以下、図面を参照して、本発明に係る車両周辺監視システムの実施の形態を説明する。なお、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施の形態に係る車両周辺監視システムは、自車両後方において遠方からの接近物を検知してその接近物の情報を提供する接近物検知装置(第2装置に相当)と自車両近傍の障害物を検知してその障害物の情報を提供する障害物検知装置(第1装置に相当)を備えており、各装置の情報提供(HMI[Human Machine Interface])をナビゲーション装置を介して行う。本実施の形態に係る接近物検知装置は、カメラで自車両の後方を撮像し、シフトレバーがリバースレンジ(Rレンジ)の場合に自車両後方の画像を表示するとともに自車両後方の画像に対する画像認識によって接近物を検知し、検知できた接近物の情報を情報提供音と強調表示で提供する。本実施の形態に係る障害物検知装置は、常時、超音波ソナーによって自車両近傍の障害物を検知し、検知できた障害物の情報を警報音と音声案内で提供する。
図1〜図4を参照して、本実施の形態に係る車両周辺監視システム1について説明する。図1は、本実施の形態に係る車両周辺監視システムの構成図である。図2は、駐車中の自車両が後退で出庫するシーンの一例である。図3は、ディスプレイの表示画面の一例である。図4は、本実施の形態に係る車両周辺監視システムにおけるHMIのタイミングチャートの一例である。
車両周辺監視システム1では、シフトレバーがRレンジの場合(自車両が後退する場合)には接近物検知装置による接近物に対するHMIと障害物検知装置による障害物に対するHMIを行うので、2つの装置のHMIの協調処理を行う。特に、車両周辺監視システム1では、2つのHMIで方向の情報が混同されないように、接近物検知装置による強調表示のHMIを行っている間及びそのHMI終了後の所定時間の間は障害物検知装置による音声案内のHMIを中止する。
車両周辺監視システム1は、カメラ10、超音波ソナー11、スピーカ20、ディスプレイ21、ブザー22、接近物検知ECU[Electronic Control Unit]30、障害物検知ECU31、ナビECU32を備えている。接近物検知装置は、カメラ10及び接近物検知ECU30を有しており、HMIを行うためにスピーカ20、ディスプレイ21、ナビECU32を利用する。障害物検知装置は、超音波ソナー11、ブザー22及び障害物検知ECU31を有しており、HMIを行うためにスピーカ20、ディスプレイ21、ナビECU32を利用する。
なお、接近物検知装置と障害物検知装置とのHMIのタイミングが重なる可能性があるのは、接近物検知装置が検知等を行うシフトレバーがRレンジのときに、自車両近傍に障害物が存在する場合である。図2には、HMIのタイミングが重なる可能性があるシーンの一例として、駐車中の自車両が後退で出庫するシーンを示している。このシーンの場合、自車両OVが駐車場の所定の区画に前進駐車しており、左側に旋回しながら後退で出庫する場合である。この例、自車両OVの左右に駐車車両PV1,PV2が存在しており、自車両OVが左旋回しながら後退しているので、自車両OVの前端の右側の角部が右側の駐車車両PV2に接近する。また、自車両OVの後方において左側から右側へ車両MVが走行している。このような場合、障害物検知装置で車両PV2を検知してHMIを行うタイミングと接近物検知装置で車両MVを検知してHMIを行うタイミングが重なる可能性がある。
カメラ10は、図2に示すように、自車両の後方を撮像するカメラであり、水平角度180°以上の広角の撮像範囲を有する。カメラ10は、少なくとも1台であり、複数台で構成されてもよい。1台のカメラの場合、自車両後側の中央に配設され、水平角度180°以上の広角カメラである。複数台のカメラの場合、自車両後方に各カメラの水平方向の撮像方向が異なるように配設され、複数台のカメラによる撮像画像を合成して水平角度180°以上の広角の画像が得られるようにする。カメラ10では、一定時間毎に、自車両後方を撮像し、各時間に撮像したフレームの撮像画像情報からなる画像信号を接近物検知ECU30に送信する。
