JP2013170125A - レチノイドを有効成分とする脳内のフラクタルカイン(cx3cl1)産生を抑制するための医薬組成物 - Google Patents

レチノイドを有効成分とする脳内のフラクタルカイン(cx3cl1)産生を抑制するための医薬組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、脳内のフラクタルカイン(CX3CL1)産生を抑制するための医薬組成物を提供する。
【解決手段】
本発明は、レチノイドの末梢からの投与によって脳内のフラクタルカイン(CX3CL1)産生を抑制できることを発見したことに基づく。本発明は、レチノイド又はその医薬として許容し得る塩を有効成分とする医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、脳内のフラクタルカイン受容体(CX3CR1)活性化に起因する統合失調症又は神経変性疾患の予防薬又は治療薬として有用である。
【選択図】図1

Description

本発明は、レチノイドを有効成分とする、脳内のフラクタルカイン(CX3CL1)産生を抑制するための医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は、脳内のCX3CR1活性化に起因する疾患、例えば、統合失調症又は神経変性疾患などの予防薬又は治療薬として有用である。
神経炎症は、アルツハイマー病及びパーキンソン病などの神経変性疾患の原因である可能性が示唆されている。近年、この神経炎症にCX3CL1の受容体であるCX3CR1の活性化が深く関与していることが報告された(非特許文献1)。しかしながら、脳内のCX3CL1産生を抑制することができる物質は未だ知られていない。
特表2007−505127号公報 特表2006−528141号公報 特表2009−512626号公報
Fuhrmann M, Bittner T, Jung CK, Burgold S, Page RM, Mitteregger G, Haass C, LaFerla FM, Kretzschmar H, Herms J.: Nat Neurosci. 2010 Apr; 12(4):411-3. Hiroshi FUKAZAWA, Hiroyuki KEGEYAMA and Koichi SHUDO, Jpn. J. Clin. Immunol., 29(3) 144-126 (2006).
本発明は、脳内のCX3CL1(別名フラクタルカイン)産生を抑制することができる化学物質を含む、医薬組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために研究を行った結果、意外にも、脳内のCX3CL1産生抑制にレチノイドが有用であることを見出した。レチノイドは、従来からニキビの治療薬やスキンケア製品等、塗り薬の成分として広く使用されていたものである。本研究により、レチノイドが脳内のCX3CL1産生を抑制でき、CX3CR1活性化に起因する疾患に適用できることが初めて明らかとなった。したがって、本発明は、レチノイド又はその医薬として許容し得る塩を有効成分とする、脳内のCX3CL1産生を抑制するための医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、脳内のCX3CR1活性化に起因する神経変性疾患又は統合失調症を治療又は予防に有用である。
一実施態様において、レチノイドは、下記式Iにより表される構造を有する。
Figure 2013170125
式中、R1は-COOH、-CH2OH、-CHO、-COOR2、又は-CONR3R4から選択され、R2はC1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルから選択され、R3及びR4は、それぞれ独立にH又はC1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルから選択され、かつ当該式I中の点線を含む結合部分は、単結合又は2重結合を示す。
他の実施態様において、レチノイドは、下記式IIにより表される構造を有する。
Figure 2013170125
式中、Raは-COOH、-CH2OH、-CHO、-COORb、又は-CONRcRdから選択され、RbはC1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルから選択され、Rc及びRdは、それぞれ独立にH又はC1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルから選択される。
さらに、本発明者らは、末梢に投与したレチノイドが、脳神経細胞に作用できることを見出した。したがって、本発明は、末梢に投与されるように用いられる、レチノイド又はその医薬として許容し得る塩を有効成分とする脳内のCX3CL1産生を抑制するための医薬組成物を提供する。
特定の実施態様において、本発明の医薬組成物は、有効成分が1日あたり1 mg/kg体重〜20 mg/kg体重の量で投与されるように用いられる。別の実施態様において、本発明の医薬組成物は、有効成分が1日あたり1 mg/kg体重〜20 mg/kg体重の量で少なくとも7日間投与されるように用いられる。
本発明の医薬組成物は、脳内のCX3CL1産生を抑制することができ、脳内のCX3CR1活性化に起因する神経変性疾患又は統合失調症の治療薬又は予防薬として有用である。また、本発明の医薬組成物は、末梢から投与することができ、脳の特定部位へ直接投与する場合と比較して、容易かつリスクが小さいという利点を有する。
MIAラット+DMSO投与群、MIAラット+ATRA投与群、及びコントロールラット群の脳内のCX3CL1の発現量を示すグラフである。 2週齢のMIAラットの腹腔内に一日一回、20mg/kgで、7日間投与した後の、生存ラットの数を示すグラフである。
(1.定義)
「レチノイド」とは、核内ホルモン受容体スーパーファミリーに属するレチノイン酸受容体(RAR又はRXR)に結合し、これらを活性化することができる化合物の総称である(非特許文献2)。本願発明の技術分野において、レチノイドは、見かけの化学構造に差異があっても、広くレチノイドと定義されている。レチノイドの例を挙げると、ビタミンA、ビタミンA誘導体、タミバロテン、及びタミバロテン誘導体などがある。
「ビタミンA及びビタミンA誘導体」は、全トランス体及びシス-トランス異性体を含む。「ビタミンA」は、ビタミンA1及びビタミンA2を含み、これらは、それぞれ別名レチノール及び3-デヒドロレチノールとも呼ばれる。「ビタミンA誘導体」の例を挙げると、レチナール、レチノイン酸、レチノイン酸エステル、レチノイン酸アミド、3-デヒドロレチナール、3-デヒドロレチノイン酸、3-デヒドロレチノイン酸エステル、及び3-デヒドロレチノイン酸アミドなどがある。本明細書中において、特にシス体であることを明記しない限り、これらの化合物は、全トランス体であることを意味する。また、本明細書中において、レチノイン酸の全トランス体をATRAとも記載する。
「タミバロテン誘導体」の例を挙げると、タミバロテンアルコール体、タミバロテンアルデヒド体、タミバロテンエステル体及びタミバロテンアミド体などがある。本明細書中において、タミバロテンをAM80とも記載する。
本明細書において、「アルキル」とは、脂肪族飽和炭化水素の水素原子1個が失われて生じる1価の基を意味する。本明細書において、「アルキル」は、1〜15個の炭素原子、典型的には、1〜10個、1〜8個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、又は2〜6個の炭素原子を有することができる。本願明細書において、1〜15個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、及び2〜6個の炭素原子を有するアルキルを、それぞれ、C1-15、C1-10、C1-8、C1-6、C1-5、C1-4、C1-3、C1-2、及びC2-6アルキルとも示す。アルキルは、直鎖若しくは分枝状であってもよい。アルキルの例を挙げると、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル及びその異性体、n-ヘキシル及びその異性体、n-ヘプチル及びその異性体、n-オクチル及びその異性体、n-ノニル及びその異性体、n-デシル及びその異性体、並びにn-ペンタデカン及びその異性体などがある。アルキルは、さらに適当な置換基によって置換されてもよい。
