(A)第1の実施形態
以下、本発明による画像形成装置、並びに、制御装置及びプログラムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。なお、この実施形態の画像形成装置はプリンタである。
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、この実施形態に係る画像形成装置の機能的構成、及びこの実施形態に係る画像形成装置に関係する各装置との接続関係について示したブロック図である。
図1では、この実施形態のプリンタ10が、ネットワーク2を介して、印刷ジョブの供給元であるPC1と接続している。なお、プリンタ10に印刷ジョブを供給する構成は、図1の例に限定されず、例えば、オフライン(例えば、フラッシュメモリ等の記録媒体による供給)による供給としても良い。
そして、プリンタ10は、図1に示すように、通信部110、データ解析部120、制御部130、画像形成部140、受信データ格納部150、印刷画像データ格納部160、及びジョブスタッカ170を有している。
通信部110は、当該プリンタ10を外部(この実施形態ではネットワーク2)に接続するためのインタフェースの機能を担っている。通信部110が対応するインタフェースの種類は限定されないものであるが例えば、イーサネット(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)等に対応したインタフェースを適用することができる。通信部110は、ネットワーク2を介して、PC1等の上位装置(以下、「ホスト」とも呼ぶ)から印刷ジョブのデータを受信し、データ解析部120に転送する。
また、この実施形態の通信部110はPC1が送信した印刷ジョブデータを受信すると、一意の識別番号(以下、「ジョブ番号」と呼ぶ)を与えて受信データ格納部150に格納し、当該ジョブ番号をデータ解析部120に通知する処理も行うものとする。
データ解析部120は、通信部110からの通知に従って受信データ格納部150から印刷ジョブデータを読み出し、読み出した印刷ジョブデータを、ページごとの印刷画像データに変換する処理等を行う。例えば、PC1から受信した印刷ジョブデータに、印刷対象となる画像が符号化等加工された印刷画像データだった場合には、復号処理を行って、制御部130及び画像形成部140で処理可能な形式の印刷画像データに変換する処理を行う。
そして、データ解析部120は、変換した印刷画像データを、印刷ジョブ単位で識別可能な形式で、印刷画像データ格納部160に格納する。
印刷画像データ格納部160に格納するデータ形式については限定されないものであるが、この実施形態では、図2に示すような形式となっているものとする。
図2では、印刷画像データ格納部160を構成するメモリ空間に格納されているデータを概念的に示している。図2では、印刷画像データ格納部160における先頭の2つの印刷ジョブのデータを例として示している。具体的には、図2では、印刷画像データ格納部160を構成するメモリ空間の先頭に、ジョブ番号が「201007070915」の印刷ジョブと、ジョブ番号が「201007070917」の印刷ジョブが格納されている例について示している。
なお、この実施形態では、各印刷ジョブのジョブ番号は、通信部110がそのジョブを受信した日時に基づく数値であるものとするが、ジョブ番号の付与形式については限定されないものである。この実施形態では、例えば、「201007070915」というジョブ番号は、「2010年7月7日9時15分」に通信部110で受信されたものであることを示している。
図2では、ジョブ番号が「201007070915」の印刷ジョブを構成する、2ページ分の印刷画像データ(図2のPD11とPD12)と、ジョブ番号が「201007070917」の印刷ジョブを構成する、1ページ分の印刷画像データ(図2のPD21)が格納されている。
そして、先頭のジョブ番号が「201007070915」の印刷ジョブを構成する印刷画像データPD11、PD12の前方のメモリには当該印刷ジョブの先頭を表わすデータ(以下、「ジョブ開始識別データ」と呼ぶ)SD1が格納されている。ジョブ開始識別データSD1には、図2に示すように当該印刷ジョブのジョブ番号の情報が含まれているものとする。
そして、印刷画像データPD11、PD12の後方のメモリには、当該印刷ジョブの終端を表わすデータ(以下、「ジョブ終端データ」と呼ぶ)ED1が格納されている。そして、ジョブ終端識別データED1のさらに後方には、次の印刷ジョブ(ジョブ番号:「201007070915」)のジョブ開始識別データSD2が格納され、さらにその後方には印刷画像データPD21が格納されている。
すなわち、図2に示すように、この実施形態の印刷画像データ格納部160において、各印刷ジョブのデータは、ジョブ開始識別データ、1又は複数の印刷画像データ、及びジョブ終端識別データで構成されている。なお、印刷画像データ格納部160では、印刷ジョブごとに印刷画像データが管理されていればよく、具体的な形式については図2の形式に限定されないものであり、例えば、データベース形式等を適用するようにしても良い。
また、データ解析部120は、印刷ジョブごとに、当該印刷ジョブの制御に関する情報(以下、「印刷ジョブ制御情報」と呼ぶ)を保持して、制御部130に通知する。この実施形態では、印刷ジョブ制御情報には、少なくとも当該印刷ジョブのジョブ番号が含まれているものとして説明する。
