以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である記憶装置について図1乃至図6を参照して説明する。
図1は、本発明の一態様である記憶装置を説明する図である。図1に示す記憶装置では、駆動回路104上に複数のメモリセルが積層された多層メモリセル102が設けられている。多層メモリセル102では、第1段のメモリセル102a上に第2段のメモリセル102bが設けられている。多層メモリセル102が2段である態様について、以下に説明する。
図1では、多層メモリセル102は、第1段のメモリセル102a及び第2段のメモリセル102bのみを有するが、さらに多くのメモリセルを積層することが好ましい。すなわち、図1のz方向に複数のメモリセルを有することが好ましい。多くのメモリセルを積層することで、xy面における単位面積あたりの記憶容量を増加させることができる。
また、多層メモリセル102も多数設けられているとよい。すなわち、図1のy方向にも多数の多層メモリセル102を有することが好ましい。
図2には、図1に示す記憶装置の回路構成のブロック図の一部を示す。図2に示す記憶装置は、多層メモリセル102、駆動回路104、第1の信号生成回路106a及び第2の信号生成回路106bを有する。
多層メモリセル102は、第1段のメモリセル102a及び第2段のメモリセル102bを有する。
駆動回路104は、書き込み回路104a、読み出し回路104b及び回路104cを有する。
第1の信号生成回路106aは、第2の書き込み選択線120、第1の書き込み選択線122、第2の読み出し選択線124、第1の読み出し選択線126、読み出し選択線128、読み出しデータ線132及び読み出し電源線136に電気的に接続されている。
第2の信号生成回路106bは、容量素子電源線134、書き込み制御線138、書き込みデータ線140、読み出し制御線142、ラッチ制御線144、読み出しデータ線146及び参照信号線148に電気的に接続されている。
図3には、図2に回路構成を示した記憶装置の具体的な回路構成の一例を示す。
第1段のメモリセル102aは、第1のトランジスタ108a、第2のトランジスタ110a及び容量素子112aを有する。第1のトランジスタ108a及び第2のトランジスタ110aは、オフ電流の小さいトランジスタである。第1のトランジスタ108a及び第2のトランジスタ110aのオフ電流は、25℃において100zA以下であることが好ましい。このようなオフ電流の小さいトランジスタは、後に説明する高純度化された酸化物半導体により形成することができる。
なお、駆動回路104は、単結晶半導体基板またはSOI基板などのキャリア移動度の高い半導体基板に形成することが好ましいが、これに限定されず、駆動回路104も酸化物半導体により形成されていてもよい。
第1のトランジスタ108aのソース及びドレインの一方は、書き込みデータ線130に電気的に接続されている。第1のトランジスタ108aのソース及びドレインの他方は、第2のトランジスタ110aのソース及びドレインの一方と、容量素子112aの第1の電極に電気的に接続されており、第1の記憶保持部FN1を構成している。第1のトランジスタ108aのゲートは、第1の書き込み選択線122に電気的に接続されている。
第2のトランジスタ110aのソース及びドレインの他方は、第2のトランジスタ110bのソース及びドレインの一方と、駆動回路104に設けられたトランジスタ114のゲートと、容量素子118の第1の電極に電気的に接続されており、浮動電位配線FNを構成している。
第2のトランジスタ110aのゲートは、第1の読み出し選択線126に電気的に接続されている。
容量素子112aの第2の電極は、容量素子電源線134に電気的に接続されている。
第2段のメモリセル102bは、第1のトランジスタ108b、第2のトランジスタ110b及び容量素子112bを有する。第1のトランジスタ108b及び第2のトランジスタ110bは、オフ電流の小さいトランジスタである。
第1のトランジスタ108bのソース及びドレインの一方は、書き込みデータ線130に電気的に接続されている。第1のトランジスタ108bのソース及びドレインの他方は、第2のトランジスタ110bのソース及びドレインの他方と、容量素子112bの第1の電極に電気的に接続されており、第2の記憶保持部FN2を構成している。
第1のトランジスタ108bのゲートは、第2の書き込み選択線120に電気的に接続されている。
第2のトランジスタ110bのゲートは、第2の読み出し選択線124に電気的に接続されている。
容量素子112bの第2の電極は、容量素子電源線134に電気的に接続されている。
駆動回路104に設けられた回路104cは、トランジスタ114と、トランジスタ116と、容量素子118と、を有する。
トランジスタ114のソース及びドレインの一方は、読み出しデータ線132に電気的に接続され、トランジスタ114のソース及びドレインの他方は、トランジスタ116のソース及びドレインの一方に電気的に接続されている。トランジスタ116のソース及びドレインの他方は、読み出し電源線136に電気的に接続され、トランジスタ116のゲートは、読み出し選択線128に電気的に接続されている。
容量素子118の第2の電極は、容量素子電源線134に電気的に接続されている。
書き込みデータ線130は、駆動回路104に設けられた書き込み回路104aに電気的に接続されている。
読み出しデータ線132及び読み出し電源線136は、駆動回路104に設けられた読み出し回路104bに電気的に接続されている。
図4には、駆動回路104に設けられた書き込み回路104a及び読み出し回路104bの具体的な回路構成の一例を示す。
書き込み回路104aは、スイッチ162とインバータ164を有し、書き込み制御線138から信号を入力すると、書き込みデータ線140と書き込みデータ線130が電気的に接続され、書き込みデータ線140の信号が書き込みデータ線130に供給される構成を有する。
読み出し回路104bは、回路150、センスアンプ152、インバータ154、インバータ156、クロックドインバータ158及びインバータ160を有する。回路150は、スイッチ166とインバータ168を有し、読み出し制御線142から信号を入力すると、インバータ156の出力端子と書き込みデータ線130が電気的に接続される構成を有する。
インバータ160の入力端子はラッチ制御線144に電気的に接続され、インバータ160の出力端子はクロックドインバータ158の制御端子に接続されている。
クロックドインバータ158の入力端子は、インバータ156の入力端子及びインバータ154の出力端子に電気的に接続され、クロックドインバータ158の出力端子はインバータ154の入力端子及び読み出しデータ線146に電気的に接続されている。
センスアンプ152は、読み出しデータ線132、読み出し電源線136、ラッチ制御線144、読み出しデータ線146及び参照信号線148に電気的に接続されている。
図5(A)には、センスアンプ152の回路構成の一例を示す。
センスアンプ152は、比較回路170、トランジスタ172及びトランジスタ174を有する。
比較回路170は、第1の入力端子と、第2の入力端子と、制御端子と、出力端子と、を有する。第1の入力端子は、読み出しデータ線132に電気的に接続されている。第2の入力端子は、トランジスタ172のソース及びドレインの一方に電気的に接続されている。制御端子は、ラッチ制御線144に電気的に接続されている。出力端子は、読み出しデータ線146に電気的に接続されている。
トランジスタ172のソース及びドレインの他方はトランジスタ174のソース及びドレインの一方に電気的に接続されている。トランジスタ172のゲートは参照信号線148に電気的に接続されている。
トランジスタ174のソース及びドレインの他方は読み出し電源線136に電気的に接続されている。トランジスタ174のゲートはラッチ制御線144に電気的に接続されている。
図5(B)には、比較回路170の具体的な回路構成の一例を示す。
比較回路170は、トランジスタ176、トランジスタ178、トランジスタ180、トランジスタ182及びトランジスタ184を有する。なお、トランジスタ176及びトランジスタ178はpチャネル型トランジスタである。
