JP2013161532A - 放電ギャップ充填用組成物の製造方法 - Google Patents

放電ギャップ充填用組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】組成物中における金属粉末の凝集が低減され(金属粉末の分散性が向上し)、良好な塗布性(ポッティング性)および保存安定性を有する放電ギャップ充填用組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】金属粉末(A)と希釈剤(B)とを混合して予備混合物を調製する工程(1)と前記予備混合物に、バインダー成分(C)を添加して、前記予備混合物とバインダー成分(C)とを混合して放電ギャップ充填部材13,23,33用組成物を製造する工程(2)とを含む製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、放電ギャップ充填用組成物の製造方法に関する。より詳細には、様々な設計の電子回路基板に対して、自由な形状でかつ簡便にESD対策を図ることができ、放電時の作動性に優れ、かつ、小型化および製造時の生産性が上がることによる低コスト化の可能な、静電放電保護体を提供することが可能となるとともに、組成物中における金属粉末の凝集が低減され、良好な塗布性および保存安定性を有する放電ギャップ充填用組成物を製造できる製造方法に関する。
帯電した導電性の物体(例えば人体)が他の導電性の物体(例えば電子機器)に接触し、あるいは充分に接近すると、激しい放電が発生する。この現象は静電放電(electro-static discharge、以下「ESD」とも記す。)と呼ばれ、電子機器の誤動作や損傷などの問題を引き起こし、あるいは爆発性雰囲気における爆発の引金となることなどがある。
ESDは、電気システムおよび集積回路が曝される破壊的で不可避な現象の一つである。電気的な観点から説明すると、ESDとは、数アンペアのピーク電流のある高電流が、10n秒から300n秒間継続する過渡的な高電流現象である。したがって、ESDが発生すると、数十n秒以内にほぼ数アンペアの電流を集積回路の外へ伝導しなければ、その集積回路は修復至難な損傷を被るか、不具合もしくは劣化を起こし、正常に機能しなくなる。
近年、電子部品や電子機器の軽量化、薄型化、小型化の流れが急速に進行している。それにともない、半導体の集積度やプリント配線基板への電子部品実装密度の上昇が著しくなり、過密に集積、あるいは実装された電子素子や信号線が、互いに極めて接近して存在することになった。さらに信号処理速度も高速化されてきた。その結果、高周波輻射ノイズが誘発されやすい状況となった。このような状況から、回路内のIC等をESDから保護する静電放電保護素子の開発が行われている。
従来、回路内のIC等をESDから保護する静電放電保護素子として、金属酸化物等の焼結体からなるバルク構造の素子があった(例えば、特許文献1参照)。この素子は焼結体からなる積層型チップバリスタであり、積層体と一対の外部電極を備えている。バリスタは、印加電圧が、ある一定以上の値に達すると、それまで流れなかった電流が急に流れ出すという性質を持ち、静電放電に対して優れた抑止力をもつ。しかし、焼結体である積層型チップバリスタは、シート成型、内部電極印刷、シート積層等から成る複雑な製造プロセスが避けられず、かつ、実装工程中に層間剥離等の不具合の発生も起こりやすいという問題があった。
その他の、回路内のIC等をESDから保護する静電放電保護素子として放電型素子がある。放電型素子は、漏れ電流が小さく、原理的に簡単であり、故障しにくいという長所もある。また、放電電圧は、放電ギャップの幅によって調整することができる。また、封止構造とする場合はガスの圧力、ガスの種類に応じて放電ギャップの幅が決められる。実際に市販されている放電型素子としては、円柱状のセラミックス表面導体皮膜が形成され、レーザーなどによってその皮膜に放電ギャップを設け、これをガラス封管したものがある。この市販されているガラス封管した放電型素子は、静電放電保護特性が優れているものの、その形態が複雑であるために小型の表面実装用素子としてはサイズの点で限界があり、またコストを下げることが困難であるという問題があった。
さらには、配線上に直接放電ギャップを配線形成し、その放電ギャップの幅によって放電電圧を調整する方法が開示されている(例えば、特許文献2〜4参照)。特許文献2には、放電ギャップの幅が4mmであることが例示され、特許文献3には、放電ギャップの幅が0.15mmであることが例示されている。また、特許文献4には、通常の電子素子の保護には放電ギャップとして5〜60μmが好ましく、静電放電により敏感なICやLSIの保護のためには、放電ギャップを1〜30μmとすることが好ましく、特に大きなパルス電圧部分だけを除去すればよいという用途には150μm程度まで大きくできることが開示されている。
しかし、放電ギャップ部分に保護がなければ、高電圧の印加で気中放電が起こったり、環境中の湿度やガスのために導体の表面に汚染が生じ放電電圧が変化したり、電極が設けられている基板の炭化により電極が短絡する可能性がある。
また、放電ギャップを有する静電放電保護体においては、通常の作動電圧、例えば一般的にはDC10V未満では、高い絶縁抵抗性を要求されるため、耐電圧性の絶縁性部材を電極対の放電ギャップに設けることが有効となる。放電ギャップの保護のために、放電ギャップに絶縁性部材として直接通常のレジスト類を充填してしまうと、放電電圧の大幅な上昇がおこり、実用的ではない。1〜2μm程度またはそれ以下の極めて狭い放電ギャップに通常のレジスト類を充填した場合は、放電電圧を下げることができるが、充填されたレジスト類に微小な劣化がおこったり、絶縁抵抗が低下したり、場合によっては導通してしまうという問題がある。
特許文献5には、絶縁基板に10〜50μmの放電ギャップを設けて、端部が対向した一対の電極パターンの間に、ZnOを主成分とし炭化珪素を含む機能膜を設ける保護素子が開示されている。この保護素子は、積層型チップバリスタと比較すると、簡単な構成であり、基板上の厚膜素子として製造できる利点がある。
しかし、これらのESD対策素子は、電子機器の進化にあわせて、実装面積の低減化をはかっているが、形態はあくまでも素子であるので、ハンダなどによって配線基板に実装する必要がある。そのため、電子機器において、設計の自由度が少なく、かつ、高さを含めて小型化に限界がある。
したがって、素子を固定するのではなく、小型化を含めた自由な形態で、必要な箇所に、かつ必要な面積分、ESD対策を講じることができるようにすることが望まれている。
一方、ESD保護材料として、樹脂組成物を用いることが開示されている(例えば、特許文献6参照)。ここでの樹脂組成物は、絶縁バインダ−の混合物からなる母材、10μm未満の平均粒子径を有する導電性粒子、および10μm未満の平均粒子径を有する半導体粒子を含むことを特徴としている。
また、ESD保護材料として、表面が絶縁性酸化皮膜で被覆されている導電性および半導体粒子の混合物が絶縁性バインダーによって結びつけられている組成物材料、粒子径範囲が規定された組成物材料、導電性粒子間の面間隔を規定した組成物材料などが開示されている(例えば、特許文献7参照)。
これらの特許文献を含め、従来の、導電性や半導体粒子等の金属粉末と樹脂成分(バインダー成分)とを含む組成物は、公知の攪拌・混合手段を用いて、各成分を一括で混合して調製されている。
特開2005−353845号公報 特開平3−89588号公報 特開平5−67851号公報 特開平10−27668号公報 特開2007−266479号公報 特表2001−523040号公報 米国特許第4,726,991号
本発明者は、従来の組成物の調製方法で得られた組成物の物性について詳細に調べたところ、該組成物中では金属粉末が凝集し易いという知見を得た。さらには、金属粉末の凝集に起因して、このような組成物では、金属粉末の分散性が悪化し(たとえば、経時的に金属粉末が沈降し)、結果として、塗布性(ポッティング性)が不良になったり、保存安定性が悪化したり(経時的な粘度の上昇およびゲル状物の発生)してしまうという問題も生じることも分かった。
すなわち、本発明は、組成物中における金属粉末の凝集が低減され(金属粉末の分散性が向上し)、良好な塗布性(ポッティング性)および保存安定性を有する放電ギャップ充填用組成物を製造できるとともに、後述する工程(1)の混合条件を調節することで、放電ギャップ充填用組成物の粘度を簡便に調整することができる放電ギャップ充填用組成物の製造方法を提供することを目的とする。
このような従来の問題点に対して、本発明者らは、鋭意検討の結果、金属粉末と希釈剤とを、予め混合して予備混合物を調製した後、予備混合物にバインダー成分を混合して放電ギャップ充填用組成物を調製することで、従来の問題点を解決することを見出した。すなわち、本発明は以下の事項に関する。
[1] 金属粉末(A)と希釈剤(B)とを混合して予備混合物を調製する工程(1)と、
前記予備混合物に、バインダー成分(C)を添加して、前記予備混合物とバインダー成分(C)とを混合して放電ギャップ充填用組成物を製造する工程(2)とを含むことを特徴とする放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
[2] 前記工程(1)は、自転公転式攪拌機を用いて、金属粉末(A)と希釈剤(B)とを混合して予備混合物を調製する工程であって、
自転公転式攪拌機の公転角速度と自転角速度との比率(公転角速度(rpm)/自転角速度(rpm))が、1/1〜3/1であることを特徴とする、[1]に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
[3] 前記希釈剤(B)が、分子内に2以上の特性基を有し、当該特性基同士が、分子内で直接結合しておらず、炭化水素基または珪素原子を介して結合している希釈剤(B1)を含むことを特徴とする、[1]または[2]に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
[4] 前記希釈剤(B1)の特性基が、親水性の特性基であることを特徴とする、[3]に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
[5] 前記希釈剤(B1)の特性基が、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子およびハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも一つの原子を含有する親水性の特性基であることを特徴とする、[3]または[4]に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
[6] 前記希釈剤(B)の特性基が、ヒドロキシ基、2つの結合手の内少なくとも1つは炭化水素基と結合していないオキシ基、オキソ基、カルボニル基、アミノ基、イミノ基、ハロゲン基、N−オキシド基、N−ヒドロキシ基、ヒドラジン基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、ホスフィノ基、2つの結合手の内少なくとも1つは炭化水素基と結合していないチオスルフィド基、S−オキシド基、チオキシ基およびこれらが直接結合した基からなる群から選択されることを特徴とする、[3]〜[5]の何れかに記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
[7]前記希釈剤(B1)の特性基が、ヒドロキシ基、2つの結合手の内少なくとも1つは炭化水素基と結合していないオキシ基、オキソ基、カルボニル基およびこれらが直接結合した基からなる群から選択されることを特徴とする、[3]〜[5]の何れかに記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
[8]前記希釈剤(B)が、ジプロピレングリコール、トリアセチン、グリセリン、1,1,3,3−テトラメトキシプロパンおよび1,1,3,3−テトラエトキシプロパンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、[3]〜[7]の何れか一項に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
[9]前記金属粉末(A)の一次粒子の表面が、金属酸化物からなる膜で被覆されていることを特徴とする、[1]〜[8]の何れか一項に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
[10]前記金属酸化物からなる膜が、下記一般式(1)で表される金属アルコキシドの加水分解生成物からなる膜であることを特徴とする、[9]に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
(式(1)中、Mは金属原子であり、Oは酸素原子であり、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基であり、nは1〜40の整数である。)
[11] 前記一般式(1)におけるMが、ケイ素、チタン、ジルコニウム、タンタルまたはハフニウムであることを特徴とする、[10]に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
[12] 前記金属酸化物からなる膜が、前記金属粉末(A)における一次粒子自身から形成される自己酸化膜であることを特徴とする[9]に記載の放電ギャップ充填用組成物。
