JP2013165604A - モーターコアの粉体塗装方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 モーターコアのスロット1bの間隔が狭くても、スロット1bの奥まった箇所まで均一な膜厚で塗装が行え、しかも吹き付けエアーによる吹き飛ばしがなく、均一な膜厚の厚膜塗装が行えるモーターコアの粉体塗装方法を提供する。
【解決手段】 粉体塗料が収容された粉体容器11内に流動エアー13を供給することにより、粉体容器11内に粉体塗料の流動層11aを形成し、この粉体塗料の流動層11aの上面又は内部に、摩擦帯電した粉体塗料を吹き入れて摩擦帯電した粉体塗料と流動層11aの粉体塗料とを混合することにより、粉体塗料の流動層11aの上部に、摩擦帯電した粉体塗料と流動層11aの粉体塗料とが、霧化状態で漂う霧化層11bを形成し、上記粉体容器の上面にモーターコアを設置し、このモーターコアのスロット1bに霧化層11bの粉体塗料を通過させ、モーターコアのスロット1bの内面に粉体塗料を付着させるようにした。
【選択図】図3

Description

この発明は、自動車の駆動用モーター等のステーターやローターといったモーターコアの絶縁塗装を、粉体塗料を使用して行う粉体塗装方法に関するものである。
粉体塗装は、有機溶剤を含まず、被塗装物に付着しなかったオーバースプレー粉を回収して再使用することができるので、環境にやさしい塗装として、近年多くの製品に採用されている。
当初はガードレール、フェンスなどの道路資材から始まり、冷蔵庫、エアコンの室外機等、家庭内で使用する製品にも多く採用されている。最近は、学校の椅子や机、病院のパーテーションの塗装にも多く用いられている。
ところで、自動車には、パワーウィンドウ、カーミラー、ドアロック、ヘッドライト、ステアリングロック、パワーシート、シートベルト、電動パーキングブレーキ、トランスファーの他、コックピット、エンジン周辺等に一台当たり100〜200個の小型モーターが使用されている。
また、駆動用モーターを使用するハイブリット車や電気自動車も年々増加している。
この種のモーターのステーターやローターといったモーターコアは、励磁コイルを巻装するための多数のスロットが円周方向に等間隔で形成され、励磁コイルを巻装するスロットの内面には、絶縁塗装が施される。
従来、このモーターコアの絶縁塗装を粉体塗装によって行うことが特許文献1や特許文献2に開示されている。
特開平09−51660号公報 特開平09−38529号公報
上記特許文献1の塗装方法は、摩擦帯電ガンを使用した塗装方法であるが、特に、スロットの間隔が狭い小型モーターの場合、スロットの入り口部分に粉体塗料が詰まりやすく、スロットの入り口が閉塞されて、スロットの奥まった箇所まで均一な膜厚で塗装が行えないという問題があった。
また、摩擦帯電ガンは、粉体塗料を摩擦帯電させるために、強い搬送エアーによって摩擦帯電ガン内部の非導電性チューブ内を勢いよく通過させている。このため、摩擦帯電ガンを使用して塗装を行う場合、被塗装面には、帯電した粉体塗料が、搬送エアーと共に強く吹き付けられるため、被塗装物に付着した粉体塗料がエアーによって吹き飛ばされ、被塗装物にスケが発生したり、ピンホールが発生したりする。
また、自動車の駆動用モーターの場合には、耐電圧の違いによって、モーターコアの絶縁塗装の要望膜厚が異なり、150μm以上の厚膜も必要となるが、特許文献1や特許文献2に開示された粉体塗装方法では、均一な膜厚の厚膜塗装が行えない。
そこで、この発明は、スロットの間隔が狭くても、スロットの奥まった箇所まで均一な膜厚で塗装が行え、しかも吹き付けエアーによる吹き飛ばしがなく、均一な膜厚の厚膜塗装が行えるモーターコアの粉体塗装方法を提供することを課題とする。