超音波ソナー11は、超音波を利用して物体を検出するセンサである。超音波ソナー11は、自車両の所定の箇所にそれぞれ配設される。例えば、図2に示すように、自車両OVの前端における右端部と左端部及び後端における右端部と左端部の4箇所に、超音波ソナー11fr,11fl,11rr,11rlが配設される。各超音波ソナー11では、一定時間毎に、超音波を発信し、反射してきた超音波を受信する。そして、各超音波ソナー11では、ソナー情報(発信時刻、受信時刻等)からなソナー信号を障害物検知ECU31に送信する。
スピーカ20は、自車両の各種装置で共用される車載スピーカである。スピーカ20では、ナビECU32から音声出力するための音声信号を受信すると、その音声信号に応じて音声を出力する。
ディスプレイ21は、自車両の各種装置で共用される車載ディスプレイである。ディスプレイ21では、ナビECU32から画像表示するための表示信号を受信すると、その表示信号に応じて画像を表示する。
ブザー22は、障害物検知装置専用のブザーであり、警報音(例えば、「ピーピーピー・・・」)を出力する。ブザー22では、障害物検知ECU31から警報音出力要求信号を受信すると、警報音出力要求信号に示される時間間隔に応じて警報音を出力する。なお、このような専用のブザーを設けることなく、スピーカ20から警報音を出力するようにしてもよい。
接近物検知ECU30は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等からなり、接近物検知装置を統括制御する電子制御ユニットである。接近物検知ECU30は、一定時間毎に、カメラ10からの画像信号を受信し、ECU内の画像メモリに所定時間分の画像情報を時系列で記憶する。また、接近物検知ECU30は、一定時間毎に、障害物検知ECU31から障害物の検知結果信号を受信する。接近物検知ECU30は、接近物検知機能、HMI協調機能、情報提供音出力機能、強調表示機能を有し、シフトレバーがRレンジの場合に各機能の処理を行い、必要に応じてナビECU32に各種要求信号を送信したり、障害物検知ECU31に中止要求信号を送信する。
接近物検知機能について説明する。接近物検知ECU30では、一定時間毎に、カメラ10で撮像された画像を用いて、画像認識を行い、自車両後方の物体を検知する。検知されるとしては、例えば、歩行者、自転車、自動二輪車、車両がある。画像認識方法としては、従来の方法を適用し、例えば、画像内の所定の大きさのエリア毎に検知対象として想定される各物体のテンプレートを用いたパターンマッチングによって物体を認識する方法、一定時間毎の連続する各フレームの画像を用いて画素毎(あるいは、小エリア毎)にオプティカルフロー(動きベクトル)を算出して、オプティカルフローから移動物を認識する方法がある。自車両後方の物体を検知した場合、接近物検知ECU30では、その検知した物体の自車両に対する相対方向や相対距離、移動方向や移動速度等を算出する。そして、接近物検知ECU30では、算出した各情報から検知した物体が自車両に接近する物体か否かを判断し、接近する物体の場合には遠方からの接近物として検知する。なお、接近物として検知されるのは、ディスプレイ21に表示される自車両後方の画像内に写っている物体のみである。図2に示す例の場合、駐車中の自車両OVの後方の左側で右側に向かって走行中(自車両に接近中)の車両MVが存在するので、この車両MVが検知され、車両MVの相対方向、相対距離、移動方向、移動速度等が算出され、これらの情報から車両MVが自車両OVに接近している接近物として検知される。
