびTm5は、それぞれ相対的に屈折率の小さい極大値である。
そして、極小値Ts1はクラッド層11とコア部141との境界線上に、極小値Ts2はコア部141とクラッド層121との境界線上に、極小値Ts3はクラッド層121とコア部143との境界線上に、極小値Ts4はコア部143とクラッド層122との境界線上に、それぞれ位置している。
また、極大値Tm2、Tm4は、コア部141、143の中心部に位置しているのが好ましく、一方、極大値Tm1、Tm3、Tm5は、クラッド層11、121、122の中心部に位置しているのが好ましい。
すなわち、屈折率分布Tは、少なくとも、第2の極大値、極小値、第1の極大値、極小値、第2の極大値がこの順で並ぶ領域を有していればよい。なお、この領域は、コア層の積層数に応じて繰り返し設けられ、本実施形態のようにコア層13の積層数が2層である場合、屈折率分布Tは、第2の極大値、極小値、第1の極大値、極小値、第2の極大値、極小値、第1の極大値、極小値、第2の極大値のように、極大値と極小値が交互に並び、かつ極大値については第1の極大値と第2の極大値が交互に並んだ形状であればよい。
ここで、4つの極小値Ts1、Ts2、Ts3、Ts4は、それぞれ、隣接するクラッド層11、121、122における平均屈折率TA未満である。これにより、各コア部14と各クラッド層11、121、122との間に、各クラッド層11、121、122の平均屈折率TAよりもさらに屈折率の小さい領域が存在することとなる。その結果、各極小値Ts1、Ts2、Ts3、Ts4の近傍では、より急峻な屈折率の勾配が形成され、これにより、各コア部14からの光の漏れが抑制されるため、伝送損失の小さく、かつ厚さ方向にクロストークの発生が抑制された光導波路1が得られる。
また、屈折率分布Tは、全体で屈折率が連続的に変化している。これにより、ステップインデックス型の屈折率分布を有する光導波路に比べ、コア部14に光を閉じ込める作用がより増強されるため、伝送損失のさらなる低減およびクロストークの発生のさらなる抑制が図られる。
一方、屈折率分布Tのうち、極大値Tm1、Tm3、Tm5は、図11(b)に示すように各クラッド層11、121、122中に位置しているが、特に各クラッド層11、121、122の縁部近傍(コア部141、143との界面近傍)以外に位置しているのが好ましい。これにより、コア部141、143中の極大値Tm2、Tm4と、各クラッド層11、121、122中の極大値Tm1、Tm3、Tm5とが、互いに十分に離間したものとなるため、コア部141、143中の伝送光が、各クラッド層11、121、122中に漏れ出る確率を十分に低くすることができる。その結果、コア部141、143の伝送損失を低減するとともにクロストークをより抑制することができる。
なお、各クラッド層11、121、122の縁部近傍とは、前述した縁部から内側に、各クラッド層11、121、122の厚さの5%の距離の領域である。
また、極大値Tm1、Tm3、Tm5は、各クラッド層11、121、122の厚さの中央部に位置しており、しかも、極大値Tm1、Tm3、Tm5から隣接する極小値Ts1、Ts2、Ts3、Ts4に向かっては、屈折率が連続的に低下しているのが好ましい。これにより、コア部141、143中の極大値Tm2、Tm4と、各クラッド層11、121、122中の極大値Tm1、Tm3、Tm5との離間距離は、最大限確保され、しかも極大値Tm1、Tm3、Tm5近傍に光を確実に閉じ込められるため、前述したコア部141、143からの伝送光の漏出をより確実に抑制することができる。
なお、クラッド層121の厚さの中心部とは、極小値Ts2と極小値Ts3との間の中点から両側に、クラッド層121の厚さの30%の距離の領域である。
さらに、極大値Tm1、Tm3、Tm5は、前述したコア部141、143に位置する極大値Tm2、Tm4よりも屈折率の低いものであるので、コア部141、143のような高い光伝送性は有しないものの、周囲よりも屈折率が高くなっているため、わずかな光伝送性を有することとなる。その結果、各クラッド層11、121、122は、コア部141、143から漏出した伝送光を閉じ込めることで、他のコア部への波及を防止する作用を有するものとなる。すなわち、極大値Tm1、Tm3、Tm5が存在することで、クロストークをより確実に抑制することができる。
なお、極小値Ts1、Ts2、Ts3、Ts4は、前述したように、各クラッド層11、121、122の平均屈折率TA未満であるが、その差は、所定の範囲内であることが望まれる。具体的には、極小値Ts1、Ts2、Ts3、Ts4と各クラッド層11、121、122の平均屈折率TAとの差は、極小値Ts1、Ts2、Ts3、Ts4とコア部141、143中の極大値Tm2、Tm4との差の3〜80%程度であるのが好ましく、5〜50%程度であるのがより好ましく、7〜30%程度であるのがさらに好ましい。これにより、各クラッド層11、121、122は、クロストークを抑制するのに必要かつ十分な光伝送性を有するものとなる。なお、極小値Ts1、Ts2、Ts3、Ts4と各クラッド層11、121、122の平均屈折率TAとの差が前記下限値を下回る場合は、各クラッド層11、121、122における光伝送性が小さ過ぎて、クロストークを十分に抑制することができないおそれがあり、前記上限値を上回る場合には、各クラッド層11、121、122における光伝送性が大き過ぎて、コア部141、143の光伝送性に悪影響を及ぼすおそれがある。
また、極小値Ts1、Ts2、Ts3、Ts4と極大値Tm1、Tm3、Tm5との差は、極小値Ts1、Ts2、Ts3、Ts4と極大値Tm2、Tm4との差の6〜90%程度であるのが好ましく、10〜70%程度であるのがより好ましく、14〜40%程度であるのがさらに好ましい。これにより、クラッド層における屈折率の高さとコア部における屈折率の高さとのバランスが最適化され、光導波路1は、特に優れた光伝送性を有するとともにクロストークをより確実に抑制し得るものとなる。
また、図11(b)に示す屈折率分布Tにおいて、各クラッド層11、121、122における平均屈折率をTAとしたとき、極大値Tm2、Tm4近傍における屈折率が連続して平均屈折率TA以上である部分の幅をa[μm]とし、極小値Ts1、Ts2、Ts3、Ts4近傍における屈折率が連続して平均屈折率TA未満である部分の幅をb[μm]とする。このとき、bは、0.01a〜1.2a程度であるのが好ましく、0.03a〜1a程度であるのがより好ましく、0.1a〜0.8a程度であるのがさらに好ましい。これにより、極小値Ts1、Ts2、Ts3、Ts4の実質的な幅が、上述した作用・効果を奏するのに必要かつ十分なものとなる。すなわち、bが前記下限値を下回っている場合は、極小値Ts1、Ts2、Ts3、Ts4の実質的な幅が狭過ぎるため、コア部141、143に光を閉じ込める作用が低下するおそれがある。一方、bが前記上限値を上回っている場合は、極小値Ts1、Ts2、Ts3、Ts4の実質的な幅が広過ぎて、その分、コア部141、143の厚さやピッチが制限され、伝送効率が低下したり多チャンネル化および高密度化が妨げられるおそれがある。
なお、クラッド層11における平均屈折率TAは、極大値Tm1と極小値Ts1との中点で近似することができる。
また、本実施形態では、光導波路1の厚さ方向に並んだコア部141、143間においてクロストークを抑制することができる。
具体的には、図10に示す光導波路1の複数のコア部141、142、143、144のうち、所望の1つの端部に光を入射し、他方の端部における出射光の強度分布P2を取得したとき、その強度分布はクロストークの抑制に適した特徴的な分布を示す。
図12は、図10に示す光導波路1のコア部141に光を入射したとき、出射側端面における出射光の強度分布P2を示す図であって、横軸に出射光の強度をとり、出射側端面の位置をとったときの強度分布の一例を示す図である。
コア部141(CH1)に光を入射すると、出射光の強度は、コア部141の出射端の中心部において最も大きくなる。そして、コア部141の中心部から離れるにつれて出射光の強度は小さくなるが、コア部141の厚さ方向に隣り合うコア部143(CH2)において局所的に小さな値をとる。すなわち、この場合の出射光の強度分布P2は、コア部141(CH1)の出射端の中心部において極大値Pm1をとり、コア部143(CH2)において極小値Ps1をとる。出射光がこのような強度分布を有する光導波路1によれば、コア部141を伝搬する光の完全なる漏出は防止できないものの、その漏出光がコア部143に集まるのを抑制しているため、漏出光がコア部143に混在する「クロストーク」を確実に抑制することができる。その結果、光導波路1は、幅方向のみならず、厚さ方向に多チャンネル化および高密度化したとしても、クロストークの発生を確実に防止し得るものとなる。
なお、本実施形態においても、前述したように屈折率分布Tがいわゆるステップインデックス型であってもよく、グレーデッドインデックス型であってもよい。
<光配線部品>
次に、本発明の光配線部品について説明する。
図13は、本発明の光配線部品の実施形態を示す断面図である。
図13に示す光配線部品10は、光導波路1と、その両端部にそれぞれ設けられたコネクター101と、を有するものである。なお、光配線部品10においてコネクター101は光導波路1の少なくとも一方の端部に設けられていればよい。
コネクター101は、直方体状をなし、かつ、光導波路1の端部を挿入し得る貫通孔102を有しており、光導波路1はこの貫通孔102に挿入されている。そして、図13(a)では、光導波路1の端面と貫通孔102の開口とが一致するよう構成されている。これにより、コネクター101と他のコネクターとを突き合わせることにより、光導波路1と他の光導波路や光ファイバーとを光学的に接続することができる。
なお、コネクター101は、各種コネクター規格に準拠したものでもよい。コネクター規格としては、例えば小型(Mini)MTコネクター、JIS C 5981に規定されたMTコネクター、16MTコネクター、2次元配列型MTコネクター、MPOコネクター、MPXコネクター等が挙げられる。
また、光導波路1と光学的に接続されるのは、光ファイバーに限られず、光導波路、受発光素子、波長変換素子、フィルター、回折格子、偏光子、プリズム、レンズ等の光学部品であってもよい。
また、コネクター101の構成材料としては、例えば、樹脂材料、金属材料、セラミックス材料等が挙げられる。
また、コネクター101の表面に溝を形成し、その溝に光導波路1が嵌め込まれるよう構成されていてもよい。
図13(b)に示す光配線部品10は、光導波路1の右側の端部にミラー17が形成されている以外、図13(a)に示す光配線部品10と同様である。ミラー17により、光導波路1の光路は図13(b)の下方に変換される。したがって、このような光導波路1と他の光導波路や光ファイバーとを光学的に接続するには、光導波路1の右側の端部に設けられるコネクター101の下面に他のコネクターを接続すればよい。
また、図13(c)に示す光配線部品10は、光導波路1の両端部にミラー17が形成されている以外、図13(b)に示す光配線部品10と同様である。このような光配線部品10は、例えば回路基板上に実装し易いものとなる。すなわち、回路基板上に載置された表面実装型の受発光素子と光配線部品10とを容易に光結合することができる。
<光導波路の製造方法>
次に、本発明の光導波路を製造する方法の一例について説明する。
光導波路1は、クラッド層11を形成するための組成物、コア層13を形成するための組成物、およびクラッド層12を形成するための組成物を、順次成膜して製造することもできるが、3種の組成物を同時に3層に押出成形して製造することもできる。以下では後者の方法について説明する。
図14、15は、光導波路1の製造に用いる装置を示す図、図16〜18はそれぞれ図1に示す光導波路1の製造方法を説明するための図である。なお、以下の説明では、図16〜18中の上側を「上」、下側を「下」という。
光導波路1の製造方法では、[1]まず、支持基板951上に2種類の光導波路形成用組成物901、902(第1の組成物および第2の組成物)を層状に押出成形して層910を得る。[2]次いで、層910の一部に活性放射線を照射することで屈折率差を生じさせ、光導波路1を得る。
以下、各工程について順次説明する。
[1]まず、光導波路形成用組成物901、902を用意する。
光導波路形成用組成物901、902は、それぞれ、ポリマー915と、添加剤920(本実施形態では、少なくともモノマーを含む。)と、を含有するものであるが、その組成は異なるものである。
2種類の組成物のうち、光導波路形成用組成物901は、主にコア層13を形成するための材料であり、活性放射線の照射により、ポリマー915中において少なくともモノマーの活発な反応が生じ、それに伴って屈折率分布に変化を生じさせる材料である。すなわち、光導波路形成用組成物901は、ポリマー915とモノマーの存在比率の偏りによって屈折率分布に変化が生じ、その結果、コア層13中にコア部14と側面クラッド部15とを形成することのできる材料である。
一方、光導波路形成用組成物902は、主にクラッド層11、12を形成するための材料であり、光導波路形成用組成物901より低屈折率の材料で構成されている。
光導波路形成用組成物901と光導波路形成用組成物902との屈折率差は、それぞれに含まれるポリマー915の組成、モノマーの組成、ポリマー915とモノマーとの存在比率等を設定することにより、適宜調整することができる。
例えば、モノマーの屈折率がポリマー915より低い場合、組成物中のモノマーの含有率は、光導波路形成用組成物901より光導波路形成用組成物902の方が高くなっている。一方、モノマーの屈折率がポリマー915より高い場合、組成物中のモノマーの含有率は、光導波路形成用組成物902より光導波路形成用組成物901の方が高くなっている。換言すれば、ポリマー915やモノマーの各屈折率に応じて、各光導波路形成用組成物901、902中のポリマー915および添加剤920の組成が適宜選択されている。
また、光導波路形成用組成物901および光導波路形成用組成物902では、モノマーの含有率が互いにほぼ等しくなるよう、組成が設定されているのが好ましい。このように設定すれば、光導波路形成用組成物901と光導波路形成用組成物902との間で、モノマーの含有率の差が小さくなるため、これをきっかけにしたモノマーの拡散移動が抑制される。モノマーの拡散移動は、前述したように屈折率差の形成において有用であるが、含有率の差が大きい場合には望ましくない方向に移動することが避けられない場合もある。後述する多色押出成形法では、層910の厚さ方向の屈折率分布を自由に形成することが可能であるため、少なくとも厚さ方向においてはモノマーの拡散移動が抑制されていても差し支えなく、むしろ厚さ方向における意図しないモノマーの拡散移動は抑制される方が好ましい。意図しないモノマーの拡散移動を抑制することにより、最終的に目的とする形状の屈折率分布Tを有する光導波路1を確実に製造することができる。
なお、モノマーの含有率をほぼ等しくした場合には、光導波路形成用組成物901と光導波路形成用組成物902との間で、ポリマー915またはモノマーの条件を異ならせればよい。具体的には、光導波路形成用組成物901と光導波路形成用組成物902とで、用いるポリマー915の組成を異ならせるほか、同じ組成であっても分子量や重合度を異ならせるようにすればよい。また、用いるモノマーの組成、すなわち屈折率を異ならせるようにしてもよい。このようにすれば、光導波路形成用組成物901と光導波路形成用組成物902とでモノマーの含有率をほぼ等しくし、モノマーの拡散移動を抑制しながら、両者の間に屈折率差を形成することができる。
次いで、支持基板951上に光導波路形成用組成物901、902を多色押出成形法により層状に成形する。
多色押出成形法では、光導波路形成用組成物901を3層で押し出すとともに、これらの層間にそれぞれ光導波路形成用組成物902を押し出すことで、5層からなる多色成形体914を一括形成する。具体的には、多色成形体914では、光導波路形成用組成物901、光導波路形成用組成物902、光導波路形成用組成物901、光導波路形成用組成物902、および光導波路形成用組成物901が、下方からこの順で同時に押し出されるため、組成物同士の境界においては、光導波路形成用組成物901と光導波路形成用組成物902とがわずかに混濁する。したがって、組成物同士の境界近傍では、光導波路形成用組成物901の一部と光導波路形成用組成物902の一部とが混合し、厚さ方向に沿って混合比率が連続的に変化している領域が形成される。その結果、多色成形体914では、図16(a)の下方から、主に光導波路形成用組成物901からなる第1成形層914a、光導波路形成用組成物901と光導波路形成用組成物902の混合物からなる第2成形層914b、主に光導波路形成用組成物902からなる第3成形層914c、光導波路形成用組成物901と光導波路形成用組成物902の混合物からなる第4成形層914d、主に光導波路形成用組成物901からなる第5成形層914e、光導波路形成用組成物901と光導波路形成用組成物902の混合物からなる第6成形層914f、主に光導波路形成用組成物902からなる第7成形層914g、光導波路形成用組成物901と光導波路形成用組成物902の混合物からなる第8成形層914h、および主に光導波路形成用組成物901からなる第9成形層914iが、この順で積層されたものとなる。
そして、得られた多色成形体914中の溶媒を蒸発(脱溶媒)させ、層910を得る(図16(b)参照)。
得られた層910は、図16(b)の下方から、第3成形層914cの中心部より下方の層から形成されるクラッド層11と、第3成形層914cの中心部より上方で第7成形層914gの中心部より下方の層から形成されるコア層13と、第7成形層914gの中心部より上方の層から形成されるクラッド層12との積層体となる。