前記の課題を解決するために、この発明は、粉体塗料が収容された粉体容器内に流動エアーを供給することにより、粉体容器内に粉体塗料の流動層を形成し、この粉体塗料の流動層の上面又は内部に、摩擦帯電した粉体塗料を吹き入れて摩擦帯電した粉体塗料と流動層の粉体塗料とを混合することにより、粉体塗料の流動層の上部に、摩擦帯電した粉体塗料と流動層の粉体塗料とが、霧化状態で漂う霧化層を形成し、上記粉体容器の上面にモーターコアを設置し、このモーターコアのスロットに霧化層の粉体塗料を通過させ、モーターコアのスロットの内面に粉体塗料を付着させるようにしたものである。
上記モーターコアは、粉体容器の上面で回転又は間欠回転させてもよい。
上記粉体塗料の流動層の上面又は内部に、摩擦帯電した粉体塗料を吹き入れた後、粉体容器内にエアーのみを吹き入れるようにしてもよい。
上記粉体容器内の流動層を形成する粉体塗料の粒度分布と、流動層の上面又は内部に吹き入れる、摩擦帯電した粉体塗料の粒度分布とを異ならせてもよい。
上記モーターコアのスロットに霧化層の粉体塗料を通過させて、モーターコアのスロットの内面に粉体塗料を付着させる工程を、通過させる粉体塗料の粒度を変えて複数回行ってもよい。
この発明のモーターコアの粉体塗装方法は、摩擦帯電させた粉体塗料を、粉体塗料が流動状態で収容されている粉体容器内に吹き入れて、粉体容器内の流動層の粉体塗料と混合させることにより、吐出エアーを弱め、流動層の上方に、摩擦帯電した粉体塗料と流動層の粉体塗料とが、霧化状態で漂う霧化層を形成し、霧化状態の粉体塗料をモーターコアのスロットの隙間を通過させている。
スロットの隙間を通過する粉体塗料は、霧化状態で、粉体塗料の塊や、高濃度の部分もないため、スロットの狭い隙間を閉塞することもなく、スロットの奥深くまで進入する。そして、吐出エアーによる吹き飛ばしもないので、スロットの壁面に均一な厚みで付着し、塗装面にスケも生じない。
(a)は、ステーターの平面図、(b)は中央縦断斜視図である。 ローターの平面図である。 この発明の第1例の概略平面図である。 粉体容器に差し込む吐出ノズルの設置例を示す部分断面図である。 粉体容器に差し込む吐出ノズルの設置例を示す部分断面図である。 粉体容器に差し込む吐出ノズルの設置例を示す部分断面図である。 (a)(b)は吐出ノズルの変更例を示す分断面図である。 スペーサーの斜視図である。 補助スペーサーの斜視図である。 この発明の第2例の概略平面図である。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
この発明は、モーターコアの絶縁塗装方法である。
図1のモーターコアは、ステーター1であり、図2のモーターコアは、ローター2であり、以下、ステーター1を例にして説明する。
図1のステーター1は、直径が110mmφ、高さ100mmの円筒形状で、図1(a)に示すように、内周面に、励磁コイルを巻装するための多数のティース1aが円周方向に等間隔で形成され、ティース1a間にスロット1bを有し、ティース1aの外周にバックヨーク1cを有する。
また、ティース間の間隔、即ち、スロット1bの幅は、2.0〜2.5mmであり、奥行きは15mmである。
この発明の第1例は、スロット1bの内面に、要望膜厚が150μmの絶縁被膜を形成するものである。
第1例では、粉体塗料として、粒度分布55μmの東亜合成(株)製のエポキシ系粉体塗料を使用する。
この第1例では、図3に示すように、底面の多孔質材料12を介して流動エアー13が供給される粉体容器11を使用する。多孔質材料12は、高分子ポリエチレン製の多孔板を使用したが、多孔板の代わりにキャンパス等を使用してもよい。
流動エアー13は、除湿・除油されたコンプレッサーエアーであり、多孔質材料12によって均一な分散エアーが粉体容器11内に供給される。
