<実施形態1>
図1は本発明を実施した一実施形態のネットワーク構成図である。
図1に示されるネットワークは、無線通信装置A(101)、無線通信装置B(102)、無線通信装置C(103)で構成される。無線通信装置D(104)が該ネットワークに新たに参加する端末である。
本実施形態において無線通信装置A、無線通信装置B、無線通信装置C、および無線通信装置DはそれぞれIEEE802.11無線LAN(以下、単に無線LANとする)の通信機能を所持しているものとする。
また、無線通信装置A、無線通信装置B、および無線通信装置C、無線通信装置Dはそれぞれ無線LANにおけるアクセスポイント(以下、基地局)とステーション(以下、子局)の両方の機能を有しており、基地局もしくは子局として動作可能である。以降、基地局として動作している場合を基地局モード、子局として動作している場合を子局モードと呼ぶ。無線通信装置Aは基地局モードで動作しており、無線ネットワーク109を形成(構築)している。無線通信装置B、無線通信装置Cはそれぞれ子局モードで動作しており、無線ネットワーク109に参加している。ここで、無線通信装置Dの動作モードは未決定である。
さらに、無線通信装置A、無線通信装置B、無線通信装置C、および無線通信装置Dは通信パラメータ自動設定機能を有しており、WPSを実行することが可能である。本実施形態では、各無線通信装置は通信パラメータの提供機能および受理機能の両方を所持しているものとする。即ち、各通信装置はWPSのRegistrarとしてもEnrolleeとしても動作することが可能である。以下の説明では、通信パラメータの提供装置として動作する場合はWPSのRegistrarとしての動作を行い、通信パラメータの受理装置として動作する場合はWPSのEnrolleeとしての動作を行うものとする。
図2は各無線通信装置の構成の一例を表すブロック図である。101は無線通信装置全体を示す。201は、記憶部202に記憶される制御プログラムを実行することにより無線通信装置全体を制御する制御部である。202は制御部201が実行する制御プログラムと、通信パラメータ等の各種情報を記憶する記憶部である。後述する各種動作は、記憶部202に記憶された制御プログラムを制御部201が実行することにより行われる。203は無線通信を行うための無線通信処理部である。204はアンテナ、そして205はアンテナ制御部である。206は各種表示を行う表示部でありLCDやLEDのように視覚で認知可能な情報の出力、あるいはスピーカなどの音出力が可能な機能を有する。207は操作部である。操作部には通信パラメータの自動設定を開始するトリガを与える設定ボタン、各種情報の入力を行うための操作ボタン等が含まれる。制御部201はユーザによる操作部207の操作で設定ボタンの操作を検出することにより、後述する通信パラメータの設定動作を開始する。208は無線通信装置に電力を供給する電源部である。
図3は各無線通信装置が実行するソフトウェア機能ブロックの構成の一例を表すブロック図である。
301は無線通信装置のソフトウェア機能ブロックを示している。302は各種通信にかかわるパケットを送信するパケット送信部である。303は各種通信にかかわるパケットを受信するパケット受信部である。
304は無線通信装置が基地局モードで動作中に、他の無線通信装置から通信パラメータの提供装置としての登録要求メッセージを受信した際に、登録の判定を行う登録判定部である。ここで、登録要求メッセージは、通信パラメータの提供装置として動作しても良いか否かを確認するためのメッセージである。305は無線通信装置が子局モードで動作中に、基地局モードで動作中の無線通信装置に対して送信する登録要求メッセージを作成する登録要求メッセージ作成部である。
306は子局モード動作部であり、無線通信装置を子局モードとして動作させるための制御を行う。307は基地局モード動作部であり、無線通信装置を基地局モードとして動作させるための制御を行う。308はモード制御部であり、動作モードの判定処理や基地局モード動作部307および子局モード動作部306のモード切替制御を行う。
309は通信パラメータ自動設定機能ブロックである。本実施形態では、ネットワーク識別子としてのSSID、暗号方式、暗号鍵、認証方式、認証鍵等の無線通信を行うために必要な通信パラメータの自動設定を行う。通信パラメータ自動設定機能ブロックにおいて、310は、通信パラメータの提供装置として機能する場合に、相手機器に通信パラメータを提供する通信パラメータ提供部である。311は、通信パラメータの受理装置として機能する場合に、通信パラメータの提供装置から送られた通信パラメータを受理する通信パラメータ受理部である。312は、通信パラメータ自動設定における各種プロトコルを処理する通信パラメータプロトコル処理部である。313は通信パラメータ自動設定制御部であり、通信パラメータの提供装置として動作するか、もしくは受理装置として動作するかの制御を行い、通信パラメータ提供部310、通信パラメータ受理部311の起動・停止を行う。