トランジスタ176のソース及びドレインの一方とトランジスタ178のソース及びドレインの一方は、高電源電位線に電気的に接続されている。トランジスタ176のゲートとトランジスタ178のゲートは、トランジスタ176のソース及びドレインの他方とトランジスタ180のソース及びドレインの一方に電気的に接続されている。トランジスタ180のゲートは、第2の入力端子に電気的に接続されている。トランジスタ180のソース及びドレインの他方は、トランジスタ182のソース及びドレインの一方とトランジスタ184のソース及びドレインの一方に電気的に接続されている。トランジスタ184のソース及びドレインの他方は、低電源電位線に電気的に接続されている。トランジスタ184のゲートは、制御端子に電気的に接続されている。トランジスタ182のゲートは、第1の入力端子に電気的に接続されている。トランジスタ182のソース及びドレインの他方は、トランジスタ178のソース及びドレインの他方と出力端子に電気的に接続されている。
なお、ここで「高電源電位線」は一定の高電位Vddが供給される配線であり、この電位は記憶装置内で最も高いことが好ましい。「低電源電位線」は一定の低電位Vssが供給される配線であり、この電位は記憶装置内で最も低く、接地電位であることが好ましい。好ましくは、「高電源電位線」として読み出し電源線136を用い、「低電源電位線」として容量素子電源線134を用いる。
次に、本発明の一態様である前記記憶装置の動作について、図6のタイミングチャートを参照して説明する。
なお、ここで図6のタイミングチャートに示していない配線の電位は、一定にする。すなわち、容量素子電源線134の電位は低電位電源電位VLとし、読み出し電源線136の電位は高電位電源電位VHとする。参照信号線148の電位は、後に説明するように、期間t1に第2の記憶保持部FN2に書き込む信号の電位VHと、期間t3に第1の記憶保持部FN1に書き込む信号の電位VLの中間の電位VMとする。
なお、以下の説明には3種類の電位(すなわち、電位VH、電位VM、電位VL)を用いるが、これらの電位は概ね等しいものであればよく、厳密に等しい電位であることを要しない。ただし、電位VH>電位VM>電位VLとする。
なお、以下の説明では、動作は期間t1から開始しているが、期間t1の前に、第2の記憶保持部FN2、第1の記憶保持部FN1及び浮動電位配線FNの電位がVLとなるようにリセット動作を行うことが好ましい。リセット動作を行うことで、第2の記憶保持部FN2、第1の記憶保持部FN1及び浮動電位配線FNの電位が過度に高くても、誤動作なく動作させることができる。
期間t1は、第2段のメモリセル102bにデータを書き込む(第1の書き込み)期間である。期間t1では、第2の書き込み選択線120の電位及び書き込み制御線138の電位をVHとする。これにより、第1のトランジスタ108b及びスイッチ162がオンする。そうして、第2の書き込みデータ線140の信号が、第2の記憶保持部FN2に書き込まれる。ここで、第2の書き込みデータ線140の信号の電位をVHとすると、第1の書き込みデータ線130の電位はVHとなり、第2の記憶保持部FN2の電位はVHとなる。
期間t2は、第2段のメモリセル102bにデータを保持する(第1の保持)期間である。期間t2では、第2の書き込み選択線120の電位をVLとするため、第1のトランジスタ108bがオフし、第2の記憶保持部FN2の電位はVHに保持される。
期間t3は、第1段のメモリセル102aにデータを書き込む(第2の書き込み)期間である。期間t3では、第1の書き込み選択線122の電位及び書き込み制御線138の電位をVHとする。これにより、第1のトランジスタ108a及びスイッチ162がオンする。そうして、第2の書き込みデータ線140の信号が、第1の記憶保持部FN1に書き込まれる。ここで、第2の書き込みデータ線140の信号の電位をVLとすると、第1の書き込みデータ線130の電位はVLとなり、第1の記憶保持部FN1の電位はVLとなる。
期間t4は、第1段のメモリセル102a及び第2段のメモリセル102bにデータを保持する(第2の保持)期間である。第1のトランジスタ108b、第1のトランジスタ108a、第2のトランジスタ110b及び第2のトランジスタ110aは、オフ電流が小さいトランジスタであるため、第2の記憶保持部FN2及び第1の記憶保持部FN1には、それぞれ第1の書き込み期間または第2の書き込み期間に書き込まれたデータが保持される。
期間t5は、第2段のメモリセル102bのデータを読み出す(第1の読み出し)期間である。期間t5では、第2の読み出し選択線124、読み出し選択線128、読み出し制御線142及びラッチ制御線144の電位をVHとする。これにより、第2のトランジスタ110b、トランジスタ116及びスイッチ166がオンする。第2のトランジスタ110bがオンすることで、第2の記憶保持部FN2の電位と浮動電位配線FNの電位は(概ね)等しくなる。第2の記憶保持部FN2はオフ電流が小さいトランジスタと容量素子に囲まれているため、第2のトランジスタ110bがオンする前の第2の記憶保持部FN2の電位をVHとし、浮動電位配線FNの電位をV0とし、容量素子112bの容量値をC1とし、容量素子118の容量値をC2とすると、第2のトランジスタ110bがオンした後の第2の記憶保持部FN2と浮動電位配線FNの電荷量の合計は、C1VH+C2V0となる。
容量素子112bの容量値C1は、容量素子118の容量値C2よりも大きくする。浮動電位配線FNの電位V0がVL(簡単のために0とする)以上VH以下とすると、電位V0が0のときには第2の記憶保持部FN2と浮動電位配線FNの電荷量の合計はC1VHとなり、電位V0はC1VH/(C1+C2)である。ここで、C1>C2とすると、C1VH/(C1+C2)はVH/2より小さい。
浮動電位配線FNの電位V0がVHのときには電位V0はVHである。従って、電位V0が0V以上VH以下とすると、電位V0はVH/2より大きくVH以下となる。
トランジスタ116のソース及びドレインの他方はVHに保持された読み出し電源線136に電気的に接続されており、トランジスタ116がオンするので、トランジスタ114のゲート電位(浮動電位配線FNの電位)に応じた電位の信号が読み出しデータ線132に出力され、比較回路170の第1の入力端子に入力される。
なお、期間t5の前に読み出しデータ線132をVM以上VH以下の電位にプリチャージしておくとよい。プリチャージしておくと、トランジスタ114のゲート電位が高いほど読み出しデータ線132の電位の低下が早く、トランジスタ114のゲート電位が低いほど読み出しデータ線132の電位の低下が遅い。
なお、読み出しデータ線132をプリチャージするためには、プリチャージ電位の配線(例えば参照信号線148)と読み出しデータ線132を、トランジスタを介して電気的に接続すればよい(図示していない)。
そして、ラッチ制御線144の電位をVHとすることで、ソース及びドレインの他方が読み出し電源線136に電気的に接続されたトランジスタ174がオンするので、トランジスタ172のゲート電位(参照信号線148の電位)に応じた電位の信号がトランジスタ172のソース及びドレインの一方に出力され比較回路170の第2の入力端子に入力される。
なお、期間t5の前にトランジスタ172のソース及びドレインの一方を読み出しデータ線132と同様にプリチャージするとよい。
なお、トランジスタ172のソース及びドレインの一方をプリチャージするためには、プリチャージ電位の配線(例えば参照信号線148)とトランジスタ172のソース及びドレインの一方を、トランジスタを介して電気的に接続すればよい(図示していない)。
一方で、ラッチ制御線144の電位をVHとすることで、比較回路170の電源端子に電気的に接続されたトランジスタ184もオンし、比較回路170が動作する。比較回路170の第1の入力端子と第2の入力端子の電位の低下速度の差に応じて、比較回路170の出力端子に信号が出力される。
第2の入力端子の電位の低下よりも第1の入力端子の電位の低下のほうが早い場合には、トランジスタ180がオンした状態でトランジスタ182が先にオフするため、比較回路170の出力端子からは電位VHの信号が出力される。第1の入力端子の電位の低下よりも第2の入力端子の電位の低下のほうが早い場合には、トランジスタ182がオンした状態でトランジスタ180が先にオフするため、比較回路170の出力端子からは電位VLの信号が出力される。ここでは、期間t1に第2の記憶保持部FN2に書き込まれた信号の電位がVHであるため、浮動電位配線FNの電位及びトランジスタ114のゲート電位(具体的には、VMより高く、VHより低い)は、トランジスタ172のゲート電位(具体的には、VM)よりも高い。