[13] 前記金属粉末(A)が、銅、銀、金、亜鉛、鉄、タングステン、マンガン、ニオブ、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、モリブデン、バナジウム、ニッケル、コバルト、クロム、マグネシウム、チタン、アルミニウムおよびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1種類の金属粉末であることを特徴とする、請求項[1]〜[12]の何れかに記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
[14]前記バインダー成分(C)が、熱硬化性化合物または活性エネルギー線硬化性化合物を含むことを特徴とする、[1]〜[13]の何れかに記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
本発明の製造方法によれば、組成物中の金属粉末の凝集が低減され(金属粉末の分散性が向上し)、金属粉末等の粒子成分の経時的な沈降が少なく分散性が良好である放電ギャップ充填用組成物を製造することができる。また、得られる放電ギャップ充填用組成物は、良好な分散性に起因して、良好な塗布性(ポッティング性)および保存安定性を発揮することができる。また、本発明の製造方法によれば、たとえ、成分の種類や含有比率が同一であっても、工程(1)の混合条件を調節することで、放電ギャップ充填用組成物の粘度を簡便に調整できる。
図1(1)〜(3)は、それぞれ、本発明に係る製造方法で得られた放電ギャップ充填用組成物を用いて作製された静電放電保護体の一具体例の縦断面図である。 図2は、調製例1で調製されたアルミパウダー含有ペースト1中のアルミニウム粒子の平均アスペクト比を計測するために使用されたSEM画像である。 図3は、調製例2で調製されたアルミパウダー含有ペースト2中のアルミニウム粒子の平均アスペクト比を計測するために使用されたSEM画像である。
以下、本発明の放電ギャップ充填用組成物の製造方法について詳細に説明する。
[放電ギャップ充填用組成物の製造方法]
本発明の放電ギャップ充填用組成物の製造方法は、下記工程(1)〜(2)を必須工程として実施し、必要に応じて、工程(1)の前、工程(1)と工程(2)との間、または工程(2)の後に、任意工程を実施してもよい。
・工程(1)(予備混合工程):金属粉末(A)と希釈剤(B)とを混合して予備混合物を調製する工程
・工程(2)(放電ギャップ充填用組成物調製工程):前記予備混合物に、バインダー成分(C)を添加して、前記予備混合物とバインダー成分(C)とを混合して放電ギャップ充填用組成物を製造する工程
なお、本明細書において、放電ギャップ充填用組成物とは、電子回路基板やフレキシブル電子回路基板等において、図1の付け番14、24および34にて例示されるような、一対の電極の間に存在する空間(「放電ギャップ」)を充填するために用いる組成物のことをいう。
工程(1)(予備混合工程
工程(1)(予備混合工程)において、金属粉末(A)と希釈剤(B)とを公知の分散・混合手段を用いて、予備混合物を調製することで、工程(2)において得られる放電ギャップ充填用組成物中の金属粉末(A)の凝集を低減させ、金属粉末(A)の分散性を良好にすることができる。以下、予備混合物に含まれる金属粉末(A)や希釈剤(B)、および予備混合物の調製条件につき詳細に説明する。
金属粉末(A)
本発明に用いる金属粉末(A)は、公知の金属からなる粉末である限り特に限定されないが、銅、銀、金、亜鉛、鉄、タングステン、マンガン、ニオブ、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、モリブデン、バナジウム、ニッケル、コバルト、クロム、マグネシウム、チタン、アルミニウムおよびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1種類の粉末であることが好ましい。
また、前記金属粉末(A)における一次粒子の表面は、金属酸化物からなる膜で被覆されていることが好ましい。前記金属粉末(A)が、一次粒子の表面を金属酸化物からなる膜で被覆されていると、金属粉末(A)表面に部分的に適度な絶縁性と高い耐電圧性とを発揮できる。また、このような金属粉末(A)を含む放電ギャップ充填用組成物は、通常作動時の電圧では絶縁性であるが、静電放電時の高電圧負荷の際には導電性となる。結果として、該放電ギャップ充填用組成物を使用した静電放電保護体は、有効な静電放電保護特性が発現し、この静電放電保護体を有する電子回路基板やフレキシブル電子回路基板は、高電圧時の破壊も受けにくいと考えられる。
前記金属酸化物からなる膜としては、上記の特性を発揮するものであれば、特に限定されないが、例えば、金属アルコキシドの加水分解生成物からなる膜や、金属粉末(A)における一次粒子自身から形成される酸化膜(以下「自己酸化膜」とも記す。)等が挙げられる。
前記金属アルコキシドを構成する金属原子としては、水単独または、水および加水分解触媒と反応して加水分解生成物を形成させ得るものであれば、特に制限されるものではない。なお、本願において、前記金属原子は、ケイ素、ゲルマニウム、スズ等の半金属も含むものとする。前記金属原子としては、マグネシウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン、ジルコニム、ハフニウム、タンタル、ニオブが好ましい。中でもケイ素、チタン、ジルコニウム、タンタルまたはハフニウムがより好ましく、ケイ素がさらに好ましい。
ケイ素のアルコキシドは、空気中の湿気などで加水分解しにくく、加水分解速度を制御しやすいため、前記金属粉末(A)における一次粒子の表面をケイ素のアルコキシドの加水分解生成物からなる膜で被覆する際の製造安定性がより高くなる傾向がある。
前記金属アルコキシドは、下記一般式(1)で表されるものであることが好ましい。このような金属アルコキシドであると、加水分解した際に金属酸化物の膜を形成させることが容易となる傾向がある。
前記一般式(1)中、Mは金属原子であり、Oは酸素原子であり、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基であり、nは1〜40の整数である。
前記一般式(1)におけるMは、ケイ素、チタン、ジルコニウム、タンタルまたはハフニウムであることが好ましい。Mがこのような金属原子であると、最終的に得られる静電放電保護体の耐電圧性が良好となる傾向がある。
前記一般式(1)中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基であり、炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル及びn−ドデシルが挙げられる。中でも、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル及びn−ペンチルがより好ましく、エチル、n−プロピル、n−ブチルがさらに好ましい。
前記アルキル基の分子量が大きいと、前記一般式(1)で表される金属アルコキシドの加水分解が穏やかになる一方で、前記アルキル基の分子量が大き過ぎると、前記一般式(1)で表される金属アルコキシドがワックス状になり、均一な分散が困難になる傾向がある。
また、前記一般式(1)で表される金属アルコキシドにおいて、nの数が大き過ぎると金属アルコキシド自体の粘度が増大し、分散しにくくなるため、nは1〜4の整数であることが望ましい。特に一量体(一般式(1)でn=1)は反応が急激に起こり、浮遊粒子が多く生成する場合があるので、二量体(一般式(1)でn=2)、三量体(一般式(1)でn=3)、四量体(一般式(1)でn=4)等の縮合体を用いることが望ましい。
金属アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−sec−ブチルチタネート、テトラ−tert−ブチルチタネート、テトラ−2エチルヘキシルチタネート、テトラエチルジルコネート、テトライソプロピルジルコネート、テトラ−n−ブチルジルコネート、テトラ−sec−ブチルジルコネート、テトラ−tert−ブチルジルコネート、テトラ−2エチルヘキシルジルコネート等及びこれらの縮合体が挙げられ、特にテトラエトキシシランが加水分解性および分散性の点で好ましい。これらの金属アルコキシドは単独で用いても、また2種以上混合して用いても良い。
前記金属アルコキシドの加水分解生成物からなる膜で金属粉末(A)における一次粒子の表面を被覆する方法としては、たとえば、溶媒に金属粉末(A)を懸濁させた状態で金属アルコキシド及びそれを加水分解し得る量以上の水を徐々に添加することにより行う方法が挙げられる。当該方法により、金属アルコキシドから、金属酸化物等を含む加水分解物が生成し、該加水分解生成物で前記金属粉末(A)における一次粒子の表面を被覆することができる。
前記一般式(1)で表される金属アルコキシドにおいて、たとえばMがケイ素の場合は、加水分解により、二酸化ケイ素や、シラノールが脱水縮合した形のオリゴマーやポリマーおよびこれらの混合物が生成し、二酸化ケイ素等の金属酸化物からなる膜が、前記金属粉末(A)における一次粒子の表面を被覆すると考えられる。
金属アルコキシドおよび水の添加法は、一括で添加する方式をとってもよいし、少量ずつ多段階に分割して添加する方式をとってもよい。各々の添加順序としては、金属アルコキシドを先に溶媒中に溶解あるいは懸濁したところに水を添加しても、あるいは水を先に溶媒中に溶解あるいは懸濁した後に金属アルコキシドを添加してもよく、また、少量ずつ交互に添加してもよい。しかし、一般には反応を穏やかに行う方が浮遊粒子の生成が少なくなる傾向があるため、少量ずつ多段階に分割して添加する方式が好ましく、必要に応じ溶媒で濃度を低下させた状態で添加することがより好ましい。
前記溶媒としては、アルコール類、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油ベンジン等、金属アルコキシドを溶解するものが望ましいが、懸濁状で反応するため特に限定されない。また、これらは単独でも2種以上混合して用いてもよい。また、金属アルコキシドの加水分解反応において、水の添加によりアルコールが副生成することからアルコールを重合速度の調節剤として用いることが可能である。
また、上述のように、前記金属酸化物からなる膜は、前記金属粉末(A)における一次粒子自身から形成される自己酸化膜であってもよい。本発明において、自己酸化膜とは、前記金属粉末(A)における一次粒子表面の金属原子が酸化されてなる酸化膜のことをいう。
一次粒子が自己酸化膜で被覆された金属粉末(A)は、該酸化膜が絶縁性であることによって、通常作動時の電圧では絶縁性であるが、静電放電時の高電圧負荷の際には導電性となり、さらに高電圧解除によって絶縁性が復活すると考えられる。したがって、一次粒子が自己酸化膜で被覆された金属粉末(A)を含む放電ギャップ充填用組成物を使用した静電放電保護体は、有効な静電放電保護特性が発現し、この静電放電保護体を有する電子回路基板やフレキシブル電子回路基板は、高電圧時の破壊も受けにくいと考えられる。
自己酸化膜で被覆された金属粉末(A)としては、一般的な公知の金属の粉末を使用することができるが、前記金属粉末(A)としては、イオン化傾向が大きいにもかかわらず、一次粒子の表面の金属原子が酸化して、緻密な自己酸化膜ができて、内部を保護することのできる、いわゆる不動態になる金属粉末が好ましい。このような金属粉末(A)としては、銅、亜鉛、鉄、タングステン、マンガン、ニオブ、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、モリブデン、バナジウム、ニッケル、コバルト、クロム、マグネシウム、チタン、アルミニウム、またはこれらの合金の粉末が挙げられるが、中でも安価で入手しやすい点でアルミニウム、ニッケル、タンタル、チタン、またはこれらの合金の粉末が最も好ましい。
また、前記金属粉末として、特定の温度で抵抗値が急変するサーミスタに使用される酸化バナジウムからなる粉末を、有効に使用することができる。
なお、前記金属粉末(A)は、それぞれ単独でも2種以上混合しても使用することができる。
前記金属粉末(A)の一次粒子の表面に自己酸化膜を形成させる方法としては、例えば、金属粉末を酸素存在下で加熱して自己酸化膜を形成させる方法が挙げられるが、以下の方法によって、より安定した構造を持つ自己酸化膜を形成することができる。すなわち、金属粉末の一次粒子の表面をアセトンのような有機溶剤で清浄化した後、希塩酸で金属粉末の一次粒子の表面をわずかにエッチングし、水素ガス20体積%およびアルゴンガス80体積%からなる混合ガス(混合ガス=100体積%)雰囲気下で、金属粉末自体の融点より低い温度(たとえばアルミニウム以外の金属の場合は750℃で、またアルミニウムの場合は例えば600℃)で、約1時間加熱し、さらに高純度酸素雰囲気下で30分間加熱すると、高い制御性で再現性良く均一な自己酸化膜を金属粉末の一次粒子の表面に形成することができる。当該方法によれば、金属粉末の一次粒子の表面に形成される自己酸化膜の絶縁破壊電圧が、一つの製品内あるいは製品間で不均一になりにくい傾向がある。
上述のような金属粉末(A)における一次粒子の表面を金属酸化物からなる膜で被覆する方法において、被覆膜の膜厚は10nm〜2μm程度にすることができる。被覆膜の膜厚は、たとえば透過型電子顕微鏡を使って求めることができる。一次粒子の表面における被覆領域の占有面積としては、金属粉末(A)における一次粒子の表面の一部が金属酸化物からなる膜で被覆されている程度でもよいが、前記粒子の全表面が金属酸化物からなる膜で被覆されていることが好ましい。
また、前記金属粉末(A)における一次粒子単独で金属酸化物からなる膜で被覆されていなくても、粒子同士の間が全て金属酸化物からなる膜で埋められていてもよい。
