以下に本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採り得ることができ、各実施例に記載された内容の相違部分を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
図1に遊技機の一種であるパチンコ機1の正面図を示し、詳細に説明する。図1に示す通り、本実施例のパチンコ機1は、大きく長方形の外枠2、前面枠3、意匠枠4a、意匠枠4bとならなる筐体にて各部を保持する構造である。
外枠2左側の上部には金具5aが、下部に金具5bがそれぞれ設けられており、金具5aおよび5bとでヒンジ機構を形成し、前面枠3は外枠2に対して開閉可能に構成され、図示しない前面枠閉鎖スイッチ38(図4参照)が前面枠3の閉鎖状態を検出可能に装着されている。尚、この前面枠閉鎖スイッチ38は本願発明における閉鎖検出手段を構成するものである。
また、前面枠3左側の中部には金具5cが設けられ、金具5aと金具5cとでヒンジ機構を形成し、意匠枠4aは前面枠3に対して開閉可能に構成されている。さらに、金具5cと金具5bとでヒンジ機構を形成し、意匠枠4bは前面枠3に対して開閉可能に構成されている。
ヒンジ機構が形成される逆側(ここでは右側)には、外枠2と前面枠3との施錠、前面枠3と意匠枠4aとの施錠、前面枠3と意匠枠4bとの施錠/解錠を行うための鍵穴6aを有するスライド錠6(図2参照)が設けられている。
尚、本実施例のパチンコ機1は、外枠2の左隣にCRプリペイドカードユニット7を設けている所謂CR機として説明するが、CRプリペイドカードユニット7を設けない所謂現金機としても何ら差し支えない。
意匠枠4aは、後述する遊技盤8を視認可能とするために透明樹脂板またはガラス板を備える窓部9、前面枠3に設けられたスピーカ10の前面にスピーカ10を保護し、且つ、効果音を通すための保護音通部11を備えている。
また、意匠枠4bは、遊技球を貯留しておくための上皿12および下皿13を略中央に備え、遊技者が操作可能な遊技ボタン14(本願発明における、遊技者が操作可能な遊技ボタン)、CRプリペイドカードユニット7と後述するCRユニット端子板60を介して接続される精算表示装置15、球貸ボタン16および精算ボタン17を左側に備えている。
前面枠3の右下側(意匠枠4bの右側)には、遊技球の発射強度を調節するための発射ハンドル18が設けられており、発射ハンドル18の近傍には、発射停止ボタン19(図4参照)および図示しないタッチ板20が設けられている。
前面枠3の下側(意匠枠4bの下側)には、スピーカ10を備えたスピーカユニット21が設けられている。
続いて、図2にパチンコ機1の裏面図を示し、詳細に説明する。図2に示す通り、遊技盤8を着脱可能に取り付けられる前面枠3が外枠2に収納されるような構成となっている。
前面枠3には、上方から球タンク22、タンクレール23および払出装置24が設けられ、遊技盤8に設けられる後述する入賞口に遊技球が入球することに基づいて、払出装置24の払出モータ24aが駆動することによって、球タンク22およびタンクレール23に貯留されている遊技球が、前述した上皿12に払い出されることになる。
また、遊技盤8の裏面側には、主制御装置50(本願発明における遊技機全体の制御を司る主制御装置)、サブ統合装置53(本願発明における疑似図柄表示装置を制御するサブ制御装置に該当)、演出図柄ユニット54が設けられ、前面枠3の裏面側には、払出制御装置51、発射制御装置52、電源装置55が各々設けられ、電源装置55には電源スイッチ55aおよびRAMクリアスイッチ55b、図示しないバックアップ用電源が設けられている。
尚、発射制御装置52が図示されていないが、払出制御装置51で隠れる位置に配置されている。
さらに、前面枠3には、外部接続端子板61が設けられており、この外部接続端子板61から遊技状態、遊技結果、不正行為等を示す信号がホールコンピュータ70(図4参照)に送られるように構成されている。
尚、本実施例では外部接続端子板61を盤用、枠用を兼用する構成としているが、盤用、枠用の外部接続端子板を個々に備えるように構成しても何ら差し支えない。
続いて、図3に遊技盤8の正面図を示し、詳細に説明する。図3に示す通り、遊技盤8には公知のガイドレール25a、25bによって囲まれた略円形の遊技領域26が設けられ、多数の遊技釘27が植設されている。