HMI協調機能について説明する。接近物検知ECU30では、接近物検知機能で遠方からの接近物を検知したか否かを判定する。遠方からの接近物を検知している場合、接近物検知ECU30では、検知された接近物が最初の接近物か否かを判定する。最初の接近物とは、同じ方向への接近物が連続して複数検知されている場合には先頭の接近物のことであり、接近物が1つだけ検知されている場合にはその接近物のことである。最初の接近物の場合、接近物検知ECU30では、情報提供音出力機能と強調表示機能を実行する。一方、最初の接近物でない場合、接近物検知ECU30では、強調表示機能のみを実行する。
さらに、接近物検知ECU30では、障害物検知ECU31からの障害物の検知結果信号に基づいて、近傍の障害物が検知されているか否かを判定する。近傍の障害物が検知されている場合、接近物検知ECU30では、接近物に対する強調表示中又は強調表示終了後から所定時間以内(強調表示機能を実行中又は強調表示機能実行終了から所定時間以内)か否かを判定する。この所定時間は、障害物が存在する場所の情報提供が接近物の接近する方向と混同されない十分な時間間隔(数秒程度)であり、実験等によって予め設定される。接近物に対する強調表示中又は強調表示終了後から所定時間以内の場合、接近物検知ECU30では、障害物の音声案内を中止させるための音声案内中止要求信号を障害物検知ECU31に送信する。ちなみに、障害物検知ECU31では、この音声案内中止要求信号が送信されると警報音の出力のみを行って障害物が存在する場所の情報提供を中止し、音声案内中止要求信号が送信されないと警報音の出力と障害物が存在する場所の情報提供を行う。したがって、接近物と障害物が同時に検知されている場合、接近物の存在を示す情報提供音出力と接近物の接近する方向を示す強調表示が行われるとともに、障害物の存在を示す警報音出力だけが行われる。
なお、多数の運転者に対して接近物検知装置による遠方の接近物に対するHMIと障害物検知装置による近傍の障害物に対するHMIを同時に行った場合の各運転者の評価結果から以下のようなことが分かっている。近傍障害物の存在の情報提供(警報音)は、遠方接近物の存在の情報提供(情報提供音)よりも優先度が高い。しかし、近傍障害物の場所の情報提供(音声案内)は、遠方接近物の存在の情報提供(情報提供音)よりも優先度が低い。
情報提供音出力機能について説明する。接近物検知ECU30では、HMI協調機能で実行されると、情報提供音の出力を要求する情報提供音出力要求信号をナビECU32に送信する。情報提供音としては、「ピッ」という単発音である。したがって、情報提供音は、検知されている接近物がディスプレイ21に表示中の自車両後方の画像内に入ったときに単発音が一度出力される。なお、情報提供音はナビゲーション装置を介してスピーカ20から出力するのではなく、接近物検知装置専用のブザーを設けて、出力するようにしもよい。
強調表示機能について説明する。接近物検知ECU30では、HMI協調機能で実行されると、接近物検知機能で算出されている接近物の相対方向(位置)や移動方向の情報に基づいて、自車両に対して接近物が存在する側(接近する方向)を特定する。そして、接近物検知ECU30では、その接近物が存在する側(接近する方向)を示す強調表示要求信号をナビECU32に送信する。
障害物検知ECU31は、CPU、ROM、RAM等からなり、障害物検知装置を統括制御する電子制御ユニットである。障害物検知ECU31は、一定時間毎に、各超音波ソナー11からソナー信号をそれぞれ受信する。また、障害物検知ECU31では、接近物検知ECU30から音声案内中止要求信号を受信する場合がある。障害物検知ECU31は、障害物検知機能、音声案内機能、警報音出力機能を有し、自車両が起動中は各機能の処理を常時行い、接近物検知ECU30に障害物の検知結果信号を送信し、必要に応じてナビECU32に音声案内要求信号を送信したり、ブザー22に警報音出力要求信号を送信する。