粉体容器11内には、粉体塗料が収容されている。粉体容器11内の粉体塗料は、底面からの流動エアー13によって液体のような状態で流動する流動層11aを形成している。
粉体容器11の材質は、塩ビ系の非導電性樹脂を使用している。
粉体容器11の上部には、被塗装物であるステーター1の設置台14を設け、この設置台14に、ステーター1の中心軸を、円筒形状の粉体容器11の中心軸に合せて設置する。
粉体容器11には、摩擦帯電ガン15の多数本に分岐された吐出ノズル16が差し込まれ、この吐出ノズル16から摩擦帯電した粉体塗料が粉体容器11内に供給されている。粉体容器11の流動層11aの粉体塗料は、吐出ノズル16から吐出された摩擦帯電した粉体塗料と混合され、流動層11aの上方に、摩擦帯電した粉体塗料と流動層11aの粉体塗料とが、霧化状態で漂う霧化層11bが形成される。
吐出ノズル16は、粉体容器11の周囲に24本配置されている。24本の吐出ノズル16は、等間隔に水平に粉体容器11の中心に向かって配置されている。吐出ノズル16の位置は、粉体容器11の流動層11aの上面より5〜50mm上に、第1例では、上面から10mmの位置に吐出ノズル16を設置している。
吐出ノズル16から吐出する粉体塗料は、第1例では、吐出量80g/minで、均一に分散されている。この吐出される粉体塗料は、摩擦帯電ガン15内で非導電性樹脂、例えば4弗化エチレンと接触して摩擦帯電している。
ステーター1を載置する設置台14の中心部には、ステーター1の最大径よりやや小さい円形の開口部17を設けている。設置台14に載置したステーター1の上部には、吸引フード18が設置され、ステーター1の設置台14に中心に設けた開口部17から霧化層11bの粉体塗料が引き出されている。
粉体容器11の上面の開口部17からは流動層11aの粉体塗料と摩擦帯電した粉体塗料とが混合状態で引き出され、引き出された粉体塗料が、ステーター1の内面、スロット1bの隙間を通過し、ステーター1の内面及びスロットの1b内壁面に付着する。
吸引フード18によって回収された粉体塗料は、集塵機19を経て塗料タンク20に送られて再利用に供される。
第1例では、スロット1bの内壁面に付着する粉体塗料の膜厚の均一性を図るために、ステーター1を設置台14上で、間欠的に3回に分けて、120度ずつ回転させ、1回当たり15秒間、合計45秒間塗装を行った。
この発明の塗装方法における重要ポイントは、吐出ノズル16から吐出した粉体塗料が、吐出エアーと共に、被塗装物に直接当たらないようにしている点である。即ち、この発明では、吐出ノズル16から吐出した粉体塗料を、一旦、粉体容器11内の流動層11aの粉体塗料と混合させることにより、吐出エアーを弱め、流動層11aの上方に、摩擦帯電した粉体塗料と流動層11aの粉体塗料とが、霧化状態で漂う霧化層11bを形成し、霧化状態の粉体塗料をステーター1の設置台14の開口部17からステーター1の内面、スロット1bの隙間を通過するようにして、吐出ノズル16からの吐出エアーが直接スロット1bの隙間に入らないようにしている。スロット1bの隙間を通過する粉体塗料は、霧化状態で、粉体塗料の塊や、高濃度の部分もないため、スロット1bの狭い隙間を閉塞することもなく、スロット1bの奥深くまで進入する。そして、吐出エアーによる吹き飛ばしもないので、スロット1bの壁面に均一な厚みで付着し、塗装面にスケも生じない。
第1例では、粉体容器11に挿入する吐出ノズル16の位置を、粉体容器11内の粉体塗料の流動層11aの上面から10mmにし、被塗装物のステーター1の下面までの距離を80mmにして塗装を行った。
第1例では、吐出ノズル16を流動層11aの上面に対して水平に向けて配置したが、吐出ノズル16の向きは、水平、斜め下方、斜め上方に組合せて配置してもよい。