314は通信パラメータ管理部であり、無線通信装置が記憶している、もしくは新たに作成した通信パラメータの管理を行う。通信パラメータ管理部314は、どの通信パラメータを提供するかの管理も行う。315は端末情報管理部であり、無線通信装置が基地局モードで動作している場合に、該無線通信装置が構築しているネットワークに参加している無線通信装置に関する端末情報の管理を行う。端末情報とは、例えば、デバイス情報(機器種別、機器名、シリアル番号、モデル番号)、MACアドレス等である。316は通知処理部である。通信パラメータの設定処理時に何らかのエラーが生じた場合にユーザや相手無線通信装置への通知処理を行う。
なお、全ての機能ブロックはソフトウェアもしくはハードウェア的に相互関係を有するものである。また、上記機能ブロックは一例であり、複数の機能ブロックが1つの機能ブロックを構成するようにしてもよいし、何れかの機能ブロックが更に複数の機能を行うブロックに分かれてもよい。
本実施形態において、無線通信装置Dが無線ネットワーク109に参加する際の処理に関して、図4〜図10を用いて説明する。
図4は本実施形態における各無線通信装置のフローチャート図である。
通信パラメータ自動設定の開始を指示するためのユーザによる設定ボタンの操作を検出すると(S401)、無線通信装置はその時点での自装置の動作モードを判定する(S402、S403)。動作モードが未決定であると判定された場合は(S402のNo、S403のNo)、動作モードの決定処理に進む(S419)。動作モードの決定処理では、例えば、周囲に基地局モードで動作中の他の無線通信装置が存在するかを検索する。そして、基地局モードで動作中の他の無線通信装置が検出されたら子局モードで動作すると決定し、検出されなければ自装置が基地局モードで動作すると決定する、という方法を用いることができる。
基地局モードで動作中と判定された場合(S402のYes)、S403以降の処理に進む。子局モードで動作中と判定された場合は、無線ネットワークに接続中か否かによって処理が分かれる。無線ネットワークに接続中と判定された場合は(S410のYes)、S411以降の処理に進み、無線ネットワークに接続中でないと判定された場合は、S420以降の処理に進む。つまり、図1のネットワーク構成において、各無線通信装置の設定ボタンが操作された場合、無線通信装置AはS403以降の処理を行い、無線通信装置B、CはS411以降の処理を行い、無線通信装置DはS420以降の処理を行うことになる。
最初に、無線通信装置Cと無線通信装置Dにおいて通信パラメータ自動設定の開始指示が行われた場合の処理について図9のシーケンス図を参照しながら説明する。図9は、無線通信装置Cと無線通信装置Dにおいて通信パラメータ自動設定の開始指示操作が行われた場合のシーケンスを示した図である。
無線通信装置Dにおいて通信パラメータ自動設定の開始指示が行われると(S401)、S402に進み、基地局モードで動作しているか否かの判定を行なう。無線通信装置Dは動作モードを未決定のためS409に進む。S409では子局モードで動作しているか否かを判定する。同様に動作モード未決定のためS419に進む。S419では動作モードのモード決定処理を行う。モード決定処理の詳細に関しては本実施形態では言及しない。本実施形態では、無線通信装置Dはネットワークに参加する子局として子局モードで動作するものとする。そして、再度動作モードの判定(S402、S409)を行う。無線通信装置Dの動作モードは子局モードであるので、S410に進む。S410では無線ネットワークに接続しているか否かの判定を行なう。無線通信装置Dは無線ネットワークには未接続であるため、S420に進む。S420では、通信パラメータを受理する受理装置として動作をするため、通信パラメータ受理部を起動する。そしてS421に進み、通信パラメータの受理装置として通信パラメータの自動設定処理を行う。
