JP2013155292A - 防振ゴム組成物、架橋防振ゴム組成物及び防振ゴム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体、及び、共役ジエン系重合体を有するゴム成分と、該ゴム成分100質量部に対して3〜4質量部の過酸化物と、該ゴム成分100質量部に対して2〜4質量部の(メタ)アクリル酸亜鉛と、該ゴム成分100質量部に対して0.3〜0.5質量部のビスマレイミド化合物とを含み、前記過酸化物、前記(メタ)アクリル酸亜鉛及び前記ビスマレイミド化合物の合計含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して5.5〜7.3質量部の範囲であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
さらに、エンジンルーム等の高温環境下で使用される場合には、強度特性に優れ、かつ動倍率が低く防振性能に優れることはもちろんのこと、耐久性や、耐ヘタリ性等が高いことが求められる。
しかしながら、これらの技術によって得られる防振ゴムについては、動倍率が高く、耐熱性、耐久性及び耐ヘタリ性の全ての面において満足し得るものではなく、未だゴム配合において改良の余地があった。
さらに、特許文献6には、耐熱性の改良を目的として、天然ゴム(NR)よりも耐熱性の高いエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)を用い、パーオキサイドで加硫することによって、耐熱性をよリー層向上させる技術が記載されている。しかしながら、この技術により得られたゴム組成は、防振ゴムに求められる基本物性が低下し、耐久性も悪化するという問題があった。
(1)共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を有するゴム成分と、該ゴム成分100質量部に対して3〜4質量部の過酸化物と、該ゴム成分100質量部に対して2〜4質量部の(メタ)アクリル酸亜鉛と、該ゴム成分100質量部に対して0.3〜0.5質量部のビスマレイミド化合物とを含み、
前記過酸化物、前記(メタ)アクリル酸亜鉛及び前記ビスマレイミド化合物の合計含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して5.5〜7.3質量部の範囲であることを特徴とする防振ゴム組成物。
本発明による防振ゴム組成物は、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を有するゴム成分と、該ゴム成分100質量部に対して3〜4質量部の過酸化物と、該ゴム成分100質量部に対して2〜4質量部の(メタ)アクリル酸亜鉛と、該ゴム成分100質量部に対して0.3〜0.5質量部のビスマレイミド化合物とを含む。
本発明の防振ゴム組成物を構成するゴム成分は、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を有する。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の二重結合の少ない化学構造及び伸長結晶性によって、優れた耐候性及び耐亀裂成長性を実現できる。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体における前記共役ジエン化合物由来部分の含有量が、30mol%以上の場合、加工性が十分に確保でき、80mol%以下の場合、非共役オレフィンの割合が多くなり、耐候性が向上するためである。
例えば、耐候性及び耐亀裂成長性を確保する点からは、前記非共役オレフィン由来部分の含有量は、20〜70mol%の範囲であることが好ましい。前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体における前記非共役オレフィン由来部分の含有量が、20mol%以上の場合、耐候性を向上させることができ、70mol%以下の場合、ゴム成分中の他の共役ジエン系重合体との相溶性を維持して、耐候性及び耐亀裂成長性を向上することができるからである。
前記共役ジエン化合物由来部分のシス1,4−結合量が、50%以上であれば、低いガラス転移点(Tg)を保持することができ、これにより、耐亀裂成長性や耐摩耗性等の物性が改良される。さらに、前記共役ジエン化合物由来部分のシス1,4−結合量を92%超とすることにより、耐亀裂成長性、耐候性、耐熱性を向上させることが可能となり、95%以上とすることにより、耐亀裂成長性、耐候性、耐熱性をより一層向上させることが可能となる。
なお、前記シス−1,4結合量は、前記共役ジエン化合物由来部分中の量であって、共重合体全体に対する割合ではない。
また、非共役オレフィンの単量体単位からなるブロック部分を備える場合には、静的結晶性を示すため、破断強度等の機械的性質に優れる。
ここで、平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレンを標準物質として求めることができる。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の共役ジエン化合物由来部分における共役ジエン化合物の1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量が、5%以下であると、共重合体の耐候性や耐オゾン性をさらに向上させることができる。一方、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の共役ジエン化合物由来部分における共役ジエン化合物の1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量が、2.5%以下であると、共重合体の耐候性や耐オゾン性をさらに向上させることができる。