得られた層910中では、ポリマー(マトリックス)915が実質的に一様かつランダムに存在し、添加剤920は、ポリマー915中に実質的に一様かつランダムに分散している。これにより、層910中には、添加剤920が実質的に一様かつランダムに分散している。
層910の平均厚さは、形成すべき光導波路1の厚さに応じて適宜設定され、特に限定されないが、10〜500μm程度であるのが好ましく、20〜300μm程度であるのがより好ましい。
なお、支持基板951には、例えば、シリコン基板、二酸化ケイ素基板、ガラス基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等が用いられる。
ところで、このような層910を得るための多色成形体914は、以下のようなダイコーター(多色押出成形装置)800を用いて製造される。
図14は、多色成形体914を得るダイコーターを示す斜視図、図15は、ダイコーターの一部を拡大して示す縦断面図である。
ダイコーター800は、図14に示すように、上リップ部811と、その下方に設けられた下リップ部812とを備えるダイヘッド810を有している。
上リップ部811および下リップ部812は、それぞれ長尺のブロック体で構成され、互いに重ね合わされている。合わせ面には空洞のマニホールド820が形成されている。マニホールド820の幅はダイヘッド810の右側ほど広くなるよう連続的に拡張している。一方、マニホールド820の厚さはダイヘッド810の右側ほど小さくなるよう連続的に縮小している。そして、マニホールド820の右端では、空洞の幅が最大でかつ厚さが最小になっており、スリット821を形成している。
このダイヘッド810は、マニホールド820の左側から供給された光導波路形成用組成物901、902をスリット821から右側に成形しつつ押し出すことができる。すなわち、スリット821の形状に応じて、多色成形体914の幅および厚さが決定される。
ダイヘッド810の左側には、ミキシングユニット830が設けられている。ミキシングユニット830は、光導波路形成用組成物901、902をそれぞれダイヘッド810に供給するための3系統の配管を組み合わせて構成されており、光導波路形成用組成物902をダイヘッド810に供給する第1の供給管831と、光導波路形成用組成物901をダイヘッド810に供給する第2の供給管832および第3の供給管833とを有している。
また、第1の供給管831、第2の供給管832および第3の供給管833から供給された光導波路形成用組成物901、902は、ダイヘッド810との接続を担う接続部835において合流し、ダイヘッド810のマニホールド820へと供給される。なお、第2の供給管832は、途中で上下2つに分岐し、接続部835の最上層部および最下層部にそれぞれ接続されている。一方、第3の供給管833は、接続部835の中層部に接続されている。さらに、第1の供給管831も、途中で上下2つに分岐し、接続部835の最上層部と中層部との間(上層部)、および、最下層部と中層部との間(下層部)にそれぞれ接続されている。
すなわち、接続部835では、光導波路形成用組成物901で構成される1層の流れを、光導波路形成用組成物902で構成される上下2層の流れで挟み込むようにして合流し、さらにその外側を光導波路形成用組成物901で構成される上下2層の流れで挟み込みようにして合流している。
なお、この際、最上層部および最下層部に接続される第2の供給管832については、その流量が、第3の供給管833より小さくなるようにする。これにより、第1成形層914aおよび第9成形層914iは、第5成形層eに比べて十分に薄くなり、最下層部および最下層部の屈折率が中層部の屈折率より高くなるのを防止することができる。
また、ミキシングユニット830は、第1の供給管831と第2の供給管832との合流地点に設けられた、複数のピン836を有している。これらのピン836は、長尺の円柱状をなしており、その軸と、第1の供給管831および第2の供給管832の延伸方向とがほぼ直交するよう配置されている。また、図15では、これらのピン836が、接続部835の最上層部と上層部との間、上層部と中層部との間、中層部と下層部との間、および、下層部と最下層部との間などにそれぞれ設けられている。なお、ピン836の本数は特に限定されないが、好ましくは2本以上とされ、より好ましくは3〜10本程度とされる。また、ピン836は、光導波路形成用組成物901、902間に乱流を生じさせ得るものであれば、他の構造物(例えば、メッシュ、パンチングメタル等)で代替することもできる。
ダイヘッド810の右側には、多色押出成形された多色成形体914を搬送する搬送部840が設けられている。搬送部840は、ローラー841と、ローラー841に沿って移動する搬送フィルム842とを有している。搬送フィルム842はローラー841の回転により、図14の下方から右側へと搬送されるが、その際に、ローラー841上にて多色成形体914を積層する。これにより、多色成形体914の形状を保持しつつ、右側へと搬送することができる。
次いで、ダイコーター800の動作について説明する。
ミキシングユニット830に光導波路形成用組成物901、902が同時に供給されると、接続部835において5層の層流が形成される。接続部835において光導波路形成用組成物901、902が合流する際、合流部に設けられた複数のピン836の作用により、光導波路形成用組成物901、902の流れに乱れが生じる。この乱れは、層流間の境界を不明瞭とし、境界では光導波路形成用組成物901と光導波路形成用組成物902とが混在した領域が形成される。
このようにして形成された層流は、ダイヘッド810のマニホールド820において、幅方向に拡張されるとともに厚さ方向には圧縮される。その結果、前述したような、第1成形層914a、第2成形層914b、第3成形層914c、第4成形層914d、第5成形層914e、第6成形層914f、第7成形層914g、第8成形層914h、および第9成形層914iが、下方からこの順で積層されてなる多色成形体914が形成される。そして、このような多色成形体914を用いることにより、最終的に前述した厚さ方向の屈折率分布Tを有する光導波路1が得られる。
なお、多色成形体914は、搬送フィルム842上に形成されるが、この搬送フィルム842をそのまま前述した支持基板951として、さらには支持フィルム2として利用することもできる。
また、図14に示すダイコーター800は、コア層13を1層含む層910を形成可能であるが、コア層13を複数層設ける場合には、それに応じてミキシングユニット830の構造を変更すればよい。具体的には、コア層13の層数に応じて第1の供給管831、第2の供給管832および第3の供給管833の分岐数を増やすようにすればよい。
なお、上記多色押出成形法およびダイコーターは、多色成形体914を製造する方法および装置の一例であり、層間での組成物の混濁を生じ得る方法および装置であれば、例えば射出成形法(装置)、塗布法(装置)、印刷法(装置)等の各種方法(装置)を用いることもできる。
次に、ポリマー915および添加剤920について説明する。
(ポリマー)
ポリマー915は、光導波路1のベースポリマーとなるものである。
ポリマー915には、透明性が十分に高く(無色透明であり)、かつ、後述するモノマーと相溶性を有するもの、さらに、その中でも後述するようにモノマーが反応(重合反応や架橋反応)可能であり、モノマーが重合した後においても十分な透明性を有するものが好適に用いられる。
ここで、「相溶性を有する」とは、モノマーが少なくとも混和して、光導波路形成用組成物901、902中や層910中においてポリマー915と相分離を起こさないことをいう。
このようなポリマー915としては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、PETやPBTのようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド(混合物)、共重合体など)用いることができる。
これらの中でも、特に、(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、およびポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を主とするものが好ましく、(メタ)アクリル系樹脂またはエポキシ系樹脂を主とするものがより好ましい。ポリマー915としてこれらの樹脂を用いることにより、優れた光伝送性能を有する光導波路1を得ることができる。以下、これらの樹脂について詳述する。
((アクリル系ポリマー))
(メタ)アクリル系ポリマーは、アクリル酸、アクリル酸エステルのようなアクリル酸系モノマー、メタクリル酸、メタクリル酸エステルのようなメタクリル酸系モノマー、またはこれらの誘導体(例えば、アルコキシ誘導体、カプロラクトン誘導体等)を原料モノマーとして、この原料モノマーを重合してなるポリマー(樹脂およびゴムを含む。)である。
したがって、(メタ)アクリル系ポリマーとしては、上記原料モノマーの1種を重合してなるホモポリマー、上記原料モノマーの異なる2種以上を重合してなるコポリマー、上記原料モノマーと他の原料モノマーとを重合してなるコポリマー等が挙げられる。
かかる原料モノマーとしては、例えば、単官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのような脂肪族(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレートのような脂環式(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、p−クミルフェニル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(1−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(2−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレートのような芳香族(メタ)アクリレート、2−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N−カルバゾールのような複素環式(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレートのような脂肪族(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレートのような脂環式(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、フルオレン型ジ(メタ)アクリレートのような芳香族(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレートのような複素環式(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのような脂肪族(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートのような複素環式(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、上記原料モノマーと重合させる他の原料モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル等が挙げられ、上記原料モノマーとしてアクリル酸(メタクリル酸)系モノマーを選択した場合には、これらを重合することにより、アクリルゴムが得られる。
また、上記原料モノマーとしては、例えば、MMAモノマー(クラレ製または三菱レイヨン製)、アクリレートモノマー(ダイセル・サイテック製)、ブレンマー(日油製)、アクリル酸エステルモノマー(日本触媒製)、光硬化性モノマー・オリゴマー(新中村化学工業製)等が挙げられる。
(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、2×10〜3×10程度であることが好ましく、3×10〜2×10程度であることがより好ましい。かかる重量平均分子量の(メタ)アクリル系ポリマーを用いることにより、後述するモノマーとの相溶性が高くなるとともに、コア層13の強度や可撓性の向上を図ることができる。
ここで、コア層13の各部の屈折率は、各部における(メタ)アクリル系ポリマーの屈折率とモノマーの屈折率の相対的な大小関係とその存在比率に応じて決定される。そのため、用いるモノマーの種類および(メタ)アクリル系ポリマーの種類を適宜選択することにより、コア層13の各部の屈折率を調整することができる。
また、(メタ)アクリル系ポリマーの構造を設計することによっても、コア部14と側面クラッド部15との屈折率差の調整を容易に行うことができる。例えば、(メタ)アクリル系ポリマーを、主鎖と、後述する活性放射線930により主鎖から離脱する脱離性基とを有する化学構造に設計する。かかる化学構造を有する(メタ)アクリル系ポリマーにおいては、活性放射線930の照射により、離脱性基を主鎖から離脱させることができ、その屈折率が変化する。
このような離脱性基としては、例えば、分子構造中に、−O−構造、−Si−アリール構造および−O−Si−構造のうちの少なくとも1つを有するものが挙げられる。かかる離脱性基は、活性放射線930の作用によって十分に分子構造が切断され、主鎖から容易に離脱するが、カチオンの作用を利用すれば、さらに容易に分子構造が切断される。
このうち、離脱により(メタ)アクリル系ポリマーの屈折率に低下を生じさせる離脱性基としては、−Si−ジフェニル構造および−O−Si−ジフェニル構造の少なくとも一方が好ましい。
また、別の離脱性基としては、例えば、末端にアセトフェノン構造を有する置換基が挙げられる。この離脱性基は、活性放射線930の作用によって十分に分子構造が切断され、主鎖から容易に離脱するが、フリーラジカルの作用を利用すれば、さらに容易に分子構造が切断される。
離脱性基の量(数)は、特に限定されないが、(メタ)アクリル系ポリマー全質量に対して10〜80質量%であるのが好ましく、20〜60質量%であるのがより好ましい。離脱性基の量が前記範囲内であると、屈折率変調機能(屈折率差を変化させる効果)に優れた(メタ)アクリル系ポリマーとすることができるとともに、形成されるコア層13の可撓性の向上を図ることもできる。
かかる離脱性基を有する(メタ)アクリル系ポリマーは、前述した原料モノマーと、この原料モノマーに離脱性基を導入したモノマーとを重合することにより、容易に得ることができる。
さらに、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系ポリマーを用いることもできる。かかる(メタ)アクリル系ポリマーを用いることにより、クラッド層11、12に対して密着性に優れたコア層13を形成することが可能となる。
この(メタ)アクリル系ポリマーを得る場合、原料モノマーには、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、α−ブチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、α−エチル−6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記原料モノマーとしては、例えば、EBECRYL(ダイセル・サイテック製)、デナコールアクリレート(ナガセケムテックス製)、ネオポール(日本ユピカ製)等を用いることができる。さらに、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系ポリマーとしては、例えば、ブレンマー(日油製)等を用いることができる。
また、フッ素含有(メタ)アクリル系ポリマーも用いることができる。このポリマーを得るための原料モノマーとしては、例えば、ダイキン工業製 METHACRYLATES CAS No.1799-84-4(2-(perfluorobutyl)ethyl methacrylate)、ユニマテック製 ケミノックス等を用いることができる。
さらには、マレイミド変性アクリル系ポリマーも用いることができる。このポリマーとしては、例えば、アロンタック(東亞合成製)等を用いることができ、また、原料モノマーとしては、例えば、アロニックス(東亞合成製)等を用いることができる。
この他に、(メタ)アクリル系ポリマーとして、スミペックスMHF(住友化学製)、シリコーングラフト(メタ)アクリル系ポリマーとして、サイマックUS−352(東亞合成製)、UV硬化型(メタ)アクリル系ポリマーとして、8KX−018C(大成ファインケミカル製)を使用することができる。
また、原料モノマーには、末端アクリルポリエーテルとして、デナコールアクリレートDA−931(ナガセケムテックス製)、末端メタクリルシリコーンオイルとして、BY167−152C(東レ・ダウコーニング製)、水性アクリレートとして、RD−180(互応化学工業製)、ビスフェノールAジアクリレートとして、ABE−300、フルオレンジアクリレートとして、A−BPEF(以上、新中村化学工業製)、ウレタンアクリレートとして、MiramerHR−3700(東洋ケミカルズ製)、ベンジル(メタ)アクリレート(日立化成工業製)等を使用することができる。
((エポキシ系ポリマー))
エポキシ系ポリマーは、特に、透明性が高く、優れた光伝送性を有し、さらに優れた耐熱性および密着性を有することから、本発明におけるポリマーとして用いられる。また、かかるエポキシ系ポリマーには、後述するモノマーと相溶性を有するもの、さらに、その中でも後述するようにモノマーが反応(重合反応や架橋反応)可能であり、モノマーが反応した後においても十分な透明性を有するものが好適に用いられる。
