JP2013165144A - Mos構造の製造方法 - Google Patents

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裕一 原田
永輔 ▲徳▼光
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Abstract

【課題】大がかりな装置を用いることなく大量生産ができる状態で、GaAsなどの化合物半導体層と絶縁層との界面における界面特性の悪化が抑制できるようにする。
【解決手段】ステップS101で、GaおよびAsを含む化合物半導体からなる半導体層を形成する。次に、ステップS102で、半導体層の表面に粒子線を照射する。この粒子線の照射では、窒素、アンチモン、およびリンより選択した原子のラジカルを照射する。次に、ステップS103で、粒子線を照射した半導体層の上に絶縁層を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えばGaAsなどの化合物半導体層を用いたMOS構造を製造するMOS構造の製造方法に関するものである。
GaAsなどのIII−V族化合物半導体は、次世代の集積回路用半導体材料として期待されている。しかしながら、この化合物半導体を用い、半導体層の上に絶縁層を介して電極(金属)を設けたMOS構造を形成する場合、絶縁層と半導体層との界面特性が悪く、良好な動作が得られないという問題がある。
界面特性が良好でない原因としては,化合物半導体層の表面に存在する酸化膜,表面欠陥,表面不純物などが考えられる。GaAsの場合には,表面酸化膜としてGa23およびAs23などが存在する。これらの酸化膜は、塩酸(HCl)やリン酸(H3PO4)などの酸を用いることで除去することは可能である。しかしながら、これらの酸化膜を除去した後に、GaAsから分離した単体元素のGaおよびAsが残ることが考えられる。
電気陰性度で比べると、Gaは1.81,Asは2.18であり、GaはAsと比べると若干正に帯電する。このため、例えば、GaAs層の表面に残存する酸素(電気陰性度3.44)は、Gaと結合しやすい。従って、GaAs層の表面に単体元素として存在するのはAsが多いことになり、この単体元素のAsが、界面特性を劣化させる要因と考えられている。
例えば、GaAs層でMOS構造を形成した場合、絶縁層を介して配置されている電極にゲート電圧を加えると、絶縁層とGaAs層との界面に存在するAsが、まずは電子を捕獲する。このために、絶縁層とGaAs層との界面に誘起される電荷が実効的に減少し、GaAs層中のキャリア濃度変調は弱くなる。
上述したような半導体層と絶縁層との界面に単独元素として存在するAsを不活性化する手法として、まず、第1に、硫化水素などを用いた表面保護処理がある(非特許文献1参照)、また、第2に、シリコンの原子層を、半導体層と絶縁層との間に界面層(interfacial layer)として挿入する技術がある(非特許文献2参照)。同様に、ゲルマニウムまたはアルミニウムなどの金属の原子層を界面層として、半導体層と絶縁層との間に挿入する技術もある。また、第3に、半導体層の表面が汚染される前に(Ga、Gd)23絶縁層を分子線エピタキシー(MBE)法で成長させる技術も提案されている(非特許文献3参照)。
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しかしながら、上述した各技術においては、以下に示すような問題がある。
まず、第1の技術および第2の技術では、p型GaAsやp型InGaAsへの適用の有用性が確認されているが、n型GaAsやn型InGaAsについては効果が小さい。また、第3の技術では、良好な界面を得られる手法ではあるが、成長した化合物半導体を大気暴露せずMBE法で作製しなければならないために、装置が大がかりとなり、かつ量産には向かないために工業生産には適さないという大きな欠点がある。このようなことから、n型GaAsやn型InGaAsに適応できるような新しい手法が求められている。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、大がかりな装置を用いることなく大量生産ができる状態で、GaAsなどの化合物半導体層と絶縁層との界面における界面特性の悪化が抑制できるようにすることを目的とする。
本発明に係るMOS構造の製造方法は、GaおよびAsを含む化合物半導体からなる半導体層を形成する工程と、半導体層の表面に粒子線を照射する工程と、粒子線を照射した半導体層の上に絶縁層を形成する工程と、絶縁層の上に電極を形成する工程とを少なくとも備え、粒子線の照射では、窒素、アンチモン、およびリンより選択した原子のラジカルを照射する。
上記MOS構造の製造方法において、粒子線の照射では、砒素が解離する温度に半導体層を加熱するとよい。なお、半導体層は、GaAs層であればよい。