障害物検知機能について説明する。障害物検知ECU31では、一定時間毎に、超音波ソナー11毎に、ソナー信号に基づいて、反射した超音波を受信できている場合、近傍に障害物が存在していると判断し、超音波の発信から受信までの時間に基づいて自車両から障害物までの相対距離を算出する。障害物としては、例えば、駐車車両、ガードレール、壁である。障害物までの相対距離を算出した場合、障害物検知ECU31では、その相対距離が近傍距離閾値以下か否かを判定し、近傍距離閾値以下の場合には近傍の障害物として検知する。近傍距離閾値は、自車両の運転者が運転に注意を要する近距離の障害物を判定するための閾値であり、実験等によって予め設定される。図2に示す例の場合、自車両OVの前端の右端部に配設される超音波ソナー11frからのソナー信号に基づいて、車両PV2が近傍の障害物として検知され、自車両OV(超音波ソナー11fr)から車両PV2までの相対距離が算出される。特に、接近物検知ECU30で各機能の処理を行っている場合(シフトレバーがRレンジの場合)、障害物検知ECU31では、一定時間毎に、近傍の障害物の検知結果(例えば、近傍の障害物の有無)を示す検知結果信号を接近物検知ECU30に送信する。
音声案内機能について説明する。音声案内機能は、接近物検知ECU30で各機能の処理を行っている場合(シフトレバーがRレンジの場合)と接近物検知ECU30で各機能の処理を行っていない場合(シフトレバーがRレンジ以外の場合)とで処理が異なる。接近物検知ECU30で各機能の処理を行っている場合、障害物検知機能で近傍の障害物を検知していても接近物検知ECU30からの音声案内中止要求信号を受信しているときには音声案内の処理を行わず、障害物検知機能で近傍の障害物を検知しているときに接近物検知ECU30からの音声案内中止要求信号を受信していないときには音声案内の処理を行う。接近物検知ECU30で各機能の処理を行っていない場合、障害物検知機能で近傍の障害物を検知しているときには音声案内の処理を常に行う。なお、接近物検知ECU30からの音声案内中止要求があり、音声案内を途中で中断した場合、障害物の検知中(警報音出力中)に音声案内中止要求が終了しても、その一旦中断した音声案内については中断期間終了後も再開しない。但し、中断した音声案内とは異なる障害物に対する異なる音声案内が新たにある場合には、中断期間終了後にその音声案内を行う。
音声案内を行う場合、障害物検知ECU31では、障害物検知機能で近傍の障害物を検知すると、その障害物を検知した超音波ソナー11の配設位置に基づいて障害物が存在する場所(例えば、自車両の前端における右端側、自車両の前端における左端側、自車両の後端における右端側、自車両の後端における左端側)を特定する。そして、障害物検知ECU31では、その障害物が存在する場所(方向)を示す音声案内(例えば、「右前(左前、右後、左後)に障害物が存在します」)を生成し、その音声案内を要求する音声案内要求信号をナビECU32に送信する。図2に示す例の場合、自車両OVの前端の右端部に配設される超音波ソナー11frによるソナー信号に基づいて車両PV2が検知されるので、障害物が存在する場所として自車両の前端における右端側と特定され、「右前に障害物が存在します」という音声案内が行われる。
警報音出力機能について説明する。障害物検知ECU31では、障害物検知機能で近傍の障害物を検知した場合、その障害物までの相対距離に応じて警報音を出力する時間間隔を設定し、その時間間隔を示す警報音出力要求信号をブザー22に送信する。警報音としては、「ピーピーピー・・・」という障害物が検知されている間は出力され続ける断続音である。障害物との距離が短くなるほど、時間間隔が短くなり、障害物に接近していることを示し、「ピー」と「ピー」の間隔が短くなる。