ここで、「相溶性を有する」とは、モノマーが少なくとも混和して、光導波路形成用組成物901、902中や層910中においてエポキシ系ポリマーと相分離を起こさないことをいう。
さらに、エポキシ系ポリマーとは、ノルボルネン系エポキシモノマー、ケイ素含有エポキシモノマー、脂環式エポキシモノマー、ビスフェノール型エポキシモノマー、フッ素化エポキシモノマー、脂肪族エポキシモノマー、ナフタレン環含有エポキシモノマー、芳香環含有エポキシモノマー等のエポキシモノマーまたはこれらの誘導体を原料モノマーとして、この原料モノマーを重合してなるポリマー(樹脂およびゴムを含む。)である。
したがって、エポキシ系ポリマーとしては、上記原料モノマーの1種を重合してなるホモポリマー、上記原料モノマーの異なる2種以上を重合してなるコポリマー、上記原料モノマーと他の原料モノマーとを重合してなるコポリマー等が挙げられる。
このような原料モノマーのうち、ノルボルネン系エポキシモノマーとしては、例えば、以下の式(1)で表わされるものが挙げられる。
なお、式(1)で表される化合物は、エポキシノルボルネンであり、このような化合物としては、例えば、プロメラス社製 EpNBを使用することができる。この他、ジシクロペンタジエン型エポキシモノマーとして、DIC製 HP−7200HHHを使用することができる。
また、ケイ素含有エポキシモノマーとしては、例えば、以下の式(2)または式(3)で表わされるものが挙げられる。
なお、式(2)で表される化合物は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであり、この化合物としては、例えば、東レ・ダウコーニング社製 Z−6040を使用することができる。また、式(3)で表される化合物は、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランであり、この化合物としては、例えば、東京化成製 E0327を使用することができる。この他、東レ・ダウコーニング社製 SF8413、BY16−839、SF8421を使用することができる。
さらに、脂環式エポキシモノマーとしては、例えば、以下の式(4)〜式(6)で表わされるものが挙げられる。
なお、式(4)で表される化合物は、3、4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’、4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートであり、この化合物としては、例えば、ダイセル化学社製 セロキサイド2021Pを使用することができる。また、式(5)で表される化合物は、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサンであり、この化合物としては、例えば、ダイセル化学社製 セロキサイド2000を使用することができる。さらに、式(6)で表される化合物は、1,2:8,9ジエポキシリモネンであり、この化合物としては、例えば、(ダイセル化学社製 セロキサイド3000)を使用することができる。この他、ダイセル化学社製 セロキサイド2081を使用することもできる。
また、ビスフェノール型エポキシモノマーとしては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、以下の式(7)で表わされるものが挙げられる。
なお、式(7)で表される化合物としては、具体的には、例えば、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル(式(7)中、n=1、R〜Rがすべて水素原子のもの)、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル(式(7)中、n=0、R〜Rがすべて水素原子のもの)等が挙げられる。この他、ビスA型エポキシモノマーとして、新日鐵化学製 YD−128S、YD−020G、水添ビスA型エポキシモノマーとして、新日鐵化学製 ST−3000、ST−4000Dを使用することもできる。
さらに、フッ素化エポキシモノマーとしては、例えば、以下の式(8)で表わされるものが挙げられる。この他、ダイキン工業製 EPOXIDES CAS No.74328-56-6(1,6-bis(2',3'-epoxypropyl)-perfluoro-n-hexane)、EPOXIDES CAS No.791-22-0(1,4-bis(2',3'-epoxypropyl)-perfluoro-n-butane)を使用することもできる。
また、脂肪族エポキシモノマーとしては、例えば、以下の式(9)で表わされるものが挙げられる。この他、多官能脂肪族エポキシモノマーとして、ナガセケムテックス製 デナコールEX−850L、デナコールEX−216Lを使用することができる。
さらに、ナフタレン環含有エポキシモノマーとしては、例えば、以下の式(10)で表わされるものが挙げられる。
Figure 2013174840
Figure 2013174840
Figure 2013174840
Figure 2013174840
Figure 2013174840
Figure 2013174840
Figure 2013174840
[式(7)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。また、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基である。さらに、各nは、それぞれ独立して、0〜10の整数を表わす。]
Figure 2013174840
[式(8)中、nは、2〜10の整数を表わす。]
Figure 2013174840
[式(9)中、nは、2〜10の整数を表わす。]
Figure 2013174840
[式(10)中、Rは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル基を表わす。]
また、エポキシ系ポリマーまたは原料モノマーとしては、上記の他に、エピコート(ジャパンエポキシレジン製)、フェノキシ樹脂YPシリーズ、ノボラック型エポキシ樹脂YDCNシリーズ(以上、新日鐵化学製)、オグソールEG(大阪ガスケミカル製)、ビフェニル型エポキシ樹脂YX−4000H(三菱化学製)、リカレジン(新日本理化製)、シリコーン変性エポキシ(信越化学工業製または東レ・ダウコーニング製)、デナコール(ナガセケムテックス製)、フッ素化エポキシ(ダイキン工業製)、ARUFON UG−4000、4035、4040(東亞合成製)、アロンオキセタンOXT−213、221、211(東亞合成製)等を使用することができる。
なお、エポキシ系ポリマーを、上記原料モノマーと他の原料モノマーとを重合してなるコポリマーとする場合、他の原料モノマーとしては、上記原料モノマーと異なる種類のものであれば、特に限定されないが、例えば、後述する添加剤920に含まれるモノマーで例示するものを用いることができる。
エポキシ系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、2×10〜3×10程度であることが好ましく、3×10〜2×10程度であることがより好ましい。かかる重量平均分子量のエポキシ系ポリマーを用いることにより、後述するモノマーとの相溶性が高くなるとともに、コア層13の強度や可撓性の向上を図ることができる。
ここでコア層13の各部の屈折率は、各部におけるエポキシ系ポリマーの屈折率とモノマーの屈折率の相対的な大小関係とその存在比率に応じて決定される。そのため、用いるモノマーの種類およびエポキシ系ポリマーの種類を適宜選択することにより、コア層13の各部の屈折率を調整することができる。
また、エポキシ系ポリマーの構造を設計することによっても、コア部14と側面クラッド部15との屈折率差の調整を容易に行うことができる。例えば、エポキシ系ポリマーを、主鎖と、後述する活性放射線930により主鎖から離脱する脱離性基とを有する化学構造に設計する。かかる化学構造を有するエポキシ系ポリマーにおいては、活性放射線930の照射により、離脱性基を主鎖から離脱させることができ、その屈折率が変化する。
このような離脱性基としては、例えば、分子構造中に、−O−構造、−Si−アリール構造および−O−Si−構造のうちの少なくとも1つを有するものが挙げられる。かかる離脱性基は、活性放射線930の作用によって十分に分子構造が切断され、主鎖から容易に離脱するが、カチオンの作用を利用すれば、さらに容易に分子構造が切断される。
このうち、離脱によりエポキシ系ポリマーの屈折率に低下を生じさせる離脱性基としては、−Si−ジフェニル構造および−O−Si−ジフェニル構造の少なくとも一方が好ましい。
また、別の離脱性基としては、例えば、末端にアセトフェノン構造を有する置換基が挙げられる。この離脱性基は、活性放射線930の作用によって十分に分子構造が切断され、主鎖から容易に離脱するが、フリーラジカルの作用を利用すれば、さらに容易に分子構造が切断される。
離脱性基の量(数)は、特に限定されないが、エポキシ系ポリマー全重量に対して10〜80重量%であるのが好ましく、20〜60重量%であるのがより好ましい。離脱性基の量が前記範囲内であると、屈折率変調機能(屈折率差を変化させる効果)に優れたエポキシ系ポリマーとすることができるとともに、形成されるコア層13の可撓性の向上を図ることもできる。
かかる離脱性基を有するエポキシ系ポリマーは、前述した原料モノマーと、この原料モノマーに離脱性基を導入したモノマーとを重合することにより、容易に得ることができる。
さらに、エポキシ基を有するエポキシ系ポリマーを用いることもできる。かかるエポキシ系ポリマーを用いることにより、クラッド層11、12に対して密着性に優れたコア層13を形成することが可能となる。
((シリコーン系ポリマー))
シリコーン系ポリマーは、特に、透明性が高く、優れた光伝送性を有し、さらに優れた耐熱性、光安定性および電気絶縁性を有することから、本発明におけるポリマーとして用いられる。また、かかるシリコーン系ポリマーには、後述するモノマーと相溶性を有するもの、さらに、その中でも後述するようにモノマーが反応(重合反応や架橋反応)可能であり、モノマーが反応した後においても十分な透明性を有するものが好適に用いられる。
ここで、「相溶性を有する」とは、モノマーが少なくとも混和して、光導波路形成用組成物901、902中や層910中においてシリコーン系ポリマーと相分離を起こさないことをいう。
さらに、シリコーン系ポリマーとは、オルガノアルコキシシランまたはその誘導体を原料モノマーとして、この原料モノマーを重合(加水分解・縮合または縮合)してなるポリマー(樹脂およびゴムを含む。)である。
したがって、シリコーン系ポリマー(ポリオルガノシロキサン)としては、上記原料モノマーの1種を重合してなるホモポリマー、上記原料モノマーの異なる2種以上を重合してなるコポリマー、上記原料モノマーと他の原料モノマーとを重合してなるコポリマー等が挙げられる。
このように原料モノマー(シリコーンモノマー)として用いられるオルガノアルコキシシランとしては、特に限定されないが、例えば、以下の式(11)で表わされるものが挙げられる。
Figure 2013174840
[式(11)中、R、Rは、それぞれ独立して、一価の有機基である。また、Rは、アルキル基またはアルコキシアルキル基である。さらに、mは、0または1であり、nは、0〜3の整数を表わす。]
なお、式(11)中、R、R(一価の有機基)は、具体的には、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のようなアルキル基、ビニル基、アリル基のようなアルケニル基、フェニル基、トリル基のようなアリール基、ナフチル基、フェネチル基のようなアラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基およびこれら有機基中の炭素原子の一部が窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、リン原子またはこれら原子を含む原子団等で置換されたものが挙げられる。
また、Rは、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のようなアルキル基、メトキシメチル基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、ブトキシエトキシ基のようなアルコキシアルキル基が挙げられる。
以上のような式(11)で表わされるオルガノアルコキシシランとしては、具体的には、例えば、イソプロピルトリメトキシシラン、ネオペンチルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、4−ビニルフェニルトリメトキシシラン、トリメチルシリルメチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、エチニルトリメトキシシラン、ジエチニルジメトキシシラン、4−ビニルフェニルトリエトキシシラン、トリメチルシリルメチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、シクロペンチルトリイソプロポキシシラン、ネオペンチルトリブトキシシラン、イソプロピルメチルジメトキシシラン、メチルネオペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、メチルシクロペンチルジメトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、(4−クロロフェニル)メチルジメトキシシラン、エチルプロピルジメトキシシラン、エチルイソペンチルジメトキシシラン、エチルネオペンチルジメトキシシラン、エチルシクロペンチルジメトキシシラン、フェニルエチルジメトキシシラン、エチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、ブチルプロピルジメトキシシラン、sec−ブチルプロピルジメトキシシラン、ペンチルプロピルジメトキシシラン、ヘキシルプロピルジメトキシシラン、3−クロロプロピルプロピルジメトキシシラン、3−ブロモプロピルプロピルジメトキシシラン、イソプロピル−sec−ブチルジメトキシシラン、イソプロピルシクロペンチルジメトキシシラン、イソプロピルビニルジメトキシシラン、シクロペンチルイソブチルジメトキシシラン、ジヘキシルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ビス(トリメチルシリルメチル)ジメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルヘキシルジメトキシシラン、sec−ブチルメチルジエトキシシラン、エチルプロピルジエトキシシラン、エチル−tert−ブチルジエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルブチルエトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、4−メトキシフェニルビニルジエトキシシラン、イソブチルジメチルメトキシシラン、tert−ブチルジメチルメトキシシラン、(4−クロロフェニル)ジメチルメトキシシラン、ジメチル−2−チエニルメトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、イソブチルジメチルエトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、フェニルジエチルエトキシシラン、ジプロピルイソブチルエトキシシラン、ジフェニルメチルエトキシシラン、アリルジメチルプロポキシシラン、トリエチルプロポキシシラン、ジフェニルメチルブトキシシラン、1,4−ビス(メチルジメトキシシリル)フェニレン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
なお、シリコーン系ポリマーを、上記原料モノマー(オルガノアルコキシシラン)と他の原料モノマーとを重合してなるコポリマーとする場合、他の原料モノマーとしては、上記原料モノマーと異なる種類のものであれば、特に限定されないが、例えば、後述する添加剤920に含まれるモノマーで例示するものを用いることができる。
シリコーン系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、2×10〜3×10程度であることが好ましく、3×10〜2×10程度であることがより好ましい。かかる重量平均分子量のシリコーン系ポリマーを用いることにより、後述するモノマーとの相溶性が高くなるとともに、コア層13の強度や可撓性の向上を図ることができる。
ここで、コア層13の各部の屈折率は、各部におけるシリコーン系ポリマーの屈折率とモノマーの屈折率の相対的な大小関係とその存在比率に応じて決定される。そのため、用いるモノマーの種類およびシリコーン系ポリマーの種類を適宜選択することにより、コア層13の各部の屈折率を調整することができる。
また、シリコーン系ポリマーは、前述したように、オルガノアルコキシシランまたはその誘導体を加水分解・縮合または縮合してなるものであることから、その分子構造中に、−O−構造、−Si−アリール構造および−O−Si−構造のうちの少なくとも1つを有するものとなる。そのため、かかる構造を有する部分が、後述する活性放射線930により主鎖から離脱する脱離性基として機能し、この脱離性基の主鎖からの脱離により、その屈折率を変化させることができるため、かかる点からも、コア部14と側面クラッド部15との屈折率差の調整を行うことができる。