そして、ここで、ゲート電位が概ね等しいときのトランジスタ114のオン電流とトランジスタ172のオン電流が同程度であるとして、これらのトランジスタが線形領域で動作するものとすると、読み出しデータ線132の電位の降下がトランジスタ172のソース及びドレインの一方の電位の降下よりも早く、トランジスタ180よりもトランジスタ182が先にオフし、出力端子からは電位VHの信号が出力される。そして、出力端子の信号は読み出しデータ線146に出力される。
また、読み出し制御線142の電位をVHとするので、スイッチ166がオンし、第1の書き込みデータ線130の電位もVHとなる。
期間t6は、第2段のメモリセル102bのデータをリフレッシュする(第1のリフレッシュ)期間である。期間t6では、読み出し制御線142の電位はVHに保持し、第2の読み出し選択線124、読み出し選択線128及びラッチ制御線144の電位をVLとし、第2の書き込み選択線120をVHとする。これにより、スイッチ166はオンとしつつ、第2のトランジスタ110b、トランジスタ116、トランジスタ184及びトランジスタ174がオフする。
このとき、比較回路170の出力端子から出力される信号の電位、すなわち読み出しデータ線146の電位VHは、インバータ154とクロックドインバータ158によって構成されるラッチ回路によって低下することなく保持されている。そして、読み出しデータ線146の電位VHはスイッチ166を介して書き込みデータ線130に入力されている。第2の書き込み選択線120をVHとすることで第1のトランジスタ108bがオンしているため、第2の記憶保持部FN2の電位は再びVHとなる。
期間t7は、第2段のメモリセル102bのデータの読み出しを終了する(第1の読み出し終了)期間である。期間t7では、読み出し制御線142をVLとし、スイッチ166をオフする。
期間t8は、第1段のメモリセル102aのデータを読み出す(第2の読み出し)期間である。期間t8では、第1の読み出し選択線126、読み出し選択線128、読み出し制御線142及びラッチ制御線144の電位をVHとする。これにより、第2のトランジスタ110a、トランジスタ116及びスイッチ166がオンする。第2のトランジスタ110aがオンすることで、第1の記憶保持部FN1の電位と浮動電位配線FNの電位は(概ね)等しくなる。容量素子112aの容量値は、容量素子118の容量値よりも大きくする。詳細は期間t5と同様に考えると、電位V0はVH/2より小さくVL以上となる。
トランジスタ116のソース及びドレインの他方はVHに保持された読み出し電源線136に電気的に接続されており、トランジスタ116がオンするので、トランジスタ114のゲート電位(浮動電位配線FNの電位)に応じた電位の信号が読み出しデータ線132に出力され、比較回路170の第1の入力端子に入力される。
なお、期間t7の前に読み出しデータ線132をVM以上VH以下の電位にプリチャージしておくとよい。
そして、ラッチ制御線144の電位をVHとすることで、ソース及びドレインの他方が読み出し電源線136に電気的に接続されたトランジスタ174がオンするので、トランジスタ172のゲート電位(参照信号線148の電位)に応じた電位の信号がトランジスタ172のソース及びドレインの一方に出力され、比較回路170の第2の入力端子に入力される。
一方で、ラッチ制御線144の電位をVHとすることで、比較回路170の電源端子に電気的に接続されたトランジスタ184もオンし、比較回路170が動作する。ここでは、第1の入力端子の電位の低下よりも第2の入力端子の電位の低下のほうが早いため、期間t5とは逆に、出力端子には電位VLの信号が出力される。
また、読み出し制御線142の電位をVHとするので、スイッチ166がオンし、第1の書き込みデータ線130の電位もVLとなる。
期間t9は、第1段のメモリセル102aのデータをリフレッシュする(第2のリフレッシュ)期間である。期間t9では、読み出し制御線142の電位はVHに保持し、第1の読み出し選択線126、読み出し選択線128及びラッチ制御線144の電位をVLとし、第1の書き込み選択線122をVHとする。これにより、スイッチ166はオンとしつつ、第2のトランジスタ110a、トランジスタ116、トランジスタ184及びトランジスタ174がオフする。
このとき、比較回路170の出力端子から出力される信号の電位、すなわち読み出しデータ線146の電位VLは、インバータ154とクロックドインバータ158によって構成されるラッチ回路によって上昇することなく保持されている。そして、読み出しデータ線146の電位VLはスイッチ166を介して書き込みデータ線130に入力されている。第1の書き込み選択線122をVHとすることで第1のトランジスタ108aがオンしているため、第2の記憶保持部FN2の電位は再びVLとなる。
以上説明したように、第1段のメモリセル102a及び第2段のメモリセル102bへのデータの書き込みと、第1段のメモリセル102a及び第2段のメモリセル102bからのデータの読み出しが可能である。
なお、本実施の形態では、多層メモリセル102が2段である場合について説明したが、本発明の一態様である記憶装置においては、多層メモリセル102の積層数については制限がない。
多層メモリセル102を更に多段にする場合には、第1のトランジスタのソース及びドレインの一方を書き込みデータ線130に電気的に接続し、第2のトランジスタのソース及びドレインの一方を浮動電位配線FNに電気的に接続し、第1のトランジスタのソース及びドレインの他方と、第2のトランジスタのソース及びドレインの他方は、容量素子の第1の電極に電気的に接続し、容量素子の第2の電極は容量素子電源線134に電気的に接続すればよい。
なお、書き込みデータ線130及び容量素子電源線134のように複数の層のすべてに接続される配線は、「接続電極」により形成すればよい。「接続電極」により形成することで、各メモリセルの素子から書き込みデータ線130及び容量素子電源線134までの距離を短くすることができるため、多数の層を積層して多層メモリセル102を構成する場合であっても、書き込みデータ線130及び容量素子電源線134における抵抗を抑制し、配線遅延を抑制することができる。
なお、「接続電極」により形成される配線は、書き込みデータ線130及び容量素子電源線134に限定されない。例えば、図3では第1の信号生成回路106aが各層のメモリセルに信号を供給しているが、第1の信号生成回路106aを設けることなく第2の信号生成回路106bにてすべての信号を生成する場合には、複数の層のすべてに接続される配線が更に必要になる。このような配線に「接続電極」を用いてもよい。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様である記憶装置の構成とその作製方法について説明する。
図7は、本発明の一態様である記憶装置の断面図を示す。図7中、A1−A2断面の切断線とB1−B2断面の切断線は直交している。
図7に示す記憶装置は、下部に第1の半導体材料を用いた第1のトランジスタ250を有し、上部に第2の半導体材料を用いた第2のトランジスタ252を複数有する。このような構成とすることで、第1のトランジスタ250と第2のトランジスタ252に要求される電気的特性に応じて、第1の半導体材料と第2の半導体材料を異なるものとすることができる。
第1のトランジスタ250は、実施の形態1のトランジスタ114及びトランジスタ116などの駆動回路104に設けられた各トランジスタに相当する。第2のトランジスタ252は、実施の形態1の第1のトランジスタ108a、第2のトランジスタ110a、第1のトランジスタ108b及び第2のトランジスタ110bに相当する。
第1の半導体材料と第2の半導体材料を異なるものとする場合には、例えば、第1の半導体材料を酸化物半導体以外の半導体材料とし、第2の半導体材料を酸化物半導体とする。酸化物半導体以外の半導体材料としては、例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素または有機半導体材料などを例示することができる。
第1のトランジスタ250は高速動作可能であり、第2のトランジスタ252におけるソースとドレインの間のリーク電流(第2のトランジスタ252がオフしているときのソースとドレインの間に流れる電流)は小さいことが好ましい。そのため、第1の半導体材料は単結晶半導体(例えば、単結晶シリコン)であることが好ましく、第2の半導体材料は酸化物半導体であることが好ましい。第2のトランジスタ252におけるソースとドレインの間のリーク電流が小さいと、第1の記憶保持部FN1及び第2の記憶保持部FN2における長時間の電荷保持が可能となり、メモリセルに長時間の記憶保持ができるからである。