なお、前記1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量は、前記共役ジエン化合物由来部分中の量であって、共重合体全体に対する割合ではない。また、前記共役ジエン化合物由来部分における共役ジエン化合物の1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量は、共役ジエン化合物がブタジエンの場合、1,2−ビニル結合量と同じ意味である。
前記ブロック共重合体の構造は、(A−B)x、A−(B−A)x及びB−(A−B)x(ここで、Aは、非共役オレフィンの単量体単位からなるブロック部分であり、Bは、共役ジエン化合物の単量体単位からなるブロック部分であり、xは1以上の整数である)のいずれかである。なお、(A−B)又は(B−A)の構造を複数備えるブロック共重合体をマルチブロック共重合体と称する。
共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体がブロック共重合体である場合は、非共役オレフィンの単量体からなるブロック部分が静的結晶性を示すため、破断強度等の機械的性質に優れる。
共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体がランダム共重合体である場合は、非共役オレフィンの単量体単位の配列が不規則であるため、共重合体が相分離を起こすことなく、ブロック部分に由来する結晶化温度が観測されない。すなわち、耐熱性などの性質を有する非共役オレフィンを共重合体の主鎖中に導入することが可能になるため、耐熱性が向上する。
前記テーパー共重合体とは、ランダム共重合体とブロック共重合体とが混在してなる共重合体であり、共役ジエン化合物の単量体単位からなるブロック部分及び非共役オレフィンの単量体単位からなるブロック部分のうち少なくとも一方のブロック部分(ブロック構造ともいう)と、共役ジエン化合物及び非共役オレフィンの単量体単位が不規則に配列してなるランダム部分(ランダム構造という)とから構成される共重合体である。
前記テーパー共重合体の構造は、共役ジエン化合物成分と非共役オレフィン成分との組成が連続的又は不連続的に分布があることを示す。ここで、非共役オレフィン成分の連鎖構造としては、長鎖(高分子量)の非共役オレフィンブロック成分を多く含まず、短鎖(低分子量)の非共役オレフィンブロック成分を多く含むことが好ましい。
前記交互共重合体は、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとが交互に配列する構造(非共役オレフィンをAと、共役ジエン化合物をBとした場合の、−ABABABAB−の分子鎖構造)を有する重合体である。
交互共重合体である場合には、柔軟性と接着性の両立が可能となる。共重合体は、ブロック共重合体及びテーパー共重合体から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の含有量が、10質量部未満であると、所望の耐候性及び耐亀裂成長性を得られないおそれがある。
次に、上記の非共役オレフィン系共重合体の製造方法を詳細に説明する。但し、以下に詳述する製造方法は、あくまで例示に過ぎない。
非共役オレフィン系共重合体の製造方法は、下記に示す第一の重合触媒組成物、第二の重合触媒組成物、または第三の重合触媒組成物の存在下、非共役オレフィンと共役ジエン化合物とを重合させる工程を含むことが好ましい。なお、重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、用いられる溶媒は重合反応において不活性であればよく、例えば、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、またそれらの混合物等が挙げられる。
前記第一の重合触媒組成物(以下、「第一重合触媒組成物」ともいう)としては、下記一般式(I):
なお、重合反応系において、第一重合触媒組成物に含まれる錯体の濃度は0.1〜0.0001mol/Lの範囲であることが好ましい。
上記一般式(II)で表されるメタロセン錯体は、例えば、溶媒中でランタノイドトリスハライド、スカンジウムトリスハライド又はイットリウムトリスハライドを、インデニルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)及びシリルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)と反応させることで得ることができる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間〜数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンを用いればよい。以下に、一般式(II)で表されるメタロセン錯体を得るための反応例を示す。
次に、第二の重合触媒組成物(以下、「第二重合触媒組成物」ともいう)について説明する。
第二重合触媒組成物としては、
(A)成分:希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物であって、希土類元素と炭素との結合を有さない該希土類元素化合物又は反応物と、