前記金属粉末(A)は、特に、一次粒子の表面を金属酸化物からなる膜で被覆されている場合、表面が適度な絶縁性を示すために、前記粒子同士が重なって存在しても問題がない。しかし、本発明の製造方法で得られる放電ギャップ充填用組成物中の、バインダー成分(C)の比率が小さい場合、粉落ちなどの問題が発生する場合がある。そのため、作動性という面よりむしろ実用性を考慮すると、金属粉末(A)の質量占有率は、放電ギャップ充填用組成物の固形分(100質量%)中、95質量%以下であることが好ましく、前記質量占有率がこのような範囲になるように、金属粉末(A)を仕込むことが好ましい。
また、ESD発生時には、静電放電保護体が全体的に導電性を示す必要があるため、前記質量占有率には好ましい下限がある。すなわち、金属粉末(A)の質量占有率は、放電ギャップ充填用組成物の固形分(100質量%)中、30質量%以上であることが好ましく、前記質量占有率がこのような範囲になるように、金属粉末(A)を仕込むことが好ましい。
したがって、本発明の放電ギャップ充填用組成物を静電放電保護体に用いる場合、金属粉末(A)の質量占有率は、放電ギャップ充填用組成物の固形分(100質量%)中、30質量%以上95質量%以下であることが好ましく、前記質量占有率がこのような範囲になるように、金属粉末(A)を仕込むことが好ましい。
また、本発明に用いる金属粉末(A)における一次粒子の形状は薄片状であることが好ましい。
ここで、薄片状とは、厚さが薄く、面として広がりを持つ形状のことをいい、例えば、鱗片状、円盤状、短冊状、層状などの形状を含み、球状などの形状は含まない。具体的には、金属粉末(A)における一次粒子の厚さおよび面について、面の縦方向の最大長が平均厚さの2倍以上、面の横方向の最大長が平均厚さの2倍以上であるものを薄片状とする。面の縦方向の最大長の上限は、特に限定されないが、平均厚さの1000倍以下である。また、面の横方向の最大長の上限は、特に限定されないが、平均厚さの1000倍以下である。
金属粉末(A)における一次粒子の形状が薄片状である場合、得られる放電ギャップ充填用組成物を使用した静電放電保護体の放電時の作動性が良好となる傾向がある。
前記金属粉末(A)における一次粒子は、平均厚み(d)が1μm以下のものを使用することができ、好ましくは0.5μm以下であり、最も好ましくは0.3μm以下である。
また、前記金属粉末(A)における一次粒子は、平均アスペクト比(L/d)が、3以上1000以下であることが好ましく、5以上500以下であることがより好ましく、10以上100以下であることがさらに好ましい。
本発明の放電ギャップ充填用組成物は、前記金属粉末(A)における一次粒子が、前記範囲の平均アスペクト比(L/d)を有すると、放電方向に対してよりスムーズに放電しやすくなる。その結果、該放電ギャップ充填用組成物を使用した静電放電保護体は、作動電圧、耐高電圧性が良好となる。つまり保護体として作動性が良好となるとともに、より低い電圧での放電に対しても、対応可能な保護体としての特性が発現するものと考えられる。
ここで「アスペクト比(L/d)」とは、金属粉末(A)における一次粒子において、最も長い軸(長辺)の長さ(「L」)と、それと対応する最も短い軸の長さ(「d」)と、長い軸の短い軸に対する比率(「L/d」)のことをいう。
なお、金属粉末(A)における一次粒子のアスペクト比(L/d)は、以下のように測定する。断面形成した金属粉末(A)を走査型電子顕微鏡下で5000倍〜3万倍の拡大倍率で観察する。観察される金属粉末(A)における一次粒子の中から、任意に10個の一次粒子を選択し、選択した各一次粒子において、最も長い軸(長辺)の長さ「L」と、それと対応する最も短い軸の長さ「d」とを計測する。次いで、計測された10個のLおよびdから、それぞれLの平均値およびdの平均値を算出し、Lの平均値およびdの平均値から平均アスペクト比(L/d)を求めることができる。
(2)希釈剤(B)
希釈剤(B)は、工程(1)で調製される予備混合物においては金属粉末(A)を分散させ、工程(2)で調製される放電ギャップ充填用組成物においては、金属粉末(A)およびバインダー成分(C)等を分散または溶解するものである。
希釈剤(B)は、分子内に2以上の特性基を有し、当該特性基同士が、分子内で直接結合しておらず、炭素水素基または珪素原子を介して結合している希釈剤(B1)であってもよいし、該希釈剤(B1)とは異なる希釈剤(B2)であってもよいし、これらを混合して調製された希釈剤を用いてもよい。
希釈剤(B)は希釈剤(B1)であることが好ましい。希釈剤(B)として、希釈剤(B1)を用いると、得られる放電ギャップ充填用組成物中における金属粉末の金属粉末の分散性、塗布性(ポッティング性)および保存安定性を一層向上させることができる。なお、このように分散性等がより改善させる要因としては、金属粉末(A)の表面と希釈剤の特性基が、たとえば水素結合のような相互作用する特性を有しかつ、単独または会合した複数の希釈剤が、金属粒子の間にスペーサーとして、金属粒子などの粒子成分の間に入りこみ(介在し)、該希釈剤の特性基が、金属粉末などの粒子成分にゆるく相互作用することで、金属粒子などの粒子成分どうしの強い凝集を防いでいることにあると推測される。
なお、希釈剤(B1)は、揮発性であることが好ましい。揮発性の希釈剤(B1)としては、例えば、沸点が400℃以下、好ましくは300℃以下のものである。このような希釈剤(B1)を用いると、得られる放電ギャップ充填用組成物が加熱硬化性である場合、加熱硬化時に揮発して静電放電保護体に殆ど残留しなくなり、静電気保護体に残存する希釈剤に起因した不具合、例えば、電気特性や硬化性に関する不良トラブルを防ぐことができる。
希釈剤(B1)の特性基とは、基の中から、炭素、珪素および水素から選ばれる1つ以上の原子のみから構成される基を除いたものを指す。
本発明の金属粉末の表面(特に、酸化金属からなる膜表面)が親水性を示すため、上記のような金属粒子の間にスペーサーとして、金属粒子(A)などの粒子成分が介在しやすいという観点からは、疎水性の特性基ではなく、好ましくは親水性の特性基が挙げられ、具体的には、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子またはハロゲン原子を含有する親水性の特性基が挙げられる。
より具体的には、ヒドロキシ基(−OH)、2つの結合手の内少なくとも1つは炭化水素基と結合していないオキシ基(−O−)、オキソ基(=O)、カルボニル基(−CO−)、アミノ基(−NH2)、イミノ基(−NR−)、ハロゲン基(−F、−Cl、−Br、−I)、N−オキシド基(−N=O)、N−ヒドロキシ基(−N(OH)−)、ヒドラジン基(−NH−NH2)、ニトロ基(−NO2)、ニトロソ基(−NO)、アゾ基(R−N=N−R´)、ジアゾ基(−N=N−)、アジド基(−N3)、ホスフィノ基(−PH2)、2つの結合手の内少なくとも1つは炭化水素基と結合していないチオスルフィド基(−S−)、S−オキシド基(=S−O)、チオキシ基(=S)およびこれらが直接結合した基からなる群から選択される基が挙げられる。この中でも、毒性、腐食性、電気信頼性という観点からは、該特性基は、ヒドロキシ基、2つの結合手の内少なくとも1つは炭化水素基と結合していないオキシ基、オキソ基、カルボニル基、またはこれらが直接結合した基であることが好ましい。
ここで、上記の例示された基が「直接結合した基」とは、上記の例示された基同士が、炭素原子や珪素原子などを介さないで直接的に結合した基を言う。たとえば、カルボニル基(−CO−)と2つの結合手の内少なくとも1つは炭化水素基と結合していないオキシ基(−O−)とが直接的に結合した基(エステル結合(−CO−O−))や、カルボニル基(−CO−)と2つの結合手の内少なくとも1つは炭化水素基と結合していないチオスルフィド基(−S−)とが直接的に結合した基(チオエステル結合(−CO−S−))などが挙げられ、「直接結合した基」であるエステル結合(−CO−O−)やチオエステル結合(−CO−S−)は、それぞれ1つの特性基とカウントする。
また、上記オキシ基(−O−)およびチオスルフィド基(−S−)は、2つの結合手の内少なくとも1つは炭化水素基と結合していないものであり、ここで、「炭化水素基」とは、直鎖または分枝の、鎖状または環状の、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基を表す。
なお、希釈剤(B1)は、分子内に上記のような特性基を3以上有し、当該特性基同士が、分子内で直接結合しておらず、炭素水素基または珪素原子を介して結合している限り、特に限定されず、直鎖状の分子構造を有するものであってもよいし、環状の分子構造を有するものであってもよい。
さらに、希釈剤(B1)としては、毒性が低く、低臭気性のものが特に好ましく、具体的には、一分子内に、2つ以上、好ましくは3つ以上、さらに好ましくは3〜6のヒドロキシル基を有する多価アルコールまたはそのエステル化物、エーテル等の縮合物が挙げられ、より具体的には、ジプロピレングリコール、トリアセチン、グリセリン、1,1,3,3−テトラメトキシプロパン、1,1,3,3−テトラエトキシプロパンなどを挙げることができる。
なお、希釈剤(B2)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルジグリコール、γ−ブチロラクトンおよびなどを挙げることができる。
工程(1)において使用される希釈剤(B)が、希釈剤(B1)と希釈剤(B2)とを含む場合、希釈剤(B1)と希釈剤(B2)との含有比率((B1)/(B2)(重量比))は、好ましくは0.2以上、特に好ましくは1.0以上である。上記含有比率がこのような範囲にあると得られる放電ギャップ充填用組成物中における金属粉末の分散性、塗布性(ポッティング性)および保存安定性を向上させることができる。
(3)予備混合物の調製条件
工程(1)において金属粉末(A)と希釈剤(B)とを混合して予備混合物を調製するにあたっては、公知の分散・混合手段(攪拌手段)が用いられる。得られる放電ギャップ充填用組成物中における金属粉末の分散性を一層向上できるという観点からは、工程(1)において金属粉末(A)と希釈剤(B)とのみを混合することが好ましい。
また、金属粉末(A)の仕込み量は、希釈剤(B)の仕込み量100質量部に対して、好ましくは25〜55質量部であり、より好ましくは30〜50質量部である。金属粉末(A)の仕込み量が25質量部未満である場合、十分な予備混合をすることができず、金属粉末(A)の凝集が発生して、分散性が悪化することがある。一方、金属粉末(A)の仕込み量が55質量部を超える場合、予備混合物の流動性が悪化して、金属粉末の凝集が発生して、分散性が悪化したり、混合して予備混合物を調製する際に、発熱が大きくなったりすることがある。
分散・混合手段(攪拌手段)としては、ディスパー、ニーダー、3本ロールミル、インペラー式分散機、ホモジナイザー、ビーズミル、ボールミル、プラネタリーミキサー、超音波分散機、自転公転式攪拌機などが挙げられる。
これらの攪拌手段の中でも、自転公転式攪拌機がより好ましい。自転公転式攪拌機を用いると、自転・公転で生じた遠心力が押圧力として、金属粉末(A)と希釈剤(B)とに作用し、これらの成分中に渦状の上下対流が連続的に発生するために、簡便に、金属粉末(A)を希釈剤(B)中に均一に分散させて、予備混合物を調製することができる。
なお、自転公転式攪拌機としては、たとえば、「マゼルスター KK−2000」(クラボウ社製)、自転公転式攪拌脱泡機「ARE−310」(シンキー社製)が市販されている。
また、自転公転式攪拌機は比較的弱いせん断力でも予備混合物を調製することができるために、金属粉末(A)の一次粒子の表面が、シリカ等の金属酸化物膜で被覆されている場合、攪拌の際に生じる強いせん断力によって剥離し易い、金属酸化物膜が金属粉末(A)から剥離することを低減することができる。
工程(1)において攪拌手段として自転公転式攪拌機を使用する場合、自転公転式攪拌機の公転角速度と自転角速度との比率(公転角速度(rpm)/自転角速度(rpm))は、1/1〜3/1であることが好ましく、1/1〜2/1であることがより好ましい。上記比率が、上記上限値を超えると、過度に自転角速度が小さくなり、攪拌効率が悪くなるために、十分な分散性を有する予備混合物を得るのに時間を要することがある。
また、公転と自転のそれぞれの回転角速度としては、例えば100〜2000rpmの間で選択することができ、線速度としては例えば2〜25m/秒の間で選択することができる。
公転と自転のそれぞれの合計回転量は、2000πラジアン以上であることが好ましく、3500πラジアン以上であることがより好ましい。
金属粉末(A)と希釈剤(B)とを混合して得られる予備混合物の温度は、25〜60℃の範囲であることが好ましい。上記温度が60℃を超えると、温度上昇に伴って予備混合物の粘度低下が起こり、予備混合が不十分になり、金属粉末(A)の分散性が悪化することがある。一方で、上記温度が25℃未満になると、予備混合物の流動性が悪化して、分散性が悪化することがある。
公転軸と自転軸との角度は、たとえば、35〜50度であって、各軸が同一面上にあってもよく、あるいは異なる面上にあってもよい(たとえば、KK−VT300、クラボウ社製)。
工程(2):放電ギャップ充填用組成物調製工程
本発明に係る放電ギャップ充填用組成物の製造方法において、上述の工程(1)を実施した後、工程(1)で調製された予備混合物に、後述するバインダー成分(C)や、必要に応じて、層状物質(D)、充填剤、硬化促進剤、硬化触媒などのその他の成分に添加して、予備混合物とバインダー成分(C)等を混合して放電ギャップ充填用組成物を調製する工程(工程(2))を実施する。
