JP2013166097A - 排気ガス浄化用触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造直後の時点から高い触媒活性を発揮でき、且つ長期に亘る運転の後でも硫黄被毒の発生を防止しつつ、高い触媒活性を維持できる貴金属担持触媒を提供する。
【解決手段】酸化アルミニウムを含有する粒子が凝集して形成された担体と、該担体の内部に位置する、前記粒子の表面に担持されたパラジウムの粒子とを含むパラジウム担持触媒。
【選択図】図1

Description

本発明は、貴金属担持触媒及びその製造方法に関する。
自動車の排気ガス浄化用触媒は、エンジンから排出される排気ガスに含まれる炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)を酸化して水及び二酸化炭素に、窒素酸化物(NOx)を還元して窒素に、それぞれ変換する。排気ガス浄化用触媒としては、通常、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒貴金属の粒子を耐熱性の金属担体に担持した貴金属担持触媒が使用される。
貴金属担持触媒は、金属担体と触媒貴金属の塩とを接触させて、金属担体に触媒貴金属の塩を担持させた後、還元処理して触媒貴金属の粒子を形成させることによって製造される。しかしながら、上記の方法を用いて製造された貴金属担持触媒は、高温の排気ガスに曝されると触媒貴金属が担体の表面でシンタリングして粒成長し、触媒活性が低下することが知られていた。
上記の問題に対し、例えば、特許文献1は、触媒貴金属源としてRhのコロイドを含む処理液中に担体を浸漬して、担体にRhのコロイドを吸着させる工程を含む、自動車排気ガス浄化用触媒の製造方法を記載する。
特許文献2は、担体上にセリウム(Ce)及びジルコニウム(Zr)を含有する酸素吸蔵材を含有し、Pdの一部が酸素吸蔵材の粒子にドープされており、残りが酸素吸蔵材粒子の表面に固着している排気ガス浄化用触媒を記載する。
特許文献3は、Ce及びZrを含有する複合酸化物の粒子のみにPdがドープされている排気ガス浄化用触媒を記載する。
特開2008-284553号公報 特開2008-290065号公報 特開2010-12397号公報
上記のように、自動車の排気ガス浄化用途に使用し得る貴金属担持触媒として種々の技術が開発されているが、いずれの貴金属担持触媒の性能も不十分である。特に、自動車の排気ガス浄化用触媒は、長期に亘って高温の排気ガスに曝露されるため、製造直後の初期触媒活性が高くても、長期運転によって触媒貴金属粒子のシンタリングが発生し、徐々に触媒活性が低下するという課題が存在した。触媒貴金属粒子のシンタリングは、触媒貴金属の中でも融点の低いPdを用いた場合に顕著に発生する。それ故、特許文献1のように担体粒子の表面にPd粒子を担持した触媒の場合、初期の触媒活性は高いものの、長期運転後の触媒活性は低下する。
これに対し、特許文献2及び3のように担体粒子内に触媒貴金属をドープした触媒の場合、シンタリングを抑制し得るものの、触媒貴金属の粒子を担体粒子に担持した触媒と比較して触媒貴金属とガスとの接触面積が低くなるため、特に製造初期の触媒活性が低いという課題が存在した。
さらに、排気ガス浄化用触媒では、排気ガスに含有される成分が触媒に付着して触媒活性を低下させる触媒被毒の問題も存在する。例えば、ガソリンのような内燃機関の燃料中に微量に含有される硫黄成分は、燃料の燃焼時に酸化されるか又は排気ガス浄化用触媒上で酸化され、SOxとなる。SOxは酸性物質であるため、NOx吸蔵材を用いたNOx吸蔵還元型の排気ガス浄化用触媒の場合、塩基性物質を含むNOx吸蔵材と反応して硫酸塩を形成する。上記の反応が生じると、NOx吸蔵材のNOx吸蔵能力が低下するため、結果としてNOx浄化性能が低下する。このような現象は、硫黄(S)被毒として知られている。
本発明者らは、触媒貴金属源として該貴金属のコロイドを用い、担体の金属塩と触媒貴金属のコロイドとを共沈させた後、焼成して貴金属担持触媒を形成させる、貴金属担持触媒の製造方法を開発した(特願2011-116742)。上記の方法により、触媒貴金属の使用量を低減しつつ、長期に亘る運転の後でも高い触媒活性を維持できる貴金属担持触媒を製造することが可能となった。
本発明者らの開発した上記の方法により、触媒貴金属の使用量を低減させることが出来たが、依然として硫黄被毒によるNOx浄化性能の低下の問題が存在した。上記で説明したように、硫黄被毒は、SOxが塩基性物質を含むNOx吸蔵材と反応して硫酸塩を形成することにより引き起こされるため、ジルコニウム(Zr)又はセリウム(Ce)のような塩基性物質を含有するNOx浄化用の触媒ではその影響は大きい。
それ故、本発明は、製造直後の時点から高い触媒活性を発揮でき、且つ長期に亘る運転の後でも硫黄被毒の発生を防止しつつ、高い触媒活性を維持できる貴金属担持触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、特願2011-116742で開示したコロイド共沈法による貴金属担持触媒の製造方法において、担体金属として酸化アルミニウムを用いることにより、硫黄被毒の影響を受けやすいパラジウムを触媒貴金属として用いた場合であっても、硫黄被毒による触媒活性の低下を実質的に抑制できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 酸化アルミニウムを含有する粒子が凝集して形成された担体と、該担体の内部に位置する、前記粒子の表面に担持されたパラジウムの粒子とを含むパラジウム担持触媒。