ナビECU32は、CPU、ROM、RAM等からなり、ナビゲーション装置を統括制御する電子制御ユニットである。ナビECU32では、現在位置検出機能、地図表示機能、目的地設定機能、経路探索機能、経路案内機能等の各種機能を有しており、各機能での処理に応じてスピーカ20に音声信号を送信するとともにディスプレイ21に表示信号を送信する。特に、ナビECU32では、接近物検知ECU30から情報提供音出力要求信号を受信すると、情報提供音を出力させるための音声信号を生成して、その音声信号をスピーカ20に送信する。また、ナビECU32では、接近物検知ECU30から強調表示要求信号を受信すると、表示中の自車両後方の画像に接近物が接近する方向を示す強調画像を重畳した画像を表示させるための表示信号を生成して、その表示信号をディスプレイ21に送信する。この強調画像は、接近物が接近する方向を強調する画像であり、例えば、表示画像における接近物が接近する側の枠に沿って太線等を付加する画像である。なお、接近物検知装置ではシフトレバーがRレンジの場合にのみ検知等を行うので、Rレンジが選択されるとディスプレイ21の表示画面が現在位置地図等からカメラ10で撮像された自車両後方の画像に自動で切り替わることになる。また、ナビECU32では、障害物検知ECU31から音声案内要求信号を受信すると、音声案内要求信号に示される音声案内を出力させるための音声信号を生成して、その音声信号をスピーカ20に送信する。
図3には、ディスプレイ21での表示画面の一例を示す。この表示画面は、自車両後方の遠方接近物として走行中の車両MVが検知されている場合であり、表示画像の枠における左側(車両MVの接近する方向)の縦線とそれに繋がる上下の横線の一部に沿って描かれた太線で強調する画像Eが自車両後方の撮像画像に重畳された画像が表示されている。この強調画像Eについては、点滅させることによって更に認識し易くなる。
図4には、遠方接近物と近傍障害物が検知されており、遠方接近物に対するHMIと近傍障害物に対するHMIが重なる場合のタイミングチャートの一例を示しており、図(a)が警報音が出力されるタイミングであり、図(b)が音声案内が行われるタイミングであり、図(c)が情報提供音が出力されるタイミングであり、図(d)が強調表示がされるタイミングである。この例では、符号S1で示すタイミングで障害物が検知され、符号E1で示すタイミングで障害物が検知されなくなり、符号S2で示すタイミングで接近物が検知され、符号E2で示すタイミングで接近物が検知されなくなる。この例の場合、障害物の検知期間内に接近物が検知され、最初に障害物に対するHMIが行われ、この障害物のHMI中に接近物に対するHMIが行われることになる。
まず、障害物が検知されたタイミングS1になると、障害物に対する警報音の出力と音声案内が開始される。この後、接近物が検知されたタイミングS2となり、接近物に対する情報提供音の出力(単発音だけ)と強調表示が開始されるとともに、障害物に対する音声案内が中止される。したがって、障害物が存在する場所を示す音声出力が途中までとなり、例えば、「右前に障害物が存在します」と音声案内する場合には「みぎま」までしか出力されない。この後、接近物が検知されなくなるタイミングE2になると、強調表示が終了する。情報提供音は、単発音なので、既に終了している。このタイミングE2から所定時間WT(数秒)が経過すると、障害物に対する音声案内の中止期間CPが終了する。この際、タイミングE1まで障害物は検知(警報音は出力)され続けているが、一旦中断した障害物に対する音声案内は再開しない。そして、障害物が検知されなくなるタイミングE1となり、障害物に対する警報音の出力が終了する。ちなみに、接近物の検知期間内に障害物が検知される場合、障害物に対する音声案内は中断でなく、未実施となる。
このように、接近物の接近する方向の強調表示がされている間及びその後の数秒間は、音声案内中止期間となって、障害物が存在する場所の音声案内が行われないので、接近物の接近する方向が混同されることはない。また、接近物に対する情報提供音と障害物に対する警報音が同時に出力されるが、情報提供音は「ピッ」という単発音であり、警報音は「ピーピー・・・」という断続音なので、音の種類が明らかに異なるので、2つの音は混同されることはない。また、接近物の接近する方向の強調表示がされている間及びその後の数秒間は、障害物が存在する場所の音声案内が行われないが、運転者は警報音によって障害物に注意する必要があることを十分に認識しており、警報音の断続する時間間隔によって障害物との距離が近づいているのかあるいは離れているのかも認識できる。