吐出ノズル16の向きを、流動層11aの上面に対して、図3に示すように、水平に、あるいは図4に示すように、斜め上方に向けると、流動層11aの上面から霧状に粉体塗料が立ち昇り難く、反対に、図5に示すように、斜め下方に向け、あるいは、図6に示すように、吐出ノズル16を流動層11a内に挿入すると、流動層11aの上面から霧状に粉体塗料が立ち昇り易くなる。したがって、吐出ノズル16の向きや挿入位置を適宜変更することにより、霧化層11bに含まれる粉体塗料の濃度を調整することができる。
吐出ノズル16は、図7(a)(b)に示すように、向きを自在に変えることができる構造にしてもよい。
霧化層11bに含まれる粉体塗料の濃度調整は、吐出ノズル16の向きの他、吐出ノズル16から吐出される搬送エアーの量、流動エアー13の量によって行うことができる。
また、粉体容器11の上方には、霧化層11bの粉体塗料の濃度を調整するために、ダンパー21を備えた排気ダクト22が設けられ、排気ダクト22は吸引フード18に接続されている。
ステーター1を設置台14の上面に直接載置すると、ステーター1の入り口の膜厚、特にエッジ部と端面部の膜厚が厚くなる。この膜厚を調整するために、第1例では、設置台14の上面とステーター1の底面との間に、図8に示す形状のスペーサー23を設置している。このスペーサー23は、ステーター1の開口と同様の形状の開口を有する。
図8に示す例では、ステーター1の端面と同じ寸法にて製作をしたが、被塗装物の形状、大きさ、要求膜厚によってはその寸法を調整してもよい。
また、スペーサー23の形状は、リング状でもよく、その形状は特に限定しない。
スペーサー23の材質は、ナイロン系の非導電性樹脂を使用した。材質に関しては導電、または半導電性の樹脂、金属を使用してもよい。
また、第1例では、スペーサー23とステーター1との間に、図9に示す形状の補助スペーサー24を配置している。この補助スペーサー24は、ステーター1の端面部の膜厚を調整することが主目的であり、スペーサー23とステーター1の隙間が狭くなると、端面部の膜厚は薄くなる。
また、ステーター1の大きさ、及びスロット1bの隙間、深さによって、補助スペーサー24の肉厚を調整してもよい。
第1例では、補助スペーサー24は、厚さ1mmの金属製のものを使用したが、厚さ、材質(例えば半導体、非導電性の樹脂、金属)は自由に選定してもよい。
また、ステーター1の上方の端面部に関しても、スペーサー23及び補助スペーサー24を使用してもよい。
第1例では、塗装をステーター1の片側から行うことによって、均一な塗膜を得ることができたが、被塗装物の形状(モーターコアの大きさ、高さなど)によっては上下を反転して、再度塗装を行なってもよい。
第1例では、ステーター1を120度ずつ間欠的に回転させながら塗装を行ったが、ステーター1を連続回転させながら塗装を行なってもよいし、静止状態で塗装を行なってもよい。
一般に塗装時は、静電塗装のため接地(アース)をしているが、それ以外は接地していないのが一般的である。塗装完了後の塗膜硬化のためにステーター1を例えば、移載装置にて移動し、誘導加熱装置にて加熱中または、塗膜がメルトするまでは連続接地することが望ましい。その理由は、第1例では、要求膜厚が150μmと厚膜である。粉体塗装による膜厚が厚くなると塗膜面部の付着状態が弱くなっている。そのために、接地を解除すると、付着した粉体塗料が、剥離して脱落することがある。特に、被塗装物であるステーター1は、薄い鉄板を積み重ねて形成されているので、接地の解除時に、ステーター1内の電荷が不安定になり、安定に向けて静電反発に似た現象が起こりやすいためであると考えられる。
第1例では、粉体容器11の材質は、非導電性樹脂を使用したが、導電性材質の金属、樹脂でもよい。なぜなら、粉体容器内に吹き込まれる粉体塗料は、例えば、非導電性樹脂と摩擦を行なうことにより、塗料粒子自体に電荷を持っている。そのため、粉体容器が導電性であっても、粉体塗料の電荷の移動を妨げるためである。