本明細書において、「アルケニル」とは、少なくとも1つの二重結合を持つ脂肪族不飽和炭化水素基を意味する。本明細書において、「アルケニル」は、2〜15個の炭素原子、典型的には、2〜10個、2〜8個、2〜6個、2〜5個、2〜4個、2〜3個、又は3〜6個の炭素原子を有することができる。本願明細書において、2〜15個、2〜10個、2〜8個、2〜6個、2〜5個、2〜4個、2〜3個、及び3〜6個の炭素原子を有するアルケニルを、それぞれ、C2-15、C2-10、C2-8、C2-6、C2-5、C2-4、C2-3、及びC3-6アルケニルとも示す。アルケニルは、直鎖若しくは分枝状であってもよい。アルケニルの例を挙げると、ビニル(-CH=CH2)、アリル(-CH2CH=CH2)、-CH=CH(CH3)、-CH=C(CH3)2、-C(CH3)=CH2、-C(CH3)=CH(CH3)、-C(CH2CH3)=CH2、及び1,3-ブタジエニル(-CH=CHCH=CH2)などがある。アルケニルは、さらに適当な置換基によって置換されてもよい。
本明細書において、「アルキニル」とは、少なくとも1つの三重結合を持つ脂肪族不飽和炭化水素基を意味する。本明細書において、「アルキニル」は、2〜15個の炭素原子、典型的には、2〜10個、2〜8個、2〜6個、2〜5個、2〜4個、2〜3個、又は3〜6個の炭素原子を有することができる。本願明細書において、2〜15個、2〜10個、2〜8個、2〜6個、2〜5個、2〜4個、2〜3個、及び2〜6個の炭素原子を有するアルキニルを、それぞれ、C2-15、C2-10、C2-8、C2-6、C2-5、C2-4、C2-3、及びC3-6アルキニルとも示す。アルキニルは、直鎖若しくは分枝状であってもよい。アルキニルの例を挙げると、エチニル(-C≡CH)、-C≡CH(CH3)、-C≡C(CH2CH3)、-CH2C≡CH、-CH2C≡C(CH3)、及び-CH2C≡C(CH2CH3)などがある。アルキニルは、さらに適当な置換基によって置換されてもよい。
「置換基」とは、ある化学構造式において、導入される1以上の原子又は原子団を意味する。置換基の例を挙げると、C1-10アルキル(メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、又はn-ヘキシル若しくはその異性体など)、C1-10アルケニル(ビニル、アリル、-CH=CH(CH3)、-CH=C(CH3)2、-C(CH3)=CH2、-C(CH3)=CH(CH3)、及び-C(CH2CH3)=CH2など)、C1-10アルキニル(エチニル、-C≡CH(CH3)、-C≡C(CH2CH3)、-CH2C≡CH、-CH2C≡C(CH3)、及び-CH2C≡C(CH2CH3)など)、アルコキシ(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、又はブトキシなど)、ヒドロキシ(-OH)、ハロゲン(-F、-Cl、-Br、又は-I)、ハロアルキル(クロロメチル、クロロエチル、又はトリフルオロメチルなど)、シクロアルキル(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロへキシルなど)、アミノ(-NH2)、ニトロ(-NO2)、アセチル(-COCH3)、カルボキシル(-COOH)、エステル(-COORx、ここでRxはC1-6アルキルなどである)、アミド(-CONRyRz、ここでRy及びRzは独立にH又はC1-6アルキルなどである)、チオール(-SH)、スルホン酸(-SO3H)、ニトリル(-CN)、芳香族環(アリール、フェニル、ベンゾイル、又はナフタレニルなど)、複素環(ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピペリジニル、オキサニル、又はピリジニルなど)などがある。
「医薬として許容し得る塩」とは、無機酸若しくは無機塩基、又は有機酸若しくは有機塩基を含む、医薬として許容し得る無毒性の酸又は塩基から形成される塩を意味する。医薬として許容し得る塩の例を挙げると、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛などから形成される金属塩、又はリジン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)及びプロカインなどから形成される有機塩がある。また、医薬として許容し得る塩は、酸付加塩及び塩基付加塩を包含する。
「末梢」とは、脳以外の身体の部位をいう。例えば、腹腔内、経口、皮下、静脈、又は筋肉などを意味する。「末梢投与」又は「末梢に投与」とは、腹腔内投与、経口投与、皮下埋め込み、皮下投与、静脈投与、又は筋肉内投与などを意味する。
「フラクタルカイン」とは、神経細胞等で発現する膜結合型ケモカインの一種である。本明細書中において、フラクタルカインをCX3CL1とも記載する。
「フラクタルカイン受容体」とは、7回膜貫通Gタンパク質共役型受容体ファミリーの一種であり、免疫担当細胞やグリア細胞等で発現している受容体である。本明細書中において、フラクタルカイン受容体をCX3CR1とも記載する。
(2.レチノイド)
本発明は、レチノイド又はその医薬として許容し得る塩を有効成分とする、CX3CL1産生を抑制するための医薬組成物を提供する。レチノイドの例を挙げると、ビタミンA、ビタミンA誘導体、タミバロテン、及びタミバロテン誘導体などがある。
(2.1 ビタミンA及びビタミンA誘導体)
本発明において、レチノイドの一種であるビタミンA及びビタミンA誘導体は、下記式Iの構造式により表すことができる。
Figure 2013170125
上記式Iにおいて、R1は-COOH、-CH2OH、-CHO、-COOR2、又は-CONR3R4から選択される。好ましくは、R1は-COOH、-CH2OH、又は-CHOである。最も好ましくは、R1は-COOHである。
R1が-COOR2である場合、式Iの化合物は、エステル誘導体であることを意味する。R2はC1-15アルキル、C1-10アルキル、C1-8アルキル、C1-6アルキル、C1-5アルキル、C1-4アルキル、C1-3アルキル、C1-2アルキル、C2-15アルケニル、C2-10アルケニル、C2-8アルケニル、C2-6アルケニル、C2-5アルケニル、C2-4アルケニル、C2-3アルケニル、C3-6アルケニル、C2-15アルキニル、C2-10アルキニル、C2-8アルキニル、C2-6アルキニル、C2-5アルキニル、C2-4アルキニル、C2-3アルキニル、又はC3-6アルキニルから選択される。具体的には、R2は、メチル、エチル、iso-プロピル、n-プロピル、iso-ブチル、sec-ブチル、n-ブチル、n-ペンチル、又はn-ヘキシルから選択される。好ましくは、R2は、メチル又はエチルである。R2は、1以上の置換基で置換されていてもよい。
R1が-CONR3R4である場合、式(I)の化合物は、アミド誘導体であることを意味する。R3及びR4は、それぞれ独立に、H又はC1-15アルキル、C1-10アルキル、C1-8アルキル、C1-6アルキル、C1-5アルキル、C1-4アルキル、C1-3アルキル、C1-2アルキル、C2-15アルケニル、C2-10アルケニル、C2-8アルケニル、C2-6アルケニル、C2-5アルケニル、C2-4アルケニル、C2-3アルケニル、C3-6アルケニル、C2-15アルキニル、C2-10アルキニル、C2-8アルキニル、C2-6アルキニル、C2-5アルキニル、C2-4アルキニル、C2-3アルキニル、又はC3-6アルキニルから選択される。好ましくは、R3及びR4は、それぞれ独立に、H又はC1-6アルキル、C1-5アルキル、C1-4アルキル、C1-3アルキル、若しくはC1-2アルキルから選択される。