このように、予備混合物を予め調製してから該予備混合物とバインダー成分(C)を混合すると、金属粉末(A)、バインダー成分(C)および希釈剤(B)を一括で混合した場合に比べ、得られる放電ギャップ充填用組成物の粘度を低減することができ、放電ギャップ充填用組成物中における金属粉末(A)の分散性を良好なものとすることができる。
工程(2)において、バインダー成分(C)の仕込み量は、予備混合物に含まれる金属粉末(A)の含有量100質量部に対して、好ましくは10〜90質量部、より好ましくは30〜80質量部、さらに好ましくは40〜75質量部である。バインダー成分(C)の仕込み量をこのような範囲にすると、金属粉末(A)がバインダー成分(C)に均一に分散するため、安定した塗布性(ポッティング性)および保存安定性を得ることができる。
また、工程(2)において、予備混合物とバインダー成分(C)等とを混合するにあたっては、公知の分散・混合手段(攪拌手段)が用いられ、攪拌手段としては、上述したように工程(1)で好適に使用される攪拌手段と同様のものが好適に用いられる。
(1)バインダー成分(C)
バインダー成分(C)とは、上述した金属粉末(A)や後述する層状物質(D)などの粒子成分を分散させるための絶縁体物質のことをいう。
バインダー成分(C)としては、たとえば、1×1010Ω・cm以上、好ましくは1×1010〜10×1016Ω・cmの体積固有抵抗(JIS6911に準拠)を有するポリマー(有機系ポリマー、無機系ポリマーまたはそれらの複合ポリマー)を挙げることができる。
このようなバインダー成分(C)の具体例としては、ポリシロキサン化合物、ウレタン樹脂、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリブタジエン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、水添加ポリブタジエン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリテトラフルオロ樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アルキド樹脂、ビニルエステル樹脂、アルキド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アリルエステル樹脂、フラン樹脂などが挙げられる。
また、バインダー成分(C)は、力学的安定性、熱的安定性、化学的安定性または経時的な安定性の観点から、熱硬化性化合物または活性エネルギー線硬化性化合物を含むことが好ましい。前記熱硬化性化合物の中でも、絶縁抵抗値が高く、基材との密着性が良好で、金属粉末(A)の分散性が良好である点で、熱硬化性ウレタン樹脂が特に好ましい。
これらのバインダー成分(C)に含まれる化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
前記熱硬化性ウレタン樹脂としては、たとえば、カーボネートジオール化合物を含むポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させて形成されるウレタン結合を有するポリマーを挙げることができる。他の硬化成分との硬化反応機能を持たせる点で、さらに分子中にカルボキシル基を有するカルボキシル基含有熱硬化性ウレタン樹脂や分子末端に酸無水物基を有する酸無水物基含有熱硬化性ウレタン樹脂が好ましい。また、上記の他の硬化成分としてはエポキシ樹脂硬化剤等を例示でき、バインダー成分(C)の1つとして使用することができる。
上記カーボネートジオール化合物としては、1種または2種以上の直鎖状脂肪族ジオールに由来の繰り返し単位を構成単位として含むカーボネートジオール化合物、1種または2種以上の脂環式ジオールに由来の繰り返し単位を構成単位として含むカーボネートジオール化合物、またはこれら両方のジオールに由来の繰り返し単位を構成単位として含むカーボネートジオール化合物が挙げられる。
直鎖状脂肪族ジオールに由来の繰り返し単位を構成単位として含むカーボネートジオール化合物としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等のジオール成分をカーボネート結合で連結した構造を有するポリカーボネートジオールを挙げることができる。
脂環式ジオールに由来の繰り返し単位を構成単位として含むカーボネートジオール化合物としては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、トリシクロヘキサンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール等のジオール成分をカーボネート結合で連結した構造を有するポリカーボネートジオールを挙げることができる。これらのジオール成分は2種以上を組み合わせてもよい。
前記カーボネートジオール化合物で、市販されているものとしては、ダイセル化学(株)製の商品名PLACCEL、CD−205,205PL,205HL、210、210PL,210HL,220、220PL,220HL、宇部興産(株)製の商品名 UC−CARB100、UM−CARB90、UH−CARB100、株式会社クラレ製の商品名 C−1065N、C−2015N、C−1015N、C−2065Nなどが挙げられる。
これらのカーボネートジオール化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中で、特に、直鎖状脂肪族ジオールに由来の繰り返し単位を構成単位として含むポリカーボネートジオールは、低反り性や可撓性に優れる傾向がある。したがって、該ポリカーボネートジオールを含有するバインダー成分(C)を用いた場合、フレキシブル配線基板に後述する静電放電保護体を設けることが容易になる。
また、脂環式ジオールに由来の繰り返し単位を構成単位として含むポリカーボネートジオールは、結晶性が高くなり耐熱性に優れる傾向がある。以上の観点から、これらのポリカーボネートジオールは2種以上を組み合わせて用いるか、あるいは直鎖状脂肪族ジオール由来と脂環式ジオール由来の両方の繰り返し単位を構成単位として含むポリカーボネートジオールを用いることが好ましい。可撓性と耐熱性とをバランス良く発現させるには、直鎖状脂肪族ジオールと脂環式ジオールの共重合割合が質量比で3:7〜7:3のポリカーボネートジオールを用いるのが好適である。
また、カーボネートジオール化合物の数平均分子量は5000以下であることが好ましい。数平均分子量が5000を超えると相対的なウレタン結合の量が減るために、静電放電保護体の作動電圧が上昇したり、耐高電圧性が低下する場合がある。
上記イソシアネート化合物の具体例としては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、(o,m,またはp)−キシレンジイソシアネート、(o,m,またはp)−水添キシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジメチレレンジイソシアネート、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,9−ノナメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2,2’−ジエチルエーテルジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−メチレンジトリレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートおよび1,5−ナフタレンジイソシアネート等のジイソシネートが挙げられる。これらのイソシアネート化合物は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも脂環式ジアミンから誘導される脂環式ジイソシアネート、具体的には、イソホロンジイソシアネート或いは(o,m,またはp)−水添キシレンジイソシアネートが好ましい。これらのジイソシアネートを使用した場合、耐高電圧性に優れた硬化物を得ることが出来る。
本発明に用いる熱硬化性ウレタン樹脂として、特に上記カルボキシル基含有熱硬化性ウレタン樹脂を得るには、例えば前記カーボネートジオール化合物および前記イソシアネート化合物とともにカルボキシル基を有するポリオールを反応させればよい。
カルボキシル基を有するポリオールとしては、特にカルボキシル基を有するジヒドロキシ脂肪族カルボン酸を使用することが好ましい。このようなジヒドロキシル化合物としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸が挙げられる。カルボキシル基を有するジヒドロキシ脂肪族カルボン酸を使用することによって、ウレタン樹脂中に容易にカルボキシル基を存在させることができる。
本発明に用いる熱硬化性ウレタン樹脂として、特に上記酸無水物基含有熱硬化性ウレタン樹脂を得るには、例えば前記カーボネートジオール化合物および前記イソシアネート化合物を、水酸基数とイソシアネート基数との比率が、イソシアネート基/水酸基=1.01以上になるようにして反応させて得られる第2のジイソシアネート化合物と、酸無水物基を有するポリカルボン酸またはその誘導体とを反応させて得ることができる。
前記酸無水物基を有するポリカルボン酸およびその誘導体としては、酸無水物基を有する3価のポリカルボン酸及びその誘導体、並びに酸無水物基を有する4価のポリカルボン酸を挙げることができる。
酸無水物基を有する3価のポリカルボン酸及びその誘導体としては、特に限定されないが、例えば、下記式(2)及び下記式(3)で示される化合物を挙げることができる。
(式中、R′は、水素、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を示し、Y1は、−CH2−、−CO−、−SO2−、又は−O−である。)
酸無水物基を有する3価のポリカルボン酸及びその誘導体としては、耐熱性、コスト面等から、トリメリット酸無水物が、特に好ましい。
また、上記のポリカルボン酸又はその誘導体の他に必要に応じて、テトラカルボン酸二無水物、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸を使用することができる。
テトラカルボン酸二無水物としては、たとえば、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、4,4′−スルホニルジフタル酸二無水物、m−タ−フェニル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、4,4′−オキシジフタル酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス〔4−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ−〔2,2,2〕−オクト−7−エン−2:3:5:6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オキシジ安息香酸等が挙げられる。
さらに、前記熱硬化性ウレタン樹脂を製造する際の末端封止剤となるモノヒドロキシル化合物を使用することが好ましい。モノヒドロキシル化合物は、分子中にヒドロキシル基を一つ有する化合物であればよく、脂肪族アルコール、モノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味し、以降同様である。
脂肪族アルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール等が挙げられ、モノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート化合物の例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。これらを使用することにより、熱硬化性ウレタン樹脂中にイソシアネート基が残存しないようにすることができる。
熱硬化性ウレタン樹脂には、さらに難燃性を付与するため、塩素、臭素等のハロゲンや燐等の原子がその構造中に導入されていてもよい。
前記カーボネートジオール化合物と前記イソシアネート化合物との反応における両者の配合割合は、上記酸無水物基含有熱硬化性ウレタン樹脂を得る場合を除き、好ましくは、50:100〜150:100であり、さらに好ましくは、80:100〜120:100である。
特にカルボキシル基含有熱硬化性ウレタン樹脂を得る場合、前記カーボネートジオール化合物および前記イソシアネート化合物とともにカルボキシル基を有するポリオールを反応させる際の配合割合は、カーボネートジオール化合物(a)、イソシアネート化合物(b)、カルボキシル基を有するポリオール(c)と表記すると、(a)+(c):(b)=50:100〜150:100であり、さらに好ましくは(a)+(c):(b)=80:100〜120:100である。
前記カーボネートジオール化合物を含むポリオール化合物と前記イソシアネート化合物との反応において用いることのできる溶媒としては、非含窒素系極性溶媒が好ましい。
たとえば、エーテル系溶媒としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテルが挙げられる。
含硫黄系溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランが挙げられる。
エステル系溶媒としては、γ−ブチロラクトン、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートが挙げられる。
ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンが挙げられる。
芳香族炭化水素系溶媒としては、トルエン、キシレン、石油ナフサ等が挙げられる。
