JP2013170245A - 新規なポリウレタン - Google Patents

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Abstract

【課題】 バイオマス由来の材料を利用した新規ポリウレタンを提供する。特に他のポリオールやイソシアネートとの相溶性、有機溶媒溶解性に優れ、バイオマス由来成分を高含有し、難燃性や機械強度に優れたポリウレタンを提供する。
【解決手段】 ポリオールとイソシアネートを反応させて得られるポリウレタンであり、前記ポリオールとして水蒸気爆砕リグニンを用いるポリウレタン。水蒸気爆砕リグニンの重量平均分子量が、100〜7000で、水蒸気爆砕リグニンを全ポリオール成分中の5〜90質量%含むと好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、環境負荷低減を考慮した新規なポリウレタンに関するものである。
従来、ポリウレタンは緩衝材や断熱材、遮音材などとして建材、家具、自動車部材、包装材などに広く使われている。一般にポリウレタンは、ポリオール又はポリエステルと対応する等量のイソシアネートを原料とし、触媒の存在下に反応させて製造している。また、ポリウレタン発泡体は、揮発性化合物や水を加えて製造される。
近年、化石資源を焼却することで発生する二酸化炭素の増加に伴い、地球温暖化の問題が関心を集めるようになった。そこで地球温暖化防止の観点からバイオマス(生物資源)の有効活用が見直されている。近年、包装資材、家電製品の部材、自動車用部材などのプラスチックを植物由来樹脂(バイオマスプラスチック)に置き換える動きが活発化している。
ポリウレタンの原料として使用されるポリオール成分としては、従来、石油由来のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールが主に使用されており、最近はバイオマス由来のひまし油系ポリオールなども利用され始めている。例えば、ひまし油又はその誘導体をポリオールとしてイソシアネートと反応させて生成したポリウレタン(特許文献1)が提案されている。しかしながら、ひまし油系ポリオールは燃焼しやすく、ひまし油を原料としたポリウレタンは難燃性に劣るという問題があった。
その他の植物由来の樹脂材料としては古くからリグニンが注目されてきた。国内で容易に入手できるリグニンとしては、サルファイトパルプ工場で生成した黒液中のリグニンスルホン酸塩や、ソーダパルプ工場で生成した黒液中のアルカリリグニン、クラフトパルプ工場で生成した黒液中のクラフトリグニンなどがある。リグニンもポリオールとして利用可能であり、例えば、リグニン系物質を他のポリオールに溶解させた後にイソシアネートと反応させてポリウレタンを製造する方法(特許文献2)や、リグニン系ポリオールを合成した後にイソシアネートと反応させてポリウレタンを製造する方法(特許文献3)が提案されている。
しかしながら、これらの文献で用いられているリグニンスルホン酸塩やアルカリリグニン、クラフトリグニンなど一般に入手できるリグニンは、有機溶媒や他のポリオール成分に溶解しにくい。そのため、ポリウレタン中のリグニン含有量が少なくなり、リグニンを多く含有させようとすると、不均一になり脆くなってしまう。
従来のリグニンでは、ポリオールへの溶解性を改善するために他の添加剤を加えたり修飾を行わなければならないといった問題があった。
国際公開第07/020904号パンフレット 特開2003−127315号公報 特開2011−184643号公報
そこで本発明においては、環境負荷低減化の観点から、バイオマス由来の材料を利用した新規ポリウレタンを提供することを目的とする。特に他のポリオールやイソシアネートとの相溶性、有機溶媒溶解性に優れたバイオマス由来の水蒸気爆砕リグニンを主原料とすることで、バイオマス由来成分を高含有し、難燃性や機械強度に優れたポリウレタンを提供する。
本発明は以下の通りである。
(1)ポリオールとイソシアネートを反応させて得られるポリウレタンであり、前記ポリオールとして水蒸気爆砕リグニンを用いることを特徴とするポリウレタン。
(2)水蒸気爆砕リグニンの重量平均分子量が、100〜7000である上記(1)に記載のポリウレタン。
(3)ポリオール成分として、水蒸気爆砕リグニンを全ポリオール成分中の5〜90質量%含むことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のポリウレタン。