(2) 基材と、基材の最表面に、前記(1)のパラジウム担持触媒を含有する触媒コート層とを有する、排気ガス浄化用触媒。
(3) 前記基材と触媒コート層との間に、酸化アルミニウムを含有する金属酸化物コート層を更に含む、前記(2)の排気ガス浄化用触媒。
本発明により、製造直後の時点から高い触媒活性を発揮でき、且つ長期に亘る運転の後でも硫黄被毒の発生を防止しつつ、高い触媒活性を維持できる貴金属担持触媒を提供することが可能となる。
本発明のパラジウム担持触媒を示す模式図である。 本発明のパラジウム担持触媒の製造方法を示す工程図である。 本発明の排気ガス浄化用触媒の一実施形態(実施例2-1)を示す断面図である。 実施例1-1、並びに比較例1-1、1-2及び1-3のパラジウム担持触媒のNOx浄化率を示す図である。 耐久処理後の実施例1-1、並びに比較例1-1及び1-4の触媒の走査型電子顕微鏡画像を示す図である(スケール:500 nm)。A:実施例1-1の触媒;B:比較例1-1の触媒;C:比較例1-4の触媒。 実施例1-1並びに比較例1-1及び比較例1-4の触媒における気孔分布を示す図である。横軸に開気孔直径L(nm)を、縦軸にlog微分気孔容積(dV/d(logL))を、それぞれ示す。黒塗り三角:実施例1-1(Pdが担体内部に形成された気孔に担持されている触媒);白抜き三角:比較例1-1(比較例1-1の調製手順において、Pd(NO3)2水溶液をPdコロイドに変更した他は比較例1-1と同様の手順で調製した触媒であって、Pdが担体外部の表面に担持されている触媒);黒塗り四角:比較例1-4(Pdが担体内部に形成された気孔に担持されている触媒);白抜き四角:比較例1-1(Pdが担体外部の表面に担持されている触媒)。 硫黄被毒処理前又は後の実施例2-1、並びに比較例2-1及び2-2の排気ガス浄化用触媒のNOx浄化率を示す図である。
<1. パラジウム担持触媒>
本発明は、酸化アルミニウムを含有する粒子が凝集して形成された担体と、該担体の内部に位置する、前記粒子の表面に担持されたパラジウムの粒子とを含むパラジウム担持触媒に関する。
本明細書において、「担体」は、触媒貴金属、具体的にはパラジウムの粒子を担持するための材料であって、金属の酸化物、具体的には酸化アルミニウムを含有する複数の微小な粒子が凝集することによって形成される粗大な凝集物(バルク)を意味する。ここで、「凝集」は、金属の酸化物を含有する粒子を融点以下の温度で加熱することにより、複数の粒子が実質的に溶融することなく集合し、各々の粒子の形状及び結晶形態を略完全に又は部分的に保持したまま1個のバルクを形成することを意味する。本発明のパラジウム担持触媒において、金属の酸化物を含有する粒子(一次粒子)が凝集して形成された担体は、粗大な粒子(二次粒子)の形態であることが好ましい。
金属の酸化物を含有する粒子が凝集して形成された担体においては、各々の粒子の形状が略完全に又は部分的に保持されている。このため、担体の内部では、隣接する複数の粒子の表面全体が互いに完全に密着せず、一定の空間すなわち気孔が形成される。本発明のパラジウム担持触媒において、気孔は、担体の外部と連通していない閉気孔を形成していてもよく、担体の表面に形成された1以上の開放口と連結することで、開気孔を形成していてもよい。開気孔を形成していることが好ましい。
図1は、本発明のパラジウム担持触媒を示す模式図である。本発明のパラジウム担持触媒10は、酸化アルミニウムを含有する粒子11が凝集して形成された担体12を含む。担体12の内部には、複数の気孔14及び16が形成されている。気孔は、担体12の表面に形成された複数の開放口15と連結された開気孔14の形態であってもよく、いずれの開放口とも連結していない閉気孔16の形態であってもよい。パラジウムの粒子13は、担体12の内部に形成された気孔(開気孔14又は閉気孔16)に位置することができる。この場合、パラジウムの粒子13は、担体12の内部に位置する、粒子11の表面に担持されている。或いは、パラジウムの粒子13は、担体12の外部表面に位置する、粒子11の表面に担持されていてもよい。いずれの形態でパラジウムの粒子が担持されている場合であっても、本発明のパラジウム担持触媒に包含される。パラジウムの粒子13が、担体12の内部に位置する、粒子11の表面に担持されている形態が好ましい。
従来技術のうち、例えば特許文献1に記載の貴金属担持触媒は、触媒貴金属の粒子が担体の表面に担持されている。このため、初期の性能は高いものの、長期に亘って高温のガスに曝露されると触媒貴金属の粒子がシンタリングして触媒活性が低下する。また、特許文献3に記載の貴金属担持触媒は、金属の酸化物粒子(一次粒子)内に触媒貴金属がドープされている。このため、高温のガスに曝露されることによる触媒貴金属粒子のシンタリングを抑制することができるものの、ガスとの接触面積が低くなるため、特に製造直後の触媒において十分な触媒活性を発揮することができない。
これに対し、本発明者らは、特願2011-116742の明細書において、コロイド共沈法による貴金属担持触媒の製造方法を用いることにより、金属の酸化物を含有する粒子が互いに凝集して担体が形成され、該担体の内部に位置する、前記粒子の表面に触媒貴金属の粒子が担持されることを示した。上記の方法によって製造される貴金属担持触媒は、触媒貴金属が、担体の内部に位置する金属の酸化物を含有する粒子の表面に担持されている。このため、製造直後の触媒において高い触媒活性を発揮できるだけでなく、長期に亘って高温のガスに曝露されても触媒貴金属の粒子がシンタリングすることなく、初期の触媒活性を維持することが可能となる。