これらの溶媒は単独で又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
高揮発性であって、低温硬化性を付与できる溶媒としては、γ−ブチロラクトン、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を挙げることができる。
前記カーボネートジオール化合物を含むポリオール化合物と前記イソシアネート化合物との反応温度は、好ましくは30〜180℃であり、さらに好ましくは50〜160℃である。30℃より温度が低い場合は反応が長くなりすぎ、180℃を超えるとゲル化が生じやすい。
反応時間は、反応温度によるが、好ましくは2〜36時間であり、さらに好ましくは8〜16時間である。2時間未満の場合、期待する数平均分子量を得るために反応温度を上げても制御が難しい。また、36時間を超える場合は、実用的ではない。
前記の熱硬化性ウレタン樹脂の数平均分子量は500〜100,000であることが好ましく、8,000〜50,000が更に好ましい。ここで、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の値である。熱硬化性ウレタン樹脂の数平均分子量が500未満では、硬化膜の伸度、可撓性、並びに強度を損なうことがあり、1000,000を超えると硬くなり可撓性を低下させるおそれがある。
特にカルボキシル基含有熱硬化性ウレタン樹脂の酸価としては、5〜150mgKOH/gが好ましく、30〜120mgKOH/gが更に好ましい。酸価が5mgKOH/g未満では、硬化性成分との反応性が低下し、期待する耐熱性や長期信頼性が得られないことがある。酸価が150mgKOH/gを超えると、可撓性が失われやすく、かつ長期絶縁特性等が低下する場合がある。なお、樹脂の酸価はJISK5407に準拠して測定をした値である。
[その他の成分]
本発明の製造方法の目的を損なわない限り工程(2)において、後述するような任意成分を添加してもよい。
より良好なESD保護特性を得るという観点から、層状物質(D)は、工程(2)において、予備混合物とともに混合されることが好ましい。
層状物質(D)とは、複数の層がファンデルワールス力で結合して形成されている物質のことをいう。層状物質(D)は、イオン交換などによって、結晶内の特定の位置に本来その結晶の構成にあずからない原子や分子やイオンを入り込ませることができ、それによって結晶構造が変化しない。原子や分子やイオンが入り込む位置、すなわちホスト位置は、平面的な層構造をしている。そのような層状物質(D)の典型的なものには、層状粘土鉱物(D1)やグラファイト(黒鉛)などの層状カーボン(D2)あるいは遷移金属のカルコゲン化物などがある。それらの化合物は、ゲストとして金属原子や無機分子、有機分子などをホスト位置に取り込むことによってそれぞれ特異な性質を発現する。
層状物質(D)は、ゲストの大きさや相互作用により層間の距離がフレキシブルに対応する点に特徴がある。ゲストをホスト位置に取り込むことによって得られる化合物を層間化合物と呼ぶ。ホストとゲストとの組み合わせから極めて多様な層間化合物が存在する。層間に存在するゲストは、ホスト層によって二方向から束縛された特異な環境下にある。したがって、層間に存在するゲストの特性は、層の表面に吸着したものとは異なり、ホスト、ゲストの各々の構造、性質に依存するだけでなく、ホスト−ゲスト相互作用を反映した特性となると考えられる。さらに、最近では、層状物質は電磁波をよく吸収するといった点や、ゲストが酸化物の場合の層状物質は、ある温度になると酸素を吸ったり吐いたりする酸素吸収放出素材になるといった点で研究されている。こうした特性を有する層状物質(D)は、金属アルコキシドの加水分解生成物や自己酸化膜と相互作用を起こし、その結果、層状物質(D)を含む放電ギャップ充填用組成物は、ESD保護特性がより向上すると考えられる。
本発明の用いる層状物質(D)は、層状粘土鉱物(D1)及び層状カーボン(D2)からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
本発明で用いる層状物質(D)のうち、層状粘土鉱物(D1)としては、たとえば膨潤性ケイ酸塩であるスメクタイト族粘土および膨潤性雲母が挙げられる。
前記スメクタイト族粘土の具体例としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトおよびベントナイト、ならびにこれらの置換体、誘導体、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
また、前記膨潤性雲母としては、たとえば、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、およびナトリウム型四ケイ素雲母など、またはこれらの置換体、誘導体、あるいはこれらの混合物が挙げられる。上記の膨潤性雲母の中には、パーキュライト類と似た構造を有するものもあり、このようなパーキュライト類相当品なども使用し得る。
前記層状物質(D)は、層状カーボン(D2)であることが好ましい。層状カーボン(D2)は、ESD発生時、電極間空間に自由電子を放出させることができる。また、層状カーボン(D2)であると、ESD放電時の作動性を良好にする傾向がある。
層状カーボン(D2)としては、例えば、コークスの低温処理物、カーボンブラック、金属炭化物、カーボンウィスカー、SiCウィスカーが挙げられる。このような層状カーボン(D2)もESDに対して作動性が認められる。このような層状カーボン(D2)は、炭素原子の六角網面を基本構造としており、積層数が比較的少なく、かつ規則性もやや低いので、若干短絡しやすいという傾向がある。
したがって、層状カーボン(D2)としては、より積層に規則性がある、カーボンナノチューブ、気相成長カーボンファイバー、カーボンフラーレン、黒鉛およびカルビン系炭素からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
また、繊維状の層状カーボン(D2)としては、カーボンナノチューブ、グラファイトウィスカー、フィラメンタスカーボン、グラファイトファイバー、極細炭素チューブ、カーボンチューブ、カーボンフィブリル、カーボンマイクロチューブ、カーボンナノファイバー等が挙げられる。
また、これらの層状カーボン(D2)と人造ダイヤとを混合して用いてもよい。
特に、黒鉛としては、積層規則性が高い黒鉛が好ましく、例えば、六角板状扁平な結晶のような六方晶系、三方晶系または菱面体晶の黒鉛が挙げられる。また、カルビン系炭素としては、炭素原子が直鎖を成し、炭素間の結合が一重結合と三重結合が交互に繰り返すかあるいは二重結合でつながったカルビン系炭素が好ましい。
このような黒鉛またはカルビン系炭素は、層間に他の原子、イオン、分子などのインターカレートを容易に挿入できるために、金属粉末(A)の酸化、還元を促す触媒として適している。すなわち、ここに例示した層状カーボン(D2)は、電子供与体も電子受容体も何れもインターカレーションできることが特徴的である。
層状カーボン(D2)は、不純物を取り除くために、不活性ガス雰囲気中で約2500〜3200℃の高温処理をしたり、ホウ素、炭化ホウ素、ベリリウム、アルミニウム、ケイ素などの黒鉛化触媒とともに不活性ガス雰囲気中で約2500〜3200℃の高温処理をあらかじめ行なったりしてもよい。
層状物質(D)として、膨潤性ケイ酸塩や膨潤性雲母などの層状粘土鉱物(D1)、および層状カーボン(D2)をそれぞれ単独で用いても、2種以上の組み合わせで使用してもよい。これらの中では、スメクタイト族粘土、黒鉛、気相成長カーボンファイバーが、バインダー成分(C)中での分散性、入手の容易さの点で好ましく用いられる。
層状物質(D)が球状もしくは鱗片状である場合、平均粒子径は0.01μm以上30μm以下であることが好ましい。層状物質(D)の平均粒子径が30μmを超える場合は、特に層状カーボン(D2)の場合において粒子同士の導通が起こりやすく、安定したESD保護体を得ることが難しい場合がある。一方、0.01μm未満であると凝集力が強く、また帯電性が高いなどの製造上の問題が発生する場合がある。
なお、層状物質(D)が球状もしくは鱗片状である場合、平均粒子径は、サンプル50mgを秤量し、50mLの蒸留水に添加し、さらに2%Triton(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製の界面活性剤の商品名)水溶液0.2mlを加えて、出力150Wの超音波ホモジナイザーで3分間分散させた後、レーザー回折式粒度分布計、例えばレーザー回折式光散乱式粒度分布計(商標:マイクロトラックHRA、日機装社製)で測定して得られた累積50質量%径で評価する。
層状物質(D)が繊維状である場合は、平均繊維直径の外径は0.01μm以上0.3μm以下、平均繊維長さは0.01μm以上20μm以下であることが好ましく、平均繊維直径の外径は0.06μm以上0.2μm以下、平均繊維長さは1μm以上20μm以下であることがさらに好ましい。繊維状の層状物質(D)の平均繊維直径の外径および平均繊維長さは電子顕微鏡により測定し、10個の測定数で平均を求めて、算出することができる。
層状物質(D)の質量占有率は、層状物質(D)が球状または鱗片状の場合、放電ギャップ充填用組成物の固形分(100質量%)中、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、前記質量占有率がこのような範囲になるように、工程(2)において、層状物質(D)を仕込むことが好ましい。前記質量占有率が10質量%を超える場合は層状物質(D)同士の導通が起こりやすく、ESD放電時の蓄熱が大きくなるために樹脂や基板の破壊が生じたり、ESD発生後、高温のためにESD保護体の絶縁性の回復が遅れたりする傾向がある。また、前記質量占有率が0.1質量%未満の場合はESD保護に対する作動性が不安定になる場合がある。
また、層状物質(D)は、繊維状の場合、球状または鱗片状の場合より、金属粉末表面に効果的に接触するため、質量占有率が過剰であると容易に導通する傾向がある。したがって、層状物質(D)の質量占有率は、層状物質(D)が繊維状の場合、球状または鱗片状の場合より低い質量占有率が好ましく、放電ギャップ充填用組成物の固形分(100質量%)中0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
また、本発明の製造方法において、金属粉末(A)の仕込み量を100質量部とした場合、工程(2)における、層状物質(D)の仕込み量は、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは10〜30質量部である。
また、本発明の製造方法において、工程(1)において、上述した金属粉末(A)および希釈剤(B)とともに、必要に応じて、硬化触媒、硬化促進剤、充填剤、シリカ粒子などの絶縁性粒子、発泡剤、消泡剤、レベリング剤、滑剤、可塑剤、抗錆剤、粘度調整剤または着色剤等の任意成分を工程(2)において、予備混合物およびバインダー成分(C)とともに、これらの任意成分を混合して放電ギャップ充填用組成物を調製してもよい。
[静電放電保護体]
静電放電保護体は、少なくとも2つの電極と、前記2つの電極間に放電ギャップとを有する静電放電保護体であって、上述した製造方法から得られた放電ギャップ充填用組成物を前記放電ギャップに充填して形成される放電ギャップ充填部材を有することを特徴としている。
前記2つの電極は、一定の距離を置いて配置される。ここで、この2つの電極間の空間(放電ギャップ)に前記放電ギャップ充填部材が充填されており、かかる充填部材は、固化または硬化している。つまり、前記2つの電極は放電ギャップ充填部材を介して連結されている。
本発明の静電放電保護体は、静電放電時にデバイスを保護するため、過電流をアースに逃すための保護回路として好適に用いられる。
本発明の静電放電保護体は、上述した放電ギャップ充填用組成物を前記放電ギャップに充填して形成される放電ギャップ充填部材を有するので、通常作動時の絶縁性、作動電圧、耐高電圧性に優れる。すなわち、本発明の静電放電保護体は、通常作動時の低い電圧のときには、高い電気抵抗値を示し、電流をアースに逃がさずデバイスに供給することができる。一方、静電放電が生じたときには、即座に低い電気抵抗値を示し、過電流をアースに逃し、過電流がデバイスに供給されるのを阻止することができる。その後、静電放電の過渡現象が解消したときには、高い電気抵抗値に戻り、電流をデバイスに供給することができる。
また、本発明の静電放電保護体は、2つの電極間の放電ギャップに、絶縁性のバインダー成分(C)を有する放電ギャップ充填用組成物を充填しているため、通常作動時に漏れ電流は発生しない。例えば、2つの電極間にDC10V以下の電圧を印加した場合の抵抗値を1010Ω以上にすることが可能となり、静電放電保護を実現することができる。
本発明の静電放電保護体は、上記放電ギャップ充填用組成物を用いて、たとえば、本発明の製造方法によって放電ギャップ充填用組成物を調製し、該放電ギャップ充填用組成物を、放電ギャップとなる2つの電極間を覆うように、ポッティングまたはスクリーン印刷などの方法で塗布し、必要に応じて加熱して、固化または硬化させて放電ギャップ充填部材を形成して、製造することができる。
前記放電ギャップの幅は、500μm以下であることが好ましく、5μm以上300μm以下であることがより好ましい。放電ギャップの幅が500μmを超える場合は、放電ギャップを形成する電極の幅を幅広く設置すると作動する場合もあるが、製品ごとの静電放電性能の不均一化が生じやすく、また静電放電保護体の小型化から逆行し好ましくない。また、5μm未満の場合も、前記金属粉末(A)や前記層状物質(D)の分散性の影響により、製品ごとの静電放電性能の不均一化が生じやすく短絡しやすいので好ましくない。ここで、放電ギャップの幅とは、電極間の最短距離を意味する。