図1を参照して、車両周辺監視システム1における動作の流れについて説明する。ここでは、シフトレバーでRレンジが選択されており、接近物検知ECU30の各機能が実行されている場合の動作について説明する。特に、車両周辺監視システム1におけるHMIについては図5のフローチャートに沿って説明する。図5は、本実施の形態に係る車両周辺監視システムにおけるHMIの流れを示すフローチャートである。なお、シフトレバーでRレンジが選択されている場合、ナビECU32では、現在位置周辺の地図の画像等からカメラ10で撮像された自車両後方の画像に自動で切り替えてディスプレイ21に表示させる。
カメラ10では、一定時間毎に、自車両の後方を撮像し、撮像画像情報からなる画像信号を接近物検知ECU30に送信する。接近物検知ECU30では、この画像信号を受信し、撮像画像情報を取得する。この撮像画像情報は、接近物検知ECU30の画像メモリに所定時間分の情報が時系列で蓄積される。各超音波ソナー11では、一定時間毎に、超音波を発信し、超音波が反射してきた場合にはその超音波を受信し、各種情報からなるソナー信号を障害物検知ECU31に送信する。障害物検知ECU31では、超音波ソナー11毎に、このソナー信号を受信し、ソナーの情報を取得する。
接近物検知ECU30では、一定時間毎に、カメラ10の撮像画像に対して画像認識を行って遠方接近物を検知し、検知できた場合にはその検知した接近物の相対方向や相対距離、移動方向や移動速度等を取得する(S1)。
障害物検知ECU31では、一定時間毎に、超音波ソナー11毎に、取得したソナー情報に基づいて、反射した超音波を受信できている場合には障害物が存在していると判断し、超音波の発信から受信までの時間に基づいて自車両から障害物までの相対距離を算出する。そして、障害物検知ECU31では、その相対距離が近傍距離閾値以下か否かを判定し、近傍距離閾値以下の場合には近傍の障害物として検知する。さらに、障害物検知ECU31では、近傍障害物の検知結果を示す検知結果信号を接近物検知ECU30に送信する。接近物検知ECU30では、この検知結果信号を受信し、近傍障害物の検知結果を取得する(S1)。
接近物検知ECU30では、一定時間毎に、遠方接近物の検知結果に基づいて、遠方接近物が存在するか否かを判定する(S2)。S2にて遠方接近物が存在すると判定した場合、接近物検知ECU30では、その遠方接近物は最初の検知か否かを判定する(S3)。S3にて最初の検知と判定した場合、接近物検知ECU30では、遠方接近物の相対方向や移動方向の情報に基づいて遠方接近物が接近する方向を特定し、その遠方接近物の接近する方向を示す強調表示要求信号をナビECU32に送信するとともに、情報提供音の出力を要求する情報提供音出力要求信号をナビECU32に送信する(S4)。一方、S3にて最初の検知でないと判定した場合、接近物検知ECU30では、遠方接近物の相対方向や移動方向の情報に基づいて遠方接近物が接近する方向を特定し、その遠方接近物の接近する方向を示す強調表示要求信号をナビECU32に送信する(S5)。ナビECU32では、強調表示要求信号を受信した場合、表示中の自車両後方の画像に接近物が接近する方向を示す強調画像を重畳する画像からなる表示信号をディスプレイ21に送信する(S4,S5)。ディスプレイ21では、この表示信号を受信した場合、接近物の接近する方向を強調した自車両周辺の画像を表示する(S4,S5)。ナビECU32では、この情報提供音出力信号を受信した場合、情報提供音を出力させるための音声信号をスピーカ20に送信する(S4)。スピーカ20では、この音声信号を受信した場合、遠方接近物の情報提供音を出力する(S4)。