図7の第1のトランジスタ250は、半導体基板270上に設けられた半導体層のチャネル形成領域214と、チャネル形成領域214を挟む第3の不純物領域212と、チャネル形成領域214上に設けられたゲート絶縁層202aと、ゲート絶縁層202a上にチャネル形成領域214と重畳して設けられたゲート電極208aと、を有する。ここで、第3の不純物領域212は、ソース領域及びドレイン領域を形成している。
なお、本明細書において、「ソース」には、ソース電極及びソース領域の少なくとも一方が含まれ、ソース電極及びソース領域の双方をまとめてソースと呼ぶこともある。また、本明細書において、「ドレイン」には、ドレイン電極及びドレイン領域の少なくとも一方が含まれ、ドレイン電極及びドレイン領域の双方をまとめてドレインと呼ぶこともある。
また、半導体基板270上に設けられた半導体層の第1の不純物領域206には、第1の導電層208bが接続されている。第1の導電層208bは、第1のトランジスタ250のソース電極またはドレイン電極として機能する。そして、第2の不純物領域210が、第1の不純物領域206と第3の不純物領域212の間に設けられている。
また、第1の絶縁層216、第2の絶縁層218及び第3の絶縁層220は、第1のトランジスタ250の一部を覆って設けられている。図7に示すように、第1のトランジスタ250がサイドウォール絶縁層を有しないため、この記憶装置は高集積化することができる。ただし、これに限定されず、第1のトランジスタ250がサイドウォール絶縁層を有していてもよい。第1のトランジスタ250がサイドウォール絶縁層を有する場合には、第3の不純物領域212とチャネル形成領域214の間に不純物元素の濃度が異なる領域を形成しやすく、所謂LDD(Lightly Doped Drain)領域を形成しやすい。
図7の第2のトランジスタ252は、第3の絶縁層220(または第5の絶縁層234)などの上に設けられた酸化物半導体層224と、酸化物半導体層224にそれぞれ電気的に接続されたソース電極222a及びドレイン電極222bと、ソース電極222a、ドレイン電極222b及び酸化物半導体層224上に設けられたゲート絶縁層226と、ゲート絶縁層226上に酸化物半導体層224と重畳して設けられたゲート電極228aと、を有する。なお、ソース電極222aがドレイン電極であってもよいし、ドレイン電極222bがソース電極であってもよい。
ここで、酸化物半導体層224は、水素濃度が低く、酸素濃度が十分に高いことが好ましい。具体的には、酸化物半導体層224の水素濃度(SIMS測定値)は5×1019atoms/cm3以下とするとよく、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。このように、水素が十分に除去され、酸素が十分に供給された酸化物半導体を「高純度化された酸化物半導体」と呼ぶ。
高純度化された酸化物半導体では、水素が十分に除去され、酸素が十分に供給されて、酸素欠損に起因するエネルギーギャップ中の欠陥準位の数が低減されている。高純度化された酸化物半導体層224では、キャリア濃度が1×1012/cm3未満とするとよく、好ましくは1×1011/cm3未満、より好ましくは1.45×1010/cm3未満とする。これは、一般的なシリコンウェハにおけるキャリア密度(1×1014/cm3程度)と比較して十分に小さい値であり、オフ電流を小さくすることができる。例えば、室温(25℃)、チャネル長3μmにおける単位チャネル幅(1μm)あたりのオフ電流は100zA(ゼプトアンペア)以下、好ましくは10zA以下となる。このような高純度化された酸化物半導体を用いることで、第2のトランジスタ252のオフ電流を極めて小さいものとすることができる。
なお、酸素濃度は、酸素が十分に供給されて酸素欠損に起因するエネルギーギャップ中の欠陥準位の数を低減し、キャリア濃度が前記範囲となる程度に調節すればよい。
なお、図7の第2のトランジスタ252には、島状に加工された酸化物半導体層224を用いているが、酸化物半導体層が島状であるため、隣り合う素子との間に生じるリーク電流を抑制することができる。ただし、これに限定されず、酸化物半導体層は島状でなくてもよい。酸化物半導体層が島状でない場合には、酸化物半導体層を加工する工程(例えば、エッチング工程)を経ないため、加工による酸化物半導体層の汚染を防止することができる。
図7における容量素子254は、ドレイン電極222bと、第2の導電層228bと、ドレイン電極222bと第2の導電層228bに挟持されたゲート絶縁層226と、により構成されている。このような構成とすることにより第2のトランジスタ252と同一の工程で形成することができ、さらには平面レイアウトを調節することで十分な容量を確保することができる。なお、本発明の一態様である記憶装置に容量素子が不要である場合には、容量素子254を設けなくてもよい。
本実施の形態では、第2のトランジスタ252及び容量素子254は、第1のトランジスタ250と少なくとも一部が重畳しているため、メモリセルの面積を小さくして高集積化することができる。例えば、最小加工寸法をFとすると、一のメモリセルの占有面積を15F2〜25F2にすることができる。
さらには、図7に示すように本発明の一態様である記憶装置では、第1段のメモリセル102a上に第2段のメモリセル102bが設けられており、メモリセルが2層であるため、一のメモリセルの占有面積をさらに半分にすることができる。第2段のメモリセル102bは、第1段のメモリセル102aと同様の構成を有する。
第2のトランジスタ252及び容量素子254の上には、第4の絶縁層230が設けられている。そして、ゲート絶縁層226及び第4の絶縁層230に形成された開口部には、電極232が設けられている。電極232は、積層された複数のメモリセルを互いに接続し、実施の形態1における書き込みデータ線130及び容量素子電源線134の少なくともいずれか一方に相当する。電極232は、ソース電極222aと第1の導電層208bを介して、第1の不純物領域206に接続されている。そのため、第1のトランジスタ250のソース領域またはドレイン領域と、第2のトランジスタ252のソース電極222aをそれぞれ異なる配線によって接続するよりも、配線の数を少なくすることができる。
さらには、電極232と第1の不純物領域206が重畳しているため、コンタクト領域が設けられることによる素子面積の増大を抑制し、記憶装置の集積度を向上させることができる。
なお、図7に示す記憶装置は、具体的な構成の一例を示すものであり、これに限定されない。
次に、図7に示す記憶装置に採用されているSOI基板の作製方法の一例について説明する。
まず、ベース基板としては半導体基板270を準備する(図8(A)参照)。半導体基板270としては、シリコン基板及びゲルマニウム基板を例示することができる。好ましくは、半導体基板270として、単結晶シリコン基板または単結晶ゲルマニウム基板などの単結晶半導体基板を用いる。なお、これに限定されず、半導体基板270としては、多結晶半導体基板または太陽電池級シリコン(SOG−Si:Solar Grade Silicon)基板などを用いてもよい。多結晶半導体基板または太陽電池級シリコン基板を用いる場合には、単結晶シリコン基板を用いるよりも、製造コストを抑制することができる。
なお、半導体基板270に代えて、ガラス基板、石英基板、セラミック基板またはサファイア基板を用いてもよい。ガラス基板としては、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスを例示することができる。セラミック基板としては、例えば、窒化シリコンと酸化アルミニウムを主成分とする熱膨張係数がシリコンに近いものを用いるとよい。
半導体基板270は、洗浄することが好ましい。洗浄に用いる薬液としては、塩酸過酸化水素水混合溶液(HPM)、硫酸過酸化水素水混合溶液(SPM)、アンモニア過酸化水素水混合溶液(APM)、希フッ酸(DHF)及びFPM(フッ酸、過酸化水素水、純水の混合液)を例示することができる。
次に、ボンド基板を準備する。ここでは、ボンド基板として単結晶半導体基板280を用いる(図8(B)参照)。なお、ボンド基板の結晶性は単結晶に限られるものではない。