通信パラメータ自動設定処理を開始した無線通信装置Dは、最初に通信パラメータの自動設定が可能な相手無線通信装置を検索するための検索要求(M902)を送信する。具体的には、通信パラメータの自動設定を実行中であることを示す情報を付加した検索要求(プローブリクエスト)を送信し、通信パラメータの自動設定を実行中であることを示す情報が付加された検索応答(プローブレスポンス)の受信を一定時間待機する。
無線通信装置Cにおいて、同様に、通信パラメータ自動設定の開始指示が行われると(S401)、S402に進み、基地局モードで動作しているか否かの判定を行なう。無線通信装置Cは子局モードで動作しているためS409に進む。S409の判定の結果、無線通信装置Cは子局モードで動作しているので、S410に進む。S410の判定では、無線通信装置Dは無線ネットワーク109に接続しているため、S411に進む。
S411では基地局に接続しているか否かの判定を行なう。無線通信装置Dは基地局モードで動作中の無線通信装置Aに接続しているため、基地局に接続していると判定され、S412に進む。基地局に接続していない場合は、本実施形態の通信パラメータ自動設定処理は動作不可と判定してS408に進みエラー処理を行う。なお、無線ネットワークに接続中であるが基地局に接続していない場合とは、アドホックモードによる子局間での直接通信を行っている場合を指す。本実施形態ではこの場合はエラー処理として説明を行うが、自装置の動作モードを基地局モードに変更して通信パラメータの自動設定を開始するようにしてもよい。また、S411においては、接続している基地局が通信パラメータの自動設定に対応しているか否かの判定を追加してもよい。その場合、基地局が通信パラメータの自動設定に対応している場合のみS412に進み、対応していない場合はエラー処理(S408)を行う。
S412では、接続している基地局に対して通信パラメータの提供装置として登録済みか否かの判定を行なう。この時点では無線通信装置Cは無線通信装置Aに対し、通信パラメータの提供装置として未登録であるため、S413に進む。既に登録している場合は、S416に進む。
S413では、基地局に対して通信パラメータの提供装置として登録可能か否かを確認するために、無線通信装置Cは登録要求メッセージ(M901)を無線通信装置Aに送信する。
ここで、基地局モードで動作している無線通信装置(本実施形態では無線通信装置A)が、子局モードで動作している他の無線通信装置(本実施形態では無線通信装置C)から登録要求メッセージを受信した場合の処理フローについて図5を用いて説明する。
無線通信装置Aは、登録要求メッセージ(M901)を受信すると(S501)、送信元の無線通信装置Cが通信パラメータの提供装置として登録可能か否かの登録判定処理を行なう(S502)。
登録判定処理の一例について図6に示す。S601では、無線通信装置A(基地局モード)が既に通信パラメータの提供装置として動作しているか否かの判定を行なう。既に無線通信装置Aにて通信パラメータ設定の開始指示があり、無線通信装置Aが通信パラメータの提供装置として動作している場合、S602に進む。通信パラメータの提供装置として動作していない場合はS603に進む。S603では、他の無線通信装置(例えば無線通信装置B)が既に通信パラメータの提供装置として動作しているか否かの判定を行なう。既に他の無線通信装置が通信パラメータの提供装置として動作している場合はS602に進む。未だ他の無線通信装置が通信パラメータの提供装置として動作していない場合はS604に進む。S602では無線通信装置Cが通信パラメータの提供装置として動作することを禁止する。すなわち、通信パラメータの提供装置として登録不可と判定される。S604では、未だ通信パラメータの提供装置として動作している装置がいないことから、無線通信装置Cが通信パラメータの提供装置として動作することを許可する。すなわち通信パラメータの提供装置として登録可と判定される。このように、図6の処理を行うことにより、ネットワーク上で通信パラメータの提供装置として動作する無線通信装置を1台に限定することができる。
また、無線通信装置AがS602の動作禁止を解除するタイミングは以下の3つである。1つ目は自装置が通信パラメータの提供装置としての処理を完了した場合。2つ目は他の無線通信装置が通信パラメータの提供装置としての処理を完了した場合。3つ目は要求元の無線通信装置が通信パラメータの提供装置としての処理を完了した場合である。