なお、離脱によりシリコーン系ポリマーの屈折率に低下を生じさせる離脱性基としては、−Si−ジフェニル構造および−O−Si−ジフェニル構造の少なくとも一方が好ましい。
また、別の離脱性基としては、例えば、末端にアセトフェノン構造を有する置換基が挙げられる。この離脱性基は、活性放射線930の作用によって十分に分子構造が切断され、主鎖から容易に離脱するが、フリーラジカルの作用を利用すれば、さらに容易に分子構造が切断される。
離脱性基の量(数)は、特に限定されないが、シリコーン系ポリマー全重量に対して10〜80重量%であるのが好ましく、20〜60重量%であるのがより好ましい。離脱性基の量が前記範囲内であると、屈折率変調機能(屈折率差を変化させる効果)に優れたシリコーン系ポリマーとすることができるとともに、形成されるコア層13の可撓性の向上を図ることもできる。
なお、シリコーン系ポリマーとして、エポキシ基を有するものを用いた場合には、クラッド層11、12に対して密着性に優れたコア層13を形成することが可能となる。
((ポリイミド系ポリマー))
ポリイミド系ポリマーは、特に、透明性が高く、優れた光伝送性を有し、さらに優れた耐熱性、光安定性、機械的特性、密着性および電気絶縁性を有することから、本発明におけるポリマーとして用いられる。また、かかるポリイミド系ポリマーには、後述するモノマーと相溶性を有するもの、さらに、その中でも後述するようにモノマーが反応(重合反応や架橋反応)可能であり、モノマーが反応した後においても十分な透明性を有するものが好適に用いられる。
ここで、「相溶性を有する」とは、モノマーが少なくとも混和して、光導波路形成用組成物901、902中や層910中においてポリイミド系ポリマーと相分離を起こさないことをいう。
さらに、ポリイミド系ポリマーとは、テトラカルボン酸無水物とジアミンとを反応させることにより得られるポリアミド酸を加熱・硬化(イミド化)させてなるポリイミド(オリゴマー)を含むポリマーである。
したがって、ポリイミド系ポリマーとしては、1種の上記ポリイミドを重合してなるホモポリマー、2種以上の上記ポリイミドを重合してなるブロックコポリマー、上記ポリイミドと他のオリゴマーとを重合してなるブロックコポリマー等が挙げられる。
このようなポリイミドを得るために用いられるテトラカルボン酸無水物およびジアミンとしては、特に限定されないが、例えば、以下のようなものが挙げられる。
すなわち、テトラカルボン酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物のような分子内にフッ素原子を含有しないものや、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)へキサフルオロプロパン二無水物、4,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物、(トリフルオロメチル)ビロメリット酸二無水物、ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、ジ(ヘプタフルオロプロピル)ピロメリット酸二無水物のような分子内にフッ素原子を含有するもの等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ジアミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、ンのような分子内にフッ素原子を含有しないものや、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2−トリフルオロメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2’−トリフルオロメチル−3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−4−トリフルオロメチルベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)−5−トリフルオロメチルベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンのような分子内にフッ素原子を含有するもの等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、ポリイミド系ポリマーを、上記ポリイミド(オリゴマー)と他のオリゴマーとを重合してなるブロックコポリマーとする場合、他のオリゴマーとしては、上記ポリイミドと異なる種類のものであれば、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系オリゴマー、エポキシ系オリゴマーおよびシリコーン系オリゴマー(オルガノシロキサンオリゴマー)のうちの少なくとも1種を用いることができる。
ポリイミド系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、2×10〜1×10程度であることが好ましく、2×10〜4×10程度であることがより好ましい。かかる重量平均分子量のポリイミド系ポリマーを用いることにより、後述するモノマーとの相溶性が高くなるとともに、コア層13の強度や可撓性の向上を図ることができる。
ここで、コア層13の各部の屈折率は、各部におけるポリイミド系ポリマーの屈折率とモノマーの屈折率の相対的な大小関係とその存在比率に応じて決定される。そのため、用いるモノマーの種類およびポリイミド系ポリマーの種類を適宜選択することにより、コア層13の各部の屈折率を調整することができる。
また、ポリイミド系ポリマーの構造を設計することによっても、コア部14と側面クラッド部15との屈折率差の調整を容易に行うことができる。例えば、ポリイミド系ポリマーを、主鎖と、後述する活性放射線930により主鎖から離脱する脱離性基とを有する化学構造に設計する。かかる化学構造を有するポリイミド系ポリマーにおいては、活性放射線930の照射により、離脱性基を主鎖から離脱させることができ、その屈折率が変化する。
このような離脱性基としては、例えば、分子構造中に、−O−構造、−Si−アリール構造および−O−Si−構造のうちの少なくとも1つを有するものが挙げられる。かかる離脱性基は、活性放射線930の作用によって十分に分子構造が切断され、主鎖から容易に離脱するが、カチオンの作用を利用すれば、さらに容易に分子構造が切断される。
このうち、離脱によりポリイミド系ポリマーの屈折率に低下を生じさせる離脱性基としては、−Si−ジフェニル構造および−O−Si−ジフェニル構造の少なくとも一方が好ましい。
また、別の離脱性基としては、例えば、末端にアセトフェノン構造を有する置換基が挙げられる。この離脱性基は、活性放射線930の作用によって十分に分子構造が切断され、主鎖から容易に離脱するが、フリーラジカルの作用を利用すれば、さらに容易に分子構造が切断される。
離脱性基の量(数)は、特に限定されないが、ポリイミド系ポリマー915全重量に対して10〜80重量%であるのが好ましく、20〜60重量%であるのがより好ましい。離脱性基の量が前記範囲内であると、屈折率変調機能(屈折率差を変化させる効果)に優れたポリイミド系ポリマー915とすることができるとともに、形成されるコア層13の可撓性の向上を図ることもできる。
かかる離脱性基を有するポリイミド系ポリマーは、例えば、このものを上記ポリイミド(オリゴマー)と他のオリゴマーとしてのオルガノシロキサンオリゴマーとを重合してなるブロックコポリマーとすることにより、容易に得ることができる。
((フッ素系ポリマー))
フッ素系ポリマーは、特に、透明性が高く、優れた光伝送性を有し、さらに優れた機械的特性および耐吸湿性を有することから、本発明におけるポリマーとして用いられる。また、かかるフッ素系ポリマーには、後述するモノマーと相溶性を有するもの、さらに、その中でも後述するようにモノマーが反応(重合反応や架橋反応)可能であり、モノマーが反応した後においても十分な透明性を有するものが好適に用いられる。
ここで、「相溶性を有する」とは、モノマーが少なくとも混和して、光導波路形成用組成物901、902中や層910中においてフッ素系ポリマーと相分離を起こさないことをいう。
さらに、フッ素系ポリマーとは、その分子構造中にフッ素原子を含有する重合体であり、本発明では、フッ素系ポリマーとしては、脂肪族環構造、イミド環構造、トリアジン環構造、ベンゾオキサゾール構造および芳香族環構造のうちの少なくとも1種の環構造を有するものであり、かかる構造中にフッ素原子を含有するものであるのが好ましい。これらの中でも、特に、脂肪族環構造を主鎖として有する重合体であるのが好ましい。これにより、光導波路形成用組成物901、902から得られる層910をより均一な膜厚を有するものとすることができる。
脂肪族環構造を主鎖として有する重合体(以下、「含フッ素脂肪族環構造重合体」ということもある。)は、フッ素原子を含有する環構造を備えるモノマーや、フッ素原子と2以上の重合性不飽和結合とを備えるモノマーを原料モノマーとして、この原料モノマーを重合することにより得ることができる。
したがって、含フッ素脂肪族環構造重合体としては、上記原料モノマーの1種を重合してなるホモポリマー、上記原料モノマーの異なる2種以上を重合してなるコポリマー、上記原料モノマーと他の原料モノマーとを重合してなるコポリマー等とすることができる。
なお、本明細書中において、含フッ素脂肪族環構造重合体とは、その主鎖が複数の脂肪族環構造で主に構成され、この脂肪族環構造を構成する炭素原子の1つ以上にフッ素原子またはフッ素原子を含む原子団が結合しているものをいう。
このような含フッ素脂肪族環構造重合体は、具体的には、例えば、下記式(12)〜(16)に挙げるような構成単位(繰り返し単位)を主鎖に備えるものが挙げられる。
Figure 2013174840
[上記各式中、lは0〜5、mは0〜4、nは0〜1、l+m+nは1〜6、o、p、qは、それぞれ独立して、0〜5、o+p+qは1〜6であり、R、RおよびRは、それぞれ独立して、F、Cl、CF、C、CまたはOCFであり、XおよびXは、それぞれ独立して、FまたはClである。]
かかる構成の含フッ素脂肪族環構造重合体を得るために、フッ素原子を含有する環構造を備えるモノマー(単量体)としては、例えば、ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、ペルフルオロ(2−メチル−1,3−ジオキソール)、ペルフルオロ(2−エチル−2プロピル−1,3−ジオキソール)、ペルフルオロ(2,2−ジメチル−4メチル−1,3−ジオキソール)のようなジオキソール環員炭素に、フッ素原子、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基のようなフッ素置換アルキル基が結合したペルフルオロジオキソール類を備えるものや、ペルフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)、ペルフルオロ(2−メチル−1,4−ジオキシン)のような含フッ素脂環構造を備えるもの等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、フッ素原子と2以上の重合性不飽和結合とを備えるモノマー(単量体)としては、例えば、ペルフルオロ(3−オキサ−1,5−ヘキサジエン)、ペルフルオロ(3−オキサ−1,6−ヘプタジエン)、ペルフルオロ(4−メチル−3−オキサ−1,6−ヘプタジエン)、ペルフルオロ(4−クロロ−3−オキサ−1,6−ヘプタジエン)、ペルフルオロ(4−メトキシ−3−オキサ−1,6−ヘプタジエン)、ペルフルオロ(5−メチル−3−オキサ−1,6−ヘプタジエン)等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、含フッ素脂肪族環構造重合体は、上述したフッ素原子を含有する環構造を備えるモノマーと、フッ素原子と2以上の重合性不飽和結合とを備えるモノマーとの双方を原料モノマーとして用い、これらを共重合させてコポリマーすることによっても得ることができる。
さらに、含フッ素脂肪族環構造重合体を、上記原料モノマーと他の原料モノマーとを重合してなるコポリマーとする場合、他の原料モノマーとしては、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)のようなラジカル重合性モノマーの他、後述する添加剤920に含まれるモノマーで例示するものを用いることができる。
フッ素系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、2×10〜3×10程度であることが好ましく、3×10〜2×10程度であることがより好ましい。かかる重量平均分子量のフッ素系ポリマーを用いることにより、後述するモノマーとの相溶性が高くなるとともに、コア層13の強度や可撓性の向上を図ることができる。
ここで、コア層13の各部の屈折率は、各部におけるフッ素系ポリマーの屈折率とモノマーの屈折率の相対的な大小関係とその存在比率に応じて決定される。そのため、用いるモノマーの種類およびフッ素系ポリマーの種類を適宜選択することにより、コア層13の各部の屈折率を調整することができる。
また、フッ素系ポリマーの構造を設計することによっても、コア部14と側面クラッド部15との屈折率差の調整を容易に行うことができる。例えば、フッ素系ポリマーを、主鎖と、後述する活性放射線930により主鎖から離脱する脱離性基とを有する化学構造に設計する。かかる化学構造を有するフッ素系ポリマーにおいては、活性放射線930の照射により、離脱性基を主鎖から離脱させることができ、その屈折率が変化する。
このような離脱性基としては、例えば、分子構造中に、−O−構造、−Si−アリール構造および−O−Si−構造のうちの少なくとも1つを有するものが挙げられる。かかる離脱性基は、活性放射線930の作用によって十分に分子構造が切断され、主鎖から容易に離脱するが、カチオンの作用を利用すれば、さらに容易に分子構造が切断される。
このうち、離脱によりフッ素系ポリマーの屈折率に低下を生じさせる離脱性基としては、−Si−ジフェニル構造および−O−Si−ジフェニル構造の少なくとも一方が好ましい。
また、別の離脱性基としては、例えば、末端にアセトフェノン構造を有する置換基が挙げられる。この離脱性基は、活性放射線930の作用によって十分に分子構造が切断され、主鎖から容易に離脱するが、フリーラジカルの作用を利用すれば、さらに容易に分子構造が切断される。
離脱性基の量(数)は、特に限定されないが、フッ素系ポリマー全重量に対して10〜80重量%であるのが好ましく、20〜60重量%であるのがより好ましい。離脱性基の量が前記範囲内であると、屈折率変調機能(屈折率差を変化させる効果)に優れたフッ素系ポリマーとすることができるとともに、形成されるコア層13の可撓性の向上を図ることもできる。
なお、かかる離脱性基を有するフッ素系ポリマーは、前述した原料モノマーと、この原料モノマーに離脱性基を導入したモノマーとを重合することにより、容易に得ることができる。
((ポリオレフィン系ポリマー))
ポリオレフィン系ポリマーは、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンのようなモノオレフィン系モノマー、アレン、メチルアレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、クロロプレン、1,5−ヘキサジエンのようなジエン系モノマー等を原料モノマーとして、この原料モノマーを重合してなるポリマー(樹脂およびゴムを含む。)である。
なお、ポリオレフィン系ポリマーとしては、上記原料モノマーの1種を重合してなるホモポリマー、上記原料モノマーの異なる2種以上を混合してなるコポリマー、上記原料モノマーと他の原料モノマーとを重合してなるコポリマー等が挙げられる。
また、上記原料モノマーと重合させる他の原料モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ブロモスチレンといった芳香族ビニル系モノマー、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸アリル、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、酢酸ブチル、酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル、塩化ビニル、ビニルエーテル等のビニル系モノマーが挙げられる。
なお、上記原料モノマーを重合してなるポリマーとしては、例えば、ポリスチレン、スチレンーブタジエンコポリマー、酢酸ビニルまたはその加水分解物、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリブチラール、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
一方、ポリオレフィン系ポリマーは、ノルボルネン系ポリマー、ベンゾシクロブテン系ポリマーのような環状オレフィン系ポリマーであってもよい。環状オレフィン系ポリマーとしては、例えば、特開2010−090328号公報に記載されたものが用いられる。環状オレフィン系ポリマーは、単独の繰り返し単位を有するもの(ホモポリマー)、2つ以上の繰り返し単位を有するもの(コポリマー)のいずれであってもよく、具体例としては、ヘキシルノルボルネンのホモポリマー、フェニルエチルノルボルネンのホモポリマー、ベンジルノルボルネンのホモポリマー、ヘキシルノルボルネンとフェニルエチルノルボルネンとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとベンジルノルボルネンとのコポリマー等が挙げられる。