単結晶半導体基板280としては、単結晶シリコン基板、単結晶ゲルマニウム基板または単結晶シリコンゲルマニウム基板などの第14族元素でなる単結晶半導体基板を例示することができる。なお、ガリウムヒ素またはインジウムリンなどの化合物半導体基板を用いてもよい。単結晶半導体基板280は、円形であってもよいし、矩形状に加工されたものであってもよい。
そして、単結晶半導体基板280の表面に酸化物層282を形成する(図8(C)参照)。酸化物層282の形成前には、前記薬液を用いて単結晶半導体基板280の表面を洗浄することが好ましい。ここで、希フッ酸とオゾン水を交互に吐出して洗浄する方法を採用すると、洗浄に用いる前記薬液の使用量を抑制することができ、好ましい。
酸化物層282は、例えば、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンなどにより、単層でまたは複数の層を積層して形成することができる。酸化物層282は、熱酸化法、CVD法またはスパッタリング法などにより形成すればよい。CVD法を用いる場合には、テトラエトキシシラン(略称;TEOS:化学式Si(OC2H5)4)などの有機シランにより酸化シリコン層を形成することが好ましい。ここでは、単結晶半導体基板280に熱酸化処理を行うことで、酸化シリコンにより酸化物層282を形成する方法を採用する。
熱酸化処理では、酸化性ガス雰囲気中にハロゲンを含ませて加熱を行うと、酸化物層282にハロゲンを含ませることができる。例えば、酸化物層282に塩素を含ませると、重金属(例えば、Fe、Cr、Ni、Moなど)を捕集して塩化物としてこれらを除去することが容易になる。そのため、単結晶半導体基板280の汚染を抑制することができる。
なお、酸化物層282に含ませるハロゲンはフッ素でもよい。酸化物層282にフッ素を含ませるには、例えば、単結晶半導体基板280をフッ酸に浸漬させた後に酸化性ガス雰囲気中で熱酸化処理を行えばよい。または、NF3を酸化性ガス雰囲気に含ませて熱酸化処理を行ってもよい。
次に、イオンを電界で加速して単結晶半導体基板280に照射することで、単結晶半導体基板280の所定の深さの部分の結晶構造を破壊して脆化領域284を形成する(図8(D)参照)。
形成される脆化領域284の深さは、イオンの入射速度、イオンの質量、電荷及びイオンの入射角などによって調節することができる。脆化領域284は、イオンの平均侵入深さとほぼ同じ深さに形成される。脆化領域284の深さを調節することで、単結晶半導体基板280から分離して形成される単結晶半導体層の厚さを調節することができる。この単結晶半導体層の厚さは、10nm以上500nm以下、好ましくは50nm以上200nm以下とするとよい。
イオンの照射は、イオンドーピング装置またはイオン注入装置を用いて行えばよい。ここでは、イオンドーピング装置を用いて、水素イオンを単結晶半導体基板280に照射する例について説明する。ソースガスとしては水素を含むガスを用いる。照射するイオンは、H3 +の比率を高くするとよく、具体的には、H+、H2 +、H3 +の総量に対してH3 +の割合が50%以上(より好ましくは80%以上)となるように調節するとよい。H3 +の割合を高めることで、イオンの照射効率を高くすることができる。
なお、添加するイオンは水素に限定されず、ヘリウムなどを用いてもよい。また、添加するイオンは一種類でなく、複数種類であってもよい。例えば、イオンドーピング装置を用いて水素とヘリウムを同時に照射する場合には、異なる工程で照射する場合よりも工程数を少なくすることができ、さらには単結晶半導体層の表面荒れを抑制することができる。
なお、イオンドーピング装置を用いて脆化領域284を形成する場合には、チャンバー壁の重金属も同時に添加されるおそれがある。そこで、前記したハロゲンを含む酸化物層282を形成し、これを介してイオンを照射することで、単結晶半導体基板280の汚染を抑制することができる。
次に、半導体基板270と単結晶半導体基板280を対向させ、酸化物層282を介して密着させて貼り合わせる(図8(E)参照)。半導体基板270の表面にも酸化物層または窒化物層が設けられていてもよい。
貼り合わせの際には、半導体基板270または単結晶半導体基板280の一箇所に、0.001N/cm2以上100N/cm2以下、好ましくは1N/cm2以上20N/cm2以下の圧力を加えるとよい。このような範囲の圧力を加えつつ貼り合わせ面を密着させると、密着した部分を始点として自発的な接合がほぼ全面におよぶ。この接合は、ファンデルワールス力及び水素結合によるものであり、加熱せずして常温(概ね5℃〜35℃)で行うことができる。
なお、単結晶半導体基板280と半導体基板270を貼り合わせる前には、貼り合わせ面にウェット処理、ドライ処理またはこれらを組み合わせた表面処理を行ってもよい。
なお、単結晶半導体基板280と半導体基板270を貼り合わせた後に熱処理を行ってもよい。この熱処理の温度は、脆化領域284における分離が生じない温度(例えば、常温(概ね5℃〜35℃)以上400℃未満)とする。また、この温度範囲で加熱しつつ、半導体基板270と酸化物層282を接合してもよい。熱処理に用いる装置は特に限定されない。
次に、熱処理を行うことにより、単結晶半導体基板280を脆化領域284(図8(E)参照)において分離し、半導体基板270上に酸化物層282を介して設けられた単結晶半導体層286を形成する(図8(F)参照)。なお、ここで、前記熱処理の温度は、例えば、300℃以上600℃以下とすればよく、好ましくは400℃以上500℃以下とする。表面荒れを抑制することができるためである。
また、単結晶半導体基板280を分離した後に500℃以上の温度で熱処理を行うと、単結晶半導体層286中に残存する水素の濃度を低減することができるため好ましい。
次に、単結晶半導体層286の表面にレーザー光を照射することで、該表面の平坦性を向上させつつ欠陥を少なくして単結晶半導体層288を形成する(図8(G)参照)。なお、レーザー光の照射処理に代えて、熱処理を行ってもよい。または、レーザー光を照射する前にエッチング処理を行うことで単結晶半導体層286表面の欠陥が多い領域を除去してもよい。または、レーザー光を照射した後に単結晶半導体層286を薄くするよう加工(例えば、エッチング処理)を行ってもよい。
以上説明したように、図7に示す記憶装置に採用されているSOI基板を得ることができる(図8(G)参照)。
次に、図7に示す記憶装置の作製方法について説明する。まず、第1のトランジスタ250の作製方法について説明する。
まず、単結晶半導体層288を島状に加工して半導体層200を形成する(図9(A)参照)。なお、この工程の前後に、トランジスタのしきい値電圧を制御するために、半導体層200に導電性を付与する不純物元素を添加してもよい。半導体層200の材料がシリコンの場合には、n型の導電性を付与する不純物元素としては、例えばリン及びヒ素などを例示することができ、p型の導電性を付与する不純物元素としては、例えば、ホウ素、アルミニウム及びガリウムなどを例示することができる。
次に、半導体層200を覆って第1の絶縁層202を形成する(図9(B)参照)。第1の絶縁層202は、後にゲート絶縁層となるものである。第1の絶縁層202は、例えば、半導体層200表面の熱処理(熱酸化処理や熱窒化処理など)によって形成することができる。または、熱処理に代えて、高密度プラズマ処理を行ってもよい。高密度プラズマ処理は、例えば、He、Ar、Kr、Xeなどの希ガス、酸素ガス、酸化窒素ガス、アンモニアガス、窒素ガスまたは水素ガスなどを用いて行うことができ、これらの混合ガスを用いてもよい。または、CVD法またはスパッタリング法などを用いて絶縁層を形成してもよい。第1の絶縁層202は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素を含むハフニウムシリケートまたは窒素を含むハフニウムアルミネート(HfAlxOy(x>0、y>0))などにより、単層または複数の層を積層して形成することが好ましい。第1の絶縁層202の厚さは、例えば、1nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上50nm以下とすればよい。ここでは、プラズマCVD法を用いて、酸化シリコンを含む絶縁層を単層で形成する。
