JP2013167779A - 画像投射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】位相差板の敏感度を低減して高いコントラストの投射画像を得る。
【解決手段】画像投射装置は、第1の偏光を透過し、第2の偏光を反射する偏光分離面9a1を有する偏光分離素子9aと、光変調素子11gからの光を投射する投射光学系20とを有する。偏光分離素子と光変調素子との間に、第1の位相差板12gおよび第2の位相差板13gが、偏光分離素子側からこの順で配置されている。第1の位相差板の光学軸は、xz面に対して平行で、かつz方向に対して傾き、第2の位相差板の光学軸は、xy面に対して平行である。該装置は、第1および第2の位相差板のうち少なくとも一方の位相差板を、y方向に延びる回動中心軸の回りで回動させる回動機構30を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、液晶プロジェクタ等の画像投射装置に関し、特に反射型の光変調素子を用いた画像投射装置に関する。
上記のような画像投射装置は、一般に、光源からの白色の無偏光光を偏光変換素子により所定の偏光方向を有する偏光光に変換し、この偏光光が以下の色分解合成光学系に導かれる。色分解合成光学系は、偏光変換素子からの偏光光を、ダイクロイックミラーによって緑色光と赤色および青色光とに分離する。また、赤色および青色光のうち一方の色光の偏光方向を色選択性位相板によって90°回転させる。こうして、偏光方向が制御された3つの色光を、偏光ビームスプリッタや位相差板を介してそれぞれの色に対応した反射型光変調素子に照明光として導く。反射型光変調素子は、入射した照明光を、装置に入力された映像信号に応じて変調するとともに反射する。反射型光変調素子により反射された光(以下、画像光という)は、色分解合成光学系における上記偏光ビームスプリッタやダイクロイックプリズム等により合成され、投射光学系によりスクリーンに投影される。
このように構成される画像投射装置においては、反射型光変調素子が黒表示状態であるにもかかわらず、投射光学系側に光が漏れることによって投射画像のコントラストが低下するという問題がある。すなわち、画像投射装置を構成する素子のうち偏光ビームスプリッタや位相差板等の偏光素子の偏光特性は、入射角度依存性を有する。このため、これらの偏光素子を透過したり反射したりする偏光の特性も入射角度に依存して変化する。つまり、入射角度に応じて位相ずれ(偏光の乱れ)が生じるため、偏光ビームスプリッタで全ての入射角度の偏光を一様な偏光状態で分離することができず、一部の光は漏れ光となる。
このような漏れ光を低減するために、特許文献1にて開示されているように、位相補償板が光変調素子の近傍に配置される場合がある。位相補償板は、光変調素子や偏光素子にて偏光に発生した位相ずれを補償して、目標とする偏光状態を得るためのものであり、これにより漏れ光を低減することができる。上述した色分離合成光学系においては、反射型光変調素子と偏光ビームスプリッタとの間に、光学軸が傾いた位相補償板(位相差板)を配置することで、高い位相補償効果が得られる。また、特許文献1,2にて開示されているように、位相差板の光学軸の傾き(軸角度)を調整する機構を設けてより精密な位相補償を行うことも可能である。
特開2005−017502号公報 特開2011−033762号公報
特許文献1にて開示された画像投射装置は、偏光素子への光の入射方向に対して直交する面内で位相差板を回動させる機構を有する。これによれば、光変調素子に用いられる液晶パネルの液晶分子特性に由来する偏光状態の変動を補正することはできる。しかしながら、このような回動機構では、位相差板の敏感度を低減させることはできない。
また、特許文献2にて開示された画像投射装置では、位相差板の軸角度を調整することで高い位相補償効果が期待できる。しかしながら、位相差板の厚みや軸角度に敏感であるために、製造誤差や配置誤差によっては投射画像のコントラストが目標から大きく変化してしまう可能性がある。