また、他の原料モノマーとしては、活性放射線930の照射により、一部が光異性化または光二量化する化学構造を有するモノマーであってもよい。かかる化学構造を有するポリオレフィン系ポリマーにおいては、活性放射線930の照射により、光異性化または光二量化を生じ、その屈折率が変化する。光異性化は、活性放射線の照射によりシス−トランス異性化や光Fries転位、脱炭酸を生じる現象であり、光二量化は、隣り合って存在する二重結合同士の間に結合が生じる現象である。
このような光異性化または光二量化する化学構造としては、例えば、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基、ホルマザン基のようなN=N基、マレイミド基、インデン基、クマリン基、シンナメート基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾ−ル基、スチルバゾリウム基、シンナモイル基、ヘミチオインジゴ基、カルコン基のようなC=C基、芳香族シッフ塩基、芳香族ヒドラゾン構造のようなC=N基、ベンゾフェノン基、アントラキノン基等のようなC=O基、アリルエステル基のようなエステル基、アシルフェノール構造等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1つが用いられる。また、特に、アゾベンゼン基、マレイミド基、クマリン基、シンナモイル基、およびインデン基の少なくとも1つが好ましく用いられる。
また、上記化学構造を有する化合物としては、例えば、イミレックス(日本触媒製)、脂肪族ビスマレイミド(DMI製)、アロニックス(東亞合成製)、ビスマレイミド類(ケイ・アイ化成製)、メチルシンナメート(井上香料製造所)、パラメトキシケイ皮酸2エチルヘキシル等が挙げられる。
(添加剤)
本実施形態では、光導波路形成用組成物901および光導波路形成用組成物902の双方において、添加剤920がモノマーを含んでいる。また、本実施形態では、光導波路形成用組成物901中の添加剤920が、さらに重合開始剤を含んでいる一方、光導波路形成用組成物902中の添加剤920は、重合開始剤を含んでいない。
((モノマー))
モノマー(光重合性モノマー)は、後述する活性放射線の照射により、照射領域において反応して反応物を形成し、それとともにモノマーが拡散移動することで、層910において照射領域と未照射領域との間に屈折率差を生じさせ得るような化合物である。
モノマーの反応物としては、モノマーがポリマー915中で重合して形成されたポリマー(重合体)、モノマーがポリマー915同士を架橋してなる架橋構造、および、モノマーがポリマー915に重合してポリマー915から分岐した分岐構造のうちの少なくとも1つが挙げられる。
ところで、照射領域と未照射領域との間に生じる屈折率差は、ポリマー915の屈折率とモノマーの屈折率との差に基づいて生じることから、添加剤920中に含まれるモノマーは、ポリマー915の屈折率との大小関係を考慮して選択される。
具体的には、層910において、照射領域の屈折率が高くなることが望まれる場合には、比較的低い屈折率を有するポリマー915と、このポリマー915に対して高い屈折率を有するモノマーとを組み合わせて使用される。一方、照射領域の屈折率が低くなることが望まれる場合には、比較的高い屈折率を有するポリマー915と、このポリマー915に対して低い屈折率を有するモノマーとを組み合わせて使用される。
なお、屈折率が「高い」または「低い」とは、屈折率の絶対値を意味するものではなく、ある材料同士の相対的な関係を意味するものである。
そして、モノマーの反応(反応物の生成)により、層910において照射領域の屈折率が低下した領域には第1の屈折率分布W1の低屈折率領域WLが対応し、照射領域の屈折率が上昇した領域には第1の屈折率分布W1の高屈折率領域WHが対応する。
なお、モノマーとしては、ポリマー915との相溶性を有し、ポリマー915との屈折率差が0.01以上であるものが好ましく用いられる。
このようなモノマーとしては、分子構造中に重合可能な部位を有する化合物であればよく、ポリマー915の原料として挙げたモノマー等が用いられ、特に限定されないが、例えば、アクリル酸(メタクリル酸)系モノマー、エポキシ系モノマー、オキセタン系モノマー、ノルボルネン系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、スチレン系モノマー、光二量化モノマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのモノマーのうち、ポリマー915と同種のモノマーを用いることにより、ポリマー915中にモノマーをより均一に分散することができるので、光導波路形成用組成物901、902の特性の均質化を図ることができる。
また、重合可能な部位としては、特に不飽和炭化水素が好ましく用いられる。不飽和炭化水素を含む化合物は、ラジカル重合やカチオン重合といった重合反応を生じ易く、本発明に用いられるモノマーとして好適である。
ここで、アクリル酸(メタクリル酸)系モノマー、エポキシ系モノマーとしては、ポリマー915の原料として挙げたモノマーと同様のものを用いることができる。
また、環状エーテル基の開環が起こり易いため、オキセタニル基およびエポキシ基のような環状エーテル基を有するモノマーまたはオリゴマーは、速やかに反応し得る。したがって、かかるモノマーを用いることにより、コア層13の形成時間の短縮、ひいては光導波路1の製造時間の短縮を図ることができる。
環状エーテル基を有するモノマーの分子量(重量平均分子量)またはオリゴマーの分子量(重量平均分子量)は、それぞれ100以上400以下であるのが好ましい。
また、ビニルエーテル系モノマーとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類またはシクロアルキルビニルエーテル類が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種を組み合わせて用いることができる。
さらに、光二量化モノマーとしては、前述した光二量化し得る化学構造を有するモノマーが挙げられ、具体的には、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2’−ビス−[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種を組み合わせて用いることができる。
なお、これらのモノマーと前述したポリマー915との組み合わせは、特に限定されず、いかなる組み合わせであってもよい。
さらに、モノマーとしては、上述した各種モノマー、すなわちアクリル酸(メタクリル酸)系モノマー、エポキシ系モノマー、オキセタン系モノマー、ノルボルネン系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、スチレン系モノマー、光二量化モノマー等のモノマーが、同種・非同種のものを問わず2種以上併用されていてもよい。これらの組合せの中でも、オキセタニル基を有するモノマー、オキセタニル基を有するオリゴマー、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーのうちの2種以上を併用するのが好ましい。
オキセタニル基を有するモノマー、オキセタニル基を有するオリゴマーは重合を開始する開始反応が遅いが、生長反応が速い。これに対し、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーは、重合を開始する開始反応が速いが、生長反応が遅い。そのため、オキセタニル基を有するモノマー、オキセタニル基を有するオリゴマーと、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーとを併用することで、光を照射した際に、照射領域と未照射領域との間の屈折率差を確実に生じさせることができる。
オキセタニル基を有するモノマーとしては、例えば、アロンオキセタン(東亞合成製)を使用することができる。
また、モノマーは、その少なくとも一部が上述したようにオリゴマー化していてもよい。
なお、オキセタニル基を有するモノマーおよびオリゴマーやエポキシ基を有するモノマーおよびオリゴマーとしては、例えば、特開2010−090328号公報に記載されたものが挙げられる。
これらのモノマーの添加量は、ポリマー915の100質量部に対し、1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、2質量部以上40質量部以下であることがより好ましい。これにより、コア部14と側面クラッド部15との間の屈折率変調をより確実に起こすことができる。
なお、光導波路形成用組成物901と光導波路形成用組成物902との間で、含まれるモノマーは同じ組成のものでも、異なる組成のものでもよい。なお、同じ組成のものを用いることで、相互のモノマーの拡散移動が確実に生じるため、上述した屈折率分布Tをより明確化することができる。その結果、特性に優れた光導波路1が得られる。
また、光導波路形成用組成物901がモノマーを含む一方、光導波路形成用組成物902がモノマーを含まないようにしてもよい。この場合、各クラッド層11、12では、層内でのモノマーの拡散移動が生じないので、各クラッド層11、12の層内の屈折率を均一にすることができる。
なお、上述した光重合性のモノマーは、いわゆる屈折率調整成分の一種であり、添加剤920として添加される屈折率調整成分としては、ポリマー915と屈折率の異なるものであれば、ポリマーであっても、光重合性以外のモノマーであってもよい。例えば、1,3−ジブロモテトラフルオロベンゼン、1,4−ジブロモテトラフルオロベンゼン、2−ブロモテトラフルオロベンゾトリフルオライド、クロロペンタフルオロベンゼン、ブロモペンタフルオロベンゼン、ヨードペンタフルオロベンゼン、デカフルオロベンゾフェノン、パーフルオロアセトフェノン、パーフルオロビフェニル、クロロヘプタフルオロナフタレン、ブロモヘプタフルオロナフタレン等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種またはそれと他の成分との混合物が用いられる。
なお、屈折率調整成分を用いる場合、その濃度に勾配をもたせることによって、前述したような屈折率分布を形成することができる。濃度勾配を形成するには、例えば、ポリマー915からなる層に対して屈折率調整成分を添加する際、形成すべき屈折率分布に応じてその添加量に偏りを設けるようにすればよい。
((重合開始剤))
重合開始剤は、活性放射線の照射に伴ってモノマーに作用し、モノマーの反応を促すものである。
用いる重合開始剤としては、モノマーの重合反応または架橋反応の種類に応じて適宜選択される。例えば、アクリル酸(メタクリル酸)系モノマー、スチレン系モノマーには専らラジカル重合開始剤が、エポキシ系モノマー、オキセタン系モノマー、ビニルエーテル系モノマーには専らカチオン重合開始剤が好ましく用いられる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類等が挙げられる。具体的には、イルガキュア651、イルガキュア184(以上、BASFジャパン製)等が挙げられる。
一方、カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩のようなルイス酸発生型のもの、ヨードニウム塩、スルホニウム塩のようなブレンステッド酸発生型のもの等が挙げられる。具体的には、アデカオプトマーSP−170(ADEKA製)、サンエイドSI−100L(三新化学工業製)、Rhodorsil2074(ローディアジャパン製)等が挙げられる。
特に、モノマーとして環状エーテル基を有するモノマーを用いる場合には、以下のようなカチオン重合開始剤(光酸発生剤)が好ましく用いられる。
例えば、トリフェニルスルフォニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム−トリフルオロメタンスルホネートなどのスルホニウム塩類、p−ニトロフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどのジアゾニウム塩類、アンモニウム塩類、ホスホニウム塩類、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(トリキュミル)ヨードニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどのヨードニウム塩類、キノンジアジド類、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタンなどのジアゾメタン類、1−フェニル−1−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ−1−ベンゾイルメタン、N−ヒドロキシナフタルイミド−トリフルオロメタンサルホネートなどのスルホン酸エステル類、ジフェニルジスルホンなどのジスルホン類、トリス(2,4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3.4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのトリアジン類等の化合物が、光酸発生剤として用いられる。なお、これらの光酸発生剤は、単独または複数を組み合わせて用いられる。
この他に、各種架橋剤を用いることができる。例えば、(メタ)アクリル系モノマーの架橋には、水性(メタ)アクリレート用架橋剤としてカルボジライトV−02−L2(日清紡ケミカル製)を使用することができる。
重合開始剤の含有量は、ポリマー100質量部に対し0.01質量部以上0.3質量部以下であることが好ましく、0.02質量部以上0.2質量部以下であることがより好ましい。これにより、反応性の向上という効果がある。
なお、本実施形態では、上述したように、光導波路形成用組成物901中の添加剤920が重合開始剤を含んでいる一方、光導波路形成用組成物902中の添加剤920は重合開始剤を含んでいないため、コア層13においてのみ、層内でモノマーの重合反応が促進され、クラッド層11、12では、モノマーの重合反応が促進されない。したがって、クラッド層11、12では屈折率の変化が抑えられ、層内での屈折率を比較的均一にすることができる。
ただし、重合開始剤の添加については、上記の場合に限定されず、光導波路形成用組成物901と光導波路形成用組成物902の双方が重合開始剤を含んでいてもよい。この場合、クラッド層11、12ではできるだけモノマーの重合反応を抑えることが好ましいので、光導波路形成用組成物901と光導波路形成用組成物902とで含まれる重合開始剤の種類や添加量を異ならせるようにすればよい。具体的には、光導波路形成用組成物901に含まれる重合開始剤として後述する活性放射線930の波長に対して反応性の高いものを用い、光導波路形成用組成物902に含まれる重合開始剤として後述する活性放射線930の波長に対して反応性の低いものを用いればよい。また、同じ種類の重合開始剤を用いる場合には、光導波路形成用組成物901に比べて光導波路形成用組成物902への添加量を少なくすればよい。
さらに、光導波路形成用組成物901に含まれる重合開始剤として光酸発生剤を用い、光導波路形成用組成物902に含まれる重合開始剤として熱酸発生剤を用いるようにしてもよい。これにより、活性放射線930の照射に伴って主にコア層13の層内でのみモノマーの重合反応が促進され、第1の屈折率分布W1が形成される一方、クラッド層11、12ではモノマーの重合反応が促進されない。第1の屈折率分布W1が形成された後、層910に熱を加えることにより、今度はクラッド層11、12においてモノマーの重合反応が促進される。その結果、層910では、厚さ方向の屈折率分布Tが固定される。
熱酸発生剤としては、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルフォン酸、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルフォン酸のようなスルホニウム塩型化合物、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルフォン酸、ジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルフォン酸のようなヨードニウム塩型化合物、ペンタフェニルホスニウムトリフルオロメタンスルフォン酸、ペンタフェニルホスニウムノナフルオロブタンスルフォン酸のようなホスニウム塩型化合物等が挙げられる。
また、添加剤920は、モノマーや重合開始剤に加え、増感剤等を含んでいてもよい。
このうち、増感剤は、光に対する重合開始剤の感度を増大して、重合開始剤の活性化(反応または分解)に要する時間やエネルギーを減少させる機能や、重合開始剤の活性化に適する波長に光の波長を変化させる機能を有するものである。
このような増感剤としては、重合開始剤の感度や増感剤の吸収のピーク波長に応じて適宜選択され、特に限定されないが、たとえば、9,10−ジブトキシアントラセン(CAS番号第76275−14−4番)のようなアントラセン類、キサントン類、アントラキノン類、フェナントレン類、クリセン類、ベンツピレン類、フルオラセン類(fluoranthenes)、ルブレン類、ピレン類、インダンスリーン類、チオキサンテン−9−オン類(thioxanthen-9-ones)等が挙げられ、これらを単独または混合物として用いることができる。