(4)イソシアネートとして植物原料を使用したイソシアネートを含む上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリウレタン。
本発明によれば、化石資源使用量の削減、及び二酸化炭素の排出量の低減効果が得られ、環境負荷低減化に好適な新規ポリウレタンが提供できる。
本発明で用いる水蒸気爆砕リグニンは、多くの有機溶媒に可溶であり、他のポリオール成分への溶解性にも優れている。そのため、水蒸気爆砕リグニンを用いることでポリウレタン中にバイオマス成分を高含有でき、環境負荷低減化に好適な材料となる。さらに、水蒸気爆砕リグニンは、他のポリオール成分と相溶性が良く均一に混合することから、機械強度に優れたポリウレタンを製造することができる。
本発明で用いる水蒸気爆砕リグニンは、フェニルプロパンの架橋体であり、フェノール樹脂と同様に芳香環を多く含むため、容易に燃焼せず炭化反応を起こす。そのため、難燃性に優れたポリウレタンを製造することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の新規ポリウレタンは、ポリオールとイソシアネートを触媒の存在下で反応させて得られるポリウレタンであり、前記ポリオールとして水蒸気爆砕リグニンを用いる。
水蒸気爆砕リグニンは、植物原料に水蒸気を圧入し、瞬時に圧力を開放することで植物原料を爆砕する水蒸気爆砕法によりセルロース成分、ヘミセルロース成分から分離し、有機溶媒に溶解させることにより得られたものであることを特徴としている。以下、当該リグニンを水蒸気爆砕リグニンと表記する。
前記水蒸気爆砕リグニンの含有量としては、水蒸気爆砕リグニンと他のポリオール成分を含めたポリオール全体の質量に占める割合が、5〜90質量%であることが好ましく、10〜70質量%の範囲であることがより好ましい。特に好ましくは20〜60質量%であり、最も好ましくは30〜50質量%である。必要に応じて50〜120℃程度に加温することで溶解が促進される。水蒸気爆砕リグニンの含有量が、5質量%未満であると、植物由来の度合い(割合)が低下し、それによる二酸化炭素の削減効果が低くなる。一方、含有量が90質量%を超えると、ポリオールへの溶解度の限界を超えて不均一となったり、ポリオールの粘度が上昇してしまうので好ましくない。
前記水蒸気爆砕リグニンの重量平均分子量は、ポリスチレン換算値において、100〜7000が好ましく、さらに200〜5000が好ましく、500〜4000であることが特に好ましい。水蒸気爆砕リグニンの重量平均分子量が、7000を超えるとポリオールやイソシアネートへの溶解性が低下する恐れがある。重量平均分子量が100未満であると、水蒸気爆砕リグニンの構造を活かしたポリウレタンの強度が低下する恐れがある。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレン換算した値を使用した。
リグニンの基本骨格は一般的にヒドロキシフェニルプロパン単位を基本単位とする架橋構造の高分子である。樹木は親水性の線状高分子の多糖類(セルロースとヘミセルロース)と疎水性の架橋構造リグニンの相互侵入網目(IPN)構造を形成している。リグニンは樹木の約25質量%を占め、不規則かつ極めて複雑なポリフェノールの化学構造をしている。フェノール類は燃焼の際、黒鉛を形成しやすいため難燃性に優れ、抗菌作用を有することが知られている。本発明は、植物から得られたこの複雑な構造をそのまま活かし、ポリウレタンに用いる組成物の原料とすることで、難燃性、抗菌性を有するポリウレタンを提供するものである。
水蒸気爆砕リグニンの原料としては、リグニンが抽出できれば特に限定しないが、例えば、杉、竹、ひのき、ブナ、ヤシ殻、稲わら、麦わら、アカシア、ヤナギ、ポプラ、バガス、とうもろこし、サトウキビ、米殻、ユーカリ、エリアンサスなどが挙げられる。樹木から水蒸気爆砕リグニンを分離し、取り出す方法としては、水蒸気爆砕法を用いる。水蒸気爆砕法は、高温高圧の水蒸気による加水分解と、圧力を瞬時に開放することによる物理的破砕効果により、植物を短時間に破砕するものである。