本発明は、投射画像に悪影響を与えずに位相差板(位相補償板)の敏感度を低減することで、高いコントラストの投射画像が得られるようにした画像投射装置を提供する。
本発明の一側面としての画像投射装置は、光源からの光のうち第1の偏光を透過し、該第1の偏光とは偏光方向が直交する第2の偏光を反射する偏光分離面を有する偏光分離素子と、入射した光を変調する光変調素子と、該光変調素子からの光を被投射面に投射する投射光学系とを有する。偏光分離素子と光変調素子との間に、それぞれ第1の偏光に対して第1の屈折率を有するとともに第2の偏光に対して該第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する位相差板であって、互いに異なる第1の屈折率および互いに異なる第2の屈折率を有する第1の位相差板および第2の位相差板が、偏光分離素子側からこの順で配置されている。偏光分離素子における光変調素子側の面の法線方向をz方向とし、偏光分離面の法線方向およびz方向に対して直交する方向をy方向とし、y方向およびz方向に直交する方向をx方向とし、xおよびz方向に平行な面をxz面とし、xおよびy方向に平行な面をxy面とし、第1の位相差板および第2の位相差板のそれぞれの光学軸を第1の光学軸および第2の光学軸とするとき、第1の光学軸は、xz面に対して平行で、かつz方向に対して傾き、第2の光学軸は、xy面に対して平行である。そして、該装置は、第1および第2の位相差板のうち少なくとも一方の位相差板を、y方向に延びる回動中心軸の回りで回動させる回動機構を有することを特徴とする。
本発明によれば、投射画像に悪影響を与えることなく位相差板の敏感度を効果的に低減でき、安定的に高いコントラストの投射画像を投射することができる。
本発明の実施例1である画像投射装置の全体の光学構成を示す図。 実施例1の画像投射装置における一部の光学構成を示す図。 実施例1の画像投射装置に用いられる偏光ビームスプリッタの偏光分離特性を示す図。 実施例1の画像投射装置に用いられる位相差板の軸角度と厚みに対するコントラスト変化を示す図。 実施例1の画像投射装置に用いられる位相差板の軸角度と厚みに対するコントラスト変化を示す図。 実施例1の画像投射装置に用いられる位相差板の軸角度と厚みに対するコントラスト変化を示す図。 本発明の実施例2である画像投射装置の一部の光学構成を示す図。 実施例2の画像投射装置に用いられる位相差板の軸角度と厚みに対するコントラスト変化を示す図。 本発明の実施例3である画像投射装置の一部の光学構成を示す図。 実施例3の画像投射装置に用いられる位相差板の軸角度と厚みに対するコントラスト変化を示す図。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の代表的な実施例としての反射型液晶プロジェクタ(画像投射装置)100の光学系全体の構成を示している。
1は光源としての放電ランプが用いられる。2は放電ランプ1から発せられてリフレクタ1aで反射された白色無偏光光であり、複数(3つ)の色光である緑色光2g、青色光2bおよび赤色光2rを含む。なお、図中では、緑色光2g、青色光2bおよび赤色光2rが空間的に分離しているように示されているが、実際には分離していない。以下の説明において、緑色光をG光と記し、青色光をB光と記し、赤色光をR光と記す。
3は偏光変換素子であり、G光2g、B光2bおよびR光2rのすべてを、所定の同一の偏光方向を有するG偏光4g、B偏光4bおよびR偏光4rに変換する。本実施例では、G偏光4g、B偏光4bおよびR偏光4rは、後述するダイクロイックミラーに対してP偏光となるように変換される。
5はダイクロイックミラーであり、G偏光4gを反射して、B偏光4bおよびR偏光4rを透過する。ダイクロイックミラー5で反射したG偏光(P偏光)4gは、第1の偏光ビームスプリッタ9aの偏光分離面9a1を透過する。そして、該G偏光4gは、第1の位相差板12gおよび第2の位相差板13gを透過して、G照明光としてG用液晶パネル11gに入射する。なお、偏光ビームスプリッタは偏光分離素子に相当し、液晶パネルは光変調素子または画像形成素子に相当し、本実施例では反射型液晶パネルを用いている。