増感剤の具体例としては、例えば、2−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、4−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、フェノチアジン(phenothiazine)またはこれらの混合物が挙げられる。
増感剤の含有量は、光導波路形成用組成物901、902中で、0.01質量%以上であるのが好ましく、0.5質量%以上であるのがより好ましく、1質量%以上であるのがさらに好ましい。なお、上限値は、5質量%以下であるのが好ましい。
なお、添加剤920はこの他に、触媒前駆体、助触媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、塗面改良剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、フィラー、無機粒子、老化防止剤、濡れ性改良剤、帯電防止剤等を含んでいてもよい。
以上のようなポリマー915と添加剤920とを含有する層910は、ポリマー915中に一様に分散する添加剤920の作用により、所定の屈折率を有している。
[2]次に、開口(窓)9351が形成されたマスク(マスキング)935を用意し、このマスク935を介して、層910に対して活性放射線930を照射する(図17参照)。
以下では、モノマーとして、ポリマー915より低い屈折率を有するものを用いる場合を一例に説明する。また、これに対応して、層910を形成するために用いた光導波路形成用組成物901、902において、ポリマー915の組成が、(光導波路形成用組成物901の屈折率)>(光導波路形成用組成物902の屈折率)の関係を満足するよう設定されている。これにより、層910では、厚さ方向の中央部が最も屈折率が高く、そこから層910の表面および裏面との間にそれぞれ極小値が存在し、かつ、屈折率が連続的に変化する屈折率分布が形成されている。
また、ここで示す例では、活性放射線930の照射領域925が主に側面クラッド部15および低屈折率層1491、1492となる。
したがって、ここで示す例では、マスク935には、主に、形成すべき側面クラッド部15のパターンと等価な開口(窓)9351が形成される。この開口9351は、照射する活性放射線930が透過する透過部を有するものである。なお、コア部14や側面クラッド部15のパターンは、活性放射線930の照射に応じて形成される第1の屈折率分布W1に基づいて決まるため、開口9351のパターンと側面クラッド部15のパターンとは完全に一致するものではなく、前記両パターンには多少のずれが生じる場合もある。
マスク935は、予め形成(別途形成)されたもの(例えばプレート状のもの)でも、層910上に例えば気相成膜法や塗布法により形成されたものでもよい。
マスク935として好ましいものの例としては、石英ガラスやPET基材等で作製されたフォトマスク、ステンシルマスク、気相成膜法(蒸着、スパッタリング等)により形成された金属薄膜等が挙げられるが、これらの中でもフォトマスクやステンシルマスクを用いるのが特に好ましい。微細なパターンを精度良く形成することができるとともに、ハンドリングがし易く、生産性の向上に有利であるからである。
また、図17においては、マスク935の開口(窓)9351は、活性放射線930の照射領域925のパターンに沿ってマスクを部分的に除去したものを示したが、前記石英ガラスやPET基材等で作製されたフォトマスクを用いる場合、該フォトマスク上に例えばクロム等の金属による遮蔽材で構成された活性放射線930の遮蔽部を設けたものを用いることもできる。このマスクでは、遮蔽部以外の部分が前記窓(透過部)となる。
用いる活性放射線930は、重合開始剤に対して光化学的な反応(変化)を生じさせ得るもの、および、ポリマー915に含まれる離脱性基を離脱させ得るものであればよく、例えば、可視光、紫外光、赤外光、レーザー光の他、電子線やX線等を用いることもできる。
これらの中でも、活性放射線930は、重合開始剤や離脱性基の種類、増感剤を含有する場合には、増感剤の種類等によって適宜選択され、特に限定されないが、波長200〜450nmの範囲にピーク波長を有するものであるのが好ましい。これにより、重合開始剤を比較的容易に活性化させるとともに、離脱性基を比較的容易に離脱させることができる。
また、活性放射線930の照射量は、0.1〜9J/cm程度であるのが好ましく、0.2〜6J/cm程度であるのがより好ましく、0.2〜3J/cm程度であるのがさらに好ましい。
マスク935を介して層910に活性放射線930を照射すると、照射領域925のうち、コア層13における照射領域9253において重合開始剤が活性化される。これにより、照射領域9253においてモノマーが重合する。モノマーが重合すると、照射領域9253におけるモノマーの量が減少するため、それに応じて未照射領域940のうち、コア層13における未照射領域9403中のモノマーが照射領域9253に拡散移動する。前述したように、ポリマー915とモノマーは、互いに屈折率差が生じるように適宜選択されるため、モノマーの拡散移動に伴ってコア層13の照射領域9253と未照射領域9403との間に屈折率差が生じる。一方、クラッド層11、12における照射領域9251、9252では、重合開始剤が含まれていないので、モノマーの重合反応が抑えられる。
図19は、コア層13の照射領域9253と未照射領域9403との間で屈折率差が生じる様子を説明するための図であり、層910の横断面の幅方向の位置を横軸にとり、横断面の屈折率を縦軸にとったときの屈折率分布を示す図である。
本実施形態では、モノマーとしてポリマー915より屈折率が小さいものを用いているため、モノマーの拡散移動に伴い、未照射領域9403の屈折率が高くなるとともに、照射領域9253の屈折率は低くなる(図19(a)参照)。
モノマーの拡散移動は、照射領域9253においてモノマーが消費され、それに応じて形成されたモノマーの濃度勾配がきっかけとなって起こると考えられる。このため、未照射領域9403全体のモノマーが一斉に照射領域9253に向かうのではなく、照射領域9253に近い部分から徐々に移動が始まり、これを補うように未照射領域9403の中央部から外側へのモノマーの移動も生起される。その結果、図19(a)に示すように、照射領域9253と未照射領域9403との境界を挟んで、未照射領域9403側に高屈折率部H、照射領域9253側に低屈折率部Lが形成される。これら高屈折率部Hおよび低屈折率部Lは、それぞれ上述したようなモノマーの拡散移動に伴って形成されるため、必然的に滑らかな曲線で構成されることとなる。具体的には、高屈折率部Hは、例えば上に凸の略U字状となり、低屈折率部Lは、例えば下に凸の略U字状となる。
なお、上述したようなモノマーが重合してなるポリマーの屈折率は、重合前のモノマーの屈折率とほぼ同じ(屈折率差が0〜0.001程度)であるため、照射領域9253では、モノマーの重合が進むにつれ、モノマーの量およびモノマー由来の物質の量に応じて屈折率の低下が進むこととなる。したがって、ポリマーに対するモノマーの量あるいは重合開始剤の量等を適宜調整することにより、第1の屈折率分布W1の形状を制御することができる。また、同様に、第2の屈折率分布W2や第3の屈折率分布W3の形状も制御することができ、第1の屈折率分布W1については、図2に示す分布や図3に示す分布を自在に選択することができる。
一方、未照射領域9403では、重合開始剤が活性化されないため、モノマーの重合は促進されない。
また、ポリマー915は前述したように離脱性基を有しているのが好ましい。この離脱性基は活性放射線930の照射に伴って離脱し、ポリマー915の屈折率を低下させる。したがって、照射領域9253に活性放射線930が照射されると、前述したモノマーの拡散移動が開始されるとともに、ポリマー915から離脱性基が離脱し、照射領域9253の屈折率は照射前から低下することとなる(図19(b)参照)。
この屈折率の低下は、照射領域9253全体で一律に生じるため、前述した高屈折率部Hと低屈折率部Lの屈折率差は、より拡大される。その結果、図19(b)に示す第1の屈折率分布W1が得られる。なお、図19(a)における屈折率の変化と、図19(b)における屈折率の変化は、ほぼ同時に起こる。このような屈折率変化によってこの屈折率差はさらに拡大することとなる。
そして、活性放射線930の照射量を調整することにより、形成される屈折率差および屈折率分布の形状を制御することができ、例えば、照射量を多くすることで、屈折率差を拡大することができる。また、活性放射線930の照射前に層910を乾燥させてもよいが、その際の乾燥の程度を調整することにより、屈折率分布の形状を制御することもできる。例えば、乾燥の程度を大きくすることで、モノマーの拡散移動量を抑えることができる。このようにして第1の屈折率分布W1、第2の屈折率分布W2および第3の屈折率分布W3を自在に制御することができ、第1の屈折率分布W1については、図2に示す分布や図3に示す分布を自在に選択することができる。
また、照射領域9253では、コア層13中の未照射領域9403からのモノマーの拡散移動のみならず、照射領域925のうち、クラッド層11における照射領域9251およびクラッド層12における照射領域9252からのモノマーの拡散移動も生じる。これにより、照射領域9253では、さらに屈折率の低下が生じることとなる。一方、照射領域9251および照射領域9252では、モノマーの拡散移動に伴って屈折率の上昇が生じるが、この領域ではそもそも屈折率が低くなるようポリマー915の組成等が設定されているので、屈折率の上昇が生じても光導波路1の機能を損なうことはない。
また、クラッド層11における照射領域9251およびクラッド層12における照射領域9252では、コア層13における照射領域9253と同様、離脱性基の離脱が生じ、ポリマー915の屈折率が低下する。その結果、照射領域9251および照射領域9252においても、さらなる屈折率の低下が生じる。
以上のような原理で、光導波路1が得られる(図18参照)。このような光導波路1は、ポリマー915中にモノマーが分散してなる光導波路形成用組成物で構成された層910に対して部分的に活性放射線930を照射し、モノマーを拡散移動、偏在させることにより、層910内に屈折率の偏りを生じさせてなる第1の屈折率分布W1、第2の屈折率分布W2および第3の屈折率分布W3を有するものとなる。また、このような光導波路1は、単に活性放射線930を部分的に照射するのみで形成可能であり、しかも伝送効率の高いものとなるので、コア部14や側面クラッド部15の幅やピッチが狭くても、高品質な光通信が可能なものとなる。また、コア部14同士を同一平面上で多数交差させても、混信や伝送効率の低下が生じ難い。したがって、光導波路1は、多チャンネル化および高密度化が容易なものとなる。
なお、第1の屈折率分布W1においては、低屈折率部Lが転化した極小値Ws1、Ws2、Ws3、Ws4が存在しており(図2(b)参照)、これらの極小値の位置がコア部14と側面クラッド部15との界面に相当する。また同様に、第2の屈折率分布W2および第3の屈折率分布W3においては、低屈折率部が低屈折率層1491、1492に相当する。
また、モノマーとしてポリマー915より高い屈折率を有するものを用いる場合には、上記と反対に、モノマーの拡散移動に伴って移動先の屈折率が高くなるため、それに応じて、照射領域925および未照射領域940を設定するようにすればよい。
なお、各屈折率分布W1、W2、W3は、上述したように光重合性モノマーが移動、偏在することにより、屈折率が連続的に変化して形成されたものであるため、コア層13は、コア部14と側面クラッド部15との間あるいはコア部14と低屈折率層1491、1492との間等に明瞭な構造的界面が有しないものとなる。このため、剥離やクラックといった問題が生じ難く、光導波路1は信頼性の高いものとなる。
また、ポリマー915のショアD硬度は、35〜95程度であるのが好ましく、40〜90程度であるのがより好ましく、45〜85程度であるのがさらに好ましい。このような硬度のポリマー915は、光導波路1に必要かつ十分な可撓性と抗折性とを付与しつつ、モノマーを確実に拡散移動させ、十分な屈折率差の形成に寄与する。したがって、得られた光導波路1は、折り曲げ使用に適した十分な柔軟性と機械的強度とを備えるとともに、折り曲げた状態でも優れた光学特性を有するものとなる。
同様に、ポリマー915のロックウェル硬度は、Mスケールで40〜125程度であるのが好ましく、50〜115程度であるのがより好ましく、60〜110程度であるのがさらに好ましい。
また、ポリマー915の軟化点は、90℃以上、300℃以下であるのが好ましく、95〜280℃であるのがより好ましく、100〜260℃であるのがさらに好ましい。これにより、得られた光導波路1は、各屈折率分布W1、W2、W3を確実に形成し、かつ形成された各屈折率分布W1、W2、W3を長期にわたって確実に維持し得るとともに、折り曲げた状態で使用しても断線を防止し得る十分な機械的強度を備えたものとなる。したがって、光導波路1は、光学特性に優れた信頼性の高いものとなる。なお、ポリマー915の軟化点は、ポリマー915のガラス転移温度または融点であり、双方あるときは低い方を指す。
また、活性放射線930の照射は、必要に応じて、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気のような不活性ガス雰囲気下で行うようにしてもよい。これにより、ポリマー915やモノマーの酸化、変性を抑制することができ、より光学特性の高い光導波路1を得ることができる。
なお、交差部147では、モノマーが四方に拡散移動するため、屈折率の変化幅が大きくなる。このようにして交差部147の屈折率の極大値をコア部14の極大値より高くすることができる。
一方、活性放射線930を照射する前の層910には、図20(a)に示すように、その厚さ方向において、屈折率分布T’が形成されている。この屈折率分布T’は、前述したように、互いに屈折率の異なる光導波路形成用組成物901と光導波路形成用組成物902とを用い、多色成形法によって層910を得たことにより形成されたものである。
ここで、マスク935を介して層910に活性放射線930を照射すると、光導波路形成用組成物901と光導波路形成用組成物902とでモノマーの含有率に差がある場合、未照射領域9403中のモノマーが照射領域9253に拡散移動するため、コア部14の厚さ方向における屈折率分布T’においても、コア部14に対応する領域の屈折率が高くなる。一方、コア部14の上下に位置するクラッド層11、12では、屈折率が変化しないため、結果的に、コア部14とその上下のクラッド層11、12との間で屈折率差が拡大することとなる。
以上のような原理で、極大値と極小値との間で屈折率差の大きい屈折率分布Tを有する光導波路1が得られる(図20(b)参照)。なお、屈折率分布T’において、すでに十分な効果が認められるような屈折率分布の形状が実現されている場合には、上述した屈折率分布T’から屈折率分布Tへの変化は省略されてもよい。
なお、各屈折率分布W1、W2、W3は、コア層13中のモノマー由来の構造体濃度に一定の相関関係を有している。したがって、このモノマー由来の構造体の濃度を測定することにより、光導波路1が有する各屈折率分布W1、W2、W3を間接的に特定することが可能である。
同様に、屈折率分布Tは、光導波路1中のモノマー由来の構造体濃度に一定の相関関係を有している。したがって、このモノマー由来の構造体の濃度を測定することにより、光導波路1が有する屈折率分布Tを間接的に特定することが可能である。
なお、モノマー由来の構造体とは、モノマー、モノマーが反応してなるオリゴマー、およびモノマーが反応してなるポリマー等、モノマーの未反応物か反応に伴って形成される構造体のことである。
構造体の濃度の測定は、例えば、FT−IR、TOF−SIMSの線分析、面分析等を用いて行うことができる。
さらには、光導波路1の出射光の強度分布が、第1の屈折率分布W1あるいは屈折率分布Tと一定の相関関係を有していることを利用しても、第1の屈折率分布W1および屈折率分布Tを間接的に特定することができる。
また、例えば、(1)干渉顕微鏡(dual−beam interference microscope)を用いて屈折率依存の干渉縞を観測し、その干渉縞から屈折率分布を算出するという方法、(2)屈折ニアフィールド法(Refracted Near Field method;RNF)により直接測定することが可能である。このうち、屈折ニアフィールド法は、例えば特開平5−332880号公報に記載の測定条件を採用することができる。一方、干渉顕微鏡は、屈折率分布の測定を簡便に行い得る点で好ましく用いられる。
以下、干渉顕微鏡を使用した屈折率分布の測定手順の一例について説明する。まず、断面方向(幅方向)に光導波路をスライスして、光導波路断片を得る。例えば、光導波路の長さが200〜300μmとなるようにスライスする。次いで、2つのスライドガラスで囲まれた空間に、屈折率1.536のオイルで充填したチャンバーを作製する。そして、チャンバー内の空間に、光導波路断片を挟み込んで測定サンプル部と、光導波路断片を入れていないブランクサンプル部とを作製する。次いで、干渉顕微鏡を使用し、2つに分けた光をそれぞれ測定サンプル部とブランクサンプル部に照射した後、透過光を統合することによって干渉縞写真を得る。干渉縞は光導波路断片の屈折率分布(位相分布)に伴って発生するものであるので、得られた干渉縞写真を画像解析することにより、光導波路の幅方向の第1の屈折率分布W1を得ることができる。なお、第1の屈折率分布W1を取得する際には、複数の干渉縞写真を画像解析することで第1の屈折率分布W1の精度を高めることができる。複数の干渉縞写真を得るときには、干渉顕微鏡内のプリズムを移動させることにより、光路長を変化させ、干渉縞の間隔や干渉縞のできる箇所を互いに異ならせた写真を得るようにすればよい。また、干渉縞写真を画像解析する際には、例えば2.5μmの間隔で解析点を設定すればよい。