粉体容器は、第1例では、円筒形にしたが、楕円筒形、角形など形状でもよい。
第1例では、膜厚の安定化の目的で、粉体容器11内の流動槽11aの高さを一定にするために、粉体容器11に、オーバーフロー用スリット25を設置している。オーバーフロー用スリット25から自然落下した粉体塗料は、塗料タンク20内に戻される。また、反対に、粉体容器11内の流動槽11aの粉体塗料を一定レベルに保ち、粉体容器内の流動槽の粉体塗料のレベルが減少しないように、粉体容器にレベラー26を設置し、レベラー26により、塗料搬送装置を作動させて、粉体容器11内の塗料量を一定にしている。
第1例では、オーバーフロー用スリット25と、レベラー26を使用したが、別な方法として、塗料タンク20から絶えず粉体容器11内に、粉体塗料を供給し、オーバーフロースリット25から絶えず粉体塗料を自然落下させて、流動槽11aの粉体塗料面を一定にさせてもよい。
また、第1例では、被塗装物であるステーター1は、常温で塗装を行なったが、ステーター1をあらかじめ予熱をして塗装を行なってもよい。その理由は、ステーター1は、一般に0.1〜0.5mmの鋼鈑を積み重ねで形成しているので、鋼鈑の隙間に空気が存在する。このため、塗装を行なった後に、急速に加熱を行なうと、粉体塗料のメルト中に塗膜を突き破って、空気が表面に出て、ピンホールが多く発生し、絶縁塗膜としての効果がなくなる。したがって、ステーター1を予熱することにより、塗装時に塗膜を硬化(または半硬化)させることにより、ピンホールを押さえることができる。
この発明の第1例により、ステーター1の塗装実験を行った結果を表1、表2に示す。
膜厚の測定点は、図1(a)(b)の黒丸A〜Dの上下4個所で、スロット1bの黒丸a〜hの8点であり、各数値は全スロット1bの各平均値(μm)を示している。
Figure 2013165604
Figure 2013165604
次に、この発明の第2例について図10に基づいて説明する。
被塗装物であるモーターコアは、第1例と同様に、ステーター1であるが、この第2例の場合、要望膜厚が、第1例よりも厚い200〜250μmである。
この第2例の粉体容器11も、第1例と同様に円筒形をしているが、第1例との相違点は、吐出ノズル16が、第1例の場合、粉体容器11の流動層11aの上面よりも少し上方に配置したが、第2例では、図10に示すように、吐出ノズル16を流動層11aの上面よりも下に配置している。また、吐出ノズル16は、第1例のように、粉体容器11の中心部に向かって吐出するのではなく、吐出ノズル16の方向は図7に示すように、自在に調整可能となっており、第2例では、塗料面に対し水平で中心に向かって30度の角度に配列し、粉体容器11内で吐出した粉体塗料が、渦巻状に回転する構造にしている。
この第2例でも、第1例と同様に、ステーター1は、粉体容器11の上部の設置台14のスペーサー23の上部に設置している。
この第2例では、粉体容器11内で、吐出ノズル16から吐出された摩擦帯電した粉体塗料と粉体容器11内の流動層11aの粉体塗料とが混合され、しかも混合された粉体塗料が、渦巻状に霧化しながらクラウド状態の霧化層11bを形成しながら、上昇して、ステーター1内を通過する。
第2例では、吐出ノズル16が粉体容器11内の流動層11a内に配置されているため、第1例よりも、吐出ノズル16からの吐出エアーが流動層11a内で分散されてエネルギーが消費されるため、粉体塗料がステーター1内を通過する際のエアーの影響も第1例よりも少なく、第1例よりも厚膜の塗膜を形成することができる。