ダイクロイックミラー5を透過したB偏光4bおよびR偏光4rは、偏光板6を透過して偏光度が向上された後に波長選択性位相差板7に入射する。波長選択性位相差板7は、B偏光の偏光方向のみを90°回転させる特性を有する。このため、B偏光4bはその偏光方向が90°回転されてS偏光として、R偏光4rはその偏光方向が回転されることなくP偏光のまま第2の偏光ビームスプリッタ9bに入射する。B偏光4bは、第2の偏光ビームスプリッタ9bの偏光分離面9b1で反射して第1の位相差板12bおよび第2の位相差板13bを透過し、B照明光としてB用液晶パネル11bに入射する。一方、R偏光4rは、偏光分離面9b1を透過して第1の位相差板12rおよび第2の位相差板13rを透過し、R照明光としてR用の液晶パネル11rに入射する。
G用、B用およびR用液晶パネル11g,11b,11rはそれぞれ、プロジェクタに入力された映像信号に応じて、入射した光を変調する(偏光方向を90°回転させる)とともに反射する。変調されたG偏光4gは、再び第2の位相差板13gと第1の位相差板12gを透過して第1の偏光ビームスプリッタ9aに入射し、該第1の偏光ビームスプリッタ9aの偏光分離面9a1で反射してG画像光としてダイクロイックプリズム18に入射する。また、変調されたB偏光4bとR偏光4rはそれぞれ、再び第2の位相差板13b,13rと第1の位相差板12b,12rを透過して第2の偏光ビームスプリッタ9bに入射する。そして、B偏光4bは第2の偏光ビームスプリッタ9bの偏光分離面9b1を透過して、R偏光4rは偏光分離面9b1で反射して、それぞれB画像光15bおよびR画像光15rとしてダイクロイックプリズム18に入射する。
以上説明したダイクロイックミラー5からダイクロイックプリズム18までの光学系が、色分解合成光学系である。
ダイクロイックプリズム18に入射したG画像光15gはそのダイクロイック面で反射して投射レンズ(投射光学系)20に向かい、またB画像光15bおよびR画像光15rはダイクロイック面を透過して投射レンズ20に向かう。こうして合成されたG画像光15g、B画像光15bおよびR画像光15rは、投射レンズ20によって不図示のスクリーン等の被投射面に拡大投射される。
このように構成されたプロジェクタの特徴について説明する。本実施例では、第1の位相差板(12g,12b,12r)と第2の位相差板(13g,13b,13r)が、偏光分離素子(9a,9b)と光変調素子(11g,11b,11r)との間に、偏光分離素子側からこの順で配置されている。
また、第1の位相差板と第2の位相差板は、偏光方向が互いに直交する2つの偏光(第1の偏光および第2の偏光)に対するそれぞれの屈折率が互いに異なる位相差板である。言い換えれば、第1の位相差板と第2の位相差板はそれぞれ、第1の偏光に対して第1の屈折率を有するとともに第2の偏光に対して該第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する位相差板で、互いに異なる第1の屈折率および互いに異なる第2の屈折率を有する。上記のプロジェクタの例では、第1の偏光は偏光分離素子の偏光分離面を透過するP偏光に、第2の偏光は同偏光分離面で反射するS偏光に相当する。
そして、本実施例では、第1および第2の位相差板のうち少なくとも一方に対して、該位相差板の角度を変更させるようにこれをy軸(回動中心軸)の回りで回動させて角度調整を行う角度調整機構(回動機構)を有する。
以下、この角度調整における軸の定義と第1および第2の位相差板について、図2を用いて詳細に説明する。
図2は、図1中のG光の光路に配置された偏光分離素子9a、第1の位相差板12g、第2の位相差板13gおよびG用液晶パネル11g(光変調素子)を示している。第1の位相差板12gに対して角度調整機構30が設けられている。なお、ここでは代表としてG光の光路に角度調整機構を設けた場合について説明するが、R光およびB光の光路のいずれかに角度調整機構を設けてもよい。