以上説明したように、本発明によれば、窒素、アンチモン、およびリンより選択した原子のラジカルを照射するようにしたので、大がかりな装置を用いることなく大量生産ができる状態で、GaAsなどの化合物半導体層と絶縁層との界面における界面特性の悪化が抑制できるようになるという優れた効果が得られる。
図1は、本発明の実施の形態におけるMOS構造の製造方法を説明するためのフローチャートである。 図2は、本発明の実施の形態における製造方法で製造されるMOS構造の断面を示す断面図である。 図3は、窒素ラジカルの照射を行うラジカル窒化装置の構成を示す構成図である。 図4は、窒素ラジカル照射処理をしていないMOS構造(MOS構造キャパシタ)の容量−電圧(C−V)特性を示す特性図である。 図5は、400℃15分で窒素ラジカル照射処理をしたMOS構造(MOS構造キャパシタ)の容量−電圧(C−V)特性を示す特性図である。 図6は、300℃15分で窒素ラジカル照射処理をしたMOS構造(MOS構造キャパシタ)の容量−電圧(C−V)特性を示す特性図である。 図7は、窒素ラジカル照射処理をした半導体層に対してX線光電子分光(XPS)を用いた表面分析を行った結果を示す特性図である。 図8は、GaAs基板をAs膜で覆った試料21およびGaAs基板のままの試料22を加熱処理した後のX線光電子分光(XPS)分析結果を示す特性図である。 図9は、窒素ラジカル照射処理をしたMOS構造(MOS構造キャパシタ)について、測定周波数を変化させてC−V特性の周波数分散を測定した結果を示す特性図である。 図10は、本発明の実施の形態における製造方法で製造される他のMOS構造の断面を示す断面図である。 図11は、Sbラジカル照射処理をしたMOS構造(MOS構造キャパシタ)の容量−電圧(C−V)特性を示す特性図である。 図12は、表面層がInAlAsおよびInPであるHEMT素子のゲート電圧と面抵抗の値をプロットした特性図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるMOS構造の製造方法を説明するためのフローチャートである。まず、ステップS101で、GaおよびAsを含む化合物半導体からなる半導体層を形成する。例えば、GaAs基板を半導体層として用いればよい。
次に、ステップS102で、半導体層の表面に粒子線を照射する。この粒子線の照射では、窒素、アンチモン、およびリンより選択した原子のラジカルを照射する。次に、ステップS103で、粒子線を照射した半導体層の上に絶縁層を形成する。例えば、よく知られた化学的気相成長(CVD)法により、酸化アルミニウムを堆積することで、絶縁層を形成すればよい。次に、ステップS104で、絶縁層の上に第1電極を形成する。また、ステップS105で、半導体層に接続する第2電極を形成する。このように第2電極を形成することで、本実施の形態におけるMOS構造をキャパシタとすることができる。
上述したことにより形成されるMOS構造は、図2の断面図に示すように構成される。このMOS構造は、図2に示すように、例えば、n型のGaAsからなる半導体層201と、この主表面に形成された絶縁層202と、絶縁層202の上に形成された第1電極203と、半導体層201の裏面に形成された第2電極204とを備える。第2電極204は、半導体層201の裏面にオーミック接続している。
本実施の形態によれば、絶縁層を形成する前に、GaおよびAsを含む化合物半導体からなる半導体層の絶縁層形成面に、窒素、アンチモン、およびリンより選択した原子のラジカルを照射するようにしたので、半導体層表面における単体元素のAsによる界面特性の劣化が抑制できるようになり、半導体層と絶縁層との界面における界面特性の悪化が抑制できるようになる。
以下、上述したラジカル照射による、GaおよびAsを含む化合物半導体からなる半導体層表面における単体元素のAsによる界面特性の劣化抑制について、実施例を用いてより詳細に説明する。
[実施例1]
はじめに、実施例1について、説明する。実施例1では、図2に示したMOS構造を作製し、作製したMOS構造の特性を評価する。実施例1では、GaおよびAsを含む化合物半導体からなる半導体層として、GaAs基板を用いる。また、窒素(N)のラジカルを照射する。
まず、窒素ラジカルを照射する装置について説明する。窒素ラジカルの照射は、例えば、図3に示すラジカル窒化装置を用いればよい。このラジカル窒化装置は、ロードロック付きの高真空チャンバ301を備え、高真空チャンバ301内に、ヒータ302,サセプタ303,熱電対305,ラジカルガン306を備える。サセプタ303には、処理対象の基板304が固定され、基板304は、裏面側よりヒータ302の赤外線加熱により、例えば、1100℃程度まで加熱可能とされている。また、この加熱温度は、熱電対305を用いて測定される。なお、高真空チャンバ301の内部は、図示しない排気機構により減圧排気可能とされている。排気機構としては、例えば、ロータリーポンプなどが用いられる。