また、この第2例では、ステーター1の中心部に、逆さ円筒錐形の整流ジグ(マスキング)27を上方から挿入し、塗装の際に、ステーター1の中心部に沿って下限から上限に移動させている。この整流ジグ27をステーター1の中心部に挿入することにより、ステーター1の中心部を渦巻き状に回転しながら、通過する霧化状態の粉体塗料を、スロット1bの隙間からスロット1b内に導くことができるので、スロット1bを通過する霧化状態の粉体塗料の濃度が向上し、スロット1b内に付着する粉体塗料の量が多くなり、第1例よりも厚膜の塗装が行える。
整流ジグ27の形状は、ステーター1の中心部の形状に合わせて、逆さ円筒錐形以外の円筒柱形でもよい。
また、整流ジグ27は、塗装の際に、上記第2例では、下方から上方に移動させたが、塗装時に停止した状態にしてもよい。
オーバースプレー粉は、スロット1b上部から排気フード18に回収され再使用される。
第2例では、第1例のように、ステーター1を回転させることなく、塗装を行った。
そして、吐出ノズル16からの粉体塗料の吐出量を、100g/minで、吐出時間を60秒にして、塗装実験を行ったところ、表3、表4に示すように、スロット1bの内面に、膜厚の中心が230μmである塗装が行えた。
Figure 2013165604
Figure 2013165604
このスロット1bの内面に付着した粉体塗料の量は、吐出ノズル16から吐出した粉体塗料の量の約2〜2.3倍ある。このことから、スロット1bの内面に付着する粉体塗料は、摩擦帯電により電荷を持った粉体塗料以外に、粉体容器11内の流動層11aの粉体塗料もスロット1bの内面に付着しているものと考えられる。
この第2例でも、第1例と同様に、流動槽11a内の粉体塗料の高さを一定にするために、粉体塗料のオーバーフロー用スリット25と、レベラー26を設置している。
次に、この発明の第3例について説明する。
被塗装物であるモーターコアは、第1例、第2例と同様に、ステーター1であるが、この第3例の場合、要望膜厚が、第1例、第2例よりも厚い250〜300μmである。
塗装方法及び設備は、第2例と同様である。
膜厚を厚くする場合には、粉体塗料の粒径は大きくするのが一般的であり、この第3例でも、粉体塗料として、第2例よりも平均粒径が大きい、平均粒径65μmのものを使用した。吐出量は、120g/min、塗装時間は60秒である。
絶縁塗装を粉体塗装で行う場合、スロット1bの内面、特に、エッジ部の膜厚の保持が重要であるが、膜厚が厚くなると、焼付け後の塗膜肌に、凹凸が多く見られる。この凹凸が大きくなり、膜厚の均一性がなくなると、特に、凹部の耐電圧に影響がでることが考えられる。
このため、塗膜肌の凹凸を少なくするために、第3例では、吐出ノズル16から粉体塗料を吐出して、塗装が終了した時点で、吐出ノズル16からエアーだけを吐出させるようにしている。
このように、吐出ノズル16から粉体塗料を吐出した後に、流動槽11a内にエアーを吹き込むと、流動層11aの上部の霧化層11bが、エアーの多いクラウド状態になる。このエアーリッチな霧化層11bにより、塗装面の凹凸面部に微粉が付着し、塗膜の平滑性が向上する。
塗装が終了した時点で、吐出ノズル16からエアーを20秒間吐出した第3例で塗装実験を行った結果を、表5、表6に示す。
Figure 2013165604
Figure 2013165604
次に、この発明の第4例について説明する。
被塗装物であるモーターコアは、この第3例の場合と同様に、要望膜厚が、第1例、第2例よりも厚い250〜300μmである。
この第4例は、粉体容器11内に、平均粒径の大きい粉体塗料を吹き入れて1回目の塗装を行った後に、平均粒径の小さい粉体塗料を吹き入れて、2回目の塗装を行うというものである。
即ち、この第4例では、吐出ノズル16から平均粒径75μmの粉体塗料を吐出量100g/minで50秒間吐出を行った後に、同じ吐出ノズル16から平均粒径35μmの粉体塗料を吐出量60g/minで20秒間吐出を行なった。
