JP2013148569A - 特定元素除去方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 特定元素除去方法は、処理対象溶液にゼオライトを添加する工程と、処理対象溶液に凝集剤を添加する工程と、ゼオライトおよび凝集剤が添加された処理対象溶液の沈殿物を除去する工程とを有する。凝集剤は、例えば、ポリアクリルアミド系の有機系凝集剤、または、硫酸アルミニウムなどを用いることができる。凝集助剤として、ベントナイトや活性炭などをさらに用いてもよい。また、pH調整剤として、炭酸ナトリウム、塩化第二鉄などが用いられてもよい。
【選択図】図1
Description
また、特許文献2には、ヘキサシアノ鉄(II)酸の不溶性銅塩とそれを担持した多孔質陰イオン交換樹脂からなるセシウム分離用イオン交換体の製造方法において、当該多孔質陰イオン交換樹脂内に担持した状態でヘキサシアノ鉄(II)酸の不溶性銅塩を酸化処理したのちに、1価の陽イオン存在下で還元処理するとともに銅イオンと接触させることを特徴とするセシウム分離用イオン交換体の製造方法が開示されている。
好適には、前記洗浄液は、アンモニア化合物、水酸化化合物、濃縮した海水、または蟻酸化合物を主成分とする水溶液である。
好適には、前記濃縮した海水は、塩分濃度が10%以上になるように濃縮した海水とする。
本実施形態の特定元素除去方法は、処理対象溶液にゼオライトを添加する工程と、処理対象溶液に凝集剤を添加する工程と、ゼオライトおよび凝集剤が添加された処理対象溶液の沈殿物を除去する工程とを有する。ゼオライトを添加する工程と、凝集剤を添加する工程とは、同時に行われてもよい。
凝集剤は、例えば、ポリアクリルアミド系の有機系凝集剤、または、硫酸アルミニウムなどを用いることができる。
凝集助剤として、ベントナイトや活性炭などをさらに用いてもよい。また、pH調整剤として、炭酸ナトリウム、塩化第二鉄などが用いられてもよい。
海水に元素を添加して疑似汚染水とした。
処理1は下記のように処理した。
疑似汚染水に炭酸ナトリウムを1.5%、ゼオライト(#600)を1.5%および凝集剤(SS120:ポリアクリルアミド系)0.06%添加して、10分間撹拌し、その上清に含まれるストロンチウム(Sr)、ヨウ素(I)およびセシウム(Cs)の濃度をICP−MS(ICP質量分析装置)を用いて測定した(処理1)。
その結果、Srが92.6〜92.8%、Iが24.5〜26.0%、Csが89.5〜89.8%除去されていることが確認された。
処理2は下記のように処理した。
上記の上清に過酸化水素を0.1%添加し、8g/5ml塩化第二鉄水溶液をpHが4〜5となるように添加し10分間撹拌し、その上清に含まれるSr、I、Csの濃度を上記と同様の方法で測定した(処理2)。
その結果、Srが93.1%、Iが68.6%、Csが90.0%除去されていることが確認された。
sampleは下記のように処理した。
疑似汚染水に炭酸ナトリウム0.6%およびゼオライト(スズカライト)1.2%を添加して10分間撹拌後、スズカライト0.4%および凝集剤(MP384)0.05%を添加して5分間撹拌した。
次に上記の上清に炭酸ナトリウム1%、スズカライト0.6%および塩化カルシウム0.2%を添加して10分間撹拌後、スズカライト0.4%および凝集剤(MP384)0.05%を添加して5分間撹拌した。
さらに、上記の上清に8g/5ml塩化第二鉄水溶液をpHが4〜5になるように添加後、スズカライト0.4%および凝集剤(MP384)0.05%を添加し5分間撹拌した。その後、その上清に含まれるSr、I、Csの濃度をICP−MSを用いて測定した(sample)。
その結果、Srが90.8%、Iが97.0%、Csが99.1%除去されていることが確認された。
sampleは下記のように処理した。