特願2011-116742で開示される方法により、触媒貴金属の使用量を低減させることが出来たが、依然として硫黄被毒によるNOx浄化性能の低下の問題が存在した。硫黄被毒は、酸性物質のSOxが塩基性物質を含むNOx吸蔵材と反応して硫酸塩を形成することによって引き起こされるため、ジルコニウム(Zr)又はセリウム(Ce)のような塩基性物質を担体金属として含有する触媒でその影響が顕著である。一方、酸化アルミニウムのような酸性物質を担体金属として含有する触媒は硫黄被毒に対して耐性を有するが、塩基性物質を担体金属として含有する触媒と比較して触媒貴金属の粒子のシンタリングが発生しやすいという問題が存在した。
本発明者らは、特願2011-116742で開示される方法を適用する触媒貴金属及び担体金属の組み合わせを詳細に検討したところ、担体金属として酸化アルミニウムを用いることにより、硫黄被毒の影響を受けやすいパラジウムを触媒貴金属として用いた場合であっても、硫黄被毒による触媒活性の低下を実質的に抑制しつつ、パラジウム粒子のシンタリングも実質的に防止できることを見出した。
本明細書において、「触媒貴金属」は、触媒活性を有する貴金属を意味し、具体的にはパラジウム(Pd)を意味する。パラジウムを触媒貴金属として用いることにより、触媒の低温浄化性能を高めることが可能となる。
本発明のパラジウム担持触媒において、パラジウムの担持密度は、パラジウム担持触媒の総質量に対して0.01〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.01〜2質量%の範囲であることがより好ましい。なお、パラジウム担持触媒に担持されているパラジウムの質量は、酸等を用いてパラジウム担持触媒を溶解させた後、該溶液中の金属成分を誘導結合プラズマ(ICP)発光分析することによって決定することができる。
本発明のパラジウム担持触媒に含まれるパラジウムの粒子の粒径は、1〜5 nmの範囲であることが好ましい。なお、酸化アルミニウムを含有する粒子、担体及びパラジウムの粒子の粒径は、限定するものではないが、例えば、走査電子顕微鏡(SEM)により長軸方向の長さを測定し、10程度の測定値の平均値として算出するか、又はX線回折装置(XRD)により小角散乱測定を行うことによって決定することができる。
上記の特徴を有することにより、本発明のパラジウム担持触媒は、製造直後から高い初期触媒活性を発揮でき、且つ長期に亘る運転の後でも硫黄被毒による触媒活性の低下を実質的に抑制しつつ高い触媒活性を維持することが可能となる。
<2. パラジウム担持触媒の製造方法>
図2は、本発明のパラジウム担持触媒の製造方法を示す工程図である。以下、図2に基づき、本発明のパラジウム担持触媒の製造方法の好ましい実施形態について詳細に説明する。
[2-1. 共沈工程]
本方法は、アルミニウム塩及びパラジウムのコロイドの混合物にアルカリを加えてアルミニウム塩及びパラジウムのコロイドを共沈させる共沈工程(工程S2)を含む。
本工程により、結果として得られるパラジウムの粒子が、酸化アルミニウムを含有する粒子(一次粒子)内部に固溶することなく、複数の該粒子が凝集して形成された担体の内部に位置する、前記粒子の表面に担持される。かかる構造を有するパラジウム担持触媒が得られる理由は、パラジウムの原料としてコロイドを用いることにより、一次粒子内部にパラジウムが固溶することが抑制されるとともに、担体の原料となるアルミニウム塩とパラジウムのコロイドとを共沈させた後、焼成することにより、一次粒子の表面にパラジウムの粒子を担持させた状態で該一次粒子が凝集して担体を形成するため、結果として該担体の表面及び内部に位置する、前記一次粒子の表面にパラジウムの粒子が担持された形態となることに起因する。
本工程において、「アルミニウム塩」は、限定するものではないが、例えば、硝酸イオン、酢酸イオン及び硫酸イオンとアルミニウムとの塩を挙げることができる。硝酸塩であることが好ましい。
本工程において、「パラジウムのコロイド」は、パラジウムと、ポリビニルピロリドンのような1以上のコロイド物質とによって形成されるコロイドであることが好ましい。パラジウムのコロイドにおけるパラジウムの粒子径は、1〜5 nmの範囲であることが好ましい。なお、パラジウムの粒子径は、限定するものではないが、例えば、SEMにより長軸方向の長さを測定し、10程度の測定値の平均値として算出するか、又はXRDにより小角散乱測定を行うことによって決定することができる。
上記の成分を用いることにより、好適な構造を有するパラジウム担持触媒を製造することが可能となる。
本工程で使用されるアルミニウムの塩及びパラジウムのコロイドの混合物は、通常、金属塩とパラジウムのコロイドと所望により1以上の酸化剤とを溶媒中に含む。上記の溶媒としては、水、並びにメタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールからなる群より選択される1以上の水混和性溶媒と水との混合溶媒を挙げることができる。水であることが好ましい。上記の溶媒を用いることにより、金属塩及びパラジウムのコロイドを実質的に均質に共沈させることが可能となる。
本工程において使用されるアルミニウムの塩及びパラジウムのコロイドの量は、上記で説明したパラジウム担持触媒中のパラジウムの担持密度に基づき、適宜設定すればよい。
上記で説明したアルミニウムの塩及びパラジウムのコロイドの混合物にアルカリを加えることにより、金属塩及びパラジウムのコロイドを共沈させる。本工程に使用されるアルカリは、限定するものではないが、例えば、濃アンモニア水であることが好ましい。