次に、第1の絶縁層202上にマスク204を形成し、導電性を付与する不純物元素を半導体層200に添加して第1の不純物領域206を形成する(図9(C)参照)。その後、マスク204を除去する。
次に、第1の絶縁層202上にマスク(図示しない)を形成し、第1の絶縁層202が第1の不純物領域206と重畳する部分の一部を除去するように加工することで、ゲート絶縁層202aを形成する(図9(D)参照)。第1の絶縁層202の加工はエッチング処理により行えばよい。
次に、ゲート絶縁層202a上に導電層を形成した後にマスクを用いてこれを加工し、ゲート電極208a及び第1の導電層208bを形成する(図9(E)参照)。ここで、この導電層の材料及び形成方法は限定されない。この導電層の材料としては、アルミニウム、銅、チタン、タンタル及びタングステンなどの金属材料、並びに導電性を付与する不純物元素が添加された多結晶シリコンなどを例示することができる。この導電層の形成方法としては、蒸着法、CVD法、スパッタリング法及びスピンコート法などを例示することができる。また、この導電層は、単層であってもよいし、複数の層の積層であってもよい。
次に、ゲート電極208a及び第1の導電層208bをマスクとして、一導電型を付与する不純物元素を半導体層に添加して、チャネル形成領域214、第2の不純物領域210及び第3の不純物領域212を形成する(図10(A)参照)。ここでは、p型トランジスタを形成するために、ホウ素またはアルミニウムなどを添加するとよい。不純物元素を半導体層に添加した後、活性化のための熱処理を行う。不純物領域のうち、添加された不純物元素の濃度は第2の不純物領域210が最も高く、第1の不純物領域206が最も低い。
次に、ゲート絶縁層202a、ゲート電極208a、第1の導電層208bを覆って第1の絶縁層216、第2の絶縁層218及び第3の絶縁層220を形成する(図10(B)参照)。
第1の絶縁層216、第2の絶縁層218及び第3の絶縁層220は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコンまたは酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料により形成することができる。または、第1の絶縁層216、第2の絶縁層218及び第3の絶縁層220は、ポリイミドまたはアクリルなどの有機絶縁材料により形成してもよい。なお、第1の絶縁層216、第2の絶縁層218及び第3の絶縁層220に誘電率の低い(low−k)材料を用いると、複数の電極や配線の間に生じる寄生容量を低減することができるため好ましい。なお、第1の絶縁層216、第2の絶縁層218及び第3の絶縁層220は、列挙した前記材料により多孔性の絶縁層としてもよい。多孔性の絶縁層は誘電率が低く、複数の電極や配線の間に生じる寄生容量をさらに低減することができるため好ましい。ここでは、第1の絶縁層216を酸化窒化シリコンにより形成し、第2の絶縁層218を窒化酸化シリコンにより形成し、第3の絶縁層220を酸化シリコンにより形成する場合について説明する。なお、第1の絶縁層216、第2の絶縁層218及び第3の絶縁層220は、単層で形成してもよいし、複数の層を積層して形成してもよい。なお、第1の絶縁層216、第2の絶縁層218及び第3の絶縁層220として単層の絶縁層を形成してもよい。
次に、第2の絶縁層218及び第3の絶縁層220にCMP処理またはエッチング処理を行う(図10(C)参照)。ここでは、少なくとも第2の絶縁層218の一部が露出されるまでCMP処理を行う。第2の絶縁層218を窒化酸化シリコンにより形成し、第3の絶縁層220を酸化シリコンにより形成した場合には、第2の絶縁層218はエッチングストッパとして機能する。
次に、第1の絶縁層216、第2の絶縁層218及び第3の絶縁層220にCMP処理またはエッチング処理を行うことで、ゲート電極208a及び第1の導電層208bの上面を露出させる(図10(D)参照)。ここでは、ゲート電極208a及び第1の導電層208bの一部が露出されるまでエッチング処理を行う。このエッチング処理は、ドライエッチングを用いることが好ましいが、ウェットエッチングを用いてもよい。ゲート電極208a及び第1の導電層208bの上面を露出させるに際して、第1の絶縁層216、第2の絶縁層218及び第3の絶縁層220の表面は可能な限り平坦にしておくことが好ましい。第2のトランジスタ252の被形成面となるからである。
以上説明したように、第1のトランジスタ250を形成することができる(図10(D)参照)。
次に、第1段のメモリセル102aにおける第2のトランジスタ252の作製方法について説明する。
まず、ゲート電極208a、第1の導電層208b、第1の絶縁層216、第2の絶縁層218及び第3の絶縁層220などの上に酸化物半導体層を形成し、この酸化物半導体層を加工して、酸化物半導体層224を形成する(図11(A)参照)。なお、酸化物半導体層を形成する前に、第1の絶縁層216、第2の絶縁層218及び第3の絶縁層220の上に、下地として機能する絶縁層を形成してもよい。この絶縁層の材料及び形成方法は特に限定されないが、一例として、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンなどにより、スパッタリング法またはCVD法などを用いて形成すればよい。なお、後に説明するように、下地として機能する絶縁層では、酸素が化学量論的組成より多い状態とすることが好ましい。
酸化物半導体層224に用いる材料としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物などを列挙することができる。
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、In、Ga及びZnを有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、In、Ga及びZn以外の金属元素が含まれていてもよい。
酸化物半導体層は、水素、水、水酸基または水素化物などが混入しにくい方法で形成することが好ましい。例えば、スパッタリング法などを用いて形成すればよい。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)若しくはIn:Ga:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)の原子比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。または、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)若しくはIn:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原子比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。ただし、これに限定されるものではない。
スパッタリング法は、希ガス雰囲気、酸素ガス雰囲気または希ガスと酸素ガスの混合ガス雰囲気中などで行えばよい。また、酸化物半導体層への水素、水、水酸基または水素化物などの混入を防ぐために、これらが十分に除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
また、酸化物半導体層224の厚さは、3nm以上30nm以下とすることが好ましい。酸化物半導体層224を厚くしすぎると(例えば、厚さ50nm以上とすると)、トランジスタがノーマリーオンとなってしまうおそれがあるからである。
酸化物半導体層の具体的な形成方法の一例について説明する。
まず、処理室内に基板を導入して加熱する。このときの基板温度は、200℃より高く500℃以下、好ましくは300℃より高く500℃以下、より好ましくは350℃以上450℃以下とする。
なお、酸化物半導体層をスパッタリング法により形成する前に、アルゴンガスを処理室内に導入してプラズマを発生させる逆スパッタを行って、酸化物半導体層の被形成面に付着している粉状物質などを除去することが好ましい。なお、アルゴンガスに代えて、窒素ガス、ヘリウムガス、酸素ガスなどを用いてもよい。