遊技領域26の略中央には、窓部28aを有する液晶枠飾り28が設けられており、演出図柄表示装置54b(本願発明における疑似図柄表示装置、図4参照)のLCD画面が遊技者から視認可能に構成され、図示しない公知のワープ入口、ワープ通路、ステージ等も設けられている。
また、窓部28aの上方には、7セグメントLED等の発光部材により構成される特別図柄表示装置29および普通図柄表示装置30が設けられている。
液晶枠飾り28の左右両側または左側には後述する普通図柄作動スイッチ32a(図4参照)を備える普通図柄作動ゲート32が設けられており、下側には後述する特別図柄始動スイッチ31a(図4参照)を備える普通電動役物31が設けられている。
普通電動役物31の下方には、アタッカー式の大入賞口33aを備える大入賞口ユニット33が配置され、該大入賞口ユニット33の下方にはアウト口34が設けられている。
大入賞口33aの左側には4個のLEDで構成される特別図柄保留数表示装置29aが、右側には4個のLEDで構成される普通図柄保留数表示装置30aが、各々設けられている。
また、大入賞口ユニット33の左右両側には、後述する一般入賞口スイッチ35b(図4参照)を備える一般入賞口35aが複数備えられる入賞口ユニット35が設けられている。
上記のように遊技盤8を構成することによって、普通図柄作動ゲート32に入球(普通図柄作動スイッチ32a(図4参照)にて遊技球を検出)すると、普通図柄表示装置30で普通図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止した普通図柄の態様に応じて、後述する普通電役ソレノイド31b(図4参照)を駆動させる。
普通電役ソレノイド31bを駆動させると、ほぼ同期して普通電動役物31の羽根部材が駆動して、普通電動役物31への入球率(特別図柄始動スイッチ31a(図4参照)での検出率)が高まるように構成されている。
また、普通電動役物31に入球(特別図柄始動スイッチ31a(図4参照)にて遊技球を検出)すると、特別図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止した特別図柄の態様に応じて後述する大入賞口ソレノイド33c(図4参照)を駆動させる。
大入賞口ソレノイド33cを駆動させると、ほぼ同期して大入賞口ユニット33の扉部材が駆動して、大入賞口33aへの入球率(カウントスイッチ33b(図4参照)での検出率)が高まるように構成されている。
尚、本実施形態におけるパチンコ機は確率変動機として構成されている。具体的に説明すると、本実施形態のパチンコ機による遊技は、大入賞口33aを閉鎖した遊技と大入賞口33aを開放する大当たり遊技とに大別され、大入賞口33aを閉鎖した遊技には、大きく分類して、通常確率状態(以下、通常状態)と、該通常状態に比べて遊技者にとって有利な状態となる高確率状態(以下、確率変動状態)とが存在する。確率変動状態は、通常状態と比較して、特別図柄と普通図柄の変動時間が短縮され、更に普通電動役物40の羽根部材の開放時間が長くなり、当否抽選による大当たり遊技への移行確率が高くなるので、遊技者にとって有利な遊技状態となっている。
続いて、図4にパチンコ機1の電気配線を示すブロック図を示し、詳細に説明する。尚、このブロック図には、煩雑になる電源回路に関する記載は行わないが、電源が必要な制御装置若しくはアクチュエータ類には電源装置55から直接的または間接的に供給される構成となっている。
図4に示す通り、主制御装置50の入力端には、遊技盤中継端子板62を介して普通電動役物31に入球した遊技球を検出する特別図柄始動スイッチ31aと、普通図柄作動ゲート32に入球した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ32aと、大入賞口33aに入球した遊技球を検出するカウントスイッチ33bと、一般入賞口35aに入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ35bと、裏配線中継端子板63を介して前面枠3が閉鎖していることを検出する前面枠閉鎖スイッチ38と、意匠枠4a・4bが閉鎖していることを検出する意匠枠閉鎖スイッチ39a、39bと、が接続されている。
前面枠閉鎖スイッチ38及び意匠枠閉鎖スイッチ39a、39bは、内部に電池(1次電池又は2次電池のいずれでも良い)を備えており、通常時(電源が供給され、且つ、電源スイッチ55aがON)は後述する裏配線中継端子板63から供給されるDC12Vで動作し、電源が供給されないとき(電源遮断又は電源スイッチOFF)には、電池の電源を利用して前面枠3又は意匠枠4a、4bの閉鎖状態を出力する構成となっている。