また、活性放射線930として、レーザー光のように指向性の高い光を用いる場合には、マスク935の使用を省略してもよい。
次に、必要に応じて、層910に加熱処理を施す。この加熱処理において、光を照射したコア層13の照射領域9253中のモノマーがさらに重合する。
この加熱処理における加熱温度は、特に限定されないが、30〜180℃程度であるのが好ましく、40〜160℃程度であるのがより好ましい。
また、加熱時間は、照射領域925のモノマーの重合反応がほぼ完了するように設定するのが好ましく、具体的には、0.1〜2時間程度であるのが好ましく、0.1〜1時間程度であるのがより好ましい。
なお、この加熱処理は必要に応じて行えばよく、省略してもよい。
以上により、光導波路1が得られる。
その後、必要に応じて、支持基板951から光導波路1を剥離するとともに、光導波路1の下面に支持フィルム2を積層し、上面にカバーフィルム3を積層する。
また、コア層13を複数層含むように層910を形成した場合、これに活性放射線930を照射すると、1回の照射で複数のコア層13に対して一括にコア部14および側面クラッド部15を形成することができる。このため、複数のコア層13を有する光導波路1を少ない工程で製造することができる。またこの場合、複数のコア層13の間においてコア部14の位置ずれはほとんど起こり得ない。したがって、寸法精度が極めて高い光導波路1が得られる。このような光導波路1は、受発光素子等との光結合に際して、光結合効率が特に高いものとなる。
<電子機器>
上述したような本発明の光導波路は、光伝送効率に優れたものである。このため、本発明の光導波路を備えることにより、2点間で高品質の光通信を行い得る信頼性の高い電子機器(本発明の電子機器)が得られる。
本発明の光導波路を備える電子機器としては、例えば、携帯電話、ゲーム機、ルーター装置、WDM装置、パソコン、テレビ、ホーム・サーバー等の電子機器類が挙げられる。これらの電子機器では、いずれも、例えばLSI等の演算装置とRAM等の記憶装置との間で、大容量のデータを高速に伝送する必要がある。したがって、このような電子機器が本発明の光導波路を備えることにより、電気配線に特有なノイズ、信号劣化等の不具合が解消され、その性能の飛躍的な向上が期待できる。
さらに、光導波路部分では、電気配線に比べて発熱量が大幅に削減される。このため、冷却に要する電力を削減することができ、電子機器全体の消費電力を削減することができる。
また、本発明の光導波路は、伝送損失およびパルス信号の鈍りが小さく、多チャンネル化および高密度化してもクロストークや交差部における混信が生じ難い。このため、高密度かつ小面積でも信頼性の高い光導波路が得られ、この光導波路を搭載することで、電子機器の信頼性向上および小型化が図られる。
以上、本発明の光導波路、光配線部品および電子機器について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば光導波路には、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の光導波路を製造する方法は、上記の方法に限定されず、例えば、活性放射線の照射により分子結合を切断し、屈折率を変化させる方法(フォトブリーチ法)、コア層を形成する組成物に光異性化または光二量化可能な不飽和結合を有する光架橋性ポリマーを含有させ、これに活性放射線を照射して分子構造を変化させるとともに屈折率を変化させる方法(光異性化法・光二量化法)等の方法を用いることもできる。
これらの方法では、活性放射線の照射量に応じて屈折率の変化量を調整することができるので、目的とする各屈折率分布W1、W2、W3の形状に応じて層の各部に照射する活性放射線の照射量を異ならせることにより、各屈折率分布W1、W2、W3を有するコア層を形成することができる。
次に、本発明の実施例について説明する。
1.図2に示す屈折率分布を有する光導波路の製造
まず、図2に示す屈折率分布を有する直線状のコア部を有する光導波路を製造し、3ではその評価を行った。
(実施例1)
(1)クラッド層形成用樹脂組成物の製造
ダイセル化学工業(株)製の脂環式エポキシ樹脂、セロキサイド2081 20g、(株)ADEKA製のカチオン重合開始剤、アデカオプトマーSP−170 0.6g、およびメチルイソブチルケトン80gを撹拌混合して溶液を調製した。
次いで、得られた溶液を0.2μm孔径のPTFEフィルターでろ過して清浄で無色透明なクラッド層形成用樹脂組成物E1を得た。
(2)感光性樹脂組成物の製造
エポキシ系ポリマーとして新日鐵化学(株)製のフェノキシ樹脂、YP−50S 20g、モノマーとしてダイセル化学工業(株)製のセロキサイド2021P 5g、および重合開始剤として(株)ADEKA製のアデカオプトマーSP−170 0.2gを、メチルイソブチルケトン80g中に投入し、撹拌溶解して溶液を調製した。
次いで、得られた溶液を0.2μm孔径のPTFEフィルターでろ過して清浄で無色透明な感光性樹脂組成物F1を得た。
(3)下側クラッド層の作製
クラッド層形成用樹脂組成物E1をドクターブレードにより厚さ25μmのポリイミドフィルム上に均一に塗布した後、50℃の乾燥機に10分間投入した。溶媒を完全に除去した後、UV露光機で全面に紫外線を照射し、塗布した樹脂組成物E1を硬化させた。これにより、厚さ10μmの無色透明な下側クラッド層を得た。なお、紫外線の積算光量は500mJ/cmとした。
(4)コア層の作製
作製した下側クラッド層上に感光性樹脂組成物F1をドクターブレードにより均一に塗布した後、40℃の乾燥機に5分間投入した。溶媒を完全に除去して被膜とした後、得られた被膜上に、ライン、スペースの直線パターンが全面に描かれたフォトマスクを圧着した。そして、フォトマスク上から平行露光機により紫外線を照射した。なお、紫外線の積算光量は1000mJ/cmとした。
次いで、フォトマスクを取り去り、150℃のオーブンに30分間投入した。オーブンから取り出すと、被膜には鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。コア部の平均幅WCOと側面クラッド部の平均幅WCLとをそれぞれ表1に示す。また、得られたコア層の厚さは50μm、コア部の本数は8本とした。
(5)上側クラッド層の作製
作製したコア層上に、(3)と同様にしてクラッド層形成用樹脂組成物E1を塗布し、厚さ10μmの無色透明な上側クラッド層を得た。以上のようにして光導波路を得た。
(6)屈折率分布の評価
そして、得られた光導波路のコア層の横断面について、干渉顕微鏡により幅方向の第1の屈折率分布W1を取得した。その結果、第1の屈折率分布W1は、複数の低屈折率領域および高屈折率領域を有し、屈折率が連続的に変化したものであった。
(実施例2〜8)
ポリマーの組成、モノマーの組成と含有率、および紫外線の積算光量を表1に示すように設定するとともに、コア部の平均幅WCOおよび側面クラッド部の平均幅WCLがそれぞれ表1に示す値になるようにフォトマスクのパターンを設定するようにした以外は、それぞれ実施例1と同様にして光導波路を得た。
(実施例9)
(1)(メタ)アクリル系ポリマーの合成
メタクリル酸メチル(MMA)20.0g、ベンジルメタクリレート(BzMA)30.0g、およびメチルイソブチルケトン450gをセパラブルフラスコに投入し、撹拌混合したのち、窒素ガスで置換してモノマー溶液を調製した。
一方、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.25gをメチルイソブチルケトン10gに溶解したのち、窒素ガスで置換して開始剤溶液を調製した。
そして、前記モノマー溶液を80℃に加熱した状態で撹拌しつつ、シリンジを用いて前記開始剤溶液を前記モノマー溶液に添加した。そのまま80℃で1時間撹拌したのちに冷却し、重合体溶液を調製した。その後、5Lのイソプロパノールをビーカーに準備し、攪拌機により常温下で撹拌しつつ、ビーカー内に前記重合体溶液を滴下した。滴下が完了してからも引き続き30分間撹拌し、その後沈殿したポリマーを取り出し、真空乾燥機にて減圧下60℃で8時間乾燥させた。これにより、アクリル系ポリマーA1を得た。
(2)クラッド層形成用樹脂組成物の製造
互応化学工業(株)製の水性アクリレート樹脂溶液RD−180 20g、イソプロパノール20g、および重合開始剤として日清紡ケミカル(株)カルボジライトV−02−L2 0.4gを撹拌混合して溶液を調製した。
次いで、得られた溶液を0.2μm孔径のPTFEフィルターでろ過して清浄で無色透明なクラッド層形成用樹脂組成物B1を得た。
(3)感光性樹脂組成物の製造
合成したアクリル系ポリマーA1 20gと、モノマーとしてメタクリル酸シクロヘキシル5gと、重合開始剤としてBASFジャパン(株)製イルガキュア651 0.2gを、メチルイソブチルケトン80g中に投入し、撹拌溶解し溶液を調製した。
次いで、得られた溶液を0.2μm孔径のPTFEフィルターでろ過して清浄で無色透明な感光性樹脂組成物C1を得た。
(4)下側クラッド層の作製
クラッド層形成用樹脂組成物B1をドクターブレードにより厚さ25μmのポリイミドフィルム上に均一に塗布した後、80℃の乾燥機に10分間投入した。溶媒を完全に除去した後、さらに150℃のオーブンに10分間投入し、硬化させて厚さ10μmの無色透明な下側クラッド層を得た。
(5)コア層の作製
作製した下側クラッド層上に感光性樹脂組成物C1をドクターブレードにより均一に塗布した後、40℃の乾燥機に5分間投入した。溶媒を完全に除去して被膜とした後、得られた被膜上に、ライン、スペースの直線パターンが全面に描かれたフォトマスクを圧着した。そして、フォトマスク上から平行露光機により紫外線を照射した。なお、紫外線の積算光量は800mJ/cmとした。
次いで、フォトマスクを取り去り、150℃のオーブンに30分間投入した。オーブンから取り出すと、被膜には断面が矩形状をなす鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。コア部の平均幅WCOと側面クラッド部の平均幅WCLとをそれぞれ表2に示す。また、得られたコア層の厚さは50μm、コア部の本数は8本とした。
(6)上側クラッド層の作製
作製したコア層上に、(4)と同様にしてクラッド層形成用樹脂組成物B1を塗布し、厚さ10μmの無色透明な上側クラッド層を得た。以上のようにして光導波路を得た。
(7)屈折率分布の評価
そして、得られた光導波路のコア層の横断面について、干渉顕微鏡により幅方向の第1の屈折率分布W1を取得した。その結果、第1の屈折率分布W1は、複数の低屈折率領域および高屈折率領域を有し、屈折率が連続的に変化したものであった。
(実施例10〜12)
モノマーの組成と含有率、および紫外線の積算光量を表2に示すように設定するとともに、コア部の平均幅WCOおよび側面クラッド部の平均幅WCLがそれぞれ表2に示す値になるようにフォトマスクのパターンを設定するようにした以外は、それぞれ実施例9と同様にして光導波路を得た。
(実施例13)
(1)離脱性基を有するポリオレフィン系樹脂の合成
水分および酸素濃度がいずれも1ppm以下に制御され、乾燥窒素で満たされたグローブボックス中において、ヘキシルノルボルネン(HxNB)7.2g(40.1mmol)、ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン12.9g(40.1mmol)を500mLバイアル瓶に計量し、脱水トルエン60gと酢酸エチル11gを加え、シリコン製のシーラーを被せて上部を密栓した。
次に、100mLバイアルビン中にNi触媒1.56g(3.2mmol)と脱水トルエン10mLを計量し、スターラーチップを入れて密栓し、触媒を十分に撹拌して完全に溶解させた。
このNi触媒溶液1mLをシリンジで正確に計量し、上記2種のノルボルネンを溶解させたバイアル瓶中に定量的に注入し室温で1時間撹拌したところ、著しい粘度上昇が確認された。この時点で栓を抜き、テトラヒドロフラン(THF)60gを加えて撹拌を行い、反応溶液を得た。
100mLビーカーに無水酢酸9.5g、過酸化水素水18g(濃度30%)、イオン交換水30gを加えて撹拌し、その場で過酢酸水溶液を調製した。次にこの水溶液全量を上記反応溶液に加えて12時間撹拌してNiの還元処理を行った。
次に、処理の完了した反応溶液を分液ロートに移し替え、下部の水層を除去した後、イソプロピルアルコールの30%水溶液を100mL加えて激しく撹拌を行った。静置して完全に二層分離が行われた後で水層を除去した。この水洗プロセスを合計で3回繰り返した後、油層を大過剰のアセトン中に滴下して生成したポリマーを再沈殿させ、ろ過によりろ液と分別した後、60℃に設定した真空乾燥機中で12時間加熱乾燥を行うことにより、ポリマー#1を得た。ポリマー#1の分子量分布は、GPC測定により、Mw=10万、Mn=4万であった。また、ポリマー#1中の各構造単位のモル比は、NMRによる同定により、ヘキシルノルボルネン構造単位が50mol%、ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン構造単位が50mol%であった。
(2)コア層形成用組成物の製造
精製した上記ポリマー#1 10gを100mLのガラス容器に秤量し、これにメシチレン40g、酸化防止剤Irganox1076(チバガイギー社製)0.01g、シクロヘキシルオキセタンモノマー(東亜合成製 CHOX、CAS#483303−25−9、分子量186、沸点125℃/1.33kPa)2g、重合開始剤(光酸発生剤) RhodorsilPhotoinitiator 2074(Rhodia社製、CAS# 178233−72−2)(0.0125g、酢酸エチル0.1mL中)を加え均一に溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄なコア層形成用組成物を得た。なお、この組成物には、モノマーが含まれていない点で、各実施例に記載の感光性樹脂組成物と異なっている。一方、ポリマー#1は、活性放射線の照射により離脱性基が離脱する機能を有しており、いわゆるフォトブリーチング現象が生じるものである。また、前記重合開始剤は、表1中においてPI 2074と表記する。
(3)クラッド層形成用組成物の製造
精製した上記ポリマー#1の各構造単位のモル比を、ヘキシルノルボルネン構造単位80mol%、ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン構造単位20mol%にそれぞれ変更したものを、前記ポリマー#1に代えて用いるようにした以外はコア層形成用組成物と同様にしてクラッド層形成用組成物を得た。
(4)下側クラッド層の作製
クラッド層形成用組成物をドクターブレードにより厚さ25μmのポリイミドフィルム上に均一に塗布した後、50℃の乾燥機に10分間投入した。溶媒を完全に除去した後、UV露光機で全面に紫外線を照射し、塗布した組成物を硬化させた。これにより、厚さ10μmの無色透明な下側クラッド層を得た。なお、紫外線の積算光量は500mJ/cmとした。
(5)コア層の作製
作製した下側クラッド層上にコア層樹脂組成物をドクターブレードにより均一に塗布した後、40℃の乾燥機に5分間投入した。溶媒を完全に除去して被膜とした後、得られた被膜上に、ライン、スペースの直線パターンが全面に描かれたフォトマスクを圧着した。そして、フォトマスク上から平行露光機により紫外線を照射した。なお、紫外線の積算光量は1300mJ/cmとした。
次いで、フォトマスクを取り去り、150℃のオーブンに30分間投入した。オーブンから取り出すと、被膜には断面が矩形状をなす鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。得られたコア層の厚さは50μmであった。また、コア部の本数は8本とした。
(6)上側クラッド層の作製
作製したコア層上に、(3)と同様にしてクラッド層形成用樹脂組成物E1を塗布し、厚さ10μmの無色透明な上側クラッド層を得た。以上のようにして光導波路を得た。
(7)屈折率分布の評価
そして、得られた光導波路のコア層の横断面について、干渉顕微鏡により幅方向の第1の屈折率分布W1を取得した。その結果、第1の屈折率分布W1は、複数の低屈折率領域および高屈折率領域を有し、屈折率が連続的に変化したものであった。
(実施例14、15)
モノマーの組成と含有率、および紫外線の積算光量を表3に示すように設定するとともに、コア部の平均幅WCOおよび側面クラッド部の平均幅WCLがそれぞれ表3に示す値になるようにフォトマスクのパターンを設定するようにした以外は、それぞれ実施例13と同様にして光導波路を得た。
(実施例16)
(1)光導波路の製造
実施例13に用いた光導波路形成用組成物を用い、図14に示すダイコーターにより、ポリエーテルスルホン(PES)フィルム上に多色押出成形を行った。これにより、コア層形成用組成物を中間層とし、クラッド層形成用組成物を下層および上層とする多色成形体を得た。これを55℃の乾燥器に10分間投入し、溶剤を完全に除去した後、フォトマスクを圧着して紫外線を1300mJ/cmで選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中で150℃、1.5時間の加熱を行った。加熱後、鮮明な導波路パターンが現れており、コア部および側面クラッド部が形成されているのが確認された。その後、得られた光導波路から、長さ10cm分を切り出した。なお、形成された光導波路は、コア部が8本並列に形成されたものである。また、光導波路の全体の厚さを100μmとした。