水蒸気爆砕の条件は特に限定しないが、通常、原料を水蒸気爆砕装置用の耐圧容器に入れ、1〜4MPaの水蒸気を圧入し、1〜15分間放置した後、瞬時に圧力を開放することにより爆砕する。なお、前記水蒸気爆砕リグニンは、有機溶媒可溶リグニンとも表す。この方法は硫酸法、クラフト法など他の分離方法と比較し、硫酸、亜硫酸塩等を用いることなく、水のみを使用するので、クリーンな分離方法である。この方法では、水蒸気爆砕リグニン中に硫黄原子を含まない、又は硫黄原子の含有率が少ないリグニンが得られる。通常、水蒸気爆砕リグニン中の硫黄原子の含有率は、2質量%以下が好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが特に好ましい。硫黄原子の含有量が増大すると親水性のスルホン酸基が増加するため、ポリオールやイソシアネート、その他の有機溶媒への溶解性が低下するおそれがある。本発明者らは、さらに爆砕物から有機溶媒による抽出により、水蒸気爆砕リグニンの分子量を制御しえることを見出した。
本発明で用いる水蒸気爆砕リグニンの抽出に用いる有機溶媒は、1種又は2種以上複数の混合のアルコール溶媒、アルコールと水を混合した含水アルコール溶媒、その他の有機溶媒又は、水と混合した含水有機溶媒を使用することができる。水にはイオン交換水を使用することが好ましい。水との混合溶媒の含水率は0〜70質量%が好ましい。爆砕法リグニンは、水への溶解度が低いため、水のみを溶媒とすると水蒸気爆砕リグニンを抽出することが困難である。また、用いる溶媒を選択することにより、得られる水蒸気爆砕リグニンの重量平均分子量を制御することが可能である。水蒸気爆砕リグニンの抽出に用いられる有機溶媒としてはアルコール、トルエン、ベンゼン、N−メチルピロリドン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルエーテル、メチルセロソルブ(エチレングリコールモノメチルエーテル)、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフランなどがあり、これらは二種類以上混合して用いることができる。
本発明のポリウレタンの構成の一つとしては、水蒸気爆砕リグニンと1種類以上のポリオールと1種類以上のイソシアネートを硬化させてなるポリウレタンである。さらに前記ポリウレタンは、所望の添加剤を混合しても良い。また、硬化を促進するため加熱しても良い。
前記ポリオールの含有量としては、ポリウレタン全体の質量に占める割合が5〜80質量%であることが好ましく、15〜70質量%の範囲であることがより好ましい。特に好ましくは20〜60質量%であり、最も好ましくは25〜45質量%である。ポリオールの含有量が5質量%未満であると、柔軟性が低下する、圧縮永久歪みが増大するなど、性能が損なわれる。一方、含有量が80質量%を超えると、相対的に水蒸気爆砕リグニンの含有量が低下するため、二酸化炭素発生削減効果が低くなる。
本発明で用いるポリオールとしては、例えば、ポリプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオールが挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコールアジペート、ジエチレンアジペートグリコール、ブチレングリコールアジペート、トリメチロールプロパン/ジエチレングリコールアジペート等のアジペート系ポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、芳香族ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール等が挙げられる。ポリオレフィン系ポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、水添イソプレンポリオール等が挙げられる。低分子ポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−プロパンジオール等が挙げられる。その他、含リンポリオールや含ハロゲンポリオール、フェンノール系ポリオール等の難燃性ポリオール、アクリルポリオールやポリマーポリオール、ヒマシ油等の植物由来ポリオール等が挙げられる。これらのポリオールは、単独あるいは二種以上の混合物として用いることができる。
ポリオールの分子量は500〜8000が好ましく、800〜5000がより好ましく、1000〜3000が特に好ましい。分子量が500未満であるとポリウレタンの柔軟性や耐熱性が低下する。分子量が8000を超えて大きいものは他のポリオールやイソシアネートとの相溶性が低下し、均一なポリウレタンが得られない。また、通常ポリオール成分としては水酸基価が20〜500(mgKOH/g)、官能基数が2.0〜8.0のものを使用できる。