具体的には、R3及びR4は、それぞれ独立に、H、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、又はn-ヘキシルから選択される。好ましくは、R3及びR4はH又はメチルである。R1が-CONR3R4である場合、その窒素原子上にさらにH又はR5基等が付加して、第四級アンモニウム塩を形成してもよい。R5は、C1-6アルキル、C1-5アルキル、C1-4アルキル、C1-3アルキル、又はC1-2アルキルなどである。具体的には、R5は、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、又はn-ヘキシルから選択される。R3、R4、及びR5は、1以上の置換基で置換されていてもよい。
点線を含む結合部分は、単結合又は2重結合を示すことができる。点線を含む結合部分が単結合である場合、式Iの化合物は、以下を示す。
Figure 2013170125
(R1は上記と同じ意味を有する。)
また、点線を含む結合部分が二重結合である場合、式Iの化合物は、以下を示す。
Figure 2013170125
(R1は上記と同じ意味を有する。)
好ましくは、点線を含む結合部分は、単結合である。
式Iの化合物は、可能な位置に、置換基を導入することができる。置換基の導入方法は、当業者に公知の一般的な有機合成方法で行うことができる。また、式Iの化合物の製造工程において、出発物質又は中間体に置換基を導入し、最終生成物として、その置換基を有する式Iの化合物を得ることもできる。
式Iにより表される具体的な化合物の例を挙げると、以下の化合物がある:
レチノール;(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン-1-オール
レチナール;(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエナール
レチノイン酸;(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸
レチノイン酸メチル;(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸メチル
レチノイン酸アミド;(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸アミド
3-デヒドロレチノール;(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン-1-オール
3-デヒドロレチナール;(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエナール
3-デヒドロレチノイン酸;(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸
3-デヒドロレチノイン酸メチル;(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸メチル
3-デヒドロレチノイン酸アミド;(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸アミド。
Figure 2013170125
本発明において、式Iにより表される好ましい化合物は、レチノール、レチナール、レチノイン酸、又は3-デヒドロレチノールである。最も好ましくは、レチノイン酸である。
式Iの化合物は、立体異性体が存在する。式Iの化合物の立体異性体として、シス-トランス異性体がある。シス-トランス異性体の例を挙げると、下記に示す13-シス体、11-シス体、9-シス体、9,13-シス体、及び11,13-シス体などがある。
Figure 2013170125
式中、R1及び点線を含む結合部分は上記と同じ意味を有する。
式Iの化合物の立体異性体の具体的な例を挙げると、例えば、以下の化合物がある:
13-シス-レチノイン酸;(2Z,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸
11-シス-レチノイン酸;(2E,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸
9-シス-レチノイン酸;(2E,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸
9,13-シス-レチノイン酸;(2Z,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸
11,13-シス-レチノイン酸;(2Z,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸
Figure 2013170125
さらに式Iの化合物の具体的な立体異性体の例を挙げると、例えば、以下の化合物がある:
13-シス-レチノール;(2Z,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン-1-オール
13-シス-レチナール;(2Z,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエナール
13-シス-レチノイン酸メチル;(2Z,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸メチル
13-シス-レチノイン酸アミド;(2Z,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸アミド
13-シス-3-デヒドロレチノール;(2Z,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン-1-オール
13-シス-3-デヒドロレチナール;(2Z,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエナール
13-シス-3-デヒドロレチノイン酸;(2Z,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸
13-シス-3-デヒドロレチノイン酸メチル;(2Z,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸メチル
13-シス-3-デヒドロレチノイン酸アミド;(2Z,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸アミド
11-シス-レチノール;(2E,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン-1-オール
11-シス-レチナール;(2E,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエナール
11-シス-レチノイン酸メチル;(2E,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸メチル
11-シス-レチノイン酸アミド;(2E,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸アミド
11-シス-3-デヒドロレチノール;(2E,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン-1-オール
11-シス-3-デヒドロレチナール;(2E,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエナール
11-シス-3-デヒドロレチノイン酸;(2E,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸
11-シス-3-デヒドロレチノイン酸メチル;(2E,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸メチル
11-シス-3-デヒドロレチノイン酸アミド;(2E,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸アミド。
9-シス-レチノール;(2E,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン-1-オール
9-シス-レチナール;(2E,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエナール
9-シス-レチノイン酸メチル;(2E,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸メチル
9-シス-レチノイン酸アミド;(2E,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸アミド
9-シス-3-デヒドロレチノール;(2E,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン-1-オール
9-シス-3-デヒドロレチナール;(2E,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエナール
9-シス-3-デヒドロレチノイン酸;(2E,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸
9-シス-3-デヒドロレチノイン酸メチル;(2E,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸メチル
9-シス-3-デヒドロレチノイン酸アミド;(2E,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸アミド
9,13-シス-レチノール;(2Z,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン-1-オール
9,13-シス-レチナール;(2Z,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエナール
9,13-シス-レチノイン酸メチル;(2Z,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸メチル
9,13-シス-レチノイン酸アミド;(2Z,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸アミド
9,13-シス-3-デヒドロレチノール;(2Z,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン-1-オール
9,13-シス-3-デヒドロレチナール;(2Z,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエナール
9,13-シス-3-デヒドロレチノイン酸;(2Z,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸
9,13-シス-3-デヒドロレチノイン酸メチル;(2Z,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸メチル
9,13-シス-3-デヒドロレチノイン酸アミド;(2Z,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸アミド
11,13-シス-レチノール;(2Z,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン-1-オール
11,13-シス-レチナール;(2Z,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエナール
11,13-シス-レチノイン酸メチル;(2Z,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸メチル
11,13-シス-レチノイン酸アミド;(2Z,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸アミド
11,13-シス-3-デヒドロレチノール;(2Z,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン-1-オール
11,13-シス-3-デヒドロレチナール;(2Z,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエナール
11,13-シス-3-デヒドロレチノイン酸;(2Z,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸
11,13-シス-3-デヒドロレチノイン酸メチル;(2Z,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸メチル
11,13-シス-3-デヒドロレチノイン酸アミド;(2Z,4Z,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)-2,4,6,8-ノナテトラエン酸アミド。
(2.2 タミバロテン及びタミバロテン誘導体)
本発明において、レチノイドの一種であるタミバロテン及びタミバロテン誘導体は、下記式IIの構造式により表すことができる。
Figure 2013170125
上記式IIにおいて、Raは-CH2OH、-CHO、-COOH、-COORb、又は-CONRcRdから選択される。好ましくは、Raは-CH2OH、-CHO、又は-COOHである。最も好ましくは、Raは-COOHである。
Raが-COORbである場合、RbはC1-15アルキル、C1-10アルキル、C1-8アルキル、C1-6アルキル、C1-5アルキル、C1-4アルキル、C1-3アルキル、C1-2アルキル、C2-15アルケニル、C2-10アルケニル、C2-8アルケニル、C2-6アルケニル、C2-5アルケニル、C2-4アルケニル、C2-3アルケニル、C3-6アルケニル、C2-15アルキニル、C2-10アルキニル、C2-8アルキニル、C2-6アルキニル、C2-5アルキニル、C2-4アルキニル、C2-3アルキニル、又はC3-6アルキニルから選択される。具体的には、Rbは、メチル、エチル、iso-プロピル、n-プロピル、iso-ブチル、sec-ブチル、n-ブチル、n-ペンチル、又はn-ヘキシルから選択される。好ましくは、Rbは、メチル又はエチルである。Rbは、1以上の置換基で置換されていてもよい。
Raが-CONRcRdである場合、Rc及びRdは、それぞれ独立に、H又はC1-15アルキル、C1-10アルキル、C1-8アルキル、C1-6アルキル、C1-5アルキル、C1-4アルキル、C1-3アルキル、C1-2アルキル、C2-15アルケニル、C2-10アルケニル、C2-8アルケニル、C2-6アルケニル、C2-5アルケニル、C2-4アルケニル、C2-3アルケニル、C3-6アルケニル、C2-15アルキニル、C2-10アルキニル、C2-8アルキニル、C2-6アルキニル、C2-5アルキニル、C2-4アルキニル、C2-3アルキニル、又はC3-6アルキニルから選択される。好ましくは、Rc及びRdは、それぞれ独立に、H又はC1-10アルキル、C1-8アルキル、C1-6アルキル、C1-5アルキル、C1-4アルキル、C1-3アルキル、若しくはC1-2アルキルから選択される。
具体的には、Rc及びRdは、それぞれ独立に、H、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、又はn-ヘキシルから選択される。好ましくは、Rc及びRdはH又はメチルである。Raが-CONRcRdである場合、その窒素原子上にさらにH又はRe基等が付加して、第四級アンモニウム塩を形成してもよい。Reは、C1-15アルキル、C1-10アルキル、C1-8アルキル、C1-6アルキル、C1-5アルキル、C1-4アルキル、C1-3アルキル、又はC1-2アルキルなどである。具体的には、Reは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、又はn-ヘキシルである。Rc、Rd、及びReは、それぞれ独立に、1以上の置換基で置換されていてもよい。