疑似汚染水に炭酸ナトリウム1%、ゼオライト(スズカライト)0.6%および塩化カルシウム0.2%を添加して10分間撹拌後、スズカライト0.4%および凝集剤(MP384)0.05%を添加して5分間撹拌した。
次に上記の上清にスズカライト0.4%、凝集剤(MP384)0.05%および8g/5ml塩化第二鉄水溶液をpHが4〜5になるように添加して10分間撹拌後、その上清に含まれるSr、I、Csの濃度をICP−MSを用いて測定した(sample)。
その結果Srが91.3%、Iが96.6%、Csが96.3%除去されていることが確認された。
sample1および2は下記のように処理した。
疑似汚染水に炭酸ナトリウム1%、ゼオライト(スズカライト)0.6%および塩化カルシウム0.2%を添加して10分間撹拌後、スズカライト0.4%および凝集剤(MP384)0.05%を添加して5分間撹拌した。その後、その上清のSr、I、Csの濃度をICP−MSを用いて測定した(sample1)。
その結果、Srが82.6%、Iが2.9%、Csが79.4%除去されていることが確認された。
次に、上記の上清を用いて、上記と同様の操作を1回繰り返した。
さらに、上記の上清にスズカライト0.4%、凝集剤(MP384)0.05%および8g/5ml塩化第二鉄水溶液をpHが4〜5になるように添加して10分間撹拌後、その上清のSr、I、Csの濃度を上記と同様の方法で測定した(sample2)。
その結果、Srが94.1%、Iが95.6%、Csが97.8%除去されていることが確認された。
sampleA testは下記のように処理した。
疑似汚染水100mlに、フェロシアン化カリウム42mg、蒸留水5ml、ベントナイト1gおよび10%塩化第二鉄水溶液0.3mlを混合したものを添加して10分間撹拌後、その上清のSr、I、Cs濃度をICP−MSを用いて測定した(sampleA test)。
その結果、Srが14.1%、Iが0.9%、Csが99.4%除去されていることが確認された。
testは下記の処理をした。
疑似汚染水に炭酸ナトリウム1%、スズカライト0.6%および塩化カルシウム0.2%を添加して10分間撹拌後、スズカライト0.4%および凝集剤(MP384)0.05%添加して5分間撹拌した。
次に上記の上清を用いて、上記と同様の操作を2回繰り返した。
さらに、上記の上清にスズカライト0.4%、凝集剤(MP384)0.05%および8g/5ml塩化第二鉄水溶液をpHが4〜5になるように添加し10分間撹拌後、その上清のSr、I、Csの濃度を上記と同様の方法で測定した(test)。
その結果、Srが93.0%、Iが100%、Csが98.7%除去されていることが確認された。
上記実施例は海水に元素を添加して疑似汚染水としていたが、本実施例では、水道水に元素を添加して疑似汚染水とした。
sample2は下記のように処理した。
疑似汚染水に貝化石0.75%、硫酸アルミニウム0.3%、炭酸ナトリウム0.45%および凝集剤(MP384)0.03%を添加し10分間撹拌後、その上清のSr、I、Cs濃度を上記と同様の方法で測定した(sample2)。
その結果、Srが95.5%除去されていることが確認された。
疑似汚染水に仙台産ゼオライト1.5%および凝集剤(MP384)0.03%を添加し10分間撹拌後、その上清のSr、I、Cs濃度を上記と同様の方法で測定した(sample3)。その結果、Csが99.7%除去されていることが確認された。
sample4は下記のように処理した。
疑似汚染水に仙台産ゼオライト0.75%、硫酸アルミニウム0.3%、炭酸ナトリウム0.45%および凝集剤(MP384)0.03%を添加し10分間撹拌後、その上清のSr、I、Csの濃度を上記と同様の方法で測定した(sample4)。
その結果、Srが88.9%、Csが92.7%除去されていることが確認された。
50%に希釈した海水に元素を添加して疑似汚染水とした。
sample1は下記のように処理した。