次に、接近物検知ECU30では、一定時間毎に、近傍障害物の検知結果に基づいて、近傍障害物が存在するか否かを判定する(S6)。近傍障害物を検知した場合、障害物検知ECU31では、近傍障害物までの相対距離に応じて警報音を出力する時間間隔を設定し、その時間間隔を示す警報音出力要求信号をブザー22に送信する(S7)。ブザー22では、この警報音出力要求信号を受信した場合、近傍障害物の警報音を出力する(S7)。また、S6にて近傍障害物が存在すると判定した場合、接近物検知ECU30では、遠方接近物の強調表示中又は強調表示終了後から所定時間(数秒)以内か否かを判定する(S8)。S8にて遠方接近物の強調表示中又は強調表示終了後から所定時間以内と判定した場合、接近物検知ECU30では、音声案内中止要求信号を障害物検知ECU31に送信する(S9)。障害物検知ECU31では、近傍障害物を検知しているときでも、この音声案内中止要求信号を受信した場合には障害物に対する音声案内を行わない(S9)。一方、S8にて遠方接近物の強調表示中及び強調表示終了後から所定時間以内でないと判定した場合、音声案内中止要求信号は送信されない。この場合、障害物検知ECU31では、近傍障害物を検知しているときに音声案内中止要求信号を受信しない場合にはその近傍障害物を検知した超音波ソナー11の配設位置に基づいて障害物が存在する場所を特定し、その障害物が存在する場所を示す音声案内を要求する音声案内要求信号をナビECU32に送信する(S10)。ナビECU32では、この音声案内要求信号を受信した場合、音声案内要求信号に応じて音声案内を出力させるための音声信号をスピーカ20に送信する(S10)。スピーカ20では、この音声信号を受信すると、障害物の存在する場所を示す音声案内を出力する(S10)。
車両周辺監視システム1によれば、接近物検知装置の強調表示のHMIと障害物検知装置の音声案内のHMIのタイミングが重なった場合には障害物検知装置の障害物の存在する場所の音声案内を中止することにより、接近物検知装置で検知された接近物の接近する方向と障害物検知装置で検知された障害物の場所(方向)とを運転者が混同することを抑制できる。さらに、車両周辺監視システム1によれば、接近物検知装置での強調表示終了後に所定時間経過するまで障害物検知装置の音声案内の中止を継続することにより、混同することをより抑制できる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態では接近物検知装置としては自車両後方での接近物の検知を行ってHMIを行い、障害物検知装置としては自車両近傍の障害物の検知を行ってHMIを行い、表示や音声出力のHMIを行うためにナビゲーション装置(ナビECU)を介して行う構成としたが、車両周辺監視システムの構成としては他の様々な構成に適用でき、例えば、接近物検知装置としては自車両の前方や側方等の他の方向での接近物の検知を行う装置(例えば、見通しの悪い交差点において自車両の前側方の運転者からの死角エリア等をカバーするための装置)等でもよいし、HMIを行う場合に表示や音声出力を行う他の装置(ECU)を介して行ったりあるいはスピーカやディスプレイに対して音声信号や表示信号を直接送信したりしてもよい。
また、本実施の形態では障害物検知装置と接近物検知装置の各HMIの協調処理を主に接近物検知ECUで行う構成としたが、ナビECUで行ってもよいし、障害物検知ECUで行ってもよいし、あるいは、各ECUで分担して行ってもよい。
また、本実施の形態では接近物検知装置では画像認識によって接近物を検知する構成としたが、検知方法としてはミリ波レーダ等によるレーダ情報を用いた検知等の他の構成でもよい。
また、本実施の形態では接近物検知装置では検知できた接近物の情報を強調表示と情報提供音で提供し、障害物検知装置では検知できた障害物の情報を警報音と音声案内で提供する構成としたが、それぞれ他の方法で情報提供を行ってもよく、例えば、障害物検知装置の場合には表示で障害物の存在する場所を示すようにしてもよい。
また、本実施の形態では接近物の強調表示を終了後に所定時間経過するまでは障害物の音声案内の中止を継続する構成としたが、接近物の強調表示を終了後に障害物の音声案内の中止を終了させてもよい。