図2に示した3次元座標系のx軸、y軸およびz軸を以下のように定義する。偏光分離素子9aのうち光変調素子側の面Sの法線方向をz方向とし、この方向に延びる軸をz軸とする。また、偏光分離素子9aの偏光分離面9a1の法線nとz方向(z軸)の両方に対して直交する方向をy方向とし、この方向に延びる軸をy軸とする。さらに、y方向(y軸)とz方向(z軸)の両方に対して直交する方向をx方向とし、この方向に延びる軸をx軸とする。
なお、x方向およびz方向に平行な面をxz面といい、x方向およびy方向に平行な面をxy面という。ここにいう「直交」や「平行」とは、完全な直交や平行な関係だけでなく、光学的に直交や平行とみなせる関係も含む。さらに、第1の位相差板および第2の位相差板のそれぞれの光学軸を、第1の光学軸および第2の光学軸という。
第1の位相差板12gは、その透過面(入出射面)の法線がz軸と平行となるように配置され、このときの第1の光学軸はxz面と平行で、かつz方向に対して傾いている。第1の位相差板12gは、偏光分離素子9aに偏光が斜めに入射する際に生じる偏光軸のずれを補償する。第1の光学軸の傾き角度は、該第1の光学軸とz方向(z軸)とのなす角度をθとするとき、θが以下の条件(1)を満たすことが好ましい。
50≦θ≦85[deg] ・・・(1)
第1の位相差板12gは、位相差を生じさせる異方性媒質を基板により保持した構成を有する。第1の位相差板12gは、その屈折率異方性Δnと異方性媒質の厚みdとの積をΔn・dとするとき、該第1の位相差板12gへの入射波長λに対して、以下の条件(2)を満足することが好ましい。
0.3λ≦Δn・d≦0.7λ・・・(2)
ここで、入射波長λは、第1の位相差板が配置された光路において透過および反射する偏光の主たる波長(または波長域)を意味し、画像投射装置の特性および構成によって異なる。本実施例では、G光路であれば500〜600nm程度のGの波長に相当し、B光路であれば400〜500nm程度のBの波長に相当する。また、R光路であれば600〜700nm程度のRの波長に相当する。ただし、これら波長は例にすぎず、他の波長であってもよい。また、入射波長λは、光源のスペクトルにもよるが、通常は、第1の位相差板が配置された光路において透過および反射する偏光の波長域の中心付近にて選択される。
第2の位相差板13gは、第2の光学軸がxy面に対して平行となるように配置される。第2の位相差板13gは、光変調素子に起因する位相ずれを補償するために用いられる。第2の位相差板13gは、第1の位相差板12gと同様に、位相差を生じさせる異方性媒質を基板により保持した構成を有する。第2の位相差板13gは、その屈折率異方性Δnと異方性媒質の厚みdとの積をΔn・dとするとき、該第2の位相差板12gへの入射波長λに対して、以下の条件(2)を満足することが好ましい。入射波長λの意味は上述した通りである。
0.05λ≦Δn・d≦0.25λ・・・(3)
前述した通り、第1の位相差板12gは偏光分離素子9aへの偏光の斜入射に起因する偏光軸のずれを補償する。図3(a),(b)には、偏光分離素子9aを透過する偏光の入射角度依存性を示す。一般に、偏光分離素子9aに入射する光は、図3(a),(b)中に円で示すように、ある入射角度分布を有する光束である。円とともに示した矢印は、各入射方位における透過偏光の偏光方向を示している。z軸と平行に透過した偏光の偏光方向をP1とし、z軸に対して角度を持ったスキュー光の偏光方向をP2とすると、P1とP2は偏光方向(偏光軸)にずれを持っており、入射角度(入射方位)によって偏光分離面9a1で検光される偏光方向が変化する。
このような偏光軸のずれを補償するために、上述した第1の位相差板12gを配置することで、図3(b)にP1′,P2′で示すように、偏光分離素子9aに入射する偏光を、入射角度にかかわらず同じ偏光方向を有する一様な偏光状態とすることができる。