疑似汚染水に仙台産ゼオライト1.5%を添加し60分間撹拌後、その上清のSr、I、CsをICP−MSを用いて測定した(sample1)。
その結果、Csが95.3%除去されていることが確認された。
sample2は下記のように処理した。
疑似汚染水に仙台産ゼオライト0.8%を添加し60分間撹拌後、その上清のSr、I、Csを上記と同様の方法で測定した(sample2)。
その結果、Csが90.1%除去されていることが確認された。
50%に希釈した海水に元素を添加して疑似汚染水とした。
疑似汚染水に島根県産ゼオライト1.5%および凝集剤(MP384)0.03%を添加して10分間撹拌後、その上清のSr、I、Csの濃度をICP−MSを用いて測定した。
その結果、Csが91.4%除去されていること、およびIは除去されていないことが確認された。
海水に元素を添加して疑似汚染水とした。
疑似汚染水に炭酸ナトリウム1%、ゼオライト(スズカライト)1%、塩化カルシウム0.5%を添加して60分間撹拌後、その上清のSr、I、Csの濃度をICP−MSを用いて測定した(sample1)。
その結果、Srが99.1%除去されていることが確認された。
疑似汚染水に炭酸ナトリウム1%、仙台産ゼオライト1%、塩化カルシウム0.5%を添加して60分間撹拌後、その上清のSr、I、Csの濃度を上記と同様の方法で測定した(sample2)。その結果、Srが99.1%除去されていることが確認された。
疑似汚染水に炭酸ナトリウム1%と塩化カルシウム0.5%を添加して撹拌後10分から120分の間に数回上清を採取して、上清に含まれるSr、I、Csの濃度を上記と同様の方法で測定した(sample3)。
その結果、Srの除去率が撹拌時間に比例して向上することが確認された。
疑似汚染水に炭酸ナトリウム2%と塩化カルシウム0.5%を添加して撹拌後10分から120分の間に数回上清を採取して、上清に含まれるSr、I、Csの濃度を上記と同様の方法で測定した(sample4)。
その結果、Srの除去率が撹拌時間に比例して向上することが確認された。
50%に希釈した海水に元素を添加して疑似汚染水とした。
sample3は下記のように処理した。
疑似汚染水に人工ゼオライト0.75%、硫酸アルミニウム0.3%、炭酸ナトリウム0.45%および凝集剤(MP384)0.03%を添加し10分間の撹拌後、その上清のSr、I、Csの濃度を上記と同様の方法で測定した(sample3)。
その結果、Srが96.0%、Csが83.5%除去されたことが確認された。
sample4は下記のように処理した。
疑似汚染水に仙台産ゼオライト1.5%、硝酸銀0.01%および凝集剤(MP384)0.03%を添加し10分間撹拌後、その上清のSr、I、Csの濃度を上記と同様の方法で測定した(sample4)。
その結果、Csが94.6%除去されていることが確認された。
sample5は下記のように処理した。
疑似汚染水にゼオライト(スズカライト)1.5%、硝酸銀0.01%および凝集剤(MP384)0.03%を添加し10分間撹拌後、その上清のSr、I、Csの濃度を上記と同様の方法で測定した(sample5)。Csが92.6%除去されていることが確認された。
50%に希釈した海水に元素を添加して疑似汚染水とした。
疑似汚染水にゼオライト(スズカライト)0.75%、硫酸アルミニウム0.3%、炭酸ナトリウム0.45%および凝集剤(MP384)を0%、0.01%、0.02%または0.03%を添加して10分間撹拌後、その上清のSr、I、Csの濃度をICP−MSを用いて測定した(sample1〜sample4)。
その結果、Srが96.7〜97.3%、Csが81.4〜82.2%除去されていることが確認された。
疑似汚染水にスズカライト0.75%、硫酸アルミニウム0.45%および炭酸ナトリウム0.3%を添加して10分間撹拌後、その上清のSr、I、Csの濃度を上記と同様の方法で測定した(sample7)。