本工程において、上記のアルカリを加えてアルミニウムの塩及びパラジウムのコロイドを共沈させるためのpHは、10.0〜14.0の範囲であることが好ましく、12.0〜14.0の範囲であることがより好ましい。共沈させる温度は、10〜40℃の範囲であることが好ましく、20〜30℃の範囲であることがより好ましい。上記のアルカリを用いることにより、アルミニウムの塩及びパラジウムのコロイドを完全に又は略完全に共沈させることが可能となる。
共沈させたアルミニウムの塩及びパラジウムのコロイドは、例えば遠心分離のような、当該技術分野で通常使用される分離手段で分離することができる。得られたアルミニウムの塩及びパラジウムのコロイドの共沈殿物は、必要であれば上記の溶媒で洗浄した後、乾燥させて、以下の工程に使用すればよい。
上記の条件で本工程を実施することにより、アルミニウムの塩及びパラジウムのコロイドを完全に又は略完全に共沈させることが可能となる。
[2-2. 混合物形成工程]
本発明のパラジウム担持触媒の製造方法において、アルミニウムの塩及びパラジウムのコロイドの混合物は、予め調製された混合物を使用してもよく、共沈工程(工程S2)の前に各成分を接触させることによって調製してもよい。それ故、本方法は、共沈工程(工程S2)の前に、上記で説明したアルミニウムの塩及びパラジウムのコロイドを上記の溶媒中で接触させて、アルミニウムの塩及びパラジウムのコロイドの混合物を得る混合物形成工程(工程S1)をさらに含んでもよい。
本工程で形成される混合物が1以上の酸化剤をさらに含む場合、本工程は、アルミニウムの塩及びパラジウムのコロイドと1以上の酸化剤とを上記の溶媒中で接触させることによって実施される。
本工程において、上記のアルミニウムの塩及びパラジウムのコロイドを接触させる温度は、10〜40℃の範囲であることが好ましく、20〜30℃の範囲であることがより好ましい。
上記の条件で本工程を実施することにより、アルミニウムの塩及びパラジウムのコロイドの均質な混合物を得ることが可能となる。
[2-3. 焼成工程]
本発明のパラジウム担持触媒の製造方法は、共沈工程(工程S2)で共沈させたアルミニウムの塩及びパラジウムのコロイドを焼成して上記触媒を得る焼成工程(工程S3)を含む。
本工程において、アルミニウムの塩及びパラジウムのコロイドの共沈殿物を焼成する温度は、400〜900℃の範囲であることが好ましい。焼成する時間は、1〜30時間の範囲であることが好ましく、2〜10時間の範囲であることがより好ましい。また、本工程は、大気雰囲気下で実施することが好ましい。
上記の方法により、結果として得られるパラジウム担持触媒を、酸化アルミニウムを含有する粒子が凝集して形成された担体の内部に位置する、前記粒子の表面にパラジウムの粒子が担持されている構成とすることが可能となる。
<3. パラジウム担持触媒を含有する排気ガス浄化用触媒>
従来技術の排気ガス浄化用触媒において、硫黄被毒による触媒活性の低下を回避する手段としては、基材の表面に、触媒を含有する下層コート層と、金属酸化物を含有するが触媒を含有しない上層コート層とを被覆する2層コート形態を形成させる方法がある。2層コート形態の排気ガス浄化用触媒では、触媒を含有しない上層コート層が、触媒を含有する下層コート層に対する硫黄侵入の障壁の役割を果たしている。しかしながら、上層コート層は、触媒とNOxとの接触も抑制するため、下層コート層に含有される触媒の性能を十分に活用できないという問題点が存在した。
これに対し、本発明のパラジウム担持触媒は、硫黄被毒による触媒活性の低下を実質的に抑制することが出来る。それ故、本発明は、基材と、基材の最表面に、本発明のパラジウム担持触媒を含有する触媒コート層とを有する、排気ガス浄化用触媒を提供する。上記の構成を備えることにより、本発明の排気ガス浄化用触媒は、長期に亘る運転の後でも硫黄被毒による触媒活性の低下を実質的に抑制しつつ、触媒コート層に含有されるパラジウム担持触媒の触媒活性を効率的に発揮させることが可能となる。
本発明の排気ガス浄化用触媒は、所望により、前記基材と触媒コート層との間に追加のコート層を更に含んでもよい。前記追加のコート層は、酸化アルミニウムを含有する金属酸化物コート層であることが好ましい。前記金属酸化物コート層は、ジルコニウム(Zr)、セリウム(Ce)、イットリウム(Y)、ランタン(La)及びネオジム(Nd)のような希土類元素、並びにストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)のようなアルカリ土類金属元素の酸化物からなる群より選択される1以上の金属の酸化物を更に含有してもよい。金属酸化物コート層が上記金属の酸化物からなる群より選択される1以上の金属の酸化物を更に含有することにより、金属酸化物コート層の結晶構造内部に酸素欠陥が導入されて、酸化物イオン伝導度を向上させることが可能となる。
図3は、本発明の排気ガス浄化用触媒の実施形態を示す断面図である。本発明の排気ガス浄化用触媒20は、基材21と、基材21の最表面に、本発明のパラジウム担持触媒24を含有する触媒コート層23とを有する。基材21と触媒コート層23との間には、追加のコート層として、酸化アルミニウムを含有する金属酸化物コート層22を更に含んでもよい。触媒コート層23は、本発明のパラジウム担持触媒24からなることが好ましい。触媒コート層が上記の成分を含有することにより、酸化物イオン伝導度を向上させてNOx浄化性能を高めることが可能となる。