本実施形態では、登録判定処理の一例について示したが、登録判定処理はこれに限るものではない。例えば、無線ネットワークに参加している端末数等で判断してもよい。無線ネットワークに参加する最大端末数を予め規定しておき、既に参加端末数が最大端末数に達している場合は、通信パラメータ提供装置としての動作を認めず、登録不可と判定する等である。これにより、ネットワークに参加可能な無線通信装置の台数を制限することができる。また、無線通信装置Aの表示部206に登録を許可するか否かの選択をユーザに促すための表示を行い、ユーザによる操作部207の操作に応じて無線通信装置Cを通信パラメータの提供装置として登録するか否かを決定するようにしてもよい。登録判定処理に関してはこれらに限るものではなく、通信パラメータ提供装置としての登録の可否を判定できればよい。
図5の説明に戻る。S503では、S502(図6)の登録判定処理の結果、登録可能と判定された場合はS504に進み、登録不可である場合はS505に進む。S504では登録可能である旨を含んだ登録応答メッセージ(M903)を送信する。S505では登録不可である旨を含んだ登録応答メッセージ(M903)を送信する。本実施形態では、無線通信装置Cを通信パラメータ提供装置として登録可能であると判定するものとする。
図4の説明に戻る。S414において、無線通信装置Cは受信した登録応答メッセージ(M903)の内容を確認する。登録可能である旨を含んだ登録応答メッセージを受信した場合は、S415に進む。登録不可である旨を含んだ登録応答メッセージを受信した場合はS408に進みエラー処理を行う。ここでのエラー処理では、通信パラメータの自動設定処理が不可である旨の通知等を行ってもよい。
S415では、無線通信装置Cは通信パラメータ提供部を起動し、さらに無線通信装置Aに通信パラメータ提供装置としての登録処理(M904)を行う。この登録はWPSのSubscribeメッセージを送信することにより実現可能である。登録処理が完了するとS416に進み、通信パラメータ提供装置として通信パラメータの自動設定処理を行う。
該通信パラメータ自動設定処理では、無線通信装置Cが基地局モードで動作中の無線通信装置Aを介して、無線通信装置Dに対する通信パラメータの提供を行う。
まず、無線通信装置Cは通信パラメータ自動設定処理の開始を示す開始通知メッセージを無線通信装置Aへ送信する(M905)。無線通信装置Aは開始通知メッセージを受信すると、無線通信装置Dから送信される通信パラメータ自動設定の検索要求(M902)に対して、通信パラメータの自動設定を実行中であることを示す情報を付加した検索応答(M906)を返すようになる。なお、図示はしていないが、無線通信装置Cから開始通知メッセージを受信する前は、無線通信装置Aは無線通信装置Dからの検索要求(M902)に対して、通信パラメータの自動設定を実行中でないことを示す情報を付加した検索応答を返信する。
無線通信装置Dは通信パラメータの自動設定を実行中であることを示す情報が付加された検索応答を受信することにより、通信パラメータ自動設定の相手無線通信装置として無線通信装置Aを検知する。検知後、通信パラメータ自動設定プロトコル処理(M907)が行われ、無線通信装置Aを介して、無線通信装置Cから無線通信装置Dへ通信パラメータが提供される。この通信パラメータ自動設定プロトコル処理(M907)は、WPSのRegistrarionプロトコルにより行われる。そして、無線通信装置Dは提供された通信パラメータを用いて無線ネットワーク109に接続する。
ここで、通信パラメータの提供装置(本実施形態では無線通信装置C)が、通信パラメータの受理装置(本実施形態では無線通信装置D)に対して提供する通信パラメータを決定する際の処理フローについて図8を用いて説明する。まず、通信パラメータの提供装置として動作する無線通信装置は、既に無線ネットワークに接続中か否かを判定する(S801)。ここで、既に無線ネットワークに接続中である場合とは、基地局として無線ネットワークを形成している場合と子局として無線ネットワークに参加している場合の両方である。既に無線ネットワークに接続中である場合は、S802に進み、未接続である場合はS803に進む。S802では、接続中の無線ネットワークの通信パラメータを、提供する通信パラメータとして決定する。S803では、新規に作成した通信パラメータ、もしくは予め記憶済みの通信パラメータを、提供する通信パラメータとして決定する。ここで提供する通信パラメータは、無線通信装置が基地局となって無線ネットワークを新たに構築する際の無線ネットワークの通信パラメータである。本実施形態の場合、無線通信装置Cは既に無線ネットワーク109に接続中であるため、S802において、提供する通信パラメータとして無線ネットワーク109の通信パラメータが決定される。