その結果、Srが14.5%、Csが81.0%除去されていることが確認された。
疑似汚染水にスズカライト0.75%、硫酸アルミニウム0.3%、炭酸ナトリウム0.45%および凝集剤(SS120)を添加して10分間撹拌後、その上清のSr、I、Csの濃度を上記と同様の方法で測定した(sample8)。
その結果、Srが95.9%、Csが83.2%除去されていることが確認された。
sample9はpH調整なしで、以下はそれぞれ、塩酸(sample10)、硫酸(sample11)、酢酸(sample12)、クエン酸(sample13)でpHを4〜5に調整してから下記の操作を行った。
疑似汚染水に仙台産ゼオライト1.5%、硝酸銀0.01%および凝集剤(MP384)0.03%を添加して10分間撹拌後、その上清のSr、I、Csの濃度を上記と同様の方法で測定した。
その結果、Csが94.0〜94.2%除去されていることが確認された。
水道水に元素を添加して疑似汚染水とした。
Sr testは下記のように処理した。
疑似汚染水に炭酸ナトリウム1%、仙台産ゼオライト1%および塩化カルシウム0.5%を添加し10分間撹拌後、その上清のSrの濃度をICP−MSを用いて測定した。
その結果、Srが99.93%除去されたことが確認された。
I testは下記のように処理した。
疑似汚染水に仙台産ゼオライト1%と水酸化ナトリウム0.8%を添加し、8g/5ml塩化第二鉄水溶液を2ml添加し10分間撹拌後、硫酸アルミニウムを0.2%添加して5分間撹拌した。その後、その上清のIの濃度を上記と同様の方法で測定した。
その結果、Iが98.94%除去されていることが確認された。
Cs testは下記のように処理した。
疑似汚染水に仙台産ゼオライト3%と硫酸アルミニウム0.3%を添加し10分間撹拌後、その上清のCsの濃度を上記と同様の方法で測定した。
その結果、Csが99.995%除去されていることが確認された。
以下、カラムを用いた処理方法の実施例を説明する。なお、以下の処理では、海水に元素を添加して疑似汚染水とした。
カラムサイズ:φ3.2cm x 11cm
カラムには、海砂5g、島根産ゼオライト(粒径1-2mm)20g、島根産ゼオライト(粒径2-4mm)60gを充填した。
疑似汚染水に炭酸ナトリウム(Na2CO3)0.2%添加後、上記カラムを通道した。
その結果、カラム通道の開始直後および終了間際のいずれにおいても、Csが100%除去されていることが確認された。
カラムサイズ:φ2.0cm x 11cm
カラムには、島根産ゼオライト(粒径1-2mm)10g、島根産ゼオライト(粒径2-4mm)20gを充填した。
疑似汚染水に炭酸ナトリウム(Na2CO3)0.2%添加後、上記カラムを通道した。
その結果、カラム通道の開始直後および終了間際のいずれにおいても、Csが100%除去されていることが確認された。
50%海水に元素を添加して疑似汚染水とした。
カラムサイズ:φ2.0cm x 14.5cm
カラムには、仙台産ゼオライト(粒径約0.5mm)10g、仙台産ゼオライト(粒径2-4mm)20gを充填した。
疑似汚染水に炭酸ナトリウム(Na2CO3)0.2%添加後、上記カラムを通道した。
図1は、第2の実施形態の砂質の除染フロー(S10)である。
図2は、土壌除染試験に用いた洗浄液と処理方法を示した表である。
図3は、土壌除染試験の結果を示した表である。
図4は、第2の実施形態の砂質以外の除染フロー(S20)である。
図5は、焼却灰除染試験に用いた洗浄液と処理補法を示した表である。
図6は、焼却灰除染試験の結果を示した表である。
図7は、第2の実施形態の固形物の除染フローである。
図8は、第2の実施形態の樹木の落葉、枝葉等の除染Bフローである。
図1に例示するように、ステップ100(S100)において、作業者は、研磨機を使用して放射能汚染土の土粒子同士の衝突や、こすり合わせなどによる放射性物質の固着した表層部分の剥ぎ取りを行う。