なお、酸化物半導体層の加工前、酸化物半導体層の加工後(第1の熱処理)またはゲート絶縁層226の形成後に、熱処理を行うことが好ましい。この熱処理は不活性ガス雰囲気中で行い、不活性ガスの温度は250℃以上700℃以下、好ましくは450℃以上600℃以下とする。また、基板の温度は基板の歪み点未満となるようにする。これらの熱処理は、一度のみ行ってもよいし、複数回行ってもよい。これらの熱処理は、酸化物半導体層に脱水化及び脱水素化を行うものであるが、これらの熱処理により、酸化物半導体層224中の結晶構造を整え、エネルギーギャップ中の欠陥準位の数を低減することができる。
酸化物半導体層は、例えば非単結晶を有してもよい。非単結晶は、例えば、CAAC(C Axis Aligned Crystal)、多結晶、微結晶、非晶質部を有する。非晶質部は、微結晶、CAACよりも欠陥準位密度が高い。また、微結晶は、CAACよりも欠陥準位密度が高い。なお、CAACを有する酸化物半導体を、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)と呼ぶ。
酸化物半導体層は、例えばCAAC−OSを有してもよい。CAAC−OSは、例えば、c軸配向し、a軸または/およびb軸はマクロに揃っていない。
酸化物半導体層は、例えば微結晶を有してもよい。なお、微結晶を有する酸化物半導体を、微結晶酸化物半導体と呼ぶ。微結晶酸化物半導体層は、例えば、1nm以上10nm未満のサイズの微結晶(ナノ結晶ともいう。)を膜中に含む。または、微結晶酸化物半導体層は、例えば、1nm以上10nm未満の結晶部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体を有している。
酸化物半導体層は、例えば非晶質部を有してもよい。なお、非晶質部を有する酸化物半導体を、非晶質酸化物半導体と呼ぶ。非晶質酸化物半導体層は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質酸化物半導体層は、例えば、完全な非晶質であり、結晶部を有さない。
なお、酸化物半導体層が、CAAC−OS、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体の混合膜であってもよい。混合膜は、例えば、非晶質酸化物半導体の領域と、微結晶酸化物半導体の領域と、CAAC−OSの領域と、を有する。また、混合膜は、例えば、非晶質酸化物半導体の領域と、微結晶酸化物半導体の領域と、CAAC−OSの領域と、の積層構造を有してもよい。
なお、酸化物半導体層は、例えば、単結晶を有してもよい。
酸化物半導体層は、複数の結晶部を有し、当該結晶部のc軸が被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃っていることが好ましい。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。そのような酸化物半導体層の一例としては、CAAC−OS膜がある。
CAAC−OS膜は、完全な非晶質ではない。CAAC−OS膜は、例えば、結晶部および非晶質部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体を有している。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部との境界、結晶部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には明確な粒界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、例えば、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃い、かつab面に垂直な方向から見て金属原子が三角形状または六角形状に配列し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、80°以上100°以下、好ましくは85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−10°以上10°以下、好ましくは−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体層の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。また、結晶部は、成膜したとき、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行ったときに形成される。従って、結晶部のc軸は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃う。
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
次に、酸化物半導体層224などの上に導電層を形成し、この導電層を加工して、ソース電極222a及びドレイン電極222bを形成する(図11(B)参照)。ここで、この導電層の材料及び形成方法は限定されない。この導電層の材料としては、アルミニウム、銅、チタン、タンタル及びタングステンなどの金属材料、並びに導電性を付与する不純物元素が添加された多結晶シリコンなどを例示することができる。この導電層の形成方法としては、蒸着法、CVD法、スパッタリング法及びスピンコート法などを例示することができる。また、この導電層は、単層であってもよいし、複数の層の積層であってもよい。なお、この導電層の加工は、形成されるソース電極222a及びドレイン電極222bの端部が、テーパー形状となるように行うことが好ましい。
第2のトランジスタ252のチャネル長は、ソース電極222aの下端部と、ドレイン電極222bの下端部の間隔によって決まる。チャネル長が短く、例えば25nm未満である場合には、加工に用いるマスクは、波長の短い超紫外光(Extreme Ultraviolet)によって露光を行うことが好ましい。チャネル長を短くすることで素子の微細化がしやすく、素子の占有面積を小さくすることができる。
なお、図示していないが、酸化物半導体層224と、ソース電極222a及びドレイン電極222bの間に、ソース領域またはドレイン領域として機能する酸化物導電層が設けられていてもよい。この酸化物導電層の材料は、酸化亜鉛を主成分として含み、酸化インジウムを主成分として含まないことが好ましい。この酸化物導電層の材料としては、酸化亜鉛、酸化亜鉛アルミニウム、酸窒化亜鉛アルミニウム及び酸化亜鉛ガリウムなどを例示することができる。
なお、「主成分」とは、組成で5atomic%以上含まれるものをいう。
酸化物導電層は、酸化物半導体層と積層して設けられた酸化物導電層を加工することにより形成してもよいし、ソース電極及びドレイン電極となる導電層と積層して設けられた導電層を加工することにより形成してもよい。
酸化物半導体層とソース電極及びドレイン電極の間に酸化物導電層が設けられると、ソース電極とドレイン電極の間を低抵抗化し、第2のトランジスタ252をさらに高速動作させることができる。また、第2のトランジスタ252の絶縁耐圧を向上させることもできる。駆動回路などの周辺回路の周波数特性を向上させることもできる。
次に、ソース電極222a及びドレイン電極222bを覆って、酸化物半導体層224の一部と接するように、ゲート絶縁層226を形成する(図11(C)参照)。
ゲート絶縁層226は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素を含むハフニウムシリケート。または窒素を含むハフニウムアルミネート(HfAlxOy(x>0、y>0))などにより、単層または複数の層を積層して形成することが好ましい。または、酸化ガリウムにより形成してもよい。ゲート絶縁層226が酸化シリコンにより形成されている場合には、ゲート絶縁層226の厚さは、1nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上50nm以下とすることが好ましい。ゲート絶縁層226は、CVD法またはスパッタリング法などを用いて形成すればよい。ただし、これらに限定されるものではない。
ゲート絶縁層226は、前記範囲で薄くすることが好ましいが、ゲート絶縁層226を薄くすると、トンネル効果などに起因するゲートリークが問題となる。そのため、ゲート絶縁層226の材料には、高誘電率(high−k)材料を用いることが好ましい。高誘電率材料としては、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート及び窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOy(x>0、y>0))などが挙げられる。なお、ゲート絶縁層226は、high−k材料を含む層と、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコンまたは酸化アルミニウムなどの層との積層であってもよい。