制御部130は、プリンタ10を構成する各構成要素を統合的に制御するものであって、データ転送部131、ジョブ管理部132、画像形成管理部133を有している。
この実施形態において、制御部130は、プリンタ10の一部の構成要素であるものとして説明するが、制御部130の一部又は全部の機能について別個の制御装置として構築するようにしても良い。その場合、例えば、ジョブ管理部132及びジョブスタッカ170の機能のみを別個の制御装置として構築するようにしても良い。例えば、プロセッサ及びメモリ等のプログラムの実施構成を有する情報処理装置(例えば、PCやワークステーション等)に、実施形態の制御プログラム(ジョブ管理部132及びジョブスタッカ170の機能に対応するプログラム)等をインストールすることにより上述の制御装置を構築するようにしても良い。その場合、当該制御装置を、ネットワーク2に接続してプリンタ10と通信して制御を行うようにしても良い。
データ転送部131は、ジョブ管理部132の指示に応じて、印刷画像データ格納部160から、印刷ジョブごとのデータ(印刷画像データ)を読み出して画像形成部140に転送する。そして、データ転送部131は、1つの印刷ジョブを転送し終わると、転送が終了した印刷ジョブのジョブ番号をジョブ管理部132に通知する。
ジョブ管理部132は、各印刷ジョブの進行状況を管理し、各印刷ジョブの印刷処理を、画像形成管理部133に指示する。具体的には、ジョブ管理部132は、ジョブスタッカ170に格納されたジョブ管理テーブル171の内容を管理することにより、各印刷ジョブを管理している。ジョブ管理部132による印刷ジョブ管理の詳細(ジョブ管理テーブル171の内容の詳細を含む)については後述する。
画像形成管理部133は、ジョブ管理部132からの指示に基づいて、画像形成部140の動作を制御する。
画像形成部140は、制御部130(画像形成管理部133)からの制御に基づいて、データ転送部131から転送されてきた印刷画像データの印刷媒体Sへの画像形成処理(印刷処理)を行うものであり、現像処理部141及び定着器142を有している。
次に、プリンタ10のハードウェア構成(現像処理部141及び定着器142を中心とした構成)の概要について説明する。
図3は、第1の実施形態のプリンタ10の概略断面図である。
プリンタ10では、印刷媒体Sを堆積する給紙カセットcを備えている。そして、給紙カセットcで、一番上に積層された印刷媒体Sが、ホッピングローラhrにより繰り出され、繰り出された印刷媒体Sが、1対のピンチローラprにより現像処理部141に供給される。
そして、現像処理部141では、ピンチローラprから供給された印刷媒体Sが、搬送ベルト141bにより、媒体搬送方向(図3の矢印eの方向)に搬送される
現像処理部141は、直列にならべられた4つのトナー像形成ユニット141a(141a−1〜141a−4)を有している。なお、現像処理部141に配置するトナー像形成ユニット141aの数や、トナー剤の色については限定されないものである。
トナー像形成ユニット141a−1〜141a−4は、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー、又はブラックのいずれかの色のトナー剤(現像剤)を用いて印刷媒体S上にトナー像を現像するものである。それぞれのトナー像形成ユニット141a(141a−1〜141a−4)では、図示せぬ帯電ローラにより感光ドラム141e(141e−1〜141e−4)を帯電させ、図示せぬ光ヘッドにより回転する感光ドラム141e(141e−1〜141e−4)上に画像データに基づく画像(静電潜像)を書き込み、その画像(静電潜像)をトナー剤で現像することにより、トナー像が感光ドラム141e(141e−1〜141e−4)上に得られる。
そして、搬送ベルト141bの内側には、感光ドラム141e−1〜141e−4のそれぞれに対向する位置に、印刷媒体Sにトナー像を転写するための転写ローラ141f−1〜141f−4が配置されている。転写ローラ141f−1〜141f−4は、搬送ベルト141b上を通過する印刷媒体Sを対向する感光ドラム141f押圧し、感光ドラム141fの表面に形成されたトナー像を印刷媒体Sに転写する。すなわち、プリンタ10では、現像剤としてのトナー剤によるトナー像を、印刷媒体Sに転写する電子写真式の画像形成が行われる。
なお、搬送ベルト141bは、媒体搬送方向の下流の端が駆動ローラ141cにより支持され、媒体搬送方向の上流の端が従動ローラ141dにより支持されている。駆動ローラ141cは、図示しないモータにより駆動(回転)し、従動ローラ141dはプリンタ10内で回転可能に支持されている。すなわち、従動ローラ141dは、駆動ローラ141cの回転に伴って回転する。
なお、現像処理部141、プリンタ10に印刷媒体Sを供給する構成や、プリンタ10内で印刷媒体S内を搬送する具体的な構成については限定されないものであるが、例えば、参考文献1(特開2008−249763号公報)の記載技術を適用することができる。
そして、画像形成部140において、各トナー像形成ユニット141a−1〜141a−4によりトナー像が形成された印刷媒体Sは、搬送ベルト141bにより、定着器142に供給される。そして、定着器142により定着処理された印刷媒体Sは、排紙され、排紙トレイtr上に堆積(載置)される。