ステップ105(S105)において、作業者は、分級機を使用して、研磨された汚染土壌を粒子サイズに応じて振り分ける。
ステップ110(S110)において、粒子サイズが75ミクロン以上であれば、砂質の除染フロー(S10)は、S115へ移行する。粒子サイズが75ミクロン未満であれば、砂質の除染フロー(S10)は、S125へ移行する。
ステップ115(S115)において、作業者は、振り分けられた粒子サイズが75ミクロン以上の汚染土壌を、洗浄液の入っている洗浄槽に加え、50℃〜200℃で10分以上加熱する。洗浄する洗浄液は、カリウム塩、アンモニア塩、硫酸アンモニウムなどアンモニア化合物、水酸化カリウムなどの水酸化化合物、濃縮した海水、または蟻酸化合物を使用する。より具体的には、濃縮した海水とは、塩分濃度が10%以上のものを示す。また、洗浄液量は、処理対象物の2倍量〜3倍量とする。
ステップ120(S120)において、作業者は、加熱した汚染土壌をスクリュープレス・フィルタープレス等の分離機を使用して放射能汚染物質を含む水と、洗浄土砂とをろ過分離する。
ステップ125(S125)において、作業者は、ろ過した放射能汚染物質を含む水と、粒子サイズが75ミクロン未満の汚染土壌との混合液に、K525凝集剤を添加して、混合液に含まれる固形物を凝集沈殿させ、放射能汚染物質と水とに分離する。この分離方法は、本発明の第1の実施形態である。
ステップ130(S130)において、作業者は、スクリュープレス・フィルタープレス等の分離機を使用して放射線汚染物質を含む廃棄物と水とをろ過分離する。
第2の実施形態の砂質の除染フロー(S10)では、S125とS130とにおいて、粒子サイズが75ミクロン未満の汚染土壌と、ろ過した放射能汚染物質を含む水とを混合して凝集沈殿工程と分離工程とを行っているが、混合せずに、それぞれで凝集沈殿工程と分離とを行ってもよい。
図3は、土壌除染試験の結果を示した表である。
図2、図3に例示されるように、除染率は、0.5M、又は1Mのギ酸アンモニウムを洗浄液に使用し、120℃で30分加熱処理を実施した場合が高いことが判明した。
第2の実施形態の砂質の洗浄に使用する洗浄液は、土壌除染試験の結果を元に洗浄液を選択、使用している。
図4に例示するように、ステップ200(S200)において、作業者は、汚染土壌焼却灰を、洗浄液の入っている圧力容器プラントに加え、100℃〜200℃、1.1気圧〜3気圧の環境下で10分以上加熱する。洗浄する洗浄液は、カリウム塩、アンモニア塩、硫酸アンモニウムなどアンモニア化合物、水酸化カリウムなど水酸化化合物、濃縮した海水、または蟻酸化合物を使用する。より具体的には、濃縮した海水とは、塩分濃度が10%以上のものを示す。また、洗浄液量は、処理対象物の2倍量〜3倍量とする。
ステップ205(S205)において、作業者は、K525凝集剤で、混合液に含まれる固形物を凝集沈殿させ、混合液を放射能汚染物質と水とに分離する。この分離方法は、本発明の第1の実施形態である。
ステップ210(S210)において、作業者は、スクリュープレス・フィルタープレス等の分離機を使用して放射線汚染物質を含む廃棄物と水とをろ過分離する。
図6は、焼却灰除染試験の結果を示した表である。
図5、図6に例示されるように、除染率は、10NのNaOH、又は10NのKOHを洗浄液に使用し、120℃で60分加熱処理を実施した場合が高いことが判明した。
第2の実施形態の砂質以外の洗浄に使用する洗浄液は、土壌除染試験の結果を元に洗浄液を選択、使用している。
第2の実施形態の固形物の除染フローを説明する。
図7は、第2の実施形態の固形物の除染フローである。
作業者は、汚染土壌を篩機械にかけ、夾雑物を除去する。除去された夾雑物は、汚染度を確認後除染される。