ただし、第1の位相差板は、その光学軸の角度や厚みの変化によって補償効果が大きく変動する場合がある。図4および図5には、第1の位相差板のz軸に対する光学軸の角度と異方性層の厚さ(位相差に相当する)の変化に対する白表示輝度と黒表示輝度との比であるコントラストの変化を計算した結果を示している。この計算では、第1および第2の位相差板への入射波長λを、550nmとした。横軸は、z軸と第1の位相差板の光学軸とのなす角度である軸角度を示す。第1の位相差板としてはサファイア結晶を切り出したものを用い、第2の位相差板としては、正の屈折率異方性を持つ面内位相差が50nmの位相差板を用いた。図4では、第2の位相差板が、その光学軸が図2中のy方向に延びるように配置されている場合について計算した。
図4では、第1の位相差板の厚みが約38μm、軸角度が62.5deg付近で最もコントラストが高い。しかし、製造誤差や配置のずれ等により、厚みにおいて±5μm、軸角度において±1degの変動を考慮する必要がある。この場合、最大80%以下までコントラストが低下する。さらに、波長帯域を考慮すると、60%程度までコントラストが低下する。
一方、図5は、図4と同じ素子構成であるが、第2の位相差板が、その光学軸が図4の場合と90deg異なってx方向に延びるように配置された場合の計算結果を示している。図5の場合もコントラストの最大値は図4の場合とほとんど同じである。しかし、図5の構成では、第1の位相差板の敏感度が高く、コントラストも大きく変動することが分かる。
光学軸がその透過面に対して傾いた第1の位相差板を作るには、水晶やサファイア等の誘電体結晶を切り出したり、液晶配向を利用したり、入射波長より小さい周期を持つ微細周期構造の構造複屈折を利用したり、フィルムを特殊延伸したりする方法が考えられる。しかし、これらの方法のいずれも任意の軸方位と適切な厚みとを高精度に製作するのは簡単ではない。それ以外には、安定した位相差を持つ通常の波長板を板ごと傾けて使用する方法が考えられるが、非点収差の影響が生じたり、傾けるのに必要なスペースを確保することが困難であったりして、このような構成を採用することは難しい。
そこで、本実施例では、製造誤差を含めて装置全体での敏感度の低減を考える。図4および図5から、第1の位相差板の厚みの変化に伴ってコントラストの変動はあるが、同時に第1の位相差板の厚みに対して最適な軸角度がシフトしていることが分かる。例えば、図5に示す場合は、厚みが35.3μm付近では軸角度70deg付近が最適値となるが、厚みが43.2μm付近では軸角度66deg付近が最も高いコントラストが得られる。したがって、第1の位相差板をy軸(回動中心軸)の回りで回動させて、図4および図5の横軸で示す軸角度を調整することができれば、製造誤差により生じるコントラストの変動を良好に補正することができる。なお、以下の説明において、位相差板を回動させてその軸角度を調整することを、単に位相差板の角度調整という。
なお、角度調整機構は第1の位相差板に対してのみ設けてもよいが、第1の位相差板と第2の位相差板のうち少なくとも一方に対して設けられればよい。位相差が大きい第1の位相差板に対して角度調整機構を設ける場合には、微小な角度調整で高い補償効果が得られる。また、この場合、第2の位相差板の光学軸は、y軸に平行でもよいし、x軸に平行でもよい。
一方、第2の位相差板に対して角度調整機構を設ける場合でも、同様の補正が可能である。この場合には、第2の位相差板が、その光学軸(第2の光学軸)が図2に示したx軸に平行に配置された状態からのy軸回りでの回動により角度調整がなされるように配置される必要がある。この配置により、第2の位相差板でも第1の位相差板の角度調整を行うときと同様の効果を得ることができる。ただし、第2の位相差板は、第1の位相差板に比べて位相差が小さく、その効果も限定される。なお、第2の位相差板をその光学軸がy軸に平行になるように配置した場合には、y軸回りで回動させても屈折率異方性は変化しないため、軸角度の調整は困難である。