次に、定着器142の詳細構成について説明する。
図4は、定着器142の概略断面図である。
定着器142では、図4に示すように、定着器フレーム142a内に、加熱ローラ142b、加圧ローラ142c、ヒータ142d、及び温度センサ142eが配置されている。
図4における矢印eは、プリンタ10における印刷媒体Sを搬送する媒体搬送路上の媒体搬送方向を示している。
そして、定着器142では、定着器フレーム142a内において、媒体搬送路の上方向に加熱ローラ142bが配置されている。そして、加熱ローラ142bに、媒体搬送路を挟んで対向する位置に加圧ローラ142cが配置されている。また、加圧ローラ142cは、上述の位置で回転可能に支持されている。
また、図4に示すように、加熱ローラ142bの内部には、加熱ローラ142b等を加熱するためのヒータ142dが配置されている。また、定着器フレーム142aの内部には、加熱ローラ142b等の温度を測定するための温度センサ142eが配置されている。さらに、加熱ローラ142bは、図示しないモータにより回転(駆動)する。そして、加熱ローラ142bの回転に伴って加圧ローラ142cも回転する。
すなわち、加熱ローラ142b及び加圧ローラ142cは、図4に示すように、印刷媒体Sを挟み込んで、媒体搬送路上で媒体搬送方向(図4の矢印e)に搬送する方向に回転する。そして、加熱ローラ142b及び加圧ローラ142cは、印刷媒体Sを挟み込むときに、熱及び圧力を加え、印刷媒体Sに形成されたトナー像の定着処理を行う。
定着器142のハードウェア構成としては、図4の構成に限定されず、既存の種々の定着器と同様の構成を適用することができる。
例えば、図4では、加熱ローラ142b内に1つのヒータ142dを配置しているが、定着器フレーム142a内で、配置するヒータの位置や数は限定されないものである。ヒータ142dとしては、例えば、ハロゲンランプ等既存のプリンタの定着器に用いられるものと同様のものを適用することができる。
また、例えば、図4では、加熱ローラ142bの近傍に、1つの温度センサ142eを配置しているが、定着器フレーム142a内で、配置する温度センサの位置や数は限定されないものである。温度センサ142eとしては、サーミスタやサーモスタット等、既存のプリンタの定着器に用いられるものと同様のものを適用することができる。
上述の通り、定着器142のハードウェア構成は限定されないものであるが、具体的には、例えば、上述の参考文献1の記載技術(特に参考文献1の図3に示す構成)を適用することができる。
そして、画像形成管理部133は、画像形成部140(現像処理部141、定着器142等)等の動作を管理する。
画像形成管理部133は、例えば、プリンタ10内で印刷媒体Sを搬送する速度(以下、「搬送速度」と呼ぶ)や、定着器142が定着処理を行う際の温度の管理及び制御を行う。
まず、画像形成管理部133による、現像処理部141の搬送速度の制御について説明する。
画像形成管理部133は、少なくとも、現像処理部141に印刷媒体Sが供給されてから、定着器142による定着処理が終了するまでの媒体搬送路上での搬送速度(以下、「媒体搬送速度」と呼ぶ)を管理する。具体的には、画像形成管理部133は、媒体搬送路上に配置された各ローラ等を駆動するモータを制御して、搬送速度を設定された速度(以下、「設定媒体搬送速度」と呼ぶ)とする。この実施形態では、媒体搬送速度として、PPM(Page per Minute)を用いて説明する。PPMとは、1分当たり印刷されるA4サイズの印刷媒体の枚数を表す。例えば、設定媒体搬送速度が1PPMであった場合には、1分間あたりにA4サイズの印刷媒体を1枚印刷する速度で、印刷媒体が媒体搬送路を移動するものとして説明する。
画像形成管理部133が、各モータを制御して搬送速度を制御する具体的な構成については限定されないものであるが、例えば、参考文献1の記載技術を適用するようにしてもよい。
次に、画像形成管理部133による、定着器142に係る温度管理について説明する。
画像形成管理部133は、例えば、定着器142の温度センサ142eの温度計測結果を利用してヒータ142dの出力を制御することにより、定着器142の温度(以下、「定着器温度」と呼ぶ)を、設定された温度(以下、「設定定着器温度」と呼ぶ)とする。この実施形態では、説明を簡易にするために、画像形成管理部133は、加熱ローラ142bの近傍に設置された温度センサ142eで計測される温度が、設定定着器温度となるようにヒータ142dの出力を制御するものとして説明する。
この実施形態では、上述のように配置される温度センサ142eが1つであるものとするが、温度センサが複数配置されている場合には、例えば、複数の温度センサの測定結果に応じて、ヒータ142dの出力を制御するようにしてもよい。また、この実施形態では、上述のように配置されるヒータ142dは1つであるものとするが、ヒータが複数配置されている場合には、複数のヒータを制御して、定着器142の温度管理を行うようにしてもよい。なお、画像形成管理部133が、定着器142の温度を制御する具体的な構成については限定されないものであるが、例えば、参考文献1の記載技術を適用するようにしてもよい。