(2)屈折率分布の評価
そして、得られた光導波路のコア層の横断面について、干渉顕微鏡により幅方向の第1の屈折率分布W1を取得した。その結果、第1の屈折率分布W1は、複数の低屈折率領域および高屈折率領域を有し、屈折率が連続的に変化したものであった。
一方、光導波路の横断面について、そのコア部の幅の中心を上下方向に通過する中心線に沿って干渉顕微鏡により厚さ方向の屈折率分布Tを取得した。その結果、屈折率分布Tは、その中央部に屈折率が連続的に変化している領域と、その両側に、前記領域より屈折率が低く、かつほぼ一定の値の領域を有していた。すなわち、得られた光導波路の厚さ方向の屈折率分布Tは、いわゆるグレーデッドインデックス型になっていた。
(実施例17、18)
モノマーの組成と含有率、および紫外線の積算光量を表3に示すように設定するとともに、コア部の平均幅WCOおよび側面クラッド部の平均幅WCLがそれぞれ表3に示す値になるようにフォトマスクのパターンを設定するようにした以外は、それぞれ実施例16と同様にして光導波路を得た。
(比較例1)
コア形成用組成物およびクラッド形成用組成物について、CHOXを添加せず、PI2074の添加量を0.01gとした以外は、実施例13と同様にして光導波路を得た。
なお、得られた光導波路では、コア部の屈折率は一定であり、側面クラッド部の屈折率も一定であり、コア部とクラッド部との屈折率は不連続であった。すなわち、得られた光導波路のコア層の屈折率分布は、いわゆるステップインデックス(SI)型の分布になっていた。
(参考例1、2)
コア部の平均幅WCOおよび側面クラッド部の平均幅WCLがそれぞれ表1に示す値になるようにフォトマスクのパターンを変更するようにした以外は、それぞれ実施例1、2と同様にして光導波路を得た。
(参考例3、4)
コア部の平均幅WCOおよび側面クラッド部の平均幅WCLがそれぞれ表2に示す値になるようにフォトマスクのパターンを変更するようにした以外は、それぞれ実施例9、10と同様にして光導波路を得た。
以上の各実施例、各比較例および参考例で得られた光導波路について、製造条件を表1、2、3に示す。
Figure 2013174840
Figure 2013174840
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2.図3に示す屈折率分布を有する光導波路の製造
まず、図3に示す屈折率分布を有する直線状のコア部を有する光導波路を製造し、3ではその評価を行った。
(実施例19〜37、比較例2および参考例5〜10)
製造条件を表4、5、6に示すように変更するとともに、実施例19〜31および参考例5〜8におけるコア層形成時の乾燥条件を50℃×10分間に、実施例32〜37、比較例2および参考例9、10におけるコア層形成時の乾燥条件を60℃×15分間に変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にして光導波路を得た。
Figure 2013174840
Figure 2013174840
Figure 2013174840
3.光導波路の評価
3.1 光導波路の屈折率分布
得られた光導波路のコア層の横断面について、その厚さ方向の中心線に沿って干渉顕微鏡により屈折率分布を測定し、コア層の横断面の幅方向の屈折率分布を得た。なお、得られた屈折率分布は、コア部ごとに同様の屈折率分布パターンが繰り返されているので、得られた屈折率分布から一部を切り出し、これを第1の屈折率分布W1とした。また、同様にして屈折率分布Tを得た。
第1の屈折率分布W1のうち、表1、2、3において「GI型」とした分布の形状は、図2に示すような、極大値Wmを含む高屈折率領域WHと低屈折率領域WLとが交互に並んだ形状であった。
また、第1の屈折率分布W1のうち、表4、5、6において「W型」とした分布の形状は、図3に示すような、4つの極小値と5つの極大値とが交互に並んだ形状であった。このW型の第1の屈折率分布W1から、各極小値Ws1、Ws2、Ws3、Ws4および各極大値Wm1、Wm2、Wm3、Wm4、Wm5を求めるとともに、クラッド部における平均屈折率WAを求めた。なお、各実施例および各参考例で得られた光導波路の幅方向の第1の屈折率分布W1は、それぞれ、その全体において屈折率の変化が連続的であった。
また、このW型の第1の屈折率分布W1において、コア部に形成された極大値Wm2、Wm4近傍における屈折率が、平均屈折率WA以上の値を有している部分の幅a[μm]、および、各極小値Ws1、Ws2、Ws3、Ws4近傍における屈折率が、平均屈折率WA未満の値を有している部分の幅b[μm]をそれぞれ測定した。
一方、各光導波路の交差部における第2の屈折率分布W2および第3の屈折率分布W3は、それぞれ図7に示すような、極大値と極小値とを有した全体的に屈折率が連続的に変化してなる分布であった。
また、各光導波路において、漸減部における屈折率の最大の変化率は0.008〜0.025の範囲内であった。また、交差部の屈折率の極大値は、いずれも極大値Wmよりも高く、その差は0.003〜0.015の範囲内であった。
以上の測定結果を表7〜13に示す。
Figure 2013174840
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Figure 2013174840
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なお、比較例1、2で得られた光導波路の幅方向の第1の屈折率分布W1は、ステップインデックス型であった。
3.2 光導波路の伝送損失
850nmVCSEL(面発光レーザー)より発せられた光を50μmφの光ファイバーを経由して、各実施例および各比較例で得られた光導波路に導入し、出射光を200μmφの光ファイバーで受光し、光の強度を測定した。なお、伝送損失の測定にはカットバック法を採用した。そして、光導波路の長手方向を横軸にとり、挿入損失を縦軸にとって測定値をプロットしたところ、測定値は直線上に並んだ。そこで、その直線の傾きから伝送損失を算出した。
3.3 パルス信号の波形の保持性
得られた光導波路に対して、レーザーパルス光源からパルス幅1nsのパルス信号を入射し、出射光のパルス幅を測定した。
そして、測定した出射光のパルス幅について、表14〜16では比較例1で得られた光導波路の測定値を1とし、表17〜19では比較例2で得られた光導波路の測定値を1としたときの相対値をそれぞれ算出し、これを以下の評価基準にしたがって評価した。
<パルス幅の評価基準>
◎:パルス幅の相対値が0.5未満である
○:パルス幅の相対値が0.5以上0.8未満である
△:パルス幅の相対値が0.8以上1未満である
×:パルス幅の相対値が1以上である
以上、3.2および3.3の評価結果を表14〜19に示す。
Figure 2013174840
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表14〜19から明らかなように、各実施例で得られた光導波路では、各比較例で得られた光導波路に比べ、伝送損失およびパルス信号の鈍りがそれぞれ抑えられていることが認められた。
なお、比較例1で使用したフォトブリーチング現象が生じるコア層形成用組成物は、照射光量に応じて屈折率の変調量を調整することができるので、それを利用し、積算光量が徐々に変化するよう設定したフォトマスクを使用して第1の屈折率分布W1を形成することを試みた。得られた光導波路に対して上述したように屈折率分布を評価したところ、高屈折率領域と低屈折率領域とが確認されたが、屈折率の変化は各実施例ほど連続的ではなかった。また、得られた光導波路については、各実施例に比べて伝送損失が大きく、パルス信号の波形の保持性も低かった。
4.交差部および低屈折率層を有する光導波路の製造
次いで、上記の各実施例、各比較例および各参考例と同様の条件で、以下のように交差部および低屈折率層を有する光導波路を製造した。
(実施例A)
コア層を作製する際に使用するフォトマスクとして図1に示すような交差部および低屈折率層を有する光導波路のパターンに対応したものを使用した以外、実施例1と同様にして光導波路を製造することにより、交差部および低屈折率層を有する光導波路を製造した。なお、光導波路の製造にあたっては、各交差部における交差角が30°、60°、90°である3種の光導波路を製造した。また、交差部の周囲には、幅10μmの低屈折率層を形成した。
(実施例B〜Z、a〜k、比較例A、Bおよび参考例A〜J)
コア層を作製する際に使用するフォトマスクとして図1に示すような交差部を有するコア部のパターンに対応したものを使用した以外、実施例2〜37、比較例1、2および参考例1〜10と同様にして光導波路を製造することにより、それぞれ交差部および低屈折率層を有する光導波路を製造した。なお、光導波路の製造にあたっては、各交差部における交差角が30°、60°、90°である3種の光導波路を製造した。また、交差部の周囲には、幅10μmの低屈折率層を形成した。
(比較例C〜H)
低屈折率層の形成を省略した以外は、実施例A、I、M、S、b、fと同様にして交差部を有する光導波路を製造した。なお、光導波路の製造にあたっては、各交差部における交差角が30°、60°、90°である3種の光導波路を製造した。
5.交差部および低屈折率層を有する光導波路の評価
次いで、得られた交差部および低屈折率層を有する光導波路について、両端部間の挿入損失を測定した。その結果、挿入損失の値は、前述した伝送損失と同様の傾向を示した。すなわち、各実施例で得られた交差部および低屈折率層を有する光導波路は、挿入損失が十分に小さかった一方、各比較例で得られた交差部および低屈折率層を有する光導波路は、挿入損失が比較的大きかった。そして、3.で測定された伝送損失が小さいものほど、混信する信号光の光量も少ないことが認められた。
また、交差部における伝送損失を算出したところ、各実施例で得られた交差部および低屈折率層を有する光導波路は、各比較例で得られた交差部を有する光導波路よりも交差部における伝送損失が小さいことが明らかとなった。算出された交差部における伝送損失を表14〜19に示す。なお、交差角度が90°の場合、伝送損失はいずれも0.02dB以下であった。
また、交差部における伝送損失の算出方法は、交差数の異なる試料を複数用意し、それらの挿入損失の比較から交差部1つ当たりの伝送損失を算出する方法とした。
また、測定対象のコア部と交差しているコア部に混信している信号光の光量(以下、「混信光量」という。)を測定した。そして、低屈折率層の形成を省略した比較例C〜Hで得られた交差部を有する光導波路における混信光量を1としたときの、各測定値の相対値を算出し、表14〜19に示した。
その結果、低屈折率層を設けたことにより、混信する信号光の光量が低下することが認められた。また、低屈折率層を設けた場合でも、屈折率分布を最適化することにより、混信する信号光の光量をより低下させ得ることが認められた。
以上のことから、屈折率分布が特定の条件を満たす連続的な分布になっているコア部を有し、かつ、交差部近傍に低屈折率層を有する光導波路では、損失や混信を抑制し得ることが明らかとなった。
1 光導波路
10 光配線部品
101 コネクター
102 貫通孔
11、12、121、122 クラッド層
13、131、132 コア層
14 コア部
141、142、143、144、145、146 コア部
147、148 交差部
1491、1492、1493 低屈折率層
15 側面クラッド部
151、152、153、154、155、156 側面クラッド部
16 コア部欠損部
17 ミラー
170 凹部
2 支持フィルム
3 カバーフィルム
800 ダイコーター(多色押出成形装置)
810 ダイヘッド
811 上リップ部
812 下リップ部
820 マニホールド
821 スリット
830 ミキシングユニット
831 第1の供給管
832 第2の供給管
833 第3の供給管
835 接続部
836 ピン
840 搬送部
841 ローラー
842 搬送フィルム
901、902 光導波路形成用組成物
910 層
914 多色成形体
914a 第1成形層
914b 第2成形層
914c 第3成形層
914d 第4成形層
914e 第5成形層
914f 第6成形層
914g 第7成形層
914h 第8成形層
914i 第9成形層
915 ポリマー
920 添加剤
930 活性放射線
935 マスク(マスキング)
9351 開口(窓)
925 照射領域
9251、9252、9253 照射領域
940 未照射領域
9403 未照射領域
951 支持基板
C1、C2 中心線
W1 第1の屈折率分布
W2 第2の屈折率分布
W3 第3の屈折率分布
T、T’ 屈折率分布
H 高屈折率部
L 低屈折率部

Claims (18)

  1. 第1のコア部と、前記第1のコア部と同一平面上で交わるように配置された第2のコア部と、前記第1のコア部と前記第2のコア部との交差部と、前記第1のコア部および前記第2のコア部の側面に隣接するよう設けられた側面クラッド部と、前記第1のコア部と前記交差部との間に設けられ前記第1のコア部および前記交差部より屈折率の低い低屈折率層と、を有し、
    前記第1のコア部および前記第2のコア部が前記各コア部の長手方向に対して直交する面で切断されたとき、得られる各第1の切断面には、それぞれ、前記各コア部に対応する位置にあり相対的に屈折率が高い高屈折率領域と、前記側面クラッド部に対応する位置にあり前記高屈折率領域よりも屈折率が低い低屈折率領域と、を含む全体的に屈折率が連続的に変化してなる第1の屈折率分布が形成されていることを特徴とする光導波路。
  2. 前記低屈折率層を介した前記第1のコア部と前記交差部との間が前記第1のコア部の長手方向に沿う面で切断されたとき、得られる第2の切断面には、全体的に屈折率が連続的に変化してなる第2の屈折率分布が形成されていることを特徴とする光導波路。
  3. さらに、前記第2のコア部と前記交差部との間に設けられ、前記第2のコア部および前記交差部より屈折率の低い低屈折率層を有し、
    前記低屈折率層を介した前記第2のコア部と前記交差部との間が前記第2のコア部の長手方向に沿う面で切断されたとき、得られる第3の切断面には、全体的に屈折率が連続的に変化してなる第3の屈折率分布が形成されている請求項1または2に記載の光導波路。
  4. 前記高屈折率領域は、極大値と、前記極大値から両側に向かって屈折率が連続的に低下する2つの漸減部と、で構成されており、
    前記極大値と前記低屈折率領域との屈折率差は、0.005〜0.07である請求項1ないし3のいずれかに記載の光導波路。
  5. 前記第2の屈折率分布における屈折率の分布幅は、0.005〜0.07である請求項1ないし4のいずれかに記載の光導波路。
  6. 前記各屈折率分布は、それぞれ、ポリマー層に分散した屈折率調整成分の濃度に対応して形成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の光導波路。
  7. 前記各屈折率分布は、それぞれ、ポリマー中に前記ポリマーと屈折率の異なる光重合性モノマーが分散してなる材料で構成された層に対して部分的に光を照射し、前記光重合性モノマーを移動、偏在させることにより、前記層内に屈折率の偏りを生じさせて形成されたものである請求項6に記載の光導波路。
  8. 前記ポリマーは、(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、およびポリオレフィン系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種である請求項6または7に記載の光導波路。
  9. 前記交差部における前記第1のコア部の光軸と前記第2のコア部の光軸との交差角は、10〜90°である請求項1ないし8のいずれかに記載の光導波路。
  10. 前記第1のコア部の横断面形状および前記第2のコア部の横断面形状は、それぞれ矩形状をなしている請求項1ないし9のいずれかに記載の光導波路。
  11. 前記交差部の屈折率は、平面視における中心部に極大値を有し、縁部に向かって漸減するよう分布している請求項1ないし10のいずれかに記載の光導波路。
  12. 前記高屈折率領域は、極大値と、前記極大値から両側に向かって屈折率が連続的に低下する2つの漸減部と、で構成されており、
    前記交差部の屈折率の前記極大値は、前記高屈折率領域が有する極大値より大きい請求項11に記載の光導波路。
  13. 複数の前記第1のコア部を有しており、
    前記複数の第1のコア部と前記第2のコア部とが一点で交わるよう形成されている請求項1ないし12のいずれかに記載の光導波路。
  14. 前記第1のコア部の幅および前記第2のコア部の幅は、それぞれ10〜200μmである請求項1ないし13のいずれかに記載の光導波路。
  15. 前記低屈折率層の幅は、1〜40μmである請求項1ないし14のいずれかに記載の光導波路。
  16. 請求項1ないし15のいずれかに記載の光導波路と、前記光導波路の少なくとも一方の端部に設けられ、前記第1のコア部を他の光学部品と光接続するコネクターと、を有することを特徴とする光配線部品。
  17. 前記光導波路は、その少なくとも一方の端部に形成された、前記第1のコア部の光路を変換するミラーを有する請求項16に記載の光配線部品。
  18. 請求項1ないし15のいずれかに記載の光導波路を備えることを特徴とする電子機器。
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