ラジカルガン306は、導入された窒素を用いて生成した窒素のラジカルを、出口より基板304の側に照射可能としている。また、出口には、高電圧が印加可能な電極より構成されたイオントラップ307が設けられ、窒素イオンが基板304の側に照射されることを抑制している。例えば、ラジカル窒化処理時の窒素流量は1.2〜3sccm、チャンバ圧力は4.6×10-3〜1.2×10-2Pa、また、ラジカル生成のためのRF出力は、200〜500Wである。なお、sccmは流量の単位であり、0℃・1013hPaの流体が1分間に1cm3流れることを示す。
次に、作製したMOS構造について簡単に説明する。まず、GaAs基板を用意し、この表面に窒素のラジカルからなる粒子線を照射する。窒素ラジカルの照射では、上述した装置を用い、RF電力が300W、N2ガスの流量が2.5sccm、チャンバ圧力は1.09〜1.2×10-2Paである。
以上の条件で、窒素ラジカルの照射をしたGaAs基板の主表面に、酸化アルミニウム(Al23)からなる絶縁層を形成する。絶縁層は、層厚約65nmに形成する。例えば、トリエチルアルミニウム(TEA)と水(H2O)とをソースガスとし、基板温度条件を190℃としたCVD法により、GaAs基板の上にAl23を堆積すればよい。次に、形成した絶縁層の表面およびGaAs基板の裏面に、金(Au)またはアルミニウムなどの電極金属を蒸着して第1電極および第2電極を形成すればよい。
このように作製したMOS構造キャパシタについて、まず最初に、容量−電圧(C−V)特性の安定性について調べた。この特性調査では、C−V特性を8回測定する。また、比較の対象として、上述した窒素ラジカル照射をしていないMOS構造キャパシタについても同様の特性調査を行う。
窒素ラジカル照射をしていないMOS構造キャパシタでは、図4の(a)に示すように、C−V特性測定の1回目から4回目までの間に、容量が大きく低下している。また、図4の(b)に示すように、5回目以降も徐々に容量が低下する傾向が認められる。
これに対し、基板温度条件400℃で15分の窒素ラジカル照射処理を行ったMOS構造キャパシタでは、図5の(a)および図5の(b)に示すように、C−V特性測定の1回目から8回目までの間において、容量値はほぼ一定で変化していない。また、窒素ラジカル照射の処理により、C−V特性の電荷注入型のヒステリシス幅は小さくなり、界面特性が改善されていることがわかる。
次に、基板温度条件300℃で15分の窒素ラジカル照射処理を行ったMOS構造キャパシタのC−V特性測定結果について、図6に示す。基板温度条件300℃では、図6の(a)および(b)に示すように、窒素ラジカル照射処理をしていない場合と、基板温度条件400℃で窒素ラジカル照射処理をした場合との中間的な特性となっている。基板温度条件300℃では、測定回数によりややC−V特性の劣化が見られる。
以上の結果より、窒素ラジカル照射処理においては、基板温度条件を400℃程度とするなど、半導体層よりAsが昇華(解離)する(し始める)温度条件とすることが重要であることが明らかとなった。上述した結果について検討する。400℃まで加熱した場合には、GaAsからなる半導体層の表面に単体で残っていたAsは昇華し、As原子と窒素原子との置換がより効率的に行われ、300℃の条件の場合よりも半導体層表面に単体で残存するAsが少なくなるため、400℃の条件の方が特性がよいものと考えられる。
次に、GaAsからなる半導体層の表面に窒素ラジカル照射処理を施した試料に対してX線光電子分光(XPS)を用いた表面分析を行った。その結果を図7に示す。窒素ラジカル照射処理を、400℃で15分施した試料1、300℃で15分施した試料2、400℃で5分施した試料3について、このXPS分析を行った。図7において、実線が試料1であり、点線が試料2であり、一点鎖線が試料3である。
図7に示すように、Ga3d、As3d、O1sのスペクトル強度には大きな違いはない。一方、N1sについては、試料1が、他の試料2,3よりもピーク値が大きい。これは、GaAsからなる半導体層の表面に窒素が存在していることを示している。この状態において、AsNでは存在しないので、GaNで存在していると考えている。なお、この熱処理温度は装置の到達真空度と密接な関係がある。超高真空装置の場合には、380℃程度から半導体層の表面Asの解離が始まるが、原子層堆積(ALD)法など成長チャンバの圧力が高真空でない場合には、410℃ぐらいからAsの解離が始まる。
次に、GaAs基板からのAsの解離について観察した結果について説明する。以下では、光学顕微鏡によるAs膜の昇華の観察、およびXPSによる分析を行った。まずGaAs基板の清浄表面を厚さ約500nmのAs膜で覆った2つの試料21を作製した。また、GaAs基板そのままでの2つの試料22を作製した。合計で4つの試料を用意した。