(B)成分:非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B−1)、アルミノキサン(B−2)、並びにルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物及び活性ハロゲンを含む有機化合物のうち少なくとも一種のハロゲン化合物(B−3)よりなる群から選択される少なくとも一種と、
を含む重合触媒組成物が挙げられる。
第二重合触媒組成物が、イオン性化合物(B−1)及びハロゲン化合物(B−3)の少なくとも一種を含む場合、該重合触媒組成物は、更に、
(C)成分:下記一般式(X):
YR1 aR2 bR3 c ・・・ (X)
[式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である]で表される有機金属化合物を含む。
なお、重合反応系において、第二重合触媒組成物に含まれる(A)成分の濃度は0.1〜0.0001mol/lの範囲であることが好ましい。
なお、ランタノイド元素の具体例としては、ランタニウム、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミニウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムを挙げることができる。なお、上記(A)成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
M11X11 2・L11w ・・・ (XI)
M11X11 3・L11w ・・・ (XII)
(式中、M11は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、X11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基又はリン化合物残基を示し、L11は、ルイス塩基を示し、wは、0〜3を示す)で表されることができる。
YR1 aR2 bR3 c ・・・ (X)
(式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である)で表される有機金属化合物であり、下記一般式(Xa):
AlR1R2R3 ・・・ (Xa)
[式中、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよい]で表される有機アルミニウム化合物であることが好ましい。一般式(X)の有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。以上に述べた(C)成分としての有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、上記第二重合触媒組成物における有機アルミニウム化合物の含有量は、(A)成分に対して1〜50倍モルであることが好ましく、約10倍モルであることが更に好ましい。
重合触媒としては、重合用であり、下記式(A):
RaMXbQYb・・・(A)
[式中、Rはそれぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、該RはMに配位しており、Mはランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位しており、Qは周期律表第13族元素を示し、Yはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を示し、該YはQに配位しており、a及びbは2である]で表されるメタロセン系複合触媒が挙げられる。
上記メタロセン系重合触媒を用いることで、重合体を製造することができる。また、上記メタロセン系複合触媒、例えば予めアルミニウム触媒と複合させてなる触媒を用いることで、重合体合成時に使用されるアルキルアルミニウムの量を低減したり、無くしたりすることが可能となる。なお、従来の触媒系を用いると、重合体合成時に大量のアルキルアルミニウムを用いる必要がある。例えば、従来の触媒系では、金属触媒に対して10当量以上のアルキルアルミニウムを用いる必要があるところ、上記メタロセン系複合触媒であれば、5当量程度のアルキルアルミニウムを加えることで、優れた触媒作用が発揮される。
置換インデニルとして、具体的には、2−フェニルインデニル、2−メチルインデニル等が挙げられる。なお、式(XV)における二つのCpRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
また、前記第三の重合触媒組成物(以下、「第三重合触媒組成物」ともいう)は、上記メタロセン系複合触媒と、ホウ素アニオンとを含むことを特徴とし、更に、通常のメタロセン系触媒を含む重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば助触媒等を含むことが好ましい。なお、上記メタロセン系複合触媒とホウ素アニオンとを合わせて2成分触媒ともいう。前記第三重合触媒組成物によれば、上記メタロセン系複合触媒と同様に、更にホウ素アニオンを含有するため、各単量体成分の重合体中での含有量を任意に制御することが可能となる。
本発明に係るゴム組成物における非共役オレフィン系共重合体の製造において、上記重合触媒又は重合触媒組成物を用いる場合、例えば、従来の配位イオン重合触媒を用いる重合反応による重合体の製造方法と同様にして行うことができる。ここで、共重合体の製造方法が上記重合触媒組成物を用いる場合は、例えば、(1)単量体として非共役オレフィン及び共役ジエン化合物を含む重合反応系中に、重合触媒組成物の構成成分を別個に提供し、該反応系中において重合触媒組成物を調製してもよいし、(2)予め調製された重合触媒組成物を重合反応系中に提供してもよい。また、(2)においては、助触媒によって活性化されたメタロセン錯体(活性種)を提供することも含まれる。なお、重合触媒組成物に含まれるメタロセン錯体の使用量は、非共役オレフィン及び共役ジエン化合物の合計に対して、0.0001〜0.01倍モルの範囲が好ましい。