また、電池として1次電池を採用する場合には電池の消耗によって交換(電池のみ交換又はリミットスイッチを交換)することとなるが、2次電池を採用する場合には通常時に充電する構成とし、繰り返し利用可能に構成することが望ましい。
主制御装置50の出力端には、遊技盤中継端子板62を介して大入賞口33aの扉部材を駆動する大入賞口ソレノイド33cと、普通電動役物31の羽根部材を駆動する普通電役ソレノイド31bと、図柄表示装置中継端子板64を介して特別図柄を表示する特別図柄表示装置29と、特別図柄の保留数を表示する特図保留数表示装置29aと、普通図柄を表示する普通図柄表示装置30と、普通図柄の保留数を表示する普図保留数表示装置30aと、裏配線中継端子板63および外部接続端子板61を介してホールコンピュータ70と、が接続されている。
主制御装置50はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される各種検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種コマンド等を生成し、払出制御装置51およびサブ統合装置53に出力する。
また、主制御装置50は、前面枠閉鎖スイッチ38又は意匠枠閉鎖スイッチ39a、39bから前面枠3又は意匠枠4a、4bの閉鎖状態時に出力される検出信号が入力されることで、外部接続端子板61を介してホールコンピュータ70に前面枠又は意匠枠が閉鎖状態にあることを示す信号(検出信号に準ずる信号)を出力するように構成されている。
ここで、主制御装置50と払出制御装置51とは双方向通信回路として構成され、主制御装置50とサブ統合装置53とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置50からサブ統合装置53への一方向通信回路として構成されている。
払出制御装置51の入力端には、裏配線中継端子板63を介して球タンク22またはタンクレール23内の遊技球が不足していることを検出する球切れスイッチ22aまたは23aと、裏配線中継端子板63および払出中継端子板66を介して払い出した遊技球を検出する払出スイッチ24bと、各種端子板を介することなく下皿13への経路に遊技球が多数あることを検出する満杯スイッチ13aと、が接続されている。
払出制御装置51の出力端には、裏配線中継端子板63および払出中継端子板66を介して遊技球を上皿へと払い出す払出モータ24aが接続されている。
払出制御装置51はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される各種検出信号ならびに主制御装置50から入力されるコマンドに基づいて遊技球の払い出しに関わる各種コマンド等を生成し、主制御装置50および発射制御装置52に出力する。
ここで、払出制御装置51と主制御装置50とは双方向通信回路として構成され、払出制御装置51と発射制御装置52とは払出制御装置51から発射制御装置52への一方向通信回路として構成されている。
発射制御装置52の入力端には、発射を停止するための発射停止スイッチ19aと、発射ハンドル17に遊技者が触れていることを検出するタッチスイッチ20aと、が接続されている。
発射制御装置52の出力端には、遊技球を遊技領域26へ発射するための発射モータ36が接続されている。
発射制御装置52はCPU、ROM、RAMを備えず、IC等で構成されたデジタル回路であり、入力される各種検出信号ならびに払出制御装置51からの入力に基づいて発射モータ36の駆動を制御している。
サブ統合装置53の入力端には、遊技者により操作可能な遊技ボタン14に配置された遊技スイッチ14aが接続されている。この遊技スイッチ14aは遊技ボタン14の操作を検出するが、遊技者による想定外の強打や乱打により、遊技スイッチ14aとサブ統合装置53との電気的接続が断線したり短絡したりする場合(遊技者にとっては遊技ボタン14の故障状態)が度々発生している。こういった状況を考慮して、サブ統合装置53は、遊技スイッチ14aとの電気的接続の断線や短絡の有無のチェックを行う回路(本願発明における故障検出手段に該当)を備えている。