本発明の排気ガス浄化用触媒20において、本発明のパラジウム担持触媒24に含有されるパラジウムの含有量は、排気ガス浄化用触媒の総質量に対して0.01〜5質量%の範囲であることが好ましく、0.01〜1質量%の範囲であることがより好ましい。上記の含有量で本発明のパラジウム担持触媒を含有することにより、高いNOx浄化性能を発揮することが可能となる。
本発明の排気ガス浄化用触媒20において、基材21は、ハニカム、ペレット又は粒子の形態であることが好ましい。また、基材21は、コーディエライト等の耐熱性無機物又は金属を含有することが好ましい。上記の特徴を有する基材を用いることにより、高温条件下でも排気ガス浄化用触媒の触媒活性を維持することが可能となる。
本発明の排気ガス浄化用触媒は、限定するものではないが、例えば、基材に金属酸化物コート層及び触媒コート層のスラリーを順次ウォッシュコートする等の当該技術分野で慣用される通常の方法によって製造することが出来る。
以上詳細に説明したように、本発明のパラジウム担持触媒は、製造直後から高い初期触媒活性を発揮でき、且つ長期に亘る運転の後でも硫黄被毒による触媒活性の低下を実質的に抑制しつつ高い触媒活性を維持することが出来る。それ故、本発明のパラジウム担持触媒を触媒コート層に含有する2層コート形態の排気ガス浄化用触媒は、硫黄被毒による触媒活性の低下を実質的に抑制しつつ、パラジウム担持触媒の触媒活性を効率的に発揮させることが可能となる。
以下、実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。
<1. パラジウム担持触媒の調製>
[実施例1-1:Al2O3担体(コロイド共沈法)]
73.5 gのAl(NO3)3・9H2Oを250 mlのイオン交換水に溶解させた。この水溶液に、0.2 gのPdコロイド(Pd粒子径:3 nm;キャタラー社)を含有する5 mlのPdコロイド水溶液を加えた(工程S1)。その後、この水溶液に、60 mlの濃アンモニア水を加えてpH 12.0以上に調整し、25℃で10時間静置して、アルミニウム塩及びPdコロイドを共沈させた(工程S2)。反応液を遠心分離して、アンモニアを含有する上清から生成した共沈殿物を分離し、水洗した後、120℃で一昼夜乾燥させた。得られた共沈殿物を空気雰囲気下、700℃で5時間焼成し、さらに空気雰囲気下、500℃で2時間焼成して、パラジウム担持触媒を得た(工程S3)。得られたパラジウム担持触媒に含有される担体金属の質量比は、Al2O3 =1であり、Pd担持量は、触媒の総質量に対して1質量%であった。
[比較例1-1:Al2O3担体(蒸発乾固法)]
73.5 gのAl(NO3)3・9H2Oを100 mlのイオン交換水に溶解させた。この水溶液に、60 mlの濃アンモニア水を加えてpH 12.0以上に調整し、25℃で10時間静置して、アルミニウム塩を沈殿させた。反応液を遠心分離して、アンモニアを含有する上清から生成した共沈殿物を分離し、水洗した後、120℃で一昼夜乾燥させた。得られた沈殿物を空気雰囲気下、700℃で5時間焼成した後、2 gの10質量%のPd(NO3)2水溶液を含浸させた。その後、空気雰囲気下、500℃で2時間焼成して、パラジウム担持触媒を得た。得られたパラジウム担持触媒に含有される担体金属の質量比は、Al2O3 =1であり、Pd担持量は、触媒の総質量に対して1質量%であった。
[比較例1-2:ZC担体(蒸発乾固法)]
27.4 gのZrO(NO3)2・2H2O及び19.1 gのCe(NO3)2・6H2Oを100 mlのイオン交換水に溶解させた後、4.5 gのH2O2を加えた。この水溶液に、1.4 gのY(NO3)3・6H2Oを溶解させた。その後、この水溶液に、400 mlの濃アンモニア水を加えてpH 12.0以上に調整し、25℃で10時間静置して、金属塩を共沈させた。反応液を遠心分離して、アンモニアを含有する上清から生成した共沈殿物を分離し、水洗した後、120℃で一昼夜乾燥させた。得られた共沈殿物を空気雰囲気下、700℃で5時間焼成した後、2 gの10質量%のPd(NO3)2水溶液を含浸させた。その後、空気雰囲気下、500℃で2時間焼成して、パラジウム担持触媒を得た。得られたパラジウム担持触媒に含有される担体金属の質量比は、CeO2:ZrO2:Y2O3=68:30:2であり、Pd担持量は、触媒の総質量に対して1質量%であった。
[比較例1-3:ZC担体(硝酸塩共沈法)]
27.4 gのZrO(NO3)2・2H2O及び19.1 gのCe(NO3)2・6H2Oを100 mlのイオン交換水に溶解させた後、4.5 gのH2O2を加えた。この水溶液に、1.4 gのY(NO3)3・6H2Oを溶解させた後、2 gの10質量%のPd(NO3)2水溶液を加えた。その後、この水溶液に、400 mlの濃アンモニア水を加えてpH 12.0以上に調整し、25℃で10時間静置して、金属塩及びPd塩を共沈させた。反応液を遠心分離して、アンモニアを含有する上清から生成した共沈殿物を分離し、水洗した後、120℃で一昼夜乾燥させた。得られた共沈殿物を空気雰囲気下、700℃で5時間焼成し、さらに空気雰囲気下、500℃で2時間焼成して、パラジウム担持触媒を得た。得られたパラジウム担持触媒に含有される担体金属の質量比は、CeO2:ZrO2:Y2O3=68:30:2であり、Pd担持量は、触媒の総質量に対して1質量%であった。
[比較例1-4:Al2O3担体(硝酸塩共沈法)]