ゲート絶縁層226は、第13族元素を含む絶縁性材料により形成してもよい。ゲート絶縁層226が第13族元素を含む絶縁性材料により形成されると、酸化物半導体層224とゲート絶縁層226の界面準位の発生などを抑え、界面特性を良好なものとすることができる。
また、ゲート絶縁層226は、その表面のみならず、内部においても酸素が化学量論的組成より多い状態とすることが好ましい。酸素の導入は、酸素ガス雰囲気で行う熱処理または酸素ドープにより行えばよい。酸素ドープは、イオン注入法またはイオンドーピング法を用いて行えばよい。
このような化学量論的組成より酸素が多い絶縁層は、酸化物半導体層224の下地として形成する絶縁層にも適用するとよい。
なお、ゲート絶縁層226において、酸素が化学量論的組成より多い場合には、ゲート絶縁層226の形成後に熱処理を行うことが特に好ましい。第2の熱処理の温度は、200℃以上450℃以下、好ましくは250℃以上350℃以下である。このような温度で熱処理を行うことでゲート絶縁層226に含まれる酸素が酸化物半導体層に十分に供給され、酸素欠損に起因するエネルギーギャップ中の欠陥準位の数を低減することができる。
次に、ゲート電極を形成するための導電層を形成し、この導電層を加工して、ゲート電極228a及び第2の導電層228bを形成する(図11(D)参照)。ここで、この導電層の材料及び形成方法は限定されない。この導電層の材料としては、アルミニウム、銅、チタン、タンタル及びタングステンなどの金属材料、並びに導電性を付与する不純物元素が添加された多結晶シリコンなどを例示することができる。この導電層の形成方法としては、蒸着法、CVD法、スパッタリング法及びスピンコート法などを例示することができる。また、この導電層は、単層であってもよいし、複数の層の積層であってもよい。
次に、ゲート絶縁層226、ゲート電極228a及び第2の導電層228b上に、第4の絶縁層230を形成する(図12(A)参照)。第4の絶縁層230の材料としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化ガリウム及び酸化アルミニウムなどを例示することができる。
なお、第4の絶縁層230には、誘電率の低い材料や、誘電率の低い多孔性の構造(構造など)を用いるとよい。第4の絶縁層230の誘電率を低くすると、複数の電極や配線の間に生じる寄生容量を抑制し、記憶装置の動作の高速化を図ることができるからである。なお、本実施の形態では、第4の絶縁層230は単層構造としているがこれに限定されず、第4の絶縁層230は複数の層が積層されていてもよい。また、第4の絶縁層230は、PVD法またはCVD法などを用いて形成すればよい。
次に、第4の絶縁層230上に第5の絶縁層234を形成し、第5の絶縁層234にCMP処理またはエッチング処理を行う(図12(B)参照)。このようにして、第1段のメモリセル102aを形成することができる。そして、第4の絶縁層230上に第2段のメモリセル102bを形成する。第2段のメモリセル102bは、上記説明した第1段のメモリセル102aと同様に形成すればよい。
以上のようにして形成した第1段のメモリセル102a及び第2段のメモリセル102bに、ソース電極222aに達する開口部をエッチングなどにより形成し、この開口部に電極232を形成する。電極232は、積層された複数のメモリセルを互いに接続し、実施の形態1における書き込みデータ線130及び容量素子電源線134の少なくともいずれか一方に相当する(図12(C)参照)。
電極232の材料としては、アルミニウム、銅、チタン、タンタル及びタングステンなどの金属材料、並びに導電性を付与する不純物元素が添加された多結晶シリコンなどを例示することができる。電極232の形成方法としては、蒸着法、CVD法、スパッタリング法及びスピンコート法などを例示することができる。また、この導電層は、単層であってもよいし、複数の層の積層であってもよい。
電極232の形成方法として、好ましくは、第4の絶縁層230の開口部を含む領域にPVD法を用いて約5nmのチタン層を形成し、開口部を埋め込むアルミニウム層を形成する。チタン層により被形成面の自然酸化膜などを還元し、ソース電極222aと電極232の接触抵抗を低減させ、アルミニウム層のヒロックを防止することができる。
また、電極232が設けられる開口部は、第1の導電層208bと重畳する位置に設けられることが好ましい。コンタクト領域に起因する素子面積の増大を抑制し、記憶装置の集積度を向上させることができるからである。
以上説明したように、図7に示す記憶装置を作製することができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の一態様である電子機器について説明する。本発明の一態様である電子機器には、実施の形態1及び実施の形態2で説明した記憶装置を搭載させる。本発明の一態様である電子機器として、例えば、コンピュータ、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯情報端末(携帯型ゲーム機、音響再生装置なども含む)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、電子ペーパー、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)などが挙げられる。例えば、このような電子機器の記憶部に実施の形態1及び実施の形態2で説明した記憶装置を設ければよい。
図13(A)は、ノート型のパーソナルコンピュータであり、筐体301、筐体302、表示部303、キーボード304などによって構成されている。筐体301と筐体302内には、実施の形態1及び実施の形態2で説明した記憶装置が設けられている。
図13(B)は、携帯情報端末(PDA)であり、本体311には、表示部313、外部インターフェイス315、操作ボタン314などが設けられている。更には、携帯情報端末を操作するスタイラス312などを備えている。本体311内には、実施の形態1及び実施の形態2で説明した記憶装置が設けられている。
図13(C)は、電子ペーパーを実装した電子書籍320であり、筐体321と筐体323の2つの筐体で構成されている。筐体321及び筐体323には、それぞれ表示部325及び表示部327が設けられている。筐体321と筐体323は、軸部337により接続されており、軸部337を軸として開閉動作を行うことができる。そして、筐体321は、電源331、操作キー333、スピーカー335などを備えている。筐体321及び筐体323の少なくともいずれかには、実施の形態1及び実施の形態2で説明した記憶装置が設けられている。
図13(D)は、携帯電話機であり、筐体340と筐体341の2つの筐体で構成されている。さらに、筐体340と筐体341は、スライドし、図13(D)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に適した小型化が可能である。そして、筐体341は、表示パネル342、スピーカー343、マイクロフォン344、ポインティングデバイス346、カメラ用レンズ347、外部接続端子348などを備えている。そして、筐体340は、携帯電話機の充電を行う太陽電池セル349、外部メモリスロット350などを備えている。なお、アンテナは、筐体341に内蔵されている。筐体340と筐体341の少なくともいずれかには、実施の形態1及び実施の形態2で説明した記憶装置が設けられている。
図13(E)は、デジタルカメラであり、本体361、表示部367、接眼部363、操作スイッチ364、表示部365、バッテリー366などによって構成されている。本体361内には、実施の形態1及び実施の形態2で説明した記憶装置が設けられている。
図13(F)は、テレビジョン装置370であり、筐体371、表示部373、スタンド375などで構成されている。テレビジョン装置370の操作は、筐体371が備えるスイッチや、リモコン操作機380により行うことができる。筐体371及びリモコン操作機380には、実施の形態1及び実施の形態2で説明した記憶装置が設けられている。