ここで、通信パラメータ自動設定プロトコル処理(M907)内において、無線通信装置Cは通信パラメータの提供先である無線通信装置Dに関する端末情報を取得することが可能である。端末情報としては、例えば、デバイス情報(機器種別、機器名、シリアル番号、モデル番号)、MACアドレス等である。
図4の説明に戻る。無線通信装置Cは通信パラメータ自動設定処理が完了すると、S417に進む。S417では、ネットワークに新規に参加した無線通信装置の端末情報として無線通信装置Dのデバイス情報やMACアドレスを無線通信装置Aに転送(M908)する。
ここで、基地局モードで動作中の無線通信装置Aが他の無線通信装置(本実施形態では無線通信装置C)から新規にネットワークに参加した無線通信装置(本実施形態では無線通信装置D)の端末情報を受信した場合の処理フローについて図7を用いて説明する。
無線通信装置Aは、ネットワークに新規に参加した無線通信装置の端末情報を受信すると(S701)、送信元が登録済みの通信パラメータ提供装置か否かの判定を行なう(S702)。登録済みの通信パラメータ提供装置である場合、S703に進み、自装置が管理している無線ネットワーク109に参加している無線通信装置の端末情報を更新する。端末情報の送信元が未登録の通信パラメータ提供装置である場合には受信した端末情報を破棄して処理を終了する。このように、子局として無線ネットワークに参加中の無線通信装置であっても、通信パラメータ提供装置として通信パラメータを提供した場合は、通信パラメータの提供先である新規参加装置の端末情報を即座に基地局に送信する。そして、基地局は子局から送信された端末情報に基づいて管理している端末情報を更新するので、無線ネットワークに参加中の無線通信装置の情報をリアルタイムで管理することができる。
図4の説明に戻る。無線通信装置Cはネットワークに新規に参加した無線通信装置Dの端末情報の転送を終了すると、S418に進み、通信パラメータの提供装置としての登録解除の処理(M909)を行う。具体的には、基地局として動作中の無線通信装置Aに対して、通信パラメータの提供装置としての登録解除の要求メッセージを送信する。
次に、無線通信装置Aと無線通信装置Dにおいて通信パラメータ自動設定の開始指示が行われた場合の処理について図10を参照しながら説明する。図10は、無線通信装置Aと無線通信装置Dにおいて通信パラメータ自動設定の開始指示操作が行われた場合のシーケンスを示した図である。
無線通信装置Dにおける処理は前述した処理と同様であるためここでは説明を省略する。
無線通信装置Aにおいて、通信パラメータ自動設定の開始指示が行われると(S401)、S402に進み、基地局モードで動作しているか否かの判定を行なう。無線通信装置Aは基地局モードで動作しているためS403に進む。S403では、自装置を通信パラメータ提供装置として起動可能か否かの判定処理を行なう。ここでの判定処理は、例えば自装置以外に提供装置として動作している装置が存在するか否かを確認し、他に提供装置として動作している装置がいなければ自装置を提供装置として起動可能と判定する、といった方法がある。なお、判定処理についてはこれに限るものでない。本実施形態では通信パラメータ提供装置として起動可能であると判定されるものとする。
次にS404では、通信パラメータ提供部を起動可能であれば、S405に進み、起動不可である場合はS408に進み、エラー処理を行う。S405では自装置の通信パラメータ提供部を起動し、S406に進む。S406では自装置を通信パラメータ提供装置として通信パラメータの自動設定処理を行う。
通信パラメータの自動設定処理を開始した無線通信装置Aは、無線通信装置Dから送信される通信パラメータ自動設定の検索要求(M1001)に対して、通信パラメータの自動設定を実行中であることを示す情報を付加した検索応答(M1002)を返す。無線通信装置Dは、通信パラメータの自動設定を実行中であることを示す情報が付加された検索応答を受信することにより、通信パラメータ自動設定の相手無線通信装置として無線通信装置Aを検知する。検知後、通信パラメータ自動設定プロトコル処理(M1003)が行われ、無線通信装置Aから無線通信装置Dへ通信パラメータが提供される。この通信パラメータ自動設定プロトコル処理(M1003)は、WPSのRegistrarionプロトコルにより行われる。無線通信装置Dは提供された通信パラメータを用いて無線ネットワーク109に接続する。