用意した一方の試料21および試料22に対し、基板温度300℃で1時間の加熱処理をし、他方の試料21および試料22に対し、400℃で10分の加熱処理を行った。400℃で加熱した試料21は、表面のAs膜が無くなっているのを光学顕微鏡で観察できたが、300℃で加熱した試料21の場合には、As膜はそのまま残っていた。
次に、上記加熱処理後の4つの試料についてX線光電子分光(XPS)分析を行った結果を図8に示す。図8の(a)において、300℃で加熱した試料には、Asの酸化物(oxide)のピークが存在するが、400℃で加熱した試料には、As酸化物のピークは見られない。これに対して、図8の(b)に示すようにGaの酸化物(oxide)は、400℃になると多くなっている。この2つの事実から400℃においては、Asは昇華して結晶中から解離し、それまでAsを酸化していた酸素が、Gaに移ったものと解釈できる。言い換えると、図8の結果は、GaAs結晶は、400℃においてAsが解離したことを示している。なお、上述したように、このAsの解離温度は、処理装置の真空度に依存するので、装置の真空度の状態によって値は変わるものである。
次に、測定周波数を変化させてC−V特性の周波数分散を測定した結果について、図9に示す。図9において、n型のGaAsからなる半導体層に対し、(a)は窒素ラジカル照射処理をしない場合、(b)は基板温度条件400℃で15分間の窒素ラジカル照射処理を施した場合、(c)は基板温度条件300℃で15分間の窒素ラジカル照射処理を施した場合、(d)は基板温度条件400℃で5分間の窒素ラジカル照射処理を施した場合、のC−V特性を周波数100Hzから1MHzまで変えて測定した。
窒素ラジカル照射処理をしていない場合、および基板温度条件300℃で窒素ラジカル照射処理をしている場合には、周波数分散があまり見られていない。また、これらの試料については、正バイアス側での蓄積容量が小さい値にとどまっており、フェルミレベルのピニングを示唆する結果となった。
これらの結果に対し、400℃で窒素ラジカル照射処理を施した場合、特に15分間の窒素ラジカル照射処理を施した場合には、大きな周波数分散が観測された。低周波の測定においては蓄積容量がピニングされていると思われている点を超えて増加し、0.1μF/cm2程度まで増加している。従って、GaAsからなる半導体層の表面に窒素ラジカル照射処理を施すことにより、界面特性はある程度改善された結果、ヒステリシスの小さいC−V曲線が得られると同時に、フェルミレベルのピニング効果が抑制されたと考えられる。
以上の実験結果より、本実施の形態における窒素ラジカル照射処理により界面特性の悪化が抑制できるのは、GaおよびAsを含む化合物半導体の表面におけるAsが窒素に置き換えられ(置換され)、単体元素として存在するAsが減少したためと考えることができる。
なお、上述した例では、窒素ラジカル照射処理に、窒素ラジカルガンを用いたが、これに限るものではない。窒素ラジカル照射処理は、窒素分子を活性化させて表面反応が促進されるような状態で窒素ラジカルが供給可能な方法であれば、いずれの方法でもよい。例えば、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマや誘導性結合プラズマ(ICP)により生成した窒素プラズマより、イオン種などを除去して窒素ラジカルを取り出して用いるようにしてもよい。これらの手法により、高濃度のラジカル原子を生成し、As欠陥に化学反応により配置するような方法も有効である。
[実施例2]
次に、実施例2について、説明する。実施例2では、図10に示すMOS構造を作製し、作製したMOS構造の特性を評価する。図10に示すMOS構造は、例えば、n型のGaAsからなる半導体層1001と、この主表面に形成された酸化アルミニウムからなる絶縁層1002と、絶縁層1002の上に形成されたTi/Auからなる第1電極1003とを備える。また、半導体層1001の裏面に形成されたAuGeNiからなる第2電極1004を備える。第2電極1004は、半導体層1001の裏面にオーミック接続している。このように第2電極1004を形成することで、上記MOS構造をキャパシタとすることができる。
また、実施例2では、アンチモン(Sb)のラジカルを照射する。半導体層1001の絶縁層1002を形成する表面に、Sbのラジカルを照射する方法としては、例えば、MBE法によるSb線雰囲気中に、温度条件400℃で半導体層1001の表面を晒せばよい。また、酸化アルミニウム(Al23)からなる絶縁層1002は、ALD法を用いて形成した。ALD法において、まず、温度条件200℃で、トリメチルアルミニウム(TMA)を半導体層1001の表面に供給してここに吸着層を形成し、次に、水(H2O)を供給して吸着層を酸化し、1分子層のAl23を形成する。これを複数回繰り返すことで、層厚20nmの絶縁層1002を形成した。