作業者は、夾雑物が除去された汚染土を分級槽(S)に移し、粗粒土(97%程度)の汚染土は混合槽(M)へ移す。粗粒土とは、粒子サイズが75ミクロン以上の汚染土壌を示す。
また、作業者は、夾雑物が除去された汚染土のうち細粒土(3%程度)の汚染土を、凝集沈殿槽(B)へ移す。細粒土とは、粒子サイズが75ミクロン未満の汚染土壌を示す。
作業者は、混合槽(M)に洗浄剤溶液を添加し、加熱、撹拌、場合によっては加圧を行う。洗浄を行うと、洗浄槽(A)は、水分を含んだ土(放射性物質含有)と処理液(放射性物質を含んだ水)とに分離する。
作業者は、水分を含んだ土(放射性物質含有)を遠心分離槽(A)に移し、分離、加水、及びすすぎを数回繰り返す。水分を含んだ土(放射性物質含有)は、洗浄土と処理液(放射性物質を含んだ水)とに分離する。作業者は、洗浄土を安全確認後現状復旧する。
作業者は、分離した処理液(放射性物質を含んだ水)を汚染水タンクへ移し、さらに凝集沈殿槽(B)に移す。
作業者は、凝集沈殿槽(B)に水とK525凝集剤とを添加し、分離した上澄みを凝集沈殿槽(C)に移す。作業者は、凝集沈殿槽(C)に凝集剤K525αを添加する。作業者は、分離した上澄みを、凝集沈殿槽(B)に添加する水へと再利用する。または、作業者は、分離した水を安全確認後排水する。
作業者は、凝集沈殿槽(B)と凝集沈殿槽(C)とに沈殿した放射性物質含有の沈殿物を遠心分離槽(B)に移し、水と放射性物質含有の沈殿物とに分離する。作業者は、分離した水を、凝集沈殿槽(B)に添加する水へと再利用する。
作業者は、分離した放射性物質含有の沈殿物を仮置槽に移し、さらに中間処理施設へ移す。
図8は、樹木の落葉、枝葉等の除染Bフローである。
図8に示されるように、作業者は、汚染された落葉、枝葉等を、粉砕機によって粉砕する。
作業者は、粉砕された粉砕物と腐葉土とを圧力容器に混入し、圧力容器に洗浄剤溶液を加える。作業者は、圧力容器を加熱、撹拌、場合によっては加圧する洗浄の工程を行う。
作業者は、洗浄した混合液を遠心分離槽(A)に移し、分離、加水、及びすすぎを数回繰り返す分離の工程を行う。混合液が固形物と処理液(放射性物質を含んだ水)とに分離すると作業者は、固形物を安全確認後現場へ戻す。
作業者は、処理液(放射性物質を含んだ水)を、凝集沈殿槽(B)へ移し、K525凝集剤を加える凝集沈殿の工程を行う。
混合液は、上澄みの水溶液と放射性沈殿物とに分離する。
作業者は、放射性沈殿物を遠心分離槽(B)に移し、放射性沈殿物を水溶液と放射性沈殿物とに分離する。
作業者は、放射性沈殿物を仮置槽に移し、さらに中間処理施設へ移す。
作業者は、凝集沈殿槽(B)において発生した水溶液と、遠心分離槽(B)において発生した水溶液とを濃縮機へ移し、濃縮する。作業者は、濃縮の工程において発生した濃縮物ミネラル分を、安全確認後現場へ戻す。
図9は、第3の実施形態における除染処理の概要を説明する図である。
福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故による放射性汚染物質のうち、99%以上が放射性セシウムによるものである。放射性セシウムは、大気浮遊塵として飛散し、汚染対象物の表面に存在する間隙や溝の奥に強固に吸着されている。したがって、汚染対象物の物性によって放射性セシウムの剥離・溶出には異なる処理システムが必要である。上記実施形態は、グラウンドなどの土壌に吸着されたセシウムを対象としているが、第3の実施形態は、コンクリート表面などの物体表面に直接吸着された放射性セシウム、あるいは、表面間隙に吸着した粘土コロイドなどに吸着された放射性セシウムを対象とする。
セシウムイオンの半径は、160〜180pmで、ナトリウムやカルシウムより大きく、粘土鉱物のシート間に取り込まれた場合に他の金属イオンよりも脱離しにくい。一方、アンモニウムイオンは、セシウムとカリウムの中間に位置し、セシウムイオンと交換しやすいと考えられる。