提供する通信パラメータは図8の処理フローにより決定される。無線通信装置Aは、基地局として無線ネットワーク109を構築しているため、S801で無線ネットワークに接続中と判定され、S802において、提供する通信パラメータとして無線ネットワーク109の通信パラメータが決定される。無線通信装置Aは通信パラメータ自動設定処理が完了すると、S407に進む。S407にて、通信パラメータ自動設定プロトコル処理の過程で取得した無線通信装置Dの端末情報を用いて、自装置が管理している無線ネットワーク109に参加している無線通信装置の端末情報を更新する。これにより、無線通信装置Aにて無線ネットワーク109に参加している無線通信装置を適切に管理することができる。
以上のように、本実施形態では、無線ネットワーク109に接続中の無線通信装置は、通信パラメータ自動設定の開始指示に応じて自装置の動作モードを判定する。そして、子局として動作中であれば基地局として動作中の他の無線通信装置を介して通信パラメータの提供を行い、基地局として動作中であれば直接通信パラメータの提供を行う。このように本実施形態によれば、無線ネットワーク内のどの無線通信装置が通信パラメータの提供装置であるかをユーザが意識せずとも、通信パラメータの自動設定処理を行うことが可能である。すなわち、ネットワークに新規に参加する無線通信装置と無線ネットワーク内の任意の無線通信装置において通信パラメータの開始指示を行うことで、通信パラメータの自動設定処理を実行でき、ユーザの利便性を向上することができる。
なお、上記説明では、無線通信装置Dが基地局としても子局としても動作可能である場合について説明したが、子局としてのみ動作可能である場合にも適用は可能である。また、上記説明では無線通信装置Dが通信パラメータ自動設定処理の提供機能と受理機能の両方を有するとして説明したが、受理機能のみを有する場合でも適用することが可能である。
また、上記説明では、無線通信装置Cは無線通信装置Aに対して登録要求メッセージ(M901)を送信し、登録可能である旨の応答メッセージ(M903)を待ってから登録処理(M904)を行っていたが、これらの処理をまとめて行っても構わない。すなわち、無線通信装置Cから登録要求メッセージ(M901)を受信した時点で無線通信装置Aは無線通信装置Cを通信パラメータの提供装置として登録するようにしてもよい。また、提供装置としての登録後に通信パラメータ自動設定処理の開始通知メッセージ(M905)を送信するものとして説明したが、これらの処理をまとめて行っても構わない。すなわち、無線通信装置Aは登録要求メッセージ(M901)を受信した時点、もしくは登録処理(M904)が完了した時点で、無線通信装置Cが通信パラメータ自動設定処理を開始したと判定し、M906の検索応答を送信するようにしてもよい。
また、通信パラメータ自動設定処理を開始した無線通信装置Dは、検索要求(M902、M1001)を送信し、検索応答(M906、M1002)の受信を待機する(アクティブスキャン)ことによって、通信パラメータ自動設定の相手を検索するとして説明した。しかしながら、通信パラメータ自動設定の相手を検索方法はこれに限られるものではなく、例えば、基地局として動作する無線通信装置Aから送信されるビーコンの受信を待機する方法(パッシブスキャン)を用いてもよい。無線通信装置Aは、無線通信装置Cから開始通知メッセージ(M905)を受信した場合、もしくは、自装置において設定開始指示操作が行われた場合、通信パラメータの自動設定を実行中であることを示す情報を付加したビーコンの送信を開始する。従って、無線通信装置Dは該ビーコンの受信を待機することにより、通信パラメータ自動設定の相手として無線通信装置Aを検知することができる。また、上述のアクティブスキャンとパッシブスキャンを組み合わせて検索しても構わない。
<実施形態2>
実施形態1では、通信パラメータの提供装置としての登録処理を通信パラメータ自動設定の開始指示を受けてから行う場合について記載した。
第2の実施形態では、予め基地局装置に登録処理を行っておく場合について説明する。なお、ネットワーク構成(図1)、及び各無線通信装置の構成(図2、図3)は第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においては、無線通信装置Aと無線通信装置Cとで通信パラメータの自動設定処理を行うことにより無線ネットワーク109を形成後に、無線通信装置Dが無線ネットワーク109に参加するまでの処理について説明する。
まず、無線通信装置Aが基地局モードとして動作し無線ネットワーク109を構築し、無線通信装置Cが子局モードとして通信パラメータの自動設定を行い、無線ネットワーク109への接続を行う。次に、無線通信装置Dが無線ネットワーク109への接続を試みる。その際に、無線通信装置Cと無線通信装置Dにおいて通信パラメータ自動設定の開始指示を行うものとする。