尚、遊技ボタン14の故障には、電気的な故障以外にボタンの押下し機構の故障、例えば遊技ボタン14が押下しできないとか、押下した状態から元に戻らない等なども考えられるため、これらの故障状態を検出する装置を設けると更に好適となる。
サブ統合装置53の出力端には、意匠枠4a、4bおよび遊技盤8に備えられる各種LED・ランプ37と、前面枠3およびスピーカユニット21に備えられるスピーカ10と、が接続されている。
尚、サブ統合装置53と主制御装置50とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置50からサブ統合装置53への一方向通信回路として構成され、サブ統合装置53と演出図柄制御装置54aとはサブ統合装置53から演出図柄制御装置54aへの一方向通信回路として構成されている。
サブ統合装置53はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される遊技スイッチ14aの入力ならびに主制御装置50から入力されるコマンドに基づいて演出に関わる各種コマンド等を生成し、演出図柄ユニット54の演出図柄制御装置54aに出力する。
尚、本実施例では、サブ統合装置53のRAMに記憶された遊技情報を電源断時に保持しない構成としているが、電源装置55からVBBを供給して記憶保持可能とし、復電時に記憶した遊技情報を元に電源断前の遊技を再開する構成としても何ら差し支えない。
また、サブ統合装置53には、音量を調節する音量調節スイッチ10aが備えられ、音量調節スイッチ10aの状態(位置)を検出し、その検出結果とスピーカ10へ送信する内容とを判断し、スピーカ10から出力する音量をソフト的に制御するように構成されている。
例えば、遊技に伴う演出音声やエラー報知の一部(前面枠3、意匠枠4a、4b等の枠開放/閉鎖報知など)の音声は、音量調節スイッチ10aの状態に応じて変更された音量でスピーカ10から出力され、その他のエラー報知(特殊報知など)は音量調節スイッチ10aの状態に関わらず予め設定された音量でスピーカ10から出力されるように構成することができる。
続いて、図5に示す主制御装置50が行う保留記憶処理について説明する。尚、主制御装置50が行うメインルーチンは従来技術と何ら変わり無いため割愛する。保留記憶処理とは、主制御装置50に格納されている保留記憶数が最大値でないときに、普通電動役物31に入球(特別図柄始動スイッチ31aが遊技球を検出)した際に取得した各種乱数を、保留記憶として主制御装置50に格納する処理である。尚、普通図柄電動役物31に遊技球が入球する毎に主制御装置50に格納される保留記憶は、図3で示した特別図柄保留数表示装置29aの点灯数にて、遊技者が認識できるようになっている。本実施形態においては、主制御装置50が各種乱数値を保留記憶として格納することができる最大個数は4個となっている。
保留記憶処理が開始されると、特別図柄始動スイッチ31aが遊技球を検出(普通電動役物31に入球)したか否か判定される(S10)。S10が肯定判定ならば(S10:YES)、既に記憶している保留記憶の数が最大値(=4個)未満か否か判定する(S11)。S11が肯定判定ならば(S11:YES)、大当り判定用乱数等の各種乱数を抽出する各種乱数抽出処理を行い(S12)、抽出した各種乱数をRAMの記憶領域に記憶する乱数値等記憶処理を行い(S13)、入球に伴ない増加更新される保留数指示コマンドをサブ統合装置54へ送信する保留球数指示送信処理(S14)を行う。S14の処理後、又はS10の否定判定(S10:NO)、S11の否定判定(S11:NO)後にリターンに抜ける。
尚、S12では、大当り判定用乱数の他に大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数を抽出する。また、S13の処理後に、遊技の興趣を高める予告演出を実施するために、記憶した各種乱数を判定(予告演出が実施可能か)する構成としても良い。例えば、大当り判定用乱数値が大当り判定テーブルと一致するか否かを判定し、一致する場合は、保留記憶表示を遊技者が大当りを期待できる態様に変化させる等の指示を行う構成が考えられる。その場合、大当りとなる図柄が確率変動となる図柄か否かを合わせて判定し、図柄の判定結果も送信する構成が望ましい。