この第4例の塗装実験の結果は、表7、表8の通りである。
Figure 2013165604
Figure 2013165604
第4例において、粒径の異なる粉体塗料を吐出するには、2つの塗料タンクを用意し、2つの塗料タンクから交互に切り替えて同じ吐出ノズル16から粉体塗料を供給してもよいし、平均粒径75μmの粉体塗料を吐出する粉体容器11を備える第1の塗装装置と、平均粒径が35μmの粉体塗料を吐出する粉体容器11を備える第2の塗装装置を別個に用意し、それぞれの塗装装置で順番に塗装を行うようにしてもよい。
次に、この発明の第5例について説明する。
被塗装物であるモーターコアは、この第4例よりも、要望膜厚が厚い300μm以上である。
この第5例の塗装装置は、第3例の塗装装置と同様であり、粉体塗料は、第4例と同じ、平均粒径75μmのものを使用して塗装を行ったところ、スロット1bの付け根部のコーナー部に、ピンホールに近い薄い膜厚箇所が発生した。
その原因としては、モーターコアのステーター1が、薄い鋼板を積み重ねて形成されたものであるため、積み重ね部には微細な隙間があり、粒度分布が大きいと粉体塗料の粒度同士の凹凸による膜厚差が生じるためであると考えられる。
このため、第5例では、平均粒径の異なる2種類の粉体塗料を使用し、2段階に分けて塗装を行うようにした。
まず、第1段階の塗装として、吐出ノズル16を粉体容器11の流動層11aの上方に設置した第1例と同様の塗装装置を使用して、平均粒度分布45μmの粉体塗料で塗装を行なった。
この第1段階の塗装では、被塗装物であるステーター1を回転させずに固定した状態のまま、ステーター1の中心孔に逆円筒錐形の整流ジグ27を差し入れ、整流ジグ27を下から上に徐々に引き上げながら塗装を行なった。
この第1段階の塗装での粉体塗料吐出量は、80g/minとして、45秒間塗装を行い、その後、膜厚を硬化し、その膜厚を計測すると130μm付近であった。そして、スロット1bの付け根コーナー部の膜厚も平滑であった。
この後、第2段階の塗装として、吐出ノズル16を粉体容器11の流動層11aの内部に設置した第2例と同様の塗装装置を使用して、平均粒度分布75μmの粉体塗料で塗装を行なった。
第2段階の塗装では、吐出ノズル16は、流動層11aの上面に水平で中心に向かって35°の角度で等間隔に並んでおり、吐出ノズル16の先端が流動層11aの上面よりも下方に設置されている。第1段階の塗装と同様に、被塗装物であるステーター1を回転させずに固定した状態のまま、ステーター1の中心孔に逆円筒錐型の整流ジグ27を差し入れ、整流ジグ27を下から上に徐々に引き上げながら塗装を行なった。
この第2段階の塗装での粉体塗料吐出量は、100g/minとして、50秒間塗装を行い、その後、膜厚を硬化し、その膜厚を計測すると330μm付近であった。
第5例の塗装方法においては、被塗装物のアースは、第1段階、第2段階の塗装、その後の高周波による硬化作業まで、継続して行なった。
第5例の塗装実験の結果を、表9、表10に示す。
Figure 2013165604
Figure 2013165604
次に、この発明の第6例について説明する。
被塗装物であるモーターコアは、この第5例と同じ、要望膜厚が厚い300μm以上である。
第5例では、2つの塗装装置を使用して塗装を行ったが、第6例では、1つの塗装装置を使用して塗装を行う。
この第6例では、粉体容器11の流動層11aの粉体塗料の粒度と、吐出ノズル16から粉体容器11内に吐出する粉体塗料の粒度を異ならせている。
具体的には、流動槽11a内の粉体塗料は、平均粒度45μmのものを使用し、吐出ノズル16から粉体容器11内に吐出する粉体塗料の平均粒度75μmのものを使用した。