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度 ≧ 1.0
の関係を満たすことが好ましく、更に好ましくは下記式:
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度 ≧ 1.3
の関係を満たし、一層好ましくは下記式:
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度 ≧ 1.7
の関係を満たす。非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度の値を1以上とすることで、反応混合物中に非共役オレフィンを効率的に導入することができる。
本発明の防振ゴム組成物を構成するゴム成分は、共役ジエン系重合体を有することが好ましい。耐亀裂成長性を向上できるためである。
前記共役ジエン系重合体は、モノマー単位成分(共重合体の一部)として非共役オレフィンを含まない重合体(ポリマー)を意味する。なお、スチレンについては、非共役オレフィンに含まないものとする。
これらの中でも、天然ゴム(NR)を用いることが、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体との相溶性が高く、耐候性及び耐亀裂成長性をより向上できる点で好適である。
本発明の防振ゴム組成物は、過酸化物を、ゴム成分100質量部に対して3〜4質量部含む。過酸化物は、ゴム組成物中において加硫剤としての役目を果たし、前記ゴム成分とパーオキサイド架橋を行うことによって、硫黄を用いた架橋を行った場合に比べて、耐熱性及び強度のさらなる向上が可能となる。
本発明の防振ゴム組成物は、アクリル酸亜鉛、及び/又は、メタアクリル酸亜鉛を、前記ゴム成分100質量部に対してそれぞれ2〜4質量部含む。
アクリル酸亜鉛及びメタアクリル酸亜鉛は、共架橋剤としての役目を果たし、前記過酸化物と併用することによって、ゴム中の架橋反応を起こすことができ、これらの成分を含むことで、パーオキサイド架橋が行われる場合でも防振ゴムの基本物性の悪化を抑制できる。
本発明の防振ゴム組成物は、ビスマレイミド化合物を、前記ゴム成分100質量部に対してそれぞれ0.3〜0.5質量部含む。
ビスマレイミド化合物は、前記(メタ)アクリル酸亜鉛とともに、共架橋剤としての役目を果たし、前記過酸化物と併用することによって、ゴム中の架橋反応を起こすことができ、パーオキサイド架橋が行われる場合でも防振ゴムの基本物性の悪化を抑制できる。
また、本発明の防振ゴム組成物は、その他の成分として、脂肪酸エステルを含有することもできる。これによって、混練時のゴム成分に対する前記(メタ)アクリル酸亜鉛の分散性を改善し、加硫後のゴムの力学的特性を向上させることができる。
ここで、上記脂肪酸エステルを構成する脂肪酸及びアルコールは、共に直鎖状構造又は分岐状構造のいずれであってもよく、飽和又は不飽和のいずれであってもよく、また炭素数も特に制限されない。
なお、本発明においては、通常、炭素数1〜30の鎖長を有する脂肪酸と炭素数1〜30の鎖長を有するアルコールとで構成される公知の脂肪酸エステルを用いることができ、具体的には、ステアリン酸エチルエステル、ステアリン酸プロピルエステル、ステアリン酸ブチルエステル、パルミチン酸エチルエステル、パルミチン酸プロピルエステル、パルミチン酸ブチルエステル等を使用することができる。これらは一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
上記脂肪酸エステルの配合量は、上記ゴム成分100質量部に対し、好ましくは0.02〜1.2質量部、より好ましくは0.2〜0.6質量部である。配合量が1.2質量部を超えると、ゴムの軟化、作業性の悪化及び動倍率の悪化等を招くおそれがあり、0.02質量部未満になると、分散性改善効果を得られないおそれがある。
オイルとしては、公知のものを使用することができ、特に制限されないが、具体的には、アロマティック油、ナフテニック油、パラフィン油等のプロセスオイルや、やし油等の植物油、アルキルベンゼンオイル等の合成油、ヒマシ油等を使用することができる。これらは一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記カーボンブラックは、ゴム補強性向上の観点から、ヨウ素吸着量が10〜70g/kg、DBP吸油量が25〜180ml/100gであることが好ましい。
なお、カーボンブラックの配合量については、低動倍率化の点から、上記ゴム成分100質量部に対し、10〜80質量部であることが好ましい。
使用されるシリカの配合量については、低動倍率化の点から、上記ゴム成分100質量部に対し、10〜80質量部であることが好ましい。
なお、混練に際してはロール、インターナルミキサー、バンバリーローター等の混練機を用いることができる。さらに、シート状や帯状等に成形する際には、押出成形機、プレス機等の公知の成形機を用いればよい。
本発明の防振ゴムは、上述した防振ゴム組成物又は加硫防振ゴム組成物を用いることを特徴とする。
例えば、本発明の防振ゴム組成物を成形加工した後、加硫処理を行うことにより製造することができる。加硫条件は、適宜選択し得るが、通常140℃〜180℃、好ましくは150〜170℃の温度で5分間〜120分間の条件で行われる。
表1に示す配合割合の各成分を混練りして、サンプルとなるゴム組成物を調製した。