73.5 gのAl(NO3)3・9H2Oを100 mlのイオン交換水に溶解させた。この水溶液に、2 gの10質量%のPd(NO3)2水溶液を加えた。その後、この水溶液に、60 mlの濃アンモニア水を加えてpH 12.0以上に調整し、25℃で10時間静置して、アルミニウム塩及びPdコロイドを共沈させた。反応液を遠心分離して、アンモニアを含有する上清から生成した共沈殿物を分離し、水洗した後、120℃で一昼夜乾燥させた。得られた共沈殿物を空気雰囲気下、700℃で5時間焼成し、さらに空気雰囲気下、500℃で2時間焼成して、パラジウム担持触媒を得た。得られたパラジウム担持触媒に含有される担体金属の質量比は、Al2O3 =1であり、Pd担持量は、触媒の総質量に対して1質量%であった。
[パラジウム担持触媒のRL耐久処理]
実施例1-1、並びに比較例1-1、1-2及び1-3のパラジウム担持触媒を、1質量%CO/N2及び10質量%H2O(リッチガス)と5質量%O2/N2及び10質量%H2O(リーンガス)とを300秒間ずつ交互に繰り返す雰囲気下、700℃で5時間加熱処理した。処理後の触媒を、耐久処理後の触媒とした。
[パラジウム担持触媒の硫黄被毒処理]
耐久処理前又は耐久処理後の実施例1-1、並びに比較例1-1、1-2及び1-3のパラジウム担持触媒を、0.15質量% NO; 0.7質量% O2; 0.65質量% CO; 0.1質量% C3H6; 10質量% CO2; 3質量% H2O; 50 ppm SO2からなる硫黄(S)被毒モデルガス雰囲気下、500℃で15分間加熱処理した後、窒素ガスで15分間パージした。処理後の触媒を、S被毒処理後の触媒とした。
[パラジウム担持触媒の触媒活性試験]
パラジウム担持触媒の触媒活性として、NOx浄化活性を試験した。耐久処理前且つS被毒処理後、耐久処理後且つS被毒処理前又は耐久処理後且つS被毒処理後の実施例1-1、並びに比較例1-1、1-2及び1-3のパラジウム担持触媒に、0.51質量% O2; 14.4質量% CO2; 0.41質量% CO; 0.13質量% H2; 0.30質量% C3H6; 0.33質量% NOからなるモデルガスを、550℃の一定温度条件下、10 L/分の流速で流通させた。触媒の下流側のガスに含有されるNOxの濃度をHORIBA MEXA9100Dによって測定し、触媒に流通する前のモデルガスに含有されるNOx濃度から触媒の下流側のガスに含有されるNOxの濃度を減じた値を浄化したNOx濃度として算出した。そして、触媒に流通する前のモデルガスに含有されるNOx濃度に対する浄化したNOx濃度の割合をNOx浄化率(%)とした。結果を図4に示す。
図4に示すように、実施例1-1の触媒は、耐久処理前且つS被毒処理後の試料で72%、耐久処理後且つS被毒処理後の試料で49%のNOx浄化率を示し、S被毒処理後であっても高いNOx浄化活性を有することが明らかとなった。これに対し、蒸発乾固法を用いて調製されたZC系担体を有する比較例1-2の触媒、及び硝酸塩共沈法を用いて調製されたZC系担体を有する比較例1-3の触媒は、耐久処理後且つS被毒処理前の試料では高いNOx浄化活性を有するが、S被毒処理によって顕著にNOx浄化活性が低下した。
[パラジウム担持触媒の形態]
耐久処理後の実施例1-1、並びに比較例1-1及び1-4の触媒の形態を、走査型電子顕微鏡(倍率:100,000倍;加速電圧:2.0 kV)を用いて観察した。なお、耐久処理前の実施例1-1の触媒におけるPd粒子の粒子径は約3 nmであり、耐久処理前の比較例1-4の触媒におけるPd粒子の粒子径は約1 nm以下であった。結果を図5に示す。
図5Aに示すように、実施例1-1の触媒では、大部分のPd粒子が耐久処理後も酸化アルミニウムを含有する粒子(一次粒子)に形成された気孔内に担持されていた。これにより、Pd粒子のシンタリングが抑制されたと考えられる。これに対し、蒸発乾固法を用いて調製されたAl2O3系担体を有する比較例1-1(図5B)、及び硝酸塩共沈法を用いて調製されたAl2O3系担体を有する比較例1-4(図5C)の触媒では、耐久処理によってPd粒子が析出し、シンタリングが進行した。
[パラジウム担持触媒の気孔分布]
実施例1-1並びに比較例1-1及び比較例1-4の触媒の気孔分布を、ガス吸着法によって測定した。対照区として、比較例1-1の調製手順において、Pd(NO3)2水溶液をPdコロイドに変更した他は比較例1-1と同様の手順で調製した触媒を比較例1-1(Pdコロイド使用、Pd外部表面担持品)とした。0.2 gの実施例1-1及び比較例1-4の触媒をそれぞれ秤量し、ガラスセルに入れた。350℃で加熱しながらガラスセル内部を脱気して、触媒に吸着したガスを除去した。その後、この触媒の気孔分布を、アサップ2010(島津製作所)を用いて測定した(測定条件:N2で計測)。結果を図6に示す。
図6に示すように、実施例1-1の触媒のうち、Pdが担体内部に形成された気孔に担持されているものは、Pdが担体外部の表面に担持されている触媒の気孔分布と比較して、9 nm付近の開気孔直径におけるピークが消失していた。この結果は、Pdが担体内部に形成された開気孔に担持され、開気孔が閉鎖されたことによると示唆された。
<2. 排気ガス浄化用触媒の調製>
[合成例2-1:Pd-Al2O3触媒(コロイド共沈法)]
183.8 gのAl(NO3)3・9H2Oを100 mlのイオン交換水に溶解させた。この水溶液に、0.25 gのPdコロイド(Pd粒子径:3 nm;キャタラー社)を含有する12.5 mlのPdコロイド水溶液を加えた(工程S1)。その後、この水溶液に、150 mlの濃アンモニア水を加えてpH 12.0以上に調整し、25℃で10時間静置して、アルミニウム塩及びPdコロイドを共沈させた(工程S2)。反応液を遠心分離して、アンモニアを含有する上清から生成した共沈殿物を分離し、水洗した後、120℃で一昼夜乾燥させた。得られた共沈殿物を空気雰囲気下、700℃で5時間焼成し、さらに空気雰囲気下、500℃で2時間焼成して、パラジウム担持触媒を得た(工程S3)。得られたパラジウム担持触媒に含有される担体金属の質量比は、Al2O3 =1であり、Pd担持量は、触媒の総質量に対して0.5質量%であった。