本発明で用いるイソシアネートとしては、脂肪族系イソシアネート、脂環族系イソシアネート又は芳香族系イソシアネートの他、それらの変性体が挙げられる。
脂肪族系イソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等が挙げられる。
脂環族系イソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネートが挙げられる。
芳香族系イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等が挙げられる。イソシアネート変性体としては、例えば、ウレタンプレポリマー、ヘキサメチレンジイソシアネートビューレット、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー、イソホロンジイソシアネートトリマー等が挙げられる。また、ヒマシ油等の植物由来イソシアネートも挙げられる。これらのイソシアネートは、単独あるいは二種以上の混合物として用いることができる。
本発明では、NCOインデックスは0.7〜1.5が好ましく、0.8〜1.3がより好ましく、0.9〜1.2が特に好ましい。NCOインデックスが、0.7未満であると、ポリウレタンが硬化物とならず、1.5を超えて高いと、圧縮永久歪みが増加する、ソフトな感触が損なわれるなどの影響が出てくる。なお、本発明においてNCOインデックスとは、イソシアネート中のイソシアネート基(NCO)と、水蒸気爆砕リグニンと他のポリオール成分を含めたポリオール全体に含まれる水酸基(OH)の総量の比(NCO/OH)を表す。
本発明におけるポリウレタンにおいては、水蒸気爆砕リグニンが含有する水分又は水蒸気爆砕リグニン中に含まれるカルボン酸がイソシアネートと反応して炭素ガスを発生するため、発泡剤を添加しなくても発泡体を生成することができる。また、前記ポリウレタン発泡体に発泡剤を添加し、発泡倍率をさらに上げることもできる。発泡剤としては、通常ポリウレタンフォームの製造時に用いられるものを用いることができ、例えば、HCFC−141b、HCFC−142b、HCFC−124、HCFC−22等のHCFC系発泡剤、HFC−134a、HFC−245fa、HFC−365mfc等のHFC系発泡剤、n−ペンタン、i−ペンタン、シクロペンタン等のHC系発泡剤などが挙げられる他、水や炭酸ガス、超臨界二酸化炭素等も使用することができる。環境への配慮から水を発泡剤として用いることが好ましいが、ポリウレタンが脆くなる、吸湿しやすくなる、断熱性能に劣るといった弊害もあることから、水蒸気爆砕リグニン単独で発泡させることがより好ましい。これら発泡剤の組み合わせや使用量は、目的とするポリウレタン発泡体の密度等の物性により適宜選択される。
その他の助剤としては、用途に応じて様々な化合物を添加剤、助剤として使用することができる。例えば、代表的な添加剤として難燃剤や鎖延長剤、架橋剤、整泡剤が挙げられる。また、その他の添加剤や助剤についても、ウレタン化反応に悪影響を及ぼすものでない限り使用することができる。
前記のようにして得られたポリウレタンは、樹脂成分としてリグニンを含有している。リグニンはフェニルプロパンの架橋体であり、フェノール樹脂と同様に芳香族環を多く含む。芳香族環は容易に燃焼せず炭化反応を起こすことから、本発明のポリウレタンは難燃性を有しているという特徴がある。さらに分子内に多くのフェノール性水酸基を有することから、微生物等に対する抗菌作用を有するという特徴がある。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(水蒸気爆砕リグニンの抽出法)
水蒸気爆砕リグニンとして竹を使用し抽出原料とした。適当な大きさにカットした竹材を水蒸気爆砕装置の5Lの耐圧容器に入れ、3.5MPaの水蒸気を圧入し、5分間放置した。その後、容器を開放し、開放時に爆砕されて生じる爆砕処理物を得た。得られた爆砕処理物を水により洗浄し、水溶性成分を除去後、真空乾燥機で残存水分を除去した。得られた乾燥体100gに抽出溶媒としてアセトン1000mlを加え、3時間攪拌した後、ろ過により繊維物質を取り除いた。得られたろ液より抽出溶媒を除去し、水蒸気爆砕リグニンを得た。得られた水蒸気爆砕リグニンは常温(25℃)で粉末であり、有機溶媒に可溶であった。水蒸気爆砕リグニン中の硫黄原子の含有率は0.5質量%以下であった。