静電放電保護体の好ましい電極の形状は、回路基板の状態に合わせて任意に設定できるが、小型化を考慮した場合、断面形状が矩形型の膜状で、例えば厚さ5〜200μmの形状を例示できる。
静電放電保護体の好ましい電極の幅は、5μm以上であり、電極幅が広いほど静電放電時のエネルギーが拡散できるために好適である。一方、静電放電保護体の電極の幅が5μm未満の尖状の場合、静電放電時のエネルギーが集中するために、静電放電保護体自体を含め周辺部材のダメージが大きくなるために好ましくない。
本発明の静電放電保護体は、前記放電ギャップ充填部材の表面に保護層が形成されていることが好ましい。
上述した放電ギャップ充填用組成物は、放電ギャップを設けた基材の材質によっては基材との密着性が不充分である場合、静電放電が非常に高エネルギーである場合や、金属粉末(A)の質量占有率が高い場合がある。
このような場合でも、本発明の静電放電保護体は、放電ギャップ充填部材を形成した後、この放電ギャップ充填部材を覆うように、後述する樹脂組成物等の保護層を設けると、より高電圧耐性が付与されて、優れた繰り返し耐性を維持することができる。
保護層として用いる樹脂としては、天然樹脂、変性樹脂またはオリゴマー合成樹脂等が挙げられる。
天然樹脂としてはロジンが代表的である。変性樹脂としては、ロジン誘導体、ゴム誘導体等が挙げられる。オリゴマー合成樹脂としては、シリコン樹脂等が挙げられ、静電放電保護体のポリシロキサン化合物と併用されるような、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸誘導体、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、イミド樹脂、アミック酸樹脂、イミド・アミド樹脂等が挙げられる。
また、保護層として樹脂組成物を用いることができる。
前記樹脂組成物としては、その塗膜強度を保つために、熱または紫外線で硬化させることのできる硬化性樹脂を含むことが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、カルボキシル基含有ウレタン樹脂、エポキシ化合物、あるいは酸無水物基、カルボキシル基、アルコール性基、アミノ基を含有する化合物とエポキシ化合物との組み合わせ、カルボキシル基、アルコール性基、アミノ基を含有する化合物とカルボジイミドを含有する化合物との組み合わせが挙げられる。
エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、N−グリシジル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、キレート型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂等の、一分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物が挙げられる。
また、難燃性付与のために、塩素、臭素等のハロゲンや燐等の原子がその構造中に導入されたエポキシ化合物を使用してもよい。さらに、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、ヘテロサイクリックエポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂及びテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂等を使用してもよい。
エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物を用いることが好ましい。ただし、1分子中にエポキシ基を1個のみ有するエポキシ化合物を併用してもよい。カルボキシル基を含有した化合物としてはアクリレート化合物も挙げられ、特に限定されるものではない。アルコール性基を含有する化合物、アミノ基を含有する化合物も同様に、特に限定されるものではない。
紫外線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和基を2個以上含む化合物であるアクリル系共重合体、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレ−ト樹脂が挙げられる。
保護層を形成する樹脂組成物は、必要に応じて、硬化促進剤、充填剤、溶剤、発泡剤、消泡剤、レベリング剤、滑剤、可塑剤、抗錆剤、粘度調整剤、着色剤等を含有することができる。
保護層の膜厚は、特に限定されないが、0.1μm〜1mmであることが好ましい。また、保護層は、放電ギャップ充填用組成物により形成した放電ギャップ充填部材を完全に覆うことが好ましい。保護層に欠損があると、静電放電時の高いエネルギーでクラックを発生させる可能性が高くなる。
以下、本発明の静電放電保護体の具体的態様を、図1〜3を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明の静電放電保護体の一具体例である静電放電保護体11の縦断面図を表す。静電放電保護体11は、電極12A、電極12Bおよび放電ギャップ充填部材13から形成される。電極12Aおよび電極12Bは、その軸方向を一致させ、それぞれの先端面を向かい合わせるように配置されている。電極12Aおよび電極12Bの、向かい合った端面間には放電ギャップ14が形成されている。放電ギャップ充填部材13は、放電ギャップ14に形成され、さらに電極12Aの、電極12Bの先端面と向かい合っている方の先端部、および電極12Bの、電極12Aの先端面と向かい合っている方の先端部を上側から覆うように、これらの先端部に接して設けられている。放電ギャップ14の幅、すなわち互いに向かい合っている電極12Aと電極12Bとの先端面間の距離は、5μm以上300μm以下であることが好ましい。
図1(2)は、本発明の静電放電保護体の他の具体例である静電放電保護体21の縦断面図を表す。静電放電保護体21は、電極22A、電極22Bおよび放電ギャップ充填部材23から形成される。電極22Aおよび電極22Bは、互いに平行に、それぞれの先端部が鉛直方向で重なるように対置されている。電極22Aおよび電極22Bが鉛直方向に重なっている部分には放電ギャップ24が形成されている。放電ギャップ充填部材23は、断面矩形状であり、放電ギャップ24に形成されている。放電ギャップ24の幅、すなわち電極22Aおよび電極22Bが鉛直方向に重なっている部分の電極22Aと電極22Bとの距離は、5μm以上300μm以下であることが好ましい。
図1(3)は、本発明の静電放電保護体の一具体例である静電放電保護体31の縦断面図を表す。静電放電保護体31は、例えばポリイミドフィルムからなる基材上に形成され、電極32A、電極32B、放電ギャップ充填部材33及び保護層35から形成される。電極32Aおよび電極32Bは、その軸方向を一致させ、それぞれの先端面を向かい合わせるように配置されている。電極32Aおよび電極32Bの、向かい合った端面間には放電ギャップ34が形成されている。放電ギャップ充填部材33は、放電ギャップ34に形成され、さらに電極32Aの、電極32Bの先端面と向かい合っている方の先端部、および電極32Bの、電極32Aの先端面と向かい合っている方の先端部を上側から覆うように、これらの先端部に接して設けられている。放電ギャップ34の幅、すなわち互いに向かい合っている電極32Aと電極32Bとの先端面間の距離は、5μm以上300μm以下であることが好ましい。
[電子回路基板および電子機器]
本発明の電子回路基板は、上述した静電放電保護体を有する。したがって、本発明の電子回路基板は、静電気放電を受けても、静電気による破壊を受け難くなる傾向がある。
また、本発明のフレキシブル電子回路基板は、上述した静電放電保護体を有する。したがって、本発明のフレキシブル電子回路基板は、静電気放電を受けても、静電気による破壊を受け難くなる傾向がある。
本発明の電子機器は、前記電子回路基板または前記フレキシブル電子回路基板を有する。したがって、本発明の電子機器は、静電気放電を受けても、静電気による破壊を受け難くなる傾向がある。
次に本発明について実施例を示してさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[評価基準]
本実施例および比較例で得られた放電ギャップ充填用組成物および、静電放電保護体の各特性を以下のとおり評価した。
<放電ギャップ充填用組成物の塗布性(ポッテング性)>
本実施例および比較例で得られた放電ギャップ充填用組成物を、シリンジに充填し、該シリンジの吐出部が鉛直方向に向くように専用アダプターに設置した後、自転公転式攪拌脱泡機「ARE−310」(シンキー社製)を用いて、公転角速度2000rpm、自転角速度800rpmの条件で4分間混合を行った。
その後、シリンジの吐出部に「Needle DPN−23G−1」(武蔵エンジニアリング製)を取り付け、3−Axis dispensing micro−robot「EzROBO−3GX」(岩下エンジニアリング製)およびAutomatic system dispenser「AD3000C」(岩下エンジニアリング製)を用いて、23℃で、基板(ガラスエポキシ基板)上に連続ポッティング(連続吐出)を0.2mg/点および1.6点/秒の速度で4時間実施した(合計23718点)。連続ポッティングの開始後51点目〜60点目のポッティング点10つの平均直径(初期のポッティング径(d1))と、連続ポッティングの開始後23659点〜23668点目のポッティング点10つの平均直径(d2)を測定した。
次いで、(d2)と(d1)との比率((d2)/(d1)×100)を求めた。求められた該比率または連続ポッティングの開始直後〜4時間目までの吐出状態から、以下の基準でポッティング性(塗布性)を評価した。
(基準)
○:(d2)/(d1)×100≧90(%)
△:80(%)≦(d2)/(d1)×100<90(%)
×:(d2)/(d1)×100<80(%) または
連続ポッティングの開始直後〜4時間目までの間にシリンジの先端が詰まるなどして、安定的に連続ポッティングできない。
なお、上記評価「○」の場合、組成物中の粒子成分(金属粉末)の凝集が低減され(金属粉末の分散性が向上し)、粒子成分の経時的な沈降が少なくなっているのに対して、上記評価「△」の場合、組成物中の粒子成分の凝集が若干生じ(金属粉末の分散性が若干悪化し)、経時的に粒子成分の沈降が多くなっていることを示し、上記評価「×」の場合、組成物中の粒子成分の凝集が著しく生じ(金属粉末の分散性が悪化し)、経時的に粒子成分の沈降が著しく多くなっていることを示している。
<保存安定性の評価方法>
本実施例および比較例で得られた放電ギャップ充填組成物を容器(楠本化成製、軟膏容器#150S)に約80g充填し、アルミ袋に入れて5℃〜10℃の冷蔵庫に保存した。規定の保存日数が経過した後に、自転公転式攪拌脱泡機「ARE−310」(シンキー社製)を用いて、公転角速度2000rpm、自転角速度800rpmの条件で4分間混合を行った。混合物をスパチュラですくい取ったときの様子から、放電ギャップ充填組成物の保存安定性を以下の基準で評価した。なお、ゲル化とは、バインダー成分と金属粉末の固着物が生じることにより、スパチュラ等で容易にほぐすことができない状態となることを指す。
(基準)
○:保存開始から2ヶ月以上経過した後も、ゲル化が見られずかつ攪拌後の沈降物も見られなかった。
△:保存開始から1ヶ月までは、ゲル化が見られず、かつ攪拌後の沈降物も見られなかったが、その後2ヶ月までの間にゲル化または沈殿物が見られた。
×:保存開始から1ヶ月以内に、ゲル化が発生した、または攪拌後に沈降物が見られた。
<通常作動電圧時の絶縁性の評価方法>
本実施例および比較例で得られた静電放電保護体の両端の電極部について、絶縁抵抗計「MEGOHMMETER SM−8220」(DKK−TOA CORPORATION製)を用いて、DC10V印加における抵抗を「通常作動時の抵抗」として測定した。当該測定値から、静電放電保護体の通常作動電圧時の絶縁性を以下の基準で評価した。
(基準)
○: 電気抵抗値が1010Ω以上を示す
×: 電気抵抗値が1010Ω未満を示す。
<作動電圧の評価方法>
半導体用静電気試験器ESS−6008(NOISE LABORATORY社製)を用い、得られた静電放電保護体に対して、最初に100Vの印加をして、50V刻みで印加電圧を上げて電流測定を行い、放電電流が流れた印加電圧を「作動電圧」として評価した。最初の100Vの印加で放電電流が計測された場合は、作動電圧を100Vとした。
<耐高電圧性の評価方法>
得られた静電放電保護体を半導体用静電気試験器ESS−6008(NOISE LABORATORY社製)にとりつけ、8kVの印加電圧を10回与えた後、絶縁抵抗計MEGOHMMETER SM−8220を用いて、DC10V印加における抵抗値を測定した。当該抵抗値を、「耐高電圧性」として以下の基準で評価した。
(基準)
○: 1010Ω以上を示す
△: 108Ω以上、1010Ω未満を示す
×: 108Ω未満を示す。
<調製例1:アルミニウムパウダー含有ペーストの調製>
一次粒子の形状が薄片状であるアルミニウム粒子(昭和アルミパウダー社製、商品名:2173、固形分65%)を76g取り、プロピレングリコールモノメチルエーテル724gに分散させ、次いでイオン交換水169gおよび25質量%アンモニア水を32g添加し、攪拌して、アルミパウダースラリーを得た。このアルミパウダースラリーの液温を30℃に保持した。