この第6例でも、第5例と同様に、被塗装物であるステーター1を回転させずに固定した状態のまま、ステーター1の中心孔に逆円筒錐型の整流ジグ27を差し入れ、整流ジグ27を下から上に徐々に引き上げながら塗装を行なった。
この第6例では、吐出量は120g/minで、45秒間塗装を行い、その後、被塗装物であるステーター1の上下をひっくり返して、その後同様の吐出量、時間にて塗装を繰り返した。
なお、被塗装物であるステーター1の上下をひっくり返す間も、被塗装物に対する接地(アース)は継続する。
第6例の塗装実験の結果を、表11、表12に示す通りであり、膜厚が320μm以上で、スロット1の付け根の塗膜は流動分布の小さい粉体塗料が混入しているために、ピンホールもなく、平滑な塗膜が得られた。
Figure 2013165604
Figure 2013165604
1 ステーター
1a ティース
1b スロット
1c ヨーク
2 ローター
11 粉体容器
11a 流動層
11b 霧化層
12 多孔質材料
13 流動エアー
14 設置台
15 摩擦帯電ガン
16 吐出ノズル
17 開口部
18 吸引フード
19 集塵機
20 塗料タンク
21 ダンパー
22 排気ダクト
23 スペーサー
24 補助スペーサー
25 オーバーフロー用スリット
26 レベラー
27 整流ジグ

Claims (5)

  1. 粉体塗料が収容された粉体容器内に流動エアーを供給することにより、粉体容器内に粉体塗料の流動層を形成し、この粉体塗料の流動層の上面又は内部に、摩擦帯電した粉体塗料を吹き入れて摩擦帯電した粉体塗料と流動層の粉体塗料とを混合することにより、粉体塗料の流動層の上部に、摩擦帯電した粉体塗料と流動層の粉体塗料とが、霧化状態で漂う霧化層を形成し、上記粉体容器の上面にモーターコアを設置し、このモーターコアのスロットに霧化層の粉体塗料を通過させて、モーターコアのスロットの内面に粉体塗料を付着させることを特徴とするモーターコアの粉体塗装方法。
  2. 上記モーターコアを粉体容器の上面で回転又は間欠回転させることを特徴とする請求項1記載のモーターコアの粉体塗装方法。
  3. 上記粉体塗料の流動層の上面又は内部に、摩擦帯電した粉体塗料を吹き入れた後、粉体容器内にエアーのみを吹き入れることを特徴とする請求項1又は2記載のモーターコアの粉体塗装方法。
  4. 上記粉体容器内の流動層を形成する粉体塗料の粒度分布と、流動層の上面又は内部に吹き入れる、摩擦帯電した粉体塗料の粒度分布とを異ならせた請求項1〜3のいずれかに記載のモーターコアの粉体塗装方法。
  5. 上記モーターコアのスロットに霧化層の粉体塗料を通過させて、モーターコアのスロットの内面に粉体塗料を付着させる工程を、通過させる粉体塗料の粒度を変えて複数回行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のモーターコアの粉体塗装方法。


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KR101825934B1 (ko) * 2016-11-15 2018-02-08 주식회사 이코블록 유기물 균일 코팅장치
CN110328075A (zh) * 2019-07-31 2019-10-15 桂林金鹰乳胶技术有限公司 一种用于避孕套电检线的喷油装置
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CN116827067A (zh) * 2023-05-10 2023-09-29 南京星辉机电科技有限公司 一种用于电机外壳喷漆的防护装置

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