この一連の処理に関して、図5〜図8、図11、図12を用いて説明する。
図11は本実施形態における各無線通信装置のフローチャート図である。図4のフローと同じ処理に関しては同一の記号を付している。図11を図4と比較すると、S412〜S415、S418の処理が削除され、S421の処理の後にS1101〜S1103の処理が追加されている。
図12は無線通信装置Aと無線通信装置Cにおいて通信パラメータの設定を行った後に、無線通信装置Cと無線通信装置Dの間で通信パラメータの設定を行うまでの処理を示したシーケンス図である。
まず、無線通信装置Aと無線通信装置Cにおいて通信パラメータ自動設定の開始指示が行われる。通信パラメータ自動設定の開始指示が行われた際には無線通信装置AとC共に動作モードは決定であるため、両装置共にS401→S402→S409→S419と処理を進める。本実施形態では説明を簡単にするため、S419の動作モード決定処理において、無線通信装置Aは基地局モード、無線通信装置Cは子局モードに決定されるものとする。
無線通信装置Aは基地局モードで動作すると決定したため、S419→S402→S403→・・・→S407と処理が進む。S403以降の処理については実施形態1で説明した無線通信装置Aの処理と同様であるため、ここでの説明は省略する。
無線通信装置Cは子局モードで動作すると決定したため、S419→S402→S409→S410と進み、無線ネットワークに未接続のためS420に進む。S420にて通信パラメータを受理する受理装置として動作をするため、通信パラメータ受理部を起動しS421に進む。そして、S421にて通信パラメータ自動設定処理が行われる。
通信パラメータ自動設定処理を開始した無線通信装置Cは、最初に通信パラメータの自動設定が可能な相手無線通信装置を検索するための検索要求(M1201)を送信する。具体的には、通信パラメータの自動設定を実行中であることを示す情報を付加した検索要求(プローブリクエスト)を送信する。そして、通信パラメータの自動設定を実行中であることを示す情報が付加された検索応答(プローブレスポンス)の受信を一定時間待機する。
通信パラメータの自動設定処理を開始(S406)した無線通信装置Aから通信パラメータの自動設定を実行中であることを示す情報が付加された検索応答(M1202)が送信されると、通信パラメータ自動設定の相手として無線通信装置Aを検知する。そして、無線通信装置Cは無線通信装置Aとの間で通信パラメータ自動設定プロトコル処理(M1203)を行い、提供装置である無線通信装置Aから無線ネットワーク109の通信パラメータを受理する。
通信パラメータ自動設定プロトコル処理(M1203)が完了すると、無線通信装置Cは無線ネットワーク109に接続する。ここで、無線通信装置Cは無線ネットワーク109に接続後、自装置を通信パラメータ提供装置として無線通信装置Aへ登録処理を行う(S1101〜S1103)。登録処理のフローは実施形態1で説明した図4のS413〜S415と同様である。無線通信装置Cは登録要求メッセージ(M1204)を無線通信装置Aに送信する(S1101)。無線通信装置Aは登録要求メッセージ(M1204)を受信後、図5の処理を行い、無線通信装置Cに対して登録応答メッセージ(M1205)を送信する。なお、本実施形態では、S502の登録判定処理において図6の処理は行わない。すなわち、無線通信装置C以外に提供装置となる装置が存在するとしても、無線通信装置Aは提供装置として登録可能である旨を含んだ登録応答メッセージ(M1205)を送信する。
S1102において、無線通信装置Cは受信した登録応答メッセージ(M1205)の内容を確認し、登録可能であるため、S1103に進む。そしてS1103にて無線通信装置Cは、通信パラメータ提供部を起動し、無線通信装置Aに対して通信パラメータ提供装置としての登録処理(M1206)を行う。このように本実施形態では、無線ネットワーク109に参加後、基地局として動作している無線通信装置Aに対して通信パラメータ提供装置としての登録処理を予め行っておく。
その後、無線通信装置Dが無線ネットワーク109に参加するために、無線通信装置Cと無線通信装置Dにて通信パラメータ自動設定の開始指示が行われたものとする。
無線通信装置Dの処理フローについては、上記無線通信装置Cの処理フローと同様の処理フローになるため、ここでの説明は省略する。