なお、表1中に示すEBRの調製方法については以下に示す。
十分に乾燥した400mL耐圧ガラス反応器に、トルエン溶液160mLを添加した後、エチレンを0.8MPaで導入した。一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−PhC9H6)2GdN(SiHMe2)2]28.5μmol、ジメチルアニリ
ニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me2NHPhB(C6F5)4]34.2μmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド1.43mmolを仕込み、トルエン8mLに溶解させて触媒溶液とした。その後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、ガドリニウム換算で28.2μmolとなる量を、モノマー溶液へ添加し、室温で5分間重合を行った。その後、エチレンの導入圧力を0.2MPa/minの速度で低下させながら、1,3−ブタジエン15.23g(0.28mol)を含むトルエン溶液100mLを添加した後、さらに90分間重合を行った。重合後、2,2´−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで共重合体を分離し、70℃で真空乾燥し、エチレン−ブタジエンゴム(EBR)を得た。得られたEBRの収量は12.50gであった。
得られたEBRについて、エチレン含有率、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を下記の方法で測定した。
その結果、得られたEBR中のブタジエン部分のミクロ構造として、シス−1,4結合量は98%、1,2−ビニル結合量は1.2%であった。重量平均分子量Mwは350000であり、分子量分布Mw/Mnは、2.2であった。また、エチレン含有率は7mol%(ブタジエン含有率は93mol%)であった。
ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)は、121℃であり、連鎖構造はブロックであった。
共重合体中のブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量)を、1H−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:6ppm)により1,2−ビニル結合成分(5.0−5.1ppm)と全体のブタジエン結合成分(5−5.6ppm)の積分比より求めた。また、共重合体中のブタジエン部分のミクロ構造(シス−1,4結合量)を、13C−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:73.8ppm)によるシス−1,4結合成分(26.5−27.5ppm)と全体のブタジエン結合成分(26.5−27.5ppm+31.5−32.5ppm)の積分比より求めた。
得られたEBR中のエチレン由来部分の含有率(mol%)を13C−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:73.8ppm)による全体のエチレン結合成分(28.5−30.0ppm)と全体のブタジエン結合成分(26.5−27.5ppm+31.5−32.5ppm)の積分比より求めた。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8121GPC/HT、カラム:東ソー製GMHHR−H(S)HT×2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、測定温度は140℃である。
JIS K7121−1987に準拠して示差走査熱量測定(DSC)を行い、DSC曲線を描き、ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)を測定した。なお、測定は、単体ポリマーや触媒残渣等の不純物の影響をさけるため、共重合体を大量のテトラヒドロフランに48h浸漬し、テトラヒドロフランに溶解する成分を全て取り除いた後、
乾燥したゴム成分をサンプルとして使用した。
ゴム組成物の各サンプルについて、160℃で10分間加硫処理した後、下記試験方法により評価を行った。
実施例及び比較例の各サンプルの硬度Hs(°)については、JIS K 6253(タイプA)に準拠して測定を行った。
実施例及び比較例の各サンプルの引張伸びEb(%)については、JIS K 6251に準拠して測定を行った。
実施例及び比較例の各サンプルの引張強さTb(MPa)については、JIS K 6251に準拠して測定を行った。
測定値については表1に示す。
各実施例及び比較例で得られた加硫ゴムのサンプルについて、JIS K 6257に準拠し、100℃、500時間の条件下で試験片を放置した後、引張伸び(Eb)、引張強さ(Tb) を測定し、その変化率(%)を算出した。算出した値については表1に示す。
各実施例及び比較例で得られた加硫ゴムのサンプルについて、20mm×100mm×1.0mmの試験片とし、表面をアセトン洗浄した直後に、0〜20%の動的伸張を与えながら、40℃、オゾン濃度50pphmの恒温槽中に放置し、肉眼でクラック状況を確認した。
耐オゾン性の評価は、ゴム破断に繋がる致命的なクラックが発生した場合を×、致命的ではない細かなクラックのみが発生した場合を○、とした。評価結果を表1に示す。