また、示差屈折計を備えた東ソー株式会社製ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)(示差熱屈折形:RI−8020,ポンプ:DP−8020,脱気装置:SD−8022)にて水蒸気爆砕リグニンの分子量を測定した。多分散度の小さいポリスチレンを標準試料として用い、移動相をテトラヒドロフランとして使用し、カラムとして株式会社日立ハイテクノロジーズ製ゲルパックGL−A120SとGL−A170Sとを直列に接続して分子量測定を行った。流量は1ml/分、測定温度は25℃とした。
水蒸気爆砕リグニンの重量平均分子量は、2400であった。
(水蒸気爆砕リグニンの溶媒溶解性)
得られた水蒸気爆砕リグニン及び水蒸気爆砕法以外の方法で抽出した市販のリグニン(リグニンスルホン酸塩:バニレックスN(日本製紙株式会社製)、リグニンスルホン酸塩:サンエキスP321(日本製紙株式会社製)、アルカリリグニン)を用いて、各種溶媒への溶解性を調べた。溶媒溶解性は、水蒸気爆砕リグニン及びその他のリグニン100gを、各有機溶媒1000mlに加え、常温(25℃)で容易に溶解した場合は「○」、50〜70℃で溶解した場合は「△」、加熱しても溶解しなかった場合を「×」として、評価した。結果は、表1に示した。
Figure 2013170245
溶解性:「○」:常温で容易に溶解する、「△」:50〜70℃で溶解する、「×」:溶解しない
溶媒1群:アセトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン
溶媒2群:メタノール、エタノール、メチルエチルケトン
BL:水蒸気爆砕リグニン
LS1:リグニンスルホン酸塩(バニレックスN、日本製紙株式会社製)
LS2:リグニンスルホン酸塩(サンエキスP321、日本製紙株式会社製)
AL:アルカリリグニン
表1から分かるように、No.1の水蒸気爆砕リグニンは、溶解性の高い溶媒はアセトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフランであった。また、これら水蒸気爆砕リグニンはメタノール、エタノール、メチルエチルケトンに常温(25℃)では溶解しにくく、50〜70℃に加熱することにより溶解した。一方で、リグニンスルホン酸塩であるNo.2、3及びアルカリリグニンであるNo.4は、表1に示した有機溶媒には難溶であった。
(水蒸気爆砕リグニンのポリオールへの溶解性)
上記で得られた水蒸気爆砕リグニン及び水蒸気爆砕法以外の方法で抽出したリグニン(リグニンスルホン酸塩:バニレックスN(日本製紙株式会社製)、リグニンスルホン酸塩:サンエキスP321(日本製紙株式会社製)、アルカリリグニン)と、各種ポリオールへの溶解性を調べた。ポリオールとの相溶性は、得られた水蒸気爆砕リグニン又はその他のリグニンを表2に示す配合量で各ポリオールに混合し、常温(25℃)で15分攪拌し、分離せず、析出物がないことを目視で確認することにより確認した。結果は表2に示した。
(ポリウレタン発泡体の製造)
以下に示す方法で、ポリウレタン発泡体の製造、評価を行った。表2に実施例1〜10及び比較例1〜8として評価結果を示した。
(製造方法)
表2に示した配合量でリグニン及びポリオールを混合した。なお表2の質量%は、水蒸気爆砕リグニン及びその他のポリオールを含むポリオール全体中の各リグニンが占める割合を示す。このポリオール溶液にNCOインデックスが、1.0となるように各イソシアネートを混合し、触媒としてジラウリン酸ジブチルすず(ジブチルチンジラウレート)(IV)(和光純薬工業株式会社製)を添加し、注入型に流し込んでフリー発泡させ、ポリウレタン発泡体を製造した。製造条件は、実施例1〜5、7、比較例1〜3はポリオールが常温固体のため、50℃に加熱した条件で発泡させ、その他については常温(25℃)で発泡させた。
(評価方法)
得られたポリウレタン発泡体の評価は下記の方法で行い、表2に結果を示した。
(1)圧縮強度
JIS K−6400に準じて測定し、試験片の厚さの25%圧縮時の値を示した。
(2)脆さ(脆性)
ポリウレタン発泡体を脱型した際の様子及び圧縮強度測定後の発泡体の観察を行い、以下の基準で評価した。
「○」:脆さがなく、形を保ったまま脱型できる。圧縮して変形させても元の形に戻る。
「△」:多少の脆さがあるが、脱型はできる。圧縮して変形させると元の形に戻りにくい。
「×」:脆く脱型できない。圧縮して変形させると元の形に戻らない。
(3)難燃性