次に、テトラエトキシシラン13.2gをプロピレングリコールモノメチルエーテル13.2gで希釈して得られたテトラエトキシシラン溶液を、12時間かけて、一定速度で上記アルミパウダースラリーに滴下し、該スラリー中でテトラエトキシシランの加水分解を進行させて、テトラエトキシシランの加水分解生成物でアルミニウム粒子の表面を被覆した。テトラエトキシシラン溶液の滴下を完了した後、前記スラリーを12時間攪拌し続けた。この操作中において、スラリーの温度を30℃に保持した。その後、前記スラリーをろ過装置に供して、スラリーから、残渣(アルミパウダー)を濾紙上に分離した。次いで、濾紙上にプロピレングリコールモノメチルエーテルを供して、残渣(アルミパウダー)を洗浄した。この洗浄操作を3回実施した。
洗浄後、濾紙から残渣(アルミパウダー)を採取し、残渣に含まれる溶剤を飛散させるために、アルミパウダーの温度を40℃に保持して、アルミニウム固形分の含有量が41質量%になるまで、溶剤を飛散させてペースト(「アルミパウダー含有ペースト1」)を得た。得られたペースト中には、アルミニウム固形分、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよび水が、ペースト全体量を100質量%とした場合、それぞれ、41質量%、58.5質量%および0.5質量%の含有率で含まれる。
なお、アルミニウム固形分とは、採取したペーストを120℃で1時間乾燥させて得られた加熱残分を指し、アルミニウム固形分の含有率(質量%)は、加熱残分の質量(残量)(X1)と、乾燥前のペーストの質量(X0)とを用いて、以下の数式に基づいて算出されたものである。
また、本調製例で得られたアルミパウダー含有ペースト1に含まれる、アルミニウム粒子から、断面試料を調製し、該断面試料を、走査型電子顕微鏡(以下「SEM」とも記す。)を用いて、20000倍の拡大倍率で観察した。観察されたアルミニウム粒子の断面像の中から、任意に10個のアルミニウム粒子を選択し、選択した各粒子において、最も長い軸(長辺)の長さ「L」と、最も短い軸の長さ「d」とをそれぞれ計測した。これら10点のLおよびdの平均値から求めた平均アスペクト比(L/d)は20であった。平均アスペクト比の計測に使用したSEM画像の一例を図2に示す。
<調製例2:アルミパウダー含有ペーストの調製>
一次粒子の形状が球状であるアルミニウム粒子(東洋アルミパウダー社製、商品名:08−0076、平均粒径:2.5μm)を49g取り、プロピレングリコールモノメチルエーテル724gに分散させ、次いでイオン交換水169gおよび25質量%アンモニア水を32g添加し、攪拌して、アルミパウダースラリーを得た。このアルミパウダースラリーの液温を30℃に保持した。
次に、テトラエトキシシラン13.2gをプロピレングリコールモノメチルエーテル13.2gで希釈して得られたテトラエトキシシラン溶液を、12時間かけて、一定速度で上記アルミパウダースラリーに滴下し、該スラリー中で、テトラエトキシシランの加水分解を進行させて、テトラエトキシシランの加水分解生成物でアルミ粒子の表面を被覆した。
テトラエトキシシラン溶液の滴下が完了した後、前記スラリーを12時間攪拌し続けた。この操作中において、前記スラリーの温度を30℃に保持した。その後、前記スラリーをろ過装置に供して、スラリーから、残渣(アルミパウダー)を濾紙上に分離した。次いで、濾紙上にプロピレングリコールモノメチルエーテルを供して、残渣(アルミパウダー)を洗浄した。この洗浄操作を3回実施した。
洗浄後、濾紙から残渣(アルミパウダー)を採取し、残渣に含まれる溶剤を飛散させるために、アルミパウダーの温度を40℃に保持して、アルミニウム固形分の含有量が35質量%に成るまで、溶剤を飛散させてペースト(アルミパウダー含有ペースト2)を得た。
得られたペースト中には、アルミニウム固形分、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよび水が、ペースト全体量を100質量%とした場合、それぞれ、35質量%、64.5質量%および0.5質量%の含有率で含まれる。
なお、アルミニウム固形分の定義およびアルミニウム固形分の含有率(質量%)は、調製例1と同様である。
また、本調製例で得られたアルミパウダー含有ペースト2に含まれる、アルミニウム粒子から、断面試料を調製し、該断面試料を、走査型電子顕微鏡(以下「SEM」とも記す。)を用いて、50000倍の拡大倍率で観察した。調製例1と同様にして、アルミニウム粒子の平均アスペクト比を算出した。算出された平均アスペクト比(L/d)は20であった。平均アスペクト比の計測に使用したSEM画像の一例を、図3に示す。
<調製例3:熱硬化性ウレタン樹脂溶液1の調製>
バインダー成分(B)として、熱硬化性ウレタン樹脂1を以下のように合成した。
攪拌装置、温度計、コンデンサーを備えた反応容器に、ポリカーボネートジオールとしてC−1015N(株式会社クラレ製ポリカーボネートジオール、原料ジオールモル比:1,9−ノナンジオール:2−メチル−1,8−オクタンジオール=15:85、分子量964)718.2g、カルボキシル基を有するジヒドロキシル化合物として2,2−ジメチロールブタン酸(日本化成株式会社製)136.6g、および溶媒としてγ―ブチロラクトン 1293gを仕込み、90℃に昇温して、C−1015Nおよび2,2−ジメチロールブタン酸を、γ―ブチロラクトンに溶解させた。
この原料を溶解した液の温度を70℃まで下げ、滴下ロートにより、ポリイソシアネートとしてメチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(住化バイエルウレタン(株)製、商品名「デスモジュール−W」)237.5gを30分かけて滴下した。
滴下終了後、液温を80℃に上げて1時間保持し、次いで、液温を90℃に上げて1時間保持し、さらに、液温を100℃に上げて1.5時間保持して、反応を進行させ、ほぼイソシアネートが消失したことを確認した後、イソブタノール(和光純薬株式会社製)2.13gを滴下し、更に液温を105℃に上げて1時間保持して反応を進行させ、カルボキシル基含有ウレタン樹脂(以下「熱硬化性ウレタン樹脂1」とも記す。)を得た。
得られた熱硬化性ウレタン樹脂1の数平均分子量は6090、固形分酸価は40.0mgKOH/gであった。
得られた熱硬化性ウレタン樹脂1にγ−ブチロラクトンを加えて希釈して溶液(以下「熱硬化性ウレタン樹脂溶液1」とも記す。)を得た。なお、この熱硬化性ウレタン樹脂溶液100質量%とした場合、固形分、γ−ブチロラクトン、イソブタノールおよびの含有量は、それぞれ45質量%、55質量%、0.09質量%であった。
<調製例4:熱硬化性ウレタン樹脂2の調製>
バインダー成分(B)として、熱硬化性ウレタン樹脂2を以下のように合成した。
攪拌機、油水分離器付き冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた5リットルの四つ口フラスコに、ポリカーボネートジオールとして、PLACCEL CD−220(ダイセル化学(株)製1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートジオールの商品名)1000.0g(0.50モル)、カルボキシル基を有するジヒドロキシル化合物として4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート250.27g(1.00モル)、および溶媒としてγ−ブチロラクトン833.51gを仕込み、140℃まで昇温させ、液温を140℃に5時間保持して、反応を進行させて、ジイソシアネート化合物2を得た。更に、ジイソシアネート化合物2を含む、この反応液に、無水物基を有するポリカルボン酸として無水トリメリット酸288.20g(1.50モル)、さらに4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート125.14g(0.50モル)及びγ−ブチロラクトン1361.14gを仕込み、160℃まで昇温させた後、6時間反応を進行させて、数平均分子量が18,000の酸無水物基含有熱硬化性ウレタン樹脂(以下「熱硬化性ウレタン樹脂2」とも記す。)を得た。得られた熱硬化性ウレタン樹脂2をγ−ブチロラクトンで希釈し、粘度160Pa・s、固形分42重量%のアミドイミド樹脂溶液、つまり熱硬化性ウレタン樹脂2の溶液(以下「熱硬化性ウレタン樹脂溶液2」とも記す。)を得た。なお、この熱硬化性ウレタン樹脂溶液100質量%とした場合、固形分、γ−ブチロラクトンの含有量は、それぞれ質量%、42質量%、58質量%であった。
[実施例1]
<放電ギャップ充填用組成物の調製>
アルミパウダー含有ペースト1(固形分57質量%) 392.4g、希釈剤としてトリアセチン(ダイセル化学工業製)400.0gを加え、自転公転式攪拌脱泡機「マゼルスター KK−2000」(クラボウ社製)を用いて、公転角速度580rpm,自転角速度580rpmの条件で2分の混合を2回行い、予備混合物1を調製した(予備混合工程)。このときの自転公転式攪拌機の自転線速度および公転線速度はそれぞれ8.3m/秒および15.8m/秒であり、公転軸と自転軸との角度は40°であり、公転軸と自転軸との最短距離は0cmであり、公転軸での合計回転量および自転軸での合計回転量は、それぞれ4640πラジアンおよび4640πラジアンであった。
次いで、予備混合物1に、熱硬化性ウレタン樹脂溶液1(固形分54質量%)263.1gを加え、更に、硬化剤としてエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:JER604)7.83gをブチルジグリコール(日本乳化剤製)1.95gで希釈した溶液を加え、自転公転式攪拌脱泡機「マゼルスター KK−2000」(クラボウ社製)を用いて、公転角速度800rpm,自転角速度800rpm、混合時間2分の混合条件で混合操作を実施し、次いで、自転公転式攪拌脱泡機を停止した後(混合操作を停止した後)、同一の混合条件で再度混合操作を実施して(混合回数の合計:2回)、放電ギャップ充填用組成物1を調製した。
なお、自転公転式攪拌脱泡機の自転線速度と公転線速度はそれぞれ11.4m/秒および21.8m/秒であり、公転軸と自転軸との角度は40°であり、公転軸と自転軸との最短距離は0cmであり、公転軸での合計回転量および自転軸での合計回転数は、それぞれ6400πラジアンおよび6400πラジアンであった。
また、本実施例において希釈剤として使用された「トリアセチン」は、分子内に特性基として、3つのエステル結合(−CO−O−)を有し、これらの特性基同士は、分子内で直接結合しておらず、炭化水素基を介して結合している。そのため、「トリアセチン」は、本明細書にて規定される希釈剤(B1)に相当する。なお、オキシ基(−O−)は、2つの結合手全てが炭化水素基と結合しているものであることから、本明細書にて規定される特性基ではない。
得られた放電ギャップ充填用組成物1の粘度を、プログラマブル粘度計(BROOK FIELD社製、モデルDV−ii+PRO、測定温度25℃、スピンドルCP42、回転速度10rpm)を用いて測定した。
また、得られた放電ギャップ充填用組成物1の各特性を、上記「評価基準」に基づいて評価した。
<静電放電保護体の作製および評価>
膜厚25μmのポリイミドフィルム上に一対の電極パターン(膜厚12μm、放電ギャップの幅70μm、電極幅300μm)を形成した配線基板に、上記放電ギャップ充填用組成物1を、針先が直径2mmで平坦なニードルを用いて塗布し、電極パターンに跨って放電ギャップに充填した。その後、120℃恒温器内で60分保持して放電ギャップ充填部材を形成した。その後、シリコン樹脂(X14−B2334:モーメンティブ社製)を前述の静電保護体を完全に覆うように塗布し、すぐに120℃の硬化炉に入れて、120℃で1時間硬化して保護層を形成し、図1(3)に示すような静電放電保護体1を得た。得られた静電放電保護体1について、通常作動時の絶縁性、作動電圧、耐高電圧性を上記「評価基準」に基づいて評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
希釈剤として、トリアセチン(ダイセル化学工業製)400gの代わりに、ジプロピレングリコール(和光純薬工業製)400gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして放電ギャップ充填用組成物2を調製し、実施例1と同様にして、放電ギャップ充填用組成物2の粘度および各特性を測定した。
ここで、希釈剤として使用された「ジプロピレングリコール」は、分子内に特性基として、2つのヒドロキシル基(―OH)を有する。また、これらの特性基(2つのヒドロキシル基)同士は、分子内で直接結合しておらず、炭化水素基を介して結合している。そのため、「ジプロピレングリコール」は、本明細書にて規定される希釈剤(B1)に相当する。得られた放電ギャップ充填用組成物2の粘度を測定した(BROOK FIELD社製、モデルDV−ii+PRO、測定温度25℃、スピンドルCP42、回転速度10rpm)。
また、放電ギャップ充填用組成物2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、静電放電保護体2を作製し、静電放電保護体2の各特性を評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