また、本実施例のようにy軸を回動中心軸として角度調整を行う場合、位相差板を大きく傾けすぎると投射画像に非点収差が発生し、画像に悪影響を及ぼす可能性がある。特に角度調整する位相差板の厚みと傾き角度が増えるほど非点収差が増加する。このため、光学系のFナンバーにも依存するが、本実施例の角度調整機構による位相差板の調整可能角度範囲は±5deg以内とすることが好ましく、また角度調整される位相差板の厚みは2.5mm以下とすることが好ましい。ここにいう調整可能角度範囲は、該位相差板が偏光分離素子の該位相差板側の入出射面と平行に配置された状態を0degとしたときの角度範囲である。また、ここにいう位相差板の厚みとは、位相差を生じさせる異方性媒質(異方性層)およびこれを保持する基板を含む位相差板全体の厚みを意味する。
第1の位相差板と第2の位相差板の双方に対して角度調整機構を設ける場合には、第1の位相差板と第2の位相差板とで回動方向を互いに反対方向にしておくことで、非点収差の影響を軽減できる。
さらに、第1の位相差板と第2の位相差板では位相差が大きく異なるため、角度調整に対する敏感度(角度敏感度)が異なる。このためこれら双方の位相差板を独立に、かつ適切な順序で角度調整できるようにすることで、より高精度な補償効果を得ることができる。このときの角度調整の手順は、例えば以下の通りである。まず、それぞれの光学素子を配置した後に、第1の位相差板について角度調整を行う。調整角度が決定した第1の位相差板は、その調整角度が変化しないように接着剤等で固定される。ただし、第1の位相差板は角度敏感度が大きいため、角度調整の過多や不足または固定時の微小な角度ずれによる影響が残る場合がある。そこで、第1の位相差板を固定した後に、第2の位相差板の角度調整を行う。これにより、上記影響を補正でき、より高精度な補償効果を得ることができる。
このように、第1および第2の位相差板の少なくとも一方に対して角度調整機構を設けることにより、第1の位相差板の敏感度を低減し、投射画像のコントラストの変動を抑制することができる。
また、第2の位相差板をz軸回りで回動させる角度調整機構を設けてもよい。光変調素子として液晶パネルを用いる場合、該液晶パネルの液晶分子は、黒表示状態であっても分子のチルト等の何らかの位相ずれを生じさせる要因を持つ。これを補償するために、第2の位相差板をその面法線方向に延びるz軸を中心として回動させることで、黒表示状態での位相ずれを補償することができる。ただし、このように第2の位相差板をy軸回りとz軸回りで回動させる角度調整機構を設ける場合は、まずy軸回りでの角度調整を行い、その後にz軸回りでの角度調整を行うことが好ましい。
第1および第2の位相差板のうち少なくとも一方を回動させる角度調整機構の具体的な構成については様々な構成を採用することができる。ただし、同じ回動角度であっても、回動中心軸の位置が位相差板の周辺部や端部に近い位置であるほど位相差板を傾けるのに必要な厚み方向のスペースが増加する。このため、回動中心軸は、位相差板の中心に近いほど好ましく、y軸と平行で、かつ位相差板の中心を通るように設定することがより好ましい。
なお、図1に示した色分解合成光学系以外の構成を有する場合でも、偏光分離素子と光変調素子との間に第1の位相差板および第2の位相差板を偏光分離素子側からこの順で配置した色分離合成光学系であれば同様の効果が得られる。例えば、図1では、R光の光路とB光の光路とを同じ偏光分離素子(第2の偏光ビームスプリッタ)9bによって分離する場合について説明したが、R光の光路とB光の光路とがもともと別れていてもよい。また、光源の種類や光変調素子の配置、種類等にも限定されない。光源としてLEDを用いてもよいし、光変調素子として透過型液晶パネルやデジタルマイクロミラーデバイスを用いてもよい。
さらに、位相差板についても、図1に示した位相差板に加えて他の位相差板を追加してもよい。例えば、液晶パネルの液晶の屈折率異方性を補償するために、液晶分子と反対の屈折率異方性を有する位相差板を液晶パネルの近傍に配置したり、それらを第1または第2の位相差板と一体化したりしてもよい。また、偏光分離素子については、図1に示したように、P偏光を透過してS偏光を反射する特性を有するものを用いた色分解合成光学系において特に高い効果が得られるが、他の特性を有する偏光分離素子を用いてもよい。
以下、具体的な実施例(実験例)について説明する。実施例1〜3における光学系の構成は、図1に示したものと同じである。