[合成例2-2:Al2O3担体(沈殿法)]
183.8 gのAl(NO3)3・9H2Oを100 mlのイオン交換水に溶解させた。この水溶液に、150 mlの濃アンモニア水を加えてpH 12.0以上に調整し、25℃で10時間静置して、アルミニウム塩を沈殿させた。反応液を遠心分離して、アンモニアを含有する上清から生成した沈殿物を分離し、水洗した後、120℃で一昼夜乾燥させた。得られた沈殿物を空気雰囲気下、700℃で5時間焼成し、さらに空気雰囲気下、500℃で2時間焼成して、酸化アルミニウムを含有する担体を得た。得られた担体に含有される担体金属の質量比は、Al2O3 =1であった。
[合成例2-3:Pd-Al2O3触媒(蒸発乾固法)]
183.8 gのAl(NO3)3・9H2Oを100 mlのイオン交換水に溶解させた。この水溶液に、150 mlの濃アンモニア水を加えてpH 12.0以上に調整し、25℃で10時間静置して、アルミニウム塩を沈殿させた。反応液を遠心分離して、アンモニアを含有する上清から生成した共沈殿物を分離し、水洗した後、120℃で一昼夜乾燥させた。得られた沈殿物を空気雰囲気下、700℃で5時間焼成した後、2.5 gの10質量%のPd(NO3)2水溶液を含浸させた。その後、空気雰囲気下、500℃で2時間焼成して、パラジウム担持触媒を得た。得られたパラジウム担持触媒に含有される担体金属の質量比は、Al2O3 =1であり、Pd担持量は、触媒の総質量に対して0.5質量%であった。
[合成例2-4:ZC担体(蒸発乾固法)]
73.6 gのZrO(NO3)2・2H2O及び47.8 gのCe(NO3)2・6H2Oを100 mlのイオン交換水に溶解させた後、11.3 gのH2O2を加えた。この水溶液に、3.5 gのY(NO3)3・6H2Oを溶解させた。その後、この水溶液に、400 mlの濃アンモニア水を加えてpH 12.0以上に調整し、25℃で10時間静置して、金属塩を共沈させた。反応液を遠心分離して、アンモニアを含有する上清から生成した共沈殿物を分離し、水洗した後、120℃で一昼夜乾燥させた。得られた共沈殿物を空気雰囲気下、700℃で5時間焼成し、さらに空気雰囲気下、500℃で2時間焼成して、Zr及びCeを含有する担体(ZC担体)を得た。得られたZC担体に含有される担体金属の質量比は、CeO2:ZrO2:Y2O3=68:30:2であった。
[合成例2-5:Pd-ZC触媒(蒸発乾固法)]
73.6 gのZrO(NO3)2・2H2O及び47.8 gのCe(NO3)2・6H2Oを100 mlのイオン交換水に溶解させた後、11.3 gのH2O2を加えた。この水溶液に、3.5 gのY(NO3)3・6H2Oを溶解させた。その後、この水溶液に、400 mlの濃アンモニア水を加えてpH 12.0以上に調整し、25℃で10時間静置して、金属塩を共沈させた。反応液を遠心分離して、アンモニアを含有する上清から生成した共沈殿物を分離し、水洗した後、120℃で一昼夜乾燥させた。得られた共沈殿物を空気雰囲気下、700℃で5時間焼成した後、2.5 gの10質量%のPd(NO3)2水溶液を含浸させた。その後、空気雰囲気下、500℃で2時間焼成して、パラジウム担持触媒を得た。得られたパラジウム担持触媒に含有される担体金属の質量比は、CeO2:ZrO2:Y2O3=68:30:2であり、Pd担持量は、触媒の総質量に対して0.5質量%であった。
[合成例2-6:Rh-ZC触媒(蒸発乾固法)]
73.6 gのZrO(NO3)2・2H2O及び47.8 gのCe(NO3)2・6H2Oを100 mlのイオン交換水に溶解させた後、11.3 gのH2O2を加えた。この水溶液に、3.5 gのY(NO3)3・6H2Oを溶解させた。その後、この水溶液に、400 mlの濃アンモニア水を加えてpH 12.0以上に調整し、25℃で10時間静置して、金属塩を共沈させた。反応液を遠心分離して、アンモニアを含有する上清から生成した共沈殿物を分離し、水洗した後、120℃で一昼夜乾燥させた。得られた共沈殿物を空気雰囲気下、700℃で5時間焼成した後、1 gの10質量%のRh(NO3)2水溶液を含浸させた。その後、空気雰囲気下、500℃で2時間焼成して、ロジウム担持触媒を得た。得られたロジウム担持触媒に含有される担体金属の質量比は、CeO2:ZrO2:Y2O3=68:30:2であり、Rh担持量は、触媒の総質量に対して0.2質量%であった。
[実施例2-1:本発明の排気ガス浄化用触媒]
(1)金属酸化物コート層の調製
50 gの合成例2-2のAl2O3担体、50 gの合成例2-5のPd-ZC触媒及び120 gの精製水を、500 mlポリビーカー中でミキサーを用いて30分間撹拌した。その後、得られた混合物を、ボールミル(MN-11、伊藤製作所)を用いて3時間さらに混合し、スラリーを調製した。その後、前記スラリーを、35 mlセラミックハニカム(直径30 mm×長さ50 mm、400セル/4ミル、NGK製)に均一に流し込んだ。余分なスラリーを拭き取った後、120℃で一晩乾燥させた。その後、空気雰囲気下、500℃で2時間さらに焼成した。得られた金属酸化物コート層の触媒量は、4 g/個となった。
(2)触媒コート層の調製