次に、図6に示す主制御装置50が行う特別図柄変動処理について説明する。特別図柄変動処理とは、前述した図5の保留記憶処理で保留記憶として記憶された当否乱数等の各種乱数値を読み出し、読み出した乱数値の当否結果に応じて、特別図柄表示装置29の7セグメントLEDにて行われる特別図柄の変動表示に関する変動時間及び確定図柄を決定し、主制御装置50で直接に特別図柄表示装置29の制御を行うものである。その際、サブ統合装置53にも演出用の疑似図柄の変動表示を指示する変動パターン指定コマンド(本願発明における特定の変動パターン)(図8参照)を送信する処理を行う。
また、主制御装置50から変動タイムコマンドを受信したサブ統合装置54は、受信したコマンドを基に演出図柄表示装置54b上で表示される疑似図柄の変動態様(演出パターン)を決定し、疑似図柄を変動表示させる為の各種コマンドを演出図柄制御装置54aに送信する処理を行う。
特別図柄変動処理を開始すると、特別図柄表示装置29にて特別図柄の変動が停止中か否かを判定する(S20)。肯定判定なら(S20:YES)、確率変動フラグが0であるか否か判定する(S21)。確率変動フラグとは、主制御装置50にて記憶される値であり、確率変動フラグが0のときは、大当り確率が通常状態であることを、確率変動フラグが1のときは、確率変動状態であることを主制御装置50が判断するための値である。S21が肯定判定ならば(S21:YES)、特別図柄の保留記憶が格納されているか否かを判定する(S22)。肯定判定なら(S22:YES)、保留記憶を読み出し保留記憶領域のシフト処理を行う(S23)。保留記憶が複数個ある場合には、格納されてから最も時間が経過している保留記憶から読み出す。
読み出した保留記憶の当否乱数が判定テーブル1(確率変動状態中は、当りとなる確率が高くなる別の判定テーブルを用いる)の当否判定値と一致するか否か判定する(S24)。肯定判定であれば(S24:YES)、保留記憶から読み出した確率変動乱数の値が確率変動判定テーブルと一致するか否か判定する(S25)。肯定判定であれば(S25:YES)、確率変動図柄の大当たり図柄となることを判断し、最終的に確定表示される確率変動となる特別図柄の種類を選択する(S26)。S25が否定判定であれば(S25:NO)、非確率変動図柄の大当たり図柄となることを判断し、最終的に確定表示される非確率変動となる特別図柄の種類を選択する (S27)。S26、S27の処理の後、通常状態専用のテーブルから当たり用の変動パターンを選択する処理を行う(S28)。
S24が否定判定であれば(S24:NO)、外れ表示として最終的に確定表示される特別図柄の外れ図柄の種類を選択する(S29)。S29の処理の後、通常状態専用のテーブルから外れ用の変動パターンを選択する処理を行う(S30)。S28、S30の処理に続いては、上記処理により決定した確定図柄の種類と変動パターンを基に、特別図柄表示装置29上に特別図柄を表示制御する処理を行う(S31)。S31に続いては、サブ統合装置53に変動パターン指定コマンドを送信する処理を行う(S32)(本願発明における主制御装置から送信される特定の変動パターン)。S32の処理を終えると、又はS20、S22が否定判定(S20:NO、S22:NO)の場合リターンに抜ける。
S21が否定判定であれば(S21:NO)、確変時変動処理として確率変動時の特別図柄変動処理を行う。この確変時変動処理と、通常状態時の特別図柄変動処理の相違点は、前述した当否判定に用いる判定テーブルと変動パターンの選択処理のみが異なり、確変時変動処理においては確率変動状態専用のテーブルの中から変動パターンが選択される。従って、その他の部分は同一内容となるため確変時変動処理の詳細説明は割愛する。
以上が本実施例における特別図柄変動処理となり、本願発明における主制御装置からサブ制御装置に特定の変動パターン(変動パターン指定コマンド)を送信する処理を含む処理となる。
次に、図7に示すサブ制御装置53が行う変動情報受信処理について説明する。変動情報受信処理は、本願発明における変動態様振分手段と、遊技ボタン14が故障(操作に反応しない)している旨を報知する(報知を指示する)処理を含む処理である。
サブ統合装置53が変動情報受信処理を開始すると、変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判定する(S40)。この変動パターン指定コマンドは、図8の図表の上から2行目にあるコマンド名変動タイムであり、識別NO.の数分(本実施例では30個)の変動時間の種類を備えている。また、サブ統合装置53は、1つの(特定の)変動タイムを受信すると、その変動タイムに対応した複数の変動態様(図9参照)の中から、振分乱数抽出処理によって取得した乱数値を用いて、演出図柄表示装置54bに表示する変動態様を選択する。