実施例1は、図2に示すように第1の位相差板に対して角度調整機構30を設けた場合の例である。本実施例における第1および第2の位相差板の特性値を表1に示す。
第1の位相差板の厚みは1mmで、前述した2.5mm以下とする条件を満足している。また、第1の位相差板の角度調整は、該第1の位相差板の透過面がxy面と平行な状態からy軸回りで±1.0degの角度範囲内で行う。
角度調整を行う前と後でのG光のコントラスト変化を図6に示す。横軸は第1の位相差板の厚み変化を示し、縦軸はコントラスト変化量を示している。コントラストは最大値を1としたときの比率で表している。角度調整を行わない場合は、厚みが36μmから5μm変化したときにコントラストが中心値の60%に低減する。しかし、角度調整を行うことにより、この低減量を中心値の80%までに抑制することができる。なお、図示はしていないが、G光以外の色光についても同様の効果が得られる。
実施例2は、図7に示すように第2の位相差板に対して角度調整機構40を設けた場合の例である。本実施例における第1および第2の位相差板の特性値を表2に示す。
第2の位相差板の厚みは1mmで、前述した2.5mm以下とする条件を満足している。また、第2の位相差板の角度調整は、該第2の位相差板の透過面がxy面と平行な状態からy軸回りで±5.0degの角度範囲内で行う。調整角度範囲が実施例1に比べて大きいのは、第2の位相差板で生じる位相差が第1の位相差板で生じる位相差より小さく、角度変化による位相差の変動量が小さいためである。
角度調整を行う前と後でのG光のコントラスト変化を図8に示す。横軸は第2の位相差板の厚み変化を示し、縦軸はコントラスト変化量を示している。コントラストは最大値を1としたときの比率で表している。角度調整を行わない場合は、厚みが40μmから5μm変化したときにコントラストが中心値の30%に低減する。しかし、角度調整を行うことにより、この低減量を中心値の60%までに抑制することができる。なお、図示はしていないが、G光以外の色光についても同様の効果が得られる。
実施例3は、図9に示すように第1および第2の位相差板の双方に対して角度調整機構30,40を設けた場合の例である。本実施例における第1および第2の位相差板の特性値を表3に示す。
第1および第2の位相差板の厚みはともに1mmで、前述した2.5mm以下とする条件を満足している。また、第1の位相差板の角度調整は、該第1の位相差板の透過面がxy面と平行な状態からy軸回りで±2.0degの角度範囲内で行う。一方、第2の位相差板の角度調整は、該第2の位相差板の透過面がxy面と平行な状態からy軸回りで±5.0degの角度範囲内で行う。第1および第2の位相差板の角度調整方向(回動方向)は互いに反対方向である。また、始めに敏感度が高い第1の位相差板の角度調整を行った後に、第2の位相差板の角度調整を行う。
角度調整を行う前と後でのG光のコントラスト変化を図10に示す。横軸は第1および第2の位相差板の厚み変化を示し、縦軸はコントラスト変化量を示している。コントラストは最大値を1としたときの比率で表している。角度調整を行わない場合は、厚みが39μmから5μm変化したときにコントラストが中心値の20%に低減する。しかし、角度調整を行うことにより、この低減量を中心値の85%までに抑制することができる。なお、図示はしていないが、G光以外の色光についても同様の効果が得られる。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
高画質の画像を投射可能な液晶プロジェクタ等の画像投射装置を提供できる。
9a,9b 偏光ビームスプリッタ(偏光分離素子)
9a1,9b1.偏光分離面
11r,11g,11b 液晶パネル
12r,12g,12b 第1の位相差板
13r,13g,13b 第2の位相差板
100 液晶プロジェクタ

Claims (8)

  1. 光源からの光のうち第1の偏光を透過し、該第1の偏光とは偏光方向が直交する第2の偏光を反射する偏光分離面を有する偏光分離素子と、