式IIの化合物は、可能な位置に、置換基を導入することができる。置換基の導入方法は、当業者に公知の一般的な有機合成方法で行うことができる。また、式IIの化合物の製造工程において、出発物質又は中間体に置換基を導入し、最終生成物として、その置換基を有する式IIの化合物を得ることができる。
式IIにより表される具体的な化合物の例を挙げると、以下の化合物がある:
タミバロテン;4-[(1,1,4,4-テトラメチルテトラリン-6-イル)カルバモイル]安息香酸
タミバロテンアルコール体;4-[(1,1,4,4-テトラメチルテトラリン-6-イル)カルバモイル]ベンジルアルコール
タミバロテンメチルエステル体;4-[(1,1,4,4-テトラメチルテトラリン-6-イル)カルバモイル]安息香酸メチルエステル
タミバロテンアルデヒド体;4-[(1,1,4,4-テトラメチルテトラリン-6-イル)カルバモイル]ベンズアルデヒド
タミバロテンアミド体;4-[(1,1,4,4-テトラメチルテトラリン-6-イル)カルバモイル]ベンズアミド。
これらの化合物の構造式は以下である。
Figure 2013170125
(2.3 その他のレチノイド)
その他にも、本発明に包含されるレチノイドとして、例えば、以下の化合物、及びその立体異性体、並びにそれらの医薬として許容し得る塩がある:
Figure 2013170125
Figure 2013170125
さらに、その他にも、本発明に包含されるレチノイドとして、例えば、以下の化合物、及びその立体異性体、並びにそれらの医薬として許容し得る塩がある:
Figure 2013170125
(2.4 レチノイドの入手方法)
レチノール、レチナール、レチノイン酸、3-デヒドロレチノール、3-デヒドロレチナール及び3-デヒドロレチノイン酸は、当業者に公知であり、商業的に入手することができる。例えば、和光純薬株式会社から、品名all-trans-Retinoic Acid(コードNo.;186-01114、182-01116、182-01111)及びRetinoic acid(メーカーコード;0695)が市販されている。シグマ-アルドリッチ社から、レチノール(製品コード;R7632)、レチナール(製品コード;R2500)、及びレチノイン酸(製品コード;R2625)などが市販されている。トロントリサーチケミカル社から、3-デヒドロレチノール(カタログ#;D230100)及び3-デヒドロレチナール(カタログ#;D230075)などが市販されている。
レチナール及びレチノイン酸は、レチノールの酸化により得ることもできる。当該酸化は、例えば、MnO2などを使用して行うことができる。また、当業者であれば、レチノイン酸又は3-デヒドロレチノイン酸から、一般的な有機合成方法、例えば、求核アシル置換反応により、対応するエステル誘導体及びアミド誘導体を製造することができるであろう。さらに、レチノイドは天然に存在するので、天然物から抽出して得ることもできる。例えば、3-デヒドロレチノールは、淡水魚肝臓中に存在するので、それらの肝油から抽出し、単離することもできる。
9-シス-、11-シス-、13-シス-、11,13-シス-、及び9,11-シス-レチノール類も当業者に公知の化合物である。これらの化合物も、商業的に入手することができる。例えば、シグマアルドリッチ社から、9-シス-レチナール(製品コード;R5754)、9-シス-レチノイン酸(製品コード;R4643)、及び13-シス-レチノイン酸(製品コード;R3255)などが市販されている。
また、式Iにより表されるレチノイドは、一般的な有機合成方法を用いて、化学的に合成することもできる。例えば、β-イオノンを出発物質とし、側鎖を延長していく方法がある。具体的には、ビニル-β-イオノンとβ-ホルミルクロチルアセテートとのカップリング反応により合成することができる(Chem. Ing. Techn. Vol. 45, 1973, No. 10a, pp. 646-652)。その他、当業者であれば、特開2004-217523号及び特開H6-329623号などに開示されている方法により合成することもできる。
タミバロテンは、和光純薬株式会社から、AM80(コードNo.;017-16621、513-87581、メーカーコード;3507)として市販されている。また、当業者であれば、タミバロテンから、一般的な有機合成方法、例えば、還元又は求核アシル置換反応により、容易にタミバロテンアルコール体、タミバロテンアルデヒド体、タミバロテンエステル体及びタミバロテンアミド体を得ることができるであろう。
AM580等のレチノイドは、和光純薬株式会社又はシグマアルドリッチ社より市販されている。以下に、コードNo等を記載する。和光純薬株式会社:AM580(コードNo.014-16631、511-87521、メーカーコード;0760)、TTNPB(コードNo.204-14171、メーカーコード;0761)、Fenretinide(コードNo.516-25171、メーカーコード;1396)、CD437(コードNo.519-25161、メーカーコード;1549)、LE135(コードNo.513-25181、519-25183、メーカーコード;2021)、AC55649(コードNo.518-87531、メーカーコード;2436)、CD1530(コードNo.512-25151、メーカーコード;2554)、Liarozole hydrochloride(コードNo.515-87541、メーカーコード;2705)、Adapalene (コードNo.512-87551、メーカーコード;2852)、CD3254(コードNo.1516-87711、メーカーコード;3302)、UVI3003(コードNo.513-87721、メーカーコード;3303)、BMS453(コードNo.519-87561、メーカーコード;3409)、SR11237(コードNo.516-87571、メーカーコード;3411)、Docosahexaenoic acid(コードNo.510-87591、メーカーコード;3687)、CD2665(コードNo.513-87601、メーカーコード;3800)、LG100754(コードNo.510-87731、メーカーコード;3831)、Tazarotene(コードNo.517-87741、メーカーコード;3997)、EC23(コードNo.514-87751、メーカーコード;4011)、BMS753(メーカーコード;3505)、BMS493(メーカーコード;3509)、CD666(メーカーコード;3799)、及びMM11253(メーカーコード;3822)、Re80(コードNo.180-01391)、Ch55(コードNo.039-16781)、及びLE540(コードNo.123-04521)。シグマアルドリッチ社:アシトレチン(製品番号44707)、酢酸レチニル(製品番号R4632)、及びパルミチン酸レチノール(製品番号46959-U)。
(2.5 鏡像異性体)
レチノイドが少なくとも1個のキラル中心を有する場合、レチノイドは鏡像異性体として存在することができる。例えば、式Iの化合物は、シクロヘキセニル環のC3〜C5炭素上又はシクロヘキサジエニル環のC3炭素上に置換基が導入された場合に、鏡像異性体として存在し得る。また例えば、式IIの化合物は、テトラリン環上のC2又はC3炭素上に置換基が導入された場合に、鏡像異性体として存在し得る。また、リアロゾール塩酸塩も不斉炭素を有するため、鏡像異性体が存在する。鏡像異性体が存在する場合、レチノイドは、ラセミ体又は個々の鏡像異性体であってもよい。レチノイドが2個以上のキラル中心を有する場合、式Iの化合物はジアステレオマーとして存在し得る。全てのそのような異性体及びそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。鏡像異性体は、当業者に公知の方法、例えば、キラルカラムなどにより、分離することができる。これらの鏡像異性体も本発明に包含される。