そして、この実施形態において、画像形成管理部133は、ジョブ管理部132から指示された印刷モードに応じて、設定搬送速度及び設定定着器温度を切り替える。この実施形態では、画像形成管理部133は、通常印刷モードと、通常印刷モードよりも低消費電力であるが低い印刷速度で動作する省電力印刷モード2つの印刷モードに対応しているものとする。すなわち、画像形成管理部133では、設定定着器温度を制御することにより画像形成部140の消費電力を制御し、設定媒体搬送速度を制御することにより印刷速度を制御している。
以下では、通常印刷モードでの設定定着器温度をTe1、設定媒体搬送速度をVp1と呼ぶものとする。また、省電力印刷モードでの設定定着器温度をTe2、設定媒体搬送速度をVp2と呼ぶものとする。そして、Te1とTe2との関係は、Te1>Te2となっている。また、Vp1とVp2との関係は、Vp1>Vp2となっている。
次に、ジョブ管理部132による画像形成管理部133(画像形成部140)に対する制御処理、及び、ジョブ管理テーブル171の内容の詳細について説明する。
ジョブ管理部132は、上述の通り、ジョブスタッカ170に格納されたジョブ管理テーブル171の内容を管理することにより、各印刷ジョブを管理している。
図5は、ジョブ管理テーブル171の内容例について示した説明図である。
ジョブ管理テーブル171では、印刷処理が終了していない印刷ジョブについて、ジョブ番号に印刷モードの情報を対応づけて管理している。
ジョブ管理テーブル171において、ジョブ番号の項目は、当該印刷ジョブを識別する識別子である。
ジョブ管理テーブル171における印刷モードの項目は、当該印刷ジョブに係る印刷を行う際の印刷モードを示しており、「省電力印刷モード」又は「通常印刷モード」のいずれかの情報が設定される。なお、ジョブ管理テーブル171で印刷モードの項目に入力する具体的なデータ形式としては、図5の内容に限定されず、例えば、フラグ情報(例えば「1」又は「2」等)の形式としても良い。
図5に示すジョブ管理テーブル171では、上の行に係る印刷ジョブほど、先に実行すべき印刷ジョブであることを示している。なお、この実施形態のジョブ管理部132では、原則として、FIFO(First In First Out)で各印刷ジョブの印刷処理が実行されるものとして説明するが、各印刷ジョブの優先度に応じて処理順序の入れ替え等を行うようにしてもよい。その場合、ジョブ管理テーブル171上で、各行のデータを、先に印刷処理する順番に並べ替えるようにしてもよい。
ジョブ管理部132は、データ転送部131から新たな印刷ジョブに係る印刷ジョブ制御情報(ジョブ番号を含む情報)が通知されると、ジョブ管理テーブル171の最後尾に当該印刷ジョブに係る行を追加して、ジョブ番号を入力する。そして、ジョブ管理部132は、新たに追加した印刷ジョブに対応する印刷モードを決定して、ジョブ管理テーブル171の印刷モードの項目に入力する。そして、ジョブ管理部132は、印刷処理の終了した印刷ジョブの情報(行)については、ジョブ管理テーブル171から削除する処理を行う。
この実施形態では、ジョブ管理部132は、印刷ジョブが到来するごとに、先行する印刷ジョブの状況に応じて、当該到来した印刷ジョブの印刷モードを決定するものとする。具体的には、この実施形態において、ジョブ管理部132は、先行する印刷ジョブ(ジョブ管理テーブル171に登録されている印刷ジョブ)の数がN未満であった場合に、当該到来した印刷ジョブを省電力印刷モードで印刷処理を行うものと決定し、先行する印刷ジョブの数がN以上であった場合に当該到来した印刷ジョブを通常印刷モードで印刷処理を行うものと決定するものとする。なお、この実施形態では、上述の閾値としてのNは「1」であるものとして説明する。なお、各印刷ジョブについて印刷モードを決定する具体的方式は限定されないものである。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態のプリンタ10の動作を説明する。
図6は、新たな印刷ジョブが到来した場合のプリンタ10の動作について示したフローチャートである。
まず、プリンタ10では、通信部110により印刷ジョブのデータが受信され(S101)、当該印刷ジョブに一意のジョブ番号が付与され、受信データ格納部150に格納されたものとする(S102)。
そして、通信部110からデータ解析部120に到来した印刷ジョブのジョブ番号が、通知される(S103)。
そして、データ解析部120により、新たに到来した印刷ジョブのデータ(受信データ格納部150に格納されたデータ)が解析されて、ページごとの印刷画像データに変換され、印刷画像データ格納部160に格納される(S104)。
そして、データ解析部120から、制御部130(ジョブ管理部132)に、到来した印刷ジョブの印刷ジョブ制御情報(少なくともジョブ番号を含む情報)が通知される(S105)。
そして、ジョブ管理部132では、通知された印刷ジョブの印刷モードが決定される(S106)。なお、このステップS106における、当該印刷ジョブの印刷モードの決定処理の詳細については後述する。
そして、ジョブ管理部132では、通知された印刷ジョブ制御情報と、決定された印刷モードに基づいて、当該印刷ジョブの情報(行)を、ジョブスタッカ170のジョブ管理テーブル171に登録する(S107)。具体的には、ジョブ管理部132は、通知された印刷ジョブ制御情報に含まれるジョブ番号と、上述のステップS106で決定された印刷モードの情報(行)を、ジョブスタッカ170(ジョブ管理テーブル171)に追加する処理を行う。
次に、上述のステップS106の処理の詳細について説明する。