    入射した光を変調する光変調素子と、
    該光変調素子からの光を被投射面に投射する投射光学系とを有する画像投射装置であって、
    前記偏光分離素子と前記光変調素子との間に、それぞれ前記第1の偏光に対して第1の屈折率を有するとともに前記第2の偏光に対して該第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する位相差板であって、互いに異なる前記第1の屈折率および互いに異なる前記第2の屈折率を有する第1の位相差板および第2の位相差板が、前記偏光分離素子側からこの順で配置されており、
    前記偏光分離素子における前記光変調素子側の面の法線方向をz方向とし、前記偏光分離面の法線方向および前記z方向に対して直交する方向をy方向とし、前記y方向および前記z方向に直交する方向をx方向とし、前記xおよびz方向に平行な面をxz面とし、前記xおよびy方向に平行な面をxy面とし、前記第1の位相差板および前記第2の位相差板のそれぞれの光学軸を第1の光学軸および第2の光学軸とするとき、
    前記第1の光学軸は、前記xz面に対して平行で、かつ前記z方向に対して傾き、
    前記第2の光学軸は、前記xy面に対して平行であり、
    前記第1および第2の位相差板のうち少なくとも一方の位相差板を、前記y方向に延びる回動中心軸の回りで回動させる回動機構を有することを特徴とする画像投射装置。
  2. 前記第1の位相差板の屈折率異方性Δnと異方性媒質の厚みdとの積Δn・dは、該第1の位相差板への入射波長λに対して、以下の条件を満足することを特徴とする請求項1の画像投射装置。
    0.3λ≦Δn・d≦0.7λ
  3. 前記第1の光学軸と前記z方向とのなす角度をθとするとき、以下の条件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の画像投射装置。
    50≦θ≦85[deg]
  4. 前記第2の位相差板の屈折率異方性Δnと異方性媒質の厚みdとの積Δn・dは、該第2の位相差板への入射波長λに対して、以下の条件を満足することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像投射装置。
    0.05λ≦Δn・d≦0.25λ
  5. 前記回動機構によって前記少なくとも一方の位相差板が回動される角度範囲は、該位相差板が前記偏光分離素子の該位相差板側の入出射面と平行に配置された状態を0degとして、±5deg以内であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像投射装置。
  6. 前記回動機構によって前記第2の位相差板が回動される場合において、該第2の位相差板は、前記第2の光学軸が前記x方向と平行に配置された状態から前記回動中心軸の回りにて回動されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の画像投射装置。
  7. 前記回動機構によって前記第1および第2の位相差板が回動される場合において、該回動機構は、前記第1および第2の位相差板の双方を互いに反対方向に回動させることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像投射装置。
  8. 前記第1および第2の位相差板のうち前記回動機構によって回動される位相差板における異方性媒質およびこれを保持する基板を含む位相差板全体の厚みが、2.5mm以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の画像投射装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017116602A (ja) * 2015-12-21 2017-06-29 セイコーエプソン株式会社 位相差制御装置、照明装置、およびプロジェクター

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