(2.6 医薬として許容し得る塩)
レチノイドは、医薬として許容し得る塩として存在することができる。医薬として許容し得る塩は、制限されないが、例えば、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、又はナトリウム塩など、又は亜硫酸水素ナトリウムなどにより形成される塩、又は第四級アンモニウム塩などがある。
医薬として許容し得る塩は、酸とで形成される酸付加塩、又は塩基とで形成される塩基付加塩を含む。当該酸の例を挙げると、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロ酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸及びp-トルエンスルホン酸などがあるが、これらに限定されない。医薬として許容し得る塩は、塩酸塩及びメシル酸塩などを含む。前記塩基の例を挙げると、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、L-アルギニン、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、コリン、L-リジン、t-ブチルアミン、エチレンジアミン、アンモニア、ジメチルアミノエタノール、N-メチルグルカミン、トロメタミン、又はヒドロキシエチルモルホリンなどがあるが、これらに限定されない。
(3.医薬組成物)
本発明は、CX3CL1産生を抑制するための医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、有効成分として治療的有効量のレチノイド又はその医薬として許容し得る塩と、1種以上の医薬として許容し得る担体とを含有する。本発明の医薬組成物は、1種以上の他の医薬又は神経変性疾患若しくは統合失調症の予防薬若しくは治療薬を含むこともできる。本発明の医薬組成物の調製方法は、特に制限されず、当業者に公知の方法であってよい。本発明の医薬組成物は、1種又は2種以上のレチノイドを含むこともできる。また、本発明の医薬組成物は、生体内においてレチノイドに変換される化合物を含んでもよい。例えば、そのような化合物として、生体内においてビタミンAに変換されるプロビタミンA、例えば、α-カロテン、β-カロテン、及びγ-カロテンなどがある。
本明細書において、「治療有効量」は、脳内のCX3CL1産生を抑制するために必要な量を意味する。また、治療有効量は、統合失調症又は神経変性疾患を治療、予防、又は管理するために必要な量でもある。通常、治療有効量は、医学的判断の範囲内で、医師又は薬剤師等によって決定される。治療有効量は、疾患の種類及びその疾患の重症度;使用される化合物の活性;患者の齢、体重、健康状態、性別及び食事内容;投与の回数、投与経路、及び使用される化合物の排出速度;治療期間、使用される化合物との組合せ、又は同時に使用される薬剤など、様々な要因により決定される。レチノイド又はその医薬として許容し得る塩の治療有効量は、1日あたり、20 mg/kg体重以下、例えば、1日あたり、1 mg/kg体重〜20 mg/kg体重、3 mg/kg体重〜17 mg/kg体重、5 mg/kg体重〜15 mg/kg体重、5 mg/kg体重〜10 mg/kg体重、7 mg/kg体重〜13 mg/kg体重、9 mg/kg体重〜11 mg/kg体重、10 mg/kg体重〜15 mg/kg体重、又は10 mg/kg体重〜20 mg/kg体重である。好ましくは、レチノイド又はその医薬として許容し得る塩の治療有効量は、1 mg/kg体重〜20 mg/kg体重、5 mg/kg体重〜15 mg/kg体重、又は10 mg/kg体重である。
本明細書において、「医薬として許容し得る担体」とは、剤形等に応じて通常使用される、非毒性で不活性の固体、半固体又は液体物質を意味する。医薬として許容し得る担体は、例えば、当業者に公知の賦形剤、安定化剤、不活性希釈剤、充填剤、増量剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、懸濁化剤、緩衝剤、等張化剤、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤、カプセル封入剤、結合剤、防腐剤、抗酸化剤、潤滑剤、保湿剤、吸着剤、滑沢剤又は任意の他の製剤助剤などがある。本発明の医薬組成物において使用される医薬として許容し得る担体は、剤形の種類及び使用される化合物などに応じて、適宜選択することができる。
医薬として許容し得る担体の例を挙げると、制限されないが、以下のものがある:水、アルコール類(エタノールなど)、溶媒(ジメチルスルホキシドなど)、塩水(生理食塩水など)、又はこれらの混合溶液;塩化ナトリウムなどの無機塩類;ホウ酸、リン酸、酢酸、クエン酸、ε-アミノカプロン酸、グルタミン酸、エデト酸、及び/又はそれらに対応する塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、若しくはマグネシウム塩などのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩;グルコース(デキストロース)、マンノース、ガラクトース、又はフルクトースなどの単糖類;マンニトール、イノシトール、又はキシリトールなどの糖アルコール;スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、又はセロビオースなどの二糖類;デキストリン、デキストラン、セルロース、ヒアルロン酸、又はコンドロイチン硫酸などの多糖類;トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン類;セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸セルロース、又はそれらの誘導体などのセルロース類;ヒト血清アルブミン;グリシン、リシン、アスパラギン、アルギニン、グルタミン、システイン、アスパラギン酸、又はグルタミン酸などのL-アミノ酸;トラガカント;ゼラチン;滑石;カカオバター又はワックス;蝋又はミツロウ;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、ダイズ油、又は硬化油などのオイル類;エチレングリコール、又はプロピレングリコールなどのグリコール類;オレイン酸エチル又はラウリン酸エチルなどのエステル類;寒天;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム又は水酸化アルミニウム;アルギン酸;等張性塩類溶液;リンゲル液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;ラウリル硫酸ナトリウム又はステアリン酸マグネシウムなどである。
医薬として許容し得る担体の含有量は、特に制限はなく、これらは、使用される化合物の活性;剤形の種類;疾患の種類及び重症度;患者の年齢、体重、健康状態、性別及び食事内容;投与の回数、投与経路、及び使用される化合物の排出速度;治療期間;同時に使用される他の薬剤など、様々な要因により決定される。医薬として許容し得る担体の含有量は、本発明の医薬組成物の1〜99重量%の量とすることができる。
(3.1 剤形)
本発明の医薬組成物は、錠剤、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、又はカプセル剤などの固体剤形、又は滅菌水性溶液、滅菌非水性溶液、懸濁剤、乳剤、シロップ、エマルション又はエリキシルなどの液体剤形として提供することができる。剤形の種類は、特に制限されず、投与経路に応じて適宜選択される。本発明の医薬組成物は、液体剤形として、注射器又はカテーテルなどにより末梢に投与されることが好ましい。