無線通信装置Cは子局モードで動作しているため、S401→S402→S409→S410と進み、無線ネットワークに接続中のためS411に進む。また、基地局モードで動作中の無線通信装置Aと接続しているため、S416に進み、通信パラメータ自動設定処理を行う。
まず、無線通信装置Cは通信パラメータ自動設定処理の開始を示す開始通知メッセージを無線通信装置Aへ送信する(M1207)。無線通信装置Aは開始通知メッセージを受信すると、無線通信装置Dから送信される通信パラメータ自動設定の検索要求(M1208)に対して、通信パラメータの自動設定を実行中であることを示す情報を付加した検索応答(M1209)を返信する。無線通信装置Dは通信パラメータの自動設定を実行中であることを示す情報が付加された検索応答を受信することにより、通信パラメータ自動設定の相手無線通信装置として無線通信装置Aを検知する。検知後、通信パラメータ自動設定プロトコル処理(M1210)が行われ、無線通信装置Aを介して、無線通信装置Cから無線通信装置Dへ通信パラメータが提供される。そして、無線通信装置Dは提供された通信パラメータを用いて無線ネットワーク109に接続する。その後、S417において無線通信装置Cは無線ネットワーク109に新規に参加した無線通信装置Dの端末情報を無線通信装置Aに送信し(M1211)、無線通信装置Aは管理している端末情報を更新する。また、図示はしていないが、無線通信装置Dは無線ネットワーク109に参加後、通信パラメータ提供装置として無線通信装置Aへ登録処理を行う。
なお本実施形態では、無線通信装置Cは通信パラメータ提供後も、提供装置としての登録を解除する処理(S418相当の処理)は行わず、通信パラメータ提供装置としての登録を継続する。登録解除は、例えば、無線ネットワーク109から離脱した場合や、ユーザもしくは無線通信装置Aから登録解除要求があった場合など、任意の時に登録解除を行う。
このように本実施形態では、無線通信装置が無線ネットワークに接続した時点で、通信パラメータ提供装置としての登録処理を予め行っておく。その結果、通信パラメータ自動設定の開始指示操作が行われた場合は即座に通信パラメータ自動設定を行うことができるため、第1の実施形態の効果に加えて、通信パラメータの設定にかかる時間を短縮することができる。
なお、上記説明では、無線通信装置Dが基地局としても子局としても動作可能である場合について説明したが、子局としてのみ動作可能である場合にも適用は可能である。また、無線通信装置Dが通信パラメータ自動設定処理の提供機能と受理機能の両方を有するとして説明したが、受理機能のみを有する場合でも適用することが可能である。その場合、無線通信装置Dでは図11におけるS1101〜S1103の処理が省略される。
以上、各実施形態では無線通信装置Bに関する説明は省略したが、無線通信装置Bにて通信パラメータ自動設定の開始指示があった場合についても無線通信装置Cと同様の処理フローになる。
また、各実施形態において、通信パラメータ自動設定の開始指示は、設定ボタンの操作が行われた場合、すなわちWPSのPBC(Push Button Configuration)方式の場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、開始指示の際にPIN(Personal Identification Number)コードの入力で認証を行う方式(WPSのPIN方式)でも適用可能である。
また、通信パラメータとしてネットワーク識別子、暗号方式、暗号鍵、認証方式、認証鍵を例にしたが、他の情報であってもよいし、他の情報も通信パラメータには含まれるようにしてもよいことは言うまでも無い。
各実施形態において、本発明をIEEE802.11準拠の無線LANに適用した場合について説明したが、これに限る物ではない。例えば、ワイヤレスUSB、MBOA、Bluetooth(登録商標)、UWB、ZigBee等の他の無線媒体において実施してもよい。また、有線LAN等の有線通信媒体において実施してもよい。
ここで、MBOAは、Multi Band OFDM Allianceの略である。また、UWBは、ワイヤレスUSB、ワイヤレス1394、WINETなどが含まれる。
また、本実施形態の機能を実現するソフトウェアのコンピュータプログラムを記録した記録媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPU若しくはMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行する。これによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。