そこで、本実施形態の除染処理では、ギ酸アンモニウムを主成分とした除染剤をゲル化し、図9に例示するように、ゲル化した除染剤を汚染物表面を塗布し、一定時間静置後、水で洗い流すことにより、放射性セシウムを回収する。
図10に例示するように、ステップ300(S300)において、作業者は、除染剤原液(以下、J315と呼ぶ場合がある)をぬるま湯で5倍〜10倍に希釈し、除染剤する。除染剤原液は、例えば、ギ酸アンモニウムと、炭酸カリウムと、炭酸カルシウムとを8:1:1で混合した水溶液に、界面活性剤とギ酸を添加したものである。
ステップ305(S305)において、作業者は、希釈した除染剤原液(除染剤)に、ゲル化剤を添加する。ゲル化剤は、例えば、メトローズである。メトローズの添加量は、例えば、希釈した除染剤に対して1重量%程度である。
ステップ310(S310)において、作業者は、ゲル化剤を添加した除染剤を撹拌する。だまにならないように撹拌することが望ましい。
ステップ315(S315)において、作業者は、ゲル化した除染剤を、汚染物表面に塗布する。汚染物表面とは、例えば、コンクリートやアスファルトでできた建材の表面などである。塗布は、例えば、刷毛などを用いて行われる。塗布量は、1平方メートルあたり1リットル(ゲル化した除染剤で換算)程度である。
ステップ325(S325)において、作業者は、汚染物表面に、ゲル化した除染剤を塗布した状態で、数時間静置する。静置する時間は、6時間以上であることが好ましい。より好ましくは、静置する時間は12時間以上である。
ステップ330(S330)において、作業者は、汚染物表面を水洗して、除染剤を汚染物表面から除去する。除去された汚染剤は、ドラム缶などに収容し、汚染水として回収される。
図11は、実施例17の結果を示す表である。
実施例17では、除染剤(J-315)原液を水により10倍希釈し、ゲル化剤(メトローズ 和光純薬製)を1%添加した。ゲル化した除染剤(J-315)を、建物基礎部分のコンクリートと、駐車場のアスファルトとにそれぞれ刷毛で塗布し、12時間静置した。12時間後に、ゲル化した除染剤を水洗し、放射線量をNaIシンチレーションカウンターで測定した。
図11(A)は、建物基礎部分のコンクリートにおける放射線量(除染前及び除染後)及び除去率を示し、図11(B)は、駐車場のアスファルトにおける放射線量(除染前及び除染後)及び除去率を示す。なお、本図の放射線量は、空間線量を差し引いた数値である。
除染試験結果は、建物基礎部分コンクリートで94.1%の除染率、駐車場アスファルトで91.3%の除染率であった。コンクリートの除染率については、再現性も確認された。
図12は、実施例18の結果を示す表である。
実施例18では、除染剤(J-315)原液を水により10倍希釈し、ゲル化剤(メトローズ 和光純薬製)を1%添加した。インターロッキングブロックを3つの領域に分け、それぞれ2つの領域にゲル化した除染剤(J-315)を刷毛で塗布し、残りの領域を、対照群として、高圧洗浄のみで除染した。ゲル化した除染剤が塗布された2つの領域の一方を3時間静置し、他方を6時間静置した。また、プールサイド及び側溝上蓋コンクリートのそれぞれに2つの領域を設定し、一方の領域に、ゲル化した除染剤を塗布して12時間静置し、他方の領域を、対照群として高圧洗浄のみで除染した。除染剤の水洗後、各領域における放射線量を測定し比較した。放射線量の測定は、ガイガー=ミュラー計数管にて行った。
図12(A)は、インターロッキングブロックにおける3つの領域の放射線量(除染前及び除染後)及び除染率を示し、図12(B)は、プールサイドにおける2つの領域の放射線量(除染前及び除染後)及び除去率を示し、図12(C)は、側溝上蓋コンクリートにおける2つの領域の放射線量(除染前及び除染後)及び除去率を示す。
今回の除染剤濃度では、3時間静置した領域では、ほぼ高圧洗浄のみの領域(対照群)と差は見られなかったが、6時間静置した領域では除染効果が確認できた。