図10を用いて説明したMOS構造において、半導体層1001の表面に上述したSbラジカル照射処理をしていない試料31と、Sbラジカル照射処理をした試料32を作製し、各々のC−V特性を測定した結果を図11に示す。図11において、(a)が試料31の測定結果を示し、(b)が、試料32の測定結果を示している。
図11から明らかなように、測定回数毎の分布が、試料31は試料32に比較して大きく、かつ低周波において試料32に見られる反転層が見られない。これらの界面電荷密度(Dit)を計算より求めると、試料31が5×1012cm-2であるのに対して、試料32は2×10cm-2という値が得られた。このことから、窒素ラジカル照射処理と同様に、Sbラジカル照射処理により、界面準位の安定化が図られているものと考えられる。窒素よりアンチモンの方が改善が小さいのは、窒素とガリウムとの結合力とアンチモンとガリウムとの結合力との違いによるものと考えられる。
以上に説明したように、本発明によれば、GaおよびAsを含む化合物半導体からなる半導体層の表面に、窒素ラジカル照射処理もしくはSbラジカル照射処理を施してから、絶縁層を形成するので、上記半導体層と絶縁層との界面における界面特性の悪化が抑制できるようになる。また、このようなラジカルの照射は、大がかりな装置を必要とせず、大量生産が容易である。本発明のMOS構造は、MOS構造キャパシタおよびMOS構造の電界効果トランジスタなどの半導体装置に適用可能である。
また、窒素およびSbに加え、Asと同族であるリン(P)のラジカルを照射しても、前述同様にGaおよびAsを含む化合物半導体層と、この上に形成する絶縁層との界面特性の悪化が抑制できる。例えば、MOCVD法によりGaAsの層を成長した後、410℃前後の温度を保ち、成長させたGaAs層の表面より所定量のAsを昇華させた後に、GaAs層の表面にリンのラジカルを供給すればよい。
リンのラジカル照射による効果は、InGaAsヘテロ基板を用いたHEMT素子により確認をしている。InGaAsヘテロ基板の最上層(表面層)は、通常InAlAsを使用する。これは、InAlAsの障壁高さが大きいためである。これに対し、表面層にInP層を用いた素子を作製して比較を行った。
図12は、表面層がInAlAsおよびInPであるHEMT素子のゲート電圧と面抵抗の値をプロットした特性図である。ゲート絶縁層は、層厚20nmのAl23層を用い、また、ゲート電極は、金(Au)から構成した。InPを表面層とした場合には、面抵抗も非常に大きくなり電流がピンチオフするが、ここでは2つの場合のヒステリシスについて比較する。InAlAs表面層と比較して、InP表面層では、ヒステリシスの幅が非常に小さくなっている。
このヒステリシスの起源は、ゲート絶縁層と表面層との界面での不純物密度に起因する。従って、上述した結果は、表面がリン化することで界面での不純物密度が減少して界面制御性が向上したことを示している。この結果から明らかなように、リンのラジカル照射によっても、GaAsなどの化合物半導体層と絶縁層との界面における界面特性の悪化が抑制できる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。例えば、対象とする化合物半導体層は、GaAs層に限るものではなく、InGaAs層であってもよい。
また、半導体層の表面へのラジカルの照射は、イオン打ち込み法により行ってもよい。イオン打ち込みの場合には、表面のみならず更に深い所に原子が混在する可能性があるので、例えば入射角を基板(半導体層)の表面に対して平行に近い状態とし、また、加速電圧を低くするなどの工夫が必要である。
201…半導体層、202…絶縁層、203…第1電極、204…第2電極。

Claims (3)

  1. GaおよびAsを含む化合物半導体からなる半導体層を形成する工程と、
    前記半導体層の表面に粒子線を照射する工程と、
    前記粒子線を照射した前記半導体層の上に絶縁層を形成する工程と、
    前記絶縁層の上に電極を形成する工程と
    を少なくとも備え、
    前記粒子線の照射では、窒素、アンチモン、およびリンより選択した原子のラジカルを照射することを特徴とするMOS構造の製造方法。
  2. 請求項1記載のMOS構造の製造方法において、
    前記粒子線の照射では、砒素が解離する温度に前記半導体層を加熱することを特徴とするMOS構造の製造方法。
  3. 請求項1または2記載のMOS構造の製造方法において、
    前記半導体層は、GaAs層であることを特徴とするMOS構造の製造方法。
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