各実施例及び比較例で得られた加硫ゴムのサンプルについて、JIS3号試験片中心部に0.5mmの亀裂を入れ、35℃で0〜100%の一定歪みで繰り返し疲労を与え、サンプルが切断するまでの回数を測定し、評価を行った。
評価は、比較例1のサンプルが切断するまでの回数を100としたときの指数で表示し、指数値が大きい程、耐亀裂成長性(定歪)が良好となる。評価結果を表1に示す。
各実施例及び比較例で得られた加硫ゴムのサンプルについて、JIS K 6385に準拠して、静的バネ定数:Ksを測定し、動的バネ定数:Kdを100Hzで測定し、動倍率(Kd/Ks)を算出した。
評価については、動倍率が比較例1のサンプル以下のものを○、動倍率が比較例1のサンプルより高いものを×とした。評価結果を表1に示す。
※2 JSR社製 「BR01」
※3 JSR社製 「SBR1500」
※4 JSR社製 「EP103AF」
※5 N550;FEF、ヨウ素吸着量=43g/kg、DBP吸油量=121ml/100g、旭カーボン(株)製
※6 N880;FT、ヨウ素吸着量=27g/kg、DBP吸油量=28ml/100g、旭カーボン(株)製
※7 沈降式シリカ、東ソー・シリカ(株)製「NIPSIL VN3」
※8 (3−トリエトキシシリルプロピル) テトラスルフィド、エボニックデグサ社製
※9 出光興産(株)製 「ダイアナプロセスオイルNS−100」
※10 Rhein Chemie社製「Antilux654」
※11 2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、大内新興化学工業(株)製「ノクラック224」
※12 N−フェニル−N'− (1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業(株)製「ノクラック6C」
※13 α,α' −ビス(t−ブチルパーオキシ) 1,3−ジイソプロピルベンゼン
※14 ジクミルパーオキサイド
※15 ジアクリル酸亜鉛、サートマー社製「SR633」
※16 ジメタアクリル酸亜鉛、サートマー社製「SR634」
※17 N,N'−m−フェニレンビスマレイミド、大内新興化学社製「バルノックPM」
※18 N,N’−(4,4−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、大和化成工業(株)製、「BMI−RB」
※19 N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)
一方、比較例のサンプルは、上記評価項目の少なくとも一つが実施例のサンプルに比べて劣る結果を示すことがわかった。
Claims (15)
- 共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を有するゴム成分と、該ゴム成分100質量部に対して3〜4質量部の過酸化物と、該ゴム成分100質量部に対して2〜4質量部の(メタ)アクリル酸亜鉛と、該ゴム成分100質量部に対して0.3〜0.5質量部のビスマレイミド化合物とを含み、
前記過酸化物、前記(メタ)アクリル酸亜鉛及び前記ビスマレイミド化合物の合計含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して5.5〜7.3質量部の範囲であることを特徴とする防振ゴム組成物。 - 前記ゴム成分は共役ジエン系重合体を有することを特徴とする請求項1に記載の防振ゴム組成物。
- ヨウ素吸着量が10〜70g/kg、DBP吸油量が25〜180ml/100gであるカーボンブラックを含むことを特徴とする請求項1に記載の防振ゴム組成物。
- 窒素吸着比表面積(BET法)が70〜230m2/gであるシリカを含むことを特徴とする請求項1に記載の防振ゴム組成物。
- 前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体は、共役ジエン化合物由来部分のシス−1,4結合量が50%以上であることを特徴とする請求項1に記載の防振ゴム組成物。
- 前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量が10,000〜10,000,000であることを特徴とする請求項1に記載の防振ゴム組成物。
- 前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が10以下であることを特徴とする請求項1に記載の防振ゴム組成物。
- 前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の含有量が、ゴム成分100質量部に対して10〜100質量部であることを特徴とする請求項1に記載の防振ゴム組成物。
- 前記非共役オレフィンが非環状オレフィンであることを特徴とする請求項1に記載の防振ゴム組成物。
- 前記非共役オレフィンの炭素数が2〜10であることを特徴とする請求項1に記載の
防振ゴム組成物。 - 前記非共役オレフィンが、エチレン、プロピレン及び1−ブテンよりなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項9又は10に記載の防振ゴム組成物。
- 前記非共役オレフィンがエチレンであることを特徴とする請求項11に記載の防振ゴム組成物。
- 前記共役ジエン系重合体が天然ゴムを有することを特徴とする請求項1に記載の防振ゴム組成物。
- 請求項1に記載の防振ゴム組成物を架橋して得られることを特徴とする架橋防振ゴム組成物。
- 請求項1に記載の防振ゴム組成物、又は、請求項14に記載の架橋防振ゴム組成物を用いることを特徴とする防振ゴム。
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