S40が肯定判定なら(S40:YES)、振分乱数抽出処理を行い(S41)、遊技ボタン故障フラグが0か否か判定する(S42)。遊技ボタン故障フラグとは、サブ統合装置53にて記憶される値であり、遊技ボタン故障フラグが0のときは、遊技ボタン14からサブ統合装置53への信号通信状態が正常(遊技者の遊技ボタン14操作を検出可能)であることを、遊技ボタン故障フラグが1のときは、遊技ボタン14からサブ統合装置53への信号通信状態が異常(遊技者の遊技ボタン14操作を検出不可能)であることをサブ統合装置53が判断するための値である。
S42が肯定判定なら(S42:YES)、遊技ボタン14が故障しているか否かを、前述したサブ統合装置53と遊技スイッチ14aとの電気的接続の断線や短絡の有無のチェックを行う回路からのチェック結果を示す信号によって判定する(S43)。本実施例では、電気的接続の断線や短絡を故障として検出しているが、これ以外の故障(例えば、遊技ボタン14が押下できない、押下した状態から元に戻らない等)を検出する装置からの信号を、合わせて判断する構成が好適である。
S43が肯定判定なら(S43:YES)、遊技ボタン故障フラグに1をセットする(S44)。S44の処理後又はS42が否定判定なら(S42:NO)、S41で抽出した振分乱数を用いて、受信した変動タイムに対応した複数の変動態様の中から1つの(演出図柄表示装置54bに表示することとなる)変動態様を選択する変動態様選択処理2を行う(S45)。変動態様選択処理2(1)の詳細な説明は後述するが、変動態様選択処理2は遊技ボタン故障検出手段が故障を検出したことを条件に、遊技ボタン14を使用しない変動態様を選択する処理である。
尚、遊技ボタン故障フラグに1がセットされた場合、遊技機の新たな電源投入時に、RAMクリア(遊技状態の初期化)が実施されると遊技ボタン故障フラグに0がセットされるが、遊技スイッチ14aとサブ統合装置53の電気的接続が正常な状態に戻っていない(修理されていない)場合は、サブ統合装置53が変動パターン指示コマンドを受信すると再度遊技ボタン故障フラグに1がセットされる。
S45の処理に続き、遊技ボタン故障報知処理(S46)が行われる。この処理は、処理中の変動態様が変動を開始するのに合わせ、遊技ボタン14が故障していることを表す表示を演出図柄表示装置54bに行うために、演出図柄制御装置54aにそれを指示する信号を送信する処理であり、サブ統合装置53が制御する他の演出用装置であるスピーカ及び各種ランプLEDを用いて遊技ボタン14の故障を報知する処理、例えば遊技ボタン14に設けられた発光部材を通常とは異なる故障を知らせる態様で発光させる等、をあわせて行ってもよい。この処理を基にして遊技者は遊技ボタン14が故障していることを認識するため、遊技中に遊技ボタン14を使用する変動態様が出現しなくてもその理由を理解し、遊技機に憤慨することなく遊技を進行することが可能となる。
尚、本実施例で行う、演出図柄表示装置54bに表示する遊技ボタン14の故障報知の内容を図12に示す。遊技ボタン故障報知処理(S46)が行われ、該処理に係る変動表示が開始されると、変動開始と同時に画面(演出図柄表示装置54b)の上部に破線内に示す遊技ボタン14を表す図形と故障を知らせる文字が5秒間表示される。また、初回の故障報知の開始と同時に画面右下部に遊技ボタン14の故障状態を模したアイコンが出現し、以降遊技ボタン故障フラグが1の期間は継続して表示される。報知を実施すると疑似図柄が変動しているか否かに関わらず絶えず遊技ボタンの故障を表すアイコンが表示されることとなるため、遊技者が遊技機を選定する際にそのアイコンの有無が遊技機を選定する材料となる。当然のことながら、報知内容はこれに限るものではなく、遊技者が遊技ボタン14の故障を認識可能な内容であればよい。
図7の説明に戻り、S43が否定判定なら(S43:NO)、S41で抽出した乱数値を用いて変動態様選択処理1を行う(S47)。この変動態様選択処理1は、故障検出手段によって遊技ボタン14の故障が検出されていないことを条件(正常な状態を条件)に、所定のタイミングで抽出した振分乱数の値に基づいて遊技ボタンを使用する変動態様又は遊技ボタンを使用しない変動態様のいずれかを選択する処理となる。従って、S45とS47の処理が、本願発明における変動態様振分手段となる。