図7は、上述のステップS106における印刷ジョブの印刷モードを決定する処理等について示した説明図である。
ジョブ管理部132は、新たに到来した印刷ジョブのジョブ番号を取得すると、ジョブスタッカ170のジョブ管理テーブル171を参照して(S201)、当該印刷ジョブに先行する印刷ジョブの数がN以上であるか否かを確認する(S202)。
上述のステップS202で、先行する印刷ジョブの数がN以上と判定された場合には、ジョブ管理部132は、当該印刷ジョブの印刷モードを通常モードと決定する(S203)。
一方、上述のステップS202で、先行する印刷ジョブの数がN未満と判定された場合には、ジョブ管理部132は、当該印刷ジョブの印刷モードを省電力モードと決定する(S204)。
図8は、制御部130が、ジョブ管理テーブル171の内容に基づいて、各印刷ジョブについて印刷実行の制御処理を行う場合の動作について示したフローチャートである。
まず、制御部130のジョブ管理部132が、ジョブスタッカ170のジョブ管理テーブル171から、次に印刷処理を行う印刷ジョブのジョブ番号と印刷モードの情報を取得したものとする(S301)。
そして、ジョブ管理部132は、当該印刷ジョブの印刷モードを、画像形成管理部133にセットする。そして、画像形成管理部133は、ジョブ管理部132からセットされた印刷モードに応じた設定定着器温度及び設定媒体搬送速度をセットする(S302)。
そして、ジョブ管理部132は、データ転送部131に、印刷処理を行う印刷ジョブの先頭のジョブ開始識別データに続く印刷画像データを順次読み出すように制御する。そして、データ転送部131は、読み出す印刷画像データが無くなり、ジョブ終端識別データを検出するまで、同様に印刷画像データの読み出しを行う(S303、S304)。
そして、データ転送部131は、ジョブ終端識別データを検出した場合には、その旨をジョブ管理部132に報告する(S305)。
そして、データ転送部131は、読み込んだ印刷画像データを、順次画像形成部140に転送する処理を行う(S306)。
そして、画像形成管理部133は、画像形成部140が当該印刷ジョブについて印刷処理を行っている間、セットされた設定定着器温度及び設定媒体搬送速度を保つように制御を行う(S307)。
そして、ジョブ管理部132は、当該印刷ジョブの情報(行)を、ジョブスタッカ170のジョブ管理テーブル171から削除する(S308)。
以上のように、制御部130は、1つの印刷ジョブの印刷処理に関する制御を行い、次に印刷処理を行う印刷ジョブがジョブスタッカ170(ジョブ管理テーブル171)にある場合には、次の印刷ジョブについて上述のステップS301の処理から同様の処理を行う。
次に、図7、図8のフローチャートに従って、制御部130が動作した場合のジョブスタッカ170(ジョブ管理テーブル171)の内容の遷移について、図9を用いて説明する。なお、以下の例では、上述のステップS202において適用される閾値としてのNは1であるものとして説明する。
まず、ここでは、初期状態として、ジョブ管理テーブル171に印刷ジョブが1件も登録されていない場合を想定する。そして、その状態で、制御部130に1件の印刷ジョブが到来し、当該印刷ジョブについては「201007070915」というジョブ番号が付与されたものとする。このとき、ジョブ管理テーブル171に印刷ジョブが1件も登録されていない状態なので、上述のステップS202において、ジョブ管理部132は、先行する印刷ジョブの数がN未満(1未満)と判定し、当該印刷ジョブの印刷モードを省電力印刷モードと決定する。そして、ジョブ管理テーブル171の内容は、図9(a)のように設定される。
そして、その後、「201007070915」の印刷ジョブの印刷処理が終了する前に、新たに、制御部130に1件の印刷ジョブが到来し、当該印刷ジョブについては「201007070917」というジョブ番号が付与されたものとする。このとき、ジョブ管理テーブル171には図9(a)に示すように、1件の印刷ジョブが登録されている状態なので、上述のステップS202において、ジョブ管理部132は、先行する印刷ジョブの数がN以上(1以上)と判定し、当該印刷ジョブの印刷モードを通常印刷モードと決定する。そして、ジョブ管理テーブル171の内容は、図9(b)のように設定される。
そして、ジョブ管理テーブル171の内容が図9(b)の状態で、その後に新たな印刷ジョブが到来する場合には、図9(c)に示すように、それらの印刷ジョブの印刷モードは全て通常印刷モードと決定されることになる。
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
第1の実施形態のプリンタ10では、ジョブスタッカ170でN以上の先行する印刷ジョブが滞留している場合には、混雑している(所定以上の待ち行列が発生している)と判定し、新たに到来した印刷ジョブについて印刷速度を優先し、通常印刷モードで印刷処理を実行する。そして、プリンタ10では、ジョブスタッカ170で、滞留している印刷ジョブがN以下の場合には、空いている(待ち行列が所定以下である)と判定し、省電力で動作することを優先し、新たに到来した印刷ジョブについて省電力印刷モードで印刷処理を実行する。