UL94HF燃焼試験に準じて試験を行った。難燃性の高い順にHF−1、HF−2、HBFで示し、難燃性のないものを「×」で示した。試験を行えなかったものについては「−」で示した。
(4)抗菌性
JIS Z2801に準じて、黄色ブドウ球菌、大腸菌に対する抗菌性を評価した。抗菌活性値2.0以上のものを抗菌性ありと判定して「○」で示し、2.0未満のものを抗菌性なしと判定して「×」で示した。試験を行えなかったものについては「−」で示した。
Figure 2013170245

BL:水蒸気爆砕リグニン
LS1:リグニンスルホン酸塩(バニレックスN、日本製紙株式会社製)
LS2:リグニンスルホン酸塩(サンエキスP321、日本製紙株式会社製)
AL:アルカリリグニン
ポリオールへの溶解性:「○」:常温で溶解する、「△」:加熱(50〜70℃)して溶解する、「×」:溶解しない
ポリオール1:ポリライト OD−X−286(DIC株式会社製、アジピン酸とエチレングリコールのポリエステルポリオール、水酸基価106〜118mgKOH/g)
ポリオール2:ポリライト OD−X−2155(DIC株式会社製、ポリカプロラクトン系ジオール、水酸基価106〜118mgKOH/g)
ポリオール3:URIC H−30(伊藤製油株式会社製、ヒマシ油系ポリオール、水酸基価155〜165mgKOH/g、平均官能基数2.7)
ポリオール4:URIC PH−5001(伊藤製油株式会社製、ヒマシ油系ポリオール、官能基数2)
NCOインデックスA:イソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート、和光純薬工業株式会社製)
NCOインデックスB:イソシアネート(URIC N−2023、ヒマシ油変性MDI系イソシアネート末端プレポリマー、NCO含有率15〜17質量%、伊藤製油株式会社製)
表2から分かるように、水蒸気爆砕リグニンを用いた場合はいずれのポリオールを用いた時も溶解性は良好であった。また、この混合ポリオール溶液とイソシアネートの相溶性も良好であり、ポリウレタン発泡体を製造可能であった。
一方、リグニンスルホン酸やアルカリリグニンを用いた時は、いずれのポリオールへの溶解性も悪かった。実施例2と比較例3、7及び実施例8と比較例8は、それぞれ同じ量のリグニンを同一のポリオールに配合しているが、水蒸気爆砕リグニンでは溶解性が良好である一方、リグニンスルホン酸塩やアルカリリグニンでは相溶しなかった。
難燃性について、実施例1〜4、8で水蒸気爆砕リグニンを10又は30質量%配合したポリウレタンはHBF、実施例5〜7、9〜10で水蒸気爆砕リグニンを50又は70質量%配合したポリウレタンはHF−1であり、水蒸気爆砕リグニンを配合することで難燃性を付与できることが示された。
抗菌性について、実施例1〜10で示すように水蒸気爆砕リグニンを配合することで抗菌性が付与できることが示された。
比較例1、2では加熱することでリグニンがポリオールへ溶解したが、生成したポリウレタンは発泡せず、非常に脆く、注入型から脱型できなかったため、それ以降の試験は行えなかった。比較例3〜8は、ポリオールへの溶解性が悪くポリウレタンが生成できなかったため、それ以降の試験は行えなかった。
本発明では、ポリオール成分に、水蒸気爆砕リグニンとポリオールを併用し、これとイソシアネートを反応させることでポリウレタンを製造でき、植物由来のリグニン、ポリオールや、植物由来のイソシアネートを用いることで、更なる環境負荷の低減化を図ることができる。

Claims (4)

  1. ポリオールとイソシアネートを反応させて得られるポリウレタンであり、前記ポリオールとして水蒸気爆砕リグニンを用いることを特徴とするポリウレタン。
  2. 水蒸気爆砕リグニンの重量平均分子量が、100〜7000である請求項1に記載のポリウレタン。
  3. ポリオール成分として、水蒸気爆砕リグニンを全ポリオール成分中の5〜90質量%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリウレタン。
  4. イソシアネートとして植物原料を使用したイソシアネートを含む請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタン。
JP2012036168A 2012-02-22 2012-02-22 新規なポリウレタン Pending JP2013170245A (ja)

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