S46またS47の処理に続き、上記処理によって選択された変動態様を、演出図柄表示装置54bに表示する指示信号を演出図柄制御装置54aに送信する演出図柄変動処理を行う(S48)。S48の処理の後、又はS40が否定判定なら(S40:NO)、リターンに抜ける。
次に、サブ統合装置53が備える、特定の変動パターン指示コマンド(変動タイム)に対応した複数の変動態様について、図9の図表を例にして説明する。サブ統合装置53が、主制御装置50から30H00Hの変動タイム(変動パターン指示コマンド)を受信した場合、その変動タイムに対応する4種類(35H00H〜35H03H)の変動態様を備えており、この変動タイムに対応する4種類の変動態様は、全て「遊技ボタン14を使用しない変動態様」となる。
同様に、サブ統合装置53が主制御装置50から30H1DHの変動タイム(変動パターン指示コマンド)を受信した場合、その変動タイムに対応する4種類(35H00H〜35H03H)の変動態様を備えている。この4種類の中で、35H03H「トリックD+キャラC」の1種類は、「遊技ボタン14を使用する変動態様」であり、この変動態様が選択されると、変動が開始して20秒経過すると画面上にキャラCとともに、遊技ボタン14の操作を促す表示が出現し、その後5秒間はトリックDの疑似図柄変動を行いながら遊技者の遊技ボタン14の操作に連動してキャラCと疑似図柄の態様を変化させる変動表示を行う。
同様に、サブ統合装置53が主制御装置50から30H1EHの変動タイム(変動パターン指示コマンド)を受信した場合、その変動タイムに対応した4種類(35H00H〜35H03H)の変動態様を備えている。この4種類の中で、35H02H「トリックC+キャラC」と35H03H「トリックD+キャラC」の2種類の変動態様は、「遊技ボタン14を使用する変動態様」であり、このどちらかの変動態様が選択されると、変動が開始して25秒経過すると画面上にキャラCとともに、遊技ボタン14の操作を促す表示が出現し、その後8秒間はトリックC(35H03HはトリックD)の疑似図柄変動を行いながら遊技者の遊技ボタン14の操作に連動してキャラCと疑似図柄の態様を変化させる変動表示を行う。
この様に、主制御装置50が送信する特定の(1つの)変動パターン指定コマンド(変動タイム)によっては、サブ統合装置53は、全て「遊技ボタン14を使用しない変動態様」の中から変動態様を選択する場合と、「遊技ボタン14を使用する変動態様」と「遊技ボタン14を使用しない変動態様」が混在する中から変動態様を選択する場合とがある。尚、本実施例では、選択する変動態様が全て「遊技ボタン14を使用する変動態様」という場合は存在しない。
次に、本実施例で行う、演出図柄表示装置54bに表示する遊技者に遊技ボタン14の操作を促す表示を図11に示す。例えば、サブ統合装置53が、30H1EHの変動タイムを受信し、35H03H「トリックD+キャラC」の変動態様を選択した場合、変動開始から20秒後に演出図柄表示装置54bの中央部に破線内に示す遊技ボタン14を表す図形と文字が5秒間点滅表示される。当然のことながら、この内容に限るものではなく、遊技者が遊技ボタン14の操作が可能であることを認識できる表示であればよい。
次に、図7で説明したS45の変動態様選択処理2とS47の変動態様選択処理1について図10に示した例を用いて説明する。S45とS47の違いは、遊技スイッチ14aとサブ統合装置53との電気接続に断線又は短絡を検出している場合と検出していない場合であり、遊技者にとって、遊技ボタンが故障しているか、又は正常かの違いによって異なる変動態様の選択内容となることを示している。
サブ統合装置53が、主制御装置50から変動パターン指示コマンドとして30H1EHの変動タイムを受信すると、図7で説明したように遊技ボタン14が正常な状態なら変動態様選択処理1(図7、S47)によって表示する変動態様を選択する。その時、図7のS41で抽出した振分乱数値が「0」ならば、35H00H「トリックA+キャラD」の「遊技ボタン14を使用しない変動態様」を選択し、抽出した振分乱数値が「1」ならば、35H01H「トリックB+キャラD」の「遊技ボタン14を使用しない変動態様」を選択し、抽出した振分乱数値が「2」ならば、35H02H「トリックC+キャラC」の「遊技ボタン14を使用する変動態様」を選択し、抽出した振分乱数値が「3」ならば、35H03H「トリックD+キャラC」の「遊技ボタン14を使用する変動態様」を選択する。