また、画像形成部140が、省電力印刷モードで動作する場合、定着器142の温度が通常印刷モードよりも低くなるが、媒体搬送速度を通常印刷モードよりも遅くしているため、印刷媒体Sが定着器142をゆっくり通過することになり、印刷媒体Sにトナー像を十分定着させることができる。言い換えると、画像形成部140が、省電力印刷モードで動作する場合でも、媒体搬送速度を調節することにより、通常印刷モードと同じ画質の画像形成を行うことができる。
以上のように、プリンタ10では、先行する印刷ジョブの状況に応じて、新たに到来した印刷ジョブの印刷モードを決定し、印刷速度、消費電力、画質の全てについて柔軟に対応し、効率の良い印刷処理を実行することができる。
(B)第2の実施形態
以下、本発明による画像形成装置、並びに、制御装置及びプログラムの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。なお、この実施形態の画像形成装置はプリンタである。
(B−1)第2の実施形態の構成
図10は、この実施形態に係る画像形成装置の機能的構成、及びこの実施形態に係る画像形成装置に関係する各装置との接続関係について示したブロック図である。
第2の実施形態のプリンタ10Aでは、制御部130及びジョブスタッカ170が、制御部130A及びジョブスタッカ170Aに置き換わっている点で第1の実施形態と異なっている。また、制御部130Aでは、ジョブ管理部132が、ジョブ管理部132Aに置き換わっている点で第1の実施形態とことなっている。さらに、ジョブスタッカ170Aでは、ジョブ管理テーブル171がジョブ管理テーブル171Aに置き換わっている点で、第1の実施形態と異なっている。
第1の実施形態のジョブ管理部132では、印刷ジョブが到来したときに、当該印刷ジョブの印刷モードを決定している。しかし、この実施形態のジョブ管理部132Aでは、到来した印刷ジョブをジョブスタッカ170Aのジョブ管理テーブル171Aにスタック(登録)した後、当該印刷ジョブについて印刷処理を実行する際に印刷モードを決定する。
この実施形態では、ジョブ管理部132Aは、印刷ジョブについて印刷処理の実行を開始する際に、当該印刷ジョブに後続する印刷ジョブの状況に応じて、印刷モードを決定するものとする。具体的には、この実施形態において、ジョブ管理部132Aは、後続する印刷ジョブ(ジョブ管理テーブル171Aに登録されている後続する印刷ジョブ)の数がM未満であった場合に、印刷処理を開始する印刷ジョブの印刷モードを省電力印刷モードと決定し、後続する印刷ジョブの数がM以上であった場合に、印刷処理を開始する印刷ジョブの印刷モードを通常印刷モードと決定するものとする。なお、この実施形態では、上述の閾値としてのMは「1」であるものとして説明する。なお、各印刷ジョブについて印刷モードを決定する具体的方式は限定されないものである。
図11は、ジョブ管理テーブル171Aの内容例について示した説明図である。
上述の通り、ジョブ管理部132Aでは、各印刷ジョブについて印刷処理を実行するときに印刷モードを決定するので、この実施形態のジョブ管理テーブル171Aでは、図11に示すように、各印刷ジョブの印刷モードの項目の情報(列)が省略されている点で第1の実施形態と異なる。
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態のプリンタ10Aの動作を説明する。
図12は、新たな印刷ジョブが到来した場合のプリンタ10Aの動作について示したフローチャートである。
なお、図12に示すステップS401〜S405の動作(制御部130Aに、到来した印刷ジョブの印刷ジョブ制御情報が通知されるまでの処理)については、第1の実施形態(ステップS101〜S105)の動作と同様であるので詳しい説明を省略する。
そして、ジョブ管理部132Aでは、通知された印刷ジョブ制御情報(ジョブ番号を含む情報)に基づいて、当該印刷ジョブの情報(行)を、ジョブスタッカ170Aのジョブ管理テーブル171Aに登録する(S406)。
図13は、制御部130Aが、ジョブ管理テーブル171Aの内容に基づいて、各印刷ジョブについて印刷実行の制御処理を行う場合の動作について示したフローチャートである。
まず、制御部130Aのジョブ管理部132Aが、ジョブスタッカ170Aのジョブ管理テーブル171Aから、次に印刷処理を行う印刷ジョブのジョブ番号の情報を取得したものとする(S501)。
そして、ジョブ管理部132Aでは、取得したジョブ番号に係る印刷ジョブの印刷モードが決定され、印刷モード通知部134により画像形成管理部133に通知される(S502)。なお、このステップS502における、当該印刷ジョブの印刷モードの決定処理の詳細については後述する。
そして、画像形成管理部133は、ジョブ管理部132Aから通知された印刷モードに応じた設定定着器温度及び設定媒体搬送速度をセットする(S503)。
以後、ステップS503〜S509の処理により、制御部130Aでは、当該印刷ジョブについて印刷実行の制御処理が行われるが、この動作は、第1の実施形態(上述のステップS303〜S308)と同様であるので詳しい説明は省略する。
次に、上述のステップS502の処理の詳細について説明する。
図14は、上述のステップS502において、ジョブ管理部132Aが印刷ジョブの印刷モードを決定する処理等について示したフローチャートである。
ジョブ管理部132Aは、印刷処理を実行する印刷ジョブのジョブ番号を取得すると、ジョブスタッカ170Aのジョブ管理テーブル171Aを参照して(S601)、当該印刷ジョブに後続する印刷ジョブの数がM以上であるか否かを確認する(S602)。