図13は、実施例19の結果を示す表である。
実施例19では、除染剤(J-315)原液を水により10倍希釈し、ゲル化剤(メトローズ 和光純薬製)を1%添加した。ゲル化した除染剤を、プールサイド、側溝上蓋コンクリート及びインターロッキングブロックにそれぞれ塗布し、12時間静置した。12時間静置後に、除染剤を水洗除去し、放射線量を測定した。放射線量の測定は、NaIシンチレーションカウンターによって実施した。
図13(A)は、プールサイドにおける放射線量(除染前及び除染後)及び除染率を示し、図13(B)は、側溝上蓋コンクリートにおける放射線量(除染前及び除染後)及び除去率を示し、図13(C)は、インターロッキングブロックにおける放射線量(除染前及び除染後)及び除去率を示す。
プールサイドコンクリートで95.0%、側溝上蓋コンクリートで75.0%、インターロッキングブロックで54.1%の除染率だった。コンクリートの除染率について更なる再現性が確認された。
なお、インターロッキングブロックの除染率が50%台であったのは、継ぎ目部分に残留した除染剤J-315が原因である可能性がある。布でふき取ると残留した除染剤が付着したため、除染剤の水洗・回収方法を改善することで、除染率の向上が期待できる。
図14は、実施例20の結果を示す表である。
実施例20では、除染剤(J-315)原液を水により10倍希釈し、ゲル化剤(メトローズ 和光純薬製)を1%添加した。ゲル化した除染剤を、民家のコンクリートブロック塀上面、及び、道路側溝コンクリート蓋上面にそれぞれ塗布し、12時間静置した。12時間静置後に、除染剤を水洗除去し、放射線量を測定した。水洗除去にあたり、ブラッシングした場合とブラッシングしない場合を比較した。また、高圧洗浄のみによる除染、高圧洗浄及びブラッシングによる除染を対照群とした。
放射線量の測定は、NaIシンチレーションカウンターによって実施した。
図14は、コンクリートブロック塀上面、及び、道路側溝コンクリート蓋上面における放射線量(除染前及び除染後)及び除染率を示す。
「除染剤(J-315 )+ブラッシング」による除染試験結果は、コンクリートブロック塀で77.42%の除染率、道路側溝コンクリート蓋で80.92%8の除染率だった。除染剤J-315の洗い流し・回収が粗く残留すると、除染率に影響を及ぼす可能性があるため、ブラッシングによる作業後に除染率が向上したと考えられる。
Claims (7)
- 処理対象溶液にゼオライトを添加する工程と、
処理対象溶液に凝集剤を添加する工程と、
ゼオライトおよび凝集剤が添加された処理対象溶液の沈殿物を除去する工程と
を有する特定元素除去方法。 - 対象固形物を洗浄液で洗浄する工程
をさらに有し、
前記ゼオライトを添加する工程において、前記対象固形物を洗浄した洗浄液を、前記処理対象溶液とする
請求項1に記載の特定元素除去方法。 - 前記洗浄液は、アンモニア化合物、水酸化化合物、濃縮した海水、または蟻酸化合物を主成分とする水溶液である
請求項1に記載の特定元素除去方法。 - 前記濃縮した海水は、塩分濃度が10%以上になるように濃縮した海水とする
請求項1に記載の特定元素除去方法。 - 前記対象固形物の粒径に応じて分別する工程
をさらに有し、
平均粒径75ミクロン以上の前記対象固形物は、前記洗浄液の処理対象となり、
平均粒径75ミクロン未満の前記対象固形物は、前記凝集剤の処理対象となる、
請求項2に記載の特定元素除去方法。 - 洗浄剤をゲル化させる工程と、
ゲル化した洗浄剤を対象物体の表面に塗布する工程と、
対象物体に塗布された洗浄剤を水洗する工程と
を有する特定元素除去方法。 - 前記水洗する工程は、ゲル化した洗浄剤を塗布してから6時間以上静置した後に実施し、かつ、対象物体の表面をブラッシングする工程を含む
請求項6に記載の特定元素除去方法。
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