この様に、遊技ボタン14が正常な場合は、「遊技ボタン14を使用しない変動態様」か「遊技ボタン14を使用する変動態様」かのいずれかの変動態様を選択可能に乱数値を振り分ける。言い換えれば、遊技ボタン14が正常な場合は、特定の変動パターン指示コマンドに対応した「遊技ボタン14を使用する変動態様」を含む複数の変動態様の全てに選択用の乱数値が振り分けられるため、「遊技ボタン14を使用しない変動態様」か「遊技ボタン14を使用する変動態様」のいずれかの変動態様を選択することになる。
次に、上記と同様の変動タイムを受信したときに遊技ボタン14が故障していた場合、変動態様選択処理2(図7、S45)によって表示する変動態様を選択する。その時、図7のS41で抽出した振分乱数値が「0」又は「1」ならば、35H00H「トリックA+キャラD」の「遊技ボタン14を使用しない変動態様」を選択し、抽出した振分乱数値が「2」又は「3」ならば、35H01H「トリックB+キャラD」の「遊技ボタン14を使用しない変動態様」を選択する。
この様に遊技ボタン14が故障している場合は、受信した変動タイムに対応する複数の変動態様の中に「遊技ボタン14を使用する変動態様」が存在しても、変動態様選択用の乱数値の振分は「遊技ボタン14を使用しない変動態様」にしか行われない。従って、遊技ボタン14が故障している場合は、「遊技ボタン14を使用する変動態様」が選択されることが無い。
尚、受信した特定の変動タイムに対応する複数の変動態様が、全て「遊技ボタン14を使用しない変動態様」である場合は、変動態様選択処理1と変動態様選択処理2では同一の選択処理が行われ、遊技ボタン14が故障しているか否かに拘らず、抽出した振分乱数値は複数の変動態様の全てに振り分けられる。
また、本実施例で例とした、30H1EHの変動パターンコマンドを受信した時に対応する複数の変動態様は、「遊技ボタン14を使用する変動態様」を2個、「遊技ボタン14を使用しない変動態様」を2個とし合計4個の変動態様で構成されたが、内1個のみを「遊技ボタン14を使用しない変動態様」としてもよい。その場合、遊技ボタン14が正常であれば、「遊技ボタン14を使用する変動態様」が必ず選択される(故障していない場合は、「遊技ボタン14を使用する変動態様」専用とする)ように振分乱数値の振分率を変更し、遊技ボタン14が故障していれば、1個の「遊技ボタン14を使用しない変動態様」を実施する構成とすることが望ましい。
本実施例では、遊技ボタン14が故障していない場合の変動態様選択時(変動態様選択処理1)、振分乱数値と変動態様との振分関係を1対1としたが、振分乱数の幅を大きくし(乱数値の数を多くし)、乱数値の範囲を設定することによって変動態様を選択する構成としてもよい。その場合、遊技ボタン14が故障しているときには(変動態様選択処理2)、乱数値の範囲を変化させることにより、「遊技ボタン14を使用する変動態様」を選択しない構成としてもよい。
以上が実施例の説明となるが、図柄変動遊技を行っている遊技者が、変動中の変動態様が「遊技ボタン14を使用する変動態様」であることを判断可能とするのは、演出図柄表示装置54b上に遊技ボタン14の操作を促す表示が出現するからである。遊技ボタン14の操作を促す表示が出現していない時に、遊技ボタン14の操作を行い画面上に何ら変化が現れなくても遊技者が憤慨することはない。従って「遊技ボタン14を使用する変動態様」が選択され実施された場合でも、該実施中に遊技ボタン14の操作を促す表示が出現しなければ、遊技者にとってその変動態様は「遊技ボタン14を使用しない変動態様」といえる。
この様な状況より、遊技ボタン14が故障している場合に行われる変動態様選択処理2は、変動態様の選択処理自体は遊技ボタン14が正常な場合に行われる変動態様選択処理1と同じ内容(振分乱数値が同じ内容で全ての変動態様に振り分けられる)として、その時に「遊技ボタン14を使用する変動態様」が選択された場合、この変動態様の実施中に遊技ボタン14の操作を促す表示を出現させない処理を行うものとしてもよい。
本実施例の遊技機は、遊技ボタン14の操作を促す報知が疑似図柄表示装置に行われるか否かによって遊技ボタンを使用する変動態様か又は遊技ボタンを使用しない変動態様かを遊技者に認識可能とする弾球遊技機であり、変動態様を選択する変動態様振分手段は、遊技ボタンが故障しているときに、遊技ボタンを使用する変動態様を選択した場合、遊技ボタンの操作を促す報知を実施しない構成としてもよい。