液体剤形は、慣用の製薬配合技術に従って、有効成分を、不活性希釈剤などと混合することにより調製することができる。さらに、任意に、溶解補助剤、緩衝剤、等張化剤、懸濁化剤、界面活性剤、抗酸化剤、及び/又は防腐剤などを添加することもできる。また、液体剤形は、初めに本発明の医薬組成物を凍結乾燥粉末として調製及び保存しておき、使用直前に不活性希釈剤等に溶解又は懸濁化して調製してもよい。液体剤形は、必要に応じて、さらに着色料、保存剤、香料、風味剤、若しくは甘味剤などを含んでいてもよい。
不活性希釈剤は、特に制限されないが、例えば、水、生理的食塩水、注射用水、アルコール、エチルアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、リンゲル液、ゴマ油、トウモロコシ油、ダイズ油、又は硬化油若しくはオリーブ油などの油がある。
溶解補助剤は、制限されないが、例えば、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、トリスアミノメタン、トリエタノールアミン、コレステロール、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及びクエン酸ナトリウムなどがある。緩衝剤は、特に制限されないが、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、及びクエン酸塩などがある。等張化剤は、特に制限されないが、例えば、ブドウ糖、D-ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、デキストロース、及びD-マンニトールなどがある。懸濁化剤は、特に制限されないが、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、ステアリルトリエタノールアミン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びヒドロキシプロピルセルロースなどがある。界面活性剤は、特に制限されないが、イオン性、両性、又は非イオン性の界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ソルビタンモノアシルエステル系、及び脂肪酸グリセリド系などがある。抗酸化剤は、特に制限されないが、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、及びα−トコフェロールなどがある。防腐剤は、特に制限されないが、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、及びソルビン酸などがある。
これらは通常、滅菌されていることが好ましい。滅菌は、当業者に公知の方法、例えば、バクテリア保留フィルターを通過させる濾過操作、殺菌剤の添加、照射処理又は加熱処理などにより行うことができる。液体剤形中の有効成分の濃度は、使用される化合物の活性、医薬として許容し得る担体の種類、疾患の種類及び重症度などの要因により変更され、例えば、1mg/ml〜10mg/ml、又は6mg/mlとすることができる。
固体剤形は、慣用の製薬配合技術に従って、有効成分を、少なくとも1種の賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、崩壊抑制剤、吸収促進剤、保湿剤、吸着剤、及び/又は滑沢剤等と組み合わせることにより調製することができる。固体剤形は、必要に応じて、さらに着色料、保存剤、香料、風味剤、若しくは甘味剤などを含んでいてもよい。
賦形剤は、特に制限されないが、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、グルコース、D-マンニトール、尿素、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、コーンスターチ、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、及びリン酸カリウムなどがある。結合剤は、特に制限されないが、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン、ゼラチン、結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、デキストリン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、及びポリビニルピロリドンなどがある。崩壊剤は、特に制限されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、L-ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、カルボキシメチルセルロースカルシウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸カルシウムなどがある。界面活性剤は、特に制限されないが、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、及びステアリン酸モノグリセリドなどがある。崩壊抑制剤は、特に制限されないが、例えば、白糖、ステアリン、カカオバター、及び水素添加油などがある。吸収促進剤は、特に制限されないが、例えば、第4級アンモニウム塩基、及びラウリル硫酸ナトリウムなどがある。保湿剤は、特に制限されないが、例えば、グリセリン及びデンプンなどがある。吸着剤は、特に制限されないが、例えば、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、及びコロイド状ケイ酸などがある。滑沢剤は、特に制限されないが、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩(ステアリン酸マグネシム及びステアリン酸カルシウムなど)、コロイドシリカ、ホウ酸末、ロウ、ミツロウ、ゴマ油、トウモロコシ油、ダイズ油、硬化油、オリーブ油、及びポリエチレングリコールなどがある。
さらに固体剤形は、例えば、糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、又はフィルムコーティング錠とすることができ、二重錠ないしは多層錠とすることもできる。カプセル剤は、常法に従い、活性成分を各種の医薬として許容し得る担体と混合して硬質ゼラチンカプセル、又は軟質カプセルなどに充填して調製することができる。固体剤形は、必要に応じて、さらに着色料、保存剤、香料、風味剤、若しくは甘味剤などを含んでいてもよい。固体剤形中の有効成分の濃度は、使用される化合物の活性、医薬として許容し得る担体の種類、疾患の種類及び重症度などの要因により変更され、例えば、1重量%〜99重量%、20重量%〜80重量%、30重量%〜60重量%、又は40重量%〜50重量%とすることができる。固体剤形は、単回又は分割用量の有効成分を含むことができる。
(3.2 投与)
本発明の医薬組成物の投与経路は、特に制限されず、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度などに応じて決定される。今回、本発明者らは、末梢に投与したレチノイドが血液脳関門を通過し、脳内に直接作用することができることを見出した。したがって、本発明の医薬組成物は、末梢に投与することが好ましい。さらに好ましくは、本発明の医薬組成物は、経口、腹腔内、皮下、又は静脈内に投与される。最も好ましくは、本発明の医薬組成物は、腹腔内に投与される。末梢に投与するために、注射器又はカテーテルなどの機器を用いることができる。
本発明の医薬組成物は、1日1回、又は1日2回、3回、5回、7回、若しくは10回などの複数回に分けて投与することができる。複数回に分けて投与する場合、その投与間隔は、特に制限されず、10分、30分、1時間、2時間、6時間、又は12時間とすることができる。1日における投与時期は、特に制限はなく、起床時、食前、食間、食後、又は睡眠前であってもよい。また、カテーテルなどを用いて点滴などにより、10分、30分、1時間、2時間、6時間、12時間、又は24時間、継続して投与してもよい。本発明の医薬組成物は、1日1回投与されることが好ましい。