アルミパウダー含有ペースト1(固形分57質量%)392.4g、希釈剤としてトリアセチン(ダイセル化学工業製)400.0g、熱硬化性ウレタン樹脂溶液1(固形分54質量%)263.1g、硬化剤としてエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:JER604)7.83gをブチルジグリコール(日本乳化剤製)1.95gで希釈したものを加えて、自転公転式攪拌脱泡機「マゼルスター KK−2000」(クラボウ社製)を用いて、公転角速度580rpm,自転角速度580rpm、混合時間2分の混合条件で混合操作を実施し、次いで、自転公転式攪拌脱泡機を停止した後、同一の混合条件で再度混合操作を実施し(混合回数:2回)、更に、公転角速度800rpm,自転角速度800rpm、混合時間2分の混合条件で混合操作を実施し、次いで、自転公転式攪拌脱泡機を停止した後、同一の混合条件で再度混合操作を実施して(混合回数:2回)、放電ギャップ充填用組成物1´を調製した。また、実施例1と同様にして、放電ギャップ充填用組成物1´の粘度および各特性を測定した。
次いで、放電ギャップ充填用組成物1´を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、静電放電保護体1´を作製し、静電放電保護体1´の各特性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
希釈剤として、トリアセチン(ダイセル工業製)400gの代わりに、γ―ブチロラクトン(和光純薬工業製)400gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして放電ギャップ充填用組成物3を調製し、実施例1と同様にして、放電ギャップ充填用組成物3の粘度および各特性を測定した。
ここで、希釈剤として使用された「γ―ブチロラクトン」は、分子内に特性基として、カルボニル基(−CO−)およびオキシ基(−O−)を有するが、これらの特性基同士は直接結合してエステル結合(−CO-O−)を形成している。このエステル結合は1つの特性基としてカウントされ、このエステル結合を除いては、特性基は存在していない。そのため、「γ―ブチロラクトン」は、本明細書にて規定される希釈剤(B1)に相当せずに、希釈剤(B2)に相当する。
次いで、放電ギャップ充填用組成物3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、静電放電保護体3を作製し、各特性を評価した。結果を表1に示す。
表1の結果から分かるように、通常作動時の絶縁性、作動電圧および耐高電圧性に関しては、静電放電保護体が実施例1〜3および比較例1の何れの放電ギャップ充填用組成物を用いて作製された場合も、同様の結果を示した。
しかしながら、放電ギャップ充填用組成物の分散性は、予備混合工程を実施した場合(実施例1〜3)、予備混合工程を実施していない場合(比較例1)に比べて、極めて良好であった。
更に、希釈剤として本明細書で規定する希釈剤(B1)を用いた場合(実施例1〜2)、希釈剤(B1)を用いていない場合(実施例3)に比べて、塗布性(ポッティング性)および保存安定性に比べて極めて良好な結果を示した。
すなわち、放電ギャップ充填用組成物を製造するに当たって、金属粉末(A)と希釈剤(B)を予備混合する工程を実施することで組成物中の金属粉末等の粒子成分の凝集が低減されて分散性が向上し、さらには希釈剤として希釈剤(B1)を用いることに起因して、更に分散性が向上し、粒子成分の経時的な沈降を少なくすることができるために、きわめて良好な塗布性(ポッティング性)および保存安定性が発揮されることが分かる。
[実施例4]
実施例1と同様にして放電ギャップ充填用組成物4a(放電ギャップ充填用組成物1と同一)を調製し、プログラマブル粘度計(BROOK FIELD社製、モデルDV−ii+PRO、測定温度25℃、スピンドルCP42、回転速度10rpm)を用いて測定し、さらに回転速度を10rpmから5rpmおよび1rpmに変更した場合の粘度も測定した。
次いで、上記放電ギャップ充填用組成物4aに、自転公転式攪拌脱泡機「マゼルスター KK−2000」(クラボウ社製)を用いて、公転角速度800rpm,自転角速度800rpm、混合時間2分の混合条件で混合操作を実施し、自転公転式攪拌脱泡機を停止した。更に、同一の操作を4回実施して(混合回数の合計:5回)、放電ギャップ充填用組成物4bを調製した。得られた放電ギャップ充填用組成物4bの粘度を、放電ギャップ充填用組成物4aの粘度測定の条件と同様にして測定した。得られた結果を表2に示す。
[実施例5]
予備混合工程において、自転公転式攪拌脱泡機「マゼルスター KK−2000」(クラボウ社製)を用いて、公転角速度580rpm,自転角速度580rpm、混合時間2分の混合条件で混合操作を実施し、自転公転式攪拌脱泡機を停止した。更に、同一の操作を2回実施して(混合回数の合計:3回)、予備混合物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして放電ギャップ充填用組成物5aを調製し、実施例4と同様にして粘度を測定した。
次いで、放電ギャップ充填用組成物5aを自転公転式攪拌脱泡機「マゼルスター KK−2000」(クラボウ社製)を用いて、公転角速度800rpm,自転角速度800rpmの条件で2分の混合をさらに5回行い、放電ギャップ充填用組成物5bを調製し、実施例4と同様にして粘度を測定した。結果を表2に示す。
[実施例6]
予備混合工程において、自転公転式攪拌脱泡機「マゼルスター KK−2000」(クラボウ社製)を用いて、公転角速度580rpm,自転角速度580rpm、混合時間100秒の混合条件で混合操作を実施し、自転公転式攪拌脱泡機を停止した後、同一の混合条件で再度混合操作を実施した(混合回数の合計:2回)こと以外は、実施例1と同様にして放電ギャップ充填用組成物6aを調製し、実施例4と同様にして粘度を測定した。
次いで、放電ギャップ充填用組成物6aを自転公転式攪拌脱泡機「マゼルスター KK−2000」(クラボウ社製)を用いて、公転角速度800rpm,自転角速度800rpm、混合時間2分の混合条件で混合操作を実施し、自転公転式攪拌脱泡機を停止した。更に、同一の操作を4回実施して(混合回数の合計:5回)、放電ギャップ充填用組成物6bを調製し、実施例4と同様にして粘度を測定した。結果を表2に示す。
表2の結果からわかるように、放電ギャップ充填用組成物4a、5aおよび6aは、成分の種類や成分比率(含有比率)が同一であるにも関わらず、予備混合工程において、混合時間を長くしたり、混合回数を増加させたりすることによって、得られる組成物の粘度を低減することができることが理解できる。
一方で、放電ギャップ充填用組成物4aと4b、5aと5b、6aと6bをそれぞれ対比しても分かるように、予備混合工程ではなく、放電ギャップ充填用組成物調製工程において、予備混合物にバインダー成分を添加した後、混合時間を長くしたり、混合回数を増やしたりしても、得られる組成物の粘度はほとんど変化していない。
すなわち、放電ギャップ充填用組成物の粘度は、(i)予備混合工程における混合回数や混合時間(攪拌(混合)の強さの程度)に大きく依存すること、および(ii)放電ギャップ充填用組成物工程において、予備混合物にバインダー成分の添加後、混合回数を増やしたり混合時間を長くしたりして攪拌(混合)の強さの程度を大きくしたとしても、得られる組成物の粘度はほとんど変わらないことから、予備混合工程での混合条件を変えることで、成分の種類や成分比率(含有比率)が同一であるにも関わらず、放電ギャップ充填用組成物の粘度を簡便に調整することができる。
本発明によれば、組成物中の金属粉末の凝集が低減され(金属粉末の分散性が向上し)、粒子成分の経時的な沈降が少ないために、塗布性(ポッティング性)および保存安定性が良好である放電ギャップ充填用組成物の製造方法を提供することができる。また、たとえ、成分の種類や含有比率が同一であっても、工程(1)の混合条件を調節することで、放電ギャップ充填用組成物の粘度を簡便に調整することができる放電ギャップ充填用組成物の製造方法を提供することもできる。
11、21、31:静電放電保護体
12A、12B、22A、22B、32A、32B:電極
13、23、33:放電ギャップ充填部材
14,24、34:放電ギャップ
35:保護層

Claims (14)

  1. 金属粉末(A)と希釈剤(B)とを混合して予備混合物を調製する工程(1)と、
    前記予備混合物に、バインダー成分(C)を添加して、前記予備混合物とバインダー成分(C)とを混合して放電ギャップ充填用組成物を製造する工程(2)と
    を含むことを特徴とする放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
  2. 前記工程(1)は、自転公転式攪拌機を用いて、金属粉末(A)と希釈剤(B)とを混合して予備混合物を調製する工程であって、
    自転公転式攪拌機の公転角速度と自転角速度との比率(公転角速度(rpm)/自転角速度(rpm))が、1/1〜3/1であることを特徴とする、請求項1に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
  3. 前記希釈剤(B)が、分子内に2以上の特性基を有し、当該特性基同士が、分子内で直接結合しておらず、炭化水素基または珪素原子を介して結合している希釈剤(B1)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
  4. 前記希釈剤(B1)の特性基が、親水性の特性基であることを特徴とする、請求項3に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
  5. 前記希釈剤(B1)の特性基が、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子およびハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも一つの原子を含有する親水性の特性基であることを特徴とする、請求項3または4に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
  6. 前記希釈剤(B)の特性基が、ヒドロキシ基、2つの結合手の内少なくとも1つは炭化水素基と結合していないオキシ基、オキソ基、カルボニル基、アミノ基、イミノ基、ハロゲン基、N−オキシド基、N−ヒドロキシ基、ヒドラジン基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、ホスフィノ基、2つの結合手の内少なくとも1つは炭化水素基と結合していないチオスルフィド基、S−オキシド基、チオキシ基およびこれらが直接結合した基からなる群から選択されることを特徴とする、請求項3〜5の何れか一項に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
  7. 前記希釈剤(B1)の特性基が、ヒドロキシ基、2つの結合手の内少なくとも1つは炭化水素基と結合していないオキシ基、オキソ基、カルボニル基およびこれらが直接結合した基からなる群から選択されることを特徴とする、請求項3〜6の何れか一項に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
  8. 前記希釈剤(B)が、ジプロピレングリコール、トリアセチン、グリセリン、1,1,3,3−テトラメトキシプロパンおよび1,1,3,3−テトラエトキシプロパンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項3〜7の何れか一項に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
  9. 前記金属粉末(A)の一次粒子の表面が、金属酸化物からなる膜で被覆されていることを特徴とする、請求項1〜8の何れか一項に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
  10. 前記金属酸化物からなる膜が、下記一般式(1)で表される金属アルコキシドの加水分解生成物からなる膜であることを特徴とする、請求項9に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
    (式(1)中、Mは金属原子であり、Oは酸素原子であり、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基であり、nは1〜40の整数である。)
  11. 前記一般式(1)におけるMが、ケイ素、チタン、ジルコニウム、タンタルまたはハフニウムであることを特徴とする、請求項10に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
  12. 前記金属酸化物からなる膜が、前記金属粉末(A)における一次粒子自身から形成される自己酸化膜であることを特徴とする請求項9に記載の放電ギャップ充填用組成物。
  13. 前記金属粉末(A)が、銅、銀、金、亜鉛、鉄、タングステン、マンガン、ニオブ、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、モリブデン、バナジウム、ニッケル、コバルト、クロム、マグネシウム、チタン、アルミニウムおよびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1種類の金属粉末であることを特徴とする、請求項1〜12の何れか一項に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
  14. 前記バインダー成分(C)が、熱硬化性化合物または活性エネルギー線硬化性化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜13の何れか一項に記載の放電ギャップ充填用組成物の製造方法。
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