上述のステップS602で、後続する印刷ジョブの数がM以上と判定された場合には、ジョブ管理部132Aは、当該印刷ジョブの印刷モードを通常モードと決定する(S603)。
一方、上述のステップS602で、後続する印刷ジョブの数がM未満と判定された場合には、ジョブ管理部132Aは、当該印刷ジョブの印刷モードを省電力モードと決定する(S604)。
そして、ジョブ管理部132Aの印刷モード通知部134により、決定した印刷モードが画像形成管理部133に通知される(S605)。
次に、図12〜図14のフローチャートに従って、制御部130Aが動作した場合のジョブスタッカ170A(ジョブ管理テーブル171A)の内容の遷移について、図15を用いて説明する。なお、以下の例では、上述のステップ602において適用される閾値としてのMは1であるものとして説明する。
まず、ここでは、初期状態として、ジョブ管理テーブル171Aに印刷ジョブが一件も登録されていない場合を想定する。そして、その状態で、制御部130Aに1件の印刷ジョブが到来し、当該印刷ジョブについては「201007070915」というジョブ番号が付与されたものとする。そして、ジョブ管理テーブル171Aの内容は、図15(a)のように設定される。
そして、ジョブ管理テーブル171Aの内容が図15(a)に示す状態で、制御部130Aにおいて「201007070915」のジョブ番号の印刷ジョブについて印刷処理が開始されたものとする。このとき、ジョブ管理テーブル171Aに後続する印刷ジョブが一件も登録されていない状態なので、上述のステップS602において、ジョブ管理部132Aは、後続する印刷ジョブの数がM未満(1未満)と判定し、当該印刷ジョブの印刷モードを省電力印刷モードと決定する。
そして、「201007070915」のジョブ番号の印刷ジョブについて画像形成部140で印刷処理を行っている間に、新たに、制御部130Aに3件の印刷ジョブが到来したものとする。到来した3件の印刷ジョブについては、それぞれ「201007070917」、「201007070918」、「201007070920」というジョブ番号が付与され、ジョブ管理テーブル171Aに登録されたものとする。そして、ジョブ管理テーブル171Aの内容は、図15(b)のように設定される。
そして、その後「201007070915」のジョブ番号の印刷ジョブについて印刷処理が終了し、制御部130Aにおいて「201007070917」ジョブ番号の印刷ジョブについて印刷処理が開始されたものとする。このとき、ジョブ管理テーブル171Aの内容は、図15(c)に示す内容となる。したがって、ジョブ管理テーブル171Aに後続する印刷ジョブが2件登録されている状態なので、上述のステップS602において、ジョブ管理部132Aは、後続する印刷ジョブの数がM以上(1以上)と判定し、当該印刷ジョブの印刷モードを通常印刷モードと決定する。
そして、その後「201007070917」のジョブ番号の印刷ジョブについて印刷処理が終了し、制御部130Aにおいて「201007070918」ジョブ番号の印刷ジョブについて印刷処理が開始されたものとする。このとき、ジョブ管理テーブル171Aの内容は、図15(d)に示す内容となる。したがって、ジョブ管理テーブル171Aに後続する印刷ジョブが1件登録されている状態なので、上述のステップS602において、ジョブ管理部132Aは、後続する印刷ジョブの数がM以上(1以上)と判定し、当該印刷ジョブの印刷モードを通常印刷モードと決定する。
そして、その後「201007070918」のジョブ番号の印刷ジョブについて印刷処理が終了し、制御部130Aにおいて「201007070920」ジョブ番号の印刷ジョブについて印刷処理が開始されたものとする。そして、ジョブ管理テーブル171Aには、後続する印刷ジョブが一件も登録されていない状態となる。このとき、ジョブ管理テーブル171Aの内容は、図15(e)に示す内容となる。したがって、ジョブ管理テーブル171Aに後続する印刷ジョブが一件も登録されていない状態なので、上述のステップS602において、ジョブ管理部132Aは、後続する印刷ジョブの数がM未満(1未満)と判定し、当該印刷ジョブの印刷モードを省電力印刷モードと決定する。
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
プリンタ10Aでは、印刷ジョブについて印刷処理を実行する際に、ジョブスタッカ170Aで、後続する印刷ジョブがM以上ある場合には、混雑している(所定以上の待ち行列が発生している)と判定し、これから印刷処理を実行する印刷ジョブについては、印刷速度を優先して通常印刷モードで印刷を行う。そして、プリンタ10Aでは、印刷ジョブについて印刷処理を実行する際に、ジョブスタッカ170Aで、後続する印刷ジョブがM未満である場合には、空いている(待ち行列が所定以下である)と判定し、これから印刷処理を実行する印刷ジョブについては、低消費電力を優先して省電力印刷モードで印刷を行う。これにより、プリンタ10では、後続する印刷ジョブの状況に応じて、印刷処理を実行する印刷ジョブの印刷モードを決定し、効率的な印刷を行うことができる。
以上のように、プリンタ10Aでは、後続する印刷ジョブの状況に応じて、印刷処理を実行する印刷ジョブの印刷モードを決定することにより、第1の実施形態と同様に、印刷速度、消費電力、画質の全てについて柔軟に対応し、効率の良い印刷処理を実行することができる。