本発明の医薬組成物は、周期的に投与することができる。例えば、本発明の医薬組成物は、1日1回投与し、少なくとも7日間、例えば、2〜7日間、3〜6日間、又は4〜5日間連続して投与することができる。また、本発明の医薬組成物の投与において、一定の投与期間及び休薬期間のサイクルを設けることができる。投与期間及び休薬期間は、それぞれ独立に、少なくとも7日間、例えば、2〜7日間、3〜6日間、又は4〜5日間とすることができる。サイクル数は、例えば、1〜12サイクル、2〜10サイクル、又は2〜8サイクルとすることができる。休薬期間後、患者の症状及び状態によって、再度、投与期間及び休薬期間を設けてもよい。
本発明の医薬組成物は、哺乳動物に投与される。哺乳動物は、ヒト、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、ハムスター、サル、イヌ、フェレット、又はミニブタなどがある。
(3.3 治療対象)
本発明の医薬組成物は、脳内のCX3CR1活性化に起因する疾患の治療又は予防に有用である。脳内とは、特に海馬である。当該疾患には、統合失調症又は神経変性疾患がある。脳内のCX3CR1活性化に起因する神経変性疾患の例を挙げると、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多系統萎縮症(MSA)、進行性核上性麻痺(PSP)、脊髄小脳変性症(SCD)又は大脳皮質基底核変性症などがある。
(4.実施例)
以下に本発明の実施例及び製剤例を記載する。当該実施例及び製剤例は、本発明の特許請求の範囲に関する理解を深めるために記載しているものであり、本発明の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
(実施例1)
妊娠15日目のウィスターラットの腹腔内に生理食塩水に溶解したPoly IC (Sigma社)を4mg/kgで投与し、正常分娩させ、神経変性モデル動物である母体免疫活性化モデルラット(Maternal immune activation model rat:MIAラット)を作成した。対照群として、別の妊娠15日目のウィスターラットの腹腔内に生理食塩水のみを同量投与し、正常分娩させ、コントロールラット(以下、当該ラットを「コントロール」ラット)を作成した。
レチノイン酸(ATRA: sigma社)をDMSO(ジメチルスルホキシド:Wako社)に溶解し、0.6mg/100μlに調製して、その溶液を2週齢のMIAラットの腹腔内に一日一回、20mg/kgで、7日間投与した(以下、当該ラットを「MIA+ATRA」ラットという)。一方で、対照実験として、MIAラットの腹腔内に一日一回、同量の溶媒(DMSO)を投与した(以下、当該ラットを「MIA+DMSO」ラットという)。
その後、4週齢でMIA+ATRAラット群(N=5)、MIA+DMSOラット群(N=5)、及びコントロールラット群(N=4)の海馬をサンプリングし、ライシスバッファーM(Lysis buffer M:Wako社)、及びプロテアーゼインヒビターカクテル(Wako社)と共にホモジナイズし、12,000RPM、4℃で20分遠心分離した。その上清をサンプリングし、ローリー法によってタンパク質の濃度を測定した。
次にCX3CL1 ELASA キット(Ray bio)によってCX3CL1の発現量を定量し、単位タンパク質あたりのCX3CL1濃度を算出し、多重比較(テューキー・クレーマー検定)を行った。その結果、CX3CL1の発現量は、MIA+DMSOラット群に比べ、MIA+ATRAラット群及びコントロールラット群で有意に少なく、コントロールラット群とMIA+ATRAラット群の間では有意差はなかった(表1及び図1参照)。この結果は、レチノイドの末梢投与により、脳内のCX3CL1産生が抑制されたことを示している。
Figure 2013170125
当該実験に用いたMIAモデルラットは、有力な統合失調症モデル動物の一種である。これは、MIAモデル動物において脳内の免疫担当細胞であるミクログリアの活性化が報告されていること(統合失調症患者でも同様の報告がある)、及びCX3CL1の受容体CX3CR1がミクログリア活性化に関与していることからも明らかである。すなわち、脳内のCX3CL1産生の抑制は、統合失調症の治療にも重要な意義を有する。本実験において、レチノイドの投与により脳内のCX3CL1産生が低下した結果から、レチノイドは、統合失調症の治療にも有用である。
(実施例2)
ATRAを2週齢のMIAラットの腹腔内に一日一回、20mg/kgで、7日間投与する実験を行ったところ、4日目で2匹のMIAラットの死亡が確認され、さらに6日目で2匹のMIAラットの死亡が確認された(図2参照)。この結果から、レチノイドの投与量は、1日あたり20mg/kg体重以下と見積もった。
(製剤例)
液体剤形:
レチノイド(6mg)、デキストロース一水和物(等張となるよう適量)、クエン酸一水和物(1.05mg)、水酸化ナトリウム(0.18mg)、及び注射用水(全体が1.0mLとなるよう適量)を、常法に従って混合する。
錠剤:
レチノイド(2mg)、乳糖(34mg)、トウモロコシデンプン(10.6mg)、トウモロコシデンプン糊状(5mg)、ステアリン酸マグネシウム(0.4mg)、及びヒドロキシプロピルセルロース(20mg)を、常法に従って混合し、打錠機により打錠する。
カプセル剤:
レチノイド(10mg)、ミツロウ、硬化油、及びダイズ油(適量)を常法に従って混合し、ゼラチンカプセルに封入する。
本発明の医薬組成物は、脳内のフラクタルカイン受容体(CX3CR1)活性化に起因する統合失調症又は神経変性疾患の予防薬又は治療薬として利用することができる。

Claims (10)

  1. 下記式Iにより表されるレチノイド、そのシス-トランス異性体、又はその医薬として許容し得る塩を有効成分とする、脳内のCX3CL1産生を抑制するための医薬組成物:
    Figure 2013170125
    (式中、R1は-COOH、-CH2OH、-CHO、-COOR2、又は-CONR3R4から選択され、R2はC1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルから選択され、R3及びR4は、それぞれ独立にH又はC1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルから選択され、かつ点線を含む結合部分は、単結合又は2重結合を示す。)。
  2. R1が-COOH、-CH2OH、又は-CHOである、請求項1記載の医薬組成物。
  3. 前記式Iにより表されるレチノイドが、レチノイン酸、レチノール、レチナール、又は3-デヒドロレチノールである、請求項1又は2記載の医薬組成物。
  4. 前記式Iにより表されるレチノイドが、レチノイン酸である、請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬組成物。
  5. 末梢に投与されるように用いられる、請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬組成物。
  6. 前記末梢が腹腔内である、請求項5記載の医薬組成物。
  7. 前記有効成分が1日あたり1 mg/kg体重〜20 mg/kg体重の量で投与されるように用いられる、請求項1〜6のいずれか1項記載の医薬組成物。
  8. 少なくとも7日間投与される、請求項7記載の医薬組成物。
  9. 脳内のCX3CR1活性化に起因する神経変性疾患を治療又は予防するための、請求項1〜8のいずれか1項記載の医薬組成物。
  10. 脳内のCX3CR1活性化に起因する統合失調症を治療又は予防するための、請求項1〜8のいずれか1項記載の医薬組成物。
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