50 gの合成例2-1のPd-Al2O3触媒、50 gの合成例2-6のRh-ZC触媒及び120 gの精製水を、500 mlポリビーカー中でミキサーを用いて30分間撹拌した。その後、得られた混合物を、ボールミル(MN-11、伊藤製作所)を用いて3時間さらに混合し、スラリーを調製した。その後、前記スラリーを、(1)で調製した金属酸化物コート層作成済みの35 mlセラミックハニカム(直径30 mm×長さ50 mm、400セル/4ミル、NGK製)に均一に流し込んだ。余分なスラリーを拭き取った後、120℃で一晩乾燥させた。その後、空気雰囲気下、500℃で2時間さらに焼成した。得られた触媒コート層及び金属酸化物コート層の総触媒量は、8 g/個となった。
[比較例2-1:従来技術の2層コートを有する排気ガス浄化用触媒]
実施例2-1において、(1)金属酸化物コート層の調製で使用される合成例2-2のAl2O3担体を合成例2-3のPd-Al2O3触媒に、(2)触媒コート層の調製で使用される合成例2-1のPd-Al2O3触媒を合成例2-2のAl2O3担体に、それぞれ変更した他は、実施例2-1と同様の方法で排気ガス浄化用触媒を調製した。すなわち、比較例2-1においては、下層コート層が触媒コート層に、上層コート層が金属酸化物コート層となる。
[比較例2-2:従来技術の単層コートを有する排気ガス浄化用触媒]
実施例2-1において、(1)金属酸化物コート層の調製で使用される合成例2-2のAl2O3担体及び(2)触媒コート層の調製で使用される合成例2-1のPd-Al2O3触媒をいずれも合成例2-3のPd-Al2O3触媒に変更した他は、実施例2-1と同様の方法で排気ガス浄化用触媒を調製した。すなわち、本比較例の触媒は、上層及び下層コートが同一の触媒層(単層)である。
[排気ガス浄化用触媒の触媒活性試験]
排気ガス浄化用触媒の触媒活性として、NOx浄化活性を試験した。実施例2-1、並びに比較例2-1及び2-2の排気ガス浄化用触媒に、0.51質量% O2; 14.4質量% CO2; 0.41質量% CO; 0.13質量% H2; 0.30質量% C3H6; 0.33質量% NOからなるモデルガスを、400℃の一定温度条件下、30 L/分の流速で流通させた。触媒の下流側のガスに含有されるNOxの濃度をHORIBA MEXA9100Dによって測定し、触媒に流通する前のモデルガスに含有されるNOx濃度から触媒の下流側のガスに含有されるNOxの濃度を減じた値を浄化したNOx濃度として算出した。そして、触媒に流通する前のモデルガスに含有されるNOx濃度に対する浄化したNOx濃度の割合をNOx浄化率(%)とした。
[硫黄被毒処理された排気ガス浄化用触媒の触媒活性試験]
実施例2-1、並びに比較例2-1及び2-2の排気ガス浄化用触媒に、前記モデルガスに50 ppmのSO2をさらに添加したS被毒モデルガスを、400℃の一定温度条件下、30 L/分の流速で1時間流通させた。触媒の下流側のガスに含有されるNOxの濃度をHORIBA MEXA9100Dによって測定し、触媒に流通する前のモデルガスに含有されるNOx濃度から触媒の下流側のガスに含有されるNOxの濃度を減じた値を浄化したNOx濃度として算出した。そして、触媒に流通する前のモデルガスに含有されるNOx濃度に対する浄化したNOx濃度の割合をNOx浄化率(%)とした。
S被毒処理前又は後の実施例2-1、並びに比較例2-1及び2-2の排気ガス浄化用触媒のNOx浄化率(%)を図6に示す。
図6に示すように、Pdが上層コート(触媒コート層)に含有される実施例2-1の排気ガス浄化用触媒は、Pdが下層コート(触媒コート層)に含有される比較例2-1の排気ガス浄化用触媒と比較して高いNOx浄化活性を有することが明らかとなった。また、従来技術の蒸発乾固法で調製された合成例2-3のPd-Al2O3触媒を単層コートの形態で含有する比較例2-2の排気ガス浄化用触媒は、S被毒処理によりNOx浄化活性が大幅に低下したが、本発明のコロイド共沈法で調製された合成例2-1のPd-Al2O3触媒を上層コート(触媒コート層)に含有する実施例2-1の排気ガス浄化用触媒は、S被毒処理後であっても高いNOx浄化活性を有することが明らかとなった。
本発明により、製造直後の時点から高い触媒活性を発揮でき、且つ長期に亘る運転の後でも硫黄被毒による触媒活性の低下を実質的に抑制しつつ高い触媒活性を維持できるパラジウム担持触媒を得ることが可能となる。本発明のパラジウム担持触媒を用いることにより、自動車触媒用途のような高温の還元条件下であってもパラジウムの粒子がシンタリングすることなく、長期に亘って高い触媒活性を発揮することが可能となる。
10…パラジウム担持触媒
11…酸化アルミニウムを含有する粒子(一次粒子)
12…担体(二次粒子)
13…パラジウムの粒子
14…気孔(開気孔)
15…開放口
16…気孔(閉気孔)
20…排気ガス浄化用触媒
21…基材
22…金属酸化物コート層
23…触媒コート層
24…パラジウム担持触媒

Claims (3)

  1. 酸化アルミニウムを含有する粒子が凝集して形成された担体と、該担体の内部に位置する、前記粒子の表面に担持されたパラジウムの粒子とを含むパラジウム担持触媒。
  2. 基材と、基材の最表面に、請求項1のパラジウム担持触媒を含有する触媒コート層とを有する、排気ガス浄化用触媒。
  3. 前記基材と触媒コート層との間に、酸化アルミニウムを含有する金属酸化物コート層を更に含む、請求項2の排気ガス浄化用触媒。
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