(C)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
(C−1)上記の各実施形態では、本発明の画像形成装置をプリンタとして用いる例について説明したが、本発明の画像形成装置の用途は限定されないものであり、印刷機、複写機、複合機、ファクシミリ等の他の種類の画像形成装置に適用するようにしてもよい。
(C−2)上記の各実施形態では、制御部(画像形成管理部)が対応する印刷モードは、通常印刷モードと、省電力印刷モードの2種類だけであったが、対応する印刷モードの数は限定されないものである。
例えば、制御部(画像形成管理部)が、通常印刷モードよりも設定媒体搬送速度を上げた印刷モード(以下、「速度優先印刷モード」と呼ぶ)に対応する場合を想定する。例えば、第2の実施形態において、制御部が印刷処理を実行しようとする印刷ジョブに後続する印刷ジョブの数がMよりも多いI(IはM以上の任意の数)であった場合には、画質よりも速度を優先して、上述の速度優先印刷モードを適用するようにしても良い。速度優先印刷モードは、通常印刷モードよりも設定媒体搬送速度を上げているので、通常印刷モードよりも画像形成の画質は落ちるが、早く印刷ジョブを処理することができるので、後続する印刷ジョブが多くなった場合には、ユーザにとって利便性が高くなる。
(C−3)上記の各実施形態では、制御部(ジョブ管理部)は、各印刷ジョブの印刷モードを決定する場合に、当該印刷ジョブに先行又は後続する印刷ジョブの状況に応じて決定しているが、その他の要素を考慮して当該印刷ジョブの印刷モードを決定するようにしても良い。
例えば、制御部(ジョブ管理部)は、当該印刷ジョブに先行又は後続する印刷ジョブの数に加えて、先行又は後続する印刷ジョブの印刷ページ数も考慮して、当該印刷ジョブの印刷モードを決定するようにしても良い。例えば、第2の実施形態の制御部において、印刷処理を実行しようとする印刷ジョブに後続する印刷ジョブの数がM(例えば、M=5)未満であっても、後続する印刷ジョブに係る印刷ページ数の合計がJ枚以上(例えば、J=30ページ)であった場合には、当該印刷ジョブについては通常印刷モードで印刷処理を実行するようにしても良い。この変形例の場合、データ解析部から制御部に供給される印刷ジョブ制御情報に、印刷ジョブのページ数を含む必要がある。また、ジョブスタッカ(ジョブ管理テーブル)で、各印刷ジョブのページ数の項目を追加して管理する必要がある。
また、例えば、制御部(ジョブ管理部)は、各印刷ジョブの依頼元を識別するユーザ識別子(例えば、ユーザIDやクライアント名(ホスト名)等)を、ジョブスタッカ(ジョブ管理テーブル)で管理し、各印刷ジョブの印刷モードを決定する場合に、当該印刷ジョブに先行又は後続する印刷ジョブのユーザ識別子を考慮するようにしても良い。
例えば、第1の実施形態の制御部において、新たに到来した印刷ジョブに先行する印刷ジョブの数がN以上であっても、先行する印刷ジョブのユーザ識別子が、全て新たに到来した印刷ジョブと同じである場合には、当該印刷ジョブについては、省電力印刷モードで印刷処理を実行すると決定するようにしても良い。プリンタ(制御部)に多くの印刷ジョブが滞留していたとしても、全て同じユーザに係る印刷ジョブである場合には、印刷速度が遅くなっても影響を与えるユーザは1人だけである。したがって、上述の変形例のような構成とすることにより、プリンタ(制御部)において、影響を与えるユーザが少ない場合に省電力での動作を優先させることができる。
(C−4)上記の各実施形態の制御部では、各印刷ジョブについて、一旦画像形成部により印刷処理が開始されてしまうと、その途中で印刷モードを変更する構成とはなっていないが、印刷処理中の印刷ジョブについて、途中で印刷モードの変更を行うようにしても良い。
例えば、第2の実施形態の制御部において、省電力印刷モードで画像形成部による印刷処理が開始された印刷ジョブ(例として、印刷ページ数が100枚であるものとする)があった場合を想定する。第2の実施形態の制御部で、当該印刷ジョブについて省電力印刷モードで印刷処理を実行すると決定されたということは、当該印刷ジョブの印刷処理を開始した時点では、当該印刷ジョブに後続する印刷ジョブがM未満であったことになる。そして、ここでは、当該印刷ジョブの印刷処理を実行中にプリンタ(制御部)に新たな印刷ジョブが到来し、当該印刷ジョブに後続する印刷ジョブがM以上となったものとする。このような場合に、当該印刷ジョブについては一旦省電力印刷モードで印刷処理を行っている途中(例えば、先頭から60ページ目を印刷中)であっても、制御部は、後続する印刷ジョブの存在を考慮して、当該印刷ジョブについて通常印刷モードに切り替えて印刷処理を行うようにしても良い。
(C−5)上記の各実施形態において、例えば、通常モードから省電力モードに移行するための閾値(後続するジョブ数)と、省電力モードから通常モードに移行する場合の閾値(後続するジョブ数)とを異なる値とする構成としてもよい。これは、通常モードから省電力モードに移行する場合は、定着器を冷ますので時間がかかってしまうためである。具体的には、例えば、通常モードから省電力モードに移行する場合の閾値(後続ジョブ数)を「5」、省電力モードから通常モードに移行する場合の閾値(後続ジョブ数)を「2」としてもよい。